JP2013246063A - 放射線検出器およびその製造方法 - Google Patents

放射線検出器およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防湿体によるアレイ基板上の配線の短絡の可能性を抑制する。
【解決手段】放射線検出器11に、ガラス基板16上に光電変換素子を二次元配列したアレイ基板12と、アレイ基板12の光電変換素子が配列された領域を覆い放射線を蛍光に変換するシンチレータ層13と、金属の成形体であってアレイ基板12のシンチレータ層13を囲む部分に対向する鍔部50を備えた防湿体15と、防湿体15の少なくとも鍔部50のアレイ基板12側を被覆する絶縁層61と、防湿体15の鍔部50とアレイ基板12との間に介在して鍔部50とアレイ基板12を接着させる接着層40と、を備える。
【選択図】図7

Description

実施形態は、概して、放射線検出器およびその製造方法に関する。
新世代のX線診断用検出器として、アクティブマトリクスを用いた平面形のX線検出器が開発されている。このX線検出器に照射されたX線を検出することにより、X線撮影像、あるいはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。このX線検出器では、X線をシンチレータ層により可視光すなわち蛍光に変換させ、この蛍光をアモルファスシリコン(a−Si)フォトダイオードあるいはCCD(Charge Coupled Device)などの光電変換素子で信号電荷に変換することで画像を取得している。
シンチレータ層の材料としては、一般的に、ヨウ化セシウム(CsI):ナトリウム(Na)、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、あるいは酸硫化ガドリニウム(GdS)などが用いられる。シンチレータ層は、ダイシングなどにより溝を形成したり、柱状構造が形成されるように蒸着法で堆積したりすることで、解像度特性を向上させることができる。シンチレータの材料としては上記の通り種々のものがあり、用途や必要な特性によって使い分けられる。
シンチレータ層の上面には、蛍光の利用効率を高めて感度特性を改善するために、反射膜を形成する場合がある。すなわち、シンチレータ層で発光した蛍光のうち光電変換素子の反対側に向かう蛍光を反射膜で反射させて、光電変換素子側に到達する蛍光を増大させる。
反射膜は、銀合金やアルミニウムなど蛍光反射率の高い金属層をシンチレータ層上に成膜する方法や、TiOなどの光散乱性物質とバインダ樹脂とから成る光散乱反射性の反射膜を塗布形成する方法などで形成される。また、シンチレータ層上に形成するのではなく、アルミなどの金属表面を持つ反射板をシンチレータ層に密着させてシンチレータ光を反射させる方式も実用化されている。
シンチレータ層や反射層(あるいは反射板など)を外部雰囲気から保護して湿度などによる特性の劣化を抑えるための防湿構造は、検出器を実用的な製品とする上で重要な構成要素である。特に、湿度に対して劣化の大きい材料であるCsI:Tl膜やCsI:Na膜をシンチレータ層とする場合には高い防湿性能が要求される。
防湿構造としては、ポリパラキシリレン(以降は略してパリレンと記載)のCVD膜を用いる方法、あるいは、シンチレータの周囲を包囲部材で囲って防湿層との組み合わせで封止する構造などがある。また、防湿性能の優れたアルミニウム箔などをハット状に加工して、その鍔部を基板と接着シールする防湿構造などが知られている。
米国特許6262422号明細書 特開平5−242847号公報 特許第4764407号公報
金属箔などをハット状に加工して、その鍔部を基板と接着シールする防湿構造は、水蒸気バリア性(防湿性)や製造性の点で優れている。この場合、防湿層は、形状加工性の優れたアルミニウム(Al)など軽金属箔を用いてハット状に加工して形成される。
しかし、アルミニウムなどの導電性を有するハット状防湿層を、その鍔部で基板と接着する場合、基板の接着部に存在するリード配線と電気的に接触する可能性がある。リード配線上に無機材または有機樹脂の保護膜を形成したアレイ基板が一般的ではあるが、リード配線の段差被覆の不完全性や、工程上での異物の存在などによって、保護膜が不完全でリード配線が露出する可能性がある。
たとえば、アレイ基板とAlハット防湿体を接着した部分の断面観察で、アレイ基板の配線段差部において保護膜被覆が薄くなった状態が観察される場合がある。このような場所に接着層の極端に薄い部分が重なると、Alハットとリード配線との短絡を生じ易く、デバイス特性に重大な支障をきたす可能性がある。リード配線が信号ラインであればノイズ特性の悪化を招き、フォトダイオードのバイアスラインとか制御ラインの場合はデバイス動作ができなくなり致命的となる。
このような不具合は、Alハットなど導電性防湿層の鍔部と基板との密着性をより高める場合ほどリスクが大きくなる。すなわち、接着条件として接着時の加圧力を大きく、また接着面の面積を広く取るほど密着性の点では望ましいが、これらによってAlなど導電性防湿層と基板のリード配線との短絡や浮遊容量の増大に繋がり易い。
