JP2014019173A - トランスファ - Google Patents
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Abstract
【課題】2輪駆動状態および4輪駆動状態のそれぞれの場合に応じて、効率的に潤滑および冷却が可能なトランスファを提供する。
【解決手段】ハウジング9と、入力軸31と、リヤ出力軸32と、フロント出力軸33と、2駆・4駆切替機構と、摩擦クラッチ機構38と、回転連結機構と、潤滑油貯留部10と、摩擦クラッチ機構38を包囲し、且つ開閉可能な排出口13aを有して形成され、排出口13a閉止時には回転連結機構の回転体33aの回転により掻き上げられる潤滑油を捕捉して貯留し摩擦クラッチ機構38の少なくとも1部を浸漬可能とするオイルタンク13と、2輪駆動状態では、オイルタンク13の排出口13aを開口させ、4輪駆動状態では、排出口13aを閉止させる開閉装置と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】ハウジング9と、入力軸31と、リヤ出力軸32と、フロント出力軸33と、2駆・4駆切替機構と、摩擦クラッチ機構38と、回転連結機構と、潤滑油貯留部10と、摩擦クラッチ機構38を包囲し、且つ開閉可能な排出口13aを有して形成され、排出口13a閉止時には回転連結機構の回転体33aの回転により掻き上げられる潤滑油を捕捉して貯留し摩擦クラッチ機構38の少なくとも1部を浸漬可能とするオイルタンク13と、2輪駆動状態では、オイルタンク13の排出口13aを開口させ、4輪駆動状態では、排出口13aを閉止させる開閉装置と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、回転駆動力を前後輪に分配するトランスファに関する。
従来、2駆・4駆切替機能を備えたトランスファが広く知られている。例えば、特許文献1に記載のトランスファは、2輪駆動状態と4輪駆動状態との切替えを選択的に行なう切替え機構および差動制限機構を有している。切替え機構によって2輪駆動状態が選択されると、トランスファの入力軸に入力された回転駆動力は全て後輪出力軸を介して後輪に入力される。また4輪駆動状態が選択されると、トランスファの入力軸に入力された回転駆動力は前輪出力軸に連結される前輪にも分配される。このとき、前輪に分配される回転駆動力は車両の走行状態等に基づき差動制限機構によって調整可能となっている。差動制限機構は後輪側に設けられた第1摩擦要素と前輪側に設けられた第2摩擦要素とが交互に整列して形成された摩擦係合式のクラッチ装置であり、第1摩擦要素と第2摩擦要素との係合量をアクチュエータによって制御して前輪への分配量を調整している。特許文献1の従来技術では、第2摩擦要素はドライブスプロケットに連結され、ドライブスプロケットが前輪の出力軸に同軸に形成されるドリブンスプロケットにチェーンを介して回転連結されている。そして、ドリブンスプロケットの一部がハウジング内に設けられた油溜部の潤滑油に浸漬されている。これにより、車両走行中、2輪駆動状態においては、前輪の回転によって連れ回わされ、また4輪駆動状態においては回転駆動力が入力されてドリブンスプロケットおよびチェーンが回転される。そして、油溜部の潤滑油がドリブンスプロケットおよびチェーンの回転によって掻き上げられて上方に飛散し、ハウジング内の差動制限機構やその他各部に到達して潤滑および冷却が行なわれている。このように、従来技術においては2輪駆動状態、4輪駆動状態に関わらず、同様の潤滑および冷却を行なっている。
ところが、実際には、2輪駆動状態と4輪駆動状態とでは、潤滑および冷却を行ないたい部位が異なる。例えば、2輪駆動状態においては、差動制限機構の第1摩擦要素および第2摩擦要素は係合していない。このため、温度上昇はなく差動制限機構に対する潤滑および冷却の必要はない。逆に、4輪駆動状態においては、差動制限機構の第1摩擦要素および第2摩擦要素は係合し摩擦熱を発生させているので、潤滑油による積極的な冷却が必要となる。このため、2輪駆動状態、4輪駆動状態関わらずドリブンスプロケットおよびチェーンの回転によって跳ね上げた潤滑油の成り行きの飛散に任せて潤滑および冷却をおこなっている従来技術では、効率的に潤滑および冷却することが困難であった。また、潤滑および冷却するのに充分な量の潤滑油を跳ね上げによって例えば差動制限機構に到達させるために、油溜部に貯留する潤滑油量を所定量以上確保する必要があり、潤滑油のコストが増大してしまう。さらに、潤滑油を大量に掻き上げる必要がない2輪駆動状態時においても、ドリブンスプロケットおよびチェーンが油溜部に貯留された大量の潤滑油を撹拌するのでエネルギーロスとなり効率が悪い。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、2輪駆動状態および4輪駆動状態のそれぞれの場合に応じて、効率的に潤滑および冷却が可能なトランスファを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係るトランスファは、ハウジングと、前記ハウジング内で配設され回転駆動力が入力される入力軸と、前記ハウジング内で前記入力軸と回転連結可能に軸承され、車両の後輪に前記回転駆動力の一部を出力するリヤ出力軸と、前記ハウジング内で前記リヤ出力軸と平行に配設され、車両の前輪に前記回転駆動力の残部を出力可能なフロント出力軸と、前記入力軸と前記リヤ出力軸のみとの間で動力伝達系統が形成される2輪駆動状態と前記入力軸と前記リヤ出力軸およびフロント出力軸との間で動力伝達系統が形成される4輪駆動状態とを選択的に切り替える2駆・4駆切替機構と、前記リヤ出力軸に連結される第1摩擦要素と、前記フロント出力軸に連結される第2摩擦要素とを有し、前記第1摩擦要素と前記第2摩擦要素との間の摩擦力によって、前記フロント出力軸に出力する前記回転駆動力の残部の大きさを調整する摩擦クラッチ機構と、前記第2摩擦要素と前記フロント出力軸の間に介在し、前記第2摩擦要素の回転駆動力を前記フロント出力軸に同軸に設けられた回転体を介して前記フロント出力軸に伝達する回転連結機構と、前記ハウジング内に設けられ貯留する潤滑油を前記回転体の少なくとも1部に浸漬させる潤滑油貯留部と、前記摩擦クラッチ機構を包囲し、且つ開閉可能な排出口を有して形成され、前記排出口閉止時には前記回転体の回転により掻き上げられる前記潤滑油を捕捉して貯留し前記摩擦クラッチ機構の少なくとも1部を浸漬可能とするオイルタンクと、前記2輪駆動状態で前記オイルタンクの前記排出口を開口し、前記4輪駆動状態で前記排出口を閉止する開閉装置と、を備える。
