JP2014010139A - 動的設備の状態監視システムとその方法とそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】n個のセンサと、n個の合成振動波形信号を得る周波数測定部と、n個の合成振動波形信号を高速フーリエ変換処理してスペクトル信号を得る高速フーリエ変換処理部と、n個の振動源の内、最も近接する振動源から発生する振動波成分のみを分離する波形分離処理部と、スペクトル信号を逆高速フーリエ変換処理して最も近接する振動源からの振動波形信号を得る逆高速フーリエ変換処理部と、正常時の振動波形信号と振動波形信号の差分を演算する残差算出部と、振動源が正常でないと判断する評価部とを有するものである。
【選択図】図1
Description
このような振動は、電源周波数、回転軸の回転数、傷や摩耗の発生箇所によってその周波数や強度(振幅)が異なり、正常時に検知される振動周波数の特性とも異なるが、正常時に検知される振動周波数と混在して合成振動波形として測定されるため、異常に基づく振動波形のみを分離して分析しなければ発生している異常を検出することも困難であり、その内容を把握することも困難であった。
また、実際に生産工場や化学プラントあるいは発電所等のように複数の動的設備が同一のフロアに設置され、近接した駆動周波数にて駆動されている状態も一般的であり、それらの設備の状態監視を行うことも必要とされている。
このような状況下、従来、合成された波形から特定の波形を分離するための技術が開発されてきている。
この波形分離プログラムでは、一方の合成波形を任意倍して他方の合成波形との差分波形を求め、求めた差分波形のうち1つを基本波形として仮定しこの基本候補波形を任意倍して分離波形として仮定しこの分離候補波形と同様に求めたもう一つの分離候補波形とを合成し合成波形として仮定し合成候補波形と一方の合成波形とを比較して第1の誤差を求め、他方の合成波形とも比較して第2の誤差を求め、前記各手段を用いて複数の合成候補波形を求めて第1の誤差及び第2の誤差をさらに求め、その中で第1の誤差と第2の誤差との和が最小であり、合成候補波形を構成する基本候補波形の組み合せが同じである合成候補波形を特定し、その合成候補波形を構成する分離候補波形を出力するというものである。
上記構成の動的設備の状態監視システムにおいては、波形分離処理部がスペクトル毎にn個のスペクトル信号とそのスペクトル信号自身以外のスペクトル信号との差分を取って、他のいずれのスペクトル信号に対しても差分が正となるスペクトルのスペクトル信号のみを残して、他のスペクトルのスペクトル信号については0とすることで、距離減衰したスペクトル信号を排除して、そのセンサからの合成振動波形信号の中から最も近接する振動源からの振動波形信号として抽出する作用を有する。また、残差出力部で最も近接する振動源の振動波形信号とその正常時の振動波形信号の差分を演算し、評価部はその差分と所望のしきい値を比較して乖離が大きい場合に、先の波形分離処理部で抽出された振動波形信号が正常ではないと評価し、もって最も近接する振動源が正常でないと評価するように作用する。
なお、n個のセンサは必ずしもn個存在しなければならないというわけではなく、動的設備が定常状態で稼働されている場合では例えば1個のセンサをn個の振動源近傍にそれぞれ移動させて、すなわち、n回受信に用いてもよい。すなわち、このn個のセンサは「のべ」n個のセンサの意である。以下、本願において同様である。
上記構成の動的設備の状態監視システムにおいては、請求項1に記載の発明に作用に加えて、エンベロープ処理部が生の合成振動波形の絶対値をとり、これをローパスフィルタによって平滑化する作用を有する。従って、このエンベロープ処理部で生成されるエンベロープ処理後合成振動波形信号には細かい衝撃的な自由振動成分は存在せず、動的設備の回転軸のミスアライメント、アンバランス又は軸受損傷、あるいは歯車部品における傷や摩耗に伴う異常振動の周期にあわせて緩やかに変動する合成振動波形信号が生成されるという作用を有する。
