JP2013523807A - Pi3kにより誘発される癌のためのバイオマーカー - Google Patents
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Abstract
mTORC2複合体がターンモチーフスレオニンでのPKN3のリン酸化の調節において役割を有するという発見、およびバイオマーカーとしての、PKN3のターンモチーフスレオニンのリン酸化状態の使用が開示される。いくつかの実施形態において、PKN3のターンモチーフスレオニンのリン酸化状態は、抗リン酸化T860抗体などの、PKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンに特異的に結合する抗体を用いて決定される。いくつかの実施形態において、本発明は、癌治療の可能性を有する化合物をスクリーニングするための方法、癌を診断するための方法、癌に罹患している患者の予後を決定するための方法、臨床試験において患者を層別化するための方法、癌に罹患10している患者を治療するための方法、および特定の治療レジメンの有効性を決定するための方法に関する。
Description
本願は、その両方が参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、2010年4月5日に出願された米国特許出願第61/320,963号、および2010年4月8日に出願された米国特許出願第61/322,071号の利益を主張する。
本願は、癌を治療するため、または癌治療のための取り組みにおいて患者を層別化するために、癌患者を選択する方法を対象とする。詳細には、本願は、特定の癌治療法に応答し得る患者を同定または層別化するためのバイオマーカーとしての、PKN3タンパク質内のヘリックスターン座にあるリン酸化されたスレオニンの使用に関する。
効果的な癌治療法の開発は、疾患の根底にある分子メカニズムの解明、および新たな薬剤の開発において有用であり得るこれらのメカニズム内の標的分子の同定にますます依存してきている。このような標的分子が利用可能となると、薬剤候補化合物をこれらの標的に対して試験することができる。多くのケースにおいて、このような薬剤候補は、合成化合物または天然化合物からなり得る化合物ライブラリーのメンバーである。
特に侵襲性の形態の癌に関与する新たな分子標的を同定して、新たな治療用化合物および治療レジメンを同定および有効性確認できるようにすることが、大いに必要とされている。
多くの形態の癌は、異常に活性なホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)経路を伴う。異常なPI3K経路活性は、通常、PTEN腫瘍抑制因子の喪失および/またはPI3Kにおける活性化突然変異によって生じると考えられている。最近、Guertinらによって、mTOR複合体2(mTORC2)が、PI3Kと共にAktを共活性化し、マウスにおいて腫瘍を形成するためにPTEN欠損ヒト前立腺上皮細胞に必要であることが示されている(Guertinら、Cancer Cell 15:148〜159、2009)。mTORC2は、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼFK506結合タンパク質−12−ラパマイシン関連タンパク質1(別名、ラパマイシンの哺乳動物標的、mTOR)、mLST8/GβL、Rictor、SIN1、およびPROTOR/PRR5を包含する。
したがって、mTORC2経路の上流および下流の構成要素の解明によって、PI3K経路を伴う特定の形態の癌を治療するための、mTORC2活性に影響する作用物質の発見および展開が増強される。
本発明者らは、驚くべきことに、mTORC2が、T860の位置を通常割り当てられるPKN3のターンモチーフスレオニンをリン酸化することによって、PKN3の活性化に関与することを発見した。
一態様において、本発明は、癌に罹患している患者を治療する方法であって、(a)患者から腫瘍試料を得るステップ、(b)腫瘍試料におけるPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化のレベル(「試験レベル」)を決定するステップ、(c)試験レベルをPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化の参照レベル(「参照レベル」)と比較するステップ、および(d)細胞におけるmTORC2経路活性を低下させる癌治療用化合物を患者に投与するステップを含む方法を提供する。比較ステップの結果に基づいて、患者は、癌治療を受けるよう選択される。
第2の態様において、本発明は、細胞におけるmTORC2経路活性を低下させる癌治療薬に応答し得る患者を選択するための方法であって、(a)患者から腫瘍試料を得るステップ、(b)腫瘍試料におけるPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化のレベル(「試験レベル」)を決定するステップ、(c)試験レベルをPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化の参照レベル(「参照レベル」)と比較するステップ、および(d)癌治療薬での治療について患者を選択するステップを包含する方法を提供する。図形または文書の形態でエンドユーザーに提示され得る比較の結果に基づいて、医師は、患者が癌治療に応答し得るかどうかを決定し、その決定に基づいて患者を選択する。
第3の態様において、本発明は、患者における癌治療での化合物の有効性を決定するための方法であって、(a)細胞におけるmTORC2経路活性を低下させる癌治療用化合物を患者に投与するステップ、(b)投与ステップ後の時点で患者から試験腫瘍試料(「試験試料」)を得るステップ、(c)試験試料におけるPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化のレベル(「試験レベル」)を決定するステップ、および(d)試験レベルをPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンの参照レベルのリン酸化(「参照レベル」)と比較するステップを包含する方法を提供する。エンドユーザーに提示され得る比較の結果に基づいて、医師は、化合物が患者における癌の改善に対して何らかの効果を有していたかを決定する。
3つの前述の態様の一実施形態において、ターンモチーフのリン酸化の参照レベルおよび試験レベルは、PKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンに特異的に結合する抗体を用いてそれぞれ決定される。いくつかの実施形態において、PKN3タンパク質は、ターンモチーフスレオニンが残基番号860のスレオニン(「T860」)である配列番号1に類似または同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、PKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンに特異的に結合する抗体は、抗リン酸化T860抗体である。抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。
前述の態様のいくつかの実施形態において、ターンモチーフスレオニンのリン酸化の参照レベルは、患者の非癌性組織において見られるPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化レベル、または、いくつかの患者、ドナー、もしくは組織タイプから得られる非癌性組織において見られる平均レベルである。他の実施形態において、参照レベルは、mTORC2活性を伴うことが知られている特に侵襲性の形態の癌において見られるレベル、またはいくつかの供給源から得られる癌におけるレベルの平均である。さらに他の実施形態において、参照レベルは任意のレベルであり、これは、いくつかの実施形態において、所与の薬剤に対する患者の臨床応答に基づくか、またはエクスビボでの細胞応答に基づくか、または特定の患者群の応答に基づく。