請求項2に係るトランスファは、請求項1において、前記2駆・4駆切替機構は、前記入力軸軸線方向にスライドし第1位置に位置することによって、前記入力軸と前記リヤ出力軸のみとを連結して前記2輪駆動状態の動力伝達系統を形成し、スライドして第2位置に位置することによって、前記入力軸と前記リヤ出力軸および前記フロント出力軸とを連結して前記4輪駆動状態の動力伝達系統を形成するスリーブと、前記スリーブに係合するフォークと、前記フォークに連結され、前記スリーブをスライドさせて前記第1位置および前記第2位置に選択的に切替えるフォークシャフトと、を備え、前記開閉装置は、前記フォークシャフトに連結され、前記フォークシャフトが前記スリーブを前記第1位置に移動させたときに前記オイルタンクの排出口を開口し、前記フォークシャフトが前記スリーブを前記第2位置に移動させたときに、前記オイルタンクの排出口を閉止する開閉弁を備える。
請求項1に係る発明によれば、トランスファは、主に4輪駆動時において第1および第2摩擦要素が係合され発熱する摩擦クラッチ機構を包囲して形成されたオイルタンクを備えている。オイルタンクに形成された排出口は、開閉装置によって、主に2輪駆動状態で摩擦クラッチ機構の冷却が不要な場合には開口され、4輪駆動状態で冷却が必要な場合には閉止されるようになっている。排出口が閉止されているときには、回転連結機構の回転体の回転によって掻き上げられた潤滑油貯留部の潤滑油は、オイルタンクに捕捉され貯留される。また、排出口が開口されているときには、掻き上げられた潤滑油は、オイルタンクの排出口から排出され、オイルタンクには潤滑油が貯留されていない状態とされている。これにより、4輪駆動状態で冷却および潤滑が必要な場合には、オイルタンクに貯留された潤滑油によって摩擦クラッチ機構の冷却および潤滑が効率的に行える。また、例えば2輪駆動状態で冷却および潤滑が不要な場合には、潤滑油はオイルタンクから排出されている。このため、摩擦クラッチ機構が潤滑油を撹拌することを防止して伝達効率の悪化を抑制することができる。さらに、4輪駆動状態で冷却および潤滑が必要な場合は、冷却に必要な潤滑油量がオイルタンク内に簡易に確保されるので、従来技術のように潤滑油貯留部に大量の潤滑油を確保する必要がない。これにより、潤滑油貯留部に貯留すべき潤滑油の量を低減できるので、摩擦クラッチ機構の冷却が不要な場合においても、回転連結機構の回転体が潤滑油貯留部に貯留される大量の潤滑油を撹拌することを防止でき、伝達効率の悪化を抑制することができる。また、使用潤滑油の量が低減されるのでコスト低減を図ることができる。
請求項2に係る発明によれば、2駆・4駆切替機構が有するフォークシャフトに、オイルタンクの排出口を開閉する開閉装置の開閉弁が固定されている。そして車両を例えば摩擦クラッチ機構の冷却および潤滑が不要な2輪駆動状態とするため、フォークシャフトがスリーブを第1位置に移動させたときには、開閉弁はフォークシャフトの作動に連動してオイルタンクの排出口を開口させる。また、車両を摩擦クラッチ機構の冷却および潤滑が必要な場合を有した4輪駆動状態とするため、フォークシャフトがスリーブを第2位置に移動させたときには、開閉弁はフォークシャフトの作動に連動してオイルタンクの排出口を閉止させる。このように、2駆・4駆切替時に作動するフォークシャフトの作動に連動してオイルタンクの排出口の開閉を行なうので、開閉装置を部品点数が少ない簡易で低コストな構成とすることができる。
以下に、本発明の第1の実施形態に係るトランスファ30について図面を参照しつつ説明する。まず、トランスファ30が搭載される車両について説明する。図1に示すように、トランスファ30は、入力軸31、リヤ出力軸32およびフロント出力軸33を有している。入力軸31は、エンジン11に接続された変速機12(自動変速機又は手動変速機)の出力軸12aに接続されていて、変速機12を介してエンジン11の回転駆動力が入力される。リヤ出力軸32は、リヤ側デファレンシャル15を介して左右後輪と接続され、リヤ側デファレンシャル15を介して左右後輪に回転駆動力を出力する。フロント出力軸33は、フロント側デファレンシャル14を介して左右前輪と接続され、フロント側デファレンシャル14を介して左右前輪に回転駆動力を出力する。
次に、図2を参照して、トランスファ30の構造について説明する。図2に示すように、入力軸31とリヤ出力軸32とが、一直線上に(同軸に)トランスファ30のハウジング9に軸承され配設されている。フロント出力軸33は、リヤ出力軸32に対して平行にハウジング9に軸承され配設されている。リヤ出力軸32は、2輪駆動状態時に入力軸31に入力された回転駆動力の全部を出力し、4輪駆動状態時に入力軸31に入力された回転駆動力の一部を出力する。また、フロント出力軸33は、4輪駆動状態時に入力軸31に入力された回転駆動力の残部を出力する。
トランスファ30は、入力軸31からリヤ出力軸32方向に向かって順番に、副変速機34、センターデファレンシャル35、回転部材36および差動制限機構38(本発明の摩擦クラッチ機構に該当する)を備えている。
副変速機34は、本実施形態では、第1サンギヤ34a,第1プラネタリギヤ34b,第1キャリア34cおよび第1リングギヤ34dを備えたシングルピニオンプラネタリギヤ機構である。第1サンギヤ34aは、入力軸31に同軸で連結される円筒状の連結入力軸46に連結され、入力軸31および連結入力軸46と一体回転する。第1プラネタリギヤ34bは、第1サンギヤ34aの周囲に複数配設され、第1サンギヤ34aと噛合している。第1キャリア34cは、複数の第1プラネタリギヤ34bを回転可能(自転可能)に軸承している。第1リングギヤ34dは、リング状であり、その内側に形成された内側ギヤで第1プラネタリギヤ34bと噛合し、外周がトランスファ30のハウジング9に固定されている。
副変速機34は、第1キャリア34cに接続し第1キャリア34cと一体回転するロー側ピース34eおよび第1サンギヤ34aと連結入力軸46を介して接続し第1サンギヤ34aと一体回転するハイ側ピース34fを更に備えている。ロー側ピース34eの外周部にはロー側外スプライン34gが、形成されている。ハイ側ピース34fの外周部には、ロー側外スプライン34gと同一諸元(同一径および同一ピッチ)で形成されたハイ側外スプライン34hがロー側外スプライン34gと一定の隙間を有して形成され隣接している。
