JP2013540483A

JP2013540483A - 経カテーテル心臓弁送達システムのための改良された準備方法

Info

Publication number: JP2013540483A
Application number: JP2013529127A
Authority: JP
Inventors: ワン，フイスン
Original assignee: セント・ジュード・メディカル，カーディオロジー・ディヴィジョン，インコーポレイテッド
Priority date: 2010-09-17
Filing date: 2011-09-16
Publication date: 2013-11-07
Also published as: EP2616009A2; US9326855B2; JP6267277B2; US20120083876A1; CR20130163A; WO2012036744A2; US20140196750A1; US20160242907A1; AU2011302643A1; BR112013006296A2; JP2016179227A; US8721715B2; US10201420B2; WO2012036744A3; AU2011302643B2

Abstract

折り畳み可能人工心臓弁のための送達装置が、区画が周囲に画定されている支持シャフトと、この支持シャフト内を通って延在するとともにこの支持シャフトに対してその長手方向軸に沿って摺動するようになっている内部シャフトであって、中を通る管腔を有する、内部シャフトと、遠位端においてこの内部シャフトに作動的に接続されているとともにこの内部シャフトとともに摺動可能である遠位シースとを備える。上記区画は、上記弁を組み付け状態で受け入れることができ、遠位シースによって選択的に覆い又は露出させることができる。第１の流路が、上記内部シャフトの管腔と上記区画との間に流れ連通をもたらすことができる。

Description

本発明は、人工心臓弁の取り替えに関し、より詳細には、折り畳み可能な人工心臓弁の経カテーテル送達のための装置、システム、及び方法に関する。

［関連出願の相互参照］
本出願は、２０１０年９月１７日に出願された「Improved Preparation Methods for Transcatheter Heart Valve Delivery Systems」という発明の名称の米国特許出願第６１／３８３，９８２号の利益を主張し、その特許出願の開示は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。

比較的小さな周方向寸法に折り畳み可能である人工心臓弁は、折り畳み可能でない弁よりも低い侵襲性で患者の体内に送達することができる。例えば、折り畳み可能弁は、カテーテル、トロカール、腹腔鏡手術器具等のようなチューブ状送達機器を介して患者の体内に送達することができる。この折り畳み可能性によって、全開胸開心手術等のより侵襲性の高い手技の必要性を回避することができる。

折り畳み可能人工心臓弁は、通常、ステントに取り付けられた弁構造体の形態を取る。弁構造体が通例取り付けられるステントには、自己拡張型ステント及びバルーン拡張式ステントの２つのタイプがある。そのような弁を送達機器内に配置し、最終的には患者の体内に配置するには、その弁を先ず折り畳むか又はクリンプして、その周方向寸法を縮小しなければならない。

折り畳まれた人工弁が患者の所望の移植部位（例えば、その人工弁に取り替えられる患者の心臓弁の弁輪又は当該弁輪の近く）に達したとき、その人工弁を送達機器から配備又は解放して完全な動作寸法に再拡張することができる。バルーン拡張式弁の場合、これは、一般に、弁全体を解放し、その適切な位置を確実にし、次いで弁ステント内に位置決めされているバルーンを拡張することを伴う。他方、自己拡張型弁の場合、弁を覆うシースが引き抜かれると、ステントは、自動的に拡張を開始する。自己拡張型弁は、完全に配備されると、弁をそれまで折り畳み状態で保持していたシースの直径よりも大きな直径に拡張する。

折り畳み可能人工心臓弁送達プロセスに対してなされてきた様々な改良にもかかわらず、従来の送達装置、送達システム、及び送達方法には、幾つかの欠点がある。したがって、折り畳み可能人工心臓弁の経カテーテル送達のための装置、システム、及び方法に更に改良を行う必要がある。

折り畳み可能人工心臓弁のための送達装置、折り畳み可能人工心臓弁のための送達システム、及び折り畳み可能人工心臓弁のための送達装置をフラッシュする方法が開示される。

折り畳み可能人工心臓弁のための送達装置が、
区画が周囲に画定されている支持シャフトであって、前記区画は、前記弁を組み付け状態で受け入れるようになっている、支持シャフトと、
前記支持シャフト内を通って延在するとともに前記支持シャフトに対してその長手方向軸に沿って摺動するようになっている内部シャフトであって、中を通る管腔を有する、内部シャフトと、
遠位端において前記内部シャフトに作動的に接続されているとともに前記内部シャフトとともに摺動可能である遠位シースであって、前記区画及び前記弁を選択的に覆い又は露出させるようになっている、遠位シースと、
前記内部シャフトの前記管腔と前記区画との間に流れ連通をもたらす第１の流路と、
を備える。

