JP2014009418A - 布帛 - Google Patents

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潔 池田
Tatsu Okada
達 岡田
Hiroshi Kawaguchi
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Abstract

【課題】 セルロース系繊維を含む布帛であって、耐久性の高い立体的柄やしわを備えたものにおいて、立体的柄の望ましい仕様を提供する。
【解決手段】 本発明の布帛10は、第1の傾斜面11と、該第1の傾斜面11とは反対方向に傾斜する第2の傾斜面12とが交互に配置され、隣接する第1と第2の傾斜面の頂部の稜線13と底部の稜線14とが重なり合う凹凸構造を有し、セルロース系繊維を35質量%以上含み、該セルロース繊維が架橋処理されていることを特徴としている。凹凸構造のピッチWが1〜20mmで、凹凸の高さhが0.05〜2mmで、第1の傾斜面と第2の傾斜面との成す角が150〜179゜であることが望ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、布帛に関し、特に、肌との接触面積を小さくして暑苦しさを軽減でき、しかも着心地がよく、ウォッシュアンドウエアー性(以下「W&W性」と略称する。)が向上する布帛に関する。
従来から、セルロース系繊維を含む布帛は、吸湿性や吸水性に優れていること、肌触りが良いこと、静電気が発生し難いこと、熱伝導性が高いこと、天然由来であることなど多くの長所があり、衣料用途に幅広く利用されてきた。一方、着用したり洗濯したりするとしわが残りやすくかつ収縮するといった欠点があった。
この欠点に対する対策として、グリオキザール樹脂やホルムアルデヒドなどの繊維素反応型樹脂をセルロース系繊維と化学架橋することで、織物素材の防しわ性(W&W性)、防縮性等の形態安定性能を改質し付与する試みがなされてきた(非特許文献1)。しかし、繊維素反応型樹脂と化学架橋することでセルロース本来の吸水性や吸湿性が低下し、夏場を中心として蒸し暑く快適性に劣るという新たな問題が生じた。
また、セルロース系繊維を含む布帛に、立体的柄やしわを付与し、その後、ホルムアルデヒドをセルロース分子間に架橋させ、立体的柄やしわの耐久性を付与する方法が提案されている(特許文献1)。この方法で耐久性のある立体的柄やしわのあるシャツが得られるが、立体的柄やしわの大きさや深さなどの形態によっては、洗濯後の防しわ性(W&W性)が確保できなくなるという問題がある。
特開平6−347370号公報
架橋剤ハンドブック、初版、山下晋三、金子東助編、大成社発行、昭和56年10月20日発行
本発明は、斯かる実情に鑑み、セルロース系繊維を含む布帛であって、耐久性の高い立体的柄やしわを備えたものにおいて、立体的柄の望ましい仕様を求めようとするものである。
上記の目的を達成するために本発明の布帛は、第1の傾斜面と、該第1の傾斜面とは反対方向に傾斜する第2の傾斜面とが交互に配置され、隣接する第1と第2の傾斜面の頂部の稜線と底部の稜線とが重なり合う凹凸構造を有し、セルロース系繊維を35質量%以上含み、該セルロース繊維が架橋処理されていることを特徴としている。
前記布帛が織地であり、前記稜線と織地の緯方向とが成す角が、0〜45゜である構成としたり、前記稜線が蛇行している構成としたり、前記凹凸構造のピッチWが1〜20mmで、凹凸の高さhが0.05〜2mmで、第1の傾斜面と第2の傾斜面との成す角が150〜179゜である構成としたりすることができる。
本発明の布帛によれば、凹凸構造を有しない平面布帛に比べ、高いW&W性を有する。本発明の布帛をシャツなどの衣類に使用すると、着用時の審美性が向上し、洗濯後のアイロン掛けなどの負担を軽減することができる。凹凸構造を有するので、肌との接触面積を軽減でき、架橋セルロースを使用した欠点である暑苦しさを軽減することができる。
