JP2013526518A - Mciおよびアルツハイマー病の処置 - Google Patents

Mciおよびアルツハイマー病の処置 Download PDF

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Abstract

本発明は、特に、治療上有効量のニフェジピン、酸化またはニトロソニフェジピン誘導体、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)、チロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)およびそれらの組合せに基づく、とりわけ、神経疾患(例えば、神経変性疾患、例えば、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病(AD))を効果的に処置し、進行を遅らせ、または予防することのできる治療用組成物および方法を提供する。

Description

発明の背景
アルツハイマー病(AD)は、老齢人口における従来よりも多数の人を冒す、周知であるが、完全には理解されていない進行性神経変性疾患である。現在、アルツハイマー病は、400万人のアメリカ人を冒している。米国国立老化研究所(National Institute on Aging)による統計で、予防戦略が策定されない限り、2040年までに1400万人のアルツハイマー病を有するアメリカ人が存在する可能性があることが推定されている。
アルツハイマー病の最も初期の臨床徴候は、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment)(MCI)と呼ばれる症候群として記述される。MCIの検出により、必要な生活様式の変更を計画し、実行することが可能であり得るが、MCIのアルツハイマー病への進行を未然に防ぐまたはアルツハイマー病を処置する療法は、現在のところ利用可能ではない。
2007年の米国上院の証人喚問において、FDA長官Dr.Andrew C.von Eschenbachは「今日のアルツハイマー病の推定される450万例が2050年までに約1600万例に上昇すると予測することができる」と述べた。Dr.Eschenbachは、AD処置用に5つの薬物、すなわち、タクリン、リバスチグミン、ガランタミン、ドネペジルおよびメマンチンが承認されたことを説明した。その最初の4つは、脳内のアセチルコリンレベルを上昇させることにより作用し、その最後のものは、N−メチル−D−アスパラギン酸受容体の拮抗薬である。このようにして、Dr.Eschenbachは、5つの承認薬のいずれも[AD]患者における基礎をなす神経変性を予防することも、その進行を遅らせることもないことが示されたことを指摘した。彼は、「我々は、この潜行性疾患並びに他の神経疾患の基礎をなす原因をいつの日か処置することができる可能性がある新薬を世界の他の国々と共に待望している・・・」と続けた。
発明の要旨
本発明は、ニフェジピンおよびその酸化またはニトロソ誘導体がAβ1−40の発生を効果的に阻害し、Aβ処理酵素を減少させ、関連する生化学的経路を、in vitroおよびin vivoの両方で不活化できるという発見を包含する。さらに驚くべきことに、本発明の発明者らは、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)が、Aβ1−40の発生を効果的に阻害し、Aβ処理酵素を減少させ、関連する生化学的経路を、in vitroおよびin vivoの両方で不活化することもできることを発見した。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、ニトロソ−ニフェジピンは、in vivoで一旦投与されると化学量論的にラクタムへと変換されるプロドラッグである可能性があることが想定される。したがって、本発明は、とりわけ、ニフェジピンおよびその酸化またはニトロソ誘導体ならびに/またはラクタムおよびその誘導体(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)に基づく、軽度認知障害(MCI)および/またはアルツハイマー病を効果的に処置し、遅らせ、または予防すること、ならびにMCIからADへの進行を遅延させることができる新規な治療的方法および組成物を提供する。
一態様において、本発明は、治療上有効量の1つ以上の治療薬および薬学的に許容されるキャリアを含む、ヒト被験体における神経疾患を処置し、遅らせ、または予防するのに適している医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、神経疾患は、神経変性疾患である。いくつかの実施形態において、神経変性疾患は、軽度認知障害(MCI)および/またはアルツハイマー病である。いくつかの実施形態において、治療薬は、本明細書で定義し、記載する式(Ia)の治療薬である。いくつかの実施形態において、治療薬は、本明細書で定義し、記載する式(Ib)の治療薬である。いくつかの実施形態において、治療薬は、本明細書で定義し、記載する式(Ic)の治療薬である。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、ニフェジピン、酸化ニフェジピン、ニトロソ−ニフェジピン、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)、チロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、カルシウムチャネル遮断薬である。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、カルシウムチャネル遮断薬ではない。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、カルシウム流入を増加させる。
いくつかの実施形態において,本発明に適する治療薬は、ニフェジピンを含む。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、酸化ニフェジピンを含む。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、ニトロソ−ニフェジピンを含む。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)を含む。いくつかの実施形態において,本発明に適する治療薬は、ニトロソ−ニフェジピン、酸化ニフェジピン、およびニフェジピンの混合物を含む。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、ニトロソ−ニフェジピンおよびラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)の混合物を含む。いくつかの実施形態において,本発明に適する治療薬は、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)、酸化ニフェジピン、およびニフェジピンの混合物を含む。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、55%のニトロソ−ニフェジピン、11%の酸化ニフェジピン、および34%のニフェジピンを含む。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、1つ以上の(例えば、2、3、4種の)ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)、ニトロソ−ニフェジピン、酸化ニフェジピン、およびニフェジピンを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載する種々の治療薬は、チロキシン(T4)および/またはトリヨードサイロニン(T3)をさらに含む。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、ニフェジピン、酸化ニフェジピン、ニトロソ−ニフェジピン、チロキシン(T4)および/またはトリヨードサイロニン(T3)を含む。
いくつかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、1用量当たり約0.01〜約1000mg(例えば、約0.01〜約200mg、約0.01〜約100mg、約0.1〜約50mg、約0.01〜約10mg、約0.01〜約5mg、約0.01〜約2.5mg、約0.01〜約2.0mg、約0.01〜約1.5mg、約0.01〜約1.0mg、約0.01〜約0.5mg、約0.01〜約0.1mg)の治療上有効量の治療薬を含む。いくつかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、1用量当たり約10mg〜2.5g(例えば、約10mg〜2.0g、約10mg〜1.5g、約10〜約1000mg、約10mg〜約500mg)の治療上有効量のニトロソニフェジピンを含む。
いくつかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、治療薬を治療上有効量で含み、この治療上有効量は、ヒト被験体において有害事象を誘発するには不十分である。いくつかの実施形態において、有害事象は肝臓毒性である。いくつかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、治療薬を治療上有効量で含み、この治療上有効量は、ヒト被験体において有害事象を誘発するには不十分であり、この薬剤はニトロソ−ニフェジピンであり、この有害事象は肝臓毒性である。
いくつかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、経口、皮下、静脈内、経皮、腹腔内、筋肉内、脳室内、実質内、髄腔内、頭蓋内、口腔内、粘膜、鼻または直腸投与用に製剤化されている。特定の実施形態において、本発明による医薬組成物は、経口投与用に製剤化されている。いくつかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、即時または延長放出用に製剤化されている。
別の態様において、本発明は、ヒト被験体における神経疾患を処置し、遅らせ、または予防するための方法であって、神経疾患に関連する少なくとも1つの症状または特徴が、存在度、強さ、重症度、もしくは頻度において減少し、または発現の遅延を有するように、神経疾患に罹患している、または罹患しやすい被験体に治療薬を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、神経疾患は神経変性障害である。いくつかの実施形態において、本発明は、ヒト被験体における軽度認知障害(MCI)および/またはアルツハイマー病を処置し、遅らせ、または予防するための方法であって、MCIまたはアルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状または特徴が存在度、強さ、重症度、もしくは頻度において減少し、または発現の遅延を有するように、MCIまたはアルツハイマー病に罹患している、または罹患しやすい被験体に治療上有効量の1つ以上の治療薬を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、症状または特徴は、認知機能低下、脳内のアミロイドベータタンパク質、ベータ−セクレターゼ活性、ガンマ−セクレターゼ活性、対らせん状細線維、リン酸化タウタンパク質の産生、および/または中枢神経系における免疫もしくは炎症状態である。いくつかの実施形態において、中枢神経系における免疫もしくは炎症状態は、ウイルス性髄膜炎、ウイルス性脳炎、真菌性髄膜炎、真菌性脳炎、多発性硬化症、統合失調症、重症筋無力症、またはシャルコー関節である。いくつかの実施形態において、アミロイドベータタンパク質の産生は、Aβ1−40の産生を含む。いくつかの実施形態において、アミロイドベータタンパク質の産生は、Aβ1−42の産生を含む。いくつかの実施形態において、アミロイドベータタンパク質の産生は、アルファ−セクレターゼ活性の増加により減少する。いくつかの実施形態において、アルファ−セクレターゼ活性はADAM−10活性である。いくつかの実施形態において、ガンマ−セクレターゼ活性は、プレセニリン−1(PS−1)、ニカストリン、APH−1および/またはPEN−2活性を阻害することによって減少する。いくつかの実施形態において、ガンマ−セクレターゼ活性は、オーファンG−共役受容体3(GPCR−3)活性を阻害することによって減少する。いくつかの実施形態において、免疫または炎症状態は、中枢神経系における1つ以上のサイトカイン(例えば、IL−1、IL−6、TNF−α)レベルを低減させることによって、減少する。
いくつかの実施形態において、治療上有効量の本発明による薬剤は、ヒト被験体の脳内グルタメートトランスポーターレベルを増加させるのに十分である。いくつかの実施形態において、グルタメートトランスポーターレベルは、神経膠グルタメートトランスポーターEAAT2レベルである。いくつかの実施形態において、本発明による薬剤の治療上有効量は、ヒト被験体において有害事象を誘発するには不十分である。いくつかの実施形態において、有害事象は肝臓毒性である。
いくつかの実施形態において、本発明による方法に用いる治療薬は、本明細書で定義し、記載する式(Ia)の治療薬である。いくつかの実施形態において、本発明による方法に用いる治療薬は、本明細書で定義し、記載する式(Ib)の治療薬である。いくつかの実施形態において、本発明による方法に用いる治療薬は、本明細書で定義し、記載する式(Ic)の治療薬である。いくつかの実施形態において、適切な治療薬は、ニフェジピン、酸化ニフェジピン、ニトロソ−ニフェジピン、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)、チロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、適切な治療薬は、カルシウムチャネル遮断薬である。いくつかの実施形態において、適切な治療薬は、カルシウムチャネル遮断薬ではない。いくつかの実施形態において、適切な治療薬は、カルシウム流入を増加させる。
いくつかの実施形態において、適切な治療薬は、ニフェジピンを含む。いくつかの実施形態において、適切な治療薬は、酸化ニフェジピンを含む。いくつかの実施形態において、適切な治療薬は、ニトロソ−ニフェジピンを含む。いくつかの実施形態において、適切な治療薬は、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)を含む。いくつかの実施形態において、本発明による方法に用いる適切な治療薬は、ニトロソ−ニフェジピン、酸化ニフェジピン、およびニフェジピンの混合物を含む。いくつかの実施形態において、適切な治療薬は、ニトロソ−ニフェジピンおよびラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)の混合物を含む。いくつかの実施形態において、適切な治療薬は、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)、酸化ニフェジピン、およびニフェジピンの混合物を含む。いくつかの実施形態において、本発明による方法に用いる適切な治療薬は、55%のニトロソ−ニフェジピン、11%の酸化ニフェジピン、および34%のニフェジピンを含む。いくつかの実施形態において、適切な治療薬は、1つ以上の(例えば、2、3、4種類の)ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)、ニトロソ−ニフェジピン、酸化ニフェジピン、およびニフェジピンを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載する適切な薬剤は、T3/T4をさらに含む。いくつかの実施形態において、ニフェジピン、酸化ニフェジピン、および/またはニトロソ−ニフェジピンを含む本発明の方法に用いる適切な薬剤は、チロキシン(T4)および/またはトリヨードサイロニン(T3)をさらに含む。
いくつかの実施形態において、本発明による方法は、処置を必要とする被験体に1用量当たり約0.01〜約1000mg(例えば、約0.01〜約200mg、約0.01〜約100mg、約0.1〜約50mg、約0.01〜約10mg、約0.01〜約5mg、約0.01〜約2.5mg、約0.01〜約2.0mg、約0.01〜約1.5mg、約0.01〜約1.0mg、約0.01〜約0.5mg、約0.01〜約0.1mg)の治療上有効量の治療薬を投与する。いくつかの実施形態において、本発明による方法は、処置を必要とする被験体に1用量当たり約10mg〜約2.5g(例えば、約10mg〜約2.0g、約10mg〜約1.5g、約10mg〜約1000mg、または約10mg〜約500mg)の治療上有効量のニトロソニフェジピンを含む治療薬を投与する。いくつかの実施形態において、本発明による方法に用いる薬剤は、経口、皮下、静脈内、経皮、腹腔内、筋肉内、脳室内、実質内、髄腔内、頭蓋内、口腔内、粘膜、鼻または直腸投与により投与する。特定の実施形態において、本発明による方法に用いる薬剤は、経口投与する。
いくつかの実施形態において、本発明の方法により、薬剤を月1回、隔週に1回または週1回投与する。いくつかの実施形態において、本発明の方法により、薬剤を毎日投与する。いくつかの実施形態において、本発明の方法により、薬剤を1日2回、1日3回または1日4回投与する。
いくつかの実施形態において、本発明の方法により処置した被験体は、対照と比較してバイオマーカー(例えば、タンパク質バイオマーカー複合体)のレベルの低下または上昇を示す。いくつかの実施形態において、適切なバイオマーカーは、トランスサイレチンタンパク質および/またはプロスタグランジン−H2 Dイソメラーゼタンパク質の少なくとも1つ、並びにトランスサイレチン、プロスタグランジン−H2 Dイソメラーゼ、β−2−ミクログロブリン、シスタチンC、スーパーオキシドジスムターゼ[Cu−Zn]、血漿レチノール結合タンパク質、ホスファチジルエタノールアミン結合タンパク質、カルボニックアンヒドラーゼ2および/またはセロトランスフェリンタンパク質から選択される少なくとも1つの第2の異なるタンパク質を含む、タンパク質バイオマーカー複合体である。いくつかの実施形態において、適切なタンパク質バイオマーカー複合体は、プロスタグランジンD2シンターゼおよびトランスサイレチン(PDS/TTR複合体)を含む。いくつかの実施形態において、適切なバイオマーカーは、(i)βアミロイド40(Aβ40)、(ii)βアミロイド42(Aβ42)、(iii)Aβ40とAβ42との比、および(iv)リン酸化タウと総タウとの比の1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、被験体から得られる流体試料(例えば、CSF、血清、全血、血漿、尿、腹水、唾液、組織滲出液、洗浄液およびそれらの組合せ)中で測定される。いくつかの実施形態において、適切な対照は、健常個体、所定の病期を有するアルツハイマー病に罹患した患者、処置前の被験体およびそれらの組合せからなる群から選択される被験体におけるバイオマーカーのレベルを示す。
いくつかの実施形態において、処置すべき被験体は、認知障害を示す試験スコアを有する。いくつかの実施形態において、認知障害を示す試験スコアは、MMSEスコア(例えば、27より低い、例えば、21〜26)である。いくつかの実施形態において、認知障害を示す試験スコアは、CDRスコア(例えば、0を上回る、例えば、0.5、例えば、1)である。
いくつかの実施形態において、本発明による方法は、バイオマーカーのレベルおよび/または認知試験スコアに基づいて治療薬の治療上有効量を最初に決定するステップをさらに含む。
さらに別の態様において、本発明は、ニトロソニフェジピンおよびニフェジピンを含む固形経口剤形を提供するものであり、ニトロソニフェジピンとニフェジピンとの質量比が少なくとも約1:1(例えば、少なくとも約2:1、少なくとも約4:1、少なくとも約8:1、少なくとも約16:1、少なくとも約32:1、少なくとも約64:1、少なくとも約100:1、少なくとも約200:1、少なくとも約500:1または少なくとも約1000:1)である。いくつかの実施形態において、本発明による固形経口剤形は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤(例えば、結合剤、緩衝剤、希釈剤、分散剤、皮膚軟化剤、被膜形成剤(film−forming agent)、滑剤、光遮断剤、保存剤、溶媒、安定化剤、界面活性剤、懸濁化剤および/または等張化剤(tonicity agent))をさらに含む。いくつかの実施形態において、固形剤形は、制御または延長放出用である。いくつかの実施形態において、固形剤形は、即時放出用である。
さらに別の態様において、本発明は、ベンゾ[c][2,7]ナフチリジン−5(6H)−オン化合物を提供する。いくつかの実施形態において、提供される化合物は、一般式(Ic)の化合物:
Figure 2013526518
または薬学的に許容されるその塩である
(式中、
およびRは、独立して、C1−6脂肪族、C1−6ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、またはシアノから選択される、必要に応じて置換されている基であり、
は、C1−6脂肪族、C1−6ヘテロ脂肪族またはアリールから選択される、必要に応じて置換されている基であり、
は、ハロゲン、必要に応じて置換されているC1−6脂肪族、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、ニトロ、またはニトロソであり、
nは、0、1、2、または3である)。
特定の実施形態において、提供される化合物は、式(Ic−i)の化合物:
Figure 2013526518
または薬学的に許容されるその塩である
(式中、
およびRは、独立して、C1−6脂肪族またはシアノであり、
は、C1−6脂肪族であり、
は、ハロゲン、C1−6脂肪族、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、ニトロ、またはニトロソであり、
nは、0、1、2、または3である)。
特定の実施形態において、本発明の化合物はNFD−L1である。
とりわけ、本発明はまた、本明細書に記載する化合物(例えば、式IcまたはIc−iの化合物)を含有する医薬組成物および使用の方法も提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、神経疾患に罹患している、または罹患しやすい被験体に、本明細書に記載する化合物(例えば、式IcまたはIc−iの化合物など)を投与することによって、ヒト被験体における神経疾患を処置し、遅らせ、または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、神経変性疾患に罹患している、または罹患しやすい被験体に、本明細書に記載する化合物(例えば、式IcまたはIc−iの化合物など)を投与することによって、ヒト被験体における神経変性疾患を処置し、遅らせ、または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、MCIまたはアルツハイマー病に罹患している、または罹患しやすい被験体に本明細書に記載する化合物(例えば、式IcまたはIc−iの化合物など)を投与することによって、ヒト被験体における軽度認知障害(MCI)および/またはアルツハイマー病を処置し、遅らせ、または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、ヒト被験体におけるベータセクレターゼ(BACE)を阻害する方法であって、ヒト被験体に、本明細書に記載する化合物(例えば、式IcまたはIc−iの化合物など)を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、ヒト被験体に、本明細書に記載する化合物(例えば、式IcまたはIc−iの化合物など)を投与することによって、ヒト被験体の中枢神経系における炎症状態を調節する方法を提供する。
本願において、特に明記しない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。本願で用いる場合、「含む」という用語並びに「含むこと(comprising)」および「含む(comprises)」などの当用語の変形形態は、他の添加物、成分、整数またはステップを除外することを意図しない。本願で用いる場合、「約」および「おおよそ」という用語は、同等のものとして用いる。約/おおよそを付けてまたは付けないで本願で用いるあらゆる数表示は、関連技術分野の当業者により理解されているあらゆる通常の変動を包含することを意味する。
図面は、例示の目的のみのためであって、制限のためのものではない。
