次に、本発明の実施形態の詳細を参照する。これらの実施形態の例を添付の図面に示し、図面では同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指す。説明する実施形態は、図面を参照することによって本発明を例示的に示す。
以下で説明する本発明の実施形態は、液体の薬剤または薬物など、予め測定した投与量の物質を患者にある期間にわたってまたは一度に送達するために、便利なパッチ様の輸液デバイスまたは自己注射デバイス100として使用することができる。そのデバイスは、好ましくは、予め充填した状態で、すなわち、薬剤または薬物がすでにデバイスのリザーバ内に入っている状態で、エンドユーザに供給される。本明細書で説明するパッチ様の輸液デバイスまたは自己注射デバイス100(例えば、図1に示す)を患者および/または介護者が使用できるが、便宜上、デバイスのユーザを本明細書で以下に「患者」と呼ぶ。さらに、便宜上、水平面に配設した輸液デバイス100を基準にした相対的な方向を示すために、「垂直」および「水平」ならびに「上部」および「底部」などの用語を用いる。しかし、輸液デバイス100がこうした向きに限定されないこと、および輸液デバイス100をどの向きでも利用できることが理解されよう。さらに、本発明を実施するデバイスを描写するために用語「輸液デバイス」および「自己注射デバイス」を代替的に使用するが、これらに限定的な意図はない。自己注射機能を有しない輸液デバイスは、持続的な輸液を実行しない自己注射デバイスと同様に本発明の範囲内に包含される。限定するものではないが、便宜上、以下の説明では用語「輸液デバイス」を用いる。
図1のパッチ様の輸液デバイス100は、自己完結型であり、(以下により詳細に説明するように)輸液デバイス100の底部に配設した接着剤によって患者の皮膚表面に取り付けられる。患者が適切に配置し作動させると、デバイス内の可撓性リザーバ上のばねを解放したときの圧力を用いて、針マニホルドを介して1つまたは複数の患者用の針(例えば、マイクロ針)を通してリザーバの内容物を空にすることができる。次いで、マイクロ針を皮膚に押し込むことによって、リザーバ内の物質が患者の皮膚を通して送達される。ばねの代わりに異なるタイプのエネルギ蓄積デバイスを用いる他の実施形態が可能であり、そのエネルギは本質的に機械エネルギ、電気エネルギおよび/または化学エネルギでよいことが理解されよう。
当業者には理解されるように、本明細書で開示するパッチ様の輸液デバイス100を構成および使用するには多数の方式がある。図面および以下の説明で示す実施形態を参照するが、本明細書で開示する実施形態は、開示する本発明に包含される様々な代替的な設計および実施形態が網羅的であるとは意味していない。開示する各実施形態では、そのデバイスを輸液デバイスと呼ぶが、そのデバイスは、典型的な輸液デバイスが通常実現するよりもずっと速い(ボーラス)速度で物質を注射することもできる。例えば、数秒程度の短い期間または数日程度の長い期間、内容物を送達することができる。
図1から図12に示すデバイスのある実施形態では、パッチ様の輸液デバイス100の押しボタンの設計を示す。デバイスの作動および起動が単一の多機能/ステッププロセスで実現される。図1に、作動前状態の輸液デバイス100の組み立て済みの実施形態を示す。図2〜図6に、作動前状態の輸液デバイス100の部分分解図および断面図を示し、図7に、安全機構の組み付け中の輸液デバイス100の部分分解図を示し、図8〜図10に、作動後の輸液デバイス100の分解図および断面図を示し、図11および図12に、安全機構の展開後の輸液デバイス100の分解図および断面図を示す。輸液デバイス100は、作動前状態(例えば、図1、図2、および図5に示す)と、作動状態または始動状態(例えば、図8〜図10に示す)と、後退状態または安全状態(例えば、図11および図12に示す)との間で動作するように構成されている。
図1に示すように、パッチ様の輸液デバイス100の一実施形態は、底部容器104と、安全機構108と、可撓性の針カバー112と、上部容器116と、リザーバサブアセンブリ120と、投与終了表示器(EDI)124と、アクティベータボタン128とを含む。アクティベータボタン128は患者インターフェース面132を含む。さらに、図2〜図6に示すように、輸液デバイス100はさらに、ロータすなわち作動リング136、加圧ばね140と、ドーム様の金属製プランジャ144と、駆動ばね148とを含む。
可撓性の針カバー112は、少なくとも1つの針152を保護し(以下により詳細に説明する)、滅菌バリアを設けることによって患者およびデバイスを安全に保つ。針カバー112は、デバイスの製造中に針152を保護し、使用前に患者を保護し、取り外す前のどの点においても滅菌バリアを与える。一実施形態によれば、針カバー112は、少なくとも1つの針152が配設された針マニホルドとのプレス嵌めによって取り付けられる。さらに、一実施形態によれば、安全機構108の針用開口部156(以下により詳細に説明する)が、針カバー112の外周に厳密に一致するように形成されている。
例えば図2、図3、図5、図6、図8、図10、および図12に示すように、リザーバサブアセンブリ120は、リザーバ160と、リザーバドームシール164と、バルブ168と、少なくとも1つの針152と、少なくとも1つのチャネル172(例えば、図8参照)とを含む。そのチャネル172は、バルブ168と針152との間に配設され、それらの間に流れ通路を作り出す。リザーバ160はドーム176を含む。さらに、リザーバサブアセンブリ120は、少なくとも1つの針152を選択的にカバーする着脱可能な針カバー112を含む。一実施形態によれば、リザーバサブアセンブリ120は、チャネル172をカバーするリザーバアームシール180も含む。好ましくは、針152は、針マニホルドおよび複数のマイクロ針152を含む。
リザーバサブアセンブリ120のリザーバドームシール(可撓性のフィルム)164は、例えば図5に示すように、プランジャ144とドーム176との間に配設される。輸液デバイス100用のリザーバの内容物(例えば、薬用の物質)は、リザーバドームシール164とドーム176との間の空間に配設される。リザーバドームシール164と、ドーム176と、それらの間の空間との組み合わせによりリザーバ160が画定される。ドーム176は、好ましくは、リザーバの内容物を見ることができるように透明である。リザーバドームシール164は、金属コートフィルムまたは他の同様の物質など、膨張しない材料またはラミネートから作製することができる。例えば、リザーバドームシール164に使用できる可撓性のラミネートフィルムの実現可能なものうちの1つには、第1のポリエチレン層と、第3の金属層を取り付け可能にする、当業者には知られた第2の化学層と、バリアの特徴に基づいて選択される第3の金属層と、ポリエステルおよび/またはナイロンを含む第4の層とが含まれる。金属コートフィルムまたは金属被覆フィルムを剛体部分(例えば、ドーム176)と併せて利用することによって、リザーバ160のバリア特性が改善され、それにより、内部に収容された内容物の保存期間が延長または改善される。例えば、リザーバの内容物がインスリンを含む場合は、リザーバ160内で接触する主な材料は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、環状オレフィンコポリマー(COC)、およびTeflon(登録商標)を含む。以下により詳細に説明するように、残りの流れ通路内でリザーバの内容物が接触する主な材料は、COCおよびLLDPE、ならびに熱可塑性エラストマー(TPE)、医療用グレードのアクリル樹脂、ステンレス鋼、および針用接着剤(例えばUV硬化接着剤)含むこともできる。リザーバ160の内容物と長期間にわたって接触したままのこうした材料は、好ましくは、ISO10−993および該当する他の生体適合性試験に合格する。
リザーバサブアセンブリ120はさらに、好ましくは、内容物に悪影響を及ぼすことなしに、適用可能な管理された環境においてリザーバの内容物の規定の保存期間の間、保存することができ、様々な環境条件で利用可能である。さらに、リザーバサブアセンブリ120の構成要素によって設けられるバリアにより、所望の保存期間に適合するのに許容できるよりも速い速度で、内容物の内外に気体、液体、および/または固体の材料が移動することができない。上記で示した実施形態では、リザーバ材料を約34°F(1℃)から120°F(49℃)の温度範囲において保存し機能させることが可能であり、保存期間を2年以上とすることができる。
