I. 電子取引環境
図1は、スプレッド取引戦略の実施形態が使用され得る例示的な電子取引環境を示す。電子取引環境は、クライアントデバイス102と、ゲートウェイ106と、電子取引所105と、ルータ108とを含む。クライアントデバイスは、情報を伝達するために、ゲートウェイ106等の1つまたは複数のデバイスを介して電子取引所104へ結合される。ルータ108は、ゲートウェイ106と電子取引所104との間でメッセージをルーティングするように構成される。
電子取引所104は、取引するための1つまたは複数の取引可能オブジェクトをリストしてもよい。電子取引所104は、少なくとも1つのプロセッサまたは中央コンピュータを含む。電子取引所は、クライアントデバイス102から注文を受信し、かつこれらの注文を反対注文とマッチングするように構成される。クライアントデバイス102から受信された、直ちにマッチングされない注文は蓄積され、かつ取引可能オブジェクトの注文一覧に配列されてもよい。注文は、その注文の取引可能オブジェクトのマッチングアルゴリズムに従ってマッチングされる。図1には示されていないが、本取引システムは、ファイアウォール、ハブ、セキュリティマネージャおよびこれらに類似するものを含む、ミドルウェアおよびセキュリティ対策等のクライアントサイトのための他のデバイスを含んでもよい。
また電子取引所104は、電子取引所104で受信される注文、並びに電子取引所104でマッチングされる注文に関連する情報を配信してもよい。情報は、1つまたは複数の加入クライアントデバイス102へ配信または同報通信されてもよい。情報は、ある特定の時点における一番安い売り値(一番安い指値価格)および一番高い買い値(一番高い指値価格)を含む、場内市場を表すデータを含んでもよい。また情報は、その場内市場で入手可能な取引可能オブジェクトの数量、並びに場内市場から離れた、または場内市場の外部で入手可能な取引可能オブジェクトの数量をこのような数量が入手可能である度合いまで含み得る市場の深さも含んでもよい。
ある価格レベルで入手可能な数量は、総和で提供されてもよい。電子取引所104は、市場に置いてある価格レベルで入手可能な合計買い数量および合計売り数量をそのデータフィードにおいて提供してもよい。トレーダが利用可能な市場の深さの度合いは、通常、取引所に依存する。提供される市場の深さの量もまた限定されることがあり、入手可能な取引可能オブジェクトの全量を含まなくてもよい。例えば、電子取引所104の中には、全ての(またはほとんどの)価格レベルについて市場の深さを提供するものもあれば、場内市場において、または場内市場の近くで関連づけられる数量についてのみ市場の深さを提供するものもあり、その他、市場の深さを提供しないものもある。電子取引所104は、最終取引価格(LTP)、最終取引数量(LTQ)および注文約定情報等の他のタイプの情報を提供してもよい。注文の約定および実行に関連する情報は、市場データと称される場合がある。
クライアントデバイス102は、1つまたは複数のメインフレーム、デスクトップ、ノートブック、タブレットPC、ハンドヘルド、パーソナル・デジタル・アシスタント、スマートホン、サーバ、ゲートウェイ、これらの組合せまたは1つまたは複数のプロセッサまたは中央処理装置を有する他のコンピューティングデバイスであってもよい。またクライアントデバイス102は、1つまたは複数のメモリまたはデータ記憶デバイス、通信ネットワークからデータを受信するための入力インタフェース、キーボード、トラックボール、ペンデバイス、マイクロホン、注視点検出デバイス、クリックベース取引用の2つまたは3つボタン式マウスおよび/またはユーザからの入力を受信するように構成される他のデバイス等の1つまたは複数の入力デバイスから入力信号を受信するための入力インタフェースおよび少なくとも1つの出力デバイス(例えば、モニタ)と通信するための出力インタフェースも含んでもよい。システムバスまたはその同等物は、通信を提供してもよい。クライアントデバイス102は、複数のワークステーション等の1つまたは複数のデバイスであっても、デバイスのネットワークであってもよい。
メモリは、プロセッサへ命令を提供することに参与する任意の媒体を含むコンピュータ読取り可能媒体を含んでもよい。コンピュータ読取り可能媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体および伝送媒体を含む形式をとってもよい。不揮発性媒体は、記憶デバイス等の光または磁気ディスクを含んでもよい。揮発性媒体は、メインメモリ、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(「DRAM」)およびこれらに類似するもの等のダイナミックメモリを含んでもよい。またコンピュータ読取り可能媒体の一般的形式には、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、パンチカード、CD−ROM、RAM、PROM、EPROM、FLASH−EPROMおよびコンピュータによる読み取りが可能な他の任意のメモリチップまたはカートリッジまたは媒体も含まれる。プロセッサは、入手可能な市場情報を処理するに足る能力を有してもよい。ある例示的な実施形態において、クライアントデバイスは少なくとも1つのPentium(登録商標)クラスのプロセッサを含み、かつWindows(登録商標)またはMAC OSオペレーティングシステムの一方またはそれ以上を用いて動作してもよい。
ゲートウェイ106は、パーソナルコンピュータまたはより高速のコンピューティングデバイス等の任意タイプのコンピューティングデバイスであることが可能である。ゲートウェイ106は、1つまたは複数の中央処理装置、メモリまたはデータ記憶デバイス、通信ネットワークからデータを受信するための入力インタフェース、キーボード、トラックボール、ペンデバイス、マイクロホン、注視点検出デバイス、クリックベース取引用の2つまたは3つボタン式マウスおよび/またはユーザからの入力を受信するように構成される他のデバイス等の1つまたは複数の入力デバイスから入力信号を受信するための入力インタフェースおよび少なくとも1つの出力デバイス(例えば、モニタ)と通信するための出力インタフェースを含んでもよい。ゲートウェイ106はPentiumクラスのプロセッサを含み、かつ1つまたは複数のWindows(サーバまたはワークステーション)、MAC OSオペレーティングシステムまたは他のオペレーティングシステムの下で動作してもよい。またゲートウェイ106は、内部または外部データベースへのアクセスも有してもよい。
本明細書において、デバイスはハードウェアオブジェクトであっても、ソフトウェアであっても、ハードウェアとソフトウェアとの組合せであってもよい。デバイスは、本明細書に記述される機能および特徴を実装するために集積回路の開発技術を用いてもよく、かつ電気的、光学的、高周波または他の適切な信号を用いて通信してもよい。
クライアントデバイス102は、1つまたは複数のアプリケーションを実行してもよい。アプリケーションは、クライアントデバイス102のオペレーティングシステムを用いて実行されてもよい。またゲートウェイ106は、1つまたは複数のゲートウェイアプリケーションも実行してもよい。ゲートウェイアプリケーションは、ゲートウェイ106のオペレーティングシステムの制御下で実行されてもよい。あるいは、または追加的に、クライアントデバイス102の1つまたは複数のアプリケーションプログラムはゲートウェイ106において、またはゲートウェイ106によって実行されてもよく、かつ1つまたは複数のゲートウェイアプリケーションはクライアントデバイス102によって実行されてもよい。
当業者は、様々な電子取引環境が図1に関連して記述されているものと同じ特徴、追加的な特徴または代替的な特徴を有することを理解するであろう。したがって、図1の例示的な実施形態は、必ずしも電子取引に関係しないコンピュータプログラムおよび/またはシステム(例えば、オペレーティングシステム、ゲーミングシステムおよび/または他のソフトウェアアプリケーション)等の特徴を有する電子取引環境を表している。電子取引システム分野の熟練者であれば、適切な電子取引環境を実装することができるものと思われる。例示を目的として、幾つかの構成例を提示し、ある電子取引システムを実装するためにこれらの特徴が物理的にどこへ位置決めされ得るか、かつどのように結合され得るかを例証する。但し、これらの例証は限定的なものではない。
図示された例によれば、ゲートウェイデバイスは、クライアントサイトに位置決めされても、クライアントデバイス102と一体式であってもよく、かつ電子取引所104から遠隔であってもよい。この例によれば、クライアントデバイス102、ゲートウェイ106およびルータ108はローカル・エリア・ネットワーク上で通信してもよく、かつルータ108は電子取引所104とT1、T3、ISDNまたは他の何らかの高速接続上で通信してもよい。
別の図示された例では、クライアントデバイスまたはその一部は、電子取引所104のプロセッサに近接して位置決めされてもよい。例えば、本発明の1つまたは複数の特徴を実行または履行するサーバは電子取引所104のプロセッサと同一場所に(例えば、取引所の建物内で、または取引所に関連づけられて)位置決めされてもよい。したがって、クライアントデバイス102、ゲートウェイ106およびルータ108は同じくローカル・エリア・ネットワーク上で通信してもよく、かつルータは電子取引所104とT1、T3またはISDN以外の別の接続手段を介して通信してもよい。
別の図示された例において、ゲートウェイは、対応する電子取引所104に、または電子取引所104の近くに格納されてもよい。この例によれば、クライアントデバイスはゲートウェイと、広域ネットワーク上で、またはT1、T3、ISDNを用いて、または他の何らかの高速接続を介して通信してもよい。
別の例では、ゲートウェイ106はクライアントデバイス102から遠隔に、かつ電子取引所104から遠隔に位置決めされてもよい。このような実施形態は、複数の取引ネットワークの相互接続を含むシステムにおいて有益であり得る。したがって、ゲートウェイが電子取引所104へのアクセスを有する場合もある電子取引ネットワークでは、他の電子取引ネットワークがその取引ネットワークとT1、T3、ISDNまたは他の何らかの高速接続を介して通信してもよい。
図2は、スプレッド取引戦略の実施形態が使用され得る例示的な電子取引環境を示す。電子取引環境は、電子取引所204および208と結合されるクライアントデバイス202を含む。電子取引所204はゲートウェイ206を介してアクセスされてもよく、かつ電子取引所208はゲートウェイ210を介してアクセスされてもよい。さらに、もしくは代替として、電子取引所204および208は、複数の電子取引所へのアクセスを提供する組み合わされたゲートウェイを介してアクセスされてもよい。
ルータ212は、ゲートウェイ206および210と電子取引所204および208との間でデータをルーティングする。電子取引環境には、ファイアウォール、ハブ、セキュリティマネージャ、等々のようなミドルウェアおよびセキュリティ対策等の他のデバイスも含まれてもよい。さらに、より多くの電子取引所が含まれてもよい。
トレーダは、単一かつ/または複数の電子取引所204および208においてリストされ、マッチングされかつ/またはクリアされる取引可能オブジェクトを取引してもよい。注文は、電子取引所204および208の一方または双方へ送信されてもよく、かつ市場情報は電子取引所204および208の一方または双方から受信されてもよい。例えば、市場情報は、クライアントデバイス202において電子取引所204および208の双方から受信されてもよく、かつクライアントデバイス202の共通の視覚的ディスプレイを介して見ることができてもよい。したがって、電子取引所204および208における取引可能オブジェクトの価格および数量情報は、同時に、かつ近接して見られてもよい。
別の例では、トレーダは、複数の電子取引所204および208にリストされる取引可能オブジェクトのスプレッド取引および/または鞘取引をすることができる。即ち、トレーダは、ある取引可能オブジェクトを電子取引所204で取引し、かつ別の取引可能オブジェクトを電子取引所208で取引してもよい。
合成スプレッド取引の実施形態は、追加的な取引所、ゲートウェイ、クライアントデバイス、ルータまたはメッセージ処理およびセキュリティのような様々な機能を提供する他のコンピュータを含んでもよい。さらに、1つまたは複数の電子取引所へ通信可能式にアクセスするために、図1または図2に示されているネットワークのような幾つかの、または多数のネットワークが互いにリンクされてもよい。
図1のクライアントデバイス102と同様に、クライアントデバイス202は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、デスクトップ、ラップトップ、ハンドヘルドデバイス、スマートホン、パーソナル・デジタル・アシスタント、タブレットPC、サーバ、ゲートウェイ、これらの組合せ等の任意のコンピューティングデバイス、および1つまたは複数のプロセッサまたは中央処理装置を有する他のコンピューティングデバイスであってもよい。クライアントデバイス202は、複数のワークステーション等の1つまたは複数のデバイスであっても、デバイスのネットワークであってもよい。またクライアントデバイス202は、1つまたは複数のメモリまたはデータ記憶デバイス、通信ネットワークからデータを受信するための入力インタフェース、キーボード、トラックボール、ペンデバイス、マイクロホン、注視点検出デバイス、クリックベース取引用の2つまたは3つボタン式マウスおよび/またはユーザからの入力を受信するように構成される他のデバイス等の1つまたは複数の入力デバイスから入力信号を受信するための入力インタフェースおよび少なくとも1つの出力デバイス(例えば、モニタ)と通信するための出力インタフェースも含んでもよい。システムバスまたはその同等物は、通信を提供してもよい。メモリは任意のコンピュータ読取り可能媒体を含んでもよく、かつプロセッサは、様々なタイプの市場情報を取扱いかつ処理するに足る処理能力を有する。ある例示的な実施形態において、クライアントデバイスは少なくとも1つのPentium(登録商標)マイクロプロセッサを含み、かつWindowsオペレーティングシステムの下で動作する。
