JP2014015892A - ガスタービン吸気用のミスト拡散装置 - Google Patents

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伸一 赤林
Koji Sato
康二 佐藤
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Abstract

【課題】ノズルより噴霧された冷媒を吸入用の空気に均一に拡散した上で、この空気を吸気室の吸気口に供給可能なガスタービン吸気用ミスト拡散装置を提供する。
【解決手段】ミスト拡散装置10は、外気を吸入する入口11と、入口11から供給された外気を排出する出口12と、入口11と出口12とを連結しかつこの間に入口11又は出口12よりも流路断面が小さい縮小部13が設けられた流路14a,14bと、噴霧手段15と、を備える。噴霧手段15は、縮小部13上流側の流路14a中に設置されかつ該流路14aを通過する外気にミストを噴霧するミストノズル16aを備える。出口12はガスタービン吸気室20の吸気口21の外壁に取り付け可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば火力発電所等に使用されるガスタービン吸気塔(以下、「吸気室」とも呼ぶ。)の吸気口外側に取り付け可能なガスタービン吸気用ミスト拡散装置(以下、単に「ミスト拡散装置」とも呼ぶ。)に関する。
近年、逼迫した電力需要と安全性の観点から、火力発電の存在意義とその高効率化への重要性が再認識されている。
ガスタービンに供給される燃焼用空気は、大気中から吸気室内の吸気通路(以下、「吸気ダクト」とも呼ぶ。)を経て圧縮機に取り込まれる。ガスタービンが定格出力で通常運転する場合、圧縮機の回転数が一定であることから燃焼用空気の体積流量は常に同一であるが、その重量流量は、大気温度が低く空気密度が高いときは大きく、大気温度が高く空気密度の低いときは小さくなる。
(ガスタービン出力低下の課題)
また、ガスタービンの出力は燃焼用空気の重量流量と温度とに比例する。ガスタービンは通常、燃焼ガス温度を一定にするように運転することから、例えば夏場のように大気温度が高くなると燃焼用空気の重量流量が減少する。つまり、ガスタービン出力が低下してしまう恐れがある。これを回避するため、大気温度が高い時期には、この重量流量を増加させるために、吸気ダクトに吸入される空気(以下、単に「吸入空気」又は「吸気」とも呼ぶ。)を強制的に冷却する必要がある。
(ガスタービン出力低下の課題への従来技術)
この課題に対処するために、従来技術においては、吸気ダクト内の吸入口下流から圧縮機上流の流路位置に、水等の冷媒やミストを噴霧する噴霧ノズル(以下、単に「ノズル」とも呼ぶ。)を多数設けている(例えば、特許文献1及び2を参照)。これらのノズルは、水等の冷媒を吸気中に噴霧して、冷媒が蒸発する際の気化熱で吸気を直接冷却するのである。
(通常の吸気ダクトに従来のミストノズルを設置した際の課題(翼の損傷))
しかしながら、ガスタービンプラントの吸気室の吸気口には、一般に、特許文献1及び2に示すように、ルーバや空気フィルタが取り付けられ、さらにルーバやフィルタの下流側には吸気ダクトが吸気口と圧縮機とを連結するように設けられる。このような構成の吸気ダクトにノズルが設置され、ノズルから過剰なミスト量が噴霧されると、吸気ダクト下流側に位置する圧縮機の各翼への損傷(エロージョン)をもたらす危険性があるとも指摘されている。
(フィルタ上流側に設置された吸気ダクトでのミスト噴霧と課題)
一方、ガスタービンプラント吸気室の中でも、例外的には、特許文献3に示すように、ルーバや空気フィルタの上流側に吸気ダクトが設けられ、この吸気ダクト内部にミスト噴霧ノズルが設置されているものもある。この吸気ダクトは、上述の一般的な吸気ダクトに比べて、ノズルからの過剰なミストが噴霧されても、圧縮機までの行程が比較的長いことやミストがフィルタ等に捕捉されやすい等の理由から圧縮機の各翼への損傷の危険性は大幅に減少する。しかしながら、吸気ダクト等の流路構造がさらに複雑化し、吸気室全体も大型化してしまう等の問題が指摘されていた。
