JP2014005964A - ボイラのNOx処理システム - Google Patents

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【課題】 酸化触媒のS被毒の影響を少なくできると共に、難しい空気比制御を必要とすることなく、NOxを低減すること。
【解決手段】
バーナ5にて生成される排ガスから吸熱する吸熱部6を通過後の前記排ガス中に一酸化炭素の濃度が実質的に零で、一酸化窒素が含まれるように、排ガス中の酸素濃度を理論空気比の酸素濃度より高い所定濃度に調整したボイラ1と、吸熱部6の下流側に設けられ、一酸化炭素の濃度が実質的に零の状態で、排ガス中に含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に酸化する酸化触媒2と、酸化触媒2の下流側に設けられ、結露水に二酸化窒素を溶解させるエコノマイザ3と、二酸化窒素が溶解して生ずる硝酸および亜硝酸を中和剤にて中和処理する中和処理手段4とを含むボイラのNOx処理システム。
【選択図】図1

Description

この発明は、ボイラのNOx処理システムに関する。
出願人は、酸化触媒を用い、バーナの空気比を理論空気比近傍に制御することで、極低NOxを可能とする低NOx化技術を特許文献1などで提案している。この特許文献1の低NOx化技術は、排出NOx濃度およびCO濃度を実質的に零にすることができると共に、理論空気比近傍で燃焼させるので、省エネを達成できる。しかし、酸化触媒に流入する排ガス中の酸素濃度が低いために、酸化触媒のイオウ(S)被毒の影響が大きく、実用化のためにはS被毒の対策が重要となる。また、バーナの空気比を理論空気比近傍の狭い範囲で制御しなければならないので、空気比制御が容易ではない。
特開2008−57956号公報
この発明が解決しようとする課題は、酸化触媒のS被毒の影響を少なくできると共に、難しい空気比制御を必要とすることなく、NOxを低減することである。
この発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、
請求項1に記載の発明は、燃料を燃焼させて排ガスを生成させるバーナと、前記バーナにて生成される排ガスから吸熱する吸熱部とを備え、前記吸熱部を通過後の前記排ガス中に一酸化炭素の濃度が実質的に零で、一酸化窒素が含まれるように、前記排ガス中の酸素濃度を理論空気比の酸素濃度より高い所定濃度に調整したボイラと、
前記吸熱部の下流側に設けられ、一酸化炭素の濃度が実質的に零の状態で、前記排ガス中に含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に酸化する酸化触媒と、
前記酸化触媒の下流側に設けられ、表面で生成された結露水に二酸化窒素を溶解させるエコノマイザと、
前記二酸化窒素が溶解して生ずる硝酸および亜硝酸を中和剤にて中和処理する中和処理手段とを含むボイラのNOx処理システムを特徴としている。
ここで、「一酸化炭素濃度が実質的に零」は、好ましくは、5ppm,さらに好ましくは、3ppmである。また、酸素濃度の「所定濃度」は、0.5%以上、4.0%以下が好ましい。
この発明によれば、酸化触媒に流入する排ガス中の酸素濃度を理論空気比の酸素濃度より高い濃度としているので、酸化触媒のS被毒の影響を少なくできると共に、理論空気比近傍の難しい空気比制御を必要とすることなく、NOxを低減することができる。
この発明を実施したボイラのNOx処理システムの実施例1の一部縦断面の概略構成図である。 同実施例1のボイラの模式的な燃焼特性図である。 この発明を実施したボイラのNOx処理システムの実施例2の一部縦断面の概略構成図である。
この発明のボイラのNOx処理システムの実施例1を図面に従い説明する。
(実施例1の構成)
この実施例1のNOx処理システム(以下、単に、システムと称する。)は、蒸気ボイラ(以下、単にボイラと称する。)1と、酸化触媒(以下、単に触媒と称する。)2と、エコノマイザ3と、中和処理手段4とを含んで構成されている。なお、このNOx処理システムは、酸化触媒2および中和処理手段4を含んだボイラ1と称することができる。
ボイラ1は、バーナ5と、このバーナ5から生成される排ガスの吸熱を行う吸熱部としての水管群6を含む缶体7と、バーナ5へガス燃料を供給する燃料供給手段8と、バーナ5へ燃焼空気を供給するとともに燃焼空気および燃料を予混合する燃焼空気供給手段9と、燃料供給手段8および燃焼空気供給手段9などを制御する制御器11とを備えている。