前記送達装置は、前記内部シャフトの遠位端に作動的に接続されている遠位先端部と、
前記遠位先端部と前記区画との間に介在している遠位リテーナと、
前記遠位リテーナと前記遠位先端部との間に画定されているポケットと、
を備えることもできる。前記送達装置は、前記ポケットと前記区画との間に流れ連通をもたらす第２の流路を備えることもできる。前記第２の流路は、前記遠位リテーナに少なくとも１つの貫通孔を備えることができる。前記第１の流路は、前記内部シャフトの壁に、前記内部シャフトの前記管腔と前記ポケットとの間に流れ連通をもたらす開口部を備えることができる。前記送達装置は、インサートであって、前記ポケットに配置されているとともに該インサートと前記遠位先端部との間に空き空間を画定している、インサートを備えることもでき、前記空き空間は、前記内部シャフトの前記管腔と流れ連通し、前記インサートは、前記空き空間と前記ポケットとの間に延在する１つ又は複数の液体通路を備える。前記送達装置は、前記区画の近位端に位置する近位リテーナと、
前記遠位シースの自由端と前記近位リテーナとの間に画定されている円筒形間隙と、
を備えることもできる。

折り畳み可能人工心臓弁のための送達装置が、
区画が周囲に画定されている支持シャフトであって、前記区画は、前記弁を組み付け状態で受け入れるようになっている、支持シャフトと、
前記支持シャフト内を通って延在するとともに前記支持シャフトに対してその長手方向軸に沿って摺動するようになっている内部シャフトであって、中を通る管腔を有する、内部シャフトと、
前記内部シャフトに作動的に接続されている遠位端を有するとともに前記内部シャフトとともに摺動可能である遠位シースであって、前記区画及び前記弁を選択的に覆い又は露出させるようになっている、遠位シースと、
前記内部シャフトの遠位端に作動的に接続されている遠位先端部であって、該送達装置の外部と前記区画との間に流れ連通をもたらす通路を有する、遠位先端部と、
を備える。前記通路は、液体が該通路を通って前記区画から前記送達装置の前記外部に流れることができないように自己密封するようになっていることができる。

折り畳み可能人工心臓弁のための送達システムであって、
区画が周囲に画定されている支持シャフトであって、前記区画は、前記弁を組み付け状態で受け入れるようになっている、支持シャフトと、
前記支持シャフト内を通って延在するとともに前記支持シャフトに対してその長手方向軸に沿って摺動するようになっている内部シャフトであって、中を通って該送達装置の外部と流れ連通している管腔を有する、内部シャフトと、
遠位端において前記内部シャフトに作動的に接続されているとともに前記内部シャフトとともに摺動可能である遠位シースであって、前記区画及び前記弁を選択的に覆い又は露出させるようになっている、遠位シースと、
前記内部シャフトの前記管腔と前記区画との間に流れ連通をもたらす第１の流路と、
該送達装置に接続して、前記内部シャフトの前記管腔と該送達装置の前記外部との間の前記流れ連通を遮断するようになっている着脱可能プラグと、
を備える。

前記送達システムは、前記内部シャフトの近位端に接続して、該内部シャフトの該近位端に液密シールを生成するようになっている着脱可能キャップを備えることもできる。前記送達システムは、前記内部シャフトの遠位端に作動的に接続されている遠位先端部と、
フラッシュ液を前記遠位先端部を通して前記区画に供給するようになっている中空ニードルシャフトを有するフラッシュニードルと、
を備えることもできる。前記送達システムは、前記内部シャフトの遠位端に作動的に接続されている遠位先端部と、
前記遠位先端部と前記区画との間に介在している遠位リテーナと、
前記遠位リテーナと前記遠位先端部との間に画定されているポケットと、
を備えることもできる。前記送達システムは、前記ポケットと前記区画との間に流れ連通をもたらす第２の流路を備えることもできる。前記第２の流路は、前記遠位リテーナに少なくとも１つの貫通孔を備えることができる。前記第１の流路は、前記内部シャフトの壁に、前記内部シャフトの前記管腔と前記ポケットとの間に流れ連通をもたらす開口部を備えることができる。前記送達装置は、インサートであって、前記ポケットに配置されているとともに該インサートと前記遠位先端部との間に空き空間を画定している、インサートを備えることもでき、前記空き空間は、前記内部シャフトの前記管腔と流れ連通し、前記インサートは、前記空き空間と前記ポケットとの間に延在する１つ又は複数の液体通路を備える。

折り畳み可能人工心臓弁のための送達装置をフラッシュする方法が、
区画が周囲に画定されている支持シャフトと、前記支持シャフト内を通って延在するとともに前記支持シャフトに対してその長手方向軸に沿って摺動するようになっている内部シャフトと、前記内部シャフトに作動的に接続されている遠位端、及び近位端を有し、前記内部シャフトとともに摺動可能である遠位シースとを備える送達装置を準備するステップと、
折り畳み可能人工心臓弁を前記区画に取り付けるステップと、
前記遠位シースを摺動させて、前記区画及び前記弁を覆う、摺動させるステップと、
液体を前記区画の遠位端から該区画の近位端に該区画を通してフラッシュするステップと、
を含む。