このような複雑な流路を成す吸気ダクトを使用する場合、このダクト内にノズルを設置して、このダクトを通過する空気にミストを効率良く気化する方法が既に提案されている(例えば、特許文献3を参照)。特許文献3に開示の方法は、具体的には、個々の吸気ダクトの独自の形状や速度プロファイルに合わせて、ノズルの設置個数や設置位置や噴霧角度を適宜決定するものである。
しかしながら、火力発電所の一つ一つの吸気ダクト構造に対して最適なノズルの設計を個々に行っていくのは、これに要する時間や費用等の面から実際には困難である。また、既存の吸気ダクトは多数の配管や配線が複雑に取り付けられているため、既存の吸気ダクト内に最適な個数のノズルを最適な位置や角度で事後的に設けることも困難である。
つまり、従来技術は存在していても、発電所の各吸気ダクトへのノズルの個別設計に掛る費用の問題や既存の吸気ダクトの所望位置へのノズルの追加取付けの困難性から、従来技術が求める噴霧条件が現実的には整えられないため、吸気への均一なミストの噴霧が達成されておらず、タービン出力低下の問題は現実的あるいは全般的には解決されていないのが現状である。
(吸気口近傍に設置されたフィルタ等の交換に関する課題)
上述したように、火力発電所等に使用される吸気室内部の吸気口付近には、ルーバやフィルタが設置される。具体的には、雨水などの捕集を目的としたルーバ(例えば、ウェザールーバ)や吸入空気からゴミや塵埃などの除去を目的としたフィルタ(例えば、プレフィルタやHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ)が多数設置される。
しかしながら、長期間の使用により、一部のフィルタには目詰まり等が発生し、このフィルタを通過する吸気の流れが悪くなり、一様な速度分布を有した吸気が得られなくなる場合がある。併せて、フィルタ下流に通常配置された従来のノズル噴霧装置についても、このフィルタ詰まりに対応した噴霧量の変更が必要となる。
この事態に、従来は、吸気ダクト外側の大気中の圧力と、吸気ダクト内のフィルタ下流側の吸気圧力(代表値もしくは数点の測定値の平均値)との差圧が所定値以上に達すると、フィルタ全てを新品に交換することで対処していた。つまり、各フィルタ前後での差圧を一つ一つ検知して、目詰まり等を起こしているフィルタを特定することは実際的には困難であるからである。
このような従来の対処法では、使用上、問題の無いフィルタも無駄に廃棄してしまうため、高額なメンテナンス費用が掛るばかりか、環境調和に即したものではないとの指摘もある。
特許第3469018号公報 特開2001−234755号公報 特許第4563489号公報
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、ミストノズルより噴霧された冷媒を吸入用の空気に均一に拡散した上で、この空気を吸気室の吸気口に供給可能なミスト拡散装置を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、既存の一般的な吸気室の吸気口に簡単に後付け可能なミスト拡散装置を提供することである。
また、本発明の別の目的は、ミストの均一的な拡散に加え、下流側に設置されるフィルタの交換時期をも検知可能なミスト拡散装置を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の末、吸気室の吸気口の外側(つまり流れ方向上流側)に、複数のミスト噴霧ノズルを設け、これらのノズルから噴霧された冷媒を吸入用の空気中に均一に拡散できる構造を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも次の特徴を備えたものである。

請求項1に記載のガスタービン吸気用ミスト拡散装置は、
外気を吸入する入口と、
前記入口から吸入された前記外気を排出する出口と、
前記入口と前記出口とを連結し、かつ、この間に前記入口又は前記出口よりも流路断面積が小さい縮小部が設けられた流路と、
前記縮小部又はその上流側の流路中に設置され、かつ、該流路を通過する前記外気にミストを噴霧するミストノズルを備えたミスト噴霧手段と、
を備え、かつ、
前記出口はガスタービン吸気室の吸気口の外壁に取り付け可能であることを特徴とするものである。

請求項2に記載のガスタービン吸気用ミスト拡散装置は、前記ミストノズルが前記入口又は前記入口近傍に設置されることを特徴とするものである。

