JP2013501216A - 航空機製造のための複合材料の電気的分析方法 - Google Patents

航空機製造のための複合材料の電気的分析方法 Download PDF

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Abstract

航空機の製造のための複合材料を電気的に分析する方法において、以下のステップが実行される。すなわち、複合材料で作られた少なくとも1つのテストピース(18)に2つのスペーサー(16)を押し付け、前記スペーサー及び前記テストピースで形成されたアセンブリの電気抵抗値を測定し、前記値から前記複合材料の電気抵抗の値を推定する。

Description

本発明は、航空機の製造に用いられる複合材料に関する。
今日では、特にその重量が小さいことと機械的特性のゆえに、複合材料を用いて航空機を製造することが望まれている。このような複合材料は、カーボンファイバーのようなファイバーが埋め込まれた合成材料(例えばエポキシ樹脂)の母材によって構成されている。
このような材料が航空機を作るのに使われる場合には、それが電気抵抗の点でどのような挙動をするのかを知ることは有用である。この目的のために、今日では以下の工程が実施される。複数層の積み重ねを有する複合材料の棒が作られる。層の数はわかっており、層は、向きが例えば45°/0°/−45°/90°…という順序になっている。電気の良導体である金属が、棒の両端に電気分解によって析出する。これらの2つの電着物の間の電位差を測定するために電圧計が用いられ、棒には電流計を経由して直列に電流が供給されている。このように電圧及び電流を知ることによって、オームの法則R=U/Iを適用して棒の抵抗を求めることができる。
しかしながら、棒の両端に電着物を作ることは、比較的難しいということがわかる。このような作業は、時間がかかり、煩わしく、信頼性の保証がない。特に、電着物によって構成される表面処理の品質は、大部分が棒の準備の際に与えられた配慮による。これは、電着物が適切に作られるためには、約10の異なる工程を実行する必要があるということを実際には意味する。これらの工程は特別な要員及び手段を必要とし、このため、この運用自体が無視できないコストを示す。更に、得られた結果は、一貫性がなく、作られた電着物の品質に実際には左右される、ということがわかることもある。加えて、電流が棒の両端に供給され、電圧がクリップ手段によって測定される場合には、電着物が急速に老朽化し、試験を繰り返すことが困難になることがある。
本発明の目的は、複合材料を電気的に分析することをより簡単に行えるようにすることである。
この目的のために、本発明は、航空機の製造のための複合材料を電気的に分析する方法を提供する。この方法は、
・複合材料で作られた少なくとも1つのテストピースに2つのスペーサーを押し付け、
・前記スペーサー及びテストピースで形成されたアセンブリの電気抵抗値を測定し、
・前記値から前記複合材料の電気抵抗値を推定する、
というステップを含む。
このように、電着物は、スペーサーとテストピースとの間に接触圧を確立することによって置き換えられる。スペーサーとテストピースとの間の接触は、確かに電気的な接触抵抗を生じさせる。しかし、その大きさは計算によって意のままに制御又は除去され得るので、この操作方法により、複合材料の電気抵抗値を信頼できるやり方で得ることが可能になる。この方法は、また、電着物の作成に関する方法より、実行するのが簡単でありかつ速い。この方法により信頼できる結果が提供され、測定は再現可能である。
好都合なことに、前記押し付けは、前記テストピースに所定の閾値を超える接触圧が与えられるように、行われる。
驚いたことに、スペーサーとの間でテストピースに与えられる圧縮力が増加すると、そのアセンブリの電気抵抗が急速に低下し、漸近線に近づくことがわかった。このことは、いったん圧力が閾値を超えると、各スペーサーとテストピースとの間の電気的な接触抵抗はほぼ一定になるということを示し、抵抗は無視できるほど小さなものにさえなり得る。このため、電気的な接触抵抗の存在は、複合材料自身の抵抗の分析の障害とはならない。
好都合なことに、前記テストピースにおいて、スペーサーの少なくとも1つが開口部に挿入され、前記スペーサーと前記開口部との間に締まりばめが確立されている。
これは、簡単かつ便利であり、各スペーサーとテストピースとの間の電気的接触抵抗を小さくするのに役立つ組み立て技術を構成する。
好都合なことに、前記スペーサーは、前記開口部の直径より大きな直径を呈する。
好ましくは、前記スペーサーの直径c及び前記開口部の直径eは、次の等式、
(c−e)/c≧0.0025
を満たす。
