JP2013534241A - 血漿凍結乾燥方法 - Google Patents

血漿凍結乾燥方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013534241A
JP2013534241A JP2013524473A JP2013524473A JP2013534241A JP 2013534241 A JP2013534241 A JP 2013534241A JP 2013524473 A JP2013524473 A JP 2013524473A JP 2013524473 A JP2013524473 A JP 2013524473A JP 2013534241 A JP2013534241 A JP 2013534241A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plasma
type
donor
blood
unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013524473A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5922122B2 (ja
Inventor
アンヌ・サイリオル
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ETAT FRANCAIS (MINISTERE de la DEFENSE) SERVICE DE SANTE DES ARMEES
Original Assignee
ETAT FRANCAIS (MINISTERE de la DEFENSE) SERVICE DE SANTE DES ARMEES
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=43567829&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2013534241(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by ETAT FRANCAIS (MINISTERE de la DEFENSE) SERVICE DE SANTE DES ARMEES filed Critical ETAT FRANCAIS (MINISTERE de la DEFENSE) SERVICE DE SANTE DES ARMEES
Publication of JP2013534241A publication Critical patent/JP2013534241A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5922122B2 publication Critical patent/JP5922122B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N1/00Preservation of bodies of humans or animals, or parts thereof
    • A01N1/02Preservation of living parts
    • A01N1/0278Physical preservation processes
    • A01N1/0284Temperature processes, i.e. using a designated change in temperature over time
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/335Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin
    • A61K31/365Lactones
    • A61K31/366Lactones having six-membered rings, e.g. delta-lactones
    • A61K31/37Coumarins, e.g. psoralen
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • A61K35/14Blood; Artificial blood
    • A61K35/16Blood plasma; Blood serum
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/04Antihaemorrhagics; Procoagulants; Haemostatic agents; Antifibrinolytic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/08Plasma substitutes; Perfusion solutions; Dialytics or haemodialytics; Drugs for electrolytic or acid-base disorders, e.g. hypovolemic shock

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Developmental Biology & Embryology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

