JP2013528405A - ナノチューブおよびその組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、インプラント、およびアミノ酸またはポリペプチドで機能化したロゼットナノチューブを使用したインプラントの表面修飾に関する。

Description

関連する出願
本願は、2010年3月16日に出願された米国特許仮出願第61/314,243号に基づく優先権を主張し、その全体が全ての目的のため、参照により本明細書に組み込まれる。
政府権益に関する記述
本発明は、米国国立衛生研究所による助成番号1R21AG027521の下、政府支援により成されたものである。政府は、本発明に対し一定の権利を有する。
本発明は、インプラントの分野に関し、より詳細には、ポリペプチド機能化ナノチューブを使用した、インプラントの表面修飾に関する。本発明はさらに、インプラント装置表面へのある種の細胞の接着を選択的に促進するためのある種のポリペプチド機能化ナノチューブを使用した、インプラント装置の表面修飾に関する。ある態様によれば、ポリペプチド機能化ナノチューブを含むよう修飾されたインプラント表面は、インプラントへの骨芽細胞の接着を促進する。本発明はまた、組織の修復および再生のためのナノチューブを含む、方法、組成物および複合物にも関する。
螺旋状ロゼットナノチューブへと自己組織化させるためのG∧Cモチーフを使用が知られている。米国特許第6,696,565号、Fenniri他、J.Am.Chem.Soc.2001、123、3854−3855、およびMoralez他、J.Am.Chem.Soc、2005、127、8307−8309を参照のこと。細胞がインプラント表面に接着してインプラント表面上に組織を形成する能力を増大させるよう、インプラント表面を修飾することが望ましい。また、インプラント上またはインプラント内部への組織の成長を促進する、インプラント作製に有益な組成物を提供することも望ましい。
したがって本発明の目的は、集合して部分構造体を構築することができる機能化モジュールを作製することであり、その部分構造体自体は、集合してナノチューブなどのナノメートルスケールのより複雑な構造体を構築することができる。本発明の他の目的は、インプラントのコーティングに使用可能なナノチューブの作製に使用するための環状構造体に自己組織化することができる、機能化モジュールを作製することである。本発明の他の目的は、特定の細胞のインプラントへの接着を増強または改善する1つまたは複数の部分を有するモジュールを機能化することである。また、本発明の目的は、インプラント表面への細胞接着を増大させる部分を有するナノチューブを用いて、インプラント表面を修飾することである。本発明のさらに別の目的は、インプラント上での組織形成に望ましいある種の細胞の接着を選択的に促進するよう、ナノチューブ上のポリペプチドを調整することである。本発明のさらに別の目的は、体内の部位に配置可能であり、且つ、その表面または内部への組織成長を促進することができる、組織の修復および再生のためのナノチューブ、ナノ粒子、およびマトリックス材料を含む組成物または複合物を提供することである。上記および他の本発明の目的、特徴、および利点、または本発明の特定の実施形態は、以下の開示および例示的な実施形態の記述により、当業者に明らかとなるだろう。
本発明の実施形態は、基板表面を改変して、基板表面における細胞の接着、増殖および/または分化を改善する方法に関する。本発明の範囲内にある基板としては、基板自体の上もしくは体内のインプラント部位において細胞接着および/または細胞増殖および/または細胞分化が望まれる、インプラント表面が挙げられる。そのようなインプラントの例には、整形外科用途に関連するものがある。本発明のこの態様によれば、インプラント表面は、ナノ構造の外表面を含むよう修飾される。このような本発明の表面を有するインプラントは、ナノ構造の外表面を有さないインプラントと比較して、より大きな細胞接着力をもたらす。
本発明のある実施形態は、インプラント表面へのある種の細胞型の接着を選択的に促進する、インプラント表面のコーティングに関する。ある態様によれば、コーティングは、選択的な細胞の接着、増殖および/または分化を促進する、望ましい表面化学または表面状態をもたらす。ある他の態様によれば、コーティングは、生物模倣型である。本発明のある実施形態のコーティングとしては、インプラント表面へのある種の細胞型の接着を選択的に促進する部分または側鎖を含有する、ナノチューブなどのナノメートルスケールの分子構造体が挙げられる。他の実施形態により、他の細胞型と比較して、ある種の細胞型の選択的接着が可能となる。ナノメートルスケールの分子構造体は、単独で用いてもよく、または基板表面へのコーティング作製に適しており、細胞を増殖および/または分化させるために適した成分と組み合わせて用いてもよい。ある他の実施形態によれば、ナノメートルスケールの分子構造体を含むコーティングは、インプラント表面における特定の細胞の接着および組織の成長を促進する。さらに他の実施形態によれば、ナノメートルスケールの分子構造体を含むコーティングは、骨芽細胞の接着および骨組織内部への骨芽細胞の増殖を促進する場合、骨形成性である。
本発明のある実施形態は、組織の修復および再生のための組成物または複合物に関する。組成物および複合物という用語は、本明細書中で互換的に使用され得る。組成物は、注射可能な液体、成形可能なパテ、または硬化構造の形態とすることができる。硬化構造は、剛性、半剛性、または柔軟性を有していてもよい。硬化構造は、多孔性または非多孔性であってもよい。ある態様によれば、注射可能な液体および成形可能なパテは、体内環境に配置された場合、硬化することができる。例えば、本開示の範囲内の複合物を液体として注射し、単に体温に晒すことによりin situで固化させることができる。注射可能な液体、成形可能なパテ、または硬化構造体を、インプラントということがあることを理解されたい。
ある実施形態によれば、組成物には、ナノメートルスケールの分子構造体、機械的強度を与える化合物、およびマトリックス材料が含まれる。組成物を、構造的支持が望まれる体内の部位に配置してもよい。組成物を、組織の成長または再生が望まれる体内の場所に配置してもよい。組成物を、構造的支持と組織の成長または再生との組み合わせが望まれる体内の場所に配置してもよい。組成物は、耐久性、または生分解性、または生体再吸収性を有していてもよい。組成物を種々のインプラント形状に成形して、骨の欠けまたは骨折など、組織が除去された部位を補うこともできる。組成物を、プレート、ロッド、ネジ、ケージ、足場(scaffold)、フィルム、およびコーティングなど、損傷した組織部位の再構築に有用な装置に成形することもできる。本明細書に記載の組成物を含むこのような装置のサイズ、形状および製造、ならびにその使用は、当業者には公知であり、本開示に基づき容易に明らかとなるであろう。
組成物または複合物は、組成物または複合物の表面へのある種の細胞型の接着を選択的に促進する。ある態様によれば、組成物により、選択的な細胞の接着、増殖および/または分化を促進する、好ましい表面化学またはナノメートルスケールの表面幾何構造または状態がもたらされる。ある他の態様によれば、組成物は生物模倣型である。本開示の組成物には、いくつかの実施形態においてインプラント表面へのある種の細胞型の接着を選択的に促進する部分または側鎖を含む、ナノチューブなどのナノメートルスケールの分子構造体が含まれる。他の実施形態には、ナノチューブのほか、細胞の接着、増殖および/または分化の促進を意図したナノメートルスケールの表面幾何構造を実現するためのナノ粒子が含まれる。他の実施形態により、他の細胞型と比較して、ある種の細胞型の選択的接着が可能となる。
本発明の実施形態はまた、ナノチューブなどのナノメートルスケールのより複雑な構造体へと自己組織化する機能化モジュールを含む、モジュールに関する。機能化モジュールに、インプラント表面などの基板表面上のコーティング中に存在する場合に細胞の接着を促進する、1つまたは複数の部分を含む。本発明のある実施形態によれば、ナノメートルスケールの構造体は、ある種の細胞型の接着を選択的に促進するいくつかの異なる部分、すなわち2つ以上の部分または複数の部分を含むことがある。ある他の実施形態によれば、ある種の細胞型としては、細胞の組織への増殖および成長の促進に有用な細胞型が挙げられる。特定の実施形態によれば、ある種の細胞型としては、骨芽細胞、線維芽細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、心筋細胞、軟骨細胞、滑膜細胞、間葉系幹細胞、神経幹細胞、島細胞、肝細胞、平滑筋細胞、尿路上皮細胞、神経細胞、およびシュワン細胞などが挙げられる。
本発明の実施形態はまた、インプラント表面への細胞接着を選択的に調整する方法にも関する。本発明のこの態様によれば、特定の細胞型の接着を促進する部分が選択されることになる。接着は、in vitro(すなわちインプラント移植前)であっても、in vivo(すなわちインプラント移植後)であってもよい。部分は、モジュール内に含まれており、次いで該モジュールは集合して部分構造体を構築する。部分構造体は次いで、ナノチューブなどの、ナノメートルスケールの分子構造体へ集合する。ある実施形態によれば、モジュールが水性媒体中に配置された場合、集合体は自己集合し、そこでモジュールは、環状構造体(例えば、ロゼット)などの部分構造体へと自己組織化する。次いでこの環状構造体は、順にスタッキングすることにより自己組織化して、一般にナノチューブと呼ばれる管状構造体を形成する。そのようなモジュール、部分構造体およびナノメートルスケールの分子構造体ならびにこれらの自己集合体は、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,696,565号、Fenniri他、J.Am.Chem.Soc.2001、123、3854−3855、Moralez他、J.Am.Chem.Soc、2005、127、8307−8309、およびFine他、International Journal of Nanomedicine 2009:4 91−97に記載されている。
本発明のある態様によれば、ナノメートルスケールの分子構造体の一例は、ナノメートルスケールの寸法を有するナノチューブである。ナノチューブの長さは、約1nm〜約999ミクロン、10nm〜約10,000nm、1nm〜約500nm、約10nm〜約300nm、または約20nm〜約100nmの範囲である。ナノチューブの直径は、約1オングストローム〜約100nm、または約3nm〜約20nmの範囲である。ナノチューブを貫く開口部の直径は、約1オングストローム〜約100nm、または約3nm〜約20nmの範囲である。特定の実施形態によれば、ナノチューブは、ナノチューブに付加される所与の官能基の直径において単分散である。ナノチューブに付加される官能基を変化させることにより、直径は、約1nm〜約30nm、または約3nm〜約15nmの間で変化してもよい。ナノチューブを貫く開口部は、直径約1nm〜約30nm、または約3nm〜約15nmの範囲であってもよい。ある実施形態によれば、ナノチューブを貫く開口部は、約1nmの直径を有する。
本発明のある態様によれば、異なる細胞型が特定組織の成長促進に有用である場合は、表面への接着が所望される各々の細胞型に対して、部分を選択して部分構造体に組み込むことができる。本発明のこの態様において、ナノメートルスケールの分子構造体は、それぞれが異なる細胞型に対して選択的である2つ以上の部分を含むことがある。次いで、ナノメートルスケールの分子構造体を、インプラントの表面に部分的にあるいは全体的にコーティングするか、または液体、パテ、あるいは固体形態のインプラントに成形することができる。次いで、インプラントを、このようなインプラントを必要とする、ヒトまたは動物患者内の所望の部位に移植することができる。所望の細胞がインプラント表面に接着し、所望の組織が成長することになる。あるいは、移植前に、インプラント表面に所望の細胞を塗布して接着させてもよい。このような実施形態は、インプラント上または移植する部位における組織の成長促進に有用である。本発明の態様によれば、接着および付着という用語は、互換的に使用され、細胞が、当技術分野で周知の生理食塩水で洗浄した場合に基板表面に留まる能力を指す。
本発明の実施形態はさらに、機能的部分が付加されたナノメートルスケールの分子構造体を含む組成物に関する。機能的部分体を、治療または診断に適用してもよい。ナノメートルスケールの分子構造体を、治療または診断に適用するために、特定の部位に機能的部分を送達するための媒剤として使用してもよい。ある実施形態によれば、機能化されたナノメートルスケールの分子構造体を、薬剤的に許容可能な賦形剤または送達媒体と混合し、次いで所望の場所へ送達する。ナノチューブなどの本発明のナノメートルスケールの分子構造体は、セラミックと混合された場合に軟骨の機械的特性を模倣することができ、骨の特性を模倣することが可能な材料へと自己組織化することができる。ある態様によれば、ナノメートルスケールの分子構造体は、治療および診断への適用に加え、整形外科、軟骨治癒、血管治癒、および創傷治癒への適用に有用な部分を用いて、非機能化または機能化されている。
別の態様によれば、特定の目的で非機能化または機能化された本明細書に記載のモジュールは、注射、またはパテを用いるような物理的配置などによって体内の所望の部位に送達され、その部位において、温度および水環境などの体内状態によってモジュールがナノチューブ構造体へと自己組織化し、好ましくは固化し、特定環境における組織の成長が促進される。ある態様によれば、モジュールは、機械的強度を与える強化化合物およびマトリックス材料を含む組成物の成分である。組成物は、体内に配置され、そこで温度および水環境などの体内状態により、モジュールがナノチューブ構造体へと自己組織化し、組成物が硬化または重合、あるいは硬化インプラントへと固化する。ある実施形態において、モジュールは、体内の部位に送達される前に、すでにナノチューブ構造体に自己組織化している。例えば、モジュールまたは自己組織化したナノチューブ構造体を、骨折した骨、軟骨、血管組織、心臓組織、神経系組織などに注入し、そこで自己組織化したナノチューブにより有用組織の成長が促進される。さらに、自己組織化したナノチューブを皮膚表面に塗布して、創傷治癒デバイスとして機能させることができる。
ある態様によれば、例えば骨損傷部位もしくは欠損部位または手術部位において、骨芽細胞の分化および増殖を促進するための方法および組成物が提供される。これらには、本明細書に記載の式Iおよび/または式IIのモジュールから形成されるナノチューブ、リン酸カルシウムのナノ粒子などのナノ粒子、およびマトリックス材料を含む組成物を有するインプラントを提供すること、および該インプラントを、骨芽細胞の分化および増殖が所望される体内の部位に配置することが含まれる。本開示のこの態様によれば、マトリックス内のナノチューブおよびナノ粒子に起因する組成物のナノメートルスケールの表面幾何構造により、骨芽細胞の増殖および骨組織の成長が促進される。
ある態様によれば、骨芽細胞の分化および増殖を促進する一方で、線維芽細胞の増殖を阻害するための方法および組成物が提供される。これらには、本明細書に記載の式Iおよび/または式IIのモジュールから形成されるナノチューブ、リン酸カルシウムのナノ粒子などのナノ粒子、およびマトリックス材料を含む組成物を有するインプラントを提供すること、および該インプラントを、骨芽細胞の分化および増殖が所望される体内の部位に配置することが含まれる。本開示のこの態様によれば、マトリックス内のナノチューブおよびナノ粒子に起因する組成物のナノメートルスケールの表面幾何構造により、骨芽細胞の分化および増殖が促進され、線維芽細胞の増殖が阻害される。
