JP2013545138A - オンチップ型4dライトフィールド顕微鏡 - Google Patents

オンチップ型4dライトフィールド顕微鏡 Download PDF

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Abstract

本発明は、流体光学顕微鏡(OFM)と、ホログラフィック撮像顕微鏡とを備えて、コンピュテーショナル・フォトグラフィーの原理を取り入れるオンチップ型レンズレス顕微鏡システム(10)を示す。LF−OFMシステム(10)は、開口(38)を有する少なくとも1つのプラズモンレンズ(50)と、少なくとも1つのマイクロ流体流路(28)と、画像センサアレイ(24)とを備える。システム(10)は、コンピュテーショナル・フォトグラフィーにより画像を生成することが可能である。

Description

本発明は、一般に、流体光学顕微鏡とホログラフィック撮像顕微鏡とを備えるオンチップ型レンズレス顕微鏡システムに関する。
21世紀において個人診断法やポイントオブケアによる健康管理の確保のための課題として、購入しやすい価格の診断法が顕著になってきている。これは、開発途上国(低コスト)と、先進国(高齢化社会による医療インフラの逼迫)との両者にとって重要である。現代のエンジニアリング技術、測定技術、バイオマーカ検出技術により、ヒトの体液(血液、腸内体液、尿、唾液)一滴から重要な情報を取り出して、病気の化学的マーカのサインを認めることができる。通常、生物サンプルは限られており、サンプル中の対象分子や蛋白質の濃度はpmol/Lの範囲であることが多いので、サンプル量が最小限の場合には、感度、特異性、精度とも高い検出器が不可欠である。マイクロ流体センサ、あるいは、一般にラブオンチップ(LOC)技術は、開発途上国の人々の健康改善について、まだ立証されてはいないが非常に大きな潜在力がある。1990年頃にLOCとマイクロ流体技術が導入されて以来、小型であること、必要なサンプルが少なくてすむこと、そして、迅速に分析できることを活かすことにより、遠隔地環境でのこの技術の使用は潜在的に最も強力な用途のひとつであると考えられている。実際、流体の作動処理、サンプルの前処理、サンプルの分離、信号増幅、信号検出を一つの装置に一体化する開発過程の結果、携帯型LOC装置が遠隔地環境で使用され始めている。現状のままでは、これらの装置はまだ、開発途上国における極端にリソース不足の環境での使用には適していない。しかし、こうした進歩により、LOC研究の分野は、世界の深刻な健康問題に取り組むための重要な位置を占めるようになっている。この分野では、装置設計の課題がおそらく最も難しく、新たなヘルステクノロジーが最も必要である。
米国特許第7751048号、Yang et al.、Optofluidic Microscope Device(流体光学顕微鏡装置)は、光透過領域と、流体流路を流れる物体を撮像するのに使用される光検出器とを備える装置を開示している。
米国特許第7768654号、Ciu et al.、On-Chip Phase Microscope/Beam Profiler Based on Differential Interference Contrast And/Or Surface Plasmon Assisted Interference(微分干渉及び/又は表面プラズモンアシスト干渉に基づくオンチップ位相顕微鏡又はビームプロファイラ)は、ヤングの干渉に基づくDIC顕微鏡及び/又はライトフィールドプロファイラを開示している。
米国特許第7751048号、Yang et al.、Optofluidic Microscope Device Featuring A Body Comprising A Fluid Channel And Having Light Transmissive Regions(流体流路を備え、光透過領域を有する本体を特徴とする流体光学顕微鏡装置)は、表面を有する流体流路を備え、細菌やウィルス等の対象物が流体流路を流れているときに流体流路の底部の光撮像素子を用いて対象物を撮像する装置を開示している。
PCT番号WO2009/088930、Fletcher et al.、High Numerical Aperture Telemicroscopy Apparatus(高開口数の遠隔顕微鏡装置)は、病気診断や症状分析や処置後のモニタリングに用いられるカメラ付き携帯電話機により構成される撮像システムを開示している。
米国特許第7792423号、Raskar et al、4D Light Field Camera(4Dライトフィールドカメラ)は、検知前に4Dライトフィールドを変調することにより、ある場面の4Dライトフィールドを取得するカメラを開示している。
流体光学の観点から、新たな方法で試料を観察する必要がある。
また、流体光学の観点から、画像の解像度を高める必要がある。