そこで、実施形態は、放射線検出器の防湿体によるアレイ基板上の配線の短絡の可能性を抑制することを目的とする。
上述の目的を達成するため、実施形態によれば、放射線検出器は、基板上に光電変換素子を二次元配列したアレイ基板と、前記アレイ基板の前記光電変換素子が配列された領域を覆い放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、金属の成形体であって前記アレイ基板の前記シンチレータ層を囲む部分に対向する接着面を備えた防湿体と、前記防湿体の少なくとも前記接着面を被覆する絶縁層と、前記接着面と前記アレイ基板との間に介在して前記接着面と前記アレイ基板を接着させる接着層と、を具備することを特徴とする。
また、実施形態によれば、放射線検出器の製造方法は、基板上に光電変換素子を二次元配列したアレイ基板を形成するアレイ基板形成工程と、前記アレイ基板の前記光電変換素子が配列された領域を覆い放射線を蛍光に変換するシンチレータ層を形成するシンチレータ層形成工程と、金属を成形して前記アレイ基板の前記シンチレータ層を囲む部分に対向する接着面を備えた防湿体を形成する防湿体形成工程と、前記防湿体の少なくとも前記接着面を被覆する絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記接着面と前記アレイ基板との間に接着層を介在させて前記接着面と前記アレイ基板を接着させる接着工程と、を具備することを特徴とする。
一実施形態による放射線検出装置の模式的斜視図である。 一実施形態による放射線検出器のアレイ基板の回路図である。 一実施形態による放射線検出装置のブロック図である。 一実施形態による放射線検出器の断面の一部拡大断面図である。 一実施形態による放射線検出器の上面図である。 一実施形態による放射線検出器の側面図である。 一実施形態による放射線検出器の外周部近傍の拡大断面図である。 一実施形態による防湿体の下面図である。 所定の厚さの接着層が形成されている場合のアレイ基板と防湿体との接着部近傍の断面SEM写真である。 所定の厚さの接着層が形成されていない場合のアレイ基板と防湿体との接着部近傍の断面SEM写真である。 防湿体の接着時の加圧力を変化させたときの耐圧不良のライン数の試験結果を示すグラフである。 接着層中のフィラー材の割合を変化させた場合の透湿係数の試験結果を示すグラフである。 接着層を形成する際の加圧条件を変化させたときの保護膜へのダメージの発生率を、フィラー材の種類を変えて試験した結果を示すグラフである。 接着層の平均厚さを変化させたときの高温高湿試験後の解像度維持率のグラフである。 高温高湿下での密着力ピール強度の試験結果を示すグラフである。 一般的な樹脂の溶解性パラメータ値(SP値)の表である。
一実施形態による放射線検出器を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、一実施形態による放射線検出装置の模式的斜視図である。図2は、本実施形態による放射線検出器のアレイ基板の回路図である。図3は、本実施形態による放射線検出装置のブロック図である。図4は、本実施形態による放射線検出器の断面の一部拡大断面図である。図5は、本実施形態による放射線検出器の上面図である。図6は、本実施形態による放射線検出器の側面図である。
本実施形態の放射線検出器11は、放射線像であるX線画像を検出するX線平面センサであり、たとえば一般医療用途などに用いられる。放射線検出装置10は、この放射線検出器11と、支持板31と、回路基板30と、フレキシブル基板32とを有している。放射線検出器11は、アレイ基板12とシンチレータ層13とを有している。放射線検出器11は、入射したX線を検出して蛍光に変換し、その蛍光を電気信号に変換する。放射線検出装置10は、放射線検出器11を駆動し、放射線検出器11から出力された電気信号を画像情報として出力する。放射線検出装置10が出力した画像情報は、外部のディスプレイなどに表示される。
アレイ基板12は、蛍光を電気信号に変換する光電変換基板である。アレイ基板12は、ガラス基板16を有している。ガラス基板16の表面には、複数の微細な画素20が正方格子状に配列されている。画素20は、たとえば対角線の長さが13インチの長方形の画素領域(アクティブ領域)内に配列される。それぞれの画素20は、薄膜トランジスタ22とフォトダイオード21とを有している。また、ガラス基板16の表面には、画素20が配列された正方格子の行に沿って制御ライン18が各画素20の間を延びている。さらに、ガラス基板16の表面には、画素20が配列された正方格子の列に沿って同数のデータライン19が各画素20の間を延びている。シンチレータ層13は、アレイ基板12の画素20が配列された領域の表面に形成されている。
シンチレータ層13は、アレイ基板12の表面に設けられ、X線が入射すると可視光領域の蛍光を発生する。発生した蛍光は、アレイ基板12の表面に到達する。