第3の態様のいくつかの実施形態において、ターンモチーフスレオニンのリン酸化の参照レベルは、癌治療用化合物の投与前に患者から得られる腫瘍試料において見られるPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化レベルである。
第4の態様において、本発明は、細胞におけるmTORC2経路活性を低下させる癌治療用化合物に応答し得る患者の選択における抗リン酸化T860抗体の使用を提供し、抗リン酸化T860抗体は、PKN3タンパク質のリン酸化されたターンモチーフスレオニンに結合する。
第4の態様のいくつかの実施形態において、抗リン酸化T860抗体は、ポリクローナル抗体である。他の実施形態において、抗リン酸化T860抗体は、モノクローナル抗体である。
第4の態様のいくつかの実施形態において、患者は、細胞におけるmTORC2経路活性を低下させる癌治療用化合物の安全性および/または有効性を決定するための臨床試験への参加について選択される。
いずれかの前述の態様のいくつかの実施形態において、mTORC2経路活性は、PKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化である。他の実施形態において、mTORC2経路活性は、Rho GTPaseの活性化である。さらに他の実施形態において、mTORC2経路活性は、Aktのリン酸化である。
いずれかの前述の態様のいくつかの実施形態において、癌治療用化合物は、前立腺癌を含む、PI3Kにより誘発される癌に対して標的化されている。
PKN3の触媒活性には、2つの保存された部位、すなわち、PDK1によってリン酸化される可能性が高い、その活性化ループ内のスレオニン(例えば「T718」)、およびこれまで知られていない上流のキナーゼによってリン酸化される、そのターンモチーフ内のスレオニン(例えば「T860」)での、そのキナーゼドメイン内のリン酸化事象が必要であることが一般に知られている。PKN3のターンモチーフスレオニンのリン酸化に関与する未知のキナーゼを解明するための試みにおいて、出願人らは、ヒトPKN3のスレオニン860(T860)にあるターンモチーフリン酸化部位に対する活性化状態の特異的抗体を生じさせ、この抗体を利用して、PKN3を活性化するメカニズムを突き止めた。この抗体を用いて、ドキシサイクリン応答性の細胞系におけるPKN3の状態を調べた。
出願人らは、驚くべきことに、両部位でのPKN3のリン酸化が、PKN3の固有のキナーゼ活性には依存せず、PKN3のヌクレオチド結合ポケットの活性な立体構造に依存するということを発見した。PKN3のキナーゼ不活性な突然変異体は、そのATP結合ポケットがPKN3のATP競合阻害剤によって占められていない限り、これらの部位ではリン酸化されないことが発見された。さらに、T860抗体と組み合わせてキナーゼ不活性な酵素のこの特性を調べることにより、出願人らは、驚くべきことに、ラパマイシン複合体2の哺乳動物標的(「mTORC2」)が、ターンモチーフ部位(T860)でのPKN3のリン酸化に必要であること、およびこのリン酸化事象が腫瘍形成におけるその機能に必要である可能性が高いことを発見した。
したがって、出願人らは、リン酸化状態に特異的なT860抗体を、患者の層別化および治療的応答のモニタリングのための重要なバイオマーカーツールとして用いることを構想する。出願人らはさらに、キナーゼ欠損PKN3(「PKN3kd」)変異体がリン酸化T860抗体と組み合わされた活性な触媒性の中央立体構造を取ることを可能にする、上記のアッセイ系を、癌治療の可能性を有するmTORC2特異的な阻害剤を同定するための、細胞に基づいたロバストなスクリーニングレジメンとして用いることを構想する。
PKN3は、889アミノ酸残基長のセリン/スレオニンタンパク質キナーゼである(ヒトオルソログ)。これは、それぞれ残基15〜77、97〜170、および184〜236付近に位置する、3つの逆平行コイルドコイル(ACC)ドメインであるACC1、ACC2、およびACC3を含む、N末端推定調節領域;残基559〜882に位置するC末端触媒領域;ならびに推定調節ドメインと触媒ドメインとの間に位置する、約100から130残基長のC2様ドメインを有する。哺乳動物には、少なくとも3つの異なるPKNアイソフォーム(PKN1/PKNα/PAK−1/PRK−1、PKN2/PRK2/PAK−2/PKNγ、およびPKN3/PKNβ)が存在し、そのそれぞれは、異なる酵素学的特性、組織分布、および様々な機能を示す。PKNの概説については、Mukai,H.、J.Biochem.133:17〜27、2003を参照されたい。また、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、2004年6月3日に公開された米国特許出願第20040106569号も参照されたい。
出願人らは、これまでに、侵襲性および薬剤耐性が増大した癌細胞においてPKN3が上方調節されていることを示している(参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、同時係属している米国仮特許出願第61/159,739号および米国仮特許出願第61/226,078号のそれぞれ図1および図2を参照されたい)。侵襲性の増大とは、癌細胞が転移性であるか、転移する可能性が高いか、増殖速度が増大しているか、または薬剤耐性であることを意図する。侵襲性の癌は、例えば、トリプルネガティブ乳癌(例えば、Dentら、Clinical Cancer Research 13:4429〜4434、Aug.1、2007を参照されたい)によって例示される。侵襲性の癌はまた、mTORC2/PKN3/RhoC経路が関与している癌を包含する。
mTORC2および/またはPKN3(または活性のPKN3経路における他のエフェクター)の活性を阻害する化合物は、細胞の転移および増殖の挙動を制御するために用いることができ、したがって、腫瘍および癌、特に侵襲性の腫瘍および癌を治療する方法を提供することができる。mTORC2および/またはPKN3の活性によってもたらされるシグナル伝達および他の活性の低減は、mTORC2/PKN3経路の構成要素の1つまたは複数の、転写レベル、翻訳レベル、もしくは翻訳後修飾レベル(例えば、PKN3のリン酸化活性化)での低減、または四次構造形成(すなわち、PKN3を伴う三重複合体の形成)のレベルでの低減から生じ得る。
mTORC2がPKN3の活性化に、特に侵襲性の癌の病因に関与することから、ターンモチーフスレオニン(例えば、T860)でリン酸化されたPKN3は、予後マーカー、疾患病期診断マーカー、患者層別化マーカー、または、患者がmTORC2活性を標的化する癌治療用化合物に応答し得るかどうかについて細胞もしくはこのような種類の細胞を体内に有する患者の状態を診断するためのマーカーとして用いることができる。
PKN3は、PI3K誘導性の細胞の移動および浸潤の、発生的に調節されたメディエーターである。これは、Akt非依存的に、発現レベルおよび触媒活性レベルでPI3Kによって調節される。これは、発現パターンが制限されており(内皮細胞、胚細胞、および腫瘍細胞)、ほとんどの正常な細胞機能にとって必須ではない。これは、同所性マウスモデルにおける転移性PC−3(PTEN−/−)細胞の成長にとって必要である。
