JP2013500718A - 細胞リプログラミングを特徴付けかつこれを使用する方法 - Google Patents

細胞リプログラミングを特徴付けかつこれを使用する方法 Download PDF

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Abstract

開示されているのは無標識バイオセンサ及びこれを用いて幹細胞を監視し、幹細胞及び関連する細胞を分析する方法である。

Description

関連出願の相互参照
本願は、米国仮特許出願第61/230,398号(出願日2009年7月31日、発明の名称「細胞リプログラミングを特徴付けかつこれを使用する方法」)及び米国仮特許出願第61/230,801号(出願日2009年8月3日、発明の名称「細胞リプログラミングを特徴付けかつこれを使用する方法」)の利益を主張する。
発明の背景
開示された方法は、無標識バイオセンサの細胞経路と、幹細胞及び細胞リプログラミングを包括的に特徴付ける機能的プロファイリング方式と、に基づいている。
幹細胞の多用途性の故に、幹細胞は、研究並びに骨髄移植を用いた白血病及び関連した骨癌/血液癌の治療などの内科的治療において魅力的なものである。
過去数十年において幹細胞及び細胞リプログラミングにおける多くの進歩があったが、幹細胞及び細胞リプログラミングを効果的かつ確実に特徴付けるための課題は残されており、当該課題は、特に、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の生成、幹細胞の分化状態及び分化経路(すなわち系列)、及びリプログラムされた細胞とそのそれぞれのヒト細胞との間の比較である。
本明細書に開示されているのは、幹細胞及びiPSを特徴付け、バイオセンサを用いてこれらを互いに比較する方法である。いくつかの例において当該バイオセンサは無標識であってもよい。iPS細胞の品質及び性質は胚性幹(ES)細胞と比較されることができる。幹細胞及びiPSの分化経路及び分化段階は開示された方法を用いて特徴付けられることができる。バイオセンサは薬剤スクリーニングに使用されることもでき、当該薬剤スクリーニングは異なる種類の胚性幹細胞及びリプログラムされた細胞、さらに幹細胞から派生した細胞を使用する。
無標識細胞ベースアッセイは一般にバイオセンサを用いて生細胞におけるリガンド誘導された反応を監視する。バイオセンサは、典型的な場合、光学的トランスデューサ、電気的トランスデューサ、熱的トランスデューサ、音響的トランスデューサ、磁気的トランスデューサ、又はこれらと同様のトランスデューサのようなトランスデューサを使用して、分子認識事象又は当該バイオセンサに接触した細胞におけるリガンド誘導された変化を定量化可能なシグナルに変換する。
本明細書に開示されているのは、無標識バイオセンサの細胞経路と、幹細胞及び細胞リプログラミングを包括的に特徴付ける関数のプロファイリング方式と、に基づいた方法である。
さらに、本明細書に開示されているのは、細胞の運命を導きかつコントロールする小分子をスクリーニング検査する方法であり、当該小分子は特に幹細胞(ES、成体幹細胞、iPS細胞)から派生した神経細胞の機能を高める。
本明細書に開示されているのは、胚性幹細胞及び人工多能性幹細胞をリプログラムすることによって派生した細胞及び幹細胞を特徴付け、無標識の共鳴導波路回折格子型バイオセンサの細胞アッセイを使用して幹細胞の分化経路及び分化段階を判定する方法である。
さらに、本明細書に開示されているのは、一次細胞と胚性幹細胞及び人工多能性幹細胞をリプログラムすることによって派生したそれぞれの細胞との間の差を判定する方法である。
さらに、本明細書に開示されているのは、胚性幹細胞及び人工多能性幹細胞をリプログラムすることによって派生し細胞系を特徴付け、これら細胞系を薬剤スクリーニングに使用する方法である。
さらに、本明細書に開示されているのは、幹細胞及び人工多能性幹細胞の分化を導くことができる小分子をスクリーニング検査し、細胞の運命をコントロールする方法である。
図1は細胞リプログラミングを特徴付けるための無標識バイオセンサの細胞アッセイのフローチャートである。 図2は細胞リプログラミングを導きかつ細胞の運命をコントロールする分子をスクリーニング検査するための無標識バイオセンサの細胞アッセイのフローチャートである。 図3は幹細胞及びそのそれぞれの細胞(例えば一次細胞又は細胞株)をリプログラムすることによって派生した細胞を特徴付けるための無標識バイオセンサの細胞アッセイのフローチャートである。 図4はReNcell VMヒト神経前駆細胞の細胞株(ReNcell)のドーパミン作動性ニューロンへの分化に対するその場での分化プロトコルのフローチャートである。 図5は分化過程におけるラミニンコートのEpic(登録済み)バイオセンサのマイクロプレート上のReNcellの光学顕微鏡による位相差画像である。 図6は神経前駆細胞の幹細胞のリプログラミングによって形成された神経細胞系の蛍光画像である。ReNcellはドーパミン作動性ニューロンへ分化され、かつ4つの異なるマーカで染色されている。当該染色は、(A)ベータ3チューブリン(ニューロンのマーカ)、(B)GFAP(アストロサイトのマーカ)、(C)O1(オリゴデンドロサイトのマーカ)、(D)チロシンヒドロキシラーゼ(ドーパミン作動性ニューロンのマーカ)、(E)ベータ3チューブリン(ニューロンのマーカ)、及び(F)チロシンヒドロキシラーゼとベータ3チューブリンとの重合による染色である。染色剤は対応する抗体を使用して運ばれる。 図7はヒトの神経前駆細胞のリプログラミングによって生成された神経細胞系の無標識RWGバイオセンサを用いたドーパミン受容体プロファイリングである。(A)は16マイクロモルにおけるD2アゴニストPD12897のDMRシグナルであり、(B)は16マイクロモルにおけるD1アゴニストA68930のDMRシグナルであり、(C)は128マイクロモルにおける非選択性ドーパミン受容体のアゴニストドーパミンのDMRシグナルであり、(D)はドーパミンの用量依存反応である。ネガティブコントロールのDMRシグナル(すなわちアッセイバッファのみを加えた場合の細胞系の反応)も(A−C)に含まれている。 図8はリプログラミング段階及びヒトの幹細胞の系列(例えばReNcell VMヒト神経前駆細胞の細胞株)を特徴付けるためのバイオセンサのマルチチェックポイントの細胞プロファイリング方式を示す典型例である。(A)は2つの異なる表面(ラミニンコートのバイオセンサ表面及び組織培養処理されたバイオセンサ表面)のReNcell VMヒト神経前駆細胞の接着であり、(B−D)は3つの異なるタイムポイントでの128マイクロモルにおけるドーパミンのDMRシグナルであり、(B)はラミニンコートのバイオセンサ表面への細胞付着から3時間経過後であり、(C)は未分化状態でのラミニンコートの表面上における培養から4日経過後であり、(D)は分化された状態での培養から10日経過後である。対応する状態でのネガティブコントロールのDMRシグナル(すなわちアッセイバッファのみを加えた場合の細胞系の反応)も(B−D)に含まれている。 図9はリプログラミング段階及びヒトの幹細胞の系列(例えばReNcell VMヒト神経前駆細胞の細胞株)を特徴付けるためのバイオセンサの細胞プロファイリング方式を示す典型例である。(A−L)はマーカパネルを用いて刺激された場合にReNcell VMヒト神経前駆細胞の細胞株から派生した分化されかつ成熟した神経細胞系の、それらの未分化のReNcellと比較したDMRシグナルであり、(A)はアセチルコリン(10μM)であり、(B)はアデノシン(10μM)であり、(C)はATP(10μM)であり、(D)はスペルミン(10μM)であり、(E)はダイノルフィンA(10μM)であり、(F)はエンドセリン1(10μM)であり、(G)は神経ペプチドB−23(NPB−23、10μM)であり、(H)はオレシンA(10μM)であり、(I)はSFLLR−アミド(10μM)であり、(J)はUDP(10μM)であり、(K)は神経ペプチド(10μM)であり、(L)は血管作動性腸管ペプチド(10μM)である。未分化のReNcellと分化されたReNcellとの間のリガンドの各々のDMRシグナルにおける変化はドーパミン作動性ニューロンへのReNcell分化系列の読み出しとして使用されることができる。 図10はリプログラミング段階及びヒトの幹細胞の系列(例えばReNcell VMヒト神経前駆細胞の細胞株)を特徴付けるためのバイオセンサの細胞プロファイリング方式を示す典型例である。(A−F)はマーカパネルを用いて刺激された場合にReNcell VMヒト神経前駆細胞の細胞株から派生した分化されかつ成熟した神経細胞系の、それらの未分化のReNcellと比較したDMRシグナルであり、(A)はADP(10μM)であり、(B)はドーパミン(10μM)であり、(C)はGABA(10μM)であり、(D)はアペリン(10μM)であり、(E)はアルファ−メラニン刺激ホルモン(10μM)であり、(F)は血小板成長因子(10μM)である。未分化のReNcellと分化されたReNcellとの間のリガンドの各々のDMRシグナルにおける変化はドーパミン作動性ニューロンへのReNcell分化系列の読み出しとして使用されることができる。 図11はリプログラミング段階及びヒトの幹細胞の系列(例えばReNcell VMヒト神経前駆細胞の細胞株)を特徴付けるためのバイオセンサの細胞プロファイリング方式を示す典型例である。(A−H)はマーカパネルを用いて刺激された場合にReNcell VMヒト神経前駆細胞の細胞株から派生した分化されかつ成熟した神経細胞系の、それらの未分化のReNcellと比較したDMRシグナルであり、(A)はアンジオテンシンII(10μM)であり、(B)はグルカゴン様ペプチド(128μM)であり、(C)はリゾホスファチジン酸(10μM)であり、(D)はニューロテイン(neurotein)(10μM)であり、(E)はサブスタンスP(10μM)であり、(F)はチラミン1(10μM)であり、(G)はUTP(10μM)であり、(H)はウロテンシン(10μM)である。未分化のReNcellと分化されたReNcellとの間のリガンドの各々のDMRシグナルにおける変化はドーパミン作動性ニューロンへのReNcell分化系列の読み出しとして使用されることができる。 図12はリプログラミング段階及びヒトの幹細胞の系列(例えばReNcell VMヒト神経前駆細胞の細胞株)を特徴付けるためのバイオセンサの細胞プロファイリング方式を示す典型例である。(A−F)はマーカパネルを用いて刺激された場合にReNcell VMヒト神経前駆細胞の細胞株から派生した分化されかつ成熟した神経細胞系の、それらの未分化のReNcellと比較したDMRシグナルであり、(A)は8−CPT−2−Me−cAMP(10μM)であり、(B)はホルスコリン(10μM)であり、(C)はMAS−7(10μM)であり、(D)は740Y−P(10μM)であり、(E)はL783281(10μM)であり、(F)はPMA(10μM)である。未分化のReNcellと分化されたReNcellとの間のリガンドの各々のDMRシグナルにおける変化はドーパミン作動性ニューロンへのReNcell分化系列の読み出しとして使用されることができる。
本開示の様々な実施例は図面を参照して詳細に説明され、図示されていない場合もある。様々な実施例についての説明は本開示の範囲を制限せず、本開示の範囲は特許請求の範囲のみによって制限される。さらに、本明細書において説明されている例は限定的なものではなく、本発明の多くの実施例の一部を説明しているに過ぎない。
定義
1.「不定冠詞(A)」
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、明記されていない限り「不定冠詞」の用語は複数の場合を含む。従って、例えば、「PKC(プロテインキナーゼC)活性剤」についての説明においては2つ以上の当該活性剤の混合物等を含む。
2.「短縮形(Abbreviations)」
当業者にとって周知である短縮形(例えば時間(単数又は複数)に対して「h」又は「hr」、グラム(単数又は複数)に対して「g」又は「gm」、ミリリットルに対して「mL」、室温に対して「rt」、ナノメートルに対して「nm」、モルに対して「M」など)が使用されることがある。
3.「約(About)」
修飾することについて、例えば材料の配合量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流量、圧力及びこれらと同様の値、並びにそれらの範囲であって、本開示の実施例の説明に用いられているものは、数量の変動を生ずることがあり、これは、例えば、典型的な場合、合成物、組成物、濃縮物の作成又は製剤の使用において用いられる測定手順及び取扱手順によって、これら手順における不注意な誤りによって、製品、ソース、又は前記方法を実行するのに使用される出発物質若しくは出発材料の純度の差によって、及びこれらと同様の考慮事項によって生ずる。用語「約」は、特定の初期濃度又は初期混合の状態の組成物又は製剤の老化の故に異なる量を包含し、さらに、特定の初期濃度又は初期混合の状態の組成物又は製剤を混合する又は処理することによる異なる量を包含する。用語「約」によって修飾されているかどうかに関わらず、特許請求の範囲はこれら量に均等な量を含む。
4.「細胞パネルに亘って(across the panel of cells)」及び「マーカパネルに対して(against the panels of markers)」
語句「細胞パネルに亘って」及び「マーカパネルに対して」は、細胞パネルにおける各細胞の分子作用の一次プロファイルを分析する体系的なプロセスをいい、同様に、マーカパネルを変調する分子の変調プロファイルを分析する体系的なプロセスをいう。マーカ/細胞のペアにおいて、当該プロセスがスタートし、初めに細胞型の各々とは無関係に作用する分子の一次プロファイルを分析し、次に同じ細胞における分子の存在下でマーカの二次プロファイルを分析する。用語「対して」は、特にマーカ誘導されたバイオセンサの反応を変調する分子の能力を明らかにするのに使用される。
5.「別の期間(another periodof time)」
「別の期間」又は「延長された期間」又はこれらと同様の用語は、ある期間後又はあるプロセス後に後続して発生する期間をいう。当該期間は、10分から、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間、2日、5日、10日、20日、又は30日まで、大幅に変動してもよい。
6.「抗ドーパミン抗体(anti‐dopamine antibody)」
「抗ドーパミン抗体」又は他の「抗原」抗体(各組成物に対する抗体及びアーティクルは本明細書に詳細に説明されている)は、同種の「抗原」に結合する抗体をいう。従って、例えば、抗ドーパミン抗体はドーパミンに結合する抗体である。開示されているのは、単クローン性、多クローン性のものであり、同様にマウス、ラット、及びヒトなどの霊長類のような、動物のヒト化抗体、キメラ化抗体、及び改変抗体である。
7.「アッセイすること(Assaying)」
アッセイすること(Assaying)、アッセイする(Assay)、又はこれらと同様の用語は分子又は細胞などの物質の特徴を判定するための分析をいい、当該特徴は、例えば、リガンド又はマーカなどの1つ以上の外因性刺激剤に刺激された場合の、細胞の存在、細胞の欠如、細胞の量、細胞の広がり、細胞の反応速度、細胞のダイナミクス、又は細胞の型の、光学的又は生体インピーダンス反応である。刺激剤に対する細胞反応のバイオセンサシグナルを生成することがアッセイであってもよい。
8.「反応をアッセイすること(Assaying the response)」
「反応をアッセイすること(Assaying the response)」又はこれと同様の用語は、反応を特徴付ける手段を使用することを意味する。例えば、分子が細胞に接触される場合、バイオセンサが使用されて分子に対する暴露の際の細胞の反応をアッセイする。
9.「貼付ける(Attach)」
「貼付ける(Attach)」、「貼付(Attachment)」、「付着する(adhere)」、「付着された(adhered)」、「付着(adherent)」、「固定化された(immobilized)」、又はこれらと同様の用語は概して固定すること又は凝固させることをいい、当該用語は、例えば、本開示の表面修飾物質、相溶化剤、細胞、リガンド候補分子、及びこれらと同様の実体物を、表面へ、物理吸収、化学結合、及びこれらと同様のプロセス、又はこれらの組合せなどによって、固定すること又は凝固させることをいう。特に、「細胞貼付」、「細胞付着」、又はこれらと同様の用語は、細胞固定材料、相溶化剤(例えばフィブロネクチン、コラーゲン、ラミニン、ゼラチン、ポリリシンなど)、若しくはその両方を用いた培養物又は細胞固定材料、相溶化剤、若しくはその両方との相互作用による、細胞の表面との相互作用又は細胞の表面への接着をいう。「付着細胞」、「固定化細胞」、又はこれらと同様の用語は、原核細胞又は真核細胞などの細胞、細胞株、又は細胞系であって、基質の外部表面に結合された状態か、基質の外部表面に固定化された状態か、基質の外部表面に確実に接触した状態のものをいう。このような細胞型は、培養後において、付着を維持しながら、多くの細胞ベースのアッセイに必須である洗浄プロセス及び培地交換プロセスを耐える又は乗り越えることができる。
10.「バイオセンサ(Biosensor)」
バイオセンサ又はこれと同様の用語は、検体を検出するデバイスであって、生物学的コンポーネントを物理化学的検出コンポーネントに結合したものをいう。バイオセンサは典型的な場合3つの部分からなり、当該3つの部分は、生物学的コンポーネント又は要素(組織、微生物、病原体、細胞、又はこれらの組合せ)と、検出要素(光学的、圧電的、電気化学的、温度的、又は磁気的などの物理化学的な手法において機能するもの)と、これらコンポーネントの両方に関連したトランスデューサと、である。当該生物学的コンポーネント又は要素は、例えば生細胞、病原体、又はこれらの組合せであってもよい。実施例において、光学的バイオセンサは光学的トランスデューサを含むことができ、これによって、生細胞における分子認識事象又は分子刺激事象を定量化可能なシグナルに変換する。
11.「バイオセンサインデックス(Biosensor Index)」
「バイオセンサインデックス」又はこれと同様の用語は、バイオセンサデータの一群からなるインデックスをいう。バイオセンサインデックスは一次プロファイル又は二次プロファイルなどのバイオセンサプロファイルの一群であってもよい。当該インデックスにはデータの任意のタイプが含まれることができる。例えば、プロファイルのインデックスには単にN−DMRデータ点が含まれることができ、当該インデックスはP−DMRデータ点であってもよく、若しくはその両方、又はインピーダンスデータ点であってもよい。当該インデックスはプロファイル曲線に関する全てのデータ点であってもよい。
12.「バイオセンサプロファイル(Biosensor profile)」
「バイオセンサプロファイル」又はこれと同様の用語は、バイオセンサを使用して得られた分子を用いて刺激された場合の生細胞のプロファイルをいう。
13.「バイオセンサ反応(Biosensor Response)」
「バイオセンサ反応(Biosensor Response)」、「バイオセンサ出力シグナル(biosensor outputsignal)」、「バイオセンサシグナル(biosensor signal)」、又はこれらと同様の用語は、細胞を有するセンサシステムの細胞反応に対する任意の反応をいう。バイオセンサは細胞反応を定量化可能なセンサ反応へ変換する。バイオセンサ反応は、刺激された際のフォトニック結晶型バイオセンサを含むRWGなどの光学的バイオセンサによって測定された光学的反応、SPRすなわち刺激された細胞の電気的バイオセンサによって測定された生体インピーダンス反応、又は刺激された細胞の音響的バイオセンサによって測定された音響的反応である。バイオセンサ反応は刺激された際の細胞反応に直接関連しているため、開示された実施例において、バイオセンサ反応及び細胞反応は同じ意味で使用されることができる。
14.「バイオセンサシグナル(biosensor signal)」
「バイオセンサシグナル」又はこれと同様の用語は、バイオセンサを用いて測定された細胞のシグナルであって、刺激された際の細胞反応によって生成されたものをいう。
15.「バイオセンサ表面(Biosensor surface)」
バイオセンサ表面又はこれと同様の用語は、バイオセンサの任意の表面であって、当該表面上において培養された細胞を有することができる表面をいう。バイオセンサ表面は、組織培養処理されているか、細胞外マトリクス材料(例えばフィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、又はこれと同様のもの)にコーティングされているか、合成材料(例えばポリリシン)にコーティングされていてもよい。
16.「細胞(Cell)」
細胞又はこれと同様の用語は、半透膜によって外部を囲まれた原形質の小さく通常は顕微鏡でしか見ることができない原形質のかたまりをいい、細胞は選択的に1つ以上の核及び様々なオルガネラを含み、細胞は生命体の全ての基本的な働きを単独で又は他の同様のかたまりと相互作用して行うことができ、細胞は独立して働くことができる生命体の最小の構造単位を形成し、細胞は人工の細胞構造、細胞モデルシステム、及び同様の人工細胞系を含む。
細胞は異なる細胞型を含むことができ、当該細胞型は例えば、特定の疾患に関する細胞、特定の起源に由来する細胞型、特定の標的に関する細胞型、又は特定の生理機能に関する細胞型である。さらに、細胞は、ネイティブな細胞、人工の細胞、形質転換細胞、不死化細胞、一次細胞、胚性幹細胞、成体幹細胞、癌幹細胞、又は細胞から派生した幹細胞であってもよい。
ヒトは約210の既知な異なる細胞型からなる。当該細胞型の数はほぼ無限であり、どのように細胞が準備されるか(例えば、人工的に作り出された、形質転換された、不死化された、又はヒトの体から新鮮分離されたなど)と、どこで(例えば、異なる年齢のヒトの体又は異なる病期のヒトの体など)細胞が得られたかが考慮される。