請求項3に記載のガスタービン吸気用ミスト拡散装置は、
前記ミスト噴霧手段が複数のミストノズルを備え、かつ、
前記ミストノズルが、前記入口又は前記入口近傍における流路断面内に互いに離間して配置されることを特徴とするものである。

請求項4に記載のガスタービン吸気用ミスト拡散装置は、
前記ミストノズル設置位置より下流側の流路内面の少なくとも一部分に吸放湿材が設置されていることを特徴とするものである。

請求項5に記載のガスタービン吸気用ミスト拡散装置は、
前記縮小部上流側又は前記縮小部下流側での前記外気の圧力と、前記縮小部での前記外気の圧力と、の圧力差を測定するための圧力測定手段が設けられていることを特徴とするものである。

請求項6に記載のガスタービン吸気用ミスト拡散装置は、
前記出口は前記吸気口内部に設けられた一つ或いは一群のフィルタに対応した寸法を有しており、かつ、該フィルタ上流側に設置可能であることを特徴とするものである。
本発明のガスタービン吸気用ミスト拡散装置は、以上のような特徴、とりわけ、前記縮小部や縮小部上流側に設置されるミスト噴霧手段の特徴を備えているため、ミストノズルより噴霧された冷媒を吸入用の空気に均一に拡散した上で、この空気をガスタービン吸気室の吸気口に供給することができる。
また、本発明のミスト拡散装置は、その出口がガスタービン吸気室の吸気口外壁に取り付け可能であるため、既存の吸気室に対しても簡単に後付け可能である。
さらに、本発明のミスト拡散装置は、圧力測定手段と、前記吸気口内部に設けられた一つ或いは一群のフィルタに対応して設けられた出口と、を備えるため、吸入空気中へのミストの均一的な拡散に加え、下流側に設置されるフィルタの交換時期をも検知することができる。
本発明のミスト拡散装置の概略を示した図である。 吸気室の吸気口に取り付けられた状態の複数のミスト拡散装置を示した図である。 ミスト拡散装置の出口、ウェザールーバ、及びフィルタの断面寸法を比較した図である。 ミストが噴霧された外気(吸入吸気)の流れを可視化した画像である。 ミストを噴霧した際の空気温度又は相対湿度の時間変化を示した図である。 湿り空気線図を示した図である。
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づき説明するが、本発明は、下記の具体的な実施態様に何等限定されるものではない。
(ミスト拡散装置の概略)
図1(a)に本発明のミスト拡散装置10の概略を示す。図1(b)に、ミスト拡散装置10の入口11前方から見た正面図を示す。また、図2に、ガスタービン吸気室20の吸気口21の外側に取り付けられた状態の複数のミスト拡散装置10を示す。図1(a)中の矢印は、空気(以下、「外気」、「吸引された空気」、又は「吸気」と呼ぶこともある。)の流れ方向を示す。図2に示すガスタービン吸気室20は、具体的には、吸気口21と、吸気口21に隣接した吸気フィルタ室20aと、吸気フィルタ室20aと図示しない圧縮機とを連結する吸気ダクト20bと、を有する。吸気フィルタ室20aには、後述するように、ウェザールーバ22、プレフィルタ23と、HEPAフィルタ24と、が設けられる。なお、図2中の吸気室フィルタ20aは、上記内部構造の説明の便宜上、一部を破断して示している。
ミスト拡散装置10(以下、単に「装置」とも呼ぶ。)は、図1(a)に示すように、外気を吸入する入口11と、入口11から吸入された外気を排出する出口12と、入口11と出口12とを連結し、かつ、この間に入口11又は出口12よりも流路断面積が小さい縮小部13が設けられた流路14(14a,14b)と、を備える。さらに、ミスト拡散装置10には、縮小部13又はその上流側の流路14(特に14a)中に設置されかつ流路14aを通過する空気にミスト(図1(a)中の符号Mを参照)を噴霧するミストノズル16aを備えたミスト噴霧手段15が設けられる。ここで、図1ではミスト噴霧手段15を詳しく描いていないが、ミスト噴霧手段15には、少なくとも1つのミストノズル16aの他に、ミストノズル16aまで水等の冷媒を供給する供給源や供給管16b等を有した供給系統(図示せず)やミストノズル16aでのミスト噴霧を制御する制御系統(図示せず)が設けられてもよい。なお、ミスト噴霧手段15の供給源や制御系統は、必ずしも本発明のミスト拡散装置10の近くに設置されている必要はない。