上記構成の動的設備の状態監視システムにおいては、請求項1及び請求項2におけるn個のセンサに代えて、単一指向性を備えた1個のマイクロホンを用いて方向をn回転換させることで、この1個のマイクロホンがn個のセンサと同様にn個の合成音波形信号を受信するように作用する。その他の作用は、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用と同様である。
上記構成の動的設備の状態監視方法においては、請求項1に記載される動的設備の状態監視システムを方法発明として捉えたものであり、その作用は請求項1記載の動的設備の状態監視システムと同様である。
上記構成の動的設備の状態監視方法においては、請求項2に記載される動的設備の状態監視システムを方法発明として捉えたものであり、その作用は請求項2記載の動的設備の状態監視システムと同様である。
上記構成の動的設備の状態監視方法においては、請求項3に記載される動的設備の状態監視システムを方法発明として捉えたものであり、その作用は請求項3記載の動的設備の状態監視システムと同様である。
上記構成の動的設備の状態監視プログラムにおいては、請求項4に記載される動的設備の状態監視方法をプログラム発明として捉えたものであり、その作用は請求項4記載の動的設備の状態監視方法と同様である。
上記構成の動的設備の状態監視プログラムにおいては、請求項5に記載される動的設備の状態監視方法をプログラム発明として捉えたものであり、その作用は請求項5記載の動的設備の状態監視方法と同様である。
という作用を有する。
上記構成の動的設備の状態監視プログラムにおいては、請求項6に記載される動的設備の状態監視方法をプログラム発明として捉えたものであり、その作用は請求項6記載の動的設備の状態監視方法と同様である。
また、センサを振動源の数と同じn個設けることで、いずれの振動源から異常な振動が発生しているかどうかを検出することが可能であり、波形分離処理部はそのn個のセンサから受信されたn個の合成振動波形信号を前述のとおりスペクトル毎にそれぞれ比較して差分を取り、すべての差分が正となるスペクトルのスペクトル信号を残して、他のセンサから得られたそのスペクトルのスペクトル信号は0とすることで、振動源に最も近接したセンサで受信された振動波形のみを効率的かつ高精度に分離することができる。
従って、動的設備の状態監視を効率的かつ高精度に実施することができる。
さらには、動的設備の状態監視が効率的かつ高精度に実施できるようになれば、時間基準保全(Time Based Maintenance)に基づいたメンテナンス政策においてはメンテナンス間隔をより長くすることができるためメンテナンスコストの抑制や予備部品の在庫数を抑えることができるなどの長所がある。さらに、設備等の突発停止を未然に防ぐことができるため損傷を最小限に抑えることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る動的設備の状態監視システムのシステム構成図であり、図2は本実施の形態に係る動的設備の状態監視システムにおける信号処理のフローチャートである。
以下、これらのシステム構成について図1及び図2を参照しながら説明する。
なお、振動周波数測定部3で生成された合成振動波形信号15は、振動周波数測定部3によって合成振動波形データベース11に読み出し可能に格納される(図2におけるステップS1)。
エンベロープ処理部4はいわゆるローパスフィルタを備えており、衝撃的な高周波成分を排除し、動的設備の回転軸のミスアライメントやアンバランスあるいは軸受損傷による異常振動、あるいは歯車部品における傷や摩耗に伴う異常振動の周期にあわせて緩やかに変動する合成振動波形信号を生成することが可能である。このエンベロープ処理部4は必ずしも必要ではないが、動的設備の状態監視システム1による異常の有無の評価の精度を向上させるためには設けておくことが望ましい。エンベロープ処理部4で生成されたエンベロープ処理後合成波動波形信号16は、エンベロープ処理部4によって合成振動波形データベース11に読み出し可能に格納される(図2におけるステップS2)。
