JP2013508287A - 抗体を親和性成熟する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、抗体を親和性成熟する方法に関する。

Description

本発明は、抗体を親和性成熟する方法に関する。
治療上の使用を目的とした抗体の産生は、典型的には、リードディスカバリー段階と、その後の最適化プロセスを必要とする(Almagro and Strohl,Antibody Engineering:Humanization,Affinity Maturation and Selection Methods.307〜327.In:Therapeutic Monoclonal Antibodies:From Bench to Clinic.Ed.Zhiqiang An.John Wiley & Sons,Inc.2009)。リードディスカバリーに現在利用可能なプラットフォームには、ハイブリドーマ技術(Kohler et al.,Nature,256:495〜7,1975)、生体外のディスプレイをベースとする技術(Hoogenboom,Nat Biotechnol,23:1105〜16,2005)、及びヒト免疫グロブリンを発現するトランスジェニックマウス(Lonberg et al.,Nature 368:856〜9,1994)が含まれる。典型的な抗体リードの開発キャンペーンでは、親和性、溶解性、及び安定性を改善するために、最初の発見の成功(initial discovery hits)の最適化が通常必要である。
抗体の親和性を高めるための多くのストラテジーが報告されており、例えば、後続のスクリーニングのための変異体のライブラリーを生成するための、ファージ又はリボソームディスプレイなどの生体外のディスプレイをベースとする技術と組み合わせたランダム変異導入法(Groves et al.,J Immunol Methods,313:129〜39,2006)及び部位特異的突然変異誘発(SDM)法などが挙げられる(Barbas et al.,Proc Natl Acd Sci USA,91:3809〜13,1994)(Almagro and Strohl,Antibody Engineering:Humanization,Affinity Maturation and Selection Methods.307〜327.In:Therapeutic Monoclonal Antibodies:From Bench to Clinic.Ed.ZhiqiangAn.John Wiley & Sons,Inc.2009)。しかしながら、ライブラリーのサイズは多様化残基ごとに指数関数的に増加するので、多様化することができるのは限られた数の残基だけである。例えば、全ての位置において32のコドンを導入する共通のNNK多様化スキームで構築されたライブラリーは、残基の数n毎に32n増加する。ファージライブラリーは、通常、109〜1010メンバーというサイズに制限され、そのライブラリーに完全な配列包括度を得ようとする場合、これは、6〜7残基のみを多様化できることを意味する。
最大配列包括度を得るための多様化ストラテジーは、溶媒接触可能抗体残基の標的化(US2005/0266000)、又は配列の比較に基づく残基の標的化(WO2006/014498)による抗体ライブラリーの生成を包含する。より集中的なストラテジーとしては、HCDR3の残基の多様化(Schier et al.,J Mol Biol 263:551〜67,2006)が挙げられ、その理由は、抗原結合部位のこの領域は、抗体の特異性及び親和性を確定するためにしばしば不可欠であることが良く知られているからである。ライブラリーの多様性は、ある場合には、自然抗体に見られるアミノ酸の組成及び頻度を忠実に反映するように設計されてきた(Cobaugh et al.,J Mol Biol,378:622〜33,2008;Knappik et al.,J Mol Biol,296:57〜86,2000;Lee et al.,J Mol Biol,340:1073〜93,2004;Hoet et al.,Nature Biotechnol,23:344〜8,2005)。また、数個のアミノ酸の組み合わせ(Fellouse et al.,Proc Natl Acad Sci USA,101:12467〜72,2004;Sidhu and Fellouse,Nature Chemical Biology,2:682〜8,2006)、又はチロシンとセリンに限定されたバイナリコード(Fellouse et al.,J Mol Biol,348:1153〜62,2005)が用いられてきた。
より高い親和性を有する治療抗体の開発は、有効性並びに投与量、ひいては潜在的な免疫原性及び製造原価に直接的に影響を及ぼし得る。そのため、抗体を親和性成熟するために改善された方法が必要とされている。
本発明の一態様は、抗体を親和性成熟する方法であり、
a.抗体軽鎖可変領域(VL)又は抗体重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を得る工程と、
b.抗体VL又はVHのアミノ酸配列のrSDRU残基を同定する工程と、
c.多様化されるrSDRU残基のサブセットを選択する工程と、
d.rSDRU残基のサブセットを多様化するために使用されるアミノ酸のセットを選択する工程と、
e.工程c.で選択されたrSDRU残基のサブセットを、工程d.で選択されたアミノ酸のセットを用いて多様化することによって、抗体VL又はVH変異体のライブラリーを作製する工程と、
f.抗体VH又はVL変異体のライブラリーを宿主で発現させる、又は抗体VH又はVL変異体のライブラリーを生体外で翻訳する工程と、
g.抗体VH又はVL変異体のライブラリーから、抗原に対する改善された親和性を有する1つ以上の親和性成熟抗体を選択する工程と、を含む。
抗体Vκ鎖のKabatの番号付けとChothiaの番号付けとの間の対応。CDR、HVL、及びrSDRU残基の位置は、対応する欄に黒で表わされている。CDR周辺のVκ残基のみが示されている。 抗体VH鎖のKabatの番号付けとChothiaの番号付けとの間の対応。CDR、HVL、及びrSDRU残基の位置は、対応する欄に黒で表わされている。CDR周辺のVH残基のみが示されている。 rSDRUを決定するために使用する抗体−抗原複合体の結晶構造。 rSDRUを決定するために使用する抗体−抗原複合体の結晶構造(図3A(1)の続き)。 rSDRUを決定するために使用する抗体−抗原複合体の結晶構造。 rSDRUを決定するために使用する抗体−抗原複合体の結晶構造。 A)抗タンパク質抗体のrSDRUを決定するのに使用される抗体のVκ鎖のポリペプチド配列。抗体/抗原複合体の結晶構造中の抗原と接触するVκ残基は、灰色で強調表示されている。L3のアラインメントは、Chothia及びKabatではなく国際免疫遺伝学(IMGT)の表記法に従う(Lefranc et al.,Dev Comp Immunol,27:55〜77,2003)。SDRR配列が示されている。 A)抗タンパク質抗体のrSDRUを決定するのに使用される抗体のVκ鎖のポリペプチド配列。抗体/抗原複合体の結晶構造中の抗原と接触するVκ残基は、灰色で強調表示されている。L3のアラインメントは、Chothia及びKabatではなく国際免疫遺伝学(IMGT)の表記法に従う(Lefranc et al.,Dev Comp Immunol,27:55〜77,2003)。SDRR配列が示されている(図4A(1)の続き)。 B)抗ペプチド抗体のrSDRUを決定するのに使用される抗体のVκ鎖のポリペプチド配列。抗体/抗原複合体の結晶構造中の抗原と接触するVκ残基は、灰色で強調表示されている。L3のアラインメントは、Chothia及びKabatではなく国際免疫遺伝学(IMGT)の表記法に従う(Lefranc et al.,Dev Comp Immunol,27:55〜77,2003)。SDRR配列が示されている。 C)抗ハプテン抗体のrSDRUを決定するのに使用される抗体のVκ鎖のポリペプチド配列。抗体/抗原複合体の結晶構造中の抗原と接触するVκ残基は、灰色で強調表示されている。L3のアラインメントは、Chothia及びKabatではなく国際免疫遺伝学(IMGT)の表記法に従う(Lefranc et al.,Dev Comp Immunol,27:55〜77,2003)。SDRR配列が示されている。 C)抗ハプテン抗体のrSDRUを決定するのに使用される抗体のVκ鎖のポリペプチド配列。抗体/抗原複合体の結晶構造中の抗原と接触するVκ残基は、灰色で強調表示されている。L3のアラインメントは、Chothia及びKabatではなく国際免疫遺伝学(IMGT)の表記法に従う(Lefranc et al.,Dev Comp Immunol,27:55〜77,2003)。SDRR配列が示されている(図4C(1)の続き)。 A)抗タンパク質抗体のrSDRUを決定するのに使用される抗体のVκ鎖のポリペプチド配列。