JP2013507942A - 熱安定性rna依存性rnaポリメラーゼを用いる、rnaの指数関数的増幅のための方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、サポウイルスまたはノロウイルスの熱安定性RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を用いる、インビトロでのRNAの指数関数的増幅のための方法に関する。
Description
本発明は、サポウイルスまたはノロウイルスの熱安定性RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を用いる、インビトロでのRNAの指数関数的増幅のための方法に関するものである。
ポリメラーゼ連鎖反応が提供されて以来(PCR、EP0200326B1を参照されたい)、最新のDNA増幅技術の発展における1つの大きな前進は、Taqポリメラーゼなどの熱安定性DNAポリメラーゼの使用であった(US4889818を参照されたい)。
PCRによるDNA増幅と比較して、既存のRNA増幅方法はいくつかの欠点を有し、すなわち、T7ポリメラーゼ(SMART(商標)mRNA Amplification Kit User Manual、Clontech Laboratories, Inc.、28 April 2008;US5,962,271、US5,962,272)を用いるmRNA増幅のためのプロトコルは、複雑で時間のかかる以下の酵素的ステップを含む:
1)増幅されるRNAから二本鎖cDNAを生成する逆転写ステップ。これは通常、プライマー依存性のRNA依存性DNAポリメラーゼ、例えば、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)またはモロニーマウス白血病ウイルス(MuLV)に由来する前記ポリメラーゼによって生じる。
2)生成された二本鎖cDNAは次に、T7ポリメラーゼによってRNAを合成するための鋳型として用いられる。T7ポリメラーゼは、プライマー依存性のDNA依存性RNAポリメラーゼであり、重合を開始するために、プライマー配列内のT7特異的プロモーター配列を必要とする。
1)増幅されるRNAから二本鎖cDNAを生成する逆転写ステップ。これは通常、プライマー依存性のRNA依存性DNAポリメラーゼ、例えば、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)またはモロニーマウス白血病ウイルス(MuLV)に由来する前記ポリメラーゼによって生じる。
2)生成された二本鎖cDNAは次に、T7ポリメラーゼによってRNAを合成するための鋳型として用いられる。T7ポリメラーゼは、プライマー依存性のDNA依存性RNAポリメラーゼであり、重合を開始するために、プライマー配列内のT7特異的プロモーター配列を必要とする。
T7ポリメラーゼによるRNAの増幅は、直線的に生じ、通常は37℃で行われる。T7ポリメラーゼは、その活性について、50℃より高い温度には耐性がない。
RNA増幅のために提案されている別の酵素は、Qβレプリカーゼ(WO02/092774A2を参照されたい)である。Qβレプリカーゼは、RNAの重合を開始するために配列特異的認識部位を有するプライマーを必要とする、RNA依存性RNAポリメラーゼである。このタイプのプロトコルは、直線的なRNA増幅のみを達成し、通常は37℃で行われる。Qβレプリカーゼは、その活性について、50℃より高い温度には耐性がない。
さらに、バクテリオファージPhi-6からPhi-14(WO01/46396A1を参照されたい)から得られ得るポリメラーゼを用いるRNA増幅は、特異的プロモーター配列の存在を必要とする。Phi-6酵素からPhi-14酵素は、RNA依存性RNAポリメラーゼである。また、このケースにおいて、直線的増幅のみが、このような酵素で達成されており、37℃で生じている。Phi-6酵素からPhi-14酵素は、その活性について、50℃より高い温度には耐性がない。
WO2007/12329A2は、カリシウイルス科(Caliciviridae)の(RNA依存性RNAポリメラーゼ)RdRpを用いてRNAを調製および標識するための方法を開示している。著者は、RNA合成開始オリゴヌクレオチド(10nt未満の長さを有するオリゴプライマー)の存在下または非存在下での、一本鎖RNA(ssRNA)鋳型からの、デノボRNA合成の成功を示しており、また、RNA合成と二本鎖RNA(dsRNA)産物の変性との反復サイクル循環を想定している。指数関数的なRNA増幅は、WO2007/12329A2においては示されておらず、反応は20℃から40℃で生じることが記載されている。