ある態様によれば、本明細書に記載の式Iおよび/または式IIのモジュールから形成されるナノチューブ、リン酸カルシウムのナノ粒子などナノ粒子、およびマトリックス材料を含む組成物を有するインプラントを用意し、該インプラントを、骨折などの骨欠損、または骨が欠如している体内の部位に配置する、骨欠損の治療のための方法および組成物が提供される。本開示のこの態様によれば、マトリックス内のナノチューブおよびナノ粒子に起因するナノメートルスケールの表面幾何構造を有する硬化組成物により、十分な機械的支持がもたらされ、骨芽細胞の分化および増殖ならびにカルシウム沈着が促進されて骨欠損が治療される。ある態様によれば、マトリックス内のナノチューブおよびナノ粒子に起因するナノメートルスケールの表面幾何構造を有する硬化組成物により、十分な機械的支持がもたらされ、幹細胞の骨芽細胞への分化が促進され、さらに骨芽細胞の増殖およびカルシウム沈着が促進されて骨欠損が治療される。ある態様によれば、組成物は注射可能な液体または成形可能なパテの形状であってもよく、幹細胞または骨芽細胞を含んでいてもよい。あるいは、幹細胞または骨芽細胞は、組織欠損部位に組成物を適用する前に、または組織欠損部位に組成物を適用するのと同時に、組織欠損部位に適用してもよい。
種々のモジュールがロゼットナノチューブへと自己組織化するプロセスを示す図である。 種々のモジュールがロゼットナノチューブへと自己組織化するプロセスを示す図である。 種々のモジュールがロゼットナノチューブへと自己組織するプロセスを示す図である。 種々のモジュールがロゼットナノチューブへと自己組織化するプロセスを示す図である。 ツイン塩基(twin base)RNTを示す図である。(E)TB−KRSR。 ツイン塩基RNTを示す図である。(F)TBL。 ツイン塩基RNTを示す図である。(G)ツインC∧G塩基がロゼットナノチューブへと自己組織化するプロセス。 ツインC∧G塩基上に結合するワング(Wang)樹脂保護KRSRペプチド(TB−KRSR)の合成スキームを示す図である。 (B)1,4−ジアミノブタンリンカーを有するツインC∧G塩基(TBL)の合成スキームを示す図である。 種々のRNTのTEM画像を示す図である。(A)0.1mg/mLのTB−KRSR RNT、および(B)0.01mg/mLのTB−KRSR RNT;(C)0.1mg/mLのTBL RNT(HCl); (D)0.1mg/mLのTBL RNT(TFA);(E)0.1mg/mLのMB−K RNT;(F)0.1mg/mLの5%MB−RGD−K RNT;および(G)0.1mg/mLのKRSRペプチドのみ(ナノチューブを含まない)。矢印はナノチューブを示す。 SEM画像およびAFM画像を示す図である。(A)および(B)TB−KRSR RNT;(C)および(D)TBL RNT。 チタン上にコーティングされたRNT上への骨芽細胞の接着を示す図である。データは、平均値±SEM(N=3)で表す。p<0.01(コーティングされていないチタンと比較)、p<0.1(コーティングされていないチタンと比較);**p<0.05(チタン上にコーティングされた0.01mg/mLのKRSRと比較);***p<0.1(チタン上にコーティングされた0.01mg/mLのMB−K、1%のMB−RGD−K、TBL RNT(HCl)と比較);p<0.05(チタン上にコーティングされた0.01mg/mLのMB−K RNTと比較);§p<0.1(チタン上にコーティングされた1%のMB−RGD−K、TBL(HClまたはTFA中)RNTと比較)。 低倍率(原倍率50倍、DAPI染色した核)および高倍率(400倍、ローダミン・ファロイジン染色したF−アクチンフィラメント)における、チタン上にコーティングされたRNT上への骨芽細胞接着の蛍光顕微鏡画像を示す図である。0.01mg/mLの、(A)および(A’)MB−K RNT;(B)および(B’)TBL RNT(HCl);(C)および(C)TBL RNT(TFA);(D)および(D’)TB−KRSR RNT;(E)および(E’)1%のMB−RGD−K RNT;(F)および(F’)5%のMB−RGD−K RNT。(G)および(G’)KRSRコーティングされたチタン;(H)および(H’)コーティングされていないチタン。矢印は長い糸状仮足を示す。 チタン上にコーティングされたRNT上への繊維芽細胞接着を示す図である。データは、平均値±SEM(N=3)で表す。p<0.05(チタン上にコーティングされた0.01mg/mL KRSRと比較);p<0.05(チタン上にコーティングされた0.01mg/mL TBL RNT(HCl)と比較);p<0.05(コーティングされていないチタンと比較)。 線維芽細胞伸展の蛍光顕微鏡画像を示す図である。(A)チタン上にコーティングされたMB−K RNT;(B)チタン上にコーティングされたTBL RNT(HCl);(C)チタン上にコーティングされた1%のMB−RGD−K RNT;(D)チタン上にコーティングされたTB−KRSR RNT;(E)チタン上にコーティングされたKRSR;(F)コーティングされていないチタン。F−アクチンフィラメントを、ローダミン・ファロイジンで染色した。 チタン上にコーティングされたRNT上での内皮細胞の接着を示す図である。データは、平均値±SEM(N=3)で表す。p<0.05(コーティングされていないチタンと比較)、**p<0.1(コーティングされていないチタンと比較)。p<0.05(全ての他の基板と比較)。p<0.1(チタン上にコーティングされた0.01mg/mLのTB−KRSR RNTと比較)。 種々のコーティング上に伸展する内皮細胞の、4時間後の蛍光顕微鏡画像を示す図である。(A)チタン上にコーティングされたMB−K RNT;(B)チタン上にコーティングされたTBL RNT(HCl);(C)チタン上にコーティングされた1%のMB−RGD−K RNT;(D)チタン上にコーティングされたTB−KRSR RNT;(E)チタン上にコーティングされたKRSR;(F)コーティングされていないチタン。ローダミン・ファロイジン(緑色)でF−アクチンフィラメントを染色し、DAPI(青色)で細胞核を染色した。 (a)超音波処理後のTBL/HA/pHEMA複合物の温度曲線を示すグラフである。 (b)マイクロ波処理後のTBL/HA/pHEMA複合物の温度曲線グラフである。 (a)種々の水比率における固化時間を示すグラフである。 (b)種々のAIBN開始剤濃度における固化時間を示すグラフである。 ツイン塩基リンカーから形成されたナノチューブのAFM画像を示す図である。 ツイン塩基リンカー、ヒドロキシアパタイト、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートから形成された種々のナノチューブ複合物のSEM画像を示す図である。スケールバーは、200nmを表す。 ツイン塩基リンカー、ヒドロキシアパタイト、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートから形成されたナノチューブ複合物の孔のSEM画像を示す図である。スケールバーは、100μmを表す。 ツイン塩基リンカー、ヒドロキシアパタイト、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートから形成されたナノチューブ複合物の耐圧試験データを示すグラフである。データは、平均値±SEMで表す。 ツイン塩基リンカー、ヒドロキシアパタイト、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートから形成されたナノチューブ複合物のバクテリア接着密度を示すグラフである。データは、平均値±SEMで表す。 ツイン塩基リンカー、ヒドロキシアパタイト、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートから形成されたナノチューブ複合物の、7日後の分解を示すグラフである。 ツイン塩基リンカー、ヒドロキシアパタイト、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートから形成されたナノチューブ複合物の、1月後の分解を示すグラフである。p<0.05(TBL基を有さない2%HAと比較)。 ツイン塩基リンカー、ヒドロキシアパタイト、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートから形成されたナノチューブ複合物におけるHA含有量の増加に伴う、骨芽細胞密度の増加と線維芽細胞密度の減少を示すグラフである。データは、平均値±SEM(N=3)で表す。p<0.01(各細胞型のその他すべてと比較)。時間は、4時間。Y軸は、1cmあたりの細胞数を示す。 ツイン塩基リンカー、ヒドロキシアパタイト、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートから形成されたナノチューブ複合物におけるヒドロキシアパタイト含有量の増加に伴う、骨芽細胞増殖の増加を示すグラフである。データは、平均値±SEM(N=3)で表す。p<0.01(他の全試料に関して他のすべてと比較)。全基板が時間とともに有意に増加。Y軸は、1cmあたりの細胞数を示す。 ツイン塩基リンカー、ヒドロキシアパタイト、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートから形成されたナノチューブ複合物におけるヒドロキシアパタイト含有量の増加に伴う、骨芽細胞による骨芽細胞コラーゲン合成の増加を示すグラフである。データは、平均値±SEM(N=3)で表す。p<0.01(他の全試料に関して他のすべてと比較)。全基板が時間とともに有意に増加。Y軸は、タンパク質1μgあたりのコラーゲン(μg)を示す。 ツイン塩基リンカー、ヒドロキシアパタイト、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートから形成されたナノチューブ複合物におけるヒドロキシアパタイト含有量の増加に伴う、骨芽細胞による骨芽細胞アルカリホスファターゼ合成の増加を示すグラフである。データは、平均値±SEM(N=3)で表す。p<0.01(他の全試料に関して他のすべてと比較)。全基板が時間とともに有意に増加。Y軸は、1cmあたりのピコモル/分で測定されたアルカリホスファターゼ活性を示す。 ツイン塩基リンカー、ヒドロキシアパタイト、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートから形成されたナノチューブ複合物におけるヒドロキシアパタイト含有量の増加に伴う、骨芽細胞による骨芽細胞カルシウム沈着の増加を示すグラフである。データは、平均値±SEM(N=3)で表す。p<0.01(他の全試料に関して他のすべてと比較)。全基板が時間とともに有意に増加。Y軸は、1cmあたりのカルシウム(μg)を示す。
本発明の実施形態は、好ましくは生物模倣型の(すなわち自然に存在する構造と構造的に類似していてもよい)ナノメートルスケールの構成物または構造体を使用してインプラント表面を調整することにより、特定の細胞型の接着を増強または促進することができるという発見に基づく。ナノメートルスケールの構造体は、体液などの水環境中に配置された場合に、好ましくは、部分構造体(部分構造体自体もナノメートルスケールの構成物または構造体に自己組織化する)へと自己組織化するモジュールから形成される。本発明の実施形態はさらに、自己組織化したナノチューブなどのナノメートルスケールの構造体、機械的強度を与える強化化合物、任意選択のナノ粒子、およびマトリックス材料を含む組成物に関する。組成物は、シリンジ、外套針または手などによって、体内の所望の部位、空間、または位置に配置されるか、それらを塞ぐか、またはそれらに丁度よく合うことができ、次いで硬化構造体へと硬化されて、ナノメートルスケールの表面幾何構造を与え、機械的強度を与え、および/または組織の成長もしくは再生を促進することができるように流動的または成形可能であってもよい。
いくつかの実施形態では、組成物の粘度は、流動性の液体からより流動性の低いパテまで変化し得る。組成物の粘着性が増加すると、組成物は、よりパテ状になることがある。同様に、組成物の粘着性が低下すると、組成物は、流動性または液体材料であると表現されることがある。しかし、「流動性」の状態または「パテ状」の状態は、連続して存在するということを、当業者は理解するだろう。
本発明のモジュールとしては、以下の式Iの化合物およびその塩が挙げられる。
式中、Xは、CHまたは窒素であり;Yは、存在しないか、アミノ酸またはポリペプチドであり;Rは、存在しないか、リンカーであり、Rは、脂肪族基である。ある態様によれば、Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するアミノ酸またはポリペプチドであり、該アミノ基は、例えば(CHなどのリンカー基Rに共有結合しており;nは、1、2、3、または4の整数であり、Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のアルキルなどの脂肪族基である。好ましくは、Rは、C〜C10のアルキル、C〜Cのアルキル、C〜Cのアルキル、またはメチルである。本発明の範囲内にある化合物としては、アミノ酸またはポリペプチドのアミノ基またはカルボキシル基のいずれかによって、Y基がリンカー基に連結されていてもよい化合物が挙げられる。リンカー基の例を以下の式に示す。
別のリンカー基Rは、アミノ酸またはポリペプチドのアミノ基またはカルボキシ基のいずれかによって、Y基を(CH基の炭素または窒素原子に連結することができる。
本発明の範囲内にある別のリンカー部分としては、NH および以下の部分が挙げられる。
式Iの化合物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,696,565号に記載される方法単独により、または当業者に周知の方法との組み合わせにより調製することができる。
本発明のモジュールとしてはまた、以下の式IIの化合物およびその塩が挙げられる。
式中、Xは、CHまたは窒素であり;Yは、存在しないか、アミノ酸またはポリペプチドであり;Rは、存在しないか、リンカーであり、Rは、脂肪族基である。ある態様によれば、Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するアミノ酸またはポリペプチドであり、該アミノ基は、(CHCOなどのリンカー基Rに共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のアルキルなどの脂肪族基である。好ましくは、Rは、C〜C10のアルキル、C〜Cのアルキル、C〜Cのアルキル、またはメチルである。リンカー基の例を以下の式に示す。
本発明の範囲内にある化合物としては、アミノ酸またはポリペプチドのアミノ基またはカルボキシ基のいずれかによって、Y基がリンカー基に連結されていてもよい化合物が挙げられる。NH基とY基とを連結する別のリンカー基Rとしては、以下が挙げられる。
本発明のある態様によれば、式IIに示されるように2個の類似する二重環構造が存在しこれらが結合されている場合、式IIの構造は、リンカーを有するツイン塩基(TBL)またはツイン塩基リンカーと呼ばれることがあり、さらにアミノ酸またはポリペプチドを含んでいてもよい。しかしながら、これらが異なるX基およびR基を有する場合、2個の二重環状構造は、同一である必要はないことが理解されるだろう。
本発明のアミノ酸としては、例えばグリシン(Gly、G)、アラニン(Ala、A)、バリン(Val、V)、ロイシン(Leu、L)、イソロイシン(Ile、I)、プロリン(Pro、P)、ヒドロキシプロリン、フェニルアラニン(Phe、F)、チロシン(Tyr、Y)、トリプトファン(Trp、W)、システイン(Cys、C)、メチオニン(Met、M)、セリン(Ser、S)、o−ホスホセリン、スレオニン(Thr、T)、リジン(Lys、K)、アルギニン(Arg、R)、ヒスチジン(His、H)、アスパラギン酸(Asp、D)、グルタミン酸塩(Glu、E)、γ−カルボキシグルタミン酸、アスパラギン(Asn、N)、およびグルタミン(Gln、Q)などの、一般に知られるアミノ酸が挙げられる。アミノ酸にはまた、その立体異性体およびアミノ酸に構造的に類似した化合物、またはその改変体または誘導体も含まれる。本発明の範囲内にあるアミノ酸の例としては、基板表面への細胞接着を改善するアミノ酸が挙げられる。したがって、これらのアミノ酸を、細胞接着促進アミノ酸と呼ぶ。具体的な細胞接着促進アミノ酸としては、リジン、アルギニン、セリン、グリシン、およびアスパラギン酸などが挙げられる。
