JP2013247259A - 磁気抵抗効果素子、磁界検出器および物理量検出器 - Google Patents

磁気抵抗効果素子、磁界検出器および物理量検出器 Download PDF

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Abstract

【課題】製造が容易であり、かつ大きな磁気抵抗効果を有する磁気抵抗効果素子を提供する。
【解決手段】基板20の上方に形成されるCoFeB膜2と、CoFeB膜2上に形成されるMgO膜3と、MgO膜3の上方に形成される、自由層であるホイスラー合金4と、ホイスラー合金4上に形成される非磁性層5と、固着層41と、を備える。ホイスラー合金は、3種類以上の元素で示されるABCまたはAB(C1−X)(0≦X≦1)から構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子に関し、特に、巨大磁気抵抗効果またはトンネル磁気抵抗効果を利用する磁気抵抗効果素子、磁界検出器および物理量検出器に関する。
近年、強磁性体を用いた素子として、GMR(Giant Magneto-resistance)素子およびTMR(Tunneling Magneto-resistance)素子のメモリおよび磁気ヘッドなどへの応用が進められている。GMR素子は、大きな抵抗変化率が得られる巨大磁気抵抗効果を発現する素子である。TMR素子は、トンネル磁気抵抗効果を発現する素子である。
GMR素子は、強磁性層、金属層および強磁性層からなる3層構造が用いられる。TMR素子は、強磁性層、絶縁層および強磁性層からなる3層構造が用いられる。これらのGMR素子およびTMR素子においては、外部磁界やスピンが偏極した電子が注入されることによって、2つの強磁性層のスピンが互いに平行あるいは反平行に設定される。これにより、GMR素子では、強磁性と金属層との界面での電子の散乱確率に依存して膜面方向若しくは膜面垂直方向の抵抗が変化することが利用される。
TMR素子では、膜面垂直方向の電子のトンネル確率に依存して、絶縁層を流れるトンネル電流の大きさが変化することが利用されている。これらのGMR素子およびTMR素子の抵抗変化により、2層の強磁性層の相対的な磁化方向を検出することが可能である。
これらのGMR素子やTMR素子においては、スピンバルブ型構造が用いられる。スピンバルブ型構造とは、固着層と、自由層とを有する構造である。固着層は、一方の強磁性層を反強磁性層と交換結合させて、その強磁性層の磁化方向が固定された層である。自由層は、他方の強磁性層の磁化方向を、外部磁界やスピン偏極電子で容易に反転することのできる層である。
スピンバルブ型の磁気抵抗効果素子は、高感度な磁界検出器として用いることが可能である。スピンバルブ型の磁気抵抗効果素子に外部から磁界が印加されると、固着層の磁化方向は理想的には完全に固定されているために、自由層の磁化方向のみが外部印加磁界に応じて回転する。これにより、磁気抵抗効果素子において2つの強磁性層の磁化方向の相対角が変化し、磁気抵抗効果により素子抵抗が変化する。この抵抗値の変化を、たとえば、磁気抵抗効果素子に定電流を流した状態で電圧の変化として検出する。この電圧変化が印加された磁界に応じて変化する信号として読出され、高感度の磁界検出が可能となる。
また、スピンバルブ型の磁気抵抗効果素子において、自由層の磁化のヒステリシスを利用することにより、その磁化方向を用いて情報を記憶することが可能となる。この場合は、書き込み用の配線を流れる電流によって発生する磁界、または、膜面垂直方向の電流によって自由層の磁化の方向(向き)を平行若しくは反平行とする。これにより、磁気抵抗効果素子に“0”若しくは“1”の情報の書き込みを行う。また、磁気抵抗効果素子において、磁界検出と同様に磁気抵抗効果素子の抵抗変化を検出することで“0”若しくは“1”の情報を読み出す。
これらの磁気抵抗効果素子の工業応用においては、自由層の磁化方向を正確に検出するために、磁気抵抗効果素子から大きな出力信号を得る必要がある。このためには、より大きな抵抗変化率が必要となる。
たとえば、特許文献1には、100%を越える大きな抵抗変化率を得る技術(以下、従来技術Aともいう)が開示されている。従来技術Aでは、TMR素子のトンネル絶縁膜として、従来用いられてきた非晶質であるAl膜に換えて結晶質であるMgO膜を適用する。また、従来技術Aでは、強磁性膜としてCo−FeやCo−Fe−B合金膜を適用する。
なお、これらの磁気抵抗効果素子を形成する膜は、一般的に、酸化膜を有するSi基板やガラス基板上に、素子の配線や下部電極を形成した後に、スパッタリング法により形成される。
GMR素子やTMR素子において大きな抵抗変化率を得るためには、強磁性膜として、フェルミ準位近傍での電子のスピン分極率が100%であるハーフメタルを用いることが有効であると予測されている。ハーフメタルにおける課題は、キュリー温度が低く、室温での動作が困難な点である。なお、3種類の元素でXYZからなるL2規則化構造を有するホイスラー合金は、室温より高いキュリー温度を有することが知られている。
L2規則化構造は、体心立方格子の体心位置をYとZが占める構造である。この結晶構造(L2規則化構造)は、例えばMgOやサファイア等の単結晶基板上に、エピタキシャル成長させ、一般的に400℃以上の熱処理を用いることで形成が可能である。MgO基板上では例えば(001)面上に上記結晶構造が形成される。