抗体/抗原複合体の結晶構造中の抗原と接触するVκ残基は、灰色で強調表示されている。L3のアラインメントは、Chothia及びKabatではなく国際免疫遺伝学(IMGT)の表記法に従う(Lefranc et al.,Dev Comp Immunol,27:55〜77,2003)。SDRR配列が示されている。 A)抗タンパク質抗体のrSDRUを決定するのに使用される抗体のVκ鎖のポリペプチド配列。抗体/抗原複合体の結晶構造中の抗原と接触するVκ残基は、灰色で強調表示されている。L3のアラインメントは、Chothia及びKabatではなく国際免疫遺伝学(IMGT)の表記法に従う(Lefranc et al.,Dev Comp Immunol,27:55〜77,2003)。SDRR配列が示されている(図5A(1)の続き)。 B)抗ペプチド抗体のrSDRUを決定するのに使用される抗体のVκ鎖のポリペプチド配列。抗体/抗原複合体の結晶構造中の抗原と接触するVκ残基は、灰色で強調表示されている。L3のアラインメントは、Chothia及びKabatではなく国際免疫遺伝学(IMGT)の表記法に従う(Lefranc et al.,Dev Comp Immunol,27:55〜77,2003)。SDRR配列が示されている。 C)抗ハプテン抗体のrSDRUを決定するのに使用される抗体のVκ鎖のポリペプチド配列。抗体/抗原複合体の結晶構造中の抗原と接触するVκ残基は、灰色で強調表示されている。L3のアラインメントは、Chothia及びKabatではなく国際免疫遺伝学(IMGT)の表記法に従う(Lefranc et al.,Dev Comp Immunol,27:55〜77,2003)。SDRR配列が示されている。 C)抗ハプテン抗体のrSDRUを決定するのに使用される抗体のVκ鎖のポリペプチド配列。抗体/抗原複合体の結晶構造中の抗原と接触するVκ残基は、灰色で強調表示されている。L3のアラインメントは、Chothia及びKabatではなく国際免疫遺伝学(IMGT)の表記法に従う(Lefranc et al.,Dev Comp Immunol,27:55〜77,2003)。SDRR配列が示されている(図5C(1)の続き)。 抗体の頻度(rSDRU)は、A)Vκ及びB)VHの示される抗原と接触する。 抗体の頻度(rSDRU)は、A)Vκ及びB)VHの示される抗原と接触する。 A)抗タンパク質抗体のVκSDRM。 B)抗ペプチド抗体のVκSDRM。 C)抗ハプテン抗体のVκSDRM。 A)抗タンパク質抗体のVH SDRM。 B)抗ペプチド抗体のVH SDRM。 C)抗ハプテン抗体のVH SDRM。 抗OSM親和性成熟抗体の結合倍数の分布。
本出願において引用される特許及び特許出願を含むがそれらには限定されない全ての刊行文献は、参照により本明細書に完全に説明されているごとくに組み込まれる。
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、文脈で明確に指示されない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形の言及を含む。したがって、例えば、「ポリペプチド」への言及は1つ以上のポリペプチドへの言及であり、当業者には既知のそれらの等価物を包含する。
別段の規定がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。本明細書に記載されているのと同様又は同等のあらゆる組成物及び方法を本発明において実施又は試験するために使用することが可能であるが、代表的な組成物及び方法を本明細書に記載する。
用語「抗体」は、抗体全体及びそれらの任意の断片を包含する。抗体断片は、免疫グロブリン分子の少なくとも一部、例えば、抗体重鎖又は抗体軽鎖のいずれか相補的決定領域(CDR)、可変領域(V)、定常(C)領域、あるいはフレームワーク領域(FR)などを含む。免疫グロブリンは、重鎖Cドメインアミノ酸配列に応じて、5つの主要クラス、つまりIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに分けられることができる。IgA及びIgGは、IgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4というアイソタイプに更に細かく分類される。
抗体は、Fab、F(ab’)、F(ab’)2、scFv、dsFv、又は二重特異性抗体であってもよい。抗体は、モノクローナル抗体(mAb)、キメラ抗体、ヒト化抗体、若しくはヒト抗体、二量体、四量体、又は多重結合であってもよい。上述の抗体断片の構造、並びに抗体及びそれらの断片の作製及び使用技術は、当該技術分野において周知である(Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY 1987〜2001;Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY,1989;Harlow and Lane,Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY,1989;Colligan et al.,ed.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY 1994〜2001;Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,1997〜2001;Kohler et al.,Nature,256:495〜7,1975;Queen et al.,Proc Natl Acad Sci USA,86:10029〜33,1989;U.S.Pat.No.4,816,567)。
抗体の「軽鎖可変領域」(VL)及び抗体の「重鎖可変領域」(VH)は、本明細書で使用される場合、抗原結合部位(例えば、CDR1、CDR2、CDR3)及びフレームワーク(FR、即ち、FR1、FR2、FR3、FR4)のアミノ酸配列を含む、抗体分子の軽鎖及び重鎖の周知の部位を指す。軽鎖可変領域(VL)はκ又はλであり得、抗体のIGVK又はIGVL及びIGJK又はIGJL遺伝子によってコードされ、重鎖可変領域(VH)は、抗体のIGVH、IgDH、及びIGJH遺伝子によってコードされる。ヒト重鎖及び軽鎖遺伝子loci(loci)、抗体遺伝子構造、遺伝子再配列のゲノム組織は周知である。
「親和性」は、本明細書で使用される場合、抗体と抗原との間の結合力の程度を指す。抗体の親和性は、例えば、シングルポイントELISAを用いて親和性を測定することよって、又は解離定数(Kd)によって表わされることができる。典型的には、抗体は、定数(KD)が10-7M以下、10-8M以下、10-9M以下、又は10-10M以下で抗原−抗体複合体から解離する。
「改善された親和性」は、本明細書で使用される場合、シングルポイントELISAアッセイにおける少なくとも2倍高いELISAシグナル、又はその親抗体と比べて少なくとも2倍低下した親和性成熟された抗体のKdを指す。
「親和性成熟された抗体」は、本明細書で使用される場合、可変領域に1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体又はその断片であり、それらの置換を有さない親抗体と比べ、抗原に対して改善された抗体の親和性をもたらす。代表的な親和性成熟された抗体は、少なくとも1つのrSDRU残基に置換を有する。
「接触(Contact)(contacts)(in contact)」は、本明細書で使用される場合、抗体/抗原複合体のX線結晶構造のx、y、及びz座標内に、抗原と複合した抗体の任意の重原子と約2.5Å〜4.5Å隔たった重原子を有する、抗体のVL又はVH残基を指す。
「相対的特異性決定残基の使用(Relative Specificity Determining Residue Usage)」、「rSDRU」は、本明細書で使用される場合、類似の種類の抗原(例えば、タンパク質、ペプチド、又はハプテン抗原)と複合した抗体の結晶構造集合体内の抗体重鎖又は軽鎖における接触頻度を指す。rSDRUは次のように定義される。
式中、Niは、抗体鎖のChothia残基iにおける抗原との残基接触の数を定義する。抗体残基が抗原と接触している場合にはNi=1であり、接触していない場合には0である。「n」は、抗体/抗原複合体の解析された結晶構造の数である。例えば、rSDRU(50)=36とは、解析された抗体の36%が、重鎖又は軽鎖のChothia残基50においてそれらの抗原と接触していることを意味する(例えば、残基50におけるrSDRU値は36である)。低rSDRUは5〜15のrSDRU値を指し、中間のrSDRUは15〜40のrSDRU値を指し、高rSDRUは40を超えるrSDRU値を指す。残基におけるrSDRU計算値が≧5である場合(例えば、rSDRU≧5)、残基は、本明細書で使用される場合、「rSDRU残基」である。