なお、出口12は、ボルト・ナット等の公知締結部材(図示せず)により、ガスタービン吸気室20の吸気口21の外壁に取り付け可能である。なお、ミスト拡散装置10は、その出口12が吸気口21に取り付けられる際に、アングルや梁等の公知の支持部材(図示せず)により支持される。
(ミスト噴霧手段の配設位置)
ミストノズル16aが、上述のように縮小部13又はその上流側の流路14a中に設置されている理由は、外気中に噴霧されるミストMの拡散効果の促進を狙ったものである。この効果促進の観点から、ミストノズル16aが、図1の各図に示すように、入口11又は入口11近傍の流路14aに設置されていることが好ましい。つまり、このような構成によれば、外気及びミストMを縮小部13に一旦集中させ、縮小部13にて流速を増加させる一方、圧力を低下させることができる。従って、外気流の速度変動と圧力変動とによって、その下流側の流路14bの行程(距離)において、外気中にミストMを効率良く拡散することができ、外気中のミスト濃度を均一にすることができる。言い換えれば、縮小部13を備えた上記流路構造はいわばミストMの霧吹き効果を促進するものである。
(ミスト拡散装置内の流路形状)
なお、図1(a)に示すように、入口11から縮小部13までの流路14aは先細り形状(つまり、縮小部13に向かって流路断面積が徐々に小さくなる形状)であり、縮小部13から出口12までの流路14bは先広がり形状(つまり、出口12に向かって流路断面積が徐々に大きくなる形状)であることが望ましい。これにより、ミスト拡散装置10を外気が通過した際の圧力損失を極力減らすことができる。
さらに、先細り流路14a又は先広がり流路14bの断面は、図1の各図に示すように、円形若しく円形に近い形状を成すことが好ましい。これにより、これらの流路14a,14bでは、外気の旋回流(図1(a)中の螺旋状の曲線を有した矢印を参照)が生じ、旋回流によってミストMがより拡散され、外気が出口12に至るまでにはミスト濃度が確実に均一化される。
(ミストノズルの配置)
ミスト噴霧手段15には複数のミストノズル16aを設けてもよく、例えば、ミストノズル16aを、入口11又は入口11近傍における流路14a断面内に互いに所定間隔だけ離して設置してもよい。これらのミストノズル16aは、さらに好ましくは、図1(b)に示すように、入口11断面全体を縦横方向に均等に分割するように各々設置される。ノズル16aの上記構成はミスト拡散効果をさらに促進する。なお、ミストノズル16aの設置数やミストMの噴霧量は、ミスト拡散装置10の幾何学的形状や寸法、目標とするタービン出力や吸気の重量流量などの運転条件、大気の温度や湿度などの環境条件に依存する。
(吸放湿材の貼付)
また、ミスト拡散装置10は、ミストノズル16aの設置位置より下流側の流路14内面の少なくとも一部分に吸放湿材19が設置されていてもよい(図1(b)に示すハッチング部分を参照)。好ましくは、上記設置位置より下流側の流路の内面全体又は流路内面全体を吸放湿材が貼付される。ここで、吸放湿材19とは、一定量の水分或いは湿気を吸収して蓄えておくことができ、必要に応じて蓄えていた水分を放出することができる材料のことを意味し、例えば、珪藻土、シリカゲル、ゼオライト、等の原材料から作ることができるが、これらの例示に限定されない。この吸放湿材19は、ミスト噴霧手段15の故障や運転停止等の緊急事態においてミストノズル16aから所定のミストMが吸入空気へ噴霧されない場合でも、吸放湿剤19で蓄えられた水分を吸入空気中へ一定時間だけ放出することができる。つまり、このような緊急事態においても、この吸放湿剤19が放出する水分により、一定時間の間はガスタービン出力の急激な低下を抑えることができ、その間に緊急事態への対応(例えば、ミスト噴霧手段15の運転再開)を行うことが可能となる。
(圧力測定手段の配置)
また、ミスト拡散装置10には、縮小部13上流側又は縮小部13下流側での外気(吸引された空気つまり吸気)の圧力と、縮小部13内での吸気の圧力と、の圧力差ΔPを測定するための圧力測定手段17が更に設けられていることが好ましい。例えば、図1に示す例では、縮小部13上流側での吸気圧力と、縮小部13内での吸気圧力と、の圧力差ΔPを測定する圧力測定手段17が設けられている。図1中の符号18a,18bは上流側及び下流側の圧力を測定するための圧力タップを示す。なお、ミスト拡散装置10の外側にて大気圧力が計測可能な場合は、この大気圧力を縮小部13上流側での吸気の圧力として代用することができるので、圧力測定手段17は、縮小部13内での吸気圧力のみを測定するようにすればよい。