したがって、各スペーサーとテストピースとの間の電気的接触抵抗は、無視できるほど小さくなる。
好ましくは、押し付けが、同じ複合材料で作られた少なくとも2つのテストピースに対して行われる。
これにより、テストピースを用いて得られた結果を組み合わせることによって、電気的接触抵抗の計算を省くことが可能になり、このため、このパラメータを考慮する必要がなくなる。
好都合なことに、押し付けが、前記スペーサーの1つの位置を変更せずに維持しながら、前記2つのテストピースに対して連続して行われる。
これにより、操作の量が減少する。更に、スペーサーとテストピースとの間の接触を断つ回数を減少させることにより、結果の信頼性が向上する。
好ましくは、前記2つのテストピースは、単一の部品の部分を構成する。
これは、2つのテストピースの間で異なる特性についてのリスクを減少させるのに役立ち、結果の信頼性が向上する。
好ましくは、3つのスペーサーが前記部品上において互いに一直線上にある場所に配置されている。
この方法によると、特に簡単な計算手段によって、材料の電気抵抗値を得ることが可能になる。
本発明は、コード命令を含むコンピュータプログラムも提供し、前記コード命令は、前記コンピュータプログラムを、コンピュータでの実行時に、本発明の方法の少なくともいくつかのステップの実装を制御するのに適するようにする。
本発明は、そのようなプログラムを記録された形態で含むデータ記録媒体も提供する。
本発明は、そのようなプログラムを電気通信ネットワーク上でダウンロードして利用可能にもする。
本発明は、航空機を製造する方法も提供し、この方法において、前記航空機は、本発明の方法の手段によって電気的に分析された複合材料を用いて、前記方法によって求められる前記材料の電気抵抗値を考慮して、製造される。
好ましくは前記航空機の電気機器は、前記複合材料で作られた部品に接続され、前記航空機は、前記機器の故障電流回路が前記部品を経由するように構成されている。
本発明は、また、航空機の製造に用いられる複合材料を電気的に分析する装置を提供する。この装置は、
・少なくとも2つのスペーサーと、
・前記2つのスペーサーをテストピースに押し付ける手段と、
・前記スペーサー及び前記テストピースで構成されたアセンブリの電気抵抗値を測定する手段と
を有する。
本発明は、また、本発明の方法の手段によって電気的に分析された複合材料手段によって製造された航空機を提供する。
前記航空機は、前記部品に接続されており、それ自身の故障電流回路が前記部品を経由するようになっている電気機器を、好ましくは有する。
本発明は、例えば以下の状況で適用され得る。
航空機は、種々の非常に多くの数の電気機器や装置を有する。それらは、モータや、コンピュータのような電子装置であり得る。
このような機器のうち、多くには単相で電力が与えられている。この目的で、機器はケーブル手段で発電機の正端子に接続される。発電機の負端子への接続は、機器の他方の端子を、発電機の負端子が接続されている飛行機の金属グラウンドに接続することによって行われる。これにより、動作電流用の回路が構成される。
機器に関して生じ得る故障電流を流すための備えも必要である。例として、このタイプの電流は、リーク電流や短絡電流であり、異常事態時に生じ得る。飛行機の大部分が金属でできている場合には、機器は飛行機の金属部品に接続されており、故障電流を動作電流と同様に流すことができる。
しかし、非金属繊維で強化されたプラスチック基材を有する複合材料から飛行機の部分を製造することが望まれる場合には、事情は異なる。このような材料は、金属ほど電気の良導体ではない。
動作電流が流れるように、航空機の金属グラウンドをこのタイプの航空機内にある機器に接続するために、各機器は特定のケーブル手段によって前記グラウンドに接続される。したがって、胴体にあって、電気的構造ネットワーク(electrical structure network)又は「ESN」とも呼ばれる、特定のメタルネットワークを考えることが知られている。
更に、機器から金属グラウンドへ戻る、生じ得る故障電流に対する備えが必要である。そのために、メタリックボンディングネットワーク(metallic bonding network)又は「MBN]と呼ばれる特定の故障用ネットワークが用いられる。このネットワークは、機器からの故障電流を流すことができるメッシュ又は格子を飛行機に設けるために、シートレールのような飛行機の構造的金属部品と部分的に一致する。この状況において、複合材料が存在するにもかかわらず、飛行機の金属部品間を電気的に導通させるために、飛行機の各フレーム及び各クロスメンバに金属テープのような特定の部材を備えるようにすることが知られている。この導通が、故障電流を飛行機のグラウンドに流すのに役立つ。
