JP2013528389A - 炎症性腸疾患の診断を改善させる方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、GLI1、MDR1、及び/又はATG16L1遺伝子中の1つ又は複数の変異体対立遺伝子の存在又は非存在を検出することによって、炎症性腸疾患(IBD)の潰瘍性大腸炎(UC)亜型を診断するための方法及びシステムを提供する。有利には、本発明では、増加した精度でUCの診断をもたらし、UCとクローン病(CD)とを鑑別することが可能である。
【選択図】 図4
【選択図】 図4
Description
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、その開示がすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、2010年6月4日に出願の米国特許仮出願第61/351,837号、2010年6月11日に出願の米国特許仮出願第61/354,141号、及び2010年10月15日に出願の米国特許仮出願第61/393,588号の優先権を主張するものである。
[0001]本出願は、その開示がすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、2010年6月4日に出願の米国特許仮出願第61/351,837号、2010年6月11日に出願の米国特許仮出願第61/354,141号、及び2010年10月15日に出願の米国特許仮出願第61/393,588号の優先権を主張するものである。
[0002]世界的に発生し、何百万人もの人を患わせている炎症性腸疾患(IBD)は、病因が明らかでない3つの胃腸管系障害、すなわちクローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、及び未確定大腸炎(IC)を表すのに用いられる総称である。IBDは、過敏性腸症候群(IBS)と共に、全米国人の半数がその一生のうちに患うことになり、IBDでは26億ドルを超え、IBSでは80億ドルを超える費用となっている。これらの高い医療費の主な決定要因は、消化器疾患及びこれらの疾患がどのように進行するかの診断が困難であることである。これらの障害を患っている人々が全国平均よりも年間少なくとも8日間追加で仕事を休んでおり、IBD及びIBSの費用は生産性の損失によって悪化している。
[0003]炎症性腸疾患は、腹痛、慢性下痢、体重減少、及び痙攣を含めた多くの症状が過敏性腸症候群と共通しており、決定的な診断が非常に困難となっている。米国においてIBDを患っていると疑われる500万人のうち、100万人のみがIBDに罹患しているとして診断されている。IBDの鑑別診断及びその結果の決定が困難なことで、これらの疾患の早期且つ有効な処置が妨げられる。したがって、IBDの重症度を予後診断するための迅速且つ高感度の試験方法の必要性が存在する。
[0004]IBDの臨床亜型の診断はある程度は進歩しているが、クローン病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)とを鑑別するために使用する方法の必要性が依然として存在する。したがって、UCを診断するため、及びIBDが診断された個体においてCDとUCとを鑑別するための、改善された方法の必要性が存在する。CD患者の70%は最終的にGIの外科手術を必要とするため、将来的に手術を必要とする患者を鑑別する能力は重要である。本発明はこれらの必要性を満たし、関連する利点も提供する。
[0005]特定の態様では、本発明は、炎症性腸疾患(IBD)の潰瘍性大腸炎(UC)亜型を診断するための方法及びシステムを提供する。有利には、本発明では、感度、特異性、陰性予測値、陽性予測値、全体的な精度、及びその組合せなどの改善された臨床的パラメータを用いて、UCの診断及びUCとCDとの鑑別を援助、補助、及び/又は容易にすることが可能である。
[0006]特定の実施形態では、本発明は、試料を分析して、GLI1(たとえばrs2228224及び/若しくはrs2228226)、MDR1(たとえばrs2032582)、並びに/又はATG16L1(たとえばrs2241880)遺伝子中の1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの変異体対立遺伝子(たとえば一塩基多型すなわちSNP)の存在又は非存在を決定することによって、UCを診断する並びに/又はUC及びCDなどのIBDの臨床亜型間を鑑別するための方法及びシステムを提供する。これらの実施形態の特定の態様では、本発明には、UCの診断をさらに改善させるため(たとえばUC診断の感度を増加させることによる)及び/又はUCをCD若しくはICなどの他のIBD亜型から区別することをさらに改善させるために、試料を分析して、たとえばANCA(たとえばELISAによる)及び/又はpANCA(たとえば間接蛍光抗体(IFA)アッセイによる)などの1つ又は複数の血清学的マーカーの存在(若しくは非存在)又は濃度レベルを決定することがさらに含まれていてもよい。
[0007]特定の実施形態では、本発明は、個体(たとえば以前にIBDが診断された個体)から得られた試料を、GLI1(たとえばrs2228224及び/若しくはrs2228226)、MDR1(たとえばrs2032582)、並びに/又はATG16L1(たとえばrs2241880)遺伝子中の1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの変異体対立遺伝子(たとえばSNP)の存在又は非存在について分析することによって、in vitroで行われるアッセイ方法を提供する。好ましい実施形態では、本発明のアッセイ方法は、UCの診断及びUCとCDとの鑑別を援助、補助、及び/又は容易にする。
[0008]本発明の他の目的、特長、及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から当業者に明らかであろう。
[0013]I.導入
本発明は、個体からの生体試料中における特定のマーカーの遺伝子型を決定することによって、UCの診断又はUCとCDの鑑別の精度を実質的に改善させることができるという驚くべき発見に、部分的に基づく。したがって、一実施形態では、本発明は、遺伝子マーカーのパネルに基づいた診断プラットフォームを提供する。
本発明は、個体からの生体試料中における特定のマーカーの遺伝子型を決定することによって、UCの診断又はUCとCDの鑑別の精度を実質的に改善させることができるという驚くべき発見に、部分的に基づく。したがって、一実施形態では、本発明は、遺伝子マーカーのパネルに基づいた診断プラットフォームを提供する。
[0014]特定の態様では、本発明は、UCを診断する及びUCとCD又はICなどのIBDの他の臨床亜型とを鑑別するための方法及びシステムを提供する。特定の実施形態では、本発明の方法及びシステムは、1つ又は複数の(たとえば多数の)遺伝子マーカーを、単独で又は1つ若しくは複数の(たとえば多数の)血清学的及び/若しくはタンパク質マーカーと組み合わせて、並びに単独で又は1つ若しくは複数の(たとえば多数の)アルゴリズム若しくは他の種類の統計分析(たとえば四分位数分析)と組み合わせて利用して、UCを有する患者の同定を援助又は補助し、医師に価値のある診断の見識を提供する。他の実施形態では、本発明の方法及びシステムは、進行疾患を有する患者の治療決定を導くために有用である。
[0015]特定の場合では、本発明の方法及びシステムは、「変換(transformation)」又はそれと関連する「機器」を含む。たとえば、ELISA技法を行って、本明細書中に記載のマーカーのうちの多くの存在又は濃度レベルを測定してもよい。ELISAには、マーカー、たとえば自己抗体の、マーカー(たとえば自己抗体)と結合剤(たとえば抗原)との間の複合体への変換が含まれ、その後、これを標識した二次抗体で測定することができる。多くの場合、標識は、基質を検出可能な生成物へと変換する酵素である。検出可能な生成物の測定は、分光光度計などのプレートリーダーを使用して行うことができる。他の場合では、遺伝子マーカーは、PCRなどの様々な増幅技法を使用して決定する。PCRなどの増幅が含まれる方法ステップは、検出のために核酸の一本鎖又は二本鎖から多重鎖への変換をもたらす。検出には、蛍光光度計などの機器を使用して行う蛍光体の使用を含めることができる。
[0016]II.定義
本明細書中で使用する、以下の用語は、そうでないと別段に指定した場合以外は、それらに帰された意味を有する。
本明細書中で使用する、以下の用語は、そうでないと別段に指定した場合以外は、それらに帰された意味を有する。
[0017]用語「分類すること」には、試料又は病状若しくは予後診断を有する個体を「関連づけること」又は「カテゴリー化すること」が含まれる。特定の場合では、「分類すること」は、統計的証拠、経験的証拠、又は両方に基づいている。特定の実施形態では、分類する方法及びシステムでは、既知の病状又は予後診断を有する個体からの試料の、いわゆる訓練セット(traning set)を使用する。確立された後、訓練データセットは、個体からの未知の試料の特長に対して比較する基礎、モデル、又は鋳型として役割を果たして、個体において未知の病状を分類する又は病状の予後診断をもたらす。一部の例では、「分類すること」とは、病状を診断すること及び/又は病状を別の病状から鑑別することと同種である。他の場合では、「分類すること」とは、病状が診断された個体において病状の予後診断をもたらすことと同種である。
[0018]用語「炎症性腸疾患」すなわち「IBD」には、たとえば、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、未確定大腸炎(IC)などの胃腸管系障害が含まれる。炎症性腸疾患(たとえば、CD、UC、及びIC)は、過敏性腸症候群(IBS)を含めた消化管のすべての他の障害、症候群、及び異常から区別される。表題「炎症性腸疾患の診断方法」の米国特許出願公開第20080131439号及び米国特許出願公開第20100099083号は、どちらもすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている。
[0019]本明細書中で使用する用語「生体試料」、「試料」及びその変形には、個体から入手又は単離した生体検体が含まれる。適切な試料には、たとえば、それだけには限定されないが、血液、全血、血液の一部分、組織、唾液、頬細胞、毛髪、体液、尿、血漿、血清、脳脊髄液、頬側スワブ、粘液、尿、大便、精子、膣分泌物、リンパ、羊水、胸水、涙、任意の他の体液、組織試料(たとえば生検)、及びその細胞抽出物(たとえば赤血球抽出物)が含まれる。好ましい実施形態では、試料は血清試料である。血清、唾液、及び尿などの試料の使用は当分野で周知である(たとえばHashidaら、J.Clin.Lab.Anal.、11:267〜86(1997)を参照)。当業者には、マーカーレベルを分析する前に血清試料などの試料を希釈できることが理解されよう。
[0020]用語「マーカー」には、IBD、CD、若しくはUCの診断の援助、補助、及び/若しくは改善、IBD、CD、若しくはUCの確からしい経過及び結果の予測、並びに/又は疾患からの回復の見込みの予測に使用することができる、任意の生化学的マーカー、血清学的マーカー、遺伝子マーカー、又は他の臨床若しくは超音波検査の特徴が含まれる。そのようなマーカーの非限定的な例には、GLI1(たとえばrs2228224及び/若しくはrs2228226)、MDR1(たとえばrs2032582)、ATG16L1(たとえばrs2241880)、並びに/又はNOD2/CARD15遺伝子中の変異体対立遺伝子などの遺伝子マーカー、抗好中球抗体(たとえばANCA、pANCAなど)、抗サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)抗体(たとえばASCA−IgA、ASCA−IgG)、抗微生物抗体(たとえば抗OmpC抗体、抗I2抗体、抗フラゲリン抗体)、急性期タンパク質(たとえばCRP)、アポリポタンパク質(たとえばSAA)、デフェンシン(たとえばβデフェンシン)、成長因子(たとえばEGF)、サイトカイン(たとえばTWEAK、IL−1β、IL−6)、カドヘリン(たとえばE−カドヘリン)、細胞接着分子(たとえばICAM−1、VCAM−1)などの血清学的マーカー、その組合せが含まれる。一部の実施形態では、マーカーを統計分析と組み合わせて利用して、個体においてIBD、CD、又はUCの診断又は予後診断をもたらす。特定の場合では、診断は、IBD又はCD、UC、若しくはICなどのその臨床亜型であることができる。特定の他の場合では、予後診断は、手術の必要性(たとえば小腸手術を必要とする見込み若しくは危険性)、CD若しくはUCの臨床亜型の発生(たとえば、狭窄性、穿通性、若しくは炎症性のCD亜型などのCD若しくはUCの特定の臨床亜型に罹りやすくなる見込み若しくは危険性)、1つ若しくは複数の臨床学的因子の発生(たとえば、特定の臨床学的因子に罹りやすくなる見込み若しくは危険性)、腸癌の発生(たとえば腸癌に罹りやすくなる見込み若しくは危険性)、又は疾患からの回復(たとえば寛解の見込み)であることができる。
[0021]本発明は、部分的に、個体から得られた試料中の少なくとも1つのマーカーの存在(若しくは非存在)又はレベル(たとえば濃度)を決定することに依存する。本明細書中で使用する用語「少なくとも1つのマーカーの存在を検出すること」には、当業者に知られている任意の定量的又は定性的アッセイを使用することによってそれぞれの目的のマーカーの存在を決定することが含まれる。特定の場合では、特定の形質、変数、遺伝子型、及び/又は生化学的若しくは血清学的物質(たとえばタンパク質若しくは抗体)の存在又は非存在を決定する定性的アッセイが、それぞれの目的のマーカーを検出するために適している。特定の他の場合では、DNA、RNA、タンパク質、抗体、又は活性の存在又は非存在を決定する定量的アッセイが、それぞれの目的のマーカーを検出するために適している。本明細書中で使用する用語「少なくとも1つのマーカーのレベルを検出すること」には、当業者に知られている任意の直接又は間接的な定量的アッセイを使用することによってそれぞれの目的のマーカーのレベルを決定することが含まれる。特定の場合では、たとえばDNA、RNA、タンパク質、抗体、又は活性の相対的又は絶対的な量を決定する定量的アッセイが、それぞれの目的のマーカーのレベルを検出するために適している。当業者には、マーカーのレベルの検出に有用な任意のアッセイが、マーカーの存在又は非存在の検出にも有用であることが理解されよう。
[0022]用語「個体」、「対象」、又は「患者」には、典型的にはヒトが含まれるが、たとえば、他の霊長類、げっ歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ブタなどの他の動物も含まれる。
[0023]用語「臨床学的因子」には、IBD、CD、又はUCに関連づけられている、個体における症状が含まれる。臨床学的因子の例には、それだけには限定されないが、下痢、腹痛、痙攣、発熱、貧血、体重減少、不安、鬱病、及びその組合せが含まれる。一部の実施形態では、IBD、CD、又はUCの診断又は予後診断は、個体から得られた試料を分析して1つ又は複数の統計分析を適用することによって1つ又は複数のマーカーの存在、レベル、又は遺伝子型を決定することと、個体が1つ又は複数の臨床学的因子を有するかどうかを決定することとの組合せに基づいている。
[0024]用語「症状」又は「複数の症状」及びその変形には、個体によって経験される、特定の疾患に関連づけられている又は疾患に伴う、及び疾患の指標としてみなされる、身体機能の任意の感覚、変化又は認知された変化が含まれる。本発明の脈絡における症状を関連づけることができる疾患には、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎(UC)又はクローン病(CD)が含まれる。
[0025]好ましい態様では、本発明の方法は個体がIBDと診断された後に使用する。しかし、他の場合では、本方法は、IBDを診断するために使用することができるか、又は、たとえばIBDが疑われている又は他の方法を使用して以前に診断されている場合は、「第二診断(second opinion)」として使用することができる。好ましい態様では、本方法は、UCを診断する又はUCとCDとを鑑別するために使用することができる。用語「IBDを診断すること」及びその変形には、IBDの存在又は非存在を決定するための、本明細書中に記載の方法及びシステムの使用が含まれる。用語「UCを診断すること」には、UCの存在又は非存在を決定するため、及びUCとCDとを鑑別するための、本明細書中に記載の方法及びシステムの使用が含まれる。また、この用語には、個体における疾患活動性のレベルを評価することも含めることができる。一部の実施形態では、統計分析を使用して、Trueloveら、Br.Med.J.、12:1041〜1048(1955)によって開発された基準に基づいて、軽度、中等度、重度、又は劇症型のIBD又はUCを診断する。他の実施形態では、統計分析を使用して、Hanauerら、Am.J.Gastroenterol.、92:559〜566(1997)によって開発された基準に基づいて、軽度から中等度、中等度から重度、又は重度から劇症の型のIBD又はUCを診断する。当業者は、個体においてIBD又はUCの重症度を評価するための他の方法を知っているであろう。
[0026]特定の場合では、本発明の方法は、IBDを診断する、UCを診断する、又はUCとCDとを鑑別するために使用する。本方法は、疾患の進行及び退行をどちらも監視するために使用することができる。用語「IBD又はUCの進行又は退行を監視すること」には、個体の病状(たとえば、IBDの存在若しくは重症度又はUCの存在)を決定するための、方法及びマーカープロフィールの使用が含まれる。特定の場合では、統計分析の結果を、それより前の時点に同じ個体で得られた結果と比較する。一部の態様では、本発明の方法は、たとえば、試料中の少なくとも1つのマーカーの存在又はレベルに基づいて個体においてIBD又はUCが迅速に又はゆっくりと進行する見込みを決定することによって、IBD又はUCの進行を予測するためにも使用することができる。他の態様では、本発明の方法は、たとえば、試料中の少なくとも1つのマーカーの存在又はレベルに基づいて個体においてIBD又はUCが迅速に又はゆっくりと退行する見込みを決定することによって、IBD又はUCの退行を予測するためにも使用することができる。
[0027]用語「遺伝子」及びその変形は、ポリペプチド鎖の産生に関与しているDNAのセグメントをいい、プロモーター及び3’非翻訳領域などのコード領域のそれぞれ前及び後の領域、並びに個々のコードセグメント(エクソン)の間の介在配列(イントロン)が含まれる。
[0028]用語「遺伝子型」及びその変形は、たとえば二倍体の生物が1つ又は複数の目的の変異体対立遺伝子についてヘテロ接合性であるかホモ接合性であるかを含めた、生物の遺伝子構成をいう。
[0029]用語「miRNA」、「マイクロRNA」又は「miR」及びその変形は、互換性があるように使用され、遺伝子発現を調節する21〜23個のヌクレオチド長の一本鎖RNA分子が含まれる。miRNAはDNAが転写される遺伝子によってコードされているが、miRNAはタンパク質へと翻訳されず(非コードRNA)、その代わりに、それぞれの一次転写物(プリ(pri−)miRNA)は、プレ(pre−)miRNAと呼ばれる短いステム−ループ構造へとプロセッシングされ、最終的には機能的miRNAへとプロセッシングされる。成熟miRは1つ又は複数のメッセンジャーRNA(mRNA)分子と部分的に相補的であり、その主な機能は、遺伝子発現をダウンレギュレーションすることである。本明細書中に記載の実施形態には、診断的及び治療的な応用がどちらも含まれる。
[0030]用語「多型性」及びその変形は、集団中の2つ以上の遺伝子決定された代替配列又は対立遺伝子の発生をいう。「多型部位」とは、分岐が起こる座位をいう。好ましい多型部位は、それぞれが集団中で特定の頻度で発生している少なくとも2つの対立遺伝子を有する。多型座位は1つの塩基対(たとえば一塩基多型すなわちSNP)ほど小さくてもよい。多型マーカーには、制限断片長多型、可変数タンデム反復(VNTR)、超可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチド反復、トリヌクレオチド反復、テトラヌクレオチド反復、単純配列反復、及び、Aluなどの挿入要素が含まれる。最初に同定された対立遺伝子が自由裁量で参照対立遺伝子と指定され、他方の対立遺伝子が代替対立遺伝子、「変異体対立遺伝子」、又は「バリアンス」として指定される。選択された集団中で最も頻繁に発生している対立遺伝子は、場合によっては「野生型」対立遺伝子と呼ぶことができる。二倍体の生物は、変異体対立遺伝子についてホモ接合性又はヘテロ接合性であることができる。変異体対立遺伝子は、変異体対立遺伝子を保有する個体において観察可能な物理的又は生化学的な特徴(「表現型」)を生じても、生じなくてもよい。たとえば、変異体対立遺伝子は、目的の遺伝子によってコードされているタンパク質の酵素活性を変更してもよく、或いは、変異体対立遺伝子は、コードされているタンパク質の酵素活性に全く影響を与えなくてもよい。
[0031]用語「一塩基多型(SNP)」及びその変形は、対立遺伝子内でのものを含めた、単一のヌクレオチドをポリヌクレオチドで変えることをいう。これには、1つのヌクレオチドの別のヌクレオチドによる置換え、及び単一のヌクレオチドの欠失又は挿入が含まれる場合がある。最も典型的には、SNPは二対立遺伝子マーカーであるが、三及び四対立遺伝子マーカーも存在することができる。非限定的な例として、SNP A/Cを含む核酸分子には、多型位置にC又はAが含まれていてもよい。SNPの組合せには、用語「ハプロタイプ」、たとえば、互いに連結された、単一のDNA鎖中のSNPの遺伝子型が使用される。一部の実施形態では、用語「ハプロタイプ」は、SNP対立遺伝子の組合せ、たとえば単一のDNA分子上に一緒に見つかるSNPの対立遺伝子を説明するために使用することができる。さらなる実施形態では、ハプロタイプ中のSNPは互いに連鎖不平衡であることができる。
[0032]用語「連鎖不平衡」すなわち「LD」及びその変形は、2つ以上の座位の対立遺伝子が、集団からサンプリングした個体において、その個々の対立遺伝子の頻度の積によって予測された頻度で一緒に発生しない状況をいう。言い換えれば、LDであるマーカーは、メンデルの第二法則の独立ランダム分離に従わない。さらに、高いLDであるマーカーは、互いに近くに位置すると推定することができ、遺伝形質と高いLDであるマーカー又はハプロタイプは、その形質に影響を与える遺伝子の近くに位置すると推定することができる。マーカーの物理的近接は、家系調査(そこでは連鎖と呼ばれる)又は集団研究(そこでは連鎖不平衡と呼ばれる)において測定することができる。
[0033]用語「傾斜遺伝子型分布」及びその変形は、遺伝子型が、特定の疾患又は対照集団と関連づけられていることについて標準の統計パラメータに従わない、すなわち標準の正常な対称分布パターンに従わない状況をいう。
[0034]用語「特異的」又は「特異性」及びその変形には、変異体対立遺伝子を検出することができるポリヌクレオチド(たとえば、異なる対立遺伝子間を区別することができるポリヌクレオチド)の脈絡において使用した場合、一方の変異体対立遺伝子を結合又はハイブリダイズ又は検出せずに、他方の変異体対立遺伝子を結合又はハイブリダイズ又は検出する能力が含まれる。一部の実施形態では、特異性とは、野生型対立遺伝子を検出し、突然変異体又は変異体の対立遺伝子を検出しないポリヌクレオチドの能力をいうことができる。他の実施形態では、特異性とは、突然変異体又は変異体の対立遺伝子を検出し、野生型対立遺伝子を検出しないポリヌクレオチドの能力をいうことができる。
[0035]本明細書中で使用する用語「抗体」には、ポリクローナル若しくはモノクローナル且つ任意のアイソタイプのものであることができる免疫グロブリン分子の集団、又は免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある断片が含まれる。そのような免疫学的に活性のある断片は、抗原と特異的に結合する抗体分子の部分を構成する、重鎖及び軽鎖可変領域を含有する。たとえば、当分野でFab、Fab’又はF(ab’)2として知られている免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある断片が、用語「抗体」の意味に含まれる。
[0036]III.実施形態の説明
本発明は、潰瘍性大腸炎(UC)を診断する及びUCとクローン病(CD)とを鑑別するための方法及びシステムを提供する。合併疾患を有する患者を同定し、具体的な疾患の種類の評価を補助することによって、本明細書中に記載の方法及びシステムは、疾患の重症度及び処置の選択肢を評価するための貴重な情報をもたらす。一部の実施形態では、統計分析を血清学的、タンパク質、及び/又は遺伝子マーカーのプロフィールに適用することで、IBD及びUCを予測することの精度が改善され、生物学的、慣用、手術、又はその何らかの組合せなどの治療を含めた、適切な処置の選択肢の選択も可能となる。
本発明は、潰瘍性大腸炎(UC)を診断する及びUCとクローン病(CD)とを鑑別するための方法及びシステムを提供する。合併疾患を有する患者を同定し、具体的な疾患の種類の評価を補助することによって、本明細書中に記載の方法及びシステムは、疾患の重症度及び処置の選択肢を評価するための貴重な情報をもたらす。一部の実施形態では、統計分析を血清学的、タンパク質、及び/又は遺伝子マーカーのプロフィールに適用することで、IBD及びUCを予測することの精度が改善され、生物学的、慣用、手術、又はその何らかの組合せなどの治療を含めた、適切な処置の選択肢の選択も可能となる。
[0037]一態様では、本発明は、炎症性腸疾患(IBD)と診断された及び/又はUCを有することが疑われた個体において潰瘍性大腸炎(UC)を診断するための方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、(i)個体から得られた生体試料を分析して、生体試料中における遺伝子中の変異体対立遺伝子の存在又は非存在を決定するステップであって、遺伝子がGLI1、MDR1、又はATG16L1のうちの1つ又は複数であるステップと、(ii)変異体対立遺伝子の存在をUCの診断と関連づけるステップとを含む。
[0038]一部の実施形態では、UCを診断する方法は、GLI1(rs2228224)変異体対立遺伝子の検出を用いる。他の実施形態では、UCを診断する方法は、GLI1(rs2228226)変異体対立遺伝子の検出を用いる。一部の実施形態では、UCを診断する方法は、MDR1(rs2032582)変異体対立遺伝子の検出を用いる。さらなる実施形態では、UCを診断する方法は、ATG16L1(rs2241880)変異体対立遺伝子の検出を用いる。
[0039]他の実施形態では、UCを診断する方法は、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、MDR1(rs2032582)、及びATG16L1(rs2241880)からなる群から選択される1つ又は複数の変異体対立遺伝子の検出を用いる。特定の一実施形態では、UCを診断する方法は、GLI1(rs2228224)及びMDR1(rs2032582)変異体対立遺伝子を検出することを含む。別の特定の実施形態では、UCを診断する方法は、GLI1(rs2228224)及びATG16L1(rs2241880)変異体対立遺伝子を検出することを含む。さらに別の特定の実施形態では、UCを診断する方法は、MDR1(rs2032582)及びATG16L1(rs2241880)変異体対立遺伝子を検出することを含む。さらに別の特定の実施形態では、UCを診断する方法は、GLI1(rs2228224)、MDR1(rs2032582)及びATG16L1(rs2241880)変異体対立遺伝子を検出することを含む。
[0040]特定の実施形態では、本明細書中に記載の方法は、UCを診断するためのANCA及び/又はpANCAに基づく方法に比べて、UCの診断を改善させる。
[0041]他の実施形態では、UCを診断する方法は、生体試料を血清学的マーカーの存在又はレベルについて分析する追加のステップを用い、血清学的マーカー存在又はレベルの検出は、1つ又は複数の変異体対立遺伝子の存在と相まってUCの診断をさらに改善させる。
[0042]さらに他の実施形態では、UCを診断する方法は、抗好中球抗体、抗サッカロマイセス・セレビシエ抗体、抗微生物抗体、急性期タンパク質、アポリポタンパク質、デフェンシン、成長因子、サイトカイン、カドヘリン、又は本明細書中に記載のマーカーの任意の組合せから選択される血清学的マーカーの検出を用いる。
[0043]さらなる実施形態では、UCを診断する方法は、ANCA及びpANCAのうちの1つ、又はANCA及びpANCAの組合せから選択される抗好中球抗体を利用する。一実施形態では、抗好中球抗体は、免疫アッセイ(たとえばELISA)によって検出されるANCAなどの抗好中球細胞質抗体(ANCA)、免疫組織化学的アッセイ(たとえばIFA)によって検出されるpANCAなどの核周囲型抗好中球細胞質抗体(pANCA)、若しくはDNAse感受性免疫組織化学的アッセイ、又はその組合せを含む。
[0044]さらなる追加の実施形態では、UCを診断する方法は、抗サッカロマイセス・セレビシエ免疫グロブリンA(ASCA−IgA)、抗サッカロマイセス・セレビシエ免疫グロブリンG(ASCA−IgG)、及びその組合せからなる群から選択される抗サッカロマイセス・セレビシエ抗体を利用する。
[0045]さらに他の実施形態では、UCを診断する方法は、抗外膜タンパク質C(抗OmpC)抗体、抗I2抗体、抗フラゲリン抗体、及びその組合せからなる群から選択される抗微生物抗体を利用する。
[0046]特定の実施形態では、血清学的マーカーは、ANCA、pANCA(たとえば、pANCA IFA及び/若しくはDNAse感受性pANCA IFA)、ASCA−IgA、ASCA−IgG、抗OmpC抗体、抗CBir−1抗体、抗I2抗体、又はその組合せを含む、又はそれからなる。
[0047]特定の場合では、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、MDR1(rs2032582)、及び/又はATG16L1(rs2241880)のSNPのうちの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの存在又は非存在を、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの血清学的マーカー、たとえば、ANCA(たとえばANCA ELISA)、pANCA(たとえば、pANCA IFA及び/若しくはDNAse感受性pANCA IFA)、ASCA−IgA、ASCA−IgG、抗OmpC抗体、抗CBir−1抗体、抗I2抗体、又はその組合せの存在(若しくは非存在)又は(濃度)レベルと組み合わせて決定する。
[0048]特定の一実施形態では、GLI1(rs2228224)、MDR1(rs2032582)、及びATG16L1(rs2241880)のSNPの存在とANCA(たとえばELISAによる高いANCAレベル)及び/又はpANCA(たとえばアルコール固定した好中球のpANCA陽性染色)の存在又はレベルとを組み合わせて用いて、UC診断の感度及び/又は精度を増加させることができる。別の特定の実施形態では、GLI1(rs2228224)及びMDR1(rs2032582)のSNPの存在とANCA(たとえばELISAによる高いANCAレベル)及び/又はpANCA(たとえばアルコール固定した好中球のpANCA陽性染色)の存在又はレベルとを組み合わせて用いて、UC診断の感度及び/又は精度を増加させることができる。