センターデファレンシャル35は、本実施形態では、第2サンギヤ35a、第2プラネタリギヤ35b、第2キャリア35cおよび第2リングギヤ35dを備えたシングルピニオンプラネタリギヤ機構であり、差動制限機能を有さないオープンデファレンシャルである。なお、センターデファレンシャルは、入力されるトルクの反力が所定値以上になると差動を制限する機能を有したトルク・センシングLSD(トルク感応型LSD)でもよい。
第2プラネタリギヤ35bは、第2サンギヤ35aの周囲に複数配設され、第2サンギヤ35aと噛合している。第2キャリア35cは、複数の第2プラネタリギヤ35bを回転可能(自転可能)に軸承している。第2リングギヤ35dは、リング状であり、その内側に形成された内側ギヤで第2プラネタリギヤ35bと噛合している。言い換えると、複数の第2プラネタリギヤ35bは、同軸に配設された第2リングギヤ35dおよび第2サンギヤ35a間に配設されて噛合されている。なお、第2リングギヤ35dは、リヤ出力軸32と接続し、リヤ出力軸32と一体回転する。また、センターデファレンシャル35は、第2サンギヤ35aと接続し、第2サンギヤ35aと一体回転する出力側ピース35fを更に備えている。
第2キャリア35cは、センターデファレンシャル35の外周で円筒状に形成されている。そして、第2キャリア35cの回転軸47が、リヤ出力軸32の外周に、入力軸31と同軸で相対回転可能(遊転可能)に軸承されている。
第2キャリア35cの円筒外周には、入力側外スプライン35gが形成されている。出力側ピース35fの外周には、入力側外スプライン35gと同一諸元(同一径および同一ピッチ)で出力側外スプライン35hが形成されている。出力側外スプライン35hは、入力側外スプライン35gに隣接して形成されている。
また、トランスファ30は、第1スリーブ41,第2スリーブ42(本発明のスリーブに該当する),第1シフトフォーク43,第2シフトフォーク44(本発明のフォークに該当する),第1フォークシャフト49,第2フォークシャフト51(本発明のフォークシャフトに該当する),シフトアクチュエータ45を備えている。
第1スリーブ41は、円筒形状であり、その円筒内周部には、ロー側外スプライン34gまたはハイ側外スプライン34hと噛合し連結する第1内スプライン41aおよび入力側外スプライン35gと常時噛合し連結する第2内スプライン41bが同一諸元(同一径および同一ピッチ)で形成されている。
第1スリーブ41の外周には、環状溝41dが刻設されており、第1シフトフォーク43が嵌合されている。そして、第1シフトフォーク43には第1フォークシャフト49が連結されている。第1フォークシャフト49はシフトアクチュエータ45の作動によって、第1フォークシャフト49を入力軸軸線方向に作動させ、第1シフトフォーク43を介して第1スリーブ41をスライドさせる。
第1内スプライン41aと第2内スプライン41bとの間は所定の間隔を有している。当該所定の間隔を有する部分では、各内スプライン41a、41bが形成されている部分よりも内径が大きく、ロー側外スプライン34g、ハイ側外スプライン34hおよび入力側外スプライン35gのいずれにも噛合しない逃げ部41cが形成されている。
なお、上述した第1内スプライン41aと第2内スプライン41bとの間の所定の間隔とは、第1スリーブ41が、リヤ出力軸32方向に移動したときに、第1スリーブ41の第1内スプライン41aがロー側ピース34eおよびハイ側ピース34fのいずれの外スプライン34g、34hとも噛合しない状態、つまり、ニュートラル状態(図4(C)参照)が設定可能な間隔をいう。
つまり、入力軸31の軸線方向において、第1内スプライン41aが、ロー側外スプライン34gとハイ側外スプライン34hとの間に配置され、第1スリーブ41の逃げ部41cの幅の中にハイ側外スプライン34hが配置され、かつ第2内スプライン41bが第2キャリア35cの円筒外周に形成された入力側外スプライン35gと噛合する状態を設定可能な間隔をいう。
これによって、第1スリーブ41は、副変速機34のロー側ピース34eまたはハイ側ピース34fと、センターデファレンシャル35の第2キャリア35cとの接続状態およびニュートラル状態を選択的に切替える。ただし、この態様に限らず、逃げ部41cを設けず、第1スリーブ41の第1内スプライン41aがロー側ピース34eおよびハイ側ピース34fのいずれかの外スプライン34g、34hと常に噛合するよう構成してもよい。
第2スリーブ42は、円筒形状であり、その内周部には、入力側外スプライン35g、出力側外スプライン35hおよび接続外スプライン36cのいずれか2以上と噛合する第3内スプライン42aが形成されている。第2スリーブ42は、入力軸31の軸線方向に移動可能となっている。第2スリーブ42の外周には、環状溝42bが刻設されており、第2シフトフォーク44が嵌合されている。そして、第2シフトフォーク44には第2フォークシャフト51が連結されている。第2フォークシャフト51はシフトアクチュエータ45の作動によって、入力軸31の軸線方向に作動され、第2シフトフォーク44を介して第2スリーブ42をスライドさせる。
詳細は後述するが、第2スリーブ42は、第3内スプライン42aと入力側外スプライン35gおよび出力側外スプライン35hとを噛合させて連結することにより、2輪駆動状態の動力伝達系統を形成する。そして、このときの、第2スリーブ42の位置を、本発明に係る第1位置P1と称す。ただし、このとき、リヤ出力軸32に回転駆動力を伝達するためには、第1スリーブ41が、副変速機34のロー側ピース34eまたはハイ側ピース34fと、センターデファレンシャル35の第2キャリア35cとを接続することが必要である。
第1位置P1において、後述する差動制限機構38では、リヤ出力軸32に接続される第1摩擦要素38aが、サンギヤ35aに接続される第2摩擦要素38bに係合されることなく同一回転数で回転される。これにより、第1位置P1では、第1摩擦要素38aと第2摩擦要素38bとの間に摩擦熱の発生はなく、差動制限機構38の冷却および潤滑が不要である。
上記と同様に、詳細は後述するが、第2スリーブ42は、第3内スプライン42aと出力側外スプライン35hおよび接続外スプライン36cとを噛合させて連結することにより、4輪駆動状態の動力伝達系統を形成する。そして、このときの、第2スリーブ42の位置を本発明に係る第2位置P2と称す。ただし、このときにも、リヤ出力軸32およびフロント出力軸33に回転駆動力を伝達するためには、第1スリーブ41が、副変速機34のロー側ピース34eまたはハイ側ピース34fと、センターデファレンシャル35の第2キャリア35cとを接続することが必要である。