SMART(商標)mRNA Amplification Kit User Manual、Clontech Laboratories, Inc.、28 April 2008
本発明の根底にある技術的課題は、RNAの大規模な酵素的合成のための新規な方法を行うことによって、RNAの指数関数的増幅を達成することである。この新規な方法は、熱安定性RNA依存性RNAポリメラーゼを用いるものであり、一本鎖RNA鋳型から開始されるRNAの指数関数的増幅を可能にする。
上記の技術的課題の解決は、特許請求の範囲において特徴付けされる本発明の実施形態によって提供される。
本発明者らは、驚くべきことに、RNA鋳型の指数関数的増幅が、約85℃までの温度で本質的に安定かつ活性であるサポウイルスまたはノロウイルスRdRpを採用することによって実現可能であることを見出した。
したがって、本発明は、
(a)一本鎖RNA(ssRNA)をサポウイルスまたはノロウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)とともに、任意選択でRNA合成開始オリゴヌクレオチド(オリゴプライマー)の存在下で、任意選択で前記ssRNAにハイブリダイズした前記オリゴプライマーを伸長することによって前記RdRpが前記ssRNAに相補的な鎖を重合させて、二本鎖RNA(dsRNA)を形成するような条件下で、インキュベートするステップ、
(b)ステップ(a)で得られた反応混合物を、最大85℃、好ましくは65℃から85℃の温度でインキュベートし、その結果、前記dsRNAの二本鎖がssRNAに分離するステップ、
(c)ステップ(a)および(b)をn回反復するステップ、
(d)最後のインキュベーションステップ(a)を行って、最終的なdsRNAを形成するステップ、および任意選択で、
(e)前記最終的なdsRNAを回収するステップ
を包含する、インビトロでのRNAの指数関数的増幅のための方法であって、
nが、少なくとも3、好ましくは5から40、特に好ましくは20であり、
前記ssRNAの配列および/または長さが、ステップ(b)において形成されるdsRNAが最大85℃の温度、好ましくは65℃から85℃の温度でssRNAに分離されるように選択される方法を提供する。
(a)一本鎖RNA(ssRNA)をサポウイルスまたはノロウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)とともに、任意選択でRNA合成開始オリゴヌクレオチド(オリゴプライマー)の存在下で、任意選択で前記ssRNAにハイブリダイズした前記オリゴプライマーを伸長することによって前記RdRpが前記ssRNAに相補的な鎖を重合させて、二本鎖RNA(dsRNA)を形成するような条件下で、インキュベートするステップ、
(b)ステップ(a)で得られた反応混合物を、最大85℃、好ましくは65℃から85℃の温度でインキュベートし、その結果、前記dsRNAの二本鎖がssRNAに分離するステップ、
(c)ステップ(a)および(b)をn回反復するステップ、
(d)最後のインキュベーションステップ(a)を行って、最終的なdsRNAを形成するステップ、および任意選択で、
(e)前記最終的なdsRNAを回収するステップ
を包含する、インビトロでのRNAの指数関数的増幅のための方法であって、
nが、少なくとも3、好ましくは5から40、特に好ましくは20であり、
前記ssRNAの配列および/または長さが、ステップ(b)において形成されるdsRNAが最大85℃の温度、好ましくは65℃から85℃の温度でssRNAに分離されるように選択される方法を提供する。
ポリアデニル化されたRNA(特にmRNA)を増幅するケースにおいて、RNA合成開始オリゴヌクレオチド(オリゴプライマーまたはポリUプライマー)が必要である。それに応じて、ポリグアニル化されたRNAおよびポリウリジル化されたRNAの増幅は、オリゴC(またはポリC)プライマーおよびオリゴA(またはポリA)プライマーをそれぞれ必要とする。ポリシチジル化された鋳型のケースでは、RNA合成は、オリゴG(またはポリG)プライマーを用いて開始され得るか、または、それぞれATP、UTP、およびCTPより過剰な(好ましくは、2倍、3倍、4倍、または5倍多い)GTPを用いて、デノボ(すなわち、RNA合成開始オリゴヌクレオチドの非存在下で)開始され得る。
