JP2014006157A - 振動特性を推定する方法および振動特性推定プログラムならびに振動特性推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

振動特性を推定する方法および振動特性推定プログラムならびに振動特性推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】時間変動が比較的小さい実体波と時間変動が比較的大きい表面波とが混ざった常時微動のデータから、表面波成分が比較的小さい時間断面におけるデータを抽出することで、この表面波成分の影響を低減させて、常時微動から地盤の振動特性を推定する精度を向上させる。
【解決手段】振動特性の推定方法は、推定対象地域の所定の時間範囲における常時微動の観測データから、時間の関数として算定された常時微動の非定常スペクトルのスペクトル強度を、1つ以上の時間断面において算定するスペクトル強度算定ステップS6と、上記時間断面のうち、所定の基準によってスペクトル強度が比較的小さいと判定される時間断面における非定常スペクトルを、振動特性を推定するための解析候補スペクトルとして抽出する解析候補スペクトル抽出ステップS8と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、振動特性の推定方法および振動特性推定プログラムならびに振動特性推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。詳しくは、推定対象地域における地盤の振動特性を、この地盤における常時微動を用いて推定する振動特性の推定方法、および、上記推定の推定手段としてコンピュータを機能させるための振動特性推定プログラム、ならびに、上記振動特性推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
一般に、地盤が振動を受けると、その地盤の振動特性(振動に対する振幅の増幅度。振動周波数の関数)によって、特定の振動周波数に対して振動の振幅が増幅される。このため、例えば、地震による地盤の損害の程度を推定したり、地盤上に建てられている構築物の耐震性を検討したりする場合、その地盤の振動特性を前もって推定しておくことが重要となる。
地盤の振動特性を推定する研究としては、例えば非特許文献1に記載された研究が知られている。この研究では、地盤の振動特性を、この地盤における常時微動(地盤に常時作用している弱い振動)のH/Vスペクトル比(振動方向における水平動のフーリエスペクトルを上下動のフーリエスペクトルで割ったもの)を用いて推定する試みを行っている。そして、この研究では、常時微動のH/Vスペクトル比を用いることで、強震動(被害を発生させる強い地震動)のデータが無くても地盤の振動特性を推定できる可能性が示されたとしている。
大熊裕輝、松岡昌志、山崎文雄、原田隆典、「宮崎県における常時微動H/Vスペクトル比を用いた地震動の推定」、土木学会論文集、No.696/I-58、pp.261-272、2002.1
ところで、常時微動および強震動を含む地震動は波として伝達されるが、この波は地下から地表に伝わる実体波と、地表に沿って伝わる表面波とに大別される。上記実体波は、伝わる際に地盤を鉛直方向に通るため、地盤の振動特性を推定するために用いることができる。一方、上記表面波は、伝わる際に地盤を鉛直方向に通らないため、地盤の振動特性を推定するために用いることが難しい。なお、強震動の地震波においては表面波に比して実体波が大きく卓越するが、常時微動の波においては実体波に対して表面波が無視できないほど大きな割合で混じることがある。
ここで、上記非特許文献1に記載された技術では、常時微動の観測結果に含まれる実体波成分と表面波成分とを分離することができないため、表面波成分がノイズとなって、常時微動から地盤の振動特性を精度よく推定することができなかった。
本発明は、上記した問題を解決するものとして創案されたものである。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、時間変動が比較的小さい実体波と時間変動が比較的大きい表面波とが混ざった常時微動のデータから、表面波成分が比較的小さい時間断面におけるデータを抽出することで、この表面波成分の影響を低減させて、常時微動から地盤の振動特性を推定する精度を向上させることである。
上記課題を解決するために、本発明の震動特性を推定する方法および振動特性推定プログラムならびに振動特性推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は次の手段をとる。
まず、第1の発明は、推定対象地域における地盤の振動特性を、この地盤における常時微動を用いて推定する振動特性の推定方法である。この振動特性の推定方法は、推定対象地域の所定の時間範囲における常時微動の観測データから、時間の関数として算定された常時微動の非定常スペクトルのスペクトル強度を、1つ以上の時間断面において算定するスペクトル強度算定ステップと、上記時間断面のうち、所定の基準によってスペクトル強度が比較的小さいと判定される時間断面における非定常スペクトルを、振動特性を推定するための解析候補スペクトルとして抽出する解析候補スペクトル抽出ステップと、を備えている。
本発明者は、常時微動を、実体波と表面波とが混ざって観測される地表面と実体波のみが観測される地盤内とでそれぞれ観測して対応させて解析することで、常時微動において、実体波成分は表面波成分よりも非定常スペクトルのスペクトル強度の時間変動が大きいことを見出して本発明に至ったものである。すなわち、本発明は、常時微動の表面波成分の影響が比較的弱いデータとして、非定常スペクトルのスペクトル強度が比較的小さくなる時間断面における非定常スペクトルを抽出することを、上記課題を解決するための手段としたものである。
この第1の発明によれば、常時微動の非定常スペクトルから、スペクトル強度が比較的小さい非定常スペクトルの時間断面を解析候補スペクトルとして抽出して地盤の振動特性を推定する。このため、振動特性を推定するための解析候補スペクトルには、常時微動の表面波成分の影響が比較的弱いデータのみが反映される。これにより、常時微動の表面波成分によるノイズを減らして、常時微動から地盤の振動特性を推定する精度を向上させることができる。
ついで、第2の発明は、上述した第1の発明において、解析候補スペクトルから振動特性を推定する振動特性推定ステップを備え、解析候補スペクトル抽出ステップにおいて、解析候補スペクトルを複数抽出し、さらに、上記振動特性推定ステップは、複数の解析候補スペクトルに対して、この各解析候補スペクトルのスペクトル密度の極大値を所定の振動周波数の範囲において全て算定し、スペクトル密度の極大値の振動周波数に対する頻度分布を作成する極大値頻度分布作成ステップと、複数の解析候補スペクトルに対して、この各解析候補スペクトルのスペクトル密度の極小値を振動周波数の範囲において全て算定し、スペクトル密度の極小値の振動周波数に対する頻度分布を作成する極小値頻度分布作成ステップと、スペクトル密度の極大値の頻度分布において、振動周波数に対する移動平均を所定の区間長で算定して第1の移動平均とする第1の移動平均算定ステップと、スペクトル密度の極小値の頻度分布において、振動周波数に対する移動平均を所定の区間長で算定して第2の移動平均とする第2の移動平均算定ステップと、第1の移動平均の極大値を抽出し、この第1の移動平均の極大値における振動周波数を固有周波数候補と設定する固有周波数候補設定ステップと、第2の移動平均の極大値を抽出し、この第2の移動平均の極大値における振動周波数を非共鳴周波数候補と設定する非共鳴周波数候補設定ステップと、上記固有周波数候補のうち、振動周波数に対するスペクトル密度が最大となる固有周波数候補を、地盤の1次固有周波数として判定する1次固有周波数判定ステップと、地盤のa次固有周波数(aは自然数)よりも大きい非共鳴周波数候補のうち、最小の非共鳴周波数候補を地盤のa次非共鳴周波数として判定するa次非共鳴周波数判定ステップと、地盤のa次非共鳴周波数よりも大きい固有周波数候補のうち、最小の固有周波数候補を地盤の(a+1)次固有周波数として判定する(a+1)次固有周波数判定ステップと、上記a次非共鳴周波数判定ステップおよび上記(a+1)次固有周波数判定ステップを、aを1から1ずつ増やしながら所定の回数実行することで、地盤のa次固有周波数およびa次非共鳴周波数をaが小さい順に判定する繰り返しステップと、を備えているものである。
地盤の振動特性のうち、重要な特性には、地盤の固有周波数(振幅の増幅度および非定常スペクトルのスペクトル密度が極大となる振動周波数)および非共鳴周波数(振幅の増幅度および非定常スペクトルのスペクトル密度が極小となる振動周波数)がある。この固有周波数および非共鳴周波数は、同一の地盤に対して複数存在し、振動周波数が小さい順に1次からの次数が割り振られる。なお、地盤の非定常スペクトルは、一般に1次固有周波数において振動周波数に対するスペクトル密度が最大となる。また、地盤の1次非共鳴周波数は、一般に地盤の1次固有周波数よりも振動周波数が高くなる。
ここで、上記第2の発明によれば、常時微動の複数の時間断面における非定常スペクトルである解析候補スペクトルにおいて、スペクトル密度の極大値および極小値の出現割合が高い振動周波数が、それぞれ地盤の各固有周波数および各非共鳴周波数に対応すると判定する。これにより、解析候補スペクトルの中にノイズが比較的大きいデータが混ざっていたとしても、ノイズが比較的小さい他の解析候補スペクトルから地盤の各固有周波数および各非共鳴周波数を推定することができる。また、解析候補スペクトルにおけるスペクトル密度の極大値の最大値(すなわち、スペクトル密度の最大値)に対応する振動周波数を1次固有周波数と判定し、地盤の各固有周波数および各非共鳴周波数を次数が低い順に判定することで、この各固有周波数および各非共鳴周波数の次数を簡単に判定することができる。