市場情報またはある取引所または他のデータソースからのニュース、チャートデータおよび/または注文関連情報等の他のデータは、ビジュアル・ディスプレイ・デバイス等のクライアントデバイス202の出力デバイスに表示されてもよい。さらに、または代替として、情報はクライアントデバイスを介して、少なくとも部分的に音等の他の手段を介して提供される可能性もある。出力デバイスは、情報を提供することに適する任意のディスプレイデバイス、オーディオデバイスまたはこれらの組合せであることが可能である。例えば、ディスプレイデバイスは、CRTベースのビデオディスプレイ、LCDベースまたはガスプラズマベースのフラットパネル・ディスプレイ、三次元画像を示すディスプレイまたは他の何らかのタイプのディスプレイであってもよい。ディスプレイデバイスは、オーディオデバイスおよび/または点字出力デバイスも有してもよい。ディスプレイデバイスは、ユーザと情報との相互作用を可能にしてもよい。したがって、ディスプレイデバイスはデータ入力デバイスも含んでもよい。
クライアントデバイスのユーザ(例えば、トレーダ)は、1つまたは複数の取引可能オブジェクトの注文をクライアントデバイスを介して取引所へ送信してもよい。注文は、新しい注文を出す、既存の注文をキャンセルする、既存の注文を変更する、1つまたは複数の取引可能オブジェクトの注文または注文一覧について取引所に問い合わせる、取引所への接続または取引所との通信をテストする、これらの組合せおよびこれらに類似することを目的とする命令またはメッセージを含んでもよい。トレーダは、取引所によって提供される情報を見て、応答的に適切な注文を送信してもよい。
トレーダは、様々なコマンドまたは信号をクライアントデバイス202へ、クライアントデバイス202の1つまたは複数の入力デバイスを介して提供してもよい。例えば、トレーダは、キーボードにタイピングする、マウスまたはポインティングデバイスを操作する、ディスプレイデバイスの一部を見る、ディスプレイデバイスのある部分またはディスプレイデバイスにより制御される部分に接触する、または他の何らかの入力デバイスを介してコマンドまたは信号を入力することによって、クライアントデバイス202へコマンドを入力してもよい。トレーダは、マウスデバイスを用いて、出力デバイスの一部分を同定し、ある量の取引可能オブジェクトの注文を開始すべくマウスボタンをクリックしかつ電子取引所204および208の一方へ注文を送信させてもよい。即ち、クライアントデバイス202は、好ましくは、ユーザ入力またはユーザ入力により影響される他の何らかのトリガに応答してトランザクション情報を発生する。提出されることが可能なメッセージおよび/または注文には多くの異なるタイプが存在するが、これらは全て、様々なタイプのトランザクション情報と考慮されてもよい。トランザクション情報は、1つまたは複数の通信チャネルおよび/またはネットワーク上でクライアントデバイス202から一方またはそれ以上のホスト取引所204および208へ送信されてもよい。
ある例示的な実施形態において、クライアントデバイス202上のソフトウェアは、関連のディスプレイデバイス上に双方向性の取引画面を生成する。ディスプレイデバイスは、トレーダが、とりわけ、注文を入力して実行し、市場相場を入手しかつポジションを監視することを有効化してもよい。ディスプレイデバイス上で入手可能な特徴の範囲および品質は、クライアントデバイスおよび/またはクライアントデバイスのソフトウェアに従って変わる場合がある。双方向性であることに加えて、またはその代わりに、クライアントデバイスは取引アプリケーションを自動化する可能性もある。
例示的な実施形態は様々な環境およびアプリケーションに関連して実装され得るが、例示的な実施形態に関する以下の説明は、取引アプリケーションおよび取引画面に関連して行なう。当業者には、本発明を理解する上で出力デバイスの詳細は不要であることが理解されるであろう。クライアントデバイスおよび出力デバイスによって実行され得る取引ツールの一タイプは、イリノイ州シカゴ所在のTrading Technologies International社から入手されるX_TRADER(登録商標)と称される市販の取引アプリケーションによって提供される。X_TRADERは、受付中の、または未決の注文のインジケータが固定の価格軸または目盛りに関連づけられて表示される、MD Trader(登録商標)と称される電子取引インタフェースも提供する。
インジケータは、対応する、または関連づけられる価格における注文の買いおよび/または売り数量を同定してもよい。インジケータは、1つまたは複数の数字、アイコン、文字、紋章、ロゴ、記号、ボックス、チャート、写真、ポインタまたは注文を示す他のグラフィカル表示等、注文を示す任意のものであってもよい。X_TRADERおよびMD Trader式ディスプレイの一部は、「市場の深さの直観的グリッド表示を用いるクリックベース取引」と題する米国特許第6772132号明細書、「市場の深さ表示を用いるクリックベース取引」と題する米国特許第6938011号明細書、「市場の深さおよび価格統合の直観的グリッド表示を用いるクリックベース取引」と題する米国特許第7127424号明細書、「電子取引の取引ツール」と題する米国特許第7389268号明細書および「電子取引環境において取引しかつ市場情報を表示するためのシステムおよび方法」と題する米国特許第7228289号明細書に記述されている。これらの内容は各々、本参照により開示に含まれる。さらに、または代替として、市場データを閲覧しかつ/または注文を出すために他の取引ツールが用いられてもよい。さらに、これらの好適な実施形態は、変換、蓄積および表示機能を実行する任意の特定の製品に限定されない。
II. スプレッド取引戦略
概して、複数の取引可能オブジェクトを包含する取引戦略は、複数の取引可能オブジェクト間の関係性に関わる。取引戦略の各取引可能オブジェクトは、レッグまたはアウトライトと称される場合がある。複数の取引可能オブジェクトに関わる取引戦略の一タイプは、スプレッドと称される。
スプレッドは、買われる、または得られるものと考えられてもよい。買われるスプレッドは、スプレッドのどのレッグが買われ、かつ/または売られるかを定義する。同様に、売られるスプレッドは、どのレッグが売られ、かつ/または買われるかを定義する。スプレッドは、レッグAの第1の取引可能オブジェクトが買われ、かつレッグBの第2の取引可能オブジェクトが売られる場合に買われてもよい。スプレッドの売りは、各レッグについて反対のアクションを実行することを含んでもよい。
またスプレッドは、レッグの注文サイズとも称されるスプレッドのレッグ間のスプレッド比率も同定してもよく、またはこれを基礎とするものであってもよい。スプレッド比率は、各レッグの、スプレッドの他のレッグに対する量を示す。例えば、レッグAおよびレッグBを有するスプレッドは、2単位のレッグAを買いかつ3単位のレッグBを売ることを定義してもよい。
またスプレッドは、そのスプレッドの符号の名称を有してもよい。符号は、取引戦略の買いに際して、そのレッグが買われるべきか(例えば、スプレッド比率はプラス)、売られるべきか(例えば、スプレッド比率はマイナス)を示してもよい。したがって、2単位のレッグAが買われかつ3単位のレッグBが売られるレッグAおよびBを有するスプレッドの場合、レッグAの比率は「2」となり、かつレッグBの比率は「−3」となる。
あるいは、または追加的に、スプレッド比率は暗示されてもよく、または暗示的であってもよい。即ち、ある取引戦略のあるレッグのスプレッド比率は明確に指定されなくてもよく、むしろ「1」または「−1」であることが暗示されても、またはこれらにデフォルトされてもよい。
またスプレッドは、レッグ毎に乗数を含んでもよい。乗数は、価格関係を定義する。即ち、乗数は、スプレッドの価格を決定するためにレッグの価格を調整してもよい。乗数は、スプレッド比率と同一であってもよい。上述の例では、レッグAに関連づけられる乗数は「2」、レッグBに関連づけられる乗数は「−3」であってもよく、これらは共に、これらのレッグの対応するスプレッド比率に一致する。1つまたは複数のレッグに関連づけられる乗数は、これらのレッグの対応するスプレッド比率とは異なってもよい。例えば、乗数の値は、レッグの価格を共通通貨へ変換するように選択されてもよい。
簡単に説明するために、本明細書において説明する例示的な実施形態は、別段の指摘がない限り、レッグ毎に同一のスプレッド比率および乗数を含む。さらに、例示的な実施形態の説明は、ある特定のレッグのスプレッド比率および乗数の符号が同一であること、かつ同一でなければ、乗数の符号を用いてレッグがスプレッドのどちら側に存在するかが決定されることを想定している。
図3は、合成スプレッド等の取引戦略310を示す図である。取引戦略310は「N」個のレッグ320を含み、各レッグ320の取引可能オブジェクト322間の関係性は、各レッグ320に関連づけられるスプレッド比率324および乗数326に従って定義される。
取引可能オブジェクト322は、取引戦略310によって定義された関係性に従って取引されても、取引されるべく試行されてもよい。ある例における取引戦略310は、2つのレッグ320、即ち取引可能オブジェクトAに関するレッグ1と、取引可能オブジェクトBに関するレッグ2とを有するスプレッドである。さらに、レッグ1およびレッグ2に関するスプレッド比率324および乗数326は、各々「1」および「−1」である。スプレッド310は、スプレッド310が買われる場合、取引可能オブジェクトAの1単位が買われ(プラスのスプレッド比率、スプレッドと同じ方向)、かつ取引可能オブジェクトBの1単位が売られる(マイナスのスプレッド比率、スプレッドと反対方向)ように定義される。スプレッド310の定義は、スプレッド310が売られる場合、取引可能オブジェクトAの1単位が売られ(プラスのスプレッド比率、スプレッドと同じ方向)、かつ取引可能オブジェクトBの1単位が買われる(マイナスのスプレッド比率、スプレッドと反対方向)という類のものである。
取引戦略310の価格、または目標価格は、取引戦略のこの定義に従って決定されてもよい。価格は、下記のように、取引戦略310のレッグ320の各々について取引可能オブジェクト322の価格に乗数326を乗算した合計であるとされる。
戦略価格=ΣN i=1 Mult(i)*Price(i) 式1
Mult(i)はレッグiに関連づけられる乗数であり、Price(i)はレッグiの取引可能オブジェクトの価格である。当業者には、取引戦略の価格が価格ティックの丸めおよび/またはペイアップ・ティックによって影響され得ることも理解されるであろう。
スプレッドは、スプレッドのレッグの相対価格に従って売買されてもよい。取引可能オブジェクトAが典型的に取引可能オブジェクトBより10高い価格を有する場合、トレーダは、取引可能オブジェクトAおよびB間の価格差が10を下回ればいつでもそのスプレッドを買ってもよい。同様に、トレーダは、同差が10を上回ればいつでもそのスプレッドを売ってもよい。
一例として、取引可能オブジェクトAの市場は価格45で1単位を有し、かつ取引可能オブジェクトBの市場は価格40で1単位を有する。すると、式1を用いれば、現行スプレッド価格は、(1)(45)+(−1)(40)=5となり、これは典型的なスプレッド10より少ない。したがって、トレーダはスプレッドの1単位を買ってもよく、結果的に、取引可能オブジェクトAの1単位が価格45で買われ、かつ取引可能オブジェクトBの1単位が価格40で売られる。この典型的な価格差が、取引可能オブジェクトAの価格が42、かつ取引可能オブジェクトBの価格が32等となって回復されれば、スプレッドの価格は10になる。トレーダがスプレッドの1単位を売ってそのポジションを手仕舞えば(即ち、取引可能オブジェクトAの1単位を売って、取引可能オブジェクトBの1単位を買えば)、トレーダは総取引で利益を得たことになる。トレーダは、取引可能オブジェクトAを価格45で買いかつ42で売って3の損失を出す一方で、取引可能オブジェクトBを価格40で売りかつ32で買って利益8を得ている。したがって、トレーダは、スプレッドの売買で利益5を得た。
上述の例は、十分な流動性および安定性を基礎とし、かつ取引可能オブジェクトが、スプレッド310の所望される価格を達成する市場価格で売買され得ることを基礎としている。しかしながら、より一般的には、トレーダは、ある特定の取引戦略を売買する所望される価格を決定し、かつこの所望される価格を、レッグを適切な価格で売買することによって達成しようとする。
トレーダは、適切な取引を戦略310に従って管理するために、自動化されたスプレッド取引ツールを用いてもよい。例えば、トレーダは、取引戦略310を所望される価格で買う、または売る命令を入力してもよく、自動取引ツールは、その取引戦略の所望される価格(所望される戦略価格、所望されるスプレッド価格および/または目標価格とも称される)を達成するために、取引戦略310の取引可能オブジェクト322のうちの少なくとも1つの注文(呼び値の注文または受付中の注文とも称される)を自動的に出してもよい。注文を出されるレッグは、呼び値のレッグと称される。呼び値のレッグに対する他のレッグは、リーンなレッグおよび/またはヘッジレッグと称される。
呼び値のレッグが値付けされる、または受付けられている価格は、ヘッジレッグにおいて注文が約定され得る最良価格を基礎とするが、これは、典型的にはヘッジレッグの場内市場におけるものである。即ち、最良価格は、典型的には、売りの場合はヘッジレッグの最良の買い呼び値であり、買いの場合はヘッジレッグの最良の売り呼び値である。ヘッジレッグにおける最良価格は、リーンオン価格、リーンな価格またはリーンレベルとしても知られる。
