JP2013529693A - グラフトされた光開始剤から誘導される親水性ゲル - Google Patents

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Abstract

本発明は、ゲルの製造方法において、下記の一般式(I)、ポリマー−[CR2−CHR−スペーサ(PI)nm(I)を有するポリマー光開始剤を含むマトリックス組成物を提供するステップと;マトリックス組成物を紫外線に曝露することによって硬化させるステップと;マトリックス組成物を膨潤媒体に曝露するステップと、を含む方法を提供する。本発明は同様に、上記方法を介して得ることのできるゲルにも関する。本発明は、式(I)のポリマー光開始剤から製造される親水性ゲル前駆体を提供する。本発明のゲルおよび親水性ゲル前駆体を含む医療装置が提供されている。本発明は同様に、ゲルの製造におけるポリマー光開始剤の使用をも提供する。

Description

本発明は、親水性ゲル前駆体およびゲルの製造方法に関する。本発明は同様に、上記方法を用いて得ることのできるゲルおよび親水性ゲル前駆体、ならびにゲルおよび親水性ゲル前駆体を含む医療装置にも関する。本発明は同様に、ゲルの製造におけるポリマー光開始剤の使用をも提供する。
紫外(UV)線を通してコーティングを硬化させそれにより結果としてゲル(例えばヒドロゲル)として使用するためのコーティングを得るためには、硬化プロセスを担う化学反応を開始させる効率の良い方法が必要とされる。医療装置コーティング向けのヒドロゲルを生産するためには、UV光の照射時点でのラジカル種の生成を通してポリマー材料を架橋させることが広く用いられている。UV照射で硬化されるポリビニルピロリドンおよび光開始剤を主成分とするコーティング組成物がヒドロゲルの生産に使用されることが多い。これらのプロセスにおいて使用される光開始剤は、オリゴマーまたはポリマー光開始剤のいずれかであり得る。オリゴマー光開始剤は、部分的に自由に硬化済み材料の表面まで拡散でき、こうしてこれらの物質を環境に曝露された状態にする。
欧州特許第2060589号明細書は、Si−H官能性アリールケトンにおいて、光開始剤部分を含むアリールケトンについて開示している。
米国特許第4,477,326号明細書は、オルガノシランポリマーを含むポリマー光開始剤に関する。
本発明の目的は、親水性ゲル前駆体およびゲルの製造方法、ならびにこれらの方法から結果として得られる親水性ゲル前駆体およびゲルを提供することにある。
広義の態様において、本発明は、親水性ゲルの製造方法において、
a.下記の一般式I、
ポリマー−[CR2−CHR−スペーサ(PI)nm (I)
を有するポリマー光開始剤を含むマトリックス組成物を提供するステップと;
b.ステップa.で得られたマトリックス組成物を、紫外線に曝露することによって硬化させるステップと;
c.マトリックス組成物を膨潤媒体に曝露するステップと、
を含む方法に関する。
ステップb.とc.は、任意の順序で行なわれてよい。上述の式(I)を有するポリマー光開始剤において、mは1〜5000の整数であり;nは0超5未満の実数であり;PIは光開始剤部分であり;各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基である。
本発明は同様に、ゲルの製造方法において、
a.下記の一般式I、
ポリマー−[CR2−CHR−スペーサ(PI)nm (I)
(式中、
− mは1〜5000の整数であり;
− nは0超5未満の実数であり;
− PIは光開始剤部分であり;
− ポリマーは、ポリアクリレート、ポリアルキルエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルピロリドンおよびそのコポリマーおよび配合物からなる群から選択され;
− ここで各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基である)
を有するポリマー光開始剤を含むマトリックス組成物を提供するステップと;
b.ステップa.で得られたマトリックス組成物を、紫外線に曝露することによって硬化させるステップと;
c.マトリックス組成物を膨潤媒体に曝露して、親水性ゲルを提供するステップと、
を含み、ステップc.がステップb.の前に行なわれても後に行なわれてもよい方法にも関する。
本発明は同様に、ゲルの製造方法において、
a.下記の一般式I、
ポリマー−[CR2−CHR−スペーサ(PI)nm (I)
(式中、
− mは1〜5000の整数であり;
− nは0超5未満の実数であり;
− PIは光開始剤部分であり;
− ポリマーは、ポリアクリレート、ポリアルキルエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルピロリドンおよびそのコポリマーおよび配合物からなる群から選択され;
− ここで各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基である)
を有するポリマー光開始剤を含むマトリックス組成物を提供するステップと;
b.ステップa.で得られたマトリックス組成物を、紫外線に曝露することによって硬化させるステップと;
c.マトリックス組成物を膨潤媒体に曝露して、親水性ゲルを提供するステップと、
を含み、ステップc.がステップb.の前に行なわれても後に行なわれてもよい方法も提供している。
上述の式(I)の一般的範囲内に入るいくつかの光開始剤、例えば下記一般式II、IIa、IIb、III、IVおよびVのものを、本発明の方法において使用する場合がある。
ポリマー−[CR2−CHR−C(=O)−スペーサ(PI)nm (II)
ポリマー−[CR2−CHR−C(=O)−O−スペーサ(PI)nm (IIa)
ポリマー−[CR2−CHR−C(=O)−NH−スペーサ(PI)nm (IIb)
ポリマー−[CR2−CHR−O−スペーサ(PI)nm (III)
ポリマー−[CR2−CHR−NR1−スペーサ(PI)nm (IV)
ポリマー−[CR2−CHR−Ph−スペーサ(PI)nm (V)
上述の式において、mは1〜5000の整数であり;nは0超5未満の実数であり;Phは、任意選択的に置換されたフェニル基であり;各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基であり;R1は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CNおよびハロゲンから選択される置換基であり;PIは光開始剤部分である。
マトリックス組成物は、追加で1つ以上の親水性ゲル形成ポリマーおよび/または親水性ゲル形成モノマーを含んでいてよい。マトリックス組成物は代替的には、一般式Iのポリマー光開始剤で構成されていてよい。
膨潤媒体が水である場合、ヒドロゲルが得られる。
別の実施形態において、本発明は、親水性ゲル前駆体の製造方法において、
a.下記の一般式I、
ポリマー−[CR2−CHR−スペーサ(PI)nm (I)
(式中、
− mは1〜5000の整数であり;
− nは0超5未満の実数であり;
− PIは光開始剤部分であり;
− ポリマーは、ポリアクリレート、ポリアルキルエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルピロリドンおよびそのコポリマーおよび配合物からなる群から選択され;
− ここで各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基である)
を有するポリマー光開始剤からなるマトリックス組成物を提供するステップと;
b.ステップa.で得られたマトリックス組成物を、紫外線に曝露することによって硬化させるステップとを含む方法を提供する。
本発明は、このようにして得られた親水性ゲル前駆体に関する。
本発明は同様に、本発明の方法を介して得ることのできるゲルにも関する。光開始剤は、硬化後マトリックス組成物内で結合された状態にとどまることから、これらのゲルは、その化学的組成の分析を通して公知のゲルと区別することができる。
本発明のゲルまたは親水性ゲル前駆体を含む医療装置も提供されている。
さらに、本発明は、ゲルの製造における一般式I、II、IIa、IIb、III、IVまたはVの光開始剤の使用を提供している。
本発明のさらなる詳細は、以下の説明および従属クレーム内で提供されている。
光開始剤部分がポリマー主鎖上に懸垂している状態の、ポリマー光開始剤の一般的モチーフを示す。 本発明の方法の概略図である。
定義