必須ではないが、サポウイルスRdRpは、特に80℃を超える温度での加熱ステップの反復の間にその活性をある程度失い得る。したがって、nが5以上のケースでは、さらなるRdRpが、ステップ(c)の3サイクルから5サイクルごとに、ステップ(b)と(a)との間で添加され得る。
好ましくは、サポウイルスRdRpは、サポウイルスpJG-Sap01株(GenBank受託番号AY694184)のRdRpである。本発明において有用なノロウイルスRdRpは、好ましくは、ノロウイルスHuCV/NL/Dresden174/1997/GE株(GenBank受託番号AY741811)のRdRpである。本発明において用いるためのサポウイルスまたはノロウイルスRdRpは、当技術分野に知られている組換え発現方法によって調製され得る(WO2007/012329A2を参照されたい)。この状況において、組換え発現および/または精製を容易にする「タグ」を有する酵素を用いることも考慮される。好ましいタグは、それぞれの組換え酵素のC末端またはN末端に存在し得るHisタグである。
好ましくは、サポウイルスRdRpは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3に記載のアミノ酸配列を有する。
配列番号1:
配列番号2:
配列番号3:
配列番号1:
好ましくは、ノロウイルスRdRpは、配列番号4、配列番号5、または配列番号6に記載のアミノ酸配列を有する。
配列番号4:
配列番号5:
配列番号6:
配列番号4:
本発明の方法は、全ての種類および長さの増幅されたRNAを提供するために適している。本方法は特に、アンチセンス技術またはRNA干渉による遺伝子サイレンシング用途のための短いRNA分子を提供するために有用である。
したがって、本発明の方法において用いるためのssRNA鋳型は、短い長さ、例えば、8から45ヌクレオチド、好ましくは15から30ヌクレオチド、好ましくは21から28ヌクレオチド、より好ましくは21から23ヌクレオチドを有し得る。後者の長さのRNA分子は、siRNAの適用に特に有用である。短いssRNA鋳型を増幅するケースでは、プライマーも、例えば5から10ヌクレオチドの、RNA合成を開始するための短いオリゴヌクレオチド(オリゴプライマー)も、本発明の方法において用いられない場合がある。
RNA合成のデノボ開始(すなわち、プライマーの非存在下で)のために、鋳型が少なくとも1個、より好ましくは1個、2個、3個、4個、または5個、特に1から3個のCヌクレオチドを3'末端に含有することが好ましい。
あるいは、本発明の方法はまた、長めのRNA分子を提供するために有用であり、すなわち、ssRNA鋳型は、30または45ヌクレオチドを超える長さを有する。本発明に関する方法の好ましい実施形態は、mRNA鋳型を用いる。
任意選択的に存在し得るオリゴプライマーは、WO2007/12329A2において記載されているように選択することができる。したがって、本発明の方法を採用することによって、適切な配列特異的RNA合成開始オリゴヌクレオチドを選択することによって、ssRNA鋳型の特異的配列を選択することが可能である。他の可能性には、ポリ(U)RNA合成開始オリゴヌクレオチドを用いることによって、全細胞RNAから全mRNAを増幅することが含まれる。
本発明によれば、用語「プライマー」、「オリゴプライマー」、および「RNA合成開始オリゴヌクレオチド」は、ほぼ同じ意味で用いられ、RNA重合条件下で、サポウイルスまたはノロウイルスRdRpが前記プライマーまたはRNA合成オリゴヌクレオチドをそれぞれ伸長し得るようなハイブリダイゼーション条件下で標的ssRNA分子にハイブリダイズし得る、短い一本鎖のRNAオリゴヌクレオチドまたはDNAオリゴヌクレオチドを言う。他のRNA依存性RNAポリメラーゼ、例えば、QβタイプのレプリカーゼなどのRNA依存性RNAポリメラーゼとは対照的に、本発明において有用なカリシウイルスのRNAポリメラーゼは、RNA合成を開始するために、そのポリメラーゼの特異的認識配列を有するプライマーを必要としない。したがって、本明細書において用いられる「プライマー」、「オリゴプライマー」、または「RNA合成開始オリゴヌクレオチド」は、典型的には、このような認識配列、特にRNAポリメラーゼのこのような認識配列を有さないプライマーである。さらに、本発明において用いられる、カリシウイルスのRNAポリメラーゼは、特異的プロモーター配列が鋳型内に存在することを必要としないという点で、T7 RNAポリメラーゼなどの通常のDNA依存性RNAポリメラーゼと異なる。