さらに、第3の発明は、上述した第1または第2の発明において、推定対象地域における地盤の物性を仮定する物性仮定ステップと、解析候補スペクトルから振動特性を推定する振動特性推定ステップと、を備え、さらに、上記振動特性推定ステップは、解析候補スペクトルから解析対象スペクトルを用意する解析対象スペクトル用意ステップと、解析対象スペクトルにおいて、振動周波数に対するスペクトル密度の極大値およびスペクトル密度の極小値をそれぞれ抽出する極値抽出ステップと、極値抽出ステップで抽出されたスペクトル密度の極大値のうち、所定値以上の振動周波数を有するという条件を満たすスペクトル密度の極大値の最大値を判定する最大値判定ステップと、極値抽出ステップで抽出されたスペクトル密度の極大値のうち、上記最大値における振動周波数以上の振動周波数を有するスペクトル密度の極大値を、振動周波数が小さい順にb個(bは自然数)抽出し、抽出されたb個のスペクトル密度の極大値に、振動周波数が小さい順に1番からb番までの番号を付加する極大値番号付加ステップと、c番(cはb以下の自然数)のスペクトル密度の極大値における振動周波数よりも大きな振動周波数を有するスペクトル密度の極小値のうち、最も小さい振動周波数を有するスペクトル密度の極小値に、c番の番号を付加する極小値番号付加ステップと、b以下の任意の自然数dに対して、d番のスペクトル密度の極大値と、d番のスペクトル密度の極小値との差が所定値以上であるという第1の条件が満たされているか否かを判定する第1の条件判定ステップと、b以下の任意の自然数eに対して、e番のスペクトル密度の極大値における振動周波数が、物性仮定ステップで仮定された地盤の物性およびeから導かれる所定の条件を満たすという第2の条件が満たされているか否かを判定する第2の条件判定ステップと、第1の条件および第2の条件をともに満たす解析対象スペクトルが存在した場合に、この解析対象スペクトルにおける各スペクトル密度の極大値のうち、極大値番号付加ステップで番号が付加されたスペクトル密度の極大値の振動周波数を地盤の固有周波数と判定する固有周波数判定ステップと、を備えているものである。
地盤の各固有周波数の振動周波数には、地盤の物性および固有周波数の次数によって決定される所定の条件が成立することが知られている。言い換えると、地盤の各固有周波数を推定する際に、推定された固有周波数に対して上記所定の条件が成立する場合、その固有周波数の推定精度は高いということができる。
ここで、上記第3の発明によれば、各解析候補スペクトルのうち、スペクトル密度の極大値と極小値との差が大きく、かつ、地盤の物性および固有周波数の次数によって決定される所定の条件を満たす解析候補スペクトルが抽出される。これにより、地盤の各固有周波数が高精度で推定された場合に、この各固有周波数を地盤の固有周波数と判定することで、地盤の各固有周波数の推定精度を向上させることができる。
さらに、第4の発明は、上述した第3の発明において、解析候補スペクトル抽出ステップにおいて、解析候補スペクトルを複数抽出し、解析対象スペクトル用意ステップにおいて、複数の上記解析候補スペクトルを平均して解析対象スペクトルを作成するものである。
この第4の発明によれば、複数の解析候補スペクトルを平均して解析対象スペクトルを作成することで、各解析候補スペクトルに含まれるノイズの解析対象スペクトルへの影響を減らして、地盤の振動特性の推定精度を向上させることができる。
さらに、第5の発明は、上述した第1から第4のいずれかの発明において、推定対象地域における地盤の振動特性を振動特性仮定値として仮定する振動特性仮定ステップと、推定対象地域に入射する常時微動の実体波成分を実体波成分仮定値として仮定する実体波仮定ステップと、振動特性仮定値に基づいて、実体波成分仮定値を有する実体波の推定対象地域における非定常スペクトルを仮定的非定常スペクトルとして算定する仮定的非定常スペクトル算定ステップと、を備え、解析候補スペクトル抽出ステップにおいて、非定常スペクトルと仮定的非定常スペクトルとの間で遅れがない状態における、非定常スペクトルと仮定的非定常スペクトルとの相互相関関数の値を、時間断面ごとに相互相関値として算定し、かつ、この相互相関値が所定値未満となる時間断面における非定常スペクトルを、この非定常スペクトルのスペクトル強度と基準値との大小関係にかかわらず、解析候補スペクトルから除外するものである。
この第5の発明によれば、想定される常時微動の実体波成分に対してノイズ(例えば常時微動の表面波成分)が比較的大きい非定常スペクトルは、相互相関値が小さいことにより解析候補スペクトルから除外される。これにより、上記ノイズが比較的大きいデータを解析候補スペクトルから取り除いて、地盤の振動特性の推定精度を向上させることができる。
さらに、第6の発明は、上述した第5の発明において、解析候補スペクトル抽出ステップよりも前のステップとして、上記時間断面における非定常スペクトルに、スペクトル強度の小さい順に解析順を設定する解析順設定ステップを備え、解析候補スペクトル抽出ステップにおいて、相互相関値の算定およびスペクトル強度と基準値との大小関係の比較を解析順に従って行い、スペクトル強度が基準値よりも大きくなった場合は、以降の解析順における上記相互相関値の算定および上記スペクトル強度と基準値との大小関係の比較を省略するものである。
この第6の発明によれば、スペクトル強度の大きさにより明らかに解析候補スペクトルとして抽出されない非定常スペクトルに対して、計算量が膨大となる相互相関値の算定およびスペクトル強度と基準値との大小関係の比較が省略される。これにより、地盤の振動特性の推定における計算量を減らして、この地盤の振動特性の推定をより迅速に行うことができる。
さらに、第7の発明は、コンピュータに、推定対象地域における地盤の振動特性を、この地盤における常時微動を用いて推定させるための振動特性推定プログラムである。この振動特性推定プログラムは、推定対象地域の所定の時間範囲における常時微動の観測データが、コンピュータに入力される入力ステップと、コンピュータが、入力ステップでコンピュータに入力された常時微動の観測データから、常時微動の非定常スペクトルを、この非定常スペクトルのスペクトル密度および振動周波数ならびに時間を変数とした3次元関数として算定する非定常スペクトル算定ステップと、コンピュータが、非定常スペクトル算定ステップでコンピュータにより算定された非定常スペクトルの、前もって設定された1つ以上の離散時間領域における時間断面を、非定常スペクトルのスペクトル密度および振動周波数を変数とした2次元関数として用意する時間断面用意ステップと、コンピュータが、時間断面算定ステップでコンピュータにより算定された1つ以上の時間断面に対して、この時間断面をそれぞれ常時微動の振動周波数で積分することで、非定常スペクトルのスペクトル強度を時間断面ごとに算定するスペクトル強度算定ステップと、コンピュータが、スペクトル強度算定ステップでコンピュータにより時間断面ごとに算定された非定常スペクトルのスペクトル強度に対して、このスペクトル強度を前もって設定された基準値と比較し、スペクトル強度が基準値以下となる場合に、この基準値との比較を行ったスペクトル強度に対応した時間断面を解析候補スペクトルとして抽出する操作を、時間断面ごとに実行する解析候補スペクトル抽出ステップと、コンピュータが、解析候補スペクトル抽出ステップでコンピュータにより抽出された解析候補スペクトルから振動特性を推定する振動特性推定ステップと、をコンピュータに実行させるための振動特性推定プログラムである。
この第7の発明によれば、コンピュータは、常時微動の非定常スペクトルから、スペクトル強度が比較的小さい非定常スペクトルの時間断面を解析候補スペクトルとして抽出して地盤の振動特性を推定する。このため、コンピュータが振動特性を推定するための解析候補スペクトルには、常時微動の表面波成分の影響が比較的弱いデータのみが反映される。これにより、常時微動の表面波成分によるノイズを減らして、コンピュータが常時微動から地盤の振動特性を推定する精度を向上させることができる。
さらに、第8の発明は、コンピュータに、推定対象地域における地盤の振動特性を、この地盤における常時微動を用いて推定させるための振動特性推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。このコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、推定対象地域の所定の時間範囲における常時微動の観測データが、コンピュータに入力される入力ステップと、コンピュータが、入力ステップでコンピュータに入力された常時微動の観測データから、常時微動の非定常スペクトルを、この非定常スペクトルのスペクトル密度および振動周波数ならびに時間を変数とした3次元関数として算定する非定常スペクトル算定ステップと、コンピュータが、非定常スペクトル算定ステップでコンピュータにより算定された非定常スペクトルの、前もって設定された1つ以上の離散時間領域における時間断面を、非定常スペクトルのスペクトル密度および振動周波数を変数とした2次元関数として用意する時間断面用意ステップと、コンピュータが、時間断面算定ステップでコンピュータにより算定された1つ以上の時間断面に対して、この時間断面をそれぞれ常時微動の振動周波数で積分することで、非定常スペクトルのスペクトル強度を時間断面ごとに算定するスペクトル強度算定ステップと、コンピュータが、スペクトル強度算定ステップでコンピュータにより時間断面ごとに算定された非定常スペクトルのスペクトル強度に対して、このスペクトル強度を前もって設定された基準値と比較し、スペクトル強度が基準値以下となる場合に、この基準値との比較を行ったスペクトル強度に対応した時間断面を解析候補スペクトルとして抽出する操作を、時間断面ごとに実行する解析候補スペクトル抽出ステップと、コンピュータが、解析候補スペクトル抽出ステップでコンピュータにより抽出された解析候補スペクトルから振動特性を推定する振動特性推定ステップと、をコンピュータに実行させるための振動特性推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