この圧力測定手段17で測定された圧力差ΔPを、ベルヌーイの定理に基づいた以下の式に代入することにより、ミスト拡散装置10内を通過する空気の流量(体積流量Q及び重量流量W)をも導出することができる。
ここで、αは流路14の流量係数、Aは縮小部13の断面積、ρは空気密度である。
例えば、圧力測定手段17が設けられたミスト拡散装置10を複数用意し、これらを、図2に示すように、吸気室20の吸気口21の外側面全体に取り付けてもよい。このような構成では、各圧力測定手段17で常時モニタリングされる圧力差ΔPを集計・計算することにより、吸気口21の吸入面に供給される空気の二次元的な流量分布を常時観測することができる。
(ウェザールーバやフィルタ等の要素との相対的な配置及び寸法)
加えて、図3(a)及び(b)に示すように、ミスト拡散装置10の出口12の寸法を、吸気口21内側(つまり、吸気の流れ方向下流側)に設置される一つ或いは一群のウェザールーバ22やフィルタ23,24に対応した寸法を有していることが更に好ましい。なお、図3(a)及び(b)では、説明の便宜上、フィルタ24のみ表示する。
図2に示す例では、ミスト拡散装置10の吸気流れ方向下流側には、ウェザールーバ22と、プレフィルタ23と、HEPAフィルタ24とが順番に取り付けられており、ミスト拡散装置10で吸入された空気は、図示のように、吸気口21から吸気フィルタ室20a内に入り、これらの要素22,23,24を通過して、吸気ダクト20bに入った後、ガスタービンの圧縮機(図示せず)に流入する。
なお、実際の吸気フィルタ室20aに搭載されている各要素22,23,24の製品寸法を確認すると、図3(a)に示すように、1つのウェザールーバ22に対し、4つのフィルタ23,24がセットされているものが多い。そこで、本発明のミスト拡散装置10の出口12を、図3(a)に示すように、ウェザールーバ22と略同一寸法或いはこのルーバ22を無駄なく取り囲める程度に若干大きめ寸法となるように構成すれば、4つ(つまり一群)のフィルタ23,24に対応した寸法にすることができる。もちろん、図3(b)に示すように、比較的大型のフィルタ23,24を採用してもよく、これにより、出口12を一つのフィルタ23,24に対応した寸法にすることができる。
ミスト拡散装置10の出口12をウェザールーバ22に対応した寸法にすることで、吸気口21端面に一般に複数設置されるウェザールーバ22にミスト拡散装置10を設置できるため、吸気室20の吸気口21への装置10の取付けが容易となる。また、ウェザールーバ22は、規格化された製品が一般に流通しているために、既存の吸気室20への取付けも容易になると予想される。
また、出口12を一つ又は一群のフィルタ23,24に対応した寸法にする利点は以下の通りである。一般に、吸気口21を通過していく空気の流量は、フィルタ23,24の使用状態(汚れ具合)に依存する。そして、フィルタ23,24の上流側に位置しかつこれらのフィルタ23,24の寸法に対応した出口12を備えたミスト拡散装置10を通過する空気も、下流側のフィルタ23,24に生じる流れ抵抗(流れにくさ)に応じた流量しか流れないようになる。従って、ミスト拡散装置10を運転しつつ、この装置10に搭載された圧力測定手段17で圧力差ΔP(流量Q,W)をモニタリングすれば、吸気口21内部のフィルタ23,24の流れ抵抗の二次元的な分布も推測できるため、交換が必要なフィルタ23,24を特定することができる。
一方、従来は、本発明のようなミスト拡散装置10の概念すらなく、吸気口21外側で計測された大気圧力と、吸気室20内の代表的な圧力値(通常1点の代表値或いは数点の平均値)と、を計測していた。つまり、外側圧力と吸気室20内部の圧力との圧力差が所定値以上に至ると吸気室20内部のフィルタ23,24全てを交換していたため、まだ使用しても支障の無いフィルタ23,24までも廃棄していた。
(実証試験用の試作機)