17.「細胞培養する(Cell culture)」
用語「細胞培養する(Cell culture)」又は「細胞培養すること(Cellculturing)」は、原核細胞又は真核細胞がコントロールされた状態で生育されるプロセスをいう。「細胞培養」は、多細胞真核生物、特に動物細胞から派生した細胞の培養だけでなく、複合組織及び複合器官の培養もいう。
18.「細胞運命(Cell fate)」
「細胞運命」又はこれと同様の用語は、細胞がコミットされている分化された状態又はリプログラムされた状態をいう。
19.「細胞運命の決定(Cell fatedetermination)」
「細胞運命の決定」又はこれと同様の用語は、特定の細胞分化経路をたどるための細胞のリプログラミングをいう。当該細胞は不可逆的に特定の状態にコミットされる。
20.「細胞パネル(Cell panel)」
「細胞パネル」又はこれと同様の用語は、少なくとも2つの細胞型からなるパネルをいう。細胞は本明細書に開示されている任意の型又は組合せであってもよい。
21.「細胞系(Cell system)」
「細胞系」又はこれと同様の用語は、2つ以上の細胞型を有する細胞パネルをいう。異なる細胞型が互いに生理学的又は病態生理学的に関連していてもよい。例えば、細胞系は「ドーパミン作動性神経細胞であるアストロサイト及びオリゴデンドロサイトからなる分化されたニューロン」を含むことができる。
22.「細胞経路プロファイリング(Cellular pathway profiling)」
「細胞経路プロファイリング」又はこれと同様の用語は少なくとも1つの細胞プロファイルを得ることをいい、当該プロファイルは細胞における特定のシグナル経路の情報を提供する。このプロセスは、一次プロファイルの生成などの無標識バイオセンサのプロファイルを生成するために本明細書に開示されている任意のツール、組合せ、又は手段を使用することができる。
23.「細胞プロファイリング(Cell profiling)」
「細胞プロファイリング」又はこれと同様の用語は少なくとも1つの細胞プロファイルを得ることをいい、当該プロファイルは細胞の情報を提供する。このプロセスは、二次プロファイルの生成などの無標識バイオセンサのプロファイルを生成するために本明細書に開示されている任意のツール、組合せ、又は手段を使用することができる。
24.「チェックポイント(Checkpoint)」
「チェックポイント」又はこれと同様の用語は、プロファイルを得るなどの作用が行われ得る場合におけるバイオセンサアッセイ中の任意のポイントをいう。「チェックポイント」又はこれと同様の用語はn個のチェックポイントをいう。「第1」チェックポイント、「第2」チェックポイント、「第3」チェックポイントなどは、続きのチェックポイント又は異なるチェックポイントをいう。
25.「チェックポイント一次プロファイル(Check point primary profile)」
チェックポイント一次プロファイルなどの「チェックポイントプロファイル」又はこれと同様の用語は、タイムポイント又は条件ポイントなどのチェックポイント又はその周辺で得られた細胞における分子作用のプロファイルをいう。
26.「細胞接着プロファイル(Cell adhesion profile)」
「細胞接着プロファイル」又はこれと同様の用語は、細胞が特定の界面化学を有するバイオセンサに接着されている際に得られるプロファイルをいう。接着プロファイルは、好ましくは、細胞のバイオセンサへの配置から0.1分未満、0.5分、0.7分、1分、2分、3分、4分、5分、10分、20分の範囲において得られる。
27.「候補リプログラミング分子(Candidate reprogramming molecule)」
用語「候補リプログラミング分子」は分子をいい、当該分子は細胞又は幹細胞のリプログラミングを変調、指示、又は制限する分子であってもよい。
28.「細胞リプログラミングプロファイリング(Cell reprogramming profiling)」
「細胞リプログラミングプロファイリング」又はこれと同様の用語は、条件セットにおける細胞のバイオセンサプロファイルを得ることをいい、当該条件セットは細胞のリプログラミングであってもよい。
29.「細胞背景(Cellular background)」
「細胞背景」又はこれと同様の用語は、特定の状態を有する細胞型をいう。例えば、異なる細胞型は異なる細胞背景(例えば差次的発現又は細胞受容体の組織)を有する。同じ細胞型でも異なる状態を有するものは異なる細胞背景を有する。同じ細胞型の異なる状態は、培養によって(例えば細胞周期を停止された状態、増殖状態、又は休眠状態)又は処理によって(例えば異なる薬剤処理された細胞)得られることができる。
30.「細胞プロセス(Cellular process)」
細胞プロセス又はこれと同様の用語は細胞内において又は細胞によって行われるプロセスをいう。細胞プロセスの例は、増殖、アポトーシス、壊死、分化、細胞シグナル変換、極性変化、移動、又は形質転換を含むが、これらに限定されない。
31.「細胞反応(Cellular Response)」
「細胞反応」又はこれと同様の用語は細胞の刺激に対する任意の反応をいう。
32.「細胞標的(Cellular target)」
「細胞標的」又はこれと同様の用語はタンパク質又は核酸などのバイオポリマであって、当該バイオポリマの活動が外部刺激によって変形されることができるものをいう。細胞標的は、酵素、キナーゼ、イオンチャネル、及び受容体のような最も普及しているタンパク質である。
33.「コンポーネント(Components)」
開示されているのは、開示された組成物を準備するのに使用されるコンポーネントと、本明細書に開示された方法の範囲内において使用される組成物自身と、である。これら及び他の材料は本明細書に開示されており、さらに、これら材料の組合せ、サブセット、相互作用、グループなどが開示されている。様々な個別及び集合した組合せ並びにこれら分子の置換の各々の特定の説明は明確に開示されていない場合があるが、それぞれ詳細に検討されかつ本明細書に説明されているものとする。従って、分子クラスA、B、及びCと、分子クラスD、E、及びFと、が開示され、分子の組合せ例であるA−Dが開示されているならば、全てが個別に列挙されていなくてもその各々は個別かつ集合的に検討されており、組合せすなわちA−E、A−F、B−D、B−E、C−D、C−E、及びC−Fは考慮され開示されていることを意味する。同様にこれらのサブセット又は組合せも開示されているものとする。従って、例えば、A−E、B−F、及びC−Eのサブグループは考慮され開示されているものとする。この概念は、開示された組成物を作成及び使用する方法におけるステップ(これに限定されない)を含む本願の全ての態様に適用する。従って、実現可能な様々なさらなるステップが存在し、当該ステップの各々は開示された方法の特定の実施例又は実施例の組合せを用いて実現されることができる。
34.「合成物(Compounds)」及び「組成物(compositions)」
合成物及び組成物は当該技術分野において標準的な目的を有している。分子、物質、マーカ、細胞、又は試薬などの特定の指定物の組成物は、常に、開示されているこれら指定物を含み、これら指定物で構成され、かつ基本的にこれら指定物で構成されているものとする。従って、特定の指定マーカが使用されている場合、当該マーカを含む組成物、当該マーカで構成されている組成物、又は基本的に当該マーカで構成されている組成物も開示されているものとする。適切な特定の指定物が作成される場合は、常に、当該指定物の合成物も開示されているものとする。例えば、PI3K活性剤などの特定の生物学的材料が開示されているならば、合成物の形式でのPI3K活性剤も開示されているものとする。
35.「含む(Comprise)」
本願の明細書及び特許請求の範囲を通して、単語「含む」及び「含んでいる」などの当該単語の変形は、「含むがこれに限定されない」という意味であり、例えば他の添加物、コンポーネント、整数、又はステップを除外するという意味ではない。
36.「基本的に構成されている(Consisting essentially of)」
実施例において「基本的に構成されている」とは、例えば、表面組成物と、バイオセンサの表面において表面組成物、製剤、又は組成物を作成又は使用する方法と、本開示のアーティクル、デバイス、装置と、が特許請求の範囲に記載されたコンポーネント又はステップに加えて他のコンポーネント又はステップを含むことができることをいう。当該他のコンポーネント又はステップとは、開示されているものを作成及び使用する組成物、アーティクル、装置、及び方法の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を与えないものであり、例えば、特定の反応物質、特定の添加物又は材料、特定の作用物質、特定の細胞又は細胞株、特定の表面変更物質又は表面条件、特定のリガンド候補、若しくはこれらと同様の構造、材料、又は選択された変更可能なプロセスである。開示されたコンポーネント若しくはステップの基本的な特徴に実質的に影響を与え得るもの又は本開示に好ましくない特徴を与え得るものとは、例えば、バイオセンサ表面に対して低い細胞親和性のもの、細胞表面受容体又は細胞内受容体において刺激されると異常な親和性を有するもの、リガンド候補に対する反応における異常な若しくは逆の細胞活性剤又は同様の刺激剤、及びこれらと同様の態様である。
37.「特徴付けること(Characterizing)」
特徴付けること又はこれと同様の用語は、リガンド、分子、マーカ、又は細胞などの物質の特徴に関する情報を収集することをいい、例えばリガンド、分子、又は細胞に対するプロファイルを得ることをいう。
38.「接触させること(Contacting)」
接触させること又はこれと同様の用語は、近接した状態であって分子間相互作用が可能な場合に分子間相互作用が行われることができるような状態に至らせることをいい、当該分子間相互作用は、アーティクル(単数又は複数)又は機序を用いて、少なくとも、2つの分子、細胞、マーカなどの少なくとも2つの物質間において行われるか、合成物又は組成物において行われるか、2つの組成物間において行われるか、これらの任意のものにおいて行われる。例えば、接触させることは、少なくとも2つの組成物、分子、アーティクル、又は物質を接触すなわちこれらが混合又は接触するように近接している状態にさせることをいう。例えば、組成物Aの溶剤と培養された細胞Bとを有しており、組成物Aの溶剤を培養された細胞Bに注入することは、組成物Aの溶剤を培養された細胞Bに接触させることである。細胞とリガンドを接触させることは、リガンドを、細胞に対して、当該細胞が当該リガンドに接続した状態を保証するような状態に至らせることである。
本明細書に開示されているいずれのものも他のものに接触することができる。例えば、細胞はマーカ又は分子、バイオセンサ、及び他のものに接触することができる。
39.「コントロール(Control)」
用語「コントロール(Control)」、「コントロールレベル(Control levels)」、「コントロール細胞(Control cells)」、又はこれらと同様の用語は基準として定義され、これによって変化が測定される。例えば、コントロールは実験によるものではなく定義されたパラメータセットによるものであり、換言すればコントロールは前処理レベル又は後処理レベルに基づいている。コントロールは、テストランと並行して実行されるか、テストランの前に実行されるか、テストランの後に実行され、あるいはコントロールは所定の基準であってもよい。例えば、コントロールは、主題、目的、又は試薬などが実験と並行して処理された場合における実験結果をいうことができ、ただし当該実験からはテスト用に省略された手順、因子、又は変数などが除かれており、これらは実験効果を判断する際の比較基準として使用される。従って、コントロールは手順、因子、又は変数などに関する効果を判定するのに使用されることができる。例えば、細胞におけるテスト分子の効果が問題となっている場合、(a)単に当該分子の存在している細胞の特徴を記録すること、又は(b)上記aを実行した後に、既知の活性を有する若しくは不活性のコントロール分子又はコントロール組成物(例えばアッセイバッファ溶剤(賦形剤))を追加し、コントロールに対するテスト分子の効果を比較することができる。特定の状況において、一旦コントロールが実行されると当該コントロールは基準として使用されることができ、コントロール実験は再度実行される必要はなく、他の状況においては、比較が行われる度にコントロール実験が並行して実行されるべきである。
40.「定義された経路(Defined pathway)(単数又は複数)」
「定義された経路」又はこれと同様の用語は特定の経路をいい、例えば、Gq経路、Gs経路、Gi経路、EGFR(上皮成長因子受容体)経路、PI3K経路、EPAC(cAMPによって直接活性化された交換タンパク質)経路、又はPKC(プロテインキナーゼC)経路である。
41.「検出(Detect)」
検出又はこれと同様の用語は開示された装置及び方法の能力をいい、これによって分子誘導された細胞反応を発見又は感知し、かつ異なる分子に対して感知された反応を識別する。
42.「決定因子(Determinant)」
「決定因子」又はこれと同様の用語は細胞運命を制限又は導く物質、合成物、又は分子をいう。
43.「分化(Differentiation)」
用語「分化」又はこれと同様の用語は系列コミットメントの成長的プロセスをいう。「系列(lineage)」又は「経路(Path)」は細胞の成長経路をいい、当該経路において、先駆細胞又は「前駆」細胞は次第に生理学的変化をし、特性関数を有する特定の細胞(例えば、神経細胞、筋細胞、内皮細胞)となる。分化は段階的に起こり、これによって、細胞は最終分化とも呼ばれる成熟状態まで徐々に特定されていく。「最終分化細胞」は、特定の系列へコミットされ、かつ分化の最終段階に達した細胞(すなわち成熟した細胞)である。
44.(薬剤候補分子又は他の分子、合成物若しくは組成物の)「直接作用(Directaction)」
「直接作用」又はこれと同様の用語は細胞の作用結果(薬剤候補分子のもの)をいう。
45.「DMRインデックス(DMR Index)」
「DMRインデックス」又はこれと同様の用語は、DMRデータの集合からなるバイオセンサインデックスをいう。
46.「DMR反応(DMR response)」
「DMR反応」又はこれと同様の用語は、光学的バイオセンサを使用したバイオセンサ反応をいう。DMRは動的総体的再分布すなわち動的な細胞物質の再分布をいう。P−DMRはポジティブなDMR反応であり、N−DMRはネガティブなDMR反応であり、PR−DMRは回復したP−DMR反応である。
47.「DMRシグナル(DMR signal)」
「DMRシグナル」又はこれと同様の用語は、光学的バイオセンサを用いて測定された細胞シグナルであって刺激された細胞の反応によって生成されたものをいう。
48.「ドーパミン作動性ニューロン保護剤(Dopaminergic neuron protective agent)」
「ドーパミン作動性ニューロン保護剤」又はこれと同様の用語は、ドーパミン毒性に由来するニューロンを保護する分子などの因子をいう。その例は本明細書に開示されている。
49.「薬剤候補分子(Drug candidatemolecule)」
薬剤候補分子又はこれと同様の用語は、薬剤又はファーマコフォアとしての機能的能力をテストされるテスト分子をいう。この分子は鉛分子と考慮されてもよい。
50.「初期培養(Early culture)」
初期培養又はこれと同様の用語は培養中の細胞の相対的な状態をいい、これはしばしば細胞周期の段階又は複製期間に関する。初期培養は細胞倍増期間以下の期間内における細胞培養である。
51.「エフィカシ(efficacy)」
エフィカシ又はこれと同様の用語は、理想的又は最適な条件下での所望の効果サイズを生成する能力をいう。ここで、エフィカシは、現実の条件下での変化に関する有効性の関連概念と区別されるものである。エフィカシは、分子レベル、細胞レベル、組織レベル、又はシステムレベルにおける反応を起こす能力と受容体占有率との間の関係である。
52.胚性幹細胞及び関連する用語
a)「幹細胞(Stem cell)」
「幹細胞」又はこれと同様の用語は、非最終分化細胞であって、生体内又は生体外において基本的に無限に増殖するなどの増殖可能なものと、他の細胞型へ分化可能なものと、である。これは、特定の分化された細胞型、コミットされた細胞型、未熟な細胞型、前駆細胞型であるか、単離された組織内に存在する成熟した細胞型であるか、例えば造血細胞などの一般の前駆細胞から派生した赤血球及びリンパ球のような劇的に分化された細胞であってもよく、あるいは幹細胞が得られた組織とは全く異なる組織内の任意の段階における細胞型であってもよい。例えば、血液幹細胞は脳細胞又は肝細胞となることができ、神経肝細胞は血液細胞となることができ、幹細胞は変化することがある。
b)「多能性幹細胞(Pluripotential stem cell)」及び「多能性(pluripotency)」
多能性幹細胞及びこれと同様の用語は、幹細胞であって、少なくとも倍増回数が10回、いくつかのケースではより大幅に長く、例えば20回、30回、又は50回以上、さらにいくつかのケースでは一見すると無限に分裂することができ、かつ3つの胚葉性細胞である中胚葉性細胞、内胚葉性細胞、及び外胚葉性細胞へ分化することができるものをいう。明らかになっている多能性幹細胞の特定の例は、胚性幹細胞、胚性生殖細胞、誘導多能性幹細胞である。特定のケースにおいて、多能性幹細胞は動物モデルにおいて奇形腫を形成することができる。
「多能性」又はこれと同様の用語は、3つの胚葉のいずれかに分化する可能性を有している細胞をいう。当該3つの胚葉は、内胚葉(胃内膜の内部、消化管、肺)と、中胚葉(筋肉、骨、血液、泌尿生殖器)と、外胚葉(表皮組織、神経系)と、である。多能性細胞は任意の胎児細胞型又は成体細胞型を発生させることができる。
c)「胚性幹細胞(ES細胞)(Embryonic stem cell)」
用語「胚性幹細胞」(ES)又はこれと同様の用語は、胚盤胞期胚から単離及び分化された多能性細胞をいう。ES細胞は多能性であり、この能力によって3つの一次胚葉である外胚葉、内胚葉、及び中胚葉の全ての派生物へ分化する。分化に対する刺激が与えられない場合(すなわちインビトロ成長された場合)、細胞は多重細胞分裂を通して多能性を保持する。胚性幹細胞(ES細胞)は胚盤胞期胚の内細胞塊から派生した多能性細胞である。ES細胞は多能性である。分化に対する刺激が与えられない場合(すなわちインビトロ成長された場合)、ES細胞は多重細胞分裂を通して多能性を保持する。その自己再生に対する潜在的に無限の能力及び柔軟性により、ES細胞は、成長及び疾患をモデル化し、かつ細胞置換療法を発展させる強力なツールとなる。これら細胞は広範囲に亘って研究され特徴付けられてきた。実際に、ES細胞は形質転換動物を作り出すのに通常使用されている。ES細胞が与えられて、インビトロにおいてリンパ球幹細胞(Potocnikら、1994、EMBO J.、 vol 13(22)、 5274 83)及び神経細胞を含む複数の細胞型に分化されている。ES細胞は多くの段階特有のマーカによって特徴付けられており、当該マーカは、例えば、段階特有の胚性マーカ3及び4(SSEA−3及びSSEA−4)、高分子量の糖タンパク質TRA−1−60、TRA−1−81、及びアルカリホスファターゼ(Andrewsら、1984、Hybridoma、vol3、347 361、Kannagiら、1983、EMBO J.、vol2、2355 2361、Foxら、1984、Dev. Biol.、vol103、263 266、Ozawaら、1985、Cell. Differ.、vol16、169 173)である。
d)「誘導多能性幹細胞(iPS細胞)(Induced pluripotent stem cells)」
誘導多能性幹細胞(iPS細胞)は、非多能性細胞(例えば線維芽細胞)から人工的に派生された多能性幹細胞の1つのタイプであり、典型的な場合成体の体細胞であり、当該体細胞は、特定の遺伝子の「強制的な」発現を誘導することによるものか、タンパク質を直接リプログラムすることによるものか、小さな分子を用いた刺激によるものである。iPS細胞は機能的には胚性幹細胞及び他の多能性幹細胞と同等のものであると考えられている。さらに、iPS細胞は、特定の幹細胞遺伝子及びタンパク質の同様の遺伝子発現、同様のクロマチンメチル化パターン、同様の倍増時間、同様の胚様体構造、同様の奇形腫構造、同様の生存キメラ構造、同様の有効性、及び同様の分化可能性を有している。使用される方法によっては、iPSCを得るための成体細胞のリプログラミングがヒトにおける使用を制限する可能性のある重大なリスクをもたらすことがある。例えば、レンチウィルスベクタは、ゲノムにおいて断面的な突然変異を発生させる可能性又は癌遺伝子(例えばc−Myc)を取り込む可能性があり、因子のリプログラミングの一部は結果として癌性細胞を与えてしまうことがある。例示的なiPS細胞は、Takahashiら、(2007)、Cell、131、861−872、又はYuら、(2007)、Science、318、1917−1920に記載されている。
e)「多分化能幹細胞(Multipotent stem cell)」及び「多分化能(multipotency)」
「多分化能幹細胞」及び「多分化能」又はこれと同様の用語は、制限された多くの系列から細胞を生じさせる可能性を備えた細胞をいう。多分化能幹細胞の例は造血細胞であり、造血細胞は、血液幹細胞であって、複数の血液細胞型へ成長することができるが、例えば脳細胞又は他の細胞型へは成長することができない細胞である。多分化能は多能性より小さい有効性を有している。
f)「前駆細胞(Progenitor cells)」