この第8の発明によれば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体から振動特性推定プログラムを読み取ったコンピュータは、常時微動の非定常スペクトルから、スペクトル強度が比較的小さい非定常スペクトルの時間断面を解析候補スペクトルとして抽出して地盤の振動特性を推定する。このため、コンピュータが振動特性を推定するための解析候補スペクトルには、常時微動の表面波成分の影響が比較的弱いデータのみが反映される。これにより、常時微動の表面波成分によるノイズを減らして、コンピュータが常時微動から地盤の振動特性を推定する精度を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る振動特性を推定する方法を示すフローチャートである。 常時微動の非定常スペクトルの一部を表した3次元グラフである。 観測点X周辺のせん断波速度構造である。 観測点Xの真上の地表面で観測された常時微動の応答速度波形である。 観測点Xにおいて観測された地中の常時微動の応答速度波形である。 図3のせん断波速度構造から理論的に導出される観測点X周辺の振動特性である。 観測点Xの真上の地表面に到達する常時微動の実体波成分の応答速度波形である。 観測点Xの真上の地表面に到達する常時微動の表面波成分の応答速度波形である。 図1のサブルーチン1を示すフローチャートである。 図9のサブルーチン2を示すフローチャートである。 図1のサブルーチン3を示すフローチャートである。 図11の続きを示すフローチャートである。 図11のサブルーチン4を示すフローチャートである。 図13の続きを示すフローチャートである。 図12のサブルーチン5を示すフローチャートである。 図15の続きを示すフローチャートである。 図16のサブルーチン6を示すフローチャートである。 解析候補スペクトルのスペクトル密度において、その極大値の頻度分布および第1の移動平均を表したグラフである。 解析候補スペクトルのスペクトル密度において、その極小値の頻度分布および第2の移動平均を表したグラフである。
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。なお、以下においては、入力または算定された各データに含まれる不備を検出してエラーメッセージを出力するエラー検出ステップなどの付随的なステップについては、その詳細な説明を省略する。
本発明の一実施形態に係る振動特性を推定する方法は、振動特性を推定する技術者(以下、単に「技術者」とも称する。)が、振動特性推定プログラムと、推定対象地域における常時微動の観測データと、を用いて、振動特性を推定する方法である。すなわち、技術者は、コンピュータ(本実施形態ではパソコン)に、上記地盤の振動特性を、この地盤における常時微動を用いて推定させる。
上記振動特性推定プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(本実施形態ではCD−ROM)に記録されており、コンピュータに読み取られて実行される。これにより、振動特性推定プログラムは、コンピュータを振動特性の推定手段として機能させることができるようになっている。
上記常時微動の観測データは、上記推定対象地域の地表面で前もって実測されて用意された実測データである(図1のステップS1を参照)。ここで、本実施形態では、常時微動の観測データとして、3軸で観測された常時微動の速度波形を5分間分抽出したバイナリファイルを用意する。
上記技術者が、振動特性推定プログラムを実行して振動特性を推定する方法の流れについて、図1のフローチャートおよび図2の3次元グラフを用いて説明する。振動特性推定プログラムを起動させた技術者は、上述した常時微動の観測データをコンピュータに入力する(ステップS2)。この入力は、技術者が振動特性推定プログラムにより上記観測データのバイナリファイルをコンピュータに読み込ませることにより行われる。ここで、上記ステップS2は、本発明における「入力ステップ」に相当する。
上記ステップS2に対して、振動特性推定プログラムを実行しているコンピュータ(以下、単に「コンピュータ」とも称する。)は、入力された常時微動の観測データから、常時微動の非定常スペクトルを、この非定常スペクトルのスペクトル密度および振動周波数ならびに時間を変数とした3次元関数として算定する(ステップS3)。この非定常スペクトルは、コンピュータが公知のプログラムを実行することで、上記観測データの方向成分ごとに用意される。ここで、上記ステップS3は、本発明における「非定常スペクトル算定ステップ」に相当する。
なお、本実施形態では常時微動の非定常スペクトルをグラフにプロットする操作を行うことはないが、常時微動の非定常スペクトルを3次元グラフにプロットした場合、例えば図2に一部を示す非定常スペクトル1のような3次元グラフが観測データの方向成分ごとに得られる。
上記コンピュータは、上記ステップS3で常時微動の非定常スペクトルを3軸で算定すると、算定した各非定常スペクトルを所定のサンプリング周波数(本実施形態では100[Hz])で離散化し、離散時間領域ごとに非定常スペクトルのスペクトル密度および振動周波数を変数とした2次元関数を算定する(ステップS4)。これは、図2に示す非定常スペクトル1において、この非定常スペクトル1と、時間軸に対して垂直な複数の平面2と、が交わる複数の時間断面3を求めることに相当する。
続いて、コンピュータは、上記離散化された各非定常スペクトル(すなわち、各非定常スペクトルの各時間断面)の全てを配列要素とした2次元関数の配列を作成する(ステップS5)。そして、コンピュータは、上記各配列要素をそれぞれ常時微動の振動周波数で積分してスペクトル強度を算定する(ステップS6)。このステップS6は、本発明における「スペクトル強度算定ステップ」に相当する。
続いて、コンピュータは、上記ステップS5で作成した配列の各配列要素を、ステップS6で算定したスペクトル強度が小さい順に並べ替えて、このスペクトル強度が小さい順に解析順を設定する(ステップS7)。そして、コンピュータは、上記各配列要素のうちスペクトル強度が所定の基準値以下となるものから解析候補スペクトルを抽出する(ステップS8)。さらに、コンピュータは、上記解析候補スペクトルから地盤の固有周波数および非共鳴周波数を判定し、推定対象地域における地盤の振動特性の推定結果として出力する(ステップS9)。すなわち、上記ステップS7は、本発明における「解析順設定ステップ」に、上記ステップS8は、本発明における「解析候補スペクトル抽出ステップ」に、上記ステップS9は、本発明における「振動特性推定ステップ」に、それぞれ相当する。
上述した各ステップによれば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体から振動特性推定プログラムを読み取ったコンピュータは、常時微動の非定常スペクトルから、スペクトル強度が比較的小さい非定常スペクトルの時間断面を解析候補スペクトルとして抽出して地盤の振動特性を推定する。このため、コンピュータが振動特性を推定するための解析候補スペクトルには、常時微動の表面波成分の影響が比較的弱いデータのみが反映される。これにより、常時微動の表面波成分によるノイズを減らして、常時微動から地盤の振動特性を推定する精度を向上させることができる。
ここで、常時微動の非定常スペクトルのうち、スペクトル強度が比較的小さい非定常スペクトルの時間断面には、常時微動の表面波成分の影響が比較的弱いという知見は、本発明者が実測データを解析することにより新しく発見した知見である。以下、本発明者が上記知見を発見する元になった解析について、図3ないし図8を用いて説明する。
なお、以下では観測点Xで本発明者が行った観測の観測データを用いるが、この観測点Xの地震計は、ボーリングによる地盤調査の跡に形成される穴に入れられることで、地下208.52[m]の深度に設置されている。また、観測点X周辺では、上記地盤調査により、地表面から地下280[m]の深度までの地盤の物性およびせん断波速度構造(図3参照)が判明している。
本発明者は、観測点Xにおける地中の常時微動(図4に示す応答速度の水平動南北成分のグラフを参照)と、観測点Xの真上の地表面における常時微動(図5に示す応答速度の水平動南北成分のグラフを参照)と、を同じ時刻に観測した。
ここで、地中の観測点Xには、より深い地盤から伝達される実体波のみが到達するとみなすことができる。また、観測点Xの真上の地表面には、地下の地盤から地中の観測点Xを通過して伝達される実体波と、周辺地域から地表面に沿って伝達される表面波と、の両方が到達するとみなすことができる。また、地中の観測点Xから上記地表面までの距離は208.52[m]であることと、図3に示すせん断波速度構造とから、常時微動の波の伝達時間による波形のずれは、図4および図5の時間スケールに対して無視できるほど小さいとみなすことができる。
さて、図4と図5とを比べると、図4に示す実体波のみによる応答速度波形は、図5に示す表面波および実体波の両方による応答速度波形よりも、振幅の時間変動が小さい。これは、常時微動において、表面波成分は実体波成分よりも時間による変動が大きく、非定常的であるためであると推定される。
そこで、本発明者は、上記推定を裏付けるため、図5に示す応答速度波形から、表面波成分と実体波成分とを分離する解析を行った。すなわち、本発明者は、まず、観測点X周辺の地盤の物性および図3に示す地盤のせん断波速度構造に基づいて、観測点Xからこの観測点Xの真上の地表面まで常時微動の波が伝達される際の、観測点X周辺の振動特性(図6参照)を導出した。ついで、本発明者は、図6に示す観測点X周辺の振動特性と、図4に示す実体波のみによる応答速度波形と、を用いて、図4に示す地震波が観測点Xから上記真上の地表面まで伝達した際の常時微動の応答速度波形(図7参照)を周波数領域での解析により算定した。この応答速度波形(図7参照)は、上記真上の地表面における常時微動の実体波成分と考えることができる。そこで、本発明者は、図5に示す常時微動の応答速度波形から、図7に示す常時微動の実体波成分の応答速度波形を引き去ることで、上記真上の地表面における常時微動の表面波成分の応答速度波形(図8参照)を算定した。
さて、図7と図8とを比べると、図7に示す常時微動の実体波成分の応答速度波形は、図8に示す常時微動の表面波成分の応答速度波形よりも、振幅の時間変動が小さい。すなわち、常時微動において、表面波成分は実体波成分よりも時間による変動が大きく、非定常的であるということができる。
ところで、非定常スペクトルは、時間に対して非定常性を有する信号(非定常信号)に対して、この非定常信号のスペクトルを少なくとも時間をパラメータとした関数として表したスペクトルである。ここで、非定常スペクトルのスペクトル強度は、上記非定常信号の影響が大きいほど強くなる。言い換えると、非定常スペクトルのスペクトル強度が比較的小さい時間帯においては、非定常信号の影響は比較的小さくなる。このため、常時微動の非定常スペクトルのうち、スペクトル強度が比較的小さい非定常スペクトルの時間断面には、比較的非定常的な表面波成分の影響が比較的弱く、比較的定常的な実体波成分の影響が比較的強い、ということができる。