本発明は、選択されたドナーに由来する血漿の混合物から生じた、ウイルス弱毒化し全血液型に適合する凍結乾燥血漿およびそれを得る方法に関する。

Description

本発明は、ウイルス弱毒化し、溶血性抗体を含まず、全血液型と適合する白血球除去した凍結乾燥血漿、およびそれを得る方法に関する。
「血漿(blood plasma)」または「血漿(plasma)」は、その中に血液細胞が懸濁している血液の液体成分である。血漿は、遠心分離または膜を通した濾過によって全血から分離することができる。血漿(blood plasma)は、水、血漿タンパク質(主にアルブミンおよび抗体)およびフィブリノーゲンを含めた凝固因子から本質的になる。
血漿(blood plasma)は、全ての凝固因子の崩壊を伴う重篤な凝固障害を治療するための療法において使用され、また、全体的な凝固因子の欠乏を伴う急性出血を治療するための療法においても使用される。
現在、治療用血漿は、ウイルス弱毒化された新鮮な凍結血漿(FFP)である。そのような血漿は、-25℃以下の温度で保管する必要があり、これは、その投与を特定の条件下で解凍した後にのみ行うことができることを意味する。さらに、この種類の血漿は、1年を超えて保管することができず、相当の大きさの損失が生じる。最後に、この治療用血漿は、その投与に関してレシピエントのABO適合性に基づいて、送達の規則を遵守しなければならないので、注意して使用しなければならない。その使用およびその保管、したがってその利用可能性に関連する制限により、そのような新鮮な凍結血漿は、緊急状態下、具体的には、軍事的戦闘時に適用するためには不適当であることが判明した。
US 2002/182195 A1
したがって、対外的な戦域にある軍隊の活動上の制約に応じ、外界温度で保管することができ、いかなる形態の細菌性汚染物質、ウイルス性汚染物質または寄生虫性汚染物質も含まず、ABO式血液型に関係なく任意のレシピエントと適合する血漿が必要とされている。
非常に長く徹底的な研究の後に、本発明者らは、その特性がそのような保管および使用の要件を満たす凍結乾燥血漿を調製する方法を開発した。
したがって、本発明は、
a)白血球除去し、物理化学的に弱毒化した単位血漿を選択する工程と、
b)選択した単位血漿を混合する工程と、
c)前記血漿の混合物を凍結乾燥する工程と
を含む、弱毒化凍結乾燥血漿を調製する方法に関する。
本発明の方法により、最終的に、適切な凍結乾燥する工程によって「凍結乾燥血漿」または「フリーズドライ血漿」を得ることが可能になる。凍結乾燥血漿を溶解溶媒中で再構成した後に得られる血漿は、現在療法において使用されている血漿を対象とする規制要件を満たし、具体的には、凝固因子の濃度は十分であり(例えば、第VIII因子の濃度が0.5IU/ml以上である)、凝固が活性化しない。
「単位血漿」という用語は、単一のドナー個体から採取された血漿を意味するものとする。この単位血漿は、全血から調製することもでき、またはアフェレーシスによって採取することもできる。優先的には、本発明に関しては、本発明の方法の工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿は、アフェレーシスによって採取する。この単位血漿を血漿バッグに入れる。一般に、これらのバッグは、200mlから250mlの間の単位血漿を含有する。優先的には、工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿は、療法において現在使用されている血漿を対象とする同じ規制要件に従う。したがって、該単位血漿は、軍における要件を、特に止血因子レベルの点で遵守する。したがって、ドナー個体は、血漿の供与適格性についての規制基準を遵守する。優先的には、単位血漿は、男性のドナーまたは抗HLA抗体を有さないドナーから得る。さらに、本発明に関しては、ドナーの止血検査の結果は正常であり、第VIII因子レベルが少なくとも0.9IU/mlと等しいことを特徴としなければならない。
「ドナー個体」という用語は、自身の血液または血液成分を供与することができる個体を意味するものとする。
「血漿の混合物」または「輸血バッチ」という用語は、単位血漿の混合物を意味するものとする。
「全血」という用語は、血液を成している全ての化合物および細胞を意味するものとする。
「アフェレーシス」という用語は、ドナーから特定の血液成分の試料を取得するための技法を意味するものとする。試料として望ましい成分は遠心分離によって分離し、保管するが、試料にしない成分はドナーに再度注射する。
特定の一実施形態では、本発明による方法の工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿は、最大で10人の異なるドナー個体から得る。ドナー個体の数に関してそのように限定することにより、後遺症的な感染の危険性を相当に低下させ、同時に混合物の利益を受けること:免疫原性を軽減し、血液型全てにおよぶ血漿を得ることが可能になる。ドナー個体のトレーサビリティを簡易化することも可能になる。
別の実施形態では、本発明による方法の工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿は、最大で20人の異なるドナー個体から得る。
優先的には、前記ドナー個体の血液型はAB型である。したがって、単位血漿は、使用する血漿のそれぞれが、血液型がAB型であるドナー個体から得られた血漿に対応するように選択する。血液型がAB型であるドナー個体から得られた単位血漿は、抗A凝集素および抗B凝集素が存在しないことを特徴とし、それにより、それらの血漿をレシピエントのABO式血液型に関係なく投与することが可能になる。血液型がAB型であるドナー個体はまれなので、この理想的な状況の可能性はほとんどない。したがって、本発明の特定の一実施形態では、前記ドナー個体は、前記ドナー個体の少なくとも1人の血液型がA型であり、前記ドナー個体の少なくとも1人の血液型がB型であること、および血液型がA型であるドナー個体から得られた血漿の体積が、血液型がB型であるドナー個体から得られた血漿の体積と同じであることを特徴とする。
したがって、単位血漿は、単位血漿を供与する個体のうち何人かは血液型がA型であり、他の人は血液型がB型であり、場合によって、他の人は血液型がAB型であるように選択することができる。いずれにしても、血液型がA型であるドナー個体から得られた血漿の体積は、血液型がB型であるドナー個体から得られた血漿の体積と同じである。
例えば、方法の工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿は、以下の血液型のドナー個体から採取することができる:
血液型がA型であるドナー個体4人;
血液型がB型であるドナー個体4人;および
血液型がAB型であるドナー個体2人。
この特定の基本では、血液型がA型であるドナー個体4人から得られた血漿の体積が、血液型がB型の個体4人から得られた血漿の体積と確実に同じであるようにすることが望ましい。
したがって、単位血漿の選択により、本発明は、ABO式血液型に関係なく任意のレシピエント個体に投与することができる血漿を得ることに関して、「普遍的な血漿ドナー」と称される血液型がAB型であるドナー個体の数が少ないことに関連する欠点を克服する。
特定の一実施形態では、方法の工程b)の血漿の混合物は、
体積で20%〜50%、優先的には30%〜50%、より優先的には40%〜45%の、血液型がA型であるドナー個体から得られた単位血漿と、
