JP2013538357A - クロマトグラフィーにおける生成物と複合体形成した夾雑物の分離方法 - Google Patents

クロマトグラフィーにおける生成物と複合体形成した夾雑物の分離方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、生物学的生成物に複合体形成している夾雑物を分離および除去するために、アパタイトクロマトグラフィー支持体を使用する方法および材料を提供する。本発明はさらに、標的分子の精製を改善するために、標的生物学的分子の凝集体または不適当にフォールディングされた標的分子を分離する材料および方法を提供する。

Description

関連特許出願の相互参照
本出願は、すべての目的で参照により組み入れられる、2010年9月20日に出願された米国特許仮出願第61/384,565号に対して優先権の恩典を主張する。
発明の背景
治療または診断目的の、抗体、他の治療用タンパク質、ウイルスおよびウイルス様粒子、ならびにDNAプラスミドなどの生物学的分子の精製は、精製されるべき生物学的分子が夾雑物と化学的に複合体形成している時に妨害される。複合体形成した夾雑物は、精製過程の効率を低下させ、精製過程の再現性を低下させ、かつ、精製された生物学的分子の安定性および薬力学に影響を及ぼす。
夾雑物複合体形成に加えて、または夾雑物複合体形成との組み合わせで、抗体および治療用タンパク質などの生物学的分子はまた、凝集体も形成し得る。これらの凝集体のために、分子は生物学的活性が低くなり、かつ、生物学的分子の免疫原性が増大し得る。
本発明は、標的分子を生物学的試料から精製する方法を提供する。いくつかの態様において、方法は以下の段階を含む:
(a)標的分子および複合体形成した夾雑物を含む試料を、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体に接触させ、それにより標的分子(「結合した標的分子」)を固体支持体に非共有結合で結合させる段階;
(b)結合した標的分子を、標的分子が固体支持体に実質的に結合したままである条件の下で、複合体形成した夾雑物を標的分子から移動させる薬剤で洗浄する段階;および
(c)標的分子を固体支持体から溶出する段階であって、溶出された標的分子が、複合体形成した夾雑物を実質的に含まない、段階。
いくつかの態様において、方法は、溶出段階より前に、薬剤を固体支持体から洗浄する段階を含む。
いくつかの態様において、方法は、固体支持体が、溶出段階(c)中に、誘導体化されていないアパタイト固体支持体であるように、洗浄段階(b)と溶出段階(c)との間に、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体を誘導体化されていないアパタイトに変換する段階を含む。いくつかの態様において、固体支持体は、溶出段階(c)中に、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体である。
いくつかの態様において、アパタイトは、ヒドロキシアパタイトまたはフルオロアパタイトである。いくつかの態様において、アパタイトは、ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、20ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、40ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、80ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、20ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、40ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、80ミクロン;フルオロアパタイトCFTタイプI、40ミクロン;およびフルオロアパタイトCFTタイプII、40ミクロンからなる群より選択される。
いくつかの態様において、標的分子は、タンパク質、抗体、リンタンパク質、ウイルス、ウイルス様粒子、または核酸より選択される。いくつかの態様において、標的分子は抗体である。標的分子が核酸であるいくつかの態様において、核酸はDNAまたはRNAである。
いくつかの態様において、複合体形成した夾雑物は、タンパク質、核酸、脂質、金属イオン、硫化物、多糖類、およびエンドトキシンからなる群より選択される。
いくつかの態様において、薬剤は、アルギニン、尿素、グアニジン、塩化ナトリウム、有意なカルシウム親和性が欠如している塩、有機溶剤、界面活性剤、および還元剤からなる群より選択される。いくつかの態様において、有機溶剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、アルコール、DMSO、およびDMFからなる群より選択される。いくつかの態様において、界面活性剤は、ポリソルベート(ポリソルベート20またはポリソルベート80、例えば、Tween-20(商標)またはTween-80(商標)など)界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、Triton界面活性剤(例えば、オクチルフェノールエトキシラート(Triton X-100))、CHAPS界面活性剤、CHAPSO界面活性剤、およびオクタグルコシドからなる群より選択される。いくつかの態様において、還元剤は、システイン、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、またはメルカプトエタノールからなる群より選択される。
いくつかの態様において、洗浄段階(b)は、標的分子を結合した固体支持体を、複合体形成した夾雑物を移動させる2種またはそれより多い異なる薬剤を含む溶液と接触させる段階を含む。いくつかの態様において、2種またはそれより多い異なる薬剤は、以下を含む:
i. 尿素および塩化ナトリウム;
ii. 尿素および塩化ナトリウムおよびシステイン;
iii. 塩および有機溶剤;または
iv. 塩および界面活性剤。
いくつかの態様において、金属カチオンは、マグネシウム、亜鉛、鉄、カルシウム、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、およびクロムからなる群より選択される。いくつかの態様において、金属カチオンはカルシウムである。
いくつかの態様において、複合体形成した夾雑物は、標的分子と非共有結合で複合体形成している。いくつかの態様において、複合体形成した夾雑物は、標的分子と共有結合で複合体形成している。いくつかの態様において、複合体形成した夾雑物は、ジスルフィド結合を介して標的分子と共有結合で複合体形成しており、かつ、洗浄段階(b)における前記薬剤は、還元剤以外の少なくとも1種の薬剤との組み合わせで還元剤を含み、それによりジスルフィド結合を還元する。
いくつかの態様において、複合体形成した夾雑物が固体支持体に結合しているが、標的分子が固体支持体から溶出される。いくつかの態様において、複合体形成した夾雑物が固体支持体から溶出された後に、標的分子が固体支持体から溶出される。
いくつかの態様において、標的分子は核酸であり、かつ夾雑物は非核酸分子を含む。いくつかの態様において、標的分子はタンパク質であり、かつ夾雑物は非タンパク質分子を含む。いくつかの態様において、標的分子はタンパク質であり、かつ夾雑物は標的分子タンパク質以外のタンパク質を含む。いくつかの態様において、標的分子はウイルスまたはウイルス様粒子であり、かつ夾雑物は非ウイルス分子を含む。
本発明はまた、標的分子を、凝集体を構成する成分夾雑物のクロマトグラフ保持特性と比較した際に異なるクロマトグラフ保持特性を有する夾雑物の凝集体を含む生物学的試料から精製する方法も提供する。いくつかの態様において、方法は以下の段階を含む:
(a)標的分子および夾雑物の凝集体を含む試料を、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体に接触させ、それにより標的分子(「結合した標的分子」)を固体支持体に非共有結合で結合させる段階;
(b)結合した標的分子を、夾雑物の凝集体を成分夾雑物に分離する薬剤で洗浄する段階であって、洗浄が、標的分子が固体支持体に実質的に結合したままの条件の下である、段階;および
(c)標的分子を固体支持体から溶出する段階であって、溶出された標的分子が、夾雑物を実質的に含まない、段階。
いくつかの態様において、方法は、溶出段階より前に、薬剤を固体支持体から洗浄する段階を含む。
いくつかの態様において、方法は、固体支持体が、溶出段階(c)中に、誘導体化されていないアパタイト固体支持体であるように、洗浄段階(b)と溶出段階(c)との間に、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体を誘導体化されていないアパタイトに変換する段階を含む。いくつかの態様において、固体支持体は、溶出段階(c)中に、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体である。
いくつかの態様において、アパタイトは、ヒドロキシアパタイトまたはフルオロアパタイトである。いくつかの態様において、アパタイトは、ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、20ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、40ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、80ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、20ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、40ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、80ミクロン;フルオロアパタイトCFTタイプI、40ミクロン;およびフルオロアパタイトCFTタイプII、40ミクロンからなる群より選択される。
