JP2013243823A - 二次電池の充電電圧変更方法及びパック電池 - Google Patents

二次電池の充電電圧変更方法及びパック電池 Download PDF

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Abstract

【課題】二次電池から充電器に電流が逆流するのを防止することが可能な二次電池の充電電圧変更方法、及び該二次電池の充電電圧変更方法を実行するパック電池を提供する。
【解決手段】制御・電源部21から二次電池1に印加されるべき充電電圧としてROM52に記憶していた充電電圧よりも、制御・電源部21から設定された使用モードに応じて変更すべき充電電圧が低い場合、二次電池1の電池電圧を検出し、検出した電池電圧が、変更すべき充電電圧よりも0.1V以上低い状態が1秒以上継続するときに、ROM52に記憶した充電電圧を下げるように変更し、変更した充電電圧のデータを制御・電源部21に送信する。
【選択図】図1

Description

本発明は、二次電池と、例えば充電器から前記二次電池に印加されるべき充電電圧を制御する制御部とを備えるパック電池で前記充電電圧を段階的に変更する二次電池の充電電圧変更方法、及び該二次電池の充電電圧変更方法を実行するパック電池に関する。
従来、リチウムイオン電池に代表される二次電池の充電では、所定の設定電流にて定電流充電し、端子電圧(以下、電池電圧という)が二次電池に許容される最大電圧より低く設定された設定電圧に達した後に定電圧充電に移行する、いわゆる定電流・定電圧充電方式が主に用いられる。二次電池は充放電が繰り返された場合の他、残容量が大きい状態が継続する場合に劣化が進行して寿命が短くなることが知られている。
これに対し、特許文献1では、二次電池を充電する充電電圧を4.2Vと3.85Vとで選択可能とすることにより、選択された充電電圧に応じた充電量で二次電池を充電する電池充電装置が開示されている。この装置によれば、充電電圧を3.85Vに選択した場合、充電量が約50%に抑えられるため、二次電池の長寿命化が図れる。但し、運用上長時間の放電が想定される場合は、事前に充電電圧を4.2Vに選択して100%の充電量まで充電しておく必要がある。
また、特許文献2では、二次電池の満充電を判定するための設定電圧を4.1V又は4.2Vに設定することにより、二次電池を長寿命モードと高容量モードとに切り換えて充電する充電回路及びパック電池が開示されている。この技術によれば、高容量モードでの充電を繰り返すことによる二次電池の劣化を抑制して寿命を延ばすことができ、必要に応じて高容量モードで充電して使用時間を長くすることもできる。
特開平11−4549号公報 特開2002−78222号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術により、充電電圧を高くして二次電池を充電した後に充電電圧を低くして充電する場合、二次電池の放電電圧が充電器からの充電電圧よりも高くなって充電器に電流が逆流し、充電器が損傷を受ける虞があった。一方、特許文献2に開示された技術では、何れのモードにおいても充電電圧が4.2Vより高く、方式上このような問題が発生しないため、問題解決のための示唆が得られるものではなかった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、二次電池から充電器に電流が逆流するのを防止することが可能な二次電池の充電電圧変更方法、及び該二次電池の充電電圧変更方法を実行するパック電池を提供することにある。
本発明に係る二次電池の充電電圧変更方法は、二次電池と、該二次電池に印加されるべき充電電圧を制御する制御部とを備えるパック電池で前記充電電圧を段階的に変更する方法において、変更すべき充電電圧が、印加されるべき充電電圧より低いか否かを判定し、判定結果が低い場合、前記二次電池の電圧を検出し、検出した電圧が、変更すべき充電電圧より低いか否かを判定し、判定結果が低い場合、前記二次電池に印加されるべき充電電圧を下げることを特徴とする。
本発明に係る二次電池の充電電圧変更方法は、検出した電圧が、変更すべき充電電圧より所定電圧以上低いか否かを判定し、低いと判定する状態が所定時間以上継続するか否かを判定し、継続すると判定した場合、前記二次電池に印加されるべき充電電圧を下げることを特徴とする。