図1は、対照上皮細胞、アクロレインで処理した対照上皮細胞および後期AD上皮細胞により細胞培養培地中で発現したPDS/TTR複合体の例示的なウエスタンブロット分析を示す図である。 図2は、対照上皮細胞またはAD上皮細胞の培地で処理した皮質ニューロンの具体例としての生存データを示す図である。 図3は、PHF1免疫陽性が、PDS/TTRタンパク質複合体への曝露に起因してSY5Y細胞において検出されたことを示す具体例としての結果を示す図である。 図4は、アクロレイン、アクロレイン+T3/T4、アクロレイン+ニフェジピン混合物(ニトロソニフェジピン55%、酸化ニフェジピン11%およびニフェジピン34%)並びにアクロレイン+ニフェジピン混合物およびT3/T4で処理した対照上皮細胞により発現したPDS/TTR複合体の減少を示す具体例としてのウエスタンブロットデータを示す図である。 図5は、アクロレイン、アクロレイン+T3/T4、アクロレイン+ニフェジピン混合物(ニトロソニフェジピン55%、酸化ニフェジピン11%およびニフェジピン34%)並びにアクロレイン+ニフェジピン混合物およびT3/T4で処理した培養物における免疫染色により測定したPDS/TTR陽性細胞数を要約した図である。 図6は、共焦点顕微鏡法およびカルシウム蛍光色素により測定したとき、ニフェジピン混合物が新鮮ニフェジピンと比較してカルシウムチャネル遮断薬として機能しないことを示す図である。 図7は、炎症性サイトカインの産生がニフェジピン混合物により阻害されることを示す具体例としての結果を示す図である。 図8は、炎症性サイトカインの産生がNFD−L1により阻害されることを示す具体例としての結果を示す図である。 図9は、アクロレインならびにニフェジピン、類似体、混合物およびT3/T4の組合せで処理した上皮細胞の培地で処理したSY5Y培養物のPHF−1免疫染色の定量化を示す図である。 図10は、Aβ1−42の発生がニフェジピン、酸化ニフェジピン、ニトロソニフェジピンおよびT3/T4により阻害されることを示す具体例としての結果を示す図である。 図11は、H4細胞からのAβ1−42の産生に対するT3/T4の存在下および非存在下でのニフェジピン、ニフェジピン類似体およびニフェジピン混合物の効果を示す具体例としての結果を示す図である。 図12は、H4神経膠腫培養物におけるAβ1−42の発生に対する、アムロジピン(Amilodpine)、ジルチアゼム(Dilitiazem)、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、およびニモジピンなどの公知のカルシウムチャネル遮断薬の効果を示す具体例としての結果を示す図である。 図13は、H4神経膠腫培養物におけるAβ1−42の発生に対するNFD−L1の効果を示す具体例としての結果を示す図である。 図14は、ニトロソ−ニフェジピンがBACE活性を有意に阻害することを示す具体例としての結果を示す図である。 図15は、NFD−L1がBACE活性を有意に阻害することを示す具体例としての結果を示す図である。 図16は、T3/T4の存在下および非存在下でのPS−1、PEN−2、BACE−1およびニカストリンに対するニフェジピン混合物の効果を示す具体例としての結果を示す図である。 図17は、マウスモデルにおけるAβ1−40の発生および特定のAβ1−40処理酵素に対するニフェジピン、ニフェジピン混合物および/またはT3/T4の効果を示す具体例としての結果を示す図である。 図18は、ニトロソ−ニフェジピンでの処置が、マウスモデルにおけるAβ1−40のレベルの低減をもたらすことを示す具体例としての結果を示す図である。 図19は、ニフェジピン、ニフェジピン混合物および/またはT3/T4が薬物で急性処置したH4培養物またはマウスにおけるGPCR−3レベルを減少させたことを示す具体例としての結果を示す図である。GPCR−3レベルは、ウエスタンブロット分析を用いて決定した。 図20は、T3/T4の存在下および非存在下でのH4培養物におけるGPCR−3のレベルに対する他のクラスの血圧薬の効果を示す具体例としての結果を示す図である。 図21は、濃度を次第に上げたニトロソ−ニフェジピンで処理を行った後のH4細胞の生存を示す具体例としての結果を示す図である。 図22は、Aβ処理に関与する酵素のレベルに対するニトロソ−ニフェジピンの具体例としての効果を要約する図である。 図23は、Aβ処理に関与する酵素のレベルに対する、NFD−L1の具体例としての効果を要約する図である。 図24は、マウスモデルにおけるAβ処理に関与する酵素のレベルに対するニトロソ−ニフェジピンの具体例としての効果を要約する図である。 図25は、マウスモデルにおけるAβ処理に関与する酵素のレベルに対するNFD−L1の具体例としての効果を要約する図である。 図26は、対応する化合物で処置したマウス脳において測定したタウリン酸化に関与する酵素のレベルに対するニフェジピン、ニフェジピン混合物および/またはT3/T4の効果を示している、具体例としての結果を示す図である。 図27は、グルタメートトランスポーターレベルに対するニフェジピンおよびニトロソ−ニフェジピンの具体例としての効果を示す図である。 図28はニトロソ−ニフェジピンが、マウスにおいて肝臓損傷を誘発しないことを示す具体例としての結果を示す図である。 図29は、ヒト関連試験に基づくMMSE対年齢のNLMIXEDモデルにより適合させた具体例としての軌線を示す図である。 図30は、部検に至った神経心理試験スコア関連試験の被験体の前頭葉検体におけるPS−1、Nicas、BACE、APH−1およびPEN−2などのAβ1−42およびAβ処理酵素のレベルを示す具体例としての結果を示す図である。4例の被験体は、ニフェジピンを含むカルシウムチャネル遮断薬の投与を受け、4例の被験体は、任意のカルシウムチャネル遮断薬の投与を受けなかった。Aβレベルは、Invitrogen ELISAを用いて決定した。タンパク質レベルは、ウエスタンブロット分析および各タンパク質に特異的な抗体を用いて決定した。 図31は、図18に示した同じ被験体からの前頭葉検体におけるタウリン酸化に関与する酵素のレベルを示す具体例としての結果を示す図である。 図32は、ニトロソ−ニフェジピンによるH4神経膠腫培養物の処理が、対照と比較して、カルシウム流入の有意な増加をもたらすことを示す具体例としての結果を示す図である。 図33は、ニトロソ−ニフェジピンの光化学的合成の具体例としての結果を示す図である。 図34は、NFD−L1の合成の具体例としての結果を示す図である。
定義
別に定義しない限り、本明細書で用いる科学および技術用語並びに命名は、本発明が関連する当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。一般的に、細胞培養の手順、感染、分子生物学の方法などは、当技術分野で用いられている一般的な方法である。そのような標準的な技術は、例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Interscience、New York、2001年、およびSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、N.Y.、2001年などの参照マニュアルに見いだすことができる。
本発明がより容易に理解されるために、特定の用語を最初に定義する。以下の用語および他の用語のさらなる定義は、本明細書を通して示す。
アルツハイマー患者:本明細書で用いる場合、「アルツハイマー患者」、「AD患者」および「ADと診断された個体」という用語はすべて、ADと診断されたまたはアルツハイマー病(AD)の確度の高い診断を下された個体を指す。
動物:本明細書で用いる場合、「動物」という用語は、動物界の任意の構成員を意味する。いくつかの実施形態において、「動物」は、発育の任意の段階のヒトを意味する。いくつかの実施形態において、「動物」は、発育の任意の段階のヒト以外の動物を意味する。特定の実施形態において、ヒト以外の動物は、哺乳動物(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類の動物および/またはブタ)である。いくつかの実施形態において、動物は、哺乳動物、鳥、爬虫類の動物、両生類の動物、魚、昆虫および/または虫を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子操作された動物および/またはクローンであってよい。
おおよそ:本明細書で用いる場合、目的の1つ以上の値に適用される「おおよそ」または「約」という用語は、表示参照値と同様である値を意味する。特定の実施形態において、「おおよそ」または「約」という用語は、特に明記しない限りまたは文脈から他の状態が明らかでない限り(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除く)、表示参照値のいずれの方向でも(それより大きいまたは小さい)25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはより小さい範囲内に入る値の範囲を意味する。
生物学的流体試料:本明細書で用いる場合、「生物学的流体試料」という用語は、個体から得られ、診断またはモニタリングアッセイに用いることができる様々な種類の流体試料を包含する。当用語は、全血、血清または血漿、脳脊髄液(CSF)、尿および生物学的起源の他の液体試料を包含する。当用語は、それらの調達後に試薬による処理、可溶化、またはタンパク質若しくはポリヌクレオチドなどの特定の成分の濃縮によるなどの何らかの方法で操作された試料も含む。
併用療法:「併用療法」という用語は、本明細書で用いる場合、2つまたはそれより多くの異なる医薬品が重複したレジメンで投与され、そのため、被験体が両医薬品に同時に曝露される状況を意味する。
対照:本明細書で用いる場合、「対照」という用語は、結果が比較される基準であるというその技術分野で理解されている意味を有する。一般的に、対照は、変数に関する結論を下すためにそのような変数を分離することにより実験の完全性を増大させるのに用いる。いくつかの実施形態において、対照は、コンパレータとするために試験反応またはアッセイと同時に実施される反応またはアッセイである。1つの実験において、「試験」(すなわち、試験される変数)を適用する。第2の実験において、「対照」、試験される変数は適用されない。いくつかの実施形態において、対照は、歴史的対照(すなわち、以前に実施された試験若しくはアッセイの、または以前に公知である量若しくは結果)である。いくつかの実施形態において、対照は、印刷または別の方法で保存された記録であるまたは含む。対照は、陽性対照または陰性対照であり得る。
投与レジメン:「投与レジメン」は、当用語を本明細書で用いる場合、期間により分離されて個別に投与される一連の単位用量(少なくとも1つ、しばしば2つ以上)を意味する。特定の治療薬に関する推奨される一連の用量(すなわち、投与の量、時期、経路等)は、その投与レジメンを構成する。
機能的:本明細書で用いる場合、「機能的」生体分子は、それを特徴づける特性および/または活性を示す形態の生体分子である。
阻害:本明細書で用いる場合、「阻害(inhibition)」、「阻害する(inhibit)」および「阻害すること(inhibiting)」は、目的のタンパク質または遺伝子の活性および/または発現を減少または低下させる過程または方法を意味する。一般的に、タンパク質または遺伝子を阻害することは、タンパク質または遺伝子の発現または関連する活性を少なくとも10%またはそれより多く、例えば、20%、30%、40%、若しくは50%、60%、70%、80%、90%またはそれより多く低下させること、或いは本明細書で述べるまたは当技術分野で認められている1つ若しくは複数の方法により測定したとき1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍またはそれより多くを超える発現または関連する活性の減少を意味する。
in vitro:本明細書で用いる場合、「in vitro」という用語は、多細胞生物体内ではなく、人工的環境、例えば、試験管若しくは反応容器内、細胞培養等において起こる事象を意味する。
in vivo:本明細書で用いる場合、「in vivo」という用語は、ヒト以外の動物などの多細胞生物体内で起こる事象を意味する。
分離された:本明細書で用いる場合、「分離された」という用語は、(1)最初に生成したときに(天然および/または実験的環境にあるかを問わず)結合していた成分の少なくとも一部から分離された、且つ/または(2)人の手により生産され、調製され、且つ/または製造された物質および/または構成要素を意味する。分離された物質および/または構成要素は、最初に結合していた他の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、実質的に100%または100%から分離することができる。いくつかの実施形態において、分離された薬剤は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%超、実質的に100%または100%純粋である。本明細書で用いる場合、物質が他の成分を実質的に含まない場合、物質は「純粋」である。本明細書で用いる場合、「分離された細胞」という用語は、多細胞生物体に含まれていない細胞を意味する。
MCIを有する個体:本明細書で用いる場合、「MCI(軽度認知障害)を有する個体」は、一般的に健忘型MCIの次の臨床基準(Petersenら、Arch Neurol、56巻、303〜308頁(1999年)を満たす個体である:1)情報提供者によって確証される記憶に関する愁訴、2)年齢および教育と比較した客観的記憶障害、3)正常な一般的認知機能、4)日常生活の完全な活動、並びに5)被験体は認知症の基準を満たしていない。
EADを有する個体:本明細書で用いる場合、「EAD(初期または中等度アルツハイマー病)を有する個体」は、次の基準を示す個体である:1)以前のより高いレベルの認知機能の低下、2)記憶に加えて認知の1つ以上の領域の減退、3)0.5〜1の臨床的認知症尺度スコア、および4)認知症の他の原因を除外した臨床的検査。
LADを有する個体:本明細書で用いる場合、「LAD(重度または後期アルツハイマー病)を有する個体」は、高可能性ADの標準的臨床診断基準(McKhannら、Neurology、34巻、939〜48頁(1984年))を満たす個体である。
ラクタム:本明細書で用いる場合、「ラクタム」は環状アミドである。通常、接頭文字は、環内にいくつの炭素原子(カルボニル部分とは別個に)が存在するかを示す:β−ラクタム(カルボニルの外側に2個の炭素原子、全部で4個の環原子)、γ−ラクタム(外側に3個、全部で5個)、δ−ラクタム(外側に4個、全部で6個)。いくつかの実施形態において、本発明に適するラクタムが、式(Ic)または式(Ic−i)により定義される。いくつかの実施形態において、本発明に適するラクタムは、NFD−L1である。
参照値:本明細書で用いる場合、「参照値」は、絶対値;相対値;上および/または下限を有する値;値の範囲;平均値(average value);中央値;平均値(mean value);または特定の対照若しくはベースライン値と比較した値であり得る。参照値は、例えば、AD、MCIまたは認知障害を有するが初期の時点の個体からの試料から得られた値、或いは試験される個体以外のAD患者または「正常」個体、すなわちADと診断されなかった個体からの試料から得られた値などの個体試料の値に基づく値であってよい。参照値は、AD患者または正常個体などからの多数の試料に、或いは試験される試料を含むまたは除外した試料のプールに基づく値であってよい。
神経疾患:本明細書で用いる場合、「神経疾患」という語句は、中枢神経系の疾患または障害を指す。神経疾患は、多発性硬化症、神経障害、および神経変性障害、例えばAD、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、軽度認知障害(MCI)および前頭側頭認知症を含む。さらなる例示的神経疾患は、てんかん、痙攣障害、疼痛、不安、うつ、統合失調症、麻酔後認知低下、オピオイド耐性、薬物乱用、アルコール乱用、統合失調症、神経弛緩薬悪性症候群、ツレット症候群、ピック病、認知症、せん妄、ダウン症候群における神経変性、家族性イギリス型認知症、家族性デンマーク型認知症、コルサコフ病、オリーブ橋小脳萎縮、HIV誘発性認知症および失明、多発梗塞性認知症、遺伝性運動感覚性ニューロパシー(HMSNは、腓骨筋萎縮またはシャルコーマリーツース病としても公知)、糖尿病多発ニューロパシー、オリーブ橋小脳萎縮、高齢発症神経機能低下、アルコール性多発ニューロパシー、耳鳴り、および病態生理学的徴候学を含む。
正常個体:本明細書で用いる場合、「正常」個体または「健常」個体は、ADもMCIも有さないと医師により評価されたか、または評価されることになる、そして、25〜30の範囲内のミニメンタルステート検査(MMSE)(Folsteinら、J.Psychiatr.Res、1975年、12巻、1289〜198頁に言及されている)スコアを有する、またはMMSEスコアを達成することになる個体を意味する。「正常」個体は、評価される個体と同年齢である個体を含むが、それに限定されない、5〜10歳の範囲内で一般的に同年齢である。
タンパク質:本明細書で用いる場合、「タンパク質」という用語は、ポリペプチド(すなわち、ペプチド結合により互いに連結された少なくとも2つのアミノ酸の連なり)を意味する。タンパク質は、アミノ酸以外の部分を含んでいてよく(例えば、糖タンパク質、ムコ多糖タンパク質等であってよく)、且つ/または別の状態に処理若しくは修飾されていてよい。当業者は、「タンパク質」が細胞により産生された完全なポリペプチド鎖(シグナル配列を含むまたは含まない)であり得る、或いはその特徴的部分であり得ることを理解するであろう。当業者は、タンパク質が例えば、1つ若しくは複数のジスルフィド結合により連結されたまたは他の手段により結合した複数のポリペプチド鎖を時として含み得ることを理解するであろう。ポリペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸または両方を含んでいてよく、当技術分野で公知の様々なアミノ酸修飾または類似体のいずれかを含んでいてよい。有用な修飾は、例えば、末端アセチル化、アミド化等を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸およびそれらの組合せを含んでいてよい。「ペプチド」という用語は、約100アミノ酸未満の長さを有するポリペプチドを指すのに一般的に用いられる。
被験体:本明細書で用いる場合、「被験体」または「患者」という用語は、例えば、実験、診断、予防および/または処置の目的のために本発明による組成物を投与することができる任意の生物体を意味する。一般的な被験体は、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒト以外の霊長類の動物およびヒトなどの哺乳動物;昆虫;虫等)を含む。
実質的に:本明細書で用いる場合、「実質的に」という用語は、完全またはほぼ完全な程度または度合の目的の特徴または特性を示す定性的な状態を意味する。生物学分野の当業者は、生物学的および化学的現象が完結するまで進み、且つ/または完全に向かいまたは絶対的結果を達成若しくは回避することはあるにしても極めてまれであることを理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物学的および化学的現象に固有の完全の欠如の可能性をとらえるために本明細書で用いる。
に罹患した:疾患、障害および/または状態「に罹患して」いる個体は、疾患、障害および/または状態を有すると診断された、或いは疾患、障害および/または状態の1つ以上の症状を示す。
に罹りやすい:疾患、障害および/または状態「に罹りやすい」個体は、疾患、障害および/または状態を有すると診断されなかった。いくつかの実施形態において、疾患、障害および/または状態に罹りやすい個体は、疾患、障害および/または状態の症状を示さないことがある。いくつかの実施形態において、疾患、障害および/または状態に罹りやすい個体は、疾患、障害および/または状態を発現する。いくつかの実施形態において、疾患、障害および/または状態に罹りやすい個体は、疾患、障害および/または状態を発現しない。
治療上有効量:本明細書で用いる場合、治療薬の「治療上有効量」という用語は、疾患、障害および/または状態を処置し、診断し、予防し、且つ/またはその症状(単数または複数)の発現を遅延させるために疾患、障害および/または状態に罹患したまたは罹りやすい被験体に投与する場合に十分である量を意味する。
治療薬:本明細書で用いる場合、「治療薬」という語句は、被験体に投与した場合に治療効果を有し、且つ/または所望の生物学的および/または薬理学的効果を引き出す任意の薬剤を意味する。本明細書で用いる場合、「治療薬」および「薬剤」という用語は、同義で用いる。
処置すること:本明細書で用いる場合、「処置する(treat)」、「処置(treatment)」または「処置すること(treating)」という用語は、特定の疾患、障害および/または状態の1つ若しくは複数の症状または特徴を部分的若しくは完全に緩和し、改善し、軽減し、阻害し、予防し、その発現を遅延させ、その重症度を低下させ、且つ/または発生率を低下させるために用いられる任意の方法を意味する。処置は、疾患に関連する病状を発現するリスクを低減する目的のために疾患の徴候を示さず、且つ/または疾患の初期の徴候のみを示す被験体に施すことができる。
特定の官能基および化学用語の定義は、下により詳細に述べる。本発明の目的のために、化学元素は、Periodic Table of the Elements、CAS version、Handbook of Chemistry and Physics、75版、内表紙に従って同定し、特定の官能基は、その中に記載されているように一般的に定義する。さらに、有機化学の一般的原則、並びに特定の官能基部分および反応性は、Organic Chemistry、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito、1999年;Smith and March、March’s Advanced Organic Chemistry、5版、John Wiley & Sons, Inc.、New York、2001年;Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers, Inc.、New
York、1989年;Carruthers、Some Modern Methods of Organic Synthesis、3版、Cambridge University Press、Cambridge、1987年に記載されている。
本発明の化合物は、特定の幾何異性体または立体異性体で存在し得る。本発明は、本発明の範囲内に入る、シスおよびトランス異性体、RおよびS鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)異性体、(L)異性体、それのラセミ混合物、並びにそれの他の混合物を含むそのようなすべての化合物を企図する。
脂肪族:「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、本明細書で用いる場合、直鎖(すなわち、非分枝)、分枝、または脂環式(縮合、架橋およびスピロ縮合多環式を含む)であってよく、完全に飽和されていてよく、或いは不飽和の1つ以上の単位を含有してもよいが、芳香族ではない炭化水素部分を示す。特に明記しない限り、脂肪族基は、1〜6個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1〜4個の炭素原子を含有する、さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1〜3個の炭素原子を含有する。適切な脂肪族基は、直鎖または分枝アルキル、アルケニルおよびアルケニル基、並びに(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルなどのそれらのハイブリッドを含むが、これらに限定されない。
アルケニル:「アルケニル」という用語は、本明細書で用いる場合、1個の水素原子の除去による少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖脂肪族部分に由来する一価基を示す。特定の実施形態において、アルケニルは、2〜6個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、アルケニルは、2〜5個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、アルケニルは、2〜4個の炭素原子を含有する。他の実施形態において、アルケニルは、2〜3個の炭素原子を含有する。アルケニル基は、例えば、エテニル(「ビニル」)、プロペニル(「アリル」)、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどを含む。
アルキル:「アルキル」という用語は、本明細書で用いる場合、1個の水素原子の除去による1個から6個までの炭素原子を含有する脂肪族部分に由来する一価飽和直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。いくつかの実施形態において、アルキルは、1〜5個の炭素原子を含有する。別の実施形態において、アルキルは、1〜4個の炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、アルキルは、1〜3個の炭素原子を含有する。さらに別の実施形態において、アルキルは、1〜2個の炭素を含有する。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、ドデシルなどを含むが、これらに限定されない。