本発明の凹凸構造を有する布帛の斜視図である。 図1の布帛の端面の一部を矢印a方向からみた拡大図である。 本発明の別の凹凸構造を有する布帛の斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の凹凸構造を有する布帛の斜視図である。図2は、図1の布帛の端面の一部を矢印a方向からみた拡大図である。
これらの図に示すように、本発明の布帛10は、立体的な柄として、布帛10に凹凸構造を付与している。凹凸構造は、第1の傾斜面11と、この第1の傾斜面11とは反対方向に傾斜する第2の傾斜面12とが交互に配置された断面がV形の溝が連続する構造であり、凸の稜線13と凹の稜線14とが交互に、かつ、平行に形成されている。図1に示す布帛では、これらの稜線13、14は織物の緯方向(緯糸方向)と一致している。上記布帛について、以下にさらに詳述する。
〔布帛〕
布帛としては、不織布でもよいが織地が望ましい。繊維は、セルロース繊維を35質量%以上含み、織地の場合は、英式綿番手が30〜60番手であるセルロース系繊維を用いて50〜200本/インチ(2.54cm)の経糸密度および緯糸密度で製織されたものが望ましい。
〔セルロース繊維の含有率〕
上記布帛は、セルロース繊維を35質量%以上含み、さらに、好ましくは50質量%以上含む。50質量%以上含むことにより、後述するセルロース系繊維を架橋させるための処理を併用することによって、優れた防しわ効果と保形効果が得られ、吸水性および風合いに優れた織物製品が得ることができる。尚、当該セルロース繊維の含有量は、JIS L 1030−2に準拠して求められる値である。
〔セルロース繊維の種類〕
上記セルロース繊維としては、用途等に応じて任意の適切なセルロース繊維が選択され得る。当該セルロース繊維の具体例としては、綿、麻等の植物性の天然セルロース繊維、レーヨン繊維等の再生セルロース繊維、アセテート繊維(例えば、ビスアセテート、トリアセテート)等の半再生セルロース繊維、等が挙げられる。なかでも、吸水性、風合い、および物性に優れた織物製品が得ることができることから、綿、麻、およびレーヨンが好ましい。当該セルロース繊維は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔セルロース繊維と共用する繊維〕
上記セルロース繊維と組み合わせて用いられる他の繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリイミド繊維、ポリ乳酸繊維等が挙げられる。ポリエステル繊維と組み合わせて用いることにより、熱可塑性によるしわのセット効果が得られる。当該他の繊維は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔セルロース繊維の形態〕
上記セルロース繊維は、目的に応じて任意の適切な形態であり得る。具体的には、原糸(未加工糸)、仮撚糸、染色糸等の形態が挙げられる。また、不織布、単糸、合撚糸、カバリングヤーン等の形態が挙げられる。また、他のセルロース繊維や非セルロース繊維と組み合わせた混紡糸、混撚糸等の形態であり得る。これらの形態は、単独でまたは2種以上組み合わせて採用される。
〔セルロース繊維の糸の番手〕
布帛が織地の場合は、上記セルロース繊維の糸の番手は、英式綿番手で30〜60番手である。糸の番手が30番手未満であると、糸が太いために生地が硬くなるという問題がある。一方、糸の番手が60番手を超えると、糸が細いために生地の引張強力、引裂強力等が低くなる、製造コストが高くなる等の問題がある。所望の用途に応じた性能(例えば、吸水性、速乾性、柔らかさ)、生地の強度、厚さおよび重さ、製造コスト等の観点から、本発明の織物製品をドレスシャツとして用いる場合は、好ましくは30〜50番手である。また、ブラウスとして用いる場合の糸の番手は、好ましくは40〜60番手である。なお、いずれの場合も、60番手の双糸(太さは30番手の単糸に相当)や120番手の双糸(太さは60番手の単糸に相当)などの2本以上の合撚糸を使用することができる。
〔織込み方法〕