次に、本発明のミスト拡散装置10の試作機を以下に示すように作製し、実証試験を行った。具体的には、試作機10の入口11はφ=1200mmの直径からなる円形断面を成し、縮小部13はφ=600mmの直径からなる円形断面を成し、この間の流路14aは先細りの形状を成す(つまり入口11から縮小部13に向かって流路断面積は徐々に小さくなっている)。
なお、ミスト噴霧手段15はミストノズル16aを最大9個まで設置できる構成とした。具体的には、入口11断面の縦方向に330mm間隔で3段、横方向に400mm間隔で3列となる配列(つまり、3×3の配列)で、9つのミストノズル16aを入口11に取り付けられる構成にした。なお、後述する実証試験の一例では、所望の噴霧量を付与するのに、このうち3〜4つのミストノズル16aを運転するだけで十分であった。
一方、縮小部13から出口12までの間の流路14bは先広がりの形状を成す(つまり出口12に向かって流路断面積は徐々に大きくなっている)。ここで、出口12の流路断面は、縦幅と横幅とが共に約1000mmの正方形の流路断面を成すウェザールーバ22を囲繞しながらこのルーバ22の上流側に設置できるように、縦幅と横幅とが共に1200mmの正方形を成していることに留意されたい。さらに、このウェザールーバ22の下流側には、4つのHEPAフィルタ24をこのルーバ22を均等に四等分するかのように設置した。
(流れの可視化試験)
上述の試作機10に、実際のガスタービンの吸気風量(約96m/min)に設定した外気を吸引して、外気の流れの可視化試験を行った。図4は、試作機入口における外気の吸入状況を示す画像である。図4に示すように、ミスト噴霧された外気(吸入空気)は、流路内周面に沿って旋回しながら縮小部13に向かって流れていることがわかる。
(流量・温度・湿度の測定試験)
上述の試作機10に、圧力測定手段(微差圧計)17、図示しない温度計(熱電対)、図示しない湿度計を更に設置して、吸引した外気の流量を計測しつつ、ミストノズル16aからミストMを噴霧した際の空気の温度及び湿度の経時変化を観測した。この試験においては、試作機10の縮小部13に圧力タップ18bを設け、微差圧計17の低圧側を連結し、高圧側は試作機10外側(試作機10は室内に設置されたため、厳密には、室内環境)に連結し、この室内圧力と縮小部13の圧力との圧力差ΔPを測定した。
(流量の測定結果)
表1に実際に測定された圧力差ΔPと、この圧力差ΔPを基に導出された体積流量Qと重量流量Wを示す。実測された圧力差ΔPは極めて小さく、試作機10の流路14は圧力損失の小さな形状であることが判明した。
(温度・湿度の測定結果)
試作機10に図示しない吸気用ファン2台を取り付け、入口11から外気を240分間程、吸引した。そして、この外気にミストノズル16aからミストMを実際に噴霧する時間を、吸引時間の半分(つまり120分間)に設定した。図5(a)に試験機10外側での外気温度(つまり吸引前の空気温度)及びHEPAフィルタ24前後位置での空気温度(単位:℃)の時間変化を示し、図5(b)に対応する位置での相対湿度(単位:%)の時間変化を示す。なお、図5(a)及び(b)に示すA、B、Cは、試験機10外側位置、HEPAフィルタ24前方位置、及びその後方位置Cでの測定結果を示す。さらに、表2は、図5の各図に示す結果を分析したもので、試験機10外側位置AとHEPAフィルタ24前方位置B又は後方位置Cとにおいて測定された空気温度、相対湿度、及び絶対湿度(単位:kg/kg(DA))と、位置Aと位置Cでの各値の変化量を示す。ただし、これらの結果はミスト噴霧時間中に測定したデータの平均値に基づいている。
この表2の結果に示すように、試験機10及びHEPAフィルタ24を通過した空気は、通過中のミスト噴霧により、約4.5℃だけ温度が冷却されていること、及び、相対湿度及び絶対湿度は、約33%及び0.0024だけ増加していることが確認された。
(湿り空気線図)
なお、図6は湿り空気線図であり、上記各位置における空気の状態点A,Cを示す。図6に示すように、HEPAフィルタ24後方位置での状態点Cは、試験機10外側位置での状態点Aから等湿球温度線上に沿って移動しており、理想の飽和点D(つまり相対湿度が100%になる状態点)に近づいていることが観測できた。
(ミスト供給量とノズル設置数との検討)
表3に、ミスト供給量とノズル設置数との検討結果を示す。