[0049]遺伝子マーカー中の変異体対立遺伝子の存在又は非存在は、以下のセクションVIに記載のアッセイを使用して決定することができる。変異体対立遺伝子の状態を決定するために使用することができるアッセイには、それだけには限定されないが、電気泳動分析アッセイ、制限長多型分析アッセイ、配列解析アッセイ、ハイブリダイゼーション分析アッセイ、PCR分析アッセイ、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、オリゴヌクレオチドライゲーション対立遺伝子特異的伸長/ライゲーション、対立遺伝子特異的増幅、一塩基伸長、分子反転プローブ、侵襲性切断、選択的終結、制限長多型性、配列決定、一本鎖コンホメーション多型性(SSCP)、一本鎖の鎖多型性、ミスマッチ切断、変性勾配ゲル電気泳動、及びその組合せが含まれる。これらのアッセイは十分に記載されており、標準の方法が当分野で知られている。たとえば、いずれもすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons,Inc.、New York(1984〜2008)、第7章及び補遺47、Theophilusら、「PCR Mutation Detection Protocols」、Humana Press、(2002)、Innisら、PCR Protocols、San Diego、Academic Press,Inc.(1990)、Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Lab.、New York、(1982)、Ausubelら、Current Protocols in Genetics and Genomics、John Wiley&Sons,Inc.、New York(1984〜2008)、並びにAusubelら、Current Protocols in Human Genetics、John Wiley&Sons,Inc.、New York(1984〜2008)を参照されたい。
[0050]血清学的マーカーの存在又は(濃度)レベルは、ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅に基づくアッセイ、免疫アッセイ、免疫組織化学的アッセイ、又はその組合せを用いて検出(たとえば、決定、測定、分析など)することができる。試料中の1つ又は複数の血清学的マーカーの存在又はレベルを検出又は決定するためのアッセイ、技法、及びキットの非限定的な例は、以下のセクションVIIに記載されている。
[0051]他の実施形態では、UCを診断する方法を、UCの症状を有する個体において行う。さらなる実施形態では、UCの症状には、それだけには限定されないが、直腸炎症、直腸出血、直腸痛、下痢、腹部痙攣、腹痛、疲労、体重減少、発熱、結腸破裂、及びその組合せが含まれる。
[0052]一部の実施形態では、UCを診断する方法は、全血、組織、唾液、頬細胞、毛髪、体液、血漿、血清、脳脊髄液、頬側スワブ、粘液、尿、大便、精子、膣分泌物、リンパ、羊水、胸水、涙、及びその組合せからなる群から選択される生体試料の分析を伴う。
[0053]他の態様では、本発明は、IBDが診断された及び/又はUCを有することが疑われた個体において潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)とを鑑別するための方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、(i)個体から得られた生体試料を分析して、GLI1及び/又はMDR1遺伝子中の1つ又は複数の変異体対立遺伝子の存在又は非存在を決定するステップと、(ii)変異体対立遺伝子の存在をUCの診断と関連づけるステップとを含む。
[0054]特定の実施形態では、UCとCDとを鑑別する方法は、GLI1(rs2228224)変異体対立遺伝子の存在又は非存在の検出を含む。他の実施形態では、UCとCDを鑑別する方法は、MDR1(rs2032582)変異体対立遺伝子の存在又は非存在の検出を含む。好ましい実施形態では、GLI1(rs2228224)及び/又はMDR1(rs2032582)変異体対立遺伝子の存在の検出はUCの指標であり、CDの指標ではない。
[0055]他の実施形態では、UCとCDとを鑑別する方法は、生体試料を血清学的マーカーの存在又はレベルについて分析する追加のステップを用い、血清学的マーカー存在又はレベルの検出と1つ又は複数の変異体対立遺伝子の存在とが相まってIBDのUC亜型とCD亜型との鑑別をさらに改善させる。
[0056]さらに他の実施形態では、UCとCDとを鑑別する方法は、抗好中球抗体、抗サッカロマイセス・セレビシエ抗体、抗微生物抗体、急性期タンパク質、アポリポタンパク質、デフェンシン、成長因子、サイトカイン、カドヘリン、及び本明細書中に記載のマーカーの任意の組合せからなる群から選択される血清学的マーカーの検出を用いる。血清学的マーカーの非限定的な例は本明細書中に記載されている。
[0057]さらなる実施形態では、UCとCDとを鑑別する方法は、生体試料の分析を含む。一部の実施形態では、生体試料は、血液、組織、唾液、頬細胞、毛髪、体液、血漿、血清、脳脊髄液、頬側スワブ、粘液、尿、大便、精子、膣分泌物、リンパ、羊水、胸水、涙、及びその組合せから得ることができる。
[0058]遺伝子マーカー中の変異体対立遺伝子の存在又は非存在は、以下のセクションVIに記載のアッセイを使用して決定することができる。変異体対立遺伝子の状態を決定するために使用することができるアッセイには、それだけには限定されないが、電気泳動分析アッセイ、制限長多型分析アッセイ、配列解析アッセイ、ハイブリダイゼーション分析アッセイ、PCR分析アッセイ、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、オリゴヌクレオチドライゲーション対立遺伝子特異的伸長/ライゲーション、対立遺伝子特異的増幅、一塩基伸長、分子反転プローブ、侵襲性切断、選択的終結、制限長多型性、配列決定、一本鎖コンホメーション多型性(SSCP)、一本鎖の鎖多型性、ミスマッチ切断、変性勾配ゲル電気泳動、及びその組合せが含まれる。
[0059]さらなる追加の実施形態では、UCとCDとを鑑別する方法を、UCの症状を有する患者において行う。さらなる実施形態では、UCの症状には、それだけには限定されないが、直腸炎症、直腸出血、直腸痛、下痢、腹部痙攣、腹痛、疲労、体重減少、発熱、結腸破裂、及びその組合せが含まれる。
[0060]他の実施形態では、本発明は、個体群においてGLI1、MDR1、又はATG16L1から選択される1つ又は複数の遺伝子中の少なくとも1つの対立遺伝子変異体と潰瘍性大腸炎(UC)の存在との関連性を検出する方法を提供する。一部の具体的な実施形態では、本方法は、(i)生体試料をIBDが診断された及び/又はUCを有することが疑われた個体群から得るステップと、(ii)生体試料をスクリーニングして、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、MDR1(rs2032582)、ATG16L1(rs2241880)、又はその組合せから選択される変異体対立遺伝子の存在又は非存在を決定するステップと、(iii)対立遺伝子変異体のうちの1つ又は複数が、IBDが診断された及び/又はUCを有することが疑われた個体群に偏っている統計的に有意な傾斜遺伝子型分布を示すかどうかを評価するステップであって、比較が、IBDが診断された及び/又はUCを有することが疑われた個体群と健康な個体群との間であるステップとを含む。
[0061]さらに好ましい実施形態では、個体群においてGLI1、MDR1、又はATG16L1から選択される1つ又は複数の遺伝子中の少なくとも1つの対立遺伝子変異体とUCの存在との関連性を検出するための方法は、GLI1(rs2228224)変異体対立遺伝子の検出を伴う。一部の実施形態では、本方法は、GLI1(rs2228226)変異体対立遺伝子の検出を伴う。他の実施形態では、本方法は、MDR1(rs2032582)変異体対立遺伝子の検出を伴う。さらに他の実施形態では、本方法は、ATG16L1(rs2241880)変異体対立遺伝子の検出を伴う。さらなる実施形態では、本発明の方法は、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、MDR1(rs2032582)、及びATG16L1(rs2241880)からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの変異体対立遺伝子の検出を伴う。
[0062]他の実施形態では、個体群においてGLI1、MDR1、又はATG16L1から選択される1つ又は複数の遺伝子中の少なくとも1つの対立遺伝子変異体とUCの存在との関連性を検出するための方法は、生体試料中における対立遺伝子変異体の検出を伴う。さらに他の実施形態では、生体試料(biological)は、血液、組織、唾液、頬細胞、毛髪、体液、血漿、血清、脳脊髄液、頬側スワブ、粘液、尿、大便、精子、膣分泌物、リンパ、羊水、胸水、涙、及びその組合せから選択される。
[0063]他の好ましい実施形態では、GLI1、MDR1、又はATG16L1から選択される1つ又は複数の遺伝子中の少なくとも1つの対立遺伝子変異体とUCの存在との関連性を検出するための方法を、IBDが診断された及び/又はUCを有することが疑われたヒト個体集団並びに対照個体集団において行う。
[0064]さらなる実施形態では、GLI1、MDR1、又はATG16L1から選択される1つ又は複数の遺伝子中の少なくとも1つの対立遺伝子変異体とUCの存在との関連性を検出するための方法は、変異体対立遺伝子の存在又は非存在のスクリーニングを含む。さらに追加の実施形態では、スクリーニングは、電気泳動分析アッセイ、制限長多型分析アッセイ、配列解析アッセイ、ハイブリダイゼーション分析アッセイ、PCR分析アッセイ、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、オリゴヌクレオチドライゲーション対立遺伝子特異的伸長/ライゲーション、対立遺伝子特異的増幅、一塩基伸長、分子反転プローブ、侵襲性切断、選択的終結、制限長多型性、配列決定、一本鎖コンホメーション多型性(SSCP)、一本鎖の鎖多型性、ミスマッチ切断、変性勾配ゲル電気泳動、及びその組合せからなる群から選択されるアッセイを使用して行う。
[0065]さらなる実施形態では、スクリーニングは、群のそれぞれの個体に対して、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、MDR1(rs2032582)、ATG16L1(rs2241880)、及びその組合せから選択される1つ又は複数の対立遺伝子変異体で行う。さらに追加の実施形態では、スクリーニングは個体のプール及び対照のプールに対して実施する。
[0066]さらなる実施形態では、GLI1、MDR1、又はATG16L1から選択される1つ又は複数の遺伝子中の少なくとも1つの対立遺伝子変異体とUCの存在との関連性を検出するための方法は、対立遺伝子変異体が統計的に有意な傾斜遺伝子型分布を示すかどうかを評価することをさらに伴う。さらなる実施形態では、評価は、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、MDR1(rs2032582)、及びATG16L1(rs2241880)からなる群から選択される1つの対立遺伝子変異体を、対照対UC集団におけるその分布について評価して、変異体対立遺伝子の非存在又は存在とUCの存在又は非存在との間に相関性が存在するかどうかを決定することからなる(たとえば以下の実施例セクションに例示)。さらに他のさらなる実施形態では、遺伝子型分布は、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、MDR1(rs2032582)、及びATG16L1(rs2241880)からなる群から選択される複数の対立遺伝子変異体を、対照とIBDが診断された及び/又はUCを有することが疑われた個体の集団との間で比較する。一部の実施形態では、遺伝子型分布は、個体プールと対照プールとの間のオッズ比分析を使用して比較する。
[0067]また、一部の実施形態では、本発明は、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、MDR1(rs2032582)及びATG16L1(rs2241880)から選択される1つ又は複数の対立遺伝子変異体に特異的な核酸プローブを含有するキットも提供する。特定の実施形態では、キットは、TACCAGAGTCCCAAGTTTCTGGGGG[A/G]TTCCCAGGTTAGCCCAAGCCGTGCT(配列番号39)、TATTTAGTTTGACTCACCTTCCCAG[C/A]ACCTTCTAGTTCTTTCTTATCTTTC(配列番号40)、TATTTAGTTTGACTCACCTTCCCAG[C/T]ACCTTCTAGTTCTTTCTTATCTTTC(配列番号41)、及びCCCAGTCCCCCAGGACAATGTGGAT[A/G]CTCATCCTGGTTCTGGTAAAGAAGT(配列番号42)からなる群から選択される1つ又は複数のプローブを含有していてもよい。
[0068]また、一部の他の実施形態では、本発明は、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、MDR1(rs2032582)、及びATG16L1(rs2241880)から選択される1つ又は複数の対立遺伝子変異体に特異的な核酸プローブを含有するアレイも提供する。他の実施形態では、アレイは、TACCAGAGTCCCAAGTTTCTGGGGG[A/G]TTCCCAGGTTAGCCCAAGCCGTGCT(配列番号39)、TATTTAGTTTGACTCACCTTCCCAG[C/A]ACCTTCTAGTTCTTTCTTATCTTTC(配列番号40)、TATTTAGTTTGACTCACCTTCCCAG[C/T]ACCTTCTAGTTCTTTCTTATCTTTC(配列番号41)、及びCCCAGTCCCCCAGGACAATGTGGAT[A/G]CTCATCCTGGTTCTGGTAAAGAAGT(配列番号42)からなる群から選択される1つ又は複数のプローブを含有していてもよい。
[0069]さらなる態様では、本明細書中に記載のマーカーのうちの1つ又は複数を測定するためのパネルは、UCの診断又はUCとCDとの鑑別について本発明の手法に関する関連情報をもたらすために構築されていてもよい。そのようなパネルは、遺伝子、生化学的、血清学的、タンパク質、又は本明細書中に記載の他のマーカーなどの、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、又はそれより多くの個々のマーカーの存在(若しくは非存在)又はレベルを検出又は決定するために構築されていてもよい。また、単一のマーカー又はマーカーのサブセットの分析は、当業者によって様々な臨床設定において実施することもできる。それらには、それだけには限定されないが、通院、応急手当、救命医療、集中治療、監視ユニット、入院患者、外来患者、医院、診療所、及び集団検診の設定が含まれる。
[0070]一部の実施形態では、マーカーの分析は様々な物理的様式で実施することができる。たとえば、多数の試験試料の処理を容易にするために、マイクロタイタープレート又は自動化を使用することができる。或いは、適時の様式での処置、診断、及び予後診断を容易にするために、単一試料の様式を開発することができる。
[0071]IV.炎症性腸疾患
特定の実施形態では、本発明は、炎症性腸疾患(IBD)の潰瘍性大腸炎(UC)亜型を診断するための方法及びシステムを提供する。特定の他の実施形態では、本発明は、UCとクローン病(CD)などの他のIBD亜型とを鑑別するための方法及びシステムを提供する。
特定の実施形態では、本発明は、炎症性腸疾患(IBD)の潰瘍性大腸炎(UC)亜型を診断するための方法及びシステムを提供する。特定の他の実施形態では、本発明は、UCとクローン病(CD)などの他のIBD亜型とを鑑別するための方法及びシステムを提供する。
[0072]A.クローン病
クローン病(CD)とは、胃腸管の任意の部分に関与する場合がある、慢性炎症の疾患である。一般的に、小腸の遠位部分、すなわち回腸、及び盲腸が冒される。他の場合では、疾患は小腸、結腸、又は肛門直腸の領域に限局されている。CDは、時折十二指腸及び胃に、より稀に食道及び口腔に関与する。
クローン病(CD)とは、胃腸管の任意の部分に関与する場合がある、慢性炎症の疾患である。一般的に、小腸の遠位部分、すなわち回腸、及び盲腸が冒される。他の場合では、疾患は小腸、結腸、又は肛門直腸の領域に限局されている。CDは、時折十二指腸及び胃に、より稀に食道及び口腔に関与する。
[0073]CDの変動する臨床徴候は、部分的に、疾患の変動する解剖学的局在化の結果である。CDの最も頻度の高い症状は、腹痛、下痢、及び回帰熱である。CDは、一般的に、腸閉塞又は腸瘻、腸の罹患したループ間の異常な通路に関連づけられている。また、CDには、眼、関節、及び皮膚の炎症、肝疾患、腎結石、並びにアミロイド症などの合併症も含まれる。さらに、CDは、腸癌の危険性の増加に関連づけられている。
[0074]いくつかの特長は、CD病理に特徴的である。貫壁性炎症として知られるCDに関連づけられている炎症は、腸壁の全層に関与する。たとえば、肥厚及び浮腫も、典型的には腸壁全体にわたって出現し、線維症が疾患の長期にわたる形態で存在する。CDの炎症特徴は、「飛び石病変」として知られる炎症組織の区域が見かけ上正常な腸管によって分離されているという点で不連続である。さらに、介在組織の線状潰瘍形成、浮腫、及び炎症は、CDに特有な腸管粘膜の「敷石状」の外見をもたらす。
[0075]CDの特徴は、一般に粘膜下層で見つかる、肉芽腫として知られる炎症細胞の明白な凝集の存在である。一部のCD症例は、典型的な明白な肉芽腫を表示する一方で、他のものはびまん性肉芽腫性反応又は非特異的な貫壁性炎症を示す。その結果、明白な肉芽腫の存在はCDの指標であるが、肉芽腫の非存在も疾患において一貫している。したがって、肉芽腫の存在ではなく、貫壁性又は不連続の炎症がCDの好ましい診断的指標である(Rubin及びFarber、Essential Pathology(第3版)、Philadelphia、Lippincott Williams&Wilkins(2001))。
[0076]クローン病は、疾患が進行する際の挙動によってカテゴリー化してもよい。これはクローン病のウィーン分類に形式化されている。Gascheら、Inflamm.Bowel Dis.、6:8〜15(2000)を参照されたい。クローン病では3つの疾患提示のカテゴリー、すなわち、(1)狭窄性、(2)穿通性、及び(3)炎症性が存在する。狭窄性疾患は、腸閉塞又は糞便の口径の変化をもたらすことがある、腸の狭小化を引き起こす。穿通性疾患は、腸と皮膚などの他の構造との間に異常な通路(瘻孔)を生じる。炎症性疾患(非狭窄性、非穿通性疾患としても知られる)は、狭窄又は瘻孔を引き起こさずに炎症を引き起こす。
[0077]したがって、クローン病は胃腸管を冒す複数の異種の疾患亜型を表し、同様の症状を生じることがある。CDに言及して本明細書中で使用する用語「臨床亜型」には、1つのCDの分類を別のものから区別する1セットの臨床基準によって定義されたCDの分類が含まれる。非限定的な例として、CDを有する対象は、本明細書中に記載のように狭窄性(たとえば内部狭窄性)、穿通性(たとえば内部穿通性)、若しくは炎症性疾患に罹患しているとして分類することができる、又は、これらの対象は、それに加えて若しくはその代わりに、線維狭窄性疾患、小腸疾患、内部穿孔性疾患、肛門周囲瘻形成疾患、UC様疾患、小腸手術の必要性、UC特長の非存在、若しくはその組合せに罹患しているとして分類することができる。
[0078]特定の場合では、CDを有する対象は、狭窄性又は穿通性の表現型によって特徴づけられている臨床亜型である合併CDに罹患しているとして分類することができる。特定の他の場合では、CDを有する対象は、以下の合併症、すなわち、線維狭窄症、内部穿孔性疾患、及び小腸手術の必要性のうちの1つ又は複数によって特徴づけられているCDの形態に罹患しているとして分類することができる。さらなる例では、CDを有する対象は、小腸手術を必要とする侵襲性形態の線維狭窄性疾患に罹患しているとして分類することができる。これらの亜型に関連する基準は、たとえば、Gascheら、Inflamm.Bowel Dis.、6:8〜15(2000)、Abreuら、Gastroenterology、123:679〜688(2002)、Vasiliauskasら、Gut、47:487〜496(2000)、Vasiliauskasら、Gastroenterology、110:1810〜1819(1996)、及びGreensteinら、Gut、29:588〜592(1988)に記載されている。
[0079]CDの「線維狭窄性亜型」は、線維狭窄性疾患の1つ又は複数の認められている特徴によって特徴づけられているCDの分類である。線維狭窄性疾患のそのような特徴には、それだけには限定されないが、記述されている持続性の腸閉塞又は腸閉塞の腸切除が含まれる。CDの線維狭窄性亜型には穿孔、膿瘍、又は瘻孔などの他の症状が伴う場合があり、嘔気、嘔吐、腹部膨満、及び固形食品の摂食不能などの持続性の腸管遮断の症状によってさらに特徴づけることができる。CDの線維狭窄性亜型を有する患者の腸管のX線は、たとえば、遮断点より前の腸の膨満感を示す場合がある。
[0080]CDの線維狭窄性亜型を有する対象における小腸手術の必要性は、この亜型のより侵襲性の形態を示している場合がある。CDの追加の亜型も当分野で知られており、定義された臨床基準を使用して同定することができる。たとえば、内部穿孔性疾患は、腸管−腸内若しくは腸管−小胞の瘻孔、腹腔内膿瘍、又は小腸穿孔の現在又は以前の証拠によって定義されたCDの臨床亜型である。肛門周囲穿孔性疾患は、肛門周囲の瘻孔若しくは膿瘍又は直腸腟瘻の現在又は以前の証拠によって定義されたCDの臨床亜型である。CDのUC様臨床亜型は、左側結腸障害、出血又は緊急の症状、及び結腸生検の陰窩膿瘍の現在又は以前の証拠によって定義することができる。疾患の位置は、1つ又は複数の内視鏡、放射線、又は病理学の研究に基づいて分類することができる。
[0081]当業者は、CDの臨床亜型間に重複が存在する場合があり、CDに罹患している対象はCDの複数の臨床亜型を有する場合があることを理解している。たとえば、CDに罹患している対象はCDの線維狭窄性亜型を有することができ、小腸手術の必要性又は内部穿孔性疾患亜型によって特徴づけられている臨床亜型の臨床基準も満たすことができる。同様に、本明細書中に記載のマーカーは、CDの複数の臨床亜型に関連づけることができる。
[0082]B.潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎(UC)とは、痙攣、腹痛、直腸出血、血液の緩い分泌、膿、及び粘液を伴った慢性下痢によって特徴づけられている大腸の疾患である。UCの徴候は広く変動する。増悪及び寛解のパターンがUC患者の約70%の臨床的経過の典型であるが、寛解のない連続的な症状がUCを有する一部の患者で存在する。UCの局所的及び全身性の合併症には、関節炎、ブドウ膜炎などの眼の炎症、皮膚潰瘍、及び肝疾患が含まれる。さらに、UC、特に疾患の長期にわたる大規模な形態は、結腸癌の危険性の増加に関連づけられている。
潰瘍性大腸炎(UC)とは、痙攣、腹痛、直腸出血、血液の緩い分泌、膿、及び粘液を伴った慢性下痢によって特徴づけられている大腸の疾患である。UCの徴候は広く変動する。増悪及び寛解のパターンがUC患者の約70%の臨床的経過の典型であるが、寛解のない連続的な症状がUCを有する一部の患者で存在する。UCの局所的及び全身性の合併症には、関節炎、ブドウ膜炎などの眼の炎症、皮膚潰瘍、及び肝疾患が含まれる。さらに、UC、特に疾患の長期にわたる大規模な形態は、結腸癌の危険性の増加に関連づけられている。
[0083]UCは、通常は直腸の最も遠位の部分から可変距離で近位に伸びる、びまん性疾患である。用語「左側大腸炎」とは、脾臓湾曲部にまで伸びる結腸の遠位部分に関与する炎症を説明する。直腸温存(sparing)又は結腸の右側(近位部分)が単独で関与することはUCでは珍しい。UCの炎症プロセスは結腸に限定されており、たとえば小腸、胃、又は食道は巻き込まない。さらに、UCは、一般に腸壁のより深層は冒さない粘膜の表在性炎症によって区別される。また、変性腸管陰窩が好中球で満たされている陰窩膿瘍も、UCにおいて典型的である(Rubin及びFarber、上記)。
[0084]特定の場合では、UCに関して、症状の可変性は、疾患の程度(すなわち、炎症を起こしている結腸及び直腸の量)及び炎症の強度の相違を反映する。疾患は直腸から始まり、結腸を「上に」移動して器官のより多くの部分を巻き込む。UCは、巻き込まれた結腸の量によってカテゴリー化することができる。典型的には、炎症が直腸及び直腸に隣接する結腸の短い区域に限局されている患者は、より広汎性の結腸の炎症を有する患者よりも軽度な症状及び良好な予後診断を有する。
[0085]直腸が高頻度で冒されていない、斑状の疾患であるCDに比べて、UCは、通常は近位よりも遠位でより重度である結腸の連続的な炎症によって特徴づけられている。UCにおける炎症は、通常は粘膜層に限定されているという点で表在性であり、好中球及び陰窩膿瘍を伴った急性炎症性浸潤によって特徴づけられている。対照的に、CDは腸壁の厚さ全体を冒し、必ずではないが多くの場合に肉芽腫が存在する。回盲弁で、又はそれに遠位の結腸中で終結する疾患はUCの指標である一方で、回腸末端の関与、敷石状様の外見、明白な潰瘍、又は瘻孔はCDを示唆する。
[0086]様々な種類の潰瘍性大腸炎が炎症の位置及び程度に従って分類されている。UCに言及して本明細書中で使用する用語「臨床亜型」には、1つのUCの分類を別のものから区別する1セットの臨床基準によって定義されたUCの分類が含まれる。非限定的な例として、UCを有する対象は、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、左側大腸炎、汎大腸炎、劇症大腸炎、及びその組合せに罹患しているとして分類することができる。これらの亜型に関連する基準は、たとえばKornbluthら、Am.J.Gastroenterol.、99:1371〜85(2004)に記載されている。
[0087]潰瘍性直腸炎とは、直腸に限定されている炎症によって定義されたUCの臨床亜型である。直腸S状結腸炎とは、直腸及びS状結腸を冒すUCの臨床亜型である。左側大腸炎とは、結腸の左側全体の、直腸から結腸が脾臓付近で曲がって上腹部を横切り始める場所(脾臓湾曲部)を冒すUCの臨床亜型である。汎大腸炎とは、結腸全体を冒すUCの臨床亜型である。劇症大腸炎は、汎大腸炎の稀であるが重度の形態である。劇症大腸炎を有する患者は病状が非常に重く、脱水、重度の腹痛、出血を伴う遅延性の下痢、さらにはショックを伴っている。
[0088]一部の実施形態では、UCの臨床亜型の分類は、有効な処置経過を計画する際に重要である。潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、及び左側大腸炎は、ステロイド系又は他の浣腸及び泡沫を含めた肛門から導入した局所剤で処置することができる一方で、汎大腸炎は、活性成分が結腸の冒された部分の全体に達することができるように、経口医薬品で処置しなければならない。
[0089]当業者は、UCの臨床亜型間に重複が存在する場合があり、UCに罹患している対象はUCの複数の臨床亜型を有する場合があることを理解している。同様に、本明細書中に記載のマーカーは、UCの複数の臨床亜型に関連づけることができる。
[0090]C.未確定大腸炎
未確定大腸炎(IC)とは、CD及びUCの両方の特長が含まれるIBDの臨床亜型である。両疾患の症状のそのような重複は、ICを有する患者において一時的に(たとえば疾患の初期)又は持続的に(たとえば疾患が進行する間ずっと)起こる場合がある。臨床的には、ICは、直腸出血を伴う又は伴わない腹痛及び下痢によって特徴づけられている。たとえば、正常な粘膜によって分離された断続的な多数の潰瘍形成を有する大腸炎が、この疾患を有する患者で見つかる。組織学的には、貫壁性炎症を伴った重度の潰瘍形成のパターンが存在する。直腸には典型的には疾患が存在せず、リンパ系炎症細胞は凝集を示さない。ICを有する患者では、深いスリット様の亀裂が筋細胞溶解の病巣で観察されるが、介在粘膜は典型的には最小限に鬱血しており、杯細胞は保存されている。
未確定大腸炎(IC)とは、CD及びUCの両方の特長が含まれるIBDの臨床亜型である。両疾患の症状のそのような重複は、ICを有する患者において一時的に(たとえば疾患の初期)又は持続的に(たとえば疾患が進行する間ずっと)起こる場合がある。臨床的には、ICは、直腸出血を伴う又は伴わない腹痛及び下痢によって特徴づけられている。たとえば、正常な粘膜によって分離された断続的な多数の潰瘍形成を有する大腸炎が、この疾患を有する患者で見つかる。組織学的には、貫壁性炎症を伴った重度の潰瘍形成のパターンが存在する。直腸には典型的には疾患が存在せず、リンパ系炎症細胞は凝集を示さない。ICを有する患者では、深いスリット様の亀裂が筋細胞溶解の病巣で観察されるが、介在粘膜は典型的には最小限に鬱血しており、杯細胞は保存されている。
[0091]V.IBDマーカー
生化学的マーカー、血清学的マーカー、タンパク質マーカー、遺伝子マーカー、及び他の臨床又は超音波検査の特徴を含めた、様々なIBDマーカーが、IBDを診断する、UCを診断する、及びUCとCDとを鑑別するための本発明の方法で使用するために適している。特定の態様では、本明細書中に記載の診断及び予後診断方法は、アルゴリズム(たとえば統計分析)を、IBDマーカーのうちの1つ又は複数について決定された存在、濃度レベル、又は遺伝子型に適用することを利用して、IBDの診断、UCの診断を援助若しくは補助する、及び/又はUCとCDとの鑑別を容易にする。
生化学的マーカー、血清学的マーカー、タンパク質マーカー、遺伝子マーカー、及び他の臨床又は超音波検査の特徴を含めた、様々なIBDマーカーが、IBDを診断する、UCを診断する、及びUCとCDとを鑑別するための本発明の方法で使用するために適している。特定の態様では、本明細書中に記載の診断及び予後診断方法は、アルゴリズム(たとえば統計分析)を、IBDマーカーのうちの1つ又は複数について決定された存在、濃度レベル、又は遺伝子型に適用することを利用して、IBDの診断、UCの診断を援助若しくは補助する、及び/又はUCとCDとの鑑別を容易にする。
[0092]IBDマーカーの非限定的な例には、(i)たとえば、表1〜2に記載の遺伝子のうちの任意のもの(たとえば、GLI1、MDR1、及び/又はATG16L1)、NOD2遺伝子などの遺伝子マーカー、並びに(ii)たとえば、サイトカイン、成長因子、抗好中球抗体、抗サッカロマイセス・セレビシエ抗体、抗微生物抗体、急性期タンパク質、アポリポタンパク質、デフェンシン、カドヘリン、細胞接着分子、及びその組合せなどの生化学的、血清学的、及びタンパク質マーカーが含まれる。
[0093]A.遺伝子マーカー
試料中の1つ又は複数の遺伝子マーカー中の対立遺伝子変異体の存在又は非存在の決定は、本発明において特に有用である。遺伝子マーカーの非限定的な例には、それだけには限定されないが、表1及び2に記載の遺伝子のうちの任意のものが含まれる。好ましい実施形態では、GLI1、MDR1、及び/又はATG16L1遺伝子中の少なくとも1つの一塩基多型(SNP)の存在又は非存在を決定する。たとえば、その開示がすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、Barrettら、Nat.Genet.、40:955〜62(2008)及びWangら、Amer.J.Hum.Genet.、84:399〜405(2009)を参照されたい。