いくつかの態様において、標的分子は、タンパク質、抗体、リンタンパク質、ウイルス、ウイルス様粒子、または核酸より選択される。いくつかの態様において、標的分子は抗体である。標的分子が核酸であるいくつかの態様において、核酸はDNAまたはRNAである。
いくつかの態様において、夾雑物は、タンパク質、核酸、脂質、金属イオン、硫化物、多糖類、およびエンドトキシンからなる群より選択される。
いくつかの態様において、薬剤は、アルギニン、尿素、グアニジン、塩化ナトリウム、有意なカルシウム親和性が欠如している塩、有機溶剤、界面活性剤、および還元剤からなる群より選択される。いくつかの態様において、有機溶剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、アルコール、DMSO、およびDMFからなる群より選択される。いくつかの態様において、界面活性剤は、Tween界面活性剤、Triton界面活性剤、CHAPS界面活性剤、CHAPSO界面活性剤、およびオクタグルコシドからなる群より選択される。いくつかの態様において、還元剤は、システイン、DTT、DTE、またはメルカプトエタノールからなる群より選択される。
いくつかの態様において、洗浄段階(b)は、標的分子を結合した固体支持体を、夾雑物の凝集体を分離する2種またはそれより多い異なる薬剤を含む溶液と接触させる段階を含む。いくつかの態様において、2種またはそれより多い異なる薬剤は、以下を含む:
i. 尿素および塩化ナトリウム;
ii. 尿素および塩化ナトリウムおよびシステイン;
iii. 塩および有機溶剤;または
iv. 塩および界面活性剤。
いくつかの態様において、金属カチオンは、マグネシウム、亜鉛、鉄、カルシウム、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、およびクロムからなる群より選択される。いくつかの態様において、金属カチオンはカルシウムである。
いくつかの態様において、夾雑物の凝集体は、標的分子と非共有結合で複合体形成している。いくつかの態様において、夾雑物の凝集体は、標的分子と共有結合で複合体形成している。いくつかの態様において、夾雑物の凝集体は、ジスルフィド結合を介して標的分子と共有結合で複合体形成しており、かつ、洗浄段階は、前記薬剤との組み合わせで還元剤を含み、それによりジスルフィド結合を還元する。
いくつかの態様において、夾雑物が固体支持体に結合しているが、標的分子が固体支持体から溶出される。いくつかの態様において、夾雑物が固体支持体から溶出された後に、標的分子が固体支持体から溶出される。
いくつかの態様において、標的分子は核酸であり、かつ夾雑物は非核酸分子を含む。いくつかの態様において、標的分子はタンパク質であり、かつ夾雑物は非タンパク質分子を含む。いくつかの態様において、標的分子はタンパク質であり、かつ夾雑物は標的分子タンパク質以外のタンパク質を含む。いくつかの態様において、標的分子はウイルスまたはウイルス様粒子であり、かつ夾雑物は非ウイルス分子を含む。
本発明はまた、標的分子単量体を、標的分子凝集体を含む生物学的試料から精製する方法も提供する。いくつかの態様において、方法は以下の段階を含む:
(a)標的分子凝集体を含む試料を、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体に接触させ、それにより標的分子凝集体(「結合した標的分子凝集体」)を固体支持体に非共有結合で結合させる段階;
(b)結合した標的分子凝集体を、標的分子が固体支持体に実質的に結合したままである条件の下で、標的分子凝集体を構成要素に分ける薬剤で洗浄する段階;および
(c)標的分子を単量体として固体支持体から溶出する段階であって、溶出された標的分子が、標的分子凝集体を実質的に含まない、段階。
いくつかの態様において、方法は、溶出段階より前に、薬剤を固体支持体から洗浄する段階を含む。
いくつかの態様において、方法は、固体支持体が、溶出段階(c)中に、誘導体化されていないアパタイト固体支持体であるように、洗浄段階(b)と溶出段階(c)との間に、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体を誘導体化されていないアパタイトに変換する段階を含む。いくつかの態様において、固体支持体は、溶出段階(c)中に、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体である。
いくつかの態様において、アパタイトは、ヒドロキシアパタイトまたはフルオロアパタイトである。いくつかの態様において、アパタイトは、ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、20ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、40ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、80ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、20ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、40ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、80ミクロン;フルオロアパタイトCFTタイプI、40ミクロン;およびフルオロアパタイトCFTタイプII、40ミクロンからなる群より選択される。
いくつかの態様において、標的分子は、タンパク質、抗体、リンタンパク質、ウイルス、ウイルス様粒子、または核酸より選択される。いくつかの態様において、標的分子は抗体である。標的分子が核酸であるいくつかの態様において、核酸はDNAまたはRNAである。
いくつかの態様において、薬剤は、アルギニン、尿素、グアニジン、塩化ナトリウム、有意なカルシウム親和性が欠如している塩、有機溶剤、界面活性剤、および還元剤からなる群より選択される。いくつかの態様において、有機溶剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、アルコール、DMSO、およびDMFからなる群より選択される。いくつかの態様において、界面活性剤は、Tween界面活性剤、Triton界面活性剤、CHAPS界面活性剤、CHAPSO界面活性剤、およびオクタグルコシドからなる群より選択される。いくつかの態様において、還元剤は、システイン、DTT、DTE、またはメルカプトエタノールからなる群より選択される。
いくつかの態様において、洗浄段階(b)は、標的分子を結合した固体支持体を、標的分子凝集体を構成要素に分ける2種またはそれより多い異なる薬剤を含む溶液と接触させる段階を含む。いくつかの態様において、2種またはそれより多い異なる薬剤は、以下を含む:
i. 尿素および塩化ナトリウム;
ii. 尿素および塩化ナトリウムおよびシステイン;
iii. 塩および有機溶剤;または
iv. 塩および界面活性剤。
いくつかの態様において、金属カチオンは、マグネシウム、亜鉛、鉄、カルシウム、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、およびクロムからなる群より選択される。いくつかの態様において、金属カチオンはカルシウムである。
いくつかの態様において、標的分子凝集体は、非共有結合性相互作用により安定化されている。いくつかの態様において、標的分子凝集体は、共有結合性相互作用により安定化されている。いくつかの態様において、標的分子凝集体は、ホモマー共有結合性凝集体である。いくつかの態様において、標的分子凝集体は、ヘテロマー共有結合性凝集体である。いくつかの態様において、標的分子凝集体は、ジスルフィド結合を介して共有結合性相互作用により安定化されており、かつ、洗浄段階は、前記薬剤との組み合わせで還元剤を含み、それによりジスルフィド結合を還元する。
本発明はさらに、分子内ジスルフィドリモデリングの方法、および適当なジスルフィド結合を有する標的分子を生物学的試料から精製する方法を提供する。いくつかの態様において、方法は以下の段階を含む:
(a)不適当なジスルフィド結合を有する標的分子を含む試料を、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体に接触させ、それにより不適当なジスルフィド結合を有する標的分子(「結合した標的分子」)を固体支持体に非共有結合で結合させる段階;
(b)結合した標的分子を、結合した標的分子中のジスルフィド結合を還元し、標的分子が固体支持体に実質的に結合したままである条件の下で、少なくとも1種のさらなる薬剤との組み合わせで、還元剤で洗浄する段階;
(c)標的分子を、標的分子が適当なジスルフィド結合を有するようにリフォールディングさせる条件に供する段階;および
(d)適当なジスルフィド結合を有する標的分子を固体支持体から溶出する段階であって、適当なジスルフィド結合を有する溶出された標的分子が、不適当なジスルフィド結合を有する標的分子を実質的に含まない、段階。
いくつかの態様において、方法は、溶出段階より前に、還元剤および少なくとも1種のさらなる薬剤を固体支持体から洗浄する段階を含む。
いくつかの態様において、方法は、固体支持体が、溶出段階(c)中に、誘導体化されていないアパタイト固体支持体であるように、洗浄段階(b)と溶出段階(c)との間に、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体を誘導体化されていないアパタイトに変換する段階を含む。いくつかの態様において、固体支持体は、溶出段階(c)中に、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体である。
