JP2013255918A - 多孔質膜の製造方法及び多孔質膜 - Google Patents

多孔質膜の製造方法及び多孔質膜 Download PDF

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Abstract

【課題】多孔質膜の機械的な強度の低下を抑えることが出来る多孔質膜を提供する。
【解決手段】ポリスルホン系ポリマーからなる多孔質膜で内圧でのクリープ試験において、0.3MPa連続加圧下で380時間以上のクリープ耐性を示す多孔質膜でその製造方法は基材ポリマーと分解性添加剤を混和溶解した溶液を主成分とする製膜原液より製造した多孔質膜を分解剤を用いて分解性添加剤を分解処理した後、洗浄剤を用いて分解性添加剤の少なくとも一部を除去する。
【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質膜の製造方法及び多孔質膜に関する。
膜濾過プロセスは従来から、医薬、食品、電子産業分野などで、有価物の精製・濃縮、無菌水・高純度水の製造など広く用いられており、近年、浄水、下水などの水処理への適用が拡大している。これら膜濾過プロセスには有機高分子(例えば、セルロース系、ポリスルホン系、フッ素系などの高分子)からなる限外濾過膜、精密濾過膜などの多孔質膜が多く用いられている。
これら多孔質膜の製造方法としては、相分離法が広く用いられている。相分離法としては、ポリマーを高温で融解させた溶液を冷却することで相分離を誘起する熱誘起相分離法と、ポリマーを良溶媒に溶解した溶液を非溶媒と接触させることで相分離を誘起させる非溶剤誘起相分離法が知られている。
相分離法を用いた多孔質膜の製造方法では、その膜の表面孔径や断面構造などの形状コントロールや、膜の濡れ性、特定物質との吸着性などの化学的性状コントロールのために各種添加剤が用いられる場合がある。
ここで用いられる添加剤は、特に除去せずに用いられる場合もあるが、多くの場合は残存している添加剤を除去することで多孔質膜の透過性が改善するため、それを目的として、分解剤を用いてこれら添加剤を分解し、洗浄剤で洗浄することで添加剤を除去することが行われている(特許文献1、2、3)。
特許第3169404号公報 特許第3196029号公報 特開2005−220202号公報
しかしながら、従来の多孔質膜の製造方法では、添加剤を分解する際に、添加剤だけでなく、基材ポリマーも一部分解し、多孔質膜の機械的な強度が低下するという問題があった。
本発明は、上述のような添加剤を分解除去する製造方法において、製造方法の各工程で特定の操作を行うことで、添加剤を分解除去する時間を短縮し、生産効率を上げるだけでなく、基材ポリマーの分解を抑制し、多孔質膜の機械的な強度の低下を抑えることが出来る多孔質膜の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、基材ポリマーと分解性添加剤を混和溶解した溶液を主成分とする製膜原液より製造した多孔質膜を、分解剤を用いて分解性添加剤を分解処理した後、洗浄剤を用いて分解性添加剤の少なくとも一部を除去する多孔質膜の製造方法であって、分解剤を用いた分解処理を、20℃を基準として、その基材ポリマーの熱膨張係数から求められる膨張率が、0.15%以上0.80%以下となる温度で行う多孔質膜の製造方法を提供する。
このような製法を用いることで、添加剤の分解処理に必要な時間を短くすることが可能となり、多孔質膜が分解剤での処理中に劣化することを抑制することが出来る。
本発明では、分解剤を用いて分解処理した後、希釈液を用いて処理を行い、その後、洗浄剤を用いて分解性添加剤の除去を行うことが好ましい。
このような製造方法とすることで、分解処理後に残留している分解剤が洗浄工程中に基材ポリマーを劣化させることを抑制することが出来る。
本発明での希釈液の温度は0℃〜40℃であることが好ましい。
このような希釈液で希釈することで、分解剤と基材ポリマーとの反応を抑えつつ、分解剤の濃度を下げることが可能となり、多孔質膜の劣化をさらに抑えることが出来る。
本発明での洗浄剤は70℃以上の熱水、または基材ポリマーに対して膨潤性を示す水溶液であることが好ましい。
このような洗浄剤を用いることで、基材ポリマーが膨張・膨潤することで、添加剤の除去が容易となり、洗浄時間を短くすることが可能となる。
また希釈後の多孔質体膜内部に残留している分解剤濃度は1000ppm以下であることが好ましい。
このようにすることで、基材ポリマーの劣化をより確実に抑制することが出来る。
本発明では、多孔質膜の内圧でのクリープ試験において、0.3MPa連続加圧下で300時間以上のクリープ耐性を示す、多孔質膜を提供する。このような特性の膜は、内圧濾過に用いられる際に、高流量で用いても、その流速による膜の破損が生じずに長期間の濾過に用いることが可能である。