前記フラッシュするステップは、前記液体を、前記遠位シースの前記近位端における開口を通して前記区画の外に流すステップを含むことができる。前記フラッシュするステップは、前記液体を、前記内部シャフトの近位端から前記内部シャフトの遠位端に向かう方向に前記内部シャフト内の管腔を通して流すステップと、前記液体を、前記内部シャフトの前記管腔から前記区画に流すステップとを含むことができる。前記フラッシュするステップは、前記液体を、前記内部シャフトの前記管腔から前記区画に前記内部シャフトの壁にある開口部を通して流すステップを含むことができる。前記送達装置は、前記内部シャフトの前記遠位端に作動的に接続されている遠位先端部と、前記遠位先端部と前記区画との間に介在している遠位リテーナと、前記遠位リテーナと前記遠位先端部との間に画定されているポケットと、インサートであって、前記ポケットに配置されているとともに該インサートと前記遠位先端部との間に空き空間を画定している、インサートとを備えることもできる。前記フラッシュするステップは、前記液体を、前記内部シャフトの前記管腔から前記空き空間に流し、前記空き空間から前記インサートを通して前記ポケットに流し、前記ポケットから前記遠位リテーナを通して前記区画に流すステップを含むことができる。前記フラッシュするステップは、前記液体を、前記内部シャフトの遠位端から前記内部シャフトの近位端に向かう方向に前記内部シャフト内の管腔を通して流すステップと、前記液体を前記内部シャフトの前記管腔から前記区画に流すステップとを含むことができる。前記送達装置は、前記内部シャフトの遠位端に作動的に接続されている遠位先端部を備えることもでき、前記遠位先端部は通路を有する。前記フラッシュするステップは、前記液体を、前記通路を通して前記区画の前記遠位端に流すステップを含むことができる。

次に、本発明の様々な実施形態を、添付図面を参照して論述することにする。これらの図面は、本発明の幾つかの実施形態しか示しておらず、したがって、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきでないことが理解される。

部分断面で示されるとともに、装置に液体をフラッシュする例示の流れを示す、本発明の一実施形態による折り畳み可能人工心臓弁のための経心尖送達装置の非常に概略的な側面図である。図１の送達装置における使用に好適な液体連通アセンブリの拡大部分断面図である。フラッシュニードルを有する部分断面で示された、本発明の別の実施形態による折り畳み可能人工心臓弁のための経心尖送達装置の非常に概略的な側面図である。フラッシュニードルを有する部分断面で示された、本発明の更なる実施形態による折り畳み可能人工心臓弁のための経心尖送達装置の非常に概略的な側面図である。

「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書において用いられるとき、開示された送達装置を用いる使用者（例えば、外科医又はインターベンショナルカーディオロジスト（interventional cardiologist））に対するものとみなされるべきである。「近位」は、使用者に相対的に近いと解釈されるべきであり、「遠位」は、使用者から相対的により遠く離れていると解釈されるべきである。

図１を参照すると、折り畳み可能人工心臓弁６のための一例示の経心尖送達装置１０が、近位端（図示せず）から遠位先端部１４まで延在し、目標位置に心臓弁を送達してその目標位置に心臓弁を配備するためのカテーテルアセンブリ１６を備える。カテーテルアセンブリ１６は、折り畳み可能人工心臓弁６を、支持シャフト２１の周囲に画定された区画２３に組み付け状態で受け入れるようになっている。遠位シース２４が、人工心臓弁６を覆うとともに折り畳み状態に維持する閉位置と、この弁の配備のための開位置との間で摺動して動くように動作可能である。

支持シャフト２１は、当該支持シャフトに固定（affixed）されて区画２３の端を画定する一対の離間したリテーナ１７及び３０の間に延在する。リテーナ３０は、人工心臓弁６の大動脈端を保持するようになっている。送達装置は、外部シャフト２２を更に備え、この外部シャフトの遠位端は、リテーナ１７に接続され、この外部シャフトの近位端は、必要に応じて、遠位シース２４を支持シャフト２１に対して摺動させるときに使用者が保持することができるハブ（図示せず）に接続することができる。

内部シャフト２６が、遠位先端部１４へ接続するように送達装置の近位端から外部シャフト２２及び支持シャフト２１内を通って延在する。内部シャフト２６は、その中を通るガイドワイヤ（図示せず）を受け入れるための管腔２５を有する。開口部２７が、管腔２５とポケット４３との間に流体連通をもたらすようにリテーナ３０の遠位において内部シャフト２６の側壁に形成されている。このポケットは、リテーナ３０と、遠位先端部１４に固定されたインサート４０との間に画定されている。内部シャフト２６は、必要に応じて、例えば、図３に示すように、ルアーロック結合を含むハブに接続することができる。