体積で20%〜50%、優先的には30%〜50%、より優先的には40%〜45%の、血液型がB型であるドナー個体から得られた単位血漿と、
体積で0〜60%、優先的には0〜40%、より優先的には10%〜20%の、血液型がAB型であるドナー個体から得られた単位血漿と
を含む。
「血液型」という用語は、赤血球の表面上の抗原性物質の存在または非存在に基づいた血液の分類を意味するものとする。これらの抗原性物質により、ABO式血液型分類法が定義される。A抗原、または凝集原Aは、N-アセチルガラクトサミンに対応する。B抗原、または凝集原Bは、ガラクトースに対応する。ABO式血液型分類法により、輸血に対する適合性の規則が規定される。これらの規則を遵守しないと輸血された個体において溶血性事象が生じる恐れがある。血漿はABO式血液型分類法の型に従った抗体を含有するので、レシピエントの赤血球は対応する抗原を提示してはならない。したがって、抗A凝集素を含む血漿は血液型がA型である患者に投与するべきでなく、逆もまた同じである。AB型のドナー個体の血漿は抗A凝集素または抗B凝集素を含有せず、したがって、全てのレシピエント個体に適する。したがって「普遍的な血漿ドナー」という用語が使用される。
「血液型がA型である個体、血液型がB型である個体または血液型がAB型である個体」という表現は、それぞれ、A、BまたはABの表現型を有する個体を意味するものとする。
本発明の方法の工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿は白血球が除去されている。輸血される製品中に白血球が存在することにより、ウイルス、例えばサイトメガロウイルスの伝染などの種々の有害作用が引き起こされる恐れがある。白血球除去(leukodepletion)により、HLA系における抗原抗体反応に伴う発熱反応を低下させることも可能になる。「白血球減少(leukocyte reduction)」または「白血球減少(leukoreduction)」としても公知のこの白血球除去は、アフェレーシスによって採取した血漿を濾過することによって行う。あるいは、この白血球除去は、全血から調製した血漿を濾過することによって行うことができる。
優先的には、工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿は、溶血性抗体を含まない。溶血性抗体の欠如は、ドナー個体から採取した単位血漿に対して直接行うことができる。したがって、採取した血漿中に溶血性抗体が存在しないことにより、工程b)において溶血性抗体を含有しない血漿の混合物を得ることが可能になる。
「溶血性抗体」または「溶血素」は、血漿中に見いだすことができ、赤血球を溶解することができる免疫グロブリンGまたはIgGである。抗A溶血素は凝集原Aを提示する赤血球に特異的であるが、抗B溶血素は凝集原Bを提示する赤血球に特異的である。それらが「普遍的な」治療用血漿中に存在することは許容されない。そのような溶血性抗体が血漿の混合物中に存在することにより、方法によって得られる生成物が、療法における「普遍的な」使用には不適当になる。したがって、本発明の方法の工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿は、抗A溶血素または抗B溶血素を含有してはならない。
優先的には、工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿は、凝集素を含まない。一般には、凝集素を含まない血漿は血液型がAB型である個体の血漿から得る。
あるいは、工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿の凝集素価は、64未満、優先的には32未満、優先的には16未満、優先的には8未満、より優先的には4未満である。抗体価の決定は当業者に周知である。抗体価の決定については、血漿の一連の希釈を確立し、各希釈を用いて凝集素を検出するための反応を実行することを伴う。依然として陽性反応をもたらす最大希釈により力価が示される。したがって、1/32希釈では力価を決定しようとしている凝集素が依然として検出されるが、1/64希釈ではこの検出がもはや起こらない場合、この血漿の凝集素価は32である。
凝集素は、血漿中に存在し、赤血球を凝集させることができる免疫グロブリンIgMである。抗A凝集素は凝集原Aを提示する赤血球を凝集させる。抗B凝集素は凝集原Bを提示する赤血球を凝集させる。工程b)において得られた血漿の混合物中に凝集素が存在しないこと、または低濃度で存在することにより、最終的に、再構成した後に、血液型に関係なく任意のレシピエントに使用することができる本発明の方法による凍結乾燥血漿を得ることが可能になる。
優先的には、方法の工程b)の血漿の混合物は変則的な凝集素を含まない。変則的な凝集素は、血漿中に存在する可能性があり、赤血球の表面上に存在する抗原を対象とするが、凝集原Aまたは凝集原Bに対応しない抗体である。
本発明の方法の工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿は、物理化学的処理によってウイルス弱毒化または安全化されている。
「弱毒化」、「ウイルス弱毒化」または「安全化」という用語は、血漿中に存在する可能性がある病原因子の排除を意味するものとする。このウイルス弱毒化または安全化により、エンベロープを有する病原体またはエンベロープを有さない病原体の大多数が破壊される、またはその複製が妨げられる。
本発明に関しては、弱毒化は、単位血漿を、それらを混合する前に物理化学的処理することによって行う。あるいは、この弱毒化は、工程b)において得られた血漿の混合物に対して行うことができる。物理化学的処理による弱毒化は、アモトサレン(amotosalen)またはメチレンブルーなどの光化学的作用剤を使用した処理、または溶媒-界面活性剤処理であってよい。
優先的には、この弱毒化は、アモトサレン、メチレンブルーまたはリボフラビンなどの光化学的作用剤を使用して行う。
「病原因子」という用語は、細菌性汚染物質、ウイルス性汚染物質または寄生虫性汚染物質を意味するものとする。療法において血漿を使用するためには、そのような汚染物質の存在は許容されない。
「弱毒化された血漿」または「ウイルス弱毒化された血漿」という用語は、弱毒化の工程、すなわち、細菌性汚染物質、ウイルス性汚染物質または寄生虫性汚染物質などの病原因子の事実上の破壊またはその複製の阻害を受けた血漿を意味するものとする。
特定の一実施形態では、本発明の方法の工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿を、アモトサレン、リボフラビンおよびメチレンブルーから選ばれる光化学的作用剤の作用によって弱毒化する。そのような光化学的作用剤の使用は、光源への曝露を伴う。適切な波長の光により活性化されると、光酸化剤とも称される光化学的作用剤は、細菌性汚染物質またはウイルス性汚染物質を直接破壊すること、あるいはその複製能力を阻害することができる。そのような血漿の弱毒化技法は、それにより、先行技術の従来の技法によっては検出することができないものを含めたいかなる汚染物質も破壊することが可能になるので、特に有利である。光化学的作用剤を使用して病原因子を排除することを可能にする操作条件は当業者に公知である。一般には、この方法は、使い捨てデバイスの使用に基づいて標準化されたプロトコールに従って行う。光化学的作用剤を血漿に加える。次いで、血漿を光源にさらす。最終的な工程は、残った光科学的作用剤および任意の可能性のあるその分解生成物の痕跡を、それらを吸収することができるフィルターを使用して排除することにある。本発明によれば、病原因子を排除するためのこの技法は、優先的には、アフェレーシスによって採取した各単位血漿に適用される。