バーナ5は、平面状の燃焼面(予混合気の噴出面)を有する完全予混合式バーナである。このバーナ5は、特許文献1に記載のバーナと同様の構成であるが、この形式のバーナに限定されない。
缶体7は、上部管寄せ12および下部管寄せ13を備え、この両管寄せ間に吸熱部としての水管群6を構成する複数の内側水管6A,6A,・・・を配置している。そして、缶体7の長手方向の両側部に外側水管(図示省略)を連結部材(図示省略)で連結して構成した一対の水管壁(図示省略)を設け、この両水管壁(図示省略)と上部管寄せ12および下管寄せ13との間にバーナ5からの排ガスがほぼ直線的に流通する第一排ガス通路14を形成している。第一排ガス通路14の一端にはバーナ5が設けられ、他端には排排ガスが流通する第二排ガス通路(煙道)15が接続されている。この実施例1においては、バーナ5および缶体7は、公知のものを用いている。
燃料供給手段8は、ガス燃料供給管16と、このガス燃料供給管16に設けた燃料流量を調整する流量調整弁17とを含んで構成されている。流量調整弁17は、燃料供給量を高燃焼用流量と低燃焼用流量とに制御する機能を有する。
燃焼空気供給手段9は、送風機18と、この送風機18からバーナ5へ燃焼空気を供給する給気通路19とを含んで構成されている。給気通路19内へは、ガス燃料供給管16が燃料排ガスを噴出するように接続されている。
そして、ボイラ1は、予め、水管群6を通過後の排ガス中の一酸化炭素の濃度が実質的に零で、一酸化窒素の濃度が第一所定濃度P1で含まれるように、排ガス中の酸素濃度を理論空気比の酸素濃度より高い第二所定濃度P2としている。
今、ボイラ1の燃焼特性,すなわち水管群6の下流の排ガスの酸素(O)濃度に対する一酸化炭素(CO)濃度と、NOx(NOとNO)濃度との関係が模式的に図2で示されるものであったとする。この実施例1では、排ガスのO濃度を2%とすることで、触媒2に流入する排ガスのCO濃度は、実質的に零となっている。なお、図2から明らか
なように、排ガスのO濃度を2%より大きい数値にしても触媒2に流入する排ガスのCO濃度は、実質的に零となるが、そうしないのは、空気比増加による効率の低下を防ぐためである。
第二排ガス通路15は、排ガスの流れ方向の変化応じて、水平方向流部15A→第一垂直上昇流部15B→垂直下降流部15C→第二垂直上昇流部15Dが形成されている。水平方向流部15Aには、触媒5が装着され、垂直下降流部15Cには、触媒5の下流側に位置するように排熱回収器としてのエコノマイザ(給水予熱器)3が装着され、垂直下降流部15Cから第二垂直上昇流部15Dへの流れ変更分部には、中和処理手段4を設けている。この第二排ガス通路15の構成は、図示のものに限定されない。
エコノマイザ3は、低温の缶体7への給水と高温の排ガスとが間接的に熱交換する熱交換器であり、排ガスが接触する表面に結露水が生成される。そして、その結露水にNOが溶解して、硝酸(HNO)、亜硝酸(HNO)を生成する。このエコノマイザ3は、排ガスと結露水との接触面積を大きくするように、できるだけ表面積を大きい、フィンチューブ式熱交換器とするが、これに限定されるものではない。
触媒5は、流入する排ガス中のCO濃度が実質的に零の状態で、排ガス中に含まれるNOをNOに酸化する機能を有している。この実施例1では、特許文献1と同様に、触媒活性物質として、一般的に白金を用いているが、実施に応じて、白金に代表される貴金属(Ag,Au,Rh,Ru,Pt,Pd)または金属酸化物を用いることができる。
つぎに、中和処理手段4について説明する。図1を参照して、中和処理手段4は、エコノマイザ3にて生成され、HNOおよびHNOを含む結露水(ドレン)を貯留する結露水貯留部4Aと、この結露水貯留部4A内へ中和剤を投入する投入窓(図示省略:常時は蓋で閉じている)と、中和処理済の結露水を排出する排水路4Bとを含んで構成されている。排水路4Bには、結露水の排出を制御する排水弁4Cが設けられ、排水弁4Cは、制御器11により、排水スイッチ(図示省略)の操作により、自動的に制御されるが、手動操作弁とすることができる。中和剤としては、この実施例では、粒子状の炭酸カルシウムを用いるが、水酸化ナトリウム,酸化カルシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウムなどを用いることができる。中和剤は、粒子状のものに限定されず、液体であってもよい。この実施例1では、中和剤の結露水貯留部4Aへの投入を手動で行うように構成しているが、排水と同様に自動化することも可能である。