経糸と緯糸とは同じ組成で同じ太さの糸でもよいが、異なる太さの糸にしてもよい。さらに、経糸と緯糸とを異なる組成にしてもよい。たとえば、上記織地は、必要に応じて上記セルロース繊維に加えて他の繊維を経糸および/または緯糸として用いて製織(いわゆる、交織り)することができる。該他の繊維としては、上記セルロース繊維においてセルロース繊維と混紡され得る他の繊維と同様の繊維が挙げられる。該他の繊維の糸の番手は、上記セルロース繊維の糸の番手と同様である。
〔織組織〕
上記織地の織組織としては、特に制限はなく、平織、綾織、朱子織の三原組織のいずれも用いることができる。例えば、平織組織とした場合は、凹凸構造を付与することで、肌に接触する面積が小さくなり清涼感を向上し得る。
朱子織組織を使用して規則的な凹凸構造を付与すると、経糸が生地の表側に多く浮き出る結果、付与した凹凸に光沢感が強まり高級感が得られ、朱子織組独自の風合いの柔らかさによる良好な着用感とが両立し得る。
綾組織は、例えば平織組織と朱子織組織の中間的な着用感、高級感を得ることができる。中でも凹凸の成形性を高めるには、例えば経糸と緯糸の交差点所謂結節点が少ない綾、朱子織、或いは平織の変形組織であるオックスフォードを使用することが好ましく、凹凸の保形性を高めるには、例えば結節点が多い平織組織を使用することができる。
〔織密度〕
上記織地は、50〜200本/インチの経糸密度および緯糸密度で製織されている。経糸密度および緯糸密度が50本/インチ未満であると糸同士の隙間の多い織地となるので、例えばビジネスシャツとして用いた場合には生地の強度、吸水性等が劣る、シャツが透けやすく風合いに劣る場合がある。さらに、織地の単位面積あたりの糸の結節点が少なくなり、成型した形の保形性が低下する場合がある。
また、経糸密度および緯糸密度が200本/インチを超えると糸同士の隙間が少なくなるので、例えばビジネスシャツとして用いた場合には風合いが硬く、張りが強くなったり、生地が重たくなる等の問題が生じたりする場合がある。また、織地の単位面積あたりの糸の結節点が多くなるため、凹凸構造の成型性が低下する場合がある。
所望の用途に応じた性能(例えば、吸水性、速乾性、柔らかさ)、生地の強度、厚さおよび重さ等の観点から、経糸密度および緯糸密度はそれぞれ、好ましくは60〜150本/インチである。経糸密度と緯糸密度とは、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
〔凹凸構造を付与する方法〕
凹凸構造としては、多様な模様を選択可能であるが、本発明では、凹凸構造は図1、図3に示したように、V型溝が連続した模様を採用している。この模様を選択した理由は、凹凸構造の付与や保持が比較的に容易であること、布帛に美観を与えること等の理由による。
規則性のある凹凸構造を織地に付与する方法については、特に制限はないが、例えば、エンボスロールに刻まれた形状(凹凸)を生地に押圧する方法、折り畳んだ生地を加圧して模様を付与する方法、織編用などの防縮機を用いて生地を押し込みつつ凹凸を付与する方法などを使用することができる。
〔凹凸構造の仕様について〕
図2に示した凹凸構造の断面拡大図により、凹凸構造のピッチW、凹凸の高さh、凹凸を形成する傾斜面の角度θ、布帛の厚さtの決定方法を説明する。
立体構造のθを固定する方法については、例えば、前記したセルロースの架橋処理の工程で固定することができる。一例をあげると、一対のエンボスローラーに、布帛10に付与するのと同じ凹凸構造を形成する。例えば、図2に示すθ、W、hをそれぞれ、θ=174°、W=2.0mm、h=0.05mmとして凹凸構造を形成する。この一対のエンボスローラーの間に、適当な水分を含んだ布帛10を挟み、加圧と加熱を加えることによって、布帛10に凹凸構造を付与することができる。布帛10が織地の場合、凹凸の稜線13、14が織地の緯方向に一致するようにしている。布帛が不織布の場合は、緯、経の方向が無いので、任意の方向でよい。
基本的には、図1に示すように、凹凸の稜線13、14が直線となり、織地の緯方向に一致させているが、図3に示すように、凹凸の稜線13と、谷の稜線14とが、相互に平行であるが、蛇行するようにしてもよい。稜線が蛇行している以外は、図1に示したものと同じである。この凹凸構造では、稜線13、14は、織物の緯方向とαの角度で傾斜している。角度αは、±45゜以下であればよいが、±30゜が望ましい。45゜を越えると、稜線13、14は、経方向に沿って伸びることになるが、洗濯しわが目立つようになり、W&W性が劣化するからである。