用語「前駆細胞」又はこれと同様の用語は、コントロールされたかつ/又は定義された条件下で与えられた細胞表現型へ分化する細胞をいう。従って、骨前駆細胞は骨芽細胞系列へコミットする前駆細胞であり、このようなコミットメント及び分化用に規定された条件下で培養されると最終的に骨組織を形成する。前駆細胞は制限された回数だけ分裂することができる。
g)「自己再生(Self renewal)」
用語「自己再生」又はこれと同様の用語は、細胞が分裂して1つの(非対称分裂)又は2つの(対称分裂)娘細胞であって母細胞とは区別できない成長可能性を有する細胞を生成するプロセスをいう。自己再生は未分化状態の維持と増殖との両方を含む。
h)「未分化状態(Undifferentiated state)」
「未分化状態」又はこれと同様の用語は、細胞が特殊な細胞型を有していない状態をいう。幹細胞が特殊な細胞型へ分化する前は未分化状態である。
i)「単分化能(Unipotency)」
「単分化能」又はこれと同様の用語は、1つの組織型/細胞型のみへ成長/分化する細胞の能力をいう。単分化能細胞は同じ細胞型のみへ自己再生することができる。ヒトにおける単分化能細胞の例は皮膚細胞である。
j)「成体幹細胞(Adult stemcells)」
体性幹細胞としても知られている成体幹細胞は、未分化細胞であり、胚発生後の体の至る所に見られ、細胞分裂によって増殖して死にかけている細胞に活力を与えかつ損傷した組織を再生する。さらに、成体幹細胞は無限に分裂又は自己再生することができ、由来する器官の全ての細胞型を生成し、わずかな細胞に由来する器官全体を再生する可能性を有している。しかし、多能性のES細胞とは異なり、成体幹細胞は系列が限定されており(すなわち多分化能であり)、この能力によって、いくつかの異なる細胞型の子孫(例えばグリア細胞及びニューロン)を生成する。多くの成体幹細胞は概してその組織起源によって説明される(間充織幹細胞、脂肪由来幹細胞、内皮幹細胞など)。しかし、単分化能の自己再生する幹細胞すなわち単一の細胞型を生成するのに制限された細胞が存在する。さらに、多能性成体幹細胞は希少であり概して数が少ないが、臍帯血を含むいくつかの組織において見つけられることができる。成体幹細胞を使った治療は、何年にも亘って、骨髄移植を用いて白血病及び関連する骨癌/血液癌を治療するのにうまく使用されてきた。さらに、成体幹細胞は、獣医学において、馬の腱損傷及び靱帯損傷を治療するのに使用されている。
k)「リプログラミング(Reprogramming)」又は「細胞リプログラミング(cellreprogramming)」
「リプログラミング」又は「細胞リプログラミング」又はこれらと同様の用語は、細胞の分化状態を変更又は逆行するプロセスをいう。細胞はリプログラミングの前に部分的又は最終的に分化されることができる。リプログラミングは、体細胞の分化状態の多能性状態への完全な逆行を含む。例示的態様において、リプログラミングはリプログラムされた体細胞の誘導多能性幹細胞までの完全なものである。しかし、リプログラミングは部分的なものであってもよく、例えば任意の低い分化状態までの逆行であってもよい。例えば、最終分化細胞の、多分化能細胞などの低い分化状態までの逆行である。
l)「幹細胞分化(Stem celldifferentiation)」及び「リプログラミング」
幹細胞分化は多数の段階において発生しかつ多数の経路(すなわち系列)へ導くことができる。自己再生を保証するために、幹細胞は2つのタイプの細胞分裂を行う。対称分裂は2つの同一の娘細胞を発生させ、これら娘細胞の両方は幹細胞の性質を授けられている。一方、非対称分裂は限定された自己再生可能性を有する前駆細胞と1つの幹細胞のみとを生成する。前駆細胞は成熟した細胞へ最終分化する前にいくつかのラウンドの細胞分裂を経由する。例えば、多くのヒトの未分化造血細胞は娘細胞を発生させ、当該娘細胞は異なる細胞運命を選択し、かつ/又は異なる増殖動態を示す。対称分裂と非対称分裂との間の分子差異は、娘細胞間の細胞膜タンパク質(例えばCD53、CD62L/L−セレクチン、CD63/lamp−3、及びCD71/トランスフェリン受容体)の分離差異であり得る。
他の理論は、幹細胞がその特定のニッチにおける環境信号の故に未分化のままであるというものである。幹細胞は、ニッチから離れる又はそのシグナルを受け取れなくなると分化する。ショウジョウバエの胚腺における研究は、胚腺幹細胞の分化を防ぐ接着結合及びdppシグナルを特定した。
さらに、幹細胞分化及び細胞リプログラミングは分子、特に小さな分子を用いて変調されることができる。
リプログラミングは、核酸の修飾(例えばメチル化)の少なくともいくつかの遺伝パターンの変更(例えば逆行)、クロマチン凝縮、後成的変化、遺伝子刷り込みなどであって、接合子が成体へ成長する際の細胞分化中に発生するものを含む。リプログラミングは、単に既に多能性である細胞の既存の未分化状態を維持すること、又は既に多分化能である細胞(例えば造血幹細胞)の既存の完全分化より低い状態を維持することとは異なる。さらに、リプログラミングは既に多能性又は多分化能である細胞の自己再生又は増殖を進めることとも異なる。しかし本発明の方法及び組成物はこのような目的のために使用されてもよい。
m)「幹細胞の特徴付け(Characterization of stem cells)」及び「細胞リプログラミング」
過去数十年において幹細胞及び細胞リプログラミングにおける多くの進歩があったが、幹細胞及び細胞リプログラミングを効果的かつ確実に特徴付けるための課題は残されており、当該課題は、特に、iPS細胞の生成、幹細胞の分化段階及び分化経路、及びリプログラムされた細胞とそのそれぞれのヒト細胞との間の差異である。多くの特徴付け手法は特定のマーカを用いた顕微鏡イメージングに関連しており、さらにしばしば単一の細胞的事象を測定する。当該細胞的事象は、細胞形態、成長特性(例えば、倍増回数、有糸分裂活性)、特定の幹細胞マーカ(例えば、細胞表面抗原マーカSSEA−3、SSEA−4、TRA−1−81、TRA−2−49/6E、及びNanog)、特定の幹細胞遺伝子(例えば、Oct−3/4、Sox2、Nanog、GDF4、ESG1、DPPA2、DPPA4、及びhTERT)、特定のタンパク質(例えば、未分化幹細胞用のテロメラーゼ、並びにドーパミン作動性ニューロン系列用のベータ3チューブリン、チロシンヒドロキシラーゼ、AADC、DAT、ChAT、LMX1B、及びMAP2、並びに心筋細胞系列用のTnTc、MEF2C、MYL2A、MYHCベータ、及びNKX2.5)、又は多細胞器官構造(例えば、3つの胚葉である内胚葉、中胚葉、及び外胚葉から派生した組織を含む多系列の腫瘍である奇形腫の構造、又は、有糸分裂的にアクティブなコアで構成されており、かつ3つ全ての胚葉に由来する完全分化した細胞の末端及びhESC分化させる胚様体の構造)である。
53.「高密度(High confluency)」
細胞密度又はこれと同様の用語は、細胞が培地の上又は培地の全体において許容されている被覆率又は増殖率である。多くの細胞型が接触阻害を受けてしまうため、高密度とは、細胞が、組織培養表面又はバイオセンサ表面において培養されて高被覆率(90%より高い)に達し、かつ培地において細胞の成長に大きな影響を与える制限を有している状態を意味する。反対に、低密度(例えば40%から60%の密度)とは、培地内/培地上において細胞の成長に対する制限がわずかであり又は制限がなく、細胞が成長期であると期待される状態を意味する。
54.「より高い(Higher)」及び「阻害(inhibit)」とこれらと同様の単語
用語であるより高い(Higher)、増加する(increases)、上昇する(elevates)、若しくは上昇(elevation)、又はこれらと同様の用語、又はこれら用語の変形は、例えばコントロールに比べて基礎レベルよりも上に増加することをいう。用語である低い(Low)、より低い(Lower)、低下する(Decrease)、減少する(Reduce)、若しくは低下(Reduction)、又はこれらと同様の用語、又はこれら用語の変形は、例えばコントロールに比べて基礎レベルよりも下に低下することをいう。例えば、基礎レベルは、細胞に対してアゴニスト又はアンタゴニストなどの分子を加える前の又は当該分子の非存在下での通常の生体内レベルである。阻害する若しくは阻害の形成又はこれらと同様の用語は、低下すること又は抑制することをいう。
55.「分子の存在下で(In thepresence of the molecule)」
「分子の存在下で」又はこれと同様の用語は、培養された細胞を分子に接触させること又は暴露することをいう。接触又は暴露は、刺激剤が細胞に接触する前に又は接触する差異に行われることができる。
56.「インデックス(Index)」
インデックス又はこれと同様の用語はデータの集合をいう。例えば、インデックスは、1つ以上の変調プロファイルを含むリスト、テーブル、ファイル、又はカタログであってもよい。インデックスはデータの組合せから作成されることもできる。例えば、DMRプロファイルはP−DMR、N−DMR、PR−DMRを含むことができる。インデックスは、完成されたプロファイルデータを用いて作成されるか、P−DMRデータ、N−DMRデータ、PR−DMRデータ、又はこれらの中の他のポイントを用いて作成されるか、これら若しくは他のデータの組合せを用いて作成されることができる。当該インデックスは任意のこのような情報の集合である。典型的な場合、比較する際のインデックスは、同様のデータ(すなわちP−DMRデータに対してP−DMRデータ)のインデックスである。
57.「リプログラムされた細胞状態用のインジケータ(indicator for the stateof reprogrammed cells)」
「インジケータ(Indecator)」又はこれと同様の用語は指し示すものをいう。特に、「リプログラムされた細胞状態用のインジケータ」とは、例えば未分化幹細胞に対する分子パネルのバイオセンサプロファイルのそれに対応するリプログラムされた細胞に対する同じ分子パネルのバイオセンサプロファイルと比較した差異又は類似点であって、リプログラムされた細胞が類似の又は異なる機能的受容体を有して当該機能的受容体においてこれら分子が相互作用していることを解釈することができ、これによってリプログラムされた細胞状態を指し示すものを意味する。あるいは、既知のモジュレータセットのDMRインデックスは、細胞とそのリプログラムされた細胞との間又はリプログラムされた細胞とそのヒトのネイティブな細胞との間の類似点又は差異用のインジケータとしても使用されることができる。
58.「既知のモジュレータ(Known modulator)」
既知のモジュレータ又はこれと同様の用語は、標的の内の少なくとも1つが既知の親和性を有するモジュレータをいう。例えば、既知のモジュレータは、幹細胞リプログラミング阻害剤、又はWnt3タンパク質のような細胞リプログラミング促進剤であることができる。
59.「既知のモジュレータDMRインデックス(Known modulator DMR index)」
「既知のモジュレータDMRインデックス」又はこれと同様の用語は、既知のモジュレータ用に集められたデータによって生成されたモジュレータDMRインデックスをいう。例えば、既知のモジュレータDMRインデックスは、細胞(幹細胞、そのそれぞれのリプログラムされた細胞、及びそのそれぞれのネイティブな細胞を含む)のパネルにおいて作用する既知のモジュレータのプロファイルと、各々が細胞パネルにおける細胞用であるマーカパネルに対する既知のモジュレータの変調プロファイルと、で構成されていてもよい。
60.「既知のモジュレータバイオセンサインデックス(Known modulator biosensor index)」
「既知のモジュレータバイオセンサインデックス」又はこれと同様の用語は、既知のモジュレータ用に集められたデータによって生成されたモジュレータバイオセンサインデックスをいう。例えば、既知のモジュレータバイオセンサインデックスは、細胞パネルにおいて作用する既知のモジュレータのプロファイルと、各々が細胞パネルにおける細胞用であるマーカパネルに対する既知のモジュレータの変調プロファイルと、で構成されていてもよい。
61.「既知の分子(Known molecule)」
既知の分子又はこれと同様の用語は、既知の薬理学的/生物学的/生理学的/病態生理学的な活性を有する分子をいい、その正確な作用(単数又は複数)のモードは既知又は未知でもよい。
62.「ライブラリ(Library)」
ライブラリ又はこれと同様の用語は集合をいう。ライブラリは本明細書に開示されたいずれのものの集合であってもよい。例えば、インデックスの集合であるインデックスライブラリ、プロファイルの集合であるプロファイルライブラリ、DMEインデックスの集合であるDMRインデックスライブラリ、分子の集合である分子ライブラリ、細胞の集合である細胞ライブラリ、及びマーカの集合であるマーカライブラリであってもよい。さらに、ライブラリは、例えば、ランダム又は非ランダムのもの、判定された又は未判定のものであってもよい。開示されているのは既知の分子のバイオセンサインデックス又はDMRインデックスのライブラリである。
63.「リガンド(Ligand)」
リガンド又はこれと同様の用語は、物質、組成物又は分子であって、生物学的な目的を果たすために生体分子を用いて複合体を結合かつ形成することができるものをいう。リガンドとその標的分子との間の実際の不可逆的な共有結合は生物系においては希少である。受容体に対するリガンド結合は化学的配座すなわち受容体タンパク質の立体形状を変更する。受容体タンパク質の配座状態は受容体の機能状態を決定する。結合の傾向又は強度は親和性と呼ばれている。リガンドは、基質、遮断薬、阻害剤、活性剤、及び神経伝達物質を含む。放射性リガンドは放射標識付きリガンドであり、一方、蛍光リガンドは蛍光標識付きリガンドである。上記2つのリガンドは、受容体生物学及び生物化学の研究用のトレーサとしてしばしば使用されるリガンドと考慮されてもよい。リガンド及びモジュレータはほぼ同じ意味で使用される。
64.「マーカ(Marker)」
マーカ又はこれと同様の用語は、バイオセンサの細胞アッセイにおけるシグナルを生成するリガンドをいう。さらに、当該シグナルは、少なくとも1つの特定の細胞シグナル経路かつ/又は少なくとも1つの特定の標的(単数又は複数)を用いて仲介された少なくとも1つの特定の細胞プロセス(単数又は複数)の特徴を有するものでなければならない。当該シグナルは、ポジティブ若しくはネガティブ、又は他の組合せ(振動)であってもよい。幹細胞特有マーカは幹細胞に特有なマーカであり、特に、多能性幹細胞マーカなどの本明細書に開示されている特定の幹細胞のいずれかに特有のマーカである。同様に、リプログラムされた細胞特有マーカはリプログラムされた細胞に特有なマーカである。さらに、既知のモジュレータ又は分子であって、異なるDMRインデックスを生じさせてかつ細胞状況又は細胞背景における差異を反映させるものは、細胞及びそのリプログラムされた細胞を特徴付けるマーカとして使用されることができる。
65.「マーカパネル(Marker panel)」
「マーカパネル」又はこれと同様の用語は、少なくとも2つのマーカを含むパネルをいう。当該マーカは異なる経路、同じ経路、異なる標的、又は同じ標的であってもよい。
66.「マーカバイオセンサインデックス(Marker biosensor index)」
「マーカバイオセンサインデックス」又はこれと同様の用語は、マーカ用に集められたデータによって生成されたバイオセンサインデックスをいう。例えば、マーカバイオセンサインデックスは、細胞(幹細胞、そのそれぞれのリプログラムされた細胞、及びそのそれぞれのネイティブな細胞を含む)のパネルにおいて作用するマーカのプロファイルと、各々が細胞パネルにおける細胞用であるマーカパネルに対するマーカの変調プロファイルと、で構成されていてもよい。
67.「マーカDMRインデックス(Marker DMR index)」
「マーカDMRインデックス」又はこれと同様の用語は、マーカ用に集められたデータによって生成されたバイオセンサDMRインデックスをいう。例えば、マーカDMRインデックスは、細胞(幹細胞、そのそれぞれのリプログラムされた細胞、及びそのそれぞれのネイティブな細胞を含む)のパネルにおいて作用するマーカのプロファイルと、各々が細胞パネルにおける細胞用であるマーカパネルに対するマーカの変調プロファイルと、で構成されていてもよい。
68.「材料(Material)」
材料は、物理的対象物の構造に進入するもの(化学的なもの、生物化学的なもの、生物学的なもの、又は混合されたもの)の有形の部分である。
69.「培地(Medium)」
培地は混合物であってその範囲内において細胞が培養されることができるものである。成長培地は対象物であってその範囲内において微生物又は細胞が成長を経験するものである。
70.「変調する(Modulate)」
変調すること又はその態様は、細胞標的を用いて仲介された細胞活性を増加、減少、又は維持することを意味する。これら単語が使用される場合は、併せて、コントロールから1%、5%、10%、20%、50%、若しくは100%増加、又はコントロールから1%、5%、10%、20%、50%、若しくは100%減少してもよいということが開示されている。
71.「DMRシグナルを変調する(Modulate the DMR signal)」
「DMRシグナルを変調する」又はこれと同様の用語は、分子を用いた刺激に応じて細胞のプロファイル又はDMRシグナルを変化させることをいう。
72.「変調プロファイル(Modulation profile)」
「変調プロファイル」又はこれと同様の用語は、分子の存在下におけるマーカの二次プロファイルと分子の非存在下におけるマーカの一次プロファイルとの間の比較をいう。例えば、当該比較は、一次プロファイルを二次プロファイルから引くことによるものか、二次プロファイルを一次プロファイルから引くことによるものか、二次プロファイルを一次プロファイルに対して正規化することによるものであってもよい。
73.「モジュレータ(Modulator)」
モジュレータ又はこれと同様の用語は、例えばリガンドのような分子であって、細胞標的の活性をコントロールするものをいう。シグナル変調分子は標的タンパク質などの細胞標的へ分裂する。
74.「モジュレータバイオセンサインデックス(Modulator biosensor index)」
「モジュレータバイオセンサインデックス」又はこれと同様の用語は、DMRデータなどのようなモジュレータ用に集められたデータによって生成されたバイオセンサインデックスをいう。例えば、モジュレータバイオセンサインデックスは細胞パネルにおいて作用するモジュレータのプロファイルで構成されていてもよく、当該細胞は幹細胞、そのそれぞれのリプログラムされた細胞、及びそのそれぞれのネイティブな細胞を含む。
75.「モジュレータDMRインデックス(Modulator DMR index)」
「モジュレータDMRインデックス」又はこれと同様の用語は、DMRデータなどのようなモジュレータ用に集められたデータによって生成されたDMRインデックスをいう。例えば、モジュレータDMRインデックスは、細胞(幹細胞、そのそれぞれのリプログラムされた細胞、及びそのそれぞれのネイティブな細胞を含む)のパネルにおいて作用するモジュレータのプロファイルと、各々が細胞パネルにおける細胞用であるマーカパネルに対するモジュレータの変調プロファイルと、で構成されていてもよい。
76.「分子変調インデックス(Molecule modulation index)」
「分子変調インデックス」又はこれと同様の用語は、細胞パネルにおいて作用するマーカパネルのバイオセンサ出力シグナルを変調する分子の能力を示すインデックスをいう。当該変調インデックスは特定のバイオセンサ出力シグナルパラメータを正規化することによって作成され、当該パラメータは、分子の非存在下に対して分子の存在下における、マーカを用いて刺激された際の細胞に対応する。
77.「分子(Molecule)」
本明細書に使用されているように、用語「分子」又はこれと同様の用語は、生物学的実体物、生物化学的実体物、又は化学的実体物であって、化学分子又は一定の分子量を有する分子の形態で存在するものをいう。分子又はこれと同様の用語は、化学的分子、生物化学的分子、又は生物学的分子をいい、そのサイズは問わない。
多くの分子のタイプは、有機分子(炭素原子を含む分子であり、特に共有結合によって結合されている)として説明されているが、いくつかの分子は炭素を含まない(酸素分子のような単純な気体分子及び硫黄ベースのポリマのようなより複雑な分子を含む)。一般的な用語としての「分子」は、タンパク質、核酸、炭水化物、ステロイド、有機薬剤、小さな分子、受容体、抗体、及び脂質のような、多数の記述的分類又は分子のグループを含む。適切な場合は、1つ以上のこれらのより記述的な用語(タンパク質などの多くのものは分子のグループと重複して記載されている)が、分子のサブグループへの本発明による方法の用途のために、分子がタンパク質などの部分分類及び一般分類としての「分子」の両方を表現するような意図を損なうことなく、本明細書において使用される。特に指示されない限り、単語「分子」は、特定の分子及びその塩(例えば薬剤学的に許容できる塩)を含む。
78.「分子インデックス(Molecule Index)」
「分子インデックス」又はこれと同様の用語は、分子に関するインデックスをいう。
79.「分子混合物(Molecule mixture)」
分子混合物又はこれと同様の用語は、少なくとも2つの分子を含む混合物をいう。当該2つの分子は、構造的に異なるもの(すなわち鏡像体)、組成的に異なるもの(例えば、プロテインアイソフォーム、グリコフォーム、又は異なるポリを有する抗体(エチレングリコール))、又は構造的及び組成的に異なるもの(例えば、未浄化の天然抽出物又は未浄化の合成化合物)であってもよいが、これらに限定されない。
80.「分子処理細胞(Molecule‐treated cell)」
分子処理細胞又はこれと同様の用語は分子へ暴露されている細胞をいう。
81.「多重チェックポイントプロファイリング(Multiple checkpoint profiling)」