(実施例1の動作)
ここで、上述の構成を有する実施例の動作を説明する。水管群6を通過後の排ガスの酸素濃度が2%となっている。その結果、図2に示すように、触媒2へ流入する排ガス中のCO濃度,NO濃度,NO濃度は、それぞれ零,P1ppm,P2ppmとなっている。
排ガス中のCO濃度が零となっているので、触媒2では、次式の反応により、NOが酸化されてNOとなる。
NO+1/2O→NO
ついで、エコノマイザ3では、排ガスと給水とが熱交換することで、表面に結露水が生じる。この結露水に排ガス中に含まれるNOが溶解し、次式の反応で、硝酸および亜硝酸を生ずる。
2HO+2NO→HNO+HNO
硝酸および亜硝酸を含んだ結露水は、落下して結露水貯留部4Aに貯留される。そして、投入された中和剤としての炭酸カルシウムにより、硝酸および亜硝酸が次式の反応で中
和される。
CaCO+2HNO→Ca(NO+CO+H
CaCO+2HNO→Ca(NO+CO+H
中和処理された結露水は、排水路4Bを通して排水される。こうして、排ガス中のNOx濃度が中和処理により低減されることになる。Ca(NOおよびCa(NOは、水に溶解していて排水される。
触媒2に流入する排ガス中のO濃度を理論空気比とすると、Sが酸化物として飛散せず触媒2上にとどまるために、触媒2のS被毒量が多くなる。これに対して、上記の実施例1によれば、理論空気比のO濃度より高い濃度Yとしているので、触媒2のS被毒の影響を少なくできる。また、特許文献1のような理論空気比近傍の難しい空気比制御を必要とすることなく、NOxを低減することができる。
この発明は、前記実施例1に限定されるものではない。実施例1は、酸素濃度センサから信号に基づき、触媒2に流入する排ガスの酸素濃度を設定濃度に制御する空気比調整手段を備えない簡易な構成のシステムとしている。しかしながら、この発明は、図3に示す実施例2のように、空気比調整手段を備えたシステムにも適用可能である。以下に、実施例2について、実施例1と異なる構成を中心に説明し、実施例1と同じ構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
図3を参照して、実施例2のシステムでは、給気通路19を流れる燃焼空気量を調整することでバーナ5の空気比を調整する空気比調整手段20を含んでいる。空気比調整手段20は、給気通路19の開度(流路断面積)を調整する流量調整手段としてのダンパ21と、このダンパ21の開度位置を調整するためのダンパ位置調整装置22と、このダンパ位置調整装置22の作動を制御する制御器11とを含んで構成されている。なお、空気比調整手段20は、ダンパ21を用いることなく、送風機18をインバータ制御するものであってもよい。
そして、制御器11は、触媒5の上流において酸素濃度を検出するセンサ23からの信号を入力して、空気比調整手段20を制御することにより、センサ23により検出される水管群6の下流の排ガスのO濃度が第二設定濃度Y=2%(設定O濃度)となるように、構成されている。
実施例2による排ガスのNOx処理動作は、実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
さらに、この発明は、実施例1および実施例2に限定されるものではない。たとえば、ボイラ1は蒸気ボイラ以外の温水ボイラにも適用される。また、缶体7および吸熱部は、図1の構造のものに限定されない。
1 蒸気ボイラ(ボイラ)
2 酸化触媒
3 エコノマイザ
4 中和処理手段
5 バーナ
6 水管群(吸熱部)

Claims (1)

  1. 燃料を燃焼させて排ガスを生成させるバーナと、前記バーナにて生成される排ガスから吸熱する吸熱部とを備え、前記吸熱部を通過後の前記排ガス中に一酸化炭素の濃度が実質的に零で、一酸化窒素が含まれるように、前記排ガス中の酸素濃度を理論空気比の酸素濃度より高い所定濃度に調整したボイラと、
    前記吸熱部の下流側に設けられ、一酸化炭素の濃度が実質的に零の状態で、前記排ガス中に含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に酸化する酸化触媒と、
    前記酸化触媒の下流側に設けられ、表面で生成された結露水に二酸化窒素を溶解させるエコノマイザと、
    前記二酸化窒素が溶解して生ずる硝酸および亜硝酸を中和剤にて中和処理する中和処理手段とを含むことを特徴とするボイラのNOx処理システム。
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