「特異性決定残基のマトリックス」、「SDRM」は、本明細書で使用される場合、任意の所与のrSDRU残基iにおける各アミノ酸jの頻度を指し、次のように定義される。
Mijは、抗体のrSDRU残基における特定のアミノ酸残基の数を定義する。特定のアミノ酸残基(例えば、Ala)がrSDRU残基iにある場合、Mij=1であり、さもなければMij=0である。「n」は、解析された抗体/抗原結晶構造複合体の数である。例えば、SDRM(50,Ala)=42とは、Alaが残基50における接触の42%に貢献していることを意味する。
本明細書で用いられる用語「特異性決定残基領域」又は「SDRR」は、Vκ及びVHの両方におけるアミノ酸接触の5つの異なる領域を指す。Vκ内にはSDRR−L1、SDRR−L2、及びSDRR−L3の3つの領域が存在し、VH内にはSDRR−H1及びSDRR−H2の2つの領域が存在する。SDRRは、CDR及びHVLと部分的に重複し、それらの位置は表2に示されている。
用語「ポリペプチド」又は「タンパク質」とは、ペプチド結合によって連結されてポリペプチドを形成する少なくとも2つのアミノ酸残基を含む分子を意味する。50個未満のアミノ酸の小さなポリペプチドは「ペプチド」と呼ばれる場合がある。
本明細書で用いられる用語「ハプテン」とは、抗体の抗原結合部位に結合する小有機化合物を意味する。
本明細書で用いられる用語「抗原」とは、抗体により結合される分子を意味する。抗原は、タンパク質、ペプチド、及びハプテンなどの異なる種類に分類され得る。「類似の種類の抗原に結合する抗体」は、1つの種類に分類される抗原(例えば、タンパク質、ペプチド、又はハプテンなど)に結合する抗体群である。
「融合タンパク質」とは、本明細書で使用される場合、1つの連続したポリペプチドに連結された少なくとも2つのペプチド若しくはタンパク質又はこれらの組み合わせを有する分子を意味する。融合タンパク質において連結された少なくとも2つのペプチド又はタンパク質は、典型的には、2つの独立した供給源に由来し、したがって、融合ポリペプチドは、多くの場合、通常天然において連結して見られない2つの連結タンパク質を含む。連結配列は周知であり、例えば、アミド結合又はグリシンに富むリンカーを含む。代表的な融合タンパク質は、バクテリオファージコートタンパク質(例えばpIII、pVII、又はpIX)とのVL及びVH融合である(Gao et al.,Proc Natl Acad Sci USA,96:6025〜30,1999)。融合タンパク質は、周知の方法(例えば、慣例のクローニングの後の組み換え発現)を用いて作製される。
抗体の「望ましい生物活性」は、例えば、強化又は改善された結合力、強化又は改善された親和力、オンレート、オフレート、特異性、半減期、低減された免疫原性、多様な宿主からの効率的な発現及び生成、抗体安定性、良好な溶解特性、又は他の任意の好適な特性を含む。
用語「置換する」、「バリエゲートする」、「変異する」、又は「多様化する」は、互換性を持って使用することができ、本明細書で使用される場合、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの配列における1つ以上のアミノ酸又はヌクレオチドを変更して、その配列の変異体を産生することを指す。
本明細書で使用される場合とき、「変異体」は、参照ポリペプチド又はポリヌクレオチドと異なるポリペプチド又はポリヌクレオチドを指し、変更された特性を有しても有さなくてもよい。変異体又は参照ポリペプチドは、1つ以上の修正によって、例えば置換、挿入、又は削除によって、アミノ酸配列が異なっている場合がある。
本明細書で使用される場合、「ライブラリー」は、2つ以上の変異体の集合を指す。
抗体VH及びVL残基を同定するために、様々な付番方式が使用されている。最もよく使用されている2種類の付番方式であるKabat(Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,NIH,Bethesda,MD,1991)とChothia(Chothia and Lesk,Mol Biol,196:901〜17,1987)との間の対応、並びに、CDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)、超可変ループ(HV、HRL)(Chothia and Lesk,Mol Biol,196:901〜17,1987)、及びrSDRU残基は、抗体VLに関して図1に、またVHに関して図2に示されている。本出願では、全ての抗体軽鎖及び重鎖の番号付けは、特に指定のない限り、Chothiaに従う。
「Chothia残基」は、Al−Lazikani(Al−Lazikani et al.,J Mol Biol,273:927〜48,1997)に従って番号付けされた抗体軽鎖及び重鎖残基である。
本明細書では以下のようにアミノ酸の慣習的な1文字及び3文字の略号を用いる。
本発明は、抗体VL及びVH変異体のライブラリーを生成するための集中的なアプローチを利用する、抗体を親和性成熟する方法を提供する。本発明は、ライブラリーの多様性を限定された数のVH及びVL残基(例えば、rSDRU残基のサブセット)に制限し、かつ、抗体/抗原複合体の結晶構造中の抗原と接触しているのがしばしば認められる確定したアミノ酸のセットを使用して変異体を生成することによって、高水準の改善された親和性を有する抗体をもたらすライブラリーを生成することができるという発見に、少なくとも部分的に基づくものである。ライブラリーの設計は、所望のライブラリーサイズ、及び抗原の種類(この抗原に対してライブラリーをスクリーニングする)によって決まる。
多様化位置の選択
抗体/抗原複合体の既存の結晶構造を利用して、異なる種類の抗原(例えば、タンパク質、ペプチド、又はハプテン)と結合する抗体に別々に接触する残基の位置及び頻度を決定することにより(例えば、rSDRU)、任意の抗体の特定のChothia残基が抗原と接触する可能性の尺度を提供する。この知識を用いて、標的抗原に結合する限定された数のみの抗体軽鎖又は重鎖残基を多様化する目的で、変異体の集中ライブラリーを設計することができる。特定の抗体−抗原複合体に関する結晶構造情報がなくても、集中ライブラリーを設計及び構築することができる。得られたライブラリーは、既存抗体の親和性成熟に用いられることができる。このライブラリーは、新規な抗体の発見のためのスクリーニングキャンペーンに用いられることもできる。制限された残基で多様性を設計することで、抗原の認識に関与しない残基(例えば、抗体に対して有害である中立突然変異体及び/又はアミノ酸残基)の不必要な多様化を回避することによって、ライブラリーの機能性を高めることになる。ライブラリーのより高い機能性は、ヒット率(抗原「結合分子」を生成する陽性クローンの数)、選択されたクローンの多様性、及び親和性がより高く、より可溶性で、かつより安定した抗体を入手する可能性を高めるはずである。
本発明の方法では、ライブラリーは、明細書で定義されるようなrSDRU残基のサブセットで多様化される。
抗原と接触する抗体VL及びVH残基は、公共データベース(例えば、Protein Bata Bank(PDB;www_pdb_org))で入手可能な抗体−抗原複合体の結晶構造を解析することによって同定される。Immunogenetic Database(IMGT;www_imgt_cines_fr)は、結晶構造情報を集積し、抗原と複合体となった結晶構造を有する抗体のVL及びVHポリペプチド配列を提供する(図3)。VL及びVH配列を、類似の種類の抗原に結合する他の抗体配列とアラインさせる。対応の抗原と接触する抗体残基は、アラインメント(図4及び図5)に示されており、特定のVH又はVL残基と類似の種類の抗原との接触頻度を表すrSDRUは、ダウンロードされたデータセット(図6及び図7)の中で決定される。
多様な抗原と複合する新しく解析された抗体の構造を組み込むことによってデータセットは展開する(evolve)ので、拡張されたデータセットの中の接触の位置及び/又は頻度、ひいては定義されたrSDRUを変更し得ることが可能である。しかしながら、本明細書の方法で使用される解析データセットの3倍拡張は、接触している残基の頻度のわずかな違いのみをもたらしたので、大きな変動は見込まれない(Almagro,J Mol Recognit,172:132〜43,2004)。
rSDRUを決定するために本発明で使用される抗原と複合した抗体の構造が、図3に示されている。抗体/抗原複合体結晶構造の中の抗原と接触するVL及びVH残基は、図4及び図5において、それぞれ灰色で強調表示されている。図6は、抗タンパク質抗体、抗ペプチド抗体、又は抗ハプテン抗体のVκ及びVHの各残基に関する接触頻度を示している。