ここで、上述したステップS8の詳細について、図9のフローチャートを用いて説明する。ステップS8を実行したコンピュータは、まず上述したステップS5で作成され、ステップS7で並べ替えられて解析順が設定された配列を、この配列の配列要素数fとともに取得する(ステップS10)。
続いて、コンピュータは、後述する繰り返し処理(ステップS12)に使用する媒介変数g、iを設定する(ステップS11)。ここで、gは現時点で解析されている配列要素の解析順であり、上記ステップS11でg=1と設定される。また、iは抽出された解析候補スペクトルの総数であり、上記ステップS11でi=0と設定される。
ステップS11で媒介変数g、iの初期設定を行ったコンピュータは、後述するステップS13ないしステップS17に示すルーチンを繰り返し処理する(ステップS12)。このステップS12は、gを増加させながら(ステップS15およびステップS17を参照)、g≦fという条件が満たされる間において繰り返し実行される。なお、ステップS12においてg>fとなった場合は、コンピュータは上記繰り返し処理を終了させて解析候補スペクトルを抽出するステップS8を終了させる。
上記ステップS12により繰り返されるルーチンにおいて、コンピュータは、まずg番目の解析順の配列要素のスペクトル強度を取得する(ステップS13)。このスペクトル強度は、上述したステップS6(図1参照)で算定されたものである。そして、コンピュータは、ステップS13で取得したスペクトル強度が、前もって設定された所定の基準によって比較的大きいと判定されるか否かを、上記スペクトル強度が前もって設定された基準値よりも大きいか否かによって判定する(ステップS14)。
ここで、ステップS14において、判定結果が「いいえ」(すなわち、スペクトル強度が基準値以下)である場合、g番目の解析順の配列要素には、常時微動の表面波成分の影響が比較的弱いデータが反映されていると考えることができる。
このため、コンピュータは、ステップS14の判定結果が「いいえ」である場合に、g番目の解析順の配列要素から解析候補スペクトルを出力するステップS16を実行する。そして、コンピュータは、ステップS16の実行後に、次の解析順の配列要素に対する解析を実行するため、gに1を加算して(ステップS17)ルーチンを繰り返す。
一方、ステップS14において、判定結果が「はい」である(すなわち、スペクトル強度が基準値よりも大きい)場合、g番目の解析順の配列要素には、常時微動の表面波成分の影響が比較的強いデータが反映されていると考えることができる。また、各配列要素の解析順は、上述したステップS7において各配列要素のスペクトル強度が小さい順に設定されているので、解析順がg番目以降である全ての配列要素にも、常時微動の表面波成分の影響が比較的強いデータが反映されていると考えることができる。
このため、コンピュータは、ステップS14の判定結果が「はい」である場合に、gにfよりも大きな値(本実施形態ではf+1)を代入して(ステップS15)ステップS12の繰り返し処理を終了させ、解析候補スペクトルを抽出するステップS8を終了させる。言い換えると、コンピュータは、スペクトル強度が基準値よりも大きくなった場合に、以降の解析順における上記ステップS14および上記ステップS16を省略する。
ところで、上記ステップS16においては、コンピュータは、想定される常時微動の実体波成分に対してノイズ(例えば常時微動の表面波成分)が比較的小さい非定常スペクトルのみを判別して解析候補スペクトルとして出力する。ここで、上記判別は、仮定値から導出された仮定的非定常スペクトルと各配列要素との間で遅れがない状態における相互相関関数の値(以下、単に「相互相関値」とも称する。)hの大きさにより判別する。すなわち、コンピュータは、上記ステップS16において、上記相互相関値hが所定値k未満である配列要素の非定常スペクトルを、この非定常スペクトルのスペクトル強度と上述した基準値との大小関係にかかわらず、解析候補スペクトルから除外する。
上述した手法によれば、想定される常時微動の実体波成分に対してノイズが比較的大きい非定常スペクトルは、上記相互相関値hが所定値kよりも小さいことにより解析候補スペクトルから除外される。これにより、上記ノイズが比較的大きいデータを解析候補スペクトルから取り除いて、地盤の振動特性の推定精度を向上させることができる。また、スペクトル強度の大きさにより明らかに解析候補スペクトルとして抽出されない非定常スペクトルに対しては、計算量が膨大となる相互相関値hの算定およびスペクトル強度と基準値との大小関係の比較が省略される。これにより、地盤の振動特性の推定における計算量を減らして、この地盤の振動特性の推定をより迅速に行うことができる。
ここで、上述したステップS16の詳細について、図10のフローチャートを用いて説明する。なお、相互相関値hに対して大小関係を比較される所定値kは、上述した技術者により前もって設定されて、コンピュータに入力されている(ステップS21)。
また、上述した仮定的非定常スペクトルは、技術者が、地盤の振動特性仮定値および常時微動の実体波成分仮定値に基づいて、ステップS16の実行前にコンピュータに前もって算定させている(ステップS20)。上記地盤の振動特性仮定値は、技術者が、推定対象地域における地盤の振動特性を仮定することで、前もって設定された値である(ステップS18)。上記常時微動の実体波成分仮定値は、技術者が、推定対象地域に入射する常時微動の実体波成分を仮定することで、前もって設定された値である(ステップS19)。すなわち、上記ステップS18は、本発明における「振動特性仮定ステップ」に、上記ステップS19は、本発明における「実体波仮定ステップ」に、上記ステップS20は、本発明における「仮定的非定常スペクトル算定ステップ」に、それぞれ相当する。
ステップS18ないしステップS21の前処理が行われた後に、ステップS16を実行したコンピュータは、まず上述した媒介変数g、iを取得し(ステップS22)、ついでg番目の解析順の配列要素を取得する(ステップS23)。そして、コンピュータは、ステップS23で取得された配列要素と、上述したステップS20で算定された仮定的非定常スペクトルとの相互相関関数を遅れ量の関数として算定する(ステップS24)。さらに、コンピュータは、ステップS22で算定された相互相関関数の遅れ量に0を代入することで、上記仮定的非定常スペクトルと配列要素との間で遅れがない状態における相互相関関数の値を相互相関値hとして算定する(ステップS25)。
続いて、コンピュータは、ステップS25で算定した相互相関値hが、ステップS21で前もって設定された所定値k以上であるか否かを、相互相関値hと所定値kとの大小関係の比較により判定する(ステップS26)。
ここで、ステップS26において、判定結果が「はい」(すなわち、h≧k)である場合、g番目の解析順の配列要素には、常時微動の実体波成分に対するノイズが比較的小さいデータが反映されていると考えることができる。このため、コンピュータは、ステップS26の判定結果が「はい」である場合に、iに1を加算して(ステップS27)、その後にg番目の解析順の配列要素をi番目に抽出された解析候補スペクトルとしてiとともに出力し(ステップS28)、ステップS16を終了させる。なお、ステップS28でiを逐次的に出力させることで、ステップS16の終了後に抽出された解析候補スペクトルの総数iを導出するための計算処理を省略することができる。
一方、ステップS26において、判定結果が「いいえ」(すなわち、h<k)である場合、g番目の解析順の配列要素には、常時微動の実体波成分に対するノイズが比較的大きいデータが反映されていると考えることができる。このため、コンピュータは、ステップS26の判定結果が「いいえ」である場合に、ステップS16をそのまま終了させる。これにより、相互相関値hが所定値k未満である配列要素の非定常スペクトルを、解析候補スペクトルから除外することができる。
上述したステップS9の詳細について、図11および図12のフローチャートを用いて説明する。ここで、ステップS9により判定される地盤の固有周波数および非共鳴周波数の最大次数bは、上述した技術者により前もって設定されて、コンピュータに入力されている(ステップS29)。
なお、以下では、特に記載されていない限り、ステップS29においてb=3と設定したものとして説明を行う。
ステップS9を実行したコンピュータは、まずステップS8で抽出された解析候補スペクトルの総数iと各解析候補スペクトルとを取得する(ステップS30)。なお、ステップS30で取得されたiの値が0である(すなわち、解析するべき解析候補スペクトルが存在しない)場合、コンピュータは、「解析候補スペクトルの抽出に失敗した」旨のエラーメッセージを出力して振動特性推定プログラムを強制終了させる。
続いて、コンピュータは、後述する繰り返し処理(ステップS32)に使用する媒介変数j、lを設定する(ステップS31)。ここで、上記jは現時点で解析されている解析候補スペクトルが何番目の解析候補スペクトルであるかを示す引数であり、上記ステップS31でj=1と設定される。また、lは地盤の固有周波数が明りょうに判別できる解析候補スペクトルが何番目の解析候補スペクトルであるかを示す引数であり、上記ステップS31でl=0と設定される。
ステップS31で媒介変数j、lの初期設定を行ったコンピュータは、後述するステップS33ないしステップS38に示すルーチンを繰り返し処理する(ステップS32)。このステップS32は、jを増加させながら(ステップS37およびステップS38を参照)、j≦iという条件が満たされる間において繰り返し実行される。なお、ステップS32においてj>iとなった場合、コンピュータは上記繰り返し処理を終了させて後述するステップS39を実行する。
上記ステップS32により繰り返されるルーチンにおいて、コンピュータは、まずj番目の解析候補スペクトルを取得して解析対象スペクトルとして設定する(ステップS33)。このステップS33は、本発明における「解析対象スペクトル用意ステップ」に相当する。そして、コンピュータは、ステップS33で設定した解析対象スペクトルにおいて、地盤の固有周波数を明りょうに判別することができるか否かを判定して(ステップS34)、条件分岐を行う(ステップS35)。
上記ステップS35の条件分岐において、ステップS34の判定結果が「いいえ」である(すなわち、解析対象スペクトルにおいて、地盤の固有周波数を明りょうに判別することができない)場合、コンピュータは、次の解析候補スペクトルに対する解析を実行するため、jに1を加算して(ステップS38)ルーチンを繰り返す。