「任意に置換された」とは、C1−C25直鎖、分岐または環状アルキル、アリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、スルホンおよびその誘導体、スルホン酸およびその誘導体、スルホキシドおよびその誘導体、カルボネート、イソシアネート、ニトレート、アクリレートからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていることを意味する。好ましくは、1つ以上の置換基は、OH、−CN、ハロゲン、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、スルホンおよびその誘導体、スルホン酸およびその誘導体、スルホキシドおよびその誘導体、カルボネート、イソシアネート、ニトレート、アクリレートからなる群から選択される。最も好ましくは、置換基は、−OH、−CN、ハロゲン、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、スルホンおよびその誘導体、スルホン酸およびその誘導体、およびスルホキシドおよびその誘導体からなる群から選択される。
親水性
材料は、それが水に対する天然の親和力を有する場合、親水性であるものとして記載される。親水性材料は、前進接触角測定を用いて測定された場合90°未満、好ましくは80°未満、より好ましくは75°未満そして最も好ましくは50°未満(ASTMD7334−08参照)の水との接触角を有するものとして定義される。要するに、表面上の水滴の前進接触角の測定方法は、皮下注射器を用いて0.1μL以内にサイズが制御された水滴(約5〜20μL)を被着させることによって行なわれる。このとき、ゴニオメータは、滴の2つの接点各々の内角を決定できるように調整される。供試体上の3つの滴の2回の角度測定(各滴縁部上で1回ずつ)が決定され、供試体についての接触角はこれら6回の角度測定の平均である。
親水性ポリマーは、酸素と窒素などの高い電気陰性値を有する原子を含む確率が高い。以上の定義にしたがって親水性である材料は、同様に、短鎖(例えばC1−C8)アルコールおよびグリセロールに対する親和力も有する。親水性ポリマーの具体例は、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、アミン官能性ポリマー、例えばポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリアルキルエーテルスルホネート、およびポリビニルアルコールである。
親水性ゲル
ゲルは、マイクロメーター以下の寸法の細孔と平均長が1マイクロメーターより大きいポリマー鎖を伴う相互連結された剛性網状組織である。「ゲル」という用語は、Flory、P.J.Principles of Polymer Chemistry;Cornell University Press:Ithaca、NY、1953;Chapter IX中で詳述されている。
ゲルの定義は、Polymer Gels and Networks、1(1993)、5−17:の中で提供されている。それによると、ゲルとは、実質的な数量で存在する、1つが液体である2つ以上の構成成分の軟質の固体または固体様の材料である。固体様のゲルは、平衡弾性率の欠如、少なくともおおよそ秒単位の時間まで及ぶ顕著な平坦部を示す貯蔵弾性率G’(ω)、そして平坦部領域内の貯蔵弾性率よりも著しく小さい損失弾性率G’’(ω)を特徴とする。
ポリマーマトリックスを架橋する上での光開始剤の効率を特徴づけるために、液体材料から固体材料への遷移は重要である。液体は、G’’(ω)>G’(ω)を有することを特徴とし、固体はG’’(ω)<G’(ω)を特徴とする。多くの場合ゲル点と呼ばれる液体から固体への遷移は、G’’(ω)=G’(ω)となる時点として定義される。硬化プロセスの開始からG’’(ω)=G’’(ω)またはtanδ=1となる時点までの時間として定義される硬化時間は、特定のマトリックス組成物における光開始剤の効率の特徴的尺度である。
発明の具体的実施形態
本発明は、親水性ゲルを含めたゲル、親水性ゲル前駆体、およびそれらの製造方法を提供する。
図2に一般的に示されているように、本発明は、親水性ゲルの製造方法において、
a.下記の一般式I、
ポリマー−[CR2−CHR−スペーサ(PI)nm (I)
を有するポリマー光開始剤を含むマトリックス組成物を提供するステップと;
b.ステップa.で得られたマトリックス組成物を、紫外線に曝露することによって硬化させるステップと;
c.マトリックス組成物を膨潤媒体に曝露して、親水性ゲルを提供するステップと、
を含み、ステップc.がステップb.の前に行なわれても後に行なわれてもよい方法を提供している。
光開始剤は硬化後マトリックス組成物内で結合されていることから、低分子量の光開始剤が硬化済み材料の表面から浸出する確率は低減される。
各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基である。好ましくは、Rは、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキルから選択され、好ましくは水素である。
好適には、ポリマーは熱可塑性である。好適には、ポリマーは、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアルキルオキシド、ポリジアルキルシロキサンまたはこれらのポリマーのブロックまたは繰り返し単位を含むさまざまなコポリマーからなる群から選択される。好ましくは、ポリマーは、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアルキルオキシドおよびポリジアルキルシロキサンからなる群から選択される。最も好ましくは、ポリマーは、ポリオレフィンまたはポリアルキルオキシド、好ましくはポリアルキルオキシドである。ポリマーは、好適には、50〜500,000Daの範囲内の分子量を有する。
スペーサは、好適には、単結合、C1−C25直鎖アルキレン、C3−C25分岐アルキレン、C3−C25シクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アミン、アミド、アルコール、エーテル、エステル、チオエーテル、スルホンおよびその誘導体、スルホン酸エステルおよびその誘導体、スルホキシドおよびその誘導体およびカルボネート、ケトンおよびエステルからなる群から選択される。好ましくは、スペーサは、C1−C25直鎖アルキレン、C3−C25分岐アルキレン、C3−C25シクロアルキレンおよびエステルからなる群から選択される。
スペーサは、ポリマー実体であってよい。スペーサは、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルオキシドまたは上述のポリマーのブロックまたは繰り返し単位を含むさまざまなコポリマーからなる群から選択されてよい。ポリマーである場合、スペーサは、50〜500,000Daの範囲内の分子量を有し得る。
式(I)において、PIは光開始剤部分である。
式(I)のポリマー光開始剤において、mは1〜5000、好ましくは1〜3000、より好ましくは1〜1000の整数である。nは0超5未満の実数である。
指数nは統計的平均であり、mはポリマー主鎖に付着された部分を含む光開始剤の総数である。したがって、合計(n×m)個の光開始剤部分がポリマー光開始剤中に存在する。命名の一例がスキーム1に記されている。
Figure 2013529693
スキーム1:指数の統計的意味を示す、ポリマータイプの光開始剤の例。したがって、合計式はC2040−(CH2−CH2−CO(PhCOPh))2となる。
本発明においては、Mw(重量平均分子量)が、ポリマー光開始剤を特徴づけするために使用されている。ポリマー光開始剤の効率は、とりわけ、光開始剤がゲル形成ポリマーまたはモノマーとどれだけ良好に配合されるかに関係している。この点に際して重要なパラメータに入るのは光開始剤の分子量である。過度に高い分子量は、マトリックス組成物の他の構成成分とポリマー光開始剤との間の優れた混和性を可能にしない。本発明にとって重要なのは、2成分系を考慮した場合、マトリックス組成物中の他の構成成分とポリマー光開始剤の混和性である。詳細には、ポリマー光開始剤とゲル形成ポリマーの化学的性質および分子量が著しく異なる場合、混和性は低くなり、このことが今度は、硬化の困難なマトリックス組成物を結果としてもたらす。
部分構造
本発明は、上述の式(I)の範囲内に入る部分構造を有するポリマー光開始剤を提供する。
ポリマー光開始剤は、下記の一般式II、
ポリマー−[CR2−CHR−C(=O)−スペーサ(PI)nm (II)
を有していてよく、式中、
− mは1〜5000の整数であり;
− nは0超5未満の実数であり;
− 各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基であり;
− PIは光開始剤部分である。
ポリマー光開始剤のための別の部分構造は、下記の一般式IIa、
ポリマー−[CR2−CHR−C(=O)−O−スペーサ(PI)nm (IIa)