rSDRUは、類似の種類の抗原に結合する抗体の各残基に関して、前掲のrSDRUの式に従って個別に計算された。rSDRU残基は、rSDRU値が5以上であった残基、例えば、抗体−抗原複合体の解析された結晶構造の5%超過で抗原と接触している残基として同定された。表1は、抗タンパク質抗体、抗ペプチド抗体、及び抗ハプテン抗体のVL及びVHドメインのrSDRU残基を示す。rSDRU値は、例えば、rSDRU値が5〜15の場合は低rSDRU(L)、例えば、rSDRU値が15〜40の場合は中間rSDRU(M)、例えば、rSDRU値が40を超える場合は高rSDRU(H)とされた。抗タンパク質抗体、抗ペプチド抗体、及び抗ハプテン抗体に関する特異性決定残基領域(SDRR)が表2に示されている。
ライブラリーの所望の多様性及び配列包括度の程度に応じて、rSDRU残基の異なるサブセットが多様化のために選択され得る。例えば、rSDRU>5、rSDRU>15、rSDRU>30、rSDRU>40、rSDRU>50、rSDRU>60を有する、あるいは5〜15、15〜30、15〜40、15〜50、15〜60、40〜50、又は40〜60のrSDRU値を有するVL又はVH内のrSDRU残基のサブセットを、多様化のために選ぶことができる。「rSDRU残基のサブセット」は、本明細書で使用される場合、定義されたrSDRU値範囲を有する残基群を指す。例えば、rSDRU残基のサブセットは、残基30、31、49、53、及び96(例えば、15〜40のrSDRU値を有するVL残基)で構成され得る。多様化のために選択されるrSDRU残基のサブセットは、抗体が結合する抗原の種類に応じて異なる。VLの代表的な多様化スキームでは、残基32、50、91、92、93、94、及び96(例えば、抗タンパク質抗体で30を超えるrSDRUを有するrSDRU残基のサブセットのセット)が多様化される。VHの代表的な多様化スキームでは、残基31、32、33、35、50、52、53、54、55、56、及び58(例えば、抗ペプチド抗体で60を超えるrSDRUを有するrSDRU残基のサブセット)が多様化される。
本発明の方法では、ライブラリーの機能性を改善するために抗体変異体のライブラリーを生成するための多様化スキームを決定する際に、付加的な考慮点を含んでもよい。ライブラリー設計は、FvのX線構造にrSDRU残基をマッピングすることによって改良され得る。実験的X線構造がない場合、Fvの三次元モデルを使用することができる。PIGS(Automatic Prediction of ImmunoGlobulin Structures)と呼ばれるカノニカル構造モデルに基づく自動抗体モデリングに関するウェブサイトは、http://arianna_bio_uniroma1_it/pigs/に見出すことができる。既知の構造の抗体に対する配列相同性に基づく抗体モデリング手順は、Accelrys Inc.によって、Discovery StudioのLife Sciencesモデル化及びシミュレーション・ソフトウェアの一部として開発されている(http://accelrys_com/products/discovery−studio/)。PIGS及びDiscovery Studioは、VL及びVHの大部分のモデルを妥当な精度で生成する。
構造又はモデルでは、rSDRU残基は、溶媒への暴露、並びに抗原との接触を確立するための位置決めに関して評価され得る。例えば、超可変ループ(HVL)L1における残基の挿入は、残基30及び31の相対配向を変えるとともに、HVL L2の残基を妨害こともできる。HVL H2又はこのループの異なるカノニカル構造における挿入は、HVL H2の先端の残基(残基50〜54)を暴露又は埋没させることができる。長い又は短いHVL H3ループもまた、HVL L3、L1、及びH2の残基を暴露又は妨害する役割を果たすことができる。したがって、構造又はモデルを使用して、所与のFvに関して抗原が接触する可能性が高いrSDRU残基の数(即ち、rSDRU残基を多様化するために用いられる側鎖の溶媒暴露、側鎖の向く方向、並びに、側鎖のサイズ及び性質(極性、小型、芳香族))を最大にすることができる。例えば、所与のrSDRU残基における残基の側鎖が溶媒暴露されていない場合、又は抗原に向いていな場合、そのrSDRU残基は多様化のための標的となり得ない。
代表的な設計では、多様化のための標的とされる位置には、VκB3鎖、又はB3鎖の変異体(例えば、実施例3の抗OSM抗体VL鎖など)を有する抗体のrSDRU残基32、50、91、92、93、94、及び96(例えば、rSDRUが30を超えるrSDRU残基)が含まれる。B3の三次元モデルは、B3において挿入されたHVL L1の6つの残基のうち、残基30a、30c、30d、及び30fは抗原結合部位に向いているので、その挿入を有する十分な数の結晶構造がデータベースにないためにこれらの残基は5〜15のrSDRU値を有するにもかかわらず、多様化のための標的となり得ることを示している(図4参照)。
多様化のための鋳型として使用することができるポリペプチドには、抗体軽鎖若しくは重鎖、又はその断片(例えば、VL及びVH)をコードするポリペプチドが含まれる。ポリペプチドは、天然又は合成のいずれかであってよい。代表的な鋳型には、実施例3に記載の本発明の抗OSM抗体の抗体可変ドメイン配列が含まれる。
変異体の産生
各rSDRU残基のアミノ酸分布を決定することにより、抗体が既知の構造の抗原−抗体複合体の異なる種類の抗原に接触するのに有利なアミノ酸のセットを同定する。こうしたアミノ酸のセットを使用して、ライブラリーの網羅性(coverage)を最大にするために集中的にライブラリーを多様化することができる。本発明の方法では、アミノ酸のセットを用いて限られたrSDRU残基のサブセットを多様化することにより(多様性は、既存の抗体−抗原構造における抗体接触で同定された自然多様性に偏る)、rSDRU残基の同一サブセットにおいてランダムな多様性を有するライブラリー全体に、改善された特性を有する抗体の集合がもたらされた。生成された集中ライブラリーは、既存抗体の親和性成熟のために使用され得る。このライブラリーは、新規な抗体発見のためのスクリーニングキャンペーンのためにも使用され得る。
本発明の方法では、このライブラリーは、本明細書で定義されるようなアミノ酸のセットを使用して、rSDRU残基のサブセットにおいて多様化される。
各rSDRU残基のアミノ酸頻度は、利用可能な抗体−抗原複合体の結晶構造を解析することによって決定された。頻度は、抗タンパク質抗体、抗ペプチド抗体、及び抗ハプテン抗体のVκ及びVHについて別々に、各rSDRU残基に関して上述のSDRMの式に従って決定された(図7及び図8)。例えば、アミノ酸Q及びEは、Vκ残基27においてタンパク質抗原と複合した抗体の解析された結晶構造の71%及び28%に存在することが見出された(図7A)。アミノ酸I、K、S、及びTは、VH残基30において抗原と複合した抗体の解析された結晶構造の8%、11%、26%、及び52%に存在することが見出された。
「アミノ酸のセット」とは、本明細書で使用される場合、解析されたデータセットの中の抗体‐抗原複合体の結晶構造内の所定のrSDRU位置のそれぞれに存在するアミノ酸群を指す。代表的なアミノ酸のセットが、図7及び図8に示されている。例えば、「アミノ酸のセット」は、アミノ酸I、K、S、及びT(例えば、抗タンパク質抗体のVH rSDRU残基30で同定されたアミノ酸群)で構成され得る(図8a)。別の「アミノ酸のセット」は、アミノ酸G、F、及びY(例えば、抗タンパク質抗体のVH rSDRU残基32で同定されたアミノ酸群)で構成され得る(図8b)。
選択されたrSDRU残基のそれぞれは、類似の種類の抗原に結合する抗体のVκ及びVH配列中の選択されたrSDRU残基に存在するアミノ酸のセットを用いて多様化され得る。
頻度カットオフは、特定のrSDRU残基を多様化するために用いられるアミノ酸の数を限定するために実施されることができ、例えば、得られたライブラリーサイズが所望のものより大きくなる場合に必要であり得る。例えば、特定のrSDRU残基において5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%を超える頻度で同定されるアミノ酸は、そのrSDRU残基を多様化するために用いられ得る。したがって、「アミノ酸のセット」は、アミノ酸K、S、及びT(例えば、抗タンパク質抗体のVH rSDRU残基30で同定されるアミノ酸群)(図8a)、又は頻度カットオフが10%で設定される場合、アミノ酸Y(例えば、抗ペプチド抗体のVH rSDRU残基32で同定されるアミノ酸群)で構成され得る(図8b)。代表的な多様化スキームでは、抗タンパク質抗体Vκ残基30は、特定のrSDRU残基における所望の頻度厳密性(frequency stringency)(それぞれ、カットオフなし、5%、及び10%)に応じて、アミノ酸NGHKSY、NGHKSY、又はGSYを用いて多様化され得る。同様に、抗タンパク質抗体VH残基50は、所望の頻度厳密性(それぞれ、カットオフなし、5%、及び10%)に応じて、アミノ酸RNEGLMSTWYV、EGLTWY、又はEWYを用いて多様化され得る9(図7及び8)。