特開2007−095750号公報
従来のフルホイスラー合金を適用した磁気抵抗効果素子では、その結晶性を確保するために、下地基板や形成方法に制約があり、大きな抵抗変化率と製造の容易さを両立することは困難であった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、製造が容易であり、かつ大きな磁気抵抗効果を有する磁気抵抗効果素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る磁気抵抗効果素子は、基板の上方に形成される第1のCoFeB膜と、前記第1のCoFeB膜上に形成される第1のMgO膜と、前記第1のMgO膜の上方に形成される、自由層である第1のホイスラー合金と、前記第1のホイスラー合金上に形成される第1の非磁性層または金属層である特定層と、前記特定層の上方に形成される固着層と、を備え、前記固着層は、磁化方向が固着された強磁性層および反強磁性層を含み、前記第1のホイスラー合金は、3種類以上の元素で示されるABCまたはAB(C1−X)(0≦X≦1)から構成される。
本発明によれば、下地層に、第1のCoFeB膜と、当該第1のCoFeB膜上に形成される第1のMgO膜とを利用する。非晶質の第1のCoFeB膜上に形成される第1のMgO膜の結晶は、(001)面へと配向する。そのため、第1のMgO膜は、MgO単結晶基板と同様な機能を有する。そのため、第1のCoFeB膜の下方に設けられる基板は、任意の基板を使用することができる。すなわち、基板を構成する材料の制約をなくすことができる。その結果、磁気抵抗効果素子の製造を容易にすることができる。
また、ホイスラー合金は、ABCまたはAB(C1−X)(0≦X≦1)からなる。すなわち、ホイスラー合金は、L2規則化構造を有する。そのため、ホイスラー合金における電子のスピン分極率が大きいため、磁気抵抗効果素子の抵抗変化率を、L2規則化構造のホイスラー合金を用いない構成よりも、大きくすることができる。したがって、磁気抵抗効果素子は、製造が容易であり、かつ大きな磁気抵抗効果を有する。
本発明の実施の形態1に係る磁気抵抗効果素子の断面構造を示す概略図である。 本発明の実施の形態1に係る磁気抵抗効果素子の断面構造を示す概略図である。 本発明の実施の形態1の変形例1における磁気抵抗効果素子の断面構造を示す概略図である。 本発明の実施の形態1の変形例2に係る磁気抵抗効果素子の断面構造を示す概略図である。 本発明の実施の形態2に係る磁気抵抗効果素子の断面構造を示す概略図である。 本発明の実施の形態3に係る磁気抵抗効果素子の断面構造を示す概略図である。 本発明の実施の形態4に係る磁気抵抗効果素子の断面構造を示す概略図である。 本発明の実施の形態5に係る磁気抵抗効果素子の断面構造を示す概略図である。 本発明の実施の形態6に係る磁界検出器の構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態6に係る磁気抵抗効果素子の断面構造を示す概略図である。 磁界が印加された場合における磁気抵抗効果素子の上面図を示す。 本発明の実施の形態6の変形例に係る磁界検出器の構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態6の変形例に係る磁気抵抗効果素子の断面構造を示す概略図である。 本発明の実施の形態6の変形例に係る物理量検出器の構成を示す概略図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。
なお、実施の形態において例示される各構成要素の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるものであり、本発明はそれらの例示に限定されるものではない。また、各図における各構成要素の寸法は、実際の寸法と異なる場合がある。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る磁気抵抗効果素子100の断面構造を示す概略図である。
図1に示すように、磁気抵抗効果素子100は、下部電極22上に形成される。下部電極22は、Ta(タンタル)で形成される。磁気抵抗効果素子100は、TMR素子である。
なお、磁気抵抗効果素子100は、下部電極22を含む構成であってもよい。
下部電極22は、DC(直流)マグネトロンスパッタリングによりSiO膜21上に形成される。下部電極22の厚さは、一例として、50nmである。SiO膜21は、基板20上に形成される。すなわち、磁気抵抗効果素子100は、基板20の上方に形成される。
基板20は、Siで形成されるSi基板である。なお、基板20は、Siに限定されず、他の材料で形成されてもよい。他の材料は、例えば、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)、GaAs(ヒ化ガリウム)、ガラスなどである。
磁気抵抗効果素子100は、CoFeB膜2と、MgO膜3と、ホイスラー合金4と、非磁性層5と、固着層41と、上部電極11とを備える。
CoFeB膜2およびMgO膜3は、下地層として使用される。