いくつかの態様において、アパタイトは、ヒドロキシアパタイトまたはフルオロアパタイトである。いくつかの態様において、アパタイトは、ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、20ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、40ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、80ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、20ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、40ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、80ミクロン;フルオロアパタイトCFTタイプI、40ミクロン;およびフルオロアパタイトCFTタイプII、40ミクロンからなる群より選択される。
いくつかの態様において、標的分子は、タンパク質、抗体、リンタンパク質、ウイルス、ウイルス様粒子、または核酸より選択される。いくつかの態様において、標的分子は抗体である。
いくつかの態様において、還元剤は、システイン、DTT、DTE、またはメルカプトエタノールからなる群より選択される。いくつかの態様において、少なくとも1種のさらなる薬剤は、アルギニン、尿素、グアニジン、塩化ナトリウム、有意なカルシウム親和性が欠如している塩、有機溶剤、および界面活性剤からなる群より選択される。いくつかの態様において、有機溶剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、アルコール、DMSO、およびDMFからなる群より選択される。いくつかの態様において、界面活性剤は、Tween界面活性剤、Triton界面活性剤、CHAPS界面活性剤、CHAPSO界面活性剤、およびオクタグルコシドからなる群より選択される。
いくつかの態様において、洗浄段階(b)は、標的分子を結合した固体支持体を、少なくとも2種のさらなる薬剤との組み合わせで還元剤を含む溶液と接触させる段階を含む。いくつかの態様において、少なくとも2種のさらなる薬剤は、以下を含む:
i. 尿素および塩化ナトリウム;
ii. 塩および有機溶剤;または
iii. 塩および界面活性剤。
いくつかの態様において、金属カチオンは、マグネシウム、亜鉛、鉄、カルシウム、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、およびクロムからなる群より選択される。いくつかの態様において、金属カチオンはカルシウムである。
定義
本発明がより容易に理解され得るように、用語が定義される。追加的な定義は、詳細な説明を通して示される。
「アパタイト固体支持体」とは、クロマトグラフィーの実行に適する物理的形態におけるカルシウムおよびリン酸の無機物を指す。例は、ヒドロキシアパタイトおよびフルオロアパタイトを含むが、それらに限定されない。この定義は、アパタイト固体支持体の天然の形態、ならびに金属カチオンで誘導体化された形態およびポリカチオンで誘導体化された形態を含むと理解される。
「金属で誘導体化されたアパタイト固体支持体」とは、負の電荷を有する天然のアパタイトリン酸基が結合した金属イオンにより中和され、かつ金属イオンが、タンパク質、ポリヌクレオチド、およびウイルスなどの生体分子との配位相互作用に関与するのに有効である表面を作製するように、リン酸緩衝液の非存在下で二価の金属カチオンで処理されているアパタイト固体支持体を指す。一つの例は、カルシウムで誘導体化されたアパタイトを含む。これは、天然のカルシウム残基および二次的なカルシウム残基を有する表面になる。他の金属で誘導体化されたアパタイトは、混合型の金属性質:本来のカルシウムに加えて誘導体化金属(1種または複数)の表面になると考えられる。
「ポリカチオンで誘導体化されたアパタイト支持体」とも称される「カチオン性ポリマーで改変されたアパタイト支持体」とは、負の電荷を有する天然のアパタイトリン酸基が中和され、かつポリマー上の過剰な正の電荷を有する基が、全体として表面上の正味の電気陽性の電荷を与える表面を作製するように、正の電荷を有するポリマーで処理されているアパタイト固体支持体を指す。ポリカチオン、または「カチオン性ポリマー」とは、3個またはそれより多い正電荷を含有する分子を指し、かついくつかの態様において、単一分子内に4個もしくはそれより多い、5個もしくはそれより多い、6個もしくはそれより多い、7個もしくはそれより多い、8個もしくはそれより多い、または、9個もしくはそれより多い正電荷を含む。ポリエチレンイミンは、この目的で使用され得るカチオン性ポリマーの例である。ポリマーは、サイズが、数百ダルトンから100,000ダルトンより大きくまでわたってもよい。同様の効果を生じるように使用され得る他のカチオン性ポリマーは、ポリリジン、ポリアルギニン、およびポリアリルアミンを含むが、それらに限定されない。
「脱複合体化剤(decomplexing agent)」または「脱複合体化薬(decomplexant)」という用語は、関心対象の標的分子を、複合体または凝集体から、例えば、標的分子と夾雑物の複合体、不適当に対応したもしくは対応していないジスルフィド結合または不安定な三硫化物を有する複合体、または多量体標的分子凝集体から、分離する、移動させる、または構成要素に分ける化合物を指す。例示的な薬剤は、アルギニン、尿素、グアニジン、塩化ナトリウム、有意なカルシウム親和性が欠如している塩、有機溶剤、界面活性剤、および還元剤を含むが、それらに限定されない。
「標的分子」とは、本発明の方法による精製のための生体分子、または生物学的起源の分子を指す。標的分子は、タンパク質、ポリヌクレオチド、ウイルス、およびウイルス様粒子を含むが、それらに限定されない。タンパク質の例は、抗体、酵素、増殖調節因子、凝固因子、およびリンタンパク質を含むが、それらに限定されない。ポリヌクレオチドの例は、DNAおよびRNAを含む。ウイルスの例は、エンベロープウイルスおよび非エンベロープウイルスを含む。
「抗体」とは、任意の免疫グロブリンまたはその複合形態を指す。用語は、自然の形態、またはヒト化抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組み換え抗体、ハイブリッド抗体、変異抗体、移植抗体、およびインビトロ生成抗体などの遺伝子改変された形態を含む、ヒトまたは他の哺乳動物細胞株に由来する、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMクラスのポリクローナルまたはモノクローナル抗体を含んでもよいが、それらに限定されない。「抗体」はまた、免疫グロブリン部分を含有する融合タンパク質を含むがそれらに限定されない、複合形態を含んでもよい。「抗体」はまた、それらが抗原結合機能を保留していようとなかろうと、Fab、F(ab')2、Fv、scFv、Fd、dAb、Fc、および他の組成物などの抗体断片を含んでもよい。
「夾雑物」または「複合体形成した夾雑物」とは、精製されるべき標的分子と会合している望ましくない成分を指す。会合の機構にかかわらず、会合は、共有結合性または非共有結合性のいずれであってもよい。夾雑物の例は、タンパク質、核酸、脂質、種々の細胞培養培地構成成分および添加物、金属イオン、チオレドキシン、硫化物、多糖類、ならびにエンドトキシンを含むが、それらに限定されない。
「凝集体」とは、少なくとも2種の標的分子、例えば抗体、およびしばしばより多い標的分子(例えば、5、10、20種、またはそれより多い標的分子)の会合を指す。標的分子が会合する機構にかかわらず、会合は、共有結合性または非共有結合性のいずれであってもよい。会合は、標的分子間の直接であってもよいし、または、標的分子を互いに連結する他の分子を通した間接であってもよい。後者の例は、タンパク質を介したジスルフィド結合、脂質を介した疎水性会合、DNAを介した電荷会合、浸出されたプロテインAを介した親和性会合、または複数の構成成分を介した混合様式会合を含むが、それらに限定されない。本明細書において使用される際、用語は、「ホモマー」凝集体(単一の関心対象の分子の多量体(二量体、三量体、四量体など)の会合)および「ヘテロマー」凝集体(標的分子、例えばタンパク質の、他の非標的分子、例えば非標的タンパク質との会合)の両方を包含する。
「生物学的生成物調製品」とは、精製されるべき標的分子を含有する任意の組成物を指す。いくつかの態様において、精製されるべき標的分子は抗体である。
「調製的適用」とは、研究、診断、治療、または他の適用のために精製された生物学的生成物(例えば、抗体または他のタンパク質)を取得する目的で本発明が実施される状況を指す。そのような適用は、バッチ当たりミリグラムからキログラムにわたる生物学的生成物の任意の規模で、実施されてもよい。
発明の詳細な説明
I. 序文
生物学的生成物調製品において標的の生物学的分子に化学的に複合体形成している夾雑物の分離および除去のために、アパタイトクロマトグラフィー支持体を使用する方法が提供される。本発明の方法は、複合体形成した夾雑物および異種性の「超夾雑物(supercontaminant)」、または、凝集体を構成する成分夾雑物のクロマトグラフ保持特性とは異なるクロマトグラフ保持特性を有する夾雑物の凝集体を除去するため、それにより標的分子の精製度を増大するために有用である。
本発明はまた、標的分子の凝集体を標的分子の単量体に分離するためにアパタイトクロマトグラフィー支持体を使用する方法も提供する。標的分子凝集体の分離は、例えば、抗体調製品または治療用タンパク質調製品において、生物学的生成物調製品の凝集体含量を減少させる。生物学的生成物調製品において凝集体を減少させる利点は、例えば、治療用タンパク質の投与に付随する患者の危険性の減少;免疫診断用試薬の性能の改善;および、凝集体を「除去する」ことよりむしろ標的生成物をその天然の形態に復元することによる天然の標的生成物の回復の潜在的な増進を含む。
本発明はさらに、標的分子をその天然の特性に復元するためにアパタイトクロマトグラフィー支持体を使用する方法を提供する。いくつかの態様において、本発明の方法は、生物学的生成物調製品における不適当なジスルフィド結合を分離し、かつ、適当なジスルフィド結合を有するようにリフォールディングする標的分子の能力を増強する。標的分子をその天然の特性に復元すると、標的分子のより効率的な精製およびより高い回収率が可能になる。
II. アパタイトクロマトグラフィー