遠位先端部１４は、内部シャフト２６の管腔２５と軸方向に位置合わせされているガイドワイヤ管腔１３を有する。遠位先端部１４の遠位端に液密シールを生成するための着脱可能プラグ２８を管腔１３の遠位端に配置することができる。例えば、プラグ２８は、管腔１３の内径とほぼ同じか又は当該内径よりも僅かに大きい外径を有する中実の金属から作製することができ、それによって、このプラグとこの管腔との間に締まり嵌めを作り出すことができる。

遠位シース２４は、区画２３を覆うときに支持シャフト２１を取り囲み、その区画を選択的に覆うか又は露出することができるように支持シャフトに対して摺動可能である。遠位シース２４は、その遠位端においてインサート４０に固定され、このインサートを通じて内部シャフト２６及び遠位先端部１４に固定される。したがって、インサート４０への遠位シース２４のこの接続によって、内部シャフト２６は、遠位シースの近位及び遠位への双方の動きを制御することが可能になる。図１に示すように、遠位シース２４が区画２３を完全に覆うとき、遠位シースの近位端１５がリテーナ１７に当接する。近位端１５は、区画２３が少なくとも部分的に露出しているとき、リテーナ１７から離間している。

送達装置１０を用いて折り畳み可能人工心臓弁６を患者の体内の所望の位置に挿入するために、使用者は、まず、上記弁の大動脈端をリテーナ３０に取り付け、弁が遠位シース２４の内側に嵌入するように弁をクリンプしてその直径を縮小することによって弁を区画２３内に装着することができる。人工弁をそのようなリテーナに結合する好適なリテーナ及び方法の例は、２０１０年７月１５日に出願された同時係属中の米国仮出願第６１／３６４，４５３号に図示及び記載されている。この出願の開示内容は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。

次に、使用者は、例えば患者の心尖の切開部を通して、遠位シース２４が患者の大動脈弓内に位置決めされるまで、カテーテルアセンブリを前進させて、カテーテルアセンブリ１６を患者の体内に挿入することができる。次に、内部シャフト２６及び遠位シース２４を支持シャフト２１及び当該支持シャフトに結合された弁６に対して遠位に摺動させ、その結果、弁が、送達装置１０から解放されるまで露出することになり、自己拡張することができることによって、弁６を所望の位置に配備することができる。

カテーテルアセンブリ１６は、生理的食塩水等のフラッシュ液でフラッシュされるようになっている。ただし、他の任意の適切な液体を用いることができる。人工弁６の内部及び周囲の領域を脱気する（すなわち、空気ポケット又は気泡を除去する）ためには、区画２３及びポケット４３をフラッシュすることが望ましく、送達装置１０を目標位置に前進させている間に内部シャフト２６を通じて挿入することができるガイドワイヤに潤滑を与えるためには、この内部シャフトをフラッシュすることが望ましい。

カテーテルアセンブリ１６をフラッシュするために、使用者は、加圧されたフラッシュ液を内部シャフト２６の管腔２５の近位端に注液することができる。内部シャフト２６の管腔２５内の近位から遠位への圧力勾配によって、フラッシュ液は、図１に示す経路「Ａ」に沿って内部シャフトの管腔を通って遠位に移動する。遠位先端部１４の管腔１３の遠位端は、液密プラグ２８を用いて塞がれているので、フラッシュ液は、経路「Ｂ」に沿って内部シャフト２６の管腔２５から開口部２７を通って流れ出て、ポケット４３に流れ込む。

遠位シース２４内のポケット４３と区画２３との間の遠位から近位への圧力勾配によって、フラッシュ液は、ポケットから経路「Ｃ」に沿ってリテーナ３０の外周部を回って近位に移動し上記区画内に入る。フラッシュ液は、区画２３内の経路「Ｃ」に沿って近位に移動し続け、遠位シースの近位端１５とリテーナ１７との間に生成された円筒形間隙１９を通り経路「Ｄ」に沿ってその区画から外に出る。フラッシュ液が区画２３内を近位に移動している間、フラッシュ液の一部は人工弁６を通って流れ、それによって、閉じ込められた気泡は人工弁の外に押し出される。例示の液体流路「Ｃ」は、人工弁６の一方の側のみに沿って延びるものとして示されているが、液体は、区画２３及び弁の全体を通って近位に流れる。

フラッシュ液は、内部シャフトの近位端と円筒形間隙との間のフラッシュ液の圧力勾配のために、単一のフラッシュするステップにおいて、内部シャフト２６の近位端から内部シャフト内を通って遠位に移動し、開口部２７の外に移動し、その後、ポケット４３及び区画２３を通って円筒形間隙１９へ近位に移動する。円筒形間隙１９まで経路Ａ、Ｂ、Ｃ及びＤに沿って送達装置１０の外部の環境圧力にさらされることがないので、環境圧力を上回る圧力をこれらの経路に沿って維持することができ、それによって、内部シャフト２６の管腔２５、ポケット４３及び区画２３を、これらを脱気するのに十分な圧力でフラッシュすることが可能になる。その上、フラッシュ液は、カテーテルアセンブリ１６内を通る連続した回路で内部シャフト２６、ポケット４３及び区画２３を通って移動するので、カテーテルアセンブリをフラッシュするのに必要とされるフラッシュするステップは、（ｉ）内部シャフト用と（ｉｉ）ポケット及び区画用との別々のフラッシュするステップではなく、単一のフラッシュするステップのみとすることができる。