シンチレータ層13は、たとえばヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、あるいはヨウ化ナトリウム(NaI):タリウム(Tl)などを真空蒸着法で柱状構造に形成したものである。たとえば、シンチレータ層13にはCsI:Tlの蒸着膜を用い、その膜厚は約600μmである。CsI:Tlの柱状構造結晶の柱(ピラー)の太さは、最表面でたとえば8〜12μm程度である。あるいは、酸硫化ガドリニウム(GdS)蛍光体粒子をバインダ材と混合し、アレイ基板12上に塗布して焼成および硬化し、ダイサによりダイシングするなどで溝部を形成して四角柱状に形成してシンチレータ層13を形成してもよい。これらの柱間には、大気、あるいは酸化防止用の窒素(N)などの不活性ガスが封入され、あるいは真空状態としてもよい。
アレイ基板12は、シンチレータ層13で発生した蛍光を受光して電気信号を発生する。その結果、入射したX線によってシンチレータ層13で発生した可視光像は、電気信号で表現された画像情報に変換される。
放射線検出器11は、シンチレータ層13が形成された面の反対側の面と支持板31とが接触するように、支持板31に支持されている。回路基板30は、支持板31の放射線検出器11に対して反対側に配置されている。放射線検出器11と回路基板30との間は、フレキシブル基板32で電気的に接続されている。
それぞれのフォトダイオード21は、スイッチング素子である薄膜トランジスタ22を介して制御ライン18およびデータライン19に接続されている。また、それぞれのフォトダイオード21には、蓄積キャパシタ27が並列に接続されている。なお、蓄積キャパシタ27は、フォトダイオード21の容量が兼ねる場合もあり、必ずしも必要ではない。
フォトダイオード21およびそれに並列に接続された蓄積キャパシタ27は、薄膜トランジスタ22のドレイン電極25に接続されている。薄膜トランジスタ22のゲート電極23は、制御ライン18に接続されている。薄膜トランジスタ22のソース電極24は、データライン19に接続されている。
配列の同じ行に位置する画素20の薄膜トランジスタ22のゲート電極23は、同一の制御ライン18に接続されている。配列の同じ列に位置する画素20の薄膜トランジスタ22のソース電極24は、同一のデータライン19に接続されている。
同じ行の画素20中の薄膜トランジスタ22のゲート電極23は、同じ制御ライン18に接続されている。同じ列の画素20中の薄膜トランジスタ22のソース電極24は、同じデータライン19に接続されている。
各薄膜トランジスタ22は、フォトダイオード21への蛍光の入射にて発生した電荷を蓄積および放出させるスイッチング機能を担う。薄膜トランジスタ22は、結晶性を有する半導体材料である非晶質半導体としてのアモルファスシリコン(a−Si)、あるいは多結晶半導体であるポリシリコン(P−Si)などの半導体材料にて少なくとも一部が構成されている。
なお、図1および図2において、画素は5行5列あるいは4行4列分しか記載していないが、実際にはもっと多く、解像度、撮像面積に応じて必要な画素が形成されている。
放射線検出装置10は、放射線検出器11と、ゲートドライバー39と、行選択回路35と、積分アンプ33と、A/D変換器34と、並列/直列変換器38と、画像合成回路36とを有している。ゲートドライバー39は、放射線検出器11の各制御ライン18に接続されている。ゲートドライバー39は、各薄膜トランジスタ22の動作状態、すなわちオンおよびオフを制御する。積分アンプ33は、放射線検出器11の各データライン19に接続されている。
行選択回路35は、ゲートドライバー39に接続されている。並列/直列変換器38は、積分アンプ33に接続されている。A/D変換器34は、並列/直列変換器38に接続されている。A/D変換器34は、画像合成回路36に接続されている。
積分アンプ33は、たとえば放射線検出器11と回路基板30とを接続するフレキシブル基板32上に設けられている。その他の素子は、たとえば回路基板30上に設けられている。
ゲートドライバー39は行選択回路35からの信号を受信して、各薄膜トランジスタ22の動作状態、すなわちオンおよびオフを制御する。つまり、制御ライン18の電圧を順番に変更していく。行選択回路35は、X線画像を走査する所定の行を選択するための信号をゲートドライバー39へと送る。積分アンプ33は、放射線検出パネル21からデータライン19を通じて出力される極めて微小な電荷信号を増幅し出力する。
アレイ基板12の表面には、フォトダイオード21および薄膜トランジスタ22などの検出素子、並びに、制御ライン18およびデータライン19などの金属配線を覆う絶縁性の保護膜28が形成されている。シンチレータ層13は、保護膜28の表面に、画素20が配列された領域を覆うように形成されている。
シンチレータ層13の表面には、反射膜14が設けられている場合が多い。反射膜14は、シンチレータ層13で発生した蛍光のうちアレイ基板12から遠ざかっていくものをアレイ基板12側へ反射させる。これにより、フォトダイオード21に到達する蛍光光量が増大する。