本発明に係る二次電池の充電電圧変更方法は、前記所定電圧は、0.1Vであることを特徴とする。
本発明に係るパック電池は、二次電池と、該二次電池に印加されるべき充電電圧を制御する制御部とを備えるパック電池において、前記充電電圧を段階的に変更する設定を受け付ける手段と、該手段が受け付けた場合、変更すべき充電電圧が、印加されるべき充電電圧より低いか否かを判定する手段と、該手段が低いと判定した場合、前記二次電池の電圧を検出する検出手段と、該検出手段が検出した電圧が、変更すべき充電電圧より低いか否かを判定する判定手段と、該判定手段が低いと判定した場合、前記二次電池に印加されるべき充電電圧を下げる電圧低下手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係るパック電池は、前記判定手段は、前記検出手段が検出した電圧が、変更すべき充電電圧より所定電圧以上低いか否かを判定するようにしてあり、前記判定手段が低いと判定する状態が所定時間以上継続するか否かを判定する手段を更に備え、該手段が継続すると判定した場合、前記電圧低下手段が下げるようにしてあることを特徴とする。
本発明に係るパック電池は、前記所定電圧は、0.1Vであることを特徴とする。
本発明にあっては、外部から二次電池に印加されるべき充電電圧として制御していた充電電圧よりも、変更すべき充電電圧が低い場合、二次電池の電圧(電池電圧)を検出し、検出した電圧が、変更すべき充電電圧よりも低いときに、外部から印加されるべき充電電圧を下げるように変更する。
つまり、そのときの二次電池の電圧が、下げる方向に変更しようとする充電電圧よりも更に低いことを確認した場合にのみ、外部から二次電池に印加されるように制御している充電電圧を、実際に下げる方向に変更する。
これにより、充電電圧の変更後に外部の充電手段から二次電池に印加される充電電圧が、二次電池の電圧以下となることが防止される。
本発明にあっては、検出した二次電池の電圧が、変更すべき充電電圧より所定電圧以上低い状態が所定時間以上継続する場合、外部から印加されるべき充電電圧を下げるように変更する。
つまり、そのときの二次電池の電圧が、下げる方向に変更しようとする充電電圧よりも所定電圧以上低いことを、所定時間以上確認し続けることができた場合にのみ、外部から二次電池に印加されるように制御している充電電圧を、実際に下げる方向に変更する。
これにより、例えば、充電電圧を変更する際に二次電池が放電しており、放電が停止することによって二次電池の電圧が上昇する場合であっても、充電電圧の変更後に外部の充電手段から二次電池に印加される充電電圧が、二次電池の電圧以下となることが防止される。
本発明にあっては、上述の所定電圧が0.1Vであるため、上述の所定時間を適当に長くした場合は、充電電圧を変更する際に放電が停止することによって二次電池の電圧が上昇したとしても、充電電圧の変更後に外部の充電手段から二次電池に印加される充電電圧が、二次電池の電圧以下となることが確実に防止される。
本発明によれば、充電電圧の変更後に外部の充電手段から二次電池に印加される充電電圧が、二次電池の電圧以下となることが防止されるため、二次電池から充電器に電流が逆流するのを防止することが可能となる。
本発明に係るパック電池の構成例を示すブロック図である。 A,B夫々は、二次電池を定電流・定電圧充電する場合の電池電圧,充電電流の時間変化を示す説明図である。 パック電池の通常モード,長寿命モード夫々における充電電圧及び設定電流の値を例示する図表である。 二次電池の電池電圧の高低を判定する際の閾値及び判定時間を説明するための説明図である。 充電電圧が変更可能であるか否かを判定するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明に係るパック電池の構成例を示すブロック図である。図中10はパック電池であり、パック電池10は、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯端末等の電気機器20に着脱可能に装着される。パック電池10は、例えばリチウムイオン電池からなる電池セル111,112,113,121,122,123,131,132,133を3個ずつ順に並列接続してなる電池ブロック11,12,13を、この順番に直列接続してなる二次電池1を備える。二次電池1は、電池ブロック13の正極及び電池ブロック11の負極が夫々正極端子及び負極端子となるようにしてある。