一方、ステップS35の条件分岐において、ステップS34の判定結果が「はい」である(すなわち、解析対象スペクトルにおいて、地盤の固有周波数を明りょうに判別することができる)場合、コンピュータは、lにjを代入する(ステップS36)。媒介変数lを使用することにより、コンピュータは、地盤の固有周波数が明りょうに判別できる解析候補スペクトルが何番目の解析候補スペクトルであるかを記憶することができる。続いて、コンピュータは、jにiよりも大きな値(本実施形態ではi+1)を代入して(ステップS37)、ステップS32の繰り返し処理を終了させる。言い換えると、コンピュータは、地盤の固有周波数が明りょうに判別できる解析候補スペクトルが見つかった場合に、以降の解析候補スペクトルに対する解析を省略する。
ステップS32による繰り返し処理を終えたコンピュータは、総数i個の解析候補スペクトルの中に地盤の固有周波数が明りょうに判別できる(すなわち、地盤の各固有周波数が高精度で推定できる)解析候補スペクトルが存在するか否かを、l=0であるか否かによって判定する(ステップS39)。
ここで、ステップS39において、判定結果が「いいえ」(すなわち、l≠0)である場合、コンピュータは、少なくともl番目の解析候補スペクトルにおいて、地盤の固有周波数を明りょうに判別することができると判定していることになる。このため、コンピュータは、ステップS39の判定結果が「いいえ」である場合に、l番目の解析候補スペクトルの固有周波数および非共鳴周波数をそれぞれb次まで算定して、推定対象地域における地盤の固有周波数および非共鳴周波数の推定結果として出力する(ステップS40)。そして、コンピュータは、推定対象地域における地盤の振動特性の推定結果を出力するステップS9を終了させる。
一方、ステップS39において、判定結果が「はい」(すなわち、l=0)である場合、コンピュータは、地盤の固有周波数を明りょうに判別することができる解析候補スペクトルは存在しないと判定していることになる。このため、コンピュータは、ステップS39の判定結果が「はい」であり、かつ、i≧2である(すなわち、ステップS8で解析候補スペクトルが複数抽出された)場合に、1番目からi番目までの全ての解析候補スペクトルを相乗平均したスペクトルを算定し、このスペクトルを解析対象スペクトルとして設定し(ステップS41)、このステップS41で設定した解析対象スペクトルにおいて、地盤の固有周波数を明りょうに判別することができるか否かを判定して(ステップS42)、条件分岐を行う(ステップS43)。
ここで、上記ステップS41は、本発明における「解析対象スペクトル用意ステップ」に相当する。また、上記ステップS42は、上述したステップS34と全く同じ処理であり、本実施形態の振動特性推定プログラムでは同一のサブルーチン(図13および図14のサブルーチン4を参照)を使用する。このため、以下においては、ステップS34およびステップS42について、その説明およびフローチャートの図示をステップS34の説明およびフローチャートの図示により代表させて行い、ステップS42の説明およびフローチャートの図示は省略する。
上述した各ステップによれば、複数の解析候補スペクトルに含まれるノイズの解析対象スペクトルへの影響を相乗平均により減らして、この解析対象スペクトルから地盤の振動特性を推定する精度を向上させることができる。言い換えると、ステップS41によれば、複数の解析候補スペクトルから、地盤の固有周波数をより明りょうに判別することができる解析対象スペクトルを用意することができる。これにより、地盤の固有周波数を明りょうに判別することができる解析候補スペクトルが存在しない場合であっても、地盤の振動特性を高精度で推定できる可能性を生じさせることができる。
なお、ステップS39の判定結果が「はい」であり、かつ、i=1である(すなわち、ステップS8で解析候補スペクトルが1つだけ抽出された)場合は、ステップS41以降の解析により地盤の振動特性の推定精度を向上させることができない。このため、ステップS39の判定結果が「はい」であり、かつ、i=1である場合、コンピュータは、「地盤の振動特性の推定に失敗した」旨のエラーメッセージを出力して振動特性推定プログラムを強制終了させる。
さて、上記ステップS43の条件分岐において、ステップS42の判定結果が「はい」である(すなわち、解析対象スペクトルにおいて、地盤の固有周波数を明りょうに判別することができる)場合、コンピュータは、解析対象スペクトルの固有周波数および非共鳴周波数をそれぞれb次まで算定して、推定対象地域における地盤の固有周波数および非共鳴周波数の推定結果として出力する(ステップS44)。そして、コンピュータは、推定対象地域における地盤の振動特性の推定結果を出力するステップS9を終了させる。
一方、ステップS43の条件分岐において、ステップS42の判定結果が「いいえ」である(すなわち、解析対象スペクトルにおいて、地盤の固有周波数を明りょうに判別することができない)場合、コンピュータは、1番目からi番目までの各解析候補スペクトルの各極値の頻度分布から、地盤の固有周波数および非共鳴周波数を判定して出力するステップS45を実行する。そして、コンピュータは、推定対象地域における地盤の振動特性の推定結果を出力するステップS9を終了させる。
続いて、上述したステップS34の詳細について、図13および図14のフローチャートを用いて説明する。ここで、上述したステップS29で設定されてコンピュータに入力された最大次数bは、このコンピュータにより前もって取得されている(ステップS47)。
また、後述するステップS59で大小関係を比較される所定値m(ただし、m>0)は、技術者により前もって設定されて、コンピュータに入力されている(ステップS49)。
さらに、推定対象地域における地盤の物性によりb次以下の各固有周波数に成立する条件Dは、技術者が、ステップS34の実行前にコンピュータに設定させている(ステップS48)。上記地盤の物性は、技術者が前もって仮定してコンピュータに設定させている(ステップS46)。このステップS46は、本発明における「物性仮定ステップ」に相当する。
なお、以下においては、特に記載されていない限り、技術者が「地盤の物性は、振動特性の推定対象地域において不均一性が比較的小さい」ことを仮定したものとして説明を行う。すなわち、上述した条件Dは、「b(=3)以下の自然数cに対して、c次固有周波数の値を1次固有周波数の値で割った商が、c=1ならば1、c=2ならば2.7以上3.3以下、c=3ならば4.5以上5.5以下となる」こととなる。
ステップS46ないしステップS49の前処理が行われた後に、ステップS34を実行したコンピュータは、まず上述したステップS33またはステップS41で設定されて用意された解析対象スペクトルを取得する(ステップS50)。
ついで、コンピュータは、ステップS50で取得された解析対象スペクトルのスペクトル密度の各極大値および各極小値を、所定の振動周波数の範囲(本実施形態では0.1[Hz]以上かつ100[Hz]以下の範囲)において全て算定して抽出する(ステップS51)。このステップS51は、本発明における「極値抽出ステップ」に相当する。
続いて、コンピュータは、ステップS51で算定して抽出されたスペクトル密度の極大値のうち、振動周波数の値が所定値(本実施形態では1[Hz])以上のものを抽出する(ステップS52)。このステップS52により、コンピュータは、ステップS34における判定結果から、一般に比較的大きい低周波ノイズの影響を除去することができる。
そして、コンピュータは、ステップS52で抽出された各極大値のうち、スペクトル密度が最大となる極大値を判定して、この極大値に1番の番号を付加する(ステップS53)。すなわち、上記ステップS52およびステップS53は、本発明における「最大値判定ステップ」に相当する。
続いて、コンピュータは、後述する繰り返し処理(ステップS55)に使用する媒介変数c、nを設定する(ステップS54)。ここで、上記cは現時点で解析されている極値が何番であるかを示す引数であり、上記ステップS54でc=1と設定される。また、nはブーリアン(boolean)型の引数であり、地盤の固有周波数が明りょうに判別できる場合は0となり、地盤の固有周波数が明りょうに判別できない場合は1となるように対応づけられている。このnは、上記ステップS54でn=0と設定される。
ステップS54で媒介変数c、nの初期設定を行ったコンピュータは、後述するステップS56ないしステップS64に示すルーチンを繰り返し処理する(ステップS55)。このステップS55は、cを増加させながら(ステップS60およびステップS64を参照)、c≦bという条件が満たされる間において繰り返し実行される。なお、ステップS55においてc>bとなった場合、コンピュータは上記繰り返し処理を終了させて後述するステップS65を実行する。
上記ステップS55により繰り返されるルーチンにおいて、コンピュータは、まずステップS51で抽出されたスペクトル密度の極小値のうち、振動周波数がc番の極大値における振動周波数よりも大きいものを抽出する(ステップS56)。ここで、ステップS56において極小値の抽出に失敗した場合、コンピュータは、nに1を代入する。そして、コンピュータは、cにbよりも大きな値(本実施形態ではb+1)を代入して、ステップS55の繰り返し処理を終了させる。
上記処理によれば、コンピュータは、1番からb番までの極小値のうち、少なくとも1つの極小値の解析が実行できない場合に、解析対象スペクトルから地盤の固有周波数を明りょうに判別することはできないと判定することができる。
ついで、コンピュータは、ステップS56で抽出された各極小値のうち、振動周波数が最小となる極小値を判定して、この極小値にc番の番号を付加する(ステップS57)。すなわち、上記ステップS55によって繰り返されるステップS56およびステップS57は、本発明における「極小値番号付加ステップ」に相当する。
続いて、コンピュータは、c番の極大値とc番の極小値との差pを算定して求め(ステップS58)、この差pがステップS49で設定されて入力された所定値m以上であるか否かを、差pと所定値mとの大小関係の比較により判定する(ステップS59)。すなわち、上記ステップS55によって繰り返されるステップS58およびステップS59は、本発明における「第1の条件判定ステップ」に相当する。
ここで、ステップS59において、判定結果が「いいえ」(すなわち、p<m)である場合、c番の極大値とc番の極小値との差pは、解析対象スペクトルに現れた比較的小さなノイズが反映されたものであると考えることができる。すなわち、ステップS59の判定結果が「いいえ」である場合、解析対象スペクトルから地盤の固有周波数を明りょうに判別することはできないと考えることができる。