また、多孔質膜は引張破断強度3.0MPa以上30MPa以下であることが好ましい。3.0MPa以上であれば、高流量で濾過した際の多孔質膜の破損を抑制することが可能であり、30MPaを以下であれば多孔質膜が硬くなりすぎて、製造工程での巻取り等が困難となることを防ぐことが出来る。
また、多孔質膜は引張破断伸度が60%以上であることが好ましい。60%以上であれば、濾過などの際に揺れが生じた場合でも糸の破断が生じない。
本発明によれば、添加剤の分解除去に必要な時間を低減することで生産性が向上するだけでなく、従来の製造方法で課題であった添加剤の分解処理に伴う、多孔質膜の劣化を抑制する多孔質膜の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る多孔質膜を製造するのに好適な二重管状ノズルを示す断面図である。 実施例1の多孔質中空糸膜の断面の顕微鏡写真を示す図である。 実施例1の多孔質中空糸膜の断面の顕微鏡写真を示す図である。 実施例1の多孔質中空糸膜の内表面の顕微鏡写真を示す図である。 実施例1の多孔質中空糸膜の外表面の顕微鏡写真を示す図である。
以下、本発明の好適な一実施形態(以下、本実施形態とする)について詳細に説明する。多孔質膜の形状としては、中空糸膜、平膜など、どのような形状でも本実施形態を実施することが出来るが、以下多孔質中空糸膜を例として説明する。
多孔質中空糸膜の製造方法は、以下の(1)(2)の流出(押し出し):
(1)二重管状ノズルの内側流路からの、内部凝固液の流出。
(2)二重管状ノズルの外側流路からの、少なくとも、基材ポリマー、添加剤、基材ポリマーに対する良溶剤からなる製造原液の流出。
を同時に行って、外部凝固液中で凝固させる凝固工程を含む。このような製造方法によれば、多孔質中空糸膜を簡便に得ることができる。なお、(1)(2)の流出(押し出し)の後、外部凝固液中での凝固の前に、空走部分を通過させることが好ましい。ここで、「空走部分を通過」とは、二重管状ノズルから流出された製造原液が、直ぐに外部凝固液に接触しないように、一旦、空気中(又は不活性ガス等の気体中)を通過させることをいう。
図1は、本実施形態に係る多孔質膜を製造するのに好適な二重管状ノズルを示す断面図である。図1(A)は、二重管状ノズルの流出側断面を示し、図1(B)は図1(A)の二重管状ノズルのIAにおける切断面を示す。
ここで、二重管状ノズル10とは、ノズルの中心部分に内側流路11が形成され、それを取り囲むようにして外側流路12が形成され、両流路間には隔壁が形成されているノズルをいう。二重管状ノズル10の内側流路11は、好ましくは、ノズルの長手方向に垂直な断面が円状のものであり、二重管状ノズルの外側流路12は、好ましくは、ノズルの長手方向に垂直な断面が環状のものであり、両流路は同心(中心が共通)であることが好ましい。
内部凝固液としては、基材ポリマーの非溶剤単独で用いても、非溶剤と良溶剤を混合した液を用いても良く、必要な膜構造に応じて使い分けることが出来る。内部凝固液の温度としては、製造原液が二重管状ノズルから流出する温度を基準として、−30〜+30℃の範囲であることが液の温度ムラによる性能変化を低減する上で好ましい。
基材ポリマーとしては、ポリスルホン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマーなどが上げられるが、本実施形態の分解剤を用いた製造方法を適用する場合には、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデンなどの薬品耐性が高いポリマーを用いることが好ましい。
本実施形態で用いる添加剤としては、上記製膜工程の後に分解除去できるものであれば、無機化合物であっても、有機化合物であっても良いが、基材ポリマーと均一に溶解可能であり、分解除去操作が比較的容易である点からポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。
基材ポリマーの良溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられ、これらを単独で用いても、混合して用いても良い。例えば基材ポリマーにポリスルホン系ポリマーを用いる場合には、N−メチル−2−ピロリドンやジメチルアセトアミドが好ましく、添加剤としてポリビニルピロリドンを用いる場合は、N−メチル−2−ピロリドンがより好ましい。
製造原液中の、基材ポリマーに対する良溶剤の含有量としては、製造原液の総質量を基準として、40質量%以上75質量%以下であることが好ましく、50質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
外部凝固液として用いる液体は、多孔質中空糸膜の分解除去工程での劣化を防ぐ為に、製造原液を完全に凝固させておくことが出来るものが良く、内部凝固液より製造原液に対する凝固力が高い、水を主成分とする凝固液が好ましい。このような外部凝固液の温度は30℃以上90℃以下が好ましく、50℃以上85℃以下がより好ましい。