アルキニル:「アルキニル」という用語は、本明細書で用いる場合、1個の水素原子の除去による少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖脂肪族部分に由来する一価基を意味する。特定の実施形態において、アルキニルは、2〜6個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、アルキニルは、2〜5個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、アルキニルは、2〜4個の炭素原子を含有する。別の実施形態において、アルキニルは、2〜3個の炭素原子を含有する。代表的なアルキニル基は、エチニル、2−プロピニル(「プロパルギル」)、1−プロピニルなどを含むが、これらに限定されない。
アミノ:「アミノ」という用語は、本明細書で用いる場合、式(−NH)の基を意味する。
アルコキシ:「アルコキシ」という用語は、式(−OR)の「置換ヒドロキシル」を指し、式中Rは、本明細書で定義したアルキル基であり、酸素部分が親分子に直接結合している。
アルキルアミノ:「アルキルアミノ」という用語は、式(−NR )の「置換アミノ」を指し、式中Rは、独立に水素または本明細書で定義したアルキル基であり、窒素部分が親分子に直接結合している。
アリール−「アリール」という用語は、本明細書で用いる場合、全部で5〜10環員を有する、必要に応じて置換されている単環式および二環式環系を指し、この系内の少なくとも1つの環は、芳香族であり、この系内の各環は、3〜7環員を含有する。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と交換可能なように使用することができる。本発明の特定の実施形態において、「アリール」は、芳香族環系を指し、1つ以上の置換基を持っていてもよいフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどを含むが、これらに限定されない。
脂環式:「脂環式」、「炭素環」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」または「炭素環式」という用語は、単独で、またはそれより大きい部分の一部として用いて、3〜10員を有する、本明細書で述べる飽和または部分不飽和環状脂肪族単環式または二環式環系を指し、該脂肪族環系は、上で定義し、本明細書で述べるように場合によって置換されている。脂環式基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニルおよびシクロオクタジエニルを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、3〜6個の炭素を有する。「脂環式」、「炭素環」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」または「炭素環式」という用語は、基または結合点が脂肪族環上にある、デカヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、デカリンまたはビシクロ[2.2.2]オクタンなどの1つ以上の芳香族または非芳香族環に縮合した脂肪族環も含む。
シアノ:「シアノ」という用語は、本明細書で用いる場合、式(−CN)の基を意味する。
ハロゲン:「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、本明細書で用いる場合、フッ素(フルオロ、−F)、塩素(クロロ、−Cl)、臭素(ブロモ、−Br)およびヨウ素(ヨード、−I)から選択される原子を意味する。
ヘテロ脂肪族−「ヘテロ脂肪族」または「ヘテロ脂肪族基」という用語は、本明細書で用いる場合、炭素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている炭化水素部分を意味し、直鎖(すなわち、非分枝)、分枝、または環状(「ヘテロ環式」)であってよく、完全に飽和されていてよく、または1つ以上の単位の不飽和を含有してもよいが、芳香族ではない。特に明記しない限り、ヘテロ脂肪族基は、1〜6個の炭素原子を含有し、このうち1〜3個の炭素原子は、必要に応じておよび独立して、酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子で置き換えられている。いくつかの実施形態において、ヘテロ脂肪族基は、1〜4個の炭素原子を含有し、このうち1〜2個の炭素原子は、必要に応じておよび独立して、酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子で置き換えられている。さらなる他の実施形態において、ヘテロ脂肪族基は、1〜3個の炭素原子を含有し、このうち1個の炭素原子は、必要に応じておよび独立して、酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子で置き換えられている。適切なヘテロ脂肪族基は、直鎖または分枝の、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、およびヘテロアルキニル基を含むが、これらに限定されない。
ヘテロアリール−「ヘテロアリール」という用語は、本明細書で用いる場合、単独で、または、例えば、「ヘテロアラルキル」、または「ヘテロアラルコキシ」のようにそれより大きい部分の一部として用いて、5〜10個の環原子、好ましくは5、6、または9個の環原子を有し、環状配列で共有された6、10、または14個のπ電子を有し、炭素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている基を指す。ヘテロアリール基は、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、およびプテリジニルを制限なしで含む。「ヘテロアリール」および「ヘテロアー(heteroar−)」という用語はまた、本明細書で用いる場合、ヘテロ芳香環が、1つ以上のアリール環、炭素環式環、またはヘテロ環式環に縮合し、結合基または結合点がヘテロ芳香環上にある基を含む。非限定的例は、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H−キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、およびテトラヒドロイソキノリニルを含む。ヘテロアリール基は単環式または二環式であってよい。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、または「ヘテロ芳香族」という用語と交換可能に使用することができ、これらの用語のいずれかは、必要に応じて置換されている環を含む。
ヘテロ原子−「ヘテロ原子」という用語は、本明細書で用いる場合、窒素、酸素、または硫黄を指し、窒素または硫黄の任意の酸化形態、および塩基性窒素の任意の四級化形態を含む。「窒素」という用語はまた、置換窒素も含む。
ヘテロ環式−「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環式基」、および「ヘテロ環式環」という用語は、本明細書で用いる場合、交換可能に使用され、安定した、必要に応じて置換されている5〜7員の単環式または7〜10員の二環式ヘテロ環式部分を指し、これは、飽和または部分不飽和のいずれかであり、炭素原子に加えて、上で定義した1つ以上のヘテロ原子を有する。ヘテロ環式環は任意のヘテロ原子または炭素原子の位置で、そのペンダント基と結合することができ、これによって安定した構造が生じ、環原子のいずれかは必要に応じて置換されていてもよい。このような飽和または部分不飽和のヘテロ環式基の例は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、およびキヌクリジニルを制限なしで含む。「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「ヘテロ環式基」、「ヘテロ環式部分」、および「ヘテロ環式基」という用語は、本明細書で交換可能に使用され、インドリニル、3H−インドリル、クロマニル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロキノリニルのように、ヘテロシクリル環が1つ以上のアリール環、ヘテロアリール環、または炭素環式環に縮合し、結合基または結合点が、ヘテロシクリル環上にある基も含む。ヘテロシクリル基は、単環式または二環式であってよい。「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、アルキルおよびヘテロシクリル部分が、独立して、必要に応じて置換されている、ヘテロシクリルで置換されたアルキル基を指す。
ニトロ:「ニトロ」という用語は、本明細書で用いる場合、式(−NO)の基を意味する。
ニトロソ:「ニトロソ」という用語は、本明細書で用いる場合、式(−NO)の基を意味する。
部分不飽和:本明細書で用いる場合、「部分不飽和」という用語は、環原子間に少なくとも1つの二重または三重結合を含むが、芳香族ではない環部分を意味する。「部分不飽和」という用語は、不飽和の複数の部位を有する環を包含することを意図するが、本明細書で定義するアリールやヘテロアリール部分を含むことを意図しない。
不飽和の:「不飽和の」という用語は、本明細書で用いる場合、ある部分が不飽和の1つ以上の単位を有することを意味する。
必要に応じて置換されている−本明細書に記載するように、本発明の化合物は、「必要に応じて置換されている」部分を含有してもよい。一般的に、「置換された」という用語は、「必要に応じて」という用語が先行するか、先行しないかに関わらず、指定された部分の1つ以上の水素が、適切な置換基で置き換えられることを意味する。特に示さない限り、「必要に応じて置換されている」基は、基の各置換可能な位置で適切な置換基を有していてもよく、任意の所与の構造における複数の位置が、特定された基から選択される複数の置換基で置換され得る場合、置換基は、全ての位置において同一でも、異なってもよい。本発明により想定される置換基の組合せは、安定した、または化学的に実行可能な化合物の形成を結果として生じることになるものが好ましい。「安定した」という用語は、本明細書で用いる場合、これらの生成、検出、ならびに、特定の実施形態において、これらの回収、精製、および本明細書で開示された1つ以上の目的のための使用を可能とする状態に曝された場合、実質的に変化しない化合物を指す。
「必要に応じて置換されている」基の置換可能な炭素原子上の適切な一価の置換基は、独立して、ハロゲン;−(CH0−4R°;−(CH0−4OR°;−O−(CH0−4C(O)OR°;−(CH0−4CH(OR°);−(CH0−4SR°;R°で置換されてもよい−(CH0−4Ph;R°で置換されてもよい−(CH0-4O(CH0-1Ph;R°で置換されてもよい−CH=CHPh;
Figure 2013526518
;−(C1−4直鎖または分枝アルキレン)O−N(R°);または−(C1−4直鎖または分枝アルキレン)C(O)O−N(R°)であり、各R°は、以下に定義する通りに置換されてもよく、独立して、水素、C1−6脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリールの環であるか、または、上記定義にもかかわらず、2つの独立したR°の出現が、これらの介在原子(複数可)と一緒になって、3〜12員の飽和、部分不飽和の、またはアリールの単環式もしくは二環式の環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有し、以下に定義する通りに置換されてもよい)を形成する。
R°(またはR°の2つの独立した出現をこれらの介在原子を一緒にすることによって形成された環)上の適切な一価の置換基は、独立してハロゲン、−(CH0−2、−(ハロR)、−(CH0−2OH、−(CH0−2OR、−(CH0−2CH(OR;−O(ハロR)、−CN、−N、−(CH0−2C(O)R、−(CH0−2C(O)OH、−(CH0−2C(O)OR、−(CH0−2SR、−(CH0−2SH、−(CH0−2NH、−(CH0−2NHR、−(CH0−2NR 、−NO、−SiR 、−OSiR 、−C(O)SR、−(C1−4直鎖または分枝アルキレン)C(O)OR、または−SSRであり、各Rは、非置換であるか、または「ハロ」によって先行されている場合、1つ以上のハロゲンのみで置換され、独立して、C1−4脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリールの環(窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する)から選択される。R°の飽和炭素原子上の適切な二価の置換基は、=Oおよび=Sを含む。
「必要に応じて置換されている」基の飽和炭素原子上の適切な二価の置換基は、以下の:=O、=S、=NNR 、=NNHC(O)R、=NNHC(O)OR、=NNHS(O)、=NR、=NOR、−O(C(R ))2−3O−、または−S(C(R ))2−3S−を含み、Rのそれぞれ独立した出現は、水素、C1−6脂肪族(以下に定義するように置換されていてもよい)、または非置換の5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリールの環(窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する)から選択される。「必要に応じて置換されている」基の近隣の置換可能な炭素に結合している適切な二価の置換基は、−O(CR 2−3O−(式中、Rのそれぞれ独立した出現は、水素、C1−6脂肪族(以下に定義するように置換されていてもよい)、または非置換の5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリールの環(窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する)から選択される)を含む。
の脂肪族基上の適切な置換基は、ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NR 、または−NOを含み、各Rは、非置換であるか、または「ハロ」によって先行されている場合、1つ以上のハロゲンのみで置換されており、独立して、C1−4脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリールの環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する)である。
「必要に応じて置換されている」基の置換可能な窒素上の適切な置換基は、−R、−NR 、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−S(O)、−S(O)NR 、−C(S)NR 、−C(NH)NR 、または−N(R)S(O)を含み、各Rは、独立して、水素、C1−6脂肪族(以下に定義するように置換されていてもよい)、非置換の−OPh、または非置換の5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリールの環で(窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する)であるか、または、上記定義にもかかわらず、Rの2つの独立した出現は、これらの介在原子(複数可)と一緒になって、非置換の3〜12員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリールの単環式もしくは二環式環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する)を形成する。
の脂肪族基上の適切な置換基は、独立して、ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NR 、または−NOであり、各Rは、非置換であるか、または「ハロ」によって先行されている場合、1つ以上のハロゲンのみで置換され、独立して、C1−4脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリールの環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する)である。
詳細な説明
本発明は、とりわけ、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病(AD)を効果的に処置し、遅らせ、または予防することができる治療用組成物および方法を提供する。
実施例の項に記載するように、本発明は、一部は、次の予期しない発見:(1)MCIまたはアルツハイマー病の早期診断のためのバイオマーカーとして公知のタンパク質複合体PDS/TTRが神経毒であり、細胞培養物においてアルツハイマー病の特徴的な症状および特徴を誘発する;(2)ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬(ニフェジピンのような)、それらの酸化、ニトロソ誘導体および混合物(カルシウムチャネル遮断薬としてもはや機能しない)、および/またはT3/T4が、細胞培養物におけるAD様症状ならびに基礎をなす酵素(underlying enzyme)および生化学的経路を誘導するPDS/TTR複合体の能力を効果的に減少または消失させ、動物モデルにおいてAβ1−40ペプチドの内因性レベルを減少させる、ならびに(3)ヒト関連試験で、ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬の使用が認知機能低下の発現を有意に遅延させること、に基づいており、これにより、これらの化合物を、アルツハイマー病を効果的に処置するのに用いることができるが示された。驚くべきことに、本発明者らは、酸化、ニトロソニフェジピン誘導体および混合物がカルシウムチャネル遮断薬としてもはや機能しないことを見出した。いくつかの実施形態において、ニトロソニフェジピンまたはその誘導体は、カルシウム流入を増加させる。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、MCIまたはアルツハイマー病を処置するこれら化合物の能力は、カルシウムチャネルを遮断するこれらの能力とは無関係であり得ると想定される。
さらに驚くべきことに、本発明の発明者らは、NFD−L1などのラクタムが、in vitroとin vivoの両方において、ニトロソ−ニフェジピンと同様に、Aβ1−40の発生を効果的に阻害し、Aβ処理酵素を減少させ、および関連する生化学的経路を不活化することもできることを発見した。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、ニトロソ−ニフェジピンは、in vivoで一旦投与されると化学量論的にラクタムへと変換されるプロドラッグである可能性があることが想定される。
したがって、本発明は、治療上有効量のニフェジピン、酸化またはニトロソニフェジピン誘導体、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)、チロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)およびそれらの組合せに基づく、アルツハイマー病を効果的に処置することができる方法および組成物を企図する。いくつかの実施形態において、本発明は、MCIまたはアルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状または特徴が、存在度、強さ、重症度、もしくは頻度において減少し、または発現の遅延を有するように、MCIまたはアルツハイマー病に罹患している、または罹患しやすい被験体に、ニフェジピン、酸化ニフェジピン、ニトロソ−ニフェジピン、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)、チロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)およびそれらの組合せからなる群から選択される、治療上有効量の薬剤を投与するステップを含む、ヒト被験体における軽度認知障害(MCI)および/またはアルツハイマー病を処置し、遅らせ、または予防するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、治療上有効量の式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(II)の化合物およびそれらの組合せに基づく、アルツハイマー病を効果的に処置することができる方法および組成物を企図する。いくつかの実施形態において、本発明に適する薬剤は、カルシウムチャネル遮断薬として機能しない。いくつかの実施形態において、本発明に適する薬剤は、カルシウム流入を増加させる。
本発明による発明の方法は、処置のためおよび処置の有効性をモニターするために、疾患の初期におけるものを含む、患者を同定するための感度の高いバイオマーカーおよび/または認知試験スコアと組み合わせることができることがさらに企図される。したがって、本発明は、早期患者、特に、軽度認知障害(MCI)と記述される症状を有する患者を処置し、且つ/またはMCIのアルツハイマー病への進行を予防するのに特に有用である。
本発明の様々な態様は、以下の項で詳細に述べる。各項の使用は、本発明を限定することを意味しない。各項は、本発明のあらゆる態様に適用し得る。本願において、特に明記しない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。
治療薬
本発明に適する治療薬は、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピンなどのジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬)および非カルシウムチャネル遮断薬(例えば、酸化ニフェジピン、ニトロソニフェジピン、ニフェジピンおよびその誘導体の混合物、サイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3))の両方を含む。
いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、以下の式(Ia)若しくは(Ib)
Figure 2013526518
の治療薬
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
およびRは、独立にC1−6脂肪族またはシアノであり、
およびRは、独立にC1−6脂肪族であり、
は、ハロゲン、C1−6脂肪族、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、ニトロまたはニトロソであり、
nは、0、1、2または3である。
いくつかの実施形態において、式(Ia)の化合物は、「還元型」または「ジヒドロピリジン」と呼ばれる。いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、「酸化型」または「デヒドロ」と呼ばれる。
いくつかの実施形態において、RおよびRは、独立にC1−3アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、独立にC1−4アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、メチルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、メチルである。
いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、ニフェジピン、酸化ニフェジピンまたはニトロソニフェジピンである。本明細書で用いる場合、「ニトロソニフェジピン」は、下に示すようにニフェジピンの酸化類似体である。
Figure 2013526518
いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、アムロジピン、アラニジピン、アゼルニジピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、クレビジピン、エホニジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、マニジピン、レルカニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピンおよびプラニジピンなどのジヒドロピリジン(dihyropyridine)化合物を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、酸化アムロジピン、酸化アラニジピン、酸化アゼルニジピン、酸化バルニジピン、酸化ベニジピン、酸化シルニジピン、酸化クレビジピン、酸化エホニジピン、酸化フェロジピン、酸化イスラジピン、酸化ラシジピン、酸化マニジピン、酸化レルカニジピン、酸化ニカルジピン、酸化ニフェジピン、酸化ニルバジピン、酸化ニモジピン、酸化ニソルジピン、酸化ニトレンジピンおよび酸化プラニジピンを含むが、これらに限定されない。「酸化」ジヒドロピリジン化合物(例えば、酸化アムロジピン、酸化ニモジピン、酸化ニバルジピン)は前記化合物のピリジン形であることは、当業者により理解されるであろう。