電池ブロック11,12,13の電圧は、夫々独立してA/D変換部4のアナログ入力端子に与えられ、デジタルの電圧値に変換されてA/D変換部4のデジタル出力端子から、マイクロコンピュータからなる制御部5に与えられる。A/D変換部4のアナログ入力端子には、二次電池1に密接して配置されており、サーミスタを含む回路によって二次電池1の電池温度を検出する温度検出器3の検出出力と、二次電池1の負極端子側の充放電路に介装されており、二次電池1の充電電流及び放電電流を検出する抵抗器からなる電流検出器2の検出出力とが与えられている。これらの検出出力は、デジタルの検出値に変換されてA/D変換部4のデジタル出力端子から制御部5に与えられる。
二次電池1の正極端子側の充放電路には、充電電流,放電電流夫々を遮断するPチャネル型のMOSFET71,72からなる遮断器7が介装されている。MOSFET71,72は、ドレイン電極同士を突き合わせて直列に接続してある。MOSFET71,72夫々のドレイン電極及びソース電極間に並列接続されているダイオードは、寄生ダイオード(ボディダイオード)である。MOSFET71,72は、Nチャネル型であってもよい。
制御部5は、CPU51を有し、CPU51は、プログラム等の情報を記憶するROM52、一時的に発生した情報を記憶するRAM53、各種時間を並列的に計時するタイマ54、及びパック電池10内の各部に対して入出力を行うI/Oポート55と互いにバス接続されている。I/Oポート55は、A/D変換部4のデジタル出力端子、MOSFET71,72夫々のゲート電極、及び通信部9に接続されている。通信部9は、電気機器20が有する制御・電源部21と通信するのに用いられる。ROM52は、例えばフラッシュメモリからなる不揮発性メモリである。ROM52には、プログラムの他に、例えば満充電容量の学習値(学習容量)、充電電圧及び充電電流の初期値(以下、設定電流という)が記憶される。
CPU51は、ROM52に予め格納されている制御プログラムに従って、演算及び入出力等の処理を実行する。例えばCPU51は、250ms周期で電池ブロック11,12,13の電圧値と、二次電池1の充放電電流の検出値とを取り込み、取り込んだ電圧値及び検出値に基づいて二次電池1の充電電流若しくは充電電力又は放電電流若しくは放電電力を積算し、積算によって算出した充電量又は放電量をRAM53に記憶する。充放電電流,充放電電力を夫々積算した場合の充放電量の単位は、Ah,Whとなる。電圧値及び充放電電流の検出値の取り込み周期は250msに限定されない。
CPU51は、また、積算した充放電量に基づいて残容量を算出し、算出した残容量及び満充電容量に基づいて相対残容量を算出してこれらをRAM53に記憶する。二次電池1が満充電状態にある(以下、単に満充電ともいう)か否かの判定はCPU51が行うが、好ましくは、電圧が最大の電池ブロックの電池電圧が満充電検出開始電圧以上、且つ充電電流が所定値以下の状態が一定時間以上継続したときに満充電と判定する。更に、CPU51は、RAM53に記憶した残容量及び相対残容量と、ROM52に記憶した充電電圧及び設定電流とに応じて残容量、相対残容量、充電電圧及び設定電流のデータを生成し、生成した各データを、通信部9を介して電気機器20に送信する。
遮断器7は、通常の充放電時にI/Oポート55からMOSFET71,72のゲート電極にL(ロウ)レベルのオン信号が与えられることにより、MOSFET71,72夫々のドレイン電極及びソース電極間が導通するようになっている。二次電池1の充電電流を遮断する場合、I/Oポート55からMOSFET71のゲート電極にH(ハイ)レベルのオフ信号が与えられることにより、MOSFET71のドレイン電極及びソース電極間の導通が遮断される。同様に二次電池1の放電電流を遮断する場合、I/Oポート55からMOSFET72のゲート電極にH(ハイ)レベルのオフ信号が与えられることにより、MOSFET72のドレイン電極及びソース電極間の導通が遮断される。MOSFET71,72をNチャネル型とした場合は、上記のL/Hレベルを反転させたH/Lレベルのオン信号/オフ信号をゲート電極に与えればよい。二次電池1が適当に充電された状態にある場合、遮断器7のMOSFET71,72は共にオンしており、二次電池1は放電及び充電が可能な状態となっている。
