JP2013242258A - 磁気センサ、および磁気センサの製造方法 - Google Patents

磁気センサ、および磁気センサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】センシング対象であるX−Y座標の外部磁界の感度を減少させることなく、X−Y座標の外部磁界の印加角度の検出精度を向上させることができる。
【解決手段】TMR素子10、20は、フリー層およびピン層が上下逆転した関係になっている。このため、TMR素子10の抵抗値のうちZ方向の外部磁場の印加角度の測定誤差と、TMR素子20の抵抗値のうちZ方向の外部磁場の印加角度の測定誤差とが互いに逆特性になる。したがって、TMR素子10、20が電源Vccとグランドとの間に直列に接続されていることにより、TMR素子10、20のそれぞれの抵抗値が、互いに、Z方向の外部磁場の印加角度の測定誤差を打ち消すことができる。よって、本来のセンシング対象であるX−Y座標の外部磁界の感度を減少させることなく、X−Y座標の外部磁界の印加角度の検出精度を向上させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気センサ、および磁気センサの製造方法に関するものである。
従来、TMR素子1は、図22に示すように、外部磁界Hに磁化方向Faが追随するフリー層1aと、磁化方向Fbが固定されたピン層1bと、フリー層1aとピン層1bの間に配置されたトンネル層1cによって構成されている。フリー層1aとピン層1bのスピン状態によってトンネル層1cを流れるトンネル電流が変化するため、外部磁界Hの印加角度の検出が可能となる。図22に典型的なTMR素子1の構造とTMR素子1の抵抗値を示す。
ここで、TMR素子1の抵抗値は、TMR素子1のフリー層1aとピン層1bとの間の抵抗値である。外部磁界Hの印加角度は、ピン層1bの面方向に平行にX方向、Y方向をそれぞれ設定したとき、X−Y座標において、ピン層1bの磁化方向Fbと外部磁界Hの方向とによって定まる角度である。
図22のグラフαでは、X−Y座標においてピン層1bの磁化方向Fbに対する逆方向と外部磁界Hの方向との間の角度θを印加角度としている(図23参照)。このため、ピン層1bの磁化方向Fbと外部磁界Hの方向とが互いに逆方向であるとき印加角度を零とする一方、外部磁界Hの方向とピン層1bの磁化方向Fbとが平行(同一方向)であるときに、印加角度を+180、−180とする。そして、印加角度が零であるとき、TMR素子1の抵抗値が最大値となり、印加角度が+180、−180であるときに、TMR素子1の抵抗値が最小値になる。
このように印加角度に対してTMR素子1の抵抗値が変化するので、TMR素子1のフリー層1aとピン層1bとの間を流れるトンネル電流を出力としてモニターすることで外部磁場HのX−Y座標における印加角度を計測することが出来る。
しかし、外部磁場Hは、TMR素子1が適用される製品に搭載された磁石によって与えられるため、TMR素子1に印加される実際の磁場には、X−Y座標に直交するZ方向の成分が存在する。したがって、TMR素子1のY−Z座標上(或いは、X−Z座標上)に外部磁界が印加された場合、理想的には印加角度に対してTMR素子1の出力が変化しないことが望ましいが、実際にはTMR素子1はZ軸方向の磁界も感知するためTMR素子1の出力が変化してしまう(図24、図25参照)。
具体的には、TMR素子1の+Z方向に外部磁界Hが印加されてZ方向と外部磁界Hの方向との間の印加角度が零であるときには、TMR素子1の出力がマイナス方向に変化する。TMR素子1の−Z軸方向に外部磁界Hが印加されてZ軸方向と外部磁界Hの方向との間の印加角度が+180、−180であるとき、TMR素子1の出力がプラス方向に変化する。
これに対して、従来技術では、TMR素子1に対するZ軸方向の外部磁界Hの感度を減少させるためにフリー層の膜厚を薄くする方法が知られている(例えば非特許文献1参照)。
APL89,32505(2006)
上述の非特許文献1において、TMR素子1のフリー層の膜厚を薄くすることにより、Z軸方向の外部磁界Hの感度を減少させることができるものの、X−Y座標における外部磁界Hの印加角度に対する感度(すなわち、抵抗値の変化)も減少してしまう。つまり、Z軸方向の外部磁界の感度を減少させることに伴って、本来のセンシング対象である外部磁界Hの感度も減少してしまう。