製造原液中の、添加剤の含有量としては、製造原液の総質量を基準として、3質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。また、製造現液中の、基材ポリマーの含有量としては、製造原液の総質量を基準として、15質量%以上30質量%以下であることが好ましく、18質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。基材ポリマーと添加剤の含有量が上記範囲であると、高透過性の多孔質膜を作製できるともに、製膜工程後の添加剤の分解除去工程での多孔質膜の劣化を抑制することが出来る。
本実施形態の製造方法は、上述のようにして製造した添加剤を含有する多孔質膜を、分解剤を用いて処理することで分解性の添加剤を分解した後、洗浄剤を用いて分解性の添加剤の少なくとも一部を除去する多孔質膜の製造方法に係るものである。
ここで、分解剤とは製膜原液に添加された分解性の添加剤を分解するものであり、酸化剤、有機酸、無機酸、アルカリなどから添加剤の種類に応じて選択することが出来る。例えば、添加剤としてポリビニルピロリドンを用いる場合には、過酸化水素、オゾン、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を用いることが出来るが、取扱いの容易さ、基材ポリマーに対する反応性などを考慮すると、次亜塩素酸ナトリウムを用いることが好ましい。
本実施形態で用いる分解剤の濃度としては、分解剤と添加剤の組み合わせや、除去する添加剤の量によって適宜調整できるが、例えば分解剤として次亜塩素酸ナトリウム、添加剤としてポリビニルピロリドンを用いる場合には、50ppm以上10000ppm以下であることが好ましい。分解剤の濃度がこの範囲であれば、添加剤の除去を必要なだけ行うことが出来る。より好ましくは500ppm以上5000ppm以下である。5000ppm以下の場合は、分解剤の失活を防ぎ、分解処理を安定して行うことができ、また、500ppm以上の場合は、基材ポリマーが劣化しないため好ましい。
本実施形態では、分解剤を用いた分解処理を、20℃を基準として、その基材ポリマーの熱膨張係数から求められる膨張率が、0.15%以上0.80%以下となる温度で行う。
このような製法を用いることで、基材ポリマーの劣化を抑制することが出来る。この理由は以下のように推定される。基材ポリマーが0.15%以上膨張することで、その基材ポリマーの結晶やポリマー分子間に存在している添加剤に分解剤が接触し易くなり、分解剤と添加剤との反応が容易に起こるため、分解処理に必要な時間を短くすることが可能となり、結果として多孔質膜を形成する基材ポリマーが分解剤での処理中に劣化することを抑制出来る。
また、ここでの熱膨張率は、20℃を基準として基材ポリマーの熱膨張係数(線膨張係数とも言う)から求める。例えばポリスルホンの場合は、熱膨張係数が5.6×10−5(cm/cm・℃)(「プラスチック読本」より)であるから、50℃における熱膨張率は、以下の計算から求められる。
5.6×10−5×(50−20)×100=0.168(%)
また、PVDFの熱膨張係数は12〜14×10−5(cm/cm・℃)であるから(SOLVAY社技術資料より)、これより各温度での熱膨張率を求めることが出来る。
本実施形態の分解剤を用いた処理の時間は、用いる添加剤の種類、濃度と、分解処理に用いる分解剤の種類、濃度、温度、さらに除去する添加剤の量によって適宜調整することが出来る。
本実施形態では、分解剤を用いて分解処理した後、希釈液を用いて処理を行い、その後、洗浄剤を用いて分解性添加剤の除去を行うことが好ましい。
このような製造方法とすることで、分解処理後に多孔質膜中に残留している分解剤が後段の洗浄工程中に基材ポリマーを劣化させることを抑制することが出来る。
本実施形態での希釈液の温度は0℃〜40℃であることが好ましい。
このような希釈液で希釈することで、分解剤と基材ポリマーとの反応を抑えつつ、分解剤の濃度を下げることが可能となり、多孔質膜の劣化をさらに抑えることが出来る。より好ましくは5℃〜35℃、更に好ましくは10℃〜30℃である。
また、希釈液としては、エタノールなどのアルコール類、基材ポリマーを溶解しない有機溶媒、水等が挙げられるが、特に取扱が簡便であるため水が好ましい。
希釈処理を行う時間としては、出来るだけ速やかに分解剤の濃度を下げることが、基材ポリマーの劣化を抑えることにつながるため、2分以上100分以下であることが好ましい。3分以上60分以下がより好ましく、5分以上40分以下がさらに好ましい。
また希釈後の多孔質体膜内部に残留している分解剤濃度は1000ppm以下であることが好ましい。
このようにすることで、基材ポリマーの劣化をより確実に抑制することが出来る。
より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは100ppm以下である。
下限は特に限定されないが、洗浄工程中に溶け出した添加剤を分解し、洗浄液粘度を下げる効果を得るために5ppm以上残留していることが好ましい。