反射膜14は、銀合金やアルミニウムなど蛍光反射率の高い金属をシンチレータ層上に成膜する方法で形成される。あるいは、アルミなどの金属表面を持つ反射板をシンチレータ層13に密着させたもの、TiOなどの光散乱性物質とバインダ樹脂とから成る拡散反射性の反射膜14を塗布形成してもよい。なお、反射膜14は、放射線検出器11に求められる解像度、輝度などの特性により、必ずしも必要ではない。
放射線検出器11には、シンチレータ層13および反射膜14を覆うように、防湿体15が設けられている。
防湿体15は、中央部が盛り上がったハット状に形成されている。防湿体15の周辺部分は、平坦な帯状の鍔部50となっている。鍔部50は、アレイ基板12の表面のシンチレータ層13が形成された領域の外側を取り囲む帯状に形成される。鍔部50の内側には、天板部51が形成されている。天板部51は、シンチレータ層13よりも若干大きい平板状の部分である。鍔部50と天板部51との間には、斜面部52が形成されている。
鍔部50は、アレイ基板12と対向している。鍔部50とアレイ基板12との間は接着されている。アレイ基板12上に形成されたシンチレータ層13および反射膜14は、防湿体15の天板部51および斜面部52で覆われている。防湿体15は、シンチレータ層13および反射膜14を外気や湿度から保護する。
防湿体15は、たとえばアルミニウムやアルミニウム合金の箔で形成されている。本実施例として防湿体15は、0.1mmのA1N30−O材(純アルミニウム系材料のアニール材)により形成されている。鍔部50の幅は、たとえば5mmである。
アレイ基板12には、制御ライン18およびデータライン19のそれぞれの端部が露出したパッド29が配列されて、端子群26が形成されている。端子群26は、アレイ基板12の辺に沿って配列されている。制御ライン18につながる端子群26と、データライン19につながる端子群26は、異なる辺に沿って配列されている。これらの端子群26は、フレキシブル基板32を介して、回路基板30と電気的に接続されている。
図7は、本実施形態による放射線検出器の外周部近傍の拡大断面図である。図8は、本実施形態による防湿体の下面図である。
ハット状の防湿体15の鍔部50の下面、すなわち、アレイ基板12に対向する面には、絶縁層61が形成されている。この絶縁層61は、鍔部50だけではなく、斜面部52に広がっていてもよい。図8において斜線を付した部分に絶縁層61が形成されている。絶縁層61は、更に天板部にまでも広がっていても良い。防湿体15は、鍔部50とアレイ基板12との間に介在する接着層40によってアレイ基板12に接着されている。
アレイ基板12の周辺部の端子群26まで延びる引き出しリードとしては、TFT駆動のための制御ライン18、X線画像に対応する電荷を読み出すデータライン19、および、フォトダイオード21を動作させるためのバイアス電圧を加えるためのバイアス線(図示せず)がある。X線画像を取得するアクティブエリアから、基板周辺部に配列されたパッド29までそれぞれ延びるリード配線62が形成され、最表層には保護膜28として0.2〜0.3μm程度の無機膜と2μm程度の有機膜が形成されている。
シンチレータ層13は、アレイ基板12上のアクティブエリア上にCsI:Tlを真空蒸着法で膜厚が約600μmとなるように形成される。また、反射膜14は、TiOのサブミクロン粉体とバインダ樹脂および溶媒を混合した塗液をシンチレータ層13上に塗布・乾燥して形成される。
防湿体15は、たとえば厚さが0.1mmのアルミニウム(Al)箔を周辺部に5mm幅の鍔部50を持つ構造にプレス成形してハット状とする。その後、防湿体15の鍔部50(接着部)にエポキシ系の絶縁塗膜を形成した。絶縁塗膜の材料としては、絶縁ワニス(京セラケミカル製TVA1410)を専用の薄め液を用いて適度な濃度に希釈し、スプレイガンにてAlハットの鍔部50の接着面側とその近傍に塗装した後に、オーブン内で50℃で2時間乾燥し、その後、室温で1日放置して完成した。これにより鍔部50の接着面側に絶縁層61が形成される。
絶縁層61は、例示したような樹脂材料に限らず、無機系の絶縁膜でも良い。たとえばAlやAl合金の防湿層であれば、接着面に陽極酸化処理(アルマイト処理)を施してサブミクロンから数ミクロンのアルミナ(Al)絶縁層を形成してもよい。あるいは、電子デバイスのプロセスで広く用いられている珪素(Si)系の無機絶縁膜、たとえばSiO膜やSi膜、あるいはこれらの複合組成であるSi−O−N膜などの珪素(Si)系の酸化物、窒化物、酸窒化膜、あるいはAlやZrなど金属の酸化物、窒化物、酸窒化膜を接着面に成膜してもよい。成膜方法も一般的な物理気相成膜法(PVD法:真空蒸着法やスパッタリング法など)や、化学気相成膜法(CVD法:プラズマCVD法や熱CVD法など)、あるいは珪素や金属のアルコキシドを用いるゾルゲル法などの方法を用いてもよい。