を有し、式中、
− mは1〜5000の整数であり;
− nは0超5未満の実数であり;
− 各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基であり;
− PIが光開始剤部分である。
ポリマー光開始剤のためのさらなる部分構造は、下記の一般式IIb、
ポリマー−[CR2−CHR−C(=O)−NH−スペーサ(PI)nm (IIb)
を有し、式中、
− mは1〜5000の整数であり;
− nは0超5未満の実数であり;
− 各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基であり;
− PIは光開始剤部分である。
ポリマー光開始剤は、下記の一般式III、
ポリマー−[CR2−CHR−O−スペーサ(PI)nm (III)
を有していてよく、式中、
− mは1〜5000の整数であり;
− nは0超5未満の実数であり;
− 各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基であり;
− PIは光開始剤部分である。
ポリマー光開始剤は同様に、下記の一般式IV、
ポリマー−[CR2−CHR−NR1−スペーサ(PI)nm (IV)
も有していてよく、式中、
− mは1〜5000の整数であり;
− nは0超5未満の実数であり;
− 各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基であり;
− R1は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CNおよびハロゲンから選択される置換基であり;
− PIは光開始剤部分である。
ポリマー光開始剤は、下記の一般式V、
ポリマー−[CR2−CHR−Ph−スペーサ(PI)nm (V)
を有していてよく、式中、
− mは1〜5000の整数であり;
− nは0超5未満の実数であり;
− Phは、任意選択的に置換されたフェニル基であり;
− 各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基であり;
− PIは、光開始剤部分である。
部分構造(V)によると、Ph基は、独立して、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される1つ以上の置換基で置換されている。好適には、フェニル基は未置換である。
一般式II、IIa、IIb、III、IVおよびVの上記部分構造のうち、式II(IIaとIIbを含む)の部分構造が好ましい。これは、カルボニル基と共役されたアルケンが、グラフトプロセスにおいてさらに反応性が高いからである。一般式IIaの部分構造は、アクリレート系マトリックス組成物との相溶性という追加の利点を有することから、最も好ましい。
光開始剤および光開始剤部分
以上で記されているように、PIは光開始剤部分である。本発明において、光開始剤は、光を吸収した時点で反応種(イオンまたはラジカル)を生成し1つまたは複数の化学反応または変換を開始させる部分として定義される。光開始剤の1つの好ましい特性は、UV光源スペクトルと光開始剤吸収スペクトルの間の良好な重複にある。別の所望される特性は、マトリックス内の他の構成成分の固有の組合せ吸収スペクトルと光開始剤の吸収スペクトルの間にわずかしかまたは全く重複がないという点にある。
好適には、光開始剤部分は、ポリマー上に懸垂している。このことはすなわち、それらがポリマー末端以外の点でポリマーに付着されることを意味している。このような配置は、式Iの光開始剤を合成するために使用される方法によって、容易に達成される。mが1より大きい場合、−[CR2−CHR−スペーサ(PI)nm単位は好ましくはポリマーに沿って均等に間隔どりされる。
本発明の光開始剤部分は、独立して開裂可能(ノリッシュI型)または開裂不能(ノリッシュII型)であってよい。好適には、本発明の光開始剤部分は全て開裂不能(ノリッシュII型)である。参考として、例えばA.Gilbert、J.Baggott:「Essentials of Molecular Photochemistry」、Blackwell、London、1991)を参照のこと。励起時点で、開裂可能な光開始剤部分は、2つのラジカルへと自然発生的に分解し、そのうち1つのラジカルは、大部分の基質から水素原子を引抜くのに充分な反応性を有する。ベンゾインエーテル(ベンジルジアルキルケタールを含む)、フェニルヒドロキシアルキルケトンおよびフェニルアミノアルキルケトンが、開裂可能な光開始剤部分の重要な例である。開裂不能な光開始剤部分は励起時点で分解せず、こうして、マトリックス組成物から小分子が浸出する可能性を少なくする。本発明の光開始剤部分は、UVまたは可視光源からの光を、ポリマーから水素原子および他の不安定な原子を引抜きひいては共有結合架橋をもたらすことのできる反応性ラジカルへと変換させる上で効率が高い。任意には、アミン、チオールおよび他の電子供与体を、ポリマー光開始剤に共有結合により連結させるかまたは別個に付加するか、またはその両方を行なうことができる。電子供与体の付加は必要というわけではないが、以下で開裂不能な光開始剤について記述するものと類似の機序によって開裂可能な光開始剤の全体的効率を増強させ得る。
励起された開裂不能の光開始剤は、励起時点でラジカルへと分解しないが、有機分子から水素原子を引抜くかまたはより効率的に電子供与体(例えばアミンまたはチオール)から電子を引抜く。電子移動は、光開始剤上でラジカルアニオンをそして電子供与体上でラジカルカチオンを生成する。これに続いてラジカルカチオンからラジカルアニオンへの陽子移動が起こり、2つの非電荷ラジカルが生成され、これらのうち電子供与体上のラジカルは、大部分の基質から水素を引抜くのに充分な反応性を有する。ベンゾフェノンおよびそれに関連するケトン、例えばチオキサントン、キサントン、アントラキノン、フルオレノン、ジベンゾスベロン、ベンジルおよびフェニルケトクマリンが、開裂不能な光開始剤の重要な例である。窒素原子に対するα位でのC−H結合を伴う大部分のアミンおよび数多くのチオールが電子供与体として働く。本発明の光開始剤部分は好ましくは開裂不能である。
自己開始型光開始剤部分は、本発明の範囲内に入る。UVまたは可視光励起の時点で、このような光開始剤は、主にノリッシュI型の機序により開裂し、いかなる従来の光開始剤も存在することなくさらに架橋して、厚い層を硬化させることができる。近年、β−ケトエステル系の光開始剤の新しい部類が、M.L Gould、S.Narayan−Sarathy、T.E.HammondおよびR.B.Fechter(Ashland Specialty Chemical、USA(2005)所属):「Novel Self−Initiating UV−Curable Resins:Generation Three」、Proceedings from RadTech Europe 05、Barcelona、Spain、October 18−20 2005、vol.1、p.245−251、Vincentz、により紹介されている。多官能性アクリレートに対するエステルの塩基触媒型マイケル付加の後、各々2つの隣接カルボニル基を伴う数多くの第4級炭素原子を用いて、網状組織が形成される。
マレイミドベースの別の自己開始型系も、両方とも米国にあるAlbemarle CorporationおよびBrady Associates LLCに所属する、C.K.Nguyen、W.KuangおよびC.A.Brady(2003):「Maleimide Reactive Oligomers」、Proceedings from RadTech Europe 03、Berlin、Germany、November 3−5、2003、vol.1、p.589−94、Vincentz、により同定された。マレイミドは、主として開裂不能光開始剤として作用することによってラジカル重合を開始させ、同時にマレイミド2重結合を横断するラジカル付加により自然発生的に重合する。さらに、マレイミドの強いUV吸収はポリマー中で消滅する。すなわちマレイミドは、光退色性光開始剤である。このことにより、厚い層の硬化が可能になる。