安定性の要件を満足させるのに加えて、リザーバサブアセンブリ120はさらに、30psi(0.207MPa)のサンプルを20分漏出なしに保持するなど、任意の数の漏出試験に首尾よく合格することによって確実に動作することができる。リザーバの構成による充填、保管、および送達のさらなる利益には、以下により詳細に説明するような、最小限に抑えられた上部空き高および適合性がある。
一実施形態では、リザーバ160は充填前に排気する。充填前にリザーバ160を排気しドーム176がわずかなへこみしか有しないことによって、リザーバ160内の上部空き高および過度の無駄を最小限に抑えることができる。さらに、リザーバの形状は、使用する起動機構(例えば、加圧ばね140およびプランジャ144)のタイプに適合するように構成することができる。さらに、充填中に排気した可撓性リザーバ160を使用することで、充填済みのリザーバ160内の空気または気泡が最小限に抑えられる。可撓性リザーバ160の使用は、リザーバの内圧を上昇させる恐れがある外からの圧力または温度変化を輸液デバイス100が受けるときにやはり非常に有益である。こうした場合には、可撓性リザーバ160は、リザーバの内容物と共に膨張および収縮し、それにより、膨張力および収縮力による予想される漏出が防止される。
リザーバ160のさらに別の特性には、充填時または患者による使用時に自動的な微粒子検査を可能にすることがある。ドーム176など、1つまたは複数のリザーババリアは、透明で清澄なプラスチック材料からモールド成形することができ、プラスチック材料が透明で清澄なのでリザーバ内に収容された物質の検査が可能になる。透明で清澄なプラスチック材料は、好ましくは、環状オレフィンコポリマーであり、これは、透明度および清澄度が高いこと、抽出しにくいこと、ならびにリザーバ160内に収容された物質との生体適合性を特徴とする。適切な材料は、Zeon Chemicals, L.P., of Louisville, KYから「BD CCP Resin」という名称で入手可能であり、米国食品医薬品局およびDMF第16368号に列挙される。このような用途では、リザーバ160は、検査を妨害する可能性がある(すなわち、検査中の回転が可能である)特性を最小限にしか含んでいない。
チャネルアーム172が、バルブ168から針マニホルドまたはマイクロ針152まで延在する少なくとも1つの可撓性の弓形アームの形態で設けられる。その弓形アームには溝174が形成されている(例えば、図2参照)。バルブ168と針マニホルドまたはマイクロ針152との間に流体通路を設けるために、リザーバアームシール180は溝174をカバーする。リザーバ160とマイクロ針152との間の流体通路(例えば図8に示すチャネルアーム172に配設される)は、リザーバ160に関して上記で説明した材料と同様または同一の材料から構築される。例えば、チャネルアーム172を、ドーム160と同じ材料から構築することができ、リザーバアームシール180を、リザーバドームシール164と同じ材料から構築することができる。一実施形態によれば、チャネルアーム172は両方とも、バルブ168と針マニホルドまたはマイクロ針152との間の流体通路として用いられる。別の実施形態によれば、チャネルアーム172のうちの一方のみを流体通路として用い、残りのチャネルアーム172により構造上の支持を行う。こうした実施形態では、溝174は、流体通路として用いられるチャネルアーム174においてのみバルブ168から針マニホルドまたはマイクロ針152まで完全に延在する。
チャネルアーム172は、作動の力に耐えるのに十分に可撓性がなければならない。図2と図8のチャネルアーム172の位置を対比すると、チャネルアーム172(図2ではリザーバアームシール180によってカバーされており、図8では明確にするためにリザーバアームシール180を取り除いている)は、マイクロ針152を患者の皮膚に押し込むときに弾性変形する(以下により詳細に説明する)。こうした変形中に、チャネルアーム172は、バルブ168と針マニホルドまたはマイクロ針152との間の流体通路の完全性を維持しなければならない。さらに、チャネルアーム172の材料は多数の生体適合性試験および保管試験を満足する。例えば、以下の表1に示すように、輸液デバイスの内容物にインスリンが含まれる場合は、リザーバ160内で接触する主な材料は直鎖状低密度ポリエチレン、環状オレフィンコポリマー、およびTeflonを含み、透明で清澄なプラスチックを含むこともできる。残りの流れ通路(チャネル62)内でリザーバ160と針マニホルドのマイクロ針152との間で接触する主な材料は、COCおよび/または医療用グレードのアクリル樹脂と、LLDPEと、TPEと、ステンレス鋼と、針用接着剤を含む。
より具体的には、マイクロ針152を、ステンレス鋼から構築することができ、針マニホルドを、ポリエチレンおよび/または医療用グレードのアクリル樹脂からから構築することができる。こうした材料は、リザーバの内容物と長期間接触するときは、好ましくは、ISO10−993生体適合性試験に合格する。
リザーバ160とチャネル172との間に配設されるバルブ168は、リザーバ160とチャネル172との間の流体の流れを選択的に可能にし、制限する。バルブ168は、作動前の位置(例えば、図2、図3、および図6に示す)と、作動位置(例えば、図8〜図10に示す)との間を移動する。作動位置にあるときは、そうしたバルブにより、リザーバ160とチャネル172との間、したがって、針マニホルドおよびマイクロ針152まで、流体が流動することが可能になる。
使用の際には、バルブ168は、最後にはアクティベータボタン128の移動によって押し込まれて作動位置になる。アクティベータボタン128の移動は図5と図10の間のバルブ168によって最も良く示される。図10に示すように、バルブ168が移動すると、バルブ168の拡大した遠位端が前進し、それにより、リザーバ160からチャネル172中に、流体通路を下って針マニホルドまで薬剤が流動することが可能になる。
上記で説明した実施形態は、少なくとも1つの針152またはマイクロ針152を含むが、例示の2つのマイクロ針152など、複数のマイクロ針152を収容することができる。マイクロ針152はそれぞれ、好ましくは、34ゲージ(直径0.16mm)など、少なくとも31ゲージ(直径0.23mm)未満であり、患者用の針マニホルド内にアンカ留めされる。その針マニホルドはリザーバ160と流体連絡した状態で配置することができる。マイクロ針152は、輸液デバイス100内に2つ以上含まれるときは、長さまたはゲージが異なるか、または長さおよびゲージの両方が異なる組み合わせとすることもでき、本体長さに沿って1つまたは複数のポートを収容することができる。それらのポートは、好ましくは、マイクロ針152の先端部の近く、またはマイクロ針152のいずれかがベベル部を有する場合は先端のベベル部の近くに配置される。
一実施形態によれば、マイクロ針152のゲージは、輸液デバイス100のリザーバの内容物の送達速度を左右する。ずっと大型のカニューレまたは針が必要になる即時のシリンジ注射に通常関連する期間よりも長い期間にわたって輸液が行われるときは、リザーバの内容物を送達するのに34ゲージ(直径0.16mm)のマイクロ針152を複数使用することが現実的である。開示の実施形態では、皮内または皮下の空間を目標とする任意のマイクロ針152を使用できるが、例示の実施形態は、長さが1mmと7mmとの間(すなわち、4mm)の皮内マイクロ針152を含む。マイクロ針152の配置は、線形の配列または非線形の配列にすることができ、特定の用途による必要性に応じて任意の数のマイクロ針152を含むことができる。
上記で述べたように、マイクロ針152は針マニホルド内に配置される。針マニホルドでは、各マイクロ針152ごとに少なくとも1つの流体連絡通路またはチャネル172が設けられる。マニホルドは、単純に、1つまたは複数のマイクロ針152までの単一の通路を有することもでき、複数の流体通路またはチャネルを設けてリザーバの内容物を各マイクロ針152まで別々にルート設定することもできる。これらの通路またはチャネルはさらに、内容物が移動する蛇行状の通路を備えることができ、それにより、流体圧力および送達速度に影響を与え、流れのリストリクタとして働く。針マニホルド内のそれらのチャネルまたは通路は、用途に応じて幅、奥行き、および構成を変更することができ、チャネルの幅が通常約0.015インチ(0.381mm)と0.04インチ(1.016mm)との間、好ましくは0.02インチ(0.508mm)である。それらのチャネルまたは通路は、マニホルド内のデッドスペースを最小限に抑えるように構築される。