このため、コンピュータは、ステップS59の判定結果が「いいえ」である場合に、nに1を代入し、cにbよりも大きな値(本実施形態ではb+1)を代入して(ステップS60)、ステップS55の繰り返し処理を終了させる。言い換えると、コンピュータは、解析対象スペクトルから地盤の固有周波数を明りょうに判別することはできないと判定した場合に、以降の繰り返し処理を省略する。
一方、ステップS59において、判定結果が「はい」(すなわち、p≧m)である場合、コンピュータは、c番の極大値における振動周波数が地盤のc次固有周波数に等しいと仮定したときに、この地盤のc次固有周波数がステップS48で設定された条件Dが満たされて成立するか否かを判定する(ステップS61)。このステップS61は、本発明における「第2の条件判定ステップ」に相当する。
さて、ステップS61において、判定結果が「成立しない」である場合、c番の極大値またはc番の極小値の少なくとも一方は、解析対象スペクトルに現れたノイズの極大値または極小値が反映されたものであると考えることができる。すなわち、ステップS61の判定結果が「成立しない」である場合、解析対象スペクトルから地盤の固有周波数を明りょうに判別することはできないと考えることができる。このため、コンピュータは、ステップS61の判定結果が「成立しない」である場合に、上述したステップS60を実行して、ステップS55の繰り返し処理を終了させる。
また、ステップS61において、判定結果が「成立する」である場合、コンピュータは、ステップS55における次の繰り返し処理のための準備を行う。
すなわち、コンピュータは、まずステップS51で抽出されたスペクトル密度の極大値のうち、振動周波数がc番の極大値における振動周波数よりも大きいものを抽出する(ステップS62)。
ここで、ステップS62において極大値の抽出に失敗した場合、コンピュータは、c≠bであるか否かを判定し、c≠bである場合のみnに1を代入する。そして、コンピュータは、cにbよりも大きな値(本実施形態ではb+1)を代入して、ステップS55の繰り返し処理を終了させる。
上記処理によれば、コンピュータは、1番からb番までの極大値のうち、少なくとも1つの極大値の解析が実行できない場合に、解析対象スペクトルから地盤の固有周波数を明りょうに判別することはできないと判定することができる。また、コンピュータは、少なくとも1番からb番までの全ての極大値の解析が実行できた場合に、(b+1)番以降の極大値の解析が実行できるか否かにかかわらず、解析対象スペクトルから地盤の固有周波数が明りょうに判別できるか否かの判定を行うことができる。
ついで、コンピュータは、ステップS62で抽出された各極大値のうち、振動周波数が最小となる極大値を判定して、この極大値に(c+1)番の番号を付加する(ステップS63)。すなわち、上述したステップS53と、上述したステップS55によって繰り返されるステップS62およびステップS63と、は本発明における「極大値番号付加ステップ」に相当する。
そして、ステップS62およびステップS63を実行したコンピュータは、cに1を加算して(ステップS64)ルーチンを繰り返す。
ステップS55による繰り返し処理が終わった時点でn=0である場合、b以下の任意の自然数cに対して、c番のスペクトル密度の極大値と、c番のスペクトル密度の極小値との差が所定値m以上であるという第1の条件と、c番のスペクトル密度の極大値における振動周波数が、物性仮定ステップで仮定された地盤の物性およびcから導かれる所定の条件Dを満たすという第2の条件と、がともに満たされている。すなわち、解析対象スペクトルにおける地盤の固有周波数の推定精度は高いということができる。
このため、ステップS55による繰り返し処理を終えたコンピュータは、解析対象スペクトルにおいて地盤の固有周波数が明りょうに判別できるか否かを、n=0であるか否かによって判定する(ステップS65)。
ここで、上記ステップS65において、判定結果が「はい」(すなわち、n=0)である場合、コンピュータは、「解析対象スペクトルから地盤の固有周波数を明りょうに判別することができる」と判定して出力する(ステップS66)。
一方、ステップS65において、判定結果が「いいえ」(すなわち、n=1)である場合、コンピュータは、「解析対象スペクトルから地盤の固有周波数を明りょうに判別することはできない」と判定して出力する(ステップS67)。
そして、上記ステップS66またはステップS67のいずれかを実行したコンピュータは、解析対象スペクトルにおいて地盤の固有周波数を明りょうに判別することができるか否かを判定するステップS34を終了させる。
上記各ステップによれば、各解析候補スペクトルから用意された解析対象スペクトルにおいて、スペクトル密度の極大値と極小値との差が大きく、かつ、地盤の物性および固有周波数の次数によって決定される所定の条件Dを満たす解析対象スペクトルが抽出される。これにより、地盤の各固有周波数が高精度で推定される解析対象スペクトルが存在した場合に、この解析対象スペクトルの各固有周波数を推定対象地域の地盤の固有周波数と判定することで、地盤の各固有周波数の推定精度を向上させることができる。
続いて、上述したステップS45の詳細について、図15ないし図17のフローチャートと、図18および図19の各グラフと、を用いて説明する。
ステップS45を実行したコンピュータは、まず判定されるべき地盤の固有周波数および非共鳴周波数の最大次数bと、解析候補スペクトルの総数iと、をそれぞれ取得する(ステップS68)。
ついで、コンピュータは、1番目からi番目までの各解析候補スペクトルの、所定の振動周波数の範囲(本実施形態では0.1[Hz]以上かつ100[Hz]以下の範囲)におけるスペクトル密度の各極大値および各極小値を全て取得して用意する(ステップS69)。
ところで、上述したステップS34では、解析候補スペクトルをそのまま解析対象スペクトルとして解析を行う際に、解析対象スペクトルの各極大値および各極小値をそれぞれ算定して抽出するステップS51が実行される。このため、上記ステップS69において取得される各極大値および各極小値には、上記ステップS34における上記ステップS51の抽出結果を流用して用いることができる。
ステップS69で各解析候補スペクトルのスペクトル密度の各極大値を取得したコンピュータは、この各極大値の出現回数の頻度分布を所定の振動周波数の区間範囲に対して離散関数として求めて作成し(ステップS70)、求めた頻度分布の振動周波数に対する移動平均(本実施形態では、前後のデータを7区間分ずつ含めた15区間の単純移動平均)を算定して、第1の移動平均として求める(ステップS71)。すなわち、上記ステップS69およびステップS70は本発明における「極大値頻度分布作成ステップ」に、上記ステップS71は本発明における「第1の移動平均算定ステップ」に、それぞれ相当する。
なお、本実施形態では上記各極大値の頻度分布および第1の移動平均をグラフにプロットする操作を行うことはないが、各極大値の頻度分布および第1の移動平均をグラフにプロットした場合、例えば図18に示す極大値データ点4の頻度分布および第1の移動平均5のグラフが得られる。
また、ステップS69で各解析候補スペクトルのスペクトル密度の各極小値を取得したコンピュータは、この各極小値の出現回数の頻度分布を所定の振動周波数の区間範囲に対して離散関数として求めて作成し(ステップS72)、求めた頻度分布の振動周波数に対する移動平均(本実施形態では、前後のデータを7区間分ずつ含めた15区間の単純移動平均)を算定して、第2の移動平均として求める(ステップS73)。すなわち、上記ステップS69およびステップS72は本発明における「極小値頻度分布作成ステップ」に、上記ステップS73は本発明における「第2の移動平均算定ステップ」に、それぞれ相当する。
なお、本実施形態では上記各極小値の頻度分布および第2の移動平均をグラフにプロットする操作を行うことはないが、各極小値の頻度分布および第2の移動平均をグラフにプロットした場合、例えば図19に示す極小値データ点6の頻度分布および第2の移動平均7のグラフが得られる。
さて、ステップS71で第1の移動平均を求めたコンピュータは、この第1の移動平均から、解析候補スペクトルにおいてスペクトル密度を極大にする固有周波数が存在する可能性が高い振動周波数(以下、「固有周波数候補」とも称する。)を推定する。すなわち、コンピュータは、上記第1の移動平均における各極大値のうち、振動周波数の値が所定値o(本実施形態では1[Hz])以上となる極大値を抽出し、抽出された各極大値における振動周波数を固有周波数候補として抽出する(ステップS74)。上記ステップS74は、本発明における「固有周波数候補設定ステップ」に相当する。また、ステップS74は、図18に示す第1の移動平均5の極大値から、振動周波数が所定値o以上となる極大値を抽出して固有周波数候補8として設定することに相当する。
なお、上記ステップS74において、固有周波数候補から振動周波数の値が所定値未満となるものを除外することにより、コンピュータは、後述するステップS76ないしステップS81における判定結果から、一般に比較的大きい低周波ノイズの影響を除去することができる。
また、ステップS73で第2の移動平均を求めたコンピュータは、この第2の移動平均から、解析候補スペクトルにおいてスペクトル密度を極小にする非共鳴周波数が存在する可能性が高い振動周波数(以下、「非共鳴周波数候補」とも称する。)を推定する。すなわち、コンピュータは、上記第2の移動平均における各極大値のうち、振動周波数の値が所定値q(本実施形態では1[Hz])以上となる極大値を抽出し、抽出された各極大値における振動周波数を非共鳴周波数候補として抽出する(ステップS75)。このステップS75は、本発明における「非共鳴周波数候補設定ステップ」に相当する。また、ステップS75は、図19に示す第2の移動平均7の極大値から、振動周波数が所定値q以上となる極大値を抽出して非共鳴周波数候補9として設定することに相当する。
なお、上記ステップS75において、非共鳴周波数候補から振動周波数の値が所定値未満となるものを除外することにより、コンピュータは、後述するステップS76ないしステップS81における判定結果から、一般に比較的大きい低周波ノイズの影響を除去することができる。