試料中の1つ又は複数の遺伝子マーカー中の対立遺伝子変異体の存在又は非存在の決定は、本発明において特に有用である。遺伝子マーカーの非限定的な例には、それだけには限定されないが、表1及び2に記載の遺伝子のうちの任意のものが含まれる。好ましい実施形態では、GLI1、MDR1、及び/又はATG16L1遺伝子中の少なくとも1つの一塩基多型(SNP)の存在又は非存在を決定する。たとえば、その開示がすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、Barrettら、Nat.Genet.、40:955〜62(2008)及びWangら、Amer.J.Hum.Genet.、84:399〜405(2009)を参照されたい。
[0094]表1は、1つ又は複数の対立遺伝子変異体(たとえばSNP)の存在又は非存在についての遺伝子型決定がUCの診断に有用な遺伝子の例示的なリストを提供する。表2は、UCとCDとの鑑別に有用な遺伝子マーカー及び対応するSNPの例示的なリストを提供する。
[0095]1.GLI1
Gliタンパク質はヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路に関与している。これらのタンパク質は、胚発生中に多くの細胞種及びほとんどの器官において細胞運命の決定、増殖及びパターン形成に関与していることが示されている(たとえばAltabaら、Development、126(14):3205〜16(1999)を参照)。Gli遺伝子は転写因子として作用し、ジンクフィンガー結合ドメインを含有する。具体的には、GLI1(神経膠腫関連癌遺伝子相同体1としても知られる)は、ヘッジホッグシグナル伝達経路中の転写因子として関与しており、C2−H2ジンクフィンガードメイン及びジンクフィンガー間にコンセンサスなヒスチジン/システインリンカー配列を含有する。ヒトでは、Gli1は癌遺伝子をコードしていることが知られており、転写の阻害剤及び活性化剤のどちらとしても作用することができる(たとえばJacobら、EMBO Rep.、4(8):761〜765(2003)を参照。ヒトGli1の下流遺伝子標的の一部には、それぞれサイクリンD2及びプラコグロビンなどの細胞周期及びアポトーシスの調節因子が含まれる(たとえばYoonら、J.Biol.Chem.、277:5548〜5555(2002)を参照)。また、Gli1は基底細胞癌(BCC)においてFoxM1もアップレギュレーションする(たとえばTehら、Cancer Res.、62(16):4773〜4780(2002)を参照)。また、Gli1の発現は、特定の細胞種においてShhの発現を模倣することもできる(たとえばDahmaneら、Nature、389:876〜881(1997)を参照)。
Gliタンパク質はヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路に関与している。これらのタンパク質は、胚発生中に多くの細胞種及びほとんどの器官において細胞運命の決定、増殖及びパターン形成に関与していることが示されている(たとえばAltabaら、Development、126(14):3205〜16(1999)を参照)。Gli遺伝子は転写因子として作用し、ジンクフィンガー結合ドメインを含有する。具体的には、GLI1(神経膠腫関連癌遺伝子相同体1としても知られる)は、ヘッジホッグシグナル伝達経路中の転写因子として関与しており、C2−H2ジンクフィンガードメイン及びジンクフィンガー間にコンセンサスなヒスチジン/システインリンカー配列を含有する。ヒトでは、Gli1は癌遺伝子をコードしていることが知られており、転写の阻害剤及び活性化剤のどちらとしても作用することができる(たとえばJacobら、EMBO Rep.、4(8):761〜765(2003)を参照。ヒトGli1の下流遺伝子標的の一部には、それぞれサイクリンD2及びプラコグロビンなどの細胞周期及びアポトーシスの調節因子が含まれる(たとえばYoonら、J.Biol.Chem.、277:5548〜5555(2002)を参照)。また、Gli1は基底細胞癌(BCC)においてFoxM1もアップレギュレーションする(たとえばTehら、Cancer Res.、62(16):4773〜4780(2002)を参照)。また、Gli1の発現は、特定の細胞種においてShhの発現を模倣することもできる(たとえばDahmaneら、Nature、389:876〜881(1997)を参照)。
[0096]GLI1(Gli1)遺伝子中のSNPなどの対立遺伝子変異体の非存在の存在の決定は、本発明において特に有用である。本明細書中で使用する用語「GLI1変異体」又はその変形には、野生型GLI1遺伝子に比べて1つ若しくは複数の変化を含有するGLI1遺伝子のヌクレオチド配列、又は野生型GLI1ポリペプチド配列に比べて1つ若しくは複数の変化を含有するGLI1ポリペプチドのアミノ酸配列が含まれる。GLI1は、IBD2連鎖領域染色体12(12q13)内に位置決定されている。CからGへの転移(GLI1のエクソン12中に位置する)の突然変異であるrs2228226 SNPが、IBDを有する患者におけるGLI1中の生殖系列の変異として同定された(たとえばLeesら、PLOS、5(12):1761〜1775(2008)を参照)。GLI1中のrs2228226突然変異は低下した機能を有するタンパク質を生じる。たとえば、Lees、上記及びBentleyら、Genes Immun.(2010年5月)を参照されたい。
[0097]GL1の遺伝子位置情報は、たとえばGeneID:2735に記載されている。ヒトGLI1のmRNA(コード)及びポリペプチド配列は、たとえば、それぞれNM_005269.2(配列番号25)及びNP_005260.1(配列番号26)に記載されている。さらに、GLI1が含まれるヒト染色体12の完全配列、GRCh37一次参照アセンブリは、たとえばGenBank受託番号NC_000012.11に記載されている。さらに、他の種からのGLI1の配列は、GenBankデータベース中に見つけることができる。
[0098]rs2228224 SNPは本発明の方法において特に有用であり、GenBank受託番号NP_001153517.1(配列番号38)の位置805でのグリシンからアスパラギン酸への変化に対応するGからAへの転移としてGenBank受託番号NM_001160045.1(配列番号37)のヌクレオチド位置2672に位置するか、GenBank受託番号NP_001161081.1(配列番号36)の位置892でのグリシンからアスパラギン酸への変化に対応するGからAへの転移としてGenBank受託番号NM_001167609.1(配列番号35)の位置2753に位置するか、又はGenBank受託番号NP_005260.1(配列番号26)の位置933でのグリシンからアスパラギン酸への変化に対応するGからAへの転移としてGenBank受託番号NM_005269.2(配列番号25)の位置2876に位置する。
[0099]rs2228226 SNPは、GenBank受託番号NP_001153517.1(配列番号34)の位置972でのグルタミン酸からグルタミンへの変化に対応するGからCへの塩基転換としてGenBank受託番号NM_001160045.1(配列番号33)のヌクレオチド位置3172に位置するか、GenBank受託番号NP_001161081.1(配列番号36)の位置1059でのグルタミン酸からグルタミンへの変化に対応するGからCへの塩基転換としてGenBank受託番号NM_001167609.1(配列番号35)の位置3253に位置するか、又はGenBank受託番号NP_005260.1(配列番号38)の位置1100でのグルタミン酸からグルタミンへの変化に対応するGからCへの塩基転換としてGenBank受託番号NM_005269.2(配列番号37)の位置3376に位置する。
[0100]2.MDR1
MDR1は、ATP結合カセット(ABC)トランスポーターのタンパク質ファミリーのメンバーである。また、MDR1は、多剤耐性又はATP結合カセット、サブファミリーB(MDR/TAP)メンバー1(ABCB1)、P−糖タンパク質(浸透性−糖タンパク質)、及びPGY1としても知られている。ABCタンパク質は、細胞外及び細胞内膜の両方を横切って様々な分子を輸送する。7つの明白に異なるABC輸送のサブファミリー、すなわち、ABC1、MDR/TAP、MRP、ALD、OABP、GCN20及びWhiteが存在する。MDR1はMDR/TAPファミリーのメンバーであり、これらのタンパク質は多剤耐性に関与している。MDR1は多剤耐性細胞における薬物蓄積の減少に特に関与しており、抗癌薬に対する耐性を媒介することができる。MDR1は血液脳関門においてトランスポーターとして機能し、様々な物質のATP依存性排出ポンプとして作用する。たとえば、Allerら、Science、323(5922):1718〜22(2009)、van Helvoortら、Cell、87(3):507〜517(1996)、Uedaら、J.Biol.Chem.、262(2):505〜508(1987)、及びThiebautら、PNAS、84(21):7735〜7738(1987)を参照されたい。
MDR1は、ATP結合カセット(ABC)トランスポーターのタンパク質ファミリーのメンバーである。また、MDR1は、多剤耐性又はATP結合カセット、サブファミリーB(MDR/TAP)メンバー1(ABCB1)、P−糖タンパク質(浸透性−糖タンパク質)、及びPGY1としても知られている。ABCタンパク質は、細胞外及び細胞内膜の両方を横切って様々な分子を輸送する。7つの明白に異なるABC輸送のサブファミリー、すなわち、ABC1、MDR/TAP、MRP、ALD、OABP、GCN20及びWhiteが存在する。MDR1はMDR/TAPファミリーのメンバーであり、これらのタンパク質は多剤耐性に関与している。MDR1は多剤耐性細胞における薬物蓄積の減少に特に関与しており、抗癌薬に対する耐性を媒介することができる。MDR1は血液脳関門においてトランスポーターとして機能し、様々な物質のATP依存性排出ポンプとして作用する。たとえば、Allerら、Science、323(5922):1718〜22(2009)、van Helvoortら、Cell、87(3):507〜517(1996)、Uedaら、J.Biol.Chem.、262(2):505〜508(1987)、及びThiebautら、PNAS、84(21):7735〜7738(1987)を参照されたい。
[0101]MDR1遺伝子中のSNPなどの対立遺伝子変異体の非存在の存在の決定は、本発明において特に有用である。本明細書中で使用する用語「MDR1変異体」又はその変形には、野生型MDR1遺伝子に比べて1つ若しくは複数の変化を含有するMDR1遺伝子のヌクレオチド配列、又は野生型MDR1ポリペプチド配列に比べて1つ若しくは複数の変化を含有するMDR1ポリペプチドのアミノ酸配列が含まれる。MDR1はヒト染色体7に位置決定されている。MDR1は、そのヒト多型性が様々な薬物の薬物動態学的プロフィールを変更するAla893Ser/Thr及びC3435Tにおいて報告されている膜トランスポータータンパク質である。たとえば、Brantら、Am.J.Hum.Genet.、73:1282〜1292(2003)及びWangら、Curr.Pharmacogenomics and Personalized Medicine、7:40〜58(2009)を参照されたい。
[0102]MDR1の遺伝子位置情報は、たとえばGeneID:5243に記載されている。ヒトMDR1のmRNA(コード)及びポリペプチド配列は、たとえば、それぞれNM_000927.3(配列番号27)及びNP_000918.2(配列番号28)に記載されている。さらに、MDR1が含まれるヒト染色体7(7q21.12)の完全配列、GRCh37一次参照アセンブリは、たとえばGenBank受託番号NT_007933.15に記載されている。さらに、他の種からのMDR1の配列は、GenBankデータベース中に見つけることができる。
[0103]rs2032582 SNPは本発明の方法において特に有用であり、TからAへの塩基転換又はTからGへの塩基転換のどちらかとして配列番号27(NM_000927.3)のヌクレオチド位置3095に位置する。TからAへの塩基転換は配列番号28(NP_000918.2)の位置893でのセリンからスレオニンへの変化に対応する一方で、TからGへの塩基転換は配列番号28(NP_000918.2)の位置893でのセリンからアラニンへの変化に対応する。
[0104]3.ATG16L1
ATG16L1は、autophagy related 16−like 1としても知られており、細胞質成分をリソソームに送達する細胞内過程である、自己貪食と呼ばれる過程に関与するタンパク質である。自己貪食とは、細胞成分を再利用するために細胞によって使用される過程である。また、自己貪食過程は炎症反応にも関与しており、細菌による免疫系の破壊を促進する。ATG16L1タンパク質は大きなタンパク質複合体のWD反復含有成分であり、自食胞の形成の間中、自己貪食性の単離膜と会合する(たとえば、Mizushimaら、Journal of Cell Science、116(9):1679〜1688(2003)及びHampeら、Nature Genetics、39:207〜211(2006)を参照)。ATG16L1はクローン病に関連づけられている(たとえばRiouxら、Nature Genetics、39(5):596〜604(2007)を参照)。また、たとえば、Marquezら、Inflamm.Bowel Disease、15(11):1697〜1704(2009)、Mizushimaら、J.Cell Science、116:1679〜1688(2003)、及びZhengら、DNA Sequence:The J of DNA Sequencing and Mapping、15(4):303〜5(2004)も参照されたい)。
ATG16L1は、autophagy related 16−like 1としても知られており、細胞質成分をリソソームに送達する細胞内過程である、自己貪食と呼ばれる過程に関与するタンパク質である。自己貪食とは、細胞成分を再利用するために細胞によって使用される過程である。また、自己貪食過程は炎症反応にも関与しており、細菌による免疫系の破壊を促進する。ATG16L1タンパク質は大きなタンパク質複合体のWD反復含有成分であり、自食胞の形成の間中、自己貪食性の単離膜と会合する(たとえば、Mizushimaら、Journal of Cell Science、116(9):1679〜1688(2003)及びHampeら、Nature Genetics、39:207〜211(2006)を参照)。ATG16L1はクローン病に関連づけられている(たとえばRiouxら、Nature Genetics、39(5):596〜604(2007)を参照)。また、たとえば、Marquezら、Inflamm.Bowel Disease、15(11):1697〜1704(2009)、Mizushimaら、J.Cell Science、116:1679〜1688(2003)、及びZhengら、DNA Sequence:The J of DNA Sequencing and Mapping、15(4):303〜5(2004)も参照されたい)。
[0105]ATG16L1遺伝子中のSNPなどの対立遺伝子変異体の非存在の存在の決定は、本発明において特に有用である。本明細書中で使用する用語「ATG16L1変異体」又はその変形には、野生型ATG16L1遺伝子に比べて1つ若しくは複数の変化を含有するATG16L1遺伝子のヌクレオチド配列、又は野生型ATG16L1ポリペプチド配列に比べて1つ若しくは複数の変化を含有するATG16L1ポリペプチドのアミノ酸配列が含まれる。ATG16L1は、autophagy related 16−like 1としても知られており、ヒト染色体2に位置決定されている。
[0106]ATG16L1の遺伝子位置情報は、たとえばGeneID:55054に記載されている。ヒトATG16L1のmRNA(コード)及びポリペプチド配列は、たとえば、それぞれNM_017974.3(配列番号29)又はNM_030803.6(配列番号31)及びNP_060444.3(配列番号30)又はNP_110430.5(配列番号32)に記載されている。さらに、ATG16L1が含まれるヒト染色体2(2q37.1)の完全配列、GRCh37一次参照アセンブリは、たとえばGenBank受託番号NT_005120.16に記載されている。さらに、他の種からのATG16L1の配列は、GenBankデータベース中に見つけることができる。
[0107]rs2241880 SNPは本発明の方法において特に有用であり、配列番号30(NP_060444.3)の位置281でのスレオニンからアラニンへの変化に対応するAからGへの転移として配列番号29(NM_017974.3)のヌクレオチド位置1098に位置するか、又は配列番号32(NP_110430.5)の位置300でのスレオニンからアラニンへの変化に対応するAからGへの転移として配列番号31(NM_030803.6)の位置1155に位置する。
[0108]B.サイトカイン
試料中の少なくとも1つのサイトカインの存在又はレベルの決定は、本発明において有用である。本明細書中で使用する用語「サイトカイン」には、様々な免疫系の機能を調節する免疫細胞によって分泌された様々なポリペプチド又はタンパク質のうちの任意のものが含まれ、ケモカインなどの小サイトカインが包含される。また、用語「サイトカイン」には、たとえば体重、造血、血管形成、創傷治癒、インスリン耐性、免疫応答、及び炎症反応の調節において機能する脂肪細胞によって分泌されたサイトカインの群を含む、アディポサイトカインも含まれる。
試料中の少なくとも1つのサイトカインの存在又はレベルの決定は、本発明において有用である。本明細書中で使用する用語「サイトカイン」には、様々な免疫系の機能を調節する免疫細胞によって分泌された様々なポリペプチド又はタンパク質のうちの任意のものが含まれ、ケモカインなどの小サイトカインが包含される。また、用語「サイトカイン」には、たとえば体重、造血、血管形成、創傷治癒、インスリン耐性、免疫応答、及び炎症反応の調節において機能する脂肪細胞によって分泌されたサイトカインの群を含む、アディポサイトカインも含まれる。
[0109]特定の態様では、それだけには限定されないが、TNF−α、TNF関連のアポトーシスの弱い誘導因子(TWEAK)、オステオプロテゲリン(OPG)、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、IL−1α、IL−1β、IL−1受容体拮抗剤(IL−1ra)、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、可溶性IL−6受容体(sIL−6R)、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、IL−13、IL−15、IL−17、IL−23、及びIL−27を含めた少なくとも1つのサイトカインの存在又はレベルを、試料中で決定する。特定の他の態様では、たとえば、CXCL1/GRO1/GROα、CXCL2/GRO2、CXCL3/GRO3、CXCL4/PF−4、CXCL5/ENA−78、CXCL6/GCP−2、CXCL7/NAP−2、CXCL9/MIG、CXCL10/IP−10、CXCL11/I−TAC、CXCL12/SDF−1、CXCL13/BCA−1、CXCL14/BRAK、CXCL15、CXCL16、CXCL17/DMC、CCL1、CCL2/MCP−1、CCL3/MIP−1α、CCL4/MIP−1β、CCL5/RANTES、CCL6/C10、CCL7/MCP−3、CCL8/MCP−2、CCL9/CCL10、CCL11/エオタキシン、CCL12/MCP−5、CCL13/MCP−4、CCL14/HCC−1、CCL15/MIP−5、CCL16/LEC、CCL17/TARC、CCL18/MIP−4、CCL19/MIP−3β、CCL20/MIP−3α、CCL21/SLC、CCL22/MDC、CCL23/MPIF1、CCL24/エオタキシン−2、CCL25/TECK、CCL26/エオタキシン−3、CCL27/CTACK、CCL28/MEC、CL1、CL2、及びCX3CL1などの少なくとも1つのケモカインの存在又はレベルを、試料中で決定する。特定のさらなる態様では、それだけには限定されないが、レプチン、アディポネクチン、レジスチン、活性又は全プラスミノーゲン活性化阻害剤−1(PAI−1)、ビスファチン、及びレチノール結合タンパク質4(RBP4)を含めた少なくとも1つのアディポサイトカインの存在又はレベルを、試料中で決定する。好ましくは、IL−6、IL−1β、及び/又はTWEAKの存在又はレベルを決定する。
[0110]特定の場合では、特定のサイトカインの存在又はレベルは、たとえばハイブリダイゼーションアッセイ又は増幅に基づくアッセイなどのアッセイを用いて、mRNA発現のレベルで検出する。特定の他の場合では、特定のサイトカインの存在又はレベルは、たとえば免疫アッセイ(たとえばELISA)又は免疫組織化学的アッセイを使用して、タンパク質発現のレベルで検出する。血清、血漿、唾液、又は尿試料中のIL−6、IL−1β、又はTWEAKなどのサイトカインの存在又はレベルを決定するための適切なELISAキットは、たとえば、R&D Systems,Inc.(ミネソタ州Minneapolis)、Neogen Corp.(ケンタッキー州Lexington)、Alpco Diagnostics(ニューハンプシャー州Salem)、Assay Designs,Inc.(ミシガン州Ann Arbor)、BD Biosciences Pharmingen(カリフォルニア州San Diego)、Invitrogen(カリフォルニア州Camarillo)、Calbiochem(カリフォルニア州San Diego)、CHEMICON International,Inc.(カリフォルニア州Temecula)、Antigenix America Inc.(ニューヨーク州Huntington Station)、QIAGEN Inc.(カリフォルニア州Valencia)、Bio−Rad Laboratories,Inc.(カリフォルニア州Hercules)、及び/又はBender MedSystems Inc.(カリフォルニア州Burlingame)から入手可能である。
[0111]ヒトIL−6ポリペプチド配列は、たとえばGenbank受託番号NP_000591(配列番号1)に記載されている。ヒトIL−6 mRNA(コード)配列は、たとえばGenbank受託番号NM_000600(配列番号2)に記載されている。当業者には、IL−6がインターフェロンベータ2(IFNB2)、HGF、HSF、及びBSF2としても知られていることが理解されよう。
[0112]ヒトIL−1βポリペプチド配列は、たとえばGenbank受託番号NP_000567(配列番号3)に記載されている。ヒトIL−1β mRNA(コード)配列は、たとえばGenbank受託番号NM_000576(配列番号4)に記載されている。当業者には、IL−1βがIL1F2及びIL−1ベータとしても知られていることが理解されよう。
[0113]ヒトTWEAKポリペプチド配列は、たとえば、Genbank受託番号NP_003800(配列番号5)及びAAC51923に記載されている。ヒトTWEAK mRNA(コード)配列は、たとえば、Genbank受託番号NM_003809(配列番号6)及びBC104420に記載されている。当業者には、TWEAKが腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー12(TNFSF12)、APO3リガンド(APO3L)、CD255、DR3リガンド、成長因子誘導性14(Fn14)リガンド、及びUNQ181/PRO207としても知られていることが理解されよう。
[0114]C.成長因子
また、試料中の1つ又は複数の成長因子の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。本明細書中で使用する用語「成長因子」には、細胞増殖及び/又は細胞分化を刺激することができる様々なペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質のうちの任意のものが含まれる。
また、試料中の1つ又は複数の成長因子の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。本明細書中で使用する用語「成長因子」には、細胞増殖及び/又は細胞分化を刺激することができる様々なペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質のうちの任意のものが含まれる。
[0115]特定の態様では、それだけには限定されないが、表皮成長因子(EGF)、ヘパリン結合表皮成長因子(HB−EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、色素上皮由来因子(PEDF、セルピンF1としても知られる)、アンフィレギュリン(AREG、シュワン腫由来成長因子(SDGF)としても知られる)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、肝細胞成長因子(HGF)、トランスフォーミング成長因子−α(TGF−α)、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)、骨形成タンパク質(たとえばBMP1〜BMP15)、血小板由来成長因子(PDGF)、神経成長因子(NGF)、β−神経成長因子(β−NGF)、神経栄養因子(たとえば、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン3(NT3)、ニューロトロフィン4(NT4)など)、成長分化因子−9(GDF−9)、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、ミオスタチン(GDF−8)、エリスロポエチン(EPO)、及びトロンボポエチン(TPO)を含めた少なくとも1つの成長因子の存在又はレベルを、試料中で決定する。好ましくは、EGFの存在又はレベルを決定する。
[0116]特定の場合では、特定の成長因子の存在又はレベルは、たとえばハイブリダイゼーションアッセイ又は増幅に基づくアッセイなどのアッセイを用いて、mRNA発現のレベルで検出する。特定の他の場合では、特定の成長因子の存在又はレベルは、たとえば免疫アッセイ(たとえばELISA)又は免疫組織化学的アッセイを使用して、タンパク質発現のレベルで検出する。血清、血漿、唾液、又は尿試料中のEGFなどの成長因子の存在又はレベルを決定するための適切なELISAキットは、たとえば、Antigenix America Inc.(ニューヨーク州Huntington Station)、Promega(ウィスコンシン州Madison)、R&D Systems,Inc.(ミネソタ州Minneapolis)、Invitrogen(カリフォルニア州Camarillo)、CHEMICON International,Inc.(カリフォルニア州Temecula)、Neogen Corp.(ケンタッキー州Lexington)、PeproTech(ニュージャージー州Rocky Hill)、Alpco Diagnostics(ニューハンプシャー州Salem)、Pierce Biotechnology,Inc.(イリノイ州Rockford)、及び/又はAbazyme(マサチューセッツ州Needham)から入手可能である。
[0117]ヒト表皮成長因子(EGF)ポリペプチド配列は、たとえばGenbank受託番号NP_001954(配列番号7)に記載されている。ヒトEGF mRNA(コード)配列は、たとえばGenbank受託番号NM_001963(配列番号8)に記載されている。当業者には、EGFがベータ−ウロガストロン、URG、及びHOMG4としても知られていることが理解されよう。
[0118]D.抗好中球抗体
また、試料中のANCAレベル及び/又はpANCAの存在若しくは非存在の決定も、本発明において有用である。本明細書中で使用する用語「抗好中球細胞質抗体」すなわち「ANCA」には、好中球の細胞質及び/又は核成分に向けられた抗体が含まれる。ANCA活性は、好中球中のANCA染色パターンに基づいていくつかの広義なカテゴリー、すなわち、(1)核周囲型のハイライトのない細胞質好中球染色(cANCA)、(2)核の外縁の周りの核周囲染色(pANCA)、(3)核の内縁の周りの核周囲染色(NSNA)、及び(4)好中球全体にわたって点在する広汎性染色(SAPPA)に分けることができる。特定の場合では、pANCA染色はDNase処理に感受性がある。用語ANCAには、それだけには限定されないが、cANCA、pANCA、NSNA、及びSAPPAを含めた、抗好中球反応性のすべての種類が包含される。同様に、用語ANCAには、それだけには限定されないが免疫グロブリンA及びGを含めたすべての免疫グロブリンアイソタイプが包含される。
また、試料中のANCAレベル及び/又はpANCAの存在若しくは非存在の決定も、本発明において有用である。本明細書中で使用する用語「抗好中球細胞質抗体」すなわち「ANCA」には、好中球の細胞質及び/又は核成分に向けられた抗体が含まれる。ANCA活性は、好中球中のANCA染色パターンに基づいていくつかの広義なカテゴリー、すなわち、(1)核周囲型のハイライトのない細胞質好中球染色(cANCA)、(2)核の外縁の周りの核周囲染色(pANCA)、(3)核の内縁の周りの核周囲染色(NSNA)、及び(4)好中球全体にわたって点在する広汎性染色(SAPPA)に分けることができる。特定の場合では、pANCA染色はDNase処理に感受性がある。用語ANCAには、それだけには限定されないが、cANCA、pANCA、NSNA、及びSAPPAを含めた、抗好中球反応性のすべての種類が包含される。同様に、用語ANCAには、それだけには限定されないが免疫グロブリンA及びGを含めたすべての免疫グロブリンアイソタイプが包含される。
[0119]個体からの試料中のANCAレベルは、たとえばアルコール固定した好中球を用いた酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの免疫アッセイを使用して決定することができる(たとえばPCT国際公開第2010/120814号パンフレットの実施例1を参照)。pANCAなどのANCAの特定のカテゴリーの存在又は非存在は、たとえば間接蛍光抗体(IFA)アッセイなどの免疫組織化学的アッセイを使用して決定することができる。特定の実施形態では、試料中のpANCAの存在又は非存在は、DNase処理した固定した好中球を用いた免疫蛍光アッセイを使用して決定する(たとえばPCT国際公開第2010/120814号パンフレットの実施例2を参照)。固定した好中球に加えて、ヒト抗体に向けられた抗体を検出に使用することができる。また、それだけには限定されないが、未精製又は部分精製の好中球抽出物、ヒストンH1又はそのANCA反応性断片などの精製タンパク質、タンパク質断片、又は合成ペプチド(たとえば米国特許第6,074,835号を参照)、ヒストンH1様抗原、ポリン抗原、バクテロイデス(Bacteroides)抗原、又はそのANCA反応性断片(たとえば米国特許第6,033,864号を参照)、分泌小胞抗原又はそのANCA反応性断片(たとえば米国特許出願公開第08/804,106号を参照)、及び抗ANCAイディオタイプ抗体を含めた、ANCAに特異的な抗原も、ANCAレベルの決定に適している。当業者には、ANCAに特異的なさらなる抗原の使用が本発明の範囲内にあることが理解されよう。上述の特許文書のそれぞれの開示は、すべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている。
[0120]E.抗サッカロマイセス・セレビシエ抗体
また、試料中のASCA(たとえば、ASCA−IgA、ASCA−IgG、ASCA−IgMなど)の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。用語「抗サッカロマイセス・セレビシエ免疫グロブリンA」すなわち「ASCA−IgA」には、エス・セレビシエと特異的に反応する免疫グロブリンAアイソタイプの抗体が含まれる。同様に、用語「抗サッカロマイセス・セレビシエ免疫グロブリンG」すなわち「ASCA−IgG」には、エス・セレビシエと特異的に反応する免疫グロブリンGアイソタイプの抗体が含まれる。