リーンオン価格が変化するにつれて、所望される戦略価格を維持するために呼び値のレッグにおける注文の価格も変わる場合がある。さらに、呼び値のレッグは、ヘッジレッグの変化が限度内であれば、または呼び値のレッグに与える変化が結果的に限度内となれば、変わらない場合がある。呼び値のレッグが約定されると、自動取引ツールは、戦略を完了するために、反対注文またはヘッジ注文とも称されるヘッジレッグにおける注文を提出してもよい。
あるいは、または追加的に、値付けされるレッグの価格は、スプレッドの他のレッグの全てを基礎としなくてもよい。値付けされるレッグにおける注文の注文パラメータは、最終取引価格(LTP)、最終取引数量(LTQ)、理論値、場内市場により近い数量等の複数数量または他の何らかの基準点等の他のレッグにおける他のタイプの市況にリーンオンしてもよい。
単一の呼び値のレッグを有することに加えて、取引戦略は、スプレッドの複数のレッグにおいて(または全てのレッグでも)値付けされてもよい。このような状況では、値付けされる各レッグは依然としてスプレッドの他のレッグのうちの少なくとも1つに依存する。値付けされたレッグのうちの1つが約定されると、値付けされた他のレッグにおける注文は典型的にはキャンセルされ、適切なヘッジ注文が出される。
3つ以上のレッグを有する取引戦略は、マルチレッグ戦略、マルチレッグ・スプレッドまたはマルチレッグ合成スプレッドとして知られる。マルチレッグ戦略では、ある特定の値付けされるレッグに関する取引戦略を保持するために、複数のヘッジ価格セットが選ばれることが可能である。1つのレッグが約定されると、約定されたそのレッグの価格、その取引戦略の所望される価格および乗数が知られ、よって、約定されていない残りのN−1個のレッグに対応するN−1個の未知なるものが存在する。したがって、マルチレッグ戦略においては、2つ以上の未知なるものが存在するが、式は1つ(式1)である。現行システムは、1つのレッグが約定されると、異なる技術を用いて戦略の残りのレッグのヘッジ価格を決定する。
ある呼び値のレッグが約定されていても、ヘッジレッグのうちの少なくとも1つが約定され得なければ(または、取引戦略の所望される価格を達成するほど十分に約定され得なければ)、そのスプレッドはレッグされているものと決定されてもよい。ヘッジレッグは、ヘッジ注文が入力されるより前にヘッジの場内市場が動き、かつ/または場内市場において注文を約定するに足る量が存在し得ないという理由で約定されないことがある。
III. スプレッド取引ツール
Autospreader等のスプレッド取引ツールは、複数の取引可能オブジェクトに関する市場情報を閲覧し、かつ/または複数のオブジェクトの取引戦略を管理するために用いられてもよい。またスプレッド取引ツールは、合成スプレッドの1つまたは複数のレッグにおいて合成スプレッドの注文(アウトライト注文または受付中の注文)を送信するためにも用いられてもよい。
合成スプレッドの注文および注文の約定は、スプレッド取引ツールを介して管理、コンパイル、記録、閲覧、等々を行われてもよい。しかしながら、各アウトライト注文は、ある特定の取引可能オブジェクトに関するものであることから、アウトライト注文の管理には他の取引ツールも用いられる場合がある。スプレッド取引ツール外部の取引ツールは、受付中のアウトライト注文が合成スプレッド取引戦略の構成部分であったかどうか、またはその一部として開始されたかどうかについて認識していない、または決定することができない場合がある。受付中のアウトライト注文と合成スプレッドとの関係の欠如は、トレーダにスプレッド取引ツールの範囲または領域外部の情報を追跡させる場合がある。さらに、他の取引ツールは、トレーダに正確な結果を提供しない場合がある。したがって、所望されるデータを取得する上で、不正確さおよび/または非効率は不可避であったかもしれない。
本明細書における例示的な方法、プロセスおよび装置は、合成スプレッドとその構成部分である注文との関係性を同定し、かつ保持する。さらに、合成スプレッドの状態も定義される。スプレッドの受付中の未決注文およびヘッジ注文は、合成スプレッドの一部として同定され、追跡されかつ管理される。その結果、合成スプレッドは、1つの全体的な注文または1つの同種注文として表現されかつ管理されてもよい。スプレッド取引ツールは、合成スプレッドおよびその構成部分を管理し、表現しかつ閲覧するために用いられてもよい。
さらには、合成スプレッドの構成部分の注文および約定を管理するために、典型的には他の取引戦略の注文および/または約定を管理するために構成される他のツールおよび/またはアプリケーションが使用されてもよい。例えば、注文は、注文の管理および取引後の分析等のために注文記述子の識別子を用いて追跡されかつ管理されてもよい。注文の追跡および管理の一例は、本参照によりその全体が開示に含まれる、2007年3月21日に提出された「電子取引注文のシステムおよび管理分析」と題する米国特許出願第11/689178号明細書に提示されている。
スプレッド取引ツールは、その構成部分であるレッグの情報およびスプレッドパラメータを基礎としてスプレッドデータを生成する。スプレッドデータはトレーダへ、グラフィカル・ユーザ・インタフェース・マネージャ(「GUIマネージャ」)等の視覚的フォーマットで伝達または提示される。スプレッドデータは、スプレッドウィンドウに表示されてもよい。さらに、スプレッドの1つまたは複数のレッグに関する情報またはデータもまた、GUIを用いて表示されてもよい。スプレッドデータおよび各レッグの情報またはデータは、GUIの同一のウィンドウに表示されても、異なるウィンドウに表示されてもよい。ユーザはスプレッドウィンドウに注文を入力することができ、かつスプレッド取引ツールは、スプレッドの所望される価格または目標価格を達成するようにスプレッドに従って注文を出すことができる。
スプレッド取引ツールの例は、「自動スプレッド取引を実行するためのシステムおよび方法」と題する米国特許第7437325号明細書、2004年3月19日に提出された「スプレッド値を推定するためのシステムおよび方法」と題する米国特許出願第10/804631号明細書、「自動スプレッド取引を実行するためのシステムおよび方法」と題する米国特許第7389264号明細書、「自動スプレッド取引を実行するためのシステムおよび方法」と題する米国特許第7424450号明細書、2009年3月25日に提出された「取引戦略の乗数調整式リーンレベルのためのシステムおよび方法」と題する米国特許出願第12/410759号明細書に提示されている。これらは全て、本参照により完全に開示に含まれる。さらに、または代替として、他のスプレッド取引ツールが用いられてもよい。さらに、これらの好適な実施形態は、合成スプレッド取引のために変換、蓄積および表示機能を実行する任意の特定の製品に限定されない。
図4は、スプレッド取引を促進するための例示的な方法を示すフローチャート400である。当業者には、フローチャート400がスプレッド取引の例示的な説明を提供していることが理解されるであろう。さらに、ある実施形態はより多い、またはより少ない行為を含む場合があり、かつ/またはこれらの行為は図1に示されている注文とは異なる1つまたは複数の注文において発生する場合がある。例えば、「スプレッド・データ・フィードを設定する」という行為404は、「1つまたは複数の市場データフィードを受信する」という行為402より前に発生しても、これと同時に、または略同時に発生してもよい。
行為402では、1つまたは複数の取引所から市場データフィードが受信される。市場データフィードは、概して、1つまたは複数の取引可能オブジェクトに関する価格、注文および約定情報を含む。また市場データフィードは、「市場の深さ」と称される他の価格における市場での現行の買いおよび売りの呼び値および数量に加えて一番高い買い値(HBP)および一番低い売り値(LAP)を含む取引可能オブジェクトの場内市場も含んでもよく、かつ/または別段にこれを同定してもよい。取引所の中には、無限の市場深さを提供するものがある一方で、市場の深さを提供しない、または場内市場以外の幾つかの価格しか提供しないものもある。
ステップ402で受信される市場データフィードの数は、スプレッド取引に関してユーザにより選択される取引可能オブジェクトの数、または取引所により提供されるデータフィードの数、またはデータフィードの送信元である取引所の数にも依存する場合がある。ある取引所からのデータフィードは、そのうちの幾つかが受信される場合もあれば、全てが受信される場合もあり、スプレッドの部分である取引可能オブジェクトのみが取引される。
行為404では、スプレッドデータが一意に設定またはカスタマイズされてもよい。即ち、ユーザは、とりわけ、スプレッド価格およびスプレッド市場深さの計算をカスタマイズしてもよい。スプレッド価格およびスプレッド市場深さの計算は、レッグの取引可能オブジェクトに対する顕在市場からの買いおよび売りの件数およびスプレッド設定パラメータを基礎としてもよい。またユーザは、既存のスプレッドを設定し直してもよく、または、まずはスプレッドの基本的な取引可能オブジェクト(レッグ)を選択することによって設定すべき新たなスプレッドを生成することもできる。取引可能オブジェクトは、コンフィギュレーションウィンドウにおいて選択されてもよく、かつスプレッドはスプレッド設定パラメータに従って設定されてもよい。
行為406において、スプレッド取引ツールは、選択された市場データフィードおよびスプレッド設定パラメータを基礎としてスプレッドデータを生成してもよい。スプレッドデータは、スプレッド価格およびスプレッドの深さを含んでもよい。またスプレッドデータは、最終取引価格(LTP)および/または最終取引数量(LTQ)も、始値、終値、精算、その日の高値/安値、期間高値、市場の深さ、市場スナップショットおよびこれらに類似するもの等の他のアイテムに加えて含んでもよい。スプレッドデータは、これより多い、または少ないアイテムを含んでもよい。データは、ユーザにより設定され、同定され、または別段で選択されたパラメータ、市場データフィードの発信元である取引所の限度およびこれらに類似するものに従って包含されてもよい。
トレーダは、スプレッド・データ・フィードに含まれる情報もカスタマイズしてもよい。スプレッド・データ・フィードは、クライアントデバイスにおいて、受信される市場データフィードに従って更新されかつ蓄積されてもよい。スプレッド・データ・フィードは、連続的に更新されても、周期的に更新されても、連続的かつ周期的に更新されてもよい。スプレッドデータの生成は、市場から中継される情報が実現可能な限り迅速にユーザへ提示される場合に、リアルタイムベースで発生しても、略リアルタイムベースで発生してもよい。例えば、情報は、受信された情報を処理して表示するに足る時間内または妥当な時間内に提示される。
あるいは、または追加的に、スプレッドデータの生成は、周期的な時間または半周期的な時間ベースで続く場合がある。例えば、スプレッドデータは、パッケージ通信プロトコル、トラフィック状態、これらの組合せおよびこれらに類似するものに従って半秒毎に、または何分の一秒か毎に生成されてもよい。ある例において、ディスプレイ上では、スプレッドウィンドウに表示される経時変化する値のみが更新される。
行為408では、スプレッドウィンドウが生成されて表示される。また、スプレッドの対応する各レッグウィンドウも生成され、かつ表示される。スプレッドウィンドウは、スプレッド価格および合計数量のインジケータを表示してもよい。さらに、これより多い、または少ないLTP/LTQ等のアイテムが表示されてもよい。
行為410では、スプレッドの1つまたは複数の注文が入力されてもよい。注文は、そのスプレッドの目標価格において所望される量で入力されてもよい。注文は、スプレッドウィンドウに入力されてもよい。ある例では、注文は、マウスデバイス、キーボード、ライトペン、これらの組合せおよびこれらに類似するもの等の1つまたは複数の入力デバイスの操作に従って入力される。入力デバイスの操作によって、1つまたは複数のカーソル等の入力インジケータは出力ディスプレイを横断させられてもよい。入力デバイスの使用により、カーソルは、スプレッドの所望される量および目標価格に関連して位置合わせされてもよい。ある例において、所望される量は、スプレッドの目標価格が入力デバイスを用いて決定され得るように予め設定されても、予め選択されてもよい。
図5は、合成スプレッド取引のための取引を約定しかつ実行するための例示的な方法を示すフローチャートである。他の実施形態は、図5に示されている順序で、または略同時的または逆の順を含む図示された、または論じられているもの以外の他の順序で実行されてもよい。さらに、所望される結果を達成するために幾つかのステップは実装されなくてもよい。
この例において、スプレッド取引戦略の少なくとも1つのレッグに対する注文は取引所において受付中であるか保留されていて、呼び値の注文とも称される。呼び値の注文は、ある電子取引所における第1の取引可能オブジェクトに対応する。呼び値の注文は反対注文とマッチングされてもよく、別段で約定または実行されたと称される。行為502では、呼び値の注文の約定が検出される。即ち、呼び値の注文が取引所で反対注文とマッチングされる。行為504では、ヘッジ注文が決定される。ヘッジ注文は、スプレッド取引戦略の第1のレッグにおける呼び値の注文の約定の検出に応答して送信されることになる。ヘッジ注文は506において生成され、かつ行為508において送信される。ヘッジ注文は電子取引所へ送信されてもよく、ヘッジ注文はここでリストされかつ/または取引される。ヘッジ注文の電子取引所は、第1の取引可能オブジェクトがリストされている電子取引所と同じである場合もあれば、異なる場合もある。ヘッジ注文に関しては、ヘッジ注文価格等の注文パラメータが決定されてもよい。注文パラメータは、ヘッジ注文が約定されるとスプレッド取引戦略のスプレッド価格が達成されるように決定されてもよい。