しかし、これらの金属エレメントは全体として、複雑であり非常に多くの問題を生じさせるメッシュを形成する。このように、特定の要素を加えることにより、飛行機の重量が増加する。このことにより、全ての組み立て作業を成し遂げるのに必要な時間も増加する。関連コストも無視できない。これらのエレメントは、電流帰還ネットワークをより複雑にもする。このようなエレメントを用いることにより、寸法合わせ、メンテナンス、腐食、及びESNの異なる部分の接続に関して、特別な検討が必要になる。
このため、好都合なことに、本発明は、少なくとも1つの電子機器と、この機器が接続される複合材料部品とを有する航空機を提供する。複合材料は本発明の手段によって分析され、この航空機は、前記機器の故障電流回路が前記部品を経由するように構成されている。
このように、機器からのいずれの故障電流も、複合材料と金属との両方で構成された非均一ネットワーク手段によって流れ得る。ネットワークの金属部分は、航空機の金属グラウンドに対応する。これは主ネットワークである。複合材料で作られた部品は、故障電流をこの主ネットワークに導き得る送出ネットワークを形成する。したがって、機器からの故障電流を流すために使われるのは、複合材料自身である。航空機に搭載された複合材料の電気的特性では、複合材料によって航空機の動作電流をグラウンドに流すことはできないが、これとは対照的に複合材料によって故障電流を流すことはできる、という事実が利用される。実施には、多数の特別な構成要素を加える必要はない。余分な重量を追加することや、組み立て作業に要する時間を著しく増加させることもない。コストが著しく増加することはなく、電流帰還ネットワークがより複雑になることもない。最後に、ESNの様々な部分を相互接続するために上述の検討の用意をする必要はない。本願において、複合材料は、その使用を可能にするために前述のように分析されている。
好都合なことに、前記航空機は、前記機器に接続され、前記部品との間の締まりばめ手段によって前記部品に組み付けられた少なくとも1つの接触部材を有する。
これにより、故障電流が適切に流れるように、前記機器と前記複合材料部品との間に良質な電気的接続を確保することができる。より正確には、この締まりばめは、前記部材と前記部品との間の接触抵抗を最小限又は無視できるほどに小さくし、故障電流を前記複合材料部品を経由してより流れやすくするのに役立つ。
好ましくは、前記接触部材は、前記部品の開口部内に伸びており、前記部材の直径v及び前記部品の直径eは、次式、
(v−e)/v≧0.0025
を満たす。
直径の間のこの関係は、確実に接触抵抗を無視できるほどに小さくする。
好都合なことに、前記複合材料は、カーボンファイバーで強化されたプラスチック材料を有する。
好ましくは、前記故障電流回路の回路長の大部分は、前記航空機の金属製の部品で構成されている。
このように、前記ネットワークは、大部分が金属エレメント、特に航空機の構造エレメントで構成されていて、あり得る最小のメッシュ電気抵抗を得ている。
好都合なことに、電気機器の数及び複合材料部品の数は、少なくとも2であり、前記航空機は、各機器の前記故障電流回路が、関連する前記部品及び前記金属構造を経由し他の機器に関連する前記部品を経由しないように前記複合材料部品に接続された、金属構造を有する。
好ましくは、前記航空機は、前記機器に関する故障電流を検出するのに適したモニタリング装置を含む。
この装置は、故障電流の出現による起こり得る結果から前記機器を保護するのに役立つ。
好ましくは、前記装置は、前記機器に関する故障電流を検出すると前記機器への電源供給を遮断するのに適している。
好都合なことに、前記モニタリング装置は、前記機器の部分を構成する。
このように、前記装置は前記機器の専用である。この装置は、故障電流が生じたときには、他の機器の動作を中断することなく前記機器を隔離することができる。航空機組み立てラインにおいて行われるべき特別な組み立て作業は必要ない。
好都合なことに、本発明の前述の方法において、前記航空機の電気機器が複合材料で形成された部品に接続され、前記航空機は、前記機器のための故障電流回路が前記部品を経由するようになっている。
好ましくは、少なくとも1つの接触部材が前記機器に接続され、前記接触部材は前記部品との間の締まりばめ手段によって前記部品に組み付けられる。
本発明の他の特性及び利点は、非限定的な例として示される実施形態及び応用の以下の記載から、添付の図面を参照して、更に明らかになる。