第2位置P2において、後述する差動制限機構38では、リヤ出力軸32に接続される第1摩擦要素38aが、サンギヤ35aに接続される第2摩擦要素38bに所定量だけ係合されて回転される。これにより、第2位置P2では、第1摩擦要素38aと第2摩擦要素38bとの間に摩擦熱が発生するので、差動制限機構38の冷却および潤滑が必要である。
このように、第2スリーブ42,入力側外スプライン35g,出力側外スプライン35hおよび接続外スプライン36cによって2駆・4駆の切替えが可能な2駆・4駆切替機構が構成される。
差動制限機構38は、リヤ出力軸32と一体回転し、リヤ出力軸32の回転が伝達される前述した第1摩擦要素38aおよびサンギヤ35aと一体回転し、第1摩擦要素38aと離接可能に相対向する前述した第2摩擦要素38bを有している。なお、第2摩擦要素38bとサンギヤ35aとは、リヤ出力軸32の周囲に配設された円筒形状の連結部材39によって連結(接続)されていて、サンギヤ35aの回転が伝達される。連結部材39は、リヤ出力軸32に遊転可能に軸承されている。なお、本実施形態では、差動制限機構38は、複数の第1摩擦要素38aと複数の第2摩擦要素38bとが交互に配設されている湿式多板クラッチである。
第1摩擦要素38aと第2摩擦要素38bとは、アクチュエータ48の駆動によって圧着又は離間されることにより、第1摩擦要素38aと第2摩擦要素38bとの間の摩擦力が可変とされ、第1摩擦要素38aと第2摩擦要素38bとの間のトルク伝達率が可変とされる。これによって、入力軸31から入力された回転駆動力の一部がリヤ出力軸32に出力され、残部がフロント出力軸33に出力される。なお、アクチュエータ48は、電動式や油圧式が含まれ、車両の走行状態(リヤ出力軸32とフロント出力軸33の差動)に応じて、ECU20によって制御される。このように、差動制限機構38は、電子制御式である。
図2,図3に示すように、差動制限機構38の周囲には、ハウジング9に固定され、差動制限機構38を包囲して形成されるオイルタンク13が設けられている(ハウジング9への固定部は不図示)。図3に示すように、オイルタンク13は重力方向上方(図3の上方と一致)が開口されている半円筒形状を呈している。オイルタンク13内の重力方向下方には、開口したときに、オイルタンク13内に貯留する潤滑油が重力によって良好に排出される内径を有した排出口13aが設けられている。
排出口13aの開閉制御は、第2フォークシャフト51に固定され第2フォークシャフト51の作動に連動する開閉装置が有する開閉弁16によって行なわれる。つまり、第2フォークシャフト51が差動制限機構38の冷却および潤滑が不要な2輪駆動状態を成立させる第1位置P1に位置する場合に、第2フォークシャフト51に固定される開閉弁16は、排出口13aを塞がず開口させている。なお、本実施形態において、開閉装置は、シフトアクチュエータ45,第2フォークシャフト51および開閉弁16によって構成されている。排出口13aが開口すると、オイルタンク13内に貯留される潤滑油は、排出口13aから排出され、ハウジング9の重力方向下方に形成された潤滑油貯留部10(図2下方参照)に貯留される。
また、第2フォークシャフト51が差動制限機構38の冷却および潤滑が必要となる4輪駆動状態を成立させるよう第2位置P2に移動した場合に、第2フォークシャフト51に固定される開閉弁16が閉弁して排出口13aを閉止する(図5(C)参照)。
詳細は後述するが、図2に示す第2スプロケット33aおよび第2スプロケット33aに巻回されるチェーン37が回転すると、潤滑油貯留部10に貯留される潤滑油が掻き上げられる。このとき、上述したように排出口13aが閉止していると、飛散した潤滑油が上方に開口されたオイルタンク13の開口部から捕捉され、オイルタンク13内に貯留される。この場合、少なくとも差動制限機構38の一部が浸漬されるだけの潤滑油量が貯留されるよう初期に潤滑油貯留部10に投入される潤滑油量が設定されている。オイルタンク13内に貯留するべき潤滑油の必要量は、事前の実験によって求められる。
回転部材36は、センターデファレンシャル35と差動制限機構38との間および連結部材39(およびリヤ出力軸32)の周囲で、連結部材39に遊転可能に軸承されている。言い換えると、リヤ出力軸32、連結部材39および回転部材36は、同軸で互いに相対回転可能に配設されている。回転部材36には、第1スプロケット36aと、出力側ピース35fに隣接する接続ピース36bが、リヤ出力軸32の軸方向に並列して形成されている。
接続ピース36bの外周には、入力側外スプライン35gおよび出力側外スプライン35hと同一諸元(同一径および同一ピッチ)で接続外スプライン36cが形成されている。フロント出力軸33の末端には、前述した第2スプロケット33a(本発明の回転体に該当する)が接続されている。第1スプロケット36aおよび第2スプロケット33aには、チェーン37が巻回されている。
このように、第1スプロケット36a、第2スプロケット33aおよびチェーン37によって回転連結機構が構成されている。これにより、回転部材36は、フロント出力軸33に回転接続される。なお、回転部材36には、出力側ピース35fと第1スプロケット36aの回転を同期させるための例えばシンクロナイザリングによる同期機構(不図示)が設けられている。ただし、シンクロナイザリングはなくてもよい。
また、図2,図3に示すように、第2スプロケット33aおよび第2スプロケット33aに巻回されるチェーン37は、ハウジング9の重力方向下方に形成された潤滑油貯留部10に貯留された潤滑油に一部が浸漬されている。前述したように、2輪駆動状態においては、オイルタンク13の排出口13aが開口される。このため、第2スプロケット33aおよびチェーン37が掻き上げた潤滑油は、オイルタンク13内およびトランスファ30のハウジング内を循環して全て潤滑油貯留部10に環流する。そのため、第2スプロケット33aおよびチェーン37に浸漬する潤滑油の量は多いものとなる(図3の油面高さh1参照)。
しかし、第2位置P2で形成される4輪駆動状態においては、開閉装置の開閉弁16の作用によってオイルタンク13の排出口13aが閉止されるので、オイルタンク13内に、掻き上げられた潤滑油の一部が貯留される。このため、潤滑油貯留部10に貯留される潤滑油の量は減少し、第2スプロケット33aおよびチェーン37に浸漬する潤滑油の量は少なくなる(図3の油面高さh2参照)。また、オイルタンク13内の潤滑油の量は増加する(図3の油面高さh3参照)。