また、試料中のASCA(たとえば、ASCA−IgA、ASCA−IgG、ASCA−IgMなど)の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。用語「抗サッカロマイセス・セレビシエ免疫グロブリンA」すなわち「ASCA−IgA」には、エス・セレビシエと特異的に反応する免疫グロブリンAアイソタイプの抗体が含まれる。同様に、用語「抗サッカロマイセス・セレビシエ免疫グロブリンG」すなわち「ASCA−IgG」には、エス・セレビシエと特異的に反応する免疫グロブリンGアイソタイプの抗体が含まれる。
[0121]試料がASCA−IgA又はASCA−IgGについて陽性であるかどうかの決定は、ヒト抗体配列に特異的な抗体又はASCAに特異的な抗原を使用して行う。そのような抗原は、ASCA−IgA及び/又はASCA−IgGによって特異的に結合される任意の抗原又は抗原混合物であることができる。ASCA抗体はエス・セレビシエと結合するその能力によって最初に特徴づけられたが、抗原がASCA抗体と特異的に結合することができる限りは、ASCAによって特異的に結合される抗原をエス・セレビシエ又は様々な他の供給源から得ることができることが、当業者には理解されよう。したがって、試料中のASCA−IgA及び/又はASCA−IgGのレベルを決定するために使用することができるASCAに特異的な抗原の例示的な供給源には、それだけには限定されないが、サッカロマイセス属(Saccharomyces)又はカンジダ属(Candida)細胞などの死滅酵母細胞全体、ホスホペプチドマンナン(PPM)などの酵母細胞壁マンナン、オリゴマンノシドなどのオリゴ糖、ネオ糖脂質、抗ASCAイディオタイプ抗体などが含まれる。エス・セレビシエ株Su1、Su2、CBS1315、若しくはBM156、又はカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)株VW32などの酵母の様々な種及び株が、ASCA−IgA及び/又はASCA−IgGに特異的な抗原としての使用に適切である。また、ASCAに特異的な精製抗原及び合成抗原も、試料中のASCA−IgA及び/又はASCA−IgGのレベルの決定における使用に適切である。精製抗原の例には、それだけには限定されないが、オリゴマンノシドなどの精製オリゴ糖抗原が含まれる。合成抗原の例には、それだけには限定されないが、米国特許出願公開第20030105060号に記載されているものなどの合成オリゴマンノシド、たとえば、D−Manβ(1−2)D−Manβ(1−2)D−Manβ(1−2)D−Man−OR、D−Manα(1−2)D−Manα(1−2)D−Manα(1−2)D−Man−OR、及びD−Manα(1−3)D−Manα(1−2)D−Manα(1−2)D−Man−OR[式中、Rは水素原子、C1〜C20アルキル、又は任意選択で標識された連結基である]が含まれる。
[0122]酵母細胞壁マンナン、たとえばPPMの調製物を、試料中のASCA−IgA及び/又はASCA−IgGのレベルの決定に使用することができる。そのような水溶性表面抗原は、たとえばオートクレーブを含めた当分野で知られている任意の適切な抽出技法によって調製することができるか、又は商業的に入手することができる(たとえばLindbergら、Gut、33:909〜913(1992)を参照)。また、PPMの酸安定性画分は、本発明の統計アルゴリズムにおいても有用である(Sendidら、Clin.Diag.Lab.Immunol.、3:219〜226(1996))。試料中のASCAレベルの決定に有用な例示的なPPMは、エス・ウバルム(S.uvarum)株ATCC#38926に由来する。その開示がすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれているPCT国際公開第2010/120814号パンフレットの実施例3は、酵母細胞ウェル(well)マンナンの調製及びELISAアッセイを使用した試料中のASCAレベルの分析を記載している。
[0123]また、オリゴマンノシドなどの精製オリゴ糖抗原も、試料中のASCA−IgA及び/又はASCA−IgGのレベルの決定に有用な可能性がある。精製オリゴマンノシド抗原は、たとえばFailleら、Eur.J.Microbiol.Infect.Dis.、11:438〜446(1992)に記載されているように、好ましくはネオ糖脂質へと変換する。そのようなオリゴマンノシド抗原とASCAとの反応性は、マンノシル鎖の長さ(Froshら、Proc Natl.Acad.Sci.USA、82:1194〜1198(1985))、アノマー立体配置(Fukazawaら、「Immunology of Fungal Disease」、E.Kurstak(編)、Marcel Dekker Inc.、New York、ページ37〜62(1989)、Nishikawaら、Microbiol.Immunol.、34:825〜840(1990)、Poulainら、Eur.J.Clin.Microbiol.、23:46〜52(1993)、Shibataら、Arch.Biochem.Biophys.、243:338〜348(1985)、Trinelら、Infect.Immun.、60:3845〜3851(1992))、又は結合の位置(Kikuchiら、Planta、190:525〜535(1993))を変動させることによって最適化できることを、当業者には理解されよう。
[0124]本発明の方法で使用するための適切なオリゴマンノシドには、それだけには限定されないが、マンノテトラオースMan(1−3)Man(1−2)Man(1−2)Manを有するオリゴマンノシドが含まれる。そのようなオリゴマンノシドは、たとえばFailleら、上記に記載のように、PPMから精製することができる。ASCAに特異的な例示的なネオ糖脂質は、オリゴマンノシドをその対応するPPMから放出させ、続いて放出されたオリゴマンノシドを4−ヘキサデシルアニリンなどとカップリングさせることによって構築することができる。
[0125]F.抗微生物抗体
また、試料中の抗OmpC抗体の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。本明細書中で使用する用語「抗外膜タンパク質C抗体」すなわち「抗OmpC抗体」には、たとえば、その開示がすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第7,138,237号及びPCT国際公開第01/89361号パンフレットに記載されている、細菌外膜ポリンに向けられた抗体が含まれる。用語「外膜タンパク質C」すなわち「OmpC」とは、抗OmpC抗体と免疫反応性の細菌ポリンをいう。
また、試料中の抗OmpC抗体の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。本明細書中で使用する用語「抗外膜タンパク質C抗体」すなわち「抗OmpC抗体」には、たとえば、その開示がすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第7,138,237号及びPCT国際公開第01/89361号パンフレットに記載されている、細菌外膜ポリンに向けられた抗体が含まれる。用語「外膜タンパク質C」すなわち「OmpC」とは、抗OmpC抗体と免疫反応性の細菌ポリンをいう。
[0126]個体からの試料中に存在する抗OmpC抗体のレベルは、OmpCタンパク質又はその免疫反応性断片などのその断片を使用して決定することができる。試料中の抗OmpC抗体レベルを決定するために有用な適切なOmpC抗原には、それだけには限定されないが、OmpCタンパク質、OmpCタンパク質と実質的に同じアミノ酸配列を有するOmpCポリペプチド、又はその免疫反応性断片などのその断片が含まれる。本明細書中で使用するOmpCポリペプチドは、一般に、OmpCタンパク質と約50%より高い同一性、好ましくは約60%より高い同一性、より好ましくは約70%より高い同一性、さらにより好ましくは約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%より高いアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを説明し、アミノ酸同一性はCLUSTALWなどの配列アラインメントプログラムを使用して決定する。そのような抗原は、たとえば、イー・コリ(E.coli)などの腸内細菌からの精製によって、Genbank受託番号K00541などの核酸の組換え発現によって、液相若しくは固相ペプチド合成などの合成手段によって、又はファージディスプレイを使用することによって調製することができる。その開示がすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれているPCT国際公開第2010/120814号パンフレットの実施例4は、OmpCタンパク質の調製及びELISAアッセイを使用した試料中の抗OmpC抗体レベルの分析を記載している。
[0127]また、試料中の抗I2抗体の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。本明細書中で使用する用語「抗I2抗体」には、たとえば、その開示がすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第6,309,643号に記載されている、細菌転写調節因子と相同性を共有する微生物抗原に向けられた抗体が含まれる。用語「I2」とは、抗I2抗体と免疫反応性の微生物抗原をいう。微生物I2タンパク質は、シー・パスツーリアヌム(C.pasteurianum)からの予測タンパク質4、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)からのRv3557c、及びアクリフェックス・エオリカス(Aquifex aeolicus)からの転写調節因子とある程度の類似度の弱い相同性を共有する、100個のアミノ酸のポリペプチドである。I2タンパク質の核酸及びタンパク質の配列は、たとえば米国特許第6,309,643号に記載されている。
[0128]個体からの試料中に存在する抗I2抗体のレベルは、I2タンパク質又はその免疫反応性断片などのその断片を使用して決定することができる。試料中の抗I2抗体レベルを決定するために有用な適切なI2抗原には、それだけには限定されないが、I2タンパク質、I2タンパク質と実質的に同じアミノ酸配列を有するI2ポリペプチド、又はその免疫反応性断片などのその断片が含まれる。そのようなI2ポリペプチドは、I2タンパク質に対してシー・パスツーリアヌムタンパク質4よりも高い配列類似度を示し、そのアイソタイプ変異体及び相同体が含まれる。本明細書中で使用するI2ポリペプチドは、一般に、天然に存在するI2タンパク質と約50%より高い同一性、好ましくは約60%より高い同一性、より好ましくは約70%より高い同一性、さらにより好ましくは約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%より高いアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを説明し、アミノ酸同一性はCLUSTALWなどの配列アラインメントプログラムを使用して決定する。そのようなI2抗原は、たとえば、微生物からの精製によって、I2抗原をコードしている核酸の組換え発現によって、液相若しくは固相ペプチド合成などの合成手段によって、又はファージディスプレイを使用することによって調製することができる。試料中の抗I2抗体レベルの決定は、ELISAアッセイ(たとえば、その開示がすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれているPCT国際公開第2010/120814号パンフレットの実施例5、20、及び22を参照)又は組織学的アッセイを使用して行うことができる。
[0129]また、試料中の抗フラゲリン抗体の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。本明細書中で使用する用語「抗フラゲリン抗体」には、たとえば、その開示がすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第7,361,733号及びPCT特許国際公開第03/053220号パンフレットに記載されている、細菌鞭毛のタンパク質成分に向けられた抗体が含まれる。用語「フラゲリン」とは、抗フラゲリン抗体と免疫反応性の細菌鞭毛タンパク質をいう。微生物フラゲリンには、たとえば、自身を中空の円柱に配置してフィラメントを形成する、細菌鞭毛中に見つかるタンパク質が含まれる。
[0130]個体からの試料中に存在する抗フラゲリン抗体のレベルは、フラゲリンタンパク質又はその免疫反応性断片などのその断片を使用して決定することができる。試料中の抗フラゲリン抗体レベルを決定するために有用な適切なフラゲリン抗原には、それだけには限定されないが、Cbir−1フラゲリン、フラゲリンX、フラゲリンA、フラゲリンB、その断片、及びその組合せなどのフラゲリンタンパク質、フラゲリンタンパク質と実質的に同じアミノ酸配列を有するフラゲリンポリペプチド、又はその免疫反応性断片などのその断片が含まれる。本明細書中で使用するフラゲリンポリペプチドは、一般に、天然に存在するフラゲリンタンパク質と約50%より高い同一性、好ましくは約60%より高い同一性、より好ましくは約70%より高い同一性、さらにより好ましくは約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%より高いアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを説明し、アミノ酸同一性はCLUSTALWなどの配列アラインメントプログラムを使用して決定する。そのようなフラゲリン抗原は、たとえば、ヘリコバクター・ビリス(Helicobacter Bilis)、ヘリコバクター・ムステラエ(Helicobacter mustelae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、ブチリビブリオ・フィブリソルベンス(Butyrivibrio fibrisolvens)、及び盲腸中に見つかる細菌などの細菌からの精製によって、フラゲリン抗原をコードしている核酸の組換え発現によって、液相若しくは固相ペプチド合成などの合成手段によって、又はファージディスプレイを使用することによって調製することができる。試料中の抗フラゲリン(たとえば抗Cbir−1)抗体レベルの決定は、ELISAアッセイ又は組織学的アッセイを使用して行うことができる。
[0131]G.急性期タンパク質
また、試料中の1つ又は複数の急性期タンパク質の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。急性期タンパク質とは、その血漿濃度が炎症に応答して増加(陽性急性期タンパク質)又は減少(陰性急性期タンパク質)するタンパク質のクラスである。この応答は急性期反応(acute−phase reaction)と呼ばれる(急性期反応(acute−phase response)とも呼ばれる)。陽性急性期タンパク質の例には、それだけには限定されないが、C反応性タンパク質(CRP)、D−二量体タンパク質、マンノース−結合タンパク質、アルファ1−抗トリプシン、アルファ1−抗キモトリプシン、アルファ2−マクログロブリン、フィブリノーゲン、プロトロンビン、第VIII因子、フォンウィルブランド因子、プラスミノーゲン、補体因子、フェリチン、血清アミロイドP成分、血清アミロイドA(SAA)、オロソムコイド(アルファ1−酸糖タンパク質、AGP)、セルロプラスミン、ハプトグロビン、及びその組合せが含まれる。陰性急性期タンパク質の非限定的な例には、アルブミン、トランスフェリン、トランスサイレチン、トランスコルチン、レチノール−結合タンパク質、及びその組合せが含まれる。好ましくは、CRP及び/又はSAAの存在又はレベルを決定する。
また、試料中の1つ又は複数の急性期タンパク質の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。急性期タンパク質とは、その血漿濃度が炎症に応答して増加(陽性急性期タンパク質)又は減少(陰性急性期タンパク質)するタンパク質のクラスである。この応答は急性期反応(acute−phase reaction)と呼ばれる(急性期反応(acute−phase response)とも呼ばれる)。陽性急性期タンパク質の例には、それだけには限定されないが、C反応性タンパク質(CRP)、D−二量体タンパク質、マンノース−結合タンパク質、アルファ1−抗トリプシン、アルファ1−抗キモトリプシン、アルファ2−マクログロブリン、フィブリノーゲン、プロトロンビン、第VIII因子、フォンウィルブランド因子、プラスミノーゲン、補体因子、フェリチン、血清アミロイドP成分、血清アミロイドA(SAA)、オロソムコイド(アルファ1−酸糖タンパク質、AGP)、セルロプラスミン、ハプトグロビン、及びその組合せが含まれる。陰性急性期タンパク質の非限定的な例には、アルブミン、トランスフェリン、トランスサイレチン、トランスコルチン、レチノール−結合タンパク質、及びその組合せが含まれる。好ましくは、CRP及び/又はSAAの存在又はレベルを決定する。
[0132]特定の場合では、特定の急性期タンパク質の存在又はレベルは、たとえばハイブリダイゼーションアッセイ又は増幅に基づくアッセイなどのアッセイを用いて、mRNA発現のレベルで検出する。特定の他の場合では、特定の急性期タンパク質の存在又はレベルは、たとえば免疫アッセイ(たとえばELISA)又は免疫組織化学的アッセイを使用して、タンパク質発現のレベルで検出する。たとえば、Alpco Diagnostics(ニューハンプシャー州Salem)から入手可能なサンドイッチ比色ELISAアッセイを使用して、血清、血漿、尿、又は糞便試料中のCRPのレベルを決定することができる。同様に、Biomeda Corporation(カリフォルニア州Foster City)から入手可能なELISAキットを使用して、試料中のCRPレベルを検出することができる。試料中のCRPレベルを決定するための他の方法は、たとえば、その開示がすべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第6,838,250号及び第6,406,862号、並びに米国特許出願公開第20060024682号及び第20060019410号に記載されている。CRPレベルを決定するためのさらなる方法には、たとえば、免疫比濁測定アッセイ、迅速免疫拡散アッセイ、及び視覚的凝集アッセイが含まれる。
[0133]C反応性タンパク質(CRP)とは、血液中で炎症に応答して見つかるタンパク質である(急性期タンパク質)。CRPは、典型的には肝臓及び脂肪細胞(fat cell)(脂肪細胞(adipocyte))によって産生される。CRPはペントラキシンのタンパク質ファミリーのメンバーである。ヒトCRPポリペプチド配列は、たとえばGenbank受託番号NP_000558(配列番号9)に記載されている。ヒトCRP mRNA(コード)配列は、たとえばGenbank受託番号NM_000567(配列番号10)に記載されている。当業者には、CRPがPTX1、MGC88244、及びMGC149895としても知られていることが理解されよう。
[0134]H.アポリポタンパク質
また、試料中の1つ又は複数のアポリポタンパク質の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。アポリポタンパク質とは、脂肪(脂質)と結合するタンパク質である。これらは、血流を通って食事性脂肪を輸送するリポタンパク質を形成する。食事性脂肪は腸管内で消化され、肝臓へと運ばれる。また、脂肪は肝臓自体中でも合成される。脂肪は脂肪細胞(fat cell)(脂肪細胞(adipocyte))内で貯蔵される。脂肪は格筋、心臓、及び他の器官において必要に応じてエネルギーのために代謝され、母乳中で分泌される。また、アポリポタンパク質は、酵素補因子、受容体リガンド、並びにリポタンパク質の代謝及び組織中へのその取り込みを調節する脂質輸送担体としても役割を果たす。アポリポタンパク質の例には、それだけには限定されないが、ApoA(たとえば、ApoA−I、ApoA−II、ApoA−IV、ApoA−V)、ApoB(たとえば、ApoB48、ApoB100)、ApoC(たとえば、ApoC−I、ApoC−II、ApoC−III、ApoC−IV)、ApoD、ApoE、ApoH、血清アミロイドA(SAA)、及びその組合せが含まれる。好ましくは、SAAの存在又はレベルを決定する。
また、試料中の1つ又は複数のアポリポタンパク質の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。アポリポタンパク質とは、脂肪(脂質)と結合するタンパク質である。これらは、血流を通って食事性脂肪を輸送するリポタンパク質を形成する。食事性脂肪は腸管内で消化され、肝臓へと運ばれる。また、脂肪は肝臓自体中でも合成される。脂肪は脂肪細胞(fat cell)(脂肪細胞(adipocyte))内で貯蔵される。脂肪は格筋、心臓、及び他の器官において必要に応じてエネルギーのために代謝され、母乳中で分泌される。また、アポリポタンパク質は、酵素補因子、受容体リガンド、並びにリポタンパク質の代謝及び組織中へのその取り込みを調節する脂質輸送担体としても役割を果たす。アポリポタンパク質の例には、それだけには限定されないが、ApoA(たとえば、ApoA−I、ApoA−II、ApoA−IV、ApoA−V)、ApoB(たとえば、ApoB48、ApoB100)、ApoC(たとえば、ApoC−I、ApoC−II、ApoC−III、ApoC−IV)、ApoD、ApoE、ApoH、血清アミロイドA(SAA)、及びその組合せが含まれる。好ましくは、SAAの存在又はレベルを決定する。
[0135]特定の場合では、特定のアポリポタンパク質の存在又はレベルは、たとえばハイブリダイゼーションアッセイ又は増幅に基づくアッセイなどのアッセイを用いて、mRNA発現のレベルで検出する。特定の他の場合では、特定のアポリポタンパク質の存在又はレベルは、たとえば免疫アッセイ(たとえばELISA)又は免疫組織化学的アッセイを使用して、タンパク質発現のレベルで検出する。血清、血漿、唾液、尿、又は大便などの試料中のSAAの存在又はレベルを決定するための適切なELISAキットは、たとえば、Antigenix America Inc.(ニューヨーク州Huntington Station)、Abazyme(マサチューセッツ州Needham)、USCN Life(テキサス州Missouri City)、及び/又はU.S.Biological(マサチューセッツ州Swampscott)から入手可能である。
[0136]血清アミロイドA(SAA)タンパク質とは、血漿中の高密度リポタンパク質(HDL)に関連づけられているアポリポタンパク質のファミリーである。SAAの様々なアイソフォームが、様々なレベルで構成的に(構成的SAA)又は炎症性刺激に応答して(急性期SAA)発現されている。これらのタンパク質は、主に肝臓によって産生される。無脊椎動物及び脊椎動物の全体にわたってこれらのタンパク質が保存されていることは、SAAがすべての動物において非常に重要な役割を果たすことを示唆している。急性期血清アミロイドAタンパク質(A−SAA)は炎症の急性期中に分泌される。ヒトSAAポリペプチド配列は、たとえばGenbank受託番号NP_000322(配列番号11)に記載されている。ヒトSAA mRNA(コード)配列は、たとえばGenbank受託番号NM_000331(配列番号12)に記載されている。当業者には、SAAがPIG4、TP53I4、MGC111216、及びSAA1としても知られていることが理解されよう。
[0137]I.デフェンシン
また、試料中の1つ又は複数のデフェンシンの存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。デフェンシンとは、脊椎動物及び無脊椎動物のどちらにおいても見つかるシステインに富んだ小さな陽イオンタンパク質である。これらは細菌、真菌、並びに多くの外被及び非外被ウイルスに対して活性である。これらは、6個(脊椎動物中)〜8個の保存的なシステイン残基を含めた18〜45個のアミノ酸から典型的になる。免疫系の細胞は、たとえば好中性顆粒球及びほぼすべての上皮細胞において、貪食された細菌の死滅を補助するためにこれらのペプチドを含有する。ほとんどのデフェンシンは、微生物細胞膜と結合することによって機能し、包埋された後、必須のイオン及び栄養素の流出を可能にする孔様の膜欠損を形成する。デフェンシンの非限定的な例には、α−デフェンシン(たとえば、DEFA1、DEFA1A3、DEFA3、DEFA4)、β−デフェンシン(たとえば、βデフェンシン−1(DEFB1)、βデフェンシン−2(DEFB2)、DEFB103A/DEFB103B〜DEFB107A/DEFB107B、DEFB110〜DEFB133)、及びその組合せが含まれる。好ましくは、DEFB1及び/又はDEFB2の存在又はレベルを決定する。
また、試料中の1つ又は複数のデフェンシンの存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。デフェンシンとは、脊椎動物及び無脊椎動物のどちらにおいても見つかるシステインに富んだ小さな陽イオンタンパク質である。これらは細菌、真菌、並びに多くの外被及び非外被ウイルスに対して活性である。これらは、6個(脊椎動物中)〜8個の保存的なシステイン残基を含めた18〜45個のアミノ酸から典型的になる。免疫系の細胞は、たとえば好中性顆粒球及びほぼすべての上皮細胞において、貪食された細菌の死滅を補助するためにこれらのペプチドを含有する。ほとんどのデフェンシンは、微生物細胞膜と結合することによって機能し、包埋された後、必須のイオン及び栄養素の流出を可能にする孔様の膜欠損を形成する。デフェンシンの非限定的な例には、α−デフェンシン(たとえば、DEFA1、DEFA1A3、DEFA3、DEFA4)、β−デフェンシン(たとえば、βデフェンシン−1(DEFB1)、βデフェンシン−2(DEFB2)、DEFB103A/DEFB103B〜DEFB107A/DEFB107B、DEFB110〜DEFB133)、及びその組合せが含まれる。好ましくは、DEFB1及び/又はDEFB2の存在又はレベルを決定する。
[0138]特定の場合では、特定のデフェンシンの存在又はレベルは、たとえばハイブリダイゼーションアッセイ又は増幅に基づくアッセイなどのアッセイを用いて、mRNA発現のレベルで検出する。特定の他の場合では、特定のデフェンシンの存在又はレベルは、たとえば免疫アッセイ(たとえばELISA)又は免疫組織化学的アッセイを使用して、タンパク質発現のレベルで検出する。血清、血漿、唾液、尿、又は大便などの試料中のDEFB1及び/又はDEFB2の存在又はレベルを決定するための適切なELISAキットは、たとえば、Alpco Diagnostics(ニューハンプシャー州Salem)、Antigenix America Inc.(ニューヨーク州Huntington Station)、PeproTech(ニュージャージー州Rocky Hill)、及び/又はAlpha Diagnostic Intl.Inc.(テキサス州San Antonio)から入手可能である。
[0139]β−デフェンシンは、微生物コロニー形成に対する上皮表面の耐性に関連づけられている抗微生物ペプチドである。これらはすべてのデフェンシンの中で最も広く分布しており、白血球及び多種の上皮細胞によって分泌される。たとえば、これらは舌、皮膚、角膜、唾液腺、腎臓、食道、及び気道上に見つけることができる。ヒトDEFB1ポリペプチド配列は、たとえばGenbank受託番号NP_005209(配列番号13)に記載されている。ヒトDEFB1 mRNA(コード)配列は、たとえばGenbank受託番号NM_005218(配列番号14)に記載されている。当業者には、DEFB1がBD1、HBD1、DEFB−1、DEFB101、及びMGC51822としても知られていることが理解されよう。ヒトDEFB2ポリペプチド配列は、たとえばGenbank受託番号NP_004933(配列番号15)に記載されている。ヒトDEFB2 mRNA(コード)配列は、たとえばGenbank受託番号NM_004942(配列番号16)に記載されている。当業者には、DEFB2がSAP1、HBD−2、DEFB−2、DEFB102、及びDEFB4としても知られていることが理解されよう。
[0140]J.カドヘリン
また、試料中の1つ又は複数のカドヘリンの存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。カドヘリンとは、細胞接着において重要な役割を果たしており、組織内の細胞が一緒に結合されていることを確実にする、1型膜貫通タンパク質のクラスである。これらは機能するためにカルシウム(Ca2+)イオンに依存する。カドヘリンスーパーファミリーには、カドヘリン、プロトカドヘリン、デスモグレイン、及びデスモコリンなどが含まれる。構造的には、これらは細胞外Ca2+−結合ドメインであるカドヘリン反復を共有する。本発明における使用に適したカドヘリンには、それだけには限定されないが、CDH1−E−カドヘリン(上皮)、CDH2−N−カドヘリン(中性)、CDH12−カドヘリン12、2型(N−カドヘリン2)、CDH3−P−カドヘリン(胎盤)、CDH4−R−カドヘリン(網膜)、CDH5−VE−カドヘリン(血管内皮)、CDH6−K−カドヘリン(腎臓)、CDH7−カドヘリン7、2型、CDH8−カドヘリン8、2型、CDH9−カドヘリン9、2型(T1−カドヘリン)、CDH10−カドヘリン10、2型(T2−カドヘリン)、CDH11−OB−カドヘリン(骨芽細胞)、CDH13−T−カドヘリン−H−カドヘリン(心臓)、CDH15−M−カドヘリン(筋小管)、CDH16−KSP−カドヘリン、CDH17−LIカドヘリン(肝臓−腸管)、CDH18−カドヘリン18、2型、CDH19−カドヘリン19、2型、CDH20−カドヘリン20、2型、及びCDH23−カドヘリン23(神経感覚上皮)が含まれる。好ましくは、E−カドヘリンの存在又はレベルを決定する。
また、試料中の1つ又は複数のカドヘリンの存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。カドヘリンとは、細胞接着において重要な役割を果たしており、組織内の細胞が一緒に結合されていることを確実にする、1型膜貫通タンパク質のクラスである。これらは機能するためにカルシウム(Ca2+)イオンに依存する。カドヘリンスーパーファミリーには、カドヘリン、プロトカドヘリン、デスモグレイン、及びデスモコリンなどが含まれる。構造的には、これらは細胞外Ca2+−結合ドメインであるカドヘリン反復を共有する。本発明における使用に適したカドヘリンには、それだけには限定されないが、CDH1−E−カドヘリン(上皮)、CDH2−N−カドヘリン(中性)、CDH12−カドヘリン12、2型(N−カドヘリン2)、CDH3−P−カドヘリン(胎盤)、CDH4−R−カドヘリン(網膜)、CDH5−VE−カドヘリン(血管内皮)、CDH6−K−カドヘリン(腎臓)、CDH7−カドヘリン7、2型、CDH8−カドヘリン8、2型、CDH9−カドヘリン9、2型(T1−カドヘリン)、CDH10−カドヘリン10、2型(T2−カドヘリン)、CDH11−OB−カドヘリン(骨芽細胞)、CDH13−T−カドヘリン−H−カドヘリン(心臓)、CDH15−M−カドヘリン(筋小管)、CDH16−KSP−カドヘリン、CDH17−LIカドヘリン(肝臓−腸管)、CDH18−カドヘリン18、2型、CDH19−カドヘリン19、2型、CDH20−カドヘリン20、2型、及びCDH23−カドヘリン23(神経感覚上皮)が含まれる。好ましくは、E−カドヘリンの存在又はレベルを決定する。