また、流体光学の観点から、多くの生体検知プラットフォームでは、貯蔵有効期間が限られた高価なバイオマーカを用いているので、低コストでラベルフリーの生体検知が必要である。
また、流体光学の観点から、偽陰性結果を少なくするために感度を上げる必要がある。
また、流体光学の観点から、偽陽性を少なくするために特異性を得る必要がある。
本発明は、ポイントオブケア装置として広く利用でき、個人診断にも利用できる新規な低コストのラブオンチップ(LOC)診断プラットフォームに関する。具体的には、本発明は、プラズモンレンズと、マイクロ流体装置と、CMOS画像センサアレイとを一体化し、コンピュテーショナル・フォトグラフィーにより4D画像を生成することが可能なオンチップ型流体光学顕微鏡(OFM)システムに関する。本案のセンサプラットフォームを携帯電話機に取り付ければ、携帯電話機のカメラをポイントオブケア装置や個人診断用に利用することができる。
本発明は、流体光学の課題に対する解決策を提供することが可能である。また、本発明は、サンプリングレートを上げる(毎秒の画像数を増やす)ことにより高解像度を実現できる。また、本発明は、廉価で効果的な生体検知を可能とする標準的なバルクCMOS技術を用いて、低コストでラベルフリーの生体検知を提供することができる。また、本発明は、検査の視点と被写界深度とを変更することにより、高感度(偽陰性結果が少ない)と高特異性(偽陽性が少ない)を実現することができる。多くの生体サンプルは集合体化しているので、本発明は視点の変更を可能にすることにより、個々のセルをカウントして区別する性能を高める。また、本発明は、プラズモンレンズと、マイクロ流体装置と、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)画像センサアレイとを一体化し、コンピュテーショナル・フォトグラフィーによる4Dライトフィールドを用いて、3D画像を生成することが可能なオンチップ型ライトフィールド流体光学顕微鏡(LF-OFM)システムを提供することができる。
こうした課題に対応するために、本発明は、流体光学顕微鏡(OFM)と呼ばれるオンチップ型レンズレス顕微鏡システムを拡張して、コンピュテーショナル・フォトグラフィーの原理を取り入れる。OFM方式では、単純化したマイクロ流体の流れを利用して、LED又LEDアレイ等の光源により照明される金属被膜CMOS撮像センサ上に直線状に並んだ小径開口アレイを横切るように生物サンプルを移動させる。サンプルが通過すると直線状の開口アレイを介した光の透過が遮断されるので、各開口に対応する時変透過により、生物サンプルのライントレースが得られる。直線状の開口アレイからのライントレースを再構成することにより、開口サイズに匹敵する解像度で、生物サンプルの高解像度画像を再構成できる。直線状の開口アレイを対角線上に配置してもOFM解像度への影響はない。OFMから画像を得るため、具体的には、直線状の開口アレイの真下の画素から信号を読み取るように、画像センサのプログラミングを行う。記録されている読み取りレートは1.3kHz/sである。各開口を介して測定される時変透過の変化により、マイクロ流体流路を通過するサンプルのラインスキャンが得られる。各開口からのラインスキャンを重畳すれば、サンプルの画像を生成することができる。
本発明は、OFM顕微鏡にて捕捉した4Dライトフィールドの記録及び制御を行うことにより、OFMの機能性と有用性を拡張する。以降、このOFM顕微鏡のことを、ライトフィールド流体光学顕微鏡(LF−OFM)と呼ぶ。従来の写真とは異なり、ライトフィールドによって、画像センサの解像度と光学系の回折限界とに従って、スナップショット撮影後に視点と焦点を操作することが可能である。LF−OFMで捕捉した画像から、少なくとも捕捉された光線の角度限界まで傾斜した正投影図及び/又は斜視図を生成するためのライトフィールドレンダリング処理を採用することができる。LF−OFMは、画像取得と、視点及び焦点の選択とを分けているので、撮影後に信号処理アルゴリズムによる焦点と視点の操作が可能な「デジタルファインダー」として使用することができる。このような選択処理にコンピュータビジョンアルゴリズムを適用すれば、多数の試料を分析するときに顕微鏡操作を大幅に自動化することができる。通常、顕微鏡は正投影画像を記録するので、斜視図は試料に対する新たな観察方法となる。また、適応的な被写界深度や試料の空間(斜視)図により、高感度(偽陰性結果が少ない)と高特異性(偽陽性が少ない)とが得られる。
また、捕捉したライトフィールドから、合成開口撮影法を用いて、異なる深度で焦点を合わせた画像を生成することもできる。単一の入力画像から焦点スタックを作成できることで、移動する試料又は光感応性の試料を記録することができる。さらに、これらの焦点スタックに3D逆畳み込みを行うことにより、断面のスタックを再構成することができ、これは、ボリュームレンダリング処理を用いて視覚化が可能である。
