JP2013537266A - 改良した削岩機 - Google Patents

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Abstract

第1の制御バルブ80と、この第1の制御バルブ80を介して流体を供給可能な第1の流体回路70と、この第1の流体回路70内の流体圧力によって駆動可能な衝撃ピストン66と、この衝撃ピストン66から前記制御バルブ80に至る複数の第1の流体回路フィードバック経路72と、岩石面からの背圧を減衰する減衰体50と、この減衰体50に関連付けられた減衰流体室52と、この減衰流体室52と流体連通する第2の流体回路56と、この第2の流体回路56内の流体圧力によって駆動可能なストローク長制御機構91と、を備えており、前記第1の流体回路フィードバック経路72内の流体の流れは、前記ストローク長制御機構91によって制御可能であり、これにより前記衝撃ピストン66の駆動可能なストローク長を調整することができる、削岩機。
【選択図】7a

Description

本発明は、産業用採鉱ドリルツールに関し、具体的には、ドリルストリングに衝撃および回転エネルギーを与える削岩機(ロックドリル)に関する。
削岩機は、岩石に対面する端部を有するドリルビットに(ドリルストリングを介して)回転および衝撃エネルギーを伝えるドリルロッド(ドリルシャンクとしても知られる)を駆動する。掘削ツールは、ドリルロッドおよびドリルストリングを介して洗浄用媒体(通常は空気または水)も供給する。
典型的には、採鉱装置は、加圧される「中央」液圧システム内に流体を供給する「中央」ポンプを有する。掘削装置および削岩機の様々な部品が、加圧される液圧システムを使用して作動される。「中央」ポンプは電動「中央」モータによって駆動され得る。
この削岩機は、別のモータ(これは「中央」液圧システムから液圧供給を受け得る)も有し、このモータは、偏位された駆動シャフトを含むギア装置を介してドリルロッドの高速回転運動を起こす。典型的には、ドリルロッドは約220rpmまでの速度で回転する。この回転は、ドリルストリングを介し、岩石面にあるドリルビットに伝達され、この岩石に穴を開けることを可能にする。
削岩機は、ドリルストリングを介してドリルビット更には岩石面に伝達される衝撃波を生成することによって、ドリルロッドへの衝撃力も生成する。この衝撃力または衝撃波は、ドリルロッドと同軸に整合された衝撃ピストン(衝撃体に収容されている)からの衝撃力によって生成される。この衝撃ピストンはその端部がドリルロッドの端部に衝撃を与えるように、液圧により前後に駆動される。通常、液圧駆動回路は「中央」液圧システムによって提供される。60Hzで約2.8トンの力が典型的である。岩石面からドリルストリングに跳ね返る衝撃波に対処するために、減衰体が、ドリルロッドの端部を保持するチャックの衝撃を和らげる。
係る削岩機は、長さ約3〜6メートル、重さ約35キログラムのドリルストリングを駆動することが必要であることが多い。岩石の性質に依って、1時間につき約60メートルの岩石に穴を開けることができる。
この削岩機は、レール部材に沿って岩石面に向かって進み、ドリルビットの先端を(岩石の)当り面に接触するように維持する。このドリルビットの回転および衝撃波が岩石面を破壊し、場合によってはドリルビットの先端で岩石を流体化する。
削岩機は実際の運転において多くの問題に直面する。この運転条件は困難かつ汚いものであり、生じる負荷および力は著しく大きく、故障も頻繁に起こる。
ドリルがレール部材に沿って進む速度と、掘削される岩石の種類と、回転スピードと、使用される衝撃力の頻度および程度と、を含む複数のパラメータをマッチさせることが重要である。さもなければ、ドリルは制御不能になってしまう。岩石面が受ける圧力は、これらのパラメータに関連し、削岩機の減衰体もこの圧力を受ける。これは背圧として知られる。よって、ドリルが受ける背圧は、これらのパラメータに関連する。
伝達される衝撃力が特定の岩石面にマッチされることは効果的な掘削のために重要である。岩石が非常に硬い場合、その岩石面に集中させるためにはより大きな力が必要である。これは、より長い衝撃ピストンのストローク長を用いることによって達成できる。このより長いストローク長(「スロー(throw)」とも知られる)によって、最終衝撃速度がより高くなり、よって、短いスローよりも衝撃力(力=質量×速度/時間)が著しく増加する。その背圧でのスローがより長くなると同じ背圧でのより短いスローよりも衝撃ピストンサイクルがより少ない頻度(すなわち、一定時間につきより少ない衝撃)になることに留意されたい。