[0141]特定の場合では、特定のカドヘリンの存在又はレベルは、たとえばハイブリダイゼーションアッセイ又は増幅に基づくアッセイなどのアッセイを用いて、mRNA発現のレベルで検出する。特定の他の場合では、特定のカドヘリンの存在又はレベルは、たとえば免疫アッセイ(たとえばELISA)又は免疫組織化学的アッセイを使用して、タンパク質発現のレベルで検出する。血清、血漿、唾液、尿、又は大便などの試料中のE−カドヘリンの存在又はレベルを決定するための適切なELISAキットは、たとえば、R&D Systems,Inc.(ミネソタ州Minneapolis)及び/又はGenWay Biotech,Inc.(カリフォルニア州San Diego)から入手可能である。
[0142]E−カドヘリンとは、カドヘリンスーパーファミリーからの古典的カドヘリンである。これは、5つの細胞外カドヘリン反復、1つの膜貫通領域、及び1つの高度に保存的な細胞質側末端からなるカルシウム依存性の細胞間接着糖タンパク質である。E−カドヘリンの外部ドメインは哺乳動物細胞との細菌接着を媒介し、細胞質ドメインは内部移行に必要である。ヒトE−カドヘリンポリペプチド配列は、たとえばGenbank受託番号NP_004351(配列番号17)に記載されている。ヒトE−カドヘリン mRNA(コード)配列は、たとえばGenbank受託番号NM_004360(配列番号18)に記載されている。当業者には、E−カドヘリンがUVO、CDHE、ECAD、LCAM、Arc−1、CD324、及びCDH1としても知られていることが理解されよう。
[0143]K.細胞接着分子(IgSF CAM)
また、試料中の1つ又は複数の免疫グロブリンスーパーファミリー細胞接着分子の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。本明細書中で使用する用語「免疫グロブリンスーパーファミリー細胞接着分子」(IgSF CAM)には、1つ又は複数の免疫グロブリン様の折り畳みドメインを有しており、細胞間接着及び/又はシグナル伝達に機能する、細胞の表面に位置する様々なポリペプチド又はタンパク質のうちの任意のものが含まれる。多くの場合、IgSF CAMは膜貫通タンパク質である。IgSF CAMの非限定的な例には、神経細胞接着分子(NCAM、たとえば、NCAM−120、NCAM−125、NCAM−140、NCAM−145、NCAM−180、NCAM−185など)、細胞間接着分子(ICAM、たとえば、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、ICAM−4、及びICAM−5)、血管細胞接着分子−1(VCAM−1)、血小板−内皮細胞接着分子−1(PECAM−1)、L1細胞接着分子(L1CAM)、L1CAMに相同性を有する細胞接着分子(L1の近い相同体)(CHL1)、シアル酸結合Ig様レクチン(SIGLEC、たとえば、SIGLEC−1、SIGLEC−2、SIGLEC−3、SIGLEC−4など)、ネクチン(たとえば、ネクチン−1、ネクチン−2、ネクチン−3など)、並びにネクチン様分子(たとえば、Necl−1、Necl−2、Necl−3、Necl−4、及びNecl−5)が含まれる。好ましくは、ICAM−1及び/又はVCAM−1の存在又はレベルを決定する。
また、試料中の1つ又は複数の免疫グロブリンスーパーファミリー細胞接着分子の存在又はレベルの決定も、本発明において有用である。本明細書中で使用する用語「免疫グロブリンスーパーファミリー細胞接着分子」(IgSF CAM)には、1つ又は複数の免疫グロブリン様の折り畳みドメインを有しており、細胞間接着及び/又はシグナル伝達に機能する、細胞の表面に位置する様々なポリペプチド又はタンパク質のうちの任意のものが含まれる。多くの場合、IgSF CAMは膜貫通タンパク質である。IgSF CAMの非限定的な例には、神経細胞接着分子(NCAM、たとえば、NCAM−120、NCAM−125、NCAM−140、NCAM−145、NCAM−180、NCAM−185など)、細胞間接着分子(ICAM、たとえば、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、ICAM−4、及びICAM−5)、血管細胞接着分子−1(VCAM−1)、血小板−内皮細胞接着分子−1(PECAM−1)、L1細胞接着分子(L1CAM)、L1CAMに相同性を有する細胞接着分子(L1の近い相同体)(CHL1)、シアル酸結合Ig様レクチン(SIGLEC、たとえば、SIGLEC−1、SIGLEC−2、SIGLEC−3、SIGLEC−4など)、ネクチン(たとえば、ネクチン−1、ネクチン−2、ネクチン−3など)、並びにネクチン様分子(たとえば、Necl−1、Necl−2、Necl−3、Necl−4、及びNecl−5)が含まれる。好ましくは、ICAM−1及び/又はVCAM−1の存在又はレベルを決定する。
[0144]1.細胞間接着分子−1(ICAM−1)
ICAM−1とは、白血球及び内皮細胞の膜中に低濃度で連続的に存在する膜貫通細胞接着タンパク質である。サイトカイン刺激の際、濃度は大きく増加する。ICAM−1はIL−1及びTNFαによって誘導することができ、血管内皮、マクロファージ、及びリンパ球によって発現される。IBDでは、炎症誘発性サイトカインは、ICAM−1及びVCAM−1などの接着分子の発現をアップレギュレーションすることによって炎症を引き起こす。増加した接着分子の発現がより多くのリンパ球を感染した組織に動員し、組織の炎症をもたらす(Gokeら、J.Gastroenterol.、32:480(1997)、及びRijckenら、Gut、51:529(2002)を参照)。ICAM−1は細胞間接着分子1遺伝子(ICAM1、Entrez GeneID:3383、Genbank受託番号NM_000201(配列番号19))によってコードされており、細胞間接着分子1前駆体ポリペプチド(Genbank受託番号NP_000192(配列番号20))のプロセッシング後に産生される。
ICAM−1とは、白血球及び内皮細胞の膜中に低濃度で連続的に存在する膜貫通細胞接着タンパク質である。サイトカイン刺激の際、濃度は大きく増加する。ICAM−1はIL−1及びTNFαによって誘導することができ、血管内皮、マクロファージ、及びリンパ球によって発現される。IBDでは、炎症誘発性サイトカインは、ICAM−1及びVCAM−1などの接着分子の発現をアップレギュレーションすることによって炎症を引き起こす。増加した接着分子の発現がより多くのリンパ球を感染した組織に動員し、組織の炎症をもたらす(Gokeら、J.Gastroenterol.、32:480(1997)、及びRijckenら、Gut、51:529(2002)を参照)。ICAM−1は細胞間接着分子1遺伝子(ICAM1、Entrez GeneID:3383、Genbank受託番号NM_000201(配列番号19))によってコードされており、細胞間接着分子1前駆体ポリペプチド(Genbank受託番号NP_000192(配列番号20))のプロセッシング後に産生される。
[0145]2.血管細胞接着分子−1(VCAM−1)
VCAM−1とは、血管内皮へのリンパ球、単球、好酸球、及び好塩基球の接着を媒介する膜貫通細胞接着タンパク質である。内皮細胞におけるサイトカインによるVCAM−1の上方制御は、増加した遺伝子転写(たとえば、腫瘍壊死因子−アルファ(TNFα)及びインターロイキン−1(IL−1)に応答したもの)の結果として起こる。VCAM−1は血管細胞接着分子1遺伝子(VCAM1、Entrez GeneID:7412)によってコードされており、転写物(Genbank受託番号NM_001078(変異体1、配列番号21)又はNM_080682(変異体2))の選択的スプライシング、及び前駆体ポリペプチドスプライスアイソフォーム(Genbank受託番号NP_001069(アイソフォームa、配列番号22)又はNP_542413(アイソフォームb))のプロセッシング後に産生される。
VCAM−1とは、血管内皮へのリンパ球、単球、好酸球、及び好塩基球の接着を媒介する膜貫通細胞接着タンパク質である。内皮細胞におけるサイトカインによるVCAM−1の上方制御は、増加した遺伝子転写(たとえば、腫瘍壊死因子−アルファ(TNFα)及びインターロイキン−1(IL−1)に応答したもの)の結果として起こる。VCAM−1は血管細胞接着分子1遺伝子(VCAM1、Entrez GeneID:7412)によってコードされており、転写物(Genbank受託番号NM_001078(変異体1、配列番号21)又はNM_080682(変異体2))の選択的スプライシング、及び前駆体ポリペプチドスプライスアイソフォーム(Genbank受託番号NP_001069(アイソフォームa、配列番号22)又はNP_542413(アイソフォームb))のプロセッシング後に産生される。
[0146]特定の場合では、IgSF CAMの存在又はレベルは、たとえばハイブリダイゼーションアッセイ又は増幅に基づくアッセイなどのアッセイを用いて、mRNA発現のレベルで検出する。特定の他の場合では、IgSF CAMの存在又はレベルは、たとえば免疫アッセイ(たとえばELISA)又は免疫組織化学的アッセイを使用して、タンパク質発現のレベルで検出する。組織試料、生検、血清、血漿、唾液、尿、又は大便などの試料中のICAM−1及び/又はVCAM−1の存在又はレベルを決定するための適切な抗体及び/又はELISAキットは、たとえば、Invitrogen(カリフォルニア州Camarillo)、Santa Cruz Biotechnology,Inc.(カリフォルニア州Santa Cruz)、及び/又はAbcam Inc.(マサチューセッツ州Cambridge)から入手可能である。
[0147]VI.遺伝子型決定方法
様々な手段を使用して、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子、ATG16L1遺伝子又は任意の本明細書中に記載の他の遺伝子マーカー中の多型部位において個体を遺伝子型決定して、試料(たとえば核酸試料)が特定の変異体対立遺伝子又はハプロタイプを含有するかどうかを決定することができる。たとえば、個体からの核酸の酵素増幅を好都合に使用して、続く分析のための核酸を得ることができる。また、1つ又は複数の目的の遺伝子マーカー中の特定の変異体対立遺伝子又はハプロタイプの存在又は非存在は、酵素増幅を用いずに個体の核酸から直接決定することもできる。特定の好ましい実施形態では、GLI1、MDR1、及び/又はATG16L1の座位のうちの1つ、2つ又はそれより多くで個体を遺伝子型決定する。
様々な手段を使用して、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子、ATG16L1遺伝子又は任意の本明細書中に記載の他の遺伝子マーカー中の多型部位において個体を遺伝子型決定して、試料(たとえば核酸試料)が特定の変異体対立遺伝子又はハプロタイプを含有するかどうかを決定することができる。たとえば、個体からの核酸の酵素増幅を好都合に使用して、続く分析のための核酸を得ることができる。また、1つ又は複数の目的の遺伝子マーカー中の特定の変異体対立遺伝子又はハプロタイプの存在又は非存在は、酵素増幅を用いずに個体の核酸から直接決定することもできる。特定の好ましい実施形態では、GLI1、MDR1、及び/又はATG16L1の座位のうちの1つ、2つ又はそれより多くで個体を遺伝子型決定する。
[0148]遺伝子型決定を使用して、SNPを含めた変種又は多型性を検出し得る。一部の例では、遺伝子型決定アッセイを使用して、以下のSNPのうちの1つ又は複数を検出し得る:rs2228224(GLI1)、rs2228226(GLI1)、rs2032582(MDR1)、及び/又はrs2241880(ATG16L1)。
[0149]増幅したかどうかにかかわらず、個体からの核酸遺伝子型決定を、様々な技法のうちの任意のものを使用して行うことができる。有用な技法には、それだけには限定されないが、すべて単独で又は組み合わせて使用することができる、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく分析アッセイ、配列解析アッセイ、及び電気泳動分析アッセイ、制限長多型分析アッセイ、ハイブリダイゼーション分析アッセイ、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、オリゴヌクレオチドライゲーション対立遺伝子特異的伸長/ライゲーション、対立遺伝子特異的増幅、一塩基伸長、分子反転プローブ、侵襲性切断、選択的終結、制限長多型性、配列決定、一本鎖コンホメーション多型性(SSCP)、一本鎖の鎖多型性、ミスマッチ切断、並びに変性勾配ゲル電気泳動が含まれる。本明細書中で使用する用語「核酸」には、たとえばゲノムDNA、cDNA及びmRNAを含めた、一本鎖又は二本鎖のDNA又はRNA分子などのポリヌクレオチドが含まれる。この用語には、天然及び合成起源のどちらの核酸分子も包含され、また、ネイティブ核酸分子のセンス又はアンチセンス鎖のどちらか又は両方を表す直鎖状、環状、又は分枝状の立体配置の分子も包含される。そのような核酸は、未精製、精製、又は、たとえばビーズ若しくはカラムマトリックスなどの合成材料に付着していることができることを理解されたい。
[0150]核酸を含有する材料は、個体からルーチン的に得られる。そのような材料は、核酸を調製することができる任意の生体物質である。非限定的な例として、材料は、全血、血清、血漿、唾液、頬スワブ、痰、又は核酸を含有する他の体液若しくは組織であることができる。一実施形態では、本発明の方法は、非侵襲性手段によって容易に得てゲノムDNAを調製するために使用することができる、全血を用いて実施する。別の実施形態では、遺伝子型決定は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用した個体の核酸の増幅を含む。核酸を増幅するためのPCRの使用は当分野で周知である(たとえばMullisら(編)、The Polymerase Chain Reaction、Birkhauser、Boston、(1994)を参照)。さらに別の実施形態では、PCR増幅は、1つ又は複数の蛍光標識したプライマーを使用して行う。さらなる実施形態では、PCR増幅は、DNA副溝結合剤を含有する1つ又は複数の標識又は非標識のプライマーを使用して行う。
[0151]様々な異なるプライマーのうちの任意のものを使用して、本発明の方法においてGLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は他の遺伝子マーカー中の変異体対立遺伝子の存在又は非存在を決定するために、個体の核酸をPCRによって増幅することができる。当業者には理解されるように、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は他の遺伝子マーカー中で目的の多型部位(複数可)に隣接する配列に基づいて、PCR分析用のプライマーを設計することができる。非限定的な例として、配列プライマーは、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は他の遺伝子マーカー中の目的の多型部位の上流又は下流の配列の約15〜約30個のヌクレオチドを含有することができる。そのようなプライマーは、一般に、増幅反応において安定なアニーリングステップを可能にする高い融解温度を達成するため十分なグアニン及びシトシンの含有率を有するように設計される。プライマーセレクト(Primer Select)などのいくつかのコンピュータプログラムが、PCRプライマーの設計を援助するために利用可能である。
[0152]Applied Biosystemsから入手可能なタックマン(Taqman)(登録商標)対立遺伝子区別アッセイは、多型部位で個体を遺伝子型決定し、それによってGLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は本明細書中に記載の他の遺伝子マーカー中の特定の変異体対立遺伝子又はハプロタイプの存在又は非存在を決定することに有用な場合がある。タックマン(登録商標)対立遺伝子区別アッセイでは、それぞれの対立遺伝子について特異的に蛍光色素標識したプローブを構築する。プローブは、それぞれの対立遺伝子の増幅を鑑別するためにFAM及びVIC(商標)などの異なる蛍光レポーター色素を含有する。さらに、それぞれのプローブは、蛍光共鳴エネルギー移動によって蛍光を消光させる消光色素を一端に有する。PCR中、それぞれのプローブは、個体からの核酸中の相補的配列と特異的にアニーリングする。Taqポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性を使用して、対立遺伝子とハイブリダイズするプローブのみを切断する。切断によりレポーター色素が消光色素から分離され、レポーター色素による蛍光の増加がもたらされる。したがって、PCR増幅によって生じる蛍光シグナルは、試料中にどの対立遺伝子が存在するかを示す。プローブと対立遺伝子との間のミスマッチは、プローブのハイブリダイゼーション及びTaqポリメラーゼによる切断のどちらの効率も低下させ、その結果、蛍光シグナルはわずかから存在しないものとなる。当業者には、たとえばKutyavinら、Nuc.Acids Research、28:655〜661(2000)に記載されているように、DNA副溝結合剤(MGB)基をDNAプローブとコンジュゲートさせることによって、対立遺伝子区別アッセイにおける改善された特異性を達成できることが理解されよう。副溝結合剤には、それだけには限定されないが、ジヒドロシクロピロロインドールトリペプチド(DPI3)などの化合物が含まれる。
[0153]また、配列解析も、本明細書中に記載の方法に従って個体を遺伝子型決定して、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は他の遺伝子マーカー中の特定の変異体対立遺伝子又はハプロタイプの存在又は非存在を決定するために有用な場合がある。当業者には知られているように、目的の変異体対立遺伝子は、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は他の遺伝子マーカー中の目的の多型部位に隣接する配列に基づいて設計されている適切なプライマーを使用した配列解析によって、検出することができる。たとえば、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子又はATG16L1変異体対立遺伝子は、当業者によって設計されたプライマーを使用した配列解析によって検出することができる。追加又は代替の配列プライマーは、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は他の遺伝子マーカー中の目的の多型部位の約40〜約400塩基対上流又は下流の配列に対応する配列の約15〜約30個のヌクレオチドを含有することができる。そのようなプライマーは、一般に、配列決定反応において安定なアニーリングステップを可能にする高い融解温度を達成するために十分なグアニン及びシトシンの含有率を有するように設計される。
[0154]用語「配列解析」には、核酸中のヌクレオチドの順序が決定される任意の手動又は自動の方法が含まれる。一例として、配列解析を使用してDNAの試料のヌクレオチド配列を決定することができる。用語、配列解析には、それだけには限定されないが、たとえばマクサム−ギルバート及びサンガー配列決定並びにその変形を含めたジデオキシ酵素方法などの、化学的及び酵素的方法が包含される。用語、配列解析には、それだけには限定されないが、キャピラリー電気泳動及びレーザー誘導性蛍光検出に依存し、MegaBACE1000又はABI3700などの機器を使用して行うことができるキャピラリーアレイDNA配列決定がさらに包含される。さらなる非限定的な例として、用語、配列解析には、熱サイクル配列決定(Searsら、Biotechniques、13:626〜633(1992)を参照)、固相配列決定(Zimmermanら、Methods Mol.Cell Biol.、3:39〜42(1992)を参照、及びマトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間質量分析などの質量分析を用いた配列決定(MALDI−TOF MS、Fuら、Nature Biotech.、16:381〜384(1998)を参照)が包含される。用語、配列解析には、それだけには限定されないが、配列のセグメントを同定するためにすべての可能な短いオリゴヌクレオチドのアレイに依存する、ハイブリダイゼーションによる配列決定(SBH)がさらに含まれる(Cheeら、Science、274:610〜614(1996)、Drmanacら、Science、260:1649〜1652(1993)、及びDrmanacら、Nature Biotech.、16:54〜58(1998)を参照)。当業者には、これら及びさらなる変形が本明細書中に定義する用語、配列解析によって包含されることが理解されよう。
[0155]また、電気泳動分析も、本発明の方法に従って個体を遺伝子型決定して、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は他の遺伝子マーカー中の特定の変異体対立遺伝子又はハプロタイプの存在又は非存在を決定するために有用な場合がある。増幅断片などの1つ又は複数の核酸に言及して本明細書中で使用する「電気泳動分析」には、荷電分子が電界の影響下で静置培地を通って移動する方法が含まれる。電気泳動遊走は、核酸を主にその荷電に基づいて分離し、荷電は核酸の大きさに比例しており、より小さな分子はより速く遊走する。用語、電気泳動分析には、それだけには限定されないが、アガロース若しくはポリアクリルアミドゲル電気泳動などのスラブゲル電気泳動、又はキャピラリー電気泳動を使用した分析が含まれる。キャピラリー電気泳動分析は、一般に、小さな直径(50〜100m)の石英キャピラリー内で、高い(キロボルトレベル)の分離電位の存在下で、数分間の分離時間で起こる。キャピラリー電気泳動分析を使用して、核酸はUV吸収又は蛍光標識によって好都合に検出され、数百塩基対までの断片で一塩基の分解能を得ることができる。そのような電気泳動分析方法及びその変形は、たとえばAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、第2章(補遺45)、John Wiley&Sons,Inc.、New York(1999)に記載のように当分野で周知である。
[0156]また、制限断片長多型(RFLP)分析も、本発明の方法に従って個体を遺伝子型決定して、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は他の遺伝子マーカー中の特定の変異体対立遺伝子又はハプロタイプの存在又は非存在を決定するために有用な場合がある(Jarchoら、DracopoliらのCurrent Protocols in Human Genetics、ページ2.7.1〜2.7.5、John Wiley&Sons、New York、Innisら(編)、PCR Protocols、San Diego:Academic Press,Inc.(1990)を参照)。本明細書中で使用する「制限断片長多型分析」には、特定の塩基配列、一般には回文構造又は逆方向反復を認識した後に核酸の分解を触媒するエンドヌクレアーゼである制限酵素を使用して多型対立遺伝子を区別するための任意の方法が含まれる。当業者には、RFLP分析の使用は、多型部位で変異体対立遺伝子を野生型又は他の対立遺伝子から鑑別することができる酵素に依存することが理解されよう。
[0157]さらに、対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションが、本明細書中に記載の方法において個体を遺伝子型決定して、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は他の遺伝子マーカー中の特定の変異体対立遺伝子又はハプロタイプの存在又は非存在を決定するために有用な場合がある。対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションは、たとえば変異体対立遺伝子を包含する配列に完全に相補的な配列を有する、標識したオリゴヌクレオチドプローブの使用に基づいている。適切な条件下では、変異体対立遺伝子に特異的なプローブは、変異体対立遺伝子を含有する核酸とはハイブリダイズするが、プローブに比べて1つ又は複数のヌクレオチドのミスマッチを有する1つ又は複数の他の対立遺伝子とはハイブリダイズしない。所望する場合は、代替(たとえば野生型)対立遺伝子に一致する、第2の対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプローブも使用することができる。同様に、対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドの増幅の技法を使用して、たとえば、変異体対立遺伝子のヌクレオチド配列と完全に相補的であるが、他の対立遺伝子に比べて1つ又は複数のミスマッチを有する、対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用することによって、変異体対立遺伝子を選択的に増幅することができる(Mullisら、上記)。当業者には、変異体対立遺伝子と他の対立遺伝子を区別する1つ又は複数のヌクレオチドのミスマッチは、多くの場合、対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションにおいて使用する対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーの中心に位置することが理解されよう。対照的に、PCR増幅において使用する対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーは、一般に、変異体と他の対立遺伝子を区別する1つ又は複数のヌクレオチドのミスマッチをプライマーの3’末端に含有する。
[0158]ヘテロ二重鎖移動度アッセイ(HMA)は、本発明の方法において遺伝子型決定を行って、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は他の遺伝子マーカー中の特定の変異体対立遺伝子又はハプロタイプの存在又は非存在を決定するために使用することができる別の周知のアッセイである。ミスマッチを保有するDNA二重鎖は、完全に塩基対合した二重鎖の移動度に比べてポリアクリルアミドゲル中での移動度が低下しているため、HMAは変異体対立遺伝子の存在を検出するために有用である(Delwartら、Science、262:1257〜1261(1993)、Whiteら、Genomics、12:301〜306(1992)を参照)。
[0159]また、一本鎖コンホメーション多型性(SSCP)の技法も、本明細書中に記載の方法において遺伝子型決定を行って、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は他の遺伝子マーカー中の特定の変異体対立遺伝子又はハプロタイプの存在又は非存在を決定するために有用な場合がある(Hayashi、Methods Applic.、1:34〜38(1991)を参照)。この技法を使用して、非変性ゲル電気泳動の際に変更された電気泳動移動度を生じる一本鎖DNAの二次構造の差異に基づいて変異体対立遺伝子を検出することができる。変異体対立遺伝子は、試験断片の電気泳動パターンを既知の対立遺伝子を含有する対応する標準の断片と比較することによって検出される。
[0160]また、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)も、本発明の方法において、GLI1遺伝子、MDR1遺伝子若しくはATG16L1遺伝子又は他の遺伝子マーカー中の特定の変異体対立遺伝子又はハプロタイプの存在又は非存在を決定するために有用な場合がある。DGGEでは、二本鎖DNAを、漸増濃度の変性剤を含有するゲル中で電気泳動する。ミスマッチした対立遺伝子からなる二本鎖断片は、より迅速に融解するセグメントを有しており、それにより、そのような断片が完全に相補的な配列に比べて異なって移動することが引き起こされる(Sheffieldら、「Identifying DNA Polymorphisms by Denaturing Gradient Gel Electrophoresis」、Innisら、上記、1990を参照)。
[0161]個体を遺伝子型決定するために有用な他の分子学的方法が当分野で知られており、本発明の方法において有用である。そのような周知の遺伝子型決定の手法には、それだけには限定されないが、自動配列決定及びRNaseミスマッチ技法が含まれる(Winterら、Proc.Natl.Acad.Sci.、82:7575〜7579(1985)を参照)。さらに、当業者には、多数の変異体対立遺伝子の存在又は非存在を決定する場合は、分子学的方法の任意の組合せによって個々の変異体対立遺伝子を検出できることが理解されよう。一般に、Birrenら(編)、Genome Analysis:A Laboratory Manual、第1巻(Analyzing DNA)、New York、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1997)を参照されたい。さらに、当業者には、多数の変異体対立遺伝子を個々の反応又は単一の反応において検出できることが理解されよう(「多重鎖」アッセイ)。
[0162]上記に鑑みて、当業者には、IBDを診断する、UCを診断する、又はUCとCDとを鑑別するための本発明の方法(たとえば、1つ又は複数のGLI1、MDR1、又はATG16L1変異体対立遺伝子の存在又は非存在を決定することによる)は、上述の周知の遺伝子型決定アッセイ又は当分野で知られている他のアッセイの1つ又は任意の組合せを使用して実施できることが理解されよう。
[0163]VII.アッセイ
IBDを診断する、IBDの診断を分類する(たとえばCD若しくはUC)、又はUCとCDとを鑑別するために、当分野で知られている様々なアッセイ、技法、及びキットのうちの任意のものを使用して、試料中の1つ又は複数の生化学的、血清学的、又はタンパク質マーカーの存在(若しくは非存在)又はレベル(たとえば濃度)を検出又は決定することができる。
IBDを診断する、IBDの診断を分類する(たとえばCD若しくはUC)、又はUCとCDとを鑑別するために、当分野で知られている様々なアッセイ、技法、及びキットのうちの任意のものを使用して、試料中の1つ又は複数の生化学的、血清学的、又はタンパク質マーカーの存在(若しくは非存在)又はレベル(たとえば濃度)を検出又は決定することができる。
[0164]フローサイトメトリーを使用して、試料中の1つ又は複数のマーカーの存在又はレベルを検出することができる。ビーズに基づく免疫アッセイを含めたそのようなフローサイトメトリーアッセイを使用して、たとえば、カンジダ・アルビカンス及びHIVタンパク質に対する血清抗体の検出について記載されたものと同じ様式で、抗体マーカーレベルを決定することができる(たとえば、Bishop及びDavis、J.Immunol.Methods、210:79〜87(1997)、McHughら、J.Immunol.Methods、116:213(1989)、Scillianら、Blood、73:2041(1989)を参照)。
[0165]また、マーカーに特異的な組換え抗原を発現させるためのファージディスプレイ技術も、試料中の1つ又は複数のマーカーの存在又はレベルを検出するために使用することができる。たとえば抗体マーカーに特異的な抗原を発現するファージ粒子を、所望する場合は、抗ファージモノクローナル抗体などの抗体を使用してマルチウェルプレートに固定することができる(Feliciら、「Phage−Displayed Peptides as Tools for Characterization of Human Sera」、Abelson(編)、Methods in Enzymol.、267、San Diego:Academic Press,Inc.(1996))。