図6は、合成スプレッド取引の例示的なシステム600を示すブロック図である。システム600は、アプリケーション・プログラム・インタフェース(「API」)606と、取引所604と、クライアントデバイスと、API606とクライアントデバイスとの間の通信602と、API606と取引所604との間の通信608とを含む。API606と取引所604との間の通信608は、市場データ等の情報を含んでもよい。
市場データは、1つまたは複数の取引可能オブジェクトに関する情報を含んでもよい。API606は、市場データを変換してもよい。市場データは、概して、1つまたは複数のデータフィード等のデータフォーマットで提供される。市場データフィードは、取引所604とクライアントデバイスの取引アプリケーションとの間で通信されてもよい。クライアントデバイスは、先に記述したように構成されかつ配置されてもよい。システム600は、「T」個の取引所と「M」個のクライアントデバイスとを含む。システムは概して、取引所およびクライアントデバイスの数に制限がない。
クライアントデバイス612は、より詳細なブロック図を示す。クライアントデバイス612は、取引アプリケーション610、自動スプレッダ614およびGUIマネージャ616を含む幾つかの構成部分を含んでもよい。これより少ない、または多い構成部分が含まれ得ることは理解されるべきである。クライアントデバイス612には、図示されていない構成要素の幾つかが含まれることは理解されるであろう。
取引アプリケーション610および自動スプレッダ614は、ソフトウェアアプリケーションであってもよい。取引アプリケーション610および自動スプレッダ614は、クライアントデバイス612上に、またはクライアントデバイス612に関連づけられる他のデバイス上にホストされてもよい。自動スプレッダ614は取引アプリケーション610と共に示されているが、自動スプレッダ614と取引アプリケーション610とは同じ、または異なるクライアントデバイス612上の同じソフトウェアアプリケーションであっても、別々のソフトウェアアプリケーションであってもよい。自動スプレッダ614および/または取引アプリケーション610はサーバ上にホストされ、かつクライアントデバイス612によりネットワーク上でアクセスされてもよい。
GUIマネージャ616は、ソフトウェアアプリケーション、ハードウェアまたはハードウェアとソフトウェアとの組合せと共に埋め込まれてもよい。GUIマネージャは、マウス、キーボード、タッチスクリーンのような入力デバイスおよびモニタ等の出力デバイスによって使用されてもよい。取引アプリケーション610は、イリノイ州シカゴ所在のTrading Technologies社のX_TRADER(登録商標)であってもよい。X_TRADERアプリケーションは、市場の深さまたは受付中の注文等の情報を価格または値の軸または目盛りに関連して示す、MD_TRADER型ディスプレイと称される場合もある表示画面を組み込んでもよい。しかしながら、本発明は、任意の特定タイプのディスプレイに限定されない。
情報または市場データは、蓄積されかつ/または更新されてもよい。自動スプレッダ614は、市場データフィードおよびスプレッド設定パラメータのうちの幾つか、および全てを用いてスプレッドデータを生成する。複数の取引可能オブジェクトの市場データフィードまたは約定は、合成スプレッドのデータを決定するために用いられてもよい。スプレッドデータは、スプレッド価格およびスプレッド市場深さを含んでもよい。またスプレッドデータは、最終取引価格(LTP)および最終取引数量(LTQ)、ある時間または期間の高値、安値およびこれらに類似するもの等の他のアイテムも含む場合がある。
スプレッドデータは、スプレッドウィンドウに表示されてもよい。スプレッドデータは、スプレッドの生成中および/またはスプレッドの生成後に表示されてもよい。本参照によりその全体が開示に含まれる、「自動スプレッド取引を実行するためのシステムおよび方法」と題する米国特許第7437325号明細書に記述されているように、合成スプレッドが確立され、スプレッドデータが提示されかつ合成スプレッドを取引するためのツールが提供されてもよい。
IV. スプレッドの表示
図7は、2つのレッグを有するスプレッド戦略のスプレッドウィンドウ700の一例を示す。第1のレッグはウィンドウ702に表示され、かつ第2のレッグはウィンドウ704に表示されている。第1のレッグウィンドウ702はFJUN10約定の取引可能オブジェクトに対応し、かつ第2のレッグウィンドウ704はFDEC10約定に対応する。図7は、簡略および明瞭さのために、スプレッドウィンドウ700および2つのレッグウィンドウ702および704を示している(2レッグスプレッド)。表示されるウィンドウの数は、スプレッドにおけるレッグの数および/またはユーザの選好に依存してもよい。スプレッドのレッグ数は、任意であることが可能である。
スプレッドウィンドウ700は、生成されたスプレッド・データ・フィードの場内市場および市場の深さを示している。場内市場(インサイドマーケット)は、取引可能オブジェクトの一番高い指値価格または一番高い買い値および一番安い指値価格または一番安い売り値を含む。レッグウィンドウ702および704も、個々の取引可能オブジェクトの場内市場を示している。ウィンドウ700、702および704は各々、市場における買い注文のカラムおよび売り注文のカラムを含む。カラム706、708および710は買い注文を含み、カラム712、714および716は売り注文を含む。
各カラム706、708、710、712、714、716には、取引可能オブジェクトに関する注文を示すためにインジケータが表示されてもよい。例えば、カラム706には、第1のレッグの取引可能オブジェクトの市場における買い注文を示すためにインジケータが与えられてもよい。同様に、カラム714には、第2のレッグの取引可能オブジェクトの市場における第2の取引可能オブジェクトの買い注文を示すためにインジケータが与えられてもよい。インジケータは、グラフィックであっても、アイコンであっても、数字であっても、注文を表す他の任意のものであってもよい。
ウィンドウ700、702および704は各々、価格レベルが記入された個々のカラム718、720および722を有する。価格レベルは、軸に沿って位置合わせされてもよい。各軸は、線形であっても曲線であってもよく、かつ固定的、略固定的であっても、動的であってもよい。即ち、価格レベルは変わらない場合もあり、自動生成される命令に応答して変わる場合も、ユーザの命令および/または設定に応答して変わる場合も、市場データまたは変化に応答して変わる場合も、自動命令、ユーザによる命令および/または設定、市場データおよびこれらに類似するものの組合せに応答して変わる場合もある。
インジケータは、価格レベルに沿って、価格カラム718、720および722に沿って位置決めされてもよい。インジケータの価格カラム718、720および722に対する位置は、インジケータに対応する注文の価格を表現してもよい。ある例において、カラム708内で0.97に表示されるインジケータ「2」は、スプレッド取引戦略の第2のレッグの取引可能オブジェクトの市場における価格0.97での注文数量2を表現する。
カラム724、726および728は、ユーザに受付中の注文のインジケータを提供する。ある例では、カラム724、726および728のうちの1つにおいて対応する価格カラム718、720および722の価格レベルにインジケータが表示され、その価格レベルに相当する価格での取引可能オブジェクトの注文量が表示される。
カラム730、732および734は、他のアイテムまたはデータを表すインジケータを表示する。例えば、インジケータは、取引可能オブジェクトの最終取引数量および/または最終取引価格を表してもよい。例えば、カラム732の価格レベル0.97に表示されている「17」は、スプレッド取引戦略の第1のレッグの取引可能オブジェクトの価格0.97での最終取引注文数量17を表す。
ウィンドウ700、702および704は、個人的な選好および/または関心に合わせるために、ユーザにとって関心のある1つまたは複数のアイコンまたはフィールドを表示してもよい。ユーザによって表示される、または隠されるアイコンまたはアイテムの中には、現在時刻を示すシステムクロックを含むものがある。
さらに、機能を表すためのアイコンまたはボタンが表示されてもよい。アイコンまたはボタンは、1つまたは複数の対応する機能を実行するように選択されてもよい。例えば、ストップマーケット(SM)ボタンおよび/またはストップリミット(SL)ボタンが表示されてもよい。ボタンは、各々ストップリミット注文およびストップマーケット注文を有効化するように選択されてもよい。また、市場から売り買いを削除するための「Del All」ボタンも設けられる場合がある。「買い削除」および/または「売り削除」ボタンは、市場から全ての買い/売りを削除するために選択されてもよい。「買い」または「売り」を表示する代わりに、各ボタンは、市場における買い/売りの削除されるべき合計数を表す追加的なインジケータを含んでもよい。包含されるボタンの数は、これより多くても少なくてもよい。
V. 注文の関係性および同定
合成スプレッド取引戦略は、親子関係が定義されてもよい。ある例において、合成スプレッド注文は、1つまたは複数の親注文によって表現されても、親注文に関連づけられてもよい。合成スプレッド注文の各レッグにおけるアウトライト注文は、子注文によって表現されても、子注文に関連づけられてもよい。即ち、呼び値のアウトライト注文は各々1つまたは複数の呼び値の子注文によって表現されてもよく、かつ結果として生じるヘッジ注文は1つまたは複数のヘッジ子注文によって表現されてもよい。呼び値の子注文およびヘッジ子注文は共に、親注文の1つに関連づけられる。親注文は、複数の子注文を有してもよい。親注文の数は、合成スプレッドのレッグの数、合成スプレッドの呼び値のレッグの数、ユーザ選好、これらの組合せおよびこれらに類似するものに依存してもよい。
親注文は、1ロットの合成注文を表す。親注文の対応する子注文は、この1ロットの親注文を含むネイティブな注文を表す。ある例において、親注文は、2つのレッグを1:1の割合で有する合成スプレッドを定義する。ユーザは、スプレッドの1ロット注文を入力し、最初のレッグのみに値付けする。したがって、1つの親注文が存在し、一方の子注文は第1のレッグに関して値付けされ、かつもう一方の子注文は第2のレッグのヘッジ用である。
下表1に示されている別の例では、合成スプレッドが3:2の割合を有する2つのレッグを有する。ユーザは、スプレッドの2ロット注文を入力し、一方のレッグに値付けする。
表I
したがって、各親注文が単一ロットの合成スプレッド注文を表すことから、親注文は2つ、即ち2ロット合成スプレッド注文の各ロット毎に1つが存在する。親注文は各々、親注文ID(「POID」)によって同定されてもよく、かつ子注文は各々、子注文ID(「COID」)によって同定されてもよい。
表Iは、各親注文が5つの対応する子注文に関連づけられてもよく、子注文の各々は1ロット注文用であることを示している。親注文POID100は、合成スプレッドの第1のレッグにおける3つの呼び値の子注文COID2000−2002と合成スプレッドの第2のレッグまたはヘッジレッグにおける2つのヘッジ子注文COID2003および2004とを含む子注文2000−2004を有する。同様に、親注文POID101は子注文COID2005−2009を有し、COID2005−2007は第1のレッグにおける呼び値の子注文であり、かつヘッジ子注文COID2008および2009は第2のレッグまたはヘッジレッグにおけるヘッジ注文である。
呼び値の子注文COID2000−2002を表す1つまたは複数の注文は、合成スプレッドの第1のレッグの取引可能オブジェクトに関して取引所へ送信されてもよい。表Iは複数の子注文を示しているが、呼び値の注文が呼び値の子注文COID2000−2002および2005−2007の全て、または幾つかを表す場合、第1のレッグの取引可能オブジェクトに関して単一の呼び値の注文が複数のロットに対して送信されてもよい。即ち、アウトライト注文が2つ以上の子注文を表す場合、スプレッドのレッグを実行するために取引所へ提出されるアウトライト注文は、1ロット注文より多い量に対するものであってもよい。上述の例では、親注文POID100は子注文2000−2004を有し、かつ親注文101は子注文2005−2009を有する。呼び値の子注文の全て、または一部は、単一の呼び値の注文に結合されてもよい。さらに、ヘッジ子注文の全て、または一部も単一のヘッジ注文に結合されてもよく、または、呼び値の子注文に関連づけられる、またはこれらによって表される呼び値の注文の数量のマッチングに従って複数のヘッジ注文に結合されてもよい。
上述の例において、3つの呼び値の注文COID2000−2002は数量3を有する単一の呼び値の子注文に結合されてもよく、かつ2つの潜在的なヘッジ注文COID2003および2004は、数量2を有する単一のヘッジ注文に結合されてもよい。さらに、呼び値の注文が双方の親注文の呼び値の子注文の各々を表す場合には、第1のレッグに関して数量6の単一の呼び値の注文が提出されてもよい。
呼び値の子注文のうちの1つまたはそれ以上を表す呼び値の注文の幾つか、または一部が約定/実行された後は、第2のレッグの取引可能オブジェクトに関してヘッジ子注文COID2003および2004に対する1つまたは複数のヘッジ注文が提出されてもよい。即ち、ヘッジ注文は、呼び値の注文の実行を基礎として実行すべく提出されてもよい。さらに、ヘッジ注文が実行すべく提出される際には、ヘッジ注文のヘッジ子注文が親注文および/または呼び値の子注文に関連づけられてもよい。例えば、数量3を有する単一の呼び値の注文が部分的に約定された(例えば、数量2で約定された)場合、ヘッジの合計数量より少ない数量(例えば、1ロット)を有する単一のヘッジ注文がヘッジの場内市場に提出されてもよい。別の例では、呼び値の子注文を表す呼び値の注文が提出されかつ呼び値の子注文2000−2002を表す呼び値の子注文の一部が約定されると、ヘッジ子注文2003および2004を表す数量2のヘッジ注文が提出される。さらに、ヘッジ子注文2003および2004は親注文POID100に関連づけられる。