一実施形態によれば、リザーバサブアセンブリ120は、底部容器104とのリザーバサブアセンブリ120の位置合わせを助ける一対の孔184および188を有する。底部容器104の第1のポスト192および第2のポスト196(以下により詳細に説明する)が、それぞれの孔184および188を通して挿入される。
リザーバサブアセンブリ120を取り除いた分解図において、図4、図7、および図9は、底部容器104が事実上円筒形のハウジング200を含み、ハウジング200内には加圧ばね140およびプランジャ144が配設されることを示している。一実施形態によれば、円筒形のハウジング200はくぼんだチャネル204を複数含み、それらのチャネル204は、プランジャをハウジング200内で平行移動させるときに、プランジャ144のそれぞれの複数のレッグ部208およびフット部212を案内する。レッグ部208とフット部212とを合わせてプランジャのタブ214が構成される。図4、図7、および図9に示すように、例えば、くぼんだチャネル204は、円筒形のハウジング200の上部からそれに沿って一部分しか延在しない。くぼんだチャネル204の下方には開口部216があり、その開口部216を通してプランジャ144のフット部212が円筒形のハウジング200の外に延在することができる。開口部216は事実上L字形であり、その水平部分が円筒形のハウジング200のベース部分にあり、垂直部分がくぼんだチャネル204と事実上位置合わせされている。
輸液デバイス100が作動前状態にあるときには、加圧ばね140は(例えば、図4〜図6に示すように)プランジャ144によって圧縮されており、プランジャ144のフット部212は事実上開口部216の水平部分に配設されている。加圧ばね140の力により、開口部216(すなわち、円筒形のハウジング200のレッジ)の水平部分の上部に対してプランジャ144のフット部212が付勢される。以下により詳細に説明するように、加圧ばね140およびプランジャ144が一緒になって、輸液デバイス100が作動するときにリザーバ160を加圧する加圧システムを形成する。
以下により詳細に説明するように、ロータ136は、作動前の位置(例えば、図2〜図4に示す)と作動位置(例えば、図8〜図10に示す)との間で円筒形のハウジング200のベース部の周りを回転する。ロータ136が回転して作動前の位置から作動位置になるときに、ロータ136の少なくとも1つのフット部係合面220(例えば、図4に示す)がプランジャ144のフット部212のうちの少なくとも1つと係合し、プランジャ144を回転させて、フット部212が開口部216の垂直部分およびくぼんだチャネル204と位置合わせされる。この時点で、加圧ばね140は、プランジャ144を上方向に移動させ、フット部212が隆起したチャネル204によって案内される。
加圧ばね140は、輸液デバイス100内に収容されており、リザーバ160に本質的に均一の力を加えてリザーバ160から内容物を押し出す。加圧ばね140を使用して、使用の際には解放したときにリザーバ160を加圧するエネルギを蓄積する。加圧ばね140が、プランジャ144のフット部212と円筒形のハウジング200との係合によって圧縮状態保持されている。こうした係合により、保管中に加圧ばね140がリザーバ160または任意の残りの(底部容器104およびプランジャ144以外の)デバイス構成要素の(後に説明する)フィルムにストレスを与えることが防止される。プランジャ144は、ばねの張力および変形に抵抗するのに十分に剛体であり、通常の負荷の下で損傷しないはずである。
上記で述べたように、ロータ136が回転して作動前の位置から作動位置になるときは、ロータ136はプランジャ144のフット部212のうちの少なくとも1つに係合し、プランジャ144を回転させて、フット部212を開口部216の垂直部分およびくぼんだチャネル204と位置合わせする。次いで、圧縮されていた加圧ばね140によりプランジャ144が上方向に移動し、その際に、リザーバ160のフィルムに力が加えられる。加圧ばね140は、好ましくは、リザーバの内容物の皮内送達のために、約1〜50psi(0.007〜0.345MPa)、より好ましくは、約2psi〜約25psi(0.014〜0.172MPa)の圧力をリザーバ116内に生み出すように構成することができる。皮下注射または皮下輸液の場合は、約2〜5psi(0.014〜0.034MPa)で十分である。
一実施形態によれば、アクティベータボタン128は患者インターフェース面132を含み、その患者インターフェース面132を患者が押して、輸液デバイス100を作動させる。アクティベータボタン128はまた、ヒンジアーム224および作動アーム228(両者とも、例えば、図3に示す)も含む。アクティベータボタン128のヒンジアーム224は、開口部を有する円筒形の部分を含む。作動アーム228はタブ230を含む(例えば、図3参照)。一実施形態によれば、タブ230は、支承面232と、支承面232の片持ち端部に隣接して配設されたロック面234とを含む。一実施形態によれば、タブ230は、作動アーム228の主要部分に対して鋭角を成す。
第1のポスト192は、底部容器104上に配設され、そこから上方向に延在する。一実施形態によれば(例えば、図4および図7に示すように)、第1のポスト192のベース部は、一対の平坦な側面236および一対の丸みのある側面240を含む。さらに、例えば、図4および図7に示すように、第2のポスト196ならびに第1の駆動ばねベース部244および第2の駆動ばねベース部248は、底部容器104から上方向に延在する。以下により詳細に説明するように、第1の駆動ばねベース部244および第2の駆動ばねベース部248は、駆動ばね148の端部をそれぞれアンカ留めする。第1の駆動ばねベース部244は、第2のポスト196に隣接して配設され、それらの間に空間が形成される。
一実施形態において、図3および図6に、アクティベータボタン128を組み付けるための底部容器104に対するアクティベータボタン128の位置決めを示す。この位置では、ヒンジアーム224の円筒形の部分の開口部により、アクティベータボタン128が水平に摺動し(平坦な側面236を越えて)第1のポスト192に係合することが可能である。次いで、ヒンジアーム224(したがって、アクティベータボタン128)は、第1のポスト192を中心に回転することができる。作動アーム228が第2のポスト196と第1の駆動ばねベース部244との間の空間に入り込むと、タブ230および作動アーム228のうちの少なくとも一方が、タブ230の支承面232の片持ち端部が第2のポスト196の押さえ面252を通過するまで弾性変形する。タブ230の支承面232の片持ち端部が第2のポスト196の押さえ面252(例えば、図4参照)を通過し、タブ230のロック面234が押さえ面252と係合すると、アクティベータボタン128が作動前の位置にあることを知らせる可聴クリック音および触知できるフィードバックが与えられる。
図2〜図4および図7〜図9に戻ると、ロータ136はさらに、作動突出部256および駆動ばねホルダ260を含む。患者がアクティベータボタン128を押すと、アクティベータボタン128の作動アーム228は、作動突出部256に係合し、それにより、ロータ136を回転させて作動前の位置から作動位置にする。
駆動ばねホルダ260は、ロータ136が作動前の位置にあるときは駆動ばね148を作動前の位置に維持する。前に述べたように、第1の駆動ばねベース部244および第2の駆動ばねベース部248は、駆動ばね148の対向する端部をアンカ留めしている。駆動ばね148のほぼ中間点には、例えば、ロータ136の駆動ばねホルダ260と係合するための図2および図3に示すようなほぼU字形の突出部がある。したがって、ロータ136が作動前の位置にあり駆動ばね148が駆動ばねホルダ260に係合しているときは、駆動ばね148は引っ張り状態に維持されている。さらに、駆動ばねホルダ260が駆動ばね148を解放するとき(すなわち、例えば図8〜図10に示すようにロータが回転して作動前の位置から作動位置になるとき)に、駆動ばね148は、底部容器104の開口部300を通して(さらに以下により詳細に説明する安全機構108の開口部を通して)マイクロ針152を押しやって輸液デバイス100の外側に延在させる。