CoFeB膜2は、DCマグネトロンスパッタリングにより下部電極22上に形成される。すなわち、CoFeB膜2は、基板20の上方に形成される。CoFeB膜2の形成直後の状態は非晶質である。CoFeB膜2の膜厚は、例えば、1.5nmである。
MgO膜3は、RF(高周波)マグネトロンスパッタリングによりCoFeB膜2上に形成される。MgO膜3の膜厚は、例えば、0.7nmである。MgO膜3が非晶質のCoFeB膜2上に形成された場合、MgO膜3の結晶は、(001)面へと配向する。そのため、第1のMgO膜は、MgO単結晶基板と同様な機能を有する。これにより、MgO単結晶基板を用いた場合と同様に、MgO膜3は、L2規則化構造を形成するためのテンプレートとして作用する効果を得ることが可能である。
なお、MgO膜3の形成方法は上記方法に限定されず、DCマグネトロンスパッタリングにより、Mg膜を形成した後に、当該Mg膜を酸化雰囲気に曝すことにより、MgO膜3を形成してもよい。
なお、磁気抵抗効果素子100(例えば、CoFeB膜2)の形成前に、下地層であるSiO膜21と、下部電極22との両方または一方を、CMP(化学的機械研磨)、プラズマ処理、薬液処理等により平坦化しておく。これにより、より平坦な下地層が得られる。
ホイスラー合金4は、DCマグネトロンスパッタリングにより、MgO膜3上に形成される。すなわち、ホイスラー合金4は、MgO膜3の上方に形成される。なお、ホイスラー合金4の形成の際、基板20は200℃に加熱される。ホイスラー合金4の膜厚は、例えば、10nmである。
ホイスラー合金4は、磁界等により磁化方向を変更可能な自由層である。ホイスラー合金4は、例えば、CoFe(Al0.5Si0.5)膜で構成される。なお、ホイスラー合金4を構成する材料は、CoFe(Al0.5Si0.5)に限定されない。ホイスラー合金4は、L2規則化構造を有する、3種類以上の元素で示されるABCまたはAB(C1−X)(0≦X≦1)から構成される合金であればよい。
ホイスラー合金4は、固着層41より基板20側に形成される。そのため、ホイスラー合金4は、反強磁性膜等の下地膜に起因する膜の粗さの影響が小さいという特徴を有する。このため、ホイスラー合金4は、より規則化した結晶構造が得られる。
非磁性層5は、トンネル絶縁膜である。非磁性層5は、RFマグネトロンスパッタリングにより、ホイスラー合金4上に形成される。非磁性層5は、ホイスラー合金4上に形成される特定層である。
非磁性層5は、MgO膜である。また、非磁性層5の厚さは、例えば、1.1nmである。なお、非磁性層5の形成方法は、上記に限定されず、例えば、DCマグネトロンスパッタリングにより、Mg膜を形成した後に、当該Mg膜を酸化雰囲気に曝すことでMgO膜を形成してもよい。
固着層41は、特定層である非磁性層5の上方に形成される。固着層41は、非磁性層5上に形成される。固着層41は、ホイスラー合金6と、強磁性層7と、非磁性層8と、強磁性層9と、反強磁性層10とを含む。固着層41は、ホイスラー合金6、強磁性層7、非磁性層8、強磁性層9および反強磁性層10が、この順で積層されることにより、形成される。
ホイスラー合金6は、ホイスラー合金4と同様、L2規則化構造を有するCoFe(Al0.5Si0.5)膜で構成される。ホイスラー合金6は、DCマグネトロンスパッタリングにより、非磁性層5上に形成される。
なお、ホイスラー合金6の形成の際、基板20は200℃に加熱される。ホイスラー合金4の膜厚は、例えば、3.0nmである。
ホイスラー合金6は、ホイスラー合金4と同様にMgO膜上に形成される。そのため、後述する熱処理によりL2規則化構造が得られる。
ホイスラー合金6を形成した後、400℃での熱処理が実施される。これにより、ホイスラー合金4およびホイスラー合金6の結晶がL2構造へと規則化する。
次に、強磁性層7、非磁性層8、強磁性層9、反強磁性層10、上部電極11を連続的にDCマグネトロンスパッタリングにより、形成する。以上により、磁気抵抗効果素子100が形成される。
強磁性層7は、例えば、CoFe膜である。強磁性層7は、当該強磁性層7における磁化方向が固着された層である。強磁性層7の厚さは、例えば、1.5nmである。非磁性層8は、例えば、Ru膜である。非磁性層8の厚さは、例えば、0.8nmである。
強磁性層9は、CoFe膜である。強磁性層9の厚さは、例えば、3.5nmである。反強磁性層10は、当該反強磁性層10における磁化方向が固着された層である。反強磁性層10は、IrMn膜である。反強磁性層10の厚さは、例えば、20nmである。
上部電極11の厚さは、例えば、30nmである。上部電極11は、Ta(タンタル)で形成される。
磁気抵抗効果素子100では、自由層であるホイスラー合金4は、外部磁界やスピン偏極電子で、容易にその磁化方向を変化させる。これに対して、固着層41において、反強磁性層10が、強磁性層9の磁化方向を固着する。
強磁性層9は、非磁性層8を介して、強磁性層7と反強磁性結合することにより、強磁性層9および強磁性層7の各々の磁化方向が反平行になって結合している。ホイスラー合金6は強磁性層7と接している。そのため、ホイスラー合金6および強磁性層7は、強磁性的に、当該ホイスラー合金6および強磁性層7の各々の磁化方向が同一方向になって結合する。