本発明は、脱複合体化剤との組み合わせでアパタイト固体支持体を使用して、標的分子を生物学的試料から精製する段階を提供する。アパタイトクロマトグラフィー支持体はまた、脱複合体化機能を提供し、かつ、アパタイトクロマトグラフィー支持体の非存在下での本明細書において記載されるものと同一の脱複合体化剤の使用と比較して達成され得る、複合体分離および夾雑物除去のより高い程度を達成することを助長する。
種々のアパタイト固体支持体が市販されており、そのうちの任意が、本発明の実施において使用され得る。これらは、ヒドロキシアパタイトおよびフルオロアパタイトを含むが、それらに限定されない。市販されている例は、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)またはセラミックフルオロアパタイト(CFT)を含むが、それらに限定されない。いくつかの態様において、アパタイト固体支持体はカラムである。
「ヒドロキシアパタイト」とは、構造式Ca10(PO4)6(OH)2を有するリン酸カルシウムの不溶性のヒドロキシル化された無機物を含むクロマトグラフィー支持体を指す。その主要な相互作用の様式は、ホスホリルカチオン交換およびカルシウム金属親和性である。
「フルオロアパタイト」とは、構造式Ca10(PO4)6F2を有するリン酸カルシウムの不溶性のフッ素化された無機物を含むクロマトグラフィー支持体を指す。その主要な相互作用の様式は、ホスホリルカチオン交換およびカルシウム金属親和性である。
「セラミック」ヒドロキシアパタイト(CHT)または「セラミック」フルオロアパタイト(CFT)とは、クロマトグラフィー適用に適する安定なセラミックマイクロスフェアを作製するように、ナノ結晶が凝塊形成して粒子になりかつ高温で融合されている、それぞれの無機物の形態を指す。セラミックヒドロキシアパタイトの市販例は、CHTタイプIおよびCHTタイプIIを含むが、それらに限定されない。フルオロアパタイトの市販例は、CFTタイプIおよびCFTタイプIIを含むが、それらに限定されない。特定化されない限り、CHTおよびCFTは、約10、20、40、および80ミクロンを含むがそれらに限定されない任意の平均直径の、ほぼ球形の粒子を指す。ヒドロキシアパタイトまたはフルオロアパタイトの選択、タイプ、および平均粒子直径は、当業者により決定され得る。
いくつかの態様において、アパタイトは、ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、20ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、40ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、80ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、20ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、40ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、80ミクロン;フルオロアパタイトCFTタイプI、40ミクロン;およびフルオロアパタイトCFTタイプII、40ミクロンからなる群より選択される。
いくつかの態様において、CHTまたはCFTは、カラムに充填される。いくつかの態様において、CHTまたはCFTは、標的分子凝集体および/または標的分子-夾雑物複合体の分離、ならびに生物学的生成物調製品からの標的分子の溶出特性に対する種々の薬剤および薬剤の組み合わせの効果を評価するために、約5 mmの内径および約50 mmの高さのカラムに充填される。いくつかの態様において、CHTまたはCFTは、調製的適用を支持するために必要とされる任意の寸法のカラムに充填される。特定の適用の必要に応じて、カラム直径は、1cmから1メートルより長くにわたってもよく、かつ、カラム高さは、5 cmから30 cmより長くにわたってもよい。適切なカラム寸法は、当業者により決定され得る。
金属カチオンで誘導体化されたアパタイト
いくつかの態様において、天然のヒドロキシアパタイトおよび/またはフルオロアパタイトは、リン酸の非存在下での可溶性金属カチオンへの曝露により、金属カチオンで誘導体化された形態に変換され、それによりアパタイト支持体の選択性を変化させる。天然のアパタイトの誘導体化に適する金属カチオンの例は、マグネシウム、亜鉛、鉄、カルシウム、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、およびクロムを含むが、それらに限定されない。
いくつかの態様において、誘導体化されたアパタイトは、カルシウムで誘導体化されたアパタイトである。カルシウム誘導体化は、主としてアパタイトリン酸基を除去し、それらを二次的なカルシウム基と置換する。カルシウム誘導体化は、リン酸化された分子に対するアパタイトの親和性を増進し、それにより支持体の複合体分離可能性を増進し、かつ関心対象の標的分子の効率的な精製を増進する。
天然のアパタイトを金属カチオン(例えば、カルシウム)で誘導体化された形態に変換する方法は、当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第2009/0187005号および米国特許第2009/0186396号に記載され、それらの各々は全体として参照により本明細書に組み入れられる。簡潔には、いくつかの態様において、アパタイト固体支持体を、妥当なpH制御を与える1種または複数の緩衝化合物の存在下で、約2〜5 mMの濃度でカルシウム塩を含む溶液で平衡化する。いくつかの態様において、カルシウム塩は、約1 mM〜約100 mM、約1 mM〜約50 mM、約1 mM〜約20 mM、または約2 mM〜約10 mMの濃度で存在する。緩衝化合物は、MES、HEPES、BICINE、イミダゾール、およびトリスを含んでもよいが、それらに限定されない。いくつかの態様において、アパタイトは、約20 mM HEPES、約20 mM MES、および約5 mMカルシウムを約pH 7で含む緩衝液をアパタイト支持体に適用することにより、カルシウムで誘導体化される。
本発明のアパタイトクロマトグラフィー支持体は、その金属カチオン(例えば、カルシウム)で誘導体化された形態において溶出されてもよく、あるいは、溶出より前に、その天然の(すなわち、誘導体化されていない)形態に復元されてもよい。いくつかの態様において、金属カチオンで誘導体化されたアパタイトは、天然のアパタイト支持体の溶出に一般的に適用される方法により溶出され得る点で、リン酸緩衝液への曝露によりその天然の形態に復元される。例えば、カルシウムで誘導体化されたアパタイトは、リン酸緩衝液で洗浄した際に天然のアパタイトに復元され得る。いくつかの金属カチオンで誘導体化されたアパタイトについて、誘導体化は、部分的にのみ可逆的であるか、または不可逆的である。いくつかの態様において、誘導体化されたアパタイト(例えば、カルシウムで誘導体化されたアパタイト)は、約10 mMリン酸を含む緩衝液をアパタイト支持体に適用することにより、その天然の状態に復元される。
ポリカチオンで誘導体化されたアパタイト
いくつかの態様において、天然のヒドロキシアパタイトおよび/またはフルオロアパタイトは、リン酸の非存在下での可溶性ポリカチオンへの曝露により、ポリカチオンで誘導体化された形態に変換され、それによりアパタイト支持体の選択性を変化させる。天然のアパタイトの誘導体化に適するポリカチオンの例は、ポリエチレンイミン(PEI)、ならびに、ポリエタノールアミン、ポリリジン、ポリアルギニン、およびポリアリルアミンなどのポリアミンを含むが、それらに限定されない。
いくつかの態様において、天然のヒドロキシアパタイトは、ポリカチオンで誘導体化された形態に変換される前に、金属カチオンで誘導体化されたアパタイトに変換される。この変換により、さもなくば高塩洗浄により天然のアパタイトまたはポリカチオンで誘導体化されたアパタイトから溶出されるであろうタンパク質が、支持体に結合したままであることが可能になる。また、天然のホスホリルカチオン交換反応を、DNA、エンドトキシン、ウイルス、浸出されたプロテインA、および宿主細胞タンパク質などの酸性夾雑物の結合を増強するポリカチオンベースのアニオン交換機能と置換する。
アパタイト支持体の誘導体化は、一般に、支持体を、ポリカチオンがアパタイト支持体に結合するために十分カチオン性であるpHで十分な量のポリカチオンを含有する溶液と単純に接触させる段階を含み得る。例えば、いくつかの態様において、PEIまたは別のポリカチオンを、約6.5〜7.0のpHに滴定し、かつ、任意で50 mM Hepesなどの緩衝液において0.1%〜2%の濃度へ希釈する。いくつかの態様において、固体支持体をその後、緩衝液(例えば、50 mM Hepes、pH 7.0)で洗浄し、続いて10 mMリン酸で平衡化する。
ポリカチオンの濃度は、カチオン性殺ウイルス剤がポリカチオンで誘導体化されたアパタイトに有意に結合しないように、アパタイトリン酸上の十分な量の負の電荷を遮断するために十分であるべきである。誘導体化の成功は、例えば、DNAの試料(例えば、50 mM Hepes、pH 7.0中の0.1 mg/mLサケ精子DNA)を適用し、リン酸勾配においてDNAが溶出するリン酸濃度を、天然の(誘導体化されていない)アパタイト支持体カラムにおける溶出リン酸濃度と比較することにより確認することができる。DNAは、天然のCHTから約250〜300 mMリン酸で概して溶出するが、ポリカチオンで改変されたアパタイトからは300〜500 mMまで概して溶出しない。典型的な生物学的試料における細胞タンパク質は、いくらかのポリカチオン性ポリペプチドを含有するが、本明細書に記載される目的で十分な量のアパタイトリン酸を遮断するためには十分ではない。
誘導体化溶液は、一般に、妥当なpH制御を与える緩衝化合物を含むであろう。理想的に、緩衝液は、緩衝液とポリカチオンとの可能な相互作用を回避するために、使用されるpH(例えば、約pH 6〜7.5、または、例えば、約6.5〜7.0)で、正の電荷を有するか、または両性イオン性であろう。緩衝化合物は、MES、HEPES、ヒスチジン、ヒスタミン、およびイミダゾールを含んでもよいが、それらに限定されない。
III. 標的分子