本発明のポリペプチドは、共有結合で互いに結合した2つ以上のアミノ酸を含む。ある態様によれば、2つ以上のアミノ酸は、1つまたは複数のペプチド結合によって、少なくとも部分的に、共有結合で互いに連結している。本発明の範囲内にあるポリペプチドの例としては、基板表面への細胞接着を改善するポリペプチドが挙げられる。したがって、これらのポリペプチドを、細胞接着促進ポリペプチドと呼ぶ。具体的な細胞接着促進ポリペプチドとしては、リジン−アルギニン−セリン−アルギニン(KRSR)、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)、イソロイシン−リジン−バリン−アラニン−バリン(IKVAV)、およびチロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン(YIGSR)などが挙げられる。細胞接着促進特性を有する他のポリペプチドも、本開示の利益を得る当業者により認識されることになる本発明の範囲内であることが理解されるだろう。科学的理論に制約されることを望まないが、骨芽細胞とKRSRポリペプチドとの接着は、ヘパリン硫酸塩プロテオグリカンを介したメカニズムによって機能すると信じられている。参照により本明細書に組み込まれる、Dee他、J.Biomed.Mater.Res.、1998;40:371−377を参照のこと。
本発明の態様によれば、式Iおよび式IIのモジュール(化合物)は、超巨大環状分子(supermacrocycle)とも呼ばれる部分構造体へと自己組織化し、その部分構造体自体が、水または水溶液中で、分散されたナノチューブ状集合体などのナノメートルスケールの構成物または構造体に自己組織化することになる。本明細書において、超巨大環状分子は、共有結合または非共有結合で結合して環状構造体を形成する、いくつかの有機分子であると定義される。例えば、式Iの化合物は、ロゼットと呼ばれることもある、6量体の環状構造体へと自己組織化する。本発明のモジュールを用いてナノチューブを形成するプロセスは、階層的である。具体的には、まず本発明のモジュールは、超巨大環状分子へと自己組織化し、次にこの超巨大環状分子がナノチューブへと自己組織化する。このような自己組織化は、米国特許第6,696,565号に記載されている。ツイン塩基リンカーを含む式IIの化合物に関し、この化合物もまた、集合して6量体の環状構造体を構築することになる。しかしながら、式IIの化合物の各々に2つの塩基が存在するため、形成される単一の超巨大環状分子は2つの塩基層を含むことになる。
本発明の好ましい態様によれば、式Iおよび式IIの化合物としては、命名法によりC∧Gと呼ばれる、低分子量の合成DNA塩基類似体が挙げられる。Fenniri他、J.Am.Chem.Soc.2001、123、3854−3855を参照のこと。単一C∧Gモチーフと呼ばれるC∧G部分は、ワトソン−クリック型のドナー/ドナー/アクセプターであるグアニン、およびワトソン−クリック型のアクセプター/アクセプター/ドナーであるシトシンを有し、一連の水素結合により加速されて、自己組織化のプロセスを経て、6員の超巨大環状分子またはロゼットを形成する。これらのロゼットのスタッキングにより、非常に高いアスペクト比を有するナノチューブが得られた。本発明の範囲内にある化合物としては、(C∧G)と示される、ツインG∧Cモチーフが挙げられる。単一のC∧Gモチーフと同様に、ツインC∧Gモチーフ(C∧G)もまた、ワトソン−クリック型のドナー/ドナー/アクセプターであるグアニン、およびワトソン−クリック型のアクセプター/アクセプター/ドナーであるシトシンを有し、一連の水素結合により加速されて、自己組織化のプロセスを経て、6員の超巨大環状分子またはツイン構成の環状構造体(ロゼット)を形成する。これらのツインロゼットのスタッキングにより、非常に高いアスペクト比およびより高い安定性を有するナノチューブが得られる。
上述の式Iおよび式IIにより、静電相互作用、スタッキング相互作用、および疎水性相互作用が水素結合によって効果的に調整され、水環境中における螺旋状ナノチューブ構造の階層的な集合および組織化が導かれ得ることが実証されることが理解されるべきである。本発明の範囲内にある螺旋状ナノチューブ構造体としては、全体が式Iの化合物から形成される螺旋状ナノチューブ構造体が挙げられる。本発明の範囲内にある螺旋状ナノチューブ構造体としては、全体が式IIの化合物から形成される螺旋状ナノチューブ構造体が挙げられる。さらに、本発明の範囲内にある螺旋状ナノチューブ構造体としては、1つまたは複数の式Iの化合物および1つまたは複数の式IIの化合物から形成される螺旋状ナノチューブ構造体が挙げられる。例えば、式Iの化合物から形成される特定アミノ酸側鎖または特定ポリペプチド側鎖を有する超巨大環状部分構造体を、式IIの化合物から形成される特定アミノ酸側鎖または特定ポリペプチド側鎖を有する超巨大環状部分構造体とスタッキングしてもよい。式Iの化合物および式IIの化合物から形成されるロゼット部分構造体を、任意の所望の順序でスタッキングして本発明のナノチューブ状構造体を形成してもよい。このように、ナノチューブ状構造体は、特定細胞のナノチューブ状構造体への接着を促進するアミノ酸またはポリペプチドを有する。本発明のこの態様を利用して、ある種の細胞の接着を促進することに特化した、構造的に異なる多種多様なモジュール(すなわち分子)を合成し、巨大環状分子へと自己組織化させ、次いで本発明の方法によりナノチューブ構造体へと自己組織化させることができる。
本発明のある好ましい態様によれば、K側鎖、RGD側鎖およびKRSR側鎖を含むナノチューブが調製される。ナノチューブは、単一塩基(single base)環状構造体およびツイン塩基(twin base)環状構造体から、任意の所望の順序で形成されてもよい。ナノチューブは、1つまたは複数の単一塩基環状構造体、および1つまたは複数のツイン塩基環状構造体を有していてもよい。同様に、本発明の範囲内にあるナノチューブには、ともにスタックされて(すなわち水素結合により順次結合して)ナノチューブを形成する、式Iの化合物から形成される複数の単一塩基環状構造体、および式IIの化合物から形成される複数のツイン塩基環状構造体が含まれることがある。
ある態様によれば、インプラント表面は、本発明のナノチューブ状構造体を含むように修飾される。本発明の範囲内にあるインプラントは、整形外科、軟骨、血管、神経、皮膚、膀胱、および心血管などにおいて、特定の用途および応用性がある。本発明のインプラントを、金属、セラミック、ポリマー、およびコポリマーを含む、当業者に公知の1つまたは複数の材料から成形してもよい。具体的なインプラント材料としては、チタン、ステンレス鋼、Co−Cr−Mo、Ti6A14V、ニチノール、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリウレタン、ポリカプロラクトン、シリコーン、ポリ塩化ビニル、アルミナ、チタニア、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、ジルコニア、酸化亜鉛、および酸化銀などが挙げられる。
ある態様によれば、ナノチューブ状構造体は、コーティングとしてインプラント表面に直接塗布される。コーティングは、ナノチューブ状構造体自体を含んでいてもよく、さらに、ハイドロゲル(ポリHEMAなど)、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、アルミナ、チタニア、ポリマー(ポリ乳酸、ポリウレタン、ポリカプロラクトン、シリコーン、およびポリ塩化ビニルなど)など、当業者に公知のコーティングを形成するための成分を含んでいてもよい。コーティングはさらに、タンパク質(ビトロネクチン、フィブロネクチン、ヘパリンなど)および増殖因子/サイトカイン(TGF−β、IGF、NGF、VEGF、BMPなど)などの細胞増殖促進成分を含んでいてもよい。コーティングはさらに、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、デキサメタゾン、エストロゲン、およびビスホスホネートなどの、薬剤、ホルモン、および抗生物質など、治療的に有益な成分を含んでいてもよい。コーティングを、直接塗布、浸漬、噴霧、塗装、エレクトロスピニング、キャストモールド、熱処理または加熱処理、および回転塗布など、当業者に公知の方法を用いてインプラント表面に塗布してもよい。ある態様によれば、表面上にコーティングを保持するために、細胞塗布前にコーティングを乾燥させる。他の点においては、本発明の範囲内にあるコーティングは、当業者に公知のコーティング組成物および方法を使用して、インプラント表面上に硬化可能であってもよい。
ある態様によれば、骨組織などの組織の修復または再生のための組成物には、式Iの化合物から形成された複数の単一塩基環状構造体から形成される、1つまたは複数のナノチューブが含まれる。式Iの化合物にはリンカーまたはアミノ酸もしくはポリペプチドが含まれている必要がないため、本開示の式Iから形成されるナノチューブは、リンカーまたはアミノ酸もしくはポリペプチドを含む必要がないということが理解されるだろう。他の実施形態によれば、ある態様の組成物は、式IIの化合物から形成された複数のツイン塩基環状構造体から形成される1つまたは複数のナノチューブを含んでいてもよい。式IIの化合物にはリンカーまたはアミノ酸もしくはポリペプチドが含まれている必要がないため、本開示の式IIから形成されるナノチューブは、リンカーまたはアミノ酸もしくはポリペプチドを含む必要がないということが理解されるだろう。他の実施形態によれば、ある態様の組成物は、ともに(すなわち水素結合により順次)スタックされてナノチューブを形成する、式Iの化合物から形成される複数の単一塩基環状構造体と式IIの化合物から形成される複数のツイン塩基環状構造体とから形成される、1つまたは複数のナノチューブを含んでいてもよい。したがって、組成物には、式Iの化合物または式IIの化合物が含まれ、これらは集合して、全体が式Iの化合物からなるナノチューブ、または全体が式IIの化合物からなるナノチューブ、あるいは式Iおよび式IIの化合物の混合物から形成されるナノチューブを構築することができる。本開示のモジュールは、組成物中に、約1ピコグラム/mL〜約1kg/mL、約1ナノグラム/mL〜約1デシグラム/mL、約1マイクログラム/mL〜約1センチグラム/mL、約1ミリグラム/mL〜約1グラム/mL、約0.001mg/mL〜約1ミリグラム/mL、約0.005ミリグラム/mL〜約0.05ミリグラム/mL、および約0.01ミリグラム/mLの量で存在していてもよい。本開示のナノチューブは、組成物中に、約1ピコグラム/mL〜約1kg/mL、約1ナノグラム/mL〜約1デシグラム/mL、約1マイクログラム/mL〜約1センチグラム/mL、約1ミリグラム/mL〜約1グラム/mL、約0.001mg/mL〜約1ミリグラム/mL、約0.005ミリグラム/mL〜約0.05ミリグラム/mL、および約0.01ミリグラム/mL、ならびに重複しているか否かに関わらずその間のすべての範囲および値の量で存在していてもよい。
本開示の組成物はまた、機械的強度を与えるための強化化合物を含んでいてもよい。強化化合物としては、粒状または粉末状のリン酸カルシウムなどのリン酸塩が挙げられる。ある種のリン酸カルシウムとしては、ヒドロキシアパタイト、アパタイト、オキシアパタイト、リン酸八カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、β型リン酸三カルシウム、α型リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸水素カルシウム、およびリン酸二水素カルシウムなど、ならびにリン酸カルシウムの全ての結晶形および非晶形を含む、その混合物が挙げられる。機械的強度を与えるための化合物は、組成物中に、約1ピコグラム/mL〜約1kg/mL、約1ナノグラム/mL〜約1デシグラム/mL、約1マイクログラム/mL〜約1センチグラム/mL、約1ミリグラム/mL〜約1グラム/mL、約0.001mg/mL〜約1ミリグラム/mL、約0.005ミリグラム/mL〜約0.05ミリグラム/mL、および約0.01ミリグラム/mL、ならびに重複しているか否かに関わらずその間のすべての範囲および値の量で存在していてもよい。
本開示の組成物はまた、表面粗さを改善するための化合物を含んでいてもよい。このような表面粗さは、組成物から成形されたインプラントまたは他の構造体の表面に存在する。表面粗さを改善するための化合物としては、ナノ粒子などの、ナノメートルスケールの寸法を有する化合物が挙げられる。このようなナノ粒子としては、ヒドロキシアパタイト、アパタイト、オキシアパタイト、リン酸八カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、β型リン酸三カルシウム、α型リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸水素カルシウム、およびリン酸二水素カルシウムなどのナノ粒子、ならびにリン酸カルシウムの全ての結晶形および非晶形を含むその混合物のナノ粒子など、リン酸カルシウムのナノ粒子が挙げられる。表面粗さを改善するための化合物は、組成物中に、約0.0001%〜約99.9999%、約0.01%〜約75%、約0.1%〜約50%、約1%〜約40%、約2%〜約30%、約5%〜約25%、および約10%〜約20%、ならびに重複しているか否かに関わらずその間のすべての範囲および値で存在していてもよい。ナノ粒子の直径サイズは、約1オングストローム〜約999nm、約10オングストローム〜約500nm、約1nm〜約100nm、約10nm〜約50nm、および約20nm〜約40nm、ならびに重複しているか否かに関わらずその間のすべての範囲および値であってもよい。ある態様によれば、化合物は、機械的強度および表面粗さの両方の性質を与えることができる。機械的強度および表面粗さの両方を与える化合物の例としては、ヒドロキシアパタイトのナノ粒子が挙げられる。ある態様によれば、組成物中のヒドロキシアパタイトのナノ粒子の量を変化させて、組成物から成形されたインプラントに異なる機械的強度特性を与えることができる。
本開示の組成物はさらに、マトリックス材料を含む。適切なマトリックス材料としては、ポリマーおよびハイドロゲルが挙げられる。ポリマーは、非分解性または非侵食性であってもよく、あるいは耐分解性または耐侵食性であってもよい。ポリマーは、生分解性または生体侵食性であってもよい。ポリマーの例としては、マトリックス材料として使用される、ポリ乳酸、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体、ポリグリコール酸、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリカプロラクトン、ポリエチレン、ポリスチレンポリプロピレン、ポリピロール、およびポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)などの1つまたは複数、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。ある態様によれば、組成物は、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)モノマーなど、上述のポリマーのモノマーなどの1つまたは複数の種類の重合性成分、および/またはナノチューブとの組み合わせによりさらに重合可能なポリマー、および機械的強度および/または表面粗さを与えるための化合物を混合することにより調製される。重合性成分は、ナノチューブと機械的強度および/または表面粗さを改善するための化合物とを取り込んだポリマーマトリックスへと重合される。本開示の重合性成分は、組成物中に、約0.0001%〜約99.9999%、約0.01%〜約75%、約0.1%〜約50%、約1%〜約40%、約2%〜約30%、約5%〜約25%、約10%〜約20%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、および約70%〜約90%、ならびに重複しているか否かに関わらずその間のすべての範囲および値の量で存在していてもよい。この態様において、組成物のある実施形態には、硬化物質へと硬化する、硬化性マトリックス材料が含まれる。硬化性マトリックス材料は、硬化して、例えば、その内部に埋め込まれて硬化マトリックスの表面に存在する、ナノチューブおよびヒドロキシアパタイトのナノ粒子とともに、硬化マトリックスを形成する。硬化マトリックスは、例えば、骨欠損または骨が欠損した領域などの組織欠損に類似する所望の鋳型形状、またはプレートおよびネジなど、組織損傷を再建するために使用されるインプラント形状などの、任意の所望の形状をとることができる。硬化性マトリックス材料としては、エネルギー硬化性樹脂などの硬化性樹脂が挙げられる。硬化性マトリックス材料としては、紫外線などによる露光、熱、縮合、または架橋によって硬化可能なマトリックス材料が挙げられる。硬化性マトリックス材料としては、シリコーンをベースとした硬化性材料が挙げられる。