優先的には、この光化学的作用剤はアモトサレンである。アモトサレンを使用して病原因子を排除することには、血漿中に存在する凝固因子、特にフィブリノーゲン(出血性外傷を被った個体の止血において重要な役割を果たす)および第VIII因子の損失があまり引き起こされないという利点がある。アモトサレンは、一本鎖または二本鎖のDNA分子またはRNA分子のピリミジン塩基において可逆的にインターカレートするプソラレン誘導体である。紫外線A光(380〜400 nm)を用いた照明により、核酸を妨害し、それらの複製を遮断する不可逆的な共有結合が創出され、したがって、凍結乾燥する前に、血漿中の、細菌、ウイルスまたは寄生虫の負荷量を低下させること、および細菌、ウイルスまたは寄生虫の複製を阻害することが可能になる。この作用剤は、エンベロープを有するウイルスまたはエンベロープを有さないウイルス、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌、スピロヘータ、胞子、寄生生物および残留するリンパ球を不活性化するために特に有効である。種々の試験により、この作用剤には長期の毒性の危険性も生殖毒性のいかなる危険性もないことが示された。この作用剤は発癌性ではなく、また、注目すべき毒作用は示さない。一般には、有効である病原因子を排除するために、単位血漿を、アモトサレンを100μMから200μMの間、優先的にはおよそ150μMの濃度で用いて処理することが望ましい。単位血漿を処理した後、残留するアモトサレンの痕跡を排除することが望ましい。当業者は、残留するアモトサレンの存在を検出するための対照試験を行うことができる。この残留するアモトサレンの濃度は、優先的には2μMを超えるべきでない。
優先的には、この光化学的作用剤は、リボフラビンである。リボフラビン、またはビタミンB2は、紫外線照射と組み合わせて使用すると、ウイルス、細菌および寄生生物を不活性化することが可能になる非毒性の天然化合物である。その使用により、特定の血液の構成成分中に存在する白血球を中和することも可能になる。一般には、リボフラビンは、CaridianBCT社により販売されているMirasolデバイスを用いて使用する。これは現在、血漿中に懸濁した血小板を処理するため、および新鮮な凍結血漿を処理するために使用されている。本発明者らにより、この系は本発明に関して使用するためにも非常に適していることが示された。
白血球除去され、弱毒化された単位血漿は、ドナー個体から試料を取得してから8時間以内に凍結させることができる。次いで、そのように凍結させた血漿は、これらの血漿の混合物を調製するまで-25℃以下の温度で保管する。次いで、これらの血漿を、それらを混ぜ合わせる前に解凍する。一般には、単位血漿は、37℃のウォーターバス中で解凍する。したがって、工程a)は、以下のように行うことができる:
i.アフェレーシスによる単位血漿の採取;
ii.前記単位血漿の白血球除去;
iii.前記単位血漿の物理化学的弱毒化すること;
iv.単位血漿の採取後8時間以内の前記単位血漿の低温凍結(deep-freezing);
v.前記凍結させた単位血漿の-25℃以下の温度での保管;
vi.凍結させた単位血漿の、優先的には37℃のウォーターバス中での、30分未満の間、優先的にはおよそ15分間の解凍。
特定の一実施形態によれば、本発明は、
a)
i.アフェレーシスによる単位血漿の採取、
ii.前記単位血漿の白血球除去、
iii.前記単位血漿の物理化学的弱毒化、
iv.単位血漿の採取後8時間以内の前記単位血漿の低温凍結、
v.前記凍結させた単位血漿の-25℃以下の温度での保管、
vi.凍結させた単位血漿の解凍
によって白血球除去し、物理化学的に弱毒化した単位血漿を選択する工程と、
b)選択した単位血漿を混合する工程と、
c)前記血漿の混合物を凍結乾燥する工程と
を含む、弱毒化凍結乾燥血漿を調製する方法に関する。
特定の一実施形態では、本発明は、
A)アモトサレンを用いて安全化し、凝固試験結果が正常であり第VIII因子レベルが0.9IU/mlを超えるドナーに由来する、白血球除去した単位血漿を選択する工程であって、前記血漿が、最大で10人の異なるドナー個体から得られ、前記ドナーが、男性のドナーまたは抗HLA抗体を有さないドナーから選ばれる工程と、
B)選択した単位血漿を混合する工程と、
C)前記血漿の混合物を凍結乾燥する工程と
を含む、安全な凍結乾燥血漿を調製する方法に関する。
本発明の方法は、単位血漿を混合する工程を含む。次いで、「輸血バッチ」を得る。単位血漿の混合は外界温度で行う。一般には、単位血漿(血漿バッグ中に含有された)を、2000mlから10000mlの間、優先的には2500mlから9000mlの間の体積の輸血バッチが得られるように混合する。第1の実施形態では、この輸血バッチの体積は、2500mlから4000mlの間であり、およそ3000mlであることが好ましい。第2の実施形態では、この輸血バッチの体積はおよそ5000mlからおよそ9000mlの間であり、およそ6000mlであることが好ましい。したがって、ドナー個体の血液型に関係なく行うことができる単位血漿の混合物、その投与が得られる。
一般には、この輸血バッチの内容物を500mlのガラス注入瓶に分配する。この分配は滅菌条件下で行う。そこで、各瓶は200mlから250mlまで、優先的には215mlの量の血漿を含有する。「タイプI」と称されるこれらの瓶は、中性であり、それらの内容物と相互作用しないことを特徴とする。したがって、瓶と、それが含有する血漿との間で反応は起こらない。この種類の瓶は、注射用製品を調製するのに適している。これらの瓶は、薬局方の要件を満たし、容易に購入することができる。
本発明の方法は、弱毒化された血漿の混合物を凍結乾燥する工程c)を含む。この凍結乾燥する工程は、弱毒化された血漿の混合物の止血性を損なわないことが望ましいので特に注意を要する。したがって、侵攻性の凍結乾燥方法に対して特に感受性であることが判明し得る非常に低い残りの含水量と凝固因子の保存との間の平衡を制御することが望ましい。一般には、この凍結乾燥する工程は、体積が500mlであり、予め得られた血漿の混合物を含有するタイプIの瓶中で行う。一般には、およそ215mlの血漿を含有する各瓶を凍結乾燥器の棚に置く。
優先的には、凍結乾燥する工程c)により、含水量が2%未満、優先的には1%未満である凍結乾燥血漿を得ることが可能になる。
一般には、工程c)の凍結乾燥は、いくつかの相を含む:解凍、一次乾燥(desiccation)または昇華、および二次乾燥(desiccation)または最終乾燥(drying)。
「凍結乾燥」または「フリーズドライ」という用語は、生成物に含まれる水の大部分を昇華により排除することにある低温の脱水操作を意味するものとする。これにより、生成物の水分活性が低下するので長期保管が可能になる。優先的には、本発明に関しては、凍結乾燥は、血漿に含有される水が凝固する-50℃での急速凍結相を含む。一般には、この凍結工程は、15分間から60分間の間、優先的にはおよそ30分間続く勾配、および100分間から600分間の間、優先的にはおよそ300分間続く保持で行う。
次に、一次乾燥(desiccation)とも称される昇華相があり、これにより、水が固体の形態から、液体の形態を通らずに蒸気の形態になる。この工程は、300μBar未満の圧力および10℃から15℃の間の温度で行う。一般には、10℃における第1の保持は、20分間から120分間の間、優先的にはおよそ60分間続く勾配および2000分間から4000分間の間、優先的にはおよそ3000分間続く保持を有する。15℃における第2の保持は、5分間から60分間の間、優先的にはおよそ10分間続く勾配および800分間から2000分間の間、優先的にはおよそ1200分間続く保持を有する。