本発明は、標的分子を生物学的試料から精製する方法を提供する。いくつかの態様において、生物学的試料における標的分子は、1種もしくは複数の夾雑物、または夾雑物の凝集体と複合体形成している。いくつかの態様において、生物学的試料における標的分子は、標的分子の凝集体である。いくつかの態様において、生物学的試料における標的分子は、標的分子が不適当なジスルフィド結合を有するか、および/または不適当にフォールディングされている形態で存在する。
本発明の標的分子は、アパタイトクロマトグラフィーを用いて精製され得る任意の生物学的分子を含む。標的分子の例は、タンパク質(例えば、抗体、酵素、増殖調節因子、凝固因子、およびリンタンパク質)、ポリヌクレオチド(例えば、DNAおよびRNA)、ウイルス、およびウイルス様粒子を含むが、それらに限定されない。
いくつかの態様において、標的分子は、抗体または抗体断片である。本発明における使用のための抗体調製品は、天然、合成、または組み換え供給源由来の精製されていない抗体または部分的に精製された抗体を含み得る。精製されていない抗体調製品は、血漿、血清、腹水、乳、植物抽出物、細菌溶解物、酵母溶解物、または調整細胞培養培地を含むがそれらに限定されない、種々の供給源由来であってもよい。部分的に精製された調製品は、少なくとも一つのクロマトグラフィー、沈殿、他の分画段階、または前述の任意の組み合わせにより加工処理されている、精製されていない調製品由来であってもよい。クロマトグラフィー段階(一つまたは複数)は、サイズ排除、親和性、アニオン交換、カチオン交換、プロテインA親和性、疎水性相互作用、固定化金属親和性クロマトグラフィー、または混合様式クロマトグラフィーを含むがそれらに限定されない、任意の方法を使用してもよい。沈殿段階(一つまたは複数)は、塩もしくはPEG沈殿、または、有機酸、有機塩基、もしくは他の薬剤での沈殿を含んでもよい。他の分画段階は、結晶化、液-液分配、または膜濾過を含んでもよいが、それらに限定されない。
IV. 夾雑物および凝集体
いくつかの態様において、本発明の方法は、標的分子の精製を増強するために、標的分子と複合体形成している1種または複数の夾雑物を脱複合体化するのに有用である。夾雑物の例は、タンパク質、核酸、脂質、種々の細胞培養培地構成成分および添加物、金属イオン、多糖類、エンドトキシン、チオレドキシン、ならびに硫化物(例えば、標的分子のジスルフィド結合中に硫黄原子の挿入を導き得る、細胞培養中、例えば、哺乳動物細胞培養におけるIgGモノクローナル抗体の産生中に細胞により作製され、かつ不安定な三硫化物を結果としてもたらす硫化物)を含むが、それらに限定されない。
標的分子-夾雑物複合体は、種々の化学的相互作用または化学的相互作用の組み合わせの任意により形成され、および/または安定化され得る。化学的相互作用は、共有結合性または非共有結合性であり得る。標的分子と夾雑物との間の化学的相互作用の例は、静電的相互作用、水素結合、疎水性相互作用、金属親和性相互作用、pi-pi結合、pi-カチオン相互作用、および酸化還元反応を含むが、それらに限定されない。いくつかの態様において、複合体形成した夾雑物は、ジスルフィド結合を介して標的分子と共有結合で複合体形成している。
いくつかの態様において、標的分子は、夾雑物の凝集体を構成する成分夾雑物のクロマトグラフ保持特性と比較した際に異なるクロマトグラフ保持特性を有する、異種性の夾雑物の凝集体、または「超夾雑物」と複合体形成している。本発明の方法は、夾雑物の凝集体を成分夾雑物に分離するために使用され得る。本明細書において記載されるように、夾雑物の凝集体の、より同種でありかつ厳密に規定されたクロマトグラフ保持特性を有する成分夾雑物への分離は、夾雑物の除去を助長し、かつ、標的分子の精製可能性および精製過程の再現性を増進する。
いくつかの態様において、標的分子はタンパク質であり、かつ夾雑物は非タンパク質分子(例えば、核酸)を含む。いくつかの態様において、標的分子はタンパク質であり、かつ夾雑物は標的分子タンパク質以外のタンパク質を含む。いくつかの態様において、標的分子は核酸であり、かつ夾雑物は非核酸分子を含む。いくつかの態様において、標的分子はウイルスまたはウイルス様粒子であり、かつ夾雑物は非ウイルス分子を含む。
本発明はまた、標的分子凝集体を構成要素に分ける方法も提供する。いくつかの態様において、標的分子凝集体は、関心対象の標的分子のみを含み、標的分子が多量体を形成するホモマー凝集体(例えば、IgGの多量体)である。ホモマー凝集体は、共有結合性相互作用によりまたは非共有結合性相互作用により、安定化され得る。いくつかの態様において、ホモマー標的分子凝集体は、ジスルフィド結合により安定化されている。
いくつかの態様において、標的分子凝集体は、関心対象の標的分子、および標的分子以外の1種または複数のタイプの分子を含むヘテロマー凝集体(例えば、1種または複数の非IgGタンパク質と共に凝集した関心対象のIgG)である。ヘテロマー凝集体は、共有結合性相互作用によりまたは非共有結合性相互作用により、安定化され得る。いくつかの態様において、ヘテロマー標的分子凝集体は、ジスルフィド結合により安定化されている。
V. 方法
本発明の方法は、標的分子を生物学的試料から精製するためにアパタイトクロマトグラフィーを使用する。一般に、本発明の方法は、標的分子を含む試料を、金属で誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体に接触させ、それにより標的分子をアパタイト支持体に非共有結合で結合させる段階;結合した標的分子を、本明細書において記載されるような1種または複数の薬剤で洗浄する段階であって、標的分子がアパタイト支持体に実質的に結合したままである段階;および、標的分子をアパタイト支持体から溶出する段階、を含む。
いくつかの態様において、精製されるべき標的分子は、1種または複数の夾雑物と複合体形成しており、かつ方法は、標的分子-夾雑物複合体を、複合体形成した夾雑物を標的分子から移動させる1種または複数の薬剤と接触させる段階、および、標的分子をアパタイトから溶出する段階であって、溶出された標的分子が、複合体形成した夾雑物を実質的に含まない段階、を含む。
いくつかの態様において、精製されるべき標的分子は、夾雑物の凝集体と複合体形成しており、かつ方法は、標的分子-夾雑物複合体を、夾雑物の凝集体を標的分子から分離する1種または複数の薬剤と接触させる段階、および、標的分子をアパタイトから溶出する段階であって、溶出された標的分子が、夾雑物を実質的に含まない段階、を含む。
いくつかの態様において、精製されるべき標的分子は、標的分子の凝集体であり、かつ方法は、標的分子凝集体を、標的分子凝集体を構成要素に分ける1種または複数の薬剤と接触させる段階、および、標的分子を単量体としてアパタイトから溶出する段階であって、溶出された標的分子が、標的分子凝集体を実質的に含まない段階、を含む。
いくつかの態様において、精製されるべき標的分子は、不適当なジスルフィド結合を有し、かつ方法は、不適当なジスルフィド結合を有する標的分子を、ジスルフィド結合を還元する条件の下で、少なくとも1種のさらなる薬剤との組み合わせで還元剤と接触させる段階、標的分子を、標的分子が適当なジスルフィド結合を有するようにリフォールディングさせる条件に供する段階、および、適当なジスルフィド結合を有する標的分子をアパタイトから溶出する段階であって、溶出された標的分子が、不適当なジスルフィド結合を有する標的分子を実質的に含まない段階、を含む。
接触段階
標的分子を含む試料をアパタイト支持体(例えば、アパタイトカラム)と接触させる段階の準備において、カラム内部の化学的環境を平衡化することが通常必要である。これは、適切なpH、伝導率、塩の濃度、および/または同一性、分子量、ならびに、含まれる場合、非イオン性有機ポリマーの濃度を確立するように、カラムを通して平衡化緩衝液を流すことにより達成される。
平衡化緩衝液は、適切な際にカルシウムまたは他の金属塩を含み得るが、一般に、アパタイトから金属(例えば、カルシウム)イオン誘導体化を除去するリン酸または他の塩は含まないであろう。いくつかの態様において、カルシウム塩は、約2〜5 mMの濃度である。平衡化緩衝液は任意で、非イオン性有機ポリマー(例えば、米国特許出願公開第2008/0177048号に記載されているポリエチレングリコールまたは他の非イオン性有機ポリマー)を約0.01〜50%の濃度で、および/または、妥当なpH制御を与える緩衝化合物を含んでもよい。緩衝化合物は、MES、HEPES、BICINE、イミダゾール、およびトリスを含んでもよいが、それらに限定されない。ヒドロキシアパタイトのための平衡化緩衝液のpHは、約pH 6.5〜pH 9.0にわたり得る。フルオロアパタイトのための平衡化緩衝液のpHは、約pH 5.0〜9.0にわたり得る。
いくつかの態様において、アパタイトカラムは、妥当なpH制御を与えるための1種または複数の緩衝化合物の存在下で、金属カチオン塩を約2〜5 mMの濃度で含む溶液を用いて、金属カチオンで誘導体化される。いくつかの態様において、アパタイトカラムは、20 mM HEPESおよび20 mM MESの存在下で5 mMカルシウム塩を含み、かつ約7のpHを有する平衡化緩衝液を適用することにより、カルシウムで誘導体化される。
生物学的生成物調製品として本明細書において互換的に称される、標的分子を含む試料はまた、本発明が実施される前に、カラム平衡化緩衝液と適合性である条件に平衡化され得る。これは、pH、塩の濃度、および他の化合物を調整する段階からなる。いくつかの態様において、試料を、5 mMの最終カルシウム濃度になるように塩化カルシウムを試料に添加することにより、平衡化する。
カラムおよび生物学的生成物調製品を平衡化した後、生物学的生成物調製品をカラムと接触させてもよい。調製品は、約50〜600 cm/時間であるがそれに限定されない範囲の線形流速で適用されてもよい。適切な流速は、当業者により決定され得る。
いくつかの態様において、アパタイト固体支持体を、標的分子(夾雑物もしくは夾雑物の凝集体と複合体形成していてもよいし、凝集した標的分子であってもよいし、および/または不適当なジスルフィド結合を有する標的分子であってもよい)を含む試料と接触させる段階は、標的分子を固体支持体に非共有結合で結合させる。