親注文IDおよび子注文ID(各々、POIDおよびCOID)は、合成スプレッド注文を追跡し、記録しかつ報告するための所望される行動を示す。COIDは、COIDの親注文と子注文とを同定しても、関連づけても(または、同定または関連づけるために用いられても)よい。同様に、POIDは、POIDの子注文と親注文とを同定しても、関連づけても(または、同定または関連づけるために用いられても)よい。さらに、COIDは、親注文の子注文を同定しても、関連づけても(または、同定または関連づけるために用いられても)よい。
表Iは、合成スプレッドの注文およびその構成要素たる注文が如何にして同定されかつ関連づけられ得るかを示している。合成スプレッドの表現は、他にも可能であり得る。さらに、表Iは各親の複数の子注文を示しているが、各子注文は別々かつ区別可能な注文であってもよく、結合された1つの注文であってもよく、幾つかが結合され、他の子注文が別々かつ区別可能であってもよい。
注文識別子(POIDおよびCOID)は、任意のフォーマットをとってもよい。注文識別子は、マーキング注文の定義された記述子を提供してもよい。注文識別子は、各親注文および親注文の各子注文を同定するフォーマットを有してもよい。フォーマットは、ある合成注文の親および子注文を他の合成スプレッド注文の親および子注文から区別してもよい。注文は、複数ロットの合成注文の各親を同定しかつ各親注文を他の親注文から区別するフォーマットを有してもよい。識別子は、自動的に決定される、ユーザの設定および/または選好等に従って手動で決定される、または自動および手動の組合せで決定されるフォーマットを有してもよい。注文の識別子は、注文が実行のために入力されかつ/または取引所等へ提出される際に、またはこれより前に生成されてもよい。
注文識別子は、注文の目的を定義してもよい。あるいは、または追加的に、注文識別子は、注文が起源とする、または注文が関連するアプリケーション/戦略を同定してもよい。例えば、注文識別子は、注文を、自動スプレッダまたは類似ツールによって始められたヘッジ注文として定義してもよい。また注文識別子は、注文または対応する取引のステータスを表してもよい。例えば、注文識別子は、約定されかつ開始された注文をヘッジ注文並びに対応する取引可能オブジェクトおよび注文の価格と共に表してもよい。
注文識別子は、ヘッジ注文を、ヘッジ注文をトリガした対応する注文の約定と関連づける約定キーを含んでもよい。さらに、合成スプレッドの所望される価格、他のレッグの同定、注文が出された時刻、注文が約定された時刻を含む追加のスプレッドデータが同定されてもよい。これらのパラメータは例として提示されるものであり、追加の、またはより少ない識別子およびフォーマットが用いられる可能性もある。注文識別子は、本参照によりその全体が開示に含まれる、2007年3月21日に提出された「電子取引注文の管理および分析のためのシステムおよび方法」と題する米国特許出願第11/689178号明細書に記述されているようなものが提供されてもよい。
VI. 注文の状態
親注文の異なる状態が定義されてもよい。親注文の状態には、受付中、未決、レッグまたは約定が含まれる。状態は、親注文に関連づけられる子注文のステータスに従って決定されてもよい。また状態は、ユーザの選好および/または設定等の他の要素に従って決定される場合もある。また親注文の状態は、数値的に同定されてもよい。
数量が複数であって複数の親注文を有するスプレッド注文の場合、各状態を表す数字は、対応する状態におけるその注文の数量を同定してもよい。例えば、3ロットまたは数量3のスプレッド注文の場合、当初、合成スプレッド注文の数量3は全て受付中であり得る。したがって、合成スプレッドの状態は、3個の受付中の注文であってもよい。
その後、スプレッド注文は、受付中の1ロットと、未決の1ロットと、約定された1ロットとを有することがある。したがって、合成スプレッド注文の状態は、3個の受付中の注文、1個の未決の注文および1個の約定された注文となる。
親注文は、1)親注文の呼び値の子注文が約定されるべく取引所等へ送信されていて、しかもこれらのうちで約定されているものはない場合に、受付中であるとされてもよい。親注文は、1つまたは複数の呼び値の子注文は削除されたかもしれないが、親注文は合成スプレッドの定義通り完全に、または事実上約定され得る場合に、受付中のままであり得る。例えば、キャンセルされていて、親注文が合成スプレッドの比率に従って約定されることを防止するような注文は存在しない。
親注文は、構成部分である子注文のうちの幾つかが削除されていても、親注文がなおも完了または約定され得る場合には、受付中のままであり得る。例えば、親注文は、合成スプレッドの少なくとも2つのレッグが値付けされている場合には約定されてもよい。概して、親注文は、親注文の少なくとも1つの呼び値の子注文が受付中である場合には、受付中であり得る。
ある例において、表Iに示されているように3つの呼び値の子注文と2つのヘッジ注文を含む5つの子注文を有する親注文POID100は、3つの呼び値の子注文が受付中であれば受付中である。合成注文が複数ロットに対するものであれば(即ち、2ロットの合成注文)、合成注文は2つの親注文、即ち合成注文の各ロット毎に1つ、を有する。これらの親注文は共に、双方の親注文の呼び値の注文が受付中でありかつ、親注文の約定が不可能である場合であって何れの親注文も約定または削除されていなければ、受付中となる。したがって、n個のロットのスプレッドに対する合成注文は、n個の親注文を生成してもよい。ある実施形態では、数量6の呼び値の注文(各呼び値の子注文2000−2002および2005−2007)が提出されていて、部分的にも完全にも約定されていない場合、呼び値の子注文は全て受付中とされてもよい。
別の例において、親注文は、第1のレッグにおける数量3の呼び値の子注文と、第2のレッグに対する数量2の潜在的なヘッジ注文とを含む2つの子注文を有する場合がある。親注文は、これらの呼び値の子注文が受付中である場合には、受付中とされてもよい。合成注文が複数ロットに対するものであれば(即ち、2ロットの合成注文)、この合成注文は数量1における単一の親注文で表されてもよく、親注文は、親注文の呼び値の注文が受付中であれば受付中である。
親注文は、親注文の全ての子注文が約定された場合には、約定されたとされてもよい。より具体的には、親注文は、親注文の呼び値の子注文およびヘッジ子注文がスプレッド用に指定された数量に従って共に約定/実行された場合に約定されたものとされる。
親注文は、親注文の呼び値の子注文のうちの少なくとも1つが約定された場合、その呼び値の子注文のうちの少なくとも1つが市場において管理対象注文として受付中である場合、およびレッグされた、または削除されたヘッジ子注文がない場合に、未決であるとされてもよい。子注文のアウトライトな削除等を介して1つまたは複数の子注文が削除されている場合の一例では、親注文がスプレッド比率等に従って約定され得る場合、親注文は未決であるとされてもよい。親注文を約定することが不可能であれば、親注文はキャンセルされる場合もあれば、別段で合成スプレッドの一部として考慮されない場合もある。
親注文の少なくとも1つの注文が約定されなければ、または約定され得なければ、親注文はレッグ状態であるとされてもよい。例えば、スプレッドのヘッジレッグの市場は、注文が出され、入力される前に、または注文が別段でスプレッドに従って約定され得る前に移動されていてもよい。未だ約定されていないヘッジ子注文は、レッグ状態とされてもよい。親注文は、ヘッジ子注文のうちの1つがアウトライトな削除等を介して削除された場合にはレッグされてもよい。呼び値の子注文は、その呼び値の子注文が管理対象注文から管理されない注文へ変わっていればレッグ状態とされてもよい。例えば、ユーザ選好は、ヘッジの丸め機能のために、呼び値の子注文を管理対象から非管理対象へ変えるように選択されてもよい。
下表IIに示されている例では、3:2の割合を有する2レッグ式スプレッドの2ロットに対して合成スプレッド注文が出されている。さらに、表IIにおける合成スプレッド注文は、スプレッドの双方のレッグにおいて値付けされるように設定されている。合成スプレッド注文は、まず、2つの親注文によって表されてもよく、その各々が第1のレッグにおける3つの呼び値の子注文と、各親毎の第2のレッグの2つの対応する潜在的なヘッジ子注文と、第2のレッグにおける2つの呼び値の注文と、各親毎の第1のレッグの3つの対応するヘッジ注文とを含む10個の子注文を有する。この合成スプレッド注文は、各々が単一ロット用である複数のスプレッド注文によって表され得るが、合成スプレッド注文は、各注文が複数のロットに関する、または2以上の数量に関するより少ない親注文によって表される場合もある。
表II
初期状態において、合成スプレッドの注文が出され、かつ約定/実行された注文がない場合、SOW=2、SOP=0、SOL=0およびSOF=0である。但し、
SOW=受付中の親注文の数、
SOP=未決親注文の数、
SOL=レッグされた親注文の数、および、
SOF=約定された親注文の数、である。
図7を参照すると、合成スプレッドの注文が入力される、または取引されるべく別段で提出されると、合成注文のステータスを示すべくカラム724にステータスインジケータ736が位置合わせされかつ/または表示されてもよい。価格の選択および注文の入力は、多くの入力に応答した結果であってもよい。注文は、数量および価格カラム718に沿った価格の選択に従って入力されてもよい。また、数量が予め選択されている、または予め決定されている場合、注文は、価格カラムに沿った価格の選択に従って入力される場合もある。価格の選択は、ある価格における送信命令を送信するための1つまたは複数のクリックまたは入力デバイスの他の操作または起動に応答して発生してもよい。
ステータスインジケータ736は、スプレッドウィンドウ700の価格カラム718に沿った、注文の価格に対応するある価格レベルに位置合わせされてもよい。ステータスインジケータ736は、注文のステータスを同定するための数字、アイコン、グラフィック、カラーコードまたはこれらの組合せ等の任意のインジケータであってもよい。例えば、レッグされている合成スプレッド注文または合成スプレッド注文のレッグされている一部に関するステータスインジケータは、レッグされている合成スプレッド注文の数量を示すべく赤色フォントの数字で表示されてもよい。
ステータスインジケータ736は、トレーダの注文のうちの1つまたはそれ以上を表してもよい。またステータスインジケータ736は、売り注文であるか買い注文であるかに関わらず、幾つの注文が出されているか、幾つの注文が受付中であるか、幾つの注文が約定されているか、幾つの注文が未決であるか、幾つの注文がレッグされているか、かつ/またはこれらの組合せを含む、トレーダの注文の状態も表す場合がある。図7に示されている例では、ステータスインジケータ736は、表記「W」に近接する「2」の表記によって2つの受付中の注文を示している。さらに、ステータスインジケータ736は、表記「B」に近接する「0」の表記によって合成スプレッドの注文が約定されていない、または買われていないことを示している。したがって、合成スプレッドの2つの注文が受付中であって、約定されている、または買われている注文はなく、かつレッグされている注文も未決の注文もない。
図7はさらに、スプレッドのレッグにおけるステータスインジケータ738を示している。ステータスインジケータ738はステータスインジケータ736に類似するものであってもよく、かつそのレッグの対応する取引可能オブジェクトの1つまたは複数の注文を表してもよい。ステータスインジケータ738は、スプレッドのレッグにおける注文を表すための、アイコンインジケータ、グラフィックインジケータ、数字インジケータまたはこれらに類似するものを含む任意のインジケータであってもよい。またステータスインジケータ738は、各レッグにおけるアウトライト注文、またはスプレッドに関連づけられる注文も表す場合がある。ステータスインジケータ738は、トレーダの注文のうちの1つまたはそれ以上を表してもよい。またステータスインジケータ738は、売り注文であるか買い注文であるかに関わらず、幾つの注文が出されているか、幾つの注文が受付中であるか、幾つの注文が約定されているか、幾つの注文が未決であるか、幾つの注文がレッグされているか、かつ/またはこれらの組合せを含む、注文の状態も表す場合がある。
図7において、ステータスインジケータ738は、第1のレッグウィンドウ702における価格カラム720の1.06、1.02および0.97に位置決めされ、かつ第2のレッグウィンドウ704の価格カラム722の1.05および1.02に位置決めされている。レッグウィンドウは、ステータスインジケータ738によって表される、注文がどの程度約定され(例えば、買われている=「B」、得られている「S」)、受付中であり(「W」)、未決であり(「P」)、かつ/またはレッグされているか(「L」)等の注文のステータス表記を表示してもよい。
図7はさらに、レッグのステータスインジケータ740を示している。各レッグのステータスインジケータは、合成スプレッドのそのレッグに関連づけられる取引可能オブジェクトの注文を同定している。図7に示されている例において、レッグのステータスインジケータは、合成スプレッドの第1のレッグ702の0.97、および合成スプレッドの第2のレッグ704の1.05に位置決めされている。レッグのステータスインジケータは、ステータスインジケータ738によって表される1つまたは複数の注文が合成スプレッドに関連づけられることを同定する。