また、図示しないが、角度αが0゜でなく、かつ、稜線13、14が図1に示すような直線となってもよいことは言うまでもない。
次いで、ピンテンターの幅をエンボス加工後の布帛の幅と同じ幅に保ち、エンボス加工後の布帛の密度を変えないようにして、セルロースの架橋処理を施すことで、Wが2.0mm、hが0.05mm、θが174°の保形性が良好な凹凸構造を持った布帛となる。
立体構造のθを固定する方法については、上記のようにピンテンターの幅を変更することで決定してもよい。
上記Wの範囲は、1〜20mmが好ましく、2〜10mmがより好ましい。Wが1mm未満の場合、凹凸形状の付与が難しくなり、20mmを超えると洗濯後の残留しわが目立つようになるので好ましくない。
上記hの範囲は、0.05〜2mmが好ましく、0.05〜1mmがより好ましい。hが0.05mm未満の場合、凹凸形状の付与が難くなったり、洗濯後の残留しわが目立つようになったりするので好ましくない。一方、hが2mmを超えると、凹凸が目立ち、ビジネス用のドレスシャツとしては使用を躊躇する場合や、ハンカチとして広げて使用する場合に使い難い場合がある。
上記θの値は、Wとhの値によって決定されるので、θの範囲はWとhの範囲によって決定されることになるが、150°〜179°が好ましく、160°〜178°がより好ましい。θが150°未満になると、例えば洗濯により、凹部から凸部へ向かう方向にしわが強く残ったり、凹凸が目立ち、ビジネス用のドレスシャツとしては使用を躊躇ったり、ハンカチとして広げて使用する場合に使い難い場合がある。一方、θが179°を超えると、凹凸構造が平面に近づき過ぎて、洗濯時の残留しわが目立つようになるので好ましくない。
また、上記tの範囲は、0.15〜0.4mmであり、0.15mm〜0.3mmがより好ましく、0.2〜0.3mmがさらに好ましい。tが0.15mm未満であると、生地が薄く使用中に破れる場合があり得る。一方、tが0.4mmを超えると、ドレスシャツやハンカチとしては生地が硬く風合いが悪くなる可能性があり、凹凸の付与が困難になる。
上記凹凸構造の布帛をビジネスシャツとして使用する場合、凹凸の凸がシャツの緯方向に延びていくので、ボーダー状となり得る。
W、h、θ、tは例えば、1枚のビジネスシャツやハンカチなど1つの布帛製品中で一定であってもよく、上記範囲内で変化してもよい。
〔架橋処理〕
上述したように凹凸構造を付与された布帛は、このままでは、凹凸構造が洗濯によって消滅してしまうので、以下のようにしてセルロース繊維を架橋処理する。セルロース繊維が架橋されることにより、本願の凹凸構造が固定化され、洗濯による凹凸構造の減衰が小さくなる。セルロース系繊維が架橋された布帛では、防しわ性およびW&W性向上に加えて凹凸構造によるW&W性の上積み効果により、優れた織物製品が得られる。
セルロースの水酸基と反応し、セルロース系繊維間に架橋結合を形成させる化合物を架橋材と言うが、本発明においては、セルロースの水酸基と反応し、セルロース系繊維間に架橋を生成するものであればどのような架橋剤を仕様してもよい。
たとえば、上記架橋剤としては、窒素原子、カルボキシル基、エポキシ基、オルガノオキシ基および水酸基のいずれかを含む化合物が挙げられる。これらは、1種単独でもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
上記架橋処理においては、上記架橋剤を水等に溶解または分散させた架橋処理液として用いることが好ましい。また、架橋処理液には、上記架橋剤とセルロースとの反応性を高め、架橋処理を迅速に行うために触媒や架橋剤助剤を添加することができる。
上記架橋処理は、代表的には、上記架橋剤等を含む架橋処理液を処理する生地に付着させ、次いで、熱処理することによって行う。生地に架橋処理液を付着させる方法としては、通常のパッド・ドライ法、浸漬法、含浸法、印捺法、インクジェット印刷法、レーザープリンター印刷法、塗布法、噴霧法等の公知の方法を採用することができる。例えば、生地全体を処理する場合は、パッド・ドライ法が効率的で好ましい。