組成物はさらに、開始剤、架橋剤、分散剤、レオロジー調整剤、フィラー;およびタンパク質、サイトカイン、および増殖因子などの生体成分と所望により組み合わせてもよい重合性マトリックスの生成に有用なその他の成分など、重合において一般的な成分を含んでいてもよい。本開示の開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ハロゲン分子、アゾ化合物、および有機過酸化物など、当業者に公知の開始剤が挙げられ、組成物中に、約0.0001%〜約20%、約0.001%〜約10%、約0.01%〜約5%、約0.1%〜約3%、約0.1mg/mL〜約10mg/mL、約1mg/mL〜約5mg/mL、および約2mg/mL〜約3mg/mL、ならびに重複しているか否かに関わらずその間のすべての範囲および値の量で存在していてもよい。本開示の架橋剤としては、ホルマリン、ホルムアルデヒド、およびカルシウム、グルタルアルデヒドなど、当業者に公知の架橋剤が挙げられ、組成物中に、約0.0001%〜約99.9999%、約0.01%〜約75%、約0.1%〜約50%、約1%〜約40%、約2%〜約30%、約5%〜約25%、約10%〜約20%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、および約70%〜約90%、ならびに重複しているか否かに関わらずその間のすべての範囲および値の量で存在してもよい。
組成物はさらに、単糖類、二糖類、水分散性のオリゴ糖および多糖類のような、糖類賦形剤などの賦形剤を含んでいてもよい。
組成物はさらに、カルシウム硫酸塩およびケイ酸カルシウムなどの、当業者に公知のバインダーを含んでいてもよい。バインダーの例としては、水と混合すると反応して硫酸カルシウム二水和物(CaSO.2HO)を生成する硫酸カルシウム半水和物(CaSO.1/2HO)、およびケイ酸三カルシウム(CaO).SiO(またはCaSiO)が挙げられる。
本開示のある態様によれば、例示的な固化組成物には、pHEMA、約20%のHA、約3mg/mLのAIBN、および約0.01mg/mLの式IIの化合物が含まれる。例示的な流動性製剤には、pHEMA、約20%〜30%の水 HO、約2〜3mg/mLのAIBN、および約0.01mg/mLの式IIの化合物が含まれる。流動性製剤中に、任意にHAが存在していてもよい。
ある態様によれば、細胞は、本発明のナノチューブ状構造体で修飾されたインプラント表面に接着することができる。本発明の範囲内にある細胞としては、骨芽細胞、線維芽細胞、内皮細胞、幹細胞、ケラチノサイト、心筋細胞、軟骨細胞、滑膜細胞、間葉系幹細胞、神経幹細胞、島細胞、肝細胞、平滑筋細胞、尿路上皮細胞、神経細胞、およびシュワン細胞などが挙げられる。本発明のコーティングが、従来のインプラント表面を細胞接着および骨結合を強化する生物模倣型のナノ構造体を有するインターフェースに変換する場合、好ましい細胞としては、骨芽細胞が挙げられる。
ある他の実施形態においては、モジュールまたは自己組織化したナノチューブ状構造体を、成分または好適な培地と組み合わせて、注射製剤用組成物またはパテ用組成物を作製することができる。組成物はさらに、タンパク質(ビトロネクチン、フィブロネクチン、ヘパリンなど)、および増殖因子/サイトカイン(TGF−β、IGF、NGF、VEGF、BMPなど)などの細胞増殖促進成分を含んでいてもよい。組成物はさらに、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、デキサメタゾン、エストロゲン、ビスホスホネート類など、薬剤、ホルモン、および抗生物質などの治療的に有益な成分を含んでいてもよい。組成物はまた、放射標識、磁性粒子、蛍光標識、および放射線不透過性標識などの診断において有益な成分を含んでいてもよい。
生物活性剤が存在する場合、生物活性剤は、例えば、骨形成タンパク質(例えば、BMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15)などの増殖因子であってもよく、1つまたは複数の異なる増殖因子がインプラントに含まれていてもよい。増殖因子が含まれる場合、まず手作業で組成物を混合し、次いで増殖因子を含む溶液中に該組成物を浸してもよい。得られる組成物は、予備混合製剤として、エンドユーザに提供されてもよい。
いくつかの実施形態において、インプラントを形成することになる組成物は、I型ウシコラーゲンなどのコラーゲンを含む。他の実施形態においては、コラーゲンは存在しない。さらに、いくつかの実施形態において、インプラントを形成することになる組成物には、ヒドロキシ酪酸および/または架橋アルギネートなどの1つまたは複数の非コラーゲン性線維成分が含まれる。これらの非コラーゲン性線維成分は、骨誘導性を増強することができる。いくつかの実施形態において、組成物は、架橋および非架橋アルギネートの両方を含む。他の実施形態において、組成物は、アルギネートを含んでおらず、架橋アルギネートのみを含むか、または非架橋アルギネートのみを含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、1つまたは複数の生体活性ガラスを含むことがある。生体活性ガラスは一般に、ケイ素、カルシウム、リン、ナトリウム、および酸素元素からなるが、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,103,002号、同第4,775,646号、および同第4,851,046号に記載されるように、ホウ素、カリウム、マグネシウムおよびフッ素などの他の元素を添加して、様々な特性を改変してもよい。代表的な生体活性ガラス組成物は、例えば、40〜52重量%のSiO、10〜50重量%のCaO、10〜35重量%のNaO、2〜8重量%のP、0〜25重量%のCaF、0〜10重量%のB、0〜8重量%のKO、および0〜5重量%のMgOを含むことがある。好ましい例として、商品名BIOGLASS(登録商標)として市販されているある具体的な生体活性ガラス組成物は、約21%のケイ素、18%のカルシウム、18%のナトリウム、3%のリン、および40%の酸素(重量パーセントで)の組成を有する。
さらに、いくつかの実施形態において、インプラントを形成することになる組成物には、ヒト組織由来成分または動物組織由来成分のいずれも含まれていない。このような種類の成分を除くことにより、疾病伝播のリスクを低減させることができ、とりわけコラーゲンを含まない実施形態では、コラーゲン含有製品が禁止されている用途での使用においてこのインプラントが特に有益である。
いくつかの実施形態において、インプラントを形成することになる組成物はまた、水などの液体成分も含むことになる。実際には、成形されて移植される組成物は、使用準備済みの製剤として供給者に提供してもよい。例えば、所望のインプラント形状に成型されることになる組成物を、予め水和してシリンジと同梱してもよく、またはシリンジ中に予め装填してもよい。いくつかの実施形態において、水和は、滅菌水を用いて行われる。
いくつかの実施形態において、インプラントは、手術中に成形および成型して手術部位に合わせられるように、シリンジ中を流動可能であり、且つ、展性および粘着性を有するように設計されている。このような特性が存在するため、医療従事者がそれぞれの適用に用いるインプラントを成形するための期間は、より長くなることになる。したがって、組成物をシリンジから分注し、成型し、次いで所望の部位に手によって挿入することができる。
手術部位において、インプラントを、骨髄穿刺液、自家移植組織、同種移植組織、および合成移植剤の1つまたは複数と組み合わせてもよい。インプラントは、脊椎、整形外科部位、およびCOMFを含む、いくつかの異なる場所において有用であり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明のインプラントは、歯周組織欠損の充填、抜歯槽の充填、嚢胞性欠陥の充填、サイナスリフト、歯槽堤増大術、口腔または顎顔面の増大または再構築、椎体間または後側部への適用、非耐荷力欠陥(non−loaded bearing defects)、および外傷により生じた空隙に対して、特に有用である。これらの適用および他の適用において、インプラントを、内固定して使用しても、内固定せずに使用してもよい。
いくつかの実施形態において、インプラント組成物の成分は、凝固時間が必要ないようになっている。したがって、いくつかの実施形態においては、安定剤(安定化剤としても知られる)がなくてもよい。他の実施形態において、インプラントにはさらに、安定化剤が含まれていてもよく、該安定剤は、リン酸カルシウムを所定時間保存した後に反応させた場合、リン酸カルシウムミネラルを凝固させる材料であってもよい。いくつかの実施形態において、この期間は、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月である。いくつかの実施形態において、この時間枠は、7か月未満、6か月未満、5か月未満、4か月未満、3か月未満、または2か月未満である。
本発明に使用することができる安定化剤の例としては、MgO、MgO、Mg(OH)、MgHPO、MgHPO.3HO、MgHPO.7HO、Mg(PO、Mg(PO.4HO、Mg(PO.8HO、Mg(PO.22HO、MgCO、MgCO.3HO、MgCO.5HO、3MgCOMg(OH).3HO、MgCOMg(OH).3HO、Mg(C.3HO、MgC.2HO、Mg(C.4HO、MgCOCaCO、Mg、Mg(C1223.2HO、Mg(C1427、Mg(C1833、またはMg(CO1835、および/またはその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、好ましい安定化剤は、酸化マグネシウムである。
いくつかの実施形態において、安定化剤は、リン酸カルシウムの総重量に対して、約10ppm〜約60ppm、または約30pm〜約50ppm、または約35ppm〜約45ppmの量で存在する。
いくつかの実施形態において、上述の増殖因子に加えて、または上述の増殖因子の代わりに、以下の添加物、すなわち、タンパク質、X線不透過剤、薬剤、支持フィラー材料または補強フィラー材料、結晶成長調整剤、粘度調整剤、細孔形成剤、およびその混合物の、1つまたは複数が含まれる。
インプラントはまた、1つまたは複数の抗生物質を含んでいてもよい。使用することができる抗生物質の例としては、ニトロイミダゾール系抗生物質、テトラサイクリン類、ペニシリン類、セファロスポリン類、カルバペネム類、アミノグリコシド類、マクロライド系抗生物質、リンコサミド系抗生物質、4−キノロン類、リファマイシン類およびニトロフラントインが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい具体的化合物としては、これらに限定されるものではないが、アンピシリン、アモキシシリン、ベンジルペニシリン、フェノキシメチルペニシリン、バカンピシリン、ピバンピシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、オキサシリン、ピペラシリン、チカルシリン、フルクロキサシリン、セフロキシム、セフェタメト、セフェトラム(cefetrame)、セフィキシム、セフォキシチン、セフタジジム、セフチゾキシム、ラタモキセフ、セフォペラゾン、セフトリアキソン、セフスロジン、セフォタキシム、セファレキシン、セファクロル、セファドロキシル、セファロチン、セファゾリン、セフポドキシム、セフチブテン、アズトレオナム、チゲモナム、エリスロマイシン、ジリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、パルジマイシン、リンコマイシン、バンコマイシン、スペクチノマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、メトロニダゾール、チニダゾール、オルニダゾール、アミフロキサシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、ジフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、テマフロキサシン、オテロマイシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ロリテトラサイクリン、ニトロフラントイン、ナリジキクス酸、ゲンタマイシン、リファンピシン、アミカシン、ネチルマイシン、イミペネム、シラスタチン、クロラムフェニコール、フラゾリドン、ニフロキサジド、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、次サリチル酸ビスマス、コロイド状次クエン酸ビスマス、グラミシジン、メシリナム、クロキシキン、クロルヘキシジン、ジクロロベンジルアルコール、メチル−2−ペンチルフェノール、およびこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
抗生物質は、増殖因子を組み込むのと同様にして、組成物中に組み込んでもよい。さらに、抗生物質は、増殖因子の代わりに含まれていても、または増殖因子に加えて含まれていてもよい。
好ましい抗炎症性化合物には、ステロイド性構造および非ステロイド性構造の両方が含まれる。好ましいステロイド性抗炎症性化合物の非限定的な例としては、ヒドロコルチゾン、コルチゾール、ヒドロキシルトリアムシノロン、α―メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン類、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメサゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオロシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル類、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロン、フルドロコルチゾン、酢酸ジフルオロゾン、フルオシノロン、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびその残りのエステル類(the balance of its esters)、クロロプレドニゾン、酢酸クロロプレドニゾン、クロコルトロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロリニド、フルニソリド、フルオロメトロン、フルペロロン、フルプレドニソロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、プロピオン酸ヒドロコルチゾンシクロペンチル、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンなどのコルチコステロイド類が挙げられる。上述のステロイド性抗炎症性化合物の混合物もまた、使用することができる。