この表3の一段目に示す絶対湿度の変化量(状態点Aから状態点Cまでの変化量、表2も参照)と、表3の二段目に示す重量流量W(表1も参照)との積が実際に吸気中に取り込まれたミスト供給量となる(表3の三段目を参照)。なお、表3の四段目は、絶対湿度が状態点Aから理想の飽和点Cまで変化したと仮定した場合の理想のミスト最大供給量である。
一方、表3の五段目は、今回の試験で4つのミストノズル16aから噴射した噴射量である。なお、各ミストノズル16aの噴射量は同一であったため、1つのミストノズル16aからの噴射量は、表3記載の上記噴射量の4分の1となる。
この表3の結果より、上記試験機の試験条件及び環境条件では、ノズル16aの4つ分の噴射量は供給過多であり、ミスト最大供給量を検討しても、運転・噴射に最適なノズル数は3つ以下であることが分かる。以上のような検討手法により、試験機10の運転条件や環境条件に最適な噴射量(ノズル数)を決定することが可能である。
ミスト噴霧手段15を備えた本発明のミスト拡散装置10は、火力発電所等の吸気室20の吸気口21外壁に取り付ける構成であるため、吸気室20(具体的には、吸気ダクト20b)内部にミスト噴霧手段を取り付ける従来技術に比べ、取り付けの際に電気配線、配管、構造梁などの内部構造との干渉を心配する必要が無い。従って、本発明のミスト拡散装置10は設置や施工が容易である。既存の火力発電所等の吸気室20にも後付けで設置が可能であり、既存の吸気室20をそのまま利用できる点もメリットである。
また、圧力測定手段17を更に備えた本発明の好適な態様では、ミスト拡散装置10を通過する空気流量を常時モニタリングでき、さらに出口12をフィルタ寸法に合わせれば、無駄の無いフィルタ交換を実現することも可能である。
以上のように、本発明の産業上の利用価値及び利用可能性は非常に高い。
10 ミスト拡散装置
11 入口
12 出口
13 縮小部
14,14a,14b 流路
15 ミスト噴霧手段
16a ミストノズル
16b ミスト供給管
17 圧力測定手段
19 吸放湿材
20 吸気室
20a 吸気フィルタ室
20b 吸気ダクト
21 吸気口
22 ウェザールーバ
23 プレフィルタ
24 HEPAフィルタ
M ミスト

Claims (6)

  1. 外気を吸入する入口と、
    前記入口から吸入された前記外気を排出する出口と、
    前記入口と前記出口とを連結し、かつ、この間に前記入口又は前記出口よりも流路断面積が小さい縮小部が設けられた流路と、
    前記縮小部又はその上流側の流路中に設置され、かつ、該流路を通過する前記外気にミストを噴霧するミストノズルを備えたミスト噴霧手段と、
    を備え、かつ、
    前記出口はガスタービン吸気室の吸気口の外壁に取り付け可能であることを特徴とするガスタービン吸気用ミスト拡散装置。
  2. 前記ミストノズルが前記入口又は前記入口近傍に設置されることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン吸気用ミスト拡散装置。
  3. 前記ミスト噴霧手段が複数のミストノズルを備え、かつ、
    前記ミストノズルが、前記入口又は前記入口近傍における流路断面内に互いに離間して配置されることを特徴とする請求項2に記載のガスタービン吸気用ミスト拡散装置。
  4. 前記ミストノズル設置位置より下流側の流路内面の少なくとも一部分に吸放湿材が設置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスタービン吸気用ミスト拡散装置。
  5. 前記縮小部上流側又は前記縮小部下流側での前記外気の圧力と、前記縮小部での前記外気の圧力と、の圧力差を測定するための圧力測定手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスタービン吸気用ミスト拡散装置。
  6. 前記出口は前記吸気口内部に設けられた一つ或いは一群のフィルタに対応した寸法を有しており、かつ、該フィルタ上流側に設置可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスタービン吸気用ミスト拡散装置。
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