さらに、本発明の方法はまた、特にsiRNA生成の状況において、修飾されたRNA分子を提供するために有用である。したがって、上記に定義したステップ(a)において、少なくとも1つの標識および/または修飾されたヌクレオチド、例えば標識および/または修飾されたrNTPまたはNTP(例えば、2'-デオキシ修飾または3'-デオキシ修飾されたヌクレオチド)を含むことが想定される。
本発明の方法の、化学的に修飾されたRNA産物は、好ましくは、修飾されていないdsRNAアナログと比較して安定性が増大している。
特にこの目的では、RdRp活性によって相補鎖内に組み込まれる少なくとも1つの修飾されたリボヌクレオシド三リン酸の化学的修飾は、リボース部分、リン酸部分、および/または塩基部分に化学的修飾を有し得る。特にRNA分解酵素に関して安定性が増大した分子に関して、骨格、すなわちリボース部分および/またはリン酸部分での修飾が特に好ましい。
リボースが修飾されたリボヌクレオシド三リン酸の好ましい例は、2'-OH基がH、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2、またはCN(式中、Rは、C1〜C6アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、ハロは、F、Cl、Br、またはIである)から選択される基によって置き換えられているアナログである。本発明の背景において明らかであるが、用語「修飾されたリボヌクレオシド三リン酸」または「修飾されたリボヌクレオチド」はまた、2'-デオキシ誘導体または3'-デオキシ誘導体を含み、これは、一部の場合では「デオキシヌクレオチド」とも呼ばれる。
2'位に修飾されたリボースを有する、このようなリボヌクレオチドアナログの典型的な例には、2'-O-メチル-シチジン-5'-トリホスフェート、2'-アミノ-2'-デオキシ-ウリジン、2'-アジド-2'-デオキシ-ウリジン-5'-トリホスフェート、2'-フルオロ-2'-デオキシ-グアノシン-5'-トリホスフェート、および2'-O-メチル-5-メチル-ウリジン-5'-トリホスフェートが含まれる。本発明の方法を用いることによる化学的に修飾されたRNA種の提供に関するさらなる詳細については、同時係属の国際特許出願第PCT/EP2009/057119(WO-A-2009/150156として公開されている)を参照されたい。
本発明によれば、生成したdsRNAを、各増幅サイクルにおいてさらなるRdRpを添加する必要なく熱変性することが可能であるだけでなく、すなわち、サポウイルスおよびノロウイルスRdRpが85℃などの高温に耐えるたけでなく、これらの酵素はまたこのような高温で活性でもある。したがって、インキュベーションステップ(a)は、例えば28から85℃などの、広い温度範囲で実行することができる。ステップ(a)における高温、例えば50から75℃、例えば60から65℃は、二次構造を有するRNA鋳型を増幅するために特に有用である。
本発明の好ましい実施形態によれば、マイクロ波放射を、インキュベーションステップ(ステップ(a)、および任意選択で(d)、ならびに/または分離ステップ(b))を実行するために用いることができる。したがって、本発明に従った方法のそれぞれのステップにおいて存在する反応組成物は、本明細書において定義する反応条件に達しそれを維持するために効果的で十分な量のマイクロ波放射に曝露される。
用語「効果的な量のマイクロ波エネルギー」は、本発明に従う方法のそれぞれのステップにおいて所望の温度に達し、それを維持するために必要なマイクロ波エネルギーの量である。所与の鋳型のためのマイクロ波エネルギーの具体的な量は、通常の実験を用いて、特に所要の温度に応じて、当業者によって決定され得る。重合ステップ(ステップ(a)、および任意選択で(d))では、所要の反応温度(例えば、28から65℃)に達し、それを維持するためのマイクロ波エネルギーは、分離ステップ(b)における温度と比較して低くてもよい(例えば、85℃まで)。本明細書において用いられる場合、用語「マイクロ波エネルギー」、「マイクロ波(ir)放射」、もしくは「マイクロ波での照射」、または単純に「マイクロ波」は、同義的に用いられ、電磁スペクトルの無線領域と赤外線領域との間で見られる、1から100ギガヘルツの周波数に対応する約0.3から30cmの波長を包含する、電磁スペクトルの部分に関連する。生存生物によって吸収される電磁エネルギーの量は、組織、細胞、および生体分子の誘電特性によって決定される。