[0166]競合的及び非競合的免疫アッセイを含めた様々な免疫アッセイ技法を使用して、試料中の1つ又は複数のマーカーの存在又はレベルを検出することができる(たとえばSelf及びCook、Curr.Opin.Biotechnol.、7:60〜65(1996)を参照)。用語、免疫アッセイには、それだけには限定されないが、酵素増幅免疫アッセイ技法(EMIT)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、抗原捕捉ELISA、サンドイッチELISA、IgM抗体捕捉ELISA(MAC ELISA)、及び微粒子酵素免疫アッセイ(MEIA)などの酵素免疫アッセイ(EIA)、キャピラリー電気泳動免疫アッセイ(CEIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫放射線アッセイ(IRMA)、蛍光偏光免疫アッセイ(FPIA)、並びに化学発光アッセイ(CL)を含めた技法が包含される。所望する場合は、そのような免疫アッセイは自動であることができる。また、免疫アッセイは、レーザー誘導性蛍光と併せて使用することもできる(たとえば、Schmalzing及びNashabeh、Electrophoresis、18:2184〜2193(1997)、Bao、J.Chromatogr.B.Biomed.Sci.、699:463〜480(1997)を参照)。また、フローインジェクションリポソーム免疫アッセイ及びリポソーム免疫センサーなどのリポソーム免疫アッセイも、本発明における使用に適切である(たとえばRongenら、J.Immunol.Methods、204:105〜133(1997)を参照)。さらに、マーカー濃度の関数としてピーク速度シグナルに変換される増加した光散乱をタンパク質/抗体複合体の形成がもたらす比濁分析アッセイが、本発明における使用に適切である。比濁分析アッセイはBeckman Coulterから販売されており(カリフォルニア州Brea、キット#449430)、ベーリング比濁計分析器(Behring Nephelometer Analyzer)を使用して行うことができる(Finkら、J.Clin.Chem.Clin.Biol.Chem.、27:261〜276(1989))。
[0167]抗原捕捉ELISAが、試料中の1つ又は複数のマーカーの存在又はレベルを検出するために有用な場合がある。たとえば、抗原捕捉ELISAでは、目的のマーカーに向けられた抗体を固相に結合させ、マーカーが抗体によって結合されるように試料を加える。洗浄によって未結合のタンパク質を除去した後、結合したマーカーの量を、たとえばラジオイムノアッセイを使用して定量することができる(たとえばHarlow及びLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New York、1988)を参照)。また、サンドイッチELISAも本発明における使用に適切な場合がある。たとえば、二抗体のサンドイッチアッセイでは、第1の抗体を固体支持体と結合させ、目的のマーカーを第1の抗体と結合させる。マーカーの量は、マーカーと結合する第2の抗体の量を測定することによって定量する。抗体は、磁気若しくはクロマトグラフィーマトリックス粒子、アッセイプレート(たとえばマイクロタイターウェル)の表面、固体基質材料の小片又は膜(たとえば、プラスチック、ナイロン、紙)などの様々な固体支持体上に固定することができる。抗体又は複数の抗体を固体支持体にアレイでコーティングすることによって、アッセイ条片を調製することができる。その後、この条片を試験試料に浸し、洗浄及び検出ステップによって素早く処理して、有色スポットなどの測定可能なシグナルを生じさせることができる。
[0168]また、たとえばヨウ素−125(125I)で標識した二次抗体を使用したラジオイムノアッセイ(Harlow及びLane、上記)も、試料中の1つ又は複数のマーカーの存在又はレベルを検出するために適切である。また、化学発光性のマーカーで標識した二次抗体も、本発明における使用に適切な場合がある。化学発光性の二次抗体を使用した化学発光アッセイは、マーカーレベルの高感度の非放射性検出に適している。そのような二次抗体は、様々な供給源、たとえば、Amersham Lifesciences,Inc.(イリノイ州Arlington Heights)から商業的に入手することができる。
[0169]上述の免疫アッセイが、試料中の1つ又は複数の血清学的マーカーの存在(若しくは非存在)又はレベルを検出するために特に有用である。非限定的な例として、固定した好中球ELISAは、試料がANCAについて陽性であるかどうかを決定するため、又は試料中のANCAレベルを決定するために有用である。同様に、酵母細胞壁ホスホペプチドマンナンを使用したELISAは、試料がASCA−IgA及び/若しくはASCA−IgGについて陽性であるかどうかを決定するため、又は試料中のASCA−IgA及び/若しくはASCA−IgGレベルを決定するために有用である。OmpCタンパク質又はその断片を使用したELISAは、試料が抗OmpC抗体について陽性であるかどうかを決定するため、又は試料中の抗OmpC抗体レベルを決定するために有用である。I2タンパク質又はその断片を使用したELISAは、試料が抗I2抗体について陽性であるかどうかを決定するため、又は試料中の抗I2抗体レベルを決定するために有用である。フラゲリンタンパク質(たとえばCbir−1フラゲリン)又はその断片を使用したELISAは、試料が抗フラゲリン抗体について陽性であるかどうかを決定するため、又は試料中の抗フラゲリン抗体レベルを決定するために有用である。さらに、上述の免疫アッセイは、試料中の他の血清学的マーカーの存在又はレベルを検出するために特に有用である。
[0170]抗体と目的のマーカーとの特異的な免疫学的結合は直接又は間接的に検出することができる。直接標識には、抗体に付着した蛍光又はルミネセントのタグ、金属、色素、放射性核種などが含まれる。ヨウ素−125(125I)で標識した抗体を使用して、試料中の1つ又は複数のマーカーのレベルを決定することができる。マーカーに特異的な化学発光性抗体を使用した化学発光アッセイは、マーカーレベルの高感度の非放射性検出に適している。また、蛍光色素で標識した抗体も、試料中の1つ又は複数のマーカーのレベルを決定するために適している。蛍光色素の例には、それだけには限定されないが、DAPI、フルオレセイン、ヘキスト(Hoechst)33258、R−フィコシアニン、B−フィコエリスリン、R−フィコエリスリン、ローダミン、テキサスレッド、及びリサミンが含まれる。蛍光色素に連結した二次抗体は商業的に入手することができ、たとえば、ヤギF(ab’)2抗ヒトIgG−FITCはTago Immunologicals(カリフォルニア州Burlingame)から入手可能である。
[0171]間接的な標識には、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼなどなどの当分野で周知の様々な酵素が含まれる。西洋ワサビ−ペルオキシダーゼ検出システムは、たとえば、450nmで検出可能な可溶性の生成物を過酸化水素の存在下で与える発色基質テトラメチルベンジジン(TMB)を用いて使用することができる。アルカリホスファターゼ検出システムは、たとえば405nmで容易に検出可能な可溶性の生成物を与える発色基質p−ニトロフェニルリン酸を用いて使用することができる。同様に、β−ガラクトシダーゼ検出システムは、410nmで検出可能な可溶性の生成物を与える発色基質o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)を用いて使用することができる。ウレアーゼ検出システムは、尿素−ブロモクレゾールパープル(Sigma Immunochemicals、モンタナ州St.Louis)などの基質を用いて使用することができる。有用な酵素に連結した二次抗体はいくつかの商業的供給源から得ることができ、たとえば、ヤギF(ab’)2抗ヒトIgG−アルカリホスファターゼは、Jackson ImmunoResearch(ペンシルベニア州West Grove)から購入することができる。
[0172]直接又は間接的な標識からのシグナルは、たとえば、発色基質からの色を検出するための分光光度計、125Iを検出するためのガンマカウンターなどの放射線を検出するための放射線カウンター、又は特定の波長の光の存在下で蛍光を検出するための蛍光光度計を使用して分析することができる。酵素連結抗体の検出には、マーカーレベルの量の定量分析を、EMAXマイクロプレートリーダー(EMAX Microplate Reader)(Molecular Devices、カリフォルニア州Menlo Park)などの分光光度計を使用して、製造者の指示に従って行うことができる。所望する場合は、本明細書中に記載のアッセイは、自動化する又はロボットで行うことができ、多数の試料からのシグナルを同時に検出することができる。
[0173]また、定量的ウエスタンブロッティングを使用して、試料中の1つ又は複数のマーカーの存在又はレベルを検出又は決定することもできる。ウエスタンブロットは、濃度測定の走査又はリン光体イメージングなどの周知の方法によって定量することができる。非限定的な例として、タンパク質試料を10%SDS−PAGEレムリ(Laemmli)ゲル上で電気泳動させる。一次マウスモノクローナル抗体をブロットと反応させ、予備スロットブロット実験を使用して抗体結合が線形であることを確認することができる。ヤギ抗マウス西洋ワサビペルオキシダーゼカップリング抗体(BioRad)を二次抗体として使用し、シグナル検出は、化学発光を使用して、たとえばルネッサンス(Renaissance)化学発光キット(New England Nuclear、マサチューセッツ州Boston)を用いて、製造者の指示に従って行う。走査濃度測定計(Molecular Dynamics、カリフォルニア州Sunnyvale)を使用してブロットのオートラジオグラフを分析し、陽性対照に対して正規化する。値は、たとえば実測値と陽性対照との比として報告する(濃度測定指数)。そのような方法は、たとえばParraら、J.Vasc.Surg.、28:669〜675(1998)に記載のように当分野で周知である。
[0174]或いは、様々な免疫組織化学的アッセイ技法を使用して、試料中の1つ又は複数のマーカーの存在又はレベルを検出又は決定することができる。用語「免疫組織化学的アッセイ」には、蛍光顕微鏡観察又は光学顕微鏡観察を使用した、目的のマーカーと反応する抗体とカップリング(すなわちコンジュゲート)させた蛍光色素又は酵素の視覚的検出を利用する技法が包含され、それだけには限定されないが、直接蛍光抗体アッセイ、間接蛍光抗体(IFA)アッセイ、抗補体免疫蛍光、アビジン−ビオチン免疫蛍光、及び免疫ペルオキシダーゼアッセイが含まれる。たとえば、IFAアッセイは、試料がANCAについて陽性かどうか、試料中のANCAのレベル、試料がpANCAについて陽性かどうか、試料中のpANCAのレベル、並びに/又はANCA染色パターン(たとえば、cANCA、pANCA、NSNA、及び/若しくはSAPPAの染色パターン)を決定するために有用である。試料中のANCAの濃度は、たとえば、エンドポイント滴定によって、又は既知の参照標準と比較した蛍光の視覚的強度を測定することによって定量することができる。
[0175]特定の他の実施形態では、目的のマーカーの存在又はレベルは、精製したマーカーの量を検出又は定量することによって決定することができる。マーカーの精製は、たとえば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって単独で、又は質量分析(たとえば、MALDI/MS、MALDI−TOF/MS、SELDI−TOF/MS、タンデムMSなど)と組み合わせて達成することができる。また、目的のマーカーの定性的又は定量的な検出は、それだけには限定されないが、ブラッドフォードアッセイ、クマシーブルー染色、銀染色、放射標識したタンパク質用のアッセイ、及び質量分析を含めた周知の方法によって決定することもできる。
[0176]一部の態様では、複数のマーカーの分析は、別々に又は1つの試験試料を用いて同時に実施してもよい。マーカーの別々又は連続的なアッセイについて、適切な器具には、エレクシス(ElecSys)(Roche)、アックスシム(AxSym)(Abbott)、アクセス(Access)(Beckman)、アドビア(ADVIA)(登録商標)、セントール(CENTAUR)(登録商標)(Bayer)、及びニコルスアドバンテージ(NICHOLS ADVANTAGE)(登録商標)(Nichols Institute)免疫アッセイシステムなどの臨床的実験室分析器が含まれる。好ましい器具又はタンパク質チップは、単一の表面上で複数のマーカーの同時アッセイを行う。特に有用な物理的様式は、複数の異なるマーカーを検出するための複数の明白なアドレス指定可能な位置を有する表面を含む。そのような様式には、たとえば、タンパク質マイクロアレイ又は「タンパク質チップ」(たとえばNgら、J.Cell Mol.Med.、6:329〜340(2002)を参照)及び特定のキャピラリー装置(たとえば米国特許第6,019,944号を参照)が含まれる。これらの実施形態では、それぞれの明白な表面の位置は、それぞれの位置で検出するための1つ又は複数のマーカーを固定するための抗体を含んでいてもよい。或いは、表面は、表面の明白な位置で固定された、検出のために1つ又は複数のマーカーを固定するための抗体を含む1つ又は複数の明白な粒子(たとえば、微粒子又はナノ粒子)を含んでいてもよい。
[0177]様々な目的のマーカーの存在又はレベルを検出するための上述のアッセイに加えて、ノーザン分析、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、又はマーカーコード配列の一部分と相補的な核酸配列とのハイブリダイゼーションに基づいた任意の他の方法(たとえばスロットブロットハイブリダイゼーション)などの、ルーチン的な技法を使用したマーカーmRNAレベルの分析も、本発明の範囲内にある。適用可能なPCR増幅技法は、たとえば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons,Inc.、New York(1984〜2008)、第7章及び補遺47、Theophilusら、「PCR Mutation Detection Protocols」、Humana Press、(2002)、Innisら、PCR Protocols、San Diego、Academic Press,Inc.(1990)、並びにManiatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Lab.、New York、(1982)に記載されている。一般的な核酸ハイブリダイゼーション方法はAnderson、「Nucleic Acid Hybridization」、BIOS Scientific Publishers、(1999)に記載されている。また、複数の転写された核酸配列(たとえば、mRNA又はcDNA)の増幅又はハイブリダイゼーションも、マイクロアレイに配置したmRNA又はcDNA配列で行うことができる。マイクロアレイ方法は、一般に、Hardiman、「Microarrays Methods and Applications:Nuts&Bolts」、DNA Press、(2003)及びBaldiら、「DNA Microarrays and Gene Expression:From Experiments to Data Analysis and Modeling」、Cambridge University Press、(2002)に記載されている。
[0178]多数の試料の効率的な処理のために、いくつかの目的のマーカーを1つの試験へと合わせてもよい。さらに、当業者には、同じ対象からの多数の試料を(たとえば連続的する時点などで)試験することの価値が理解されよう。そのような一連の試料の試験は、マーカーレベルの経時的な変化の同定を可能にすることができる。マーカーレベルの増加又は減少、及びマーカーレベルの変化の非存在は、UCの診断又はUCとCDとの鑑別を容易にするための有用な予後診断的及び予測的情報を提供することができる。
[0179]上記に鑑みて、当業者には、IBDに関する、最も具体的にはUCを診断するため、又はUCとCDとを鑑別するための診断的情報を提供するための本発明の方法は、上述の周知のアッセイ又は当分野で知られている他のアッセイのうちの1つ又は任意の組合せを使用して実施できることが理解されよう。
[0180]VIII.統計分析
一部の態様では、本発明は、IBDを診断するため、IBDの診断を分類するため(たとえばCD若しくはUC)、IBDの亜型をUCとして分類するため、又はUCとCDとを鑑別するための方法及びシステムを提供する。特定の実施形態では、分位分析を、IBDを診断する、UCを診断する、又はUCとCDとを鑑別するための本明細書中に記載のアッセイのうちの任意のものによって決定された1つ又は複数のIBDマーカーの存在、レベル、及び/又は遺伝子型に適用する。他の実施形態では、1つ又は複数の学習統計的分類子システムを、IBDを診断する、UCを診断する、又はUCとCDとを鑑別するための本明細書中に記載のアッセイのうちの任意のものによって決定された1つ又は複数のIBDマーカーの存在、レベル、及び/又は遺伝子型に適用する。本明細書中に記載のように、本発明の統計分析は、IBDの診断、UCの診断、及びUCとCDとの鑑別の改善された感度、特異性、陰性予測値、陽性予測値、及び/又は全体的な精度を有利にもたらす。
一部の態様では、本発明は、IBDを診断するため、IBDの診断を分類するため(たとえばCD若しくはUC)、IBDの亜型をUCとして分類するため、又はUCとCDとを鑑別するための方法及びシステムを提供する。特定の実施形態では、分位分析を、IBDを診断する、UCを診断する、又はUCとCDとを鑑別するための本明細書中に記載のアッセイのうちの任意のものによって決定された1つ又は複数のIBDマーカーの存在、レベル、及び/又は遺伝子型に適用する。他の実施形態では、1つ又は複数の学習統計的分類子システムを、IBDを診断する、UCを診断する、又はUCとCDとを鑑別するための本明細書中に記載のアッセイのうちの任意のものによって決定された1つ又は複数のIBDマーカーの存在、レベル、及び/又は遺伝子型に適用する。本明細書中に記載のように、本発明の統計分析は、IBDの診断、UCの診断、及びUCとCDとの鑑別の改善された感度、特異性、陰性予測値、陽性予測値、及び/又は全体的な精度を有利にもたらす。
[0181]用語「統計分析」又は「統計アルゴリズム」又は「統計方法」には、変数間の関係性を決定するために使用される様々な統計方法及びモデルのうちの任意のものが含まれる。本発明では、変数は、少なくとも1つの目的のマーカーの存在、レベル、又は遺伝子型である。任意の数のマーカーを、本明細書中に記載の統計分析を使用して分析することができる。たとえば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、又はそれより多くのマーカーの存在又はレベルを統計分析に含めることができる。一実施形態では、ロジスティック回帰を使用する。別の実施形態では、直線回帰を使用する。特定の好ましい実施形態では、本発明の統計分析は、たとえば所定の集団内の変数としての、1つ又は複数のマーカーの分位測定を含む。分位とは、データの試料を(可能な限り)等しい数の観察値を含有する群へと分ける1セットの「切点」である。たとえば、四分位数とは、データの試料を4つの(可能な限り)等しい数の観察値を含有する群へと分ける値である。下位四分位数とは、順序づけたデータセットを4分の1上ったデータ値であり、上位四分位数とは、順序づけたデータセットを4分の1下ったデータ値である。五分位数とは、データの試料を5つの(可能な限り)等しい数の観察値を含有する群へと分ける値である。本発明には、統計分析における変数としての(連続的な変数と同様に)、マーカーレベルのパーセンタイル範囲(たとえば、三分位数、四分位数、五分位数など)又はその累積索引(たとえば、四分位数の和のスコア(QSS)を得るためのマーカーレベルの四分位数の和など)の使用も含まれる場合がある。
[0182]好ましい実施形態では、本発明は、四分位数分析を使用して1つ又は複数の目的のマーカーの存在、レベル(たとえば規模)、及び/又は遺伝子型を検出又は決定することを含む。この種類の統計分析では、目的のマーカーのレベルは、試料の参照データベースに関して第1四分位数(<25%)、第2四分位数(25〜50%)、第3四分位数(51%〜<75%)、又は第4四分位数(75〜100%)にあるとして定義される。これらの四分位数は、それぞれ1、2、3、及び4の四分位数スコアを割り当ててもよい。特定の場合では、試料中で検出されないマーカーは、0又は1の四分位数スコアが割り当てられる一方で、試料中で検出される(たとえば存在する)マーカー(たとえば試料はマーカーについて陽性である)は、4の四分位数スコアが割り当てられる。一部の実施形態では、四分位数1は最低のマーカーレベルを有する試料を表す一方で、四分位数4は最高のマーカーレベルを有する試料を表す。他の実施形態では、四分位数1は特定のマーカー遺伝子型(たとえば野生型対立遺伝子)を有する試料を表す一方で、四分位数4は別の特定のマーカー遺伝子型(たとえば対立遺伝子変異体)を有する試料を表す。試料の参照データベースには、広い範囲のIBD(たとえばCD及び/又はUC)患者が含まれる場合がある。そのようなデータベースから、四分位数のカットオフを確立することができる。本発明における使用に適した四分位数分析の非限定的な例は、たとえばMowら、Gastroenterology、126:414〜24(2004)に記載されている。
[0183]一部の実施形態では、本発明の統計分析は、1つ又は複数の学習統計的分類子システムを含む。本明細書中で使用する用語「学習統計的分類子システム」には、複雑なデータセット(たとえば目的のマーカーのパネル)に適応し、そのようなデータセットに基づいて判断を行うことができる機械学習アルゴリズム技法が含まれる。一部の実施形態では、判断/分類木(たとえば、ランダムフォレスト(RF)又は分類及び回帰木(C&RT))などの単一の学習統計的分類子システムを使用する。他の実施形態では、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、又はそれより多くの学習統計的分類子システムの組合せを、好ましくはタンデムで使用する。学習統計的分類子システムの例には、それだけには限定されないが、帰納的学習(たとえば、ランダムフォレスト、分類及び回帰木(C&RT)、ブーストツリーなどの判断/分類木)、確率的近似(PAC)学習、コネクショニスト学習(たとえば、神経回路網(NN)、人工神経回路網(ANN)、ニューロファジー回路網(NFN)、ネットワーク構造、多層パーセプトロンなどのパーセプトロン、多層フィードフォワードネットワーク、神経回路網の適用、信念ネットワークにおけるベイズ学習など)、強化学習(たとえば、ナイーブ学習、適応性動的学習、及び時間差学習などの既知の環境における受動的学習、未知の環境における受動的学習、未知の環境における能動的学習、学習行動価値関数、強化学習の適用等)、並びに遺伝的アルゴリズム及び進化的プログラミングを使用するものが含まれる。他の学習統計的分類子システムには、サポートベクターマシーン(たとえばカーネル法)、多変量適応型回帰スプライン(MARS)、レーベンバーグ−マルカルトアルゴリズム、ガウス−ニュートンアルゴリズム、混合ガウス、勾配降下アルゴリズム、及び学習ベクター量子化(LVQ)が含まれる。
[0184]ランダムフォレストとは、Leo Breiman氏及びAdele Cutler氏によって開発されたアルゴリズムを使用して構築された学習統計的分類子システムである。ランダムフォレストでは、多数の個々の決定木を使用し、個々の木によって決定されたクラスの最頻値(すなわち最も頻繁に起こっているもの)を選択することによってクラスを決定する。ランダムフォレスト分析は、たとえば、Salford Systems(カリフォルニア州San Diego)から入手可能なランダムフォレスト(RandamForests)ソフトウェアを使用して行うことができる。ランダムフォレストの説明には、たとえば、Breiman、Machine Learning、45:5〜32(2001)及びhttp://stat−www.berkeley.edu/users/breiman/RandomForests/cc_home.htmを参照されたい。
[0185]分類及び回帰木は、古典的回帰モデルの当てはめのコンピュータ集約的な代替方法を表しており、典型的には、1つ又は複数の予測子に基づいて目的のカテゴリー的又は連続的な応答の最良な可能なモデルを決定するために使用する。分類及び回帰木の分析は、たとえば、Salford Systemsから入手可能なC&RTソフトウェア又はStatSoft,Inc.(オクラホマ州Tulsa)から入手可能なスタティスティカ(Statistica)データ分析ソフトウェアを使用して行うことができる。分類及び回帰木の説明は、たとえば、Breimanら、「Classification and Regression Trees」、Chapman and Hall、New York(1984)及びSteinbergら、「CART:Tree−Structured Non−Parametric Data Analysis」、Salford Systems、San Diego、(1995)中に見つかる。
[0186]神経回路網とは、計算のコネクショニスト手法に基づいた情報処理に数学的又は計算的なモデルを使用する、相互接続された人工ニューロンの群である。典型的には、神経回路網は、ネットワーク内を流れる外部又は内部情報に基づいてその構造を変化させる適応性システムである。神経回路網の具体的な例には、パーセプトロン、単層パーセプトロン、多層パーセプトロン、逆伝搬ネットワーク、アダリン(ADALINE)ネットワーク、マダリン(MADALINE)ネットワーク、ラーンマトリックス(Learnmatrix)ネットワーク、ラジアル基底関数(RBF)ネットワーク、及び自己組織化マップ又はコホーネン自己組織化ネットワークなどのフィードフォワード神経回路網、単純再帰ネットワーク及びホップフィールドネットワークなどの再帰神経回路網、ボルツマン機械などの確率的神経回路網、機械及び連想神経回路網の委員会などのモジュラー神経回路網、並びに瞬時訓練神経回路網、スパイキング神経回路網、動的神経回路網、及びカスケード神経回路網などの他の種類のネットワークが含まれる。神経回路網の分析は、たとえばStatSoft,Inc.から入手可能なスタティスティカデータ分析ソフトウェアを使用して行うことができる。神経回路網の説明には、たとえば、Freemanら、「Neural Networks:Algorithms,Applications and Programming Techniques」、Addison−Wesley Publishing Company(1991)、Zadeh、Information and Control、8:338〜353(1965)、Zadeh、「IEEE Trans.on Systems,Man and Cybernetics」、3:28〜44(1973)、Gershoら、「Vector Quantization and Signal Compression」、Kluywer Academic Publishers、Boston、Dordrecht、London(1992)、及びHassoun、「Fundamentals of Artificial Neural Networks」、MIT Press、Cambridge、Massachusetts、London(1995)を参照されたい。
[0187]サポートベクターマシーンとは、分類及び回帰に使用される1セットの関連する教師あり学習技法であり、たとえばCristianiniら、「An Introduction to Support Vector Machines and Other Kernel−Based Learning Methods」、Cambridge University Press(2000)に記載されている。サポートベクターマシーン分析は、たとえば、Thorsten Joachims氏(カーネル大学)によって開発されたSVMライト(SVMlight)ソフトウェアを使用して、又はChih−Chung Chang氏及びChih−Jen Lin氏(台湾国立大学)によって開発されたLIBSVMソフトウェアを使用して行うことができる。
[0188]本明細書中に記載の様々な統計方法及びモデルは、健康な個体並びにIBD(たとえばCD及び/又はUC)患者からの試料(たとえば血清学的及び/又は遺伝的試料)のコホートを使用して訓練及び試験することができる。たとえば、医師、好ましくは胃腸科専門医によって、たとえば米国特許第6,218,129号に記載のように生検、大腸内視鏡検査、又は免疫アッセイを使用してIBD又はその臨床亜型に罹患しているとして診断された患者からの試料が、本発明の統計方法及びモデルの訓練及び試験における使用に適している。また、IBDが診断された患者からの試料は、たとえば、米国特許第5,750,355号及び第5,830,675号に記載の免疫アッセイを使用してクローン病又は潰瘍性大腸炎にも階層化することができる。健康な個体からの試料には、IBD試料として同定されなかったものを含めることができる。当業者は、本発明の統計方法及びモデルを訓練及び試験するために使用することができる患者試料のコホートを得るためのさらなる技法及び診断基準を知っているであろう。
[0189]本明細書中で使用する用語「感度」とは、試料が陽性である場合に、本発明の診断、予後診断、又は予測方法が陽性結果を与える、たとえば、IBDの予測された診断、UCの予測された診断、又はIBDのUCとCD亜型の予測された鑑別を有する確率をいう。感度は、真の陽性結果の数を真陽性及び偽陰性の和で除算することによって計算する。感度は、本質的には、本発明がどれだけ良好にIBDの予測された診断、UCの予測された診断、又はIBDのUCとCD亜型の予測された鑑別を有する者を、IBDの予測された診断、UCの予測された診断、又はIBDのUCとCD亜型の予測された鑑別を有さない者から正しく同定するかの測度である。統計方法及びモデルは、感度が少なくとも約60%であり、たとえば、少なくとも約65%、70%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%であることができるように、選択することができる。
[0190]用語「特異性」とは、試料が陽性でない場合に、本発明の診断、予後診断、又は予測方法が陰性結果を与える、たとえば、IBDの予測された診断、UCの予測された診断、又はIBDのUCとCD亜型の予測された鑑別を有さない確率をいう。特異性は、真の陰性結果の数を真陰性及び偽陽性の和で除算することによって計算する。特異性は、本質的には、本発明がどれだけ良好にIBDの予測された診断、UCの予測された診断、又はIBDのUCとCD亜型の予測された鑑別を有さない者をIBDの予測された診断、UCの予測された診断、又はIBDのUCとCD亜型の予測された鑑別を有する者から排除するかの測度である。統計方法及びモデルは、特異性が少なくとも約60%であり、たとえば、少なくとも約65%、70%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%であることができるように、選択することができる。