エンベロープ処理部4で生成されたn個のエンベロープ処理後合成波動波形信号16は、あるいはエンベロープ処理部4を備えていない場合は、振動周波数測定部3で生成されたn個の合成振動波形信号は、高速フーリエ変換処理部5によってそれぞれエンベロープ処理部4あるいは振動周波数測定部3から直接又は合成振動波形データベース11から読み出され、高速フーリエ変換処理部5に入力される(図2におけるステップS3)。
なお、図2に示されるとおり、ステップS1からステップS3a,S3bまでを繰り返し実施して平均値を取り、SN比の向上を図ってもよい。
この波形分離処理によって、n個の合成振動波形スペクトル信号17の中でそのスペクトルのスペクトル信号が最大のセンサ2で検知された合成振動波形信号のそのスペクトルにおけるスペクトル信号を残して、他のセンサ2における合成振動波形スペクトル信号17では、そのスペクトルにおけるスペクトル信号を0とすることができる。すなわち、いずれのセンサ2で当該スペクトルに係る振動波形が検出されたかに関する情報を得ることが可能である。
しかも、例えばこのスペクトルの近傍に他の振動源から発生している振動波形に係るスペクトル信号が含まれている場合でも、その他の振動源に最も近接するセンサ2によって最も強い信号として検知されるため、この振動源から発生している合成振動波形スペクトル信号17に対しては、前述のとおりその近傍のスペクトルにおけるスペクトル信号が0となるので、そのスペクトル近傍の他の振動源からのスペクトル信号が排除されることになる。
従って、そのセンサ2に最も近接する振動源からの振動波形のスペクトル信号として他の振動波形成分から分離することができるのである。本願では、このように分離された振動波形のスペクトル信号を分離振動波形スペクトル信号18という。
このような処理をすべてのスペクトル帯域で実施することで、特定のセンサ2において示される特徴的なスペクトル信号で、そのセンサ2に最も近接する振動源からの固有の振動波形が検出されていることが理解できるのである。
この波形分離処理部6ではそれぞれのセンサ2で受信される合成振動波形から得られる合成振動波形スペクトル信号17に対してそれぞれのセンサ2に最も近接する振動源からの固有の振動波形を検出することが可能である。
波形分離処理部6で処理された後の分離振動波形スペクトル信号18は、波形分離処理部6によってスペクトルデータベース12に読み出し可能に格納される(図2におけるステップS4)。
なお、分離振動波形スペクトル信号18は、逆高速フーリエ変換処理部7によって波形分離処理部6から直接又はスペクトルデータベース12から読み出されて、逆高速フーリエ変換処理部7によって処理される。
逆高速フーリエ変換処理部7で生成された分離振動波形信号19は、逆高速フーリエ変換処理部7によって読み出し可能に分離波動波形データベース13に格納される(図2におけるステップS5)。
残差算出部8で生成された差分振動波形信号21は、残差算出部8によって読み出し可能に分離波動波形データベース13に格納される(図2におけるステップS6)。
乖離が大きいか否かは、差分信号しきい値22との差に依存するもので、差分振動波形信号21が差分信号しきい値22を超えて大きな場合には乖離が大きいと判断されるものである。差分信号しきい値22の設定は監視対象となっている動的設備や異常の発生箇所やその種類、あるいは監視の目的の重要性等によって実施されるもので、その数値の大小は適宜決定されるとよい。
単一指向性を備えたマイクロホンの方向を転換させながら音波を受信することで、複数のセンサを設置するよりも設置が容易で、しかもその構成が簡素となり、コストも低減可能である。しかも、方向転換によってある程度音波の伝播方向が予め理解されるため、少ない測定で効率的に合成振動波形信号15を測定可能である。
さらに、振動周波数測定部3は音周波数測定部として成立し、測定される信号も合成振動波形信号15は合成音波形信号、エンベロープ処理後合成波動波形信号16はエンベロープ処理後合成音波形信号、合成振動波形スペクトル信号17は合成音波形スペクトル信号、合成振動波形パワースペクトル信号24は合成音波形パワースペクトル信号、分離振動波形スペクトル信号18は分離音波形スペクトル信号、分離振動波形信号19は分離音波形信号、正常時振動波形信号20は正常時音波形信号、差分振動波形信号21は差分音波形信号としても成立するのである。