上記ステップS74およびステップS75により固有周波数候補および非共鳴周波数候補の抽出と設定をそれぞれ実行したコンピュータは、固有周波数候補のうち、振動周波数に対するスペクトル密度が最大のものを、地盤の1次固有周波数r1(図18参照)であると判定して出力する(ステップS76)。このステップS76は、本発明における「1次固有周波数判定ステップ」に相当する。
続いて、コンピュータは、後述する繰り返し処理(ステップS79)に使用する媒介変数aを設定する(ステップS77)。ここで、上記aは現時点で解析されている固有周波数および非共鳴周波数の次数を示す引数であり、上記ステップS77でa=1と設定される。
ステップS77で媒介変数aの初期設定を行ったコンピュータは、aと上述したステップS68で取得したbとの大小関係を比較して、b>aであるか否かを判定する(ステップS78)。
ここで、上記ステップS78において、判定結果が「いいえ」(すなわち、b=a=1)である場合、地盤の1次非共鳴周波数を判定すれば振動特性の推定が終了することとなる。このため、コンピュータは、ステップS78において、判定結果が「いいえ」である場合、非共鳴周波数候補のうち、地盤のb(=1)次固有周波数よりも大きな非共鳴周波数候補を抽出し(ステップS80)、抽出された非共鳴周波数候補のうち最小のものを地盤のb(=1)次非共鳴周波数ub(図19参照)であると判定して出力する(ステップS81)。そして、コンピュータは、1番目からi番目までの各解析候補スペクトルの各極値の頻度分布から、地盤の固有周波数および非共鳴周波数を判定して出力するステップS45を終了させる。
一方、上記ステップS78において、判定結果が「はい」(すなわち、b>a=1)である場合、コンピュータは、地盤の固有周波数をおよび非共鳴周波数を次数が小さい順に判定して出力するステップS79を実行する。このステップS79では、コンピュータは、まず上述したaとbとを取得する(ステップS82)。
ついで、コンピュータは、後述するステップS84ないしステップS88に示すルーチンを繰り返し処理する(ステップS83)。このステップS83は、aを1ずつ増加させながら(ステップS88を参照)、a<bという条件が満たされる間において繰り返し実行される。なお、ステップS83においてa≧bとなった場合、コンピュータは上記繰り返し処理を終了させる。また、ステップS83は、本発明における「繰り返しステップ」に相当する。
上記ステップS83により繰り返されるルーチンにおいて、コンピュータは、まず地盤のa次固有周波数よりも大きな非共鳴周波数候補を抽出し(ステップS84)、抽出された非共鳴周波数候補のうち最小のものを地盤のa次非共鳴周波数ua(図19参照)であると判定して出力する(ステップS85)。ここで、上記ステップS84およびステップS85は、本発明における「a次非共鳴周波数判定ステップ」に相当する。
続いて、コンピュータは、地盤のa次非共鳴周波数よりも大きな固有周波数候補を抽出し(ステップS86)、抽出された固有周波数候補のうち最小のものを地盤の(a+1)次固有周波数周波数r(a+1)(図18参照)であると判定して出力する(ステップS87)。ここで、上記ステップS86およびステップS87は、本発明における「(a+1)次固有周波数判定ステップ」に相当する。
そして、上述したステップS83ないしステップS87を実行したコンピュータは、次の次数の非共鳴周波数および固有周波数に対する判定を実行するため、aに1を加算して(ステップS88)ルーチンを繰り返す。
なお、上述した第1の移動平均には、地盤の固有周波数の影響とは別に、ノイズの卓越振動周波数の影響による極大値が見られることがある(例えば図18の2[Hz]前後の振動周波数での固有周波数候補8を参照)。ここで、地盤の固有周波数と非共鳴周波数とを次数が低い順に交互に判定することで、上記卓越振動周波数の影響による振動特性の推定の誤りを減らすことができる。
ところで、上述したステップS83により繰り返されるルーチンでは、地盤のb次非共鳴周波数を判定する前に繰り返し処理が終了する。このため、上記ステップS83の繰り返し処理を実行したコンピュータは、非共鳴周波数候補のうち、地盤のb次固有周波数よりも大きな非共鳴周波数候補を抽出し(ステップS80)、抽出された非共鳴周波数候補のうち最小のものを地盤のb次非共鳴周波数ub(図19参照)であると判定して出力する(ステップS81)。
そして、コンピュータは、1番目からi番目までの各解析候補スペクトルの各極値の頻度分布から、地盤の固有周波数および非共鳴周波数を判定して出力するステップS45を終了させる。
上述した各ステップによれば、常時微動の複数の時間断面における非定常スペクトルである解析候補スペクトルにおいて、スペクトル密度の極大値および極小値の出現割合が高い振動周波数が、それぞれ地盤の各固有周波数および各非共鳴周波数に対応すると判定する。これにより、解析候補スペクトルの中にノイズが比較的大きいデータが混ざっていたとしても、ノイズが比較的小さい他の解析候補スペクトルから地盤の各固有周波数および各非共鳴周波数を推定することができる。
また、解析候補スペクトルにおけるスペクトル密度の極大値の最大値(すなわち、スペクトル密度の最大値)に対応する振動周波数を1次固有周波数r1と判定し、地盤の各固有周波数および各非共鳴周波数を次数が低い順に判定することで、この各固有周波数および各非共鳴周波数の次数を簡単に判定することができる。
本発明は、上述した一実施形態で説明した構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、以下のような各種の形態を実施することができる。
(1)本発明の振動特性を推定する方法は、技術者が、コンピュータ読み取り可能な記録媒体から振動特性推定プログラムを読み取ったコンピュータに、地盤の振動特性を推定させるものに限定されない。すなわち、振動特性推定プログラムを、インターネットなどの記録媒体を用いない情報伝達手段を通じてコンピュータに読み込ませて実行させることができる。また、技術者は、適宜選択した計算手段を用いて本発明の各ステップを実行することにより、振動特性推定プログラムを使用することなく振動特性を推定することができる。
(2)振動特性の推定のために用意される常時微動の観測データは、3軸で観測された速度波形のバイナリファイルに限定されない。すなわち、常時微動の観測データとして、変位波形または加速度波形を用意して振動特性を推定するために用いることができる。また、上記推定に用いる観測データの方向成分は特に限定されない。また、上記観測データのファイル形式は適宜設定することができ、地震計などの観測機器から観測データを逐次的にコンピュータに入力させることもできる。
(3)時間断面算定ステップで用意される各時間断面は、非定常スペクトル算定ステップで算定した常時微動の非定常スペクトルを所定のサンプリング周波数で離散化したものに限定されない。すなわち、各時間断面の時間軸上の位置は、常時微動の非定常スペクトルのデータが存在する1箇所以上の任意の位置に設定することができる。また、非定常スペクトル算定ステップにおいて常時微動の非定常スペクトルを時間に対する離散関数として算定し、この離散関数が値を有する各離散時間領域から、所定の条件を満たす離散時間領域を抽出することで各時間断面を用意することができる。
(4)解析候補スペクトル抽出ステップにおいて、各時間断面から解析候補スペクトルを抽出するためのスペクトル強度の基準は、各時間断面のスペクトル強度が所定の基準値以下であるか否かという基準に限定されない。すなわち、例えば時間断面算定ステップで用意された各時間断面を、スペクトル強度が小さい順に所定数(または各時間断面の総数に対して所定の割合)だけ抽出して解析候補スペクトルとすることができる。
(5)複数の解析候補スペクトルを用いて解析対象スペクトルを用意する方法は、全ての解析候補スペクトルを相乗平均する方法に限定されない。すなわち、複数存在する解析候補スペクトルの任意の組み合わせに対して、相加平均やアンサンブル平均など、ノイズの影響を低減させることができる任意の平均を取ることで、解析対象スペクトルを用意することができる。
(6)本発明の振動特性を推定する方法において、各ステップの実行順は上記実施形態の順序に限定されない。すなわち、例えば固有周波数候補設定ステップと非共鳴周波数候補設定ステップとで実行順を入れ替えるなど、各ステップの実行順を適宜変更することができる。
1 非定常スペクトル
2 平面
3 時間断面
4 極大値データ点
5 第1の移動平均
6 極小値データ点
7 第2の移動平均
8 固有周波数候補
9 非共鳴周波数候補
o 所定値
q 所定値
1、r2、r3 固有周波数
1、u2、u3 非共鳴周波数

Claims (8)

  1. 推定対象地域における地盤の振動特性を、当該地盤における常時微動を用いて推定する振動特性の推定方法であって、
    前記推定対象地域の所定の時間範囲における前記常時微動の観測データから、時間の関数として算定された前記常時微動の非定常スペクトルのスペクトル強度を、1つ以上の時間断面において算定するスペクトル強度算定ステップと、
    前記時間断面のうち、所定の基準によって前記スペクトル強度が比較的小さいと判定される前記時間断面における前記非定常スペクトルを、前記振動特性を推定するための解析候補スペクトルとして抽出する解析候補スペクトル抽出ステップと、を備えていることを特徴とする振動特性の推定方法。
  2. 請求項1に記載の振動特性の推定方法であって、
    前記解析候補スペクトルから前記振動特性を推定する振動特性推定ステップを備え、
    前記解析候補スペクトル抽出ステップにおいて、前記解析候補スペクトルを複数抽出し、
    さらに、前記振動特性推定ステップは、
    複数の前記解析候補スペクトルに対して、当該各解析候補スペクトルのスペクトル密度の極大値を所定の振動周波数の範囲において全て算定し、前記スペクトル密度の極大値の振動周波数に対する頻度分布を作成する極大値頻度分布作成ステップと、
    複数の前記解析候補スペクトルに対して、当該各解析候補スペクトルの前記スペクトル密度の極小値を前記振動周波数の範囲において全て算定し、前記スペクトル密度の極小値の振動周波数に対する頻度分布を作成する極小値頻度分布作成ステップと、
    前記スペクトル密度の極大値の頻度分布において、振動周波数に対する移動平均を所定の区間長で算定して第1の移動平均とする第1の移動平均算定ステップと、