洗浄段階
標的分子のアパタイト固体支持体への結合に続いて、結合した標的分子を、標的分子が固体支持体に実質的に結合したままである条件の下で、複合体形成した夾雑物を標的分子から、もしくは標的分子の不適当なジスルフィド結合を移動させ、夾雑物の凝集体を標的分子から分離し、または標的分子凝集体を構成要素に分ける1種または複数の薬剤で洗浄する。本発明の範囲を限定することを意図せずに、薬剤が、標的分子を夾雑物または凝集体から、それらの間の会合(すなわち共有結合性相互作用または非共有結合性相互作用)を弱めることにより脱複合体化すると確信される。脱複合体化剤は、それ自体が夾雑物または凝集体を標的分子から分離するかまたは移動させるように機能するアパタイト固体支持体との組み合わせで、作用する。いくつかの場合において、例えば、標的分子が不適当なジスルフィド結合を有する時、または標的分子凝集体または標的分子-夾雑物複合体がジスルフィド結合により安定化されている時、脱複合体化剤は、標的分子の構造を弛緩し、不適当なおよび/または不自然なジスルフィド結合がより容易に移動されるようにし、かつ、適当な天然のジスルフィド結合を自己復元する標的分子の能力を増強し得る。
様々な薬剤が、夾雑物、不適当なジスルフィド結合、または凝集体を移動させ、分離し、または構成要素に分けるために使用され得る。典型的に、薬剤は、標的分子のアパタイトカラムへの結合を実質的に干渉しない化合物である(例えば、カルシウムで誘導体化されたアパタイトカラムについて、薬剤は、カルシウムに対する有意な親和性が欠如しているものである)。いくつかの態様において、薬剤は液体である。いくつかの態様において、薬剤は、液体中に溶解されている化合物である。
いくつかの態様において、薬剤は、アルギニン、尿素、グアニジン、塩化ナトリウム、有意なカルシウム親和性が欠如している塩(例えば、NaCl、KCl、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、グアニジン塩、アミノ酸塩、およびチオシアン酸塩)、有機溶剤、界面活性剤、および還元剤からなる群より選択される。いくつかの態様において、薬剤は尿素である。いくつかの態様において、薬剤は塩化ナトリウムである。
例示的な薬剤の例示的な濃度は、以下を含むが、それらに限定されない:
塩化ナトリウム:0.1〜5 M、例えば、0.5〜2.0 M。
アルギニン:0.05〜1.00 M、例えば、200〜600 mM。
KCl:NaClと同一。
グアニジン:大部分の場合について(例えば、IgG精製について)100 mM〜1 Mであるが、より困難な場合は2 Mまでである。タンパク質アンフォールディングが心配ではない状況においては、6Mまでである。
過塩素酸塩:100 mM〜1 M、極端な場合は飽和状態まで。
チオシアン酸塩:100 mM〜1 M、極端な場合は飽和状態まで。
尿素:1〜2 M。二次的な範囲は200 mM〜4 M。極端な場合は10 Mまで使用することができる。
有機溶媒:エタノール、イソプロパノール、フェノキシエタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)1〜50%、例えば、2〜20%。DMFはより低い:0.1〜10%、例えば、0.1〜1%。
エチレングリコールまたはプロピレングリコール:5〜50%、例えば、15〜25。
界面活性剤:一般に、かなり変動するそれらの臨界ミセル濃度より低い。いくつかの態様において、tween/triton/ポリソルベートでは、0.01%より低く、CHAPS、CHAPSOでは、例えば0.1%までである。
還元剤:DTT、メルカプトエタノール、システイン:1〜50 mM、例えば、5〜25 mM。
いくつかの態様において、薬剤は有機溶剤である。例示的な有機溶媒は、エチレングリコール、プロピレングリコール、アルコール、DMSO、およびDMFを含むが、それらに限定されない。
いくつかの態様において、薬剤は界面活性剤である。例示的な界面活性剤は、ポリソルベート(ポリソルベート20またはポリソルベート80、例えば、Tween-20(商標)またはTween-80(商標)など)界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、Triton界面活性剤(例えば、オクチルフェノールエトキシラート(Triton X-100))、CHAPS界面活性剤、CHAPSO界面活性剤、およびオクタグルコシドを含むが、それらに限定されない。
いくつかの態様において、薬剤は還元剤である。例示的な還元剤は、システイン、ジチオスレイトール(「DTT」)、ジチオエリスレイトール(「DTE」)、メルカプトエタノール(「BME」)、2-メルカプトエチルアミン-HCl(「2-MEA」)、グルタチオン(「GSH」)、またはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(「TCEP」)を含むが、それらに限定されない。
いくつかの態様において、洗浄段階は、標的分子を結合した固体支持体を、1種の脱複合体化剤と接触させる段階を含む。いくつかの態様において、洗浄段階は、標的分子を結合した固体支持体を、2種、3種、4種、またはそれより多い異なる脱複合体化剤と接触させる段階を含む。いくつかの態様において、洗浄段階は、標的分子を結合した固体支持体を、2種またはそれより多い異なる薬剤を含む溶液と接触させる段階を含む。下記の実施例の節に示されるように、少なくとも2種の脱複合体化剤を含む溶液の使用により、各脱複合体化剤単独の使用と比較した際に、複合体形成した夾雑物または夾雑物の凝集体を標的分子から分離する効率、または、標的分子凝集体を標的分子単量体に分ける効率が増大し得る。
いくつかの態様において、2種またはそれより多い異なる脱複合体化剤は、以下を含む:尿素および塩化ナトリウム;尿素、塩化ナトリウム、および還元剤;塩および有機溶剤;または、塩および界面活性剤。
非限定的な例として、本発明の方法は、夾雑している金属イオンを標的分子から移動させるために有用である。金属イオンは、標的分子(例えば、タンパク質)と安定な複合体を形成し得、標的分子の特性を変化させる(例えば、電荷、疎水性、安定性、機能、および抗原性を変化させる)。さらに、金属イオンは、標的分子と他の夾雑物との間に(例えば、標的タンパク質と夾雑DNAとの間に)架橋複合体を形成し得、それは、高度に安定であり、かつたとえ高濃度でも塩に対して抵抗性であり、従って、金属架橋複合体を典型的な非アパタイト精製法に対して抵抗性にする。カルシウムで誘導体化されたアパタイト支持体を含むアパタイト固体支持体での精製が、金属架橋複合体を形成し得る金属イオンを除去できることが公知であるが、本明細書において記載されるような1種または複数の脱複合体化剤を含む溶液との組み合わせでのアパタイト固体支持体の使用は、金属親和性相互作用だけでなく、標的分子-夾雑物複合体を安定化する他の相互作用(例えば、静電的相互作用、水素結合、および/または疎水性相互作用)も分離することにより、金属架橋複合体の分離を増強する。
いくつかの態様において、少なくとも1種のさらなる脱複合体化剤との組み合わせで還元剤を含む溶液は、例えば、不適当なジスルフィド結合が存在する場合にジスルフィド結合を分離する段階において、または、余分な硫化物を脱複合体化する段階において有用であり得る。いくつかの態様において、溶液は、少なくとも1種のさらなる脱複合体化剤との組み合わせで還元剤を含む。
非限定的な例として、還元剤を含む溶液は、標的分子と複合体形成している硫化物夾雑物、例えば、細胞培養により産生されたH2Sガスに由来し、かつ標的分子の既存のジスルフィド結合中にそれ自体が挿入して不安定な三硫化物を作製する硫化物を移動させるために有用である。還元剤(例えば、システイン)を含む溶液を、余分な硫化物を脱複合体化する条件の下で、アパタイト固体支持体上に結合した標的分子に接触させ、従って硫化物夾雑物を標的分子から分離する。いくつかの態様において、還元剤を含む溶液は、少なくとも1種のさらなる脱複合体化剤(例えば、塩化ナトリウムおよび/または尿素)をさらに含む。少なくとも1種の他の薬剤との組み合わせでの還元剤の使用は、脱複合体化および標的分子の修復の効率を増大し得、かつ、標的分子に複合体形成し得る他の夾雑物を除去する追加的な利点を提供する。標的分子を、その後、下記に記載されるように溶出する。
別の非限定的な例として、還元剤を含む溶液は、ジスルフィド結合(例えば、別の標的分子単量体のフリーのスルホ基と安定なジスルフィド結合を形成する1個の標的分子単量体のフリーのスルホ基由来)により安定化されている標的分子凝集体を脱複合体化するために有用である。還元剤(例えば、システイン)を含む溶液、または、少なくとも1種のさらなる脱複合体化剤(例えば、塩化ナトリウムおよび/または尿素)との組み合わせで還元剤を含む溶液を、ジスルフィド結合を分離する条件の下で、アパタイト固体支持体上に結合した標的分子凝集体に接触させ、従って凝集体を標的分子の単量体に脱複合体化する。標的分子単量体を、その後、下記に記載されるように溶出する。
さらに別の非限定的な例として、還元剤を含む溶液は、不適当なジスルフィド結合を有する標的分子(例えば、天然に生じるIgGの混合型ジスルフィド変異体)を、不適当なジスルフィド結合を実質的に含まない標的分子へリモデリングするために有用である。還元剤(例えば、システイン)を含む溶液、または、少なくとも1種のさらなる脱複合体化剤(例えば、塩化ナトリウムおよび/または尿素)との組み合わせで還元剤を含む溶液を、標的分子中のジスルフィド結合を還元する条件の下で、アパタイト固体支持体上に結合した標的分子に接触させる。標的分子を、標的分子が適当なジスルフィド結合を有するようにリフォールディングさせる条件に供し、かつその後、下記に記載されるように溶出する。いくつかの態様において、標的分子が適当なジスルフィド結合を有するようにリフォールディングさせる条件は、溶液中に存在する還元剤および/または少なくとも1種のさらなる脱複合体化剤の量を変動させることにより、例えば、結合した標的分子を、還元剤を含まない溶液で洗浄することにより達成されてもよい。
いくつかの態様において、脱複合体化剤(1種または複数)は、標的分子を固体支持体から溶出する前に、固体支持体から除去される。薬剤(1種または複数)は、例えば、固体支持体を任意の適当な緩衝液で洗浄することにより、固体支持体から除去され得る。