したがって、以下により詳細に説明するように、単一の多機能/ステッププロセスで実現される輸液デバイス100の作動および起動には、患者がアクティベータボタン128を押すことと、アクティベータボタン128の作動アーム228とロータ136の作動突出部256との係合によりロータ136が回転することが含まれる。上記で説明したように、ロータ136が回転すると、プランジャ144が回転および解放されてリザーバ160内の流体が加圧される。さらに、ロータ136が回転すると、駆動ばね148が駆動ばねホルダ260から解放され、それにより、マイクロ針152が押しやられて輸液デバイス100の外側に延在する。単一の多機能/ステッププロセスにはさらに、アクティベータボタン128を押すときにアクティベータボタン128がバルブ168に係合しそのバルブ168を移動させることにより、バルブ168が移動して作動前の位置から作動位置になり、それにより、流体チャネル172を介してリザーバとマイクロ針152との間を流れ始めることも含まれる。
上記で述べたように、パッチ様の輸液デバイス100は安全機構108も含む。不注意によるまたは偶発的な針による刺し傷を防止し、デバイスの意図的な再使用を防止し、露出した針をシールドするために、ロック式の針安全機構108が設けられる。安全機構108は、患者の皮膚表面から輸液デバイス100が取り外されるとすぐに自動的に作動する。以下により詳細に説明する一実施形態によれば、可撓性の接着剤パッド264が、底部容器104の底部および安全機構108の底部に付着している。使用中は、接着剤パッド264は、患者の皮膚と接触し、輸液デバイス100を皮膚表面上の適位置に保持する。例えば、図11および図12に示すように、輸液デバイス100を皮膚表面から取り外す際に、安全機構108はマイクロ針152をシールドする位置に延在する。完全に拡張されると、安全機構108は、所定の位置にロックし偶発的な負傷または患者用の針への曝露が防止される。
通常、パッシブな安全システムが最も望ましい。それにより、偶発的に取り外される場合にまたは安全ステップがあることを患者が忘れた場合に、デバイスが自己防衛することが可能になる。この輸液デバイス100の典型的な使用はヒト成長ホルモンを供給することであり、これは通常夕方与えられるので、送達が10分未満しかかからないと予想できても、デバイス装着する患者(子供など)が実際にデバイスを夜通し装着するかもしれないと予期することができる。パッシブシステムがないと、輸液デバイス100が剥がれた場合にマイクロ針152が患者または介護者を再度突き刺す可能性がある。その解決策は、使用中の活動を制限するかまたはパッシブ安全システムを含むことのいずれかである。
安全システムに関しては、通常3つの選択肢がある。第1の選択肢は、針152をデバイス内に後退させることである。第2の選択肢は、針152にアクセスできないように針152をシールドすることであり、第3の選択肢は、針による刺し傷を防止するようにして針152を破壊することである。アクティブシステムなど、他のシステムは、手動のシールドを利用かつ/もしくは破壊、またはさらにボタンを押すかもしくは同様の動作による安全特性の手動による解放を利用する。本発明のパッシブ安全実施形態の詳細な説明を以下に提示する。
本発明の安全実施形態の1つは、安全機構108など、完全に閉じられたパッシブな引き出し設計の実施形態である。図5、図10、および図12は、輸液デバイス100の切り欠き斜視図であり、それぞれ作動前の安全機構108、作動後の安全機構108、安全機構108の展開後の安全機構108を示す。
輸液デバイス100が皮膚から取り外されるときは、(底部容器104の底面および安全機構108の底面の両方に取り付けられている)可撓性の接着剤パッド264により、安全機構108が引き出され、接着剤パッド264が皮膚表面から離れる前にそれを所定の位置にロックする。言い換えると、接着剤パッドを皮膚表面から取り外すのに必要な力は、安全機構108を展開するのに必要な力よりも大きい。一実施形態によれば、安全機構108は、例えば図13に示すように、平坦面部分268を含み、その平坦面部分268は患者の皮膚に接触する。平坦面268は、接着剤パッド264の一部分(図13の点線で示す)が安全機構108を貼付する箇所である。接着剤パッド264の貼付は、患者が輸液デバイス100を皮膚から取り外すときに、接着剤パッド264が輸液デバイス100から安全機構108を展開するように働き、それにより、マイクロ針152をシールドするようになっている。そうでない場合は、マイクロ針152は輸液デバイス100を患者から取り外す際に露出される。安全機構108は、完全に拡張されると、所定の位置にロックし偶発的な負傷またはマイクロ針152への曝露が防止される。
一実施形態によれば、接着剤パッド264は、事実上2つの部分に設けられ、一方は、底部容器104の底面の大部分、もう一方は安全機構108の底面である。輸液デバイス100が取り外されると、それらの2つのパッチは互いに独立に動き、安全機構108は底部容器104に対して回転可能である。別の実施形態によれば、それらの2つの部分は、単体の可撓性接着剤パッド264として形成され、一部が底部容器104の底面の大部分に配設され、一部が安全機構108の底面に配設される。
一実施形態によれば、安全機構108は、スタンピングした金属部分である。別の実施形態によれば、安全機構108は、事実上底部容器104と同じ材料から作製される。図14に示すように、安全機構108は、正面シールド272と、安全機構108の後部に配設された一対の挿入タブ276と、安全機構108のリム部284の上側後方端部にそれぞれ配設された一対のピボットタブ280と、安全機構108の事実上平坦な底部の内面から上方向に延在する案内ポスト288と、やはり安全機構108の底部内面から上方向に延在するロックポスト292とを含む。正面シールド272は、リム部284の上方に延在して、安全機構108が展開したときにマイクロ針152から患者をシールドする。案内ポスト288は切り欠きを内部に含み、その切り欠きは、ロータ136(例えば、図7および図9に示す)が作動前の位置にあるときにロータ136の安全維持用の突出部296に係合して、輸液デバイス100の作動前に安全機構108が展開するのが防止される。
さらに、上記で述べたように、安全機構108は針用開口部156を含む。安全機構108の展開の前は、針用開口部156は、底部容器104の開口部300に少なくとも部分的に重なって、マイクロ針152が動くための空間が設けられている。ロックポスト292は、針用開口部156の正面側の縁部に隣接してそれぞれ配設される。底部容器104は、案内ポスト開口部304(例えば、図7および図9に示す)と、底部容器104の対向する側方縁部に隣接して配設された一対の挿入タブ開口部308(そのうちの1つを例えば図4に示す)と、底部容器104の両側に配設された一対のピボットレスト312(例えば、図7および図9に示す)とを含む。
再度図14を参照すると、挿入タブ276はそれぞれ、連結部分316および延長部分320を含む。一実施形態によれば、連結部分316は、安全機構108の底部内面に対して垂直でない角度で、安全機構108の底部内面から輸液デバイス100の後部に向かって延在する。延長部分320はそれぞれ、延長部分320から安全機構108のそれぞれの外側に向かってほぼ垂直に延在する。安全機構108を底部容器104に組み付けるためには、安全機構108を底部容器104に対して約45度の角度に保持し、挿入タブ開口部308を通して挿入タブ276を挿入する。次いで、ガイドポスト288が案内ポスト開口部304を通して挿入され安全機構108の底部内面が底部容器104の底面に事実上平行でありそれと接触する位置になるまで、安全機構108を回転させる。
再度図7および図9を参照すると、これらの図は作動位置にあるロータ136示すが、図7および図9の分解図の性質が底部容器104への安全機構108の組み付けのこの段階を示すのに都合が良い。しかし、安全機構108は作動前に底部容器に組み付けるべきであると理解されよう。安全機構108の上向きの回転の後には、図4に示すように、安全機構108を、底部容器104に対して後ろ向きに平行移動させて、ピボットタブ280がピボットレスト312のそれぞれの正面縁部を離れピボットレスト312の上方に配設され、ロックポスト292が底部容器104の開口部300の側面縁部に隣接して配設され、ロータ136の安全維持用の突出部296が案内ポスト288に係合する。
図14に戻ると、ロックポスト292はそれぞれ、安全機構108の平坦な底部内面から事実上垂直に延在するポスト延長部分324と、ポスト延長部分324の端部に配設されたウェッジ部分328とを含む。ウェッジ部分328の高さが安全機構108の底部内面に対して高くなるにつれて、ウェッジ部分328の幅が広くなる。