次に図２を参照すると、フラッシュ液を通過させるための代替の構成を有する、図１の送達装置と同様の送達装置１１０の遠位端が示されている。送達装置１１０では、インサート１４０は、遠位先端部１１４の近位対向（proximal-facing）面１１５から離間した遠位面１４１を有する。遠位面１４１及び近位対向面１１５は、それらの間に上部空間（head space：上部空き高）１２７を画定している。複数の通路１２９が、インサート１４０内を通って延在することができ、上部空間１２７を、インサート１４０とリテーナ１３０との間に画定されたポケット１４３と相互接続することができる。

リテーナ１３０は、フラッシュ液がフラッシュプロセス中にリテーナ内を通ってポケット１４３から区画１２３に流れることを可能にする１つ又は複数の貫通孔１３２を備えることができる。リテーナ１３０は、ポケット１４３と区画１２３との間に液体連通をもたらす任意の数及び構成の貫通孔１３２を備えることができる。リテーナ１３０に貫通孔１３２が存在することによって、フラッシュ液がリテーナの外縁を回って流れるのではなく、リテーナ内を通って近位に流れることが可能になる。フラッシュ液がリテーナ１３０内を通るそのような直接的なルートによって、液体がリテーナを横断するときのフラッシュ液内の圧力差を、液体がリテーナと遠位シース１２４との間を流れる結果生じる圧力差と比較して低減することができる。この違いによって、内部シャフト１２６の近位端においてより低い初期フラッシュ液圧を用いることを可能にすることができる。送達装置１１０のフラッシュ動作は、貫通孔１３２によってもたらすことができる圧力差の低減以外については、図１に関して図示及び説明した送達装置１０のフラッシュ動作と同様である。

図２に示す実施形態の一変形形態では、インサート１４０の遠位面１４１は、遠位先端部１１４の近位対向面１１５に接触して、それらの間の上部空間１２７をなくすことができる。そのような変形形態では、内部シャフトの管腔１２５と複数の通路１２９との間に流れ連通をもたらすように、内部シャフト１２６及びインサート１４０内に１つ又は複数の流路を確立することができる。この流路は、内部シャフト１２６の周全体を通りインサート１４０を通って通路１２９まで延在する開放型リザーバ（open reservoir）の形態とすることができる。代替的に、流路は、管腔１２５を通路１２９と相互接続する複数の径方向に突き出しているチャネル（channel：溝）の形態とすることができる。

図２に示す実施形態の別の変形形態では、複数の通路１２９を互いに併合し、インサート１４０内を通って延在する単一の通路を形成することができる。そのような単一の通路は、内部シャフト１２６の周りに部分的に又は実質的に連続して延在する環状通路とすることができる。単一の環状通路が内部シャフト１２６の周りに実質的に連続して延在する変形形態では、１つ又は複数の網目構造の材料（webs of material）又は他の接続部が、好ましくは、インサート１４０の、内部シャフトに隣接した部分と、このインサートの、遠位シース１２４に隣接した部分との間に設けられ、そのため、内部シャフトの長手方向の動きの結果、遠位シースが対応して動くことになる。そのような単一の環状通路は、上部空間１２７からポケット１４３へのフラッシュ液のより多くの量の流れをもたらす。

次に図３を参照すると、フラッシュ液を通過させるための別の代替の構成を有する、図１と同様の送達装置２１０が示されている。送達装置２１０は、着脱可能プラグが遠位先端部の管腔の遠位端に配置されるのではなく、内部シャフト２２６の近位端に液密シールを生成する、当該内部シャフトの近位端に位置するハブ２２０に配置されたキャップ２２８を備える。キャップ２２８が所定の位置にある状態で、フラッシュニードル２０１を遠位先端部２１４の開口端に挿入し、フラッシュ液を送達装置２１０内に導入することができる。フラッシュニードル２０１は、遠位先端部２１４内の管腔２１３の遠位端の内径とほぼ同じ寸法の外径又はそれよりも僅かに大きい外径を有するニードルシャフト２０２を有することができ、それによって、このニードルシャフトと上記管腔との間に締まり嵌めを作り出すことができる。