抗原と接触するアミノ酸の頻度は、上述のように各rSDRU残基に関して独立して決定されるだけでなく、VL鎖及びVH鎖の両方に位置する全てのrSDRU残基に関してまとめて決定され得る。「アミノ酸の普遍セット(universal set)」は、本明細書で使用される場合、重鎖及び軽鎖抗体の両方において全てのrSDRU残基に最も高頻度に存在するアミノ酸群を指す。「アミノ酸の普遍セット」は、アミノ酸R、N、D、G、H、S、W、及びY,(RNDGHSWY)、若しくはアミノ酸R、N、D、G、H、S、及びY,(RNDGHSY)、又はアミノ酸R、N、D、G、H、W、及びY(RNDGHWY)、あるいはアミノ酸R、D、H、S、W、Y、及びG(RDGHSWY)で構成され得る。これらアミノ酸は一緒になって、広範な分子認識特性を提供する。例として、SDRR−L1、SDRR−L2、SDRR−L3、SDRR−H1、及びSDRR−H2のrSDRU残基における多様化に集中するために、全てのrSDRU残基のいくつかで最大多様性が生成される場合、アミノ酸の普遍セットは、それらの位置の多様化のために用いられてもよい。同一のコドンミックスを、多様化される位置の全てで採用することができるので、アミノ酸の普遍セットを使用して、ライブラリーの設計及び合成を単純化することも可能である。アミノ酸の普遍セットを用いて、接触に関するデータがわずかな残基を多様化し、その残基の人工的に低いrSDRU値を得ることができる。そのような代表的な残基は、HVL L1挿入(残基30a〜30f)、H2挿入(残基52a〜d)、及びL3挿入(残基95a〜c)の残基、又は抗原結合部位を形成する所与のHVLでの合成挿入における残基である。
任意のその他のタンパク質としての抗体は、様々な物理的及び/又は化学的不安定性となりやすく、抗体に基づく薬物の後処理プロセスに悪影響をもたらす結果となる。例えば、物理的及び化学的不安定性は、凝集、分解、低い製品収量、効力の喪失、免疫原性の可能性の増加、分子多様性、及び活性の喪失を引き起こす可能性がある。したがって、抗体変異体のライブラリーを設計する際には、不安定性を誘発する可能性のある残基及び認識配列の存在を最小限に抑えるように注意する。
例えば、表面が露出したMet及びTrpは、貯蔵条件において酸化する場合があり、抗体の有効性の喪失につながる可能性がある。したがって、Met及びTrpは、溶媒に暴露されるrSDRU残基の多様化に用いるアミノ酸の普遍セットから除外されてもよい。rSDRU残基が溶媒に暴露されない場合、Trpは含まれてもよいが、Serは除外されてもよい。更に、いくつかのrSDRUが、抗原結合部位の同一領域に集中する場合、大きなサイズのTrpに起因する干渉を防止するために、Trpはアミノ酸の普遍セットから除外されてもよい。
アミノ酸の普遍セット中のAsnの存在は、隣接配列によってはライブラリーに周知のN−グリコシル化認識部位(NXS/T)を生成し得る。多様化されたrSDRU残基の後ろにN−グリコシル化部位を生成する残基が続く場合には、Asnはアミノ酸の普遍セットから除去されてもよい。Asnは、配列中でGlyが後に続くと、タンパク質中で脱アミド化して異種性を作り出す可能性があり(Robinson Proc Natl Acad Sci U S A,99:5283〜8,2002)、したがって、Asnは、Glyの前の、又はGlnで置換されるrSDRU残基を多様化するのに用いられる場合、アミノ酸の普遍セットから除外され得る。
同様に、Trp及びAsnは、1つ以上のrSDRU残基を多様化するのに用いられる任意の又は全てのアミノ酸のセットから除外される。あるいは、Trp及びAsnは、任意の抗体ライブラリーを多様化するのに用いられるアミノ酸のセットの中に、低濃度、例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、又は20%で保持されてもよい。
代表的な多様化スキームでは、抗タンパク質抗体において、Vκ rSDRU残基30a、30c、30d、30f、32、50、91、92、93、94、及び96は、それぞれRNDGHSY、RNDGHWY、RNDGHSY、RNDGHWY、RNDY、YWNK、SYGH、SYGN、STER、WYSH、及びYRWLにより多様化される。
本発明の一実施形態は、抗体を親和性成熟する方法であって、次の工程を含む。
a.抗体軽鎖可変領域(VL)又は抗体重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を得る工程。
b.抗体VL又はVHのアミノ酸配列のrSDRU残基を特定する工程。
c.多様化されるrSDRU残基のサブセットを選択する工程。
d.rSDRU残基のサブセットを多様化するために使用されるアミノ酸のセット又はアミノ酸の普遍セットを選択する工程。
e.工程c.で選択されたrSDRU残基のサブセットを、工程d.で選択されたアミノ酸のセットを用いて多様化することによって、抗体VL又はVH変異体のライブラリーを作製する工程。
f.抗体VH又はVL変異体のライブラリーを宿主で発現させる、又は抗体VH又はVL変異体のライブラリーを生体外で翻訳する工程。
g.抗体VH又はVL変異体のライブラリーから、抗原に対する改善された親和性を有する1つ以上の親和性成熟抗体を選択する工程。
VH又はVLのアミノ酸配列は、ルーチン的な配列決定法を用いて得ることができる。
rSDRU残基は、前述のように同定することができる。多様化のために選択されるrSDRU残基の数は、得られるライブラリーの所望の複雑性によって異なる。5〜15のrSDRU値、例えば、低使用頻度のrSDRU残基を有するrSDRU残基のサブセットを、多様化のために選択することができる。他の例では、40を超えるrSDRU、例えば、高使用頻度のrSDRU残基を有するrSDRU残基のサブセットを、多様化のために選択することができる。抗体の親和性成熟では、Vκ又はVHのいずれかに存在するrSDRU残基が多様化されてもよい。選択したrSDRU残基のサブセットを多様化するために選ばれるアミノ酸のセットは、上述されている。選択されるアミノ酸のセット及びアミノ酸の普遍セットは、所要の抗体親和性、抗原の種類、生成されるライブラリーのサイズ、疎水性/親水性残基の望ましい含有量、及び有益でない抗体特性をもたらす可能性のあるアミノ酸残基(例えば、Trp、Met、及びAsn)の頻度を低減するという要望、に応じて異なる。
抗体変異体の産生及びライブラリーの構築は、典型的には、核酸レベルで達成される。変更される位置に偏向したアミノ酸分布を有する抗体変異体のライブラリーは、例えば、Slonomics(登録商標)テクノロジー(http:_//www_sloning_com)を用いて合成され得る。このテクノロジーは、何千もの遺伝子合成プロセスに十分な普遍的な構築ブロックとして機能する、あらかじめ作られた二本鎖トリプレットのライブラリーを使用する。トリプレットのライブラリーは、あらゆる所望のDNA分子を構築するのに必要な、全ての考えられる配列組合せを示す。ライブラリーは、設計された多様性と一致する縮重オリゴヌクレオチドを使用して、米国特許US6521427及びUS6670127に記載されている方法に従って、化学的遺伝子合成によって合成され得る。ランダム置換を有するこのライブラリーの変異体は、20の天然のアミノ酸全てをコードするNNKコドンを用いて産生することができる。CGT/CGC/CGA/CGG/AGA/AGG(Arg)、AAT/AAC(Asn)、GAT/GAC(Asp)、CAT/CAC(His)、TCT/TCC/TCA/TCG/AGT/AGC(Ser)、TGG(Trp)、TAT/TAC(Tyr)、GGT/GGC/GGA/GGG(Gly)コドンを使用して、アミノ酸の普遍セットの特性を作り出すことができる。
標準的なクローニング技術を用いて、発現及び/又はディスプレイのためにライブラリーをベクターにクローニングすることができる。ライブラリーは、既知の方式を用いて、IgG、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、又はFvなどの様々なフォーマットで発現され得る。ライブラリーは、融合タンパク質として発現されてもよく、また、任意の好適なファージの表面上に提示され得る。バクテリオファージの表面上に抗体断片を含む融合ポリペプチドのディスプレイ方法は周知である(米国特許第6,969,108号、米国特許第6,172,197号、米国特許第5,223,409号、米国特許第6,582,915号、米国特許第6,472,147号)。新規な抗体の分離及び親和性成熟のためのライブラリーは、pIXに提示され得る(WO2009/085462,Tornetta et al.,J Immunol Methods,360:39〜46,2010)。ライブラリーはまた、例えばリボソームディスプレイ(Hanes and Pluckthun,Proc Natl Acad Sci USA,94:4937,1997)、mRNAディスプレイ(Roberst and Szostak,Proc Natl Acad Sci USA,94:12297,1997)、又は他の無細胞系(米国特許第5,643,768号)を使用して生体外で翻訳されることもできる。