正常な細胞において、PI3キナーゼ(ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ)経路は、増殖因子の誘導および平行シグナル伝達経路に対するPI3キナーゼ活性によって特徴付けされる。細胞への増殖因子刺激によって、細胞膜でのその同族受容体が活性化し、これが次に、PI3キナーゼなどの細胞内シグナル伝達分子と会合して、これを活性化する。PI3キナーゼ(調節性のp85サブユニットおよび触媒性のp110サブユニットからなる)の活性化によって、リン酸化によるAktの活性化が生じ、これによって、増殖、生存、またはさらに下流への移動などの細胞応答が補助される。PTENは、したがって、ホスファチジルイノシトール(PI)3−キナーゼ経路に関与する腫瘍抑制因子であり、前記腫瘍抑制因子は、細胞の成長および形質転換の調節におけるその役割について過去に広く研究されている(概説については、例えば、Stein,R.C.およびWaterfield,M.D.Mol Med Today 6:347〜357、2000を参照されたい)。
腫瘍抑制因子PTENは、PI3キナーゼ触媒型の反応を逆転させることによってPI3キナーゼの負の調節因子として機能し、それによって、確実に、経路の活性化を一時的かつ制御された様式で生じさせる。PI3キナーゼシグナル伝達の慢性的な過剰活性化は、PTENの機能的不活化によって生じる。PI3キナーゼ活性は、低分子阻害剤LY294002を添加することによってブロックすることができる。平行経路で作用するシグナル伝達キナーゼMEKの活性および下流での応答は、例えば、低分子阻害剤PD98059によって阻害することができる。
PTEN機能の喪失を介する、PI3キナーゼ経路の慢性的な活性化は、腫瘍形成および転移の主な原因であり、このことは、この腫瘍抑制因子が、制御された細胞増殖について重要なチェックポイントであることを示す。PTENノックアウト細胞は、PI3キナーゼ経路が活性化形態のPI3キナーゼを介して慢性的に誘導されている細胞と、類似の特徴を示す。ホスファチジルイノシトール3−キナーゼの活性化は、細胞サイクルの開始にとって十分であり、発癌性の形質転換の特徴である細胞変化を促進する。
ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)は、細胞の成長、細胞増殖、細胞の運動性、細胞の生存、タンパク質合成、および転写を調節する、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼである。mTOR複合体2(mTORC2)は、mTOR、mTORのラパマイシン非感受性の同伴物(Rictor)、GβL、および哺乳動物のストレス活性化タンパク質キナーゼ相互作用タンパク質1(mSIN1)を包含する。mTORC2は、セリン残基S473でセリン/スレオニンタンパク質キナーゼAkt/PKBをリン酸化することが示されている。セリンのリン酸化は、PDK1によるスレオニンT308残基でのAktのリン酸化を刺激し、Aktを完全に活性化させる。mTORC2は、PTENに関連する癌の発生にとって重要であることが知られている(参照することによって本明細書に組み込まれる、Facchinettiら、EMBO J.2008 Jul 23;27(14):1932〜43;およびGuertinら、Cancer Cell.2009 Feb 3;15(2):148〜59を参照されたい)。
PI3キナーゼ経路の異常調節を伴う疾患および症状はよく知られている。したがって、これらの症状および疾患のいずれも、本発明の方法によって対処されてよく、薬剤および診断薬、その設計、スクリーニング、または製造が本明細書において教示される。限定ではなく説明のために、症状および疾患は以下のものである:子宮内膜癌、結腸直腸癌、神経膠腫、腺癌、子宮内膜の過形成、コーデン症候群、遺伝性の非ポリープ性の結腸直腸癌、リ・フラウメニ(Li−Fraumene)症候群、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、バナヤンゾナナ症候群、LDD(レルミット・デュクロス(Lhermitte−Duklo)症候群)、Cow疾患(CD)およびバナヤンライリールバルカバ症候群(BRR)を含む過誤腫大頭疾患、皮膚粘膜の病変(例えば、外毛根鞘腫)、大頭、精神遅滞、胃腸の過誤腫、脂肪腫、甲状腺腫、乳房の線維嚢胞性疾患、小脳の異形成神経節細胞腫、ならびに乳房および甲状腺の悪性腫瘍。
これを考慮して、活性化型のリン酸化されたPKN3およびその会合したエフェクター(例えば、mTORC2およびRhoC)は、上流標的に向けられた他の薬剤よりも副作用が少ない薬剤によって対処され得る、PI3キナーゼ経路の下流の有益な薬剤標的である。したがって、本発明は、当技術分野において知られているものよりも選択的な薬学的に活性な化合物の設計、スクリーニング、開発、および製造に適切な薬剤標的、例えば、通常はPI3キナーゼを標的化する2−(4−モルホリニル)8−フェニルクロモン(「LY294002」)、ならびに通常はmTOR(複合体1および複合体2の両方)を標的化するラパマイシンおよび2−[1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−イミダゾール−1−イル)エチリデン]ヒドラジンカルボキシイミドアミドジヒドロクロリド(「WAY−125132」)を提供する。PKN3シグナル伝達機構のこの特定部分(すなわち、ターンモチーフスレオニンでのリン酸化)および経路に関与する任意のさらに下流の分子を制御することにより、シグナル伝達カスケードにおける非常に限られた数のその平行分岐またはさらに上流の標的のみが、望ましくない効果を生じさせる可能性が高い。したがって、細胞サイクル、DNA修復、アポトーシス、グルコース輸送、翻訳に関連するPI3キナーゼ/PTEN経路の他の活性は影響されない。
タンパク質キナーゼNベータ(PKNβ)としても知られている、PKN3(PKN3は配列番号1で示される)をコードする核酸の完全な配列は、通常、公共のデータバンクで入手可能である(例えば、とりわけ、GENBANK受託番号NM_013355、BA85625、XM_001159776を参照されたい)。また、PKN3のアミノ酸配列は、受託番号NP_037487.2で、データバンクで入手可能である。当業者には、ターンモチーフスレオニンを含む他のPKN3オルソログおよびPKN3ホモログが本発明の実施において有用であることが容易に認識または予想されよう。mTOR(mTORは配列番号2で例示される)(ヒトオルソログ)をコードする核酸の完全な配列は、通常、公共のデータバンクで入手可能である(例えば、とりわけ、GENBANK受託番号NM_004958、BC117166、L34075を参照されたい)。また、mTORのアミノ酸配列は、とりわけ受託番号P42345、P42346、Q9JLN9、NP_063971、NP_004949、およびNP_064393で、データバンクで入手可能である。当業者には、他のmTORオルソログおよびmTORホモログが本発明の実施において有用であることが容易に認識または予想されよう。mTORは、例えば、Menon,S.およびManning,B.D.、Common corruption of the mTOR signaling network in human tumors、Oncogene 2008 Dec;27 Suppl 2:S43〜51において論じられている。PKN3およびmTORの誘導体またはトランケート型、ならびにその複合体2に会合したタンパク質が、所望の効果が得られ得る限りにおいて、本発明に従って用いられ得ることは、本発明の範囲内である。したがって、誘導体化およびトランケーションの程度は、通常の分析によって当業者が決定することができる。
本発明の背景では、PKN3、mTOR、およびmTORC2会合タンパク質(すなわち、mLST8/GβL、Rictor、SIN1、およびPROTOR/PRR5)をコードする核酸配列という用語にはまた、前述の受託番号によって特定される核酸配列にハイブリダイズする核酸または前述のアミノ酸配列に由来し得るあらゆる核酸配列が含まれる。このようなハイブリダイゼーションは、当業者に知られている。このようなハイブリダイゼーションの特殊性は、Sambrook,J.、Fritsch,E.F.、およびManiatis,T.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor:Cold Spring Harbor Laboratoryから得ることができる。好ましい実施形態において、ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件下、例えば、上記のSambrookにおいて特定されるストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションである。