送達装置２１０をフラッシュするために、加圧されたフラッシュ液が、フラッシュニードル２０１によって遠位先端部２１４の管腔２１３の遠位端内に導入される。遠位先端部２１４の管腔２１３内の遠位から近位への圧力勾配によって、フラッシュ液は、図３に示す経路Ａ’に沿って、遠位先端部の管腔を通り、内部シャフト２２６の管腔２２５内に入ってそこを通り近位に移動する。内部シャフト２２６の管腔２２５の近位端は、液密キャップ２２８を用いて蓋がされているので、管腔内の圧力の増加によって、フラッシュ液は、管腔から内部シャフトの開口部２２７を通って流れ出て、ポケット２４３に流れ込む。この液体は、ポケット２４３から、図１に示す経路Ｃ及びＤと実質的に同じ経路に沿って区画２２３及び円筒形間隙２１９を通って流れる。

送達装置２１０をフラッシュするとき、内部シャフト２２６内の管腔２２５の、キャップ２２８と開口部２２７との間の部分は、単に液体で満たされるだけで、十分にフラッシュされない場合がある。それどころか、内部シャフト２２６の管腔２２５の最も遠位の部分しか、フラッシュ液が通る近位経路Ａ’に沿ってフラッシュされない場合がる。したがって、使用者は、図１を参照して上述したように内部シャフトの遠位端を塞ぎ、キャップ２２８を取り除き、内部シャフトの近位端から内部シャフトをフラッシュすることによって、第２の別個のフラッシュするステップを行うことを望む場合がある。代替的に、この第２のフラッシュするステップは、内部シャフト２２６の管腔２２５のみをフラッシュすることを目的としているので、内部シャフトの遠位端を塞ぐ必要はなく、フラッシュ液は、内部シャフトの近位端に流れ込み、内部シャフトの遠位端から流れ出すことができる。そのような第２のフラッシュするステップは、ガイドワイヤが内部シャフト内を通って容易に摺動することができるように、内部シャフト２２６の更なる潤滑をもたらすことができる。

図１〜図３に示す送達装置では、内部シャフトの内部と遠位シース内のポケットとの間に液体連通をもたらす特定の構造が示されている。本発明は、そのような液体連通をもたらす任意の代替的な構造の使用も想定している。例えば、任意の数の開口部、空間及び／又は通路を送達装置に設けて、内部シャフトの管腔とポケットとの間の液体連通を可能にすることができ、そのような開口部、空間及び／又は通路は、任意の形状を有することができ、内部シャフトの長手方向軸に対して任意の角度で延在することができる。

次に図４を参照すると、フラッシュ液を通過させるための更に別の代替の構成を有する、図１の送達装置と同様の送達装置３１０が示されている。送達装置３１０は、ポケット３４３からインサート３４０及び遠位先端部３１４内を通って遠位先端部の外部表面まで延在する通路３２８を有する。

フラッシュニードル３０１が、遠位先端部３１４内を通って延在する通路３２８の直径とほぼ同じ寸法の外径又はそれよりも僅かに大きい外径を有するニードルシャフト３０２を有することができ、それによって、ニードルシャフトと通路との間に締まり嵌めを作り出すことができる。好ましくは、遠位先端部３１４は、ポリエーテルブロックアミド（Ｐｅｂａｘ（商標））等の柔軟な材料から作製され、通路３２８は、弁３０６を患者の体内に送達する送達装置３１０の通常使用中において、ニードルシャフト３０２が引き抜かれた際に、ポケット３４３に収容されている液体が通路を通って流れ出ない十分な程度に自己密封することができるようになっている。

送達装置３１０をフラッシュするために、加圧されたフラッシュ液がフラッシュニードル３０１によって通路３２８内に導入される。通路３２８内の遠位から近位への圧力勾配によって、フラッシュ液は、図４に示す経路Ａ”に沿って、通路を通り、ポケット３４３内へ近位に移動する。フラッシュ液は、ポケット３４３から、図１に示す経路Ｃ及びＤと実質的に同じ経路に沿って区画３２３及び円筒形間隙３１９を通って流れる。

送達装置３１０のポケット３４３及び区画３２３をフラッシュするとき、内部シャフト３２６はフラッシュされない。したがって、使用者は、内部シャフト３２６をその近位端又は遠位端からフラッシュする第２の別個のフラッシュするステップを行うことを望む場合がある。ポケット３４３及び区画３２３がフラッシュされるとき、内部シャフト３２６はフラッシュされないので、管腔を有しない中実の内部シャフトを備える送達装置３１０の一変形態様を提供することができることが理解されるべきである。そのような変形態様の送達装置では、ポケット３４３及び区画３２３をフラッシュするプロセスは、上述したものと同じものとなる。

本発明は、外部環境と遠位シース内のポケットとの間に液体連通をもたらす任意の代替的な構造体の使用も想定している。例えば、開口部又は１つ若しくは複数の通路を、遠位先端部３１４、インサート３４０及び遠位シース３２４のうちの１つ又は複数に設けて、外部環境とポケットとの間の液体連通を可能にすることができ、そのような開口部及び／又は通路は、任意の形状を有することができ、内部シャフトの長手方向軸に対して任意の角度で延在することができる。