したがって、本発明の一実施形態において、光開始剤部分は少なくとも2つの異なるタイプの光開始剤部分を含む。好ましくは、異なる光開始剤の吸光ピークは、異なる波長にあり、したがって系が吸収する光の総量は増大する。異なる光開始剤は全て開裂可能、全て開裂不能あるいは開裂可能と開裂不能の混合であってよい。複数の光開始剤部分の配合物は、例えばJ.P.Fouassier:「Excited−State Reactivity in Radical Polymerization Photoinitiators」、Ch.1、pp.1−61、「Radiation curing in Polymer Science and technology」、Vol.II(「Photo−initiating Systems」)、J.P.FouassierおよびJ.F.Rabek編、Elsevier、London、1993中に記載されている通り、相乗特性を示し得る。簡単に言うと、[4,4’−ビス(ジメチル−アミノ)ベンゾフェノン+ベンゾフェノン]、[ベンゾフェノン+2,4,6−トリメチルベンゾフェノン]、[チオキサントン+メチルチオフェニルモルホリノアルキルケトン]の対内で1つの光開始剤部分からもう一つの光開始剤部分まで、効率の良いエネルギー伝達または電子移動が起こる。
さらに、最近になって、商標名Irgacure2959で市販されている共有結合により連結された2−ヒドロキシ−1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、および分子4−(4−ベンゾイルフェノキシエトキシ)フェニル2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン中のベンゾフェノンが、2つの別個の化合物の単純な混合物に比べて著しく高いラジカル重合開始効率を提供することが見出された。S.KopeinigおよびR.Liska(Vienna University of Technology、Austria(2005)所属):「Further Covalently Bonded Photoinitiators」、Proceedings from RadTech Europe 05、Barcelona、Spain、October 18−20 2005、vol.2、p.375−81、Vincentzを参照のこと。このことは、異なる光開始剤部分が、同じオリゴマーまたはポリマー内に存在する場合、有意な相乗効果を示し得ることを示している。
上述のタイプの光開始剤および光開始剤部分の各々そして全てが、本発明のポリマー光開始剤内で光開始剤部分として使用されてよい。
本発明によると、光開始剤部分は、独立して、ベンゾインエーテル、フェニルヒドロキシアルキルケトン、フェニルアミノアルキルケトン、ベンゾフェノン、チオキサントン、キサントン、アクリドン、アントラキノン、フルオレノン、ジベンゾスベロン、ベンジル、ベンジルケタール、α−ジアルコキシ−アセトフェノン、α−ヒドロキシ−アルキル−フェノン、α−アミノ−アルキル−フェノン、アシル−ホスフィンオキシド、フェニルケトクマリン、シラン、マレイミドおよびその誘導体からなる群から選択される。好適には、光開始剤部分は、任意選択的に置換されたベンゾフェノンまたはチオキサントンである。ベンゾフェノンまたはチオキサントンは、上述のRのように定義された1つ以上の部分で「任意選択的に置換され」ていてよい。
本発明のポリマー光開始剤
本発明のポリマー光開始剤は、光開始剤部分をポリマー主鎖上にグラフトすることにより合成可能である。
グラフトプロセスは、X−H結合を有するポリマーと少なくとも1つの活性化されたアルケン官能基を含む光開始剤部分(PI)から開始する。ポリマー内のX−H結合のラジカル付加は、光開始剤部分上に存在する活性化アルケン官能基のC=C二重結合を横断して発生する。X−Hは、典型的にはC−HまたはN−Hであるラジカルを形成することのできるポリマー中に存在する単結合である。この理由から、グラフトされた生成物中では水素原子Hが、−CHR−という式を有するポリマー由来の第2の炭素原子上につねに存在する。
単純さを期して、各々の光開始剤部分PIは好適には、1つのPI部分あたり1個の活性化アルケン官能基を含む。
「活性化アルケン」とは、水素原子(H−)で置換されたアルケンと比較した場合、(その置換基を介して)ラジカル付加反応に対する反応性が増大したアルケンを意味する。アルケン上の置換基は、電子吸引または電子供与置換基として作用して、活性化アルケンの電子密度分布を変更し得る。アルケンからの電子求引または供与はn結合(すなわち電子の非局在化)またはσ結合を介するものであってよい。
好適には、活性化アルケン官能基は、アクリレート、ビニルエーテル、ビニルアミン、アクリルアミドおよびスチレン官能基からなる群から選択される。好ましくは、活性化アルケン官能基は、アクリレート、ビニルエーテル、ビニルアミンおよびスチレン官能基からなる群から選択される。最も好ましくは、活性化アルケンはアクリレートである。
以上で記述した本発明の方法は、一般式I、II、IIa、IIb、III、IVまたはVのものなどの、さまざまなポリマー光開始剤の生産を可能にする。
一態様において、活性化アルケンは、アクリレート官能基である。「アクリレート官能基」とは、官能基C=C−C(=O)−を意味する。換言すると、式(I)のポリマー光開始剤の合成が由来するエチレン官能基を含む光開始剤部分(PI)は、官能基CR2=CR−C(=O)−を含む。これらの光開始剤部分とポリマーのグラフト反応の生成物は、下記の一般式II、
ポリマー−[CR2−CHR−C(=O)−スペーサ(PI)nm (II)
を有する。
グラフト中、アクリレート官能基は、式(II)中のCR2−CHR部分に転換される。
好適には、アクリレート官能基はアクリレートエステルであり、その場合、式II中の−[CR2−CHR−C(=O)−スペーサ(PI)nm単位は、CR2−CHR−C(=O)−O−部分を含む(すなわち、スペーサ基は、カルボニル(C=O)部分に隣接して酸素原子Oを含む)。光開始剤のこのような部分クラスは、下記一般式IIa:
ポリマー−[CR2−CHR−C(=O)−O−スペーサ(PI)nm (IIa)
を有する。
この式は、スキーム2において実証されている。
Figure 2013529693
スキーム2:ポリエチレンオキシド上への4−ベンゾイルフェニルアクリレートのグラフト
さらに、アクリレート官能基はアクリルアミドであってよく、その場合、式II中の−[CR2−CHR−C(=O)−スペーサ(PI)nm単位は、CR2−CHR−C(=O)−NH−部分を含む(すなわち、スペーサ基は、カルボニル(C=O)部分に隣接して窒素原子Nを含む)。光開始剤のこのような部分クラスは、下記一般式IIa:
ポリマー−[CR2−CHR−C(=O)−NH−スペーサ(PI)nm (IIb)
を有する。
この式は、スキーム3において実証されている。
Figure 2013529693
スキーム3:ポリエチレンオキシド上へのN−(4−ベンゾイルフェニル)アクリルアミドのグラフト
さらに、スペーサ部分が芳香族環、好ましくは任意選択的に置換されたフェニル環をカルボニル(C=O)部分に隣接して含む、一般式IIの光開始剤が好ましい。
本発明の光開始剤部分(PI)は、モノ、ジまたはトリ−アクリレート(すなわちそれぞれ1つ、2つまたは3つのC=C−C(=O)−部分を含む)であってよい。好ましくは、光開始剤部分(PI)モノマーは、モノアクリレートである。
別の態様において、活性化アルケン官能基はビニルエーテル官能基である。「ビニルエーテル官能基」とは、官能基CR2=CR−O−を意味する。これは、下記一般式III、
ポリマー−[CR2−CHR−O−スペーサ(PI)nm (III)
を有する光開始剤を提供する。
この式は、スキーム4において実証されている。
Figure 2013529693
スキーム4:ポリエチレンオキシド上へのフェニル(4−(ビニルオキシ)フェニル)メタノンのグラフト
さらなる態様において、活性化アルケン官能基はビニルアミド官能基、すなわち官能基CR2=CR−NR1−である。これは、一般式IV、
ポリマー−[CR2−CHR−NR1−スペーサ(PI)nm (IV)
を有する光開始剤を提供する。
この式は、スキーム5において実証されている。
Figure 2013529693
スキーム5:ポリエチレンオキシド上へのフェニル(4−(ビニルアミノ)フェニル)メタノンのグラフト
さらなる態様において、活性化アルケン官能基はスチレン基、すなわち官能基CR2=CR−Ph−である。こうして、一般式IV、
ポリマー−[CR2−CHR−Ph−スペーサ(PI)nm (V)
を有する光開始剤が提供される。
この式は、スキーム6において実証されている。
Figure 2013529693
スキーム6:ポリエチレンオキシド上へのフェニル(4−ビニルフェニル)メタノンのグラフト
上述の構造I、II、IIa、IIb、III、IVおよびVの全てにおいて、Rは、独立して、水素、C1−C25線形アルキル、C3−C25分岐アルキルおよびC3−C25シクロアルキルから選択されてよい。
好ましくは、構造I、II、IIa、IIb、III、IVおよびVの全てにおいて、全てのR基は水素である。R基は「独立して選択される」という点において、それらはあらゆる場合において同じかまたは異なるものであってよく、好ましくは同じである。
