JP2013528649A - 肺高血圧症の処置のために使用するためのラノラジン - Google Patents

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Abstract

本開示は、一般に、肺高血圧症(例えば、肺動脈高血圧症(PAH)、またはそれに関連する症状)を有する患者を、上記患者に治療上有効な量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与することによって処置することに関する。本開示の別の局面において、肺高血圧症に苦しむ患者において右心室(RV)機能を改善するための方法が提供され、上記方法は、上記患者に治療上有効な量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与する工程を含む。

Description

関連出願への相互参照
本願は、米国特許法§119(e)の下、2010年6月16日に出願された米国仮特許出願第61/355,462号、および2010年10月28日に出願された米国仮特許出願第61/407,864号の利益を主張し、その両方は、それらの全体において参考として援用される。
発明の分野
本発明は、肺高血圧症を処置することを必要とする患者において、治療上有効な量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与することによって、肺高血圧症を処置する方法に関する。
技術の現状
肺高血圧症(PH)は、原発性(特発性)または続発性として以前に分類されていた。最近、世界保健機関(WHO)は、肺高血圧症を5つの群に分類した:
群1:肺動脈高血圧症(PAH);
群2:左心疾患を伴うPH;
群3:肺疾患および/または低酸素症を伴うPH;
群4:慢性血栓疾患および/または慢性塞栓疾患に起因するPH;および
群5:種々雑多な状態(例えば、サルコイドーシス、ヒスチオサイトーシスX、リンパ管腫症および肺血管の圧迫。
例えば、非特許文献1を参照のこと。
肺動脈高血圧症(PAH)は、重大な血管狭窄および肺動脈の壁における平滑筋細胞の異常な増殖によって特徴付けられる肺血管系の深刻な進行性の生命に関わる疾患である。肺における血管の重度の狭窄は、非常に高い肺動脈圧をもたらす。PAHを有する患者は、代表的に、肺血管抵抗(PVR)の著しい増加および肺動脈圧(PAP)の維持された上昇を示す。これらの圧力は、心臓が、肺を通して酸素添加される血液を送り出すことを難しくする。PAHを有する患者は、心臓がこれらの高い圧力に対抗して送り出そうと奮闘するので、極めて短い呼吸に苦しみ、そのことは最終的に右心室の不全および死をもたらす。機能障害の右心室は、機能障害の左心室をもたらし得ることが企図されている。非特許文献2を参照のこと。PAHと診断された患者は、予後が良好ではなく、同様に、生活の質が損なわれ、未処置の場合、診断時から2年〜5年の平均余命を有する。患者の死亡の最も一般的な原因は、進行性の右側の心不全である。同著者。
今日、PAHを処置するための医学療法としては、ジゴキシン、利尿薬、抗凝固剤、および補助酸素が挙げられる。肺の血管拡張剤(例えば、プロスタサイクリン、エンドセリンレセプターアンタゴニスト、およびホスホジエステラーゼ阻害剤)は、PAHにおける運動能力を改善し、後負荷低減(afterload reduction)を介して右心室機能を間接的に改善し得るが、それらは、直接的にRV機能を改善することもRV虚血を減らすこともない。非特許文献3。PAHの小規模の研究に基づき、ジゴキシンは、RV変力薬(inotrope)として有益であり得るが、心筋の酸素要求量を増加させ得る。現在、心筋の酸素要求量を増加させることなくRV機能を直接的に改善する、PAHのための認可された処置はない。非特許文献4。代わりのメカニズムを介したPAHの処置にアプローチするための新しい療法が必要とされる。
Rubin(2004)Chest 126:7−10 Braunwald,「Heart Disease:A Textbook of Cardiovascular Medicine」1883−1914(2008) Galie,N.et al.,Eur Heart J,2009;30(20):2493−537 Rich S.,et al.,Chest 1998;14(3):787−92
本開示は、ラノラジンによって、肺高血圧症に苦しむ患者が処置され得るか、または患者の症状が処置され得るという驚くべき、そして予期しなかった発見に関する。モノクロタリン(MCT)によって誘導される慢性肺動脈高血圧症(PAH)および右心室(RV)機能障害のげっ歯類モデルにおいて、ラノラジンは、PAHおよびRV機能障害を予防すること、および肺の血管再構築を低減することが示される。さらに、右心室の再構築を予防することにおけるラノラジンの効果は、左冠動脈の永久的な冠動脈結紮によって生じる広範囲(large)前壁急性心筋梗塞(AMI)のネズミのモデルを用いて実証される。従って、ラノラジンが、患者の右心室機能を改善し、それにより心筋の酸素要求量を増加させることなくPAHの症状(労作性呼吸困難、疲労、および胸痛が挙げられる)を緩和することがさらに企図される。
従って、1つの局面において、本開示は、肺高血圧症を処置することを必要とする患者において肺高血圧症を処置するための方法を提供し、上記方法は、上記患者に治療上有効な量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与する工程を含む。肺高血圧症は、1つの局面において、特発性PAH、家族性PAH、肺静脈閉塞性疾患(PVOD)、肺毛細管血管腫症(PCH)、新生児の持続性肺高血圧症、または別の疾患もしくは状態に関連するPAHから選択され得る肺動脈高血圧症(PAH)である。
本開示の別の局面において、肺高血圧症に苦しむ患者において右心室(RV)機能を改善するための方法が提供され、上記方法は、上記患者に治療上有効な量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与する工程を含む。
本開示のさらに別の局面において、肺動脈圧を低減することを必要とする患者において肺動脈圧を低減するための方法が提供され、上記方法は、上記患者に治療上有効な量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与する工程を含む。
本開示のさらに別の局面において、肺高血圧症に苦しむ患者において1つ以上の症状を処置するか、または良くするための方法が提供され、上記方法は、上記患者に治療上有効な量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与する工程を含む。1つの局面において、上記症状は、疲労を含む。別の局面において、上記症状は、労作性呼吸困難を含む。さらに別の局面において、上記症状は、胸痛を含む。
さらに別の局面において、本開示は、無症候性肺高血圧症を処置するか、または予防することを必要とする患者において、無症候性肺高血圧症を処置するか、または予防する方法を提供し、上記方法は、上記患者に治療上の量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与する工程を含む。
さらに別の局面は、肺動脈高血圧症(PAH)を処置することを必要とする患者において、肺動脈高血圧症(PAH)を処置する方法を提供し、上記方法は、上記患者に治療上の量のラノラジンまたはその塩(複数可)を経口投与する工程を含み、ここで上記治療上の量は、75ミリグラム、500ミリグラム、または375ミリグラムの量のラノラジンの総計一日用量を含む。
図1は、対照動物(対照)、モノクロタリン(MCT)処置動物(MCT)、およびMCT投与後28日目の高用量(0.5%)ラノラジン(RAN)群における動物(MCT+RAN(0.5%))から得られた、α−SMAで染色された肺切片の代表的な画像である。 図2Aおよび2Bは、肺切片全体について行われたα−SMA染色のデジタル定量化を要約しているグラフである。2A:動脈>50μmの管腔面積および2B:動脈<50μmの管腔面積。これらのグラフは、RANが腺房内動脈においてMCT誘導再構築を有意に低減することを実証する。 図3は、ビヒクルで処置されたマウスと比較して、ラノラジンで処置することにより、右心室(RV)機能(三尖弁輪収縮期移動距離(tricuspidal annulus plane systolic excursion)(TAPSE)およびRV面積変化率(fractional area change)として測定された、右のパネル)および寸法(RV拡張期および心収縮期の面積として測定された、左のパネル)の有意な保存をもたらしたことを示す。