いくつかの態様において、脱複合体化剤(1種または複数)は、標的分子を固体支持体から溶出する前に、固体支持体から除去されない。
溶出段階
洗浄段階に続いて、標的分子をアパタイト固体支持体から溶出する。いくつかの態様において、標的分子が溶出されるアパタイト固体支持体は、洗浄段階の後であるが標的分子の溶出より前に、金属カチオン(例えば、カルシウム)で誘導体化された形態から誘導体化されていない形態に変換される。金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体は、アパタイト固体支持体をリン酸緩衝液と接触させることにより、誘導体化されていない形態に変換され得る。いくつかの態様において、誘導体化されたアパタイトは、アパタイト固体支持体を、約10 mMリン酸を約pH 7で含む緩衝液と接触させることにより、誘導体化されていない条件に変換される。
いくつかの態様において、標的分子が溶出されるアパタイト固体支持体は、標的分子の溶出中に、金属カチオン(例えば、カルシウム)で誘導体化された形態のままである。
溶出条件は、例えば、イオンおよび/または緩衝液の濃度を増大させ、それにより標的分子を支持体から競合させる段階を含み得る。例えば、いくつかの態様において、標的分子は、緩衝液濃度を、例えば少なくとも250 mM、例えば250 mM〜1.5 M、例えば500 mM〜1.0 Mへ上昇させる塩化ナトリウム勾配で溶出される。任意で、pHは、pH 5.0〜10.0、例えば5.5〜8.5の間、例えばpH6.5〜7.5の間に維持される。溶出勾配は、直線的または不連続であり得る。
いくつかの態様において、標的分子は、約10 mMリン酸および約7のpHで、約1 M NaClへの直線勾配で溶出される。
任意で、さらなる塩(例えば、洗浄段階において使用される塩など)は、溶出緩衝液中に含まれない。
いくつかの態様において、標的分子がそれから分離されるかまたは構成要素に分けられる夾雑物が固体支持体に結合しているが、標的分子が固体支持体から溶出される。いくつかの態様において、標的分子がそれから分離されるかまたは構成要素に分けられる夾雑物が固体支持体から溶出された後に、標的分子が固体支持体から溶出される。
いくつかの態様において、固体支持体に結合した標的分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多くが、溶出段階において溶出される。
いくつかの態様において、本発明の方法は、複合体形成した夾雑物の標的分子からの除去を、本発明のアパタイトクロマトグラフィーおよび脱複合体化剤を含まない標的分子精製の方法と比較した際に、少なくとも2倍、例えば、少なくとも3倍、少なくとも4、5、10、20、30、40、50、100倍、またはより多く増進する。
いくつかの態様において、固体支持体から溶出される標的分子は、夾雑物を実質的に含まない。本明細書において使用される際、「実質的に含まない」とは、夾雑物が、精製された標的分子の10%またはそれより少ないこと、例えば、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.1%、0.001%未満、または夾雑物を完全に含まないことを意味する。
複合体形成した夾雑物が標的分子から分離されているか否か、および複合体形成した夾雑物が標的分子から分離されている程度は、クロマトグラフィーランについて溶出プロファイルを作製すること、ならびに精製過程中に産生されるピークのパターンおよび/またはサイズを検討することにより判定され得る。さらに、標的分子または夾雑物がDNAまたはタンパク質である時、夾雑物の標的分子からの除去は、A260(260 nmでの吸光度;DNA)および/またはA280(280 nmでの吸光度;タンパク質)プロファイルを測定することにより評価され得る。
例えば、本明細書において記載される実施例について溶出プロファイルを作製した。IgG標的分子に伴うDNA夾雑物の有無を、精製ランについてのピークパターンに基づいて、ならびにA254(DNA)およびA280(IgG)プロファイルを測定することにより評価した。実施例2〜4(それぞれ、尿素洗浄、塩化ナトリウム洗浄、および尿素+塩化ナトリウム洗浄の存在下でのIgG精製)について、溶出プロファイルを作製し、実施例1(陰性対照;脱複合体化剤の非存在下でのIgG精製)と比較した。標的分子からの夾雑物脱複合体化は、抗体溶出の前の、相対的により小さくかつより厳密に規定された夾雑物の溶出ピークにより明らかになった。標的分子からの夾雑物脱複合体化はまた、溶出後のリン酸清浄段階におけるDNAの増加により明らかになった。
いくつかの態様において、少なくともいくつかの夾雑物(例えば、DNAなどの核酸)は、標的分子の溶出後に固体支持体に結合したままである。
以下の実施例は、主張される発明を例証するために提供されるが、限定するようには提供されない。
以下の実施例は、複合体形成したDNAのモノクローナルIgGからの除去を記載する。IgGは概して、低いリン酸濃度の存在下の高いNaCl濃度でアパタイトから溶出し、それにより、複合体形成したDNAの抗体からの除去を阻止しないが制限する。カルシウムで誘導体化されたアパタイトの使用により、IgG保持が高いNaCl濃度で保たれるようになり、抗体を保留しながらDNAを除去するためのNaClの使用が可能になる。非限定的に、グアニジンなどのカオトロピック塩、過塩素酸塩、およびチオシアン酸塩を潜在的に含むがそれらに限定されない、有意なカルシウム親和性を有さない他の塩が、同様に使用され得る。
実施例1
CHTタイプI 40ミクロンを、20 mM Hepes、20 mM MES、5 mM塩化カルシウム、pH7で平衡化した。塩化カルシウムを、5 mMの最終カルシウム濃度になるようにカチオン交換精製されたIgGに添加し、IgGをCHTカラム上にローディングした。対照として、10 mMリン酸の20 CVの塩化ナトリウム直線勾配(1 M NaCl, pH 7)での溶出より前に、アパタイト支持体をその天然の(カルシウムで誘導体化されていない)形態に復元するためにカラムを10 mMリン酸で洗浄する、参照ランを行った。カラムを次に、500 mMリン酸、pH 7で清浄した。実験を、254および280 nmでモニタリングした。溶出した最後のピークは、約2/1の254/280比を有し、主にDNAから構成されていることを示す。
実施例2
実験を実施例1におけるように繰り返し、今回は、試料のローディング後に、4 M尿素、20 mM Hepes、20 mM MES、5 mMカルシウム、pH 7の10 CVの脱複合体化薬洗浄を挿入した。カラムを次に、上述のように、10 mMリン酸で洗浄することにより天然のアパタイトに復元し、NaCl勾配で溶出し、および500 mMリン酸で清浄した。脱複合体化薬洗浄の追加により、清浄段階において溶出されたDNAの量がやや増加し、従って、溶出されたIgGのDNA含量はより低かった。
実施例3
実験を実施例1におけるように繰り返し、今回は、試料のローディング後に、2M NaCl、20 mM Hepes、20 mM MES、5 mMカルシウム、pH 7の10 CVの脱複合体化薬洗浄を挿入した。カラムを次に、上述のように、10 mMリン酸で洗浄することにより天然のアパタイトに復元し、NaCl勾配で溶出し、および500 mMリン酸で清浄した。脱複合体化薬洗浄の追加により、清浄段階において溶出されたDNAの量が大きく増加し、従って、溶出されたDNAのIgG含量はより低かった。この実験は、脱複合体化剤としてアパタイトクロマトグラフィー支持体自体の有効性を増強するNaClの能力を強調する。
実施例4
実験を実施例1におけるように繰り返し、今回は、試料のローディング後に、1.6 M NaCl、3.2 M尿素、20 mM Hepes、20 mM MES、5 mMカルシウム、pH 7の10 CVの脱複合体化薬洗浄を挿入した。カラムを次に、上述のように、10 mMリン酸で洗浄することにより天然のアパタイトに復元し、NaCl勾配で溶出し、および500 mMリン酸で清浄した。2種の脱複合体化剤を含む脱複合体化薬洗浄の追加により、尿素またはNaClのいずれか単独よりも、清浄段階において溶出されたDNAの量が増加し、従って、溶出されたIgGのDNA含量は比例してより低かった。この実験は、脱複合体化薬の組み合わせが、個々の脱複合体化薬よりも有効であり得ることを強調する。
考察
上記の実験の各々における溶出パターンを比較すると、脱複合体化薬洗浄は、非抗体夾雑物の溶出パターンを変化させ、同時に夾雑物ピークサイズを減少させたことが、さらに明らかである。これは、脱複合体化薬洗浄が「超夾雑物」をその個々の構成要素に分離できるという、上記で考察された点を実証する。本発明者らの結果は、これらの個別化された夾雑物のいくつかが、脱複合体化薬洗浄中に完全に除去(溶出)され得、それによりさらにより大きな程度まで精製を増強し得ることを、さらに示唆する。
上記の実験の各々における溶出パターンを比較すると、脱複合体化薬洗浄は、DNA断片をIgGの表面から排除することにより、IgGをその天然の電荷特性に復元したことが、さらに示される。例えば、実施例1を実施例2〜4における脱複合体化薬洗浄と比較すると、実施例1における溶出ピークは、任意の脱複合体化薬洗浄後のIgGピークと比較して、5〜6 mS/cm高い伝導率で生じるピーク中心を伴い、(相対的に言うと)右へ「傾く」。この差は、IgG:DNA複合体が、その表面上のDNAの強いカルシウム親和性によって、複合体形成していないIgGよりわずかに遅くヒドロキシアパタイトから溶出し、それにより全体のピーク形状を右にシフトさせることを示す。DNAが除去されると、ピーク形状は、天然のIgGの溶出特性を反映する。
実施例5