ポリマー光開始剤は、反応性コンパウンディングとして公知のプロセスにおいて押出機を反応装置として用いて合成可能であり、これはポリオレフィン上にビニルシランがグラフトされるプロセスにおいて周知の技術である。光開始剤部分は、ラジカル開始剤との反応を通してポリマー主鎖上に生成されるラジカル開始剤と反応できる活性化アルケン官能基を有する。したがって、ポリマー上への光開始剤部分(PI)のグラフトはラジカル開始剤によって促進され得る。
これは、スキーム7において実証されており、ここではベンゾイルペルオキシドがラジカル開始剤として使用されている。全てのプロセスは、押出機内で行なわれる。
Figure 2013529693
スキーム7:ラジカル開始剤としてベンゾイルペルオキシドを用いた、ポリエチレン上への3−アクリロイル−9H−チオキサンテン−9−オンのグラフト
ラジカル開始剤を使用する代りに、押出加工中に存在するせん断力が鎖切断をひき起こして、活性化アルケン含有光開始剤部分と反応できるフリーラジカルを残すのに充分なものであるよう企図することが可能である。当業者であれば、押出機のスクリュー設計を調整し、必要に応じて押出加工プロセスのためのプロセスパラメータを最適化することができる。したがって、ポリマー上への光開始剤部分(PI)のグラフトが押出機内で行なわれる本発明に係る方法が提供される。
いくつかの報告書が、反応押出/コンパウンディングを用いるポリエチレン上へのアクリレートのグラフトについて詳述しており、例えばK.E.Oliphant、K.E.Russel、W.E.Baker Polymer、36(1995)、1597−1603では、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートのグラフトが記述されている。プロセス中では、ラジカル開始剤1,1−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが使用された。
同様に、Y.M.Krivoguz、S.S.Pesetskii、B.Jurkowski、T.Tomczyk J.Appl.Polym.Sci.、102(2006)、1746−1754は、同じくコンパウンディングステップ内でラジカル開始剤としてペルオキシドを用いたポリプロピレンおよびポリエチレン上へのイタコン酸のグラフト方法について記述している。
出発材料として活性化アルケンを用いたポリマー材料上への光開始剤のグラフト作業は、以下のような利点を提供する:(a)活性化アルケン(例えばアクリレート)で置換された光開始剤は、1−(4−ベンゾイルフェニル)プロプ−2−エン−1−オン(Chemos GmbHより入手)などのように容易に利用可能である。(b)出発材料の形での残留活性化アルケンまたは活性化アルケンとそれ自体との反応から得られる純粋ポリマーは、典型的に、例えばポリオレフィングラフトされた光開始剤に比べてさらに溶解度が高い。これにより、グラフトされた光開始剤の精製が容易になる。
本発明の範囲内に入る一例が、スキーム8に示されており、ここではポリエチレン上に1−(4−ベンゾイルフェニル)プロプ−2−エン−1−オンがグラフトされる。
Figure 2013529693
スキーム8:ポリマー光開始剤を形成するための1−(4−ベンゾイルフェニル)プロプ−2−エン−1−オンとポリエチレンの処理
ラジカル開始剤は、例えば2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン(商標名L−101、Elf−Atokem France製)であり得ると考えられる。他の好適な開始剤は、ジクミルペルオキシド(商標名DCP、AO Kazanorgsintez製)、2,2−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)−5,5,6−トリメチルビスシクロ−[2,2,1]−ヘプタン(商標名D−1、Chemico−Technological Center of Belarus、Academy of Sciences製)、2,2−ジ(3−メチル−1−ブチン−3−ペルオキシ)−5,5,6−トリメチルビスシクロ[2,2,1]ヘプタン(商標名D2、Chemico−Technological Center of Belarus、Academy of Sciences製)または2,5−ジメチル−2−ヒドロキシ5−tert−ブチルペルオキシ−3−ヘキシン(商標名OP−2、Chemico−Technological Center of Belarus、Academy of Sciences製)、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルα−クミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−アミルペルオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシンであり得ると考えられる。
先行の研究作業((Y.−J.Sun、G.−H.Hu、M.Lambla Angew.Makrom.Chem.3982(1995)、1−13))では、詳細にはポリプロピレンが、アクリレート、例えばグリシジルメタクリレートで装飾される場合に、スチレンの添加がグラフト効果の増大を促すということが記述されている。
特に重要であるのは、4−アクリロイルベンゾフェノンがラジカル開始剤を用いてPEO鎖上にグラフトされる、スキーム9で実証されているポリエチレンオキシド上へのグラフトである。
Figure 2013529693
スキーム9:PEO上への4−アクリロイルベンゾフェノンのグラフト
スキーム9に描かれた反応に適したラジカル開始剤は、例えば、以上で列挙された開始剤から選択可能である。
マトリックス組成物
式(I)のポリマー光開始剤は、マトリックス組成物中の1つ以上のゲル形成ポリマーおよび/またはゲル形成モノマーと組合わされる。ゲル形成ポリマーは、(その親水性に起因して)ポリマー構造内部に水などの膨潤媒体を保持し、マトリックス組成物がひとたび硬化された時点で親水性ゲルが形成され得るようにするポリマーである。
詳細には、ゲル形成ポリマーは、ヒドロゲル形成ポリマーであってよい。ヒドロゲル形成ポリマーは、ポリアクリレート、ポリアルキルエーテル、例えばポリエチレンオキシド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルピロリドンおよびそれらのコポリマーおよび配合物を含む群から選択される。好ましくは、ヒドロゲル形成ポリマーは、ポリアルキルエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアセテートからなる群から選択される。
ゲル形成モノマーは、重合された時点でゲル形成ポリマーを生成するモノマーである。ヒドロゲル形成モノマーは、以上で明記された親水性ポリマーを生成するものである。好適なヒドロゲル形成モノマーは、アクリレートモノマー、N−ビニルピロリドンおよびエポキシドモノマーおよび、例えば2つ以上のヒドロキシルおよび/またはアミノ官能基を伴うモノマー例えばジエタノールおよびアミノエタノールからなる群から選択されてよい。
硬化ステップの後ゲルを提供するために、架橋と併せてモノマー実体の重合が発生する。硬化ステップの後、架橋された組成物は次に、水、C1−C5アルコール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)、好ましくはPEG−2000などの膨潤媒体を用いて膨潤させられる。
マトリックス組成物中に考えられる他の構成成分としては、BHT(2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール)、Irganox1010(Ciba製)および類似の構造物などの酸化防止剤が含まれる。治療用添加剤も同様に、マトリックス組成物中の考えられる構成成分である。このような追加の構成成分がマトリックス組成物中に存在する場合、これらは、マトリックス組成物の形成時に、硬化前の任意の時点で、または膨潤媒体の一構成成分として直接添加されてよい。最後のケースが最も好ましい。
硬化
本発明のマトリックス組成物は、それを紫外線に曝露することで硬化される。
硬化は、溶融状態かまたは溶液の形のいずれかで発生し得る。後者には、マトリックス組成物が適切な溶媒中で溶解され、例えば管上にスプレーコーティングされ、その後紫外線に曝露されるステップが含まれる。溶媒はその後蒸発させられるかまたはコーティング内にとどまり膨潤媒体として機能して所望のゲルを提供することができる。