表IIに提示された例に関して論じたように、図7は、−0.030において2つの合成スプレッド注文が出されたことを示している。合成スプレッドの比率は3:2と定義されていることから、第1のレッグの6個の呼び値の子注文を表す第1のレッグにおける数量6の呼び値の注文が、第1のレッグ702の取引可能オブジェクトに関して価格0.97で提出されている。さらに、第2のレッグの4個の呼び値の注文を表す第2のレッグにおける数量4の呼び値の注文が、第2のレッグの取引可能オブジェクトに関して価格1.05で提出されている。
図8は、呼び値の注文の一部が約定されかつ少なくとも1つの対応するヘッジ注文が約定された後の一例を示す。より具体的には、第1のレッグAにおける3つの呼び値の子注文COID2000−2002を表す第1のレッグAにおける呼び値の注文の一部が約定され、かつ第2のレッグBにおけるヘッジ子注文COID2003を表すヘッジ注文も提出されて約定されている。さらに、呼び値の子注文COID2000−2002が約定されていることから、呼び値の子注文COID2008および2009は削除またはキャンセルされていて、ヘッジ子注文COID2005−2007の対応するヘッジ注文は実行用に送信または提出されていない。第2の親注文POID101の呼び値の子注文COID2010−2012、2018および2019の呼び値の注文は受付中であって、まだ約定/実行されていない。親注文POID100はレッグ状態であるものとされ、親注文POID101は受付中である。したがって、SOW=1、SOP=0、SOL=1およびSOF=0である。
したがって、図8におけるステータスインジケータ736および738は、変化を反映して図7のステータスインジケータから修正されている。より具体的には、合成スプレッド注文の−0.030におけるステータスインジケータ736は、初期の注文のうちの1つが受付中であり(「W1」)、もう1つの注文はレッグされ(「L1」)かつ約定/実行された注文はなく(「B0」)、未決の注文もないことを反映して修正されている。さらに、各レッグ702および704における合成スプレッドに関連づけられるステータスインジケータ738も変化を反映している。第1のレッグ702における0.97でのステータスインジケータ738は、3つの注文が受付中であり(「W3」)、かつ3つの注文が買われている(「B3」)ことを反映している。第2のレッグ704における1.05でのステータスインジケータ738は呼び値の子注文COID2018および2019を表し、売られた注文はなく(「S0」)、2つの注文が受付中である(「W2」)ことを反映している。さらに、1.00にステータスインジケータ738が位置合わせされていて、ヘッジ注文のうちの1つが売られ(「S1」)、ヘッジ注文のうちの1つが受付中のままである(「W1」)ことが表されている。
図9は、さらなる子注文が約定された後のスプレッド・ウィンドウ・ディスプレイの一例を示す。より具体的には、呼び値の子注文COID2010および2011が約定され、かつ合成スプレッドにおけるレッグBの取引可能オブジェクトに対してヘッジ子注文COID2013の注文が提出されている。ヘッジ子注文COID2013の注文識別子は、ヘッジ子注文COID2013が親注文POID101に関連づけられたままであることを可能にする。親注文POID101は、約定/実行されている呼び値の子注文COID2010、2011および2013を有する。さらに、呼び値の子注文COID2018は削除されていて、ヘッジ子注文COID2015および2016は送信されない。したがって、先のように、親注文POID100はレッグされ、かつ親注文POID101は今では未決であって、SOW=0、SOP=1、SOL=1およびSOF=0である。
したがって、図9におけるインジケータ738は合成スプレッドの現在のステータスを表している。合成スプレッド注文の−0.030におけるステータスインジケータ736は、初期の注文のうちの1つが未決であり(「P1」)、スプレッドのもう1つの注文はレッグされたままであり(「L1」)かつ約定/実行された注文はない(「B0」)ことを反映して修正されている。第1のレッグ702における0.97でのステータスインジケータ738は、1つの注文が受付中であり(「W1」)、かつ5つの注文が買われている(「B5」)ことを反映している。第2のレッグ704における1.05でのステータスインジケータ738は残りの呼び値の子注文COID2019を表し、かつ今では売られた注文はなく(「S0」)、1つの注文が受付中である(「W1」)ことを反映している。さらに、1.00におけるステータスインジケータ738は、別のヘッジ注文が売られ(「S2」)、ヘッジ注文のうちの1つが受付中のままである(「W1」)ことを表している。
合成スプレッドの親注文が未決でなく、レッグ状態でもなくて合成スプレッドの注文が約定されていれば、インジケータ736および738は除去されてもよい。したがって、合成スプレッド注文が約定されると、インジケータ736および738はウィンドウ700、702および704に表示されなくてもよい。
合成スプレッド注文は、定義された寿命またはその寿命の間の様々な段階のステータスを有してもよい。合成スプレッド注文は、1つの統合された取引可能オブジェクトとして保全され、管理され、報告されかつ別段で運営されてもよい。概して、合成スプレッド注文の寿命は、スプレッドの全ての注文が約定されたとき、子注文が削除されたとき、または合成スプレッド注文が削除されたときに終わる。
親−子の関係性および親および子注文の状態は、スプレッドの注文、スプレッドの構成部分の注文およびスプレッドおよびその構成部分の約定を含む合成スプレッドの取引を追跡し、表現し、管理し、報告し、記録しかつ別段で運営するために用いられてもよい。例えば、複数のレッグからの約定された呼び値の注文を有する合成スプレッドが同定され、追跡されかつ管理される。Autospreaderツール等のツールは、親注文の状態を保全しかつ更新するために用いられてもよく、かつ先に述べたように、SOW、SOP、SOL1およびSOFのカウントを保全しかつ更新するためにも用いられてもよい。ツールは、合成注文が存在する間のカウントを保全しかつ更新してもよい。例えば、合成スプレッド注文を完成させるアウトライトの約定は、その合成スプレッド注文の約定としてカウントされかつ報告されてもよい。合成スプレッド注文が約定された後は、追加の、または代替的なツールを用いて取引が保全され、報告され、処理されかつ別段で運営されてもよい。さらに、ツールは、合成スプレッド注文が実行されるべく出される、または提出されるより前に用いられてもよい。
入力された後、合成スプレッドは単一の、かつ/または統合された取引可能オブジェクトとして報告されてもよい。さらに、提出された注文(即ち、受付中または未決)の合成スプレッドは、合成スプレッドを立ち上げたスプレッドツール以外のツールによって管理される場合もある。
図10は、合成スプレッドの注文一覧ツール1000の一例を示す。注文一覧ツール1000は、取引所における注文一覧の場合のように、既に提出されていて、その時点で受付中または未決である合成スプレッドの注文に対応する合成スプレッドエントリ1002を示している。注文一覧ツール1000は、未決または受付中の注文に関する情報を提示するために用いられてもよい。注文は、特定のトレーダの注文であってもよく、かつ/または複数のトレーダの注文であってもよい。注文一覧ツール1000は、1つまたは複数の注文に関する1つまたは複数のパラメータを表示してもよい。注文一覧ツールに表示されるパラメータの数およびタイプはユーザによる選択が可能であってもよく、かつユーザ選好に従って構成されてもよい。注文一覧ツール1000は、注文のステータス、注文が買いであるか売りであるか、数量、取引可能オブジェクトの名称、商品名または商品タイプ、取引可能オブジェクトまたは約定のタイプ、注文の価格、対応する逆指値、注文のタイプ、TIF、規制、注文の実行数量および受付中の数量、関連する口座番号および注文番号を表示してもよい。
注文一覧ツール1000は、1つまたは複数の合成スプレッドエントリ1002およびアウトライト注文のエントリ1004を含んでもよい。合成スプレッド注文エントリ1002は、注文一覧ツールにおいて1つの統合された注文として報告され、または提示されてもよい。即ち、実行のために複数の注文が提示または提出され得るとしても、合成スプレッド注文は合成スプレッドの単一の注文として、または構成要素たる注文の集合体として報告される場合がある。したがって、注文一覧1000は、統合された1つの取引可能オブジェクトとしての合成スプレッド注文の注文エントリ1002、並びにアウトライト注文のエントリ1004を提示してもよい。合成スプレッド注文エントリ1004は、アウトライト注文が商品を「ES」と明示するのに対して、商品カラムの下に「Autospread」と明示することによってエントリがスプレッド用であることを示す。当然ながら、当業者には、取引可能オブジェクトの合成スプレッド注文をアウトライト注文から区別するために他の表記が可能であり得ることが認識されるであろう。
合成スプレッド注文エントリ1002は、注文一覧ツールまたはこれに類似するもの等において取引可能オブジェクトを報告可能であることから、このツールは、合成スプレッド注文およびその構成部分たる親および子注文を管理するために用いられてもよい。合成スプレッド注文エントリ1002は選択されてもよく、かつ対応する合成スプレッド注文に対して機能が実行されてもよい。例えば、合成スプレッド注文が削除またはキャンセルされてもよく、一定量の合成スプレッド注文が減少または増加されるべく変えられてもよく、合成スプレッド注文の価格が低減または上昇される、等々が実行されてもよい。ある機能が合成スプレッド注文に対して実行されるべく選択されると、詳述されるように、合成スプレッド注文の対応する注文または構成部分たる注文は、合成スプレッド注文に対して実行される機能に従って管理される。例えば、約定または実行された子注文が存在しない状態で合成スプレッドを削除することに応答して、削除される合成スプレッド注文の構成部分たる子注文は削除されてもよい。
合成スプレッド注文の他のパラメータもまた、変えられる場合がある。合成スプレッド注文エントリ1002等の注文は、エントリ1002を選択しかつ選択される、または明示される注文パラメータを変更することによって変えられてもよい。パラメータは、対応するツールまたはツールバー1006の機能を選択することによって変えられてもよい。例えば、注文一覧における全ての注文を削除するために、ユーザは、ツールバー1006上の「全て削除」ボタンを選択してもよい。ツールバーは、明示された機能のためのボタンを有してもよい。
あるいは、または追加的に、1つまたは複数の機能を選択し得るドロップ・ダウン・メニュが提供されてもよい。
約定された合成スプレッド注文は、約定ウィンドウツール1100において報告されかつ管理されてもよい。図11は、合成スプレッドの注文一覧ツール1100の一例を示す。約定ウィンドウツール1100は、約定された注文に関する情報を提示しかつ約定された注文を管理するために用いられてもよい。約定された注文は、特定のトレーダの注文であってもよく、かつ/または複数のトレーダの注文であってもよい。約定ウィンドウツール1100は、1つまたは複数の約定された注文に関する1つまたは複数のパラメータを表示してもよい。約定ウィンドウツールに表示されるパラメータの数およびタイプはユーザによる選択が可能であってもよく、かつユーザ選好に従って構成されてもよい。約定ウィンドウツール1100は、約定時のステータス、注文が約定された取引所、約定された数量、約定された注文の価格、約定された注文の商品および契約、口座番号、取引所における約定時刻、注文番号、注文約定日および注文が出された、または取引所により受信された時刻を表示してもよい。
約定された合成スプレッド注文1102は、約定ウィンドウツール1100に統合された1つの注文として報告されても、包含されてもよい。約定された合成スプレッド注文の複数の約定された親注文は1つの約定に結合されて報告されてもよく、または約定された注文として独立して表示されてもよい。さらに、約定された合成スプレッドの複数の約定された子注文も、約定ウィンドウツール1100において報告されても、包含されてもよい。合成スプレッド注文を完了するためには複数の注文が約定されたかもしれないが、合成スプレッド注文は、単一注文の約定、単一の約定または合成スプレッドの構成要素たる注文の集合体として報告されてもよい。したがって、約定ウィンドウツール1100は、統合された1つの取引可能オブジェクトとしての合成スプレッド注文のエントリ1102、並びにアウトライト注文のエントリ1104を含んでもよい。合成スプレッド注文エントリ1102は、アウトライト注文が商品を「ES」と明示するのに対して、商品カラムの下に「Autospread」と明示することによってエントリがスプレッド用であることを示す。当然ながら、当業者には、取引可能オブジェクトの合成スプレッド注文をアウトライト注文から区別するために他の表記が可能であり得ることが認識されるであろう。
図12は、合成スプレッドの市場格子または市場ウィンドウツール1200の一例を示す。市場格子ウィンドウ1200は、合成スプレッドに関する情報を報告しかつ合成スプレッド注文を実行する注文を立ち上げるための合成スプレッドエントリ1202を含んでもよい。1つの合成スプレッド注文を提出する結果として複数の注文が提出され得るが、市場ウィンドウ1200において、合成スプレッド注文は単一の注文として報告されてもよい。合成スプレッド注文は、市場ウィンドウ1200から単一の取引可能オブジェクトとして立ち上げられてもよい。市場格子の一例は、本参照によりその全体が開示に含まれる、「自動スプレッド取引を実行するためのシステムおよび方法」と題する米国特許第7437325号明細書に提示されている。