本開示をより詳細に記載する前に、以下の用語が最初に定義される。
本開示は、記載の特定の実施形態に限定されない(当然、それなりに変わり得る)ことが理解されるべきである。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書中で用いられる用語は、特定の実施形態を記載する目的のためだけであり、限定することを意図しないことがまた理解されるべきである。
本明細書中および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないとはっきりと指示しない限り、複数形の指示対象を含むことに留意しなければならない。従って、例えば、「さらなる治療剤」への参照は、複数の治療剤を含む。
1. 定義
そうでないと定義されない限り、本明細書中で用いられる全ての技術的および科学的用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書中で用いられる場合、以下の用語は、以下の意味を有する。
本明細書中で用いられる場合、用語「含む(comprising)」、または「含む(comprises)」は、組成物および方法が、列挙された要素を含むが、他のものを除外しないことを意味することが意図される。「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」は、組成物および方法を定義するために使用される場合に、言及された目的での組み合わせに対してあらゆる本質的に重要な他の要素を除外することを意味することとする。従って、本質的に本明細書中に定義される要素からなる組成物は、特許請求される発明の基本的および新規の特徴付け(複数可)に物質的に影響しない他の材料または工程を除外しない。「からなる」は、他の成分および実質的な方法の工程のわずかを超える要素を除外することを意味することとする。これらの推移語(transition term)のそれぞれによって定義される実施形態は、本開示の範囲内にある。
用語「約」は、範囲を含む数値指定(例えば、温度、時間、量、および濃度)の前に使用される場合、(+)または(−)10%、5%、または1%変わり得る近似値を示す。
上に言及されるように、本開示は、肺動脈高血圧症または肺動脈高血圧症(PAH)を処置することを必要とする患者に治療上有効な量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与する工程を含む、肺動脈高血圧症または肺動脈高血圧症(PAH)を処置する方法に関する。
用語「処置」は、患者における疾患の任意の処置を意味し、(i)上記疾患を予防する工程、すなわち、臨床的症状が発現しないようにする工程(ii)上記疾患の進行を阻害する工程、すなわち、臨床的症状の発現を抑える工程;および/または(iii)上記疾患を緩和する工程、すなわち、臨床的症状を後退させる工程を含む。例としてのみだが、処置する工程は、右心室機能を改善する工程および/または症状(労作性呼吸困難、疲労、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)を軽減するか、もしくは良くする工程を含み得る。
本明細書中で用いられる場合、用語「肺動脈高血圧症」または「PAH」は、特発性PAH、家族性PAH、肺静脈閉塞性疾患(PVOD)、肺毛細管血管腫症(PCH)、新生児の持続性肺高血圧症、または別の疾患もしくは状態に関連するPAH(例えば、膠原血管病、先天性全身肺シャント(アイゼンメンガー症候群が挙げられる)、門脈圧亢進症、HIV感染、薬物および毒素、甲状腺障害、糖原貯蔵症、ゴーシェ病、遺伝性出血性毛細管拡張症、異常血色素症、骨髄増殖性障害、または脾切除術が挙げられるが、これらに限定されない)を含むことが意図される。
用語「患者」は、代表的に、哺乳動物(例えば、ヒトなど)を指す。
用語「治療上有効な量」は、上に定義されるような処置を達成するために、そのような処置を必要とする患者に投与される場合に十分である化合物(例えば、ラノラジン)の量を指す。上記治療上有効な量は、使用されている剤の特定の活性または送達経路、患者の疾患状態の重症度、および年齢、身体的状態、他の疾患状態の存在、ならびに患者の栄養状態に依存して変動する。さらに、患者が受け得る他の医薬は、投与すべき治療剤の治療上有効な量の決定をもたらす。
用語「ラノラジン」または「RAN」は、「±−N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)−プロピル]−1−ピペラジンアセトアミド」と名付けられた化合物、および薬学的に受容可能なその塩を指す。ラノラジンは、心血管疾患(不整脈、異型狭心症および運動誘発性狭心症、ならびに心筋梗塞が挙げられる)の処置における使用について、米国特許第4,567,264号において開示される。ラノラジンは、その二塩酸塩の形態では以下の化学式によって表される:
本明細書中で用いられる場合、用語「塩」または「薬学的に受容可能な塩」は、多様な生理学的に受容可能な有機および無機の対イオンから誘導される化合物の塩を指す。そのような対イオンは、当該分野において周知であり、例としてのみだが、分子が酸性官能基を含む場合、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、リチウム塩、およびアンモニウム塩(例えば、テトラアルキルアンモニウム塩)などが挙げられ、分子が塩基性官能基を含む場合、有機酸または無機酸の塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、硝酸塩 臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、パモ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびシュウ酸塩など)が挙げられる。適切な薬学的に受容可能な塩としてはまた、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th Edition,pg.1418(1985)、およびP.Heinrich Stahl,Camille G.Wermuth(Eds.),Handbook of Pharmaceutical Salts Properties,Selection,and Use;2002において列挙されるものが挙げられる。酸付加塩の例としては、酸(例えば、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸)から形成されるもの、および有機酸(例えば、アルギン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、安息香酸、カンファースルホン酸(camphorsulfuric)、クエン酸、エンボニン酸(パモ酸)、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロン酸、ガラクツロン酸、ゲンチシン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、イソニコチン酸、イソチオン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、パントテン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、糖酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸(sulfinilic)、トリフルオロ酢酸、およびアリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸)と形成されるものが挙げられる。アルカリ金属およびアルカリ土類金属と有機塩基で形成される塩基付加塩の例としては、クロロプロカイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、リジン、メグルミン(meglumaine)(N−メチルグルカミン)、およびプロカイン、ならびに内部形成塩(internally formed salt)が挙げられる。非生理学的に受容可能なアニオンまたはカチオンを有する塩は、生理学的に受容可能な塩の調製のため、および/または非治療上(例えば、インビトロ状況における)使用のための有用な中間体として本発明の範囲内にある。
2. 方法
