JP2014014761A - 磁気フィルターの消磁方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁気フィルターに吸着された磁性粒子を吸引する磁気吸引力をFmとし、当該磁気吸引力に反するように作用する上記磁性粒子の抗力をFrとしたとき、Fm≦Frの条件を満たす消磁電流であって、励磁コイルに消磁電流を流すことによって発生する磁界による上記磁性粒子の磁束密度をBmとし、磁性粒子の残留磁束密度をBrとしたとき、Bm>Brの条件を満たす消磁電流を流し、当該消磁電流によって発生する磁界による磁性粒子の磁極の向きの反転を繰り返しつつ消磁電流を徐々に減衰させて、ヒステリシスループを徐々に小さくさせながら磁性粒子の磁化を減衰させる。
【選択図】図6
Description
[1]励磁コイルに流した消磁電流によって磁気フィルターに吸着された磁性粒子の消磁を行う方法であって、磁気フィルターに吸着された磁性粒子を吸引する磁気吸引力をFmとし、当該磁気吸引力に反するように作用する上記磁性粒子の抗力をFrとしたとき、Fm≦Frの条件を満たす消磁電流であって、励磁コイルに消磁電流を流すことによって発生する磁界による上記磁性粒子の磁束密度をBmとし、磁性粒子の残留磁束密度をBrとしたとき、Bm>Brの条件を満たす消磁電流を流し、当該消磁電流によって発生する磁界による磁性粒子の磁極の向きの反転を繰り返しつつ消磁電流を徐々に減衰させて、ヒステリシスループを徐々に小さくさせながら磁性粒子の磁化を減衰させることを特徴とする磁気フィルターの消磁方法である。
[2]消磁電流が交流であることを特徴とする上記[1]に記載の磁気フィルターの消磁方法である。
[3]磁性粒子の抗力Frが、重力、粘性力および慣性力を含むことを特徴とする上記[1]または[2]に記載の磁気フィルターの消磁方法である。
(1)交流電流による消磁
磁性粒子を磁化すると磁壁移動が起こり、飽和磁束密度に達した後、磁場をゼロにすると、磁化はゼロに戻るはずである。しかし、ヒステリシスロスのため、磁場をゼロにしても、磁性粒子には残留磁気が存在する。この残留磁気の存在が好ましくないことがあるので、残留磁気が存在しないように磁性粒子を未磁化状態にする消磁処理が行われている。消磁処理には、熱消磁と、交流消磁と、直流消磁とがある。熱による消磁は、対象物をキュリー点以上に加熱することによって磁極の方向をバラバラにする方法であり、完全な消磁が可能である。しかし、鉄粉の場合はキュリー点が約770℃の為、周辺機器の熱負荷が高いので好ましい方法とは言えない。直流消磁は、対象物が直流磁場を受けることで磁区の磁気配列が飽和し、直流電流によって発生する磁界を反転させながら消磁する方法であるが、その構造が煩雑であるため、あまり行われていない。
上記したように、磁場をゼロにしても、磁性粒子には残留磁気が存在する(図2のBr参照)。残留磁気の存在は不都合なことが多いので、残留磁気が存在しないように磁性粒子を未磁化状態にする消磁処理が行われている。ところが、消磁電流の大きさによっては、消磁が良好に行われないことを本発明者は見出したのである。すなわち、磁性粒子が非常に小さい場合(例えば、粒子径が10μm以下)、消磁のために付与した消磁電流が消磁のために有効に利用されないことを知見したのである。ここで、磁性粒子の粒子径と付着力の関係を図3に示す。図3の縦軸は、粒子径による付着力を、粒子径が50μmの付着力を1とした相対値で表したものである。粒子径が小さいと粒子の表面積が大きくなり、付着力は飛躍的に増大する。特に、粒子径が10μm以下の場合に顕著である。
一方、磁性粒子には重力、粘性力および慣性力などの磁気吸引力に反するように作用する抗力が存在する。
Fm≦Fr (1)
Fmは、次式(2)によって表される。
Fm=(π/6)×d3×ρ×χ×H×(dH/dX) (2)
d:磁性粒子の粒子径、ρ:磁性粒子の密度、χ:帯磁率、H:磁界の強さ、dH/dX:磁気勾配
抗力Frは重力、粘性力、慣性力などの合力であるが、慣性力Fiは次式(3)で表わされる。
Fi∝f2 (3)
f:交流の周波数
これより、抗力Frを大きくするためには周波数は可能な限り大きくした方が良い。
以上のように、本発明者は、「磁気フィルターに吸着された磁性粒子が非常に小さい場合、その磁性粒子の消磁を良好に実施するためには、条件1として、消磁電流による磁気吸引力によって磁性粒子が移動しないような消磁電流を選択すること(磁気吸引力≦磁性粒子の抗力)、及び条件2として、磁性粒子の磁壁の移動に必要なエネルギーが得られるように、残留磁束密度よりも大きな磁束密度を磁性粒子に与えるような消磁電流を選択することが必要である。」ということを見出したのである。