本発明の目的でのマイクロ波エネルギーの発生は、決定的なものではなく、当技術分野に知られている任意の手段によるものとすることができる。例えば、マイクロ波放射を本発明に従う反応組成物に適用するための適切な手段は、多くの提供元から市販されており、大部分の生物学的実験室において標準的な設備の一部を通常形成する、電子レンジである。このような電子レンジは、典型的には、約500Wから約1000Wの最大電力レベルを有する。最も小さい電子レンジであっても、本発明において用いるために十分なレベルのマイクロ波照射を提供し、したがって、出力が調節可能な電子レンジで低めの電力設定を用いることが、都合が良い。したがって、本明細書において開示される本発明に関する方法の好ましい実施形態によれば、組成物は、約1500MHzから約3500MHzの周波数を有し約50から約1000Wの電力を有するマイクロ波を照射される。
本発明の他の実施形態によれば、低めの電力設定はまた、適用される電力をより長い時間間隔にわたり時間的に分散し、エネルギー取り込みの局在化の可能性およびその結果生じる分子の損傷を最小にするために用いられる。特に好ましい実施形態において、マイクロ波の電力は、一連の間隔にわたり試料に適用され、前記間隔は、マイクロ波の電力が試料に適用されない「休止」間隔を有する。電力適用間隔および休止間隔は、通常、それぞれ1から60秒間にわたり、15から60秒間の電力適用間隔および0.5から5秒間の休止間隔が好ましい。最も好ましくは、電力は、1から2秒間の休止間隔によって分離された約45秒間の間隔にわたり適用される。
しかし、一本鎖ポリヌクレオチド鋳型の長さに特に依存して、照射ステップは、1秒間から5分間、より好ましくは3秒間から120秒間の期間のマイクロ波エネルギーの単一の適用(間隔)で実行され得る。後者の短い期間は、短めの長さの鋳型(例えば、siRNAなどの短いdsRNAを調製するための鋳型)を採用する場合に、特に有用である。
本発明は、以下の非限定的な実施例によって、さらに例示される。
(実施例1)
サポウイルスおよびノロウイルスRdRpは熱安定性であり、85℃で活性である
RNA合成を、以下のウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を用いて、任意の配列(24nt)の一本鎖RNA鋳型に対して行った:カリシウイルス(Caliciviridae)科、サポウイルス(Sapovirus)属の、サポウイルス;カリシウイルス科、ノロウイルス(Norovirus)属の、ノロウイルス;カリシウイルス科、ベシウイルス(Vesivirus)属の、猫カリシウイルス(FCV);カリシウイルス科、ラゴウイルス(Lagovirus)属の、ウサギ出血性疾患ウイルス(RHDV);カリシウイルス科、ノロウイルス属の、マウスノロウイルス(MNV);ピコルナウイルス (Picornaviridae)科、エンテロウイルス(Enterovirus)属の、ポリオウイルス;およびフラビウイルス(Flaviviridae)科、ヘパシウイルス(Hepacivirus)属の、C型肝炎ウイルス。反応混合物は、1.5μgの鋳型、7.5μMのRdRp、0.4mMの各rATP、rCTP、rUTP、および2mMのrGTP、10μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse-DNAseを含まない水を含有し、総容量は50μlであった。反応は、30℃、60℃、または85℃で、120分間(2時間)にわたり行った。産物を、電気泳動によって、非変性20%ポリアクリルアミドゲル上で視覚化した(図1A、1B、および1C)。
サポウイルスおよびノロウイルスRdRpは熱安定性であり、85℃で活性である
RNA合成を、以下のウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を用いて、任意の配列(24nt)の一本鎖RNA鋳型に対して行った:カリシウイルス(Caliciviridae)科、サポウイルス(Sapovirus)属の、サポウイルス;カリシウイルス科、ノロウイルス(Norovirus)属の、ノロウイルス;カリシウイルス科、ベシウイルス(Vesivirus)属の、猫カリシウイルス(FCV);カリシウイルス科、ラゴウイルス(Lagovirus)属の、ウサギ出血性疾患ウイルス(RHDV);カリシウイルス科、ノロウイルス属の、マウスノロウイルス(MNV);ピコルナウイルス (Picornaviridae)科、エンテロウイルス(Enterovirus)属の、ポリオウイルス;およびフラビウイルス(Flaviviridae)科、ヘパシウイルス(Hepacivirus)属の、C型肝炎ウイルス。反応混合物は、1.5μgの鋳型、7.5μMのRdRp、0.4mMの各rATP、rCTP、rUTP、および2mMのrGTP、10μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse-DNAseを含まない水を含有し、総容量は50μlであった。反応は、30℃、60℃、または85℃で、120分間(2時間)にわたり行った。産物を、電気泳動によって、非変性20%ポリアクリルアミドゲル上で視覚化した(図1A、1B、および1C)。