上に言及されるように、本開示は、肺高血圧症(例えば、肺動脈高血圧症(PAH))を処置する方法に関する。上記方法は、治療上の量のラノラジンまたはその塩(複数可)を、それを必要とする患者に投与する工程を含む。
著しい肺高血圧症(例えば、PAH)を有する患者において、胸痛、労作性呼吸困難、および疲労は、一般的な症状であり、PAHがRV不全に進行するので、ほとんどのものは右心室(RV)虚血のせいである。Rich,et al.,Ann Intern Med,1987;107(2):216−23;Barst,Am.J.Med.,2004;116(6):427−8を参照のこと。しかし、肺高血圧症は、たとえ上記患者が無症状(例えば、胸痛、労作性呼吸困難、および/または疲労がない)であっても、本開示の方法によって処置され得る。1つの特定の局面において、上記患者は、疼痛または胸痛に苦しまない。
ラノラジンは、冠動脈疾患を有する患者において、慢性安定狭心症を処置するための認可された医薬である。ラノラジンの抗虚血/抗狭心症効果の基礎をなす正確なメカニズムは、未知であるが、最近の証拠は、遅延ナトリウム電流(INa)の阻害を介して、ラノラジンが虚血および不全化(failing)筋細胞のカルシウム過負荷を低減することを示唆する。Stone,P.,Cardiol Clin 2008;26(4):603−14。ラノラジンが、RV拡張期機能障害をもたらすカルシウム過負荷RV筋細胞を改善し得ることが企図される。あらゆる理論に限定されることなく、RV拡張期の緊張を低減することによって、ラノラジンが、虚血性RVにおける心拡張期中に心筋の血流を改善し、それにより胸痛を緩和し、他方、同時にRVの性能および収縮性を改善することが企図される。この後者の効果は、運動能力における利益と解釈され得る心拍血液量および心拍出量を増加させ得る。ラノラジンは、RVの性能および機能を改善することによって、PAHのさらなる症状(労作性呼吸困難および疲労が挙げられる)を緩和させることがさらに企図される。例えば、実施例2によって実証されるように、ラノラジンは、肺動脈圧を低減することが示される。
モノクロタリン(MCT)によって誘導される慢性PAHおよび右心室(RV)機能障害のげっ歯類モデルにおいて、ラノラジンにより、PAHおよびRV機能障害が予防されたことが本明細書中で実証される。さらに、左冠動脈の永久的な冠動脈結紮によって生じる広範囲前壁急性心筋梗塞(AMI)のネズミのモデルを用いて、右心室の再構築を予防することにおけるラノラジンの効果が実証される。これらのデータは、ラノラジンが患者の右心室機能を改善し、それにより、肺高血圧症の症状を緩和することを示す。
本開示の方法は、肺動脈圧を低減することを必要とする患者において肺動脈圧を低減するために使用され得る。通常RVは、心周期の間の冠血流のパターンにおいて左心室(LV)と異なる。左冠動脈血流は、第一に、心収縮期における大動脈と左心室との間の圧力勾配不足に起因して心拡張期において起こるのに対して、右冠血流は、大動脈圧が心収縮期および心拡張期の間のRV圧よりもさらに高く、それにより連続的に冠血流を駆動するので心周期全体にわたって起こる。しかし、PAHを有する患者において、RV心収縮期圧が上昇し、大動脈の心収縮期圧に釣り合い始める場合、大動脈とRVとの間の勾配はもはや存在しない。従って、通常心周期全体にわたって灌流するRVは、心拡張期に冠血流を受け取るのみである。従って、進行したPAHを有する患者において、RVは、肺動脈圧(およびRV圧)が上昇するに従って、次第に虚血になり、このことはすでに弱いRVのさらなる悪化をもたらす。心拡張期に冠血流を遅らせることによるRV拡張終期圧の上昇も、これらの患者におけるRV虚血の一因となる。Barst,Am.J.Med.,2004;116(6):427−8;van Wolferen,et al.,Eur Heart J 2008;29(1):120−7。
肺高血圧症、分類および臨床的パラメーター
本開示の方法によって処置される肺高血圧症状態は、世界保健機関(WHO)またはベニス(2003)分類(例えば、Rubin(2004)Chest 126:7−10を参照のこと)に従って認められた状態のうちのいずれか1つ以上を含み得る:
群1:肺動脈高血圧症(PAH)
1.1 特発性PAH
1.2 家族性PAH
1.3 以下に関連するPAH:
1.3.1 膠原血管病
1.3.2 先天性全身肺シャント(アイゼンメンガー症候群が挙げられる)
1.3.3 門脈圧亢進症
1.3.4 HIV感染
1.3.5 薬物および毒素
1.3.6 他(甲状腺障害、糖原貯蔵症、ゴーシェ病、遺伝性出血性毛細管拡張症、異常血色素症、骨髄増殖性障害、または脾切除術)
1.4 重大な静脈または毛細管の併発に関連するPAH
1.4.1 肺静脈閉塞性疾患(PVOD)
1.4.2 肺毛細管血管腫症(PCH)
1.5 新生児の持続性肺高血圧症
群2:左心疾患を伴う肺高血圧症
2.1 左側心房または心室の心疾患
2.2 左側心臓弁膜の心疾患
群3:肺疾患および/または低酸素症に関連する肺高血圧症
3.1 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
3.2 間質性肺疾患
3.3 睡眠呼吸障害
3.4 肺胞低換気障害
3.5 高地に対する慢性的曝露(chronic exposure to high altitude)
3.6 発育異常
群4:慢性血栓疾患および/または慢性塞栓疾患に起因する肺高血圧症
4.1 近位部肺動脈の血栓塞栓性閉塞
4.2 遠位部肺動脈の血栓塞栓性閉塞
4.3 非血栓性肺塞栓症(腫瘍、寄生生物、外来物質)
群5:種々雑多なもの(サルコイドーシス、ヒスチオサイトーシスX、リンパ管腫症および肺血管の圧迫(腺症、腫瘍、線維形成性縦隔炎))。
1つの局面において、肺高血圧症状態は、PAH(WHO 群1)(例えば、特発性PAH、家族性PAH、または別の疾患または状態に関連するPAH)を含む。
ベースラインにおける肺高血圧症は、例えば、肺高血圧症を有する患者における疾患の重症度の尺度であるWHO機能クラス(functional class)によって測定される場合に、軽度、中程度、または重度であり得る。WHO機能分類は、New York Heart Association(NYHA)システムの改作であり、活動の許容を定性的に評価するために日常的に使用される(例えば、疾患の進行および処置に対する応答をモニターすることにおいて)(Rubin(2004)Chest 126:7−10)。4つの機能クラスがWHOシステムにおいて認められている:
クラスI:身体的活動の制限をもたらすことのない肺高血圧症;通常の身体的活動は、過度の呼吸困難もしくは疲労、胸痛、または失神寸前状態(near syncope)を引き起こさない;
クラスII:身体的活動のわずかな制限をもたらす肺高血圧症;患者は安静時において快適である;通常の身体的活動は、過度の呼吸困難もしくは疲労、胸痛、または失神寸前状態を引き起こす;
クラスIII:身体的活動の著しい制限をもたらす肺高血圧症;患者は安静時において快適である;通常よりも少ない活動は、過度の呼吸困難もしくは疲労、胸痛、または失神寸前状態を引き起こす;
クラスIV:症状なく、あらゆる身体的活動を実施することが不能となることをもたらす肺高血圧症;患者は、右心不全の徴候をはっきりと示す;安静時においてさえも呼吸困難および/または疲労が存在し得る;あらゆる身体的活動によって不快感が増大する。
1つの局面において、上記方法は、無症状肺高血圧症としても公知であるクラスIを処置することに関する。
1つの局面において、ベースラインにおける被験体は、少なくともWHOクラスII、例えば、WHOクラスIIまたはクラスIIIの肺高血圧症(例えば、PAH)を示す。
別の局面において、ベースラインにおける被験体は、少なくとも約30mmHg、例えば、少なくとも約35mmHg、少なくとも約40mmHg、少なくとも約45mmHg、または少なくとも約50mmHgの安静時における平均PAPを示す。
本開示の方法は、被験体に適用される場合、以下の目的のうちの1つ以上を達成し得る:
(a)より正常なレベルへの1つ以上の血行力学的パラメーターの調整(例えば、ベースラインに対して平均PAPもしくはPVRを低下させるか、または肺毛細管楔入圧(PCWP)もしくは左心室拡張終期圧(LVEDP)を上昇させる);
(b)ベースラインに対する肺機能の改善(例えば、例示的に6分間歩行距離(6MWD)の試験において測定される場合に、運動能力を増大させる、またはBorg呼吸困難指数(BDI)を低下させる);
(c)ベースラインに対する1つ以上の生活の質パラメーターの改善(例えば、SF−36(登録商標)健康調査機能スケール(health survey functional scale)のうちの少なくとも1つにおけるスコアの増加);