図1は、本発明の方法によって分析された複合材料から作られた飛行機の透視図である。 図2は、本発明の分析装置の図である。 図3は、図2の装置におけるスタックの抵抗が、そのスタックに与えられた力の関数としてどのように変化するかを示す曲線を描くグラフである。 図4及び5は、本発明の方法の実施における2つのステップを示す。 図4及び5は、本発明の方法の実施における2つのステップを示す。 図6は、図4及び5の機構において、結合抵抗が、締めしろの関数としてどのように変化するかを示す曲線を描くグラフである。 図7は、図1の飛行機の機上で機器がどのように接続されているかを示す電気回路図である。 図8は、機器及びその図1の飛行機の構造の部分への接続の図である。 図9は、機上の接続を示す、図8のIX−IXの断面図である。 図10は、モニタリング装置の原理の変形例を示す電気回路図である。 図11は、前記モニタリング装置を組み込んだ機器の接続の電気回路図である。
図1は、航空機(aeronef)2を示す。これは、ここでは、重航空機(aerodyne)で構成され、特に飛行機(avion)の形をとる。この例において、飛行機は、胴体4と、2つの翼6と、翼によって保持されるエンジン8とを有している。
胴体4や翼6のような、飛行機の少なくともある程度の部分は、とりわけ、少なくとも1つの複合材料で作られている。本例におけるそのような材料は、この例では特にカーボンファイバーのようなファイバーが埋め込まれた母材を構成するエポキシ樹脂のようなプラスチック材料を含む。これは、カーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)型の材料である。
このような複合材料を電気的に分析する本発明の方法の実施を以下に説明する。これは、図2に示された装置手段10によって行われる。この装置は、プレス機のような圧縮機12を有する。特に、この機械は、それらの間に圧縮力が与えられる2枚のプレート20と、与えられている圧縮力を示すために使われる画面14とを有する。この装置は、電気の良導体である金属でできた2つのスペーサー16を有する。延性のある金属、すなわち、比較的変形が容易な金属を用いることが望ましい。
本発明の方法では、複合材料でできたテストピース18が、例えば矩形又は円形の断面の断片要素の形で用いられる。例として、それは、向きが例えば45°/0°/−45°/90°…という順序になっている複数の層のアセンブリでできた、複合材料の棒であり得る。
テストピースがその長手方向の両端に置かれた2つのスペーサー16の間に挟まれるように、テストピースを配置することにより、スタックが作られる。アセンブリは、プレートがスペーサー16に反対方向の2つの力22を与えるように、機械12の2つのプレート20の間に配置される。これらの2つの力は、スタックの方向に沿って、すなわち、スペーサーの一方から他方への向きに与えられる。
装置10は、スタックの端子間の電位差を測定する手段も有する。この手段は、例として、2つのスペーサー16のそれぞれに接続された電圧計23を有する。装置は、2つのスペーサーを経由してスタックに電気を供給するのに適した発電機24も有する。電流計26のような電流測定手段が、回路に直列に接続される。
この装置手段によって、テストピース18は2つのスペーサー16の間で圧縮される。文字盤14は、スタックに与えられた力22の大きさを伝える。電圧計及び電流計から得られた測定された電圧及び電流に基づいて、2つのスペーサー及びテストピースで形成されたスタックの全体の抵抗を示すためにオームの方法が常に適用される。
次の表に示された結果は、このようにして実験的に得られたものであり、この表は、2つの列において、ニュートン(N)単位の圧縮力22とミリオーム(mΩ)単位の測定された抵抗とをそれぞれ示している。
Figure 2013501216
このデータは、横軸に示された与えられた力の関数として、縦軸に抵抗の変化をmΩで示す、図3の曲線によってグラフ化されている。抵抗が、約400Nの力で急に低下し、その後、600オーム(Ω)という値に向かって漸近することがわかる。
例として、このようにして1000Nの力22について得られたように、接触圧を計算することが可能である。この例におけるテストピースの断面はS=123.41平方ミリ(mm)であるので、接触圧は次のように得られる。すなわち、
ε=F/S=1000/123.41=8メガパスカル(MPa)
である。
スペーサー16の電気抵抗を無視してもよいすると、このようにして測定された全体の抵抗Rは、
R=2*R+RCFRP*L
を満たす。ここで、
・Rは測定で得られたスタックの全体の電気抵抗、
・Rはテストピースと各スペーサー16との間の電気的接触抵抗、
・RCFRPはテストピースの材料の単位長さ当たりの電気抵抗、
・Lはテストピースの長さ
である。