岩石が柔らかい場合、より短い衝撃ピストンのストローク長を用いることによってより小さい力が使用され、よって、衝撃ピストンがドリルロッドを打撃するときに最終インパクト速度がより低くなり、よってより長いスローを用いることと比較して衝撃力が減少する。
運転時、背圧が影響を受ける主な要因は、実際の岩石の変化によるものであり、これは、ドリル先端が硬い岩石に向かってレール部材に沿って進むにつれて、硬い岩石が高い背圧を生じることによるものである。岩石が柔らかい場合に、ドリルが硬い岩石用に設定されておりドリル先端が硬い岩石用の速度で進む場合、背圧をほぼ全て無駄にしており、なぜなら、硬い岩石ではなく柔らかい岩石内においてはドリルビット先端から著しく離れてこの岩石が割られるか流体化され、その結果、このドリルビット先端は、圧力が働く表面ではなく、非抵抗性の物質に対して作用することになるからである。
使用中の削岩機に関連するドリルロッドは、チャックに保持される。チャックの回転は、ギアボックスを介して生じ、ドリルロッドを回転させる。このチャックは、減衰体によって背圧および振動に対して衝撃が和らげられる。典型的には、このチャックは減衰体の作動流体室に位置する減衰ピストンに対して自身を押圧し、緩衝体(クッション)として作用する。この減衰流体室は、「中央」作動流体システムからは独立しており、減衰ピストンの移動によって振動および背圧を吸収するために圧力を単に増加または減少する。このように、運転中に生じた力は、ドリルの主要部から可能な限り隔離され、あるいは少なくとも減衰される。
より大きな力がチャックにかかると、それはより強く減衰体内に押圧される。ドリルの先端によって岩石面により大きな圧力が印加されて背圧が増加する場合、より大きな力がチャックに作用する。一方、岩石面により小さな圧力が印加される場合、より小さな力がチャックに作用する。岩石面に対してより強く押圧することで、より高い背圧が生じる。柔らかい岩石面の圧力は背圧を減少させる。
背圧の損失により、チャックは減衰体および衝撃体に対して相対的に前方に移動し、衝撃体から離れるように前方にドリルロッドの端部を移動し、よって衝撃ピストンのストローク長をより長いスローに変化させる。よって、より大きな衝撃力がドリルロッドに印加される。これは岩石面での力を増加し、更に、背圧を減少させ、超過ストロークのループがすぐに現れる。この衝撃ピストンのスローは増加するが、ドリルロッドを通しての背圧がないため、頻度(衝撃数)も増加し得る。
衝撃ピストンの無制御な超過ストロークは、ドリルに対して高額かつ著しい損傷を与える可能性があり、これには「中央」液圧ポンプおよびそのモータへの損傷が含まれる。衝撃ピストンのスロー長さを岩石の種類にマッチさせることは、現場や作業場で変更することができる1セットの調整ピンを使用することによって達成されることもある。各ピンは、ピストンストローク長を「長い」「中間」「短い」に変更するように衝撃ピストンを駆動する流体回路を再構成できるようにその形状が形成される。しかしながら、これは、硬い岩石から柔らかい岩石に急に突き抜ける場合の問題を解決しない。超過ストロークの問題はなお存在する。更に、オペレータがピンを変更するのを忘れたり、ピンをなくしたり、汚い採鉱の環境にある場合、汚物や汚染物質が衝撃ピストンの液圧駆動回路に入り、高額な損傷を引き起こす危険性がある。
これまで、この超過ストローク問題を緩和するために電子制御および監視システムが開発されてきた。しかしながら、これらのシステムはそれ自体、過酷な現場状況(通常、非常に高温または低温、かつ非常に汚い)において不具合が出やすく、更に、所定の期間、運転を停止する必要があることに加え、非常に高額である。
本発明の目的の一つは掘削運転において超過ストロークの衝撃を減少する改善した手段または代替の手段を提供することである。
用語「前方」「後方」または他の相対語は、部品(コンポーネント)の相対配置の理解を容易にするために使用され、ドリルまたは部品の動作を特定の方向に限定するものと解釈されるべきではない。
本明細書における従来技術への参照は、この従来技術が当業者の一般的知識を構成するものと認識するものやこれを認めるものではなく、また、当業者によってと特定され、理解され、関連するものとして考慮されるものと認識するものやこれを認めるものでもない。
本発明の第1の態様は、
a)第1の制御バルブ80と、
b)この第1の制御バルブ80を介して流体を供給可能な第1の流体回路70と、