(d)状態の重症度におけるベースラインに対する全体的な改善(例えば、より低いWHO機能クラスへの移行による);
(e)処置しない場合の予想に対する処置期間後の臨床的転帰の改善(例えば、プラセボとの比較により測定される場合の臨床試験の設定における)(改善された予後、臨床的悪化までの時間を延ばすこと、もしくは臨床的悪化の確率を低下させること、生活の質を拡張すること(例えば、より高いWHO機能クラスへの進行を遅らせること、もしくは1つ以上の生活の質パラメーター(例えば、SF−36(登録商標)健康調査パラメーター)における減少を遅くすること)、および/または寿命の増加が挙げられる);および/あるいは
(f)臨床的転帰の予測となり得る1つ以上の分子マーカーのより正常なレベルへの調整(例えば、エンドセリン−1(ET−1)、心臓トロポニンT(cTnT)、またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の血漿濃度)。
肺高血圧症、または特にPAHを処置するための治療上有効な量のラノラジンを構成するものは、処置されるべき特定の肺高血圧症状態、状態の重症度、個々の被験体の体重または他のパラメーターに依存して変動し得、医師または臨床医によって、過度の実験なく、本明細書中の開示に基づいて容易に確立され得る。しかし、企図される用量が下に記載される。
肺高血圧症療法の有効性を測定するための種々の臨床的パラメーターおよび標準は、下に記載され、当該分野においても公知である。従って、ラノラジンの有効性は、これらのパラメーターまたは標準によって測定され得る。さらに、他の剤と比較した場合のラノラジンの相対的な有効性は、これらの臨床的パラメーターまたは標準を用いて、ならびに非臨床的設定において決定され得る。そのような非臨床的設定の例としては、限定されることなく、動物モデルが挙げられる。動物モデルの非限定的な例は、実施例において提供される。
A. 臨床的パラメーターにおける改善
1つの局面において、処置されている被験体は、処置期間中または処置期間後に、
(a)ベースラインに対してより正常なレベルへの、肺高血圧症状態を示す1つ以上の血行力学的パラメーターの調整;
(b)ベースラインに対する運動能力の増大;
(c)ベースラインに対するBorg呼吸困難指数(BDI)の低下;
(d)ベースラインに対する1つ以上の生活の質パラメーターの改善;および/または
(e)より低いWHO機能クラスへの移行
のうちの少なくとも1つを経験する。
運動能力の任意の適切な尺度が使用され得る;特に適切な尺度は、6分間歩行試験(6MWT)において得られ、これは被験体が6分間にどれだけ遠くまで歩くことができるか、すなわち6分間歩行距離(6MWD)を測定する。
Borg呼吸困難指数(BDI)は、知覚される呼吸困難(呼吸の不快感)を評価するための数値スケールである。それは、6分間歩行試験(6MWT)の完了後に息切れの程度を測定し、ここで、0のBDIは息切れがないことを示し、10は、最大の息切れを示す。
種々の局面において、有効な量の肺高血圧症療法は、肺高血圧症状態を示す1つ以上の血行力学的パラメーターをより正常なレベルに調整する。1つのそのような局面において、平均PAPは、ベースラインに対して少なくとも約3mmHg、または少なくとも約5mmHg低下する。別のそのような局面において、PVRは低下する。さらに別のそのような局面において、PCWPまたはLVEDPは上昇する。
種々の局面において、有効な量の肺高血圧症療法は、ベースラインに対する肺機能を改善する。肺機能の任意の尺度が使用され得る;例示的に6MWDが増加するか、またはBDIが低下する。
1つのそのような局面において、6MWDは、ベースラインから少なくとも約10メートル、例えば、少なくとも約20メートル、または少なくとも約30メートル増加する。多くの例において、本実施形態の方法は、6MWDを50mも、またはさらにもっと増加させるために有効であることが見出される。
別のそのような局面において、例示的に6MWTの後に測定される場合にBDIは、ベースラインから少なくとも約0.5指数ポイント低下する。多くの例において、本実施形態の方法は、BDIを完全に1指数ポイントも、またはさらにもっと低下させるために有効であることが見出される。
SF−36(登録商標)健康調査は、8個の健康パラメーター:身体的機能、身体的健康問題に起因する役割の制限、肉体的疼痛、全体的な健康、活力(エネルギーおよび疲労)、社会的機能、感情的問題に起因する役割の制限、および精神的健康(心理的苦悩および心理的幸福)を測定する自己報告型多項目スケールを提供する。上記調査はまた、身体的構成要素の概略および精神的構成要素の概略を提供する。
種々の局面において、有効な量の肺高血圧症療法は、例示的にSF−36(登録商標)調査において記録される健康パラメーターのうちの1つ以上によって測定される場合に、被験体の生活の質を改善し得る。例えば、ベースラインに対する改善は、SF−36身体的健康関連パラメーター(身体的健康、役割−身体的、肉体的疼痛、および/または全体的な健康)のうちの少なくとも1つにおいて、および/またはSF−36精神的健康関連パラメーター(活力、社会的機能、役割−感情的、および/または精神的健康)のうちの少なくとも1つにおいて得られる。そのような改善は、任意の1つ以上のパラメーターについてのスケールにおいて、少なくとも1ポイント、例えば、少なくとも2ポイント、または少なくとも3ポイントの増加の形態をとり得る。
B. 予後の改善
別の実施形態において、本開示の処置方法は、肺高血圧症状態を有する被験体についての予後を改善し得る。この実施形態の処置は;(a)処置期間中に臨床的悪化事象が起こる確率の低減、および/または(b)血清脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)濃度における、ベースラインからの低減(ここで、ベースラインにおいて、被験体における状態の最初の診断からの時間は、約2年より長くない)を提供し得る。
最初の診断からの時間は、種々の局面において、例えば、約1.5年より長くなく、約1年より長くなく、約0.75年より長くなく、または約0.5年より長くない場合がある。1つの局面において、ラノラジンの投与は、実質的にすぐに、例えば、診断の約1ヶ月以内または約1週間以内に開始され得る。
この実施形態において、処置期間は、言及された効果が生じるために十分に長い。代表的に、処置がより長く続けば続くほど、利益はより大きく、より継続する。例示的に、処置期間は少なくとも約1ヶ月間、例えば少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、または少なくとも約1年間であり得る。いつくかの場合において、投与は、実質的に被験体の生命の残りの間続き得る。
臨床的悪化事象(CWE)としては、死、肺移植、肺高血圧症状態のための入院、心房中隔開口、さらなる肺高血圧症療法の開始、またはそれらの集合が挙げられる。従って、本開示の処置は、処置期間中に死、肺移植、肺動脈高血圧症のための入院、心房中隔開口および/またはさらなる肺高血圧症療法の開始が起こる確率において、少なくとも約25%、例えば、少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%の低減を提供するために有効であり得る。
肺高血圧症状態の臨床的悪化までの時間は、ラノラジン処置投薬計画の開始からCWEが最初に起こるまでの時間として定義される。
別の特定の局面において、上記方法は、BNP濃度において、ベースラインから少なくとも約15%、例えば、少なくとも約25%、少なくとも約50%、または少なくとも約75%の低減を提供するために有効である。
この実施形態に従う肺高血圧症状態は、上に記載されるWHOまたはベニス(2003)分類における状態のうちのいずれか1つ以上を含み得る。1つの局面において、上記状態は、PAH(WHO 群1)、例えば特発性PAH、家族性PAH、または別の疾患に関連するPAHを含む。
この実施形態の種々の局面において、ベースラインにおける被験体は、上に記載されるような、少なくともWHOクラスII、例えば、クラスII、クラスIII、またはクラスIVのPH(例えば、PAH)を示す。
より特定の実施形態において、ベースラインにおける被験体は、少なくとも約30mmHg、例えば、少なくとも約35mmHg、または少なくとも約40mmHgの安静時PAPを有する。
C. 生命の延長
さらに別の実施形態において、本開示の処置方法は、処置の開始の時点から少なくとも約30日間、肺高血圧症状態を有する被験体の生命を延長し得る。この方法の変形および例示的な様相は、上に明記される通りである。