合成スプレッドの注文は、管理されている、または管理されていないものとされる場合がある。呼び値の注文およびヘッジ子注文は、スプレッドツール(即ち、Autospreader)等の1つまたは複数のツールが、管理される注文が提出され、変更されかつ/または削除された時刻および方法等の管理されている注文の行動を制御することから、管理されているものとされてもよい。合成スプレッドが生成されて提出されると、1つまたは複数の呼び値の子注文が実行されるべく生成されかつ提出される。さらに、合成スプレッドの呼び値の子注文のうちの1つまたはそれ以上の実行によってヘッジ子注文の提出がトリガされるように、1つまたは複数のヘッジ子注文が生成されかつ保持されてもよく、または別段で実行されるべく標的とされてもよい。管理される子注文は、合成スプレッドの呼び値の注文およびヘッジ子注文とされてもよい。レッグされたヘッジ注文、または実行されるべく別段で提出されているが約定されていないヘッジ注文は、合成スプレッドの管理されていない注文とされてもよい。スプレッド取引ツールまたは合成スプレッド注文を追跡しかつ報告するための他のツールは、合成スプレッドの管理されていない構成部分を追跡してもよいが、もはや注文の行動は管理しなくてもよい。したがって、スプレッド取引ツールは、もはやレッグされたヘッジ子注文を管理しなくてもよい。
合成スプレッド注文は、単一のエンティティまたは取引可能オブジェクトとして生成されてもよい。記述されているように、合成スプレッド注文は、合成スプレッド注文の同定された数量および価格に従って生成されてもよい。例えば、スプレッドウィンドウ700を用いて、トレーダは、価格カラム718の価格レベルに関連づけられる範囲を選択することにより、合成スプレッドの注文を入力してもよい。その結果、合成スプレッド注文の各ロットの親注文が生成される。さらに、合成スプレッドのレッグでは、各親の子注文が合成スプレッドの少なくともユーザ選好および設定に従って発生されかつ提出される。ヘッジ子注文は生成され、かつ他の子注文の約定または実行に応答して送信されるまで保持されてもよい。
合成スプレッドは、単一のエンティティまたは取引可能オブジェクトとして削除および/またはキャンセルされてもよい。合成注文が入力された後に、合成注文に関連づけられる子注文が約定または実行されていなければ、合成注文は削除されても、キャンセルされても、保留にされても、別段で実行を防止されてもよい。削除は、合成スプレッドを立ち上げた、または別段でその子注文を提出したAutospreader等のスプレッド取引ツールを用いて実行されてもよい。合成スプレッド注文の削除は、合成スプレッドの管理されている全ての構成部分を削除してもよい。さらに、合成スプレッド注文の削除は、合成スプレッドの管理されていない全ての構成部分を削除してもよい。したがって、トレーダは、合成スプレッド注文が削除されると、合成スプレッド注文の管理されていない注文を削除すべきかどうかを決定してもよい。例えば、ウィンドウディスプレイ700上の削除ボタンは、全ての、幾つかの、または指定された合成注文を削除するために選択されてもよい。削除される際には、受付中の呼び値の子注文が削除され、ヘッジ注文は送信されない。
また合成スプレッドの注文は、合成注文およびその構成部分たる子注文が約定された後に調整される場合もある。即ち、受付中である、未決であるかつ/またはレッグされた親注文の価格が変えられてもよい。合成スプレッドの価格変更は、合成スプレッドを立ち上げた、または別段でその子注文を提出したAutospreader等のスプレッド取引ツールを用いて実行されてもよい。合成注文の価格が変更される場合等、合成注文が提出後に調整された場合、構成部分たる子注文のうちの1つまたはそれ以上の価格は、調整された合成スプレッド注文の価格を反映すべく、スプレッドの親注文と子注文との関係性、スプレッドの定義および/またはユーザ選好/設定に従って調整されてもよい。受付中の親注文の価格は、合成スプレッドの価格変更を反映して調整されてもよい。1つまたは複数の未決の、またはレッグされた親注文に関連づけられる呼び値の注文は、受付中の価格を付け直されたスプレッド注文の呼び値の子注文の価格レベルで実行されるべく提出されてもよい。
また、受付中の親注文の数量も影響を受ける場合がある。数量は、合成スプレッドを立ち上げた、または別段でその子注文を提出したAutospreader等のスプレッド取引ツールを用いて、変更数量の選択に従って変えられてもよい。数量は、注文数量をゼロにまで変えることを含む、ある値範囲内で変えられてもよい。数量の限度は、ユーザ選好/設定、取引所、手形交換所または他の第三者により設定される限度および/または規制当局により設定される限度を含む1つまたは複数の要素に従って決定されてもよい。一定量の合成スプレッド注文が、入力された後に調整される場合、構成部分たる子注文のうちの1つまたはそれ以上に関する数量もまた、スプレッドの親注文と子注文との関係性、スプレッドの定義および/または設定に従って調整されてもよい。合成スプレッド注文の数量の調整に応じて、受付中の注文の数量は調整され得るのに対して、レッグされた、または未決の注文の数量は調整されなくてもよい。数量が調整される場合、調整される注文に対して実行されるリスク分析は、新しいリスクポジションを決定するために実行されてもよい。例えば、ある量が低減される場合、留保されたヘッジ子注文に対するリスクリザーブも適宜低減されてもよい。
子注文は、合成スプレッドを立ち上げたスプレッド取引ツール以外のツールを用いて変更または更新される場合もある。例えば、合成スプレッドが立ち上げられる場合、スプレッドの1つまたは複数のレッグにおいて呼び値の子注文が提出される。管理される呼び値の子注文は、呼び値の子注文が管理されている間に、スプレッドの対応するレッグ用にMD_Traderウィンドウディスプレイまたは他のアプリケーション等のウィンドウディスプレイにおいて変えられてもよい。呼び値の子注文は、注文一覧ツール等の注文を管理するための他のツールを用いて変えられてもよい。さらに、呼び値の子注文は削除されても、他のツールを用いて調整されてもよい。
ヘッジ子注文の変更または削除により、合成スプレッド注文の全ての管理される、かつ管理されない構成部分が削除される結果となる場合がある。さらに、もしくは代替として、変更または削除されたヘッジ子注文に関連づけられる合成スプレッドはレッグされたままである場合がある。呼び値の子注文に関して、取引可能オブジェクトのウィンドウディスプレイまたは注文一覧等を介する新しい価格レベルへの価格変更が発生すると、呼び値の子注文はこの新しい価格レベルへ設定されてもよい。合成スプレッド注文を立ち上げたツールは、スプレッドを達成するために関連づけられるヘッジ注文の目標価格を調整してもよく、または、関連づけられるヘッジ注文を原初の目標価格で、または原初の目標価格に近い価格で提出してもよい。さらに、他の管理される注文は影響を受けない場合がある。
管理される呼び値の子注文に対して取引可能オブジェクトのウィンドウディスプレイまたは注文一覧等を介する数量変更が発生すると、呼び値の子注文は管理される注文としては抜かれても、別段で除去されてもよい。他の呼び値の注文も全て、ユーザ選好/設定に依存して除去されてもよい。レッグされた親注文も、ユーザによって選択される好みに従って除去されてもよい。呼び値の子注文が削除される場合、合成スプレッドは、合成スプレッドの約定が依然として可能であれば残存してもよい。そうでなければ、合成スプレッド注文も除去されてもよい。
管理されない子注文も、合成スプレッドを立ち上げたスプレッド取引ツール以外のツールを用いて変更または修正される場合がある。例えば、管理されない子注文の価格は、管理されない子注文が存在するスプレッドのレッグに対応する取引可能オブジェクトのウィンドウディスプレイ、または注文一覧ツール等の他のツールを用いて変えられてもよい。管理されない子注文の価格変更が発生すると、管理されない子注文の起源である合成スプレッドはアクティブのままであってもよく、かつ完了されてもよい。しかしながら、この合成スプレッドの元の価格は、その約定時に、管理されない子注文の価格変更によって影響される場合がある。
ある例示的な実施形態において、管理されない子注文の数量は、X_TRADERウィンドウ等のウィンドウディスプレイを用いて改変数量の選択により変えられる。管理されない子注文の数量は、注文数量をゼロにまで変えることを含む、ある値範囲内で変えられてもよい。限度は、ユーザ選好/設定、取引所、手形交換所または他の第三者により設定される限度および/または規制当局により設定される限度を含む1つまたは複数の要素に従って決定されてもよい。レッグされたヘッジ注文等の管理されない子注文が変更される場合、管理されない子注文の起源である合成スプレッドは残存してもよい。
管理されない子注文の数量が増加される場合、元の数量は、合成スプレッド注文の状態およびカウントの決定に用いられてもよい。例えば、比率3:2における1ロットの合成注文が出されていて、第1のレッグにおける3つの注文が約定され、かつ第2のレッグにおける2つの注文(ヘッジ注文)がレッグされている場合、レッグされた親注文のカウントは1である(SOL=1)。レッグされた子注文の数量が2から3へ増加され、かつ3つのうちの1つが約定されても、レッグされた親注文のカウントは1のままであり得る(SOL=1)。親注文は、残りの2注文のうちの1つが約定された時点で約定されたものとされる。この時点で、残りの1注文は機能し続けても、除去されてもよい。
管理されない子注文の数量は、減らされる場合もある。この場合、親注文は永久的にレッグされるものとされてもよい。例えば、管理されない注文が減らされ、かつ残りのヘッジ注文が約定される場合、合成スプレッドを約定するための数量が残っていないことから、合成スプレッド注文は約定され得ない。同様に、管理されない子注文が削除されれば、合成スプレッドは削除され、子注文は約定され得ないことから合成スプレッドも永久的に削除されたものとされてもよい。合成スプレッド注文が永久的にレッグされたものとされる場合、合成スプレッドは手動で、または自動的に除去または削除されてもよい。
トレーダまたはトレーダグループのポジションまたはリスクは、合成スプレッドの呼び値の子注文およびヘッジ子注文のポジションを含む合成スプレッドポジションに従って決定されてもよい。即ち、その構成部分たる子注文を有する合成スプレッド注文を統合された1つの注文として管理することにより、トレーダの正確なポジションは、合成スプレッドの注文が実行されるべく提出される前に決定されてもよい。
例えば、合成スプレッド注文が生成されると、呼び値の注文が実行されるべく提出されてもよく、かつ呼び値の子注文のうちの1つまたはそれ以上が実行されるまでヘッジ注文が生成されて保持されてもよい。呼び値の子注文が実行されるべく提出される前には、呼び値の子注文およびヘッジ子注文を考慮してリスクチェックが行われてもよい。容認できる、または認められる限度内であれば、注文は提出されてもよい。ポジションまたはリスク分析は、注文が提出されて1つまたは複数の子注文が約定された後に再度、任意の変更を反映して行われてもよい。さらに、ポジションまたはリスク分析は、管理される、かつ/または管理されない注文の変更も考慮して行われてもよい。スプレッド・コンフィギュレーション・ウィンドウの説明は、本参照によりその全体が開示に含まれる、2009年3月24日に提出された「リスクチェックのためのシステムおよび方法」と題する米国特許出願第12/410210号明細書において行われている。
合成スプレッドの目標価格は、合成スプレッドの子注文の管理を介して達成されてもよい。例えば、合成スプレッドは、合成スプレッドの目標価格で立ち上げられてもよい。その結果、少なくとも1つの呼び値の子注文が実行されるべく提出され、かつ少なくとも1つのヘッジ子注文がこの少なくとも1つの呼び値の子注文に関連づけられかつ/または生成され、かつこの少なくとも1つの呼び値の子注文の実行の未決状態に保持される。
呼び値の子注文が合成スプレッドの親子注文の複数のレッグにおいて提出される例では、複数のレッグにおける呼び値の子注文の実行に起因して価格の歪みが生じる場合がある。即ち、合成スプレッドは唯一のレッグにおいて呼び値の子注文が1つしか実行されないと定義されているにも関わらず複数の呼び値の子注文が実行されたという理由で、合成スプレッドの目標価格が達成されないことがある。価格の歪みは、複数の呼び値の子注文を合成スプレッド注文および/または親注文の1つの構成部分として管理することにより最小限に抑えられる、または除去されてもよい。親子の関係性においては、子注文と親注文とが関連づけられ、かつ呼び値の子注文は、合成スプレッド注文の別のレッグにおける呼び値の子注文の実行に応答してキャンセルされる場合がある。合成スプレッドが3つのレッグA、BおよびCを有しかつ複数の呼び値の子注文が提出されて3つのレッグを同時に動作させている例では、1つのレッグ(レッグB)における呼び値の子注文の実行が他のレッグ(レッグAおよびC)における呼び値の子注文のキャンセルをトリガする場合がある。したがって、合成スプレッド注文の真の価格が得られても、達成されるべく試行されてもよい。
さらに、呼び値の子注文およびヘッジ子注文は、呼び値の子注文がその実行より前に削除され得る場合、他の呼び値の子注文およびそれらの関連づけられるヘッジ子注文を管理することによって目標のスプレッド価格および数量が達成され得るように関連づけられてもよい。少なくとも1つの呼び値の子注文が削除される前に複数の呼び値の子注文が実行される場合、合成スプレッドが過剰に約定される可能性もある。過剰に約定された合成スプレッド注文は、二重約定、三重約定またはこれらに類似するものとされる場合がある。即ち、合成スプレッド注文の数量は、呼び値の子注文のうちの少なくとも1つがその実行より前に削除されなかったことから、その合成スプレッド注文の目標数量より多いことがある。しかしながら、約定された呼び値の注文のうちの1つまたはそれ以上が部分的に約定されているに過ぎない場合、合成スプレッドの注文は過剰に約定されないことがある。