さらに、PKN3、mTOR、およびmTORC2会合タンパク質をコードする核酸はまた、前述の核酸配列のいずれかに相同な配列を含む核酸配列であり、これにより、配列相同性の程度は、75、80、85、90、または95%である。
ヒトPKN3に対するオルソログを、とりわけ、ハツカネズミ(M.musculus)およびドブネズミ(R.norvegicus)、シロイヌナズナ(A.thaliana)、カエノラブディティスエレガンス(C.elegans)、キイロショウジョウバエ(D.melanogaster)、ならびにサッカロミセスセレビシエ(S.cerevisae)ほどに進化的に多様な生物において、見ることができる。PKN3のケースでは、同一性パーセントは、以前に述べた様々な種について、それぞれ67%、51%、38%、36%、63%、および44%である。ヒトmTORに対するオルソログは、それぞれ98%、96%、90%、および62%の同一性パーセントで、齧歯動物、鳥、硬骨魚、および昆虫において見られる。当業者には、いかなるこれらのまたは他のオルソログおよびホモログも、このようなホモログを用いて生成される薬剤または診断薬が依然としてヒトPKN3またはmTORC2または任意の他の意図されたPKN3もしくはmTORC2と相互作用し得るならば、本発明の実施に原則として適切であることが認識されよう。
PKN3のターンモチーフスレオニンのリン酸化状態(「リン酸化PKN3マーカー」)またはmTORC2活性の他の読み出し(「mTORC2読み出し」)を、患者の層別化のための、または患者における、mTOR活性、さらに好ましくはmTORC2活性を標的化する抗癌化合物に対する腫瘍の応答についての、バイオマーカーとして用いることができる。抗体、ペプチド、アンチカリン、アプタマー、スピーゲルマー、リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびsiRNAなどの、異なるクラスの化合物に属する適切な抗癌化合物、ならびに有機低分子を用いることができる。抗癌化合物は、リン酸化PKN3に基づくスクリーニング、または他のmTORC2読み出しスクリーニングを用いて、設計、選択、スクリーニング、生成、または製造することができる。このようなスクリーニング方法において、第1のステップは、1つまたは複数のいわゆる候補化合物または試験化合物を提供することである。本明細書において用いられる候補化合物は、その適合性が、本明細書において記載されている癌の治療もしくは軽減のための試験系において試験される化合物、または癌のための診断手段もしくは診断薬として用いられる化合物である。
候補化合物が試験系においてそれぞれの効果を示すならば、前記候補化合物は、前記疾患および疾患状態を治療するための適切な手段または作用物質であり、原則的にその上、前記疾患および疾患状態についての適切な診断薬でもある。第2のステップにおいて、候補化合物を、PKN3タンパク質(またはターンモチーフスレオニンを含むその断片)およびmTORC2(「PKN3/mTORC2系」)を包含する系と接触させる。PKN3/mTORC2系はまた、本明細書において、活性化型のリン酸化されたPKN3のキナーゼ活性を検出する系とも呼ばれる。いくつかの実施形態において、さらに、PKN3のターンモチーフスレオニンのリン酸化状態を直接的に評価することに加え、活性化型のリン酸化されたPKN3のキナーゼ活性を、基質、例えば、配列GPGRRGRRRTSSFAEGG(配列番号3)を有する診断的なGSK3由来断片のリン酸化を決定することによって評価することができる。
本明細書において記載される、リン酸化PKN3に基づくスクリーニング法または他のmTORC2読み出しスクリーニング法はまた、さらなる検討から機能的ではないまたは不活性な化合物を排除するために有用である。したがって、PKN3キナーゼの活性またはリン酸化状態(通常、「PKN3状態」)を、対象または試験系から得られる第1の試料において測定して、治療前レベルを得ることができ、その後、試験化合物を対象または試験系に投与し、試験化合物を投与した後の時点で対象または試験系から得られる第2の試料におけるPKN3の状態を測定し、それによって、試験レベルについてのデータを得る。治療前レベル(第1のレベル)を試験レベル(第2のレベル)と比較することができ、治療前レベルと比較して試験レベルで低下していないことを示すデータは、試験化合物が対象において効果的ではなく、試験作用物質がさらなる評価または研究から排除され得ることを示す。
本明細書において記載されるmTORC2読み出しスクリーニング法(例えば、リン酸化PKN3に基づくスクリーニング)は、患者が、作用メカニズムとしてPKN3のターンモチーフスレオニンのリン酸化の妨害を有する特定の抗癌化合物に応答し得るかどうかを評価するために有用である。前記評価は、治療目的での患者集団の層別化、および臨床試験への参加者の選択において有用である。腫瘍試料は患者から得られ、ターンモチーフスレオニンのリン酸化されたPKN3(例えば、P*T860)の相対量(例えば、特異的活性)が決定される。ターンモチーフスレオニンのリン酸化されたPKN3の相対量は、抗リン酸化スレオニン抗体などを用いてリン酸化スレオニンPKN3のレベルを直接的に測定することによって、または、PKN3キナーゼ基質の活性を測定することなどによってリン酸化スレオニンPKN3のキナーゼ活性を測定することによって、決定することができる。リン酸化されたターンモチーフスレオニンPKN3のレベルが上昇している患者は、mTORC2に対して標的化された治療法に応答する可能性が高い患者として選択される。
本明細書において記載されるmTORC2読み出しスクリーニング法(例えば、リン酸化PKN3に基づくスクリーニング)はまた、患者が、作用メカニズムとしてPKN3のターンモチーフスレオニンのリン酸化の妨害を有する特定の抗癌化合物に応答しているかまたは応答したかを評価するために有用である。腫瘍試料は治療の前に患者から得られ、ターンモチーフスレオニンのリン酸化されたPKN3(例えば、P*T860)の相対量(例えば、特異的活性)が決定される。ターンモチーフスレオニンのリン酸化されたPKN3の相対量は、抗リン酸化スレオニン抗体などを用いてリン酸化スレオニンPKN3のレベルを直接的に測定することによって、または、PKN3キナーゼ基質の活性を測定することなどによってリン酸化スレオニンPKN3のキナーゼ活性を測定することによって、決定することができる。このレベルによって、特定の患者の基底レベルが確立される。治療を開始した後の1つまたは複数の期間に、腫瘍試料が患者から得られ、リン酸化されたターンモチーフスレオニンPKN3のレベル(「治療レベル」)が決定され、初期基底レベルと比較される。基底レベルに対する治療レベルでの低下は、抗癌治療法が有効であることを示す。
上記のリン酸化されたターンモチーフスレオニンPKN3のレベルを決定する方法には、適切な抗体を用いる検出が含まれる。適切な抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、または組換えモノクローナル抗体であり得る、抗リン酸化T860抗体が含まれる。抗体は、当業者に知られているようにして生成することができ、例えば、Harlow,E.、およびLane,D.、「Antibodies:A Laboratory Manual」Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor,N.Y.、(1988)によって記載されている。適切な抗体はまた、他の周知の方法によって、例えば、抗体ライブラリーからのファージディスプレイ選択によって、生成することができる。