このとき、図3の油面高さh1よりも、比較のために図3中に載せた従来技術における油面高さh4の方が高くなっている。つまり、従来技術では、2輪駆動状態および4輪駆動状態の区別なくドリブンスプロケット(本発明の第2スプロケット33aに相当する)およびチェーン(本発明のチェーン37に相当する)の回転によって掻き上げた潤滑油の成り行きの飛散に任せて差動制限機構(本発明の差動制限機構38に相当する)等の潤滑および冷却をおこなっていた。
これにより、効果的に差動制限機構を潤滑および冷却するためには、油溜部に貯留する潤滑油の量を所定量以上確保する必要があり、潤滑油の貯留量は多くなっていた。しかし、本発明における第2位置P2で形成される4輪駆動状態時には、オイルタンク13に潤滑油を貯留させて、効果的に差動制限機構38を潤滑および冷却するので、潤滑油貯留部10に確保する潤滑油の量は従来技術よりも少なくてもよい。h4は、そのような状態を示しているものである。
ECU20(Electronic Control Unit)は、アクチュエータ48およびシフトアクチュエータ45と通信可能に接続され、アクチュエータ48およびシフトアクチュエータ45を制御する。
次に、上述したトランスファ30の作動について、図4〜図5を用いて説明する。図4の(A)に示すように、第1スリーブ41の第1内スプライン41aが、ロー側外スプライン34gに噛合している第1スリーブ41の位置を「ローシフト位置」と称す。第1スリーブ41が「ローシフト位置」にある状態では、ロー側ピース34eおよび第2キャリア35cが第1スリーブ41によって接続されて一体回転する。入力軸31に入力される回転駆動力は、副変速機34によって減速されトルクが増大された後、ロー側ピース34eから第2キャリア35cに伝達(出力)される。
図4の(B)に示すように、第1スリーブ41の第1内スプライン41aが、ハイ側外スプライン34hに噛合している第1スリーブ41の位置を「ハイシフト位置」と称す。第1スリーブ41が、「ハイシフト位置」にある状態では、ハイ側ピース34fおよび第2キャリア35cが第1スリーブ41によって接続されて一体回転する。そして、入力軸31に入力される回転駆動力は、副変速機34で減速されることなく、入力軸31の回転数と同一回転で(等速で)、ハイ側ピース34fから第2キャリア35cに伝達(出力)される。
前述したように、図4の(C)に示すように、第1スリーブ41の第1内スプライン41aが、リヤ出力軸32方向において、ロー側外スプライン34gとハイ側外スプライン34hとの間に配置され、第1スリーブ41の逃げ部41cの幅の中にハイ側外スプライン34hが配置された第1スリーブ41の位置を「ニュートラル位置」と称す。第1スリーブ41が、「ニュートラル位置」にある状態では、入力軸31に入力される回転駆動力は、第2キャリア35cに伝達(出力)されない。
図5の(A)に示すように、第2スリーブ42の第3内スプライン42aが、入力側外スプライン35gと出力側外スプライン35hとに噛合している第2スリーブ42の位置を「2輪駆動モード位置」と称す。また、このときの第2スリーブ42および、第2フォークシャフト51の位置を第1位置P1とも称す。第2スリーブ42が「2輪駆動モード位置(第1位置P1)」に位置している状態では、第2キャリア35cおよび出力側ピース35fが、第2スリーブ42によって接続されてセンターデファレンシャル35が「デフロック状態」となる。この状態では、センターデファレンシャル35が、一体回転するので、入力軸31に入力される回転駆動力は、センターデファレンシャル35を介して、リヤ出力軸32に伝達される。
一方で、出力側ピース35fと回転部材36とは、第2スリーブ42によって接続されていないので、入力軸31に入力される回転駆動力が、回転部材36に伝達されない。これにより、フロント出力軸33に上記回転駆動力が伝達されず、車両は後輪を駆動させる「2輪駆動」で走行する。このような状態においては、前述したように、差動制限機構38の第1摩擦要素38aおよび第2摩擦要素38bは、同じ回転数で回転するので、摩擦熱が発生することはなく、差動制限機構38に対する潤滑および冷却の必要はない。
第1位置P1においては、第2スリーブ42を作動させる第1フォークシャフト51に連結される開閉装置の開閉弁16は、オイルタンク13の排出口13aを開口させている(図5(A)参照)。これにより、車両走行中には前輪の回転によって連れ回される、第2スプロケット33aおよびチェーン37が、潤滑油貯留部10内に貯留される潤滑油を掻き上げても、上方の開口を介してオイルタンク13内に流入した潤滑油は排出口13aから全量が排出され、再度、潤滑油貯留部10に環流されていく。これにより、潤滑および冷却の必要がない差動制限機構38の第1摩擦要素38aおよび第2摩擦要素38bは、オイルタンク13内で潤滑油を撹拌しなくてもよいので、撹拌抵抗を受けずに効率的に回転できる。
図5の(B)に示すように、第2スリーブ42の第3内スプライン42aが、入力側外スプライン35g、出力側外スプライン35hおよび接続外スプライン36cに噛合している第2スリーブ42の位置を「4輪駆動デフロックモード位置」と称す。第2スリーブ42が「4輪駆動デフロックモード位置」に位置している状態では、第2キャリア35c、出力側ピース35fおよび回転部材36が、第2スリーブ42によって接続されて一体回転する。
これにより、入力軸31に入力される回転駆動力が、センターデファレンシャル35を介してリヤ出力軸32に伝達されるとともに、回転部材36の第1スプロケット36a、チェーン37および第2スプロケット33aを介してフロント出力軸33に出力される。また、第2キャリア35cおよび出力側ピース35fが一体回転するので、第2リングギヤ35dと第2サンギヤ35aとの間に回転差が生じなく、センターデファレンシャル35が「デフロック状態」となっている。
つまり、差動制限機構38の第1摩擦要素38aおよび第2摩擦要素38bは、2輪駆動状態時と同様に、同じ回転数で回転しているので、摩擦熱が発生することはなく、差動制限機構38に対する潤滑および冷却の必要はない。このため、このように、第1スリーブ41がローシフト位置またはハイシフト位置にあり、第2スリーブ42が「4輪駆動デフロックモード位置」に位置する場合においても、第2スリーブ42が第1位置P1に位置しているときと同様に、第1フォークシャフト51に連結される開閉弁16はオイルタンク13の排出口13aを開口させるよう設定しておく(図5(B)参照)。