ここでは、ホイスラー合金6の磁化と強磁性層7の磁化との和と、強磁性層9の磁化とが概ね一致するように設定されている。その結果、固着層41は、2層の強磁性層の磁化を打消すように構成される。これにより、固着層41は、自由層(ホイスラー合金4)への漏洩磁界の影響を抑制し、且つ、外部磁界から受けるトルクの影響を抑制している。
なお、下部電極22を除く、一連の磁気抵抗効果素子100の各積層膜の形成については、全て大気に曝されることなく連続的に実施されることが好ましい。これは、各積層膜の結晶構造を制御し各界面の清浄度を得るために、膜表面の酸化や水分子等の大気に存在する分子が吸着することを抑制するためである。
なお、積層膜が大気に曝される場合は、成膜前に例えばArプラズマ処理により、表面の酸化膜の除去や吸着分子の除去等の清浄化のための処理を実施する必要がある。
また、上記の磁気抵抗効果素子100の製造の際、膜の形成後に磁界中での熱処理が実施される。具体的には、固着層41の磁化を飽和する10kOeの磁界中で、300℃の熱処理が1時間保持される。これにより、固着層41に磁気異方性が付与される。
なお、前述したように、ホイスラー合金6の形成後に、400℃の熱処理を実施している。しかしながら、上記の300℃の熱処理を実施するため、上記の400℃の熱処理を省略してもよい。
その後に、リソグラフィー工程および反応性イオンエッチングによるパターニングが実施され、磁気抵抗効果素子100を分離し、磁気抵抗効果素子100の形状が決定される。
更に、下部電極22をパターニングすることにより、磁気抵抗効果素子100の下部に形成される下部電極22への配線の接続を可能とする。なお、上記の反応性イオンエッチングの代わりにArイオンミリングが行われてもよい。
なお、磁気抵抗効果素子100の各構成要素を構成する材料は、上記材料に限定されない。例えば、ホイスラー合金4,6を構成する材料は、CoFe(Al0.5Si0.5)に限定されない。ホイスラー合金4,6は、L2規則化構造を有する、3種類以上の元素で示されるABCまたはAB(C1−X)(0≦X≦1)から構成される合金であればよい。また、ホイスラー合金4,6の各々の厚さも、適宜調整されてもよい。
また、非磁性層8は、Ru膜に限定されない。非磁性層8は、例えば、Rt、Rb等の主に白金族からなる遷移金属の非磁性膜であってもよい。この構成においても、同様な効果を得ることが可能である。前述したように、非磁性層8の厚さは、0.8nmである。なお、非磁性層8の厚さはこれに限定されず、素子の抵抗や磁界応答性に応じて変更されうるものである。なお、Ru膜は不可避不純物を含んでいる。
また、強磁性層7は、CoFe膜に限定されず、Fe、Co等のCo、NiおよびFeの少なくともいずれかを主成分とする強磁性層であればよい。また、強磁性層7は、Co、NiおよびFeを積層した強磁性層であっても同様な効果を得ることが可能である。前述したように、強磁性層7の厚さは、1.5nmである。なお、強磁性層7の厚さはこれに限定されず、素子の抵抗や磁界応答性に応じて変更されうるものである。また、Co−Fe合金膜は不可避不純物を含んでいる。
また、反強磁性層10は、IrMn膜に限定されず、例えば、PtMn膜、FeMn膜、NiMn膜等であってもよい。この構成においても、同様な効果を得ることが可能である。また、前述したように、反強磁性層10の厚さは、20nmである。なお、反強磁性層10の厚さはこれに限定されず、素子の抵抗や磁界応答性に応じて変更されうるものである。また、Ir−Mn合金膜は不可避不純物を含んでいる。
また、下部電極22および上部電極11は、Ta膜に限定されない。下部電極22および上部電極11の各々は、例えば、Ru膜等の他の金属であってもよい。
なお、各膜の膜形成方法は、上記の方法に限定されず、CVD(化学気相堆積)法など他の方法であってもよい。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の磁気抵抗効果素子100に適用したホイスラー合金では、電子のスピン分極率が大きい。これにより、大きな抵抗変化率が得られる。したがって、磁界検出器においては大きな出力信号が得られ、高感度化が可能となる。
また、磁気抵抗効果素子100をメモリに用いた場合、読出し信号が大きくなる。これにより、信頼性の向上や高速化が可能である。したがって、磁気抵抗効果素子100において、スピン偏極電子で情報を書き込む場合は低消費電力化が可能となる。
なお、従来のL2規則化構造からなるホイスラー合金を用いた磁気抵抗効果素子は、例えば、MgO、サファイア等の主に単結晶基板上に形成されてきた。
一方、本実施の形態では、下地層に、非晶質のCoFeB膜2と、CoFeB膜2上に形成されるMgO膜3とを利用する。非晶質で形成されたCoFeB膜2上に形成されたMgO膜3の結晶は、(001)面へと配向する。すなわち、MgO膜3の結晶は、(001)方位に良質な結晶を形成する。
そのため、MgO膜3は、MgO単結晶基板と同様な機能を有する。すなわち、MgO膜3は、MgO単結晶基板と同様な効果を得る。そのため、CoFeB膜2の下方に設けられる基板20は、任意の基板を使用することができる。すなわち、基板を構成する材料の制約をなくすことができる。その結果、磁気抵抗効果素子100の製造を容易にすることができる。