Figure 2013526518
さらなる例示的な治療薬は、以下のものを含む:
Figure 2013526518
Figure 2013526518
(式中、Zは、H、F、Cl、Br、またはIである)、
Figure 2013526518
(式中、ZはH、F、Cl、Br、またはIである)。
いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、以下の式(Ic):
Figure 2013526518
の治療薬
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
およびRは、独立して、C1−6脂肪族、C1−6ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、またはシアノから選択される、必要に応じて置換されている基であり、
は、C1−6脂肪族、C1−6ヘテロ脂肪族またはアリールから選択される、必要に応じて置換されている基であり、
は、ハロゲン、必要に応じて置換されているC1−6脂肪族、必要に応じて置換されているC1−6ヘテロ脂肪族、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、ニトロ、またはニトロソであり、
nは、0、1、2、または3である。
いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、式(Ic−i):
Figure 2013526518
の治療薬
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
およびRは、独立して、C1−6脂肪族またはシアノであり、
は、C1−6脂肪族であり、
は、ハロゲン、C1−6脂肪族、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、ニトロ、またはニトロソであり、
nは、0、1、2、または3である。
上で一般的に定義したように、式(Ic)のRは、C1−6脂肪族、C1−6ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、またはシアノから選択される、必要に応じて置換されている基である。いくつかの実施形態において、Rは置換されている。いくつかの実施形態において、Rは非置換である。いくつかの実施形態において、RはC1−6脂肪族である。いくつかの実施形態において、RはC1−4アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、またはイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、Rはイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはシアノである。いくつかの実施形態において、RはC1−6ヘテロ脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは−OCHCHNHである。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。いくつかの実施形態において、Rはヘテロアリールである。
上で一般的に定義したように、式(Ic)のRは、C1−6脂肪族、C1−6ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、またはシアノから選択される、必要に応じて置換されている基である。いくつかの実施形態において、Rは置換されている。いくつかの実施形態において、Rは非置換である。いくつかの実施形態において、RはC1−6脂肪族である。いくつかの実施形態において、RはC1−4アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、またはイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、Rはイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはシアノである。いくつかの実施形態において、RはC1−6ヘテロ脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは−OCHCHNHである。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。いくつかの実施形態において、Rはヘテロアリールである。
いくつかの実施形態において、RおよびRは独立して、C1−3アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1つはメチルである。いくつかの実施形態において、RおよびRはメチルである。
上で一般的に定義したように、式(Ic)のRは、C1−6脂肪族、C1−6ヘテロ脂肪族、またはアリールから選択される、必要に応じて置換されている基である。いくつかの実施形態において、Rは置換されている。いくつかの実施形態において、Rは非置換である。いくつかの実施形態において、RはC1−6脂肪族である。いくつかの実施形態において、RはC1−4アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、またはイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、Rはイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、RはC1−6ヘテロ脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは−CHCHOCHである。いくつかの実施形態において、Rはアリールである。
上で一般的に定義したように、式(Ic)のRはハロゲン、必要に応じて置換されているC1−6脂肪族、必要に応じて置換されているC1−6ヘテロ脂肪族、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、ニトロ、またはニトロソである。いくつかの実施形態において、Rは置換されている。いくつかの実施形態において、Rは非置換である。いくつかの実施形態において、RはC1−6脂肪族である。いくつかの実施形態において、RはC1−4アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、またはイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、Rはシアノである。いくつかの実施形態において、Rはハロゲンである。いくつかの実施形態において、RはC1−6ヘテロ脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rはヒドロキシルである。いくつかの実施形態において、Rはアルコキシである。いくつかの実施形態において、Rはアミノである。いくつかの実施形態において、Rはアルキルアミノである。いくつかの実施形態において、Rはニトロである。いくつかの実施形態において、Rはニトロソである。
上で一般的に定義したように、式(Ic)のnは、0、1、2、または3である。いくつかの実施形態において、nは0である。いくつかの実施形態において、nは1である。いくつかの実施形態において、nは2である。いくつかの実施形態において、nは3である。
いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬はNFD−L1である。
Figure 2013526518
さらなる例示的治療薬は、以下を含む:
Figure 2013526518
いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、以下の式(II)
Figure 2013526518
の治療薬
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Xは、−CH−、−O−または−NH−であり、
Yは、−Hまたは−Iである。
いくつかの実施形態において、Xは、−CH−である。いくつかの実施形態において、Xは、−O−である。いくつかの実施形態において、Xは、−NH−である。
いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、以下のサイロキシン(T4)またはトリヨードサイロニン(T3)である。
Figure 2013526518
いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、本明細書で述べる様々な化合物の混合物である。例えば、式(Ia)または(Ib)の2つまたはそれより多くの化合物を組み合わせて治療薬を形成することができる。いくつかの実施形態において、ニフェジピン、酸化ニフェジピンおよびニトロソニフェジピンの2つまたはそれより多くのものを組み合わせる。いくつかの実施形態において、T3および/またはT4をニフェジピン、酸化ニフェジピンおよびニトロソニフェジピンの1つ以上のものと組み合わせる。特定の実施形態において、ニフェジピン、酸化ニフェジピンおよびニトロソニフェジピンを組み合わせて、ニフェジピンミックスまたは混合物を形成する。
化合物は、様々な質量またはモル比で混合することができる。例えば、本発明による治療薬は、所定の質量またはモル比のニフェジピン、酸化ニフェジピン、ニトロソニフェジピン、NFD−L1、サイロキシン(T4)およびトリヨードサイロニン(T3)の2つまたはそれより多くのものの混合物であり得る。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、ニトロソニフェジピンとニフェジピンとの混合物を含有する。いくつかの実施形態において、ニトロソニフェジピンとニフェジピンは、約1000:1、約500:1、約200:1、約100:1、約64:1、約32:1、約16:1、約10:1、約8:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:8、約1:10、約1:16、約1:32、約1:64、約1:100、約1:200、約1:500または約1:1000の質量またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、ニトロソニフェジピンとニフェジピンは、約1:1000〜約1000:1の範囲内(例えば、約1:500〜約500:1、約1:200〜約200:1、約1:100〜約100:1、約1:10〜約10:1、約1:16〜約16:1、約1:32〜約32:1、約1:64〜約64:1、約1:1〜約32:1、約1:1〜約10:1、約100:1〜約1000:1、約10:1〜約100:1、約1:1000〜1:1、約1:1〜約1000:1または約1:100〜約1:10)の質量またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、酸化ニフェジピンとニフェジピンとの混合物を含有する。いくつかの実施形態において、酸化ニフェジピンとニフェジピンは、約1000:1、約500:1、約200:1、約100:1、約64:1、約32:1、約16:1、約10:1、約8:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:8、約1:10、約1:16、約1:32、約1:64、約1:100、約1:200、約1:500または約1:1000の質量またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、酸化ニフェジピンとニフェジピンは、約1:1000〜約1000:1の範囲内(例えば、約1:500〜約500:1、約1:200〜約200:1、約1:100〜約100:1、約1:10〜約10:1、約1:16〜約16:1、約1:32〜約32:1、約1:64〜約64:1、約1:1〜約32:1、約1:1〜約10:1、約100:1〜約1000:1、約10:1〜約100:1、約1:1000〜1:1、約1:1〜約1000:1または約1:100〜約1:10)の質量またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、ニトロソニフェジピンと酸化ニフェジピンとの混合物を含有する。いくつかの実施形態において、ニトロソニフェジピンと酸化ニフェジピンは、約1000:1、約500:1、約200:1、約100:1、約64:1、約32:1、約16:1、約10:1、約8:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:8、約1:10、約1:16、約1:32、約1:64、約1:100、約1:200、約1:500または約1:1000の質量またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、ニトロソニフェジピンと酸化ニフェジピンは、約1:1000〜約1000:1の範囲内(例えば、約1:500〜約500:1、約1:200〜約200:1、約1:100〜約100:1、約1:10〜約10:1、約1:16〜約16:1、約1:32〜約32:1、約1:64〜約64:1、約1:1〜約32:1、約1:1〜約10:1、約100:1〜約1000:1、約10:1〜約100:1、約1:1000〜1:1、約1:1〜約1000:1または約1:100〜約1:10)の質量またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、ニトロソニフェジピン、酸化ニフェジピンおよびニフェジピンの混合物を含有する。いくつかの実施形態において、ニトロソニフェジピン、酸化ニフェジピンおよびニフェジピンを約5:1:3、5:2:2、6:3:1、10:4:1、3:1:5、2:5:5または1:1:1の質量またはモル比で混合する。いくつかの実施形態において、治療薬は、T3とT4との混合物を含有する。いくつかの実施形態において、T3とT4は、約1000:1、約500:1、約200:1、約100:1、約64:1、約32:1、約16:1、約10:1、約8:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:8、約1:10、約1:16、約1:32、約1:64、約1:100、約1:200、約1:500または約1:1000の質量またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、T3とT4は、約1:1000〜約1000:1の範囲内(例えば、約1:500〜約500:1、約1:200〜約200:1、約1:100〜約100:1、約1:10〜約10:1、約1:16〜約16:1、約1:32〜約32:1、約1:64〜約64:1、約1:1〜約32:1、約1:1〜約10:1、約100:1〜約1000:1、約10:1〜約100:1、約1:1000〜1:1、約1:1〜約1000:1または約1:100〜約1:10)の質量またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で述べた様々な化合物および混合物をさらに組み合わせて、本発明のための望ましい治療薬を得ることができる。例えば、T3/T4混合物をニフェジピン、ニフェジピン誘導体(例えば、酸化またはニトロソニフェジピン)のいずれかまたは本明細書で述べたニフェジピン混合物と組み合わせることができる。
いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、ニトロソ−ニフェジピンおよびラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)の混合物を含む。いくつかの実施形態において、ニトロソ−ニフェジピンおよびラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)は、約1000:1、約500:1、約200:1、約100:1、約64:1、約32:1、約16:1、約10:1、約8:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:8、約1:10、約1:16、約1:32、約1:64、約1:100、約1:200、約1:500、または約1:1000の質量比またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、ニトロソ−ニフェジピン(nefidipine)およびラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)は、約1:1000〜約1000:1(例えば、約1:500〜約500:1、約1:200〜約200:1、約1:100〜約100:1、約1:10〜約10:1、約1:16〜約16:1、約1:32〜約32:1、約1:64〜約64:1、約1:1〜約32:1、約1:1〜約10:1、約100:1〜約1000:1、約10:1〜約100:1、約1:1000〜1:1、約1:1〜約1000:1、または約1:100〜約1:10)の範囲の質量比またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)および酸化ニフェジピンの混合物を含有する。いくつかの実施形態において、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)および酸化ニフェジピンは、約1000:1、約500:1、約200:1、約100:1、約64:1、約32:1、約16:1、約10:1、約8:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:8、約1:10、約1:16、約1:32、約1:64、約1:100、約1:200、約1:500、または約1:1000の質量比またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)および酸化ニフェジピンは、約1:1000〜約1000:1(例えば、約1:500〜約500:1、約1:200〜約200:1、約1:100〜約100:1、約1:10〜約10:1、約1:16〜約16:1、約1:32〜約32:1、約1:64〜約64:1、約1:1〜約32:1、約1:1〜約10:1、約100:1〜約1000:1、約10:1〜約100:1、約1:1000〜1:1、約1:1〜約1000:1、または約1:100〜約1:10)の範囲の質量比またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、本発明に適する治療薬は、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)、酸化ニフェジピン、およびニフェジピンの混合物を含有する。いくつかの実施形態において、ラクタム(例えば、式(Ic)または(Ic−i)の化合物、例えばNFD−L1)、酸化ニフェジピン、およびニフェジピンは、約5:1:3、5:2:2、6:3:1、10:4:1、3:1:5、2:5:5、または1:1:1の質量比またはモル比で混合する。いくつかの実施形態において、治療薬は、T3およびT4の混合物を含有する。いくつかの実施形態において、T3およびT4は、約1000:1、約500:1、約200:1、約100:1、約64:1、約32:1、約16:1、約10:1、約8:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:8、約1:10、約1:16、約1:32、約1:64、約1:100、約1:200、約1:500、または約1:1000の質量比またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、T3およびT4は、約1:1000〜約1000:1(例えば、約1:500〜約500:1、約1:200〜約200:1、約1:100〜約100:1、約1:10〜約10:1、約1:16〜約16:1、約1:32〜約32:1、約1:64〜約64:1、約1:1〜約32:1、約1:1〜約10:1、約100:1〜約1000:1、約10:1〜約100:1、約1:1000〜1:1、約1:1〜約1000:1、または約1:100〜約1:10)の範囲の質量比またはモル比で混合することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載する種々の化合物および混合物を、さらに組み合わせることによって、本発明のために望ましい治療薬を生じることができる。例えば、T3/T4混合物は、ニフェジピン、ニフェジピン誘導体(例えば、酸化またはニトロソ−ニフェジピン)、式(I−c)の化合物(例えば、NFD−L1)、または本明細書に記載するニフェジピン混合物のうちのいずれかと組み合わせることができる。
患者の同定または処置のモニタリングのためのバイオマーカー
MCIまたはアルツハイマー病に罹患している、それに罹患しやすいまたはそのリスクがある被験体または患者を同定するために様々なバイオマーカーを用いることができる。本明細書で用いる場合、バイオマーカーは、1つの表現型状態(例えば、疾患を有する)の被験体から採取した試料中に別の表現型状態(例えば、疾患を有さない)と比較して異なった形で存在する特徴的な生体分子である。異なる群におけるバイオマーカーの発現レベルの平均値または中央値が統計的に有意であると計算される場合、バイオマーカーは、異なる表現型状態の間で異なった形で存在する。バイオマーカーは、単独または組合せで、被験体が1つの表現型状態または別のものに属することの相対的リスクの尺度となる。したがって、それらは、疾患(診断)、薬物の治療有効性(セラノスティクス)および薬物の毒性のマーカーとして有用である。
例えば、発明者らは、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2008/0026405号に詳述されているようにプロスタグランジン−D2−シンターゼおよびトランスサイレチンを含有する約55kDaタンパク質性複合体(PDS/TTR複合体)のレベルがMCIおよびADの感度が高く、特異的な診断バイオマーカーとしての役割を果たす可能性があることを最近示した。
一般的に、PDS/TTR複合体は、脳脊髄液に存在し、疾患の感度が高く、特異的なバイオマーカーであると思われる。PDS/TTR複合体の形成は、側脳室に隣接して位置する上皮細胞の集合である脈絡叢に局在化していた。脈絡叢は、血液CSF関門として機能する。脈絡叢は、水、塩および選択される小分子を血液からCSFに通過させるが、血液タンパク質がCSFに入ることを効果的に妨げる。CSFに必要なタンパク質は、脈絡叢によって合成される。したがって、脈絡叢は、CSFの源としても機能する。後期AD患者の簡易死後剖検から新たに得られた脈絡叢から分離した上皮細胞を培養中で成長させ、拡大した。AD上皮細胞から得られた細胞培養培地の検査は、対照細胞と比較してPDS/TTR複合体のレベルの上昇を示した。したがって、正常対照比較してPDS/TTR複合体のレベルの上昇は、MCIまたはアルツハイマー病に罹患している、それに罹患しやすいまたはそれを発現するリスクがある被験体または患者を同定するために用いることができる。
いくつかの実施形態において、本発明に適するバイオマーカーは、トランスサイレチンおよび/またはプロスタグランジン−H2 Dイソメラーゼの少なくとも1つ、並びにトランチレチン、プロスタグランジン−H2 Dイソメラーゼ、β−2−ミクログロブリン、シスタチンC、スーパーオキシドジスムターゼ[Cu−Zn]、血漿レチノール結合タンパク質、ホスファチジルエタノールアミン結合タンパク質、カルボニックアンヒドラーゼ2および/またはセロトランスフェリンから選択される少なくとも1つの第2のタンパク質を含む。軽度認知障害またはアルツハイマー病状態は、得られる測定値を標準と相関させることによって決定される。
いくつかの実施形態において、ニューロンスレッドタンパク質、タウ(総;T−タウおよび種々のリン酸化形;P−タウ)、および/またはAβ40およびAβ42を含むアミロイド前駆体タンパク質(APP)の誘導体は、本発明の組成物および方法による処置にふさわしい患者集団を同定するためのバイオマーカーとして用いることができる。いくつかの実施形態において、処置を必要とする被験体は、対照と比較して異常なレベルのタンパク質バイオマーカー複合体を有し、タンパク質バイオマーカー複合体は、(i)βアミロイド40(Aβ40)、(ii)βアミロイド42(Aβ42)、(iii)Aβ40とAβ42との比、および(iv)リン酸化タウと総タウとの比の1つ以上のものを含む。
それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Fahnestockら、J.Neural.Transm.Suppl.、2002巻(62号)、241〜52頁(2002年);Masliahら、Neurobiol.Aging、16巻(4号)、549〜56頁(1995年);Powerら、Dement.Geriatr.Cong.Disord.、12巻(2号)、167〜170頁(2001年);Burbachら、J.Neurosci.、24巻(10号)、2421〜30頁(2004年);Liら、Neuroscience、113巻(3号)、607〜15頁(2002年)およびSannaら、J.Clin.Invest.、111巻(2号)、241〜50頁(2003年)に記載されているものを含むが、それらに限定されない、さらなるバイオマーカーが文献に報告されており、本発明による処置にふさわしい患者を同定するのに用いることができる。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、被験体から得られる流体試料中で測定する。いくつかの実施形態において、流体試料は、CSF、血清、全血、血漿、尿、腹水、唾液、組織滲出液、洗浄液およびそれらの組合せからなる群から選択される。