複数約定の場合、追加的に約定された注文を追跡しかつ管理するために、追加的な約定毎に新しい親注文が生成されてもよい。その結果、幾つかの受付中の注文、約定された注文および未決の注文が増加され得る。しかしながら、合成スプレッド注文の元の数量にマッチングさせるために、受付中の注文の数は、呼び値の子注文およびヘッジ子注文を合成スプレッド注文の元の数量内で管理することによって減らされてもよい。
また注文は、合成スプレッドを自動的にアンワインドするように管理される場合もある。未決状態にある、または少なくとも1つの未決の親注文を有する合成スプレッドの例示的な実施形態では、合成スプレッドの約定された子注文はアンワインドされても、破棄されてもよく、かつ合成スプレッド注文は中止にされてもよい。即ち、ユーザは、合成スプレッド注文をアンワインドするために、スプレッド・ツール・ウィンドウ上のボタン、注文一覧ツールまたはこれらに類似するものを選択すること等によってアンワインド機能を選択してもよい。
またユーザも、設定または選好を、トリガに応答してポジションをアンワインドさせるように確立してもよい。トリガは、注文の時間量、注文の価格、注文の数量またはこれらに類似するものであってもよい。トリガされると、合成スプレッド注文およびその構成部分たる子注文は、合成スプレッド注文をアンワインドするように管理されてもよい。あるいは、または追加的に、トリガされると、ユーザに合成スプレッドをアンワインドするための複数のオプションが提供されてもよい。ある例では、未決の合成スプレッド注文が存在する時間量が記録される。時間量がユーザにより設定されるしきい値を超えると、合成スプレッド注文は、未決の合成スプレッド注文を破棄するために、修正子注文を生成しかつ提出することによって自動的にアンワインドされてもよい。さらに、または代替として、時間量がしきい値を超えると、オプションがオプション毎の推定された関連コストと共に提示されてもよい。ユーザは、合成スプレッドをアンワインドさせるべくオプションから選択してもよい。
未決の合成スプレッドは、未決の合成スプレッドの受付中の子注文を削除しかつ合成スプレッドのオープンポジションを破棄するために構成部分たる修正子注文を提出することによってアンワインドされてもよく、よって、一旦修正子注文が約定されると、未決のスプレッドにより生成されたポジションは帳消しにされる。即ち、未決のスプレッドの生成されたポジションの、未決のスプレッドがアンワインドされたポイントまでのトレードアウトが発生する。アンワインドされた注文および構成部分たる修正子注文は、先に論じたように、合成スプレッド注文として管理されてもよい。アンワインドされた注文および修正子注文は、合成スプレッドのオープンポジションを扁平にする、または帳消しにするような価格および数量を有してもよい。さらに、合成スプレッド注文は、合成スプレッド注文をアンワインドするような幾つかのタイプのアンワインド注文および/または修正子注文を有してもよい。
例えば、未決の合成スプレッド注文は、市場に参加する修正子注文を提出すること、かつ/またはスプレッド市場を妨げることによってアンワインドされてもよい。即ち、合成スプレッドは、合成スプレッドの各レッグにおいて約定されている修正子注文を送信して約定された注文のそのレッグにおけるポジションを扁平にする、または帳消しにすることによりアンワインドされてもよい。修正子注文は、実行されるべく場内市場において提出されてもよい。合成スプレッドの呼び値の注文およびヘッジ子注文は何れもキャンセルされ、かつ修正子注文の実行後、合成スプレッドは修正子注文に起因して破棄されたものと見なされてもよい。
また未決の合成スプレッドは、スプレッドの市場を妨げるためにアンワインド注文を提出することによってもアンワインドされる場合がある。アンワインド注文は、合成スプレッドのレッグ毎に、少なくとも1つの実行された子注文を有する子注文を含んでもよい。アンワインド注文の子注文は各々、対応するレッグ内の子注文を帳消しにする、または扁平にする数量を有する。さらに、アンワインド注文の子注文は、アンワインド注文の子注文が提出時点で、または実行されるべく略提出された時点で実行されるように、そのレッグの場内市場における価格を有する。アンワインド注文の子注文が提出されると、アンワインドされるべき合成スプレッドの残りの子注文はキャンセルされてもよく、よって、アンワインド注文の実行により、合成スプレッド注文は破棄される結果となる。
合成スプレッドをアンワインドするための複数のオプションは、提示されてもよい。オプションは、自動的に提示されても、ユーザ選択に応答して提示されても、かつ/または先に論じたようにトリガに応答して自動的に提示されてもよい。オプションは、提示される各オプションのコストに関する情報を含んでもよい。コストは、例えば、そのオプションに関連づけられる損益であってもよい。またオプションは、選択可能であってもよい。オプションを選択することにより、そのオプションを実行するための1つまたは複数の関連機能が実行されてもよい。オプションには、市場に参加すること、スプレッド市場を妨げることかつ/または各レッグをトレードアウトすることによってスプレッドをアンワインドすることが含まれてもよい。オプションはさらに、合成スプレッドを動作させ続けることを含んでもよい。さらに、市場に参加することによってアンワインドするためのオプションは、適切な各レッグにおいて合成スプレッドをアンワインドする市場に参加するためのサブオプションを有してもよい。オプションおよび関連コストの提供により、ユーザは望ましいオプションを同定してもよい。したがって、ユーザはオプションを選択してもよく、よって合成スプレッドはアンワインドされる。
削除されたかもしれない未決の注文もまた、自動的に、手動で、または自動および手動の組合せによって復活されてもよい。未決の注文の削除は、故意であった場合も、偶発的であった場合もある。例えば、未決の注文は、薄い市場、システム、ゲートウェイ、サーバまたはPCの作動停止または妨害被害、間違った入力、他のエラー状態およびこれらに類似するものの結果として削除されることがある。未決の注文を復活させるために、復活させられ得る削除された未決の注文が提示されかつ選択されてもよい。さらに、削除された未決の注文が先に述べたようにアンワインドされるべく、または当初確立されていたように再生されるべく選択されてもよい。ユーザには、復活機能および/または復活され得る削除された未決の注文を選択するためのボタン、ドロップ・ダウン・メニュまたは類似の他の機能が提示されてもよい。
合成スプレッドは、レッグされた合成スプレッド注文をブラケットするように管理される場合もある。合成スプレッド注文のブラケットは、スプレッド注文に関連づけられる損失を減じ、かつ/またはレッグされた注文に関連づけられる利得をカバーするために、レッグされた合成スプレッド注文を管理するように確立されてもよい。レッグされた合成スプレッド注文のブラケッティングは、ユーザ選好に従って同定または確立されてもよい。図13は、スプレッド・コンフィギュレーション・ウィンドウ1300の一例を示す。スプレッド・コンフィギュレーション・ウィンドウ1300は、合成スプレッドのパラメータを確立または設定するために、かつ/または合成スプレッドおよびその構成部分たる親子注文を管理するために用いられてもよい。スプレッドウィンドウ1300は、パラメータを設定するために選択されてもよい。パラメータには、内部および外部スロップ設定、スプレッドの値付けの選択肢、顧客口座、どのレッグを値付けすべきか、調整およびオフセット、ペイアップティック、合成スプレッドの比率、注文変更をキャンセル/置換すべきかどうか、価格をチェックすべきかどうか、レッグされた注文のカバーまたは上部ブラケット、レッグされたスプレッド注文の下部または注文−キャンセル−注文ブラケット、合成スプレッド注文をアンワインドするためのパラメータおよびこれらに類似するものが含まれる。確立されるべきパラメータのタイプおよび数は、変わることがある。パラメータは、スプレッドおよび/またはスプレッドのレッグの対応するデータ入力エリアに所望される設定を入力すること、ドロップ・ダウン・メニュから1つまたは複数の選択肢を選択すること、選択または無線ボタンから選択すること、またはこれらに類似することによって設定されてもよい。スプレッド・コンフィギュレーション・ウィンドウの説明は、本参照によりその全体が開示に含まれる、「自動スプレッド取引を実行するためのシステムおよび方法」と題する米国特許第7437325号明細書に提示されている。
スプレッド・コンフィギュレーション・ウィンドウ1300は、レッグされた注文の上部ブラケットを設定するためのカバーブラケット設定1302と、OCO設定1304とを含む。カバーブラケットおよびOCOブラケットは、合成スプレッド注文の1つのレッグ、複数のレッグ、または全てのレッグに関して設定されてもよい。カバーブラケットおよびOCOブラケットは、目標ブラケットを入力することによって設定されてもよい。目標ブラケットは、入力される注文から離れている幾つかのティック、入力された注文の比率、価格、所望される利益、最悪の場合の損失、価格限度またはこれらに類似するものを基礎としてもよい。目標ブラケットは、双方のレッグで同じであっても、異なってもよい。さらに、目標ブラケットは、カバーブラケット1302とOCOブラケット1304との間で同じであっても、異なってもよい。ある例では、幾つかのティックを表す数は、合成スプレッドのレッグ毎にカバーブラケットおよびOCOブラケットの双方に入力される。スプレッド・コンフィギュレーション・ウィンドウ1300は、カバーブラケット1302がレッグAでは1ティック、かつレッグBでは3ティックであることを示している。OCOブラケット1304は、レッグAで2ティック、かつレッグBで4ティックである。
ブラケットが確立されると、レッグされたスプレッド注文の実行されるレッグがブラケットされてもよい。例えば、レッグされた親注文が検出されると、損失を減じかつレッグされた親注文および対応するヘッジ注文をキャンセルするために、かつ/または利得を得てレッグされた親注文および対応するヘッジ注文をキャンセルするために、約定されたレッグにブラケット注文が入力されてもよい。ある例では、レッグされた親注文は、レッグAにおける約定された子注文と、レッグBにおける未決のヘッジ注文とを含む場合がある。レッグされた親注文の同定に応答して、約定された注文を扁平にし、帳消しにし、またはクローズする数量に関するブラケットパラメータにより、対応するカバー注文が発生されてもよく、かつ対応するOCO注文が発生されてもよい。レッグAに関する注文は約定されていることから、ブラケットパラメータに従って決定される価格におけるカバー注文が実行されるべく入力または提出される。さらに、ブラケットパラメータに従って決定される価格でのOCO注文も実行されるべく提出される。ある例において、ブラケット注文は、カバー注文で1ティック、かつOCO注文で2ティックである。したがって、カバー注文の価格は約定された注文の価格より1ティック高く、かつOCO注文の価格は約定された注文の価格より2ティック安い。レッグされた合成スプレッドのカバー注文、OCO注文およびヘッジ注文は関連づけられてもよい。
カバー注文またはOCO注文が実行される時点で、他の関連するブラケット注文はキャンセルされてもよい。したがって、レッグされた合成スプレッドはレッグされていないものとされ、管理対象から外されてもよい。例えば、カバー注文が約定されると、対応する任意のOCO注文およびヘッジ注文はキャンセルされる。カバーは、未決の注文を破棄する。ヘッジ注文がキャンセルされることから、先に論じたように、合成スプレッドももはや存在しない。同様に、OCO注文が実行されると、対応するカバー注文およびヘッジ注文がキャンセルされ、よって先に論じたように合成スプレッドはもはや存在しない。
ある実施形態では、ブラケット注文は、レッグされた注文の検出時から既定時間の後に入力されてもよい。例えば、1つまたは複数のブラケット注文は、レッグされた注文が検出されて第1の時間量の後に入力されてもよい。さらに、第2のブラケット注文は、第2の時間量の後に入力されてもよい。時間量は、ユーザにより設定される任意の増分であってもよい。
ある実施形態では、ブラケット注文は、レッグされた注文が検出された後の動きの量を基礎として入力されてもよい。例えば、1つまたは複数のブラケット注文は、レッグの市場が予め決められたティック数だけ動いた後に入力されてもよい。予め決められるティックの数は、ユーザによって設定または調整されることが可能である。さらに、第2のブラケット注文は、同数のティックまたは追加された数のティックが動いた後に入力されてもよい。
ある実施形態では、ブラケット注文は、予め決められた時間量を基礎として、かつ市場の動きまたはティック数を基礎として入力されてもよい。当業者には、他のブラケット注文または注文タイプも可能でありかつ発明の範囲に含まれることが認識されるであろう。
一般的な当業者にとって、これまでに記述されたシステムおよび方法に含まれる方法が1つまたは複数のコンピュータ読取り可能媒体を含むコンピュータ・プログラム・プロダクトにおいて実施され得ることは明らかであろう。例えば、コンピュータ読取り可能媒体は、コンピュータ読取り可能プログラムコードのセグメントが格納されている、ハードドライブデバイス、CD−ROM、DVD−ROMまたはコンピュータディスケット等の読取り可能メモリデバイスを含むことが可能である。またコンピュータ読取り可能媒体は、デジタルまたはアナログデータ信号としてプログラムコードセグメントが伝送される、光学式、有線または無線式の何れかであるバスまたは通信リンク等の通信または伝送媒体を含むことも可能である。
クレームは、その趣旨が明示されていない限り、記述された注文またはエレメントに限定されるものとして読まれるべきではない。したがって、添付のクレームおよびその等価物の範囲および精神に含まれる全ての実施形態は発明としてクレームされる。