本発明の新規な側面は、開口アレイと画像センサとの距離を長くすることである。これは、LF−OFMの空間解像度及び角解像度を高めるのに必要である。より多くの画素が入射光による照明を必要とするからである。
本発明の他の側面は、開口アレイの下の個々の画素を読み込むOFMシステムとは対照的に、タイルと呼ばれる画素列を読み込み、マイクロ流体流路を流れる生物試料の4Dライトフィールドを捕捉する。各タイルは高いレートで読み込まれる。各開口からのタイルスキャンを重畳することにより、サンプルの4Dライトフィールド画像を生成する。
本発明のさらに他の側面は、LF−OFMシステムのウェハレベル処理により(実装された単一の画像センサを用いるのではなく)、大量生産を行うことである。
本発明のさらに他の側面は、使い捨てのマイクロ流体チップをLF−OFMシステムに挿入できるメカニズムにより、同じLF−OFMプラットフォームを用いて種々の病気の検知を可能にする。
本発明のさらに他の側面は、並列画像処理を行うシステムであって、異なる層のサンプルを別々に撮像してシステムのスループットを高める。
本発明のさらに他の側面は、移動体通信ネットワークのサービスが得られる遠隔地域で診断を行うために、自動コンピュータ画像認識アルゴリズムを4Dライトフィールド画像に適用してセルを識別する(整合フィルタリング、二値画像処理、モーメント計算、パターン分類等)。
本発明のさらに他の側面は方法である。本方法は、流体光学顕微鏡で捕捉した4Dライトフィールドの記録及び制御を行うことにより開始する。また、本方法は、ライトフィールドを捕捉することにより、スナップショット撮影後に視点と焦点の操作を可能する。また、本方法は、傾斜した正投影図及び/又は斜視図を生成するライトフィールドレンダリング処理を用いる。また、本方法は、コンピュータビジョンアルゴリズムをライトフィールド画像に適用して、多数の試料を分析するときに顕微鏡動作を大幅に自動化する。また、本方法は、適応的な被写界深度や試料の空間(斜視)図により、高感度(偽陰性結果が少ない)と高特異性(偽陽性が少ない)を得る。
LF−OFMシステムの概略図である。 LED光源とプラズモンマスクとがマイクロ流体流路に一体化された、移動通信装置を用いるLF−OFMシステムの他の実施形態の概略図である。 LF−OFMシステムの上平面図である。 図1BのLF−OFMシステムの画像センサを分離して示す図である。 図1BのLF−OFMシステムの断面図である。 図1に示すような装置の三次元概略構成を示す図である。 平面波照明を行うLF−OFMシステムを二次元で示すとともに、対応するCMOSセンサのピクセル化強度を示す図である。 平面波照明を行うLF−OFMシステムを二次元で示すとともに、対応するCMOSセンサのピクセル化強度を示す図である。 平面波照明を行うLF−OFMシステムを二次元で示すとともに、対応するCMOSセンサのピクセル化強度を示す図である。 3D撮像及び分析を行う多層プロセスユニットの三次元概略構成を示す図である。 図4の層1の二次元で示す図である。 図4の層2を二次元で示す図である。 図4の層3を二次元で示す図である。 4Dライトフィールドを使用する方法のフローチャートである。 4Dライトフィールド画像を生成する方法のフローチャートである。 LF−OFHMの製造方法のフローチャートである。 LF−OFHMの製造方法のフローチャートである。
本発明は、流体光学顕微鏡(OFM)とホログラフィック撮像顕微鏡とを備え、コンピュテーショナル・フォトグラフィーの原理を取り入れたオンチップ型レンズレス顕微鏡システムを示す。これにより、視覚化が向上して、スループットが高い三次元撮像システムが得られる。流体光学顕微鏡とホログラフィック撮像顕微鏡については、1)X.Q.Cui, L.M.Lee, X.Heng, W.W.Zhong, P.W.Sternberg, D.Psaltis, and C.H.Yang, Proc.Natil.Acad.Sci. U.S.A., 2008, 105, 10670-10675、2)X.Heng, D.Erickson, L.R.Baugh, Z.Yaqoob, P.W.Sternberg, D.Psaltis, and C.H.Yang, Lab Chip, 2006, 6, 1274-1276 、3)Seo,S. Su,T.-W., Tseng,D.K., Erlinger,A. and Ozcan,A., Lab Chip 2009, 9, 777-787の各文献に詳細に記載されている。本願では、これら3つの文献をすべて参照することにより援用する。