様々な方法を用いてバイオマーカーを定性的および定量的に測定することができる。例えば、タンパク質複合体(PDS/TTRなど)を検出するために、複合体の第1の成分(例えば、PDS)を捕捉し、第2の成分(例えば、TTR)を探査するサンドイッチ酵素結合免疫検定(ELISA)を用いることができる。さらなる具体例としての方法は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2008/0026405号に記載されている。他の方法は、当技術分野で周知であり、本発明を実施するのに用いることができる。
一般的に、バイオマーカーの測定レベルを1つ以上の対照または参照レベルと比較する。ADバイオマーカーの測定レベルとの比較に用いる適切な参照レベルは、当業者により理解されるように、実施される本発明の態様によって異なってよい。ADまたはMCIに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を同定するために、適切な「参照レベル」は、一般的に健常個体、特に同年齢健常個体を示すレベルである。参照レベルは、患者試料と並行して測定することができる。参照レベルはまた、予め定められたレベルまたは既往データに基づくものであり得る。例えば、適切な参照レベルは、ADにもMCIにも罹患していない集団から得られるレベルの平均値であり得る。一般的に、適切な参照レベルは、同年齢集団から得られるレベルから導き出される(例えば、その平均値または中央値である)。
一般的に、処置を必要とする被験体は、対照または健常個体若しくは集団を示す参照レベルと比較して、より大きいまたは高いレベルの本明細書で述べたバイオマーカーを有する。
処置のモニタリングの目的のために、適切な参照レベルは、一般的に、健常個体またはアルツハイマー病に罹患している個体(例えば、MCI、EAD若しくはLADなどの予め定められた病期を有する)を示すレベルである。参照レベルは、患者試料と並行して測定することができる。参照レベルはまた、予め定められたレベルまたは既往データに基づくものであり得る。例えば、適切な参照レベルは、ADにもMCIにも罹患していない集団、或いはMCIまたはAD(例えば、EAD若しくはLAD)と診断された集団から得られるレベルの平均値であり得る。或いは、適切な参照レベルは、特定の患者の歴史的参照レベル、例えば、同じ個体からであるが、以前の時点(例えば、処置前または処置中の以前の時点)に得られた試料から得られたレベルであってよい。一般的に、適切な参照レベルは、同年齢集団から得られるレベルから導き出される(例えば、その平均値または中央値である)。
AD患者の層別化(すなわち、AD患者を軽度、中等度および重度の病期のADに層別化する方法)のために、適切な参照レベルは、特定の病期のAD(例えば、EAD若しくはLAD)またはMCIと診断された集団から得られるレベルから通常導き出される(例えば、その平均値または中央値である)。
いくつかの実施形態において、適切なバイオマーカー(約55kDa PDS/TTR複合体など)のレベルを用いて処置の有効性をモニターすることができる。一般的に、療法の目標は、理想的には、被験体から採取した流体試料が検出可能な複合体を含有しないように、被験体におけるPDS/TTR複合体のレベルを減少、低下または低減することであろう。療法のより保守的で、副次的な目標は、約55kDa PDS/TTR複合体のレベルの任意の増加を未然に防ぐことであろう。したがって、医学的治療技術分野の当業者は、適切なバイオマーカーのレベルに基づいて、所定の治療体制が選択された療法の目標を達成しているかどうかを決定することができるであろう。このようにして、医学的治療技術分野の当業者は、適切な対照または参照レベルと比較した適切なバイオマーカーの測定レベルに基づいて、本明細書で述べた治療薬の有効量を決定することもできるであろう。
一般的に、同年齢集団を用いて様々な参照レベルを導き出すことができる。同年齢集団は、理想的には試験される個体と同じ年齢であるが、近似的同年齢集団も許容できる。近似的同年齢集団は、試験される個体の年齢の1、2、3、4または5歳の範囲内であってよく、或いは試験される個体の年齢を包含する異なる年齢の群であってよい。近似的同年齢集団は、2、3、4、5、6、7、8、9または10歳きざみ内にあってよい(例えば、62歳の個体の参照値の源としての役割を果たす「5歳きざみ」群は、58〜62歳の個体、59〜63歳の個体、60〜64歳の個体、61〜65歳の個体、または62〜66歳の個体を含み得る)。
測定値と参照値を比較する過程は、問題のADバイオマーカーの測定値および参照値の種類に適する任意の好都合な方法で実施することができる。例えば、「測定すること(measuring)」は、定量的または定性的測定技術を用いて実施することができ、測定値と参照値の比較方法は、用いる測定技術によって異なり得る。例えば、本発明の方法に用いる測定値は、最も一般的には定量的値(例えば、試料1ミリリットル当たりのADバイオマーカーのナノグラムなどの濃度の定量的測定値、または絶対量)である。定性的測定と同様に、比較は、数値データを調べることにより、データの表示を調べる(例えば、棒または線グラフなどのグラフ表示を調べる)ことにより行うことができる。非限定的な例として、測定値が参照値の少なくとも約95%の値である場合、測定値は、参照値と実質的に等しいか、またはそれより大きいと一般的に見なされる(例えば、1.71の測定値は、1.80の参照値と実質的に等しいと見なすことができる)。測定値が参照値の95%未満である場合、測定値は、参照値より小さいまたは低いと見なされる(例えば、1.7の測定値は、1.80の参照値より小さいと見なされ得る)。
認知機能の試験
MCIまたはアルツハイマー病に罹患している、それに罹患しやすいまたはそのリスクがある被験体または患者を同定するために、種々の認知試験を用いることもできる。2つの具体例としての認知試験は、ミニメンタルステータス検査(MMSE)および臨床的認知症尺度(CDR)である。
いくつかの実施形態において、MMSEスコアを用いて本明細書で述べた組成物および方法による処置を必要とする被験体を同定する。MMSEスコアは、認知機能の複数の試験を表す複合スコアである。最大可能総MMSEスコアは、30点である。MMSEは、認知症または他の病状を有する患者における認知障害の重症度を分類するのに用いることができる。表1にMMSEスコアが認知機能の程度を一般的にどのように表すかを示す。
Figure 2013526518
いくつかの実施形態において、処置を必要とする被験体は、21〜26(軽度認知障害)、11〜20(中等度認知障害)または0〜10(重度認知障害)のMMSEスコアを有する。
いくつかの実施形態において、CDRスコアを用いて本明細書で述べた組成物および方法による処置を必要とする被験体を同定する。CDRスコアは、個別に採点される次の6つのドメインから構成されている:記憶、見当識、判断力および問題解決能力、社会適応、家庭状況および趣味、並びに個体的介護状況。表2にCDRスコアが認知機能の程度を一般的にどのように表すかを示す。
Figure 2013526518
いくつかの実施形態において、0を超えるCDRスコアは、被験体がMCIまたはアルツハイマー病に罹患している、それに罹患しやすいまたはそのリスクがある可能性があることを示す。いくつかの実施形態において、処置を必要とする被験体は、0.5(非常に軽度の認知症)、1(軽度認知症)、2(中等度認知症)または3(重度認知症)のCDRスコアを有する可能性がある。
いくつかの実施形態において、認知試験スコア(MMSEスコアまたはCDRスコアなど)を用いて処置の有効性をモニターすることができる。一般的に、有効な療法は、認知試験スコアを改善するはずである。したがって、処置の前後のまたは処置計画の異なる時点の認知試験スコアを比較することにより、医学的治療技術分野の当業者は、所定の治療体制が有効であるかどうかを決定することができる。例えば、医学的治療技術分野の当業者は、処置前または処置計画の異なる時点に測定された相対的認知試験スコアに基づくことによって本明細書で述べた治療薬の有効量を決定または調節することができるであろう。
医薬組成物および投与
本発明は、本明細書で開示したものなどの治療薬を含む医薬組成物を包含する。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、治療上有効量の治療薬および薬学的に許容されるキャリアを含有する。
本明細書で用いる場合、「薬学的に許容されるキャリア」という用語は、非毒性の不活性固体、半固体液体充填剤、希釈剤、封入材料、あらゆるタイプの製剤化補助剤、または食塩水などの単に滅菌水性媒体を意味する。薬学的に許容されるキャリアとしての役割を果たし得る物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;粉末状トラガント;麦芽、ゼラチン、タルク;ココアバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質不含有水;等張性食塩水、リンゲル液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、並びに医薬製剤に用いられる他の非毒性適合性物質である。
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、並びに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、着香および芳香剤、保存剤並びに抗酸化剤も処方者の判断に従って組成物中に存在し得る。薬学的に許容される抗酸化剤の例は、アスコルビン酸、塩酸システイン、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;並びにクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤を含むが、これらに限定されない。
治療薬の「治療上有効量」または単に「有効量」という用語は、本明細書で用いる場合、MCI若しくはアルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状若しくは特徴を軽減し、改善し、安定化させ、且つ/またはその発現を遅延させるために、さらにMCI若しくはアルツハイマー病の1つ以上の症状の進行を遅延させる(例えば、存在度、強さ、重症度若しくは頻度に関する進行を遅延させる)ために、適切な計画に従う処置を必要とする被験体に投与したとき、十分である治療薬の量を意味する。しかし、本発明の治療薬および組成物の総1日使用量は、担当医により妥当な医学的判断の範囲内で決定されることは理解されよう。任意の特定の患者における固有の治療上有効な用量レベルは、処置する障害および障害の重症度;用いる特定の化合物の活性;用いる特定の組成物;患者の年齢、体重、一般健康状態、性および食事;投与時間、投与経路および用いる特定の化合物の排泄の速度;処置の期間;用いる特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用する薬物;並びに医療技術分野で周知の同様な因子を含む様々な因子に依存する。
いくつかの実施形態において、本発明の治療薬の治療上有効量は、例えば、0.01〜100mg/kg体重またはそれより多くの範囲に及び得る。いくつかの実施形態において、本発明の治療薬の治療上有効量は、約0.1〜約50mg/kg体重(例えば、約0.1〜約35mg/kg、約0.1〜約15mg/kg、約6.25〜約35mg/kg、約12.5〜約35mg/kg、約6.25〜約25mg/kg、約35mg/kg)の範囲にわたる。いくつかの実施形態において、治療薬の治療上有効量は、1用量当たり約0.01mg〜約2.5g(例えば、1用量当たり約0.01mg〜約2.0g、約0.01mg〜約1.5g、約0.01mg〜約1.0g)の範囲にわたる。いくつかの実施形態において、治療薬の治療上有効量は、1用量当たり約0.01〜約1000mg(例えば、約0.01〜約500mg、約0.01〜約250mg、約0.01〜約200mg、約0.01〜約150mg、約0.01〜約100mg、約0.01〜約50mg、約0.01〜約10mg、約0.01〜約5mg、約0.01〜約2.5mg、約0.01〜約2.0mg、約0.01〜約1.5mg、約0.01〜約1.0mg、約0.01〜約0.5mg、約0.01〜約0.1mg)の範囲にわたる。いくつかの実施形態において、治療薬(具体的には、ニトロソ−ニフェジピン)の治療上有効量は、1用量当たり約100mg〜約5g(例えば、約100mg〜約3g、約100mg〜約2.5g、約100mg〜約2g、約100mg〜約1.5g、約100mg〜約1000mg、約100mg〜約500mg、約100mg〜約250mg)の範囲にわたる。いくつかの実施形態において、治療薬の治療上有効量は、1用量当たり約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.5mg、約1mg、約5mg、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約500mg、約1000mg、約1.5g、約2g、約2.5g、約3g、または約5gであり得る。一般に、本明細書に記載する量は、組成物中の全ての活性化合物の総量である。例えば、組成物がニフェジピン、ニトロソ−ニフェジピンおよび酸化ニフェジピンの混合物を含有する場合、治療上有効量は、ニフェジピン、ニトロソ−ニフェジピンおよび酸化ニフェジピンの総計量(combined amount)である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載した治療薬の治療上有効量は、ヒト被験体において有害事象(例えば、肝臓毒性)を誘発するには不十分な量である。
いくつかの実施形態において、本明細書で述べた治療薬は、1日1回投与する。いくつかの実施形態において、本明細書で述べた治療薬は、1日当たり複数回、例えば、1日2回、3回または4回投与する。いくつかの実施形態において、治療薬の総1日投与量は、複数回投与でまたは単回投与で1日当たり約0.01mg〜約5g(例えば、複数回投与でまたは単回投与で1日当たり約0.01mg〜約4.0g、約0.01mg〜約3.0g、約0.01mg〜約2.5g、約0.01mg〜約2.0g、約0.01mg〜約1.5g、約0.01mg〜約1.0g)の範囲にわたる。いくつかの実施形態において、治療薬の総1日投与量は、単回投与でまたは複数回投与で1日当たり約0.01〜約1000mg(例えば、約0.01〜約500mg、約0.01〜約250mg、約0.01〜約200mg、約0.01〜約150mg、約0.01〜約100mg、約0.01〜約50mg、約0.01〜約10mg、約0.01〜約5mg、約0.01〜約2.5mg、約0.01〜約2.0mg、約0.01〜約1.5mg、約0.01〜約1.0mg、約0.01〜約0.5mg、約0.01〜約0.1mg)の範囲にわたる。いくつかの実施形態において、治療薬(特に、ニトロソニフェジピン)の総1日投与量は、単回投与でまたは複数回投与で1日当たり約50mg〜約5g(例えば、約50mg〜約4g、約100mg〜約3g、約100mg〜約2.5g、約100mg〜約2g、約100mg〜約1.5g、約100mg〜約1000mg、約100mg〜約500mg、約100mg〜約250mg)の範囲にわたる。いくつかの実施形態において、治療薬の総1日投与量は、約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.5mg、約1mg、約5mg、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約500mg、約1000mg、約1.5g、約2g、約2.5g、約3g、約3.5g、約4g、約4.5gまたは約5gであり得る。一般的に、本明細書で述べた量は、組成物中のすべての活性化合物の総量である。例えば、組成物がニフェジピン、ニトロソニフェジピンおよび酸化ニフェジピンの混合物を含有する場合、治療上有効量は、ニフェジピン、ニトロソニフェジピンおよび酸化ニフェジピンの総計量である。
いくつかの実施形態において、本明細書で述べた治療薬は、月1回、隔週に1回、週1回、週2回または週3回投与する。これらの例において、上述の1日投与量は、平均1日投与量を反映する。
特定の状況において、特に処置の初期に患者の血流中の活性薬のかなり高い用量を維持することが重要である可能性がある。したがって、少なくとも最初は、所定の期間、例えば、少なくとも約6時間またはそれより多くの時間、例えば、少なくとも約12時間またはそれより多くの時間、例えば、少なくとも約24時間またはそれより多くの時間にわたり用量を比較的高く、且つ/または実質的に一定のレベルに維持することが重要である可能性がある。
本発明の化合物は、単独で、または中枢または末梢神経系、特に脳の選択される領域に影響を及ぼす他の薬剤と併用して、若しくはそれとの併用療法で投与することができる。
本発明による医薬組成物は、経口、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、脳室内、実質内、髄腔内、頭蓋内、口腔内、粘膜、鼻、直腸、耳介、結膜、皮膚、電気浸透、頸管内、静脈洞内(endosinusial)、気管内、経腸、硬膜外、羊膜外、体外、血液透析、浸潤、間質、腹内、羊膜内、動脈内、関節内、胆管内、気管支内、嚢内、心臓内、軟骨内、腔内、脳内、クモ膜下槽内、角膜内、歯冠内、冠動脈内、海綿体内、皮内、椎間板内、腺管内、十二指腸内、硬膜内、表皮内、食道内、胃内、歯肉内、回腸内、病巣内、リンパ管内、骨髄内、髄膜内、筋肉内、眼内、卵巣内、心膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、洞内、滑膜内、腱内、精巣内、髄腔内、胸内(intrathroacic)、管内、腫瘍内、鼓膜内、子宮内、血管内、静脈内ボーラス、静脈内点滴、心室内、膀胱内、硝子体内、イオントフォレシス、潅注、喉頭、経鼻胃、閉鎖包帯法、眼、口腔咽頭、非経口、経皮、硬膜上、神経周囲、歯周、呼吸器、眼球後、軟組織、クモ膜下、結膜下、舌下、粘膜下、局所、経皮、経粘膜、経胎盤、経気管、経鼓膜、尿管、尿道および膣を含むいずれかの経路により投与することができる。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、経口、皮下、静脈内、経皮、腹腔内、筋肉内、脳室内、実質内、髄腔内、頭蓋内、口腔内、粘膜、鼻および直腸から選択される経路により投与する。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、経口投与する。
経口投与用の液体剤形は、水、等張性溶液または食塩水などの当技術分野で一般的に用いられる不活性希釈剤を含有する、薬学的に許容される乳剤、微細乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含んでいてよい。そのような組成物は、湿潤剤;乳化および懸濁化剤;甘味、着香および芳香剤などのアジュバントも含んでいてよい。
注射用製剤、例えば、滅菌注射用水性または油脂性懸濁剤は、適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いて公知の技術により調合することができる。滅菌注射用製剤は、非経口で許容される非毒性の希釈剤または溶媒中滅菌注射用溶液、懸濁液または乳濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中溶液としてであってもよい。用いることができる許容される媒体および溶媒の主なものは、水、リンゲル液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌固定油は、通常、溶媒または懸濁化媒体として用いられる。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含めたあらゆる無刺激性の固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に用いられる。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターによるろ過により、または使用直前に滅菌水若しくは他の滅菌注射用媒体に溶解若しくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態に滅菌剤を組み入れることにより滅菌することができる。
薬物の作用を長引かせるために、皮下または筋肉内注射による薬物の吸収を遅らせることがしばしば望ましい。これを達成する最も一般的な方法は、難水溶性の結晶質または非晶質物質の懸濁剤を注射することである。薬物の吸収の速度は、薬物の溶解の速度に依存する状態になり、これは、ひいては薬物の物理的状態、例えば、結晶サイズおよび結晶の形態に依存する。薬物の吸収を遅らせる別のアプローチは、薬物を油中溶液または懸濁液として投与することである。薬物およびポリラクチド−ポリグリコシドなどの生分解性ポリマーのマイクロカプセルマトリックスを形成することにより、注射用デポ剤形も調製することができる。薬物とポリマーとの比およびポリマーの組成によって、薬物の放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例は、ポリオルトエステルおよびポリ酸無水物を含む。デポ注射剤は、薬物を、体組織と適合性があるリポソームまたはマイクロエマルジョンに閉じ込めることによっても調製することができる。
薬物の直腸投与用の坐剤は、常温で固体であるが、直腸温では液体であり、したがって、直腸内で融解し、薬物を放出するココアバターおよびポリエチレングリコールなどの適切な非刺激性賦形剤と薬物を混合することによって調製することができる。
経口投与用の固形剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、ゲルキャップス剤および顆粒剤を含むが、これらに限定されない。そのような固形剤形において、治療薬は、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合することができる。そのような剤形は、不活性希釈剤以外のさらなる物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースなどの錠剤化滑沢剤および他の錠剤化助剤も含んでいてよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤も含んでいてよい。錠剤および丸剤はさらに、腸溶性コーティングおよび他の放出制御コーティングを用いて調製することができる。
同様な種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いた軟および硬充填ゼラチンカプセル剤における充填剤としても用いることができる。
活性化合物は、上述のような1つ以上の賦形剤を用いたマイクロカプセルに封入された形でもあり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤などの固形剤形は、腸溶性コーティングおよび医薬品調合技術分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。それらは、乳白剤を場合によって含有することもでき、それらが有効成分(単数または複数)のみを、または好ましくは腸管の特定の部分で場合によって遅延した様態で放出する組成を有することもできる。用いることができる埋め込み組成物の例は、ポリマー物質およびワックスを含む。
本発明の化合物の局所または経皮投与用の剤形は、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、噴霧剤、吸入剤または貼付剤をさらに含む。活性成分は、無菌的条件下で薬学的に許容されるキャリアおよび必要に応じて任意の必要な保存剤または緩衝剤と混合する。眼用製剤、点耳剤、眼軟膏、散剤および液剤も本発明の範囲内であると企図される。
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤は、本発明の活性化合物に加えて、動物および植物脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛またはそれらの混合物などの賦形剤を含有することもできる。
散剤および噴霧剤は、本発明の活性化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有することもできる。噴霧剤は、クロロフルオロ炭化水素などの通常の噴射剤をさらに含有することもできる。
経皮貼付剤は、活性化合物の身体への制御送達をもたらし得る。そのような剤形は、化合物を適切な媒体に溶解または分散させることによって作製することができる。皮膚を越える化合物の流入量を増加させるために、吸収促進剤も用いることができる。その速度は、速度制御膜を備えることにより、または化合物をポリマーマトリックスまたはゲル中に分散させることにより、制御することができる。