もちろん、与えられる力が大きいほど、接触圧は大きい。図3の曲線は、この例では、圧縮力の閾値(例えば400N)からは電気的接触抵抗Rは一定である、すなわち、無視してもよい量であるとみなしてもよい、ということを示している。そうだとすると、この閾値からは接触抵抗の値は最小であり制御下にあり、したがって、複合材料18自身を電気的に分析することが可能になる。
この分析は、多数の方法で行われ得る。そのような方法の1つを例として以下に説明する。図4及び5を参照して、この例では、分析されるべき複合材料で作られた共通部品30上の1片として形成された、2つのテストピース18a及び18bが用いられる。この部品は、矩形ブロックの形をしている。この部品は、スペーサー16を受け入れる場所を提供する。具体的には、これらの場所は、ボア又はハウジングの形をとり、それぞれはインサートの形に作られたそれぞれのスペーサー16を受け入れるように設計されている。開口部は、この例におけるスペーサー16のように、断面が円形の円筒形である。開口部は、互いに平行な軸を有し、全てが前記部品の同じ面に開口している。ボアは、形及び大きさが同じである。具体的には、部品30においてハウジング32の数は3である。これらは一直線上に、第1ハウジング32と第2ハウジング32との間の距離Lが第2ハウジングと第3ハウジングとの間の距離2Lの半分であるように並んでいる。
テストピース18a及び18bのそれぞれが所定の閾値を超える接触圧を確実に受けるようにすることが望ましい。このようにするために、各スペーサーとそのボアとの間の締まりばめを実現するように、開口部及びスペーサーの寸法が合わされている。換言すると、「締めしろ」固定が実現される。具体的には、スペーサーはボアの直径eより大きい直径cを呈し、これらの直径は次の関係、すなわち、
(c−e)/c≧0.0025
を満たす。
値0.0025は、接触抵抗を確実に無視できるようにするのに適している。例えば0.0030、更には0.0035に等しい最小値を採用することによって、接触抵抗が更に低減されれば、よりよい結果を得ることができる。もちろん、プラスチック材料の許容強度の超過を避けるために、反対に、例えば0.0083を越えないように比(c−e)/cを制限することが好ましい。
図6は、縦座標に示される結合抵抗又は接触抵抗が、スペーサー又はインサートと、それを受け入れるボアとの間を締め付けるアセンブリの関数としてどのように変化するかを示す2つの実験曲線を示す。これは、「締めしろ」という用語で呼ばれる大きさ(c−e)/cであって、パーセンテージとして測定され、横座標に示される。上方の曲線37は熱可塑性材料に対するテスト結果を示し、下方の曲線38は熱可塑性材料に関する。0.25%という締めしろの値から、どちらの材料についても結合抵抗は5mΩ未満にとどまることがわかる。
本発明の方法は、以下のように実現される。
2つのスペーサー16が、第1及び第2開口部32に挿入される。嵌合いは締まりばめであるので、これはプレス機のような道具の助けを借りて行われる。このようにして作られたはめ込みアセンブリを経由して、圧縮力が、2つのスペーサー間、2つのハウジング間に広がるテストピースに、長さLに対応する方向に与えられる。このようにして、スペーサーと複合材料のボアとの間の接触圧を得るために、半径方向の圧力が各スペーサーとテストピースとの間に加えられることがわかる。直径を上述のように選択することにより、圧力が100MPaを越えるようにすることが可能となる。このように、装置10は、得られる力が接触抵抗をほぼ一定かつ最小にする所定の閾値を超えるような、圧力を及ぼす。
上述のように、電流を2つのスペーサー16の間に流れさせ、この電流はこれらの2つのスペーサー間の電位差として測定され、2つのスペーサーと、部品30の第1テストピースを形成する部分18aとによって形成される、アセンブリの抵抗値Rを得る。
図5を参照して、次のステップにおいて、同じ操作が行われるが、今度はスペーサー16を第2及び第3ハウジング32に挿入する。測定された電流及び電位差は、2つのスペーサー16と、部品の部分を形成し2つの対応するハウジング間に広がるテストピース18bとを有する、アセンブリの抵抗値Rを求めるために使える。
このようにして、次の連立方程式が得られる。すなわち、
=2*R+RCFRP*L
=2*R+RCFRP*2L
ここで、
・R及びR: 測定された電気抵抗
・R: 各スペーサーにおける電気的接触抵抗
・RCFRP: 複合材料の単位長さ当たりの電気抵抗
・L: 間隔、ここでは50ミリ(mm)に等しい
である。
図4及び5のステップにおいて及ぼされる圧力(100MPa)が各ボアにおいて同じであることがわかっているので、大きさRにも同じことが言える。ゆえにこれは、複合材料の単位長さ当たりの電気抵抗を得るために除外され得る。これらの2つの等式を組み合わせることにより、次の等式、すなわち、