D. 臨床的悪化までの時間を延ばすこと
さらに別の実施形態において、本方法は、肺高血圧症状態を有する被験体における臨床的悪化までの時間を延ばし、臨床的悪化事象が起こる確率を少なくとも約25%減少させ得る。この方法の変形および例示的な様相は、上に明記される通りである。
E. 他の処置目的
上に記載される方法のうちのいずれかにおいて、被験体は男性または女性であり得る。例えば、組み合わせた薬物は、上の方法(示された変形および例示的なその様相が挙げられる)のうちのいずれかに従って、女性の被験体に投与され得る。あるいは、ラノラジンは、上の方法(示された変形および例示的なその様相が挙げられる)のうちのいずれかに従って、男性の被験体、例えば、生殖的に活発な男性の被験体に投与され得る。
別の実施形態において、本明細書中に提供される方法は、生殖的に活発な男性の被験体において肺高血圧症状態を処置するために有用であり、ここで上記被験体の生殖能力は、実質的に弱められない。本文脈における「実質的に弱められない」とは、処置によって精子形成が実質的に低減されないこと、および低減した精子形成を示すホルモンの変化、または低減した精子形成に関連するホルモンの変化が誘導されないことを意味する。男性の生殖能力は、例えば、精液サンプルからの精子数によって直接的に、またはホルモン(例えば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、インヒビンBおよびテストステロン)における変化によって間接的に評価され得る。
1つの実施形態において、被験体においてPAHを処置するための方法が提供され、ここでPAHは、(a)先天性心欠陥、(b)門脈圧亢進症、(c)食欲抑制因子(anorexigen)以外の薬物および毒素の使用、(d)甲状腺障害、(e)糖原貯蔵症、(f)ゴーシェ病、(g)遺伝性出血性毛細管拡張症、(h)異常血色素症、(i)骨髄増殖性障害、(j)脾切除術、(k)肺静脈閉塞性疾患、および/または(l)肺毛細管血管腫症のうちの1つ以上に関連する。この方法の変形および例示的な様相は、上に明記される通りである。
さらに、別の実施形態において、WHOの群2〜5に分類される肺高血圧症状態を被験体において処置するための方法が提供される。この方法の変形および例示的な様相は、上に明記される通りである。1つの局面において、上記状態は、左側心房もしくは心室の心疾患、および/または左側心臓弁膜の心疾患を含む。別の局面において、上記状態は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)、睡眠呼吸障害、肺胞低換気障害、高地に対する慢性的曝露、発育異常、近位部および/もしくは遠位部肺動脈の血栓塞栓性閉塞、非血栓性肺塞栓症、サルコイドーシス、ヒスチオサイトーシスX、リンパ管腫症、ならびに/または肺血管の圧迫のうちの1つ以上に関連する。
下に議論されるように、ラノラジンは、多様な様式で投与され得る。
3. ラノラジンおよび送達の方法
本開示の方法は、ラノラジンを投与する多様な方法(静脈内および経口が挙げられる)を企図する。いくつかの実施形態において、ラノラジンは、徐放性処方物において投与される。1つの実施形態において、ラノラジンの総計一日用量は、約3000ミリグラム、約1500ミリグラム、約1000ミリグラム、または約750ミリグラムである。1つの実施形態において、ラノラジンは、ラノラジンおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物において投与され得る。用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、任意および全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的活性物質のためのそのような媒体および剤の使用は、当該分野において周知である。任意の従来の媒体または剤が活性成分と不適合である範囲を除いて、治療上の組成物におけるその使用が企図される。補足の活性成分はまた、上記組成物中に組み込まれ得る。ラノラジンの投与および製剤化の方法は、下に記載されるように当該分野において周知である。
米国特許第4,567,264号は、ラノラジンおよびその薬学的に受容可能な塩、ならびに心血管疾患(不整脈、異型狭心症および運動誘発性狭心症、ならびに心筋梗塞が挙げられる)の処置におけるそれらの使用を開示する。この特許はまた、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、Tween 80、および0.9%の食塩水をさらに含むラノラジン二塩酸塩の静脈内(IV)用処方物を開示する。
ラノラジンがIV溶液において投与される場合、上記溶液は、1ミリリットル当たり約1ミリグラム〜約100ミリグラム、あるいは、1ミリリットル当たり約10ミリグラム〜約50ミリグラム、あるいは、1ミリリットル当たり約25ミリグラムの、選択された濃度のラノラジンを含み得る。ラノラジンの静脈内用処方物の注入は、1ミリリットル当たり約1000ナノグラム〜約5000ナノグラムの塩基(ここで、1ミリリットル当たりのナノグラムの塩基とは、1ミリリットル当たりのナノグラムのラノラジンの遊離塩基を指す)のラノラジン血漿濃度の標的範囲が達成され、維持されるように開始される。
ラノラジンならびにその薬学的に受容可能な塩およびエステルについての現在の好ましい投与経路は、経口である。代表的な経口剤形は、圧縮錠剤、粉末混合物もしくは粒状化物(granulate)で充填されたハードゼラチンカプセル、または溶液もしくは懸濁物で充填されたソフトゼラチンカプセル(ソフトゲル)である。米国特許第5,472,707号は、ハードゼラチンカプセルまたはソフトゲルのための充填溶液として、過冷却液体ラノラジンを用いた高用量経口処方物を開示する。
米国特許第6,503,911号は、処方物が胃における酸性の環境および腸にわたるさらにより塩基性の環境の両方を通って移動する間に、満足のいく血漿レベルのラノラジンを供給するという問題を克服する徐放性処方物を開示し、狭心症および他の心血管疾患の処置に必要である血漿レベルを提供することにおいて非常に有効であることを証明している。
1つの局面において、徐放性ラノラジン処方物は、実質的に以下からなる:
徐放性ラノラジン処方物は、以下のように調製され得る:ラノラジンおよびpH依存結合剤および任意の随意選択の賦形剤は、完全に混合される(ドライブレンドされる(dry−blended))。次に、ドライブレンドされた混合物は、そのブレンドされた粉末中にスプレーされる強塩基の水性溶液の存在下で粒状化される。粒状化物は、乾燥させられ、ふるいにかけられ、随意選択の滑沢剤(例えば、滑石またはステアリン酸マグネシウム)と混合され、錠剤へと圧縮される。強塩基の好ましい水性溶液は、水(必要に応じて、25%までの水混和性溶媒(例えば、低級アルコール)を含む)中のアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、好ましくは水酸化ナトリウム)の溶液である。
得られたラノラジン含有錠剤は、識別、味をマスキングする(taste−masking)目的のため、および飲み込み易さを改善するために、随意選択のフィルム形成剤でコーティングされ得る。上記フィルム形成剤は、代表的に錠剤重量の2%と4%との間に及ぶ範囲の量で存在する。適切なフィルム形成剤は、当業者に周知であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカチオン性メタクリレートコポリマー(ジメチルアミノエチルメタクリレート/メチル−ブチルメタクリレートコポリマー−Eudragit(登録商標)E−Roehm Pharma)などを含む。これらのフィルム形成剤は、着色料、可塑剤、および他の補足成分を必要に応じて含み得る。
米国特許出願公開第2006/0177502号は、ラノラジンが35%〜50%で存在するか、あるいは40%〜45%のラノラジンが存在する経口徐放性剤形を開示する。