c)この第1の流体回路70内の流体圧力によって駆動可能な衝撃ピストン66と、
d)この衝撃ピストン66から前記制御バルブ80に至る複数の第1の流体回路フィードバック経路72と、
e)岩石面からの背圧を減衰する減衰体50と、
f)この減衰体50に関連付けられた減衰流体室52と、
g)この減衰流体室52と流体連通する第2の流体回路56と、
h)この第2の流体回路56内の流体圧力によって駆動可能なストローク長制御機構91と、
を備えており、前記第1の流体回路フィードバック経路72内の流体の流れは、前記ストローク長制御機構91によって制御可能であり、これにより前記衝撃ピストン66の駆動可能なストローク長を調整することができる、削岩機を提供する。
有利には、衝撃ピストンのストローク長は、減衰体流体室に伝わるドリルの背圧の変化に応じて自動的に調整可能あるいは制御可能である。繊細な電子検出および制御装置に関する問題を回避する。手動による再構成に関連する、自動反応の欠如、手動ピンの紛失、ならびに汚物および汚染問題が回避される。よって、部品が交換されるときに汚染にさらされることはなく、流体回路は通常の現場での使用中に密閉することができる。
好適な実施形態において、前記ストローク長制御機構91は、前記第2の流体回路56内の流体圧力によって液圧駆動可能であり、前記複数の第1の流体回路フィードバック経路72を液圧により開閉して前記衝撃ピストン66の前記駆動可能なストローク長を調整する。
好適には、前記ストローク長制御機構91は、前記第2の流体回路56と流体連通し、かつ前記第2の流体回路56内の流体圧力によって駆動可能なアクチュエータピストン94を含む。好適には、前記ストローク長制御機構91は、前記アクチュエータピストン94によって駆動可能な調整ピン92を含み、この調整ピン92の移動によって、前記複数の第1の流体回路フィードバック経路72が開閉する。好適には、前記調整ピン92は、前記第1の流体回路70と流体連通する。好適には、前記調整ピン92は平衡ポート92bを有する。好適には、前記アクチュエータピストン94は平衡ポート94bを有する。好適には、前記ストローク長制御機構91は伸縮バネ95を含む。
一の好適な実施形態において、削岩機は4つの前方の第1の流体回路フィードバック経路72と、2つの後方の第1の流体回路フィードバック経路72とを備える。
本発明の第2の態様は、
a)衝撃ピストン66を駆動するための第1の流体回路70と、
b)前記第1の流体回路から隔離された第2の流体回路56であって、岩石面から背圧を減衰するための減衰室52と流体連通する第2の流体回路56と、
c)前記第1の流体回路および前記第2の流体回路のそれぞれと流体連通するストローク長制御機構91であって、前記第1の流体回路70内の流体経路を再構成するために前記第2の流体回路56内の流体圧力によって駆動可能な前記ストローク長制御機構91と、
を備えており、前記衝撃ピストン66の前記駆動可能なストローク長は、記岩石面からの背圧に応じて自動的に調節可能である、削岩機を提供する。
本発明の第3の態様は、
a)衝撃ピストン66を駆動するための第1の流体回路70と、
b)岩石面からの背圧を減衰するための減衰室52と流体連通する第2の流体回路56と、
c)前記第1の流体回路70内の流体経路を液圧により開閉するために、前記第2の流体回路56内の流体圧力によって液圧駆動可能なストローク長制御機構91と、
を備えており、前記衝撃ピストン66の前記駆動可能なストロークは、前記岩石面からの背圧に応じて自動的に制御可能である、削岩機を提供する。
本発明の第4の態様は、
削岩機において衝撃ピストン66の駆動可能なストローク長を調整する方法であって、
a)減衰室52が減衰体50に関連付けられており、減衰流体回路56と流体連通し、この減衰室52内の流体において圧力変更を生じさせるステップと、
b)前記圧力変更に応じて、前記減衰流体回路56と、衝撃ピストン66を駆動するための流体回路70との両方と流体連通する機構91を液圧により駆動するステップと、
c)前記機構91の前記液圧による駆動に応じて前記機構の一または複数の部品を移動するステップであって、これにより前記駆動流体回路70内の流体経路72を開閉するステップと、
を備え、これにより、前記衝撃ピストン66の前記駆動可能なストローク長が調整される、方法を提供する。
本発明の好適な実施形態は、添付の図面を参照して以下に記載されるが、これらは一例にすぎない。