OFM方式では、好ましくは、簡略化したマイクロ流体の流れを利用して、発光ダイオード(LED)又LEDアレイ等の光源により照明される金属被膜CMOS撮像センサ上に直線状に並んだ小径開口アレイを横切るように生物サンプルを移動させる。サンプルが通過すると直線状の開口アレイを介した光の透過が遮断されるので、各開口に対応する時変透過により、生物サンプルのライントレースが得られる。直線状の開口アレイからのライントレースを再構成することにより、開口サイズに匹敵する解像度で、生物サンプルの高解像度画像を再構成できる。本願で参照により援用する文献X.Q.Cui, L.M.Lee, X.Heng, W.W.Zhong, P.W.Sternberg, D.Psaltis, and C.H.Yang, Proc.Natil.Acad.Sci. U.S.A., 2008, 105, 10670-10675において説明されているように、直線状の開口アレイを対角線上に配置してもOFM解像度への影響はない。
OFMから画像を得るため、具体的には、直線状の開口アレイの真下の画素から信号を読み取るように、画像センサのプログラミングを行う。読み取りレートは好ましくは1.3kHz/sである。各開口を介して測定される時変透過の変化により、マイクロ流体流路を通過するサンプルのラインスキャンが得られる。各開口からのラインスキャンを重畳すれば、サンプルの画像を生成することができる。
また、生物サンプルのレンズフリーの撮像は、ホログラフィック撮像によっても得られる。ホログラフィック撮像では、センサアレイ(CMOS又はCCD)上のサンプルの回折パターンが得られる。回折パターンは、光源と被撮像サンプルとの間の単一の開口を用いることにより鮮明化される。画像処理アルゴリズムを実行し、サンプル内の各粒子について得られる回折パターンに応じて、センサの特定領域上に存在するサンプルタイプを識別する。
OFMとホログラフィックシステムとによるレンズレス撮像及びカウント技術により、生物サンプルの高精度な分析のためのプラットフォームが得られる。これら方式の類似点は、1又は多数の開口を使用することであり、これは撮像システムの最適化における重要な要素である。
本発明は、顕微鏡画像にて捕捉した4Dライトフィールドの記録及び制御を行うことにより、レンズレス撮像システムの機能性と有用性を拡張する。以降、これをライトフィールド流体光学ホログラフィック顕微鏡(LF−OFHM)と呼ぶ。従来の写真とは異なり、ライトフィールドによって、画像センサの解像度と光学系の回折限界とに従い、スナップショット撮影後の視点と焦点の操作が可能である。Ren N, Marc Levoy, Mathieu Bredif, Gene Duval, Mark Horowitz and Pat Hanrahan, Stanford Tech report CTSR 2005-02, Light Field Photography with a Hand-held Plenoptic Camera(ハンドヘルド型プレノプティックカメラを用いたライトフィールドフォトグラフィー)、 graphics.standford.edu/papers/1fcamera-150dpi.pdfに開示されているように、LF−OFHMで捕捉した画像から、少なくとも捕捉された光線の角度限界まで傾斜した正投影図及び/又は斜視図を生成するためのライトフィールドレンダリング処理を用いることができる。本願では、この文献を参照することにより援用する。LF−OFHMは、画像取得と、視点及び焦点の選択とを分けているので、撮影後に信号処理アルゴリズムによる焦点と視点の操作が可能な「デジタルファインダー」としてLF−OFHMを使用する。
このような選択処理にコンピュータビジョンアルゴリズムを適用すれば、多数の試料を分析するときに顕微鏡操作を大幅に自動化できる。通常、顕微鏡は正投影画像を記録するので、斜視図は試料に対する新たな観察方法となる。また、適応的な被写界深度や試料の空間(斜視)図により、高感度(偽陰性結果が少ない)と高特異性(偽陽性が少ない)が得られる。
Levoy,M. & Hanrahan,P. (1996) Light field rendering(ライトフィールドレンダリング処理), Proc. SIGGRAPH 1996, 31-42及びIsaksen,A., McMillan,L. & Gortler,S.J. (2000) Dynamically reparameterized light fields(動的に再パラメータ化されたライトフィールド), Proc.Siggraph 2000, 297-306に開示れているように、捕捉したライトフィールドから、合成開口撮影法を用いて、異なる深度で焦点を合わせた画像を生成することもできる。本願では、これらの文献を参照することにより援用する。単一の入力画像から焦点スタックを作成できることから、移動する試料又は光感応性の試料を記録することができる。さらに、Levoy,M., Chen,B., Vaish,V., Horowitz,M., McDowall,I. & Bolas,M. (2004) Synthetic aperture confocal imaging(合成開口共焦点撮像), ACM Trans. On Graphics (Proc. SIGGRAPH) 23(3), 825-834に開示されているように、これらの焦点スタックに3D逆畳み込みを行うことにより、Agard,D.A. (1984) Optical sectioning microscopy: cellular architecture in three dimensions(光学切片顕微鏡:三次元のセルラアーキテクチャ), Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 13, 191-219に開示されているように、ボリュームレンダリング処理を用いて視覚化が可能な断面のスタックを再構成する。本願では、これらの文献を参照することにより援用する。