mTORC2/リン酸化されたターンモチーフスレオニンPKN3複合体のケースでは、複合体の活性の増大または低下を、機能的キナーゼアッセイにおいて決定することができる。腫瘍試料または腫瘍試料に由来する細胞系を、抗癌化合物と接触させることができ、mTORC2/PKN3系の活性の変化が決定される。いくつかのケースにおいて、抗癌化合物は、とりわけ、低分子、ペプチド、タンパク質、抗体、または機能的核酸からなるライブラリーを含む、化合物ライブラリー内にあり得る。後者の化合物は、当業者に知られているようにして生成することができる。
PKN3のリン酸化されたターンモチーフスレオニンに特異的な抗体の製造は、当業者に知られている。本発明の抗体には、ナノボディ、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体(例えば、ヒト化抗体)、および抗イディオタイプ抗体が含まれる。ポリクローナル抗体は、抗原で免疫化された動物の血清に由来する抗体分子の異種集団である。モノクローナル抗体は、特異的抗原に結合する抗体の実質的に均質な集団である。通常、抗体は、例えば従来のハイブリドーマ技術(KohlerおよびMilstein(1975)Nature、256:495〜499)、組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)、または抗体ライブラリーを用いるファージディスプレイ(Clacksonら(1991)Nature、352:624〜628;Marksら、(1991)J.Mol.Biol.、222:581〜597)を用いて作製することができる。さらなる抗体生産技術については、Antibodies:A Laboratory Manual、HarlowおよびLane編、Cold Spring Harbor Laboratory、1988を参照されたい。本発明は、いかなる特定の供給源、生産方法、または抗体の他の特別な特徴にも限定されない。
用語「抗体」はまた、無傷分子と、抗原を結合し得るFab、一本鎖Fv抗体(ScFv)、および低分子モジュラー免疫薬剤(SMIP)などの断片との両方を含むことを意図する。Fab断片は、無傷抗体のFc断片を欠き、循環からさらに迅速に排出され、無傷抗体ほどには非特異的な組織結合を有さない可能性がある(Wahlら、1983、J.Nucl.Med.24:316〜325)。キメラ抗体は、例えばマウスモノクローナル抗体に由来する可変領域(VH、VL)およびヒト免疫グロブリン定常領域(CH1−CH2−CH3、CL)を有するものなど、その異なる部分が異なる動物種に由来している分子である。キメラ抗体およびその生産方法は、当技術分野において知られている(Cabillyら、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3273〜3277;Morrisonら、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851〜6855;Boulianneら、1984、Nature 312:643〜646;Cabillyら、欧州特許出願第125023号(1984年11月14日公開);Taniguchiら、欧州特許出願第171496号(1985年2月19日公開);Morrisonら、欧州特許出願第173494号(1986年3月5日公開);Neubergerら、PCT出願WO86/01533(1986年3月13日公開);Kudoら、欧州特許出願第184187号(1986年6月11日公開);Morrisonら、欧州特許出願第173494号(1986年3月5日公開);Sahaganら、1986、J.Immunol.137:1066〜1074;Robinsonら、PCT/US86/02269(1987年5月7日公開);Liuら、1987、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439〜3443;Sunら、1987、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214〜218;Betterら、1988、Science 240:1041〜1043)。SMIPは、1つの結合ドメイン、1つのヒンジドメイン、および1つのエフェクタードメインを包含する、一本鎖ポリペプチドである。SMIPならびにその使用および適用は、例えば、米国特許出願公開第2003/0118592号、米国特許出願公開第2003/0133939号、米国特許出願公開第2004/0058445号、米国特許出願公開第2005/0136049号、米国特許出願公開第2005/0175614号、米国特許出願公開第2005/0180970号、米国特許出願公開第2005/0186216号、米国特許出願公開第2005/0202012号、米国特許出願公開第2005/0202023号、米国特許出願公開第2005/0202028号、米国特許出願公開第2005/0202534号、および米国特許出願公開第2005/0238646号、ならびにその関連する特許ファミリーメンバーにおいて開示されており、これらの全てはここで、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明に従って用いられ得る抗体は、1つまたは複数のマーカーまたは標識を有し得る。このようなマーカーまたは標識は、その診断用途またはその治療用途において、抗体を検出するために有用であり得る。好ましくは、マーカーおよび標識は、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、金、およびフルオレセインを包含する群から選択され、例えばELISA法において用いられる。これらのおよびさらなるマーカーおよび方法は、例えば、上記のHarlowおよびLaneにおいて記載されている。
一実施形態において、抗体は、PKN3のターンモチーフ(配列番号4:847−YFEGEFTGLPPALTPPAPHSLLTARQQA−874)内の位置860にあるリン酸化スレオニン(四角で囲まれた)を認識する、PKN3の活性化状態に特異的な抗体を包含する。前記抗体は、とりわけ、PKN3の発現および活性化の増大についてのプローブとして、ならびに患者の層別化および治療的応答についてのバイオマーカーとして有用である。
mTORC2/PKN3複合体もしくはその構成要素および断片または前記mTORC2/PKN3複合体もしくはその構成要素および断片をコードする核酸を用いて生成され得る、さらなるクラスの医薬品、mTORC2/PKN3複合体を妨害する化合物および診断薬は、前記複合体もしくはその構成要素および断片または核酸に結合するペプチドである。このようなペプチドは、ファージディスプレイなどの当技術分野の水準の方法を用いて生成することができる。基本的に、ペプチドライブラリーは、ファージの表面上に生成および提示され、提示されたライブラリーは、標的と、本ケースでは例えばPPRC複合体またはその構成要素と接触する。標的に結合するペプチドは、その後、好ましくは標的分子との複合体として、それぞれの反応から除去される。結合特徴が少なくともある程度は塩濃度などの特定の実験設定に依存することが、当業者に知られている。標的分子に高い親和性または大きな力で結合するペプチドをライブラリーの未結合メンバーから分離した後、および場合によってまた標的分子を標的分子とペプチドとの複合体から除去した後、それぞれのペプチド(単数または複数)を実質的に特徴付けすることができる。
特徴付けステップの前に、増幅ステップを、場合によって、例えばペプチドをコードするファージを増殖させることによって行ってもよい。いくつかの実施形態において、特徴付けは、標的に結合するペプチドの配列決定を包含する。基本的に、ペプチドは長さが限定されていないが、約8から20アミノ酸の長さを有するペプチドが通常、それぞれの方法において得られる。ライブラリーのサイズは、約102から1018、または108から1015の異なるペプチドであり得るが、ライブラリーのサイズは、これに限られない。