レール部材に沿って移動可能な架台に搭載された、本発明の実施形態による削岩機の斜視図である。 図1の実施形態の正面図である。 図2の実施形態を図2の線A−Aに沿って切り取った断面図である。 図2の実施形態を図2の線B−Bに沿って切り取った断面図である。 図4の一部分の詳細図である。 図1の実施形態の拡大図である。 衝撃ピストン、およびこれに関連する液圧駆動回路の概略断面図であり、ここにおいて、ストロークアジャスタが最小ストローク位置に示されている。 衝撃ピストン、およびこれに関連する液圧駆動回路の概略断面図であり、ここにおいて、ストロークアジャスタが中間ストローク位置に示されている。 衝撃ピストン、およびこれに関連する液圧駆動回路の概略断面図であり、ここにおいて、ストロークアジャスタが最大ストローク位置に示されている。 本発明の実施形態による流体回路の概略図を示す。 本発明の実施形態による方法のブロック図である。
図1および2は、ドリル運転状態にある削岩機2を示しており、このドリル2は、前頭部20,カバープレート30,回転発生機構のハウジングもしくはギアボックス40,ドリルロッドを減衰するための衝撃または背圧減衰機構(背圧減衰体50としても知られる),衝撃ピストン66のストローク長を調整するためのストロークアジャスタ90および衝撃発生機構もしくは衝撃体60を有する。これらは、架台組立体110上で支持されており、この架台組立体110はレール部材120に沿って長手方向に移動する。
削岩機に関連するドリルロッドまたはシャンクアダプタ10も運転位置にて示されている。使用中、ドリルロッド10は、岩石面に作用するドリルビット(図示せず)に回転運動および衝撃力を伝達するためのドリルストリング(図示せず)に連結されている。削岩機2は、ドリルの先端ビット(図示せず)が岩石面に圧力をかけ続けるようにレール部材120に沿って進む。岩石が流体化されるにつれ、削岩機は前方に移動し、岩石に穴を切削する。ドリル2がレール部材120の前端部まで進むと、後端部に再配置され、レール部材およびドリルストリングは運転を再開するために再構成される。
図3に示されるように、ドリルロッドまたはシャンクアダプタ10はドリルチャック42によって保持される。ドリルチャック42は、中心ドリル軸4を中心として回転可能であり、かつ、ドリル軸4に沿って長手方向に制限された範囲で移動することができる。運転中、削岩機2がレール部材120に沿って進むと、ドリルの先端ビット(図示せず)が岩石面に作用する。この削岩機2が継続して進むと、岩石面にあるドリルビットからドリルチャック42までドリルストリングおよびドリルロッド10に沿って背圧が生じる。ドリルチャック42は、この背圧(すなわち岩石の当たり面での圧力)に応じて、長手方向軸4に沿って背圧減衰体50に対して相対的に前方または後方に制限された範囲で移動する。当り面に掛かり、この当たり面から跳ね返る背圧ならびに振動力もしくは衝撃波は、背圧減衰体50によってドリルの残りの部分から可能な限り隔離され、減衰される。これらの振動力は反射波(reflex wave)としても知られる。
回転ドライブシャフト46は、カバープレート30と、ギア48と、テーパーしたスラストベアリング47,49とを有するギアボックス40を駆動する。これにより今度はチャック42およびドリルロッド10が駆動される。前頭部20は洗浄シールキャリア150を有し、このシールキャリア150を介して洗浄媒体がドリルロッド10の中空芯12に供給される。
背圧減衰体50は、背圧減衰流体室52および減衰ピストン54を有し、あるいはこれらに関連付けられている。減衰ピストン54は、長手方向にドリルチャック42と整合しており、かつ、ドリルチャック42によって駆動される。ドリルチャック42が、ドリルロッド10を通して伝達される背圧によって長手方向軸4に沿って後方に移動すると、減衰ピストン54も後方に移動し、背圧減衰流体室52内の緩衝作動流体を圧縮する。圧縮が大きくなるにつれ、減衰流体室内の圧力も大きくなり、後方への更なる移動に対する抵抗も大きくなる。背圧が低いか無い場合、減衰ピストン54は作動流体によって前方の所定の位置にまで駆動される。よってドリルチャック42の長手方向の移動によって、衝撃体60および衝撃ピストン66に対して相対的にドリルロッド10の位置が変わる。背圧減衰流体室52は、衝撃ピストン66の周囲に延びる略環状室であり、減衰ピストン54も衝撃ピストン66の周囲に環状に延びることに留意されたい。減衰体50およびこれに関連する背圧減衰室52は、ギアボックス40を駆動するためにモータに関連付けられた流体回路とは流体連通しない。