安全機構108が展開し底部容器104に対して下向きに回転すると、ウェッジ部分328は、底部容器104の開口部180のそれぞれの側方縁部に対して作用して、ロックポスト192が互いに向かって弾性的に変形する。安全機構108が完全に展開されると、タブ280はピボットレスト312に着座するようになる。さらに、ウェッジ部分328の上部縁部は開口部300の底部縁部を通過し、ロックポスト292は事実上変形していない状態に反発復帰して(snap back)、安全機構108が完全に展開され、したがって、マイクロ針152がカバーされたことを伝える可聴クリック音および触知できるフィードバックが与えられる。図11および図12に戻ると、安全機構108が完全に展開しロックポスト292が事実上変形していない状態に反発復帰すると、ウェッジ部分328の上部縁部が底部容器104の底面のうちの開口部300に隣接する部分に係合し、それにより、安全機構108が、底部容器104に対して上向きに回転すること、およびマイクロ針152を露出することが防止される。さらに、上記で述べたように、正面シールド272は、患者をマイクロ針152からシールドする。
したがって、安全機構108は、単一の部分として設けられるパッシブな安全の実施形態であり、それにより人間の負荷の下でつぶれない良好なロックが提供される。このパッシブな安全機構の場合は、注射中に皮膚に余分な力が加えられず、マイクロ針152は使用後に輸液デバイス100内に安全に保持される。
輸液デバイス100の使用後には、投与量全てを確実に送達するために、患者はもう一度デバイスを検査することができる。この点において、図15A〜図15Dに示すように、輸液デバイス100は、投与終了表示器(EDI)124を含む。EDI124は、本体332と、本体332の上部に対して事実上水平に延在する第1のアーム336および第2のアーム340とを含む。
EDI124はばねアーム344も含み、そのばねアーム344は、本体332の上部から上向きに湾曲している。一実施形態によれば、ばねアーム344は、リザーバサブアセンブリ120の底面を押して、EDI124を底部容器104に向かって弾性的に付勢し、そのため、例えば輸液デバイス100の輸送中および搬送中に、EDI124が確実に輸液デバイス100のから自由に出て行かないようになっている。
図4に戻ると、本体332は、EDIチャネル348内に配設され、EDIチャネル348内で事実上垂直に平行移動する。EDIチャネルは、プランジャ144のレッグ部208およびフット部212を案内するくぼんだチャネル204のうちの1つに隣接した位置にある。第1のアーム336は、そのくぼんだチャネル204の上部を横切って延在する。
図15Aに戻ると、第2のアーム340の端部から上向きに、垂直の押し出し成形体352が延在している。リザーバの内容物が送達されたときに、垂直の押し出し成形体は、上部容器116のEDI開口部356(例えば、図15C参照)を通って延在して、投与量の最後に達したことを伝える。一実施形態によれば、EDI124は1部片の構成に形成される。
図15Bに示すように、作動後に加圧ばね140によってプランジャ144が円筒形のハウジング200内で上向きに移動すると、プランジャ144のフット部212のうちの1つがEDI124の第1のアームに接触する。フット部212は、EDI124を上向きに持ち上げ、ばねアーム344の付勢を克服し、リザーバの内容物の送達中に垂直の押し出し成形体352がEDI開口部356を通ってさらに延在する。図10に戻ると、垂直の押し出し成形体352は、輸液デバイス100から部分的に延在する。リザーバの内容物の送達が完了し、プランジャが全ストロークに達すると、垂直の押し出し成形体352は図15Dに示すように完全に拡張する。したがって、EDI124は、プランジャ144の線形移動を利用して、EDI124の線形移動を生み出す。EDI124が輸液デバイス100の外側に見えると、それにより、リザーバの内容物の送達が伝えられる。
図16に、注射ポート404を有する輸液デバイス400の一実施形態を示す。注射ポートにより、排気したまたは部分的に充填されたリザーバ408にアクセスし、患者は作動前に物質または物質の組み合わせをリザーバ中に注入することができる。あるいは、製薬メーカまたは薬剤師が、販売前に輸液デバイス400を物質または物質の組み合わせで充填するために注射ポート404を利用することもできる。事実上他の全ての点において、輸液デバイス400は、上記で説明した輸液デバイス100と同様である。
次に、輸液デバイス100の動作を説明する。上記で説明した本発明の実施形態は、好ましくは、押しボタン(アクティベータボタン128)の設計を含む。輸液デバイス100は、皮膚表面に配置および貼付することができ、アクティベータボタン128を押すことで起動および/または作動させることができる。より具体的には、第1のステップでは、患者は、滅菌包装(図示せず)からデバイスを取り出し、接着剤パッド264のカバー(図示せず)を取り除く。患者は針カバー112も取り外す。輸液デバイス100を包装から取り出す際に、かつ使用前に(例えば、図1、図2、図4、および図5参照)、作動前状態にある輸液デバイス100により、不足成分または損傷した成分、使用期限(複数可)、濁ったまたは変色した薬剤などに関する検査を含む検査を患者が行うことが可能になる。
次のステップは、患者の皮膚表面に輸液デバイス100を位置決めおよび貼付することである。薬用のパッチのように、患者は、輸液デバイス100を皮膚にしっかりと押し付ける。接着剤パッド264の片面が、底部容器104の底面および安全機構108の底面に付着しており、接着剤パッド264の反対側の面が、輸液デバイス100を患者の皮膚に固定する。(底部容器104および安全機構108の)これらの底面を平坦にするか、起伏をつけるか、または任意の適切な形に成形することができ、その面の上に接着剤パッド264が固定される。一実施形態によれば、輸送前に、フィルムなど、接着剤パッド264のカバーが、接着剤パッド264の患者側に貼付されて、輸送中に接着剤が守られる。上記で述べたように、使用前に、患者は、接着剤のカバーを剥がし、それにより、皮膚に接触させて配置するために接着剤パッド264を露出する。
接着剤カバーを取り外した後で、患者は、輸液デバイス100を皮膚に接触させて配置し、適切に確実に接着するように押すことができる。上記で述べたように、適切に配置されると、アクティベータボタン128を押すことでデバイスが作動する。こうした作動ステップにより、プランジャ144および加圧ばね140が解放されて、プランジャ144がリザーバ160の可撓性のフィルム(リザーバドームシール164)を押すことが可能になり、それにより、リザーバが加圧される。こうした作動ステップはまた、ロータ136の駆動ばねホルダ260から駆動ばね148を解放するようにも働き、それにより、マイクロ針152が(底部容器104の開口部300および安全機構108の針用開口部156を通して)輸液デバイス100の外側に押し出され、マイクロ針152が患者の体内に着座する。さらに、作動ステップにより、バルブ168が開かれて、チャネル172を介してリザーバ160とマイクロ針152との間に(例えば、図8〜図10参照)流体連絡通路が設けられる。押しボタンの単一の動作でこれらの各作用を実現できることから多大な利益が生み出される。さらに、別の著しい利益には、リザーバサブアセンブリ120内に全体が構成される連続の流体連絡通路の使用が含まれる。
作動すると、患者は、通常、リザーバの内容物の送達を完了するために(10分から72時間など)ある期間にわたって、輸液デバイス100を適位置に残すか、またはデバイスを装着する。次いで、患者は、下にある皮膚にも組織にも損傷を与えずにデバイスを取り外し廃棄する。意図的に外すかまたは偶発的に外れた際には、1つまたは複数の安全特性が展開して、露出したマイクロ針152がシールドされる。より具体的には、患者が皮膚から輸液デバイス100を取り外したときに、接着剤パッド264は、輸液デバイス100から安全機構108を展開するように作用し、それにより、マイクロ針152がシールドされる。そうでない場合は、マイクロ針152は輸液デバイス100を患者から取り外す際に露出されることになる。安全機構108は、完全に拡張されると、所定の位置にロックし偶発的な負傷またはマイクロ針152への曝露が防止される。しかし、安全特性は、アクティベータボタン128が押されておらず、マイクロ針152が延長していない場合に展開するように構成することができず、それにより、使用前に安全機構が展開することが防止される。使用後は、投与量全てを確実に送達するために、患者はもう一度デバイスを検査することができる。例えば、患者は、透明なドーム176を通してリザーバの内部を見、かつ/またはEDI124を検査することができる。