本発明での洗浄剤は70℃以上の熱水、または基材ポリマーに対して膨潤性を示す水溶液であることが好ましい。
ここで基材ポリマーに対して膨潤性を示す水溶液とは、例えばエタノールなどのアルコール水溶液、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)など基材ポリマーの良溶媒を含む水溶液等が上げられる。
このような洗浄剤を用いることで、基材ポリマーが膨張・膨潤することで、添加剤の除去が容易となり、洗浄時間を短くすることが可能となる。洗浄時間をより短くするためには、80℃以上の熱水、または基材ポリマーを0.15%以上5%以下膨潤させる水溶液を用いることが好ましい。基材ポリマーを5%以下膨潤させる水溶液であれば、多孔質膜の構造を変化させることがないため好ましい。基材ポリマーの洗浄剤に対する膨潤性は、基材ポリマーの直径1mmのストランドを作製し、それを24時間洗浄液に浸漬した前後での長さの変化から求めることが出来る。
また、このような洗浄剤を用いる場合には、特に、上述の希釈液での希釈を行い多孔質膜中の分解剤濃度を下げておくことで、より効果的に基材ポリマーの劣化を抑えることが出来る。
本発明の多孔質膜は、多孔質膜の内圧でのクリープ試験において、0.3MPa連続加圧下で300時間以上のクリープ耐性を示す。ここで、多孔質膜の内圧でのクリープ試験とは、多孔質膜を数本含むミニモジュールを作製し、そこに液体を内圧型の濾過となる用に供給し、多孔質膜に内圧が掛かる状態にし、連続して一定加圧下でのろ過を行い、その圧力条件で膜が破損する時間を調べるものである。この試験において0.3MPaの加圧下で300時間以上のクリープ耐性を示す多孔質膜は、内圧濾過に用いられる際に、高流量で用いても、その流速による膜の破壊が発生せずに長期間の濾過に用いることが可能である。なお、前記クリープ試験に用いることができる多孔質膜は中空糸膜であっても平膜であっても良い。350時間以上が好ましく、400時間以上がより好ましい。
本実施形態の多孔質膜は、使用時の破損を防ぎ、生産時の取扱いを考慮した場合には引張破断強度が3.0MPa以上30MPa以下であることが好ましく、3.2MPa以上20MPa以下がより好ましく、3.3MPa以上150MPa以下がさらに好ましい。本実施形態の多孔質膜は、濾過などの際に揺れが生じた場合でも糸の破断が生じないため引張破断伸度が60%以上であることが好ましく、65%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
下記の実施例及び比較例で得られた多孔質中空糸膜の内径、外径の測定、純水透水性能の測定、引張破断強伸度の測定、次亜塩素酸ナトリウム水溶液での処理時間の決定は以下の方法で行った。
(1)多孔質膜の内径、外径の測定
多孔質膜を円管状に薄くきりそれを測定顕微鏡で観察し、多孔質膜の内径(μm)、外径(μm)を測定した。
(2)純水透水性能の測定
実施例、比較例で得られた多孔質膜を用いて、中空糸膜が1本入ったミニモジュールを作製し、ろ過圧力50kPaで内圧ろ過を行い初期純水透水量(l/m/hr @25℃、50kPa)を測定した。このとき、純水としては、脱イオン後、分画分子量6000DaのUF膜でろ過したものを用いた。
(3)引張破断強伸度の測定
引張破断強伸度測定は、株式会社島津製作所製のオートグラフAGS−5Dを使用し、試験長50mmの膜について、温度25℃、引張速度50mm/minの条件で引張試験を行い、膜が破断した時の強度、伸度を6回測定し、その平均値を破断強度、破断伸度とした。
(4)次亜塩素酸ナトリウム水溶液での処理時間の決定
さまざまな濃度、温度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を1L準備し、その中に10cmに切断した中空糸膜を100本浸漬した。浸漬した中空糸膜を30分間隔でサンプリングし、その後、90℃の熱水中で3時間洗浄を行った。この洗浄後の膜を用いて上述のミニモジュールを作製し、純水透水性能を測定した。次亜塩素酸ナトリウム水溶液への浸漬時間が延びると共に純水透水性能は向上するが、30分前のサンプルと比較し、上昇率が5%以下になった時間をその次亜塩素酸ナトリウムでの処理時間とした。
(5)多孔質膜中の次亜塩素酸ナトリウム濃度の測定
測定するサンプル多孔質膜サンプル10gを、10℃の冷水100g中でゆっくり撹拌しながら1時間浸漬し、浸漬液中の濃度を測定した。得られた次亜塩素酸ナトリウムの濃度を10倍し、多孔質膜中の次亜塩素酸ナトリウムの濃度とした。
(6)多孔質膜のクリープ試験方法
実施例、比較例で得られた中空糸膜を5本用いて、有効長5cmのミニモジュールを作製した。このモジュールを用いて、0.3MPa加圧でのクリープ試験を行い、中空糸膜が破損する時間を調べた。
(実施例1)