本発明によると、mTORC2/PKN3複合体またはその構成要素、および前記mTORC2/PKN3複合体またはその構成要素をコードする核酸を、侵襲性の癌を治療するための医薬品を製造または開発するため、およびスクリーニングプロセスにおいて前記侵襲性の癌を診断するための手段を製造または開発するための標的として用いることができ、これによって、スクリーニングプロセスにおいて低分子または低分子ライブラリーが用いられる。このスクリーニングは、標的であるmTORC2/PKN3複合体またはその構成要素(標的)を、好ましくは上記に特定したライブラリーから得られた、単一の低分子または様々な低分子(ライブラリーなど)と、同時にまたは続けて接触させるステップ、および、標的に結合し、他の低分子に関連してスクリーニングされた場合に未結合のまたは相互作用していない低分子から分離され得るmTORC2/PKN3複合体の機能または完全性を妨害する、低分子またはライブラリーメンバーを同定するステップを包含する。
結合および未結合は、特定の実験設定によって大きく影響され得る。反応パラメータのストリンジェンシーを変化させる際、結合および未結合の程度を変化させることが可能であり、これによって、このスクリーニングプロセスの良好な調整が可能になる。いくつかの実施形態において、標的と特異的に相互作用する1つまたはいくつかの低分子を同定した後に、この低分子をさらに特徴付けすることができる。このさらなる特徴付けは、例えば、低分子を同定すること、ならびにその分子構造およびさらなる物理的、化学的、生物学的、または医学的特徴を決定することにあり得る。いくつかの実施形態において、天然化合物は、約100から1000Daの分子量を有する。いくつかの実施形態において、低分子は、当業者に知られているLepinski’s Rule of Fiveに従う低分子である(Lipinskiら、Adv.Drug.Del.Rev.、23:3〜25、1997を参照されたい)。あるいは、低分子はまた、天然生成物とは対照的に、組み合わせ化学から生じる合成低分子であるように定義され得る。しかし、これらの定義は当技術分野におけるそれぞれの用語の一般的な理解に従属するものにすぎないことに留意されたい。全てのキナーゼのように、mTORC2/PKN3複合体のPKN3構成要素は、ATP結合部位を含み、このような部位に結合することが知られている薬剤は、したがって、PPRC機能を阻害するための適切な候補化合物である。適切な化合物の例には、限定はしないが、LY−27632、Ro−3 1−8220、およびHA1077が含まれ、これらの全ては、Calbiochem(La Jolla、Calif.)から入手可能である。
本発明はさらに、本発明の範囲の限定ではない以下の実施例によって例示される。
(実施例1)PKN3タンパク質構築物
ヒトPKN3(WTまたはwt)の完全長cDNAをPCRによって増幅し、ドキシサイクリン(Dox)誘導性プロモーターの制御下でGST融合発現ベクター内にクローニングした。K588R置換を包含するキナーゼデッド(KDまたはkd)型のPKN3もまた、同一の戦略を用いて同一のベクター内にクローニングした。タンパク質を、PKN3 WT構築物およびKD構築物でトランスフェクトしたHEK293T細胞内で発現させた。図1は、WT PKN3およびKD PKN3の生産がドキシサイクリン誘導に応答性であることを示す。WT PKN3は、ターンモチーフスレオニンでリン酸化されており(P*−PKN3T860)、GSKα基質をリン酸化するが、KD型はどちらでもない(図1)。
ヒトPKN3(WTまたはwt)の完全長cDNAをPCRによって増幅し、ドキシサイクリン(Dox)誘導性プロモーターの制御下でGST融合発現ベクター内にクローニングした。K588R置換を包含するキナーゼデッド(KDまたはkd)型のPKN3もまた、同一の戦略を用いて同一のベクター内にクローニングした。タンパク質を、PKN3 WT構築物およびKD構築物でトランスフェクトしたHEK293T細胞内で発現させた。図1は、WT PKN3およびKD PKN3の生産がドキシサイクリン誘導に応答性であることを示す。WT PKN3は、ターンモチーフスレオニンでリン酸化されており(P*−PKN3T860)、GSKα基質をリン酸化するが、KD型はどちらでもない(図1)。
タンパク質の抽出のために、細胞を冷リン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄し、4℃で、20mMのTris(pH7.5)、137mMのNaCl、15%(容積/容積)グリセロール、1%(容積/容積)Nonidet P−40(NP−40)、2mMのフッ化フェニルメチルスルホニル、1ml当たり10mgのアプロチニン、20mMのロイペプチン、2mMのベンズアミジン、1mMのバナジウム酸ナトリウム、25mMのβ−グリセロールリン酸、50mMのNaF、および10mMのピロリン酸ナトリウムを含有する溶解緩衝液中に溶解した。溶解物を、14000×gで5分間遠心分離することによって澄明化し、溶解物のアリコートを、タンパク質の発現および酵素活性について分析した(以下を参照されたい)。試料をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分離し、ニトロセルロースフィルター(Schleicher & Schuell)に移した。フィルターを、5%(重量/容積)粉乳を含有するTBST緩衝液(10mMのTris−HCl[pH7.5]、150mMのNaCl、0.05%[容積/容積]Tween 20、0.5%[重量/容積]のアジ化ナトリウム)内でブロックした。それぞれの抗体を、適切な希釈でTBSTに添加した。結合した抗体を、TBST内の抗マウス、抗ヤギ、または抗ウサギコンジュゲートアルカリホスファターゼ(Santa Cruz Biotechnology)で検出し、洗浄し、ニトロブルーテトラゾリウムおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドイルホスフェート(Promega)で顕在化させた。あるいは、ホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体を用い、増強した化学発光(Amersham)によって顕在化させた。
PKN抗体は、Leenders、2004において記載されている。PDK1抗体、リン酸化GSKα抗体、GST抗体、PNK3−T718抗体、S6K−ST389抗体、およびAKT−S473抗体は、Cell Signaling Technology,Inc.(Beverly、MA)から市販されている。抗リン酸化PKN3 T860ウサギモノクローナル抗体を、標準的な手順に従って生産した(Spieker−Polet、1995、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92:9348〜9352を参照されたい)。
(実施例2)キナーゼ不活性なPKN3をプライムするためのATP競合阻害剤の使用
様々なATP型キナーゼ阻害剤を、組換え野生型(WT)とキナーゼデッド(KD)型との両方のPKN3のキナーゼ活性を阻害する能力について評価した。WT型またはKD型のPKN3でトランスフェクトした細胞を、既知のATP型キナーゼ阻害剤であるY27632、SB202190、およびSB202474(SB202190の不活性な形態)で処理した(Ishizakiら、Mol.Pharmacol.、57:976〜983、2000;Mantheyら、Journal of Leukocyte Biology、64(3):409〜417、1998)。Y27632およびSB202190の両方は、リン酸化GSKαの読み出しを用いて、濃度依存的にキナーゼ活性なリン酸化されたPKN3のキナーゼ活性を阻害することが示されたが、SB202474はそうではなかった(図2)。キナーゼデッドPKN3は、ターンモチーフスレオニンでリン酸化されておらず、GSK3由来の基質をリン酸化しなかった(図2)。