絶縁層61に必要な膜厚は、その材質や緻密性、防湿層と基板とを接着封止する際の加圧条件、防湿層と基板配線の間で必要な耐圧などによって異なるが、有機(樹脂)絶縁層の場合には、概ね3μm以上、無機絶縁層の場合には概ね0.5μm以上あるのが望ましい。
防湿体15とアレイ基板12とを接着封止する接着層40としては、たとえばエポキシ系でカチオン重合型のUV硬化接着材で、接着層の透湿を抑制する為の無機材質のフィラー材を種々添加したものを用いる。使用する接着材の一例は、紫外線硬化型接着材(ナガセケムテック製XNR5516ZHV−B1)である。鍔部50の接着面側を絶縁層61で絶縁コートした防湿体15を、天板部51が鍔部50よりも窪んだ状態で接着用のトレイに配置し、ディスペンサーを用いて概ね0.4〜0.8mg/mmの塗布量で接着剤を防湿体15の鍔部50の接着面に塗布する。その後、アレイ基板12をシンチレータ層13が防湿体15に対向するような姿勢にして、位置合わせと加圧密着ができる装置によって両者を密着化する。さらに、紫外線ランプにより6J/cm程度の照射量で紫外線を照射して接着層を硬化する。UV硬化接着剤の硬化率を高めるために、追加で60℃×3時間の加熱処理を施す。
このようにして防湿構造を形成した後、制御ライン18、データライン19、バイアスラインの夫々に対応するリード配線62のパッド29からフレキシブル基板32などを用いて駆動回路などの電気回路への配線実装を行い、さらに筐体(図示せず)に組み込んで放射線検出装置10が完成する。
図9は、所定の厚さの接着層が形成されている場合のアレイ基板と防湿体との接着部近傍の断面SEM写真である。図10は、所定の厚さの接着層が形成されていない場合のアレイ基板と防湿体との接着部近傍の断面SEM写真である。
図9に示すように、アレイ基板12と防湿体15を接着した部分には、通常、所定の厚さの保護膜28および接着層40が形成され、防湿体15が保護膜28に直接接触することはない。このため、防湿体15によって保護膜28で被覆されたリード配線62の短絡が生じる可能性は低い。
しかし、アレイ基板12と防湿体15を接着した部分の断面観察で、アレイ基板12のリード配線62によって形成される段差部において保護膜28が薄くなった状態が観察される場合がある。このような場所に接着層40の極端に薄い部分が重なると、防湿体15とリード配線62との短絡が生じ易く、デバイス特性に重大な支障をきたす可能性がある。リード配線62がデータライン19であればノイズ特性の悪化を招き、フォトダイオード21のバイアスラインや、制御ライン18の場合はデバイス動作ができなくなり致命的となる。
本実施形態では、防湿体15のアレイ基板12との接着面に絶縁層61が形成されている。このため、保護膜28が薄くなった部分に接着層40の薄い部分が重なったとしても、導電性の防湿体15がリード配線62に直接接触する可能性は極めて小さい。つまり、防湿体15とリード配線62との短絡が生じる可能性は極めて小さい。
このように本実施形態によれば、CsI:Tl膜など湿度による特性劣化を生じるX線変換膜を、防湿性能が優れたAl箔材などで保護するとともに、アレイ基板12との接着部分で生じ易いリード配線28との短絡リスクを無くし、信頼性の高い放射線検出器11を提供することができる。
図11は、防湿体の接着時の加圧力を変化させたときの耐圧不良のライン数の試験結果を示すグラフである。
この試験では、防湿体15の接着時の加圧力を変化させた場合の電気的な短絡や耐圧状況を調査した。防湿体15にエポキシ樹脂系の絶縁層61を形成した場合と、SiN系の絶縁層61を形成した場合について、試験を行った。また、比較のため、絶縁層61を形成しない場合についても試験を行っている。リード配線62の数は3072本で、各リード配線62のパッド29にプローバを用いて電気的なコンタクトを取り、防湿体15との間に最大50Vの電圧を印加して絶縁性を評価した。
防湿体15に絶縁コート(絶縁層61)が無い場合、防湿体15とアレイ基板12との加圧力が高いほど、耐圧不良のライン数が増加している。つまり、絶縁層61がない場合には、密着性の良好な条件すなわち冷熱サイクル試験などの信頼性が高い接着条件になるほど、防湿体15とリード配線62との短絡の増加が見られる。一方、防湿体15の鍔部50の接着面を絶縁コートした場合、何れの接着条件でも防湿体15とリード配線62との短絡は生じていない。
このように本実施形態によれば、Al箔など高い防湿性能を有するが導電性のある防湿層材料を使用して防湿体15を形成しても、接着層40の形成条件(接着条件)によらず、防湿体15とアレイ基板12上の配線との間で生じ得る短絡リスクを低減することができる。
概ね50μm以上の厚みをもつAl箔などの材料を防湿体15に用いることにより、防湿体15からの透湿量はほとんど無視できる程度に抑えられる。一方、防湿体15の接着部に形成される絶縁層61および接着層40からの透湿量は、これらの材料が有機樹脂材料を主要成分とするものであるために、防湿性に影響する一定の値を有する。
透湿率に関して近似式を使って説明すると、防湿構造全体の透湿率(単位時間当りの水分の浸入)は、概ね、次式で表される。