電気機器20は、制御・電源部21に接続された端末部22を備える。制御・電源部21は、図示しない商用電源より電力を供給されて端末部22を駆動すると共に、二次電池1の充放電路に充電電流を供給する。制御・電源部21は、また、商用電源から電力の供給が絶たれた場合、二次電池1の充放電路から供給される放電電流により、端末部22を駆動する。制御・電源部21が充電する二次電池1がリチウムイオン電池の場合は、例えば、定電流(MAX電流0.5〜1C程度)・定電圧(MAX4.2〜4.3V/電池セル程度)にて充電が行われる。
制御・電源部21及び通信部9間では、制御・電源部21をマスタに、通信部9を含む制御部5をスレーブにしてSMBus(System Management Bus )方式等の通信方式による通信が行われる。SMBus方式の場合、シリアルクロック(SCL)は制御・電源部21から供給され、シリアルデータ(SDA)は制御・電源部21及び通信部9間で双方向に授受される。本実施の形態では、制御・電源部21が通信部9を2秒周期でポーリングして通信部9が送信しようとするデータの内容を読み出す。ポーリング周期の2秒は、制御・電源部21側の設定による。
このポーリングにより、例えば、二次電池1の残容量及び相対残容量のデータが、通信部9を介して制御・電源部21に2秒周期で受け渡され、電気機器20が有する図示しない表示器に相対残容量の値(%)として表示される。また、制御部5にて生成された充電電圧及び設定電流のデータは、残容量のデータと同様に通信部9を介して制御・電源部21に送信される。制御・電源部21では、制御部5から送信された充電電圧及び設定電流のデータに基づいて、二次電池1を定電流・定電圧充電する。つまり、ROM52に記憶した充電電圧が、請求項に記載の二次電池1に印加されるべき充電電圧に対応する。
次に、本実施の形態における二次電池1の充電方法について説明する。
図2のA,B夫々は、二次電池1を定電流・定電圧充電する場合の電池電圧,充電電流の時間変化を示す説明図である。図において横軸は時間を表し、縦軸は、二次電池1の電池電圧,充電電流を表す。
図2で充電を開始した時から時刻T0までは、設定電流にて定電流充電が行われる。時刻T0以降は、充電電圧にて定電圧充電が行われ、充電が進行して電池電圧が充電電圧に近付くに連れて充電電流が減少する。そして、充電電流が所定の最小電流以下に減少する状態が所定時間継続したときに、二次電池1の満充電が検出される。
本実施の形態では、パック電池10に含まれる二次電池1の寿命の長さを重視するか、又は充電量(即ち放電可能な容量)の大きさを重視するかに応じて、パック電池10の使用モードを外部から設定することにより、図2のA,Bに示す充電電圧及び設定電流を変更する。例えば、PCからなる電気機器20の表示画面上で、パック電池10の使用モードが選択されたときに、選択された使用モードに応じたコマンドが電気機器20からパック電池10に送信され、パック電池10で受信されたコマンドに基づいて、ROM52に記憶する充電電圧及び設定電流が変更される。
図3は、パック電池10の通常モード,長寿命モード夫々における充電電圧及び設定電流の値を例示する図表である。通常モードは、寿命の長さよりも充電量の大きさが重視されるモードであり、長寿命モードは、充電量の大きさよりも寿命の長さが重視されるモードである。
ここで、二次電池1の充電量は、充電電圧の高/低に応じて大/小に変化し、二次電池1の寿命は、充電電圧の高/低(即ち充電量の大/小)と、設定電流の大/小(即ち充電時間の短/長)とに応じて短/長に変化することが知られている。例えば、二次電池1の充電電圧を4.3V/セルから4.2V/セルに低減した場合、充電量は約15%減少するが、その割合より大きな割合で長寿命化が図られる。このように、充電電圧を下げて充電量を減少させるか、又は設定電流を小さくして充電時間を長くすることにより、二次電池1を含むパック電池10の寿命を延ばすことができる。
以上のことから、図3に示す通常モードでは、二次電池1の充電量を大きく、且つ充電時間を短くするために、充電電圧が12.9V(=4.3V×3)、設定電流が0.6C又は0.8Cと夫々高めにして記憶される。また、長寿命モードでは、二次電池1の寿命を長くするために、充電電圧が12.6V(=4.2V×3)、設定電流が0.5Cと夫々低めにして記憶される。但し、充電電圧及び設定電流の組合せについては、これらに限定されるものではなく、例えば通常モード及び長寿命モードの何れについても、設定電流を0.5C程度に固定するようにしてもよい。