図4および5を参照すると、衝撃ピストン66は流体回路70内で流体によって駆動され、この流体回路70はこの実施形態において「中央」液圧システム(図示せず)から圧力供給を受ける流体回路である。用語「駆動流体回路」70および「第1の流体回路」70は、本明細書において背圧減衰室52に関連する「減衰流体回路」56(「第2の流体回路」56とも呼ばれる)から区別するために使用される。「減衰流体回路」56は、駆動流体回路から隔離されており、「中央」液圧システムから圧力供給を受けないが、ドリルロッド10を保持するドリルチャックに応じて減衰ピストン54の移動によって圧力変更が生じる。用語「駆動流体回路」70は、衝撃ピストンを駆動するためにその回路内の複数の経路のうち特定の流体経路を必要とするものとして解するべきではない。
図7aから7c(図4および5と比較して鏡像方向にある)を参照すると、液圧駆動流体回路70は、これに関連する制御バルブを有し、これは、図4および5には示されない第1のスプールバルブ80である。衝撃ピストン66は、約60Hzにて衝撃ピストンハウジング60内で前方および後方に駆動される。流体は第1の制御スプールバルブ80を通してポート210または214を介して衝撃ピストンハウジング60内に供給され、衝撃ピストン66を駆動する。流体は、衝撃ピストン66からポート210,211および/または214を介して戻る。6ポート,2位置のスプールの位置は、流体が供給される経路を決定し、よって衝撃ピストン66の移動方向を決定する。制御スプールバルブ80は、圧力供給ポート202と、戻りポートあるいはドレンポート201および203を有する。これは作業側ポート204,205および206も有し、これらを通して流体が衝撃ピストン66に供給され、かつこれから戻る。スプールバルブ80は一方通行弁であり、ここで、端部ポート207または208まで流れる流体を介してトリガされる。
衝撃ピストン66の方向の変更は、衝撃ピストン66の移動による前方ポートおよび後方ポート(例えば前方ポート215,216,217,218および後方ポート212,213)の開閉によって生じる衝撃ピストン66からの液圧フィードバックによってトリガされる。スプールバルブ80の各端部207,208へのフィードバックによって、スプールが他の位置に移動する。少なくとも2つの前方(または後方)液圧フィードバックポートを設けることによって、衝撃ピストン66のストローク長の変更が得られ、これはどのポートがスプールバルブの端部に接続されているかに依る。回路を再構成するために流体経路を閉塞または解放するために調整ピンが使用され、どのポートが接続されるかを決め、よって、衝撃ピストンストローク長を決める。
従来技術の構成において、駆動回路を特定のストローク長に手動で再構成するために調整ピンを設けることは、既知の岩石面の硬度レベルにおいて動作するようにドリル2を手動で設定するのに役に立つものであった。しかしながら、例えば硬い岩石が急に柔らかい岩石の区間に変化する場合、ドリル2はなお衝撃ピストンの超過ストロークに悩まされる。この超過ストロークは不当に高回転の衝撃ピストンサイクルをもたらし、最も望ましくないものである。手動で調整ピンを変更することが可能であるが、これは超過ストロークを回避するものではなく、むしろ、ドリルが損傷を受けていない場合に単にこのドリルが異なる調整ピン(明らかに新しい条件のために新しいストローク長を設定するもの)で運転を再開することができるようにするものである。この調整ピンは、ドリルハウジングから手動で外されるが、汚物および汚染物が衝撃ピストンを駆動する作動流体回路に混入するというリスクを伴う。
図示された本発明の実施形態において、ストロークアジャスタ90はストローク長制御機構91を備え、この実施形態において液圧制御バルブは本明細書においてストローク長制御バルブ91,第2の制御バルブ91またはスイッチ91とも呼ばれる。ストローク長制御バルブ91は、アジャスタハウジング98内にあるストローク調整ピン92と、ピン92を駆動するアクチュエータピストンもしくはストロークアジャスタピストン94と、伸縮バネ95とを備える。ストローク長制御機構91は、駆動流体回路を再構成するように作動可能である。ピン92の移動によって第1の流体回路フィードバック経路72が開閉する。液圧により駆動されるストローク調整ピン92の位置は、駆動流体回路70において作動流体が流れる前方フィードバック流体経路を制御または切り替える。これにより、今度は衝撃ピストンの移動もしくはストロークにおいて、衝撃ピストンハウジング60内の衝撃ピストン66の移動方向の変更を第1の制御スプールバルブ80がトリガする地点が変更される。衝撃ハウジング60内の4つの前方フィードバックポート215,216,217,および218は、2つの後方フィードバックポート212,213から所定距離離間しており、これらは衝撃ピストン66と連動して衝撃ピストンストローク長を0mm,9mm,17.5mm,31mmにて調整可能である。よって、図示された実施形態において、衝撃ピストン66は衝撃ハウジング98内の4つの前方流体ポート220,221,222および223に対応する4つのストローク長のうちいずれかを有する。