紫外線スペクトルは、A、BおよびCセグメントに分割され、ここでUVAは400nmから315nmまで、UVBは315から280nmまで、そしてUVCは280から100nmまで広がる。可視光領域(400〜800nm)内の波長をもつ光を生成する光源を使用することによって、光開始剤がこれらの波長で材料を良好に硬化できることを条件として、硬化の深さに関する幾分かの利点が得られる。詳細には、波長が長くなると散乱現象はさほど顕著ではなくなり、こうして材料中へのより大きい侵入深さを提供する。したがって、より長い波長で吸収し硬化を誘発できる光開始剤が有利である。芳香族部分上の置換基を賢明に選択することにより、ポリマー光開始剤の吸収スペクトルを或る程度赤色シフトさせることができ、このことが次に比較的大きい深さでの硬化を容易にすると思われる。
1光子プロセスにおいて硬化に必要とされる光の波長の2倍さらには多数倍もの波長で発光する光源を用いて試料を硬化させるために多光子吸収を使用することが可能である。例えば、約250nmで吸収最大値を有する光開始剤を含む組成物は、場合によって、2吸収断面積が充分に高いことを条件として2光子吸収プロセスを用いて約500nmで発光する光源を用いて硬化させることができると考えられる。2光子硬化プロセスによって3D構造が形成される、Nature412(2001)、697に例示されている多光子で開始される硬化プロセスも同様に、硬化される面積に関してより大きい空間分解能を促すことができると考えられる。
本発明において、硬化は主として、マトリックス組成物を高エネルギー照射好ましくはUV光に曝露することによって開始させられる。光開始プロセスは、それ自体公知のものである上述の方法により、250〜500nmの波長範囲内の光照射またはUV照射を通して起こる。使用してよい照射源は、日光または人工的ランプまたはレーザーである。例えば水銀高圧、中圧または低圧ランプおよびキセノンおよびタングステンランプが有利である。同様に、エキシマ、固体およびダイオードレーザーも有利である。本発明のためには、パルスレーザーシステムでさえ応用可能とみなされ得る。一般的に、化学反応を開始させるためにはダイオードベースの光源が有利である。
硬化プロセスにおいて、ポリマー光開始剤は、光により誘発される化学的プロセスで、マトリックス組成物を親水性ゲル前駆体に変換する。
自己硬化
ここで記述されているポリマー光開始剤は両方共、周囲のマトリックスの硬化を促進にすることができるが、光開始剤自体はポリマーであることから、これらは「自己硬化」することもでき、このことはすなわち、ポリマー光開始剤がUV照射を用いて硬化されるマトリックス組成物を単独で構成できることを意味している。このことは、式I中のポリマーがポリオレフィンまたはポリアルキルオキシド、好ましくはポリアルキルオキシドである場合に、特に該当する。
したがって、一態様において、本発明は、親水性ゲル前駆体の製造方法において、
a.下記の一般式I、
ポリマー−[CR2−CHR−スペーサ(PI)nm (I)
(式中、
− mは1〜5000の整数であり;
− nは0超5未満の実数であり;
− PIは光開始剤部分であり;
− ポリマーは、ポリアクリレート、ポリアルキルエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルピロリドンおよびそのコポリマーおよび配合物からなる群から選択され;
− ここで各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基である)
を有するポリマー光開始剤からなるマトリックス組成物を提供するステップと;
b.ステップa.で得られたマトリックス組成物を、紫外線に曝露することによって硬化させるステップと;
を含む方法を提供する。
「自己硬化」法は、好適には、相互に直接前後して(すなわち中間ステップを一切含まずに)アルファベット順に実施されるステップa.とb.を用いて行なわれる。この「自己硬化」法の一態様において、この方法はステップa.とb.だけで構成される。
(「自己硬化」法によって提供される)一成分系は、ポリマー光開始剤が熱可塑性であるという点において有利である。こうして、これらの光開始剤は、せん断速度が高くなれば粘度が低くなり、押出し加工プロセスにおけるその加工はより容易になる。これとは対照的に、例えば、ポリビニルピロリドンは押出し加工不能である。本明細書中で提供されているポリマー光開始剤の全ての詳細および構造的改良点は、「自己硬化」法において使用するために適した光開始剤を提供することを目的としたものである。
さらに、「自己硬化」法のポリマー光開始剤は、マトリックス組成物の構成成分を単独で構成していてよい。すなわち、マトリックス組成物はポリマー光開始剤で構成されていてよい。こうして、添加剤(例えば可塑化剤、粘度調整剤)を回避でき、そのため低分子量の構成成分が架橋マトリックス組成物から浸出する可能性は低減されるという利点が得られる。
ゲル状態
本発明の親水性ゲルを提供するために、マトリックス組成物は膨潤媒体例えば水、C1−C5アルコール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)、好ましくはPEG−2000などに曝露される(本明細書中、ステップc.と呼ばれる)。こうして組成物は膨潤してゲルを提供する。膨潤媒体との接触は、マトリックス組成物の硬化の前に行なわれても後に行なわれてもよい。膨潤媒体は、清浄な状態にあってもよいし、あるいは例えば食塩溶液または体液中など、他の物質と組合わせた形で存在してよい。液体形態で存在する有意な部分と平衡して気体状態で存在する種も同様に、膨潤媒体を構成する。
マトリックス組成物は、膨潤媒体に対する曝露の前か後に、UVに曝露することで硬化されてよい。最初に硬化された場合、「乾燥した」硬化済みマトリックス組成物(ゲル前駆体)が得られる。最初に膨潤媒体に曝露された場合、硬化ステップは膨潤媒体の存在下で起こることから、親水性ゲルを一段階プロセスで提供することができる。換言すると、親水性ゲル用の膨潤媒体は、硬化ステップ用の溶媒である。方法ステップに関しては、ステップc.は、ステップb.の前に行なわれても後に行なわれてもよい。好適には、ステップc.は、ステップb.の前に行なわれる。
「自己硬化」法において、ポリマー光開始剤は、膨潤媒体に対する曝露の前または後にUVに曝露することにより硬化されてよい。最初に硬化された場合、「乾燥した」硬化済みポリマー光開始剤が得られる(=親水性ゲル前駆体)。最初に膨潤媒体に曝露された場合、硬化ステップは膨潤媒体の存在下で行なわれることから、親水性ゲルを一段階プロセスで提供することができる。換言すると、親水性ゲル用の膨潤媒体は、硬化ステップ用の溶媒である。好適には、ステップc.はステップb.の前に行なわれる。
ゲルは、膨潤性を有するものの膨潤媒体中に不溶な材料として特徴づけされる。ヒドロゲルとは、主に水溶性または水膨潤性材料で構成される材料を意味する。ゲル材料は、そのレオロジー特性に関して、そしてその乾燥状態において特徴づけされる。詳細には、材料の機械的特性を特徴づけるために、貯蔵弾性率と損失弾性率が使用される(T.G.Mezger:「The Rheology Handbook」、Vincentz Network、Hannover、2006)。上述の通り、マトリックス組成物の硬化の後には、UV曝露時間の関数としてのG’(ω)およびG’’(ω)の変化の監視作業が続く。本発明を説明するために用いられる実施例では、レオロジー特性を精査するために1Hzの周波数が使用されており、試料は試験中120℃まで加熱された。
本発明は同様に、本明細書中に記載されている方法を介して得ることのできる親水性ゲルにも関する。
医療装置
本発明の一態様は、本発明の方法の結果として得られるゲル前駆体または親水性ゲルを含む医療装置を提供する。「医療装置」という用語は、かなり広義で解釈されるべきである。医療装置の適切な例(機器を含む)としては、カテーテル(例えば導尿カテーテル)、内視鏡、喉頭鏡、栄養補給用チューブ、排液用チューブ、気管内チューブ、ガイドワイヤー、縫合糸、カニューレ、針、体温計、コンドーム、シース型収尿器、例えば手袋、ステントおよび他のインプラント用のバリヤコーティング、コンタクトレンズ、体外血液導管、透析用などの膜、血液フィルター、循環補助用装置、創傷ケア用包帯、および人工肛門/膀胱用バッグがある。最も該当するのは、カテーテル、内視鏡、喉頭鏡、栄養補給用チューブ、排液用チューブ、ガイドワイヤー、縫合糸、およびステントそして他のインプラントである。本発明に関連して特に有利な医療装置は、カテーテル、例えば導尿カテーテルである。
医療装置は、本発明のゲル前駆体または親水性ゲルで少なくともその表面部分がコーティングされてよい。一部の実施形態において、親水性ゲルは医療装置の全(外)表面を覆い、一部の他の実施形態では、その表面の一部分までしか覆っていない。最も該当する実施形態では、親水性ゲルは、医療装置が意図されている身体部分と(適正な使用時に)直接接触する医療装置の表面(好ましくは全表面)の少なくとも一部分を覆う。医療装置はゲル前駆体でコーティングされ、親水性ゲルは、液体(患者の体液または水を含む活性化溶液のいずれか)と接触した時点で生成されてもよい。