これらの他の実施の形態の内容については図2に記載されるステップ(工程)の流れに示すとおりである。
すなわち、ステップS1からステップS8までのステップを実行することで動的設備の状態監視方法に関する実施の形態となり、さらに、これらの工程をコンピュータを用いて実行させることで動的設備の状態監視プログラムとなるのである。以下に具体的に説明するが、各工程における処理内容の説明については、既に動的設備の状態監視システム1の説明の際に実施明しているので省略する。
ステップS3bでは、高速フーリエ変換処理部5が、合成振動波形スペクトル信号17の実効値(二乗平均値)を演算して、合成振動波形パワースペクトル信号24を得て、スペクトルデータベース12に読み出し可能に格納する。
前述のとおり、ステップS1からステップS3を所望の回数繰り返し実施して平均値を取り、SN比の向上を図るとよい。
このローター34には負荷錘によるアンバランス及び従動軸側ギア33には1ヶ所(歯車2枚分)の局所摩耗を発生させるように人為的な不具合を形成させている。
また、主軸30には主軸側センサ35が設置され、従動軸31には従動軸側センサ36が設置されて、それぞれ振動波形を受信している。
このように構成される動的設備では、電動機の周波数は60Hz、主軸30の回転数Nは500(rpm)であるので、主軸30の回転周波数f1はf1=N/60=500/60で約8.33Hzとなり、その高調波として、2次成分は16.88Hz、3次成分は24.93Hz、4次成分は33.24Hzとなる。また、主軸側ギア32の歯数Z1は40であり、従動軸側ギア33の歯数Z2は43であるので、従動軸31の回転周波数f2は、f2=f1・Z1/Z2=約7.75Hzとなり、その高調波として、2次成分は15.44Hz、3次成分は23.19Hz、4次成分は30.64Hzとなる。従って、前述のような人為的な不具合からこれらの周波数において異常成分が含まれることになるのである。
なお、本実施例では、振動のサンプリング周波数は5kHzであり、カットオフ周波数は400Hzとしている。
この図3では示されていないが、主軸側センサ35と従動軸側センサ36で受信された振動波形は、先に説明した実施の形態に係る動的設備の状態監視システム1と同様な構成を備えて主軸30に関連して発生する振動波形と従動軸31に関連して発生する振動波形として分析処理が可能となっている。従って、本実施例においても既に実施の形態において説明した構成要素については同一の符号を用いて説明し、その構成に関する説明については省略する。但し、本実施例では主軸側センサ35と従動軸側センサ36の2つのセンサを用いて振動波形を受信することから主軸側で受信した振動波形と従動軸側で受信した振動波形を区別するため、それぞれに関係する信号では主軸側ではa、従動軸側ではbという従属文字を付すこととする。
本実施例では、主軸30側のローター34には人工的にアンバランスを施しており、従動軸31側の従動軸側ギア33には人工的に局所摩耗を施して、それぞれの軸上に異常の状態を模している。
図4の(a)は実施例における主軸側センサ35及び振動周波数測定部3で測定された合成振動波形信号15aを示すグラフであり、(b)は従動軸側センサ36及び振動周波数測定部3で測定された合成振動波形信号15bを示すグラフである。いずれのグラフも横軸は時間(s:秒)であり、縦軸は強度(単位はV(ボルト))である。なお、この強度のボルトは振動周波数測定部3の出力を示すものである。
この図4に示されるグラフでは主軸側センサ35では、主電源の60Hzに関係する振動波形や主軸側ギア32の関係する振動波形等の正常なものはもちろんのこと、ローター34のアンバランスに基づく異常な振動波形に加えて従動軸側ギア33の局所摩耗に伴う異常な振動波形等が重畳して受信される。