また、以上により、良好な結晶性を有するL2規則化構造を有するホイスラー合金を、基板や下地を選ぶこと無く、容易に形成することが可能である。したがって、信号処理回路などの半導体集積回路と同一の基板上に、大きな抵抗変化率を有する磁気抵抗効果素子を形成することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、L2規則化構造のホイスラー合金の形成を容易にすることで、従来に対して大きな抵抗変化率が得られる。
また、磁気抵抗効果素子100は、自由層と固着層の両方にL2規則化構造のホイスラー合金を備える。これにより、より大きな抵抗変化が得られる。
MgO膜3は、MgO単結晶基板と同様な機能を有することにより、下部電極22は、抵抗が低く、かつ、厚い下部電極を適用することが可能となる。これにより、磁気抵抗効果素子と、基板側の電極との接続も容易になる。
したがって、図2に示すように、磁気抵抗効果素子のパターニング工程における、下部電極22の過度のエッチングに対しても、裕度を確保することが可能である。
すなわち、本実施の形態の構成によれば、磁気抵抗効果素子のパターニング工程におけるエッチングの停止が容易となる。その結果、磁気抵抗効果素子の基板側の電極への電気的な接続が容易となる。
なお、MgO膜3は、磁気抵抗効果素子100に直列接続された抵抗とみなされる。しかしながら、トンネル絶縁膜である非磁性層5よりも、MgO膜3の厚さを2〜3Å程度薄くする。これにより、MgO膜3は、値が1桁小さい抵抗となる。すなわち、本実施の形態では、MgO膜3を非磁性層5よりも薄くする。MgO膜3は、非磁性層5(MgO膜)よりも薄いという構成により、MgO膜3の抵抗の影響を小さく(抑制)することが可能である。
更に、前述のように、磁気抵抗効果素子100を形成するための基板の制約が小さいため、例えば、信号処理回路の直上に磁気抵抗効果素子を設置することが可能となる。これにより、大きな出力信号が得られる高集積な素子を使用することが可能となる。
また、本実施の構成によれば、従来の磁気抵抗効果素子に用いていたスパッタリングにより、磁気抵抗効果素子100を形成することが可能である。そのため、特殊な工程を追加することもなく、磁気抵抗効果素子100の製造も容易に行うことができる。
<実施の形態1の変形例1>
図3は、本発明の実施の形態1の変形例1における磁気抵抗効果素子100Aの断面構造を示す概略図である。
図3に示すように、磁気抵抗効果素子100Aは、図1の磁気抵抗効果素子100と比較して、金属層12をさらに備える点が異なる。磁気抵抗効果素子100Aのそれ以外の構成は、磁気抵抗効果素子100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
金属層12は、Cr膜である。金属層12は、ホイスラー合金4と、MgO膜3との間に設けられる。金属層12は、DCマグネトロンスパッタリングにより形成される。金属層12の膜厚は、例えば、10nmである。なお、金属層12は、Cr膜の代わりに、Ta膜またはRu膜であってもよい。
<実施の形態1の変形例2>
図4は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る磁気抵抗効果素子100Bの断面構造を示す概略図である。
図4に示すように、磁気抵抗効果素子100Bは、図1の磁気抵抗効果素子100と比較して、固着層41の代わりに固着層41aを備える点が異なる。磁気抵抗効果素子100Bのそれ以外の構成は、磁気抵抗効果素子100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
固着層41aは、図1の固着層41と比較して、ホイスラー合金6を含まない点が異なる。固着層41aのそれ以外の構成は、固着層41と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
固着層41aが、ホイスラー合金6を含まない構成とした場合においても、実施の形態1の変形例2に係る磁気抵抗効果素子100Bは、従来の磁気抵抗効果素子よりも大きな抵抗変化率が得られる。なお、図4の固着層41aの構成においては、強磁性層7の厚さは、強磁性層9の厚さと同じとされる。
<実施の形態2>
図5は、本発明の実施の形態2に係る磁気抵抗効果素子100Cの断面構造を示す概略図である。
図5に示すように、磁気抵抗効果素子100Cは、図1の磁気抵抗効果素子100と比較して、CoFeB膜12aおよび非磁性層12bをさらに備える点が異なる。磁気抵抗効果素子100Cのそれ以外の構成は、磁気抵抗効果素子100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
CoFeB膜12aおよび非磁性層12bは、CoFeB膜2と下部電極22との間に形成される。非磁性層12bおよびCoFeB膜12aは、CoFeB膜2の下部に形成される。また、CoFeB膜12aは、下部電極22上に形成される。非磁性層12bは、CoFeB膜12a上に形成される。
非磁性層12bは、Ru膜である。
ここで、実施の形態1におけるCoFeB膜2は、強磁性層(強磁性膜)である。そのため、CoFeB膜2は、厳密には磁化を有している。本実施の形態では、この磁化を打消すために、CoFeB膜2の磁化方向とCoFeB膜12aの磁化方向とが、反平行になるように、CoFeB膜2を、非磁性層12bを介して、CoFeB膜12aと結合させている。