非ステロイド性抗炎症性化合物の非限定的な例としては、ナブメトン、セレコキシブ、エトドラク、ニメスリド、アパゾン、金;ピロキシカム、イソキシカム、メロキシカム、テノキシカム、スドキシカム、およびCP−14,304などのオキシカム類;アスピリン、ジサルシド、ベノリレート、トリリサート、サファプリン(safapryn)、ソルプリン、ジフルニサル、およびフェンドサールなどのサリチル酸類;ジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イソキセパック、フロフェナック、チオピナック、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、ゾメピラク、クリンダナク(clindanac)、オキセピナク、フェルビナク、およびケトロラクなどの酢酸誘導体;メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、およびトルフェナム酸類などのフェナム酸類;イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、およびチアプロフェン酸などのプロピオン酸誘導体;ならびにフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾン、およびトリメタゾンなどのピラゾール類が挙げられる。
抗炎症薬に包含される種々の化合物は、当業者に公知である。非ステロイド性抗炎症性化合物の化学的構造、合成、副作用などの詳細な開示は、各々が参照により本明細書に組み込まれる、Anti−inflammatory and Anti−Rheumatic Drugs、K. D. Rainsford、Vol.I−III、CRC Press、Boca Raton、1985)、およびAnti−inflammatory Agents、Chemistry and Pharmacology 1、R. A. Scherrer他、Academic Press、New York(1974)を含む標準テキストを参照することができる。
これらの非ステロイド性抗炎症性化合物の混合物、ならびにこれらの化合物の薬理学的に許容可能な塩およびエステル類もまた、使用することができる。
さらに、いわゆる「天然」抗炎症性化合物も有用であることがある。このような化合物は、適切な物理的単離および/または化学的単離による、天然原料(植物、菌類、微生物の副産物など)からの抽出物として、適切に得ることができる。そのような化合物の適切な非限定的例としては、キャンデリラロウ、α−ビサボロール、アロエベラ、マンジスタ(Manjistha)(アカネ属の植物、特にルビア・コルディフォリア(Rubia Cordifolia)から抽出)、およびグッカル(Guggal)(コンミフォラ属の植物、特にコンミフォラ・ムクル(Commiphora Mukul)から抽出)、コーラ抽出物、カモミール、ムチサンゴ抽出物;グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、およびその誘導体(塩およびエステルなど)を含むカンゾウ(植物属/種は、グリシリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra))科の化合物が挙げられる。前述の化合物の適切な塩には、金属塩およびアンモニウム塩が含まれる。適切なエステル類には、C−C24、好ましくはC10−C24、より好ましくはC16−C24の、酸の飽和エステル類または不飽和エステル類が含まれる。前述したものの具体例としては、油溶性カンゾウ抽出物、グリチルリチン酸およびグリチルレチン酸自体、グリチルリチル酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸モノカリウム、グリチルリチン酸2カリウム、1−β−グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、および3−ステアリルオキシ−グリチルレチン酸、および3−スクシニルオキシ−β−グリチルレチン酸2ナトリウムが挙げられる。
一般的に、抗炎症性の非ステロイド性薬剤は、疼痛を緩和するため、鎮痛薬の定義内に含まれる。さらに、適切な鎮痛薬としては、例えば、オピオイド類(例えば、モルヒネおよびナロキソンなど)、局所麻酔(例えば、リドカインなど)、グルタミン酸塩受容体アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アゴニスト、アデノシン、カンナビノイド類、コリン作用性受容体アゴニストおよびGABA受容体アゴニスト、および種々の神経ペプチド類など、他のタイプの化合物が挙げられる。種々の鎮痛薬に関する詳細な考察は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、Sawynok他、(2003)Pharmacological Reviews、55:1−20に記載されている。
本開示の化合物はまた、細胞を含んでいてもよい。適切な細胞には、これらに限定されものではないが、都合よく患者の血液または骨髄、あるいは好ましくは患者と免疫的に適合性がある同種の原料に由来する、胚性幹細胞または成体幹細胞などの幹細胞が含まれる。他の適切な細胞には、軟骨形成前駆細胞または骨形成前駆細胞が含まれることがある。当業者は、細胞が遺伝的に改変されていてもよい(特定タンパク質の過剰発現、または特定タンパク質の発現の抑制)ということを理解するだろう。このような遺伝的に改変された細胞を作製する方法は、当業者の知識および専門知識の範囲内である。
本開示の化合物はまた、核酸配列を含んでいてもよい。適切な核酸配列には、限定されるものではないが、タンパク特性を有する少なくとも1つの生理活性因子をコードするcDNA配列が含まれる。これらのcDNAは、それぞれのベクター(AAVなど)内に含まれていてもよい。別の実施形態において、核酸配列は、siRNAまたはshRNA、あるいはこのようなsiRNAまたはshRNAをコードする核酸配列であってもよい。これらのsiRNAおよびshRNAは、例えばTNF、IL−1、IL−6など、炎症性タンパク質遺伝子などの特定遺伝子、およびノギンおよびコーディンなどのBMP阻害タンパク質、ならびに細胞内BMP抑制物質であるSMADSなどの発現を抑制することが好ましい実施形態において使用することができる。当業者は、このような遺伝子のヌクレオチド配列が、これらに限定されるものではないが、Genbankを含む公的にアクセス可能なデータベースから入手可能であることを理解するだろう。さらに、siRNA選択の基準もまた、当技術分野において説明されている。したがって、当業者は、このようなsiRNAまたはshRNAを準備するにあたって、十分な知識および専門知識を有するであろう。
少なくとも1つの生理活性因子を組み込む方法もまた、当技術分野で公知である。ある実施形態においては、移植前に、少なくとも1つの生理活性因子の溶液に組成物を浸してもよい。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの生理活性因子の特性に応じて、移植前に、組成物を1〜60分間溶液に浸してもよい。少なくとも1つの生理活性因子を、本開示の組成物または本開示の組成物を含むインプラント上に、滴下、刷毛塗り、または噴霧してもよい。
少なくとも1つの生理活性因子が細胞を含む場合、細胞を一定量の培地(ダルベッコ改変イーグル培地など)中に再懸濁し、本明細書に記載の組成物とともに培養してもよい。組成物表面の特性に起因して、および、ある例においては、組成物の多孔性に起因して、細胞は、組成物の外部表面および内部空隙に集合することになる。至適な添加条件(loading conditions)(必要に応じて、培地組成、振盪など)は、当業者により簡単に決定することができる。さらに、組成物は、患者の骨髄からの吸引液により湿らせることができ、これにより、組成物内の空隙および孔への骨髄細胞の集合が可能になる。
以下の実施例は、本発明の具体的な実施形態であるが、本発明を限定することを意図するものではない。
実施例1
式IIのポリペプチド機能化ツイン塩基化合物の合成
以下の合成において使用されるすべての試薬および溶媒は、アルドリッチ社、ノバビオケム社、バッケム社、フルカ社、アドバンスドケムテック社のフィッシャーサイエンティフィック社から入手し、さらに精製することなく使用した。試薬グレードのジクロロメタン、メタノール、およびエーテルは、MBraun溶媒精製システムで精製した。ポリペプチドRSR機能化ツイン塩基対モジュール、すなわちKRSR−(C∧G)、およびアミノブタン機能化ツイン塩基対モジュール、すなわちAB−(C∧G)は、図1A〜図1Dに示され、それぞれ図2Aおよび図2Bに示される手順に従って合成した。図1E〜図1Gは、(E)ツイン塩基RNT TB−KRSR;(F)TBL;(G)ツインC∧G塩基が、ロゼットナノチューブへと自己組織化するプロセスを示す。
標準的なFmoc(各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Carpino他、J.Org.Chem.1972;37(22):3404−3409、およびAtherton他、J.Chem.Soc、Chem.Commun.、1978:537−539を参照のこと)固相ペプチド合成を使用して、ワング(Wang)樹脂担持KRSRペプチドを調製した。SPPS(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Merrifield、J.Am.Chem.Soc.1963;85(14):2149−2154を参照のこと)は、迅速なペプチド合成を好収量で可能にする簡便な手順である。この方法は、液相ペプチド合成において一般的な、溶解性、精製、およびラセミ化の問題を排除する。一般に、最初に、保護アミノ酸Fmoc−Lys(Boc)−OHのカルボキシ基を、ワング樹脂上のヒドロキシル基にカップリングした。樹脂に固定されたリジンのFmoc基を、塩基性条件下で除去し、その後、第二のアミノ酸Fmoc−Arg(PBf)−OHと反応させた。同一の手順を、その後のFmoc−Ser(tBu)−OH、Fmoc−Arg(PBf)−OH、およびFmoc−γ−Abu−OHとのアミノ酸カップリングにおいて繰り返した。ワング樹脂担持ペプチド上の末端Fmoc基を除去し、得られた遊離アミンを還元的にC∧Gアルデヒドにカップリングした。強酸性条件下での脱保護および樹脂からの切断により、所望のモチーフKRSR−(C∧G)を得た。
図2Aを参照して、より具体的には、第一のアミノ酸を樹脂に固定するために、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、8mL)中の、Fmoc−アミノ酸(4当量)、p−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(1当量)を、ワング樹脂(1当量)を含む使い捨てのプラスチック製シリンジに注ぎ入れた。樹脂を20分間活性化した後、Ν,Ν’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC、4当量)を容器に添加し、反応混合物を6時間(hr)振盪した。次いで樹脂を真空下で濾過し、各10mLのCHC1、MeOH、DMFで洗浄し、次いで50:50の無水酢酸/ピリジン(5mL、10分間を1回、および20分間を2回)で処理して、未反応のヒドロキシル基をキャップした。次に、樹脂を濾過し、DMF、CHC1、およびMeOHで洗浄し(10mLで3回)、真空下で乾燥させた。樹脂試料上でフルベン−ピペリジン付加物を301nmで分光学的に定量化することにより、置換度(0.52mmol/g)を決定した。
続くアミノ酸を以下の様にカップリングした。20%のピペリジン/DMF中で樹脂をインキュベートすることにより(5mL、5分間を1回、30分間を1回)、Fmoc保護基を除去した。得られたペプチジル樹脂を、各10mLのCHC1、MeOH、DMFで洗浄した。N−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(DIEA、8当量)を、DMF溶液中の、アミノ酸(樹脂添加量に対して4当量)と2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU、4当量)との混合物に添加し、混合物を3分間(min)振盪することにより活性化した。次に、得られた混合物をペプチジル樹脂に添加し、3時間(h)振盪した。次いでペプチジル樹脂を排水して、各10mLのCHCI、MeOHおよびDMFで洗浄した。遊離アミノ基が存在しないことを、カイザー試験(Kaiser test)により確認した(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kaiser他、Anal.Biochem、1970、24、595−598を参照のこと)。20%のピペリジン/DMF中で、樹脂をインキュベートすることにより(5mL、5分間を1回、30分間を1回)、Fmoc保護基を除去した。得られたペプチジル樹脂を、各10mLのCHC1、MeOH、およびDMFで洗浄した。
KRSR−(C∧G)を調製するために、ワング樹脂担持KRSRペプチドを、C∧Gアルデヒド1(図2A)にカップリングした。C∧Gアルデヒド1(樹脂添加量に対して4当量)を、1,2−ジクロロエタン(1,2−DCE、5mL)中のペプチジル樹脂に添加し、混合物を4時間振盪した。次いで、NaBH(OAc)(2当量)およびDIEA(4当量)を混合物に添加して混合物を36時間振盪し、その後さらに2当量のNaBH(OAc)および4当量のDIEAを添加して、さらに36時間振盪した。樹脂を排水し、得られたペプチジル樹脂を、CHC1、MeOH、およびDMF(各10mLで4回)で洗浄し、真空下で乾燥させた。樹脂からの切断および脱保護は、樹脂を95%のTFA/水で2時間処理することにより達成された。ビーズをセライトで濾過し、得られた濾液を粘稠液に濃縮した(ロータリーエバポレータ)。次いで冷たいEtOを、遠心分離により単離された未精製KRSR−(C∧G)の沈殿に添加した。上清液をデカンテーションにより除去した。残った固体をEtO中で再懸濁し(15mLを2回)、超音波処理し、遠心分離した。沈殿物を乾燥させて、オフホワイトの粉末である所望のKRSR−(C∧G)を得た。
C∧Gアルデヒドおよびt−ブチル−4−アミノブチルカルバメートから、2回の連続した還元的アミノ化反応の後にすべての保護基を除去する事によりモジュールAB−(C∧G)を調製するために、合成スキーム(図2B)を行った。具体的には、AB−(C∧G)を調製するために、市販のアミン2(1.00g、1.57mmol)を、1,2−DCE(10mL)中のC∧Gアルデヒド1(0.148g、0.784mmol)溶液に、窒素下、室温で添加し、30分間撹拌した。NaBH(OAc)(0.395g、1.88mmol)を添加し、得られた混合物をさらに15時間撹拌した。反応混合物をCHC1(50mL)で希釈し、次いで水(10mL)、鹹水(15mL)で洗浄し、NaS0で乾燥し、濃縮した(ロータリーエバポレータ)。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0〜10%のMeOH/EtOAc)の後、白色泡状の化合物3(1.36g、93%)が得られた。次いでC∧Gアルデヒド1(0.100g、0.155mmol)を、1,2−DCE(10mL)中のモノマー3(0.126g、0.155mmol)溶液に窒素下、室温で添加し、30分間撹拌した。NaBH(OAc)(0.039g、0.186mmol)を添加し、得られた混合物をさらに15時間撹拌した。反応混合物をCHC1(50mL)で希釈し、水(10mL)、鹹水(15mL)で洗浄し、NaS0で乾燥し、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0〜50%のEtOAc/ヘキサン)の後、白色泡状の化合物4(0.204g、91%)が得られた。化合物4(0.106g、0.074mmol)を、95%のTFA/チオアニソール(10mL)中で72時間撹拌した。次いでEtO(60mL)を反応混合物に添加し、生じた沈殿物を遠心分離で沈下させた。残った固体をEtO中に再懸濁し、超音波処理し、遠心分離で沈下させた。この手順を、EtO洗浄液中にUV活性生成物が(シリカプレート上にスポットすることにより)検出されなくなるまで繰り返した。得られたAB−(C∧G)のTFA塩を乾燥させ、次いで1Mの塩酸(10mL)中に溶解し、その後減圧下で溶媒を除去した。この手順を二度繰り返した後、固体を真空下で72時間乾燥させ、定量的収量のオフホワイト粉末のAB−(C∧G)のHCl塩を得た。