ポリスルホン(SOLVAY ADVANCED POLYMERS社製、Udel P3500)18重量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製、Luvitec k80)15重量%を、N−メチル−2−ピロリドン62重量%に70℃で撹拌溶解し、グリセリン5重量%を加えてさらに撹拌し製膜原液を調整した。この製膜原液を二重環紡糸ノズル(最外径2.4mm、中間径1.2mm、最内径0.6mm、以下の実施例でも同じ物を用いた)から内部凝固液の90重量%NMP水溶液と共に70℃で押し出し、50mmの空走距離を通し、80℃の水中で凝固させ、添加剤を含む多孔質中空糸膜を得た。得られた添加剤を含む多孔質膜を室温の水中で2時間、脱溶媒を行った後、60℃に加温した2000ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で3時間ポリビニルピロリドンを分解処理後、20℃の水で30分間希釈を行い水溶液中の次亜塩素酸ナトリウムの濃度20ppmに希釈した。このとき膜中の次亜塩素酸ナトリウム濃度は80ppmであった。その後、90℃の水で3時間洗浄を行い、多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(実施例2)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液での処理温度を50℃、処理時間を5時間にした以外は実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(実施例3)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液での処理温度を90℃、処理時間を1時間にした以外は実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(実施例4)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液での処理後の希釈を行わなかった以外は実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(実施例5)70℃で希釈し、そのまま洗浄
次亜塩素酸ナトリウム水溶液での処理後の希釈を70℃の熱水で実施した以外は実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(実施例6)
分解後の洗浄を20℃の水で行った以外は実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(実施例7)
分解後の洗浄を20℃の10%エタノールにした以外は実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(実施例8)
ポリスルホン(SOLVAY ADVANCED POLYMERS社製、Udel P3500)18重量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製、Luvitec k30)20重量%を、N−メチル−2−ピロリドン62重量%に70℃で撹拌溶解し製膜原液を調整した。この製膜原液を二重環紡糸ノズルから内部凝固液の90重量%NMP水溶液と共に70℃で押し出し、50mmの空走距離を通し、80℃の水中で凝固させ、添加剤を含む多孔質中空糸膜を得た。
得られた添加剤を含む多孔質膜を室温の水中で2時間、脱溶媒を行った後、60℃に加温した2000ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で1時間ポリビニルピロリドンを分解処理後、20℃の水で30分間希釈を行い水溶液中の次亜塩素酸ナトリウムの濃度20ppmに希釈した。このとき膜中の次亜塩素酸ナトリウム濃度は95ppmであった。その後、90℃の水で3時間洗浄を行い、多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(実施例9)
ポリフッ化ビニリデン(SOLVAY SOLEXIS社製、SOLEF6010)25重量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製、Luvitec k30)15重量%を、N−メチル−2−ピロリドン60重量%に70℃で撹拌溶解し製膜原液を調整した。この製膜原液を二重環紡糸ノズルから内部凝固液の90重量%NMP水溶液と共に70℃で押し出し、50mmの空走距離を通し、80℃の水中で凝固させ、添加剤を含む多孔質中空糸膜を得た。