CFRP=(R−R)/L
が得られる。
第2ハウジング32に位置するスペーサー16は、図4のステップから図5のステップに移るときに場所を変えなくてもよいことがわかり、これによって結果の信頼性を向上させることが可能である。
本発明の方法の1以上のステップは、そのプログラムがコンピュータ上で実行されるときにこれらのステップが実行されるようにするコード命令を有する、コンピュータプログラム手段によって制御され得る。プログラムは、データ記録媒体上に記録されていてもよいし、ダウンロード用の通信ネットワーク上で利用可能であってもよい。
この分析の原理は、例えば次のように適用されてもよい。
飛行機2は、機上に、種々の装置及び器具によって構成された多数の電気機器を有する。例えば、これらはモータや、コンピュータのような電子装置であり得る。これらの機器12の1つが図8に示されている。
飛行機の構造は、図8に示されたシートレール14のような金属製の構造部材を有する。飛行機は、同じ図に示されたクロスメンバ16のような複合材料製の構造部材も有する。
「複合材料」という用語は、少なくとも2つの非混和性材料(materiaux nonmiscible)であってそれにもかかわらず強い付着性(adhesion)を示すものの結合を意味するために、ここでは使われている。複合材料は、これに機械的強度を与える骨組み又は補強材、及び保護基材も有する。具体的には、基材はプラスチック材からできていてもよく、補強材はカーボンファイバーからできていてもよい。よって、材料はここではカーボンファイバー強化プラスチック材である。レール14は、クロスメンバ16上にあり、クロスメンバ16に直角に伸び、構造結合エレメント手段18によってクロスメンバ16に固定されている。
図7は、飛行機2に搭載された発電機20への機器12の接続方法を示す電気回路図である。ここで、発電機は単相型である。機器12は、回路図上ではそのインピーダンスZIで表されており、抵抗Rfを示すケーブル22のような導体手段によって発電機の正極に接続されている。機器12は、抵抗Rgを示すケーブル24のような接地導体によって発電機の負極へも接続されている。このケーブルはそれ自身、機器12の動作電流の帰還パスにおいて抵抗Rrを示す飛行機2のESN26に接続されている。これらのエレメントは、機器12の動作電流の帰還用の接地回路を構成しており、この回路は図7において28で参照される太線で表されている。これは、機器12の通常動作時に、発電機20によって出力された電流が流れ、機器12に電力を供給する、通常パスである。
この図は、直列に接続された機器12及びケーブル24を有するブランチ32と並列に伸びるブランチ30を示している。ブランチ30は、スイッチ34によって記号で表された短絡の可能性を示している。このような短絡時には、発電機20の正極からの電流は、少なくとも部分的にはブランチ30を経由して流れ、閉位置にあるスイッチを通り、抵抗Rbによって記号で示されたエレメント36を経由しESN26を経由する故障電流回路を流れる。
図8に示されているように、この例のエレメント36は、複合材料部品16に固定されたプレートのような金属エレメント42にそれ自身が接続されたケーブル手段40によって、機器12を複合材料部品16に接続することによって構成される。この固定は、それぞれがプレート42を通り部品16に入り込む、1つ以上のねじ43のような金属部材を用いることによって行われる。
図9に示されているように、各ねじ43は、部品16との締まりばめである。この目的のために、ねじ43は、部品16と接触する軸に沿って滑らかな円筒状の部分を特に呈する。このため、ねじ山45は、ねじの末端の部分に沿って、ねじの軸のわずかな部分にしか付けられていない。ねじは、ねじの挿入前に用意された、部品16の調整されたボア41に入る。具体的には、ねじ43の直径v及びボアの直径eは次の等式、
(v−e)/v≧0.0025
を満たす。
このような締まりばめにより、ねじの軸の面がボアの複合材料面に押し付けられるようにすることができる。このようにして、ねじとボアとの間で100メガパスカル(MPa)を越える接触圧を達成するように、ねじとこの部品との間で半径方向の圧力を確立する。この閾値は、ねじとこの部品との間の電気的接触抵抗を確実にほぼ一定かつ最小にするのに役立つ。
値0.0025により、接触抵抗を無視できる程度にすることを確実にすることができる。0.0030、更には0.0035に等しい最小値を用いることによって接触抵抗をより減少させることができる場合には、よりよい結果を得ることができる。もちろん、反対に、プラスチック材料の機械的強度の超過を避けるように、例えば0.0083を越えないように、比(v−e)/vを制限することが望ましい。