実施例2
水中でのロゼッタナノチューブ(RNT)の自己組織化
機能化ツイン塩基AB−(C∧G)から組織化したRNT、およびRSR−(C∧G)から組織化したRNT(それぞれAB−RNTおよびRSR−RNTと呼ぶ)のストック溶液(1mg/mL)は、対応するモチーフ(TFA塩として単離されたAB−(C∧G)またはHCl塩として単離されたAB−(C∧G))を脱イオン水(dHO)中に溶解することにより調製した。次いでストック溶液を、比較目的のために、0.1mg/mL溶液および0.01mg/mL溶液に希釈した。RGD−C∧GおよびK−C∧Gは、先に報告されているとおりに調製した(各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Fenniri他、J.Am.Chem.Soc.2001;123:3854−3855、およびZhang他、Biomaterials 2009;30(7):1309−1320を参照のこと)。K−RNTは、機能化単一塩基K−C∧Gから組織化されたRNTを指す。K99/RGD−RNTおよびK95/RGD−RNTは、それぞれ99%および95%のモル比で、単一塩基K−C∧Gと単一塩基RGD−C∧Gとから共構築されたRNTを指す。すべてのRNT溶液は、0.22μmシリンジフィルターで濾過した。
実施例3
KRSR−(G∧C)およびAB−(G∧C)の特性解析
KRSR−(C∧G)、AB−(C∧G)、およびこれらの中間体分子のすべてを、H/13C NMR分光法、高解像度エレクトロスプレーイオン化質量分析法(HR EI−MS)、および元素分析によって特性解析を行った。H/13Cスペクトルは、内部基準として溶媒を用いて、カナダ国立ナノテクノロジー研究所またはアルバータ大学化学科のVarian Inova NMR分光計(500MHzまたは600MHz)で記録した。NMRデータは、以下のように示す。化学シフト値、ピークの帰属、多重度、結合定数、および積分値。質量スペクトルは、アルバータ大学化学科の質量分析研究室から得た。以下の表1および表2に、これらのデータを要約する。
透過型電子顕微鏡(TEM)画像を用いて、種々の単一塩基RNT形態およびツイン塩基RNT形態の特性解析を行った。前述のとおり(参照により本明細書に組み込まれる、Zhang他、J.Org.Chem.1972;37(22):3404−3409を参照のこと)、炭素コーティングされた400メッシュの銅グリッド(EM Sciences社、ペンシルバニア州)を、各RNT(0.1mg/mLまたは0.01mg/mL)のdHO液滴上に2分間浮かべ、RNTを吸収させた。次いでグリッドをdHO液滴上に20秒間置いて過剰な未付着RNTを除去し、その後、2%の水性酢酸ウラニルの第二の液滴上に20秒間置いてRNTを陰性染色した。次いでグリッドを濾紙で乾燥させ、120kVの加速電圧下、Philips EM410で画像化した。KRSRペプチド(C∧G塩基にカップリングしていない)もまた、対照実験として画像化した。
C∧Gモチーフ上の側鎖に関わらず、得られたすべてのRNTは、高アスペクト比のナノ構造を示した(図3)。TEM画像により、ツイン塩基外面に結合したより嵩高いKRSR部分に起因して、KRSR−RNTの直径が、AB−RNT(3.5±0.2nm)(図3C〜D)と比較してより大きいこと(4.4±0.2nm)(図3A〜B)が示された。K−RNTおよびK95/RGD−RNT(図3E〜F)は、直径が3.4±0.3nmであった。想定どおり、KRSRペプチドを有する対照試料は、いずれの1D形態も示さなかった(図3G)。
走査型電子顕微鏡(SEM)画像化のため、ツイン塩基(0.5mg/mL)を室温で約2分間超音波処理し、dHO中に溶解した。溶液を0.25μmワットマン濾過膜で濾過し、(自己組織化を促進するため)沸騰するまで加熱し、一日熟成させた。画像化の前に、溶液をdHOで0.025mg/mLに希釈した。SEM試料は、炭素コーティングされた400メッシュの銅グリッドを、希釈RNT溶液の液滴上に10秒間浮かべることにより調製した。グリッドをブロットし、2%酢酸ウラニルの液滴上に10秒間浮かべた。次いでRNTコーティングされたグリッドを風乾し、ホットプレート(100℃)上で15分間加熱し、その後、高解像度Hitachi S−4800SEMで画像化した。
原子間力顕微鏡(AFM)画像化のため、希釈RNT溶液(0.05mg/mL)一滴を、新たに切断した雲母基板(1cm)上に10秒間置き、濾紙を使用して余分な溶液をブロットした。Eスキャナーを備えたデジタル・インスツルメンツ社/ビーコ・インスツルメンツ社のMulti Mode Nanoscope IV AFMをタッピングモードで使用して、試料表面を画像化した。4.5N/mの低ばね定数を有するシリコンカンチレバー(米国マイクロマッシュ社)、0.5〜1Hzの走査速度、および1Vの振幅設定値を用いた。
SEM画像およびAFM画像により、KRSR−RNTおよびAB−RNTの両方について、高密度のナノチューブネットワークが明らかになった(図4)。KRSR−RNTの平均長は、AB−RNTの平均長より短く、ペプチドの嵩高さがスタッキングの程度に影響を与え、それによりRNTの長さにも影響を与えることが示唆される。
実施例4
チタン基板上のRNTコーティングの調製
チタン(Ti)(1cm×1cm×0.05cm)(アルファ・エイサー社、Ti foil)およびカバーガラスを、アセトンに15分間浸し、アセトン中で15分間超音波処理し、dHOですすいだ。次いでこれらを70%エタノール中に浸して超音波処理し、dHOですすいだ。最後に、これらをさらに15分間dHO中に浸して超音波処理して、すすいだ。次いでガラスを1MのNaOH中で1時間エッチングし、dHOで完全にすすいだ。すべてのチタンおよびカバーガラスを、一晩オーブンで乾燥させ、滅菌のために高圧滅菌処理した。細胞を播種する前日に、種々のRNT(0.01mg/mL)溶液およびKRSRペプチド(0.01mg/mL)溶液で、清浄したチタン基板を室温で45分間コーティングした。次いでこれらを溶液から取り出し、一晩風乾した。
実施例5
骨芽細胞、繊維芽細胞、および内皮細胞の培養
ヒト胎児骨芽細胞株(ATCC、CRL−11372、バージニア州)を、10%ウシ胎児血清(FBS、ハイクロン社、ユタ州)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S、ハイクロン社、ユタ州)を補充した、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、インビロジェン社)中、標準的な細胞培養条件下(37℃、加湿、5%CO大気中)で培養した。実験では、集団数8〜11までの細胞を、さらに特性解析することなく使用した。
ラットの皮膚線維芽細胞株(FR、ATCC、CRL−1213)を、10%FBSを補充した、イーグル最小必須培地(EMEM、ATCC 30−2003)中、標準的な細胞培養条件下で培養した。ラット大動脈内皮細胞(RAEC、ベックテクノロジーズ社(VEC Technologies))を、MCDB−131完全培地(ベックテクノロジーズ社)中、標準的な細胞培養条件下で培養した。培養中、線維芽細胞は、集団数6〜9で使用し、内皮細胞は、集団数6〜11で使用した。細胞培地は、一日置きに交換した。
実施例6
骨芽細胞、繊維芽細胞、および内皮細胞の接着
骨芽細胞、線維芽細胞、および内皮細胞を、3500細胞/cmの密度で基板上に播種し、細胞培養培地(具体的には、骨芽細胞については、FBSおよびP/Sを補充したDMEM、線維芽細胞については、FBSを補充したEMEM、内皮細胞については、MCDB−131完全培地)中で4時間インキュベートした。次いで、リン酸緩衝食塩水(PBS)で、基板を3回すすぎ、未接着の細胞を除去した。残った細胞を、10%標準緩衝ホルムアルデヒド(フィッシャーサイエンティフィック社)を10分間、0.1%TritonX−100(シグマアルドリッチ社、ミズーリ州)を5分間使用して固定した。次いで、細胞伸展を調べるため、細胞をローダミン・ファロイジン(F−アクチンフィラメントを染色、モレキュラープローブ社)で染色し、さらにDAPI(インビトロジェン社)で染色した。蛍光顕微鏡(Axiovert 200M、ツァイス社)を使用して細胞を観察し、各試料について5つの異なる領域を画像化した。次いでImage Pro Analyzerを用いて細胞を計測して細胞密度を決定した。全ての細胞実験は、各基板について三重測定で3回繰り返した。
データは、平均値±平均値の標準誤差で表し、スチューデントt検定で分析してペアワイズ比較を行った。p<0.1で統計的有意性があるとした。
実施例7
骨芽細胞の接着は、コーティングされていない基板上と比べて、コーティングされた基板上でより大きい
チタン上にコーティングされたRNTは全て、コーティングされていないチタンと比較して、4時間後、有意に骨芽細胞の接着を増強した(p<0.01)(図5)。ナノチューブKRSR−RNTは、K−RNT、AB−RNT、およびコーティングされていないチタンと比較して、骨芽細胞の接着を大きく改善した。コーティングされていないチタンと比較して、0.01mg/mLのKRSR−RNTでコーティングされたチタンおよびK95/RGD−RNTでコーティングされたチタンは、骨芽細胞の接着をそれぞれ122%および124%改善した。実際、KRSR−RNTおよびK95/RGD−RNTは、チタン上で骨芽細胞密度を最も大きく促進した。さらに、チタン上のKRSRペプチドのみでも、コーティングされていないチタンと比較して、骨芽細胞の細胞接着が促進された。AB−RNT、K99/RGD−RNT、およびK−RNTの間に、統計的有意差はなかった。
さらに、チタンがKRSR−RNTでコーティングされた場合、KRSRでコーティングされた場合より多くの骨芽細胞がチタンに接着した。具体的には、KRSR−RNTでコーティングされたチタン上の骨芽細胞の接着は、KRSRペプチドのみでコーティングされたチタン上の骨芽細胞の接着よりも、84.4%高かった。さらに、骨芽細胞は、RNTコーティングされたチタン上で、コーティングされていないチタンと比較して、より伸張した糸状仮足を伴いより伸展した(図6)。
実施例8
コーティングされた基板は、繊維芽細胞の接着を増大しない
コーティングされていないチタンと比較して、KRSR−RNT、K99/RGD−RNT、K−RNT、およびAB−RNTは、4時間後の繊維芽細胞の接着を変化させなかった(図7)。AB−RNTを、HClおよびAB−(C∧G)のTFA塩から構築した。これらの2つの型のRNTによる線維芽細胞の接着における差異は、これらの対イオンが異なることと関係している可能性がある。骨芽細胞の接着に対する影響とは対照的に、KRSRペプチドは、チタン上の線維芽細胞の接着を増強しなかった。本発明のある態様によれば、KRSRを取り込んだナノチューブは、細胞選択性および整形外科用途における有用性をもたらす。最後に、全ての基板上において、円形の線維芽細胞からの多くの小さな糸状仮足の伸長が見られ、チタンコーティングに関わらず、線維芽細胞が伸展することを示す(図8)。
実施例9
ある種のRNTは、内皮細胞の接着を増大する
図9に示されるように、RNT(KRSR−RNTを除く)コーティングされたチタン上で、コーティングされていないチタンと比較して、4時間後、有意に内皮細胞密度が高くなった。また、AB−RNT(HCl)でコーティングされたチタンは、他のすべての基板と比較して、内皮細胞の接着を大きく促進した。さらに、KRSR−RNTでコーティングされたチタンと比較して、K−RNTでコーティングされたチタンおよびB−RNT(HCl)でコーティングされたチタン上に、より多くの内皮細胞が接着した。KRSR−RNTでコーティングされたチタンおよびKRSRペプチドでコーティングされたチタンは、内皮細胞の接着を増強しなかった。本発明のある態様によれば、KRSRを取り込んだナノチューブは、選択的に骨芽細胞の接着を促進する。内皮細胞の伸展した形態を図10に示す。図10により、K−RNTおよびRGD−RNTの内皮細胞接着に対する優れた細胞適合特性、ならびにKRSR−RNTの骨芽細胞接着のみに対する選択性が示される。したがって、多数のK側鎖またはRGD側鎖を有するナノ構造のRNTコーティングの薄膜により、通常のチタンの表面化学および表面粗さが改変され、内皮細胞の接着強化に有利な環境がもたらされる。本発明のある態様によれば、内皮細胞の接着および整形外科用インプラント周囲に形成される骨内の新生血管の成長を促進する、K側鎖またはRDG側鎖を含んでナノチューブが形成される。ナノチューブはまた、骨芽細胞の接着を促進するKRSR側鎖を含んでいてもよい。K側鎖、RDG側鎖およびKRSR側鎖の組み合わせを有するナノチューブは、骨芽細胞および内皮細胞の選択的な接着を促進し、整形外科用途において有用な新しい骨組織の形成をもたらす。
実施例10
ヒドロキシアパタイトナノ粒子の合成
ヒドロキシアパタイト(HA)ナノ粒子を、以下の式に従って、NHOH溶液(pH>10)中で(NHHPOおよびCa(NOを撹拌することにより合成した。
10Ca(NO+6(NHHPO+8NHOH=Ca10(PO(OH)+6HO+20NHNO
サイズ分布を狭くするため、反応を4℃で行った。まず、30mLの0.6Mリン酸アンモニウム溶液を、NHOHにより調整した300mLの塩基性の水(pH>10)に添加した。次いで30mLの0.6Mカルシウム硝酸塩を3mL/分で滴加した。10分間撹拌した後、沈殿物を5000rpmで5分間遠心分離することにより、3回洗浄した。次いで、HA沈殿物をテフロンライナー中で、200℃で20時間水熱処理した。水熱処理後、沈殿物を脱イオン水で1回洗浄し、80℃のオーブンに一晩置いた。
実施例11
ナノチューブを含有複合物の合成
ナノチューブ複合物、機械的強度および/または表面粗さを与えるための化合物、ならびにポリマーマトリックスを、以下のように調製した。様々なHAナノ粒子濃度(2%、10%、20%)の複合物の重合プロセスを、超音波処理または60℃のオーブンによって、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)により開始した。具体的には、5mLのHEMA、脱イオン水、およびHAナノ粒子粉末の混合物を、20分間超音波処理し、その後、0.01mg/mLの式IIのTBL分子(Xは、窒素、Rは、メチル、Rは、存在せず、Yは、存在しない)、および3mg/mLのAIBN開始剤を添加した。最後に、試料が完全に固化するまで、超音波処理器または60℃のオーブンで複合物を加熱した。
オーブン、水浴、超音波処理、またはマイクロ波を含む4つの加熱方法による、TBL/HA/pHEMA複合物(100%HEMA、2%HA、3mg/mLのAIBN、0.01mg/mLの式IIのTBL分子(Xは、窒素、Rは、メチル、Rは、存在せず、Yは、存在しない))の重合時間を比較した。次いで、超音波処理(60℃、強度5)を使用した試料(チューブあたり400μL)、およびマイクロ波処理(700W、50秒、出力5)を使用した試料(チューブあたり400μL)の温度プロファイルを、デジタル温度計を使用して試験した。
表1に示されるように、従来のオーブンおよび水浴と比較して、超音波処理およびマイクロ波処理は、迅速な熱伝導プロセスにより、固化時間を40分超から数分へと減少させることができる。