一般に「最終乾燥(drying)」または「二次乾燥(desiccation)」と称される最終的な工程は、捕捉物と称される水を生成物から脱離させることにより除去することにある工程である。捕捉水は、一次乾燥(desiccation)に供した生成物の表面に閉じ込められたままである水分子に対応する。この最終乾燥(drying)工程は、およそ30μBarの減圧下、30℃から35℃の間の温度で行う。一般には、35℃における第1の保持は、2000分間から15000分間の間、優先的には6000分間続く勾配、および800分間から2000分間の間、優先的には1200分間続く保持を有する。30℃における第2の保持は、2000分間から1000分間の間、優先的には480分間続く勾配、および1200分間から2500分間の間、優先的には1800分間続く保持を有する。
この凍結乾燥のプロトコールおよびその特定の条件により、含水量が2%未満、優先的には1%未満である凍結乾燥血漿を得ることが可能になる。
本発明は、全血液型と適合する凍結乾燥血漿にも関する。この凍結乾燥血漿は、規制要件を満たすように、白血球除去し、弱毒化し、かつ溶血性抗体を含まないことが好ましい。「フリーズドライおよび安全化した血漿」(FDSP)または「凍結乾燥血漿」(FLYP:「フランス凍結乾燥血漿(French Lyophilized Plasma)」という用語を使用する。
優先的には、本発明の凍結乾燥血漿は、少なくとも1人の血液型がA型であり、少なくとも1人の血液型がB型であるドナー個体から採取した血漿の混合物を含むこと、および血液型がA型であるドナー個体から得られた血漿の体積が、血液型がB型であるドナー個体から得られた血漿の体積と同じであることを特徴とする。
この凍結乾燥血漿の含水量は2%未満、優先的には1%未満である。この凍結乾燥血漿は、2℃から25℃の間の外界温度で、または冷蔵チャンバー温度で、3年、優先的には2年の期間にわたって保管することができることも特徴とする。
優先的には、この凍結乾燥血漿(blood plasma)は滅菌されている。本発明は、溶血性抗体を含まず、全血液型と適合する、弱毒化し白血球除去した凍結乾燥血漿を溶解溶媒中で再構成する工程を含む、再構成血漿を調製する方法にも関する。したがって、血漿を再構成することにより、緊急状態下で任意のレシピエントに投与することができる注射用調製物を得ることが可能になる。
一般には、血漿の再構成は100mlから400mlの間、優先的には200mlの体積の溶解溶媒中で行う。一般には、この再構成は、等浸透圧の血漿を得ることが可能になる体積で行う。
優先的には、この溶解溶媒は、水、より優先的には注射用水である。優先的には、注射用調製物を得るための凍結乾燥血漿の再構成は、6分未満、優先的には3分未満の期間で行う。
したがって、本発明による血漿の使用は非常に有利であり、また、凍結した新鮮な血漿を使用する場合における、解凍するために必要な時間が不要になる。
本発明は、溶血性抗体を含まず、全血液型と適合する弱毒化し、白血球除去した再構成血漿にも関する。そのような再構成血漿は、血液型に関係なく任意の個体に投与することができる。したがって、緊急状態下、具体的には、戦地において、しかし同様に一般人の区域においても、特に、物流の状態がマイナスのコールドチェーンを制御することができない隔離された状況において、凝固障害を伴う出血性の緊急事態を治療するための使用に非常に適している。本発明による再構成血漿は、ほとんどの病原因子を破壊し、それによりレシピエント個体への病原体の潜在的な伝染を相当に低下させるという利点も有する。この再構成血漿は、療法において使用される血漿を対象とする全ての規制要件を満たす。
優先的には、本発明による再構成血漿は溶血性抗体を含まない。
優先的には、本発明による再構成血漿は凝集素を含まない。あるいは、本発明による再構成血漿の凝集素価は64未満、優先的には32未満、優先的には16未満、優先的には8未満、およびより優先的には4未満である。
優先的には、本発明による再構成血漿は変則的な凝集素を含まない。
本発明の再構成血漿は、第VIII因子の濃度が0.2IU/ml超、優先的には0.5IU/ml超、優先的には0.7IU/ml超、より優先的には0.9IU/ml超、さらに優先的には0.5IU/mlから1.5IU/mlの間であることを特徴とする。
本発明の再構成血漿は、第V因子の濃度が0.15IU/ml超、および優先的には0.7IU/mlから1.2IU/mlの間であることを特徴とする。凝固因子の国際単位(IU)は、この表現が適用されるタンパク質の血漿活性を表す。これらの血漿タンパク質の1つの国際単位(IU)は、正常なヒトの血漿1ml中に含有されるこの因子の量に対応する。
本発明の再構成血漿は、フィブリノーゲンの濃度が1g/l超およびより優先的には2g/lから4g/lの間であることを特徴とする。
本発明の再構成血漿は、滅菌されており、非発熱性であることを特徴とする。
最後に、本発明は、
a)本発明による凍結乾燥血漿と、
b)適量の溶解溶媒、優先的には注射用水と、
c)説明リーフレットと
を含むキットに関する。
特定の一実施形態では、前記キットは、
d)活性なヘモビジランスの枠組みの中に入る臨床的経過観察シートおよび生物学的経過観察シート、および
e)本発明による血漿のトレーサビリティを実行するための技術的シート
も含む。
優先的には、この凍結乾燥血漿は、戦域およびマイナスのコールドチェーンを制御することが物流的に難しい非常に隔離された環境において使用するのに適した形態である。
本発明による再構成された凍結乾燥血漿を戦地の兵士に注入した前後のヘモグロビン、血小板およびフィブリノーゲンのレベルの分析を示すグラフである。Nsは、有意でないことを意味する。 本発明による再構成された凍結乾燥血漿を注入した前後のプロトロンビンレベル(TP)の分析を示すグラフである。
(実施例)
(実施例1)
血漿の混合物の凍結乾燥
a)単位血漿の選択
血液型がA型であるドナー個体、B型であるドナー個体およびAB型であるドナー個体から、アフェレーシスによって血漿およそ200mlを回収する。
各ドナー個体は、各供与時に2バッグまたは3バッグの血漿を供与することができるが、混合物を作製するためにこの供与を2回以上用いることができる。したがって、各ドナーからおよそ400mlからおよそ1800mlの血漿を得ることができる。
血漿採取時に、濾過することによって前記単位血漿の白血球を除去する。
次いで、アモトサレンを使用して前記単位血漿を弱毒化する。これを行うために、単位血漿のバッグのそれぞれに150μMの濃度のアモトサレン15mlを補充する。アモトサレンを含む血漿に紫外線A光(380〜400nm)を5〜10分照射する。処理後、吸収樹脂で濾過することによってアモトサレンを除去する。
次いで、血漿を採取した後8時間以内に前記弱毒化された単位血漿を低温凍結する。そこで、この工程により、前記血漿を-25℃の温度で保管することが可能になる。
血漿を混合する15分前に、解凍しようとしている血漿を37℃のウォーターバス中に入れる。
b)選択した単位血漿の混合物
6つの、輸血バッチとも称される血漿の混合物M1〜M6を調製する。混合物M1〜M6のそれぞれは、血液型がA型である個体、B型である個体およびAB型である個体から得た血漿の混合物に対応する。例えば、混合物M1については以下を使用する:
血液型がA型である3人の異なるドナー個体から得た血漿6バッグ(血漿1327ml)、
血液型がB型である3人の異なるドナー個体から得た血漿6バッグ(血漿1339ml)、
血液型がAB型である2人の異なるドナー個体から得た血漿2バッグ(血漿445ml)。
したがって、血漿3111mlを含む混合物M1が得られる。
これらの混合物のために使用する種々の血漿の体積および混合物M1〜M6のそれぞれについてのドナー個体の血液型の分布は下記の表に詳細に示されている。
したがって、血漿3000〜3300mlを含む6つの輸血バッチが得られる。
c)凍結乾燥する工程
血漿の混合物を、500mlの「タイプI」の瓶に、各瓶が血漿の混合物を215ml含有するように分配する。
予め得た瓶のそれぞれに含有された血漿の凍結乾燥は、Usifroidにより販売されているSMH615凍結乾燥器で行う。各瓶を棚に置く。凍結乾燥は、以下に詳述されている特定の条件下で行う。
1.予備冷却
この工程により、凍結乾燥器の棚を-5℃の温度まで冷却することが可能になる。この工程により、温度感受性である凝固因子が分配時間中に分解することを回避することが可能になる。バッチを調製したら凍結乾燥器にローディングする。
2.凍結
血漿の混合物を-50℃の温度で凍結させる。生成物をこの温度で240分間維持する。勾配を30分続け、保持を300分続ける。
3.真空下に置くこと
昇華を可能にするために、凍結乾燥器を真空下に置く。600mBarの圧力で、2分間にわたって真空を引く。
4.昇華
この工程は、10℃から15℃の間の温度および300μBar未満の圧力で行う。
10℃の温度における第1の保持は60分の勾配および3000分の保持を有する。
15℃の温度での第2の保持は10分の勾配および1200分の保持を有する。
5.二次乾燥(desiccation)
この工程は、30℃から35℃の間の温度、30μBarの圧力で行う。
35℃における第1の保持は600分の勾配および1200分の保持を有する。
30℃における第2の保持は480分の勾配および1800分の保持を有する。
d)凍結乾燥物の品質管理
このプロトコールにより、相対的な含水量が2%未満である凍結乾燥血漿を得ることが可能になる。
(実施例2)
凍結乾燥血漿の再構成
輸血バッチM1〜M6のそれぞれの500mlの瓶を取得する。注射用水200mlをこれらの6つの瓶のそれぞれに加える。したがって6つの再構成血漿PR1〜PR6が得られる。
再構成した後、得られた生成物は以下の要件を満たすべきである:
再構成の時間が6分未満であること;
第VIII因子の濃度が0.5IU/l以上であること;
抗A溶血素および抗B溶血素が存在しないこと;
抗A凝集素価および抗B凝集素価が64未満であること;
変則的な凝集素が存在しないこと;および
タンパク質の濃度が50g/L以上であること。
このように再構成した血漿の組成および特性は下記の表において詳述されている。
測定された基準は、規制要件に従う。したがって、本発明の方法に従って得られる血漿は治療的に使用するのに適している。
(実施例3)
凝固障害および出血に対する凍結乾燥の効果
本発明者らは、本発明による再構成された凍結乾燥血漿を、戦域において、重篤な外傷、例えば、鉄砲による傷害、爆発後の傷害あるいは衝突後の傷害などを被った兵士に投与した。
材料および方法
注入を受けた兵士を、本発明による再構成された凍結乾燥血漿の注入の前後に血液分析および止血分析に供した。
このように収集された変数を、スチューデントの検定、ウィルコクソンの検定あるいはカイ二乗検定に基づき、従来の統計学的な技法に従って解析した。
弾丸創傷の犠牲者32人、多発外傷の犠牲者22人、爆発の犠牲者10人、頭部外傷の犠牲者7人、および最後に、他の種類の傷害の犠牲者4人を含めた兵士87人に、本発明による凍結乾燥血漿を注入した。
この輸血に関連するデータは下記の表中に要約されている。
結果
結果が図1に示されている。
輸血の前後のヘモグロビン、血小板およびフィブリノーゲンのレベルの差異は有意でないことが判明した。したがって、本発明者らは、血液因子のレベルは影響されないこと、および本発明の血漿の使用には、前記血漿の注入を受けた兵士の健康に対する危険性がないことが判明したことを示した。
さらに、本発明者らは、本発明による凍結乾燥血漿により、戦争による傷害の凝固障害を制御することが可能になることを示すことに成功した。さらに、本発明者らは、図2に示されている通り、本発明の凍結乾燥血漿(blood plasma)を注入することにより、プロトロンビン時間を低下させることが可能になるという事実を実証した。これらの結果は、本発明の血漿が出血の治療において有効であることを示している。
最後に、結果は、本発明による凍結乾燥血漿により、6分未満で再構成することができ、また、すぐに使える血漿を210mlの量でもたらすことができるという主要な利点を伴って優れた結果を得ることが可能になることを示している。これらの結果は、さらに、凍結させた新鮮な血漿を注入することで得ることができる結果と同等である。
(実施例4)
大量出血の治療における本発明による凍結乾燥血漿の使用
多くの試験により、血漿を相当の大きさで早期に注入することにより、軍事活動中の兵士の生存が相当に改善されることが示されている。兵士63人に、本発明による血漿1〜9バッグを注入した。
本発明者らは、前記血漿の注入の前後にそれらの血液を分析した。結果は、プロトロンビンレベルが、前記注入前の17秒から前記注入後には15.6秒になったことを示している。
この減少は、止血が改善されたことを示し、この改善は外科的手順の前に極めて重要であることが判明し得る。
本発明による再構成された凍結乾燥血漿の使用では有害作用は示されなかった。
(実施例5)
本発明による再構成された凍結乾燥血漿の全体的な止血能に対する凍結乾燥の効果
本発明者らは、凍結乾燥の、得られた血漿の質に対する効果および止血に対する効果を試験した。
材料および方法
本発明者らは、凍結乾燥の前後の24バッチを使用した。
本発明者らは、比色定量アッセイおよびクロノメーターによるアッセイにより、フィブリノーゲンのレベルを決定し、また、凝固第V因子、第VIII因子、第XI因子および第XIII因子のレベルも決定した。トロンビン生成試験も行った。凍結乾燥血漿および正規化した対照を希釈した後、次いでトロンボエラストグラフィーを実施した。
最後に、健康なドナー17人の血液を60%希釈した:
60%の乳酸リンゲル液、または
30%の乳酸リンゲル液+凍結乾燥する前の30%の凍結乾燥血漿、または
30%の乳酸リンゲル液+凍結乾燥した後の30%のFDP。
最後に、トロンボエラストグラフィーを行った。
結果
凍結乾燥した後に得られた結果は以下に要約されている:
第VIII因子および第V因子の活性がおよそ22%〜26%低下した(0.6IU/ml±0.1);
タンパク質Sのレベルがおよそ10%低下した(0.8IU/ml±0.2);
フィブリノーゲンの活性(2.4g/L±0.2)、第X因子の活性(0.8 IU/ml±0.1)、第XIII因子の活性(1IU/ml±0.1)、タンパク質Cの活性(0.9IU/ml±0.1)およびアルファ2-アンチプラスミンの活性(1IU/ml±0.1)は低下しなかった;
トロンビン生成は変化しなかった;
凝固因子は活性化しなかった。
本発明者らは、希釈した後に、凍結乾燥によりトロンボエラストグラムのパラメータのいかなる変化も誘導されないことも示した。
これらの定量的結果および定性的結果は、凍結乾燥血漿の全体的な止血能は凍結乾燥していない血漿と比較して保存されていることを示している。