すなわち、CoFeB膜2の磁化の方向と、CoFeB膜12aの磁化の方向とは、反平行である。また、CoFeB膜2は、非磁性層12bを介して、CoFeB膜12aと結合される。
言い換えれば、CoFeB膜2を、非磁性層12bを介して、CoFeB膜12aと、反強磁性的に逆向きになるよう結合させている。これによって、CoFeB膜2とCoFeB膜12aとにおける見掛け上の磁化を0としている。これにより、CoFeB膜2の磁気的な影響を抑制し、磁気特性を改善することができる。
なお、本実施の形態に係る磁気抵抗効果素子は、実施の形態1の変形例1と同様に、ホイスラー合金4とMgO膜3との間に金属層12(Cr膜)を設ける構成であってもよい。この場合、実施の形態1と同等な出力信号を得ながら、CoFeB膜2の磁化の影響を抑制することができる。その結果、磁気抵抗効果素子100Cの磁気特性を改善することが可能である。
<実施の形態3>
図6は、本発明の実施の形態3に係る磁気抵抗効果素子100Dの断面構造を示す概略図である。
図6に示すように、磁気抵抗効果素子100Dは、図1の磁気抵抗効果素子100と比較して、CoFeB膜2およびMgO膜3の大きさが異なる。磁気抵抗効果素子100Dのそれ以外の構成は、磁気抵抗効果素子100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
具体的には、CoFeB膜2およびMgO膜3の各々の水平方向の大きさが、下部電極22の水平方向の大きさほぼ等しい。すなわち、CoFeB膜2およびMgO膜3の水平方向の面積は、下部電極22の水平方向の面積とほぼ等しい。
本実施の形態においては、CoFeB膜2の水平方向の面積は、ホイスラー合金4の水平方向の面積より大きい。具体的には、CoFeB膜2の幅は、自由層であるホイスラー合金4の幅より、十分に大きい。すなわち、CoFeB膜2の端部と、ホイスラー合金4の端部とは、ホイスラー合金4がCoFeB膜2からの漏れ磁界の影響を受けない程度に、十分に離れるよう構成される。
これにより、ホイスラー合金4が、強磁性膜であるCoFeB膜2の端部からの漏れ磁界の影響を受けることを抑制することが可能である。すなわち、実施の形態2と同様な効果を得ることが可能である。
すなわち、本実施の形態においても、実施の形態1と同等な出力信号を得ながら、CoFeB膜2の磁化の影響を抑制することができる。その結果、磁気抵抗効果素子100Dの磁気特性を改善することが可能である。
なお、CoFeB膜2およびMgO膜3の形成は以下のようにして行われる。磁気抵抗効果素子100Dのパターニングにおいて、反応性イオンエッチングの際に、MgO膜3でエッチングを停止する。次に、下部電極22のパターニングにおいてMgO膜3およびCoFeB膜2の分離も実施する。これにより、CoFeB膜2およびMgO膜3が形成される。
なお、本実施の形態に係る磁気抵抗効果素子は、実施の形態1の変形例1と同様に、ホイスラー合金4とMgO膜3との間に金属層12(Cr膜)を設ける構成であってもよい。
<実施の形態4>
図7は、本発明の実施の形態4に係る磁気抵抗効果素子100Eの断面構造を示す概略図である。磁気抵抗効果素子100Eは、GMR効果を用いるGMR素子である。
図7に示すように、磁気抵抗効果素子100Eは、図6の磁気抵抗効果素子100Dと比較して、非磁性層5の代わりに金属層13を備える点と、金属層14をさらに備える点とが異なる。磁気抵抗効果素子100Aのそれ以外の構成は、磁気抵抗効果素子100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
金属層13は、Cu膜である。金属層13の厚さは、例えば、2.0nmである。
金属層14は、Cr膜である。金属層14は、MgO膜3上に形成される。
また、本実施の形態では、金属層14、CoFeB膜2およびMgO膜3の各々の水平方向の大きさが、下部電極22の水平方向の大きさほぼ等しい。すなわち、金属層14の水平方向の面積は、金属層13の水平方向の面積より大きい。
本実施の形態の構造においては、GMR効果を用いている。一般的に、GMR素子はTMR素子に対して低抵抗である。そのため、MgO膜3による抵抗が問題となる。
そこで、本実施の形態では、MgO膜3の面積が、金属層13の面積よりも十分に大きい構成とする。そのため、MgO膜3による抵抗の影響を抑制することが可能である。また、CoFeB膜2の磁化の影響を抑制することができる。その結果、磁気抵抗効果素子100Eの磁気特性を改善することが可能である。
なお、金属層14、CoFeB膜2およびMgO膜3の形成は以下のようにして行われる。磁気抵抗効果素子100Eのパターニングにおいて、反応性イオンエッチングの際に、金属層14でエッチングを停止する。次に、下部電極22のパターニングにおいて、金属層14、MgO膜3およびCoFeB膜2の分離も実施する。
以上の構成により、本実施の形態に係る磁気抵抗効果素子100Eは、従来のGMR素子よりも大きな出力信号を得ることが可能である。
<実施の形態5>
図8は、本発明の実施の形態5に係る磁気抵抗効果素子100Fの断面構造を示す概略図である。
図8に示すように、磁気抵抗効果素子100Fは、図1の磁気抵抗効果素子100と比較して、側壁23をさらに備える点が異なる。磁気抵抗効果素子100Fのそれ以外の構成は、磁気抵抗効果素子100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