本明細書で述べる医薬組成物は、即時放出または制御放出(徐放、持続または延長放出とも呼ばれる)用に製剤化することができる。様々な徐放または延長放出製剤またはデバイスが当業者に周知である。例は、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号および同第5,733,566号に記載されているものを含むが、これらに限定されない。そのような剤形は、様々な割合の所望の放出プロファイルを得るための例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、マイクロスフェアまたはそれらの組合せを用いて1つ以上の有効成分の徐放または制御放出を可能にするために用いることができる。当業者に公知の適切な放出制御製剤は、容易に選択し、本発明の治療薬との使用に適応することができる。例えば、本発明は、制御放出(すなわち、徐放、延長放出または持続放出)用に製剤化されている例えば、錠剤、カプセル剤、ゲルキャップス剤およびカプレット剤などであるが、これらに限定されない固形経口剤形を包含する。
放出制御製剤の利点は、薬物の長時間にわたる活性、投与頻度の減少および患者服薬遵守の向上などである。例えば、放出制御または放出延長製剤は、血液脳関門を越える送達を増大させるための患者体内で絶え間なく利用可能な十分な用量レベルを維持することができる。
大部分の放出制御製剤は、最初に所望の治療効果を直ちにもたらす量の治療薬(有効成分)を放出し、このレベルの処置または予防効果を長期間にわたって維持するために他の量のサグ(thug)をゆっくり且つ持続的に放出するように設計されている。体内の薬物のこの一定のレベルを維持するために、薬物は、代謝され、身体から排泄される薬物の量を補充する速度で剤形から放出されなければならない。有効成分の制御放出は、pH、温度、酵素、水または他の生理的条件若しくは化合物を含むが、これらに限定されない様々な条件により刺激することができる。
いくつかの実施形態において、2つまたはそれより多くの治療薬を併用して投与することができる。2つまたはそれより多くの治療薬は、多回投与レジメンの一部として互いに独立して投与することができる。或いは、それらの薬剤は、単一組成物中で本発明の化合物と混合されている単一剤形の一部であってよい。多回投与レジメンの一部として投与する場合、2つの治療薬は、同時に、連続して、または通常互いから5時間以内の互いの時間内に施すことができる。
本明細書で用いる場合、「併用(combination)」、「併用される(combined)」という用語および関連用語は、本発明による治療薬の同時または逐次的投与を意味する。例えば、本発明の化合物は、別の治療薬と共に別個の単位剤形で同時にまたは逐次的に、或いは単一単位剤形で一緒に投与することができる。したがって、本発明は、提供される化合物、追加の治療薬および薬学的に許容されるキャリア、アジュバントまたは媒体を含む単一単位剤形を提供する。
本発明は、多くの実施形態で提供され、とりわけ、様々な実施例で明確に理解することができる。以下の実施例は、本発明の広さおよび適用性の実例となるものであるが、非限定的な記述を提供するものである。
(実施例1)
PDS/TTR複合体の神経毒性作用
アルツハイマー病患者由来の上皮細胞から得られた細胞培養培地の検討により、対照細胞と比較してPDS/TTR複合体のレベルの上昇が示され、これにより、PDS/TTR複合体をアルツハイマー病の早期診断のための有効なバイオマーカーとして用いることができることが分かることが示された。開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国出願公開第20080026405号を参照のこと。この実施例では、PDS/TTR複合体が、疾患のバイオマーカーであることに加えて、神経毒でもあることを示す。
まず第一に、アクロレイン(脂質過酸化のアルファ、ベータ不飽和3炭素アルデヒド副生成物)は、正常対照上皮細胞にアルツハイマー病患者に由来する上皮細胞と同等のレベルでPDS/TTR複合体を培養培地中に発現させることが分かった。これらの実験のために、脈絡叢上皮細胞の初代培養物を確立された方法を用いて死後短期間剖検から確立した。ADおよび正常対照培養物を、2%ウシ胎児血清および1%上皮増殖因子(EGF)を含有するMEM増殖培地中で密集状態になるまで増殖させた。正常対照培養物をN2補足物を含有するOpti−MEMに切替え、媒体(対照)または5μMアクロレインで72時間処理した。AD被験体からの培養物は、N2補足培地に切替え、72時間保持した。処理後、培地を各フラスコから収集し、PD−10カラムを用いて脱塩処理した。次いで、溶出したタンパク質を凍結乾燥し、25μlの水に再懸濁し、ウエスタンブロット分析並びにPDSおよびTTRに対して特異的な抗体を用いて分析した。対照上皮細胞、アクロレインで処理した対照上皮細胞および後期アルツハイマー病患者に由来する上皮細胞により細胞培養培地中で発現されたPDS/TTR複合体のウエスタンブロット分析を示す具体例としての結果を図1に示す。図1に示すように、アクロレインは、対照上皮細胞におけるPDS/TTR複合体の発現を後期AD(LAD)上皮細胞におけるものと同等のレベルに増大させた。
次にPDS/TTR複合体を含有するLAD上皮細胞の培地を用いて皮質ニューロンを処理した。LAD脈絡叢上皮培養物または媒体若しくは5μMアクロレインで処理した正常対照培養物により産生されたPDS/TTR複合体が初代皮質ニューロンに負の影響を与えるかどうかを決定するために、正常対照上皮培養物をN2補足培地に切替え、媒体のみ(対照)または5μMアクロレインで16時間処理した。LAD培養物は、N2培地に16時間切替えた。処理後、培地を各培養型(LAD;媒体のみで処理した正常対照または5μMアクロレインで処理した正常対照)から収集し、初代ラットニューロン培養物に加えた(培養7日間)。処理した初代培養物をならし培地に16時間曝露し、MTT還元アッセイを用いて細胞生存率を測定した。具体例としての結果を図2に示した。図2に示すように、LAD上皮培地で処理した皮質ニューロンの生存率は、対照と比較して有意に低い(図2)。この実験により、PDS/TTR複合体はそれ自体が神経毒であることが分かる。
PDS/TTR複合体の神経毒性作用をさらに検討するために、SY5Y神経芽腫細胞をLADまたは正常対照上皮細胞からのならし培地に16時間曝露した。ならし培地への曝露後に、細胞を70%メタノール/30%アセトンで固定し、抗PHF−1抗体を用いた免疫組織化学検査に供した。PHF−1は、AD NFT(神経原線維変化)に認められるような異常にリン酸化されたタウを認識する。図3に示すように、LAD上皮細胞培地で処理したSY5Y細胞の25%近くのものがPHF−1陽性であったのに対して、対照培地で処理したSY5Y細胞の約3%が陽性であった。対らせん状細線維は、神経原線維変化の前駆体である。したがって、PHF−1免疫陽性は、一般的にアルツハイマー病における後期神経原線維変化の形成のインジケーターである。したがって、この実験から、PDS/TTR複合体がSY5Y神経芽腫細胞における対らせん状細線維の形成を促進することが示されており、PDS/TTR複合体がH4神経膠腫細胞によるアミロイドベータペプチド(Aβ)の産生を促進し得ることが分かる。
上皮培養物により産生された複合体が炎症性サイトカイン経路に影響を及ぼすかどうかを決定するために、ヒト星状細胞腫の培養物を2.5X10細胞/ウエルの密度でプレート培養し、ならし培地に24時間曝露した。曝露後、各ウエルから培地を収集し、炎症性サイトカイン(IL−6、TNF−α、TGF−βおよびIL−6)のレベルを市販のELISAを用いて測定した。アッセイの結果により、PDS/TTR複合体が星状細胞腫培養物における2つの炎症性サイトカイン経路(すなわち、IL−6、TNF−α)を活性化したことが示され(データは示さず)、神経炎症におけるPDS/TTRの役割が示された。
要約すると、この実施例で述べた実験により、PDS/TTR複合体が、アルツハイマー病の特質に直接的に影響を及ぼし得る様々な生化学的変化を引き起こすことが立証された。
(実施例2)
ニフェジピン、ニフェジピン類似体混合物および/またはT3/T4はPDS/TTRの発現を阻害する
実施例1で述べたアッセイは、PDS/TTR複合体からニューロン細胞を防護することができる可能な治療薬を同定するためのツールとなる。発明者らは、高血圧に対して処方されるカルシウムチャネル遮断薬である、ニフェジピン(1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(2−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸(pyridinydicarboxylic acid)ジメチルエステル、CAS番号21829−25−4(Sigma Aldrich));またはニフェジピンの酸化誘導体((2,6−ジメチル−4−(2−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸ジメチルエステル、CAS番号67035−22−7(Sigma Aldrich))若しくはニフェジピンのニトロソ誘導体(2,6−ジメチル−4−(2−ニトロソフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸ジメチルエステル、CAS番号50428−14−3(Sigma Aldrich))などのニフェジピン類似体などの化合物が個別にまたは共同して細胞培養物におけるPDS/TTR複合体の発現を効果的に阻害し得ることを観測した。さらに、T3およびT4も評価したところ、PDS/TTR複合体の発現を阻害するのに有効であることが分かった。
具体的には、上皮細胞を実施例1で述べたように、5μMアクロレイン、5μMアクロレイン+0.5μM T3/0.5μM T4、5μMアクロレイン+1μMニフェジピン混合物(ニトロソニフェジピン55%、酸化ニフェジピン11%およびニフェジピン34%)、または5μMアクロレイン+1μMニフェジピン混合物および0.5μM T3/0.5μM T4で処理した。各培養物により培養培地中に分泌されたPDS/TTRの量は、上述のようにウエスタンブロット分析により測定した。具体例としてのデータを図4に示した。分かるように、アクロレイン+T3/T4、アクロレイン+ニフェジピン混合物、またはアクロレイン+ニフェジピン混合物およびT3/T4で処理した細胞により発現した量は、アクロレインでのみ処理した細胞により発現した量より有意に少なかった。
さらに、免疫染色を用いてPDS/TTR陽性細胞を判定し、処理および非処理細胞培養物のPDS/TTR陽性細胞の数を数え、比較した。具体例としての結果を図5に要約する。図5から分かるように、アクロレイン単独処理試料中のPDS/TTR陽性細胞の数は、非処理対照におけるPDS/TTR陽性細胞の数の約600%である。それに反して、アクロレイン(acroline)+アクロレイン+T3/T4、アクロレイン+ニフェジピン混合物、またはアクロレイン+ニフェジピン混合物およびT3/T4で処理した試料中のPDS/TTR陽性細胞の数は、非処理対照と比較して有意に低下した。
ニフェジピン混合物がカルシウムチャネルを遮断することによって機能するかどうかを決定するために、我々はカルシウムチャネルに対するニフェジピン混合物の影響を評価した。SY5Y神経芽腫培養物を新鮮なニフェジピンまたはニフェジピン混合物で16時間前処理し、次いで、カルシウム不含有培地に切替え、5μM Fura−2蛍光色素を負荷した。次に、培養物をカルシウム不含有培地で洗浄し、カルシウム含有培地に曝露し、Fura−2へのCaの結合に起因する蛍光を共焦点顕微鏡法および340nmでの励起を用いて測定した。3枚の別個の皿について1枚の皿当たり50〜100個の細胞を撮像した。具体例としての結果を図6に示す。興味深いことに、図6に示すように、ニフェジピン混合物は、新鮮なニフェジピンと比較してカルシウムチャネル遮断薬としての最小限(約30%)の活性を有し、これらの化合物は別の新規なメカニズムにより作用する可能性があることが示唆された。
したがって、この実施例で述べた実験から、ニフェジピン類似体混合物およびT3/T4は、単独で、または共同して、上皮細胞におけるPDS/TTRの発現を効果的に阻害することができ、この作用は、カルシウムチャネルと無関係である可能性があることが示される。さらに、T3/T4は、ニフェジピン類似体の有効性を改善した。
(実施例3)
ニフェジピン類似体は炎症性サイトカインの産生を阻害する
炎症性応答エレメント(サイトカイン)がアルツハイマー病患者において上昇していることが報告された。発明者らは、星状細胞腫培養物においてニフェジピン混合物および個々の類似体を試験した。ヒト星状細胞腫細胞を6ウエル培養プレートで2.5X10細胞/ウエルでプレート培養し、24時間増殖させた。次に培養物を血清不含有Opti−MEMに切替え、ニフェジピン混合物および個々の類似体で24時間処理した。3枚の6ウエルプレートを各処理に供した。処理後、培地を各ウエルから収集し、市販のELISAを用いてIL−1β、IL−6、TNF−αおよびTGF−βのレベルを測定した。具体例としての結果を図7に示す。図7から分かるように、培地中に分泌されたIL−1、IL−6およびTNF−αは、ニフェジピン混合物または酸化ニフェジピンの処理により有意に減少し、これらの化合物が神経炎症に対して直接的な正の効果を有することが示された。
(実施例4)
NFD−L1は炎症性サイトカインの産生を阻害する
実施例3に記載したものと同様の手順を用いて、NFD−L1を星細胞腫培養物において試験した。図8から分かるように、培地中に分泌されたIL−1、IL−6、およびTNF−αは、NFD−L1での処理より有意に減少し、NFD−L1が神経炎症に対して直接的な正の効果を有することが示された。本実施例に示した結果は、NFD−L1などのラクタムが中枢神経系における炎症状態を効果的に阻害できることを示している。
(実施例5)
ニフェジピン、ニフェジピン混合物および/またはT3/T4はPHF−1レベルを低下させる
実施例1で述べたように、有意により高いレベルのPDS/TTR複合体を含有していたLAD上皮細胞の培地に曝露したSY5Y神経芽腫細胞は、非処理対照培養物の培地に曝露したものと比較して有意に高いPHF−1免疫染色を示した。この実験では、実施例1で述べた手順を用いて、SY5Y細胞を、アクロレインならびにニフェジピン、ニフェジピン類似体、ニフェジピン類似体の混合物およびT3/T4の組み合わせで処理した上皮細胞の培地に曝露した。図9に示すように、ニフェジピン混合物およびニフェジピン/ニフェジピン類似体+T3/T4は、PHF−1レベルを有意に低下させた。
(実施例6)
H4神経膠芽腫細胞によるAβ1−42の産生の阻害
この実施例では、発明者らは、ニフェジピン、ニフェジピン類似体(例えば、酸化ニフェジピンまたはニトロソニフェジピン)および/またはT3/T4がAβ1−42の産生を阻害し得るかをさらに検討するために、アミロイド前駆体タンパク質(APP)を過剰発現するように安定にトランスフェクトしたH4神経膠芽腫細胞を用いた。アミロイド前駆体タンパク質(APP)を過剰発現する構築物を安定にトランスフェクトしたH4神経膠芽腫細胞は、Aβ1−42を培養培地中に分泌する。これらのH4細胞を1μM新鮮ニフェジピン、1μM酸化ニフェジピン、1μMニトロソニフェジピンまたは0.5μM T3/0.5μM T4で16時間処理した。培養培地中のAβレベルをELISA(Invitrogen)を用いて測定した。図10に示すように、新鮮ニフェジピン、酸化ニフェジピン、ニトロソニフェジピンまたはT3/T4の処理により、Aβ1−42の産生の有意な低下がもたらされる。
さらに、H4細胞によるAβ1−42の産生に対するニフェジピン、ニフェジピン類似体およびニフェジピン混合物の作用をT3/T4の存在下および非存在下でさらに試験した。具体例としての結果を図11に要約する。分かるように、T3/T4は、Aβ1−42の産生に対するニフェジピン、ニフェジピン類似体およびニフェジピン混合物の阻害作用を改善する。
本発明者は次に、他のカルシウムチャネル遮断薬がH4神経膠腫培養物におけるAβ1−42の産生を阻害することができるかどうかを試験した。アミロドピン、ジリチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピンおよびニモジピンなどの公知のカルシウムチャネル遮断薬をこの実験に用いた。具体的には、opti−MEM(血清不含有)中でT3/T4の存在下および非存在下でH4細胞を1μMの各薬物で16時間処理し、培地中に分泌されたAβ1−42をInvitrogen ELISAを用いて測定した。具体例としての結果を図12に示す。図12に示すように、ニカルジピンは、Aβの分泌の有意な減少の傾向(p<0.10)を示し、ニモジピンは、Aβの生成の有意な減少(p<0.05)をもたらした。他の薬物は、Aβの生成のレベルを有意に変化させなかった。T3/T4をアムロジピンおよびジリチアゼムと併用した場合、代替カルシウムチャネル遮断薬とT3/T4との併用で、Aβの生成の有意な減少が示された。T3/T4と他の薬物との併用では、Aβの生成の有意な減少は示されなかった。
(実施例7)
H4神経膠芽腫細胞からのAβ1−42産生の、NFD−L1による阻害
実施例6に記載したものと同様の手順を用いて、H4神経膠腫培養物におけるAβ1−42の発生の阻害についてNFD−L1を試験した。図13に示すように、Aβ1−42の発生はNFD−L1により阻害される。本実施例において示した結果は、NFD−L1などのラクタムは、Aβ1−42の産生を効果的に阻害できることを示している。
(実施例8)
ベータセクレターゼ(BACE)およびガンマセクレターゼ活性の阻害
ニフェジピン、ニフェジピン類似体およびニフェジピン混合物がAβ1−42ペプチドの産生を効果的に阻害することができるというこの驚くべき所見は、Aβ1−42ペプチドの減少の可能なメカニズムをさらに検討する促しとなった。Aβ1−42の産生が、アミロイド前駆体タンパク質をベータセクレターゼ切断部位で切断する酵素であるベータセクレターゼ(BACE)並びにガンマセクレターゼ切断部位で切断するプレセニリン−1(PS−1)、ニカストリン、APH−1およびPEN−2からなるガンマセクレターゼ複合体の活性に依存すると企図された。発明者らは、我々の培養モデル系におけるAβ1−42の産生の阻害がBACEおよび/またはガンマセクレターゼ活性の阻害に起因するかどうかを試験した。
BACE活性は、蛍光基質およびInvitrogenからの市販のキットの一部としての精製組換えBACEを用いて測定した。図14に示すように、ニフェジピン単独またはサイロキシンとの併用でBACE活性がわずかに阻害された。しかし、ニトロソニフェジピン単独およびサイロキシンとの併用ではBACE活性が有意に阻害された(図14)。
ニフェジピン混合物のみまたはT3/T4との併用で処理したH4培養物におけるBACEおよびガンマセクレターゼ複合体の個々の成分のタンパク質レベルの検討により、ニフェジピン混合物単独でPS−1およびPEN−2のレベルが有意に低下したことが明らかになった。BACE−1のレベルは、低下したが、有意でなかった。しかし、ニフェジピン混合物+T3/T4では、PS−1、PEN−2、BACE−1およびニカストリンが有意に低下した。APH−1は、いずれの処理の影響も受けなかった。具体例としての結果を図16に示した。タンパク質レベルは、免疫組織化学および共焦点顕微鏡法を用いて個々の細胞(50〜100細胞/皿;3皿/実験)において測定し、ウエスタンブロット分析を用いて全細胞ホモジネートにおいて確認した。各タンパク質に対して特異的抗体は、販売業者から購入した。
この実施例で述べた実験で、ニフェジピン混合物、それらの酸化およびニトロソ誘導体、および/またはT3/T4がAβの産生に関与する酵素に直接的に作用することが示された。
(実施例9)
NFD−L1によるベータセクレターゼ(BACE)の阻害
実施例8に記載するものと同様の手順を用いて、BACE活性の阻害についてNFD−L1を試験した。図15に示すように、NFD−L1はBACEを阻害する。本実施例は、NFD−L1などのラクタムは、ベータセクレターゼ(BACE)活性を効果的に阻害できることを示している。
(実施例10)
Aβ1−40の産生のin vivoでの阻害
上述のin vitroデータに基づいて、発明者らは、3ヵ月齢のC57−Black−6(C57BL/6)マウスにおける急性曝露試験を開始した。この試験では、6匹のC57BL/6マウスの6群を3日間連日、媒体(2%DMSO/98%ポリエチレングリコール−3000(PEG−3000))、25mg/kgニフェジピンまたはニフェジピン混合物、T3/T4(10mg/kg T3および10mg/kg T4)、ニフェジピン混合物+T3/T4並びにニフェジピン+T3/T4の腹腔内(IP)注射に供した。動物は、3回目の注射の1時間後に安楽死させた。脳および終末血清を除去し、直ちに液体窒素で凍結し、分析に用いるまで−80℃で保存した。
脳の1半球をAβ1−40の測定(Invitrogen ELISA)のためにホモジナイズし、他をタンパク質レベル用にホモジナイズした。さらに、PS−1、BACE、PS−1の必須基質である切断Notch、Nicast、APH−1のレベルをウエスタンブロット分析を用いて測定した。図17に示すように、T3/T4およびニフェジピン混合物+T3/T4を投与したマウスは、媒体投与した動物と比較してAβ1−40レベルの小幅(25%)であるが、有意な低下を示した。PS−1、NicastおよびAPH−1のレベルは、ニフェジピン、ニフェジピン混合物+T3/T4を投与したマウスで有意に低下した。BACEタンパク質レベルは、ニフェジピン、ニフェジピン+T3/T4およびT3/T4単独を投与したマウスで有意に低下した。これに反して、いずれの処理によっても切断Notchのレベルの有意な差はなかった(図17)。
さらに、脳を抽出し、ニフェジピンおよびその類似体のレベルについてGC/MSにより分析した。酸化ニフェジピンが分析したすべての試料に認められ、混合物の成分が血液脳関門を通過し、それにより、ニューロン保護に利用可能であることが示唆された。この実験で、これらの誘導体がアルツハイマー病の処置に望まれる脳透過性を有することが示された。
この実施例における実験により、ニフェジピン混合物、それらの酸化およびニトロソ誘導体、および/またはT3/T4がin vivoでAβ1−40ペプチドの内因性レベルを低下させることが示された。
(実施例11)
ニトロソ−ニフェジピンは、Aβ1−40の産生をin vivoで阻害する
さらなる実験を行うことによって、ニトロソ−ニフェジピンが、in vivoでAβ1−40の産生を効果的に阻害できることを示した。具体的には、C57/Bl6マウス(1群に6匹)に、2%DMSO/98%PEG−300中の、濃度を次第に上げたニトロソ−ニフェジピンのIP注射を3日間施した。最終の注射から15分後動物を屠殺した。脳をすばやく除去し、半球に分割し、液体窒素中で急速凍結した。脳をドライアイスの上に載せて送り、分析に使用するまで−80℃で維持した。各脳の1半球を、ダウンスホモジナイザーを用いて、完全なプロテアーゼ阻害剤を含有するジエチルアミン(200mg湿質量/mL)中でホモジナイズした。ホモジネートを16,000×gで30分間遠心分離し、製造者の指示に従い、Covance ELISAを用いて、50μLの溶解性タンパク質に、Aβ1−40定量化を施した。結果は、ビヒクル処置された動物に対する%として表現される。分析結果は、35mg/kgニトロソ−ニフェジピンを用いた急性処置が、Aβ1−40レベルの有意な低減をもたらしたことを示した(図18)。
したがって、本実施例は、ニトロソ−ニフェジピンがAβ1−40の産生をin vivoで効果的に阻害することを実証している。
(実施例12)
オーファンG共役受容体タンパク質3(GPCR−3)のin vitroおよびin
vivoでの阻害
この実施例は、ニフェジピン、ニフェジピン混合物、および/またはT3/T4が、ガンマセクレターゼ複合体(上述のように、Aβを生成するためのAPPの切断に重要である)の安定性の維持に役割を果たすことが示唆されている酵素であるオーファンG共役受容体タンパク質3(GPCR−3)を阻害することができるかどうかを試験するために実施した。
H4神経膠芽腫細胞を1μM混合ニフェジピン、1μM混合ニフェジピン+0.5μM
T3/0.5μM T4、0.5μM T3/0.5μM T4、1μM新鮮ニフェジピン、1μM新鮮ニフェジピン+0.5μM T3/0.5μM T4で16時間処理した。GPCR−3のレベルは、GPCR−3特異抗体を用いたウエスタンブロット分析を用いて測定した。図19に示すように、ニフェジピン混合物、新鮮ニフェジピン、および/またはT3/T4は、H4細胞におけるGPCR−3の発現レベルを有意に減少させた。
さらに、実施例10で上述したC57BL/6マウスにおけるGPCR−3のレベルをウエスタンブロット分析を用いて測定した。具体例としての結果を図19にも示す。ニフェジピン混合物およびT3/T4、新鮮ニフェジピン、およびT3/T4は、マウスにおけるGPCR−3の発現レベルも低下させた。
したがって、この実施例で、ニフェジピン混合物、それらの酸化およびニトロソ誘導体、および/またはT3/T4がin vitroおよびin vivoでGPCR−3のレベルを低下させることが示された。