さて、電気機器20からパック電池10に通常モードが設定されて二次電池1が充電される場合、二次電池1の電池電圧は、図2のAに示すように、充電電圧である12.9Vに向けて上昇して行く。このため、二次電池1の電池電圧が充電電圧に近付いた状態で、パック電池10に設定される使用モードが長寿命モードに変更された場合、変更後の充電電圧である12.6Vよりも二次電池1の電池電圧の方が高くなっていることがあり得る。一方、充電器としての制御・電源部21は、充電対象の二次電池1の電池電圧が充電電圧よりも高いときに、二次電池1から放電電流が逆流して損傷を受ける虞がある。そこで、本実施の形態では、二次電池1の電池電圧が、使用モードを変更した後の充電電圧よりも高いときに、充電電圧を変更しないように制御する。
以下では、充電電圧を下げるべく変更することが可能か否かを判定する方法について説明する。充電電圧を上げるべく変更する場合は、制御・電源部21に二次電池1の放電電流が逆流する虞がないため、特別な制御を行わない。
図4は、二次電池1の電池電圧の高低を判定する際の閾値及び判定時間を説明するための説明図である。図において横軸は時間を表し、縦軸は二次電池1の電池電圧を表す。図4では、放電中の二次電池1の電池電圧を実線で示してあり、放電が停止した後の電池電圧を一点鎖線及び二点鎖線で示してある。時刻T1,T2夫々から時刻T3,T4までの時間間隔は1分である。12.6Vは、長寿命モードにおける充電電圧に対応する電圧であり、12.5Vは、それよりも100mV低い閾値である。
ここで、電池電圧の検出を開始したときの二次電池1の充放電状態については、いくつかのケースが考えられる。例えば、二次電池1が充電中の場合は、充電を停止するか又は充電電圧を下げることで電池電圧が低下すると考えられる。また、二次電池1が放電を終了した後に適当な時間が経過している場合は、電池電圧が安定していると考えられる。これに対し、二次電池1がまさに放電中の場合は、放電が停止した後に電池電圧が上昇する場合がある。この現象は、放電中に二次電池1の内部抵抗に生じていた電圧降下及び分極が解消されること等によるものと考えられる。
例えば、図4の時刻T1(又は時刻T3)で検出した二次電池1の電池電圧が12.6V(又は12.5V)より低く、且つ、時刻T1及びT2(又は時刻T3及びT4)の間で二次電池1の放電が停止した場合、一点鎖線(又は二点鎖線)で示すように、放電が停止したときから電池電圧が上昇し始める。その後、時刻T2(又は時刻T4)で検出される電池電圧は、依然として12.6V(又は12.5V)より低く、それより更に後の時刻で検出される電池電圧が、12.6Vより高くなることがある(又は12.5Vより高くなることがあるが、12.6Vより高くなることはない)。
図4から言えることは、12.6Vより高い充電電圧を12.6Vに下げようとする場合、検出した二次電池1の電池電圧が12.6Vより低いと判定するだけでは、検出後に電池電圧が12.6Vより高くなることがあるため、安全ではない。また、検出した二次電池1の電池電圧が12.6Vより低い状態が1分間継続すると判定しても、その後に電池電圧が12.6Vより高くなることがあるため、これも万全ではない。これに対し、検出した二次電池1の電池電圧が12.5Vより低い状態が1分間継続すると判定した場合は、その後、電池電圧が12.6Vより高くなることがないため、安全に充電電圧を下げることができる。
整理すると、図4に示す例では、充電電圧を12.9Vから12.6Vに下げる変更を行う場合に、二次電池1の電池電圧と比較すべき閾値を12.5Vとし、比較結果が継続する時間を1分とすることにより、制御・電源部21の破損を防止することができる。つまり、検出した二次電池1の電池電圧が、変更後の充電電圧である12.6Vより100mV以上低い状態が1分以上継続したときに、充電電圧を12.9Vから12.6Vに下げる変更を行うことにより、充電電圧の変更が安全に行える。
図4に示す例は、単なる一例であり、上記の閾値(12.5V),判定継続時間(1分)の夫々を他の値,他の時間に置き換えることが可能である。一般的には、二次電池1の充放電を停止してから1分も経過すれば、電池電圧が安定になるため、1分間の判定継続時間を確保することが好ましい。例えば判定継続時間を1分より短くする場合は、図4から推察されるように、12.6Vと閾値との差分を100mVより大きく(即ち、閾値を12.5Vより低く)して、判定継続時間の経過後の電池電圧の上昇分が相殺されるようにすればよい。