本明細書では、折り畳み可能ステント構造体を有する人工弁の配備に関して様々な送達装置を説明してきたが、これらの送達装置の全ては、他の目的に用いることもできる。特に、これらの様々な送達装置を、弁を含まない従来の折り畳み可能ステントを保持及び送達するのに用いることができる。

本明細書では、本発明を、人工弁の弁輪端が最初に配備される特定の実施形態に関して説明してきたが、本発明は、弁の大動脈端が最初に配備される実施形態も想定していることが理解されるべきである。そのような実施形態では、弁のステント部分の弁輪端は、リテーナと係合することができる一方、ステントの大動脈端は、リテーナから離れていてもよく、最初にシースから引き出すことができる。

本発明は特定の実施形態を参照しながら本明細書において説明されてきたが、これらの実施形態は本発明の原理及び応用形態を例示するにすぎないことは理解されたい。それゆえ、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に数多くの変更を加えることができること、及び他の構成を考案することができることは理解されたい。

種々の従属請求項及びそれらの従属請求項に記載の他の特徴は、初期の請求項において提示されるのとは異なる方法において組み合わせることができることは理解されよう。また、個々の実施形態との関連で説明された特徴は、記述される実施形態のうちの他の実施形態と共用できることも理解されよう。

Claims

折り畳み可能人工心臓弁のための送達装置であって、
区画が周囲に画定されている支持シャフトであって、前記区画は、前記弁を組み付け状態で受け入れるようになっている、支持シャフトと、
前記支持シャフト内を通って延在するとともに前記支持シャフトに対してその長手方向軸に沿って摺動するようになっている内部シャフトであって、中を通る管腔を有する、内部シャフトと、
遠位端において前記内部シャフトに作動的に接続されているとともに前記内部シャフトとともに摺動可能である遠位シースであって、前記区画及び前記弁を選択的に覆い又は露出させるようになっている、遠位シースと、
前記内部シャフトの前記管腔と前記区画との間に流れ連通をもたらす第１の流路と、
を備える、折り畳み可能人工心臓弁のための送達装置。
前記内部シャフトの遠位端に作動的に接続されている遠位先端部と、
前記遠位先端部と前記区画との間に介在している遠位リテーナと、
前記遠位リテーナと前記遠位先端部との間に画定されているポケットと、
を更に備える、請求項１に記載の送達装置。
前記ポケットと前記区画との間に流れ連通をもたらす第２の流路を更に備える、請求項２に記載の送達装置。
前記第２の流路は、前記遠位リテーナに少なくとも１つの貫通孔を備える、請求項３に記載の送達装置。
前記第１の流路は、前記内部シャフトの壁に、前記内部シャフトの前記管腔と前記ポケットとの間に流れ連通をもたらす開口部を備える、請求項２に記載の送達装置。
インサートであって、前記ポケットに配置されているとともに該インサートと前記遠位先端部との間に空き空間を画定している、インサートを更に備え、前記空き空間は、前記内部シャフトの前記管腔と流れ連通し、前記インサートは、前記空き空間と前記ポケットとの間に延在する１つ又は複数の液体通路を備える、請求項２に記載の送達装置。
前記区画の近位端に位置する近位リテーナと、
前記遠位シースの自由端と前記近位リテーナとの間に画定されている円筒形間隙と、
を更に備える、請求項１に記載の送達装置。
折り畳み可能人工心臓弁のための送達装置であって、
区画が周囲に画定されている支持シャフトであって、前記区画は、前記弁を組み付け状態で受け入れるようになっている、支持シャフトと、
前記支持シャフト内を通って延在するとともに前記支持シャフトに対してその長手方向軸に沿って摺動するようになっている内部シャフトであって、中を通る管腔を有する、内部シャフトと、
前記内部シャフトに作動的に接続されている遠位端を有するとともに前記内部シャフトとともに摺動可能である遠位シースであって、前記区画及び前記弁を選択的に覆い又は露出させるようになっている、遠位シースと、
前記内部シャフトの遠位端に作動的に接続されている遠位先端部であって、該送達装置の外部と前記区画との間に流れ連通をもたらす通路を有する、遠位先端部と、
を備える、折り畳み可能人工心臓弁のための送達装置。
前記通路は、液体が該通路を通って前記区画から前記送達装置の前記外部に流れることができないように自己密封するようになっている、請求項８に記載の送達装置。
折り畳み可能人工心臓弁のための送達システムであって、
区画が周囲に画定されている支持シャフトであって、前記区画は、前記弁を組み付け状態で受け入れるようになっている、支持シャフトと、
前記支持シャフト内を通って延在するとともに前記支持シャフトに対してその長手方向軸に沿って摺動するようになっている内部シャフトであって、中を通って送達装置の外部と流れ連通している管腔を有する、内部シャフトと、