「多重チェックポイントプロファイリング」又はこれと同様の用語は、細胞リプログラミングプロセス中の細胞に対する2つ以上のタイムポイント又は条件においてバイオセンサプロファイルを得ることを意味する。
82.「不連続的な多重チェックポイントプロファイリング(Multiple checkpoint profiling in a discontinuous fashion)」
「不連続的な多重チェックポイントプロファイリング」又はこれと同様の用語は、隣接する2つのポイント間でのプロファイリングを意味し、細胞は細胞リプログラミングにおける所定の標準的な培養条件(単数又は複数)の下にあることを維持されるべきである。
83.「ネイティブな細胞(Native cell)」
ネイティブな細胞は人工的かつ遺伝学的に変更(すなわち標的を過剰発現させる又は標的を不活性化する)されていない細胞である。ネイティブな細胞は一次細胞、不死化細胞、形質転換細胞、又は幹細胞であってもよい。
84.「正規化(Normalizing)」
正規化又はこれと同様の用語は、データ、プロファイル、又は反応を調節することを意味し、例えば少なくとも1つの共通変数を除去することである。
85.「選択的(Optional)」
「選択的(Optional)」、「選択的に(Optionally)」、又はこれらと同様の用語は、記載された事象又は状況がその後に発生する又は発生しない可能性があるということを意味し、当該記載は、当該事象又は状況が発生する場合の事例及び当該事象又は状況が発生しない場合の事例を含む。例えば、語句「選択的に当該組成物は組合せを含むことができる」は、当該組成物は異なる分子の組合せを含むかもしれないし含まないかもしれない、ということを意味し、この記載は、組合せと組合せの欠如(すなわち組合せの個々の要素)との両方を含む。
86.「又は(Or)」
本明細書に使用されている単語「又は」、又はこれと同様の用語は、特定のリストの任意の1つの要素を意味し、かつ当該リストの要素の任意の組合せも含む。
87.「パネル(Panel)」
パネル又はこれと同様の用語は、標本(細胞又は経路)の所定のセットをいう。パネルは、ライブラリから標本を選択することから生成されることができる。その1つは、マーカパネル、バイオセンサ表面のパネル、チェックポイントのセット、一次プロファイルのセットなどを有することができる。
88.「pHバッファリングされたアッセイ溶剤(pH buffered assay solution)」
pHバッファリングされたアッセイ溶剤は任意の溶剤であって、バッファリングされて生理学的pH(典型的な場合pH7.1)を有しているものをいう。
89.「パニング(Panning)」
パニング又はこれと同様の用語は、細胞(単数又は複数)に1つ以上の受容体又は細胞標的が存在するかをスクリーニング検査することをいう。
90.「期間(Period of time)」
「期間」は、時間の経過を表現する任意の期間である。例えば、1秒、1分、1時間、1日、及び1週間は全て期間である。
91.「ポジティブコントロール(Positive control)」
「ポジティブコントロール」又はこれと同様の用語は、データ集めの状況がデータ集めに至ることができることを見せるようなコントロールをいう。
92.「能力(Potency)」
能力又はこれと同様の用語は、与えられた強度の効果を生じさせるのに必要な量を用いて表される分子活性の指標をいう。当該能力は親和性及びエフィカシに比例的なものである。
93.「一次プロファイル(Primary profile)」
「一次プロファイル」又はこれと同様の用語は、バイオセンサ反応、バイオセンサ出力シグナル、バイオセンサプロファイルであって、分子が細胞に接触した際に生成されるものをいう。典型的な場合、一次プロファイルは、最初の細胞反応を正味ゼロのバイオセンサシグナル(すなわち基準線)に正規化した後に得られる。
94.「一次細胞(Primary cell)」
「一次細胞」又はこれと同様の用語は、形質転換されていない細胞又は細胞株を考慮されていない細胞をいう。
95.「プロファイル(Profile)」
プロファイル又はこれと同様の用語は、細胞などの組成物用に集められたデータをいう。プロファイルは本明細書に記載されている無標識バイオセンサから集められたものであってもよい。プロファイリングはプロファイルを得る動作をいう。例えば、細胞経路プロファイリング、初期接着プロファイリング、タイムポイントプロファイリング、が開示されており、これらの各々及び他のものは、列挙した特定の同種のタイプのプロファイル又はプロファイリングをいう。
96.「刊行物(Publications)」
本願を通して様々な刊行物が説明されている。開示されたこれら刊行物は、最先端技術を当該技術分野に属する者へ完全に説明するために、参考文献としてその全体が本願に組み込まれているものとする。さらに、開示されている当該参考文献は、当該参考文献に含まれておりかつ当該参考文献が依存されている文内において説明される材料として、参照することにより個別かつ詳細に本明細書に組み込まれているものとする。
97.「パルス刺激アッセイ(Pulse stimulation assay)」
「パルス刺激アッセイ」又はこれと同様の用語は、細胞が非常に短い時間(例えば数秒又は数分)分子へ暴露されているのみの場合に使用されることができる。このパルス刺激アッセイは、細胞/標的における分子作用の反応速度論を研究するのに使用されることができ、同様に、マーカ誘導されたバイオセンサシグナルにおけるその影響を研究するのに使用されることができる。パルス刺激アッセイは、分子を追加した直後の所定の時間において、液体処理デバイスを用いて、単純に分子溶剤を細胞アッセイバッファ溶剤へ置き換えることによって行われる。
98.「休眠(Quiescence)」
休眠又はこれと同様の用語は、静かな状態、静止した状態、停止した状態、休止した状態、不活性な状態をいう。休眠は細胞周期における細胞のG期をいい、すなわち休眠は細胞の分裂していない状態である。細胞休眠は、さまざまな非マイトジェンシグナルによって誘導された可逆成長阻止/可逆増殖阻止として定義され、当該非マイトジェンシグナルは、例えば、マイトジェン(例えば成長因子)除去、接触阻害、及び接着の喪失である。
99.「範囲(Ranges)」
範囲は、1の「約」に修飾された特定の値から他の「約」に修飾された特定の値まで、として本明細書において表現されることができる。このように範囲が表現された場合、他の実施例は一方の特定の値から他方の特定の値までか、一方の特定の値以上か、又は他方の特定の値以下を含む。同様に、値が、先行詞「約」を使用することによって、近似値として表現された場合、この特定の値は他の実施例を形成する。さらに、当該範囲の端点の各々は、その他方の端点に関して共に重要なものであり、かつ当該他方の端点とは無関係なものである。さらに、本明細書には多数の値が開示されており、当該値の各々は、その値に加えて「約」に修飾された特定の値として本明細書に開示されているものとする。例えば、値「10」が開示されているならば、「約10」も開示されているものとする。さらに、当業者に適切に理解されるように、1の値が当該値「以下」と開示されている場合、「当該値以上」及び値間の可能な範囲も開示されているものとする。例えば、値「10」が「10以下」と開示されているならば、同様に「10以上」も開示されているものとする。さらに、本願を通して、データは多数の異なる形式で与えられており、このデータは、端点、出発点、及び当該データ点の任意の組合せを表すものであるとする。例えば、特定のデータ点「10」及び特定のデータ点15が開示されているならば、10より大きい、15より大きい、10以上、15以上、10未満、15未満、10以下、15以下、10、及び15が考慮され10と15との間と同様に開示されているものとする。さらに、2つの特定のユニットの間の各ユニットも開示されているものとする。例えば、10及び15が開示されているならば、11、12、13、及び14も開示されているものとする。
100.「受容体(Receptor)」
受容体又はこれと同様の用語は、細胞の原形質膜又は細胞質に組み込まれているタンパク分子であって、可動性のシグナル伝達(又は「シグナル」)分子が貼り付くことができるものをいう。受容体に結合する分子は「リガンド」と呼ばれ、ペプチド(神経伝達物質など)、ホルモン、調合薬、又は毒素であってもよく、さらに受容体は当該結合が起きた際に構造変化に入り、通常は細胞反応を開始する。しかし、いくつかのリガンドは単に受容体を阻害し、反応を含まない(例えばアンタゴニスト)。受容体におけるリガンド誘導された変化は、リガンドの生物学的活性を構成する生理学的変化を発生させる。
101.「それぞれの細胞(Respective cell)」
「それぞれの細胞」又はこれと同様の用語は、機能(すなわち生理学的機能)が同等の細胞をいう。例えば、幹細胞から派生した心筋細胞に対するそれぞれの細胞は一次心筋細胞である。
102.「反応(Response)」
反応又はこれと同様の用語は刺激に対する任意の反応をいう。
103.「ロバストなバイオセンサシグナル(Robust biosensor signal)」
「ロバストなバイオセンサシグナル」はバイオセンサシグナルであって、その振幅がノイズレベル又はネガティブコントロール反応よりも十分に(例えば、3倍、10倍、20倍、100倍、又は1,000倍)大きいシグナルである。大抵、当該ネガティブコントロール反応はアッセイバッファ溶剤(すなわち賦形剤)を加えた後の細胞のバイオセンサ反応である。当該ノイズレベルは溶剤を加えない場合の細胞のバイオセンサシグナルである。細胞が他の溶剤を加える前からずっと溶剤に覆われているのは意味のないことである。
104.「ロバストなDMRシグナル(Robust DMR signal)」
「ロバストなDMRシグナル」又はこれと同様の用語は「ロバストなバイオセンサシグナル」のDMR形式のものをいう。
105.「サンプル(Sample)」
サンプル又はこれと同様の用語は動物、植物、真菌などであって、天然物、天然抽出物など、動物由来の組織若しくは器官、細胞(対象物内のもの、対象物から直接取出したもの、又は培養状態を維持している細胞若しくは培養された細胞株由来の細胞)、細胞溶解物(又は溶解物の一部)若しくは細胞抽出物、又は細胞若しくは細胞材料(例えば、ポリペプチド又は核酸)から派生した1つ以上の分子を含む溶剤をいい、これらは本明細書に記載されているようにアッセイされる。サンプルは体液又は排出物(例えば、血液、尿、ふん便、唾液、涙、胆汁であるがこれらに限定されない)であって細胞又は細胞コンポーネントを含むものであってもよい。
106.「二次プロファイル(Secondary profile)」
「二次プロファイル」又はこれと同様の用語は、分子の存在下におけるマーカに応じた細胞のバイオセンサ出力シグナル又はバイオセンサ反応をいう。二次プロファイルは分子の能力のインジケータとして使用されることができ、これによってマーカ誘導された細胞反応又はバイオセンサ反応を変調することができる。
107.「血清含有培地(Serum containing medium)」
血清含有培地又はこれと同様の用語は、血清(例えば牛の胎児血清)を含む細胞培養物の培地をいう。牛の胎児血清(又は小牛の胎児血清)は血液の凝固後に残存している原形質の一部であり、当該凝固プロセス中において、血漿タンパクフィブリノゲンはフィブリンへ転換され血栓に留まって残っている。牛の胎児血清は、食肉処理場において閉鎖静脈穿刺を用いてまだ生まれていない牛の胎児から採取した血液に由来する。牛の胎児血清(FBS)は、抗体価が低く多くの成長因子を含むため、最も広く使用される血清であり、多くの異なる用途において万能であるという効果を有する。FBSは真核細胞の培養において使用される。
108.「血清欠乏培地(Serum depleted medium)」
血清欠乏培地は血清を含まない細胞培養物の培地である。
109.「短期間(Short periodof time)」
「短期間」又はこれと同様の用語は、期間であって、典型的な場合、標準的な培養下における細胞の複製よりも短いものをいう。
110.「シグナル伝達経路(Signaling pathway)(単数又は複数)」
「定義された経路」又はこれと同様の用語は、細胞反応(例えば細胞標的の増加された発現)に対するシグナル(例えば外因性リガンド)を受け取ることによる細胞の経路をいう。いくつかのケースにおいて、受容体に結合するリガンドによって発生する受容体の活性化は、リガンドに対する細胞の反応に直結している。例えば、神経伝達物質GABAはイオンチャネルの一部である細胞表面受容体を活性化することができる。ニューロン上においてGABA A受容体に結合するGABAは、当該受容体の一部である塩化物選択性イオンチャネルを開く。GABA A受容体の活性化は、負の電荷を帯びた塩化物イオンがニューロンへ進入することを可能にし、当該イオンは活動電位を生成するニューロンの能力を阻害する。しかし、多くの細胞表面受容体において、リガンド−受容体間の相互作用は細胞の反応に直結していない。活性化された受容体は、細胞の挙動におけるリガンドの最終的な生理学的効果が生成される前に、まず細胞内部の他のタンパク質と相互作用しなければならない。しばしば、数個の相互作用する細胞タンパク質の鎖の挙動は受容体の活性化に従って変更される。受容体活性化によって誘導された細胞変化のすべてのセットはシグナル伝達機序又はシグナル伝達経路と呼ばれる。当該シグナル伝達経路は比較的単純であるか非常に複雑であり得る。
111.「類似点(Similarity)」及び「インデックスの類似点(Similarityof indexes)」
「インデックスの類似点」又はこれと同様の用語は、分子に対する2つのインデックス間の類似点又は少なくとも3つのインデックスの互いの類似点を表しており、これら類似点はインデックスのパターン及び/又はスコアのマトリクスに基づいている。当該スコアのマトリクスはその対応するものに強く関連しており、当該対応するものは、例えば、対応する細胞における異なる分子の一次プロファイルの特徴と、マーカに対する異なる分子の変調プロファイルの性質及び割合と、である。例えば、高いスコアはより類似した特徴に対して与えられ、低い又はネガティブなスコアは非類似の特徴に対する。変調のタイプはポジティブ、ネガティブ及びニュートラルの3つのみであるため、分子変調インデックスに見られる類似マトリクスは比較的単純である。例えば、単純なマトリクスはスコア+1のポジティブ変調、スコア−1のネガティブ変調、スコア0のニュートラル変調を付与する。
あるいは、異なるスコアは1の変調のタイプであるが異なるスケールを有するタイプに対して与えられることができる。例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、100%、200%などのポジティブ変調は、それに応じて、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+10、+20のスコアを与えられることができる。反対に、ネガティブ変調に対しては、同様であるが反対のスコアが与えられることができる。この手法に従って、マーカパネルに対するチルホスチン51の変調インデックスは、図10Cに示されているように、既知のEGFR阻害剤のチルホスチン51が異なるマーカによって誘導されたバイオセンサ反応を別々に変調することを示している。当該異なるマーカは、ピナシジル(0%)、ポリ(I:C)(+5%)、PMA(−6%)、SLIGKV−アミド(0%)、フォルスコリン(−23%)、ヒスタミン(+6%の早期反応のヒスタミンと0%の遅発反応のヒスタミン)であり全てA549細胞内のものと、エピネフリン(−68%)、ニコチン酸(+4%)、EGF(P−DMR、−36%)、EGF(N−EGF、−5%)、及びヒスタミン(−16%)であり全て休眠のA431細胞内のものと、である。従って、配位におけるHA1077変調インデックスのスコアは、(0、0.5、−0.6、0、−2.3、0.6、0、−6.8、0.4、−3.6、−0.5、−1.6)のように与えられることができる。一旦分子インデックスが生成されると、当該分子インデックスは既知の分子のライブラリと比較されることができ、これによって関連する分子の作用モード(単数又は複数)を判定することができる。チルホスチン51のバイオセンサインデックスから、チルホスチン51がポリファーマコロジ(polyharmacology)を表示することを結論付けることができ、なぜなら、チルホスチン51はEGFR阻害剤(A431内におけるEGF誘導されたDMRシグナルを阻害する)として作用し、さらにPDE4阻害剤(A431内におけるエピネフリン反応とヒスタミン反応の両方、及びA549内におけるフォルスコリン反応を阻害する)としても作用するからである。分子の薬理学におけるDMRインデックスの指標となるパワーのほか、分子DMRインデックスは異なる細胞型の細胞背景を区別するのにも使用されることができる。
112.「細胞を飢えさせること(Starving the cells)」
細胞を飢えさせること又はこれと同様の用語は、細胞培養中に細胞を休眠状態にするプロセスをいう。細胞培養中の細胞培地からのマイトジェン(例えば血清又は成長因子)除去が細胞を飢えさせる最も一般的な手法である。当該マイトジェン除去は他の手法(例えば接触阻害)と共に使用されることができる。
113.「物質(Substances)」
物質又はこれと同様の用語は任意の物理的対象をいう。材料は物質である。分子、リガンド、マーカ、細胞、タンパク質、及びDNAは物質と考えられてもよい。機序又はアーティクルは、物質そのものと考えられるのではなく、物質から作られているものと考えられるだろう。
114.「同調細胞(Synchronized cells)」
同調細胞又はこれと同様の用語は、細胞の集団であって、マイクロタイタプレートの単一のウェルにおける細胞の大部分が同じ状態(例えば同じ細胞周期(G又はGなど))のものをいう。細胞を同調する(同調細胞)又はこれと同様の用語は、細胞の周囲の環境又は細胞が生育される条件の操作をいうこともでき、当該操作は、ほとんどの細胞が細胞周期の同じ段階にある細胞の集団を発生させる。
115.「安定な(Stable)」
医薬組成物に関して使用される場合、用語「安定な」又はこれと同様の用語は、概して、定められた期間における特定の保存条件下での活性材料の欠損が特定の量未満、通常10%未満であることを意味する。組成物が安定と考えられるのに必要な時間は、各生成物の使用に関連しており、かつ商業的実用性によって定められ、当該商業的実用性は、生成物を生産すること、品質管理及び検査のために保持すること、最終的な使用の前に再度保持されて卸売業者又は直接消費者に輸送することである。数ヶ月の安全率を含んでいるので、医薬品のための最も短い生成物の寿命は通常1年であり、好ましくは18ヶ月よりも長い。本明細書に使用されているように、用語「安定な」は、これら市場の実情と、2度から8度の範囲に冷蔵された状態などの容易に達成可能な環境条件において生成物を保存及び輸送する能力と、を参照する。
116.「対象物(Subject)」
本願を通して使用されているように、対象物又はこれと同様の用語は固体を意味する。従って、「対象物」は、例えば、犬、猫などの家畜化された動物、家畜類(牛、馬、豚、羊、ヤギなど)、実験動物(マウス、ウサギ、ラット、モルモットなど)、哺乳類、ヒト以外の哺乳類、霊長類、ヒト以外の霊長類、齧歯動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、及び他の動物を含むことができる。1つの態様において、対象物は、霊長類又はヒトなどの哺乳類である。対象物はヒト以外であってもよい。
117.「サスペンジョン細胞(Suspension cells)」
「サスペンジョン細胞」は、細胞又は細胞株であって培地内において細胞が培養中に物質の表面に貼付又は付着しないように好ましく培養されたものをいう。しかし、サスペンジョン細胞は、概して、化学的(例えば、共有結合又は抗体−細胞間の表面受容体の相互作用)又は物理的手段(例えばバイオセンサが組み込まれているウェルの底部への重力による沈下)によってバイオセンサ表面に接触させられることができる。従って、サスペンジョン細胞はバイオセンサの細胞アッセイに使用されることもできる。
118.「テスト分子(Test Molecule)」
テスト分子又はこれと同様の用語は、テスト分子に関するいくつかの情報を得る手法において使用される分子をいう。テスト分子は未知の分子又は既知の分子であることができる。
119.「組織培養処理された(tissue culture treated)」
「組織培養処理された」又はこれと同様の用語はプロセスをいい、当該プロセスにおいて細胞培養プレートは作製条件下で前処理されている(例えばプラズマ処理であり将来的な殺菌処理を行う場合又は行わない場合がある)。
120.「タイムチェックポイント(Time Checkpoint)」又は「タイムポイント(Time point)」
「タイムチェックポイント」又は「タイムポイント」又はこれらと同様の用語は、細胞培養が操作され又は特徴付けられた場合の細胞培養中における1の事例をいう。例えば、「タイムチェックポイント」は、分子又は物質が細胞培養物に加えられた場合又は細胞培養が無標識バイオセンサを用いて特徴付けられた場合の事例であってもよい。細胞培養中にはいくつかの「タイムチェックポイント」が存在することができる。
121.「処理すること(Treating)」
処理すること、処理、又はこれらと同様の用語は少なくとも2つの手法において使用されることができる。第1に、処理すること、処理、又はこれらと同様の用語は、対象物に向かって行われる投与又は作用である対象物を操作することをいうことができる。第2に、処理すること、処理、又はこれらと同様の用語は、任意の2つのものを混合することをいうことができ、当該2つのものは、例えば分子と細胞などの任意の2つ以上の物質である。この混合は、当該少なくとも2つの物質を、これら物質間の接触が起こるような状態にさせる。例えば、「細胞を処理して高密度に達する」は、細胞を処理又は操作して細胞が表面上において高密度に達することを意味する。