図11に示されるように、超音波処理(図11a)またはマイクロ波加熱(図11b)による試料の温度プロファイルは、60〜70℃の類似した温度範囲にある。水を含まない複合物に関しては、開始段階から固化までのウィンドウ時間は、非常に短い(約1分間)。
時間および最終形態を含む固化特性は、複合物中の1つの成分(AIBN開始剤または水の濃度)を変化させて調べることにより調べた。試料(400μL)をBDシリンジに入れ、水浴超音波処理器中、60℃で加熱した。次いで固化時間および注入形態を記録した。
図12は、水の量(図12a)およびAIBN開始剤の濃度(図12b)の関数としての固化時間の結果を示す。固化時間は、水の含有量の増加またはAIBN開始剤濃度の減少に伴って長くなった。さらに、低AIBN濃度と高水含有量の組み合わせにより、複合物の機械的強度が減少し、ウィンドウ時間が増加した。
実施例12
AFMによる走査
AFM実験のため、実施例11のTBLを、メタノール中で0.025mg/mLに希釈した。清浄な雲母基板を準備し、0.05〜0.25mg/mLの溶液を2000rpmで20秒間回転塗布することにより、試料を基板上に被覆した。試料表面を、Eスキャナーを備えたデジタル・インスツルメンツ社/ビーコ・インスツルメンツ社のMulti Mode Nanoscope IV AFMを使用して観察した。本実験における最適高さプロファイルを得るため、4.5N/mの低ばね定数を有するシリコンカンチレバー(米国マイクロマッシュ社)をタッピングモードで使用した(TM−AFM)。表面からの明瞭な画像を得るため、測定の間、低い走査率(0.5〜1Hz)および振幅設定点(1V)が選択された(Moralez他、2005)。
図13は、実施例11のツイン塩基リンカーから形成されたナノチューブの原子間力顕微鏡画像である。
実施例13
SEM画像化
試料表面(100%HEMA、3mg/mLAIBN、0.01mg/mLの実施例11のTBL、HA(2%、10%、20%))をまず、金層でコーティングした。次いで、複合物の表面特性解析および孔径を、200nmおよび100μmのスケールで、SEM(LEO 1530−VP)により観察した。
図14に示されるように、複合物中のHA比率が増加すると、より多くのHAナノ粒子が表面にクラスター化し、その結果、ナノ粗さがより大きくなる。表面トポグラフィーは、タンパク質および細胞の接着、細胞移動、配向性、形態、および遺伝子発現にさえ関連するため、HAナノ粒子によりもたらされるナノ粗さにより、骨とインプラントとの間の骨結合が促進される。
図15に示されるように、複合物は、多孔性を示し、これにより、移植された複合物中への組織成長、および移植された複合物を介した組織成長が促進される。孔径は、直径約1オングストローム〜約999ミクロンであってもよい。孔の密度は、約0.0001%〜約99.9999%であってもよい。
実施例14
機械的特性
圧縮特性および引っ張り特性を、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、ASTM規格のD695−10:硬質プラスチック圧縮特性の標準試験方法、およびD638−10:プラスチック引っ張り特性の標準試験方法に従って試験した。固化複合物試料は、上記の方法に従って調製した。Instron 5882機械的試験システムを使用して、1.3mm/分のスピードで、シリンダー試料(直径12.7mmおよび高さ25.4)の圧縮曲線を試験した。
図16に示されるように、実施例11のTBLから形成されたナノチューブを含む複合物の機械的特性は、HA成分により調整可能であり、HAの重量比率に伴って圧縮強度が増大した。20%HA複合物は、最高強度42.7MPaを有し、これは、成形外科の耐荷重性用途において好適である。ある態様によれば、複合物の圧縮強度は、約0.001MPa〜約1000GPaである。TEM画像化による複合物の平均孔径は、90.1μmである。
実施例15
細菌調査
細菌試験のため、PMMAおよび純粋pHEMAを対照群とし、3種類の細菌株(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、および緑膿菌)を、96ウェルプレート中の試料表面において、37℃で1時間、5%COのインキュベータでインキュベートした。インキュベート後、試料を脱イオン水ですすぎ、次いで細菌増殖アッセイを3時間行った。
図17に示されるように、細菌調査において、PMMAおよび純粋pHEMA試料と比較して、実施例11のTBLから形成されたTBLナノチューブおよびHAナノ粒子の添加は、細菌の接着を変化させなかった。また、pHEMA、TBL、HAまたはPMMA群間で、識別可能な差異はなかった。
実施例16
分解
3mg/mLのAIBNを有する100%HEMA溶液、実施例11のTBL(無し、0.01mg/mL)、およびHAナノ粒子(2%、20%)を、上記のように調製した。最初に、乾燥固化試料の重量を記録した。次に、各群の4つの試料を、50mL遠心分離チューブに脱イオン水とともに入れ、37℃のインキュベータ中に、7日間、30日間、および60日間置いた。所定時間の後、試料を乾燥させて再度測定し、重量の減少を算出した
図18および図19に示されるように、7日目および30日目の分解度試験により、すべての試料におけるわずかな重量減少が示された。30日後、実施例11のTBL分子のナノチューブとともに2%HAを含む試料は、最も大きく重量が減少した。
実施例17
細胞培養
ヒト胎児骨芽細胞株(ATCC、CRL−11372、バージニア州)を、10%ウシ胎児血清(FBS、ハイクロン社、ユタ州)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S、ハイクロン社、ユタ州)を補充した、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、インビロジェン社)中、標準的な細胞培養条件(37℃、加湿、5%CO/95%大気)下で培養した。実験では、集団数3までの細胞を、さらに特性解析することなく使用した。
標準的な毒性調査のために、ラット皮膚線維芽細胞株(FR、ATCC、CRL−1213)を、10%FBSを補充したイーグル最小必須培地(EMEM、ATCC、30−2003)中、標準的な細胞培養条件下で培養した。ラット大動脈内皮細胞(RAEC、ベックテクノロジーズ社)は、MCDB−131完全培地(ベックテクノロジーズ社)中、標準的な細胞培養条件下で培養した。線維芽細胞は、集団数6〜9で使用した。繊維芽細胞および内皮細胞の毒性は、使用した濃度では影響を受けず、これにより、組成物が種々の濃度において毒性がないことが実証される。
実施例18
骨芽細胞および繊維芽細胞の接着密度
骨芽細胞および線維芽細胞を、3500細胞/cmの密度で基板上に別々に播種し、細胞培養培地(具体的には、骨芽細胞については、FBSおよびP/Sを補充したDMEM、線維芽細胞については、FBSを補充したEMEM)中で4時間インキュベートした。次いで上述のように作成した基板を、リン酸緩衝食塩水(PBS)で3回すすぎ、未接着の細胞を除去した。残った細胞を、10%標準緩衝ホルムアルデヒド(フィッシャーサイエンティフィック社)を10分間、0.1%TritonX−100(シグマアルドリッチ社、ミズーリ州)を5分間使用して、固定した。次いで、細胞伸展を調べるため、細胞をローダミン・ファロイジン(F−アクチンフィラメントを染色、モレキュラープローブ社)で染色し、さらにDAPI(インビトロジェン社)で染色した。蛍光顕微鏡(Axiovert 200M、ツァイス社)を使用して細胞を観察し、各試料について5つの異なる領域を画像化した。Image Pro Analyzerを使用して細胞を計測して細胞密度を決定した。全ての細胞実験は、各基板について三重測定で3回繰り返した。全ての細胞実験は、各基板について三重測定で3回繰り返した。
図20は、実施例11のツイン塩基リンカーモジュールから形成されたナノチューブと組み合わせたヒドロキシアパタイトの増加に伴う、骨芽細胞密度の増加と線維芽細胞密度の減少を示す。
実施例19
骨芽細胞の増殖
骨芽細胞を上述のように調製し、基板表面にランダムに播種し、標準的な細胞培養条件下でより長期間(1日間、3日間、および5日間)培養した。骨芽細胞の増殖は、Hoeschst33258染料(シグマ社)および蛍光分光光度計(ミルトン・ロイ社、Fluorospectronic)を使用して、パパイン消化物中のDNA量を測定することにより評価した。実験試料中の細胞数は、既知数の細胞(アッセイ感度は、約1,000個)あたりのDNA量と相関する標準曲線から決定した。このような長期間における増殖を、細胞密度(単位表面積あたりの細胞)として記録した。
図21は、実施例11のツイン塩基リンカーモジュールから形成されたナノチューブと組み合わせたヒドロキシアパタイトの含有量増加に伴う、骨芽細胞増殖の増大を示す。
実施例20
骨芽細胞の分化
骨芽細胞を上述のように調製し、基板表面上にランダムに播種し、標準的な細胞培養条件下で、より長期間(1日間、3日間、および5日間)培養した。骨芽細胞の増殖は、Hoeschst 33258染料(シグマ社)および蛍光分光光度計(ミルトン・ロイ社、Fluorospectronic)を使用して、パパイン消化物中のDNA量を測定することにより評価した。実験試料中の細胞数は、既知数の細胞(アッセイ感度は、約1,000細胞)あたりのDNA量と相関する標準曲線から決定した。このような長期間における増殖を、細胞密度(単位表面積あたりの細胞)として記録した。
細胞内の全タンパク質含有量:骨芽細胞(100,000細胞/cm)を基板上に播種し、完全DMEM(すなわち、10%FBS、1%P/S、50μg/mLのアスコルビン酸塩(シグマ社)および10mMのβ−グリセロリン酸(シグマ社)を補充したDMEM)中、標準的な細胞培養条件下で、7日間、14日間、および21日間培養した。培地は、一日置きに交換した。所定期間の終わりに、最初に基板をトリス緩衝生理食塩水(TBS;42mMのトリス−HCl、8mMのトリス塩基、および0.15MのNaClから成り、pH7.4に調整された溶液;化学物質は、全てシグマ社製)で3回すすぎ、次に蒸留水および3回の凍結融解サイクルにより骨芽細胞を溶解した。細胞可溶化物中の全タンパク質含有量は、BCAタンパク質アッセイ試薬キット(ピアスケミカル社)を使用し、製造業者の指示に従って分光光度法で決定した。具体的には、25μLの各試料可溶化液を、200μLの使用試薬(硫酸銅およびビシンコニン酸を含む)とともに、37℃で30分間インキュベートした。次いでこれら試料の吸光度を、分光光度計(SpectroMAX;モレキュラーデバイス社)により、562nmで測定した。基板上で培養された骨芽細胞により合成された細胞内全タンパク質は、実験試料と並行して測定された既知濃度のアルブミンに対する吸光度の標準曲線から決定した。細胞内の全タンパク質合成は、基板表面積により標準化した。
細胞内の全コラーゲン含有量:コラーゲンは、骨の細胞外マトリックスに含まれる周知のタンパク質である。これらの量を決定するため、上述のように細胞可溶化物を調製した。96ウェルプレート(コーニング社)の1ウェルあたり、50μLの骨芽細胞可溶化液を添加した。コラーゲンは、37℃で16時間インキュベートし、次いで乾燥剤(W.A.ハモンド・ドライエライト社(W.A.Hamond Drierite Company LTD.))の存在下、37℃で24時間インキュベートすることにより、プレート上で乾燥させた。その後、96ウェルプレートを蒸留水で3回すすいだ(1回の洗浄あたり1分間、および1ウェルあたり200μL)。100μLの0.1%シリウスレッド染色液(ピクリン酸中のシリウスレッド粉末;シグマ社)を各ウェルに分注し、室温で1時間静置した。その後、各ウェルを、200μLの0.01MのHCl(シグマ社)を用いて、各洗浄あたり10秒間で5回洗浄した。200μLの0.1M NaOH(シグマ社)を各ウェル中に添加し、5分間静置した。最後に、各ウェル中の溶液を混合し、第二のプレートに移し、分光光度計(SpectroMAX;モレキュラーデバイス社)により、540nmでの吸光度を測定した。基板上で培養された骨芽細胞により合成された細胞内全コラーゲンは、実験試料と並行して測定された既知濃度のコラーゲンに対する吸光度の標準曲線から決定した。細胞内全コラーゲンは、基板表面積により標準化した。
図22は、実施例11のツイン塩基リンカーモジュールから形成されたナノチューブと組み合わせたヒドロキシアパタイトの含有量増加に伴う、骨芽細胞による骨芽細胞コラーゲン合成の増加を示す。
アルカリホスファターゼ活性:アルカリホスファターゼは、その合成が、非カルシウム沈着性細胞からカルシウム沈着性細胞への骨芽細胞分化を示す酵素である。アルカリホスファターゼ活性を試験するため、細胞可溶化物を前述のように調製し、市販のアルカリ/酸性ホスファターゼ・アッセイキット(アップステート社)を使用し、製造業者の指示に従って、これらの細胞可溶化物中のアルカリホスファターゼ濃度を決定した。蒸留水上清の一定分量を、まず40mMのNiCl、5mg/mLのBSA、1mMのリンペプチド溶液、およびPnpp Ser/Thr アッセイバッファーと混合し、37℃で10〜15分間インキュベートした。次いでこれらをマラカイトグリーン溶液とともに、室温で15〜20分間インキュベートした。分光光度計(SpectroMAX;モレキュラーデバイス社)により、650nmで吸光度を測定した。基板上で培養された骨芽細胞により合成されたアルカリホスファターゼは、実験試料と並行して測定された既知濃度の第一リン酸カリウムに対する吸光度の標準曲線から決定した。アルカリホスファターゼ活性は、基板表面積により標準化した。
図23は、実施例11のツイン塩基リンカーモジュールから形成されたナノチューブと組み合わせたヒドロキシアパタイトの含有量増加に伴う、骨芽細胞によるアルカリホスファターゼ合成の増加を示す。
細胞外カルシウムの定量:骨芽細胞分化の尺度としてのカルシウム沈着を定量した。上述のように細胞を溶解した後、基板(および基板上の残りのカルシウム沈着物)を、0.6NのHCl(シグマ社)とともに、37℃で一晩インキュベートした。カルシウム定量キット(シグマ社)を使用して、製造業者の指示に従い、酸性の上清に存在するカルシウムの量を定量した。試料の吸光度は、分光光度計(SpectroMAX;モレキュラーデバイス社)を使用して、575nmで測定した。全カルシウム(mg/dL)は、実験試料と並行して測定された既知濃度のカルシウムに対する吸光度の標準曲線から算出した。カルシウム濃度は、基板表面積により標準化した。
図22は、実施例11のツイン塩基リンカーモジュールから形成されたナノチューブと組み合わせたヒドロキシアパタイトの含有量増加に伴う、骨芽細胞による骨芽細胞カルシウム沈着の増加を示す。
上記開示および例示的な実施形態の記載の利益を考慮すると、本明細書で開示される本発明の原則から外れることなく、様々な代替的実施形態および異なる実施形態が可能であることが、当業者には明らかになるだろう。そのような種々の改変および代替的実施形態すべてが、本発明の真の範囲および趣旨に含まれることを、当業者は理解するだろう。本発明は、図および前述の説明において詳細に説明および記載されているが、このような説明および記載は、性質を限定するものではなく例示的なものであるとみなされ、好ましい実施形態のみが示されて記載されていること、および本発明の趣旨の範囲内にある全ての変更および改変の保護が望まれるということが理解されるだろう。添付の請求の範囲は、このような改変実施形態および代替的実施形態の全体を含むよう意図される。本開示および以下の請求の範囲における単数の不定冠詞または定冠詞(例えば、「a」、「an」、「the」など)の使用は、特定の場合においてその用語が明確に唯一を意味すると意図されていることが文脈から明らかでない限り、「少なくとも1つの」を意味する特許における従来の考え方に従うと理解されるべきである。同様に、「含む」という用語は非限定的であり、追加の項目、特徴、構成要素などを除外するものではない。本明細書で特定される参考文献は、特に明記がない限り、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。