更に、図5の(C)に示すように、第2スリーブ42の第3内スプライン42aが、出力側外スプライン35h(出力側ピース35f)と接続外スプライン36c(回転部材36)とに噛合している第2スリーブ42の位置を、「4輪駆動デフフリーモード位置」と称す。また、このときの第2スリーブ42および、第2フォークシャフト51の位置を第2位置P2とも称す。第2スリーブ42が「4輪駆動デフフリーモード位置(第2位置P2)」に位置している状態では、第2キャリア35cと出力側ピース35fとが接続されておらず相対回転可能であるので、センターデファレンシャル35が差動機能を発揮する「デフフリー状態」となる。
この状態で、車輪にスリップ等なく差動機能を発揮しない非差動状態においては、第2キャリア35cに入力軸31からの回転駆動力が入力されて第2キャリア35cが回転すると、第2プラネタリギヤ35bは自転せず、公転のみする。そして、第2プラネタリギヤ35bに噛合する第2リングギヤ35dおよび第2サンギヤ35aが非差動状態で回転する。また、例えば、いずれかの車輪がスリップした等によってリヤ出力軸32およびフロント出力軸33のトルク配分バランスが崩れたときに、回転駆動力が入力された第2キャリア35cが回転すると、第2プラネタリギヤ35bが公転しつつ自転する。そして、第2プラネタリギヤ35bに噛合する第2リングギヤ35dおよび第2サンギヤ35aがそれぞれ差動状態で回転する。
このようにして、第2キャリア35cに入力された回転駆動力の一部(リヤ出力軸32およびフロント出力軸33へのトルク配分比が等分に設定された場合においては、入力された回転駆動力の半分)は、第2リングギヤ35dからリヤ出力軸32に出力される。そして、出力側ピース35fおよび回転部材36が、第2スリーブ42によって接続されて一体回転するので、第2キャリア35cに入力された回転駆動力の残部は、第2サンギヤ35a,出力側ピース35f,第2スリーブ42,回転部材36の第1スプロケット36a,チェーン37および第2スプロケット33aの順に伝達し、フロント出力軸33に出力される。
第2スリーブ42が第2位置P2に位置しているときには、上述のとおり、センターデファレンシャル35によって、入力軸31に入力される回転駆動力が、前後輪に分配されるとともに、前後輪の回転差(差動)が吸収される。そして、前後輪の何れかがスリップした場合も含む、前後輪に分配されるトルクバランスが崩れた任意のタイミングにおいて、ECU20からアクチュエータ48に、第1摩擦要素38aと第2摩擦要素38bの係合力を上げてセンターデファレンシャル35による差動を制限する指令が出力され、センターデファレンシャル35での差動が制限される。このため、差動制限機構38の第1摩擦要素38aおよび第2摩擦要素38bは、係合される頻度が増える。そして、係合された場合には摩擦熱が生じ昇温するので、差動制限機構38に対する潤滑および冷却を行なう必要がある。
図5(C)に示すように、第2位置P2においては、第2フォークシャフト51に連結される開閉装置の開閉弁16が、第2フォークシャフト51の作動に連動してオイルタンク13の排出口13aを閉止させている。これにより、前輪に分配された回転駆動力によって回転される第2スプロケット33aおよびチェーン37が掻き上げた潤滑油貯留部10内の潤滑油が、トランスファ30内に飛散されるとともに、上方が開口されたオイルタンク13内に流入していき貯留される。これにより差動制限機構38の第1摩擦要素38aおよび第2摩擦要素38bを良好に潤滑および冷却することができる。
上述した説明から明らかなように、第1の実施形態のトランスファ30は、主に4輪駆動時において第1および第2摩擦要素38a、38bが係合され発熱する差動制限機構38(摩擦クラッチ機構)を包囲して形成されたオイルタンク13を備えている。オイルタンク13に形成された排出口13aは、開閉装置によって、主に2輪駆動状態で差動制限機構38の冷却が不要な場合には開口され、4輪駆動状態で冷却が必要な場合には閉止されるようになっている。
排出口13aが閉止されているときには、回転連結機構の第2スプロケット33a(回転体)の回転によって掻き上げられた潤滑油貯留部10の潤滑油は、オイルタンク13に捕捉され貯留される。また、排出口13aが開口されているときには、掻き上げられた潤滑油は、オイルタンク13の排出口13aから排出され、オイルタンク13には潤滑油が貯留されていない空の状態とされている。
これにより、4輪駆動状態で冷却および潤滑が必要な場合には、オイルタンク13に貯留された潤滑油によって差動制限機構38の冷却および潤滑が効率的に行える。また、例えば2輪駆動状態で冷却および潤滑が不要な場合には、潤滑油はオイルタンク13から排出されている。このため、差動制限機構38が潤滑油を撹拌することを防止して伝達効率の悪化を抑制することができる。
さらに、4輪駆動状態で冷却および潤滑が必要な場合は、冷却に必要な潤滑油の量がオイルタンク13内に簡易に確保されるので、従来技術のように潤滑油貯留部10に大量の潤滑油を確保する必要がない。これにより、潤滑油貯留部10に貯留すべき潤滑油の量を低減できるので、差動制限機構38の冷却が不要な場合においても、回転連結機構の第2スプロケット33a(回転体)が潤滑油貯留部10に貯留される大量の潤滑油を撹拌することを防止でき、伝達効率の悪化を抑制することができる。また、使用潤滑油の量が低減されるのでコスト低減を図ることができる。
また、本実施形態によれば、2駆・4駆を切替えるための第2フォークシャフト51(フォークシャフト)に、オイルタンク13の排出口13aを開閉する開閉装置の開閉弁16が固定されている。そして車両を例えば差動制限機構38の冷却および潤滑が不要な2輪駆動状態とするため、第2フォークシャフト51がスリーブ42(スリーブ)を第1位置P1に移動させたときには、開閉弁16は第2フォークシャフト51の作動に連動してオイルタンク13の排出口13aを開口させる。
また、車両を、差動制限機構38の冷却および潤滑が必要な場合を有した4輪駆動状態とするため、第2フォークシャフト51がスリーブ42を第2位置P2に移動させたときには、開閉弁16は第2フォークシャフト51の作動に連動してオイルタンク13の排出口13aを閉止させる。このように、2駆・4駆切替時に作動する第2フォークシャフト51の作動に連動してオイルタンク13の排出口13aの開閉を行なうので、開閉装置を部品点数が少ない簡易で低コストな構成とすることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係るトランスファ60について図面6を参照しつつ説明する。トランスファ60は、第1の実施形態のトランスファ30に対して、センターデファレンシャル35が廃止されている。また、センターデファレンシャル35が廃止されたことによって変更される一部が変更されている。これにより、トランスファ60においては、第1の実施形態に対する変更点について、主に説明し、その他の同様部分については説明を省略する。また、第1の実施形態と同様の部品には、同じ符号を付して説明するものとする。