この抗体での以前の研究は、カチオン交換→アニオン交換→天然のヒドロキシアパタイト精製過程(ヒドロキシアパタイトは実施例1と同一の条件の下で溶出された)が、DNAを除去できず、かつIgGを高度に凝集した状態のままにしたことを示している。具体的には、凝集体が全IgGの約3分の1に達し、かつ断片が別の約3分の1に達し、かつ最終産物におけるDNAが、依然として40 ppmより多く存在していた。対照的に、カチオン交換および実施例4に記載される条件の下での金属で誘導体化されたヒドロキシアパタイトにより精製されたこの抗体の分析用サイズ排除プロファイルのクロマトグラムによって、2段階のみの過程により精製されたにもかかわらず、3段階過程(カチオン交換→アニオン交換→天然のヒドロキシアパタイト精製過程)よりも少ない夾雑を示し、かつ実質的により多くの単量体形態の抗体を有した(90%より多い単量体、3%未満の二量体、1%未満の凝集体、および明らかな断片は無い)ことが例証される。
考察
以前には理解されていなかった理由から、天然のヒドロキシアパタイトを用いたアパタイトクロマトグラフィー支持体上での凝集体除去は、常に有効というわけではなく、過程の開発者に困難かつ高価な課題を生む。実施例4に示される実験結果は、誘導体化されたアパタイトを使用しかつ脱複合体化薬洗浄を含むことが、「抵抗性の」抗体からでさえ凝集体を除去する能力をアパタイトクロマトグラフィー媒質に与えることを示す。さらに、実験の観察により、少なくともいくつかのIgGはその天然の形態に復元されるが、脱複合体化薬の非存在下で天然のヒドロキシアパタイトにより精製されたIgGでのように、非共有結合性凝集体は実際には除去されないことが示される。脱複合体化薬の使用は、回収率における改善になり、潜在的に価値を有する経済的利点を伴う。複合体分離洗浄に還元剤を含むことは、共有結合性凝集体からでさえ天然のIgGを復元できる可能性がある。これらの結果は、DNA複合体形成が、凝集体の形成および安定化に直接的な役割を果たすことを示唆し、かつ、DNAの除去自体が、凝集体除去に新規かつ有効な作戦を提供し得ることをさらに示唆する。
これらの結果は、IgG:DNA複合体が、最初にアパタイト支持体に適用された時に少なくとも部分的に安定であるという仮定的な例により例証される作用の機構を集合的に示す。脱複合体化洗浄の適用は、複合体形成物質(complexant)間の会合を弱めるが、それらを完全には分離しない可能性がある。しかしながら、DNA構成成分は、アパタイトカルシウムに対するその高い親和性のために、抗体に引き付けられるよりもずっと強く、カルシウムで誘導体化されたアパタイト支持体に引き付けられる。弱められた複合体形成およびアパタイトへの強い引き付けの組み合わせが、DNAにIgGを「放棄」させ、かつアパタイトに強く結合させる。DNAは、いったん結合すると、IgGと再結合できず、そのため、たとえアパタイトが溶出前にカルシウムで誘導体化されていない形態に復元されたとしても、IgGが溶出される時に、DNAは後に留まる。このモデルは、なぜアパタイトクロマトグラフィー支持体が本発明を実施するために独自に適格であるか、および、なぜ本発明が他のクロマトグラフィー法よりも有効なDNA除去を提供するかを説明する。
本明細書において記載される実施例および態様は、単に例証を目的とするだけであること、ならびに、それを考慮して種々の改変または変化が当業者に示唆されると考えられ、かつ、本出願の精神および範囲内、ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが、理解される。本明細書において引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、すべての目的で全体として参照により本明細書に組み入れられる。

Claims (27)

  1. 以下の段階を以下の順序で含む、標的分子を生物学的試料から精製する方法:
    (a)標的分子および複合体形成した夾雑物を含む試料を、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体に接触させ、それにより標的分子(「結合標的分子」)を固体支持体に非共有結合で結合させる段階;
    (b)結合標的分子を、標的分子が固体支持体に実質的に結合したままである条件の下で、複合体形成した夾雑物を標的分子から移動させる薬剤で洗浄する段階;および
    (c)標的分子を固体支持体から溶出する段階であって、溶出された標的分子が、複合体形成した夾雑物を実質的に含まない、段階。
  2. 溶出段階より前に、薬剤を固体支持体から洗浄する段階を含む、請求項1記載の方法。
  3. 固体支持体が、溶出段階(c)中に、誘導体化されていないアパタイト固体支持体であるように、洗浄段階(b)と溶出段階(c)との間に、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体を誘導体化されていないアパタイトに変換する段階を含む、請求項1または2のいずれか一項記載の方法。
  4. 固体支持体が、溶出段階(c)中に、金属カチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体またはポリカチオンで誘導体化されたアパタイト固体支持体である、請求項1または2のいずれか一項記載の方法。
  5. アパタイトが、ヒドロキシアパタイトまたはフルオロアパタイトである、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  6. アパタイトが、ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、20ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、40ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプI、80ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、20ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、40ミクロン;ヒドロキシアパタイトCHTタイプII、80ミクロン;フルオロアパタイトCFTタイプI、40ミクロン;およびフルオロアパタイトCFTタイプII、40ミクロンからなる群より選択される、請求項5記載の方法。
  7. 標的分子が、タンパク質、抗体、リンタンパク質、ウイルス、ウイルス様粒子、または核酸より選択される、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 標的分子が抗体である、請求項7記載の方法。
  9. 核酸がDNAまたはRNAである、請求項7記載の方法。
  10. 複合体形成した夾雑物が、タンパク質、核酸、脂質、金属イオン、硫化物、多糖類、およびエンドトキシンからなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
  11. 薬剤が、アルギニン、尿素、グアニジン、塩化ナトリウム、有意なカルシウム親和性が欠如している塩、有機溶剤、界面活性剤、および還元剤からなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
  12. 有機溶剤が、エチレングリコール、プロピレングリコール、アルコール、DMSO、およびDMFからなる群より選択される、請求項11記載の方法。
  13. 界面活性剤が、ポリソルベート界面活性剤、Triton界面活性剤、CHAPS界面活性剤、CHAPSO界面活性剤、およびオクタグルコシドからなる群より選択される、請求項11記載の方法。
  14. 還元剤が、システイン、DTT、DTE、またはメルカプトエタノールからなる群より選択される、請求項11記載の方法。
  15. 洗浄段階(b)が、標的分子を結合した固体支持体を、複合体形成した夾雑物を移動させる2種またはそれより多い異なる薬剤を含む溶液と接触させる段階を含む、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
  16. 2種またはそれより多い異なる薬剤が以下を含む、請求項15記載の方法:
    i. 尿素および塩化ナトリウム;
    ii. 尿素および塩化ナトリウムおよびシステイン;
    iii. 塩および有機溶剤;または
    iv. 塩および界面活性剤。
  17. 金属カチオンが、マグネシウム、亜鉛、鉄、カルシウム、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、およびクロムからなる群より選択される、請求項1〜16のいずれか一項記載の方法。
  18. 金属カチオンがカルシウムである、請求項17記載の方法。
  19. 複合体形成した夾雑物が、標的分子と非共有結合で複合体形成している、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
  20. 複合体形成した夾雑物が、標的分子と共有結合で複合体形成している、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
  21. 複合体形成した夾雑物が、ジスルフィド結合を介して標的分子と共有結合で複合体形成しており、かつ、洗浄段階(b)における薬剤が、還元剤以外の少なくとも1種の薬剤との組み合わせで還元剤を含み、それによりジスルフィド結合を還元する、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
  22. 複合体形成した夾雑物が固体支持体に結合しているが、標的分子が固体支持体から溶出される、請求項1〜21のいずれか一項記載の方法。
  23. 複合体形成した夾雑物が固体支持体から溶出された後に、標的分子が固体支持体から溶出される、請求項1〜21のいずれか一項記載の方法。
  24. 標的分子が核酸であり、かつ夾雑物が非核酸分子を含む、請求項23記載の方法。
  25. 標的分子がタンパク質であり、かつ夾雑物が非タンパク質分子を含む、請求項1〜23のいずれか一項記載の方法。
  26. 標的分子がタンパク質であり、かつ夾雑物が標的分子タンパク質以外のタンパク質を含む、請求項1〜23のいずれか一項記載の方法。
  27. 標的分子がウイルスまたはウイルス様粒子であり、かつ夾雑物が非ウイルス分子を含む、請求項1〜23のいずれか一項記載の方法。
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