説明した実施形態は、薬物および医薬品を含む様々な物質を、患者に、具体的にはヒトの患者に投与する際に使用するのに適している。本明細書では、医薬品には、人体の膜および表面を通して、具体的には皮膚を通して送達できる、生物活性を有する物質が含まれる。以下により詳細に列挙する例には、抗生物質、抗ウイルス物質、鎮痛薬、局所麻酔薬、食欲抑制薬、抗関節炎薬、抗鬱薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症剤、抗腫瘍薬、DNAワクチンを含むワクチンなどが含まれる。患者の皮内または皮下に送達できる他の物質にはヒト成長ホルモン、インスリン、タンパク質、ペプチド、およびそれらの断片が含まれる。タンパク質およびペプチドは、自然発生させるか、合成するか、または組み換えにより生成することができる。さらに、このデバイスを、樹状細胞の皮内輸液中のような細胞療法において使用することができる。本発明の方法に従って送達できるさらに他の物質を、疾患の予防、診断、緩和、治療、または治癒に使用される薬剤、ワクチンなどからなる群から選択することができる。それらの薬剤には以下のものが含まれる。アルファ1抗トリプシン、抗血管新生薬、アンチセンス、ブトルファノール、カルシトニンおよび類似物、Ceredase、COX−II阻害剤、外皮用薬、ジヒドロエルゴタミン、ドーパミンアゴニストおよびアンタゴニスト、エンケファリンおよび他のオピオイドペプチド、上皮増殖因子、エリスロポイエチンおよび類似物、卵黄刺激ホルモン、G−CSF、グルカゴン、GM−CSF、グラニセトロン、成長ホルモンおよび類似物(成長ホルモン放出ホルモンを含む)、成長ホルモンアンタゴニスト、ヒルログなどのヒルジンおよびヒルジン類似物、IgEサプレッサ、インスリン、インスリン放出物質および類似物、インスリン様成長因子、インターフェロン、インターロイキン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモンおよび類似物、低分子量ヘパリン、M−CSF、メトクロプラミド、ミダゾラム、単クローン抗体、麻薬性鎮痛薬、ニコチン、非ステロイド系抗炎症薬、オリゴ糖、オンダンセトロン、副甲状腺ホルモンおよび類似物、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、プロスタグランジンアンタゴニスト、プロスタグランジン、組み換え型可溶受容体、スコポラミン、セロトニンアゴニストおよびアンタゴニスト、シルデナフィル、テルブタリン、血栓溶解剤、組織プラスミノゲン賦活剤、TNF阻害剤およびTNF阻害剤、キャリア/補助薬を有するまたは有しないワクチン。それらのワクチンには、予防薬および治療用抗原(限定するものではないが、サブユニットタンパク質、ペプチドおよび多糖類、多糖類結合型、トキソイド、遺伝子ベースのワクチン、弱毒性、再集合体、不活化、全細胞、ウイルスおよび細菌のベクタが含まれる)が含まれ、嗜癖、関節炎、コレラ、コカイン中毒、ジフテリア、破傷風、HIB、ライム病、髄膜炎、麻疹、ムンプス、風疹、水痘、黄熱、呼吸器系合胞体ウイルス、ダニ媒介の日本脳炎、肺炎球菌、連鎖球菌、チフス、インフルエンザ、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎およびE型肝炎を含む肝炎、中耳炎、狂犬病、ポリオ、HIV、パラインフルエンザ、ロタウイルス、エプスタインバーウイルス、CMV、クラミジア、分類不能型ヘモフィルス、モラクセラカタラーリス、ヒトパピローマウイルス、BCGを含む結核、淋菌、喘息、アテローム性動脈硬化症、マラリア、大腸菌、アルツハイマー病、H.ピロリ菌、サルモネラ菌、糖尿病、癌、単純ヘルペス、ヒトパピローマ、ならびに以下の主な治療の全てを含む他の同様の物質に関連する。感冒、嗜癖防止薬、抗アレルギー、抗催吐、抗肥満薬、抗骨粗鬆症薬、抗感染薬、鎮痛薬、局所麻酔薬、食欲抑制薬、抗関節炎薬、喘息治療薬、抗痙攣薬、抗鬱薬、糖尿病治療薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症剤、偏頭痛治療薬、抗動揺病製剤、制吐剤、抗悪性腫瘍薬、抗パーキンソン病薬、止痒剤、抗精神病薬、解熱剤、抗コリン薬、ベンゾジアゼピンアンタゴニスト、全体の血管、心臓血管、末梢血管、および脳血管を含む血管の拡張薬、骨刺激薬、中枢神経系刺激薬、ホルモン、催眠薬、免疫抑制剤、筋弛緩剤、副交感神経遮断薬、副交感神経作用薬、プロスタグランジン、タンパク質、ペプチド、ポリペプチドおよび他の高分子、精神刺激薬、鎮静剤、生殖機能不全薬および精神安定薬、ならびに内容全体が明示的に援用される、「Method of Intradermally Injecting Substances」と題された特許文献1に記載のツベルクリンおよび他の過敏などの主な診断薬。
本発明のシステムおよび方法に従って送達できるワクチン製剤は、ヒト病原体に対する免疫応答を誘発できる抗原または抗原成分からなる群から選択することができる。その抗原または抗原成分は、内容全体が本明細書に明示的に援用される、「Vaccine Delivery System」と題された特許文献2に記載されているような、HIV−1(tat、nef、gp120またはgp160など)、gDまたはその誘導体などのヒトヘルペスウイルス(HSV)またはHSV1もしくはHSV2によるICP27などの前初期タンパク質、サイトメガロウイルス(CMV(特にヒト)(gBまたはその誘導体など)、ロタウイルス(弱毒性ウイルスを含む)、エプスタインバーウイルス(gp350またはその誘導体など)、水痘ヘルペスウイルス(VZV、gpI、II、およびIE63など)から由来するか、または、B型肝炎ウイルス(例えばHBs抗原またはその誘導体)、A型肝炎ウイルス(HAV)、C型肝炎ウイルス、およびE型肝炎ウイルスなどの肝炎ウイルスから由来し、または、パラミクソウイルス、呼吸器系合胞体ウイルス(RSV、Fタンパク質およびGタンパク質またはその誘導体など)、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV、例えばHPV6、11、16、18)、フラビウイルス(例えば、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介のウマ脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)またはインフルエンザウイルス(全生ウイルスもしくは不活化ウイルス、インフルエンザ成分ウイルス、卵内で成長した細胞もしくはMDCK細胞、または全生流感ビロソーム、または精製無タンパク質もしくはその組み換え型タンパク質、HA、NP、NA、もしくはMタンパク質などの、またはそれらの組み合わせ)などの他のウイルス病原体から由来し、または、N.淋病およびN.髄膜炎菌(例えば莢膜多糖類およびそのコンジュゲート、トランスフェリン結合タンパク質、ラクトフェリン結合タンパク質、PilC、付着因子)を含むナクィセリア属などの細菌の病原体;S.化膿レンサ球菌(例えばMタンパク質またはその断片、C5Aプロテアーゼ、リポタイコ酸)、S.アガラクチア、S.ミュータンス菌;H.軟性下疳菌;カタル球菌(例えば高分子量および低分子量の付着因子およびインベーシン)としても知られたMカタラーリスを含むモラクセラ属;B.百日咳(例えば、ペルタクチン、百日咳毒素またはその誘導体、繊維状赤血球凝集素、アデニル酸環化酵素、フィムブリエ)、B.パラ百日咳菌、およびB.ブロンキセプチカを含むボルデテラ属、;M.結核(例えばESAT6、抗原85A、85B、または85C)、M.ウシ型結核菌、M.ライ菌、M.アビウム、M.ヨーネ菌、M.スメグマ菌を含むマイコバクテリウム属;L.ニューモフィラを含むレジオネラ属;毒素原生大腸菌(例えば、定着因子、熱に弱いトキシンまたはその誘導体、熱安定性のトキシンまたはその誘導体)、腸管出血性大腸菌、腸管病原性大腸菌(例えば、志賀毒素様の毒素またはその誘導体)を含むエシエリキア属;V.コレラ(例えばコレラトキシンまたはその誘導体)を含むビブリオ属;S.ソンネ、S.志賀、S.フレキシネルを含む赤痢菌属;Y.エンテロコリティカ(例えば、Yopタンパク質)、Y.ペスト菌、Y.シュードツベルクローソスを含むエルシニア属;C.ジェジュニ(例えばトキシン、付着因子、およびインベーシン)およびC.コリを含むカンピロバクタ属;S.