4つの前方フィードバックポート215,216,217,および218は、それぞれ調整ピンハウジング98内のポート220,221,222および223に接続する流体経路を有する。調整ピン位置は、どのポート220,221,222および223を開くかを決定し、これにより、決定されたポートが方向性フィードバック開始点(directional feedback take−off)224に接続し、これにより流体経路224〜207に接続し、このスプールの前方端部にて第1の制御バルブ80に圧力を供給してスプール位置変更(そして衝撃ピストン方向の変更)をトリガする。
よって、図7aに示されるように、衝撃ピストン66は、流体経路接続ポート215〜220が両端部において開放されると、方向変更をトリガされ、よってこれは、図7bに示されるように流体経路215〜220がストローク調整ピン92によってブロックされており衝撃ピストン66が流体経路216〜221を開放するのに十分な距離まで移動するまで方向変更がトリガされない図7bの場合よりもストローク長が短い。同様に、衝撃ピストン66が流体経路218〜224を開放するまで移動し、調整ピン92が流体経路215〜220,216〜221,および217〜222をブロックすると、図7cにおいて最大ストローク長が得られる。
重要なことは、図7a〜7cに示されるように、ストローク長制御機構91が液圧により運転され、すなわち駆動流体回路70を再構成するために減衰流体室52および減衰流体回路56内の圧力によって駆動されることである。ストローク調整ピン92は、ハウジング96(図5を参照)内に位置するアクチュエータピストンまたはストロークアジャスタピストン94によって駆動される。ストロークアジャスタピストン94は、これに関連する伸縮バネ95を有する。減衰流体室52内の圧力が増加すると、この減衰流体室52から流体が減衰流体経路56を通してポート225を介してピストンハウジング96内の端部ゾーン97に流れ、伸縮バネ95に逆らってピストン94を液圧により駆動する。これは調整ピン92も駆動する。減衰流体室52内の圧力に応じ、調整ピン92の移動によって上述にように前方フィードバック流体経路を切り替える。
ストロークアジャスタピストン94は、ピストンハウジング96の端壁と共に端部ゾーン97を画成する作用面を有し、減衰流体経路56は減衰流体を減衰室52からこの端部ゾーン97内に通す。ピストン94の作用面は、ストローク調整ピン92の左端部によってハウジングの端壁に「はりつく」のを妨げられ、すなわち、ストローク調整ピン92がアジャスタハウジング98内においてその最大移動距離に達し、ピストン94が端壁に接触するのを防ぐ。
ストロークアジャスタピストン94は、ピストンの肩部94aに対して当接する伸縮バネ95を有する。ピストン94は更に、平衡ポート94bを有し、この平衡ポート94bは、ピストン94の端部ゾーン97側からピストン94の伸縮バネ95側までピストン94を通る経路として機能する中空芯チャネルである。平衡ポート94bによって、ピストン94の各側部に対して流体圧力が均一化され、伸縮バネ95に作用する力を著しく減少することができる。よって、伸縮バネ95の疲労寿命は著しく増加する。
ストロークアジャスタピストンハウジング96は、調整ピンハウジング98との間にシール99を有し、減衰流体がハウジング96から出るのを防ぎ、かつピストン94が調整ピンハウジング98内に延伸するのを可能にし、調整ピン92を駆動するのを可能にする。
図7cに最もよく示されているように、調整ピンハウジング98は、第1の端部ゾーン93aを画成する小さい段差の肩部98aを有する。
調整ピン92は更に、図7cに示される最大ストローク位置においてハウジング98の端壁に対して当接するピストン肩部92aを有する。最大ストローク位置にない場合、肩部92aおよびハウジング98は図7aおよび7bに示されるように第2の端部ゾーン93bを画成する。