[0191]本明細書中で使用する用語「陰性予測値」すなわち「NPV」とは、IBDの予測された診断、UCの予測された診断、又はIBDのUCとCD亜型の予測された鑑別を有さないとして同定された個体が実際にはIBDの予測された診断、UCの予測された診断、又はIBDのUCとCD亜型の予測された鑑別を有さない確率をいう。陰性予測値は、真陰性の数を真陰性及び偽陰性の和で除算することによって計算することができる。陰性予測値は、診断又は予後診断方法の特徴、及び分析した集団における疾患の有病率によって決定する。統計方法及びモデルは、疾患有病率を有する集団中の陰性予測値が約70%〜約99%の範囲内となるように選択することができ、たとえば、少なくとも約70%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%であることができる。
[0192]用語「陽性予測値」すなわち「PPV」とは、IBDの予測された診断、UCの予測された診断、又はIBDのUCとCD亜型の予測された鑑別を有するとして同定された個体が実際にはIBDの予測された診断、UCの予測された診断、又はIBDのUCとCD亜型の予測された鑑別を有する確率をいう。陽性予測値は、真陽性の数を真陽性及び偽陽性の和で除算することによって計算することができる。陽性予測値は、診断又は予後診断方法の特徴、及び分析した集団における疾患の有病率によって決定する。統計方法及びモデルは、疾患有病率を有する集団中の陽性予測値が約70%〜約99%の範囲内となるように選択することができ、たとえば、少なくとも約70%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%であることができる。
[0193]陰性及び陽性の予測値を含めた予測値は、分析した集団における疾患の有病率によって影響を受ける。本発明では、統計方法及びモデルは、特定のIBD、UC、又はCDの有病率を有する臨床集団について所望の臨床的パラメータを生成するように選択することができる。たとえば、統計方法及びモデルは、たとえば胃腸科専門医院又は一般開業医院などの診療所において見ることができる、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は70%までのIBD、UC、又はCDの有病率について選択することができる。
[0194]本明細書中で使用する用語「全体的な一致」又は「全体的な精度」とは、本発明の方法がIBDを診断する、UCを診断する、又はUCとCDとを鑑別する精度をいう。全体的な精度は、真陽性及び真陰性の和を試料の結果の合計数で除算したものとして計算し、分析した集団における疾患の有病率によって影響を受ける。たとえば、統計方法及びモデルは、疾患有病率を有する患者集団における全体的な精度が少なくとも約40%であるように選択することができ、たとえば、少なくとも約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%であることができる。
[0195]IX.キット
本発明は、本明細書中に記載SNPのうちの1つ又は複数の存在又は非存在を決定するためのキットを提供する。特定の態様では、本発明のキットは1つ又は複数のプローブを含む。特定の実施形態では、キットは、
(i)SNP位置(又は部位)を含む標的ポリヌクレオチドの野生型変異体対立遺伝子と結合することができる第1の標識したプローブ、及び
(ii)SNP位置(又は部位)を含む標的ポリヌクレオチドの非野生型変異体対立遺伝子と結合することができる第2の標識したプローブ、
を含み、第1及び第2のプローブは異なって標識されている。
本発明は、本明細書中に記載SNPのうちの1つ又は複数の存在又は非存在を決定するためのキットを提供する。特定の態様では、本発明のキットは1つ又は複数のプローブを含む。特定の実施形態では、キットは、
(i)SNP位置(又は部位)を含む標的ポリヌクレオチドの野生型変異体対立遺伝子と結合することができる第1の標識したプローブ、及び
(ii)SNP位置(又は部位)を含む標的ポリヌクレオチドの非野生型変異体対立遺伝子と結合することができる第2の標識したプローブ、
を含み、第1及び第2のプローブは異なって標識されている。
[0196]異なった標識化により、単一の反応混合物内のプローブの別々の検出が可能となる。本発明の方法では、プローブのそれぞれの対立遺伝子バージョンを異なる色素で標識し、それによって、野生型及び突然変異体プローブの両方の検出が可能となる。色素標識したプローブの例には、それだけに限定されないが、VIC(商標)又はFAM色素で標識したタックマンプローブ(Applied Biosystems、米国から入手可能)が含まれる。プローブを標識するための色素のさらなる例には、それだけには限定されないが、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、5−FAM、6−FAM、5(6)−FAM、5−FAM、SE、6−FAM、SE、5(6)−FAM、SE、5−TAMRA、6−TAMRA、5(6)−TAMRA、5−TAMRA、SE、6−TAMRA、SE、5(6)−TAMRA、SE、dR110 5−FAM(商標)、6−FAM(商標)、6−FAM5−FAM6−FAM6−FAM6−FAM、緑色色素(たとえば、dR6G、JOE(商標)、HEX(商標)、VIC(登録商標)、JOE、VIC、TET(商標)、dR6Gが含まれる)、黄色色素(たとえば、dTAMRA(商標)、TAMRA(商標)、NED(商標)、NED、HEXが含まれる)、赤色色素(たとえば、dROX(商標)、ROX(商標)、ROX、PET(登録商標)、TAMRAが含まれる)及びオレンジ色色素(たとえば、LIZ(登録商標)及びLIZが含まれる)が含まれる。
[0197]一部の実施形態では、SNP rs228224を検出するために使用するキット中に含めるためのプローブ配列は、TACCAGAGTCCCAAGTTTCTGGGGGATTCCCAGGTTAGCCCAAGCCGTGCT(配列番号39)及びTACCAGAGTCCCAAGTTTCTGGGGGGTTCCCAGGTTAGCCCAAGCCGTGCT(配列番号39)であり、どちらもTACCAGAGTCCCAAGTTTCTGGGGG[A/G]TTCCCAGGTTAGCCCAAGCCGTGCT(配列番号39)に由来し、[A/G]の表記はrs2228224 SNPの位置を表す。さらなる実施形態では、第1のプローブはVIC(商標)色素で標識されており、A対立遺伝子を含有し、第2のプローブはFAM(商標)で標識されており、G対立遺伝子を含有する。rs2228224 SNPの存在又は非存在の検出では、FAM/FAM(G/G)シグナルはホモ接合性の野生型遺伝子型を示し、VIC/VIC(A/A)シグナルはホモ接合性の突然変異体遺伝子型を示し、VIC/FAMシグナルはヘテロ接合性の突然変異体遺伝子型を示す。
[0198]一部の実施形態では、SNP rs2032582を検出するために使用するキット中に含めるためのプローブ配列は、TATTTAGTTTGACTCACCTTCCCAGCACCTTCTAGTTCTTTCTTATCTTTC(配列番号40)及びTATTTAGTTTGACTCACCTTCCCAGAACCTTCTAGTTCTTTCTTATCTTTC(配列番号40)であり、どちらもTATTTAGTTTGACTCACCTTCCCAG[C/A]ACCTTCTAGTTCTTTCTTATCTTTC(配列番号40)に由来し、[C/A]の表記はrs2032582 SNPの位置を表す。さらなる実施形態では、第1のプローブはVIC(商標)色素で標識されており、C対立遺伝子を含有し、第2のプローブはFAM(商標)で標識されており、A対立遺伝子を含有する。rs2032582 SNPの存在又は非存在の検出では、プローブが逆になっており(Cの代わりにG及びAの代わりにT)、したがって、FAM/FAM(T/T)シグナルはホモ接合性の野生型遺伝子型を示し、VIC/VIC(G/G)シグナルはホモ接合性の突然変異体遺伝子型を示し、VIC/FAMシグナルはヘテロ接合性の突然変異体遺伝子型を示す。
[0199]一部の実施形態では、SNP rs2032582を検出するために使用するキット中に含めるためのプローブ配列は、TATTTAGTTTGACTCACCTTCCCAGCACCTTCTAGTTCTTTCTTATCTTTC(配列番号41)及びTATTTAGTTTGACTCACCTTCCCAGTACCTTCTAGTTCTTTCTTATCTTTC(配列番号41)であり、どちらもTATTTAGTTTGACTCACCTTCCCAG[C/T]ACCTTCTAGTTCTTTCTTATCTTTC(配列番号41)に由来し、[C/T]の表記はrs2032582 SNPの位置を表す。さらなる実施形態では、第1のプローブはVIC(商標)色素で標識されており、C対立遺伝子を含有し、第2のプローブはFAM(商標)で標識されており、T対立遺伝子を含有する。rs2032582 SNPの存在又は非存在の検出では、プローブが逆になっており(Cの代わりにG及びAの代わりにT)、したがって、FAM/FAM(A/A)シグナルはホモ接合性の野生型遺伝子型を示し、VIC/VIC(G/G)シグナルはホモ接合性の突然変異体遺伝子型を示し、VIC/FAMシグナルはヘテロ接合性の突然変異体遺伝子型を示す。
[0200]一部の実施形態では、SNP rs2241880を検出するために使用するキット中に含めるためのプローブ配列は、CCCAGTCCCCCAGGACAATGTGGATACTCATCCTGGTTCTGGTAAAGAAGT(配列番号42)及びCCCAGTCCCCCAGGACAATGTGGATGCTCATCCTGGTTCTGGTAAAGAAGT(配列番号42)であり、CCCAGTCCCCCAGGACAATGTGGAT[A/G]CTCATCCTGGTTCTGGTAAAGAAGT(配列番号42)に由来し、[A/G]の表記はrs2241880 SNPの位置を表す。さらなる実施形態では、第1のプローブはVIC(商標)色素で標識されており、A対立遺伝子を含有し、第2のプローブはFAM(商標)で標識されており、G対立遺伝子を含有する。rs2241880 SNPの存在又は非存在の検出では、FAM/FAM(G/G)シグナルはホモ接合性の野生型遺伝子型を示し、VIC/VIC(A/A)シグナルはホモ接合性の突然変異体遺伝子型を示し、VIC/FAMシグナルはヘテロ接合性の突然変異体遺伝子型を示す。
[0201]一部の実施形態では、キットは1組又は複数セットのプローブを含有する。他の実施形態では、キットは、SNPの検出反応に必要な緩衝液又は他の試薬を含有していてもよい。緩衝液及び他の試薬の種類は当分野で周知であり、その使用は当業者によって容易に決定することができる。
[0202]X.実施例
以下の実施例は、例示のために提供するが、特許請求した発明を制限しない。
以下の実施例は、例示のために提供するが、特許請求した発明を制限しない。
[0203]実施例1:DNAの単離方法。
DNA単離に使用した試料は、当分野で知られている標準の手順を使用して血液又は体液から得た。試料からDNAを単離するために、供給されたプロトコル(QIAGEN、米国から入手したQIAamp DNA血液ミニキット、カタログ#51106)を使用して、QIAGENの血液又は体液からのDNA精製のためのプロトコル(スピンプロトコル)を100μlの反応サイズで用いた。
DNA単離に使用した試料は、当分野で知られている標準の手順を使用して血液又は体液から得た。試料からDNAを単離するために、供給されたプロトコル(QIAGEN、米国から入手したQIAamp DNA血液ミニキット、カタログ#51106)を使用して、QIAGENの血液又は体液からのDNA精製のためのプロトコル(スピンプロトコル)を100μlの反応サイズで用いた。
[0204]DNA単離手順:
1)20μlのプロテアーゼを1.5mlのマイクロ遠心管の底にピペットで入れる。
2)100μlの試料をマイクロ遠心管に加える。
3)100ulの1×PBSをマイクロ遠心管に加える。
4)200μlの緩衝液ALを試料に加える。
5)15秒間パルス渦攪拌することによって混合する。
6)56℃で10分間インキュベーションする。
7)1.5mlのマイクロ遠心管を手短に遠心分離して、蓋の内側から液滴を除去する。
8)200μlのエタノール(96〜100%)を試料に加える。
9)15秒間パルス渦攪拌することによって混合する。
10)1.5mlのマイクロ遠心管を手短に遠心分離して、蓋の内側から液滴を除去する。
11)縁を濡らさずに混合物をQIAampミニ遠心カラム(2mlの採取チューブ内)に注意深く入れる。キャップを閉める。
12)6000×g(8000rpm)で1分間遠心分離する。
13)遠心カラムを清浄な2mlの採取チューブ内に入れ、濾液を含有するチューブを廃棄する。
14)遠心カラムを注意深く開け、縁を濡らさずに500μlの緩衝液AW1を加える。キャップを閉める。
15)6000×g(8000rpm)で1分間遠心分離する。
16)遠心カラムを清浄な2mlの採取チューブ内に入れ、濾液を含有するチューブを廃棄する。
17)遠心カラムを注意深く開け、縁を濡らさずに500μlの緩衝液AW2を加える。キャップを閉める。
18)最高速度20000×g(14,000rpm)で3分間遠心分離する。
19)遠心カラムを清浄な1.5mlのマイクロ遠心管内に入れ、濾液を含有するチューブを廃棄する。
20)遠心カラムを開け、200μlの緩衝液AEを加える。
21)室温で5分間インキュベーションする。
22)6000×g(8000rpm)で1分間遠心分離する。
1)20μlのプロテアーゼを1.5mlのマイクロ遠心管の底にピペットで入れる。
2)100μlの試料をマイクロ遠心管に加える。
3)100ulの1×PBSをマイクロ遠心管に加える。
4)200μlの緩衝液ALを試料に加える。
5)15秒間パルス渦攪拌することによって混合する。
6)56℃で10分間インキュベーションする。
7)1.5mlのマイクロ遠心管を手短に遠心分離して、蓋の内側から液滴を除去する。
8)200μlのエタノール(96〜100%)を試料に加える。
9)15秒間パルス渦攪拌することによって混合する。
10)1.5mlのマイクロ遠心管を手短に遠心分離して、蓋の内側から液滴を除去する。
11)縁を濡らさずに混合物をQIAampミニ遠心カラム(2mlの採取チューブ内)に注意深く入れる。キャップを閉める。
12)6000×g(8000rpm)で1分間遠心分離する。
13)遠心カラムを清浄な2mlの採取チューブ内に入れ、濾液を含有するチューブを廃棄する。
14)遠心カラムを注意深く開け、縁を濡らさずに500μlの緩衝液AW1を加える。キャップを閉める。
15)6000×g(8000rpm)で1分間遠心分離する。
16)遠心カラムを清浄な2mlの採取チューブ内に入れ、濾液を含有するチューブを廃棄する。
17)遠心カラムを注意深く開け、縁を濡らさずに500μlの緩衝液AW2を加える。キャップを閉める。
18)最高速度20000×g(14,000rpm)で3分間遠心分離する。
19)遠心カラムを清浄な1.5mlのマイクロ遠心管内に入れ、濾液を含有するチューブを廃棄する。
20)遠心カラムを開け、200μlの緩衝液AEを加える。
21)室温で5分間インキュベーションする。
22)6000×g(8000rpm)で1分間遠心分離する。
[0205]実施例2:SNPアッセイ方法。
SNP分析には、ABI384急速リアルタイムプレート調製キットを使用した(Applied Biosystems、米国)。手短に述べると、アッセイ材料は、タックマンGTXpressマスターミックス及びそれぞれのSNPに適したABI遺伝子型決定アッセイからなっていた(rs2228224には、使用したアッセイIDはC_3125146_10であり、rs2228226には、使用したアッセイIDはC_11293074_10であり、rs2032582には、使用したアッセイIDはC_11711720D_30又はC_11711720D_40であり、rs2241880には、使用したアッセイIDはC_9095577_20であった)。さらなるアッセイ材料には、AXYGENサイエンティフィックリザーバー8列(Scientific Reservoir 8 Row)(パート番号RES−MW8−LP−SI、Axygen Biosciences、米国カリフォルニア)、ABI マイクロアンプオプティカル(MicroAmp Optical)バーコード付384ウェル反応プレート(Applied Biosystems、米国からのパート番号4309849)、マイクロアンプオプティカル接着フィルム(Applied Biosystems、米国からのパート番号4311971)が含まれていた。PCR反応に使用したシステムは7900HT急速リアルタイムPCRシステムE2216(Applied Biosystems、米国)であった。製品は添付の製造者の指示に従って使用した。
SNP分析には、ABI384急速リアルタイムプレート調製キットを使用した(Applied Biosystems、米国)。手短に述べると、アッセイ材料は、タックマンGTXpressマスターミックス及びそれぞれのSNPに適したABI遺伝子型決定アッセイからなっていた(rs2228224には、使用したアッセイIDはC_3125146_10であり、rs2228226には、使用したアッセイIDはC_11293074_10であり、rs2032582には、使用したアッセイIDはC_11711720D_30又はC_11711720D_40であり、rs2241880には、使用したアッセイIDはC_9095577_20であった)。さらなるアッセイ材料には、AXYGENサイエンティフィックリザーバー8列(Scientific Reservoir 8 Row)(パート番号RES−MW8−LP−SI、Axygen Biosciences、米国カリフォルニア)、ABI マイクロアンプオプティカル(MicroAmp Optical)バーコード付384ウェル反応プレート(Applied Biosystems、米国からのパート番号4309849)、マイクロアンプオプティカル接着フィルム(Applied Biosystems、米国からのパート番号4311971)が含まれていた。PCR反応に使用したシステムは7900HT急速リアルタイムPCRシステムE2216(Applied Biosystems、米国)であった。製品は添付の製造者の指示に従って使用した。
[0206]SNPの検出手順:
1)遺伝子型決定アッセイミックスを氷上で解凍する。遺伝子型決定ミックスを光から保護しておく。
2)GTXpressマスターミックスを氷上に保つ。マスターミックスを光から保護しておく。
3)試料/対照DNAを割り当てたプレートのウェルに加える:
a.40×遺伝子型決定ミックスを使用する場合は2.375μlのDNA/ウェルを加える
又は
b.20×遺伝子型決定ミックスを使用する場合は2.25μlのDNA/ウェルを加える。
4)反応(Rxn)ミックスを調製する:
a.GTXpressマスターミックスを穏やかに反転して内容物を混合する。
b.遺伝子型決定アッセイを穏やかに渦攪拌して内容物を混合し、手短に遠心分離することによって内容物を遠沈させる。
c.無菌的なクライオバイアル内に、最初にGTXpressマスターミックスをピペットで入れ、その後に遺伝子型決定アッセイを入れる:
i.GTXpressマスターミックスの量:2.5μl/ウェルを加える
ii.遺伝子型決定アッセイの量:
1.40×遺伝子型決定ミックスを使用する場合は0.125μlの遺伝子型決定ミックス/ウェルを加える
又は
2.20×遺伝子型決定ミックスを使用する場合は0.25μlの遺伝子型決定ミックス/ウェルを加える。
5)クライオバイアルを穏やかに渦攪拌して内容物を混合する。
6)クライオバイアルの内容物を無菌的なリザーバー内に注ぎ、その後、ピペットで:
a.40×遺伝子型決定ミックスを使用する場合はピペット2.625μlのrxnミックス/ウェル
又は
20×遺伝子型決定ミックスを使用する場合はピペット2.75μlのrxnミックス/ウェルを入れる。
7)プレートを密閉する。
8)プレートを渦攪拌し、その後、プレートを軽くたたいてウェル中に存在するすべての気泡を除去する。
9)試料体積=5μlに設定し、RT PCRを開始する:
a.段階1:50.0℃で2:00分間
b.段階2:95.0℃で10:00分間
c.段階3:反復:40回
i.95.0℃で0:15分間
ii.60.0℃で1:00分間
1)遺伝子型決定アッセイミックスを氷上で解凍する。遺伝子型決定ミックスを光から保護しておく。
2)GTXpressマスターミックスを氷上に保つ。マスターミックスを光から保護しておく。
3)試料/対照DNAを割り当てたプレートのウェルに加える:
a.40×遺伝子型決定ミックスを使用する場合は2.375μlのDNA/ウェルを加える
又は
b.20×遺伝子型決定ミックスを使用する場合は2.25μlのDNA/ウェルを加える。
4)反応(Rxn)ミックスを調製する:
a.GTXpressマスターミックスを穏やかに反転して内容物を混合する。
b.遺伝子型決定アッセイを穏やかに渦攪拌して内容物を混合し、手短に遠心分離することによって内容物を遠沈させる。
c.無菌的なクライオバイアル内に、最初にGTXpressマスターミックスをピペットで入れ、その後に遺伝子型決定アッセイを入れる:
i.GTXpressマスターミックスの量:2.5μl/ウェルを加える
ii.遺伝子型決定アッセイの量:
1.40×遺伝子型決定ミックスを使用する場合は0.125μlの遺伝子型決定ミックス/ウェルを加える
又は
2.20×遺伝子型決定ミックスを使用する場合は0.25μlの遺伝子型決定ミックス/ウェルを加える。
5)クライオバイアルを穏やかに渦攪拌して内容物を混合する。
6)クライオバイアルの内容物を無菌的なリザーバー内に注ぎ、その後、ピペットで:
a.40×遺伝子型決定ミックスを使用する場合はピペット2.625μlのrxnミックス/ウェル
又は
20×遺伝子型決定ミックスを使用する場合はピペット2.75μlのrxnミックス/ウェルを入れる。
7)プレートを密閉する。
8)プレートを渦攪拌し、その後、プレートを軽くたたいてウェル中に存在するすべての気泡を除去する。
9)試料体積=5μlに設定し、RT PCRを開始する:
a.段階1:50.0℃で2:00分間
b.段階2:95.0℃で10:00分間
c.段階3:反復:40回
i.95.0℃で0:15分間
ii.60.0℃で1:00分間
[0207]実施例3:血清学的マーカーと組み合わせた遺伝子変異体は潰瘍性大腸炎の同定を改善させる。
クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)は、炎症性腸疾患(IBD)の2つの一般的な形態である。血清学的マーカーを使用してこれらの疾患の区別を助けることはできるが、その精度は一般にCDの方が高い。これは、血清学的マーカーのほとんどがCD患者中で見つかる一方で、主なUCマーカーは1つ、すなわち抗好中球細胞質(cytoplamic)抗体(ANCA)しか存在しないことが原因である。UC関連ANCAは、アルコール固定した好中球に対して核周囲染色パターン(pANCA)をもたらす。しかし、その高い特異性にもかかわらず、UC症例の48%のみがpANCA陽性である。GWAS分析を使用した新しいIBDマーカーの検索により、遺伝的突然変異が疾患において重要な役割を果たしていることが確認された。実際、数々の遺伝子マーカーが同定されており、CD、UC又は両方に関連づけられている。
クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)は、炎症性腸疾患(IBD)の2つの一般的な形態である。血清学的マーカーを使用してこれらの疾患の区別を助けることはできるが、その精度は一般にCDの方が高い。これは、血清学的マーカーのほとんどがCD患者中で見つかる一方で、主なUCマーカーは1つ、すなわち抗好中球細胞質(cytoplamic)抗体(ANCA)しか存在しないことが原因である。UC関連ANCAは、アルコール固定した好中球に対して核周囲染色パターン(pANCA)をもたらす。しかし、その高い特異性にもかかわらず、UC症例の48%のみがpANCA陽性である。GWAS分析を使用した新しいIBDマーカーの検索により、遺伝的突然変異が疾患において重要な役割を果たしていることが確認された。実際、数々の遺伝子マーカーが同定されており、CD、UC又は両方に関連づけられている。
[0208]研究の目的:本研究の目的は、ANCA/pANCAと組み合わせて、UCを有する患者をより良好に同定するために寄与することができる遺伝子マーカーを同定することであった。
[0209]方法:十分に特徴づけられたUC患者(n=81人)及び健康な対照(HC、n=153人)からのDNAを、3つの遺伝子、すなわちGLI1(rs2228224)、MDR1(rs2032582)、及びATG16L1(rs2241880)中の変異体について遺伝子型決定した。UCとHCの間の危険対立遺伝子頻度の差異を、フィッシャーの正確検定を使用して分析し、オッズ比(OR)を95%信頼区間(CI)で計算した。患者及び対照の血清を、ELISAによってANCAについて、及び免疫蛍光、続いて固定した好中球のDNAse処理によってpANCAについて試験した。ランダムフォレストを使用して予測モデルを生成し、1つ取り出す交差検証(leave−one−out cross validation)を使用して妥当性確認した。
[0210]結果:HCに比べてUCにおいて、危険対立遺伝子頻度の有意な差異がGLI1(G933D)突然変異について見出された(p<0.001、OR=2.64、95%CI=1.73〜4.07)。三対立遺伝子MDR1変異体では、最も一般的なMDR1突然変異(A893S)はUCに有意に関連づけられていることが判明した(p=0.010、OR=1.67、95%CI=1.11〜2.51)。ATG16L1もUCに有意に関連づけられていた(p=0.006、OR=1.73、95%CI=1.16〜2.59)(表3)。受信者動作特性(ROC)分析を使用して、ANCA/pANCA単独での診断精度を、3つの遺伝子変異体とANCA/pANCAとの組合せと比較した(図1)。3つの遺伝子変異体の追加は、ROC曲線下面積を0.793(CI=0.726〜0.861)から0.856(CI=0.799〜0.912)へと増加させ、その結果、80%の固定特異性でのANCA/pANCAの感度が67%から78%へと改善された(表4)。
[0211]結論:本発明者らは、UCに関連づけられている新しい遺伝子変異体GLI1(G933D)を特徴づけ、MDR1(A893S)及びATG16L1(T300A)変異体とUCとの関連を確認した。これらの遺伝子変異体は、ANCA/pANCAと組み合わせて、ANCA/pANCA単独よりも高いUCの診断精度をもたらした。
[0212]実施例4:遺伝子変異体を血清学的マーカーと組み合わせることで潰瘍性大腸炎の診断の精度が改善される。
クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)は、炎症性腸疾患(IBD)の2つの一般的な形態である。血清学的マーカーを使用してこれらの疾患の区別を助けることはできるが、その精度は一般にCDの方が高い。これは、多様な血清学的マーカーのほとんどがCDに関連づけられている一方で、主なUCマーカーは1つ、すなわち抗好中球細胞質抗体(ANCA)しか存在しないことが原因である。UC関連ANCAは、アルコール固定した好中球に対して核周囲染色パターン(pANCA)をもたらす。しかし、その高い特異性にもかかわらず、UC症例の48%のみがpANCA陽性である。GWAS分析を使用した新しいIBDマーカーの検索により、遺伝的突然変異が疾患の病因学において重要な役割を果たしていることが確認された。数々の遺伝子マーカーが同定されており、CD、UC又は両方に関連づけられている。
クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)は、炎症性腸疾患(IBD)の2つの一般的な形態である。血清学的マーカーを使用してこれらの疾患の区別を助けることはできるが、その精度は一般にCDの方が高い。これは、多様な血清学的マーカーのほとんどがCDに関連づけられている一方で、主なUCマーカーは1つ、すなわち抗好中球細胞質抗体(ANCA)しか存在しないことが原因である。UC関連ANCAは、アルコール固定した好中球に対して核周囲染色パターン(pANCA)をもたらす。しかし、その高い特異性にもかかわらず、UC症例の48%のみがpANCA陽性である。GWAS分析を使用した新しいIBDマーカーの検索により、遺伝的突然変異が疾患の病因学において重要な役割を果たしていることが確認された。数々の遺伝子マーカーが同定されており、CD、UC又は両方に関連づけられている。
[0213]研究の目的:この探索的研究の目的は、ANCA/pANCAと組み合わせて、UCを有する患者をより良好に同定するために寄与することができる遺伝子マーカーを同定することであった。
[0214]方法:十分に特徴づけられたUC患者(n=81人)及び健康な対照(HC、n=153人)からのDNAを、2つの遺伝子、すなわちGLI1(rs2228224)及びMDR1(rs2032582)中の変異体について遺伝子型決定した。UCとHCの間の危険対立遺伝子頻度の差異を、フィッシャーの正確検定を使用して分析し、オッズ比(OR)を95%信頼区間(CI)で計算した。患者及び対照の血清を、ELISAによってANCAについて、及び免疫蛍光、続いて固定した好中球のDNAse処理によってpANCAについて試験した。ランダムフォレストを使用して予測モデルを生成し、1つ取り出す交差検証を使用して妥当性確認した。
[0215]結果:HCに比べてUCにおいて、危険対立遺伝子頻度の有意な差異がGLI1(G933D)突然変異について見出された(p<0.001、OR=2.64、95%CI=1.73〜4.07)。三対立遺伝子MDR1変異体では、最も一般的なMDR1突然変異(A893S)はUCに有意に関連づけられていた(p=0.010、OR=1.67、95%CI=1.11〜2.51)(表5)。受信者動作特性(ROC)分析を使用して、ANCA/pANCA単独での診断精度を、2つの遺伝子変異体とANCA/pANCAとの組合せと比較した(図2)。2つの遺伝子変異体の追加は、ROC曲線下面積を0.793(CI=0.726〜0.861)から0.853(CI=0.801〜0.905)(表6)へと増加させた。
[0216]結論:本発明者らは、UCに関連づけられている新しい遺伝子変異体GLI1(G933D)を特徴づけ、MDR1(A893S)変異体とUCとの関連を確認した。この集団のサブセットでは、これらの遺伝子変異体は、ANCA/pANCAと組み合わせて、ANCA/pANCA単独よりも高いUCの診断精度をもたらした。
[0217]実施例5:遺伝子変異体を血清学的マーカーと組み合わせることで潰瘍性大腸炎の診断の精度が改善される。
導入
炎症性腸疾患(IBD)は、腸の内側が連続的に又は繰り返して炎症を起こすいくつかの障害からなる。IBDの原因は不明確であるが、多遺伝子性の性質であり、腸の内側の組織の免疫系による誤った認識及び腸の内側の免疫系細胞の蓄積に関与して炎症がもたらされると考えられている。IBDの2つの一般的な形態は潰瘍性大腸炎(UC)及びクローン病(CD)である。UCとCDの区別は血清学的マーカーの検査によって達成することができる。ほとんどの血清学的マーカーはCDに関連づけられている(たとえば、ASCA IgA及びIgG、抗OmpC、抗CBir1、抗I2など)。抗好中球細胞質抗体(ANCA)のみが主にUCで見つかる。UC症例の48%において、アルコール固定した好中球は核周囲染色パターン(pANCA)を生じ、pANCAに特異的であるが、UCに感受性ではない。全ゲノム関連研究(GWAS)により、多剤耐性遺伝子(ABCB1/MDR1)を含有する染色体7q上の連鎖領域(Brantら、Am J Hum Genet.、2003、73(6)1282〜1292)及び神経膠腫関連癌遺伝子相同体1(Gli1)を含有するIBD2連鎖領域12q13(Leesら、PLoS Med.、2008、5(12)E239)を含めたIBDの数々の感受性座位が同定されている。
導入