得られた添加剤を含む多孔質膜を室温の水中で2時間、脱溶媒を行った後、60℃に加温した2000ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で2時間ポリビニルピロリドンを分解処理後、20℃の水で30分間希釈を行い水溶液中の次亜塩素酸ナトリウムの濃度20ppmに希釈した。このとき膜中の次亜塩素酸ナトリウム濃度は110ppmであった。その後、90℃の水で3時間洗浄を行い、多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(比較例1)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液での処理温度を30℃、処理時間を20時間にした以外は実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(比較例2)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液での処理温度を30℃、処理時間を15時間にした以外は実施例9と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(比較例3)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液での処理を温度25℃の濃度40ppmで処理時間を24時間にした以外は実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(比較例4)
特許第3169404号公報記載の実施例1の追試をおこなったが、分解処理を室温(25℃)、濃度1000ppm、時間10分では透水性能の向上がほとんど見られず、添加しているポリビニルピロリドンの分解除去が出来ていないことが確認出来た。
本発明の製造方法で作製した多孔質膜は医薬、食品、電子産業や、浄水、下水などの膜処理プロセス分野で好適に利用できる。
10…二重管状ノズル、11…内側流路、12…外側流路。
参考例4)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液での処理後の希釈を行わなかった以外は実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
参考例9)
ポリフッ化ビニリデン(SOLVAY SOLEXIS社製、SOLEF6010)25重量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製、Luvitec k30)15重量%を、N−メチル−2−ピロリドン60重量%に70℃で撹拌溶解し製膜原液を調整した。この製膜原液を二重環紡糸ノズルから内部凝固液の90重量%NMP水溶液と共に70℃で押し出し、50mmの空走距離を通し、80℃の水中で凝固させ、添加剤を含む多孔質中空糸膜を得た。
得られた添加剤を含む多孔質膜を室温の水中で2時間、脱溶媒を行った後、60℃に加温した2000ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で2時間ポリビニルピロリドンを分解処理後、20℃の水で30分間希釈を行い水溶液中の次亜塩素酸ナトリウムの濃度20ppmに希釈した。このとき膜中の次亜塩素酸ナトリウム濃度は110ppmであった。その後、90℃の水で3時間洗浄を行い、多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。
(比較例2)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液での処理温度を30℃、処理時間を15時間にした以外は参考例9と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた膜の性質を表1に示す。

Claims (8)

  1. 基材ポリマーと分解性添加剤を混和溶解した溶液を主成分とする製膜原液より製造した多孔質膜を
    分解剤を用いて分解性添加剤を分解処理した後、洗浄剤を用いて分解性添加剤の少なくとも一部を除去する多孔質膜の製造方法であって、
    分解剤を用いた分解処理を、20℃を基準として、その基材ポリマーの熱膨張係数から求められる膨張率が、0.15%以上0.80%以下となる温度で行う多孔質膜の製造方法。
  2. 前記製造方法において、分解剤を用いて分解処理した後、
    希釈液を用いて処理を行い、
    その後、洗浄剤を用いて分解性添加剤の除去を行う請求項1記載の多孔質膜の製造方法。
  3. 希釈液の温度が0℃〜40℃である、請求項2に記載の多孔質膜の製造方法。
  4. 洗浄剤が70℃以上の熱水、または基材ポリマーに対して膨潤性を示す水溶液である請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
  5. 希釈後の分解剤濃度が1000ppm以下である、請求項2〜4のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
  6. 多孔質膜の内圧でのクリープ試験において、0.3MPa連続加圧下で300時間以上のクリープ耐性を示す、多孔質膜。
  7. 引張破断強度が3.0MPa以上300MPa以下である請求項6記載の多孔質膜。
  8. 引張破断伸度が60%以上である請求項6記載の多孔質膜。
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