Claims (11)

  1. a)白血球除去し、物理化学的に弱毒化した単位血漿を選択する工程と、
    b)選択した単位血漿を混合する工程と、
    c)前記血漿の混合物を凍結乾燥する工程と
    を含む、弱毒化凍結乾燥血漿を調製する方法であって、
    工程b)の血漿の混合物を構成する前記単位血漿を、最大で10人の異なるドナー個体から得ることを特徴とする方法。
  2. 前記ドナー個体の血液型がAB型であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ドナー個体の少なくとも1人の血液型がA型であり、前記ドナー個体の少なくとも1人の血液型がB型であること、および血液型がA型であるドナー個体から得られた血漿の体積が、血液型がB型であるドナー個体から得られた血漿の体積と同じであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿が、溶血性抗体を含まないことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿の凝集素価が、64未満、優先的には32未満、優先的には16未満、優先的には8未満、より優先的には4未満であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿を、アモトサレン、メチレンブルーおよびリボフラビンから選ばれる光化学的作用剤の作用によって弱毒化することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程b)の血漿の混合物を構成する単位血漿をアモトサレンの作用によって弱毒化することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 凍結乾燥する工程c)により、含水量が2%未満、優先的には1%未満である凍結乾燥血漿を得ることが可能になることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. 請求項1から8に記載の方法によって得られた血漿を、溶解溶媒、優先的には注射用水中で再構成する工程を含む、再構成血漿を調製する方法。
  10. 全血液型と適合する凍結乾燥血漿であって、少なくとも1人の血液型がA型であり、少なくとも1人の血液型がB型であるドナー個体から採取した血漿の混合物を含むこと、および血液型がA型であるドナー個体から得られた血漿の体積が、血液型がB型であるドナー個体から得られた血漿の体積と同じであることを特徴とする凍結乾燥血漿。
  11. A)アモトサレンを用いてウイルス弱毒化した、白血球除去した単位血漿を選択する工程であって、前記血漿が、最大で10人の異なるドナー個体から得られ、前記ドナーが、止血検査結果が正常であり、第VIII因子レベルが0.9IU/mlを超え、男性のドナーまたは抗HLA抗体を有さないドナーから選ばれる工程と、
    B)選択した単位血漿を混合する工程と、
    C)前記血漿の混合物を凍結乾燥する工程と
    を含む、ウイルス弱毒化凍結乾燥血漿を調製する方法。
JP2013524473A 2010-08-16 2011-08-16 血漿凍結乾燥方法 Active JP5922122B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
FR1056619A FR2963737B1 (fr) 2010-08-16 2010-08-16 Procede de lyophilisation de plasma sanguin
FR1056619 2010-08-16
PCT/FR2011/051919 WO2012022914A1 (fr) 2010-08-16 2011-08-16 Procédé de lyophilisation de plasma sanguin