ニフェジピン混合物、それらの酸化およびニトロソ誘導体、および/またはT3/T4によるGPCR−3レベルの低下が血圧の制御に関与する経路によるかどうかを決定するために、我々は、H4細胞におけるアテノロール、カプトプリルおよびエナントプリル(enantopirl)などの公知の血圧薬を試験した。具体的には、H4細胞をOpti−MEM(血清不含有)培地中でT3/T4の存在下および非存在下で1μMの各薬物で16時間処理し、GPCR−3のレベルを共焦点顕微鏡法および特異的抗GPCR−3抗体を用いて測定した。具体例としての結果を図20に示す。図20に示すように、カプトプリル+T3/T4のみがGPCR−3のレベルの有意な変化(低下)をもたらした。この実験により、ニフェジピン混合物、それらの酸化およびニトロソ誘導体、および/またはT3/T4によるGPCR−3の低下は、血圧経路と無関係であることが分かる。
(実施例13)
Aβ処理に関与する酵素のレベルに対するニトロソ−ニフェジピンの効果
本実験は、Aβ処理に関与する酵素のレベルに対するニトロソ−ニフェジピンの効果を決定するために行った。濃度を次第に上げたニトロソ−ニフェジピンで処理したH4細胞の生存率に基づき、ニトロソ−ニフェジピンの適切な濃度を最初に決定した。具体的には、H4神経膠腫の培養物を2.5×10細胞/ウェルの密度でプレート培養し、一晩付着させた。培養物をOpti−MEMに切り替え、濃度を次第に上げたニトロソ−ニフェジピンで16時間処理した。処理後、MTTを最終濃度0.5mg/mLで添加し、培養物を30分間インキュベートした。MTT処理後、培地を除去し、MTTのミトコンドリア変換で生じたホルマザン結晶をDMSO中に溶解し、650nmで吸光度を測定した。データは、平均値±SEM 対照のMTT還元に対する%(図21)として報告する。試験の結果は、H4培養物は、ニフェジピンと比較して、ニトロソ−ニフェジピンに対してより耐性があることを示唆している。生存データに基づき、2.5μMニトロソ−ニフェジピンをさらなる試験における使用に対して選択した。
Aβ処理に関与する酵素のレベルに対するニトロソ−ニフェジピンの効果を決定するため、APPを過剰発現するH4神経膠腫培養物を、密度2.5×10細胞/ディッシュでまき、一晩付着させた。培養物をOpti−MEMに切り替え、2.5μMまたは0.5μMニトロソ−ニフェジピン単独でまたは2.5μMニトロソ−ニフェジピン+ニフェジピン(0.1および0.01μM)または1μM T3/T4で処理した。処理後、培養物をPBS中で3回すすぎ、70%メタノール/30%アセトン中、−20℃で30分間固定した。次いで培養物をBACE、PS−1、GPCR−3、ニカストリン、およびADAM(アルファセクレターゼ切断に関与する酵素)について、免疫組織化学検査に供した。30〜50個の細胞を、4〜5のフィールド/ディッシュ(各処理について3つのディッシュ)内で撮像した(図22)。ニフェジピンに対して観察された結果と同様に、ニトロソ−ニフェジピン処理は、BACEタンパク質の有意な低減をもたらした。ニフェジピンとは対照的に、ニトロソ−ニフェジピンは、PS−1やニカストリンのレベルを有意に変化させなかった。またニフェジピンとは対照的に、ニトロソ−ニフェジピンは、GPCR−3の有意な増加をもたらした。ニトロソ−ニフェジピンはまたADAM−10のレベルの有意な増加をもたらしたが、これは、アルファセクレターゼ部位でのAβの切断の原因となる。アルファセクレターゼ切断は、Aβ1−42の低減をもたらす。
(実施例14)
Aβ処理に関与する酵素のレベルに対するNFD−L1の効果
実施例13に記載したのと同様の手順を用いて、H4神経膠腫培養物をNFD−L1で処理することによって、Aβ処理に関与する酵素のレベルに対するNFD−L1の効果を決定した。図23に示すように、ニトロソ−ニフェジピンと同様に、NFD−L1は、BACEタンパク質の有意な低減およびADAM−10の有意な増加をもたらした。NFD−L1はまた、PS−1およびNCTの有意な低減をもたらした。本実施例は、NFD−L1などのラクタムでの処理は、Aβ処理に関与する酵素のレベルに対する有意な効果を有することを実証した。
(実施例15)
Aβ処理に関与する酵素のレベルに対する、ニトロソ−ニフェジピンのin vivoでの効果
Aβ処理に関与する酵素のレベルに対する、ニトロソ−ニフェジピンのin vivoでの効果を決定するため、AβのレベルをELISAで定量化し、ビヒクルまたは35mg/kgのニトロソ−ニフェジピンで処置したマウスについてのウエスタンブロット分析により、Aβ処置に関与するタンパク質のレベルを定量化した(図24)。3日間のIP注射は、Aβ1−40の有意な低減およびプレセニリン−1の有意な低減をもたらした。データはまた、PS−1のニトロソ−ニフェジピン媒介性阻害は、切断されたNotch−1のレベルを低減せず、代わりに、切断されたNotch−1のレベルの有意な増加をもたらしたことを示している。さらに、ニトロソ−ニフェジピンでの処置は、ADAM−10(アルファセクレターゼとして機能する)のレベルの有意な増加をもたらした。増加したADAM−10レベルは、APPのアルファセクレターゼ位置での切断の増加をもたらし、Aβの発生を最小限に抑えることが想定される。
(実施例16)
Aβ処理に関与する酵素のレベルに対するNFD−L1のin vivoでの効果
Aβ処理に関与する酵素のレベルに対するNFD−L1のin vivoでの効果を、実施例15に記載したものと同様の手順を用いて決定した。図25に示すように、ニトロソ−ニフェジピンと同様に、NFD−L1のIP注射は、Aβ1−40の有意な低減およびプレセニリン−1の有意な低減をもたらした。データはまた、PS−1のNFD−L1媒介性阻害が、切断されたNotch−1レベルの有意な増加をもたらしたことを示している。さらに、NFD−L1での処置は、ADAM−10のレベルの有意な増加をもたらした。したがって、本実施例は、NFD−L1などのラクタムでの処置が、Aβ処理に関与する酵素のレベルに対して、in vivoで有意な効果を有することを実証した。
(実施例17)
タウリン酸化の阻害
この実施例では、我々は、ニフェジピン、ニフェジピン混合物、それらの酸化およびニトロソ誘導体、および/またはT3/T4がリン酸化タウタンパク質を減少させることができるかどうかを試験した。リン酸化タウタンパク質は、アルツハイマー病の病因に関与している、対らせん状細線維および直線状細線維のもつれの自己集合をもたらし得る。
タウリン酸化に関与する複数のキナーゼが存在するが、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK−3β)は、ADにおけるタウ過剰リン酸化に対する主要な寄与因子として著しい注目を集めている。GSK−3βは、特異的ホスホタウ抗体を用いて同定された約95%の対らせん状細線維に存在する。構成的に活性なキナーゼであるGSK−3βは、プロテインキナーゼB(Akt)によるSer9のリン酸化により不活性化される。セリン/トレオニンキナーゼであるAktは、ホスファチジルイノシトールキナーゼ(PI3K)媒介シグナリングにより制御され、ホスファチジルイノシトール依存性キナーゼ1(PDK1)による調節トレオニン残基(Thr−308)のリン酸化により、またPDKα/TORC2キナーゼによるSer473のリン酸化により活性化される。さらに、Akt/GSK−3β経路の活性化は、Gα12/13ヘテロ三量体Gタンパク質にカップリングしたGCPRにより媒介される可能性がある。Gα12の活性化は、RhoAおよびそのエフェクターRhoキナーゼ(ROCK)を刺激することが示された。Ser160においてリン酸化されたROCKは、Akt/GSK−3βのリン酸化/活性化をもたらすPI3Kシグナリング経路を活性化する受容体チロシンキナーゼ(RTK)をさらにトランス活性化する(Newら、「G protein−coupled receptor−induced Akt activity in cellular proliferation and apoptosis」、FEBS J、2007年、274巻、6025〜36頁によりレビューされた)。リン酸化Aktは、GSK−3βのリン酸化および不活性化を増大させ、したがって、タウリン酸化を減少させる。
我々は、実施例10で述べたようにニフェジピン、ニフェジピン混合物および/またはT3/T4で処理したマウス脳における上述のタウリン酸化経路に関与するタンパク質のレベルおよびリン酸化の状態を検討した。図26に示すように、リン酸化ROCK(p−ROCK)およびGSK−3β(p−GSK−3β)のレベルは、ニフェジピンまたはニフェジピン混合物+T3/T4で処理したマウスにおいて有意に増加した。T3/T4単独もp−GSK−3βのレベルを有意に増加させた。ROCKの総タンパク質レベルは、いずれの処理による影響も受けなかった。p−25のレベルは、処理マウスにおいてわずかに低下した。これらの結果は、ニフェジピン、ニフェジピン混合物および/またはT3/T4の処理がin vivoでのタウリン酸化の減少をもたらし得ることを示すものである。
(実施例18)
ニフェジピンおよびニトロソ−ニフェジピンのグルタメート輸送に対する効果
グルタメート輸送に対するニトロソ−ニフェジピンの効果を試験するため、星細胞腫培養物を、2.5×10細胞/ウェルでプレート培養し、一晩付着させた。培養をOpti−MEMに切り替え、2.5μMニトロソ−ニフェジピンで16時間処理した。培養物をPBSで3回洗浄し、70%メタノール/30%アセトンを用いて、−20℃で30分間固定した。固定後、EAAT1またはEAAT2(Glut−1)、すなわち主要グルタメートトランスポーターに特異的な抗体を用いて、培養物を免疫染色した。次いで共焦点顕微鏡法を使用して培養物を撮像し、Leicaソフトウエアを用いて、染色強度を定量化した。フィールドあたり30〜50個の細胞を撮像し、1つの培養ディッシュにつき5つのフィールドを撮像した。分析の結果では、ニトロソ−ニフェジピンは、EAAT2の有意な増加をもたらしたが、EAAT1は変化しなかったことが示されている(図27)。EAAT2は、AD脳において有意に低減していることが示された。25mg/kgニフェジピンで3日間急性処置したC57/Bl6マウスからの組織検体を用いて、我々は、20μgのタンパク質試料をウエスタンブロット分析に供し、EAAT2について精査した。分析の結果は、ニフェジピンでのEAAT2の有意な増加を示した。これに合わせて、これらデータは、ニフェジピンおよびニトロソ−ニフェジピンの両方が、AD脳において変化することが示されている主要グルタメートトランスポーターレベルの増加をもたらすことを示唆している。
(実施例19)
肝臓毒性実験
ニトロソ−ニフェジピンでの処置が肝臓毒性をもたらすかどうか決定するため、診療で一般的に用いられているアルカリホスファターゼキット(Diagnostic Chemicals Limited)を用いて、用量を次第に上げたニトロソ−ニフェジピンで処置したマウスからの終末の血清試料においてアルカリホスファターゼレベルを定量化した。アッセイの結果では、ニトロソ−ニフェジピンは、いずれの用量においても血清アルカリホスファターゼレベルを有意に増加させず、実際、35mg/kgの用量レベルでは有意な低減をもたらしたことが示された(図28)。これらのデータは、ニトロソ−ニフェジピンは、肝臓損傷を誘発しないことを示唆している。
(実施例20)
ヒト関連試験
ヒト関連試験は、ヒト患者におけるカルシウムチャネル遮断薬の影響を決定するために実施した。最初の試験において、被験体を対照、APOE4(アルツハイマー病の発生率の増加に関連する遺伝子)を有する対照、ジヒドロピリジンベースのカルシウムチャネル遮断薬の投与を受けている被験体およびジヒドロピリジンベースのカルシウムチャネル遮断薬の投与を受けており、APOE4を有する被験体に分けた。MMSE(ミニメンタルステータス検査)試験を用いて各被験体の認知機能を測定した。適合モデル対年齢の軌線を決定することができる。図29にMMSEのNLMIXEDモデルの具体例としての結果を示す。このモデルは、カルシウムチャネル遮断薬の投与を受けている被験体がカルシウムチャネル遮断薬の投与を受けていない被験体と比べて認知機能低下の4年の遅延を示すことを示している。
このヒト関連試験で、ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬の使用が認知機能低下の発症を遅延させると思われることが示され、ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬を用いてアルツハイマー病などの神経変性疾患を処置することができることが示唆された。
第2の試験において、我々は、神経心理学的関連試験からの合計8例の被験体について剖検を行った。4例の被験体は、ニフェジピンを含むカルシウムチャネル遮断薬の投与を受け、4例の被験体は、カルシウムチャネル遮断薬の投与を受けていなかった。被験体の前頭葉検体中のAβ1−42並びにPS−1、Nicas、BACE、APH−1およびPEN−2などのAβ処理酵素のレベルを標準的方法を用いて測定した。具体的には、Aβ1−42のレベルは、Invitrogen ELISAを用いて測定し、タンパク質レベルは、ウエスタンブロット分析および各タンパク質に特異的な抗体を用いて測定した。図30に示すように、Aβ1−42レベルは、薬物の投与を受けなかった被験体と比較して薬物の投与を受けた被験体において有意に低下した。PS−1、Nicasを含むいくつかのAβ処理酵素は、薬物の投与を受けなかった被験体と比較して薬物の投与を受けた被験体において有意に低下した。興味深いことに、BACE、APH−1およびPEN−2のレベルは、薬物の投与を受けなかった被験体と比較して薬物の投与を受けた被験体において増加した。
さらに、タウリン酸化に関与する酵素レベルについても被験体の前頭葉検体において検討した。図31に示すように、リン酸化p−Akt、p−GSK−3βおよびp−ROCKのレベルはすべて、薬物の投与を受けなかった被験体と比較して薬物の投与を受けた被験体において増加した。Akt、GSK−3βおよびROCKの総タンパク質レベルは、薬物の投与を受けた被験体と受けなかった被験体とで同等であった。上述のように、活性化p−Aktは、GSK−3βをリン酸化し、それが次に不活性化され、タウリン酸化を減少させる。これらの結果は、カルシウムチャネル遮断薬の使用によってタウリン酸化を減少させることができ、これがアルツハイマー病の処置に有用であるという結論と一致している。
このヒト関連試験で、カルシウムチャネル遮断薬の使用によりヒト患者におけるAβ1−42レベルおよび特定のAβ1−42処理酵素が減少し、タウリン酸化に関与する酵素が不活性化されると思われることが示され、カルシウムチャネル遮断薬がアルツハイマー病の処置に有効である可能性があることが分かった。
(実施例21)
ニトロソ−ニフェジピンは、カルシウム流入を増加させる
ニトロソ−ニフェジピンがカルシウムチャネル遮断薬として機能するか否かを決定するためにこの実験を行った。H4神経膠腫培養物に、5μM Fluo−4AMを30分間負荷し、ブドウ糖を有するLocke’sで3回洗浄し、ビヒクル、1μMニフェジピンまたは2.5μMニトロソ−ニフェジピンで1時間処理した。40μLの100mM KClの添加により細胞を脱分極し、脱分極に続いて共焦点顕微鏡法により、30秒間カルシウムレベルを定量化した(3つのディッシュ/処置に対して、n=75〜100細胞/ディッシュ)。予想通り、ニフェジピンは、脱分極後のCa流入において有意な低減をもたらした。対照的に、ニトロソ−ニフェジピンでの処理は、脱分極後のCa流入において有意な増加をもたらした(図32)。
したがって、この実施例は、ニフェジピンとは異なり、ニトロソ−ニフェジピンは、カルシウムチャネル遮断薬として機能しないことを実証している。驚くべきことに、ニトロソ−ニフェジピンはカルシウム流入を増加させる。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、ニトロソ−ニフェジピンおよびその誘導体は、カルシウムチャネルの遮断とは無関係な新規の機序を介して、MCIまたはアルツハイマー病を処置することが企図される。
(実施例22)
ニトロソニフェジピンの合成
この実施例においてはニトロソニフェジピンを合成するために光化学的合成を用いた。具体的には、ニフェジピン(20mg)をパイレックス(登録商標)製培養チューブ中で10mLのアセトニトリルに溶解し、蓋をし、250Wハロゲンランプ(3M EVW)で30分間光分解した。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去することにより生成物を分離して、青緑色油(18.1mg、収率94%)を得た。GC/MS分析により、ニトロソニフェジピンへの98.5%を超える変換が示された。具体例としての結果を図33に示す。
(実施例23)
NFD−L1の合成
5mLのエタノール中に溶解したニトロソ−ニフェジピン(10mg、30.5μmol)を、5mLの水に溶解したグルタチオン(93mg、305μmol)と混合し、37℃で2時間反応させた。2時間後、水を添加し、生成物を酢酸エチルで抽出した。溶媒を回転式エバポレータで除去することによって、白色固体として、約85%の収率でNFD−L1を得た(>95%純度)。例示的質量スペクトルを図34に示す。
(実施例24)
ヒト患者の処置
MMSEスコアに基づいてMCIを有すると判定されたヒト患者にニトロソニフェジピンを1日当たり1000mgの用量で投与する。ニトロソニフェジピンを1日3回患者による経口投与用の錠剤として与える。
CDRスコアに基づいて早期アルツハイマー病(EAD)を有すると判定された別のヒト患者にニトロソニフェジピンを1日当たり800mgの用量で投与する。ニトロソニフェジピンを1日3回患者による経口投与用の錠剤として与える。
患者から得られる流体試料中のPDS/TTR複合体のレベルに基づいてMCIを有すると判定されたヒト患者にニトロソニフェジピンを1日当たり1000mgの用量で投与する。ニトロソニフェジピンを1日4回患者による経口投与用の錠剤として与える。
同等のもの
前述のものは、本発明の特定の非限定的実施形態の記述であった。当業者は、本明細書で述べた本発明の特定の実施形態と多くの同等のものを認識する、または常用の実験のみを用いて確認することができるであろう。当業者は、以下の特許請求の範囲に定義するような本発明の精神または範囲から逸脱することなく、この記述の様々な変更および修正を行うことができることを理解するであろう。
特許請求の範囲において、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」などの冠詞は、特に反対のことを示さない限り、または特に文脈から明らかでない限り、1つ以上を意味することがある。群の1つ以上のメンバーの間に「または(or)」を含む請求項または記述は、特に反対のことを示さない限り、または特に文脈から明らかでない限り、群メンバーの1つ、複数またはすべてが所定の生成物若しくはプロセスに存在し、用いられている、または他の状態で関連する場合、満足されていると見なされる。本発明は、群の厳密に1つのメンバーが所定の生成物若しくはプロセスに存在し、用いられている、または他の状態で関連する実施形態を含む。本発明はまた、群メンバーの複数またはすべてが所定の生成物若しくは方法に存在し、用いられている、または他の状態で関連する実施形態を含む。さらに、本発明は、1つ若しくは複数の請求項からのまたは記述の関連部分からの1つ以上の制限、要素、語句、記述用語等が別の請求項に導入されている、すべての変化、組合せおよび並べ替えを包含することを理解すべきである。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項は、同じ基本請求項に従属する別の任意の請求項に見いだされる1つ以上の制限を含むように修正することができる。さらに、請求項が組成物を列挙している場合、特に示さない限り、または矛盾若しくは不一致が生ずることが当業者に明らかでない限り、本明細書で開示した目的のいずれかのために組成物を使用する方法が含まれ、本明細書で開示した調製する方法のいずれかまたは当技術分野で公知の他の方法に従って組成物を作製する方法が含まれることを理解すべきである。さらに、本発明は、本明細書で開示した組成物を調製する方法のいずれかに従って調製された組成物を包含する。
要素が例えば、マーカッシュ群記載形式でリストとして表されている場合、要素の各サブグループも開示され、いずれかの要素(単数または複数)を群から除去することができることを理解すべきである。「含む(comprising)」という用語は、開かれていることを意図し、追加の要素またはステップを含めることを許容することも指摘される。一般的に、本発明または本発明の態様が特定の要素、特徴、ステップ等を含むと見なされる場合、本発明の特定の実施形態または本発明の態様は、そのような要素、特徴、ステップ等からなるまたはから本質的になることを理解すべきである。簡単の目的のために、それらの実施形態は、本明細書にこれらの語で具体的に示さなかった。したがって、1つ以上の要素、特徴、ステップ等を含む本発明の各実施形態について、本発明は、それらの要素、特徴、ステップ等からなるまたはから本質的になる実施形態も提供する。
範囲を示す場合、端点が含まれる。さらに、特に示さない限り、或いは文脈および/または当業者の理解から特に明らかでない限り、範囲として表されている値は、文脈上別の状態であることが明確に示されない限り、範囲の下限の単位の10分の1までの、本発明の異なる実施形態における表示された範囲内の任意の特定の値をとり得ることを理解すべきである。特に示さない限り、或いは文脈および/または当業者の理解から特に明らかでない限り、範囲として表されている値は、所定の範囲内の任意の部分範囲をとり得、部分範囲の端点は、範囲の下限の単位の10分の1と同じ程度の精度で表されることも理解すべきである。
さらに、本発明の任意の特定の実施形態はいずれも、いずれか1つ以上の請求項から明示的に除外することができることを理解すべきである。本発明の組成物および/または方法の実施形態、要素、特徴、適用または態様はいずれも、いずれか1つ以上の請求項から除外することができる。簡潔の目的のために、1つ以上の要素、特徴、目的または態様が除外されている実施形態のすべては、本明細書に明示的に示さない。
参考文献の組込み
本願で引用したすべての刊行物および特許文書は、あたかもそれぞれ個々の刊行物または特許文書の内容が本願に組み込まれたかのようなものと同じ程度にそれらの全体として参照により組み込まれている。

Claims (164)

  1. ニフェジピン、酸化ニフェジピン、ニトロソ−ニフェジピン、ラクタム、チロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)およびそれらの組合せからなる群から選択される、治療上有効量の薬剤、ならびに薬学的に許容されるキャリアを含む、ヒト被験体における神経疾患を処置するのに適する医薬組成物。
  2. 前記神経疾患が神経変性疾患である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 神経変性疾患を処置することが、軽度認知障害(MCI)および/またはアルツハイマー病を処置し、遅らせ、または予防することを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 前記薬剤がカルシウムチャネル遮断薬ではない、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  5. 前記薬剤がカルシウム流入を増加させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  6. 前記薬剤がニフェジピンを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  7. 前記薬剤が酸化ニフェジピンを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  8. 前記薬剤がニトロソ−ニフェジピンを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  9. 前記薬剤がラクタムを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  10. 前記ラクタムが式(Ic)の化合物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. 前記ラクタムが式(Ic−i)の化合物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  12. 前記ラクタムがNFD−L1である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  13. 前記薬剤が、ニトロソ−ニフェジピン、酸化ニフェジピン、およびニフェジピンの混合物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  14. 前記混合物が、55%のニトロソ−ニフェジピン、11%の酸化ニフェジピン、および34%のニフェジピンを含む、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. 前記薬剤が、ニトロソ−ニフェジピンおよびラクタムの混合物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  16. 前記ラクタムが式(Ic)または(Ic−i)の化合物である、請求項15に記載の医薬組成物。
  17. 前記ラクタムがNFD−L1である、請求項15に記載の医薬組成物。