その結果得られたライブラリーを、例えば、低減、強化、又は修正された結合力、交差反応性、親和性、オンレート、オフレート、又は特異性といった望ましい生物活性、あるいは他の任意の好適な特性の抗体又は抗体断片のためにスクリーニングすることができる。シングルポイントELISAを用いて、成熟した抗体の親抗体と比較した結合活性をランク付けした後、Biacore又はKinExA分析を用いてトップランクの候補の親和性及び速度定数のより正確な推定を行うことができる。
(実施例1)
rSDRUの決定
rSDRUは、複合体構造のより小さなセットに関して前述されたのと同様の方法で、IMGT(http:_//imgt_cines_fr)で入手可能な抗原−抗体複合体を解析することによって同定された(Almargo,J Mol Recognit.17:132〜43,2004)。合計で933の構造が、2008年3月23日のデータベースに集積された。それらのうち、478のエントリーは、タンパク質、ペプチド、又はハプテンと複合した抗体を含んでいた。478の構造は、次の基準を用いて更に選別された:(1)3.0Å以下の分解能で解析された構造、(2)Vκ抗体、(3)ヒト又はマウス抗体、及び(4)抗体名及び配列比較によって判断された独特の抗体。この選別工程の後、得られた142の構造は、タンパク質と複合した67の抗体、ペプチドと複合した28の抗体、及びハプテンと複合した47の抗体を含んでいた。データセットは、91%のマウス抗体と9%のヒト抗体からなり、これは図3に要約されている。
図4及び図5は、それぞれ、この研究で使用された抗体のVκ及びVH配列を示している。対応の抗原と接触していると同定された抗体残基がIMGTから集積され、灰色で強調表示されている。データセットから、高、中、及び低使用頻度のrSDRUを同定した。図6は、それぞれのSDRR内のrSDRUを示しており、データは表1にまとめられている。Vκ及びVHの両方の中の5つの特異的なSDRRが同定された。これらの領域は、CDR及びHVLと部分的に重複しており、それに応じてSDRR−L1、−L2、−L3、−H1及び−H2と定義された。表2はSDRR領域を示す。CDR−H3に存在する残基の接触は、この領域のCDRの長さ、立体構造、及びアミノ酸含有量が高度に可変性であったので計算されなかった。SDRRは、認識される抗原の種類に応じて抗原と接触する可変鎖の領域を同定するので、これは、ヒトの配列中に移送されている非ヒト残基の数を低減するために、ヒト化プロトコルのガイドとして使用され得る。
全体的に、VHは、全ての抗体種類に関してVκよりも多くのrSDRUを有し、このことは、抗原結合機構においてVLよりも優勢なVHの役割を反映し得る。抗タンパク質及び抗ペプチド抗体では、rSDRUの数及び位置は同様であるが、Vκの位置92及びVHの34を除いて全ての部位におけるrSDRUの規模が40未満である抗ハプテン抗体とは有意に異なる。タンパク質及びペプチドを認識する抗体では、いくつかの位置は60を上回るrSDRU値に達する。残基32、34(SDRR−L1)、49、50(SDRR−L2)、並びに91〜94及び96(SDRR−L3)は、3種類の抗原の全てと接触する。3種類の抗原がこれらの部位のそれぞれと接触する頻度にばらつきが観察される。
(実施例2)
特異性決定残基のマトリックス「SDRM」の計算
各Vκ又はVH rSDRUのアミノ酸分布を明らかにして、SDRM(特異性決定残基のマトリックス)の形態で示す。SDRMは、各rSDRU残基における20個のアミノ酸のそれぞれの寄与を表す(図8及び図9)。全体的に、抗タンパク質抗体は、SDRM中のアミノ酸残基において最も高い多様性を呈した。抗ハプテン抗体は、抗原を認識するためにより制限されたアミノ酸のセットを使用した。
Vκ SDRM
アミノ酸の種類の分布の違いが、SDRR領域内及びVκ内の抗原の種類にわたって認められた(図7)。抗原の全種類にわたり、Arg、Asn、Asp、His、Ser、Thr、及びTyrは、接触部位において最も高い頻度で見られる。Cys、Pro、Gln、Glu、及び疎水性アミノ酸、例えば、Ala、Ile、Leu、Met、Phe、及びValは、それほど高い頻度で見られない。このように、親水性アミノ酸は疎水性残基に対して優勢である。異なるSDRR領域を比較すると、Asn及びAspは、SDRR−L3よりもSDRR−L1において高い頻度で見られる。SDRR−L1では、Argはまれであり、Trpは存在しない。SDRR−L2は、SDRR−L1及びSDRR−L3よりも多様性が低い、即ち、例えば、SDRR−L2は、極めて少ないSerを有する。同様に、SDRR分布の違いが、同じ抗原クラス内で観察された。例えば、抗タンパク質抗体では、Trpは、SDRR−L1又はSDRR−L2よりもSDRR−L3において高い頻度で見られる。
異なるクラスの抗原に結合している抗体のうちの同一領域に関して、類似性及び相違点が観察された。抗タンパク質抗体において、接触部位内の主な残基は、SDRR−L1ではAsn、Asp、His、Lys、Ser、及びThrであり、SDRR−L2ではArg、Glu、Ser、及びThrであり、SDRR−L3ではArg、Ser、Thr、Trp、及びTyrである。抗ペプチド抗体において、そうした残基は、SDRR−L1ではArg、Asn、Asp、His、Ser、及びTyrであり、SDRR−L2ではTyrであり、SDRR−L3ではSer、Tyr、及びValである。抗ハプテン抗体では、残基は、SDRR−L1ではAsn、His、及びSerであり、SDRR−L2ではSerであり、SDRR−L3ではGln、Gly、His、Ser、及びTyrである。これらの分布の上に積層されるのは、抗原クラスの間の相対存在量の差である。したがって、抗タンパク質抗体は、SDRR−L1中により高い頻度のAsp及びより多数の接触残基の数を有し、SDRR−L3中により高い頻度のArg及びTrpを有する。これに対して、抗ハプテン抗体は、抗原接触部位により多くのGln、Gly、及びHisを有する。
抗原と接触するアミノ酸のこの分析は、Vκ rSDRUの位置における残基置換のためのガイドラインを提供する(図7)。例えば、残基34は、カットオフ頻度が規定されていない場合、抗タンパク質抗体ではアミノ酸NHYFを使用して、抗ペプチド抗体ではNEHSTYを使用して、抗ハプテン抗体ではARNDGHSYを使用して多様化され得る。同様に、軽鎖残基93は、抗タンパク質抗体ではRNEHIKMSTV、抗ペプチド抗体ではARNQEHFS、及び抗ハプテン抗体ではEGHTを使用して多様化され得る。少なくとも10%出現率のカットオフが適用される場合、位置93の多様性は、抗タンパク質抗体でEST、抗ペプチド抗体でEHS、及び抗ハプテン抗体でEGHに低減される。
VH SDRM
Vκと同様に、VHにおける異なる種類の抗原との相互作用に関与するアミノ酸の種類の違いが図8に示されている。全ての抗原クラスにわたって、SDRR−H1及びSDRR−H2と接触する主な残基は、SDRR−H1でArg、Asn、及びAspであり、SDRR−H2でGlu、Gly、及びHisであり、H3の基部でSer、Thr、Trp、及びTyrである。Vκの場合と同様に、Ser、Thr、及びTyrは、高い頻度で接触部位に見られ、Cys、Pro、Gln、Glu、及び疎水性アミノ酸、例えば、Ala、Ile、Leu、Met、Phe、及びValは多くない。Vκと比べて、VHは、特にSDRR−H2において、負に帯電したアミノ酸を伴う接触がより多い。それに対応して、Lysは、全体的にそれほど高い頻度で見られず、ArgはSDRR−H1において少ない量で見られる。
抗タンパク質抗体では、接触部位の主な残基は、SDRR−H1でAsn、Asp、Gly、Ser、Thr、及びTyrであり、SDRR−H2でArg、Asn、Asp、Gly、Ser、THr、及びTyrである。抗ペプチド抗体では、そうした残基は、SDRR−H1ではAsn、Gly、Ile、Ser、Thr、及びTyrであり、SDRR−H2ではArg、An、Gly、Ser、Thr、Trp、及びTyrである。抗ハプテン抗体では、そうした残基は、SDRR−H1ではAsn、Gly、Ser、Thr及びTyrであり、SDRR−H2ではArg、Asn、Ser、Thr、Trp、及びTyrである。rSDRU残基における残基置換のガイドラインが図8に示されている。例えば、VH残基50では、アミノ酸RNEGLMSTWYV、EGLTWY、又はEWYが、抗タンパク質抗体に関してそれぞれカットオフ頻度0、50%及び10%で示されている。対応するアミノ酸は、抗ペプチド抗体に関してはRDEGHFTWY、REGHTWY、又はRGWY、及び抗ハプテン抗体に関してはRNDELMSTWYV、RESWY、又はRSWYである。
アミノ酸の普遍セット