機器12は、上述のように部品16に電気的に接続されており、この部品は、レール14を経由して飛行機のESN26に接続されている。図7の回路に示されているエレメント36は、上述のようにこの例においてケーブル40、プレート42、ねじ43、及び、故障電流をもしあれば流す、部品16の部分によって構成されている。
上述のように、スイッチ34を閉じることによって記号で表される短絡が生じているときには、電流は、もはやブランチ32を流れず、ブランチ30を流れる。故障電流は、上述のように特に複合材料部品16を経由する回路に流れる。この故障電流回路44は、図7において破線で表されている。
図10及び11に示された変形例では、モニタリング装置手段46によって機器12を故障電流から保護することが認識され得る。このような装置の構造及び動作が、図10に三相型の電源の状況において示されている。原理は、それでもなお、単相電源の場合と同様のままである。機上の3相電源の3つのより線A,B及びCは、このように3つのブランチ48,50及び52を有する。装置46は、これらの3つのブランチが通る円環体54を有する。単相電源20が、ブランチx1で表されたその正端子とともに示され、グラウンドがブランチx2によって表されている。装置46は、中央制御モジュール47と、円環体54に巻かれ、モジュール47及びグラウンドの両方に接続された巻線56と、電源20及びモジュール47に接続されたコイル58とを有する。電力が供給されると、コイルは、ブランチA,B及びCのそれぞれに位置するスイッチ60を駆動し、ブランチのそれぞれを流れる電流を遮断する。
通常の動作状態では、この状態は均衡のとれた三相モードであり、相A,B及びCを流れる電流の和はゼロである。その結果、円環体54には磁束の流れは存在しない。したがってスイッチ60は閉じられ続ける。
故障時、例えばこの三相電源によって電力が与えられる負荷で短絡が生じた場合には、相A,B及びCを流れる電流の和は、もはやゼロでないので、円環体54には磁束が現れる。この磁束は巻線56に電流を誘導し、この電流はモジュール47に送られる。そして、モジュールは、スイッチ60を開くためにコイル58に電力が与えられるようにし、これにより電流がブランチA,B及びCを流れないようにする。
装置46は、コイル58に電力を与えるブランチと並列に伸びるテストブランチを有する。テストブランチは、電源20のブランチx1に接続され、ボタン61と、円環体54に巻かれた巻線62とを有する。この巻線は、グラウンドにも接続されている。ボタン61が押されると、巻線62に発電機20から電力が与えられ、これによって円環体54内に磁束を生じさせ、巻線56に電流を誘導する。前述のように、ブランチA,B及びCのそれぞれの電流の流れが遮断される。
図11は、機器12の接続の原理を示す。この機器には、抵抗Rf1及びRf2を有するケーブル22を経由して発電機20の正端子によって電力が与えられることがわかる。
通常動作においては、抵抗Rg1及びRg2を示すケーブル24を経由して電流が飛行機のグラウンドに流れる。モニタリング装置46は、これらのケーブル22及び24のそれぞれに取り付けられている。故障電流が存在する場合には、電流は、もはやケーブル22を経由しては流れず、抵抗Rbのエレメント36を含む故障回路を経由して流れる。
モニタリング装置46は、ケーブル22及び24のそれぞれのために各スイッチ60を有する。通常動作においては、ケーブル22及び24が電気を流すように、両スイッチは閉じられている。故障時には、電気はケーブル36の故障回路を経由して流れ、これにより、ケーブル22及び24によって流れる電流に不均衡が生じる。その結果、モニタリング装置46はスイッチ60を開かせ、これによって機器12と発電機との間のいずれの接続も遮断する。機器12はこのようにして保護される。
図10に示された原理は、電源のモード、すなわち、交流(AC)電源であるか直流(DC)電源であるかにかかわらず、適用可能である。
種々のエレメントの寸法及び特にスイッチ60の容量は、インピーダンスRbの関数として算出される。このインピーダンス自身は、ねじ43と部品16との間の接触抵抗の質、及びこの部品の抵抗に関連しており、この抵抗の大きさも、複合材料へ電流を流し込むには重要である。
同様に、この仕組みは、比較的高レベルの電流を連続して流すことができるようにする能力があるはずである。
例として、装置46は、機器12を構成する機器の電源経路の接触器(contacteurs)に配置されてもよい。しかし、このような実施形態には、機器のうちの1つだけに故障電流が生じている場合であっても、所定の接触器に接続された機器の全てへの電源を遮断してしまうという難点がある。