一方、従動軸側センサ36でも、主電源の60Hzに関係する振動波形はもちろんのこと、従動軸側ギア33の局所摩耗に伴う異常な振動波形に加えて、ローター34のアンバランスに基づく異常な振動波形に関するものも重畳して受信される。
しかしながら、これら(a),(b)のグラフを見ても、いずれの振動波形がいずれの正常、あるいは異常な構成から発生するものであるかを判別するのは困難であるので、今回の実施の形態に係る動的設備の状態監視システム1を用いてその効果について試験を行ったのである。
図4(a),(b)として示される合成振動波形信号15a,15bは、先に実施の形態を示して説明したとおり、エンベロープ処理部4でエンベロープ処理して、それぞれ図示しないエンベロープ処理後合成波動波形信号16a,16bとして生成され、これらをそれぞれ高速フーリエ変換処理部5で高速フーリエ変換処理して、合成振動波形スペクトル信号17a,17bを生成した。
本実施例ではエンベロープ処理を実施しているが、エンベロープ処理を行わなくとも十分な精度が得られるようであれば、既に述べているが特にこのエンベロープ処理を行わなくともよい。
このように低周波数の部分を抽出して示したり、この部分の信号を処理するのは、本願発明が構造上の異常に対する状態監視を目的とするものであることによるものである。従って、本実施例においても、実際にローターのアンバランスやギアの局所摩耗という機械的な異常に基づく振動を人工的に発生させているのである。図5(a)〜(d)において、60Hzの周波数にピークが生じているのは駆動電源の周波数であるためである。
図6では符号X、図7では符号Yで示す部分がゼロ処理を行った箇所であり、それぞれの図においてその波形分離処理を行った周波数、すなわち残った周波数を実線で示し、他の箇所、すなわちゼロ処理を行った箇所は点線で示している。具体的には、図6において、従動軸31において発生する振動波形が受信される場合、主軸側センサ35よりも従動軸側センサ36において高いので、主軸側センサ35では従動軸31で発生する振動波形に関する信号がゼロ処理される。すなわち、周波数で言えば、高調波も含めて符号Xで示される7.75Hz,15.44Hz,23.19Hz,30.64Hzである。
図7では同様に、符号Yで示される周波数8.33Hz,16.88Hz,24.93Hz,33.24Hzである。なお、60Hzは図6,7共にゼロ処理しているが、これは電源周波数であることが明らかであるためである。
図8において、実線で示される主軸側センサ35において受信される合成振動波形信号15aには従動軸31で発生している動的設備の異常に基づく振動波形も含まれているものの、点線で示される波形分離処理部6によってゼロ処理された分離振動波形スペクトル信号18aでは、従動軸31で発生している動的設備の異常に基づく振動波形が排除されている。従って、主軸30で発生している振動波形のみが残ることになり、主軸30近傍で発生している異常を検知することができる。
図9(a)では、主軸30側の合成振動波形信号15aと波形分離処理部6によってゼロ処理した後の主軸側センサ35の分離振動波形信号19a(図示せず)の差分を取って差分振動波形信号を求めているので、従動軸31側の異常残差成分のみが現れている。その理由は、分離振動波形信号19aでは従動軸31側の異常成分のみが削除され、主軸30側の異常成分のみが乗っているため、主軸30側と従動軸31側の両方が重畳している合成振動波形信号15aとの差分を取ると、相手方の従動軸31側の異常残差成分のみが現れるのである。(b)も同様に、従動軸31側の合成振動波形信号15bと分離振動波形信号19b(図示せず)の差分を取っているので、主軸30側の異常残差成分のみが現れている。
本実施例では、差分の対象として、異常が発生しているときの合成振動波形信号15a,15bを選択しているので、主軸側センサ35では従動軸31側の異常残差成分が現れ、従動軸側センサ36では主軸30側の異常残差成分が現れているが、これを実施の形態で説明したように、正常時振動波形信号20a,20b(図示せず)を選択するならば、いずれの異常成分も重畳していないので、今度は最も近接する動的設備の構成要素からの異常残差成分、すなわち、差分振動波形信号21a,21b(図示せず)を検出することが可能である。