拡張された本システムでは、三次元ホログラフィック撮像システムの実施により、サンプルの3D視覚化及び分析を行うことができる。この三次元技術により、多数の異なるサンプルの撮像及び分析を平行して行い、高システムスループットを達成することができる。
本発明は、分析対象の生物サンプルについて、濃縮又は希釈、分類、ラベリング、その他の準備ステップを行うためのマイクロ流体成分を開発することで、特に診断装置の開発に有益である。例えば、水質試験に加えて、種々の病気の診断を行うことができる。既存の技術より優れた利点としては、従来の研究所内での大型顕微鏡による方法を用いずに、高精度で迅速で費用効果が高い三次元セル検知ができる。また、本システムにより高スループットが達成可能であることから、各サンプルの分析を平行して行うことができ、分析時間が大幅に短くなるとともに分析精度が向上する。
LF−OFHMの製造の一例として、Micron MT9T013順次走査CMOS画像センサを使用することが好ましい。センサは、好ましくは、2048×1536の画素アレイからなり、各画素のサイズが1.75μm×1.75μm、撮像領域が3.61mm×2.72mmである。
図1に示すように、システム10は、LEDアレイ40と、生物サンプル30を有するマイクロ流体流路28と、使い捨てチップ23と、画像センサアレイ24と、開口を有する層50とを備えている。
図1Bに示すように、システム10’は、光源40と、開口38を有する金層26と、マイクロ流体流路28と、画像センサアレイ24と、移動通信装置99(携帯電話機)とを備えている。
図1Bは、生物サンプル30が所定速度(m/s)でマイクロ流体流路28を流れている状態の画像センサ24を上方から示す。図1Bを参照して、システム20は、好ましくは、画像センサ24と、PMMA層32と、マイクロ流体流路28と、金層26と、PDMS層34と、LEDアレイ40(40a〜40k)とを備える。金層26は複数の開口38を有している。
好ましくは、画像センサ24の表面24aを平坦化するために、厚さ600nmのポリメチルメタクリレート(PMMA)層32をスピンコート形成する。本発明において、PMMA層32の厚さは、好ましくは、LF−OFMの空間解像度及び角解像度を高めるために通常より厚い。金層26は、マイクロ流体流路28の上方に配置される。熱源を有する金属蒸着装置を用いて、PMMA層32の上に厚さ300nmの金層26を成膜する。(この層厚ならば、SEM撮像にて個々の画素の外形が認識でき、層表面は、その後にマイクロ流体流路を含むPDMSブロックをチップ上に接合するのに十分な程度平坦である。)このステップに続き、集束イオンビーム装置を用いて、金層26上の開口アレイ38をフライス加工する。そして、金層26の上にさらに厚さ200nmのPMMA層34をスピンコート形成して、開口38を保護する。開口38の直径は0.7μm程度である。開口38は、好ましくは、12.25μm(7画素幅に等しい)の間隔で配置される。また、2列のアレイは12.25μmの間隔で配置される。この比較的広い間隔を取るのは、LF−OFMシステムの空間解像度及び角解像度を最適化するためである。これにより、7×7画素=47タイルの撮像時に対応可能な空間解像度が得られる。このステップにより、フライス加工の良好な制御を行えば、単一のセンサ画素の真上で確実に各開口39をフライス加工できる。さらに、ソフトリソグラフィーでパターン形成されたマイクロ流体流路を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)ブロックを、マスクアライナー(例えば、Karl Suss社のMJB3)によりセンサ上に配置する。
流路28は、好ましくは、幅が35画素分(35×1.75μm=61.25μm)、高さが20μmである。流路幅は角解像度を決定するので、LF−OFMの重要なパラメータである。上述のパラメータの場合、角解像度は好ましくは35画素/7画素=5画素(又は8.75μm)である。流路28は、好ましくは、開口アレイ20に対して3度の角度に設定される。4Dライトフィールドが使用可能であることから、開口アレイの真下の2つの画素列のそれぞれの下において7画素×7画素=49画素からなる画素アレイを読み取る。図1Cに示すように、上述の技術により、OFMの各単一画素を、49画素(12.25μm×12.25μm)からなるより効果的な大画素に効果的に変換する。読み取りレートは好ましくは1.3kHz/sである。各開口38を介して測定された時変透過の変化により、マイクロ流体流路28を通過するサンプルのマトリクススキャンが得られる。各開口38からのラインスキャンを重畳することにより、サンプルの画像を生成する。