したがって、それぞれの機器のための装置46の機能を、その機器自身に実装することが好ましい。すると、機器のそれぞれに過電流から保護するための専用のモニタリング装置を提供することが可能になる。例として、モニタリング装置は、ソリッドステートの電力接触器の形態であり得る。
飛行機内の各機器は、飛行機の少なくとも1つの他の機器が接続されている部品とは異なる、又は1つの機器に専用の、部品16に接続され得、これらの機器もまた同じESNを用いる、ということが理解され得る。
このように適用することにより、故障電流の帰還のためのネットワークを複雑にすること、及び重量の増加を防ぐということが、理解され得る。
もちろん、本発明には、その範囲を超えることなく、多数の修正が適用され得る。
同一の部品に対しては行われていない測定を組み合わせることも可能である。
等式を組み合わせることによって接触抵抗が除去されることがわかっているので、前述の閾値未満の力で同じ動作を行うことが可能である。
ハウジング32は、必ずしも整列されている必要はない。
本発明は、抵抗値以外の大きさを求めるために、例えばコンダクタンス値やインピーダンス値を求めるために、用いられ得る。

Claims (10)

  1. 航空機の製造のための複合材料を電気的に分析する方法であって、
    複合材料で作られた少なくとも1つのテストピース(18; 18a,18b)に2つのスペーサー(16)を押し付け、
    前記スペーサー及び前記テストピースで形成されたアセンブリの電気抵抗値(R; R1,R2)を測定し、
    前記値から前記複合材料の電気抵抗値(RCFRP)を推定する
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記押し付けは、前記テストピース(18a,18b)に所定の閾値を超える接触圧が与えられるように、行われる
    請求項1の方法。
  3. 前記テストピース(18a,18b)において、スペーサー(16)の少なくとも1つと開口部(32)との間に締まりばめが実装されている
    請求項1又は2の方法。
  4. 前記スペーサーは、前記開口部の直径より大きな直径を呈し、前記スペーサーの直径c及び前記開口部の直径eは、次の等式、
    (c−e)/c≧0.0025
    を好ましくは満たす
    請求項3の方法。
  5. 前記押し付けは、同じ複合材料で作られた少なくとも2つのテストピース(18a,18b)に対して行われ、前記押し付けは、好ましくは、前記スペーサー(16)の1つの位置を変更せずに維持しながら、前記2つのテストピース(18a,18b)に対して連続して行われる
    請求項1〜4のいずれか1項の方法。
  6. 前記2つのテストピース(18a,18b)は、単一の部品(30)の部分を構成する
    請求項5の方法。
  7. 3つのスペーサー(16)が前記部品(30)上において互いに一直線上にある場所(32)に配置されている
    請求項6の方法。
  8. 航空機(2)を製造する方法であって、
    前記航空機は、請求項1〜7のいずれか1項による方法の手段によって及び前記方法によって求められる前記材料の電気抵抗値(RCFRP)を考慮することによって、それ自身が電気的に分析された複合材料手段によって製造され、
    好ましくは前記航空機の電気機器(112)は、前記複合材料で作られた部品(116)に接続され、
    前記航空機は、前記機器の故障電流回路(144)が前記部品を経由するように構成されている
    ことを特徴とする方法。
  9. 航空機(2)の製造に用いられる複合材料を電気的に分析する装置(10)であって、
    前記装置は、
    少なくとも2つのスペーサー(16)と、
    前記2つのスペーサーをテストピース(18,18a,18b)に押し付ける手段(12)と、
    前記スペーサー及び前記テストピースで構成されたアセンブリの電気抵抗値(RCFRP)を測定する手段(23,24,26)とを有する
    ことを特徴とする装置。
  10. 航空機(2)であって、
    請求項1〜7のいずれか1項による方法の手段によって電気的に分析される複合材料で作られた少なくとも1つの部品(16)を有し、
    前記部品に接続されており、それ自身の故障電流回路(144)が前記部品を経由するようになっている電気機器(112)を、好ましくは有する
    ことを特徴とする航空機。
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