処理すること、処理、又はこれらと同様の用語が疾患の患者に関する文脈において使用される場合、これらは例えば治療又は症状の回復を意味するものではない。用語「治療的な」又はこれと同様の単語が、処理すること、処理、又はこれらと同様の用語と共に使用される場合、潜在する疾患の症状が回復すること及び/又は潜在する1つ以上の細胞的原因、生理学的原因、若しくは生物化学的原因、若しくは症状を起こす機序が低減されることを意味する。この文脈において使用される際は、単に疾患の生理学的状態だけでなく疾患の分子状態を含む、疾患に関する手段が低減される。
122.「トリガ(Trigger)」
トリガ又はこれと同様の用語は、反応などのある事象のきっかけとなる又は当該事象を開始させる作用をいう。
123.「極高密度(Ultra highconfluency)」
極高密度又はこれらと同様の用語は、細胞培養の最後において少なくとも99%の密度を有している細胞の集団をいう。
124.「未知の分子(Unknown molecule)」
未知の分子又はこれと同様の用語は、未知の生物学的/薬学的/生理学的/病態生理学的な活性を有する分子をいう。
125.「値(Value)」
コンポーネント、材料、添加物、細胞型、マーカ、及びこれらと同様の態様、並びにこれらの範囲のために開示されている特定の好ましい値は、説明のためだけのものであり、他の定義された値又は他の定義された範囲内の値を除外するものではない。開示された組成物、装置、及び方法は、任意の値又は当該値の任意の組合せ、特定の値、より詳細な値、及び本明細書に記載された好ましい値を有するものを含む。
従って、開示された方法、組成物、アーティクル、及び機序は、本明細書に説明されている様々なコンポーネント、ステップ、分子、組成物、及びこれらと同様のものを、含み、これらで構成され、又は基本的にこれらで構成されるような態様にて、組み合わせられることができる。例えば、これらは、本明細書に定義されているリガンドを含む分子を特徴付ける方法、本明細書に定義されているインデックスを生成する方法、又は本明細書に定義されている創薬の方法において使用されることができる。
126.「弱付着細胞(Weakly adherent cells)」
「弱付着細胞」は、原核細胞又は真核細胞などの細胞系、細胞株、又は細胞であって、細胞培養中に基質表面と弱く相互作用するか、基質表面へ弱く結合するか、又は気質表面に弱く接触するものをいう。しかし、例えばヒトの胎児腎臓(HEK)細胞などのこれら細胞型は、洗浄又は培地交換の物理的な阻害処理によって基質表面から解離する。
無標識細胞ベースアッセイ
無標識細胞ベースアッセイは一般にバイオセンサを用いて生細胞における合成物誘導された反応を監視する。当該合成物は天然のもの、人工のもの、浄化された、又は未浄化の混合物であることができる。バイオセンサは、典型的な場合、光学的トランスデューサ、電気的トランスデューサ、熱的トランスデューサ、音響的トランスデューサ、磁気的トランスデューサ、又はこれらと同様のトランスデューサのようなトランスデューサを使用して、分子認識事象又は当該バイオセンサに接触した細胞におけるリガンド誘導された変化を定量化可能なシグナルに変換する。これら無標識バイオセンサは分子相互作用分析に使用されることができ、当該バイオセンサはどのようにして分子複合体が形成されかつ徐々に単離していくかを特徴付けることに関連し、細胞反応においては、当該バイオセンサはどのように細胞が刺激に反応するかを特徴付けることに関連している。開示された方法に適用できるバイオセンサは、フォトニック結晶型バイオセンサ、共振ミラー、又はエリプソメータを含む共鳴導波路回折格子型(RWG)バイオセンサ及び表面プラズモン共鳴型(SPR)バイオセンサなどの光学式バイオセンサシステムと、バイオインピーダンスシステムなどの電気的バイオセンサシステムと、を含むがこれらに限定されない。
開示された方法、組成物、及び機序は、分化状態における変化をする細胞を特徴付けるのに使用されることができる。細胞培養物などの細胞が分裂及び増殖する場合、当該細胞は、同じ分化レベル又は分化状態に留まるか、増加された分化状態に向かって進むか、又は減少された分化状態に向かって進むことができる。本明細書に記載されているように、細胞が増加又は減少された分化状態に進む場合、細胞のリプログラミングが行われている。このリプログラミング状態は時間変化又は条件変化によって発生する。開示された方法、組成物、及び機序は無標識バイオセンサの出力を得るのに使用されることができ、当該出力は、例えば、一次プロファイル、二次プロファイル、変調インデックスなどであり、細胞のリプログラミング状態中の時間変化又は条件変化に亘る任意の単一のポイント又は複数のポイントのセットにおけるものである。さらに、当該方法、組成物、及び機序は、多能性細胞又は多分化能細胞などのリプログラミング状態ではなく分裂状態にある細胞において、本明細書に記載されている無標識バイオセンサの出力を得るのに使用されることができる。
開示されているのは、細胞リプログラミングプロセスを監視する方法である。例えば、リプログラミング方法は幹細胞の分化を含む。これら方法のタイプは、典型的な場合多数のチェックポイントに作用し、かつ、しばしばマーカパネル(単数又は複数)を使用する。さらに、マーカはいかなるものであってもよく、特定の特異性を有している必要はない。
さらに、開示されているのは、リプログラムされた細胞の性質及び品質を特徴付ける方法である。これら方法のタイプは、典型的な場合マーカパネルを使用するが、多数のチェックポイントに作用しない。
未分化細胞、そのそれぞれの細胞、及びそのリプログラムされた細胞を比較するさらなる方法が開示されている。これら方法のタイプは、典型的な場合マーカパネルを使用し、かつ異なる細胞型の比較に作用する。
さらに、神経分化などの幹細胞(すなわち多能性幹細胞、前駆幹細胞)の神経細胞分化系列を定義することを目的とする方法が開示されている。
開示された方法の全ては変更されることができ、例えば分子をスクリーニング検査するスクリーニング方法として使用され、当該スクリーニング方法は幹細胞分化又は他の開示された活性を含む細胞リプログラミングを導き、当該スクリーニング方法は、例えば所望のリプログラムされた細胞生成物の働きを促進する分子のためのスクリーニング検査である。
本明細書に開示されているのは、細胞と胚に関する誘導多能性幹細胞をリプログラムすることによって派生した細胞とを特徴付ける方法、並びに、無標識の共鳴導波路回折格子型バイオセンサの細胞アッセイを用いて幹細胞分化の経路及び段階を判定する方法である。特に、開示された方法は、細胞リプログラミング中の多数のチェックポイントにおける細胞反応をプロファイルすることに関する。図1に示されているように、未分化の幹細胞又は幹細胞様細胞はバイオセンサに接触させられる。細胞付着プロファイルは直ちに記録されて所定の表面(例えば、ラミニンコートのもの、フィブロネクチンコートのもの、天然のビーム銃にコーティングされたもの、細胞接着性ペプチドにコーティングされたもの、組織培養処理されたものなど)のセット上への細胞付着挙動を特徴付ける。その次に、細胞シグナル伝達経路プロファイリングは、細胞リプログラミング中の多数のタイムポイントにおいて行われることができ、当該タイムポイントは、例えば、バイオセンサ表面への細胞接着から3時間経過後、細胞分化の開始から3日後、細胞分化から10日後、及び分化された細胞が成熟期に達するときである。多重チェックポイントプロファイリングは、細胞培養中に、少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、30回、50回、又は100回行われることができる。このような多重チェックポイントプロファイリングは不連続的に行われることができ、換言すれば、隣接する2つのポイント間のプロファイリングにおいて、細胞は所定の標準的な培養条件(単数又は複数)の下において保持されているべきである。異なるタイムポイントにおける異なるプロファイリングは所定のバイオセンサ又はバイオセンサのアレイ内において行うことができる。例えば、384ウェルのバイオセンサのマイクロプレート内において、細胞を有するバイオセンサの1つのサブセットは最初の付着プロファイリングに使用され、一方、細胞を有するバイオセンサの2つ目のセットは所定のタイムポイントにおける細胞経路プロファイリングに使用され、さらに、細胞を有するバイオセンサの3つ目のセットは他のタイムポイントのプロファイリング用である。同様に、少なくとも1つのマイクロプレートが1つのテスト用であるひとまとまりのバイオセンサのマイクロプレートが使用されることができる。細胞経路プロファイリングにおいて、細胞は所定の表面(例えばラミニンコートの表面)において細胞されるべきであり、これによって、異なるタイムポイント間の比較は定義された培養条件の下で細胞リプログラミングの経路及び段階を特徴付けるのに使用されることができる。
さらに、本明細書に開示されているのは、幹細胞と誘導多能性幹細胞の分化を導くことができる小分子をスクリーニング検査する方法及び細胞運命をコントロールする方法である。図2に示されているように、未分化の幹細胞又は幹細胞様細胞はバイオセンサに接触させられる。細胞付着プロファイルは直ちに記録されて所定の表面(例えば、ラミニンコートのもの、フィブロネクチンコートのもの、天然のビーム銃にコーティングされたもの、細胞接着性ペプチドにコーティングされたもの、組織培養処理されたものなど)のセット上への細胞付着挙動を特徴付ける。あるいは、未分化の幹細胞又は幹細胞様細胞は所定のバイオセンサ表面に接触させられる。その後、当該細胞は分子の非存在下又は存在下で培養される。当該分子は細胞培養中の特定のとき又は多数のタイムポイントにおいて細胞へ引き合わせられることができる。例えば、分子は細胞培養中に、1回、2回、3回、4回、5回、10回、15回、又は20回、引き合わせられることができる。バイオセンサは、細胞培養中の異なるタイムチェックポイントにおいて細胞反応のプロファイルを特徴付けるのに使用されることができる。バイオセンサは無標識バイオセンサであることができる。分化中のタイムチェックポイントにおいて、マーカのセットは細胞リプログラミングの段階を特徴付けるのに使用される。分子へ暴露された細胞培養物がコントロールの細胞培養物に比べて異なる細胞反応プロファイルを有している場合、当該分子は決定因子として分類されることができる。
さらに、本明細書に開示されているのは、一次細胞(又はネイティブな細胞)と胚に関する誘導多能性幹細胞をリプログラムすることによって派生したそのそれぞれの細胞との間の差異を判定する方法である。図3に示されているように、幹細胞又は幹細胞様細胞から派生した分化細胞又はリプログラムされた細胞は、バイオセンサ表面のセットに接触させられる。当該細胞の付着プロファイルは直ちに記録されて所定の表面(例えば、ラミニンコートのもの、フィブロネクチンコートのもの、天然のビーム銃にコーティングされたもの、細胞接着性ペプチドにコーティングされたもの、組織培養処理されたものなど)のセット上への細胞付着挙動を特徴付ける。付着プロファイルの記録は選択的なステップである。その後、細胞は標準的な条件下で、無標識バイオセンサを用いた細胞プロファイリングのための所望の密度に達するような期間、連続的に培養される。培養の最後において、当該細胞はマーカのセットを用いてプロファイルされ、これによってリプログラムされた細胞の働きを特徴付ける。同時に、それぞれの細胞(一次細胞、不死化細胞株、又は形質転換細胞株など)も、分化された細胞に対する同一の表面上の細胞付着挙動のために直ちに特徴付けられる。その後、細胞は標準的な条件下で、無標識バイオセンサを用いた細胞プロファイリングのための所望の密度に達するような期間、連続的に培養される。細胞反応プロファイルの比較は一次細胞とそれぞれの細胞培養物との間において実行される。当該比較はリプログラムされた細胞の品質及び性質に対するインジケータとして使用される。一次細胞とそれぞれの細胞培養物の酷似した又は同一の細胞反応プロファイルは、リプログラムされた細胞の品質及び性質が一次細胞に極めて近いことを示す。一次細胞とそれぞれの細胞の異なる細胞反応プロファイルは、リプログラムされた細胞の品質及び性質が一次細胞とは異なることを示す。当該比較は、細胞培養中のいくつかのタイムチェックポイントにおいて行われることができる。例えば、当該比較は細胞培養中に、1回、2回、3回、4回、5回、10回、15回、又は20回、行われることができる。
さらに、ここに開示されているのは、バイオセンサのマイクロプレート上において幹細胞を分化された細胞へその場で分化させる方法である。図3に示されているように、当該方法は、(1)バイオセンサのマイクロプレートがUVオゾン及びその後のエタノール処理を用いて新たに洗浄されるステップ、(2)当該バイオセンサのウェルが所定の時間において細胞付着分子(例えば細胞外マトリクスタンパク質ラミニン)を含む溶剤に覆われるステップ、(3)余分な溶剤が取り除かれて当該バイオセンサのマイクロプレートがバッファを用いて洗浄されるステップ、(4)培地内の幹細胞が細胞播種のためにウェルの各々に割り当てられるステップ、(5)当該幹細胞が未分化の培地内において一定時間培養されるステップ、(6)当該培地内の成長因子が細胞を洗浄することによって除去され培地に成長因子がなくなり、当該幹細胞が分化されるステップ、及び(7)所望の分化期間が経過した後、当該細胞が分析されるステップ、を含む。
さらに、本明細書に開示されているのは、胚に関する誘導多能性幹細胞をリプログラムすることによって派生した細胞系を特徴付け、かつこれら細胞系を薬剤スクリーニングに使用する方法である。幹細胞又は幹細胞様細胞はコントロールされた状態(例えば、遺伝子操作、環境コントロール)の下で分化され、多数の細胞型で構成されている細胞系の形成を導くことができる。このような細胞系は創薬において重要な利点を有している。例えば、前駆幹細胞は少なくとも3つの細胞型で構成されている神経細胞系へ分化されることができる。当該3つの細胞型は、ドーパミン作動性ニューロン、アストロサイト、及びオリゴデンドロサイトである(図4及び図5に例示されている)。薬剤スクリーニングは、例えば、多数の細胞型で構成されているシステムを、まずは特徴付け、そして分析することによって実行されることができる。薬剤は当該システムに加えられる。当該細胞は、薬剤へ暴露した際に、特徴付けかつ分析される。当該システムにおける変化は、当該薬剤が当該細胞型の内の少なくとも1つに作用することを示す。特定の細胞型(単数又は複数)は、特定され当該薬剤に対する潜在的な標的としてさらにテストされることができる。当該システムの特徴付けはバイオセンサを用いて行われることができる。当該バイオセンサは無標識バイオセンサであってもよい。
さらに、本明細書に開示されているのは、胚に関する誘導多能性幹細胞をリプログラムすることによって派生した細胞系又は混合された細胞の集団を特徴付ける方法であり、当該方法は、表面プラズモンイメージング、共鳴導波路回折格子イメージング、共振ミラーイメージング、又はエリプソメトリイメージングなどの、高分解能の光学的バイオセンサのイメージングシステムを使用する。
さらに、本明細書に開示されているのは、高周波バイオセンサシステムなどの高い周波数を得るバイオセンサシステムを用いて、幹細胞をリプログラムすることによって派生した心筋細胞の鼓動などの速い細胞反応をプロファイルする方法である。
さらに、本明細書に開示されているのは、幹細胞又は幹細胞様細胞をリプログラムすることによって派生した神経細胞の無標識バイオセンサ反応を増強する方法である。特に、当該方法は、抗ドーパミン抗体を使用して、培地内において神経細胞から分泌されたドーパミンを隔離する。さらに、開示された方法は、小分子を使用して分化中の派生した神経細胞を前処理し、ドーパミン反応を促進する。当該小分子は、ステロイドエストラジオールなどのドーパミンニューロン保護剤を含むが、これに限定されない。17ベータ−エストラジオールなどの当該ドーパミンニューロン保護剤は、細胞分化中の異なる段階(増殖期又は分化期)において引き合わせられることができる。
さらに、本明細書に開示されているのは、成体幹細胞の多能性状態へのリプログラミングプロセス及び成体の体細胞の多能性幹細胞へのリプログラミングプロセスをプロファイルする方法である。開示された当該方法は、上記したこれら細胞の運命を制限及びコントロールする分子をスクリーニング検査することにも関連している。
開示されているのは、幹細胞をリプログラムする方法であり、当該幹細胞は、例えば、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、成体幹細胞、及びReNcell VMなどの神経前駆細胞である。
開示されているのは、一次細胞と多能性幹細胞をリプログラムすることによって派生したそのそれぞれの細胞との間の差異を判定する方法である。
開示されているのは、胚に関する誘導多能性幹細胞をリプログラムすることによって派生した細胞系を特徴付け、かつこれら細胞系を薬剤スクリーニングに使用する方法である。
さらに、開示されているのは、幹細胞及び誘導多能性幹細胞の分化を導くことができる小分子をスクリーニング検査し、かつ細胞運命をコントロールする方法である。
開示されている方法において、所定のバイオセンサ、バイオセンサのアレイ、又はバイオセンサのサブセット内において異なるタイムポイントにおける異なるプロファイリング行われることができる。例えば、384ウェルのバイオセンサのマイクロプレート内において、細胞を有するバイオセンサの1つのサブセットは最初の付着プロファイリングに使用され、一方、細胞を有するバイオセンサの2つ目のセットは所定のタイムポイントにおける細胞経路プロファイリングに使用され、さらに、細胞を有するバイオセンサの3つ目のセットは他のタイムポイントのプロファイリング用である。細胞経路プロファイリングにおいて、細胞は所定の表面(例えばラミニンコートの表面)において培養されるべきであり、異なるタイムポイント間の比較は、定義された培養条件の下での細胞リプログラミングの経路及び段階を特徴付けるのに使用されることができる。
開示されているのは、未分化細胞を得るステップと、当該未分化細胞を無標識バイオセンサシステムのバイオセンサ表面へ付着させるステップと、当該付着された細胞を第1チェックポイントまで培養するステップと、マーカに対する第1チェックポイントの一次プロファイルを得るステップと、を含む方法である。
さらに、開示されているのは、前記付着された細胞を第2チェックポイントまで培養するステップと、前記マーカに対する第2チェックポイントの一次プロファイルを得るステップと、をさらに含む方法である。さらに、開示されているのは、第3、第4、又は第n(n番目の又は任意のサブセットの)チェックポイント及び付随するステップを加えた方法である。
開示されているのは、未分化細胞を得るステップと、当該未分化細胞を無標識バイオセンサシステムのバイオセンサ表面へ付着させるステップと、当該付着された細胞を所望の密度に達する第1チェックポイントまで培養するステップと、マーカに対する第1チェックポイントの一次プロファイルを得るステップと、それぞれの細胞を得るステップと、当該それぞれの細胞をバイオセンサ表面へ付着させるステップと、当該それぞれの細胞を第1チェックポイントまで培養するステップと、バイオセンサの細胞シグナル伝達の特徴を得るステップと、を含む方法である。
開示されているのは、未分化細胞を得るステップと、当該未分化細胞を無標識バイオセンサシステムのバイオセンサ表面へ付着させるステップと、当該付着された細胞を第1チェックポイントまで培養するステップと、マーカに対する第1チェックポイントの一次プロファイルを得るステップと、それぞれの細胞を得るステップと、当該それぞれの細胞をバイオセンサ表面へ付着させるステップと、当該それぞれの細胞を第1チェックポイントまで培養するステップと、当該マーカの第1チェックポイントの一次プロファイルを得るステップと、を含む方法である。
さらに、開示されているのは、バイオセンサ表面における細胞付着の一次プロファイルを得るステップをさらに含む方法であり、当該付着プロファイルは付着後10時間未満、9時間未満、8時間未満、7時間未満、6時間未満、5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満、0.5時間未満、0.2時間未満、又は0.1時間未満において得られ、当該方法はバイオセンサ表面のパネルに対してステップa及びbを繰り返すこと及びバイオセンサ表面のセットにおける各バイオセンサ表面に対する細胞付着プロファイルを得るステップをさらに含み、当該方法はチェックポイントの一次プロファイルのセットを生成するチェックポイントのセットに対してステップc及びdを繰り返すステップを含み、当該方法は当該細胞を用いて分子、未知の分子、薬剤候補分子、又は候補リプログラミング分子を培養するステップ及びその後一次プロファイルを得るステップをさらに含み、当該方法は当該細胞を用いて当該分子、当該未知の分子、当該薬剤候補分子、又は当該候補リプログラミング分子を2つ以上のタイムポイントにおいて培養するステップ及びその後各タイムポイントに対する一次プロファイルを得るステップをさらに含み、当該方法はマーカパネルを用いて当該細胞を特徴付けること及び各マーカ対して一次プロファイルのパネルを生成するステップをさらに含み、当該方法はこれらの任意の組合せ又は本明細書に開示された他の特徴を含む。
さらに、開示されているのは、2つ以上のタイムポイント又は細胞の条件のパネルにおいて各マーカに対する一次プロファイルを生成するステップと、マーカパネルの各マーカに対して分子、未知の分子、薬剤候補分子、又は候補リプログラミング分子を培養する二次プロファイルを生成するステップをさらに含む方法であり、各マーカに対する一次プロファイルは各チェックポイントにおいて生成され、バイオセンサ表面はラミニン、組織培養処理されたバイオセンサ表面、フィブロネクチン、天然のビーム銃、細胞接着ペプチド、組織培養処理されたものを含み、第1チェックポイントは付着後、分化開始から、分化後、又は成熟後、3時間以下、3日以下、7日以下、10日以下に発生し、第2チェックポイントは付着後3時間以下、3日以下、7日以下、10日以下に発生し、第3チェックポイントは付着後3時間以下、3日以下、7日以下、10日以下に発生し、第1チェックポイントは付着後、分化開始から、分化中、又は分化の成熟後、3時間以下、3日以下、7日以下、10日以下に発生し、細胞シグナル伝達の特徴付けはマーカを用いすることを含み、当該方法はこれらの任意の組合せ又は本明細書に開示された他の特徴を含む。