遠位端において前記内部シャフトに作動的に接続されているとともに前記内部シャフトとともに摺動可能である遠位シースであって、前記区画及び前記弁を選択的に覆い又は露出させるようになっている、遠位シースと、
前記内部シャフトの前記管腔と前記区画との間に流れ連通をもたらす第１の流路と、
該送達装置に接続して、前記内部シャフトの前記管腔と該送達装置の前記外部との間の前記流れ連通を遮断するようになっている着脱可能プラグと、
を備える、折り畳み可能人工心臓弁のための送達システム。
前記内部シャフトの近位端に接続して、該内部シャフトの該近位端に液密シールを生成するようになっている着脱可能キャップを更に備える、請求項１０に記載の送達システム。
前記内部シャフトの遠位端に作動的に接続されている遠位先端部と、
フラッシュ液を前記遠位先端部を通して前記区画に供給するようになっている中空ニードルシャフトを有するフラッシュニードルと、
を更に備える、請求項１０に記載の送達システム。
前記内部シャフトの遠位端に作動的に接続されている遠位先端部と、
前記遠位先端部と前記区画との間に介在している遠位リテーナと、
前記遠位リテーナと前記遠位先端部との間に画定されているポケットと、
を更に備える、請求項１０に記載の送達システム。
前記ポケットと前記区画との間に流れ連通をもたらす第２の流路を更に備える、請求項１３に記載の送達システム。
前記第２の流路は、前記遠位リテーナに少なくとも１つの貫通孔を備える、請求項１４に記載の送達システム。
前記第１の流路は、前記内部シャフトの壁に、前記内部シャフトの前記管腔と前記ポケットとの間に流れ連通をもたらす開口部を備える、請求項１３に記載の送達システム。
インサートであって、前記ポケットに配置されているとともに該インサートと前記遠位先端部との間に空き空間を画定している、インサートを更に備え、前記空き空間は、前記内部シャフトの前記管腔と流れ連通し、前記インサートは、前記空き空間と前記ポケットとの間に延在する１つ又は複数の液体通路を備える、請求項１３に記載の送達システム。
折り畳み可能人工心臓弁のための送達装置をフラッシュする方法であって、
区画が周囲に画定されている支持シャフトと、前記支持シャフト内を通って延在するとともに前記支持シャフトに対してその長手方向軸に沿って摺動するようになっている内部シャフトと、前記内部シャフトに作動的に接続されている遠位端、及び近位端を有し、前記内部シャフトとともに摺動可能である遠位シースとを備える送達装置を準備するステップと、
折り畳み可能人工心臓弁を前記区画に取り付けるステップと、
前記遠位シースを摺動させて、前記区画及び前記弁を覆う、摺動させるステップと、
液体を前記区画の遠位端から該区画の近位端に該区画を通してフラッシュするステップと、
を含む、折り畳み可能人工心臓弁のための送達装置をフラッシュする方法。
前記フラッシュするステップは、前記液体を、前記遠位シースの前記近位端における開口を通して前記区画の外に流すステップを含む、請求項１８に記載の方法。
前記フラッシュするステップは、前記液体を、前記内部シャフトの近位端から前記内部シャフトの遠位端に向かう方向に前記内部シャフト内の管腔を通して流すステップと、前記液体を、前記内部シャフトの前記管腔から前記区画に流すステップとを含む、請求項１８に記載の方法。
前記フラッシュするステップは、前記液体を、前記内部シャフトの前記管腔から前記区画に前記内部シャフトの壁にある開口部を通して流すステップを含む、請求項２０に記載の方法。
前記送達装置は、前記内部シャフトの前記遠位端に作動的に接続されている遠位先端部と、前記遠位先端部と前記区画との間に介在している遠位リテーナと、前記遠位リテーナと前記遠位先端部との間に画定されているポケットと、インサートであって、前記ポケットに配置されているとともに該インサートと前記遠位先端部との間に空き空間を画定している、インサートとを更に備え、前記フラッシュするステップは、前記液体を、前記内部シャフトの前記管腔から前記空き空間に流し、前記空き空間から前記インサートを通して前記ポケットに流し、前記ポケットから前記遠位リテーナを通して前記区画に流すステップを含む、請求項２０に記載の方法。
前記フラッシュするステップは、前記液体を、前記内部シャフトの遠位端から前記内部シャフトの近位端に向かう方向に前記内部シャフト内の管腔を通して流すステップと、前記液体を前記内部シャフトの前記管腔から前記区画に流すステップとを含む、請求項１８に記載の方法。
前記送達装置は、前記内部シャフトの遠位端に作動的に接続されている遠位先端部を更に備え、前記遠位先端部は通路を有し、前記フラッシュするステップは、前記液体を、前記通路を通して前記区画の前記遠位端に流すステップを含む、請求項１８に記載の方法。