様々なATP型キナーゼ阻害剤を、組換え野生型(WT)とキナーゼデッド(KD)型との両方のPKN3のキナーゼ活性を阻害する能力について評価した。WT型またはKD型のPKN3でトランスフェクトした細胞を、既知のATP型キナーゼ阻害剤であるY27632、SB202190、およびSB202474(SB202190の不活性な形態)で処理した(Ishizakiら、Mol.Pharmacol.、57:976〜983、2000;Mantheyら、Journal of Leukocyte Biology、64(3):409〜417、1998)。Y27632およびSB202190の両方は、リン酸化GSKαの読み出しを用いて、濃度依存的にキナーゼ活性なリン酸化されたPKN3のキナーゼ活性を阻害することが示されたが、SB202474はそうではなかった(図2)。キナーゼデッドPKN3は、ターンモチーフスレオニンでリン酸化されておらず、GSK3由来の基質をリン酸化しなかった(図2)。
PKN3のプライミングは固有のキナーゼ活性を必要としないが、ATP結合ポケットを介する立体構造の調節に依存するかどうかを決定するために、KD PKN3およびWT PKN3をATP結合ポケット競合阻害剤Y27632、SB202190、およびSB202474で処理した(Cameronら、Nature Structural & Molecular Biology、16(6):624〜630、2009を参照されたい)。驚くべきことに、Y27632およびSB202190の両方が、濃度依存的に、キナーゼデッドPKN3がターンモチーフスレオニンでリン酸化されるようプライムしたが、SB202474はそうではないことが観察された(図3)。
Y27632でプライムされたPKN3(WT型およびKD型)を、PKN3のリン酸化メカニズムを調べるためのさらなる研究に用いた。
(実施例3)ターンモチーフのリン酸化の調節
KD PKN3およびWT PKN3の両方の生産を、トランスフェクトされた細胞を1μg/mlのドキシサイクリンで5時間処理することによって誘導した。PKN3ターンモチーフのリン酸化の上流の調節因子を決定するための試みにおいて、PKN3を10μMのY27632でプライムし、次に、様々なキナーゼ阻害剤で7時間処理した(図4:KD−PKN3、図5:WT−PKN3)。PDK1の阻害剤であるスタウロスポリンは、濃度依存的に、T718部位およびT860部位の両方でPKN3(WTおよびKD)のリン酸化を阻害することが示された(図4および図5、パネルA)。PDK1がT718をリン酸化することは、当技術分野において通常見られることであり、これは、T860のリン酸化の前に生じる。スタウロスポリンは、T718のリン酸化を防ぐことによってT860のリン酸化を阻害すると考えられる。
KD PKN3およびWT PKN3の両方の生産を、トランスフェクトされた細胞を1μg/mlのドキシサイクリンで5時間処理することによって誘導した。PKN3ターンモチーフのリン酸化の上流の調節因子を決定するための試みにおいて、PKN3を10μMのY27632でプライムし、次に、様々なキナーゼ阻害剤で7時間処理した(図4:KD−PKN3、図5:WT−PKN3)。PDK1の阻害剤であるスタウロスポリンは、濃度依存的に、T718部位およびT860部位の両方でPKN3(WTおよびKD)のリン酸化を阻害することが示された(図4および図5、パネルA)。PDK1がT718をリン酸化することは、当技術分野において通常見られることであり、これは、T860のリン酸化の前に生じる。スタウロスポリンは、T718のリン酸化を防ぐことによってT860のリン酸化を阻害すると考えられる。
mTORC1とmTORC2との両方の潜在的な阻害剤であるWAY−125132(別名、WYE−132、WO2009052145を参照されたい)(Yuら、Cancer Research、70(2):621〜631、January 15、2010を参照されたい)は、用量依存的にT860のリン酸化を阻害するが、T718のリン酸化は阻害しないことが示された(図4および図5、パネルB)。対照として、WAY−125132は、mTORC1の標的であるS6K−ST389およびmTORC2の標的であるAKT−S473のリン酸化を阻害することが示された。
mTORC1の阻害剤であるCCI−779(別名、テムシロリムス)(Torneauら、British Journal of Cancer、(2008)99:1197〜1203)。テムシロリムスの化学名は、(3S,6R,7E,9R,10R,12R,14S,15E,17E,19E,21S,23S,26R,27R,34aS)−9,10,12,13,14,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ヘキサデカヒドロ−9,27−ジヒドロキシ−3−[(1R)−2−[(1S,3R,4R)−4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル]−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−23,27−エポキシ−3H−ピリド[2,1−c][1,4]オキサアザシクロヘントリアコンチン(oxaazacyclohentriacontine)−1,5,11,28,29(4H,6H,31H)−ペントン4’−[2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオネート]、またはラパマイシン、42−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエート]である。CCI−779は、S6K−ST389を阻害するが、プライムされたPKN3−T860もしくはPKN3−T718、PKN1、PKN2、またはAKT−S473には影響しないことが示された(図4および図5、パネルC)。総合すると、これらの結果は、mTORC2がPKN3のターンモチーフスレオニンのリン酸化において必須の機能を有することを示唆する。
細胞におけるPKN3誘導性の形態学的変化に対するWAY−125132の効果を試験した。ドキシサイクリン処理した、WT PKN3でトランスフェクトされた細胞は、ドキシサイクリンで処理していない細胞と比較して形質転換した表現型を示した(図6、パネルBをパネルAと比較されたい)。WAY−125132での処理によって、この効果は逆転し(図6、パネルC)、このことは、mTORを介するPKN3の活性化のブロックが、その細胞形質転換活性を阻害することを示す。KD PKN3は、WAY−125132で処理していてもいなくても、細胞の形態には影響を有さなかった(図6、パネルD〜F)。
(実施例4)PKN3のターンモチーフスレオニンのリン酸化のためのmTORC2の必要性
PKN3のターンモチーフスレオニンのリン酸化におけるmTORC2とmTORC1との役割をさらに区別するために、KD PKN3またはWT PKN3を発現する細胞を、様々なmTOR複合体構成要素に対する3つのアンチセンス構築物であるraptor(mTORC1の構成要素)、rictor(mTORC2の構成要素)、およびmTOR(両方の構成要素)の1つでトランスフェクトした。図7、パネルAは、raptorアンチセンス(カラム3および4)、rictorアンチセンス(カラム5および6)、またはmTORアンチセンス(カラム7および8)でトランスフェクトしたWT PKN3を示す。図7、パネルBは、raptorアンチセンス(カラム12)、rictorアンチセンス(カラム13)、またはmTORアンチセンス(カラム14)でトランスフェクトしたKD PKN3を示す。図7、パネルCは、raptorアンチセンス(カラム17)、rictorアンチセンス(カラム18)、またはmTORアンチセンス(カラム19)でトランスフェクトした、Y27632でプライムしたKD PKN3を示す。全てのケースにおいて、raptorのノックダウンは、PKN3ターンモチーフのリン酸化のレベルには影響せず、一方、mTORまたはrictorのノックダウンは、それぞれ、ターンモチーフスレオニン(例えば、PKN3−T860)でリン酸化されたPKN3の相対量を低減させた(図7の点線の四角で囲まれた領域を参照されたい)。