トランスファ60は、リヤ出力軸32に直接連結されるハブ61を有している。ハブ61の外周には、2駆と4駆を切替えるためのスリーブ62と噛合されるハブ外スプライン61aが形成されている。
また、トランスファ60は、リヤ出力軸32の外周でリヤ出力軸32に遊転可能に軸承される中間フロント出力軸63を有している。中間フロント出力軸63は、出力軸ピース64を有し、出力軸ピース64の外周にはスリーブ62の内スプライン62aと噛合可能な出力軸ピース外スプライン64aが形成されている。
このように構成されるトランスファ60において、スリーブ62を第1位置P1(図6中の実線)に位置させると、2輪駆動状態の動力伝達系統が形成される。また、スリーブ62を第2位置P2(2点鎖線)に位置させると、4輪駆動状態の動力伝達系統が形成され、中間フロント出力軸63は、リヤ出力軸32と一体回転する。このとき、副変速機34のロー側外スプライン34gまたはハイ側外スプライン34hとハブ外スプライン61aとの切替え選択は、第1の実施形態と同様にスリーブ72を軸線方向に作動させて行なう。切替え方法の詳細な説明については省略する。
なお、スリーブ62の第1位置P1および第2位置P2をそれぞれ示す実線及び2点鎖線は、見やすくするために入力軸31の半径方向に若干ずらして記してあり、ずらして記すことに他の意図はない。このように、スリーブ62,ハブ外スプライン61aおよび出力軸ピース外スプライン64aによって2駆・4駆切替機構が構成される。
中間フロント出力軸63とフロント出力軸33との間には、差動制限機構65(本発明の摩擦クラッチ機構に該当する)が設けられている。中間フロント出力軸63は、スリーブ62が第2位置P2に位置するとリヤ出力軸32と一体回転し、その外周に第1摩擦要素65aが嵌合されている。
また、回転連結機構を構成する第1スプロケット36aに連結される外周部材65cに第2摩擦要素65bが嵌合されている。このため、例えば中間フロント出力軸63が回転しても、第1および第2摩擦要素65a、65bが係合されない状態では、フロント出力軸33に回転駆動力は伝達されない。よって、このときには、第1および第2摩擦要素65a、65bに摩擦熱は発生せず、冷却および潤滑は必要ない。しかし、第1および第2摩擦要素65a、65bが係合制御されると、係合量に応じた回転駆動力が回転連結機構を介してフロント出力軸33に伝達され4輪駆動状態となる。これにより、第1および第2摩擦要素65a、65bに摩擦熱が発生するので、差動制限機構65に対し、冷却および潤滑が必要となる。
スリーブ62は、フォーク66およびフォークシャフト67を介してシフトアクチュエータ68の作動によって作動される。フォークシャフト67には、差動制限機構65を包囲して形成されるオイルタンク13の排出口13aを開閉する開閉装置の開閉弁69が固定されている。フォークシャフト67がスリーブ62を第1位置P1(実線)に位置するようシフトアクチュエータ68を作動させると、フォークシャフト67に固定される開閉弁69は排出口13aを塞がず開口させる。また、フォークシャフト67がスリーブ62を第2位置P2(2点鎖線)に位置するようシフトアクチュエータ68を作動させると、フォークシャフト67に固定される開閉弁69は排出口13aを塞いで閉止させる。
このように、構成されるので、トランスファ60は、スリーブ62が第2位置P2(2点鎖線)に位置され、差動制限機構65が作動されて4輪駆動状態が形成され、第1および第2摩擦要素65a、65bが発熱した場合には、貯留されたオイルタンク13内の潤滑油によって効率的に冷却および潤滑がされる。また、差動制限機構65(摩擦クラッチ機構)の冷却および潤滑が必要ない2輪駆動時には、潤滑油はオイルタンク13の排出口13aから排出される。これにより、第1および第2摩擦要素65a、65bが係合しない状態で第2摩擦要素65bのみが回転していても、第2摩擦要素65bがムダにオイルタンク13内の潤滑油を撹拌して効率を悪化させることがない。その他についても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、別の実施形態として、2駆・4駆切替機構を、電子制御式カップリング(摩擦クラッチ機構)とし、2駆・4駆の切替えを電子制御式カップリングの係合のみによって行なうオンデマンド式のトランスファとしてもよい。例えば、図6に示す第2の実施形態のトランスファ60に対して、差動制限機構65を電子制御式カップリングとする。そして、ロー側外スプライン34gまたはハイ側外スプライン34h,ハブ外スプライン61aおよび出力軸ピース外スプライン64aを常時連結することにより、常に4輪駆動状態の動力伝達系統を形成できるよう準備しておく。このような状態において、車両の走行状態等に応じECUが電子制御式カップリングを係合制御して、2駆と4駆との切替え制御を行なう。
電子制御式カップリングでは、後輪および前輪に伝達される回転駆動力の割合いを、電子制御式カップリングの係合量を調整することによって、例えば100:0から50:50までリニアに変更可能としている。100:0の場合が2輪駆動状態であり、それ以外が4輪駆動状態である。なお、本実施形態においても2輪駆動時の駆動輪は後輪であるものとする。リヤ出力軸とフロント出力軸との間では、例えば第2の実施形態のトランスファ60と同様に、第1スプロケット36a、チェーン37および第2スプロケット33aによって構成される回転連結機構によって回転駆動力が伝達されるものとする。
そして、排出口13aを有し、電子制御式カップリング(摩擦クラッチ機構)を包囲するように形成したオイルタンク13を設け、ECU20の制御によって回転駆動力の割合いを100:0、即ち2輪駆動状態とする場合にオイルタンク13の排出口13aを開口させるよう電磁式の開閉弁を制御する。また、制御割合いが100:0を越えた状態から50:50の間の4輪駆動状態に相当する制御を行なう場合に、電磁式開閉弁を閉弁してオイルタンクに潤滑油を貯留する。これによって、第1および第2の実施形態と同様に効率的に電子制御式カップリングの潤滑および冷却ができる。なお、このとき、ECU20と電磁式の開閉弁とによって開閉装置が構成されている。