1.磁気吸引力によって磁性粒子(鉄粉)が移動しないような大きさの消磁電流とすること(磁気吸引力≦磁性粒子の抗力)
d=2μmの鉄粉、ρ=7.65g/cm3、χ=0.5emu/G、H=124Oeという条件下おいて、(磁気吸引力Fm/磁性粒子の抗力Fr)と消磁電流との関係を示す図が図4である。この場合、磁気吸引力によって鉄粉が移動しないようにするためには(Fm≦Fr)、消磁電流は2.8A以下とする必要がある。
図5は、鉄粉の粒径が10μm以下の場合において、鉄粉の飽和磁束密度と消磁電流との関係を示す図である。一方、実機の磁気フィルターに吸着された鉄粉(粒子径≦10μm)の残留磁束密度を実測すると、200〜300Gであった。そこで、図5を参照すると、本実施例の磁気フィルターに吸着された鉄粉を消磁するためには、消磁電流は2.5A以上とすることが必要である。
磁気フィルター(図示せず)による鉄粉の吸着を終了した後、この磁気フィルターに吸着された鉄粉の残留磁束(275G)を減衰させるために、以下に説明するように、消磁コイル(図示せず)に適切な大きさの消磁電流を流す消磁処理を実行した。すなわち、図6に示すように、当初の消磁電流(交流)の大きさを5種類として、当初の消磁電流の大きさに対して、5%づつ減衰させるという操作を繰り返し、消磁電流がゼロとなった時点で消磁を終了した。この際の周波数は装置制約上、1Hzまでしか上げられないために1Hzとした。
当該処理槽に含まれる洗浄液中の鉄粉濃度は濾過前は4000ppmであった。そこで、励磁電流の通電を停止するだけで当該フィルターに吸着された鉄粉の消磁を行わずに逆洗を実施した磁気フィルターによって上記洗浄液を濾過すると、洗浄液中の鉄粉濃度は1000ppmに低下した。次に、本発明の方法に従って当該フィルターに吸着された鉄粉の消磁を行った後に逆洗を実施した磁気フィルターによって上記洗浄液を濾過すると、洗浄液中の鉄粉濃度は400ppmに低下した。このように、磁気フィルターに吸着された鉄粉の消磁を本発明の方法で行った後に逆洗を実施するという操作を施すことによって、磁気フィルターの鉄粉吸着能力を大幅に向上しうることが分かる。
Claims (3)
- 励磁コイルに流した消磁電流によって磁気フィルターに吸着された磁性粒子の消磁を行う方法であって、磁気フィルターに吸着された磁性粒子を吸引する磁気吸引力をFmとし、当該磁気吸引力に反するように作用する上記磁性粒子の抗力をFrとしたとき、Fm≦Frの条件を満たす消磁電流であって、励磁コイルに消磁電流を流すことによって発生する磁界による上記磁性粒子の磁束密度をBmとし、磁性粒子の残留磁束密度をBrとしたとき、Bm>Brの条件を満たす消磁電流を流し、当該消磁電流によって発生する磁界による磁性粒子の磁極の向きの反転を繰り返しつつ消磁電流を徐々に減衰させて、ヒステリシスループを徐々に小さくさせながら磁性粒子の磁化を減衰させることを特徴とする磁気フィルターの消磁方法。
- 消磁電流が交流であることを特徴とする請求項1に記載の磁気フィルターの消磁方法。
- 磁性粒子の抗力Frが、重力、粘性力および慣性力を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気フィルターの消磁方法。
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JP2012153250A JP2014014761A (ja) | 2012-07-09 | 2012-07-09 | 磁気フィルターの消磁方法 |
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Cited By (2)
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CN109192437A (zh) * | 2018-09-27 | 2019-01-11 | 南京迪威尔高端制造股份有限公司 | 一种三相全波整流超低频退磁方法 |
CN109360708A (zh) * | 2018-09-27 | 2019-02-19 | 南京迪威尔高端制造股份有限公司 | 一种三相全波整流超低频退磁装置 |
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CN109360708A (zh) * | 2018-09-27 | 2019-02-19 | 南京迪威尔高端制造股份有限公司 | 一种三相全波整流超低频退磁装置 |
CN109192437B (zh) * | 2018-09-27 | 2020-10-13 | 南京迪威尔高端制造股份有限公司 | 一种三相全波整流超低频退磁方法 |
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