1つの実施形態において、上記ラノラジン徐放性処方物は、pH依存結合剤、pH非依存結合剤;および1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤を含む。適切なpH依存結合剤としては、約1%〜約20%、例えば、約3%〜約6%の程度までメタクリル酸コポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)(Eudragit(登録商標)L100−55、およびEudragit(登録商標)L100−55の偽ラテックス(pseudolatex)など)を中和するために十分な量での強塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化アンモニウム)で部分的に中和されるメタクリル酸コポリマーが挙げられるが、これに限定されない。適切なpH非依存結合剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例えば、Methocel(登録商標)E10M Premium CRグレードHPMC、またはMethocel(登録商標)E4M Premium HPMC)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な薬学的に受容可能な賦形剤としては、ステアリン酸マグネシウム、および微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)pH101)が挙げられる。
肺高血圧症を処置するために、ラノラジンが、375mg、500mg、または750mgの錠剤に製剤化され得ることがさらに企図される。各錠剤は、約75%のラノラジン、約10.0%のメタクリル酸(metllacrylic acid)コポリマー、約10.6%の微結晶性セルロース、約2.0%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、約0.4%の水酸化ナトリウム、および約2.0%のステアリン酸マグネシウム(非ウシ)を含む。
4. 併用療法
ラノラジンが、他のPAH療法(医学療法、および/または補助酸素が挙げられる)と組み合わせて投与され得ることが企図される。PAHを処置するための当該分野において認められる医学療法としては、治療剤(例えば、強心配糖体、血管拡張剤/カルシウムチャネル遮断剤、プロスタサイクリン、抗凝固剤、利尿剤、エンドセリンレセプター遮断剤、ホスホジエステラーゼタイプ5阻害剤、一酸化窒素吸入、アルギニン補足、およびそれらの組み合わせ)が挙げられる。
ラノラジンと強心配糖体との併用療法は、米国特許出願公開第2010/0130436号において教示される。適切な強心配糖体としては、ジゴキシン、ウアバイン、ジギトキシン、およびオレアンドリンが挙げられる。1つの実施形態において、上記配糖体は、ジゴキシンである。
任意の多様な血管拡張剤/カルシウムチャネル遮断剤は、ラノラジンと組み合わせて使用され得る。例としては、ニフェジピン、ジルチアゼム、アムロジピン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、任意の多様なプロスタサイクリンは、ラノラジンと組み合わせて使用され得る。例としては、エポプロステノール、トレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロスト、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
なおさらに、任意の多様な抗凝固剤は、ラノラジンと組み合わせて使用され得る。例としては、低用量でのワルファリン、フェノクマロール、アセノクマロール(Sintrom(登録商標))、クロリンジオン、ジクマロール、ジフェナジオン、ビスクマ酢酸エチル、フェンプロクーモン、フェニンジオン、チオクロマロール、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
その上なおさらに、任意の多様な利尿剤は、ラノラジンと組み合わせて使用され得る。例としては、アルドステロンアンタゴニストが挙げられるが、これに限定されない。
エンドセリンレセプター遮断剤も、ラノラジンと組み合わせて使用され得る。例としては、ボセンタン、シタクスセンタン、アンブリセンタン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、ラノラジンは、アンブリセンタンと組み合わせられる。
ホスホジエステラーゼタイプ5阻害剤としては、クエン酸シルデナフィル、ジピリダモール、タダラフィル、アバナフィル、ロデナフィル(lodenafil)、ミロデナフィル、バルデナフィル、ウデナフィル、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
投与に関して、2つ以上の剤が、同時にまたは逐次的に投与され得ることが企図される。上記2つ以上の剤が、同時に投与される場合、それらは、単一用量としてか、または別個の用量としてのいずれかで投与され得る。さらに、主治医(attending clinician)がさらなる剤の必要とされる投薬量、投薬計画、および好ましい投与経路を容易に決定できることが企図される。
5. さらなる処方物
本開示の組成物が注射による投与のために組み込まれ得る形態としては、水性の懸濁物もしくはエマルジョン、またはゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、もしくはラッカセイ油を用いる油性の懸濁物もしくはエマルジョン、ならびにエリキシル、マンニトール、デキストロース、または滅菌水性溶液、および同様の薬学的ビヒクルが挙げられる。食塩水中の水性溶液はまた、注射のために慣習的に使用されるが、本開示の状況においてあまり好まれない。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど(および適切なその混合物)、シクロデキストリン誘導体、および植物油も用いられ得る。適切な流動度は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散物の場合には必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用を予防することは、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、およびチメロサールなど)によってもたらされ得る。
滅菌の注射可能な溶液は、構成要素を必要とされる量で、適切な溶媒に、上に列挙されるような種々の他の成分とともに組み込むことによって調製され、必要とされる場合、その後、濾過滅菌される。一般に、分散物は、基本的な分散媒体および上に列挙されるものからの必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクルに種々の滅菌された活性成分を組み込むことによって調製される。滅菌の注射可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合において、調製の好ましい方法は、活性成分と任意のさらなる所望される成分との粉末を、前もって滅菌濾過されたその溶液からもたらす減圧乾燥およびフリーズドライ技術である。
本開示の方法のための、新規の組み合わせを投与するための装置の理想的な形態は、従って、(1)すぐに使える2つの活性物質を含む2つの区画を含む注射器、または(2)すぐに使える2つの注射器を含むキットのいずれかからなる。
ラノラジンおよび場合によりさらなる剤を含む薬学的組成物を作製することにおいて、活性成分は、通常、賦形剤によって希釈され、そして/またはカプセル、サシェ(sachet)、紙、または他の容器の形態であり得るようなキャリア内に含まれる。上記賦形剤が希釈剤として働く場合、それは、上記活性成分のためのビヒクル、キャリア、または媒体として働く、固体、半固体、または液体の材料(上の通り)であり得る。従って、上記組成物は、錠剤、丸剤、粉末、ロゼンジ、サシェ、カシェ剤、エリキシル、懸濁物、エマルジョン、溶液、シロップ、エアゾール(固体として、または液体媒体において)、例えば、10重量%までの活性化合物を含む軟膏、ソフトおよびハードゼラチンカプセル、滅菌の注射可能な溶液、および滅菌のパッケージされた粉末の形態であり得る。
適切な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。上記処方物は、滑沢剤(例えば、滑石、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油);湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;保存剤(例えば、メチルヒドロキシベンゾエートおよびプロピルヒドロキシベンゾエート);甘味料;および香味剤をさらに含み得る。