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013534241A true JP2013534241A (ja) 2013-09-02
JP5922122B2 JP5922122B2 (ja) 2016-05-24

Family

ID=43567829

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013524473A Active JP5922122B2 (ja) 2010-08-16 2011-08-16 血漿凍結乾燥方法

Country Status (9)

Country Link
US (2) US20130143198A1 (ja)
EP (1) EP2605781B1 (ja)
JP (1) JP5922122B2 (ja)
AU (1) AU2011290609B2 (ja)
BR (1) BR112013003589A2 (ja)
CA (1) CA2808654C (ja)
ES (1) ES2607609T3 (ja)
FR (1) FR2963737B1 (ja)
WO (1) WO2012022914A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012142180A1 (en) * 2011-04-12 2012-10-18 Tianxin Wang Methods to detect and treat diseases
JP6659591B2 (ja) 2014-06-09 2020-03-04 テルモ ビーシーティー、インコーポレーテッド 凍結乾燥
FR3026950A1 (fr) * 2014-10-09 2016-04-15 Lab Francais Du Fractionnement Procede de preparation de plasma universel
CN108135936A (zh) 2015-06-26 2018-06-08 塞鲁斯公司 冷沉淀物组合物及其制备方法
WO2017070619A1 (en) * 2015-10-23 2017-04-27 Cerus Corporation Plasma compositions and methods of use thereof
CN110573169A (zh) 2017-03-03 2019-12-13 塞鲁斯公司 制备病原体灭活的血小板组合物的试剂盒和方法
US10793327B2 (en) 2017-10-09 2020-10-06 Terumo Bct Biotechnologies, Llc Lyophilization container and method of using same
CA3130700A1 (en) 2019-03-14 2020-09-17 Terumo Bct Biotechnologies, Llc Lyophilization container fill fixture, system and method of use

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001513507A (ja) * 1997-08-05 2001-09-04 オクタファルマ アクチェン ゲゼルシャフト 一般的に応用可能な血漿
CN1321468A (zh) * 2001-04-18 2001-11-14 杜祖鹰 无血型冻干血浆及其制备方法
JP2007514716A (ja) * 2003-12-19 2007-06-07 オクタファルマ アクチェン ゲゼルシャフト 非白色人種血漿の部分より製造される、万人に適用可能なウイルス不活化血漿

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20020182195A1 (en) * 1997-08-05 2002-12-05 Octapharma Ag Universally applicable blood plasma

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001513507A (ja) * 1997-08-05 2001-09-04 オクタファルマ アクチェン ゲゼルシャフト 一般的に応用可能な血漿
CN1321468A (zh) * 2001-04-18 2001-11-14 杜祖鹰 无血型冻干血浆及其制备方法
JP2007514716A (ja) * 2003-12-19 2007-06-07 オクタファルマ アクチェン ゲゼルシャフト 非白色人種血漿の部分より製造される、万人に適用可能なウイルス不活化血漿

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6015027554; 大戸斉, 臨床医, 2004, vol.30, no.10, p.1879-1881 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP2605781A1 (fr) 2013-06-26
ES2607609T3 (es) 2017-04-03
AU2011290609B2 (en) 2015-06-11
JP5922122B2 (ja) 2016-05-24
US20150201610A1 (en) 2015-07-23
AU2011290609A1 (en) 2013-03-07
FR2963737B1 (fr) 2013-04-05
BR112013003589A2 (pt) 2016-05-31
US20130143198A1 (en) 2013-06-06
CA2808654C (fr) 2020-03-10
EP2605781B1 (fr) 2016-09-21
FR2963737A1 (fr) 2012-02-17
WO2012022914A1 (fr) 2012-02-23
CA2808654A1 (fr) 2012-02-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5922122B2 (ja) 血漿凍結乾燥方法
Sailliol et al. The evolving role of lyophilized plasma in remote damage control resuscitation in the F rench A rmed F orces H ealth S ervice
Hess Conventional blood banking and blood component storage regulation: opportunities for improvement
Basu et al. Overview of blood components and their preparation
McMichael et al. Effect of leukoreduction on transfusion‐induced inflammation in dogs
Bohonek et al. The use of cryopreserved platelets in the treatment of polytraumatic patients and patients with massive bleeding
Fraga et al. Transfusion of blood products in trauma: an update
US20240173351A1 (en) Plasma compositions and methods of use thereof
US10357512B2 (en) Method for preparing universal plasma
Jenkins et al. THOR position paper on remote damage control resuscitation: definitions, current practice and knowledge gaps
Greening et al. International blood collection and storage: clinical use of blood products
JP2011515170A (ja) 溶媒/界面活性剤処理による生体液のウイルス不活化方法
Sheffield et al. Stability of thawed apheresis fresh-frozen plasma stored for up to 120 hours at 1 C to 6 C
Romphruk et al. Preparation of single donor platelet with low antibody titers for all patients
Gammon et al. Hemolysis during leukocyte-reduction filtration of stored red blood cells
Ferrer et al. Evaluation of pooled platelet concentrates using prestorage versus poststorage WBC reduction: impact of filtration timing
Knowles Transfusion products
Apelseth et al. Plasma and cryoprecipitate for transfusion
Harmening et al. Red Blood Cell, and Platelet Preservation: Historical Perspective, Review of Metabolism and Current Trends
CR et al. The therapeutic effectiveness and safety of universal donor group O frozen RBC, group O frozen platelets, and group AB frozen plasma to treat patients with nonsurgical blood loss
Kassner Blood transfusion therapy
CN115666647A (zh) 用恢复期血浆/血清进行病毒感染治疗
Nixon Blood Transfusion Therapy
Hymes Blood Replacement
EA045773B1 (ru) Применение композиции патоген-инактивированного криопреципитата для инфузии пациенту

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140804

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150713

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20151013

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160314

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160413

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5922122

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250