ストローク調整ピン92は更に、図7a,7bおよび7cに示されるように平衡ポート92bを有し、この平衡ポート92bは、第1の端部ゾーン93a側から第2の端部ゾーン93b側までピン92を貫通する経路として機能する中空芯チャネルである。
平衡ポート92bによって、調整ピン92の各側部に対する流体圧力が均一化され、衝撃ピストン66が作動されるとストローク調整ピン92に作用する第1の(または駆動)流体回路内の高い衝撃圧力を緩和する。よって、ストロークアジャスタ機構は、第2の(または減衰)流体回路内の圧力(すなわち背圧)によって主に制御または作用される。
よって、フィードバック流体ポートおよび経路、ならびに調整ピン92は(伸縮バネ95、およびピストン94等の表面の大きさと連動して)、(背圧によって減衰流体室52内の圧力が決まるため)衝撃ピストン66のストローク長が岩石面からの背圧に自動的にマッチされるように配置・構成されている。
減衰流体室52と減衰流体経路56とを備える減衰流体回路は、駆動流体回路70とは別の流体回路であり、ストロークアジャスタピストン94およびストローク調整ピン92が一方のシステムから他方のシステムに漏れを防ぐ関連するシールを有する。
よって、液圧により駆動されるストローク長制御機構またはスイッチ91(ストローク調整ピン92を含む)は、減衰流体室内の圧力の変化に直接応じ、運転中に衝撃ピストンのストローク長が自動的かつ液圧により調節されることを可能にする。これは、従来技術において問題を起こしていた超過ストロークのフィードバックループを回避することができ、なぜなら、ストローク長は背圧に応じて継続的に調整されるからである。この液圧動作は、高価かつ繊細な電子機器を不要とし、超過ストローク時にドリルを停止するように制御する。
開示された実施形態は、4つのストローク長の設定を画定する4つの流体経路を有する。しかしながら、これより多くのまたは少ない流体経路を設けて、ストローク長の設定の数を変更することも可能であり、各経路によって実現されるストローク長の差異は特定の要件に合うように選択することができる。
駆動流体回路70,ストローク長制御機構91,調整ピン92,衝撃ピストン66およびスプールバルブ80の配置は、様々な構成においてなされ得る。例えば、衝撃ピストンとそのハウジングとの間、または調整ピンとそのハウジングとの間に画成された間隙の大きさおよび位置や、一方通行弁の種類および構成や、流体ポートの位置は、同一または類似する結果をなすために多くの態様において変更され得る。よって、上記は、係る駆動流体回路の一実施形態の説明である。
減衰流体回路56の配置も様々な構成においてなされ得る。機械的構成に応じて、ストローク長制御機構91は減衰流体室52に直接隣接して位置することができ、減衰流体室52とピストン94との間の導管、流体チャネルまたは経路の必要性がなくなる。それにも関わらず、係る場合において減衰室52は第2の流体回路56を備えることが考えられる。
用途によっては液圧ではなく空圧による動作も可能である。
図9は、衝撃ピストンの駆動可能なストローク長を調節する方法のブロック図である。ステップ1において、減衰室52内の流体圧力は、岩石の背圧によるドリルロッドの移動に応じて変化する。ステップ2において、流体圧力変化は、減衰流体回路56を介して液圧によりストローク長制御機構92を新しい位置に駆動する。ステップ3において、機構92内の調整ピン92が移動することで、駆動流体回路70内のポート215,216,217および218に接続される前方フィードバック経路72を開閉する。これは、流体を制御バルブ80(衝撃ピストンの方向変更をトリガする)に戻す経路およびポートを調整し、よって方向変更がトリガされるときの衝撃ピストンの位置を調整する。よって、衝撃ピストンの駆動可能なストローク長が岩石面の背圧に応じて減衰体の液圧により調節される。
上記説明は、削岩機の一実施形態を参照するが、構成要素の異なる組み合わせによって他の実施形態を採用することも可能であることが理解される。係る実施形態は本発明の精神および範囲内に含まれるものである。
用語「含む・備える」およびその文法的な異形の意味は文脈に応じて判断される。従って、この用語は限定的なものとして解釈されるべきではない。

Claims (14)

  1. a)第1の制御バルブ80と、
    b)この第1の制御バルブ80を介して流体を供給可能な第1の流体回路70と、
    c)この第1の流体回路70内の流体圧力によって駆動可能な衝撃ピストン66と、