製品全域を処理する場合は、浸漬法や噴霧法によって手軽に実施できる。製品の一部を処理する場合は、噴霧法が効率的である。例えば、架橋処理しない部分を所望の形状をしたマスキング等で覆い、その上から生地全体に架橋処理液を噴霧することで、マスキングした部分以外に処理液を付着させることができる。
また、所望の形状に型抜きしたシート等を生地の上にセットし、型抜きされた部分だけに処理液を噴霧して付着させることもできる。インクジェット印刷方式等で精巧な柄を形成する場合、液の滲み、濃度むら等のない鮮明な図柄を得る目的で、上記処理液に、公知の増粘剤、浸透剤、粘着剤、カチオン処理剤等を添加することができる。
架橋剤水溶液の付与後に行う熱処理は、ピンテンター、スチームセッター、オーブン、ベーキング機等の加熱手段を用いて、好ましくは70〜220℃、より好ましくは80〜180℃で、好ましくは0.5〜60分間、より好ましくは1〜40分間の熱処理条件で行うことができる。このような条件であれば、セルロース繊維や架橋セルロース繊維を脆化させることなく、十分な架橋量を得ることができる。
〔前処理〕
本発明の凹凸構造物の成形性や保形性を高める方法として、セルロース架橋剤を付与する前に、毛焼、糊抜、精練、漂白、シルケット加工、液体アンモニア加工を実施することが好ましい。
織地の風合いを柔らかくし、凹凸の成形性を高めるために、例えば、気流ワッシャー加工、液流ワッシャー加工、防縮加工、ポプリンカレンダー、酵素減量加工などを組み合わせてもよい。
その他、本発明で用いられる薬剤には、セルロース架橋剤以外に、必要に応じて、風合い調整のための柔軟剤、防臭剤、硬仕上剤、機能性薬剤等を含んでもよく、必要に応じて、染色、起毛、柔軟仕上げ加工等を行うこともできる。
このようにして得られた凹凸構造を有する布帛をビジネスシャツやハンカチに適用すると、凹凸構造のない平面状の布帛使いに比べ、洗濯後の残留しわが肉眼で減少していることを確認することができ、W&W性が高くなる。洗濯を繰り返すことによって、セルロース架橋量が低減してくるので、セルロース架橋の弊害が減少し、ビジネスシャツやハンカチが丈夫で破れ難くなったり、吸水性が高く風合いが柔らかくなったりしてくる。
上記規則性のある凹凸構造を有する織地を使用すると洗濯じわが少なく見えるのは、規則的な凹凸が目立ち、洗濯によるしわが肉眼で認識されにくくなるためと推定される。
〔織地の評価〕
〔(W&W性)の評価〕
JIS L―1096 洗濯後のしわ A法に準じて、洗濯を実施した。脱水後のタンブル乾燥は、ハンガーにシャツまたはブラウス、またはハンカチを1枚ずつ吊り下げることによって行った。シャツまたはブラウスの大きさはLサイズとした。ハンカチの大きさは45cm×45cmとした。また、試験点数は1点とした。W&W性の判定者は1名として、シャツまたはブラウスの後身頃部、またはハンカチの身生地部をレプリカ(AATCC TEST METHOD 124にて規定)と比較して判定した。判定標準間は0.1級刻みで評価した。例えば、等級3.0から等級3.5の場合、3.1級と3.2級、3.3級、3.4級、3.5級とした。なお、一般的に、W&W性が3.0級を超えておれば、アイロン掛けをせずに着用可能あるいは使用可能なレベルである。
〔凹凸構造の保形性〕
上記W&W性評価に用いたものと同じサンプルについて、家庭洗濯を5回繰り返し洗濯前後の凹凸の状態を評価した。洗濯方法はJIS L−0217法、乾燥方法はJIS L−1096法タンブル乾燥に従った。凹凸の山の状態を洗濯前後で比較し、JIS L−1060 C法のプリーツ保形性をレプリカ(AATCC TEST METHOD 143にて規定)と比較して判定した。判定標準間は0.5刻みで評価した。例えば、等級2.0から等級4.0の場合、2.0級と2.5級、3.0級、3.5級、4.0級とした。なお、一般的に、保形性が3.0級以上であれば、凹凸構造の好ましい効果は維持し得るレベルである。
〔生地の引裂強力(cN)〕