したがって、本発明は、本発明の方法を介して得ることのできるカテーテル、詳細には親水性ゲルが少なくともその表面部分にコーティングされているカテーテルを提供する。
本発明は同様に、一般式I、II、IIa、IIb、III、IVまたはVを有するポリマー光開始剤(式中、m、n、PI、R、R1、スペーサおよびポリマーは本明細書中に定義された通りである)の親水性ゲル、詳細にはヒドロゲルの製造における使用に関する。
実施例1
150℃で60gのPEO NF1(Sumitomo)をブラベンダミキサーに投入することにより、一連のグラフト型ポリエチレンオキシドポリマーを作製する。この混合物に対し、さまざまな量の4−アクリロイルベンゾフェノン(1〜10g)とさまざまな量(0.5〜5g)の2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンを添加する。この混合物を20分間150℃で配合し、その後ブラベンダミキサーから収集する。単離された材料をFT−IRを用いて分析し、添加したアクリレートの完全な転換を保証する。
この材料を水に対して曝露することで、結果として膨潤可能ではあるものの水中で不溶性である材料としてヒドロゲルが得られる。さらに、ヒドロゲルは、実質的な量で存在する液体である成分を1つ含む2つ以上の構成成分を有する固体または固体様の材料である。固体様のゲルは、平衡弾性率の不在、少なくともおよそ秒単位の時間まで広がる顕著な平坦域を示す貯蔵弾性率G’(ω)そして、平坦域領域内での貯蔵弾性率よりも著しく小さい損失弾性域G’’(ω)により特徴づけされる。
本発明について、多くの実施形態および好ましい特徴を基準にして記述してきたが、最大限の範囲が厳密にこれらの実施形態に限定されると考えるべきではない。本発明の範囲は、添付のクレームによって決定される。当業者であれば、本発明の枠内にとどまりながら、本発明のさまざまな実施形態および態様からの互換性ある特徴を意のままに組合せることができる。

Claims (42)

  1. 親水性ゲルの製造方法において、
    a.下記の一般式I、
    ポリマー−[CR2−CHR−スペーサ(PI)nm (I)
    (式中、
    − mは1〜5000の整数であり;
    − nは0超5未満の実数であり;
    − PIは光開始剤部分であり;
    − ここで各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基である)
    を有するポリマー光開始剤を含むマトリックス組成物を提供するステップと;
    b.ステップa.で得られた前記マトリックス組成物を、紫外線に曝露することによって硬化させるステップと;
    c.前記マトリックス組成物を膨潤媒体に曝露して、親水性ゲルを提供するステップと、
    を含み、ステップc.がステップb.の前に行なわれても後に行なわれてもよい、方法。
  2. ゲルの製造方法において、
    a.下記の一般式I、
    ポリマー−[CR2−CHR−スペーサ(PI)nm (I)
    (式中、
    − mは1〜5000の整数であり;
    − nは0超5未満の実数であり;
    − PIは光開始剤部分であり;
    − 前記ポリマーが、ポリアクリレート、ポリアルキルエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルピロリドンおよびそのコポリマーおよび配合物からなる群から選択され;
    − ここで各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基である)
    を有するポリマー光開始剤を含むマトリックス組成物を提供するステップと;
    b.ステップa.で得られた前記マトリックス組成物を、紫外線に曝露することによって硬化させるステップと;
    c.前記マトリックス組成物を膨潤媒体に曝露して、ゲルを提供するステップと、
    を含み、ステップc.がステップb.の前に行なわれても後に行なわれてもよい、方法。
  3. 前記マトリックス組成物が、追加的に、1つ以上の親水性ゲル形成ポリマーおよび/または親水性ゲル形成モノマーを含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
  4. 前記ゲル形成ポリマーが、ポリアクリレート、ポリアルキルエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルピロリドンおよびそのコポリマーおよび配合物からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記ゲル形成モノマーが、アクリレートモノマー、N−ビニルピロリドンおよびエポキシドモノマーからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
  6. 式I中の前記ポリマーが、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアルキルオキシド、ポリジアルキルシロキサンまたはこれらのポリマーのブロックまたは繰り返し単位を含むさまざまなコポリマーからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 式I中の前記ポリマーが、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアルキルオキシドおよびポリジアルキルシロキサンからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 式I中の前記ポリマーが、ポリオレフィンまたはポリアルキルオキシド、好ましくはポリアルキルオキシドである、請求項7に記載の方法。
  9. 式I中の前記ポリマーが、50〜500,000Daの範囲内の分子量を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記スペーサが、単結合、C1−C25直鎖アルキレン、C3−C25分岐アルキレン、C3−C25シクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アミン、アミド、アルコール、エーテル、エステル、チオエーテル、スルホンおよびその誘導体、スルホン酸エステルおよびその誘導体、スルホキシドおよびその誘導体およびカルボネート、ケトンおよびエステルからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記スペーサが、C1−C25直鎖アルキレン、C3−C25分岐アルキレン、C3−C25シクロアルキレンおよびエステルからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記スペーサが、ポリマー実体である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記スペーサが、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルオキシドまたは上述のポリマーのブロックまたは繰り返し単位を含むさまざまなコポリマーからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記スペーサが、50〜500,000Daの範囲内の分子量を有する、請求項12〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記光開始剤部分が、独立してベンゾインエーテル、フェニルヒドロキシアルキルケトン、フェニルアミノアルキルケトン、ベンゾフェノン、チオキサントン、キサントン、アクリドン、アントラキノン、フルオレノン、ジベンゾスベロン、ベンジル、ベンジルケタール、α−ジアルコキシ−アセトフェノン、α−ヒドロキシ−アルキル−フェノン、α−アミノ−アルキル−フェノン、アシル−ホスフィンオキシド、フェニルケトクマリン、シラン、マレイミドおよびその誘導体からなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記光開始剤部分が、任意選択的に置換されたベンゾフェノンまたはチオキサントンである、請求項15に記載の方法。
  17. mが、1〜3000、好ましくは1〜1000の整数である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記式Iのポリマー光開始剤が、ラジカル光開始剤の存在下で前記ポリマー上に光開始剤部分(PI)をグラフトすることによって合成される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記光開始剤部分(PI)の前記ポリマー上への前記グラフトが押出機内で行なわれる、請求項18に記載の方法。