    d)この衝撃ピストン66から前記制御バルブ80に至る複数の第1の流体回路フィードバック経路72と、
    e)岩石面からの背圧を減衰する減衰体50と、
    f)この減衰体50に関連付けられた減衰流体室52と、
    g)この減衰流体室52と流体連通する第2の流体回路56と、
    h)この第2の流体回路56内の流体圧力によって駆動可能なストローク長制御機構91と、
    を備えており、前記第1の流体回路フィードバック経路72内の流体の流れは、前記ストローク長制御機構91によって制御可能であり、これにより前記衝撃ピストン66の駆動可能なストローク長を調整することができる、削岩機。
  2. 前記ストローク長制御機構91は、前記第2の流体回路56内の流体圧力によって液圧駆動可能であり、前記複数の第1の流体回路フィードバック経路72を液圧により開閉して前記衝撃ピストン66の前記駆動可能なストローク長を調整する、請求項1に記載の削岩機。
  3. 前記ストローク長制御機構91は、前記第2の流体回路56と流体連通し、かつ前記第2の流体回路56内の流体圧力によって駆動可能なアクチュエータピストン94を含む、請求項1または2に記載の削岩機。
  4. 前記ストローク長制御機構91は、前記アクチュエータピストン94によって駆動可能な調整ピン92を含み、この調整ピン92の移動によって、前記複数の第1の流体回路フィードバック経路72が開閉する、請求項3に記載の削岩機。
  5. 前記調整ピン92は、前記第1の流体回路70と流体連通する、請求項4に記載の削岩機。
  6. 前記調整ピン92は平衡ポート92bを有する、請求項5に記載の削岩機。
  7. 前記アクチュエータピストン94は平衡ポート94bを有する、請求項3から6の何れか一項に記載の削岩機。
  8. 前記ストローク長制御機構91は伸縮バネ95を含む、請求項3から7の何れか一項に記載の削岩機。
  9. 4つの前方の第1の流体回路フィードバック経路72を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の削岩機。
  10. 2つの後方の第1の流体回路フィードバック経路72を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の削岩機。
  11. a)衝撃ピストン66を駆動するための第1の流体回路70と、
    b)前記第1の流体回路から隔離された第2の流体回路56であって、岩石面から背圧を減衰するための減衰室52と流体連通する第2の流体回路56と、
    c)前記第1の流体回路および前記第2の流体回路のそれぞれと流体連通するストローク長制御機構91であって、前記第1の流体回路70内の流体経路を再構成するために前記第2の流体回路56内の流体圧力によって駆動可能な前記ストローク長制御機構91と、
    を備えており、前記衝撃ピストン66の前記駆動可能なストローク長が、記岩石面からの背圧に応じて自動的に調節可能である、削岩機。
  12. a)衝撃ピストン66を駆動するための第1の流体回路70と、
    b)岩石面からの背圧を減衰するための減衰室52と流体連通する第2の流体回路56と、
    c)前記第1の流体回路70内の流体経路を液圧により開閉するために、前記第2の流体回路56内の流体圧力によって液圧駆動可能なストローク長制御機構91と、
    を備えており、前記衝撃ピストン66の前記駆動可能なストロークは、前記岩石面からの背圧に応じて自動的に制御可能である、削岩機。
  13. 削岩機において衝撃ピストン66の駆動可能なストローク長を調整する方法であって、
    a)減衰室52が減衰体50に関連付けられており、減衰流体回路56と流体連通し、この減衰室52内の流体において圧力変更を生じさせるステップと、
    b)前記圧力変更に応じて、前記減衰流体回路56と、衝撃ピストン66を駆動するための流体回路70との両方と流体連通する機構91を液圧により駆動するステップと、
    c)前記機構91の前記液圧による駆動に応じて前記機構の一または複数の部品を移動するステップであって、これにより前記駆動流体回路70内の流体経路72を開閉するステップと、
    を備え、これにより、前記衝撃ピストン66の前記駆動可能なストローク長が調整される、方法。
  14. 添付の図1から9に示された実施形態を参照し、本明細書に実質的に記載した削岩機。

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