さらに、開示されている方法において、マーカパネルは以下のマーカのパネルを含み、当該マーカは、アセチルコリン、アデノシン、ATP、スペルミン、ダイノルフィンA、エンドセリン1、神経ペプチドB−23(NPB−23)、オレキシンA、SFLLR−アミド、UDP、神経ペプチド、血管作動性腸管ペプチド、ADP、ドーパミン、GABA、アペリン、アルファメラニン細胞刺激ホルモン、血小板由来成長因子、アンジオテンシン2、グルカゴン様ペプチド、リゾホスファチジン酸、ニューロテンシン、サブスタンスP、チラミン、UTP、ウロテンシン2、8−CPT−2−Me−cAMP、フォルスコリン、MAS−7、740Y−P、L783281、及びPMAであり、当該マーカの濃度は、0.0005マイクロモルと1000マイクロモルの間、0.01マイクロモルと100マイクロモルの間、0.1マイクロモルと50マイクロモルの間、0.1マイクロモルと10マイクロモルの間、1マイクロモルと10マイクロモルの間、0.001マイクロモルと10マイクロモルの間、であり、当該マーカパネルはGタンパク質共役受容体アゴニスト、受容体チロシンキナーゼアゴニスト、キナーゼ活性剤、酵素活性剤、酵素阻害剤、及び受容体アゴニストから選択されたマーカのパネルを含み、当該パネルの一次プロファイルは未分化細胞のリプログラムされた細胞の性質及び品質のインジケータとして使用され、当該マーカパネルはGタンパク質共役受容体アゴニスト、受容体チロシンキナーゼアゴニスト、キナーゼ活性剤、酵素活性剤、酵素阻害剤、及び受容体から選択されたマーカのパネルを含み、当該パネルの一次プロファイルは未分化細胞と、そのリプログラムされた細胞と、そのそれぞれの細胞との間の差異に対するインジケータとして使用され、当該マーカパネルは既知のモジュレータを含み、当該モジュレータのDMRインデックスは未分化細胞のリプログラムされた細胞の性質及び品質のインジケータとして使用され、当該マーカパネルは既知のモジュレータを含み、当該モジュレータのDMRインデックスは未分化細胞と、そのリプログラムされた細胞と、そのそれぞれの細胞との間の差異に対するインジケータとして使用され、当該マーカパネルはアセチルコリン、アデノシン、ATP、スペルミン、ダイノルフィンA、エンドセリン1、神経ペプチドB−23(NPB−23)、オレキシンA、SFLLR−アミド、UDP、神経ペプチド、血管作動性腸管ペプチド、ADP、ドーパミン、GABA、アペリン、アルファメラニン細胞刺激ホルモン、血小板由来成長因子、アンジオテンシン2、グルカゴン様ペプチド、リゾホスファチジン酸、ニューロテンシン、サブスタンスP、チラミン、UTP、ウロテンシン2、8−CPT−2−Me−cAMP、フォルスコリン、MAS−7、740Y−P、L783281、及びPMAから選択され、幹細胞又は前駆幹細胞の神経細胞分化系列において当該マーカパネルはアセチルコリン、アデノシン、ATP、スペルミン、ダイノルフィンA、エンドセリン1、神経ペプチドB−23(NPB−23)、オレキシンA、SFLLR−アミド、UDP、神経ペプチド、血管作動性腸管ペプチド、ADP、ドーパミン、GABA、アペリン、アルファメラニン細胞刺激ホルモン、血小板由来成長因子、アンジオテンシン2、グルカゴン様ペプチド、リゾホスファチジン酸、ニューロテンシン、サブスタンスP、チラミン、UTP、ウロテンシン2、8−CPT−2−Me−cAMP、フォルスコリン、MAS−7、740Y−P、L783281、及びPMAから選択され、EPAC−PI3K経路のダウンレギュレーション又は変更したものは幹細胞又は前駆幹細胞の神経細胞分化系列に対するインジケータであり、PKC経路のダウンレギュレーション又は変更したものは幹細胞又は前駆幹細胞の神経細胞分化系列に対するインジケータであり、神経細胞結合型GPCRの機能的シグナル伝達、D1受容体、NPY受容体、オレキシンA受容体、オピオイド受容体、ムスカリン受容体、及びP2Y受容体から選択されたものは幹細胞又は前駆幹細胞の神経細胞分化系列に対するインジケータであり、当該方法はこれらの任意の組合せ又は本明細書に開示された他の特徴を含む。
さらに、開示されている方法において、多重チェックポイントプロファイリングが実行され、当該多重チェックポイントプロファイリングは不連続的に発生し、無標識バイオセンサは表面プラズモン共鳴システム(SPR)、RWGバイオセンサシステム、インピーダンスベースのシステム、高分解能の光学バイオセンサイメージングシステム、共振ミラーイメージングシステム、エリプソメトリイメージングシステム、高周波数を得るバイオセンサシステムであり、それぞれの細胞は一次細胞、不死化細胞株、形質転換細胞株を含み、当該方法はリプログラムされた細胞とそのそれぞれの細胞との細胞反応プロファイルを比較すること及び当該細胞反応プロファイルに基づいて細胞を特定することをさらに含み、当該方法は細胞系を含み、当該細胞系は2つ以上の分化された細胞型を含み、当該細胞系はドーパミン作動性ニューロン、アストロサイト、及びオリゴデンドロサイトを含み、当該細胞系は多能性細胞又は多分化能細胞のリプログラミングを通して生じ、当該方法はこれらの任意の組合せ又は本明細書に開示された他の特徴を含む。
さらに、開示されている方法において、それぞれの細胞は一次細胞、不死化細胞株、形質転換細胞株を含み、当該方法はリプログラムされた細胞とそのそれぞれの細胞との細胞反応プロファイルを比較するステップ及び当該細胞反応プロファイルに基づいて細胞を特定するステップをさらに含み、当該方法は幹細胞又は前駆幹細胞から派生した2つ以上の細胞型で構成されている細胞系及びバイオセンサ表面における幹細胞又は前駆幹細胞のその場での分化を通して派生した細胞系をさらに含み、当該方法においてリプログラムされた細胞が生成され、当該リプログラムされた細胞は神経細胞を含み、当該方法は抗ドーパミン抗体を用いて細胞を培養すること及びドーパミンニューロン保護剤を用いて細胞を培養するステップをさらに含み、当該ドーパミン保護剤はステロイドエストラジオールを含み、当該ステロイドは17ベータエストラジオールを含み、当該ステロイドエストラジオールは増殖段階において引き合わせられ、当該ステロイドエストラジオールは分化段階において引き合わせられ、当該ステロイドエストラジオールは分化された細胞の成熟後に引き合わせられ、当該方法はこれらの任意の組合せ又は本明細書に開示された他の特徴を含む。
さらに、開示された方法において、細胞の多能性幹細胞へのリプログラミングは監視され、分子が細胞に割り当てられて当該分子が当該細胞のリプログラミングを導くかどうかを判定し、分子が細胞に割り当てられて当該分子が当該細胞をリプログラムするかどうかを判定し、バイオセンサ表面はマルチウェルプレートを含み、当該マルチウェルプレート96、384、1536のウェルを含み、当該方法はこれらの任意の組合せ又は本明細書に開示された他の特徴を含む。マーカは上記したマーカの任意のサブセットであってもよい。
バイオセンサ
127.「SPR」及びシステム
表面プラズモン共鳴は、プリズムを利用して入射角度の範囲をカバーするくさび形の偏光された光を、導電性金属膜(例えば金)を含む平面のガラス基板へ導き、これによって表面プラズモンを励起する。結果として生ずるエバネセント波は、金の層内の自由な電子雲と相互作用して又は当該電子雲に吸収され、電子電荷の密度波(すなわち表面プラズモン)を生成し、反射された光の強度の低下を生じさせる。最も強度が小さい共鳴角度は、センサ表面の反対の面にある当該金の層に近接する溶剤の屈折率の関数である。付加合成物は、典型的な場合、ポンプ及びマイクロチャネルを併用してマイクロ流体によって導入される。
128.「RWGバイオセンサ(RWG biosensors)」及びシステム
共鳴導波路回折格子(RWG)型バイオセンサは、例えば、基板(例えばガラス)回折格子構造が埋め込まれた導波路薄膜、及び細胞層を含むことができる。RWGバイオセンサは、回折格子を用いて光を導波路へ結合する共鳴を利用し、溶剤−表面間の接合部において全反射を導き、当該接合部において電磁場を作り出す。この電磁場の性質は一過性のものであり、これは当該電磁場の性質がセンサ表面から急激に低下することを意味し、当該電磁場の性質が初期値の1/eに低下する距離は侵入深さとして知られており、侵入深さは特定のRWGバイオセンサの設計によるが、典型的な場合約200nmである。このタイプのバイオセンサはエバネセント波を利用してバイオセンサ表面又はその周辺における細胞層のリガンド誘導された変化を特徴付ける。
RWG機器は角度シフト又は波長シフトの測定に基づいたシステムへさらに分割されることができる。波長シフトの測定において、一定の角度の入射波長の範囲をカバーする偏光された光が使用されて導波路に光を当て、特定の波長の光は当該導波路に結合されかつ当該導波路に沿って伝播する。あるいは、角度シフトの機器において、センサは単色光を用いて投射され、当該光が共鳴的に結合される角度が測定される。共鳴条件はバイオセンサの表面に直接接触している細胞層(例えば、細胞密度、細胞付着、及び細胞状態)の影響を受ける。リガンド又は検体が生細胞における細胞標的(例えば、GPCR、キナーゼ)と相互作用した場合、細胞層内の部分的な屈折率の変化は共鳴角度(又は波長)のシフトとして検出されることができる。
コーニング(登録済み)Epic(登録済み)システムは、無標識の生物学的又は細胞ベースのアッセイのためにRWGバイオセンサを使用する(Corning Inc.、Corning, NY)。Epic(登録済み)システムは、RWGプレートリーダ及びSBS(生体分子スクリーニング協会)標準のマイクロタイタプレートで構成されている。当該プレートリーダにおける検出システムは、細胞のリガンド誘導された変化を受けて、統合された光ファイバを使用して入射光の波長のシフトを測定する。一組の投射−検出ヘッドは直線的に配置され、これによって反射スペクトルは384ウェルのマイクロプレートのコラム内の各ウェルから同時に集められる。各センサが何度もアドレス指定されることができるようにプレート全体がスキャンされ、各コラムが順にアドレス指定される。入射光の波長は分析用に集められかつ使用される。温度管理ユニットが機器に含まれることができ、これによって温度変化による入射波長のスプリアスシフトが最小化される。測定された反応は細胞の集団の平均的な反応を表している。付加合成物はオンボードピペット又は外部の液体ハンドラによって導入される。
129.「電気的バイオセンサ(Electrical biosensors)」及びシステム
電気的バイオセンサは、基板(例えばプラスチック)、電極、及び細胞層で構成されている。この電気的検出方法において、細胞は基板上に配置された金電極上で培養され、システムの電気的インピーダンスは時間と共に発生する。当該インピーダンスは細胞層の導電性の変化の測定値である。典型的な場合、固定又は変更された周波数における小さな一定の電圧が電極又は電極アレイに加えられ、回路の電流が時間と共に監視される。電流のリガンド誘導された変化は細胞反応の測定値を与える。全ての細胞センシングに対するインピーダンス測定は1984年に初めて実現された。それ以降、インピーダンスベースの測定は、細胞付着、細胞拡散、細胞の微動、細胞の形態変化、及び細胞の死を含む広い範囲の細胞事象の研究に用いられてきた。従来のインピーダンスシステムは、小さな検出電極及び大きな参照電極を使用したため、大きな分析結果のばらつきに悩まされている。このばらつきを取り除くために、CellKeyシステム(MDS Sciex、南サンフランシスコ、CA)、RT−CES(ACEA Biosciences Inc.、サンディエゴ、CA)などの最新世代のシステムは、微小電極アレイを有する集積回路を使用する。付加合成物はオンボードピペットによって導入される。
130.「高い空間分解能のバイオセンサイメージングシステム(High spatial resolution biosensor imaging systems)」
SPRイメージングシステム、エリプソメトリイメージング、及びRWGイメージングシステムを含む光学的バイオセンサイメージングシステムは、高い空間分解能を与え、好ましくは開示された方法に使用される。例えば、SPRイメージャ(登録済み)2(GWC Technologies Inc)は、プリズム結合したSPRを使用し、固定入射角度においてSPR測定を行い、CCDカメラを用いて反射光を集める。表面の変化は反射率変化として記録される。従って、SPRイメージングは、すべてのアレイの要素に対して同時に測定値を収集する。
近年、コーニングインコーポレイテッドは、さらに、イメージングベースの用途に対するRWGバイオセンサに基づいた波長掃引型光学インタロゲーションシステムを開示した。このシステムにおいて、高速の波長可変レーザ光源が使用されて、センサ又はマイクロプレート型のRWGバイオセンサのアレイに投射する。当該センサのスペクトルは、当該センサから反射された光学的パワーをレーザ波長が走査する際の時間の関数として検出することによって構成されることができ、コンピュータ化された共鳴波長インタロゲーションモデリングを用いた測定データの分析は、固定化受容体又は細胞層を有するバイオセンサの空間分解された画像の構造をもたらす。イメージセンサの使用は、当然にイメージングベースのインタロゲーションスキームにつながる。二次元の無標識画像は可動部品を用いずに得られることができる。
あるいは、横磁場モードすなわちp−偏光されたTMモードを備えたCorning(登録済み)Epic(登録済み)角度インタロゲーションシステムが使用されることもできる。このシステムは、約200マイクロメートルx3000マイクロメートル又は200マイクロメートルx2000マイクロメートルの大きさのRWGセンサに各々が投射する光ビームのアレイを生成する発射システムと、これらセンサから反射された光ビームの角度の変化を記録するCCDカメラベースの受信システムと、で構成されている。配置された光ビームは、回折光学レンズと組み合わせてビームスプリッタを用いて得られることができる。このシステムは、最大49センサ(7x7ウェルセンサアレイ内のもの)が3秒ごとに同時にサンプリングされることを可能にする。
あるいは、波長走査型インタロゲーションシステムが使用されることもできる。このシステムにおいて、一定の角度の入射波長の範囲をカバーする偏光された光が投射するのに使用されて導波路回折格子型バイオセンサの全域で走査し、各場所における反射光は同時に記録されることができる。走査を通して、バイオセンサ全域における高解像度画像が得られることもできる。全ての選択肢において、付加合成物はオンボードピペット又は外部の液体ハンドラによって導入される。
無標識バイオセンサの細胞アッセイは生細胞におけるリガンド誘導された動的総体的再分布(DMR)シグナルを示す
細胞標的によって仲介された細胞シグナル伝達は、下流のシグナル伝達ネットワークの時間的及び空間的ダイナミクスによって符号化される。時間的ダイナミクスの、シグナル伝達活性の空間的勾配との結合は、刺激された際の細胞反応を導く。もし実現するならば、リアルタイムの細胞シグナル伝達の集積を監視することは、細胞生物学及び細胞生理学を理解するための新しい次元を与えるだろう。共鳴導波路回折格子(RWG)型バイオセンサを含む光学的バイオセンサは、細胞物質の動的再分布に関する生理学関連の集積された細胞反応を示し、細胞シグナル伝達のための非侵襲的手段を提供する。
全ての光学的バイオセンサに共通することは、これらがセンサ表面又はそのごく近くにおける部分的な屈折率の変化を測定するということである。ほぼ全ての光学的バイオセンサは、原理上は細胞センシングに適用可能であり、これらはエバネセント波を用いて細胞内のリガンド誘導された変化を特徴付けることができる。当該エバネセント波は電磁場であり、溶剤−表面間の接合部における光の全反射によって作り出され、典型的な場合、当該エバネセント波は、侵入深さ又はセンシングボリュームと呼ばれる溶剤の特有の深さまで短い距離(約数百ナノメートル)伸びる。
近年、理論的数学モデルが開発され、当該モデルは、リガンドを用いた刺激に応じた生細胞内において測定された光学的シグナルのパラメータ及び性質を説明している。これらモデルは、既知の細胞生物物理学と組み合わせた3層の導波路システムに基づいており、リガンド誘導された光学的シグナルから受容体によって仲介されたいくつかの細胞プロセスへのリンクを提供する。
バイオセンサが入射光によって投射されたエリアに位置する細胞の平均的な反応を測定することを考えると、最適なアッセイ結果を得るために高密度の細胞層が使用される。バイオセンサの短い侵入深さと比べて細胞の寸法は大きいため、センサは、基板、回折格子構造を有する導波路膜、及び細胞層からなる従来にない3層のシステムと考えられる。従って、リガンド誘導された効果的な屈折率の変化(すなわち検出されたシグナル)は、一次的に、細胞層の底部の屈折率の変化に正比例する。
Figure 2013500718
S(C)は細胞層に対する感度であり、△nはバイオセンサによって感知された細胞層のリガンド誘導された部分的な屈折率の変化である。細胞内の所定のボリュームの屈折率は主にタンパク質などの生体分子の濃度によって決定されるため、Δnはセンシングボリューム内の分子集合体又は細胞標的の部分的な濃度のリガンド誘導された変化に正比例するとみなされることができる。バイオセンサ表面から離れて広がるエバネセント波の指数関数的に減衰する性質を考慮すると、リガンド誘導された光学的シグナルは以下の式によって与えられる。
Figure 2013500718
△Zは細胞層への侵入深さであり、アルファは特定の屈折増分(タンパク質において約0.18/mL/g)であり、zは質量の再分布が起こる距離であり、dは細胞層内の想像上のスライス厚である。ここでは細胞層は垂直方向において等間隔なスライスへ分割される。式2は、リガンド誘導された光学的シグナルがセンサ表面から離れた異なる距離において発生する質量の再分布の総和であり、各々が全体の反応に対する同じでない寄与を有することを示している。さらに、波長シフト又は角度シフトに関する検出されたシグナルは、主にセンサ表面に対して垂直に発生する質量の再分布を感知できる。その動的性質により、これは動的総体的再分布(DMR)シグナルとも呼ばれる。
細胞は多数の細胞経路又は細胞機構に依存しており、これによって受け取った情報を処理、符号化、及び統合する。光学的バイオセンサを用いた親和性分析であって特にタンパク質標的への検体の結合を測定するものとは異なり、生細胞は非常に複雑かつ活発である。
細胞シグナル伝達を研究するために、細胞はバイオセンサの表面に接触させられ、当該研究は細胞培養を通して行われることができる。これら培養された細胞は3つの接触タイプを通して細胞表面へ貼付けられ、当該接触タイプは焦点接触、密着接触、及び細胞外マトリクス接触であり、各々が当該表面からの特有の分離距離を有している。細胞型及びバイオセンサ表面の表面化学によって、細胞は3つの接触タイプの1つ以上を用いてバイオセンサ表面へ付着することができる。その結果、基底細胞膜は概して当該表面から約10−100ナノメートル離れている。これらバイオセンサは細胞の底部を感知することができる。
多くのケースにおける細胞は表面に依存した付着及び増殖を見せる。ロバストな細胞アッセイを達成するために、バイオセンサ表面は細胞付着及び細胞増殖を促進するコーティングを必要とすることができる。一方、表面特性は細胞生物学に直接の影響を与える。例えば、表面結合されたリガンドは細胞の反応に影響を与えることができ、細胞によって与えられた力の下でどのように変形するかを判定する基板材料の機械的適合性は影響力が大きい。培養条件(時間、血清濃度、密度など)と共に、得られた細胞状態は1の表面と他の表面とでは異なるものであり、かつ1の条件と他の条件とでは異なるものであることができる。従って、バイオセンサベースの細胞アッセイを発達させるためにはコントロール細胞状態への特別な注意が必要である。
細胞は典型的な場合数十ミクロンの比較的大きい寸法を有する動的対象物である。刺激をしない場合でも、細胞は常に微動しており、これは、細胞より小さい解像度における微速度撮影の顕微鏡検査及びナノメートルレベルにおけるバイオインピーダンス測定によって組織培養において観測されるような、動的変動及び細胞構造のリモデリングである。
未刺激の条件下では、細胞は、概して、RWGバイオセンサを用いて検査されると、ほぼ正味ゼロのDMR反応を生じさせる。これは、レーザスポットの大きなサイズ及び結合された光の長い伝播距離によって決定される光学的バイオセンサの低い空間分解能に部分的に起因している。レーザスポットのサイズは調査されるエリアのサイズを決定し、通常は1回に1つの分析ポイントのみが追跡されることができる。従って、当該バイオセンサは、典型的な場合、光の入射エリアに位置する大きな細胞の集団の平均的な反応を測定する。細胞は単一細胞レベルで微動するが、検査された大きな細胞の集団は平均的に正味ゼロのDMR反応を生じさせる。さらに、細胞内の巨大分子は、哺乳類の細胞の適切な場所に対して高度に組織化されかつ空間的に限定されることが知られている。タンパク質の局在は厳しく管理され、これによって、細胞に対して、適切なパートナーと相互作用するタンパク質の特異性及び有効性を制限し、タンパク質の活性機序及び失活機序を空間的に分離し、そして特定の細胞機能及び細胞反応を決定する。従って、未刺激の条件下では、センシングボリューム内の細胞の質量密度は平衡状態に達し、正味ゼロの光学的反応を導くことができる。検査された細胞が、しばしば従来の培養条件下である期間において培養され、ほとんどの細胞が単に単一の分裂周期を終えているのは意味のないことである。