本開示の組成物は、当該分野において公知である手順を用いることによる患者への投与後に、活性成分の迅速な徐放または遅延放出を提供するために製剤化され得る。上に議論されるように、ラノラジンの低減されたバイオアベイラビリティを考慮すると、徐放性処方物は、一般に好ましい。経口投与のための制御放出薬物送達システムとしては、ポリマーでコーティングされたレザバーまたは薬物ポリマーマトリックス処方物を含む、浸透ポンプシステムおよび溶解(dissolutional)システムが挙げられる。制御放出システムの例は、米国特許第3,845,770号;同第4,326,525号;同第4,902,514号;および同第5,616,345号において与えられる。
上記組成物は、単位剤形において製剤化される。用語「単位剤形」とは、ヒト被験体および他の動物のための、単位となる(unitary)投与量として適切である物理的に別々の単位を指し、各単位は、適切な薬学的賦形剤(例えば、錠剤、カプセル、アンプル)とともに、所望される治療効果を生じるように計算された所定量の活性材料を含む。本開示の活性剤は、広い投薬量範囲にわたって有効であり、一般に、薬学的に有効な量で投与される。しかし、実際に投与される各活性剤の量は、相対的状況(処置されるべき状態、選ばれた投与経路、投与される実際の化合物およびそれらの相対的活性、個々の患者の年齢、体重、および応答、ならびに患者の症状の重症度などが挙げられる)を考慮して医師によって決定されることが理解される。
固体組成物(例えば、錠剤)を調製するために、主要な活性成分は、薬学的賦形剤と混合されて、本開示の化合物の均質な混合物を含む固体前処方物(preformulation)組成物を形成する。これらの前処方物組成物を均質であると称する場合、それは、上記組成物が等しく有効な単位剤形(例えば、錠剤、丸剤およびカプセル剤)に容易に細分化され得るように、上記活性成分が組成物全体に均等に分散されていることを意味する。
本開示の錠剤または丸剤は、延長された作用の利点を供給する剤形を提供するために、もしくは、胃の酸環境から保護するために、コーティングされ得るか、または他の方法で調合される(compounded)。例えば、上記錠剤または丸剤は、内側投薬要素および外側投薬要素を含み得、後者は、前者を覆って包むものの形態である。ラノラジンおよび共投与される剤(複数可)は、胃における崩壊に抵抗し、内側要素が無傷で十二指腸にまで通ることを可能にするか、または内側要素の放出が遅れることを可能にするのに役立つ腸溶性の層によって分離され得る。多様な材料は、そのような腸溶性の層またはコーティングのために使用され得、そのような材料としては、多くのポリマー酸、ならびにポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースのような材料との混合物が挙げられる。
実施例
以下の実施例を、本開示の実施形態を実証するために含む。以下の実施例において開示される技術は、本開示の実施において良好に機能するために発明者らによって見出された技術を表し、従って、上記技術はその実施のための好ましい様式を構築することが考えられ得ることが当業者によって認識されるべきである。しかし、当業者は、開示される特定の実施形態において、多くの変更がなされ、本開示の趣旨および範囲から外れることなく同様のものまたは同様の結果を依然として得ることができることを、本開示を考慮して認識すべきである。
実施例1:肺高血圧症における右心室(RV)機能の改善のためのラノラジン
肺高血圧症または肺動脈高血圧症(PAH)に苦しむ患者における右心室機能の改善を確かめるために、以下のパラメーターを調べる:
・運動能力および生活の質
・アデノシン心臓MRI研究を用いたRV心内膜下の灌流
・右心室−肺血管連結および肺血管インピーダンススペクトルの決定とともに、包括的(comprehensive)ドップラーおよび組織ドップラー超音波心臓検査法を用いて、非侵襲的に決定されるRV機能における運動誘発性変化
・侵襲的な血行力学、2Dおよび3D超音波心臓検査法、および心臓MRIを用いたRVの収縮性および包括的な圧力−体積分析
前述の終点が、侵襲的技術と非侵襲的技術との組み合わせを使用することに留意のこと。超音波心臓検査法技術は、運動研究に最も適している。超音波心臓検査法のRV体積データは、MRI RV体積データに対して正規化され得、RV圧の超音波心臓検査法の推定値は、侵襲的RV圧データに対して正規化され得、それによりRV構造および機能の超音波心臓検査法分析の正確性が増加する。
パラメーターが調べられる場合、結果は、ラノラジンが肺高血圧症またはPAHに関連する疼痛を改善し、肺高血圧症またはPAHを有する患者における運動能力および生活の質を改善することを示すことが企図される。
実施例2:肺高血圧症および右側心不全のモデルにおけるラノラジンの有益な効果
上に詳細に議論されるように、ラノラジンは、心筋細胞における遅延ナトリウム電流(INa)を阻害する抗狭心症薬物である。遅延INaは、虚血および低酸素症の状態の間に増加し、Na−Ca2+交換体(NCX)を介した交換のために利用可能である細胞内Naの量を増加させることによって、細胞内Ca2+過負荷を引き起こす。さらに、活性酸素種(reactive oxygen species)(ROS)は、心室心筋細胞における遅延INaを増加させ、それによりNaおよびCa2+過負荷を悪化させることを示している。遅延INaを阻害することによってRANは、遅延INaが増加する心臓虚血および/または低酸素症の種々のモデルにおいて左心室(LV)機能を改善することを示しているが、右心室(RV)機能および肺血行力学に対するRANの利益を調査していない。モノクロタリンまたはMCT(Crotalaria属の根粒菌植物において見出された有毒性の結晶性アルカロイド)は、ラットにおいて、RV肥大、収縮機能障害、および最終的にRV不全をもたらす進行性肺動脈高血圧症(PAH)を誘導する。ヒトPAHおよびMCT誘導PAHモデルの両方は、低酸素症および増加したROS生成によって特徴付けられるが、このモデルにおける遅延INaの役割を調査していない。従って、本実施例は、MCT誘導PAHおよびRV機能障害を予防するためのRANの効力を評価する。
研究の開始において、オスSprague−DawleyラットにMCT(1キログラム当たり60ミリグラム、s.c.)の単一の注射を与え、3つの群に無作為に抽出した;MCT、低用量RAN(餌の重量に対して0.25%のRANの重量)、および高用量(餌の重量に対して0.5%のRANの重量)RAN。標準的なげっ歯類の餌に混合された、低用量および高用量の場合にそれぞれ0.25%または0.5%のRANを含む食餌でRANを28日間与えた。RANのこれらの濃度は、それぞれ1μM〜2μMおよび5μM〜7μMの血漿濃度をもたらした。対照群は皮下(s.c.)の食塩水注射を受け、標準的なげっ歯類の餌が与えられた。肺血行力学、RV機能、およびRV肥大を終点(MCT投与後28日目)において評価した。また、肺血管の再構築を評価するために、肺組織切片におけるアルファ−平滑筋アクチン(α−SMA)染色を28日目に実施した。
MCTは、対照と比較して、肺(84±7mmHg対29±1mmHg)およびRV(86±7mmHg対26±1mmHg)心収縮期圧における増加を引き起こし、心収縮期圧は、RAN(低用量:59±5mmHgおよび58±5mmHg)および(高用量:40±4mmHgおよび39±4mmHg)によって用量依存的に低減した。RANの両方の用量は、MCT処置動物と比較して、RV肥大を低減し[RV(ミリグラム)/LV(ミリグラム):0.4±0.03および0.32±0.03対0.55±0.04]、RV駆出率における減少を和らげた(−17±11%および−10±8%対−47±7%)。MCTはまた、血漿BNPレベル(590±106対170±90ピコグラム/ミリリットル)における増加を引き起こし、血漿BNPレベルは、RANの両方の用量によって減少した(180±30ピコグラム/ミリリットルおよび60±20ピコグラム/ミリリットル)。
対照動物(対照)、MCT処置動物(MCT)、および高用量RAN群における動物(MCT+RAN(0.5%))から得られた、α−SMAで染色された肺切片の代表的な画像を図1に示す。α−SMA染色のデジタル定量化を肺切片全体について行った。結果を図2A(動脈>50μmの管腔面積について)および図2B(動脈<50μmの管腔面積について)に示す。図1、2Aおよび2Bから明らかであるように、MCT投与は、血管壁の厚さ対管腔直径の比によって指し示されるように肺血管の再構築における有意な増加を引き起こした。しかし、RAN処置動物における前腺房(pre−acinar)肺動脈は、対照動物における前腺房肺動脈と同様であった。従って、RANは、MCT動物と比較して、腺房内動脈における再構築を有意に低減した。
従って、これらのデータは、RANが、慢性PAHおよびRV機能障害のげっ歯類モデルにおけるMCT誘導変化を有意におよび用量依存的に和らげたことを示す。