Q(Total)=Q(防湿体)+Q(絶縁層)+Q(接着層) …(式1)
ここで、Q(Total)は防湿構造全体としての透湿率、Q(防湿層)は防湿体15からの透湿率、Q(絶縁層)は絶縁層61からの透湿率、Q(接着層)は接着層40からの透湿率である。
(式1)の第1項目のQ(防湿層)は防湿構造の大部分を占める防湿体15からの透湿率を示すが、本実施の形態では、防湿体15の材料としてAl箔材など水蒸気バリア性に優れた好適なものを選定することにより、透湿率を実質的にゼロレベルに抑えることができる。
(式1)の接着層40からの透湿に関する第3項目のQ(接着層)を書き下ろすと、次式となる。
Q(接着層)=P(接着層)・S(接着層)/W(接着層)
=P(接着層)・L(接着層)・T(接着層)/W(接着層) …(式2)
ここで、P(接着層)は接着層40の透湿係数、S(接着層)は接着層40の透湿断面積、W(接着層)は透湿に関する接着層40の幅すなわち接着層40の防湿体15およびアレイ基板12で挟まれている部分の幅、L(接着層)は接着層40の周長、T(接着層)は接着層40の厚さを示す。このQ(接着層)は、フィラー添加の接着層材料や接着層40のディメンジョンにより極めて低い値に抑えることができる。
(式1)の絶縁層61からの透湿に関する第2項目のQ(絶縁層)を書き下ろすと、次式となる。
Q(絶縁層)=P(絶縁層)・S(絶縁層)/W(絶縁層)
=P(絶縁層)・L(絶縁層)・T(絶縁層)/W(絶縁層) …(式3)
ここで、P(絶縁層)は絶縁層61の透湿係数、S(絶縁層)は絶縁層61の透湿断面積、W(絶縁層)は透湿に関する絶縁層61の幅すなわち絶縁層61の防湿体15および接着層40で挟まれている部分の幅、L(絶縁層)は絶縁層61の周長、T(絶縁層)は絶縁層61の厚さを示す。
絶縁層61のディメンジョンに関するL、T、Wは、製品設計やプロセスからの制約がある。一方、透湿係数P(絶縁層)は絶縁層61の材質により変化し、その変化の幅は大きい。絶縁層61の形成によって上述の通り電気的短絡の可能性は抑制されるが、絶縁層61が付加されたことによって、この層を通しての透湿が防湿構造全体としての性能低下になることは最小限に抑えることが望ましい。そこで、絶縁層61の成分に無機フィラー材を添加し、無機フィラー材の水蒸気バリア性能により透湿係数P(絶縁層)の値を抑えることが好ましい。微細フィラーの添加率により絶縁層61の透湿係数を顕著に低減させられる。実質的な効果としては、絶縁層61が固化した状態で無機材質フィラーの体積含有比率が30%を超えると透湿係数を小さくする効果が顕著に発現する。これら無機フィラーの添加率による防湿性能の変化を試験によって確認した。
図12は、接着層中のフィラー材の割合を変化させた場合の透湿係数の試験結果を示すグラフである。
この試験では、接着層40のベース樹脂としてエポキシ系やアクリル系の材料を用い、溶剤で溶いてワニス状にした後に、SiO(酸化ケイ素)やAl(アルミナ)、タルク(talc:滑石:MgSi(OH))などの数μm程度の微細フィラーを添加した。図12において、横軸はフィラー材の体積充填率、縦軸は透湿係数である。
4cm□のCsI:Tl膜に対して、これを覆うように絶縁層61付きの防湿体15を被せて、防湿体15の鍔部50をダミー基板と接着封止した。接着層40の厚みTは、50〜100μmで、接着層40の幅Wは3mmである。防湿性能への影響を確認するため、60℃−90%RHの高温高湿試験による膜の解像度変化を調査した。絶縁層の透湿係数の低下に応じて、CsI:Tl膜の解像度特性の劣化が生じ難くなることが分かる。すなわち、防湿信頼性の寿命が改善する。
接着層40に添加する微細な無機フィラーをタルク(talc:滑石:MgSi10(OH))とすることで、防湿体15をアレイ基板12とを接着する際の加圧により防湿体15やアレイ基板12へのダメージを避けることができる。このダメージとは、硬度の高い無機フォラーによる基板や防湿層の傷つけである。
アレイ基板12の接着面には、内部のフォトダイオード21からなる画素20と外部の電気回路を繋ぐリード配線62群が通っている。これらのリード配線62は、基本的にはたとえばサブミクロンのSiNやSiOあるいは数μm以下の有機膜などの保護膜28により保護されている。しかし、無機フィラーの硬度が高い場合には、接着時の加圧により保護膜28に対して局部的な応力が加わり、クラックが生じたり穴が形成されたりするリスクがある。一方、タルク(滑石)など硬度の低い無機材質は、その結晶性によって水蒸気バリア性能は高硬度の無機膜と遜色ないが、その柔らかさに加えて形状変化の自由度が大きく、接着時の加圧によっても基板の保護膜や防湿層へのダメージは至って生じ難い。
図13は、接着層を形成する際の加圧条件を変化させたときの保護膜へのダメージの発生率を、フィラー材の種類を変えて試験した結果を示すグラフである。図13において、横軸は接着層を形成する際の加圧力であり、縦軸は基板へのダメージ発生箇所数である。