炎症性腸疾患(IBD)は、腸の内側が連続的に又は繰り返して炎症を起こすいくつかの障害からなる。IBDの原因は不明確であるが、多遺伝子性の性質であり、腸の内側の組織の免疫系による誤った認識及び腸の内側の免疫系細胞の蓄積に関与して炎症がもたらされると考えられている。IBDの2つの一般的な形態は潰瘍性大腸炎(UC)及びクローン病(CD)である。UCとCDの区別は血清学的マーカーの検査によって達成することができる。ほとんどの血清学的マーカーはCDに関連づけられている(たとえば、ASCA IgA及びIgG、抗OmpC、抗CBir1、抗I2など)。抗好中球細胞質抗体(ANCA)のみが主にUCで見つかる。UC症例の48%において、アルコール固定した好中球は核周囲染色パターン(pANCA)を生じ、pANCAに特異的であるが、UCに感受性ではない。全ゲノム関連研究(GWAS)により、多剤耐性遺伝子(ABCB1/MDR1)を含有する染色体7q上の連鎖領域(Brantら、Am J Hum Genet.、2003、73(6)1282〜1292)及び神経膠腫関連癌遺伝子相同体1(Gli1)を含有するIBD2連鎖領域12q13(Leesら、PLoS Med.、2008、5(12)E239)を含めたIBDの数々の感受性座位が同定されている。
[0218]研究の目的
ANCA/pANCAと組み合わせてUCを有する患者の同定をより成功させる診断試験に寄与する、新しい遺伝子マーカーを同定することである。
ANCA/pANCAと組み合わせてUCを有する患者の同定をより成功させる診断試験に寄与する、新しい遺伝子マーカーを同定することである。
[0219]材料及び方法
十分に特徴づけられたUC患者(n=81人)及び健康な対照(HC、n=153人)からのDNAを、2つの遺伝子、すなわちGli1(rs2228224及びrs2228226)並びにMDR1(rs2032582)中の3つの変異体について遺伝子型決定した(表7)。UCとHCの間の危険対立遺伝子頻度(RAF)の差異を、フィッシャーの正確検定を使用して分析し、オッズ比(OR)を95%信頼区間(CI)で計算した。患者及び対照の血清を、ELISAによってANCAについて、及び免疫蛍光、続いて固定した好中球のDNAse処理によってpANCAについて試験した(図3)。ランダムフォレストを使用して予測モデルを生成し、1つ取り出す交差検証を使用して妥当性確認した。
十分に特徴づけられたUC患者(n=81人)及び健康な対照(HC、n=153人)からのDNAを、2つの遺伝子、すなわちGli1(rs2228224及びrs2228226)並びにMDR1(rs2032582)中の3つの変異体について遺伝子型決定した(表7)。UCとHCの間の危険対立遺伝子頻度(RAF)の差異を、フィッシャーの正確検定を使用して分析し、オッズ比(OR)を95%信頼区間(CI)で計算した。患者及び対照の血清を、ELISAによってANCAについて、及び免疫蛍光、続いて固定した好中球のDNAse処理によってpANCAについて試験した(図3)。ランダムフォレストを使用して予測モデルを生成し、1つ取り出す交差検証を使用して妥当性確認した。
[0220]結果
pANCA/ANCAマーカーの分布は、健康な対照に比べてUC集団の方が高かった(表8)。
HC試料の1%がpANCA陽性であった。
UC試料の48%がpANCA陽性であった。
HC試料の10%が高い血清ANCA値を有していた。
UC試料の60%が高い血清ANCA値を有していた。
pANCA/ANCAマーカーの分布は、健康な対照に比べてUC集団の方が高かった(表8)。
HC試料の1%がpANCA陽性であった。
UC試料の48%がpANCA陽性であった。
HC試料の10%が高い血清ANCA値を有していた。
UC試料の60%が高い血清ANCA値を有していた。
[0221]UC対HCにおいて、RAFの有意な差異がGli1及びMDR1のSNPで見出された(表9)。
Gli1(G933D)p<0.001、OR:2.64、(95%CI:1.73〜4.07)。
Gli1(Q1100E)p=0.02、OR:1.66、(95%CI:1.07〜2.62)。
MDR1(A893S)p=0.01、OR:1.67、(95%CI:1.11〜2.51)。
Gli1(G933D)p<0.001、OR:2.64、(95%CI:1.73〜4.07)。
Gli1(Q1100E)p=0.02、OR:1.66、(95%CI:1.07〜2.62)。
MDR1(A893S)p=0.01、OR:1.67、(95%CI:1.11〜2.51)。
[0222]ANCA/pANCAへの2つの遺伝子変異体の追加は、曲線下面積を0.802(95%CI:0.737〜0.868)から0.853(95%CI:0.801〜0.905)へと増加させた(図4)。
[0223]ABCB1/MDR1遺伝子は染色体7q21.12に位置する。エクソン21中の三対立遺伝子の遺伝子変異体2677G>T/A(rs2032582)は、位置893の細胞内の非同義のアミノ酸変化をもたらす(A893S/T)。Wangら、AAPS J.、2006、8(3)E515〜E520を参照されたい。Gli1遺伝子は染色体12q13.2〜q13.3に位置する。エクソン12中の遺伝子変異体3376G>C(rs2228226)は、位置1100の非同義のアミノ酸変化をもたらす(Q1100E)。遺伝子変異体2876G>A(rs2228224)は、位置933の非同義のアミノ酸変化をもたらす(G933D)。Leesら、PLoS Med.、2008、5(12)E239を参照されたい。
[0224]抗好中球細胞質抗体(ANCA)は好中球の細胞内成分に向けられている(図3)。共焦点及び電子顕微鏡観察により、UC関連pANCAは主にクロマチン上に局在化しており、核の周辺に向かって濃縮されていたことが実証されている。UC患者では、DNAse Iで処理した後にpANCA染色パターンは失われた。UC症例の約70%において抗原認識の完全な損失が存在していた一方で、症例の30%では細胞質染色への変換が存在していた。UC患者の3パーセントは耐性パターンを有する(Nakamuraら、Clin Chim Acta.、2003;335(1〜2)9〜20)。
[0225]予想どおり、pANCA/ANCAマーカーの分布は、HCに比べてUC集団の方が高かった。実際、UC試料の48%に比べてHC試料の1%のみがpANCA陽性であった。同様に、UC試料の60%に比べてHC試料の10%のみが高い血清ANCA値を有していた(表8)。
[0226]HCに比べてUCにおいて、RAFの有意な差異がGli1(G933D)突然変異について見出された(p<0.001、OR:2.64、95%CI:1.73〜4.07)。有意なRAFの差異がGli1(Q1100E)でも見出された(p=0.02、OR:1.66、95%CI:1.07〜2.62)。三対立遺伝子MDR1変異体では、最も一般的なMDR1突然変異(A893S)はUCに有意に関連づけられていた(p=0.010、OR:1.67、95%CI:1.11〜2.51)(表9)。
[0227]受信者動作特性分析を使用して、ANCA/pANCA単独での診断精度を、2つの遺伝子変異体Gli1(G933D)及びMDR1(A893S)とANCA/pANCAとの組合せと比較した。2つの遺伝子変異体の追加は、曲線下面積を0.802(95%CI:0.737〜0.868)から0.853(95%CI:0.801〜0.905)へと増加させた(図4)。
[0228]結論
本研究は、新しいUC関連の遺伝子変異体:Gli1(G933D)を特徴づけ、MDR1(A893S)変異体とUCとの関連を確認した。この集団のサブセットでは、Gli1及びMDR1変異体は、ANCA/pANCAと組み合わせて、ANCA/pANCA単独よりも高いUCの診断精度をもたらした。
本研究は、新しいUC関連の遺伝子変異体:Gli1(G933D)を特徴づけ、MDR1(A893S)変異体とUCとの関連を確認した。この集団のサブセットでは、Gli1及びMDR1変異体は、ANCA/pANCAと組み合わせて、ANCA/pANCA単独よりも高いUCの診断精度をもたらした。
[0229]実施例6:GLI1(G933D)rs2228224及びMDR1(A893S/T)rs2032582の危険対立遺伝子因子(RAF)分析。
本実施例は、クローン病(CD)、UC、及び健康な対照(HC)患者からの試料中のGLI1(G933D)rs2228224及びMDR1(A893S/T)rs2032582のSNPと潰瘍性大腸炎(UC)との関連性の分析を提供する。
本実施例は、クローン病(CD)、UC、及び健康な対照(HC)患者からの試料中のGLI1(G933D)rs2228224及びMDR1(A893S/T)rs2032582のSNPと潰瘍性大腸炎(UC)との関連性の分析を提供する。
[0230]rs2228224 SNPの検出を本明細書中に記載のように行った。rs2228224 SNP分析のアッセイ結果の解釈では、FAM/FAM(G/G)シグナルはホモ接合性の野生型として示され、VIC/VIC(A/A)シグナルはホモ接合性の突然変異体として示され、VIC/FAMシグナルはヘテロ接合性の突然変異体として示された。
[0231]rs2032582 SNPの検出を本明細書中に記載のように行った。rs2032582 SNP分析のアッセイ結果の解釈では、FAM/FAM(T/T)シグナルはホモ接合性の突然変異体として示され、VIC/VIC(G/G)シグナルはホモ接合性の野生型遺伝子型として示され、VIC/FAMシグナルはヘテロ接合性の突然変異体遺伝子型として示された。
[0232]以下の表10は、GLI1(G933D)rs2228224及びMDR1(A893S)rs2032582の危険対立遺伝子頻度を示す。特に、表10は、健康な対照(HC)と潰瘍性大腸炎(UC)、HCとクローン病(CD)、及びCDとUCの比較のデータを含有する。
[0233]表10は、GLI1(G933D)rs2228224及びMDR1(A893S)rs2032582変異体対立遺伝子は、HC又はCDに比べてそれぞれ独立して且つ有意にUCに関連づけられていたことを示す。さらに、表10は、GLI1(G933D)rs2228224変異体対立遺伝子はHCに比べてCDに有意に関連づけられていたことを示す。したがって、本発明に従ってGLI1(rs2228224)及び/又はMDR1(rs2032582)変異体対立遺伝子の存在又は非存在を決定することは、たとえば患者をUCに罹患しているとして対健康な対照患者及び/又はCDを有する患者として同定することによってUCを診断するために特に有用である。
[0234]実施例7〜9は、GLI1(G933D)rs2228224、MDR1(A893S/T)rs2032582、及びATG16L1(T300A)rs2241880のSNPの存在又は非存在を決定するためのさらなる試料の分析を記載する。
[0235]実施例7:GLI1(G933D)rs2228224の検出。
GLI1遺伝子は染色体12に位置する。rs2228224 SNPは、GからAへの転移からなり、GGTからGATへのコドン変化を有するミスセンス突然変異である。rs2228224 SNPは、転写物NM_005269.2(配列番号25)の位置2876に位置する。この転移は、タンパク質ID NP_005260.1(配列番号26)のアミノ酸変化G993D(グリシン933からアスパラギン酸)をもたらす。
GLI1遺伝子は染色体12に位置する。rs2228224 SNPは、GからAへの転移からなり、GGTからGATへのコドン変化を有するミスセンス突然変異である。rs2228224 SNPは、転写物NM_005269.2(配列番号25)の位置2876に位置する。この転移は、タンパク質ID NP_005260.1(配列番号26)のアミノ酸変化G993D(グリシン933からアスパラギン酸)をもたらす。
[0236]rs2228224 SNPを検出するために、ABIタックマンアッセイを使用した(Applied Biosystems)。ABIアッセイID番号はC_3125146_10であった(Applied Biosystems、米国から入手可能)。以下の構成の配列をタックマンアッセイに使用した[VIC/FAM]:TACCAGAGTCCCAAGTTTCTGGGGG[A/G]TTCCCAGGTTAGCCCAAGCCGTGCT(配列番号39)。[A/G]の表記はrs2228224 SNPの位置を表す。プローブのVICバージョンはA対立遺伝子を含有し、FAMプローブはG対立遺伝子を含有する。
[0237]rs2228224 SNP分析のアッセイ結果の解釈では、FAM/FAM(G/G)シグナルはホモ接合性の野生型として示され、VIC/VIC(A/A)シグナルはホモ接合性の突然変異体として示され、VIC/FAMシグナルはヘテロ接合性の突然変異体として示された。これらの結果を表11に示す。
[0238]以下の表12〜17中の結果は、rs2228224 SNPの危険対立遺伝子因子(RAF)分析を表す。危険対立遺伝子はAである。ヘテロ接合性の突然変異体の値を分割し、ホモ接合性の野生型及びホモ接合性の突然変異体遺伝子型の両方に等しく再分布した後の両方の対立遺伝子の頻度を使用して、p値を計算した。その後、様々な集団(クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、健康な対照(HC)、及びIBS GI対照(IBS))を示したように互いに比較した。表12はHCとUCの比較のデータを含有する。表13はHCとCDの比較のデータを含有する。表14はCDとUCの比較のデータを含有する。表15はIBSとUCの比較のデータを含有する。表16はIBSとCDの比較のデータを含有する。表17はIBSとHCの比較のデータを含有する。
[0239]表12、14、及び15は、GLI1(G933D)rs2228224変異体対立遺伝子は、HC又はCD又はIBSに比べてUCに有意に関連づけられていたことを示す。表13は、GLI1(G933D)rs2228224変異体対立遺伝子はHCに比べてCDに有意に関連づけられていたことを示す。したがって、本発明に従ってGLI1(rs2228224)変異体対立遺伝子の存在又は非存在を決定することは、たとえば患者をUCに罹患しているとして対健康な対照患者、IBS GI対照患者、及び/又はCDを有する患者として同定することによってUCを診断するために特に有用である。
[0240]rs2228226 SNP分析のアッセイ結果の解釈では、FAM/FAM(G/G)シグナルはホモ接合性の野生型として示され、VIC/VIC(A/A)シグナルはホモ接合性の突然変異体として示され、VIC/FAMシグナルはヘテロ接合性の突然変異体として示された。これらの結果を表18に示す。
[0241]以下の表19〜21中の結果は、rs2228226 SNPの危険対立遺伝子因子(RAF)分析を表す。危険対立遺伝子はCである。ヘテロ接合性の突然変異体の値を分割し、ホモ接合性の野生型及びホモ接合性の突然変異体遺伝子型の両方に等しく再分布した後の両方の対立遺伝子の頻度を使用して、p値を計算した。その後、様々な集団(クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、及び健康な対照(HC))を示したように互いに比較した。表19はHCとUCの比較のデータを含有する。表20はHCとCDの比較のデータを含有する。表21はCDとUCの比較のデータを含有する。
[0242]実施例8:MDR1(A893S/T)rs2032582の検出。
遺伝子は染色体7に位置する。アラニンからセリンへの変化に対応する、GCTからTCTへのコドン変化を有するGからTへの塩基転換、又はアラニンからスレオニンへの変化に対応する、GCTからACTへのコドン変化を有するGからAへの塩基転換のどちらかの、2つのミスセンス突然変異が存在する。SNPの位置は転写物NM_000927.3(配列番号27)の3095である。これは、タンパク質ID NP_000918.2(配列番号28)のアミノ酸変化S893T/Aをもたらす。
遺伝子は染色体7に位置する。アラニンからセリンへの変化に対応する、GCTからTCTへのコドン変化を有するGからTへの塩基転換、又はアラニンからスレオニンへの変化に対応する、GCTからACTへのコドン変化を有するGからAへの塩基転換のどちらかの、2つのミスセンス突然変異が存在する。SNPの位置は転写物NM_000927.3(配列番号27)の3095である。これは、タンパク質ID NP_000918.2(配列番号28)のアミノ酸変化S893T/Aをもたらす。
[0243]rs2032582 SNPを検出するために、ABIタックマンアッセイを使用した(Applied Biosystems、米国)。ABIアッセイID番号はC_11711720C_30であり(A893S)、これは一般的な突然変異である(アッセイはApplied Biosystems、米国から入手可能)。3つの対立遺伝子が存在するため、三対立遺伝子アッセイを用いた。
[0244]以下のプローブ配列を、ABIアッセイID C_11711720C_30(A893S)を用いたタックマンアッセイに使用した:TATTTAGTTTGACTCACCTTCCCAG[C/A]ACCTTCTAGTTCTTTCTTATCTTTC(配列番号40)。表記C/Aはrs2032582 SNPの位置を表し、プローブのVIC標識したバージョンはC対立遺伝子を含有し、プローブのFAM標識したバージョンはA対立遺伝子を含有する。
[0245]一部のタックマンプローブはマイナスDNA鎖を使用して設計し、配列番号40のrs2032582プローブはマイナス鎖に対して作製した。言い換えれば、SNPはプラス鎖上のGからTであり、マイナス鎖に対して作製したプローブはC又はAを含有する。したがって、GでCが置換されており、TでAが置換されている。rs2032582 SNP分析のアッセイ結果の解釈では、FAM/FAM(T/T)シグナルはホモ接合性の突然変異体として示され、VIC/VIC(G/G)シグナルはホモ接合性の野生型遺伝子型として示され、VIC/FAMシグナルはヘテロ接合性の突然変異体遺伝子型として示された。
[0246]以下のプローブ配列を、ABIアッセイID C_11711720D_40(A893T)を用いたタックマンアッセイに使用した:TATTTAGTTTGACTCACCTTCCCAG[C/T]ACCTTCTAGTTCTTTCTTATCTTTC(配列番号41)。表記C/Tはrs2032582 SNPの位置を表し、プローブのVIC標識したバージョンはC対立遺伝子を含有し、プローブのFAM標識したバージョンはT対立遺伝子を含有する。
[0247]一部のタックマンプローブはマイナスDNA鎖を使用して設計し、配列番号41のrs2032582プローブはマイナス鎖に対して作製した。言い換えれば、SNPはプラス鎖上のGからAであり、マイナス鎖に対して作製したプローブはC又はTを含有する。したがって、GでCが置換されており、TでAが置換されている。rs2032582 SNP分析のアッセイ結果の解釈では、FAM/FAM(A/A)シグナルはホモ接合性の突然変異体と呼ばれ、VIC/VIC(G/G)シグナルはホモ接合性の野生型と呼ばれ、VIC/FAMシグナルはヘテロ接合性の突然変異体と呼ばれた。これらの結果を表22に示す。
[0248]以下の表23〜28中の結果は、最も一般的な突然変異A893Sの危険対立遺伝子因子(RAF)分析を表す。危険対立遺伝子はTである。ヘテロ接合性の突然変異体の値を分割し、ホモ接合性の野生型及びホモ接合性の突然変異体遺伝子型の両方に等しく再分布した後の両方の対立遺伝子の頻度を使用して、p値を計算した。その後、様々な集団(クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、健康な対照(HC)、及びIBS GI対照(IBS))を互いに比較した。表23はHCとUCの比較のデータを含有する。表24はHCとCDの比較のデータを含有する。表25はCDとUCの比較のデータを含有する。表26はIBSとUCの比較のデータを含有する。表27はIBSとCDの比較のデータを含有する。表28はHCとIBSの比較のデータを含有する。
[0249]表23及び25は、MDR1(A893S)rs2032582変異体対立遺伝子はHC又はCDに比べてUCに有意に関連づけられていたことを示す。したがって、本発明に従ってMDR1(rs2032582)変異体対立遺伝子の存在又は非存在を決定することは、たとえば患者をUCに罹患しているとして対健康な対照患者及び/又はCDを有する患者として同定することによってUCを診断するために特に有用である。
[0250]実施例9:ATG16L1(T300A)rs2241880の検出。
ATG16L1遺伝子は染色体12に位置する。このrs2241880は、AからGへの転移からなり、ACTからGCTへのコドン変化を有するミスセンス突然変異である。rs2241880 SNPは、転写物NM_030803.6(配列番号31)の位置1155に位置する。この転移は、タンパク質ID NP_110430.5(配列番号32)のアミノ酸変化T300Aをもたらす。
ATG16L1遺伝子は染色体12に位置する。このrs2241880は、AからGへの転移からなり、ACTからGCTへのコドン変化を有するミスセンス突然変異である。rs2241880 SNPは、転写物NM_030803.6(配列番号31)の位置1155に位置する。この転移は、タンパク質ID NP_110430.5(配列番号32)のアミノ酸変化T300Aをもたらす。
[0251]rs2241880 SNPを検出するために、ABIタックマンアッセイを使用した(Applied Biosystems、米国)。ABIアッセイIDはC_9095577_20であった(Applied Biosystems、米国から入手可能)。以下の構成の配列をタックマンアッセイに使用した[VIC/FAM]:CCCAGTCCCCCAGGACAATGTGGAT[A/G]CTCATCCTGGTTCTGGTAAAGAAGT(配列番号42)。[A/G]の表記はrs2241880 SNPの位置を表す。プローブのVIC標識したバージョンはA対立遺伝子を含有し、プローブのFAM標識したバージョンはG対立遺伝子を含有する。
[0252]rs2241880 SNP分析のアッセイ結果の解釈では、FAM/FAM(G/G)シグナルはホモ接合性の突然変異体と呼ばれ、VIC/VIC(A/A)シグナルはホモ接合性の野生型と呼ばれ、VIC/FAMシグナルはヘテロ接合性の突然変異体と呼ばれた。これらの結果を表29に示す。
[0253]以下の表30〜35中の結果は、rs2241880 SNPの危険対立遺伝子因子(RAF)を表す。危険対立遺伝子はGである。ヘテロ接合性の突然変異体の値を分割し、ホモ接合性の野生型及びホモ接合性の突然変異体遺伝子型の両方に等しく再分布した後の両方の対立遺伝子の頻度を使用して、p値を計算した。その後、様々な集団(クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、健康な対照(HC)、及びIBS GI対照(IBS))を互いに比較した。表30はHCとUCの比較のデータを含有する。表31はHCとCDの比較のデータを含有する。表32はCDとUCの比較のデータを含有する。表33はIBSとUCの比較のデータを含有する。表34はIBSとCDの比較のデータを含有する。表35はIBSとHCの比較のデータを含有する。
[0254]表30及び33は、ATG16L1(T300A)rs2241880変異体対立遺伝子はHC又はIBSに比べてUCに有意に関連づけられていたことを示す。表31及び34は、ATG16L1(T300A)rs2241880変異体対立遺伝子はHC又はIBSに比べてCDに有意に関連づけられていたことを示す。したがって、本発明に従ってATG16L1(rs2241880)変異体対立遺伝子の存在又は非存在を決定することは、たとえば患者をUCに罹患しているとして対健康な対照患者及び/又はIBS GI対照患者として同定することによってUCを診断するために特に有用である。
[0255]本明細書中に記載の実施例及び実施形態は例示目的のみであり、それに鑑みた様々な改変又は変更が当業者に提案され、本出願の精神及び範囲並びに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを理解されたい。それだけには限定されないが、本明細書中で言及した特許、特許出願、雑誌論文、Genbank受託番号、及びGeneID番号を含めたすべての出版物は、すべての目的のためにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている。
Claims (25)
- 炎症性腸疾患(IBD)と診断された個体において潰瘍性大腸炎(UC)を診断するための方法であって、
(i)前記個体から得られた生体試料を分析して、前記試料中におけるGLI1、MDR1、ATG16L1、及びその組合せからなる群から選択される遺伝子中の変異体対立遺伝子の存在又は非存在を決定するステップと、
(ii)前記変異体対立遺伝子の存在をUCの診断と関連づけるステップと
を含む方法。 - 前記変異体対立遺伝子が、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、又はその組合せを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記変異体対立遺伝子がMDR1(rs2032582)を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記変異体対立遺伝子がATG16L1(rs2241880)を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記変異体対立遺伝子が、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、MDR1(rs2032582)、及びATG16L1(rs2241880)からなる群から選択される1つ又は複数の対立遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
- ANCA及び/又はpANCAを検出することに比べてUCの診断を改善させる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記生体試料を血清学的マーカーの存在又はレベルについて分析する追加のステップを含み、前記血清学的マーカーの存在又はレベルの検出が、1つ又は複数の変異体対立遺伝子の存在と相まってUCの診断をさらに改善させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記血清学的マーカーが、抗好中球抗体、抗サッカロマイセス・セレビシエ抗体、抗微生物抗体、急性期タンパク質、アポリポタンパク質、デフェンシン、成長因子、サイトカイン、カドヘリン、及びその組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
- 前記抗好中球抗体が、ANCA、pANCA、及びその組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
- 前記抗サッカロマイセス・セレビシエ抗体が、抗サッカロマイセス・セレビシエ免疫グロブリンA(ASCA−IgA)、抗サッカロマイセス・セレビシエ免疫グロブリンG(ASCA−IgG)、及びその組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
- 前記抗微生物抗体が、抗外膜タンパク質C(抗OmpC)抗体、抗I2抗体、抗フラゲリン抗体、及びその組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
- 前記血清学的マーカーが、ANCA、pANCA、ASCA−IgA、ASCA−IgG、抗OmpC抗体、抗CBir−1抗体、抗I2抗体、及びその組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
- 前記個体がUCの症状を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- UCの症状が、直腸炎症、直腸出血、直腸痛、下痢、腹部痙攣、腹痛、疲労、体重減少、発熱、結腸破裂及びその組合せからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
- 前記生体試料が、血液、組織、唾液、頬細胞、毛髪、体液、血漿、血清、脳脊髄液、頬側スワブ、粘液、尿、大便、精子、膣分泌物、リンパ、羊水、胸水、涙、及びその組合せからなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
- 前記変異体対立遺伝子の存在又は非存在が、電気泳動分析アッセイ、制限長多型分析アッセイ、配列解析アッセイ、ハイブリダイゼーション分析アッセイ、PCR分析アッセイ、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、オリゴヌクレオチドライゲーション対立遺伝子特異的伸長/ライゲーション、対立遺伝子特異的増幅、一塩基伸長、分子反転プローブ、侵襲性切断、選択的終結、制限長多型性、配列決定、一本鎖コンホメーション多型性(SSCP)、一本鎖の鎖多型性、ミスマッチ切断、変性勾配ゲル電気泳動、及びその組合せからなる群から選択されるアッセイを使用して決定される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
- 炎症性腸疾患(IBD)と診断された個体において潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)とを鑑別するための方法であって、
(i)前記個体から得られた生体試料を分析して、前記試料中におけるGLI1、MDR1、及びその組合せからなる群から選択される遺伝子中の変異体対立遺伝子の存在又は非存在を決定するステップと、
(ii)前記変異体対立遺伝子の存在をUCの診断と関連づけるステップと
を含む方法。 - 前記変異体対立遺伝子が、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、又はその組合せを含む、請求項17に記載の方法。
- 前記変異体対立遺伝子がMDR1(rs2032582)を含む、請求項17に記載の方法。
- 前記変異体対立遺伝子が、GLI1(rs2228224)、GLI1(rs2228226)、及びMDR1(rs2032582)からなる群から選択される1つ又は複数の対立遺伝子を含む、請求項17に記載の方法。
- 前記生体試料を血清学的マーカーの存在又はレベルについて分析する追加のステップを含む、請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
- 前記生体試料が、血液、組織、唾液、頬細胞、毛髪、体液、血漿、血清、脳脊髄液、頬側スワブ、粘液、尿、大便、精子、膣分泌物、リンパ、羊水、胸水、涙、及びその組合せからなる群から選択される、請求項17〜21のいずれか一項に記載の方法。
- 前記変異体対立遺伝子の存在又は非存在が、電気泳動分析アッセイ、制限長多型分析アッセイ、配列解析アッセイ、ハイブリダイゼーション分析アッセイ、PCR分析アッセイ、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、オリゴヌクレオチドライゲーション対立遺伝子特異的伸長/ライゲーション、対立遺伝子特異的増幅、一塩基伸長、分子反転プローブ、侵襲性切断、選択的終結、制限長多型性、配列決定、一本鎖コンホメーション多型性(SSCP)、一本鎖の鎖多型性、ミスマッチ切断、変性勾配ゲル電気泳動、及びその組合せからなる群から選択されるアッセイを使用して決定される、請求項17〜22のいずれか一項に記載の方法。
- 前記個体がUCの症状を有する、請求項17〜23のいずれか一項に記載の方法。
- UCの症状が、直腸炎症、直腸出血、直腸痛、下痢、腹部痙攣、腹痛、疲労、体重減少、発熱、結腸破裂及びその組合せからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
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