アミノ酸の普遍セットは、重鎖及び軽鎖の両方の全rSDRU残基におけるアミノ酸の頻度、並びにアミノ酸鎖の特性に基づき選択された。アミノ酸の普遍セットは、残基Arg、Asn、Asp、Gly、His、Ser、Trp、及びTyrで構成される。このセットにおいて、Trp、Asp、及びSerは、上述のようないくつかの場合には除去されてもよく、その結果、アミノ酸Arg、Asn、Asp、Gly、His、Ser、及びTyr、若しくはアミノ酸Arg、Asn、Asp、Gly、His、Trp、及びTyr、又はアミノ酸Arg、Asp、His、Ser、Trp、Tyr、及びGlyで構成される代替のアミノ酸の普遍セットがもたらされる。広範な分子認識特性は、こうした限られたアミノ酸のセットを用いて達成され得る。Argは、正に帯電したアミノ酸の代用となり、そのグアニジニウム基は、水素結合においてドナー及びアクセプターとして関与し得る。Aspは負電荷を提供するが、Gluほど可動性ではないので、あまりエントロピー的ではなく、更に、塩橋を形成し、かつ水素結合のアクセプターとしての機能を果たすことができる。Asnは、水素結合のアクセプターとしての機能を果たすことができる。Hisは、スタッキング相互作用を提供し、また、プロトン化状態で正電荷を与えることができる。Trp及びTyrは、芳香族相互作用、水素結合、及びスタッキング相互作用を提供する。Serは水素結合を提供し、最も小さい側鎖残基でもある。Ser、及び特にGlyは、立体化学的柔軟性を提供し、かつ、抗原との相互作用のために、隣接するアミノ酸の適切な配向を可能にする。可能な部位の数の自然減少、及び各部位におけるアミノ酸の普遍セットによる置換の数の減少により、コンビナトリアルライブラリーの大きな結合表面の調査が可能になる。アミノ酸の普遍セットを用いて、親和性成熟抗体のライブラリー、並びに新たな発見を目的としたライブラリーを多様化することができる。
(実施例3)
抗オンコスタチンM抗体の親和性成熟
オンコスタチンM(OSM)(GenBank登録番号NP_065391)は、単球、マクロファージ、好中球、及び活性化したTリンパ球から分泌されるサイトカインのIL−6ファミリーの多機能なメンバー(multifunctional member)であり、(Tanaka & Miyajima,Rev Physiol Biochem Pharmacol,149:39〜53,2003)、発癌過程及び炎症並びに肥大経路において機能して、肺線維症などの有害な状態を引き起こす。
新たなFab−pIXライブラリー(Shi et al.,J Mol Biol,397:385〜96,2010;WO2009/085462;U.S.Ser.No.12/546850)を、常磁性ストレプトアビジンビーズ(Invitrogen,Carlsbad,CA)上に捕捉されたビオチン化ヒトOSM(R&D Systems、NP_065391のアミノ酸26〜221)を用いて、発表されたファージ選択プロトコル(Marks and Bradbury,Antibody Engineering,Vol.248:161〜176,Humana Press,2004)に従ってパニングした(panned)。ライブラリーは、ヒト生殖系列IGVH遺伝子IGHV1−69*01、IGHV3−23*01、及びIGHV5−51*01、並びにヒト生殖系列IGVK遺伝子O12(IGKV1−39*01)、L6(IGKV3−11*01)、A27(IGKV3−20*01)、及びB3(IGKV4−1*01)を多様化させて生成した。得られた3つのVHライブラリーを4つのVLライブラリーと組み合わせて、スクリーニングのための12の固有のVH:VL組み合わせを生成した。確認されたOSM結合Fabを、完全長のヒトIgG1 mAbsに変換し、表面プラズモン共鳴(Biacore)による親和性測定、及びStat3シグナル伝達の阻害能力などの様々なアッセイを用いて特徴付けた。これら分析から、4つのmAbs、OSMM5、OSMM6、OSMM9及びOSMM10が親和性成熟のために選択された。表3は、親和性成熟のために選ばれたmAbの特性を示す。
親和性成熟
親和性成熟に関し、mAb OSMM5、OSMM6、OSMM9、及びOSMM10(H135、H14、H17、及びH2)のVH鎖を、pIXに提示された3つの特異的なVLライブラリーと組み合わせ、huOSM(R&D Systems)及び成熟cynoOSMを使用してパニングした。mAb M5、M6、M9、及びM10(L111、L12、B3、L2)のVL鎖は全て、B3の新たなpIXライブラリーから生じ、したがって、B3が、親和性成熟のためのライブラリーを生成するための鋳型として選択された。
成熟に使用されたライブラリーのうちの1つ(「ライブラリー3」)は、Shi et al.,J Mol Biol,397:385〜396,2010及びWO2009/085462;米国特許出願第12/546850号に記載の手順に従った新たな発見で使用したものと同じライブラリーであった。このライブラリーの多様性は、タンパク質及びペプチド抗原と最も高い頻度で接触しているのが観察される軽鎖における位置を同定し、B3生殖細胞系遺伝子ファミリー内及びB3に由来する再配列抗体内の対応位置に見られるアミノ酸を使用することによって設計された。2つの追加のライブラリーであるライブラリー1(「重点的(focused)SDRUライブラリー」)及びライブラリー2(「NNK SDRUライブラリー」)を生成して、特異的なrSDRU残基及び多様化ストラテジーの選択が親和性成熟の効率に与える影響を比較した。ライブラリー1及び2は、同じrSDRU残基を標的としたが、多様化のために使用したアミノ酸は異なった(表4)。
ライブラリー1及び2で多様化の標的となったrSDRU残基は、次のように選択された。最初に、タンパク質抗原との高い接触頻度(rSDRU>40)を有し、かつ、Vκ鎖の挿入及び欠失内の残基(例えば、残基30a〜f及び95a〜c)は除いて全てのVκ鎖に共通である、Vκ内の位置を同定した。2番目に、Jκ1と再結合されたB3の三次元構造モデルを組み立て、抗原結合部位の方向を向いている挿入内の30a〜f中の残基(30a、30c、30d、及び30f)を、多様化されるべき位置に含ませた。B3において多様化の標的となったrSDRU残基の組み合されたセットは、Chothia残基30a、30c、30d、30f、32、50、91、92、93、94、及び96であった。
ライブラリー1に関し、各位置における多様性は、タンパク質配位子と接触しているのが最も高い頻度で見られるセット(例えば、SDRM中で最も頻度の高い残基)であった。位置30a〜30fに関しては、抗原接触と関係する残基の寄与を決定するのに利用できる十分な結晶構造情報が存在しなかった。これらの位置では、上述のアミノ酸の普遍セットが使用された。トリプトファン(W)は、酸化の可能性、及び凝集をもたらす可能性のある立体的衝突を避けるために、ごくわずかな位置(例えば、30c及び30f)にだけ含まれた。
ライブラリー1及び2は、米国特許第6,521,427号及び米国特許第6,670,127号に記載の方法に従って、化学的遺伝子合成を用いて合成された。ジヌクレオチドを使用して、ライブラリー1の多様性を調整する一方で、縮重オリゴヌクレオチド(NNK)をライブラリー2の合成に使用した。ライブラリー3は、Shi et al.,J Mol Biol,397:385〜96,2010及びWO2009/085462;米国特許出願第12/546850号に記載の通りに構築された。
表4にライブラリー1、2及び3の多様性がまとめてある。ライブラリーQCの間、当初の設計の一部でなく、したがって、合成法の結果として導入されたいくつかのアミノ酸を同定した。ライブラリー1に関し、こうしたアミノ酸は、S(位置30C)、T(位置30d)、EK(位置30f)、IW(位置32)、TV(位置50)、I(位置92)、D(位置93)、及びF(位置96)であった。
*Chothia残基
標準プロトコル(Shi et al.,J Mol Biol,397:385〜96,2010;WO2009/085462;米国特許出願第12/546850号)に従って、ライブラリーをクローニングしかつ提示した。Fabは、ジシストロニックベクターからの発現を介してpIX上に提示され、VH−CH1ドメインは、外被タンパク質配列に融合し、VL−Cκは、VH−CH1と結合する遊離ポリペプチドとして発現される。1nMのビオチン化されたヒトOSM(R&D Systems)、0.1nMのビオチン化された成熟カニクイザルOSM、及び0.01nMのビオチン化されたヒトOSM(R&D Systems)を、それぞれ各ラウンドで用いて、パニングを3ラウンド行った。
パニングの後、各ライブラリーからのFabを、2nM及び0.2nMのヒトOSMを使用したELISAアッセイで、OSM結合に関して親Fabと比較した。ライブラリー1、2及び3からそれぞれ同定されたFabの81.3%、63.5%、及び97.9%は、親Fabと比べて改善された結合を示した。親結合に対する倍数改善の分布が図9に示されている。ライブラリー3のヒット率は、ライブラリー1及び2のヒット率よりも良好であったが、ライブラリー1及び2から生成された抗体の親和性は、ライブラリー3から生成されたものよりも高かった。更に、ライブラリー1は、比較した親抗体よりも結合が最大で9倍改善された、高い親和性を有するFabをもたらした。こうして、rSDRUに基づいて選択された位置の組み合わせ、及び定義されたアミノ酸のセットに基づく多様化は、高水準の改善された親和性を有する抗体をもたらした。