PKN3のターンモチーフスレオニンのリン酸化におけるmTORC2とmTORC1との役割をさらに区別するために、KD PKN3またはWT PKN3を発現する細胞を、様々なmTOR複合体構成要素に対する3つのアンチセンス構築物であるraptor(mTORC1の構成要素)、rictor(mTORC2の構成要素)、およびmTOR(両方の構成要素)の1つでトランスフェクトした。図7、パネルAは、raptorアンチセンス(カラム3および4)、rictorアンチセンス(カラム5および6)、またはmTORアンチセンス(カラム7および8)でトランスフェクトしたWT PKN3を示す。図7、パネルBは、raptorアンチセンス(カラム12)、rictorアンチセンス(カラム13)、またはmTORアンチセンス(カラム14)でトランスフェクトしたKD PKN3を示す。図7、パネルCは、raptorアンチセンス(カラム17)、rictorアンチセンス(カラム18)、またはmTORアンチセンス(カラム19)でトランスフェクトした、Y27632でプライムしたKD PKN3を示す。全てのケースにおいて、raptorのノックダウンは、PKN3ターンモチーフのリン酸化のレベルには影響せず、一方、mTORまたはrictorのノックダウンは、それぞれ、ターンモチーフスレオニン(例えば、PKN3−T860)でリン酸化されたPKN3の相対量を低減させた(図7の点線の四角で囲まれた領域を参照されたい)。
この結果は、共にmTORC2を包含するmTORおよびrictorが、PKN3のターンモチーフのリン酸化にそれぞれ必要であることを示す。
Claims (20)
- 癌に罹患している患者を治療する方法であって、
a.患者から腫瘍試料を得るステップ、
b.腫瘍試料におけるPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化の試験レベルを決定するステップ、
c.ステップ(b)の腫瘍試料におけるPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化の試験レベルを、PKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化の参照レベルと比較するステップ、および
d.細胞におけるmTORC2経路活性を低下させる癌治療用化合物を患者に投与するステップ
を包含する方法。 - 細胞におけるmTORC2経路活性を低下させる癌治療薬に応答し得る患者を選択するための方法であって、
a.患者から腫瘍試料を得るステップ、
b.腫瘍試料におけるPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化の試験レベルを決定するステップ、
c.ステップ(b)の腫瘍試料におけるPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化の試験レベルを、PKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化の参照レベルと比較するステップ、および
d.ステップ(b)のレベルが参照レベルよりも高い場合に患者を選択するステップ
を包含する方法。 - 患者における癌治療での化合物の有効性を決定するための方法であって、
a.細胞におけるmTORC2経路活性を低下させる癌治療用化合物を患者に投与するステップ、
b.投与ステップ(a)の後の時点で患者から試験腫瘍試料を得るステップ、
c.ステップ(b)の試験腫瘍試料におけるPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化の試験レベルを決定するステップ、および
d.ステップ(c)の試験レベルをPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンの参照レベルのリン酸化と比較するステップ
を包含する方法。 - ターンモチーフのリン酸化の参照レベルおよび試験レベルが、PKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンに特異的な抗リン酸化スレオニン抗体を用いてそれぞれ決定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- ターンモチーフスレオニンが、配列番号1のT860である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗体が抗リン酸化T860抗体である、請求項4または5に記載の方法。
- ターンモチーフスレオニンのリン酸化の参照レベルが、非癌性組織において見られるPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化レベルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- ターンモチーフスレオニンのリン酸化の参照レベルが任意の値である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- ターンモチーフスレオニンのリン酸化の参照レベルが、癌治療用化合物の投与前に患者から得られる腫瘍試料において見られるPKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化レベルである、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
- mTORC2経路活性が、PKN3タンパク質のターンモチーフスレオニンのリン酸化である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- mTORC2経路活性が、Rho GTPaseの活性化である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- mTORC2経路活性が、Aktのリン酸化である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 癌がPI3Kにより誘発される癌である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 癌が前立腺癌である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
- 細胞におけるmTORC2経路活性を低下させる癌治療用化合物に応答し得る患者の選択における抗リン酸化T860抗体の使用であって、抗リン酸化T860抗体が、PKN3タンパク質のリン酸化されたターンモチーフスレオニンに結合する、使用。
- 抗リン酸化T860抗体が、ポリクローナル抗体である、請求項15に記載の使用。
- 抗リン酸化T860抗体が、モノクローナル抗体である、請求項15に記載の使用。
- 患者が、細胞におけるmTORC2経路活性を低下させる癌治療用化合物の安全性、有効性、または両方を決定するための臨床試験への参加について選択される、請求項15〜18のいずれか一項に記載の使用。
- 癌治療用化合物が、PI3Kにより誘発される癌に対して標的化されている、請求項15〜18のいずれか一項に記載の使用。
- 癌治療用化合物が、前立腺癌に対して標的化されている、請求項15〜19のいずれか一項に記載の使用。
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