チフス菌、S.パラチフス菌、S.ブラコレラ菌、S.腸炎菌を含むサルモネラ属;L.モノサイトゲネスを含むリステリア属;H.ピロリ(例えば、ウレアーゼ、カタラーゼ、空胞化トキシン)を含むヘリコバクタ属;P.緑膜菌を含むシュートモナス菌属;黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌を含むブドウ球菌属;E.フェカリス菌、E.フェシウム菌を含むエンテロコッカス属;C.破傷風菌(例えば破傷風毒素およびその誘導体)、C.ボツリヌス菌(例えばボツリヌス菌毒素およびその誘導体)、C.ディフィシレ(例えばクロストリジウム属A毒素またはB毒素およびその誘導体)を含むクロストリジウム属;B.炭疽菌(例えば、ボツリヌス菌毒素およびその誘導体)を含むバチルス属;C.ジフテリア(例えば、ジフテリア毒素およびその誘導体)を含むコリネバクテリウム属;B.ライム病菌(例えばOspA、OspC、DbpA、DbpB)、B.ガリニイ(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、B.アフゼリイ(例えばOspA、OspC、DbpA、DbpB)、B.ハームシイ(例えばOspA、OspC、DbpA、DbpB)、B.ハームシイを含むボレリア属;E.エクイおよびヒト顆粒球エーリキア症治療薬を含むエーリキア属;R.リケッチイを含むリケッチア属;C.トラコマチス(例えば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、C.ニュモニエ(例えばMOMP、ヘパリン結合タンパク質)、C.オウム病クラジミアを含むクラミジア属;L.インターロガンスを含むレプトスピラ属;T.梅毒(例えば、希少な外膜タンパク質)、T.ディンティコラ、T.ビオディセンテリエを含むトレポマーネ属から由来し、;または、P.熱帯性マラリアを含むマラリア原虫などの寄生生物;T.グンディ(例えばSAG2、SAG3、Tg34)を含むトキソプラズマ属;E.赤痢アメーバを含むエントアメーバ属;B.ミクロティを含むバベシア属;T.クルーズを含むトリパノソーマ属;G.ランブル鞭毛虫を含むジアルジア属;森林型熱帯リーシュマニアを含むリーシュマニア属;P.カリニを含むニューモンティス属;T.バギナリスを含むトリコモナス属;S.マンソンを含む、または、C.アルビカンスを含むカンジダ属などのイーストから由来する住血吸虫属;C.ネオフォルマンスを含むクリプトコッカス属から由来する。
これらは、M.結核菌、例えばTb Ral2、Tb H9、Tb Ra35、Tb38−1、Erd 14、DPV、MTI、MSL、mTTC2、およびhTCClの場合の好ましい特定の抗原も含む。M.結核菌の場合のタンパク質は、融合タンパク質およびその変形物も含み、M.結核菌の少なくとも2、好ましくは3のポリペプチドが融合してより大きいタンパク質になる。好ましい融合には、Ral2−TbH9−Ra35、Erdl4−DPV−MTI、DPV−MTI−MSL、Erdl4−DPV−MTI−MSL−mTCC2、Erdl4−DPV−MTI−MSL、DPV−MTI−MSL−mTCC2、TbH9−DPV−MTIが含まれる。クラミジアの場合の最も好ましい抗原には、例えば、高分子量タンパク質(HWMP)、ORF3、および推定膜タンパク質(Pmps)が含まれる。好ましい細菌のワクチンは、S.肺炎連鎖球菌(例えば、莢膜多糖類およびそのコンジュゲート、PsaA、PspA、ストレプトリジン、コリン結合タンパク質)、タンパク質抗原ニューモリシン(非特許文献1)、およびその変異体の解毒した誘導体を含む、連鎖球菌属から由来の抗原を含む。他の好ましい細菌のワクチンには、H.インフルエンザB型(「Hib」、例えばPRPおよびそのコンジュゲート)、分類不能型H.インフルエンザ、例えば、OMP26、高分子量付着因子、P5、P6、タンパク質Dおよびリポタンパク質D、およびフィンブリン、ならびにフィンブリン由来のペプチドまたは多重コピー変異体もしくはその融合タンパク質を含むヘモフィルス属由来の抗原が含まれる。HBs抗原の誘導体は、当技術分野でよく知られおり、とりわけPreS1、PreS2 S抗原を含む。好ましい一態様では、本発明のワクチン製剤には、特にCHO細胞中で発現されるときの、HIV−1抗原、gpl20が含まれる。さらなる実施形態では、ワクチン製剤には、本明細書の上記に定義したようなgD2tが含まれる。
上記で列挙した物質の送達に加えて、患者から物質を引き抜くためにまたは患者の物質レベルをモニタリングするために、輸液デバイス100を使用することができる。モニタリングまたは引き抜きできる物質の例には、血液、間質液、または血漿が含まれる。次いで、引き抜かれた物質を検体、グルコース、薬剤などに関して分析することができる。
図17に、安全機構の別の実施形態を有する輸液デバイス500の一実施形態を示す。図17に示すように、輸液デバイス500は本体504を含み、本体504の底部は針用開口部508を含む。一実施形態によれば、針用開口部508の形状は、針カバー112に対応している。本体504はさらにブロッカ512も含み、それらのブロッカ512は、本体504に移動可能に連結される。より具体的には、一実施形態によれば、ブロッカ512は、本体504に回転可能に連結される。
図18に示すように、ブロッカ512は、そこから延在する一対のブロッカアーム516を含む。ブロッカ512を本体504に組み付けるには、本体504内にモールド成形された取り付け具にブロッカアーム516をスナップ嵌めするように、ブロッカ512をブロッカ本体504のブロッカ用開口部520中に挿入して、ブロッカ12を本体504に回転可能に連結する。一実施形態によれば、ブロッカ512は、本体504の内側からブロッカ用開口部520中に挿入される。別の実施形態によれば、ブロッカ512は、本体504の外側からブロッカ用開口部520中に挿入される。
ブロッカ512はまた、その端部から延在するブロックポスト524と、ブロッカ512の外面(すなわち、患者の表面)上に配設されたブロッカ接着剤528も含む。一実施形態によれば、ブロッカ接着剤528は接着剤パッドである。ブロッカ用開口部520は、ブロックポスト524が本体504の内部の底面を越えて本体504内に突出しないようにブロッカ512が本体504から離れる方に回転できるように、長手方向にサイズ設定されている。言い換えると、ブロッカ用開口部520の長手方向のサイズは、ブロックポスト524がブロッカ用開口部520を貫通できるように、ブロッカ512の長手方向のサイズよりも少なくともわずかに大きくなければならない。
図19に示すように、輸液デバイス500はまた、リング様の安全部材またはカバーリング532も含み、これは、プランジャ144が内部を移動する円筒形のハウジング200を中心に回転可能に配設される。安全部材532は、針用開口部508を選択的にカバーするための、安全部材532から延在するカバータブ536と、ブロッカ512に選択的に載る、安全部材532から延在するブロックタブ540とを含む。安全部材532は、展開前位置(例えば、図19に示す)から、カバータブ536が針用開口部508をカバーするカバー位置まで、本体504内で移動可能である。輸液デバイス500はさらに付勢機構544を含む。
一実施形態によれば、付勢機構544は、付勢部材548と、付勢部材548に連結された付勢ばね552とを含む。例えば、図21〜図23に示すように、一実施形態によれば、付勢ばね552は、ブロックタブ540を直接支承する。さらに、例えば図19および図24に示すように、別の実施形態によれば、付勢機構544は安全用支承部材556も含み、その安全用支承部材556は、付勢ばね532に連結され付勢ばね532とブロックタブ540との間に配設される。さらに、付勢ばね532は、例えば、コイルばねまたはリーフばねでもよい。
一実施形態では、本体504は、その内部底面にトラックが配設されており、付勢部材548は、そのトラックに係合する少なくとも1つのフット部を有し、そのため、アクティベータボタン560のバイアス支承面576(以下により詳細に説明する)が付勢部材548を押すときに、付勢部材548がトラックに沿って垂直に拘束され滑らかに移動する。別の実施形態では、付勢部材548および安全用支承部材556の両方が少なくとも1つのフット部を有し、そのフット部はトラックに係合し、そのため、アクティベータボタン560のバイアス支承面576が付勢部材548を押すときに、付勢部材548および安全用支承部材556がトラックに沿って垂直に拘束され滑らかに移動する。安全用支承部材556の動きは、バイアス支承面576が付勢部材548を押すときに付勢ばね552の圧縮によって引き起こされる。