但し、充電電圧を下げる変更を行ってから、変更後の充電電圧のデータを制御・電源部21に送信し、該制御・電源部21から実際に変更後の充電電圧が二次電池1に印加されるまでには、秒単位の遅延時間があることを考慮する必要がある。この遅延時間が、1分より短くした判定継続時間と比較して無視できないほど長い場合は、判定継続時間に続く上記遅延時間の間に二次電池1の電池電圧が12.6Vより高くなる場合を排除するために、上記の差分を100mVよりも十分大きくすることが好ましい。
また、検出される二次電池1の電池電圧には検出の誤差及び変動がある上に、パック電池10から制御・電源部21に送信された充電電圧のデータと、実際に制御・電源部21から二次電池1に印加される充電電圧との間にも誤差及び変動があるため、これらの誤差及び変動が大きい場合は、上記の差分を100mVより大きくすることが好ましい。
換言すれば、上記の遅延時間が短くなり、誤差及び変動が小さくなるほど、上記の判定継続時間及び差分を限りなくゼロに近付けることができる。
以下では、上述した制御部5の代表的な動作例を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM52に予め格納された制御プログラムに従ってCPU51により実行される。
図5は、充電電圧が変更可能であるか否かを判定するCPU51の処理手順を示すフローチャートである。図5の処理は、電気機器20で選択された使用モードに応じたコマンドがパック電池10で受信されたときに起動される。ここでは、各使用モードに応じた充電電圧及び設定電流の値が、テーブルとしてROM52に記憶してあるものとする。
図5の処理が起動された場合、CPU51は、受信した使用モードに応じた充電電圧及び設定電流の値を、ROM52に記憶したテーブルから特定し(S11:請求項に記載の設定を受け付ける手段)、特定した充電電圧(請求項に記載の変更すべき充電電圧)が、ROM52に記憶した(即ち変更前の)充電電圧より低いか否かを判定する(S12:請求項4に記載の判定する手段)。低くない場合(S12:NO)、即ち、記憶した充電電圧と同等か又はそれより高い充電電圧に変更する場合、変更後の充電電圧が二次電池1の電池電圧より低くなる虞がないため、CPU51は、特定した充電電圧によって、ROM52に記憶した(以下、単に記憶したという)充電電圧を置き換える(S13:請求項に記載の電圧低下手段)。
その後、CPU51は、記憶した充電電圧に応じて充電電圧のデータを生成し(S14)、生成した充電電圧のデータを、通信部9を介して制御・電源部21に送信した(S15)後、図5の処理を終了する。ここで送信した充電電圧のデータが、充電器としての制御・電源部21で受信されて充電電圧に反映されたときに、初めて充電電圧が変更される。
ステップS12で、特定した充電電圧が記憶した充電電圧より低い場合(S12:YES)、CPU51は、タイマ54を用いて計時を開始した(S20)後、A/D変換部4を介して二次電池1の電池電圧を取り込み(S21:請求項に記載の検出手段)、取り込んだ電池電圧が、ステップS11で特定した電池電圧より0.1V(100mV:請求項に記載の所定電圧)以上低いか否かを判定する(S22:請求項4に記載の判定手段)。例えば、記憶した充電電圧が12.9Vのときに特定した充電電圧が12.6Vの場合、電池電圧が12.5V(特定した充電電圧−0.1V)より低いか否かを判定する。
電池電圧の方が低いと判定した場合(S22:YES)、CPU51は、計時を開始してから1分が経過したか否かを判定し(S23:請求項5に記載の判定する手段)、経過していない場合(S23:NO)、ステップS21に処理を戻して電池電圧の判定を繰り返す。その間に1分が経過した場合(S23:YES)、CPU51は、特定した充電電圧によって、記憶した充電電圧を置き換える(S24)と共に、ステップS11で特定した設定電流によって、記憶した設定電流を置き換える(S25)。これらのステップにより、記憶した充電電圧及び設定電流が、下がる方向に変更される。