側壁23は、Taを主成分とする導電性の部材である。側壁23は、CoFeB膜2およびMgO膜3の外周を取り囲むように形成される。側壁23は、ホイスラー合金4と下部電極22とを短絡するように設けられる。
側壁23の形成は、以下のようにして行われる。磁気抵抗効果素子100Fのパターニングにおいてイオンミリングを行う。そして、下部電極22の途中までミリングする際における再付着膜により側壁23が形成される。なお、下部電極22のミリング時に、イオンの入射角を90°とする。
その他の形成法として、磁気抵抗効果素子をエッチング後に、導電性の膜を全面に成膜し、全面をエッチバックすることにより、側壁23を形成することが可能である。
本実施の形態では、MgO膜3の上下の層が側壁23によって短絡されている。そのため、MgO膜3による抵抗の影響を抑制することが可能である。
<実施の形態6>
次に、本発明の実施の形態6に係る磁界検出器1000の構成について説明する。
図9は、本発明の実施の形態6に係る磁界検出器1000の構成を示す概略図である。
図9に示すように、磁界検出器1000は、磁気抵抗効果素子200と、直流電源31と、電圧計32とを備える。
磁気抵抗効果素子200は、前述の磁気抵抗効果素子100,100A,100B,100C,100D,100F等である。
磁気抵抗効果素子200の上部電極11は、配線33により、直流電源31および電圧計32に電気的に接続される。磁気抵抗効果素子200の下部電極22は、配線34により、直流電源31および電圧計32の接地ノードと電気的に接続される。
直流電源31は、磁気抵抗効果素子200に所定の定電流を供給する。電圧計32は、磁気抵抗効果素子200の下部電極22と上部電極11との間の電圧を検出する。
なお、図9においては、外部からの磁界Hexを磁気抵抗効果素子200に印加する機構は、図示されていないが、たとえば配線33,34に電流を流すことにより磁界Hexを磁気抵抗効果素子200に印加するように構成されていてもよい。
磁界検出時に、直流電源31から、配線33,34を利用して、磁気抵抗効果素子200に一定電流Iが供給される。磁気抵抗効果素子200に対して外部から磁界Hexが印加されると、外部からの磁界Hexの印加方向に応じて磁気抵抗効果素子200の抵抗値が変化する。
この外部からの磁界Hexの印加方向に応じた磁気抵抗効果素子200の抵抗値の変化により、直流電源31から供給される一定電流Iに対して、磁気抵抗効果素子200の下部電極22と上部電極11との間の電圧が変化する。この電圧変化が電圧計32で検出されることにより、外部からの磁界Hexが検出される。
なお、磁気抵抗効果素子200の抵抗変化を検出することで外部磁界Hexを検出している。そのため、図9では図示しないが、一定電圧を磁気抵抗効果素子200に印加し、その際の電流値を電流計で検出しても、外部磁界Hexを検出可能である。
ここで、磁気抵抗効果素子200は、磁気抵抗効果素子100であるとする。この場合、図10のように、自由層であるホイスラー合金4の無磁界における磁化方向は、固着層41のホイスラー合金6の磁化方向と、磁気抵抗効果素子200内において直交している。
この磁化方向の制御は、ここでは自由層の形状を、長尺状とすることにより実施している。なお、外部から紙面の垂直方向にバイアス磁界を印加しても、同様な効果を得ることができる。
図11は、磁界が印加された場合における磁気抵抗効果素子の上面図を示す。図11に示すように、外部磁界によりホイスラー合金4の磁化が回転し、固着層41内のホイスラー合金6の磁化との相対角が変化する。これにより、磁界に依存して磁気抵抗効果素子200に流れる電流が変化する。
前述したように、磁気抵抗効果素子200は大きな抵抗変化率を有する。そのため、微小な磁界に対しても大きな出力信号を得ることが可能である。すなわち、磁界検出器1000は、磁気抵抗効果素子200を用いて、高感度な磁界検出が可能である。また、実施の形態1で説明したように、磁気抵抗効果素子100の下部電極22として、厚い電極膜を使用することが可能である。そのため、下部電極22は、配線34による電気的な接続も容易である。
<実施の形態6の変形例>
図12は、本発明の実施の形態6の変形例に係る磁界検出器1000Aの構成を示す概略図である。
磁界検出器1000Aは、磁界検出器1000と比較して、磁気抵抗効果素子200の代わりに磁気抵抗効果素子200Aを含む点と、直流電源31および電圧計32と、磁気抵抗効果素子200Aとの接続方法が異なる。磁界検出器1000Aのそれ以外の構成は、磁界検出器1000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
磁気抵抗効果素子200Aは、GMR素子である。
磁気抵抗効果素子200Aは、図1の磁気抵抗効果素子100と比較して、非磁性層5の代わりに金属層13を備える点が異なる。磁気抵抗効果素子200Aのそれ以外の構成は、磁気抵抗効果素子100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
金属層13は、Cu膜である。金属層13の厚さは、例えば、2.0nmである。
磁気抵抗効果素子200Aの上部は、配線33により、直流電源31および電圧計32に電気的に接続される。