図20にアクティベータボタン560の一実施形態を示す。上記で説明したアクティベータボタン128と同様に、アクティベータボタンは、ヒンジアーム564と、作動アーム568とを有する。アクティベータボタン560のヒンジアーム224は、円筒形の部分を含み、その円筒形の部分は、本体504の第1のポスト192(例えば、図4参照)に選択的に連結しそれ中心に回転するための開口部を有する。作動アーム568はロータ支承面572を含み、そのロータ支承面572は、輸液デバイス500の作動の際にロータ136に接触しそれを回転させる。作動アーム568はその下側部分に、バイアス支承面576を含む切り欠きも有し、そのバイアス支承面576は、輸液デバイス500の作動の際に付勢部材548に接触しそれを移動させる。図17〜図27にはロータ136を示していないが、一実施形態によれば、安全部材532は、ロータ136の下に配設され、ロータ136とは関係なく動く。
一実施形態によれば、例えば図21に示す展開前位置において、ブロッカ512の外面(すなわち、患者の表面)は本体504の患者側の面と事実上面一である。さらに、ブロッカ接着剤528は、本体504の患者側の面に配設された接着剤パッド264と事実上面一である。ブロッカ512は、ブロッカ用開口部520と摩擦嵌めするようにサイズ設定されている。より具体的には、ブロッカ512の横幅は、ブロッカ512を展開の前の展開前位置に維持するようにブロッカ用開口部520と摩擦嵌めするようにサイズ設定されている。
例えば図22に示すブロッカ512の別の実施形態の展開前位置では、ブロッカ512の外面(すなわち、患者の表面)は、本体504の患者側の面に隣接しており、事実上それに平行である。この実施形態では、ブロックポスト580は、ブロッカ用開口部520と摩擦嵌めするようにサイズ設定されている。より具体的には、ブロックポスト580の横幅は、ブロッカ512を展開の前に展開前位置に維持するようにブロッカ用開口部520と摩擦嵌めするようにサイズ設定されている。この実施形態では、患者がアクティベータボタン560を作動させるときに作動アーム568のロータ支承面がブロックポスト580を確実に通り越すことができるように、ブロックポスト580がブロックポスト524を組み込んだ実施形態よりも背が高いので、例えば図22に示すように作動アーム568の遠位端を作り直す必要がある場合もある。
一実施形態によれば、ブロッカ接着剤528は、患者から本体504を取り外す間に本体504から離れる方に確実にブロッカ512を回転させるために本体の接着剤264よりも強力である。言い換えると、ブロッカ接着剤528が本体の接着剤264よりも強力なので、本体の接着剤264は、ブロッカ接着剤528が離れる前に患者の皮膚から離れ、したがって、ブロッカ512は少なくとも本体504から離れる方にブロッカ512を回転させるのに十分長く患者の皮膚に付着したままである。別の実施形態によれば、ブロッカ接着剤528は、患者が輸液デバイス500を取り外すときにブロッカ接着剤528と患者の皮膚との間の相互作用がブロッカ512とブロッカ用開口部520との間の摩擦嵌めを克服してブロッカ512を本体504から離れる方に回転させる限り、本体の接着剤264と同じ強さでもよく、それどころか本体の接着剤よりも弱くてもよい。
明確にするために、図25に、作動前状態にある輸液デバイス500のより完全な分解図を示す。図25に示すように、ブロックタブ540は、まだ、ブロックポスト524に向かって付勢されておらず、したがって、安全部材532は、まだ、針用開口部508に向かって付勢されていない。さらに、アクティベータボタン560がまだ作動していないので、(針マニホルド584を介してチャネル172に流体連結している)マイクロ針152は依然として本体504の内側にある。
動作の際には、輸液デバイス500を患者の皮膚に付着させた後で、患者がアクティベータボタン560を押して輸液デバイス500を作動させるときに、アクティベータボタン560を動かすとバルブ168が開き、リザーバ160とマイクロ針152との間に流体連絡通路が設けられる。さらに、輸液デバイス500の作動については、アクティベータボタン560のロータ支承面572は、円筒形のハウジング200に接触し、円筒形のハウジング200を中心にロータ136を回転させ、それにより、プランジャ144および加圧ばね140が解放され、プランジャ144がリザーバ160の可撓性のフィルム(リザーバドームシール164)を押すことが可能になり、それにより、リザーバに圧力が加えられる。さらに、輸液デバイス500の作動により、駆動ばね148がロータ136の駆動ばねホルダ260から解放され、それにより、マイクロ針152が(本体504の針用開口部508を通して)輸液デバイス500の外に押しやられ、マイクロ針152が患者の体内に着座する。
さらに、アクティベータボタン560が回転して作動位置になる間に、バイアス支承面576は、付勢部材548に接触し、それを移動させる。その付勢部材548が移動すると、安全部材532のブロックタブ540に対して付勢ばねが圧縮されて、針用開口部508に向かって安全部材532が付勢されている。同様に、安全用支承部材556を用いる実施形態では、バイアス支承面576は付勢部材548に接触し、それを移動させる。その付勢部材548が移動すると、安全用支承部材556に対して付勢ばねが圧縮され、それに応答して安全用支承部材556が移動し、安全部材532のブロックタブ540に接触して、針用開口部508に向かって安全部材532を付勢する。その結果、例えば図23および図24に示す展開前位置では、安全部材532のブロックタブ540はブロッカ512に接触し、それにより、針用開口部508への安全部材532の移動が防止される。
薬の送達が完了すると、患者は、患者の皮膚から輸液デバイス500を取り外し始める。前に述べたように、ブロッカ接着剤528と患者の皮膚との相互作用は、本体504から離れる方にブロッカ512を回転させるためにブロッカ512とブロッカ用開口部520との摩擦嵌めを克服するのに十分である。次いで、ブロッカ512が回転し、安全部材532ブロックタブ540にはもはや接触していないので、カバータブ536は、付勢ばね552の力の下で針用開口部508に向かって回転する。
図26に、輸液デバイス500の安全機構が展開しているときの安全部材532と針マニホルド584との相互作用を示す。安全部材またはカバーリング532が移動してカバー位置になって針用開口部508をカバーすると、安全部材532は、針マニホルド584を本体504中に後退させ、マイクロ針152を曲げる。より具体的には、一実施形態によれば、図26に示すように、カバータブ536は、傾斜した先頭の縁部またはランプ588を有し、針マニホルド584は、それに対応する傾斜した縁部またはランプ592を有する。付勢ばね552の力により、カバータブ536が回転してカバー位置になると、カバータブ536の傾斜した先頭部分588はマニホルドランプ592に係合し、それにより、針マニホルド584が上向きに押しやられマイクロ針152が曲げられ、図27に示すように、マニホルド584およびマイクロ針152が本体504内に後退し、針用開口部508がカバーされる。
したがって、図17〜図27に示すように、輸液デバイス500は安全機構を含み、その安全機構は、輸液デバイス500を患者の皮膚から取り外す際に、マイクロ針152を本体504内に自動的に後退させ、針用開口部508をカバーする。
輸液デバイス500の明示的に開示していない部分が輸液デバイス100の対応する部分に事実上同様であることが理解されよう。
輸液デバイス100の安全機構に関しては、輸液デバイス500の安全機構の一利点は、枢動するハウジング/シールド(安全機構108)が不要であり、それにより、よりコンパクトな輸液デバイスが提供されることである。それにもかかわらず、示さなかったが、開示した安全機構の特性を組み合わせることも可能である。例えば、安全機構108は、安全機構108の展開後に針用開口部156をカバーする回転プレートを用いることもできる。
上記では本発明のいくつかの典型的な実施形態のみ詳細に説明してきたが、それらの典型的な実施形態においては、本発明の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなしに多くの改変形態が可能であることを当業者なら容易に理解するであろう。したがって、こうした改変形態は全て、添付の請求項の範囲およびその等価物に包含されるものである。