上述のシステムについて、特にLF−OFM装置の大量生産のために重要な拡張例として、ウェハレベル処理がある。本実施形態において、画像センサのウェハ(画像センサを個々に切断する前)の処理を行う。画像センサのウェハ全体に600nmのPMMA層をスピンコート形成し、その後、PMMA層の上に300nmの金層を蒸着する。そして、集束イオンビームを用いて、画像センサの上のアレイ全体に開口アレイをフライス加工する。そして、PDMSブロックにパターン形成を行って、個々の画像センサの上にマイクロ流体流路を形成する。このステップの後、ウェハの切断及び実装を行う。
LF−OFMシステム10の基本光路を図2に示す。図2は、システム10の側面図ある。システム10は、画像センサ24と、内部に水35を充填して試料30を入れた流路28とを備えている。プラズモンマスク50は、照明光40を透過する開口38を有している。均一の光源を上方から適用するが、この光源は、好ましくは、実験用ハロゲンライト又はLED、又は、開口アレイの位置に合わせたLEDアレイである。プラズモンマスクの設計と、LF−OFMシステム10の基本光路を用いたLF−OFMの作動原理について、システム10の側面図である図2に示す。均一の光源を上方から用いるが、この光源は、実験用ハロゲンライト又はLED、又は、開口アレイの位置に合わせたLEDアレイとすればよい。
図2に示すように、図1の具体的な設計形状の場合、プラズモンマスク50の単位セルは7つの開口30を有し、各開口が直径0.5μmで、中心間の距離が1.75μmである。プラズモンマスク50は、好ましくは、厚さ300nmである。平面波照明を用いたプラズモンマスク50下のライトフィールド分布を図3、図3A、図3Bに示す。これらに対応するCMOSセンサのピクセル化強度を、図3、図3A、図3Bにおいて、それぞれ60、60a、60bで示す。セルの3D画像の再構成に用いられる異なる強度60、60a、60bを、異なる色で示す。開口38は、好ましくは、12.25μm(7画素幅に等しい)の間隔で配置される。好ましくは、開口38と画素との位置合わせ及び較正は行う必要がないようにする。LF−OFMシステム10の較正をソフトウェアにて行うことが可能なので、開口アレイを物理的に位置合わせする必要はない。
二次元数値シミュレーションにより、本案のLF−OFMの作動原理を示す。この具体例の場合、プラズモンマスク50の単位セルは、直径0.5μmで中心間の距離が1.75μmの穴を7個有する。マスクは厚さ300nmである。平面波照明を用いたマスク下のライトフィールド分布を図3、図3A、図3Bに示す。これらに対応するCMOSセンサのピクセル化強度を、それぞれ60、60a、60bで示す。セルの3D画像の再構成に用いることができる異なる強度60、60a、60bを、異なる色で示す。
図4、図4A、図4B、図4Cに示すように、異なる深度でサンプルの高速並列処理を行うための多層プロセスに、本システムをさらに拡張する。この技術の多次元的側面により、高スループットのシステムを達成することができ、高精度で迅速なサンプル分析を行うことができる。各マイクロ流体流路28a、28b、28cは、生物試料30入りの水35を有している。各層のサンプル画像75、75a、75bを図4A、図4B、図4Cに示す。
従来の光学顕微鏡について、Levoy,M. (1998) Display of surface from volume data(ボリュームデータからの表面表示)、Comp. Graphics App. 8(3), 29-37で使用されるコンピュテーショナル・フォトグラフィーを用いた画像再構成手法と同様に、本発明は、一実施形態において、まず画素から開口アレイへのマッピングを見出し、そこから撮像光の位置と方向を見出す。画像捕捉を含む較正処理全体をソフトウェアにて非常に迅速かつ効果的に行う。
本システムはさらに、異なる深度にてサンプルの高速並列処理を行うための多層プロセスに拡張することができる。この技術の多次元的側面により、高スループットのシステムを達成することができ、高精度で迅速なサンプル分析を行うことができる。