このように、別の実施形態に示すトランスファは、摩擦クラッチ機構(電子制御式カップリング)の作動のみによって2駆・4駆の切替えがおこなわれるオンデマンド式のトランスファであるので、4輪駆動状態時における摩擦クラッチ機構での発熱量はオンデマンド式以外のシステムと比較して大きくなる。これにより、摩擦クラッチ機構の冷却や潤滑を効率的に行える本発明の適用によって効果は大きなものとなる。なお、別の実施形態で説明した上記のシステムは一例である。例えば、フロント出力軸に連結される回転体によって潤滑油が掻き上げられ、掻き上げられた潤滑油が電子制御式カップリング(摩擦クラッチ機構)を包囲するように設けられたオイルタンクに貯留できる構成であれば、オンデマンドの方式はどのようなものでもよい。
なお、本実施形態においては、副変速機34を設けたシステムとしたが、この態様には限らない。つまり、減速機構は設けずに、例えば、入力軸31の回転数と同回転数で出力する、ハイ側外スプライン34hに相当する部分のみを有する構成としてもよい。また、入力軸31とリヤ出力軸32とを直結するものでもよい。これらによっても充分な効果が得られる。
また、以上説明した第1の実施形態においては、センターデファレンシャル35は、シングルピニオンプラネタリギヤ機構であるが、これに限定されず、周知のダブルピニオンプラネタリギヤ機構や、こちらも周知のベベルギヤ機構を用いた構造のものであってもよい。
また、以上説明した実施形態では、回転駆動力を第1スプロケット36a、チェーン37および第2スプロケット33aを介してフロント出力軸33に伝達させている。しかしこの態様に限らず、第1スプロケット36aおよび第2スプロケット33aを第1および第2ギヤに変更し、少なくとも当該2つのギヤを有するギヤ群の噛合によってフロント出力軸33に回転駆動力を伝達させてもよい。このとき、第2スプロケット33aから変更した第2ギヤは本発明の回転体に該当し、第2ギヤの回転によって潤滑油が掻き上げられる。
また、以上説明した第1,第2の実施形態においては、開閉装置をシフトアクチュエータ45,フォークシャフト51およびフォークシャフト51に連結した開閉弁16とし、フォークシャフト51の作動に連動して開閉弁16が開閉作動するようにした。しかし、これに限らず、開閉装置をECUおよび電磁開閉弁とし、2駆・4駆の切替え時に、ECUの制御によって排出口13aの開閉制御を行なってもよい。
また、以上説明した第1および第2の実施形態では、差動制限機構38は、湿式多板クラッチを用いたものであるが、乾式単式クラッチを用いたものであってもよい。さらに、差動制限機構38は、アクチュエータ48の駆動によって、第1摩擦要素38aと第2摩擦要素38bとの間の摩擦力を制御して、トルク伝達率を調節した。しかし、この態様に限らず、差動制限機構は、アクチュエータ48を用いずに第1摩擦要素38aと第2摩擦要素38bとの間の摩擦力を変更可能な、例えば、ビスカスカップリング等によるものでもよい。
9…ハウジング、 13…オイルタンク、 13a…排出口、 16,69…開閉弁、 30,60…トランスファ、 31…入力軸、 32…リヤ出力軸、 33…フロント出力軸、 34…副変速機、 35…センターデファレンシャル、 37…チェーン、 38,65…摩擦クラッチ機構(作動制限機構)、 41…スリーブ(第1スリーブ)、 42…スリーブ(第2スリーブ)、 43…シフトフォーク(第1シフトフォーク)、 44…シフトフォーク(第2シフトフォーク)、 45…シフトアクチュエータ、 48…アクチュエータ、 49…フォークシャフト(第1フォークシャフト)、 51…フォークシャフト(第2フォークシャフト)、 66…フォーク、 67…フォークシャフト。
Claims (2)
- ハウジングと、
前記ハウジング内で配設され回転駆動力が入力される入力軸と、
前記ハウジング内で前記入力軸と回転連結可能に軸承され、車両の後輪に前記回転駆動力の一部を出力するリヤ出力軸と、
前記ハウジング内で前記リヤ出力軸と平行に配設され、車両の前輪に前記回転駆動力の残部を出力可能なフロント出力軸と、
前記入力軸と前記リヤ出力軸のみとの間で動力伝達系統が形成される2輪駆動状態と前記入力軸と前記リヤ出力軸およびフロント出力軸との間で動力伝達系統が形成される4輪駆動状態とを選択的に切り替える2駆・4駆切替機構と、
前記リヤ出力軸に連結される第1摩擦要素と、前記フロント出力軸に連結される第2摩擦要素とを有し、前記第1摩擦要素と前記第2摩擦要素との間の摩擦力によって、前記フロント出力軸に出力する前記回転駆動力の残部の大きさを調整する摩擦クラッチ機構と、
前記第2摩擦要素と前記フロント出力軸の間に介在し、前記第2摩擦要素の回転駆動力を前記フロント出力軸に同軸に設けられた回転体を介して前記フロント出力軸に伝達する回転連結機構と、
前記ハウジング内に設けられ貯留する潤滑油を前記回転体の少なくとも1部に浸漬させる潤滑油貯留部と、
前記摩擦クラッチ機構を包囲し、且つ開閉可能な排出口を有して形成され、前記排出口閉止時には前記回転体の回転により掻き上げられる前記潤滑油を捕捉して貯留し前記摩擦クラッチ機構の少なくとも1部を浸漬可能とするオイルタンクと、
前記2輪駆動状態で前記オイルタンクの前記排出口を開口させ、前記4輪駆動状態で前記排出口を閉止させる開閉装置と、
を備えるトランスファ。 - 請求項1において、
前記2駆・4駆切替機構は、
前記入力軸軸線方向にスライドし第1位置に位置することによって、前記入力軸と前記リヤ出力軸のみとを連結して前記2輪駆動状態の動力伝達系統を形成し、スライドして第2位置に位置することによって、前記入力軸と前記リヤ出力軸および前記フロント出力軸とを連結して前記4輪駆動状態の動力伝達系統を形成するスリーブと、
前記スリーブに係合するフォークと、
前記フォークに連結され、前記スリーブをスライドさせて前記第1位置および前記第2位置に選択的に切替えるフォークシャフトと、
を備え、
前記開閉装置は、前記フォークシャフトに連結され、前記フォークシャフトが前記スリーブを前記第1位置に移動させたときに前記オイルタンクの排出口を開口させ、前記フォークシャフトが前記スリーブを前記第2位置に移動させたときに、前記オイルタンクの排出口を閉止する開閉弁を備えるトランスファ。
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CN110296208A (zh) * | 2019-07-25 | 2019-10-01 | 徐工集团工程机械股份有限公司科技分公司 | 分动箱及电传动轮胎式装载机 |
-
2012
- 2012-07-12 JP JP2012156191A patent/JP2014019173A/ja active Pending
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