JIS L−1096 D法(ペンジュラム法)に準拠して測定した。具体的には、経10cm×緯6.3cmの試験片をそれぞれ3枚以上採取した。エレメンドルフ形引裂強さ試験機を用い、両つかみの中央で該試験片の長辺のほぼ中央に該辺と直角に鋭利な刃によって2cmの切れ目を入れ、残りの4.3cm分の経糸が引裂かれたときに示す荷重(cN)を測定した。平均値を生地の緯方向の引裂強力とした。なお、以下の測定方法は緯方向の引裂強力の測定方法であるが、経方向の引裂強力は、試験片の長辺を緯方向とすること以外は同様にして測定できる。経方向および緯方向の引裂強力のうち、より低い値を物性評価に用いた。
シャツ、ブラウスとして使用する場合の引裂強力は700cN以上が好ましく、750cN以上がより好ましい。700cN未満になると日常生活における着用時に生地が破れる問題が生じる。
ハンカチとして使用する場合の引裂強力は400cN以上が好ましく、600cN以上がより好ましい。400cN未満になると日常生活の使用時に生地が破れる問題が生じる。
〔生地中の残留ホルマリン濃度(ppm)〕
JIS L−1041 アセチルアセトン B法に準拠して測定した。具体的には、次のとおりである。測定する生地を1cm角に切って、三角フラスコに入れ、その上に蒸留水100ccを加えて、40℃の高温槽に1時間浸漬した。その後、ガラスフィルターで濾過し、得られたろ液を5ml採取し、2,4−ペンタジオン(アセチルアセトン)試薬を5ml加えて撹拌した。得られた混合液を40℃の恒温槽に30分間浸漬した。分光光度計で混合液の吸光度を測定して、ブランクとの差から残留ホルマリン量を求めた。
〔凹凸構造の形状の計測方法〕
W、hについては、照明拡大鏡(商品名SKK−B、倍率10倍、オーツカ光学製)を用いてノギスで計測した。測定はそれぞれ10か所で行い、その平均値を採用した。
θについては、tanθ=W/2hの式から計算した。
tについては、JISL1096 一般織物試験の厚み測定に従って求めた。
〔実施例1〕
経糸として英国式綿番手綿40番手(40番単糸、綿100%)、緯糸として英国式綿番手綿40番手(80番双糸、綿100%)を用い、経糸128本/インチ、緯糸68本/インチ、平組織で製織した。
次に当該織地を、糊抜き、精練(90℃×1分の湯洗いで糊抜きを行った後、1.5質量%の過硫酸ナトリウム、2重量%の水酸化ナトリウム水溶液を浸漬しマングルで絞った後、庫内90℃の飽和蒸気の条件下で30分間滞留)、漂白(1.2質量%の亜塩素酸ナトリウム液を浸漬し、マングルで絞った後、庫内90℃の飽和蒸気の条件下で30分間滞留)、水洗(20℃の水で2分処理して残留薬剤を除去)の順で処理して乾燥した。
次いで、シルケット加工として、26°Be水酸化ナトリウム水溶液に40℃5秒浸漬、マングルで絞った後に湯洗いし、酸による中和と水洗乾燥を実施した。
さらに、液体アンモニアに約2秒間浸漬処理した後、水洗乾燥した。
次に、当該織地を架橋処理液(架橋剤としてジメチロールジヒドロキシエチレン尿素を使用)16質量部、触媒として固形分濃度20質量%の塩化マグネシウムの水溶液3質量部、ホルマリンキャッチャー剤として大日本インキ化学工業(株)製、製品名「ファインテックスFC−KP」3質量部、柔軟剤として大日本インキ化学工業(株)製、製品名「ファインテックスPE−140−E」3質量部、および日華化学(株)製、製品名「AMC−800E」5質量部)を付与したパッダーに浸漬し、マングルでパッドオン率(生地中に含まれる架橋処理液重量/架橋処理液付与前の生地の重量×100)65%として絞った後、水分を乾燥させた。
続いて凹凸構造を付与するために、ピンテンターを用いて、織地の密度を経糸128本/インチ、緯糸68本/インチの状態で、エンボスローラー(エンボスロールの表面の温度200℃、ローラー外径1260mm、織地の加工速度15m/分)で処理して、θ174°、W2.0mm、h0.05mmの規則的な凹凸構造を持つ織地を得た。
次いで、ピンテンターを用いて、θ174°、W2.0mm、h0.05mmの規則的な凹凸構造を保ちつつ150℃で2分間熱処理した。