ステップS25の処理を終えた場合、又はステップS22で電池電圧の方が低くないと判定した場合(S22:NO)、CPU51は、記憶した充電電圧が、特定した充電電圧に既に置き換わっているか否かを判定し(S26)、置き換わっていない場合(S26:NO)、ステップS20に処理を戻して電池電圧の判定を繰り返す。具体的には、判定を繰り返す間に、二次電池1の電池電圧が低下するのを待つこととなる。記憶した充電電圧が、特定した充電電圧に既に置き換わっている場合(S26:YES)、CPU51は、記憶した充電電圧のデータを生成して送信するために、処理をステップS14に移す。
以上のように本実施の形態によれば、制御・電源部から二次電池に印加されるべき充電電圧としてROMに記憶していた充電電圧よりも、制御・電源部から設定された使用モードに応じて変更すべき充電電圧が低い場合、二次電池の電池電圧を検出し、検出した電池電圧が、変更すべき充電電圧よりも低いときに、ROMに記憶した充電電圧を下げるように変更する。
これにより、ROMに記憶した充電電圧の変更後に、充電電圧のデータを受信した制御・電源部から二次電池に印加される充電電圧が、二次電池の電池電圧以下となることが防止される。
従って、二次電池から充電器に電流が逆流するのを防止することが可能となる。
また、検出した二次電池の電池電圧が、変更すべき充電電圧より0.1V以上低い状態が1秒以上継続する場合、ROMに記憶する充電電圧を下げるように変更する。
従って、例えば、充電電圧を変更する際に二次電池が放電しており、放電が停止することによって二次電池の電圧が上昇する場合であっても、ROMに記憶する充電電圧の変更後に、制御・電源部(充電手段)から二次電池に印加される充電電圧が、二次電池の電圧以下となるのを確実に防止することが可能となる。
なお、本実施の形態では、充電電圧を12.6V及び12.9Vの2段階に変更する場合について説明したが、この段階数を3以上にしてもよい。また、充電電圧を一度に変更する段階数を2段階以上にしてもよい。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 二次電池
11,12,13 電池ブロック
10 パック電池
5 制御部
51 CPU
52 ROM
53 RAM
54 タイマ
9 通信部
20 電気機器
21 制御・電源部

Claims (6)

  1. 二次電池と、該二次電池に印加されるべき充電電圧を制御する制御部とを備えるパック電池で前記充電電圧を段階的に変更する方法において、
    変更すべき充電電圧が、印加されるべき充電電圧より低いか否かを判定し、
    判定結果が低い場合、前記二次電池の電圧を検出し、
    検出した電圧が、変更すべき充電電圧より低いか否かを判定し、
    判定結果が低い場合、前記二次電池に印加されるべき充電電圧を下げること
    を特徴とする二次電池の充電電圧変更方法。
  2. 検出した電圧が、変更すべき充電電圧より所定電圧以上低いか否かを判定し、
    低いと判定する状態が所定時間以上継続するか否かを判定し、
    継続すると判定した場合、前記二次電池に印加されるべき充電電圧を下げること
    を特徴とする請求項1に記載の二次電池の充電電圧変更方法。
  3. 前記所定電圧は、0.1Vであることを特徴とする請求項2に記載の二次電池の充電電圧変更方法。
  4. 二次電池と、該二次電池に印加されるべき充電電圧を制御する制御部とを備えるパック電池において、
    前記充電電圧を段階的に変更する設定を受け付ける手段と、
    該手段が受け付けた場合、変更すべき充電電圧が、印加されるべき充電電圧より低いか否かを判定する手段と、
    該手段が低いと判定した場合、前記二次電池の電圧を検出する検出手段と、
    該検出手段が検出した電圧が、変更すべき充電電圧より低いか否かを判定する判定手段と、
    該判定手段が低いと判定した場合、前記二次電池に印加されるべき充電電圧を下げる電圧低下手段と
    を備えることを特徴とするパック電池。
  5. 前記判定手段は、前記検出手段が検出した電圧が、変更すべき充電電圧より所定電圧以上低いか否かを判定するようにしてあり、
    前記判定手段が低いと判定する状態が所定時間以上継続するか否かを判定する手段を更に備え、
    該手段が継続すると判定した場合、前記電圧低下手段が下げるようにしてあること
    を特徴とする請求項4に記載のパック電池。
  6. 前記所定電圧は、0.1Vであることを特徴とする請求項5に記載のパック電池。
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