いずれにしても残差が検出されることから、異常振動波形に関する情報が得られ、それらの強度に対して実施の形態で説明した差分信号しきい値22a,22b(図示せず)を用いることで、異常の有無や程度を評価することが可能である。その評価結果として評価結果23を得て出力することができるのである。
これらの評価やその出力については既に図9(a),(b)を参照しながら説明したとおりである。
なお、本実施例では得られた信号やしきい値などについては特にデータベースに読み出し可能に格納したり、データベースから読み出したりする操作については説明は省略しているが、実際には実施の形態で説明したとおりに実施するものである。
Claims (9)
- n(n:2以上の整数)個の振動源が存在する環境において、前記n個の振動源から発生する合成振動波形を分離可能な動的設備の状態監視システムであって、
前記n個の振動源から発生する合成振動波を受信可能なn個のセンサと、
前記n個のセンサで受信された合成振動波をそれぞれ処理してn個の合成振動波形信号を得る周波数測定部と、
前記周波数測定部で得られたn個の合成振動波形信号を高速フーリエ変換(以下、高速フーリエ変換をFFTと呼ぶこともある)処理してスペクトル信号を得る高速フーリエ変換処理部と、
前記高速フーリエ変換処理部で得られたn個のスペクトル信号に対して、スペクトル毎に強度の差分を取って、他のいずれのスペクトル信号に対しても差分が正となるスペクトルのスペクトル信号のみを残して、他のスペクトルのスペクトル信号については0として、前記n個の振動源の内、最も近接する振動源から発生する振動波成分のみを分離する波形分離処理部と、
前記波形分離処理部で分離されたスペクトル信号を逆高速フーリエ変換処理して最も近接する振動源からの振動波形信号を得る逆高速フーリエ変換処理部と、
予め測定した前記最も近接する振動源からの正常時の振動波形信号と前記逆高速フーリエ変換処理部から得られた前記最も近接する振動源からの振動波形信号の差分を演算する残差算出部と、
前記差分を所望のしきい値と比較して前記しきい値よりも乖離が大きい場合に前記最も近接する振動源が正常でないと判断する評価部と、
を有することを特徴とする動的設備の状態監視システム。 - 前記周波数測定部で得られたn個の合成振動波形信号をエンベロープ処理するエンベロープ処理部を備え、前記高速フーリエ変換処理部は、前記エンベロープ処理部で生成されるエンベロープ処理後合成振動波形信号を入力し、高速フーリエ変換処理してスペクトル信号を得ることを特徴とする請求項1記載の動的設備の状態監視システム。
- 前記n個の振動源から発生する合成振動波は合成音波であり、前記合成振動波を受信可能なn個のセンサに代えて、単一指向性を備えて方向をn回転換して前記n個の振動源から発生する合成音波を測定可能なマイクロホンを備え、前記周波数測定部は、前記マイクロホンで受信された合成音波をそれぞれ処理してn個の合成振動波形信号としてn個の合成音波形信号を得ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動的設備の状態監視システム。
- n(n:2以上の整数)個の振動源が存在する環境において、前記n個の振動源から発生する合成振動波形を分離可能な動的設備の状態監視方法であって、
前記n個の振動源から発生する合成振動波をn個のセンサを用いて受信する受信工程と、
前記受信工程で受信された合成振動波をそれぞれ処理してn個の合成振動波形信号を得る周波数測定工程と、
前記周波数測定工程で得られたn個の合成振動波形信号を高速フーリエ変換処理してスペクトル信号を得る高速フーリエ変換処理工程と、
前記高速フーリエ変換処理工程で得られたn個のスペクトル信号に対して、スペクトル毎に強度の差分を取って、他のいずれのスペクトル信号に対しても差分が正となるスペクトルのスペクトル信号のみを残して、他のスペクトルのスペクトル信号については0として、前記n個の振動源の内、最も近接する振動源から発生する振動波成分のみを分離する波形分離処理工程と、