生細胞は、外因性シグナルを感知しそれに反応する優れた能力を有している。通常は、細胞シグナル伝達は、環境信号が単一の明確に定義された反応をもたらす反応の線状鎖を引き起こした際の線状の経路を介した働きと考えられる。しかし、蓄積した証拠は、外部刺激に対する細胞反応がずっと複雑であることを示している。受け取った細胞が、シグナル伝達タンパク質の位相的再配置及びリン酸化反応の複雑な時間的及び空間的パターンへ符号化及び処理されるという情報が明らかになった。適切な場所に対するタンパク質の空間的及び時間的な標的は、タンパク質間の相互作用の特異性及び有効性を制限し、細胞シグナル伝達及び細胞反応のタイミングと強度を判定するのに極めて重要である。細胞骨格再構築、細胞周期チェックポイント、及びアポトーシスなどの重要な細胞の判定は、正確な時間的コントロール及び活性化されたシグナル伝達物質の相対的な空間的分散に依存する。従って、Gタンパク質共役受容体などの細胞標的によって仲介された細胞シグナル伝達は、典型的な場合、規則的かつ調節された態様にて開始され、一組の空間的及び時間的事象で構成されており、これらの多くは部分的な質量密度の変化又は細胞の部分的な細胞物質の再分布を導く。センシングボリューム内において発生するこれら変化又は再分布は、光学的バイオセンサを用いてリアルタイムで直接追跡されることができる。その結果、結果として生ずるDMRシグナルは、生細胞の新規な生理学的反応であり、システムの生細胞におけるリガンド−受容体のペアの細胞生物学の情報を含み、かつDMRシグナルはシステムの生細胞において作用するリガンドの細胞薬理学の情報を含む。
a)材料と方法
(1)材料
ドーパミン、A68930、PD128907、GABA、ADO、マストパラン、アセチルコリン、SKF83566はTocris(セントルイス、MO)から得られた。神経ペプチドB(NPB−23)、オレキシンA、ダイノルフィンA、神経ペプチドY、SFLLR−アミド、及びエンドルフィン−IはBaChem(キングオブプルシャ、PA)から得られた。Epic(登録済み)384バイオセンサマイクロプレートはCorning Inc.(コーニング、NY)から得られた。
(2)EPIC384ウェルプレートの殺菌及びコーティング
Epicプレートの各々は6分間UV処理され、70%エタノール洗浄され、組織培養フード内において保存された。翌日、当該プレートはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて二度洗浄され、DMEM/F12において20μg/mlのラミニン(Sigmaから、L2020、1mg/ml、セントルイス、MO)が各ウェルに20μl加えられ、COインキュベータ内において5時間、37度にて培養された。ラミニン溶剤が除去された後、コーティングされたウェルはPBSを用いて一度洗浄され、3,000の細胞を含む維持培地が各ウェルに50μl加えられ、細胞アッセイが実行された。
(3)細胞培養
Millipore(テメキュラ、CA)からのReNcell VMヒト神経前駆細胞(ReN Cell)が、ReNcell NSC維持培地(Millipore、テメキュラ、CA)内において、ラミニンコートのT75組織培養フラスコ(Corning、NY)にて定期的に増殖され、当該維持培地は20ng/mLのFGF−2及び20ng/mLのEGF(Millipore、テメキュラ、CA)を含む。未分化細胞の維持及び成長のために、当該培地は毎日交換された。培養における全ての細胞は、5%のCOを含む空気、95%の湿度、37度の環境に維持されていた。細胞は、Accutase(登録商標)(Millipore、テメキュラ、CA)を用いて一週間保管された。
Epic上の細胞アッセイにおいて、未分化細胞は、典型的な場合、新たにラミニンでコーティングされたバイオセンサのマイクロプレートにおける50μlの対応する培地内のウェル当たり約3,000の細胞を用いて播種され、5%のCOを含む空気の下で37度にて培養された。翌日、各ウェルから培地を除去し、FGF−2及びEGFを含まない未使用のReNcell NSC維持培地に置き換えることによって分化が開始された。培地は10日間、2−3日毎に未使用のReNcell NSC維持培地と置き換えられた。アッセイ時における全ての細胞の密度は約90%から100%であった。
(4)免疫細胞化学
ラミニンコートの384−ウェルEpicマイクロプレート上の成長及び/又は分化に続いて、培地が除去され、細胞は低温の4%パラホルムアルデヒド/PBS内において15分間固定され、2回PBS洗浄された。細胞は透過処理され、5%の標準のヤギ血清(NGS、Vector Labs)を用いてブロッキングされ、PBS内の0.3%のトリトンX−100において室温にて2時間置かれた。オリゴデンドロサイトマーカ(O1)による表面の染色のため、非透過性のブロッキング溶剤(PBS内の標準のヤギ血清(NGS、Vector Labs))が使用された。1:1000におけるマウスモノクローナル抗体(Sigma、セントルイス、MO)を使用してベータ3チューブリンが調査され、抗GFAPラビットポリクローナル抗体は1:5000において使用され(DAKO)、抗O1抗体は1:500において使用され、抗チロシンヒドロキシラーゼ(TH)抗体は1:250において使用された(Millipore、テメキュラ、CA)。一次抗体は4度にて一晩培養された。PBSを用いた2回洗浄した後、室温にて1.5時間、1%のNGSを含むPBS内に溶解しているろ過されたAlexa dye conjugated Goat anti−Rabbit 568(1:2500、分子プローブ)又はAlexa dye conjugated Goat anti−Mouse 488(1:250、分子プローブ)を用いて処理された。細胞はPBSを用いて洗浄され、4分間10mMのHoechst33342(Sigma)を用いて対比染色され、さらにPBS洗浄された。
(5)細胞付着アッセイ
細胞付着アッセイにおいて、未分化のReNcell VM細胞は、HBSS(1倍のハンクス平衡塩類溶液、20mMのHepesを加えたもの、pH7.1)又は1ml当たり60万の細胞の最終濃度における維持培地内で再懸濁され、384ウェルのポリプロピレン合成物の保管プレートへ転送された。合成物ソースプレートは、アッセイの第2ステップ用に別に作られた。同時に、バイオセンサのマイクロプレートは、新たにラミニンでコーティングされ、もしくはコーティングされず、D−PBSを用いて洗浄された。D−PBSを除去した後、25μlのHBSS又は維持培地が各ウェルに加えられた。バイオセンサのマイクロプレートすなわち細胞ソースプレート及び合成物ソースプレートは、読取システムの保管場所において2時間培養された。アッセイの直前に、細胞は合成物プレートにおいて手動で再懸濁された。バイオセンサのマイクロプレートにおける全てのバイオセンサの基準線の波長は記録されゼロに正規化された。その後、基準線を確立するために2から10分の連続的な記録が行われ、25μlの細胞溶剤がオンボードの液体ハンドラを用いてバイオセンサのプレートへ転送された。細胞付着が3時間実行かつ記録された。第2ステップにおいて、培養後、細胞アッセイのμプレートにおける全てのバイオセンサの基準線の波長が記録されゼロに正規化された。その後、基準線を確立し、細胞が定常状態に達したことを保証するため、2から10分の連続的な記録が行われた。その後、10μlの合成物溶剤をオンボードの液体ハンドラを用いて細胞アッセイのプレートへ転送することによって細胞反応が引き起こされた。
(6)光学的バイオセンサシステムと細胞アッセイ
Epic(登録済み)波長インタロゲーションシステム(Corning Inc.、 Corning、NY)は全ての細胞センシングに使用された。このシステムは、温度管理ユニット、光学的検出ユニット、及びロボットを有するオンボートの液体ハンドリングユニットで構成されている。当該検出ユニットは統合された光ファイバの中心に設けられ、約15秒間隔で細胞反応の動的な測定を可能にする。合成物溶剤は当該オンボードの液体ハンドリングシステム(すなわちピペット)を用いて導入された。
RWGバイオセンサは当該センサ表面の周辺の部分的な屈折率の微細な変化を検出することができる。細胞内の部分的な屈折率は密度及びそのバイオマス(例えば、タンパク質、分子錯体)の分散の関数であり、バイオセンサはそのエバネセント波を用いてネイティブな細胞内におけるリガンド誘導された動的総体的再分布を非侵襲的に検出する。当該エバネセント波は細胞へ伸び、約150nmの特有のセンシングボリュームである距離を越えると指数関数的に減衰し、受容体活性によって仲介された光学的反応のみがエバネセント波にサンプリングされる細胞の一部の平均を示すことを暗示する。受容体活性の下流の多くの細胞事象の集合は、リガンド誘導されたDMRの速度及び大きさを決定する。
バイオセンサの細胞アッセイにおいて、合成物溶剤は、HBSS(1倍のハンクス平衡塩類溶液、20mMのHepesを加えたもの、pH7.1)を有する保管された高濃度の溶剤を希釈することによって作製され、384ウェルのポリプロピレン合成物保管プレートへ転送され、合成物ソースプレートが準備された。2ステップのアッセイが実行される場合は2つの合成物ソースプレートが作製された。同時に、細胞はHBSSを用いて2回洗浄され、40μlのHBSS内において保持され、細胞アッセイプレートが準備された。細胞アッセイプレートと合成物ソースプレート(単数又は複数)の両方は、その後、読取システムの保管場所内において培養された。培養後、細胞アッセイのマイクロプレートにおける全てのバイオセンサの基準線の波長が記録されゼロに正規化された。その後、基準線を確立し、細胞が定常状態に達したことを保証するため、2から10分の連続的な記録が行われた。その後、10μlの合成物溶剤をオンボードの液体ハンドラを用いて細胞アッセイのプレートへ転送することによって細胞反応が引き起こされた。
全ての調査は管理された温度(28度)にて行われる。各々が少なくとも2つの複製を有する少なくとも2つの独立した検査のセットが実行された。
(7)光学的バイオセンサシステムと細胞アッセイ
b)例1:バイオセンサ表面において幹細胞から派生した神経細胞系の構造
幹細胞及び幹細胞から派生した細胞は、再生医療に役立つだけでなく、創薬において重要な役割を果たすこともできる。現在の薬剤の高い減少率はヘルスケアシステムにおいて大きな負担を与える。この非効率かつ高価な薬剤パイプライン問題は、実際のヒトの疾患を正確に表す疾患モデルを有し、その根本的な仕組みがよりよく理解され、効果的かつ安全な薬剤が得られかつ立証されることによって改善されることができる。原理上は、ヒトの胚性幹(ES)細胞又はiPS細胞はその目的に使用されることができる。ES細胞は特定の疾患を有する患者から得られることができ、疾患に影響を受けた細胞型そのものとなる疾患特有のES細胞を導くプロトコルが確立されることができる。このような疾患に関する細胞は、多くの予測的創薬及び毒性研究を推進することができるはずである。さらに、細胞系ベースの手法は、有効性の増加における大きな利益をもたらし、創薬及び開発プロセスの費用を低減することができるだろう。
幹細胞又は幹細胞様細胞は多数の細胞型で構成されている細胞系へ分化することができる。従って、このような細胞系は、薬剤検査及び創薬において優れた利点を提供する幹細胞のリプログラミングによって得られることができる。Milliporeによる市販の前駆幹細胞株であるReNcell VM細胞は、このような細胞をバイオセンサ表面のその場において神経細胞系へリプログラムするのに使用される。ReNcell VM細胞株は、成長中のヒトの脳の腹側中脳領域から派生したヒトの神経幹細胞株であり、myc癌遺伝子を用いたレトロウィルス導入によって不死化されている。この細胞株は、安定した表現型及び遺伝子型、さらにいくつかの神経細胞型へ分化する能力を提供する。ReNcell VM細胞株は、その自己再生能力及び機能的分化に従う多分化能のため、NSCとして特徴付けられる。そのmyc不死化変換のため、ReNcell VMラインは、無血清培地のラミニン上において単層培養物として、生物学的効果を失うことなく又は核型異常を促進することなく、生育されることができる。Mycは幹細胞の自己再生及び増殖を促進及び維持することができ、分化及び分化に関するプロテオーム変化を所望されるまで食い止める。従って、ReNcell VMは、創薬及び研究用途のための、理想的な、標準化された、インビトロの、ヒトベースのプラットフォームである。
図4に示されているように、コーニング384ウェルEpicバイオセンサのマイクロプレートは、ニューロンへの幹細胞分化を可能にする細胞外基質タンパク質であるラミニンで新たにコーティングされる。ReNcell VM細胞は自動化されたピペットを用いてラミニンコートのバイオセンサ表面に添加される。1日の培養後、成長因子の除去すなわち各ウェルから培地を除去すること並びにFGF−2及びEGFを含まない未使用のReNcell NSC維持培地に置き換えることによって、細胞分化が開始された。培地は10日間、2−3日毎に未使用のReNcell NSC維持培地と置き換えられた。培養の最後に、結果として生ずる細胞は多数のマーカを用いた免疫染色を用いて特徴付けられた。図5に示されているように、細胞が分化され、細胞がますます長くなると、ReNcellは、細胞培養及び分化プロセス中に形態学的に変化した。これら形態学的変化の進行は、Epic(登録済み)ラミニンコートのマイクロプレートにおけるその場でのReNcell分化がいくつかの段階を経ることを示している。
さらに、図6に示されているように、ReNcell VM細胞は、ドーパミン作動性ニューロン、アストロサイト、及びオリゴデンドロサイトからなる3つの細胞型で少なくとも構成されている神経細胞系へ分化された。オリゴデンドロサイトの存在は、オリゴデンドロサイトのマーカ(O1)の表面の染色によって明らかになった。アストロサイトの存在はGFAPの染色によって明らかになり、ドーパミン作動性ニューロンの存在はベータ3チューブリンとチロシンヒドロキシラーゼの両方の2つの染色によって明らかになった。
c)例2:Epic(登録済み)を用いたReNcell神経幹細胞の前駆細胞のリプログラミングによって派生した神経細胞系の特徴付け
ReNcellは、成長因子(EGF及びFGF−2)の除去の後に標準的な組織培養条件の下で容易にニューロンへ分化された。結果として生ずるニューロンは、機能的なドーパミン作動性の特徴を有しており、当該特徴は、特定のドーパミン作動性マーカ(図7に例示されている)を用いた免疫染色の研究並びにプロテオーム及びゲノム研究(Milliporeによる製品に関する情報を参照)に基づいていた。しかし、リプログラムされた神経細胞系における内因性受容体の機能性に関する直接のレポートは存在しない。従って、Epic(登録済み)システムが、得られた細胞系における内因性ドーパミン受容体のDMRプロファイルを特徴付けるのに使用された。図7に示されているように、分化されたReNceell細胞は、3つのドーパミン受容体アゴニストを用いて刺激された際に小さいが再現可能なDMRシグナルを生じさせ、当該3つのドーパミン受容体アゴニストは、強力なD3/D2受容体アゴニストPD128907、強力かつ選択的なD1受容体アゴニストA68930、及び非選択的なドーパミン受容体アゴニストドーパミンである。しかし、これら3つのアゴニスト誘導されたDMRシグナルは細かい特徴が異なり、興味深いことに、当該ドーパミン反応はPD128907とA68930の両方のDMRシグナルの単純な和に近い。これら結果は、A68390が分化された細胞における内因性D1受容体に対するDMRシグナルをもたらし、一方PD128907が他の内因性ドーパミン受容体(場合によってD2受容体)を活性化し、この投与量におけるドーパミンはD1及びD2受容体の両方を活性化させることができることを示している。実際に、D1及びD2の特定アンタゴニストを用いたさらなる薬理学研究はこのような考察が実証された(デ―タは図示せず)。さらなる証拠が分化された細胞のドーパミン投与量に依存する反応から示された。図7Dに示されているように、ドーパミン濃度の関数として50分刺激された後の振幅としてプロットされると、ドーパミンは二相性の投与量に依存するDMRシグナルを導いた。低い投与量(4000nM未満)において、ドーパミンはA68390によって誘導されたものに類似したDMRを導いた。しかし、高い投与量においては、ドーパミン誘導されたDMRシグナルはA68390及びPD128907のDMRシグナルの単純な和に近かった。これは、幹細胞又は幹細胞の前駆細胞をリプログラムすることによって派生した神経細胞又は細胞系における機能的及び内因性ドーパミンの初めの無標識プロファイリングを表している。
d)例3:Epic(登録済み)システムを用いて幹細胞分化の神経系列を特徴付ける方法
幹細胞に集められた関心のほとんどは細胞置換療法に使用されることに関する。しかし、幹細胞は形態を変形されることもでき、治療法が開発され実証された。ヒトのES細胞から様々な疾患に作用する分化された細胞は作製可能であり、培養皿における予測的毒性試験及び治療法調査が行われることができる。第1ステップは、体細胞核移植又はiPS細胞を生成する転写因子の混合物を用いて成体の体細胞をリプログラムする(脱分化する)ことによって患者から疾患特有のES細胞株を分離することを必要とする。成体の体細胞のリプログラミングを促進する他のタンパク質又は小分子を特定することも対象である。SMA及びハンチントン病の場合、疾患特有のES細胞は、着床前遺伝子診断(PGD)に使用されるヒトの胚から得られることができる。その後、ヒトのES細胞は、培養中に、対象となる疾患(例えば、パーキンソン病における黒質DAニューロン、又はハンチントン病における中型有棘ニューロン)の影響を受けた細胞型又は毒性試験において関連する細胞型(心臓細胞又は肝細胞)へ分化される。ES細胞の分化を促進することは、細胞置換療法において治療的に使用されるのに必要である(例えば、1型糖尿病用の膵臓ベータ細胞)。分化のスクリーニング検査自体が、疾患に関する経路を変調する治療候補(ヘッジホッグ、Wnt、BMPなど)又は細胞増殖を変調する合成物を生成することもできる。
1981年のマウスのES細胞の確立及び1998年のヒトのES細胞の確立以来、ES細胞の伝播及び分化技術には大きな進歩があった。過去10年間で、ES細胞の神経細胞への分化をコントロールするいくつかの方法がレポートされた。各方法は、所望の神経細胞型に依存する利点と欠点を有しており、CNS内において異なる局所的な独自性を有する神経組織の分化を誘導することができる。ES細胞は胚様体として知られる浮遊会合体へ分化されることができ、当該会合体は血清の存在下で培養され、かつ3つの全ての胚葉から派生した細胞を含む。一方、無血清かつフィーダーフリーの懸濁培養を用いて、ES細胞は外胚葉へ選択的に分化することができる。
肝細胞を分化させる最も成功したプロトコルは、細胞外シグナル及び胚発生における標準的な細胞分化に影響を与える遺伝子調節因子の知識に依存している。典型的な場合、分化を誘導するシグナルは、酵素活性を引き起こす細胞内経路によって仲介され、当該活性は、例えば、リン酸化反応、アセチル化、メチル化、ユビキチン化、又はこれら活性の反転である。これら酵素機能は、調節(転写)因子の発現又は活性の変化をもたらし、細胞の分化状態に影響を与える。シグナル変換経路はしばしば細胞外タンパク質リガンド(成長因子)によって活性化されるため、このようなタンパク質ベースの材料を用いてフィールドが開始され、幹細胞の分化が起こる。
神経幹細胞(NSC)は、神経変性疾患(パーキンソン病、ハンチントン病、及びアルツハイマー病)に対する新たな手法の考案及び発見のための力強い研究道具である。NSCの自己再生能力及び多分化能は、神経疾患の治療及び研究所における力強い道具として、NSCを魅力的なものにする。ReNcell VM細胞は当該研究に使用される。この細胞株は不死化された幹細胞株である。成長因子の存在によって分化されていない細胞は神経表現型を欠いている。一方、成長因子の除去後、分化が予想通り発生した(図5及び図6)。ニューロンは形態学的マーカを用いて検出可能であるが、電気生理学的成熟が電位依存性チャネルの発達と共に起こり、作用電位の発生を許容する。分化後、中脳由来の細胞株は免疫細胞化学マーカによって特定されるとドーパミン作動性ニューロンへ分化される。未分化状態において、ReNcell VMはネスチン陽性であり、約−60mVの静止膜電位を有するが、電圧活性されたコンダクタンスを表示しない。分化後、ReNcell VMは、免疫組織学的な特徴に従って、ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトを形成する。これら分化された細胞は電気生理学的機能を有するニューロンであり、ドーパミン作動性ニューロンであると見られている。
機能的試験は、神経マーカの免疫学的特徴が機能性を示す必要がないことを説明するのに不可欠なものである。Piperら(Piper、D.R.ら、Immunocytochemical and Physiological characterization of a population of cultured human neural precursors.J.Neurophysiol.2000、84、534−548)は、胎児由来のNSCの、さまざまなリガンド及び電位依存性チャネルを有するニューロンへの分化を証明した。しかし、これは完全に機能的ではなく、電位依存性ナトリウムチャネルの密度が作用電位の発生を許容するのに十分ではない。ヒトの胎児の脳組織を用いた他の研究は同様な結果を見つけた。無血清の条件において、胚性幹細胞は、細胞を含むチロシンヒドロキシラーゼ(TH)へ分化され、これは、ドーパミンを分泌し、一部のニューロンの電気的特性を有することを証明したが、やはり作用電位は記録されなかった。これら細胞は、6−ヒドロキシドーパミンの損傷したラットの脳の生体内において生き残ると見られている。グルタミン酸作動性ニューロン及びGABA性ニューロンも所定の条件下でヒトの胎児の前脳から分化された。作用電位を起こす能力は説明されていないが、これら研究は明らかにリガンド依存反応を証明している。Perrierら(Perrier、A、L.ら、Derivation of midbrain dopamine neurons from human embryonic stem cells.Proc Natl Acad Sci USA 2004、101、12543−12548)は、胚性幹細胞が、フィーダ層の共培養を用いて作用電位を起こすことができるドーパミン作動性ニューロンとなることを導いた。他の成功した方法は、Wuら(Wu、P.ら、Region specific generation of cholinergic neuron from fetal human neural stem cells grafted in adult rat.Nat Neurosci 2002、5、1271−1278)によって開発され、その中で、線維芽細胞の成長因子であるヘパリン及びラミニンの混合物を用いて胎児のNSCが前処理され、数日間分化され、コリン作動性ニューロンが生成され、確実に作用電位が発生した。従って、これは、ヒトの胚又は胎児由来の幹細胞から派生した完全な機能的ニューロンの数少ないレポートであった。さらに、胎児由来のhNSCの使用におけるさらなる制限は、培養中に成長した際のその死亡率であった。