プライマー非依存性のRNA合成を、カリシウイルス科の全てのRdRpについて、30℃で確認した(図1A)。60℃で、サポウイルスおよびノロウイルスRdRpは、本質的に活性のままであった(図1B)。この温度では、ベシウイルスおよびラゴウイルスRdRpで、弱い産物バンドのみが得られた。85℃では、サポウイルスRdRpは24bpの強い産物バンドを生成した(図1C)。産物バンドはまた、85℃でノロウイルスRdRpでも得られた。
(実施例2)
サポウイルスRdRpによる一本鎖RNAの指数関数的増幅
RNA合成を、サポウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を用いて、一本鎖RNA鋳型に対して行った。A(23nt)、B(23nt)、およびC(25nt)と名付けられた異なる鋳型を、異なる量で用いた。反応混合物は3つの異なる量の各鋳型(鋳型A:48ng、4.8ng、0.48ng、鋳型B:55ng、5.5ng、0.55ng、鋳型C:40ng、4.0ng、0.40ng)、7.5μMのRdRp、1.2mMの各rATP、rCTP、rUTP、および6mMのrGTP、30μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse-DNAseを含まない水を含有し、総容量は150μlであった。増幅反応は10回の連続するサイクルで行い、各サイクルは、30℃で15分間のインキュベーションと、その後に行う85℃で5分間の変性とからなるものであった。産物を、電気泳動によって、非変性20%ポリアクリルアミドゲル上で視覚化した(図2Aおよび2B)。
サポウイルスRdRpによる一本鎖RNAの指数関数的増幅
RNA合成を、サポウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を用いて、一本鎖RNA鋳型に対して行った。A(23nt)、B(23nt)、およびC(25nt)と名付けられた異なる鋳型を、異なる量で用いた。反応混合物は3つの異なる量の各鋳型(鋳型A:48ng、4.8ng、0.48ng、鋳型B:55ng、5.5ng、0.55ng、鋳型C:40ng、4.0ng、0.40ng)、7.5μMのRdRp、1.2mMの各rATP、rCTP、rUTP、および6mMのrGTP、30μlの反応緩衝液(HEPES 250mM、MnCl2 25mM、DTT 5mM、pH7.6)、ならびにRNAse-DNAseを含まない水を含有し、総容量は150μlであった。増幅反応は10回の連続するサイクルで行い、各サイクルは、30℃で15分間のインキュベーションと、その後に行う85℃で5分間の変性とからなるものであった。産物を、電気泳動によって、非変性20%ポリアクリルアミドゲル上で視覚化した(図2Aおよび2B)。
反応によって、それぞれ図2Aおよび2Bで示される量のdsRNAが生じた。合成されたdsRNAの量を、TECAN Infinite 200で測定されるRiboGreen蛍光染料(Invitrogen)を用いて決定した。
産物測定の結果を、以下のTable 1(表1)にまとめる。
先行技術のRNA増幅方法の欠点を考慮すると(上記の先行技術を参照されたい)、本発明に従うRNA増幅反応が、確立されたPCRプロトコルと比較しても、非常に効率的であること、すなわち、PCRプロトコルでは、典型的には、許容可能な量の産物DNAが40サイクル後に生じるのに対し、本発明のRNA増幅プロトコルでは、わずか10サイクルの後に10000倍を超える増幅が生じることは、注目に値する。
(実施例3)
サポウイルスRdRpによるssRNAの指数関数的増幅から生じるdsRNA産物のクロマトグラフィー分析
実施例2において記載されるssRNAの鋳型Cで得られる増幅反応物を、DNAPak PA100(Dionex)イオン交換カラム上で分離した。溶出プロファイルの重ね合わせ(図3D)によって確認されるように、ほとんど同一の溶出プロファイルが、3つ全ての反応物で得られた(図3A、3B、および3D)。