この段階で、セルロース繊維とセルロース架橋剤とを反応させ、防しわ性を高めると共に、規則的な凹凸構造の保形性を高めた。この織地の緯方向をシャツ身生地の緯方向に使用したが、そのシャツの後身頃の凹凸形状とW&W性は表1の通りであった。
〔実施例2〕
凹凸構造として、エンボスローラーの処理でθ178°、W10mm、h0.1mmの規則的な凹凸構造を持つ織地を作成した。それ以外は、実施例1と同様にして織地とシャツを得た。
〔実施例3〕
凹凸構造の付与方法として、エンボスローラーの処理でθ160°、W10mm、h0.9mmの規則的な凹凸構造を持つ織地を作成した以外は、実施例1と同様にして織地とシャツを得た。
〔比較例1〕
凹凸構造を付与しない以外の方法は実施例1と同様にして織地とシャツを得た。
〔比較例2〕
凹凸構造を付与しないこと、架橋処理液を20.8質量部、塩化マグネシウムの水溶液を3.9質量部、ファインテックスFC−KPを3.9質量部とした以外は、実施例1と同様にして織地とシャツを得た。
〔比較例3〕
凹凸構造の付与方法として、エンボスローラーの処理でθ118°、W10mm、h3.0mmの規則的な凹凸構造を持つ織地を作成した以外は、実施例1と同様にして織地とシャツを得た。
〔比較例4〕
凹凸構造の付与方法として、エンボスローラーの処理でθ178°、W50mm、h0.5mmの規則的な凹凸構造を持つ織地を作成した以外は、実施例1と同様にして織地とシャツを得た。
上記実施例1から3の凹凸構造の仕様と試験結果を表1に、比較例1から4の凹凸構造の仕様と試験結果を表2に示す。
Figure 2014009418
Figure 2014009418
表1の通り、実施例1〜3のW&W性は3.3級〜3.2級となり、凹凸構造を付与しない場合の比較例1の3.0級より良好であった。凹凸構造を付与せずセルロースの架橋量を増やした比較例2では、W&W性は3.3級と良好になるが、引裂強力が700cN未満となりシャツとして耐久性が不足し、着用中に生地が破れ易くなるという問題が生じた。引裂強力が低下したのは、架橋量が増加したためと思われる。
比較例3は、凹凸構造の谷部から山に向かって強い洗濯しわが残った結果、凹凸構造を付与しない場合に比べW&W性は0.1級劣った。比較例4は、Wが50mmと広いために、W&W性は3.0級と凹凸のない比較例1と同じになった。
尚、実施例1と3のシャツは、W&W性は3.3級〜3.2級であるが、凹凸構造を有しており体への密着性が低下しており、比較例2のシャツに比べて通気性が高く快適であった。
また、実施例2のハンカチは、ポケット等にしまった場合に、生地相互の接触が軽減されており、速乾性が高かった。
以上に述べたように、本発明の布帛は、凹凸構造が目立たないので、フォーマルなビジネス用途(シャツ、ブラウス)としても使用することができる。ワイシャツの生地として使用した場合、凹凸構造による光沢感などにより、平面シャツとは異なる多様なシャツを得ることができる。ハンカチとして使用すると、ポケット等にしまった場合に、生地相互の接触が軽減できるので、適度な空隙が生じ、乾燥が早くなり得る。
10 布帛
11 第1の傾斜面
12 第2の傾斜面
13 凸の稜線
14 凹の稜線

Claims (4)

  1. 第1の傾斜面と、該第1の傾斜面とは反対方向に傾斜する第2の傾斜面とが交互に配置され、隣接する第1と第2の傾斜面の頂部の稜線と底部の稜線とが重なり合う凹凸構造を有し、セルロース系繊維を35質量%以上含み、該セルロース繊維が架橋処理されていることを特徴とする布帛。
  2. 前記布帛が織地であり、前記稜線と織地の緯方向とが成す角が、0〜45゜であることを特徴とする請求項1に記載の布帛。
  3. 前記稜線が蛇行していることを特徴とする請求項2に記載の布帛。
  4. 前記凹凸構造のピッチWが1〜20mmで、凹凸の高さhが0.05〜2mmで、第1の傾斜面と第2の傾斜面との成す角が150〜179゜であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の布帛。
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