実施例3:ラノラジンは、マウスにおける急性心筋梗塞後の右心室の再構築を予防する。
この実施例は、左冠動脈の永久的な冠動脈結紮によって生じる広範囲前壁急性心筋梗塞(AMI)のネズミのモデルを用いて、右心室の再構築を予防することにおけるラノラジン(RAN)の効果を実証する。
AMIおよび心不全における右心室(RV)拡張および機能障害の出現は、独立した負の予後因子である。細胞変化、分子変化、および構造変化は、たとえ、RVが虚血性発作から助けられても、AMI中にRVにおいて起こる。ラノラジンは、心臓の遅延ナトリウム電流の薬理学的阻害剤であり、虚血の間の心筋細胞カルシウム過負荷を低減する。
オスのインプリンティング制御領域(Imprinting Control Region)(ICR)のマウスは、左冠動脈の永久的な冠動脈結紮を経て、結紮時から始めて7日間、6時間ごとに、ビヒクル(食塩水)またはラノラジン30mg/kg i.p.で処置した(1群当たりN=10〜12)。梗塞サイズを初期に、マッソン三色染色を用いて測定した。経胸壁超音波心エコー検査を、左心室および右心室の寸法および機能を測定するために、手術前および7日後に行った。
梗塞サイズまたはLV機能および寸法に対するあらゆる測定可能な効果が存在しないビヒクルで処置されたマウスと比較して、ラノラジンで処置することは、RV機能(三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE)およびRV面積変化率として測定された)および寸法(RV拡張期および心収縮期の面積として測定された)の有意な保存をもたらした(図3)。
従って、これらのデータは、ラノラジンがLVの再構築における変化から独立して、右心室の再構築および機能障害を予防し得ることを示す。
本明細書中に明白に記載されることも示されることもないが、本開示の原理を具体化し、その趣旨および範囲内に含まれる種々の改作を当業者が考案できることが認識される。さらに、本明細書中に列挙される全ての条件付きの言葉は、主に、本開示の原理および当該分野を助成するために発明者らによって与えられる概念を理解することにおいて読者を助けることが意図され、そのような具体的に列挙される条件に限定されないものと解釈されるべきである。さらに、本開示の原理、局面、および実施形態を列挙する本明細書中の全ての言及は、その構造上の等価物およびその機能上の等価物の両方を包含することが意図される。さらに、そのような等価物は、現在公知の等価物および将来開発される等価物(すなわち、構造にかかわらず同じ機能を果たす、開発される任意の要素)の両方を含むことが意図される。従って、本開示の範囲は本明細書中に示され、記載される例示的な実施形態に限定されることは意図されない。むしろ、本開示の範囲および趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。

Claims (26)

  1. 肺高血圧症を処置するか、または予防することを必要とする患者において、肺高血圧症を処置するか、または予防する方法であって、該方法は、該患者に治療上の量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与する工程を含む、方法。
  2. 前記肺高血圧症は肺動脈高血圧症(PAH)である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記肺動脈高血圧症は、特発性PAH、家族性PAH、肺静脈閉塞性疾患(PVOD)、肺毛細管血管腫症(PCH)、新生児の持続性肺高血圧症、または別の疾患もしくは状態に関連するPAHから選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記患者は、胸痛、労作性呼吸困難、および/または疲労を含む症状を有する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記患者は、胸痛を含む症状を有する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記患者は、労作性呼吸困難を含む症状を有する、請求項4に記載の方法。
  7. 前記患者は、疲労を含む症状を有する、請求項4に記載の方法。
  8. 肺高血圧症に苦しむ患者において右心室機能を改善するための方法であって、該患者に治療上有効な量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与する工程を含む、方法。
  9. 肺高血圧症に苦しむ患者において肺動脈圧を低減するための方法であって、該患者に治療上有効な量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与する工程を含む、方法。
  10. 肺高血圧症に苦しむ患者において症状を処置するか、または良くするための方法であって、該患者に治療上有効な量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与する工程を含む、方法。
  11. 前記症状は、胸痛を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記症状は、労作性呼吸困難を含む、請求項10または11に記載の方法。
  13. 前記症状は、疲労を含む、請求項10〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 無症状肺高血圧症を処置するか、または予防することを必要とする患者において、無症状肺高血圧症を処置するか、または予防する方法であって、該方法は、該患者に治療上の量のラノラジンまたはその塩(複数可)を投与する工程を含む、方法。
  15. 前記患者は、疼痛または胸痛に苦しまない、請求項14に記載の方法。
  16. 前記ラノラジンまたはその塩(複数可)は静脈内投与される、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
  17. 前記ラノラジンまたはその塩(複数可)は経口投与される、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
  18. 前記ラノラジンまたはその塩(複数可)は徐放性処方物において投与される、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
  19. ラノラジンの総計一日用量は、約3000ミリグラム、約1500ミリグラム、約1000ミリグラム、約750ミリグラム、約500ミリグラム、または約375ミリグラムである、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
  20. 肺動脈高血圧症(PAH)を処置することを必要とする患者において、肺動脈高血圧症を処置する方法であって、該方法は、該患者に治療上の量のラノラジンまたはその塩(複数可)を経口投与する工程を含み、ここで該治療上の量は、75ミリグラム、500ミリグラム、または375ミリグラムの量のラノラジンの総計一日用量を含む、方法。
  21. 前記患者はまた、強心配糖体、血管拡張剤/カルシウムチャネル遮断剤、ジゴキシン、抗凝固剤、利尿剤、プロスタサイクリン、エンドセリンレセプターアンタゴニスト、およびホスホジエステラーゼ阻害剤、またはそれらの組み合わせからなる群から選択されるさらなる治療剤を投与される、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
  22. 前記さらなる治療剤は、血管拡張剤/カルシウムチャネル遮断剤である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記さらなる治療剤は、ラノラジンと同時にまたはラノラジンと逐次的に投与される、請求項21に記載の方法。
  24. 前記さらなる治療剤が同時に投与される場合、該剤およびラノラジンは、単一用量として投与される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記さらなる治療剤が同時に投与される場合、該剤およびおよびラノラジンは、別個の用量として投与される、請求項23に記載の方法。
  26. 前記患者は酸素をさらに投与される、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
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