図5は、4Dライトフィールドを用いる方法1000である。本方法は、ブロック1001にて、流体光学顕微鏡で捕捉した4Dライトフィールドの記録及び制御を行うことにより開始する。また、本方法は、ブロック1002にて、ライトフィールドを捕捉して、スナップショット撮影後に視点と焦点を操作することができる。また、本方法は、ブロック1003にて、ライトフィールドレンダリング処理を用いて、傾斜した正投影図及び/又は斜視図を生成する。また、本方法は、ブロック1004にて、ライトフィールド画像にコンピュータビジョンアルゴリズムを適用して、多数の試料を分析するときに顕微鏡動作を大幅に自動化する。適応的な被写界深度や試料の空間(斜視)図により、高感度(偽陰性結果が少ない)と高特異性(偽陽性が少ない)が得られる。コンピュテーショナル・フォトグラフィーを用いた画像再構成では、従来の光学顕微鏡に用いられる手法と同様に、まず画素から開口アレイへのマッピングを見出し、そこから撮像光の位置と方向を見出すことが可能である。画像捕捉を含む較正処理全体をソフトウェアにて非常に迅速かつ効果的に行うことができる。
図6は、4Dライトフィールド画像を生成する方法2000のフローチャートである。本方法は、ブロック2001にて、高いレートで複数のタイルを読み取ることにより、マイクロ流体流路を流れる生物試料の4Dライトフィールドを捕捉する。また、本方法は、ブロック2002にて、複数のタイルの読み取り結果をそれぞれ重畳する。また、本方法は、ブロック2003にて、生物試料の4Dライトフィールド画像を生成する。
図7は、LF−OFHMを製造する方法3000のフローチャートである。本方法は、ブロック3001にて、少なくとも厚さ600nmを有するポリメチルメタクリレート(PMMA)層をスピンコート形成し、各画素のサイズが1.75μm×1.75μmで、撮像領域が3.61mm×2.72mmである2081×1536の画素アレイを有する順次走査CMOS画像センサの表面を平坦化する。また、本方法は、ブロック3002にて、熱源を有する金属蒸着装置を用いて、PMMA層の上に少なくとも厚さ300nmの金層を成膜する。また、本方法は、ブロック3003にて、集束イオンビーム装置を用いて、金層上の開口アレイのフライス加工を行う。また、本方法は、ブロック3004にて、金層の上に200nmのPMMA層をスピンコート形成し、開口を保護する。なお、ここでは、開口の直径は少なくとも0.7μmであり、各開口が12.25μmの間隔で配置されている。また、本方法は、ブロック3005にて、ソフトリソグラフィーでパターン形成されたマイクロ流体流路を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)ブロックを、マスクアライナーによりセンサ上に配置する。
図8は、LF−OFHMを製造する方法4000のフローチャートである。本方法は、ブロック4001にて、複数の画像センサを有するウェハの処理を行う。また、本方法は、ブロック4002にて、複数の画像センサを有するウェハに、スピンコートにより600nmのPMMA層を形成する。また、本方法は、ブロック4003にて、PMMA層の上に300nmの金層を蒸着する。また、本方法は、ブロック4004にて、集束イオンビームを用いて、画像センサ上の一列全体の開口アレイをフライス処理する。また、本方法は、ブロック4005にて、PDMSブロックにパターン形成を行って、個々の画像センサのそれぞれの上にマイクロ流体流路を形成する。また、本方法は、ブロック4006にてウェハを切断する。また、本方法は、ブロック4007にて各画像センサを実装する。

Claims (18)

  1. 複数のプラズモンレンズと、
    少なくとも1つのマイクロ流体流路と、
    相補型金属酸化膜半導体画像センサアレイとを備え、
    コンピュテーショナル・フォトグラフィーによる4Dライトフィールドを用いて、複数の三次元画像を生成することが可能であることを特徴とするオンチップ型ライトフィールド流体光学顕微鏡システム。
  2. 少なくとも1つのプラズモンレンズと、
    少なくとも1つのマイクロ流体装置と、
    画像センサアレイとを備え、
    コンピュテーショナル・フォトグラフィーにより画像を生成することが可能であることを特徴とするオンチップ型ライトフィールド流体光学顕微鏡システム。
  3. カメラを有する移動通信装置をさらに備え、前記移動通信装置が前記画像センサアレイに取り付けられて、前記移動通信装置のカメラが個人診断用に利用されることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
  4. 前記画像センサアレイは、相補型金属酸化膜半導体画像センサアレイであることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
  5. 前記画像は3D画像であることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
  6. 4Dライトフィールドを使用する方法であって、
    光源からの光で照明される撮像センサにおける複数の開口からなる直線アレイを横切って、生物サンプルを移動させ、