細胞分化は、培地、成長因子、及び表面コーティングなどの培養条件に敏感であり、結果として得られるリプログラムされた細胞は、異なる段階、異なる系列などにおいて大きく異なるはずである。従って、幹細胞及び幹細胞様細胞のリプログラミング段階及び系列を特徴付けるために、非侵襲性の細胞プロファイリング手法が開発された。図8に示されているように、本発明は、成熟段階を含む細胞リプログラミング中の多数のチェックポイントにおけるバイオセンサを用いた細胞プロファイリングを含む。その結果は、ReNcell細胞が、組織培養処理された又はラミニンコートのバイオセンサ表面において異なる付着挙動を引き起こしたことを示している。ラミニンコートの表面において、細胞は拡散することをためらいがちであり(すなわち、初めの堆積と拡散段階との間に待機期間(約15分)が存在する)、一方、組織培養処理された表面においては、待機期間はより短い(2分未満)である(図8A)。このような表面に依存する微細な特徴は、様々な成熟細胞(例えば、肝細胞から派生した心臓細胞、血液細胞、脳細胞、膵臓細胞、又は皮膚細胞)においてより顕著である。
ドーパミンは哺乳類の脳に存在する主要なカテコールアミン神経伝達物質であり、運動、神経内分泌、認知、及び興奮を含む様々な働きに対して反応可能である。ドーパミンは末梢においてもその役割を果たし、血管緊張、腎機能、心臓血管機能、ホルモン分泌、及び消化管運動を制御する。ドーパミン受容体は、5つのドーパミン受容体のサブタイプとして区別されてきた。当該サブタイプは、その予測された膜貫通トポロジ並びに機能的及び薬理学的特徴に基づいて、D1−like(D1及びD5)とD2−like(D2、D3、及びD4)の2つのタイプに分離されることができる。ドーパミン伝達の異常調節は、パーキンソン病、トゥレットシンドローム、総合失調症、及び高プロラクチン血症などの様々な疾患を発生させる。従って、ドーパミンは、幹細胞分化におけるドーパミン作動性ニューロン系列を調査するマーカとして使用される。ドーパミンDMRシグナルは細胞段階に依存する(図8Bから図8D)。バイオセンサ表面への付着から3時間経過したReNcellにおいて、ドーパミンは小さいが再現されたDMRシグナルを誘導し、これはReNcell前駆細胞において内因性ドーパミン受容体(場合によってD2受容体)が存在することを示す(図8B)。細胞が成長因子の富栄養培地で4日間保持された場合、ドーパミンは異なるDMRシグナルを誘導し(図8C)、これは内因性D2受容体の活性によって確認された(データは図示せず)。しかし、分化及び成熟から10日経過後、分化された細胞は内因性D1受容体からのさらなる寄与を含む異なるDMRシグナルを有するドーパミンに反応した(図8D及び図7)。これら結果は、機能的D1受容体及びその光学的バイオセンサの反応が幹細胞分化の神経系列用のマーカとして使用されることができることを示している。
しかし、ドーパミン受容体は、非神経細胞を含む多くの異なる細胞型においても表現され、ドーパミン又は他の選択的D1受容体のみでは幹細胞分化の神経系列用の確認可能なマーカとしては不十分である。従って、マーカパネルがこのような判定のために使用されることができる。その結果は図9−図12に集約されている。これらマーカは、内因性Gタンパク質結合受容体、酵素、キナーゼなどを含む。その結果は図9に集約されており、分化されたReNcellに特有のマーカパネルが示されており、当該マーカは、ムスカリン性受容体アゴニストアセチルコリン、アデノシン受容体アゴニストアデノシン、P2Y受容体アゴニストATP、代謝調節型のグルタミン酸受容体アゴニストスペルミン、オピオイド受容体アゴニストダイノルフィンA、エンドセリン受容外アゴニストエンドセリン1、GPR7及び8アゴニスト神経ペプチドB−23(NPB−23)、オレキシン受容体アゴニストオレキシンA、プロテアーゼ活性された受容体アゴニストSFLLR−アミド、P2YアゴニストUDP、NPY受容体アゴニスト神経ペプチドY、並びにVIP受容体アゴニスト血管作動性ペプチドを含む。これらマーカの任意の組合せ又はこれらに均等なアゴニストが使用されてリプログラムされた神経細胞の段階及び品質を判定することもできる。
図10には未分化ReNcellと分化されたReNcellの両方に非特異なマーカパネルが示されており、当該マーカは、P2YアゴニストADP、ドーパミン受容体アゴニストドーパミン、GABA受容体アゴニストGABA、アペリン受容体アゴニストアペリン、MCH受容体アゴニストアルファメラニン刺激ホルモン、及びPAF受容体アゴニスト血小板成長因子を含む。これらアゴニストは分子DMRインデックスを生成するマーカパネルとして使用されることができ、これらインデックスは細胞とそのリプログラムされた細胞との間の差異を示すのに使用されることができる。
図11には未分化細胞に特有なマーカパネルが示されており、当該マーカは、ATII受容体アンジオテンシン2、GLP受容体アゴニストグルカゴン様ペプチド、LPA受容体アゴニストリゾホスファチジン酸、NTS受容体アゴニストニューロテンシン、NKA受容体アゴニストサブスタンスP、微量のアミン受容体アゴニストチラミン、P2YアゴニストUTP、及びUTII受容体アゴニストウロテンシン2を含む。これらマーカはリプログラムされた神経細胞の段階及び品質を判定するのに使用されることができる。
図12にはReNcellの神経分化中に変更される可能な経路であって概して任意の細胞プログラミング用のものを定義するのに有効なマーカパネルが示されている。これらマーカは、EPACアクティベータ8−CPT−2−Me−cAMP、アデニリルシクラーゼアクティベータフォルスコリン、アルファタンパク質アクティベータMAS−7、PI3Kアクティベータ740Y−P、インスリン受容体アクティベータL783281、及び非選択性PKCアクティベータホルボール12−ミリスチン酸13アセテート(PMA)を含む。
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Claims (51)

  1. a.未分化細胞を得るステップと、
    b.前記未分化細胞を無標識バイオセンサシステムのバイオセンサ表面へ付着させるステップと、
    c.前記付着された細胞を第1チェックポイントまで培養するステップと、
    d.マーカに対する第1チェックポイント一次プロファイルを得るステップと、
    からなる方法。
  2. a.前記付着された細胞を第2チェックポイントまで培養するステップと、
    b.マーカに対する第2チェックポイント一次プロファイルを得るステップと、
    をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  3. a.前記付着された細胞を第3チェックポイントまで培養するステップと、
    b.マーカに対する第3チェックポイント一次プロファイルを得るステップと、
    をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  4. a.未分化細胞を得るステップと、
    b.前記未分化細胞をバイオセンサ表面へ付着させるステップと、
    c.前記付着された細胞を第1チェックポイントまで培養するステップと、
    d.マーカに対する第1チェックポイント一次プロファイルを得るステップと、
    e.それぞれの細胞を得るステップと、
    f.前記それぞれの細胞をバイオセンサ表面へ付着させるステップと、
    g.前記それぞれの細胞を第1チェックポイントまで培養するステップと、
    h.マーカに対する第1チェックポイント一次プロファイルを得るステップと、
    からなる方法。
  5. 前記バイオセンサ表面における細胞付着一次プロファイルを得るステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  6. 前記付着プロファイルは、付着から、10時間未満、9時間未満、8時間未満、7時間未満、6時間未満、5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満、0.5時間未満、0.2時間未満、01時間未満、において得られることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  7. バイオセンサ表面のパネルに対してステップa及びbを繰り返し、バイオセンサ表面セットの各バイオセンサ表面に対する細胞付着プロファイルを得るステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  8. チェックポイントn一次プロファイルセットを生成するチェックポイントnセットに対してステップc及びdを繰り返すステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  9. 分子、未知の分子、薬剤候補分子、又は候補リプログラミング分子を、細胞を用いて培養し、マーカの一次プロファイルを得るステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  10. 2つ以上のタイムポイントにおいて、分子、未知の分子、薬剤候補分子、又は候補リプログラミング分子を、細胞を用いて培養し、各タイムポイントにおけるマーカの一次プロファイルを得るステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  11. マーカパネルを用いて細胞を特徴付け、各マーカにおける一次プロファイルのパネルを生成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  12. 2つ以上のタイムポイント又は細胞の条件のパネルにおいて各マーカに対する一次プロファイルを生成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  13. マーカパネルの各マーカにおいて、分子、未知の分子、薬剤候補分子、又は候補リプログラミング分子を、細胞を用いて培養する二次プロファイルを生成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  14. 各マーカに対する一次プロファイルは各チェックポイントにおいて作成されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  15. 前記バイオセンサ表面は、ラミニン、組織培養処理されたバイオセンサ表面、フィブロネクチン、天然ビーム銃、細胞付着ペプチド、を含むか、組織培養処理されていることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  16. 前記第1チェックポイントは、付着後、分化の開始から、分化中、又は分化の成熟後、3時間以下、3日以下、7日以下、10日以下に発生することを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  17. 前記第2チェックポイントは、付着後、3時間以下、3日以下、7日以下、10日以下に発生することを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  18. 前記第3チェックポイントは、付着後、3時間以下、3日以下、7日以下、10日以下に発生することを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  19. 細胞シグナル伝達の特徴付けはマーカを使用することを含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  20. 前記マーカパネルは、Gタンパク質共役受容体アゴニスト、受容体チロシンキナーゼアゴニスト、キナーゼ活性剤、酵素活性剤、酵素阻害剤、及び受容体アゴニストから選択されたマーカのパネルを含み、その一次プロファイルは未分化細胞のリプログラムされた細胞の性質及び品質のインジケータとして使用されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  21. 前記マーカパネルは、Gタンパク質共役受容体アゴニスト、受容体チロシンキナーゼアゴニスト、キナーゼ活性剤、酵素活性剤、酵素阻害剤、及び受容体アゴニストから選択されたマーカのパネルを含み、その一次プロファイルは未分化細胞と、そのリプログラムされた細胞と、そのそれぞれの細胞との間の差異に対するインジケータとして使用されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  22. 前記マーカパネルは既知のモジュレータを含み、そのDMRインデックスは未分化細胞のリプログラムされた細胞の性質及び品質のインジケータとして使用されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  23. 前記マーカパネルは既知のモジュレータを含み、そのDMRインデックスは未分化細胞と、そのリプログラムされた細胞と、そのそれぞれの細胞との間の差異に対するインジケータとして使用されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  24. 前記マーカパネルはアセチルコリン、アデノシン、ATP、スペルミン、ダイノルフィンA、エンドセリン1、神経ペプチドB−23(NPB−23)、オレキシンA、SFLLR−アミド、UDP、神経ペプチド、血管作動性腸管ペプチド、ADP、ドーパミン、GABA、アペリン、アルファメラニン細胞刺激ホルモン、血小板由来成長因子、アンジオテンシン2、グルカゴン様ペプチド、リゾホスファチジン酸、ニューロテンシン、サブスタンスP、チラミン、UTP、ウロテンシン2、8−CPT−2−Me−cAMP、フォルスコリン、MAS−7、740Y−P、L783281、及びPMAから選択されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  25. 幹細胞又は前駆幹細胞の神経細胞分化系列において、前記マーカパネルはアセチルコリン、アデノシン、ATP、スペルミン、ダイノルフィンA、エンドセリン1、神経ペプチドB−23(NPB−23)、オレキシンA、SFLLR−アミド、UDP、神経ペプチド、血管作動性腸管ペプチド、ADP、ドーパミン、GABA、アペリン、アルファメラニン細胞刺激ホルモン、血小板由来成長因子、アンジオテンシン2、グルカゴン様ペプチド、リゾホスファチジン酸、ニューロテンシン、サブスタンスP、チラミン、UTP、ウロテンシン2、8−CPT−2−Me−cAMP、フォルスコリン、MAS−7、740Y−P、L783281、及びPMAから選択されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  26. EPAC−PI3K経路のダウンレギュレーション又は変更したものは幹細胞又は前駆幹細胞の神経細胞分化系列に対するインジケータであることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  27. PKC経路のダウンレギュレーション又は変更したものは幹細胞又は前駆幹細胞の神経細胞分化系列に対するインジケータであることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  28. 神経細胞結合型GPCRの機能的シグナル伝達、D1受容体、NPY受容体、オレキシンA受容体、オピオイド受容体、ムスカリン受容体、及びP2Y受容体から選択されたものは幹細胞又は前駆幹細胞の神経細胞分化系列に対するインジケータであることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  29. 多重チェックポイントプロファイリングが実行されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  30. 前記多重チェックポイントプロファイリングは不連続的に起こることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  31. 前記無標識バイオセンサは、表面プラズモン共鳴システム(SPR)、RWGバイオセンサシステム、インピーダンスベースのシステム、高分解能の光学バイオセンサイメージングシステム、共振ミラーイメージングシステム、エリプソメトリイメージングシステム、高周波数を得るバイオセンサシステムであることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  32. 前記それぞれの細胞は一次細胞、不死化細胞株、形質転換細胞株を含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  33. 前記方法はリプログラムされた細胞とそのそれぞれの細胞との細胞反応プロファイルを比較するステップさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  34. 前記方法はリプログラムされた細胞とそのそれぞれの細胞との細胞反応プロファイルを前記細胞反応プロファイルに基づいて細胞を特定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれかに記載の方法。
  35. 細胞系をさらに含み、前記細胞系は2つ以上の分化された細胞型を含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  36. 前記バイオセンサ表面において幹細胞又は前駆幹細胞のその場での分化を通して得られた細胞系をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  37. 前記細胞系はドーパミン作動性ニューロン、アストロサイト、及びオリゴデンドロサイトを含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  38. 前記細胞系は多能性細胞又は多分化能細胞のリプログラミングを通して生ずることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  39. リプログラムされた細胞が作成されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  40. 前記リプログラムされた細胞は神経細胞を含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  41. 抗ドーパミン抗体を用いて細胞を培養するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれかに記載の方法。
  42. ドーパミンニューロン保護剤を用いて細胞を培養するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  43. 前記ドーパミンニューロン保護剤はステロイドを含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  44. 前記ステロイドは17ベータ−エストラジオールを含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  45. 前記ステロイドエストラジオールは増殖段階において導入されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  46. 前記ステロイドエストラジオールは分化段階において導入されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  47. 前記ステロイドエストラジオールは分化された細胞の成熟後に導入されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  48. 細胞の多能性幹細胞へのリプログラミングは監視されることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  49. 分子が前記細胞へ割り当てられて前記細胞のリプログラミングを導くかどうかを判定することを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  50. 前記バイオセンサ表面はマルチウェルプレートを含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
  51. 前記マルチウェルプレートは96、384、又は1536のウェルを含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれか1つに記載の方法。
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