前記波形分離処理工程で分離されたスペクトル信号を逆高速フーリエ変換処理して最も近接する振動源からの振動波形信号を得る逆高速フーリエ変換処理工程と、
予め測定した前記最も近接する振動源からの正常時の振動波形信号と前記逆高速フーリエ変換処理工程で得られた前記最も近接する振動源からの振動波形信号の差分を演算する残差算出工程と、前記差分を所望のしきい値と比較して前記しきい値よりも乖離が大きい場合に前記最も近接する振動源が正常でないと判断する評価工程と、
を有することを特徴とする動的設備の状態監視方法。 - 前記周波数測定工程で得られたn個の合成振動波形信号をエンベロープ処理するエンベロープ処理工程を備え、前記高速フーリエ変換処理工程は、前記エンベロープ処理工程で生成されるエンベロープ処理後合成振動波形信号を入力し、高速フーリエ変換処理してスペクトル信号を得ることを特徴とする請求項4記載の動的設備の状態監視方法。
- 前記n個の振動源から発生する合成振動波は合成音波であり、前記受信工程は、前記n個のセンサに代えて、単一指向性を備えて方向をn回転換して前記n個の振動源から発生する合成音波をマイクロホンを用いて測定する受信工程であって、前記周波数測定工程は、前記マイクロホンで受信された合成音波をそれぞれ処理してn個の合成振動波形信号としてn個の合成音波形信号を得ることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の動的設備の状態監視方法。
- コンピュータによって、n個の振動源から発生する合成振動波形を分離するために実行される動的設備の状態監視プログラムであって、
前記n個の振動源から発生する合成振動波をn個のセンサを用いて受信する受信工程と、
前記受信工程で受信された合成振動波をそれぞれ処理してn個の合成振動波形信号を得る周波数測定工程と、
前記周波数測定工程で得られたn個の合成振動波形信号を高速フーリエ変換処理してスペクトル信号を得る高速フーリエ変換処理工程と、
前記高速フーリエ変換処理工程で得られたn個のスペクトル信号に対して、スペクトル毎に強度の差分を取って、他のいずれのスペクトル信号に対しても差分が正となるスペクトルのスペクトル信号のみを残して、他のスペクトルのスペクトル信号については0として、前記n個の振動源の内、最も近接する振動源から発生する振動波成分のみを分離する波形分離処理工程と、
前記波形分離処理工程で分離されたスペクトル信号を逆高速フーリエ変換処理して最も近接する振動源からの振動波形信号を得る逆高速フーリエ変換処理工程と、
予め測定した前記最も近接する振動源からの正常時の振動波形信号と前記逆高速フーリエ変換処理工程で得られた前記最も近接する振動源からの振動波形信号の差分を演算する残差算出工程と、前記差分を所望のしきい値と比較して前記しきい値よりも乖離が大きい場合に前記最も近接する振動源が正常でないと判断する評価工程と、
を実行させることを特徴とする動的設備の状態監視プログラム。 - 前記周波数測定工程で得られたn個の合成振動波形信号をエンベロープ処理するエンベロープ処理工程を備え、前記高速フーリエ変換処理工程は、前記エンベロープ処理工程で生成されるエンベロープ処理後合成振動波形信号を入力し、高速フーリエ変換処理してスペクトル信号を得ることを特徴とする請求項7記載の動的設備の状態監視プログラム。
- 前記n個の振動源から発生する合成振動波は合成音波であり、前記受信工程は、前記n個のセンサに代えて、単一指向性を備えて方向をn回転換して前記n個の振動源から発生する合成音波をマイクロホンを用いて測定する受信工程であって、前記周波数測定工程は、前記マイクロホンで受信された合成音波をそれぞれ処理してn個の合成振動波形信号としてn個の合成音波形信号を得ることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の動的設備の状態監視プログラム。
Priority Applications (1)
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