サポウイルスRdRpによるssRNAの指数関数的増幅から生じるdsRNA産物のクロマトグラフィー分析
実施例2において記載されるssRNAの鋳型Cで得られる増幅反応物を、DNAPak PA100(Dionex)イオン交換カラム上で分離した。溶出プロファイルの重ね合わせ(図3D)によって確認されるように、ほとんど同一の溶出プロファイルが、3つ全ての反応物で得られた(図3A、3B、および3D)。
Claims (16)
- (a)一本鎖RNA(ssRNA)をサポウイルスまたはノロウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)とともに、任意選択でRNA合成開始オリゴヌクレオチド(オリゴプライマー)の存在下で、任意選択で前記ssRNAにハイブリダイズした前記オリゴプライマーを伸長することによって前記RdRpが前記ssRNAに相補的な鎖を重合させて、二本鎖RNA(dsRNA)を形成するような条件下で、インキュベートするステップ、
(b)ステップ(a)で得られた反応混合物を、最大85℃の温度でインキュベートし、その結果、前記dsRNAの二本鎖がssRNAに分離するステップ、
(c)ステップ(a)および(b)をn回反復するステップ、
(d)最後のインキュベーションステップ(a)を行って、最終的なdsRNAを形成するステップ、および任意選択で、
(e)前記最終的なdsRNAを回収するステップ
を包含する、インビトロでのRNAの指数関数的増幅のための方法であって、
nが、少なくとも3であり、
前記ssRNAの配列および/または長さが、ステップ(b)において形成されるdsRNAが最大85℃の温度でssRNAに分離されるように選択される方法。 - nが5以上であり、さらなるRdRpが、ステップ(c)の3サイクルから5サイクルごとに、ステップ(b)と(a)との間で添加される、請求項1に記載の方法。
- ステップ(b)における温度が65℃から85℃である、請求項1または2に記載の方法。
- nが5から40である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- nが20である、請求項4に記載の方法。
- ステップ(a)のインキュベーションが、28から85℃の温度で実行される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記温度が50から75、好ましくは60℃から65℃である、請求項6に記載の方法。
- サポウイルスRdRpが、サポウイルスpJG-Sap01株(GenBank受託番号AY694184)のRdRpである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記RdRpが、配列番号1、配列番号2、および配列番号3からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項8に記載の方法。
- ノロウイルスRdRpが、ノロウイルスHuCV/NL/Dresden174/1997/GE株(GenBank受託番号AY741811)のRdRpである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記RdRpが、配列番号4、配列番号5、および配列番号6からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の方法。
- 前記ssRNA鋳型が、15から30、好ましくは21から28ヌクレオチド、より好ましくは21から23ヌクレオチドの長さを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ssRNA鋳型が、30ヌクレオチドを超える長さを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ssRNA鋳型がmRNAである、請求項11に記載の方法。
- 少なくとも1つの修飾および/または標識されたヌクレオチドがステップ(a)において存在する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
- インキュベーションステップ(a)、および任意選択で(d)、および/または分離ステップ(b)が、マイクロ波照射下で実行される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
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