Claims (28)

  1. 式IIのモジュールから形成されるナノチューブ、ナノ粒子、マトリックス材料、および所望により式Iのモジュールから形成されるナノチューブを含む組成物を有するインプラントを提供すること、ならびに
    前記インプラントを骨損傷もしくは骨欠損の部位または骨手術部位に配置することを含む、骨損傷もしくは骨欠損の部位または骨手術部位において、骨芽細胞の分化および増殖を促進する方法。

    〔式中、Xは、CHまたは窒素であり;Yは、存在しないか、アミノ酸またはポリペプチドであり;Rは存在しないか、リンカーであり;Rは、脂肪族基である。〕

    〔式中、Xは、CHまたは窒素であり;Yは、存在しないか、アミノ酸またはポリペプチドであり;Rは、存在しないか、リンカーであり、Rは、脂肪族基である。〕
  2. Yがリジン、アルギニン、セリン、グリシン、アスパラギン酸,リジン−アルギニン−セリン−アルギニン、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸、イソロイシン−リジン−バリン−アラニン−バリン、またはチロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニンである、請求項1に記載の方法。
  3. がNH 、以下の基、(CHCO、または(CH(nは、1、2、3、または4の整数)である、請求項1に記載の方法。
  4. が直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記ナノ粒子がリン酸カルシウムのナノ粒子である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記マトリックス材料が、ポリ乳酸、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体、ポリグリコール酸、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリカプロラクトン、ポリエチレン、ポリスチレンポリプロピレン、ポリピロール、またはポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)の1つまたは複数である、請求項1に記載の方法。
  7. 式Iが存在せず、Xが窒素であり、Rがメチルであり、Rが(CHCOであり、Yがリジン−アルギニン−セリン−アルギニンであり、前記ナノ粒子がヒドロキシアパタイトのナノ粒子であり、前記マトリックス材料がポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)である、請求項1に記載の方法。
  8. 以下の式で表される化合物、およびその塩。

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;Yは、リジン以外のアミノ酸、または該アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するポリペプチドであり、該アミノ基はカルボニル基に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
  9. 以下の式で表される化合物、およびその塩。

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;nは、1、2、3、または4の整数であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するポリペプチドであり、該アミノ基は、(CH基の炭素に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
  10. 以下の式で表される化合物またはその塩が水性媒体中で自己組織化することにより形成される構造体。

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するアミノ酸またはポリペプチドであり、該アミノ基は、カルボニル基に共有結合しており(但し、少なくとも1つの化合物において、Yは、リジン以外である);Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
  11. 以下の式で表される化合物またはその塩が水性媒体中で自己組織化することにより形成される構造体。

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;n、は1、2、3、または4の整数であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するポリペプチドであり、該アミノ基は、(CH基の炭素に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
  12. 以下の式

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するアミノ酸またはポリペプチドであり、該アミノ基はカルボニル基に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である〕
    で表される化合物またはその塩の1つまたは複数と、
    以下の式

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;nは、1、2、3、または4の整数であり;Yは、アミノ酸、またはアミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するポリペプチドであり、該アミノ基は、(CH基の炭素に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
    で表される化合物またはその塩の1つまたは複数とが水性媒体中で自己組織化することにより形成される構造体。
  13. 以下の式で表される化合物またはその塩を、ナノチューブが形成されるのに十分な濃度で水性媒体中に配置することを含む、ナノチューブ形成方法。

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するアミノ酸またはポリペプチドであり、該アミノ基は、カルボニル基に共有結合しており(但し、少なくとも1つの化合物において、Yは、リジン以外である);Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
  14. 以下の式で表される化合物またはその塩を水性媒体中に配置することを含む、ナノチューブ形成方法。

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;nは、1、2、3、または4の整数であり;Y、はアミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するポリペプチドであり、該アミノ基は、(CH基の炭素に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
  15. 以下の式で表される化合物またはその塩から形成されるナノチューブで、インプラントをコーティングすることを含む、インプラント製造方法。

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するアミノ酸またはポリペプチドであり、該アミノ基は、カルボニル基に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
  16. 以下の式で表される化合物またはその塩から形成されるナノチューブで、インプラントをコーティングすることを含む、インプラント製造方法。

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;nは、1、2、3、または4の整数であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するポリペプチドであり、該アミノ基は、(CH基の炭素に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
  17. 以下の式

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するアミノ酸またはポリペプチドであり、該アミノ基はカルボニル基に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
    で表される化合物またはその塩の1つまたは複数と、
    以下の式

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;nは、1、2、3、または4の整数であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するアミノ酸またはポリペプチドであり、該アミノ基は、(CH基の炭素に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
    で表される化合物またはその塩の1つまたは複数とから形成されるナノチューブで、インプラントをコーティングすることを含む、インプラントの製造方法。
  18. 以下の式で表される化合物またはその塩から形成されるナノチューブのコーティングを有するインプラントを移植することを含む、インプラント部位における組織成長を促進する方法。

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するアミノ酸またはポリペプチドであり、該アミノ基は、カルボニル基に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖基、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
  19. 以下の式で表される化合物またはその塩から形成されるナノチューブのコーティングを有するインプラントを移植することを含む、インプラント部位における組織成長を促進する方法。

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;nは、1、2、3、または4の整数であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するポリペプチドであり、該アミノ基は、(CH基の炭素に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
  20. 以下の式

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するアミノ酸またはポリペプチドであり、該アミノ基は、カルボニル基に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
    で表される化合物またはその塩の1つまたは複数と、
    以下の式

    〔式中、Xは、炭素または窒素であり;nは、1、2、3、または4の整数であり;Yは、アミノ酸のα−炭素に共有結合したアミノ基を有するアミノ酸またはポリペプチドであり、該アミノ基は、(CH基の炭素に共有結合しており;Rは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルなどの脂肪族基である。〕
    で表される化合物またはその塩の1つまたは複数とから形成されるナノチューブのコーティングを有するインプラントを移植することを含む、インプラント部位における組織成長を促進する方法。
  21. ナノチューブ、機械的強度を与えるための化合物、およびマトリックスを含む組成物。
  22. 前記ナノチューブが、式IIで表される1つまたは複数の化合物あるいは式Iで表される1つまたは複数の化合物から形成される、請求項21に記載の組成物。

    〔式中、Xは、CHまたは窒素であり;Yは、存在しないか、アミノ酸またはポリペプチドであり;Rは、存在しないか、リンカーであり、Rは、脂肪族基である。〕

    〔式中、X、はCHまたは窒素であり;Yは、存在しないか、アミノ酸またはポリペプチドであり;Rは、存在しないか、リンカーであり、Rは、脂肪族基である。〕
  23. Yが、リジン、アルギニン、セリン、グリシン、アスパラギン酸、リジン−アルギニン−セリン−アルギニン、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸、イソロイシン−リジン−バリン−アラニン−バリン、またはチロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニンである、請求項22に記載の組成物。
  24. がNH 、以下の基、(CHCO、または(CH(nは、1、2、3、または4の整数)である、請求項22に記載の組成物
  25. が、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC〜C10アルキルである、請求項22に記載の組成物。
  26. 前記機械的強度を与えるための化合物が、リン酸カルシウムのナノ粒子である、請求項22に記載の組成物。
  27. 前記マトリックス材料が、ポリ乳酸、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体、ポリグリコール酸、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリカプロラクトン、ポリエチレン、ポリスチレンポリプロピレン、ポリピロール、またはポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)のうちの1つまたは複数である、請求項22に記載の組成物。
  28. 式Iが存在せず、Xが窒素であり、Rがメチルであり、Rが(CHCOであり、Yがリジン−アルギニン−セリン−アルギニンであり、前記機械的強度を与えるための化合物がヒドロキシアパタイトのナノ粒子であり、前記マトリックス材料がポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)である、請求項22に記載の組成物。
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