    前記スペクトル密度の極小値の頻度分布において、振動周波数に対する移動平均を所定の区間長で算定して第2の移動平均とする第2の移動平均算定ステップと、
    前記第1の移動平均の極大値を抽出し、当該第1の移動平均の極大値における振動周波数を固有周波数候補と設定する固有周波数候補設定ステップと、
    前記第2の移動平均の極大値を抽出し、当該第2の移動平均の極大値における振動周波数を非共鳴周波数候補と設定する非共鳴周波数候補設定ステップと、
    前記固有周波数候補のうち、振動周波数に対するスペクトル密度が最大となる前記固有周波数候補を、前記地盤の1次固有周波数として判定する1次固有周波数判定ステップと、
    前記地盤のa次固有周波数(aは自然数)よりも大きい前記非共鳴周波数候補のうち、最小の当該非共鳴周波数候補を前記地盤のa次非共鳴周波数として判定するa次非共鳴周波数判定ステップと、
    前記地盤の前記a次非共鳴周波数よりも大きい前記固有周波数候補のうち、最小の当該固有周波数候補を前記地盤の(a+1)次固有周波数として判定する(a+1)次固有周波数判定ステップと、
    前記a次非共鳴周波数判定ステップおよび前記(a+1)次固有周波数判定ステップを、aを1から1ずつ増やしながら所定の回数実行することで、前記地盤の前記a次固有周波数および前記a次非共鳴周波数をaが小さい順に判定する繰り返しステップと、を備えていることを特徴とする振動特性の推定方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の振動特性の推定方法であって、
    前記推定対象地域における前記地盤の物性を仮定する物性仮定ステップと、
    前記解析候補スペクトルから前記振動特性を推定する振動特性推定ステップと、を備え、
    さらに、前記振動特性推定ステップは、
    前記解析候補スペクトルから解析対象スペクトルを用意する解析対象スペクトル用意ステップと、
    前記解析対象スペクトルにおいて、振動周波数に対する前記スペクトル密度の極大値および前記スペクトル密度の極小値をそれぞれ抽出する極値抽出ステップと、
    前記極値抽出ステップで抽出された前記スペクトル密度の極大値のうち、所定値以上の振動周波数を有するという条件を満たす前記スペクトル密度の極大値の最大値を判定する最大値判定ステップと、
    前記極値抽出ステップで抽出された前記スペクトル密度の極大値のうち、前記最大値における振動周波数以上の振動周波数を有する前記スペクトル密度の極大値を、振動周波数が小さい順にb個(bは自然数)抽出し、抽出されたb個の前記スペクトル密度の極大値に、当該振動周波数が小さい順に1番からb番までの番号を付加する極大値番号付加ステップと、
    c番(cはb以下の自然数)の前記スペクトル密度の極大値における振動周波数よりも大きな振動周波数を有する前記スペクトル密度の極小値のうち、最も小さい振動周波数を有する前記スペクトル密度の極小値に、c番の番号を付加する極小値番号付加ステップと、
    b以下の任意の自然数dに対して、d番の前記スペクトル密度の極大値と、d番の前記スペクトル密度の極小値との差が所定値以上であるという第1の条件が満たされているか否かを判定する第1の条件判定ステップと、
    b以下の任意の自然数eに対して、e番の前記スペクトル密度の極大値における振動周波数が、前記物性仮定ステップで仮定された前記地盤の前記物性およびeから導かれる所定の条件を満たすという第2の条件が満たされているか否かを判定する第2の条件判定ステップと、
    前記第1の条件および前記第2の条件をともに満たす前記解析対象スペクトルが存在した場合に、当該解析対象スペクトルにおける前記各スペクトル密度の極大値のうち、前記極大値番号付加ステップで番号が付加された前記スペクトル密度の極大値の振動周波数を前記地盤の固有周波数と判定する固有周波数判定ステップと、を備えていることを特徴とする振動特性の推定方法。
  4. 請求項3に記載の振動特性の推定方法であって、
    前記解析候補スペクトル抽出ステップにおいて、前記解析候補スペクトルを複数抽出し、
    前記解析対象スペクトル用意ステップにおいて、複数の前記解析候補スペクトルを平均して前記解析対象スペクトルを作成することを特徴とする振動特性の推定方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の振動特性の推定方法であって、
    前記推定対象地域における前記地盤の前記振動特性を振動特性仮定値として仮定する振動特性仮定ステップと、
    前記推定対象地域に入射する前記常時微動の実体波成分を実体波成分仮定値として仮定する実体波仮定ステップと、
    前記振動特性仮定値に基づいて、前記実体波成分仮定値を有する実体波の前記推定対象地域における非定常スペクトルを仮定的非定常スペクトルとして算定する仮定的非定常スペクトル算定ステップと、を備え、
    前記解析候補スペクトル抽出ステップにおいて、前記非定常スペクトルと前記仮定的非定常スペクトルとの間で遅れがない状態における、前記非定常スペクトルと前記仮定的非定常スペクトルとの相互相関関数の値を、前記時間断面ごとに相互相関値として算定し、かつ、当該相互相関値が所定値未満となる前記時間断面における前記非定常スペクトルを、当該非定常スペクトルの前記スペクトル強度と前記基準値との大小関係にかかわらず、前記解析候補スペクトルから除外することを特徴とする振動特性の推定方法。
  6. 請求項5に記載の振動特性の推定方法であって、
    前記解析候補スペクトル抽出ステップよりも前のステップとして、前記時間断面における前記非定常スペクトルに、前記スペクトル強度の小さい順に解析順を設定する解析順設定ステップを備え、
    前記解析候補スペクトル抽出ステップにおいて、前記相互相関値の算定および前記スペクトル強度と前記基準値との大小関係の比較を前記解析順に従って行い、前記スペクトル強度が前記基準値よりも大きくなった場合は、以降の前記解析順における前記相互相関値の算定および前記スペクトル強度と前記基準値との大小関係の比較を省略することを特徴とする振動特性の推定方法。
  7. コンピュータに、推定対象地域における地盤の振動特性を、当該地盤における常時微動を用いて推定するための振動特性推定プログラムであって、
    前記推定対象地域の所定の時間範囲における前記常時微動の観測データが、前記コンピュータに入力される入力ステップと、
    前記コンピュータが、前記入力ステップで前記コンピュータに入力された前記常時微動の前記観測データから、前記常時微動の非定常スペクトルを、当該非定常スペクトルのスペクトル密度および振動周波数ならびに時間を変数とした3次元関数として算定する非定常スペクトル算定ステップと、
    前記コンピュータが、前記非定常スペクトル算定ステップで前記コンピュータにより算定された前記非定常スペクトルの、前もって設定された1つ以上の離散時間領域における時間断面を、前記非定常スペクトルの前記スペクトル密度および振動周波数を変数とした2次元関数として用意する時間断面用意ステップと、
    前記コンピュータが、前記時間断面算定ステップで前記コンピュータにより算定された1つ以上の前記時間断面に対して、当該時間断面をそれぞれ前記常時微動の振動周波数で積分することで、前記非定常スペクトルのスペクトル強度を前記時間断面ごとに算定するスペクトル強度算定ステップと、
    前記コンピュータが、前記スペクトル強度算定ステップで前記コンピュータにより前記時間断面ごとに算定された前記非定常スペクトルの前記スペクトル強度に対して、当該スペクトル強度を前もって設定された基準値と比較し、前記スペクトル強度が前記基準値以下となる場合に、当該基準値との比較を行った前記スペクトル強度に対応した前記時間断面を解析候補スペクトルとして抽出する操作を、前記時間断面ごとに実行する解析候補スペクトル抽出ステップと、
    前記コンピュータが、前記解析候補スペクトル抽出ステップで前記コンピュータにより抽出された前記解析候補スペクトルから前記振動特性を推定する振動特性推定ステップと、を前記コンピュータに実行させるための振動特性推定プログラム。
  8. コンピュータに、推定対象地域における地盤の振動特性を、当該地盤における常時微動を用いて推定するための振動特性推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
    前記推定対象地域の所定の時間範囲における前記常時微動の観測データが、前記コンピュータに入力される入力ステップと、
    前記コンピュータが、前記入力ステップで前記コンピュータに入力された前記常時微動の前記観測データから、前記常時微動の非定常スペクトルを、当該非定常スペクトルのスペクトル密度および振動周波数ならびに時間を変数とした3次元関数として算定する非定常スペクトル算定ステップと、
    前記コンピュータが、前記非定常スペクトル算定ステップで前記コンピュータにより算定された前記非定常スペクトルの、前もって設定された1つ以上の離散時間領域における時間断面を、前記非定常スペクトルの前記スペクトル密度および振動周波数を変数とした2次元関数として用意する時間断面用意ステップと、
    前記コンピュータが、前記時間断面算定ステップで前記コンピュータにより算定された1つ以上の前記時間断面に対して、当該時間断面をそれぞれ前記常時微動の振動周波数で積分することで、前記非定常スペクトルのスペクトル強度を前記時間断面ごとに算定するスペクトル強度算定ステップと、
    前記コンピュータが、前記スペクトル強度算定ステップで前記コンピュータにより前記時間断面ごとに算定された前記非定常スペクトルの前記スペクトル強度に対して、当該スペクトル強度を前もって設定された基準値と比較し、前記スペクトル強度が前記基準値以下となる場合に、当該基準値との比較を行った前記スペクトル強度に対応した前記時間断面を解析候補スペクトルとして抽出する操作を、前記時間断面ごとに実行する解析候補スペクトル抽出ステップと、
    前記コンピュータが、前記解析候補スペクトル抽出ステップで前記コンピュータにより抽出された前記解析候補スペクトルから前記振動特性を推定する振動特性推定ステップと、を前記コンピュータに実行させるための振動特性推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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