この試験は、モデルサンプルで行った。配線を模擬した8cm□のAl膜の上に厚さが0.5μmのSiN保護層と厚さが2μmアクリル系の保護層を積層したものに、防湿体15に相当するものに種々のフィラーを添加した絶縁層を被覆したAl箔を密着させ、Al箔の上から加圧した。加圧試験後に、この試験片を混酸に浸漬して、Al膜の腐食発生箇所を調べ、保護膜に対するダメージの指標とした。混酸によるAL膜の腐食は、加圧時に接着層中のフィラー材により、上部のSiN保護膜とアクリル系保護膜を貫通するクラックやピンホールが生じたことを意味する。
図13から加圧力が大きくなるとSiO(モース硬度:7)やAl(モース硬度:9)のフィラー添加の絶縁膜では腐食発生箇所が増えてくるのが分かる。一方、同程度の添加率でも、フィラーとしてタルク(モース硬度:1)を用いたものでは、腐食発生は見られず、高加圧の条件でも保護膜に対するダメージが生じ難い事がわかる。よって、絶縁層61に添加するフィラーとしては、モース硬度が2以下の微細片であることが好ましい。
図14は、接着層の平均厚さを変化させたときの高温高湿試験後の解像度維持率のグラフである。この高温高湿試験は、60℃−90%RHで行った。
接着層40からの透湿率(単位時間当りの水蒸気の透過量)は、上述の(式3)で表される。この式中のディメンジョンのうち、接着層40の長さ(L)と接着層40の幅(W)は設計上の制約が大きい。接着層40の厚み(T)に関しては設計上の制約は少なく、比較的自由度があるが、(式3)から透湿率を抑えるために接着層40の厚み(T)は最小化することが望ましい。その目安は、接着層40の透湿係数(ベース樹脂、フィラー添加やその含有率による)、製品寸法により違ってくるが、図14から分かるように、接着層40の厚み(T)は概ね50μm以下が望ましい。
本実施形態において防湿体15に被着された絶縁層61は、接着層40と直接接して封止構造を形成する。したがって、絶縁層61と接着層40との界面接着力とその安定性は、防湿体15の信頼性の観点から極めて重要である。
図15は、高温高湿下での密着力ピール強度の試験結果を示すグラフである。
この試験は、絶縁層61と接着層40の両方にエポキシ系の樹脂を主要成分とするものを用いた場合と、異種の樹脂材料を用いた場合について行った。これらの場合について、60℃−90%RHの高温高湿下に曝したときの、絶縁層/接着層の密着力ピール強度の時間変化を調べた。
図15から明らかなように、同系の樹脂材料を用いた場合の界面密着力は高温高湿試験でも劣化せず、むしろ増大傾向さえ示す。これは同系樹脂材料の融合効果により界面の密着力がより強固になった結果と考えられる。
図16は、一般的な樹脂の溶解性パラメータ値(SP値)の表である。
高温環境下での界面密着力の増大は溶解性パラメータ(SP値)が近い(概ね±1(cal/cm1/2以内)では生じやすく、防湿構造の信頼性に対し有利である。そこで、この表から、溶解性パラメータが近い材料を、絶縁層61および接着層40に選択するとよい。
本実施形態では、Al箔など軽金属材料をハット形状に加工した防湿体の少なくとも接着に関わる部位(鍔部50)に絶縁層を形成している。防湿体15に対する絶縁層61の密着力を確保することが信頼性の面から重要である。
防湿体15のハット形状は、プレス加工などで成形される。プレス加工直後の状態では、防湿体15の表面には汚れが残っており、また、絶縁層61の食いつきを良くするための適当な状態の表面の粗れはない、あるいは一定化していない。塗装技術で一般に用いられる塗装面の粗面化(足付け)や予備洗浄は、Alなど軽金属の薄い箔に対しては不安定で難しい。また、成形体の形状を歪めたり傷つけたりするリスクも高い。
そこで、防湿体15の製造の際には、防湿体15を保持するトレイを用いる。また、絶縁塗装面だけを露出して他の部位を覆い隠すとともに防湿体15を安定化させる固定マスク冶具を用いる。これにより、必要な絶縁塗装面に、安定して足付け処理、払拭洗浄、塗装コートができる。
成形後の防湿体15と絶縁層61との密着力を確保するために、まず、防湿体15の成形後に、有機溶剤などによる脱脂処理および、更に密着力を高めるためにUV/O処理やプラズマ洗浄などの表面清浄化を行う。その後に、樹脂絶縁層の塗装や、無機絶縁層の物理気相成膜法(PVD法:真空蒸着法やスパッタリング法など)や、化学気相成膜法(CVD法:プラズマCVD法や熱CVD法など)、あるいは珪素や金属のアルコキシドを用いるゾルゲル法などの成膜を実施することが好ましい。また、成膜時の防湿体15の温度やその他成膜条件は、絶縁層61と防湿体15との密着力の観点および膜の緻密性の観点、成膜速度による製造性やコストの観点を合わせて評価し、これら成膜条件を適正化する。