  20. 前記光開始剤単位が前記ポリマー上で懸垂している、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記マトリックス組成物が、追加的に酸化防止剤を含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記ポリマー光開始剤が、下記の一般式II、
    ポリマー−[CR2−CHR−C(=O)−スペーサ(PI)nm (II)
    を有し、式中、
    − mが1〜5000の整数であり;
    − nが0超5未満の実数であり;
    − 各R基が、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基であり;
    − PIが光開始剤部分である;
    請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記ポリマー光開始剤が、下記の一般式IIa、
    ポリマー−[CR2−CHR−C(=O)−O−スペーサ(PI)nm (IIa)
    を有し、式中、
    − mが1〜5000の整数であり;
    − nが0超5未満の実数であり;
    − 各R基が、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基であり;
    − PIが光開始剤部分である;
    請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記ポリマー光開始剤が、下記の一般式IIb、
    ポリマー−[CR2−CHR−C(=O)−NH−スペーサ(PI)nm (IIb)
    を有し、式中、
    − mが1〜5000の整数であり;
    − nが0超5未満の実数であり;
    − 各R基が、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基であり;
    − PIが光開始剤部分である;
    請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記ポリマー光開始剤が、下記の一般式III、
    ポリマー−[CR2−CHR−O−スペーサ(PI)nm (III)
    を有し、式中、
    − mが1〜5000の整数であり;
    − nが0超5未満の実数であり;
    − 各R基が、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基であり;
    − PIが光開始剤部分である;
    請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記ポリマー光開始剤が、下記の一般式IV、
    ポリマー−[CR2−CHR−NR1−スペーサ(PI)nm (IV)
    を有し、式中、
    − mが1〜5000の整数であり;
    − nが0超5未満の実数であり;
    − 各R基が、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基であり;
    − R1が、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CNおよびハロゲンから選択される置換基であり;
    − PIが光開始剤部分である;
    請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記ポリマー光開始剤が、下記の一般式V、
    ポリマー−[CR2−CHR−Ph−スペーサ(PI)nm (V)
    を有し、式中、
    − mが1〜5000の整数であり;
    − nが0超5未満の実数であり;
    − Phが、任意選択的に置換されたフェニル基であり;
    − 各R基が、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である])およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である])から選択される置換基であり;
    − PIが光開始剤部分である;
    請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記Ph基が、独立して、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される1つ以上の置換基で置換されている、請求項27に記載の方法。
  29. Rが、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキルから選択され、好ましくは水素である、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記膨潤媒体が、水、C1−C5アルコール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択され、好ましくはPEG−2000である、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記膨潤媒体が水を含み、こうして生成されるゲルがヒドロゲルである、請求項30に記載の方法。
  32. ステップc.がステップb.の前に行なわれる、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 親水性ゲル前駆体の製造方法において、
    a.下記の一般式I、
    ポリマー−[CR2−CHR−スペーサ(PI)nm (I)
    (式中、
    − mは1〜5000の整数であり;
    − nは0超5未満の実数であり;
    − PIは光開始剤部分であり;
    − 前記ポリマーは、ポリアクリレート、ポリアルキルエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルピロリドンおよびそのコポリマーおよび配合物からなる群から選択され;
    − ここで各R基は、独立して、水素、C1−C25直鎖アルキル、C3−C25分岐アルキル、C3−C25シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−OH、−CN、ハロゲン、アミン(例えば−NR’R’’(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))およびアミド(例えば−CONR’R’’またはR’CONR’’−(ここでR’およびR’’はアルキル基、好適にはC1−C25アルキル基である))から選択される置換基である)
    を有するポリマー光開始剤からなるマトリックス組成物を提供するステップと;
    b.ステップa.で得られた前記マトリックス組成物を、紫外線に曝露することによって硬化させるステップと;
    を含む方法。
  34. 前記ポリマー光開始剤が、請求項6〜29のいずれか一項に記載の構造を有する請求項33に記載の方法。
  35. 請求項33〜34のいずれか一項に記載の方法を介して得ることのできる親水性ゲル前駆体。
  36. 親水性ゲルの製造方法において、請求項33〜34のいずれか一項に記載のステップa.およびbを含み、
    c.前記マトリックス組成物を膨潤媒体に曝露して、親水性ゲルを提供する追加のステップを含み、
    ステップc.がステップb.の前に行なわれても後に行なわれてもよい、方法。
  37. 前記膨潤媒体が、水、C1−C5アルコール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択され、好ましくはPEG−2000である、請求項36に記載の方法。
  38. 前記膨潤媒体が水を含み、こうして生成されるゲルがヒドロゲルである、請求項37に記載の方法。
  39. 請求項1〜32または36〜38のいずれか一項に記載の方法を介して得ることのできるゲル。
  40. 請求項39に記載のゲルまたは請求項35に記載の親水性ゲル前駆体を含む医療装置。
  41. 請求項39に記載のゲルまたは請求項34に記載の親水性ゲル前駆体が少なくとも表面部分上にコーティングされた、請求項40に記載の医療装置。
  42. 前記一般式I、II、IIa、IIb、III、IVまたはVを有するポリマー光開始剤(式中、m、n、PI、R、R1、スペーサおよびポリマーは請求項1〜29のいずれか一項に定義された通りである)の、ゲルの製造における使用。
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