選択の結果を更に特性決定するために、ライブラリー1のスクリーニングで得た選択されたVκ領域を、OSMM6及びOSMM9の親VH鎖と対にし、哺乳類細胞での発現(expression)のために、完全なIgG1/κ構築物としてクローニングした。ヒトOSM及びカニクイザルOSMに対する純化した抗体の親和性を、BIAcoreによって測定し、それらの中和能力を、細胞培養でSTAT3リン酸化の抑制によって測定した(表5)。多様化された位置における選択されたクローンの配列が表6に示されている。
選択されたクローンは全て、親Absよりも高い親和性及び中和能力を示した。BIAcoreにより測定した親和性は、30pM〜1.7nMの範囲であった。BIAcoreで測定した場合の親和性改善の範囲は、変異体のランク付けに使用したELISAアッセイで観察された親和性の分布と類似している。カニクイザルOSMの親和性は、ヒトOSMと良好に相関する。中和能力は、測定された親和性と厳密に相関していなかったが、全体的に同じ傾向を示した。これは、実験的ゆらぎを反映している可能性がある。こうして、ライブラリー1から選択された抗体は、親和性及び生体外での中和能力の両方で改善された。
アッセイ及び試薬
OSMの発現及び精製
ヒト及びカニクイザル(Macaca fascicularis)OSM(ヒトOSM及びカニクイザルOSM)の前駆体型及び成熟型をHEK293に発現させ、標準的な方法を用いて精製した。成熟ヒトOSM及びカニクイザルOSMは、それらの対応の前駆体型のaa1〜184を含む。His6タグ及びAviタグを、クローニングプロセスの間にタンパク質に添加した。タンパク質機能活性を、A375−S2細胞増殖及びpStat3シグナル伝達アッセイで試験した。
ELISAアッセイ
パニングの後、グリセロールストックを作製し、ポリクローナルDNAを抽出した。pIX外被タンパク質をコードする遺伝子をDNAプールから切除し、これにより、ポリヒスチジン(His)タグを、FabCH1ドメインのC末端にフレームで添加することが可能となる。バクテリアへの形質転換の後、個々のクローンを採取し、Fabを細菌性上清から生成及び回収した。Fabを、ヒツジ抗ヒトFd(CH1)抗体(1μg/mL)(The Binding Site、カタログ番号PC075)を用いて黒のMaxiSorpプレート(Nunc、カタログ番号437111)上に捕捉した。洗浄及びブロッキングの後、Fabを含有する50μLの不希釈細菌性上清をプレートに加えた。プレートを室温で静かに撹拌しながら1時間インキュベーションした。洗浄後、連続的に希釈したビオチン化ヒトOSMM又はカニクイザルOSMをウェルに加え、室温で1時間インキュベーションした後、SA−HRP(Invitrogen、カタログ番号43〜4323)及び化学発光法を用いてシグナルを検出した。
EC50測定
A375−S2細胞を、200μLの完全成長培地中、25,000細胞/ウェルで96−ウェル組織培養プレートに播種し、24時間インキュベーションした。細胞は、10μg/mLではじまって1:5で連続的に希釈された実験用のmAbで予め3時間室温でインキュベーションされた5ng/mLのヒトOSMを含む溶液で処理された。リン酸化STAT3(pSTSAT3)を、Phospho−STAT3 Whole−Cell Lysate Kit(MSD;カタログ番号K150DID−1、ロット番号K0010570)を使用して製造業者のプロトコルに従って測定した。
EC50用量反応曲線を得て、正規化されたパーセントpSTAT3シグナルとしてプロットした。
表面プラズモン共鳴(Biacore)による親和性測定
前述のヒト又はカニクイザルOSM構築物を用い、Biacore3000光バイオセンサー(Biacore)を使用して、表面プラズモン共鳴(SPR)により結合親和性を測定した。バイオセンサー表面は、アミンカップリング化学に関する製造業者の説明書を使用して、抗マウス(Jackson、カタログ番号315−005−046)及び抗ヒト(Jackson、カタログ番号109−005−098)の抗IgGFc抗体混合物を、CM−5チップ(Biacore、カタログ番号BR−1000−14)のカルボキシメチル化デキストラン表面に結合させることによって作製された。抗OSM抗体の約19,000RU(反応単位)を、4つのフローセルそれぞれに固定化した。ランニング緩衝液(DPBS+0.005% P20+3mM EDTA)の中で25℃で速度実験を実施した。100nM〜0.412nMの範囲の連続希釈ヒト及びカニクイザルOSM ECDをランニング緩衝液中で調製した。約200RUのmAbをセンサーチップのフローセル2〜4の上に捕捉した。フローセル1は、参照表面として用いた。mAbの捕捉に続いて、抗原を50μL/分で3分間注入(結合相)し、次いで緩衝液フロー(解離相)を10分間注入した。100mMのH3PO4(Sigma、カタログ番号7961)の50μL/分での18秒注入の2つのパルスによってチップ表面を再生させた。

Claims (10)

  1. 抗体を親和性成熟させる方法であって、
    a.抗体軽鎖可変領域(VL)又は抗体重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を得る工程と、
    b.前記抗体VL又はVHのアミノ酸配列のrSDRU残基を特定する工程と、
    c.多様化される前記rSDRU残基のサブセットを選択する工程と、
    d.前記rSDRU残基のサブセットを多様化するために使用されるアミノ酸のセット又はアミノ酸の普遍セットを選択する工程と、
    e.工程c.で選択された前記rSDRU残基のサブセットを、工程d.で選択された前記アミノ酸のセットを用いて多様化することによって、抗体VL又はVH変異体のライブラリーを作製する工程と、
    f.前記抗体VH又はVL変異体のライブラリーを宿主で発現させる、又は前記抗体VH又はVL変異体のライブラリーを生体外で翻訳する工程と、
    g.前記抗体VH又はVL変異体のライブラリーから、抗原に対する改善された親和性を有する1つ以上の親和性成熟抗体を選択する工程と、を含む方法。
  2. 前記rSDRU残基のサブセットが、rSDRU>5、rSDRU>15、rSDRU>30、rSDRU>40、又はrSDRU>60を有する残基を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記rSDRU残基のサブセットが、rSDRU>40を有する残基を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記rSDRU残基のサブセットが、前記抗体VHに存在する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記rSDRU残基のサブセットが、前記抗体VLに存在する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記rSDRU残基が、抗体VLのChothia残基32、50、91、92、93、94、及び96を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記rSDRU残基が、抗体VLのChothia残基30a、30c、30d、30f、32、50、91、92、93、94、及び96を含む、請求項1に記載の方法。
  8. Trp、Asn、又はSerが、前記アミノ酸のセット又は前記アミノ酸の普遍セットから除外される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記アミノ酸の普遍セットが、RNDGHSWY、RNDGHSY、RNDGHWY、又はRDGHSWYである、請求項1に記載の方法。
  10. 前記アミノ酸のセットが、
    a.VL Chothia残基30におけるRNDGHSYと、
    b.VL Chothia残基30aにおけるRNDGHWYと、
    c.VL Chothia残基30cにおけるRNDGHSYと、
    d.VL Chothia残基30fにおけるRNDGHWYと、
    e.VL Chothia残基32におけるRNDYと、
    f.VL Chothia残基50におけるYWNKと、
    g.VL Chothia残基91におけるSYGHと、
    h.VL Chothia残基92におけるSYGNと、
    i.VL Chothia残基93におけるSTERと、
    j.VL Chothia残基94におけるYSHTと、
    k.VL Chothia残基96におけるYRWLと、を含む、請求項1に記載の方法。
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