    前記生物サンプルが前記直線アレイを横切って移動する際に前記光源からの光の透過を遮断することにより、複数のライントレースを生成し、前記複数の開口の各開口に対応する時変透過が、前記生物サンプル上を通るライントレースを表し、
    前記直線開口アレイから前記複数のライントレースを再構成することにより、前記複数の開口の各開口のサイズに匹敵する解像度にて前記生物サンプルの画像を再構成することを特徴とする方法。
  7. 前記光源はLEDアレイであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記直線開口アレイの真下の複数の画素から信号を読み取るように、画像センサをプログラミングすることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  9. 前記生物サンプルの前記画像の構成は、前記複数の開口からの前記複数のラインスキャンを重畳することにより行うことを特徴とする請求項6に記載の方法。
  10. 4Dライトフィールドを使用する方法であって、
    流体光学顕微鏡で捕捉した4Dライトフィールドの記録及び制御を行い、
    スナップショット後に視点と焦点を操作し、
    ライトフィールドレンダリング処理を行って、複数の傾斜した正投射図と複数の斜視図とを生成し、
    前記ライトフィールド画像にコンピュータビジョンアルゴリズムを適用することを特徴とする方法。
  11. 4Dライトフィールド画像を生成する方法であって、
    複数のタイルを高いレートで読み取って、マイクロ流体流路を流れる生物サンプルの4Dライトフィールドを捕捉し、
    前記複数のタイルの読み取り結果を重畳し、
    前記生物サンプルの4Dライトフィールド画像を生成することを特徴とする方法。
  12. 複数のLEDからなるアレイと、
    厚さが250nmから350nmの範囲であって、複数の開口が貫通している金層と、
    前記金層の上に成膜され、厚さが150nmから250nmの範囲であるPDMS層と、
    高さが15ミクロンから25ミクロンの範囲であり、幅が50ミクロンから65ミクロンの範囲であるマイクロ流体流路と、
    厚さが500nmから700nmの範囲であるPMMA層と、
    画像センサアレイとを備え、
    コンピュテーショナル・フォトグラフィーにより画像を生成することが可能であることを特徴とするオンチップ型ライトフィールド流体光学顕微鏡システム。
  13. 使い捨てマイクロ流体チップをLF−OFMシステムに挿入することを可能とし、LF−OFMプラットフォームを用いた種々の病気の検知を可能とすることを特徴とする方法。
  14. 並列画像処理を行うシステムであって、複数のサンプルからなる異なる層を別々に撮像して、前記システムのスループットを高めることを特徴とするシステム。
  15. 複数の移動体通信ネットワークのサービスが得られる複数の遠隔地域で診断を行うために、自動コンピュータ画像認識アルゴリズムを4Dライトフィールド画像に適用してセルを識別することを特徴とする方法。
  16. LF−OFMシステムのウェハレベル処理により大量生産を行う方法。
  17. 厚さが少なくとも600nmのポリメチルメタクリレート(PMMA)層をスピンコート形成して、各画素のサイズが1.75μm×1.75μmで、撮像領域が3.61mm×2.72mmである2081×1536画素アレイを有する順次走査CMOS画像センサの表面を平坦化し、
    熱源を有する金属蒸着装置を用いて、前記PMMA層の上に少なくとも厚さ300nmの金層を成膜し、
    集束イオンビーム装置を用いて、前記金層上の開口アレイのフライス加工を行い、
    前記金層の上に200nmのPMMA層をスピンコート形成して、開口を保護し、前記開口の直径は少なくとも0.7μmであり、各開口が12.25μmの間隔で配置され、
    ソフトリソグラフィーでパターン形成されたマイクロ流体流路を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)ブロックを、マスクアライナーによりセンサ上に配置することを特徴とするLF−OFHMの製造方法。
  18. 複数の画像センサを有するウェハの処理を行い、
    複数の画像センサを有する前記ウェハに、スピンコートにより600nmのPMMA層を形成し、
    前記PMMA層の上に300nmの金層を蒸着し、
    集束イオンビームを用いて、前記画像センサ上の開口アレイを全列にわたってフライス処理し、
    PDMSブロックにパターン形成を行って、前記個々の画像センサのそれぞれの上にマイクロ流体流路を形成し、
    前記ウェハを切断し、
    前記画像センサのそれぞれを実装することを特徴とするLF−OFHMの製造方法。
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