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…放射線検出装置、11…放射線検出器、12…アレイ基板、13…シンチレータ層、14…反射膜、15…防湿体、16…ガラス基板、18…制御ライン、19…データライン、20…画素、21…フォトダイオード、22…薄膜トランジスタ、23…ゲート電極、24…ソース電極、25…ドレイン電極、26…端子群、27…蓄積キャパシタ、28…保護膜、29…パッド、30…回路基板、31…支持板、32…フレキシブル基板、33…積分アンプ、34…A/D変換器、35…行選択回路、36…画像合成回路、38…並列/直列変換器、39…ゲートドライバー、40…接着層、50…鍔部、51…天板部、52…斜面部、61…絶縁層、62…リード配線

Claims (15)

  1. 基板上に光電変換素子を二次元配列したアレイ基板と、
    前記アレイ基板の前記光電変換素子が配列された領域を覆い放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、
    前記シンチレータ層を覆う金属の成形体であって前記アレイ基板の前記シンチレータ層を囲む部分に対向する接着面を備えた防湿体と、
    前記防湿体の少なくとも前記接着面を被覆する絶縁層と、
    前記接着面と前記アレイ基板との間に介在して前記接着面と前記アレイ基板を接着させる接着層と、
    を具備することを特徴とする放射線検出器。
  2. 前記アレイ基板は前記接着面に対向する部分を通過するリード配線と前記リード配線を被覆する保護膜とを備えることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
  3. 前記絶縁層は樹脂を主材料とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線検出器。
  4. 前記絶縁層は塗装膜であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の放射線検出器。
  5. 前記絶縁層は絶縁性無機材質のフィラーが体積充填率で30vol.%以上含有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の放射線検出器。
  6. 前記フィラーはモース硬度が2以下の微細片であることを特徴とする請求項5に記載の放射線検出器。
  7. 前記絶縁層と前記接着層とが同系の樹脂で形成されていることを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の放射線検出器。
  8. 前記絶縁層と前記接着層とは溶解性パラメータの差が所定の大きさ以下の樹脂で形成されていることを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の放射線検出器。
  9. 前記絶縁層は前記防湿体を形成する金属の酸化物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線検出器。
  10. 前記絶縁層は珪素の酸化物、窒化物および酸化物のいずれかを主成分とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線検出器。
  11. 前記絶縁層の厚さは50μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の放射線検出器。
  12. 基板上に光電変換素子を二次元配列したアレイ基板を形成するアレイ基板形成工程と、
    前記アレイ基板の前記光電変換素子が配列された領域を覆い放射線を蛍光に変換するシンチレータ層を形成するシンチレータ層形成工程と、
    金属を成形して前記アレイ基板の前記シンチレータ層を囲む部分に対向する接着面を備えた防湿体を形成する防湿体形成工程と、
    前記防湿体の少なくとも前記接着面を被覆する絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
    前記接着面と前記アレイ基板との間に接着層を介在させて前記接着面と前記アレイ基板を接着させる接着工程と、
    を具備することを特徴とする放射線検出器の製造方法。
  13. 前記絶縁層形成工程は前記接着面に足付け処理と洗浄処理とを施した後に樹脂ワニスを塗布し乾燥させる工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の放射線検出器の製造方法。
  14. 前記防湿体はアルミニウムおよびアルミニウム合金のいずれかで形成され、
    前記絶縁層形成工程は前記接着面を陽極酸化処理する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の放射線検出器の製造方法。
  15. 前記絶縁層形成工程は化学的気相成膜法、物理的気相成膜法および液相成膜法のいずれかの方法によって珪素の酸化膜、窒化膜および酸窒化膜のいずれかを形成する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の放射線検出器の製造方法。

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