  18. 前記薬剤が、ラクタム、酸化ニフェジピン、およびニフェジピンの混合物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  19. 前記ラクタムが式(Ic)または(Ic−i)の化合物である、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 前記ラクタムがNFD−L1である、請求項18に記載の医薬組成物。
  21. 前記薬剤がチロキシン(T4)および/またはトリヨードサイロニン(T3)をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  22. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約1000mgの範囲にわたる、前記請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  23. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約200mgの範囲にわたる、請求項22に記載の医薬組成物。
  24. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約100mgの範囲にわたる、請求項22に記載の医薬組成物。
  25. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約50mgの範囲にわたる、請求項22に記載の医薬組成物。
  26. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約10mgの範囲にわたる、請求項22に記載の医薬組成物。
  27. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約5mgの範囲にわたる、請求項22に記載の医薬組成物。
  28. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約2.5mgの範囲にわたる、請求項22に記載の医薬組成物。
  29. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約2.0mgの範囲にわたる、請求項22に記載の医薬組成物。
  30. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約1.5mgの範囲にわたる、請求項22に記載の医薬組成物。
  31. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約1.0mgの範囲にわたる、請求項22に記載の医薬組成物。
  32. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約0.5mgの範囲にわたる、請求項22に記載の医薬組成物。
  33. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約0.1mgの範囲にわたる、請求項22に記載の医薬組成物。
  34. 前記治療上有効量が、ヒト被験体において有害事象を誘発するには不十分である、前記請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  35. 前記有害事象が肝臓毒性である、請求項34に記載の医薬組成物。
  36. 前記薬剤がニトロソ−ニフェジピンであり、前記治療上有効量が1用量当たり約10mg〜約2.5gの範囲にわたる、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  37. 前記薬剤がニトロソ−ニフェジピンであり、前記治療上有効量が、肝臓毒性を誘発するには不十分である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  38. 経口、皮下、静脈内、経皮、腹腔内、筋肉内、脳室内、実質内、髄腔内、頭蓋内、口腔内、粘膜、鼻、および直腸投与からなる群から選択される経路による投与のために製剤化されている、前記請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  39. 経口投与のために製剤化されている、前記請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  40. 即時放出用に製剤化されている、前記請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  41. 延長放出用に製剤化されている、請求項1から39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  42. ヒト被験体における神経疾患を処置し、遅らせ、または予防するための方法であって、
    神経疾患に関連する少なくとも1つの症状または特徴が、存在度、強さ、重症度、または頻度において減少し、または発現の遅延を有するように、神経疾患に罹患している、または罹患しやすい被験体に、ニフェジピン、酸化ニフェジピン、ニトロソ−ニフェジピン、ラクタム、チロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)およびそれらの組合せからなる群から選択される、治療上有効量の薬剤を投与するステップを含む方法。
  43. 前記神経疾患が神経変性疾患である、請求項42に記載の方法。
  44. 前記神経変性疾患が軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病である、請求項43に記載の方法。
  45. 前記薬剤がカルシウムチャネル遮断薬ではない、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記薬剤がカルシウム流入を増加させる、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記少なくとも1つの症状または特徴が認知機能低下である、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記少なくとも1つの症状または特徴がアミロイドベータタンパク質の産生である、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記アミロイドベータタンパク質の産生が、Aβ1−40の産生を含む、請求項48に記載の方法。
  50. 前記アミロイドベータタンパク質の産生が、Aβ1−42の産生を含む、請求項48に記載の方法。
  51. 前記アミロイドベータタンパク質の産生が、アルファ−セクレターゼ活性を増加させることにより減少する、請求項48から50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記アルファ−セクレターゼ活性がADAM−10活性である、請求項51に記載の方法。
  53. 前記少なくとも1つの症状または特徴がベータ−セクレターゼ活性である、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記少なくとも1つの症状または特徴がガンマ−セクレターゼ活性である、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記ガンマ−セクレターゼ活性が、プレセニリン−1(PS−1)、ニカストリン、APH−1および/またはPEN−2活性を阻害することによって減少する、請求項54に記載の方法。
  56. 前記ガンマ−セクレターゼ活性が、オーファンG共役受容体3(GPCR−3)活性を阻害することによって減少する、請求項54に記載の方法。
  57. 前記少なくとも1つの症状または特徴が、対らせん状細線維の形成である、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記少なくとも1つの症状または特徴が、脳内のリン酸化タウタンパク質である、請求項57に記載の方法。
  59. 前記少なくとも1つの症状または特徴が、中枢神経系における免疫または炎症状態である、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記免疫または炎症状態が、中枢神経系における1つ以上のサイトカインのレベルを低減させることにより減少する、請求項59に記載の方法。
  61. 前記1つ以上のサイトカインがIL−1を含む、請求項60に記載の方法。
  62. 前記1つ以上のサイトカインがIL−6を含む、請求項60に記載の方法。
  63. 前記1つ以上のサイトカインがTNF−αを含む、請求項59に記載の方法。
  64. 前記薬剤がニフェジピンを含む、請求項42から63のいずれか一項に記載の方法。
  65. 前記薬剤が酸化ニフェジピンを含む、請求項42から63のいずれか一項に記載の方法。
  66. 前記薬剤がニトロソ−ニフェジピンを含む、請求項42から63のいずれか一項に記載の方法。
  67. 前記薬剤がラクタムを含む、請求項42から63のいずれか一項に記載の方法。
  68. 前記ラクタムが式(Ic)または(Ic−i)の化合物である、請求項67に記載の方法。
  69. 前記ラクタムがNFD−L1である、請求項67に記載の方法。
  70. 前記薬剤が、ニトロソ−ニフェジピン、酸化ニフェジピン、およびニフェジピンの混合物を含む、請求項42から63のいずれか一項に記載の方法。
  71. 前記混合物が、55%のニトロソ−ニフェジピン、11%の酸化ニフェジピン、および34%のニフェジピンを含む、請求項70に記載の方法。
  72. 前記薬剤が、ニトロソ−ニフェジピンおよびラクタムの混合物を含む、請求項42から63のいずれか一項に記載の方法。
  73. 前記ラクタムが式(Ic)または(Ic−i)の化合物である、請求項72に記載の方法。
  74. 前記ラクタムがNFD−L1である、請求項72に記載の方法。
  75. 前記薬剤が、ラクタム、酸化ニフェジピン、およびニフェジピンの混合物を含む、請求項42から63のいずれか一項に記載の方法。
  76. 前記ラクタムが式(Ic)または(Ic−i)の化合物である、請求項75に記載の方法。
  77. 前記ラクタムがNFD−L1である、請求項75に記載の方法。
  78. 前記薬剤がチロキシン(T4)および/またはトリヨードサイロニン(T3)をさらに含む、請求項64から77のいずれか一項に記載の方法。
  79. 前記薬剤の前記治療上有効量が、ヒト被験体の脳内のグルタメートトランスポーターレベルを増加させるのに十分である、請求項42から78のいずれか一項に記載の方法。
  80. 前記グルタメートトランスポーターレベルが、神経膠のグルタメートトランスポーターEAAT2レベルである、請求項79に記載の方法。
  81. 前記治療上有効量が、ヒト被験体において有害事象を誘発するには不十分である、請求項42から80のいずれか一項に記載の方法。
  82. 前記ヒト被験体における前記有害事象が肝臓毒性である、請求項81に記載の方法。
  83. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約1000mgの範囲にわたる、請求項42から82のいずれか一項に記載の方法。
  84. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約200mgの範囲にわたる、請求項83に記載の方法。
  85. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約100mgの範囲にわたる、請求項84に記載の方法。
  86. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約50mgの範囲にわたる、請求項84に記載の方法。
  87. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約10mgの範囲にわたる、請求項84に記載の方法。
  88. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約5mgの範囲にわたる、請求項84に記載の方法。
  89. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約2.5mgの範囲にわたる、請求項84に記載の方法。
  90. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約2.0mgの範囲にわたる、請求項84に記載の方法。
  91. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約1.5mgの範囲にわたる、請求項84に記載の方法。
  92. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約1.0mgの範囲にわたる、請求項84に記載の方法。
  93. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約0.5mgの範囲にわたる、請求項84に記載の方法。
  94. 前記治療上有効量が、1用量当たり約0.01〜約0.1mgの範囲にわたる、請求項84に記載の方法。
  95. 前記薬剤がニトロソ−ニフェジピンであり、前記治療上有効量が1用量当たり約10mg〜約2.5gの範囲にわたる、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
  96. 前記薬剤がラクタムであり、前記治療上有効量が1用量当たり約10mg〜約2.5gの範囲にわたる、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
  97. 前記ラクタムが式(Ic)または(Ic−i)の化合物である、請求項96に記載の方法。
  98. 前記ラクタムがNFD−L1である、請求項96に記載の方法。
  99. 前記薬剤を、経口、皮下、静脈内、経皮、腹腔内、筋肉内、脳室内、実質内、髄腔内、頭蓋内、口腔内、粘膜、鼻、および直腸投与からなる群から選択される経路により投与する、請求項42から98のいずれか一項に記載の方法。
  100. 前記薬剤を、経口投与により投与する、請求項42から100のいずれか一項に記載の方法。
  101. 前記薬剤を月1回投与する、請求項42から100のいずれか一項に記載の方法。
  102. 前記薬剤を隔週に投与する、請求項42から100のいずれか一項に記載の方法。
  103. 前記薬剤を週1回投与する、請求項42から100のいずれか一項に記載の方法。
  104. 前記薬剤を毎日投与する、請求項42から100のいずれか一項に記載の方法。
  105. 前記薬剤を1日2回投与する、請求項42から100のいずれか一項に記載の方法。
  106. 前記薬剤を1日3回投与する、請求項42から100のいずれか一項に記載の方法。
  107. 前記薬剤を1日4回投与する、請求項42から100のいずれか一項に記載の方法。
  108. 前記被験体が、対照と比較して異常なレベルのバイオマーカーを有し、該バイオマーカーが、
    トランスサイレチンタンパク質および/またはプロスタグランジン−H2 D−イソメラーゼタンパク質のうちの少なくとも1つ、ならびに
    トランスサイレチン、プロスタグランジン−H2 D−イソメラーゼ、ベータ−2−ミクログロブリン、シスタチンC、スーパーオキシドジスムターゼ[Cu−−Zn]、血漿レチノール結合タンパク質、ホスファチジルエタノールアミン結合タンパク質、カルボニックアンヒドラーゼ2、および/またはセロトランスフェリンタンパク質から選択される、少なくとも1つの第2の異なるタンパク質
    を含む、請求項42から107のいずれか一項に記載の方法。
  109. 前記バイオマーカーが、プロスタグランジン−D2−シンターゼおよびトランスサイレチン(PDS/TTR複合体)を含む、請求項108に記載の方法。
  110. 前記被験体が、対照と比較して異常なレベルのバイオマーカーを有し、該バイオマーカーが、(i)ベータアミロイド40(Aβ40)、(ii)ベータアミロイド42(Aβ42)、(iii)Aβ40とAβ42との比、および(iv)リン酸化タウと総タウの比のうちの1つ以上を含む、請求項42から107のいずれか一項に記載の方法。
  111. 前記バイオマーカーが、前記被験体から得られる液性試料中で測定される、請求項108から110のいずれか一項に記載の方法。
  112. 前記液性試料が、CSF、血清、全血、血漿、尿、腹水、唾液、組織滲出液、洗浄液、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項111に記載の方法。
  113. 前記対照が、健常個体、所定の病期を有するアルツハイマー病に罹患した患者、処置前の被験体、およびそれらの組合せからなる群から選択される被験体における前記バイオマーカーのレベルを示す、請求項108から112のいずれか一項に記載の方法。
  114. 前記被験体が、前記対照と比較して前記バイオマーカーの低いレベルを有する、請求項108から113のいずれか一項に記載の方法。
  115. 前記被験体が、前記対照と比較して前記バイオマーカーの高いレベルを有する、請求項108から113のいずれか一項に記載の方法。
  116. 前記バイオマーカーの前記異常なレベルに基づき、前記薬剤の前記治療上有効量を最初に決定するステップをさらに含む、請求項108から115のいずれか一項に記載の方法。
  117. 前記被験体が認知障害を示す試験スコアを有する、請求項108から116のいずれか一項に記載の方法。
  118. 前記試験スコアがMMSE(ミニメンタルステータス検査)スコアである、請求項117に記載の方法。
  119. 前記MMSEスコアが27より低い、請求項118に記載の方法。
  120. 前記MMSEスコアが21〜26の範囲にわたる、請求項119に記載の方法。
  121. 前記試験スコアが臨床的認知症尺度(CDR)スコアである、請求項117に記載の方法。
  122. 前記CDRスコアが0を超える、請求項121に記載の方法。
  123. 前記CDRスコアが0.5または1である、請求項122に記載の方法。
  124. ニトロソ−ニフェジピンおよびニフェジピンを含み、ニトロソ−ニフェジピンとニフェジピンの質量比が少なくとも約1:1である、固形経口剤形。
  125. ニトロソ−ニフェジピンとニフェジピンの質量比が少なくとも約2:1である、請求項124に記載の固形経口剤形。
  126. ニトロソ−ニフェジピンとニフェジピンの質量比が少なくとも約4:1である、請求項124に記載の固形経口剤形。
  127. ニトロソ−ニフェジピンとニフェジピンの質量比が少なくとも約8:1である、請求項124に記載の固形経口剤形。
  128. ニトロソ−ニフェジピンとニフェジピンの質量比が少なくとも約16:1である、請求項124に記載の固形経口剤形。
  129. ニトロソ−ニフェジピンとニフェジピンの質量比が少なくとも約32:1である、請求項124に記載の固形経口剤形。
  130. ニトロソ−ニフェジピンとニフェジピンの質量比が少なくとも約64:1である、請求項124に記載の固形経口剤形。
  131. ニトロソ−ニフェジピンとニフェジピンの質量比が少なくとも約100:1である、請求項124に記載の固形経口剤形。
  132. ニトロソ−ニフェジピンとニフェジピンの質量比が少なくとも約200:1である、請求項124に記載の固形経口剤形。
  133. ニトロソ−ニフェジピンとニフェジピンの質量比が少なくとも約500:1である、請求項124に記載の固形経口剤形。
  134. ニトロソ−ニフェジピンとニフェジピンの質量比が少なくとも約1000:1である、請求項124に記載の固形経口剤形。
  135. ラクタムおよびニフェジピンを含み、ラクタムとニフェジピンの質量比が少なくとも約1:1である、固形経口剤形。
  136. ラクタムとニフェジピンの質量比が少なくとも約2:1である、請求項136に記載の固形経口剤形。
  137. ラクタムとニフェジピンの質量比が少なくとも約4:1である、請求項136に記載の固形経口剤形。
  138. ラクタムとニフェジピンの質量比が少なくとも約8:1である、請求項136に記載の固形経口剤形。
  139. ラクタムとニフェジピンの質量比が少なくとも約16:1である、請求項136に記載の固形経口剤形。
  140. ラクタムとニフェジピンの質量比が少なくとも約32:1である、請求項136に記載の固形経口剤形。
  141. ラクタムとニフェジピンの質量比が少なくとも約64:1である、請求項136に記載の固形経口剤形。
  142. ラクタムとニフェジピンの質量比が少なくとも約100:1である、請求項136に記載の固形経口剤形。
  143. ラクタムとニフェジピンの質量比が少なくとも約200:1である、請求項136に記載の固形経口剤形。
  144. ラクタムとニフェジピンの質量比が少なくとも約500:1である、請求項136に記載の固形経口剤形。
  145. ラクタムとニフェジピンの質量比が少なくとも約1000:1である、請求項136に記載の固形経口剤形。
  146. 前記ラクタムがNFD−L1である、請求項136から145のいずれか一項に記載の固形経口剤形。
  147. 1つ以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項136から146のいずれかに記載の固形経口剤形。
  148. 前記1つ以上の薬学的に許容される賦形剤が、結合剤、緩衝剤、希釈剤、分散剤、皮膚軟化剤、被膜形成剤、滑剤、光遮断剤、保存剤、溶媒、安定化剤、界面活性剤、懸濁化剤、および/または等張化剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項147に記載の固形経口剤形。
  149. 延長放出用に製剤化されている、請求項136から148のいずれか一項に記載の固形経口剤形。
  150. 即時放出用に製剤化されている、請求項136から148のいずれか一項に記載の固形経口剤形。
  151. 式(Ic)の化合物:
    Figure 2013526518
    または薬学的に許容されるその塩
    (式中、
    およびRは、独立して、C1−6脂肪族、C1−6ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、またはシアノから選択される、必要に応じて置換されている基であり、
    は、C1−6脂肪族、C1−6ヘテロ脂肪族またはアリールから選択される、必要に応じて置換されている基であり、
    は、ハロゲン、必要に応じて置換されているC1−6脂肪族、必要に応じて置換されているC1−6ヘテロ脂肪族、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、ニトロ、またはニトロソであり、
    nは、0、1、2、または3である)。
  152. 式(Ic−i)の化合物:
    Figure 2013526518
    または薬学的に許容されるその塩
    (式中、
    およびRは、独立して、C1−6脂肪族またはシアノであり、
    は、C1−6脂肪族であり、
    は、ハロゲン、C1−6脂肪族、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、ニトロ、またはニトロソであり、
    nは、0、1、2、または3である)
    である、請求項151に記載の化合物。
  153. がメチルである、請求項151に記載の化合物。
  154. がメチルである、請求項151に記載の化合物。
  155. およびRがメチルである、請求項151に記載の化合物。
  156. がメチルである、請求項151に記載の化合物。
  157. nが0である、請求項151に記載の化合物。
  158. NFD−L1である、請求項151に記載の化合物。
  159. 請求項151から158のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物。
  160. 神経疾患に罹患している、または罹患しやすい被験体に、請求項151から158のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含む、ヒト被験体における神経疾患を処置し、遅らせ、または予防する方法。
  161. 前記神経疾患が神経変性疾患である、請求項160に記載の方法。
  162. 前記神経変性疾患が軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病である、請求項161に記載の方法。
  163. ヒト被験体におけるベータセクレターゼ(BACE)を阻害する方法であって、該ヒト被験体に請求項151から158のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含む方法。
  164. ヒト被験体の中枢神経系における炎症状態を調節する方法であって、該ヒト被験体に請求項151から158のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含む方法。
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