磁界検出器1000Aは、磁気抵抗効果素子200Aを用いて磁界を検出する。具体的には、磁界検出器1000Aは、磁気抵抗効果素子200Aの膜面内方向の電流により、GMR効果により磁界を検出する。そのため、磁気抵抗効果素子200A自体が配線状の形状をしている。
なお、磁気抵抗効果素子200Aにおける磁化の配置は図11と同様である。すなわち、自由層であるホイスラー合金4における磁化方向は、固着層41のホイスラー合金6の磁化方向と、磁気抵抗効果素子200A内において直交している。
上記の構成を用いた場合、読出し時の電流は主にMgO膜3の上面を流れるため、スピンが偏極した電子は、金属層13の上下の界面で効率的に散乱される。その結果、膜面内方向に電流を流した磁気抵抗効果素子200Aにおいても、大きな抵抗変化率が得られる。したがって、MgO膜3による抵抗を積極的に利用することが可能であり、厚い膜を用いても問題ない。
実施の形態6の変形例の構成では、磁気抵抗効果素子200Aの下部に電極を形成する必要がない。そのため、磁気抵抗効果素子200Aは、磁気抵抗効果素子のパターニング工程と、配線の接続工程のみで形成が可能である。
なお、磁界検出器1000および磁界検出器1000Aを応用することで、位置検出や回転検出、角度検出、電流検出等の種々の物理量の検出が可能である。
なお、図14に示すように、磁界検出器1000または磁界検出器1000Aを用いて物理量を検出する物理量検出器2000を構成してもよい。
また、磁界やスピン偏極した電子の注入により、自由層の磁化を制御することによって、メモリへの適用も可能である。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態、各実施の形態の変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態、各実施の形態の変形例を適宜、変形、省略することが可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、製造が容易であり、かつ大きな磁気抵抗効果を有する磁気抵抗効果素子として、利用することができる。
2,12a CoFeB膜、3 MgO膜、4,6 ホイスラー合金、7,9 強磁性層、5,8,12b 非磁性層、10 反強磁性層、11 上部電極、12,13,14 金属層、21 SiO膜、22 下部電極、23 側壁、41,41a 固着層、100,100A,100B,100C,100D,100E,100F,200,200A 磁気抵抗効果素子、1000,1000A 磁界検出器、2000 物理量検出器。

Claims (8)

  1. 基板の上方に形成される第1のCoFeB膜と、
    前記第1のCoFeB膜上に形成される第1のMgO膜と、
    前記第1のMgO膜の上方に形成される、自由層である第1のホイスラー合金と、
    前記第1のホイスラー合金上に形成される第1の非磁性層または金属層である特定層と、
    前記特定層の上方に形成される固着層と、を備え、
    前記固着層は、
    磁化方向が固着された強磁性層および反強磁性層を含み、
    前記第1のホイスラー合金は、3種類以上の元素で示されるABCまたはAB(C1−X)(0≦X≦1)から構成される
    磁気抵抗効果素子。
  2. 前記特定層は、前記第1の非磁性層であり、
    前記第1の非磁性層は、第2のMgO膜であり、
    前記固着層は、さらに、3種類以上の元素で示されるABCまたはAB(C1−X)(0≦X≦1)から構成される第2のホイスラー合金を含む
    請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記第1のMgO膜は、前記第2のMgO膜よりも薄い
    請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記磁気抵抗効果素子は、さらに、
    前記第1のCoFeB膜の下部に形成された第2の非磁性層および第2のCoFeB膜を備え、
    前記第1のCoFeB膜の磁化の方向と、前記第2のCoFeB膜の磁化の方向とは、反平行であり、
    前記第1のCoFeB膜は、前記第2の非磁性層を介して、前記第2のCoFeB膜と結合される
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記第1のCoFeB膜の面積は、前記第1のホイスラー合金の面積より大きい
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記特定層は、前記金属層であり、
    前記磁気抵抗効果素子は、さらに、
    前記MgO膜上に形成された金属層を備え、
    前記MgO膜上に形成された前記金属層の面積は、前記特定層の面積より大きい
    請求項5に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記磁気抵抗効果素子を用いて磁界を検出する
    磁界検出器。
  8. 請求項7に記載の前記磁界検出器を用いて物理量を検出する
    物理量検出器。
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