本発明は上記点に鑑みて、本来のセンシング対象である外部磁界の感度を減少させることなく、外部磁界の印加角度の検出精度を向上させるようにした磁気センサ、および磁気センサの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、基板(30)の面方向に対して平行に磁化方向が固定されている第1の磁化固定層(13)と、外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第1の強磁性層(11)と、前記第1の磁化固定層と前記第1の強磁性層との間に挟まれて前記第1の磁化固定層の磁化方向と前記第1の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第1の非磁性中間層(12)とを備える第1の磁気抵抗素子(10)と、
前記第1の磁化固定層の磁化方向と同一方向に磁化方向が固定されている第2の磁化固定層(23)と、前記外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第2の強磁性層(21)と、前記第2の磁化固定層と前記第2の強磁性層との間に挟まれて前記第2の磁化固定層の磁化方向と前記第2の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第2の非磁性中間層(22)とを備える第2の磁気抵抗素子(20)とを備え、
前記第1、第2の磁気抵抗素子は、それぞれ共通の前記基板上に搭載されている磁気センサであって、
前記第1、第2の磁気抵抗素子の抵抗値の合成抵抗値に基づいて前記外部磁場の印加角度が測定されるようになっており、
前記第1の磁化固定層(13)が前記第1の強磁性層(11)に対して前記基板側に配置され、かつ前記第2の強磁性層(21)が前記第2の磁化固定層(23)に対して前記基板側に配置されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、第1の磁化固定層が第1の強磁性層に対して基板側に配置され、かつ第2の強磁性層が第2の磁化固定層に対して基板側に配置されている。このため、第1の磁気抵抗素子の抵抗値のうち基板に対する直交方向の外部磁場の印加角度の測定誤差と、第2の磁気抵抗素子の抵抗値のうち基板に対する直交方向の外部磁場の印加角度の測定誤差とが互いに逆特性になる。したがって、第1、第2の磁気抵抗素子のそれぞれの抵抗値が、互いに、基板に対する直交方向の外部磁場の印加角度の測定誤差を打ち消すことができる。よって、本来のセンシング対象である外部磁界の感度を減少させることなく、外部磁界の印加角度の検出精度を向上させることができる。
請求項8に記載の発明では、基板(30)の面方向に対して平行に磁化方向が固定されている第1の磁化固定層(13)と、外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第1の強磁性層(11)と、前記第1の磁化固定層と前記第1の強磁性層との間に挟まれて前記第1の磁化固定層の磁化方向と前記第1の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第1の非磁性中間層(12)とを備える第1の磁気抵抗素子(20)と、
前記第1の磁化固定層の磁化方向と同一方向に磁化方向が固定されている第2の磁化固定層(23)と、外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第2の強磁性層(21)と、前記第2の磁化固定層と前記第2の強磁性層との間に挟まれて前記第2の磁化固定層の磁化方向と前記第2の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第2の非磁性中間層(22)とを備える第2の磁気抵抗素子(20)と、
前記第1、第2の磁化固定層の磁化方向に対する逆方向に磁化方向が固定されている第3の磁化固定層(63)と、外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第3の強磁性層(61)と、前記第3の磁化固定層と前記第3の強磁性層との間に挟まれて前記第3の磁化固定層の磁化方向と前記第3の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第3の非磁性中間層(62)とを備える第3の磁気抵抗素子(60)と、
前記第3の磁化固定層の磁化方向と同一方向に磁化方向が固定されている第4の磁化固定層(73)と、外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第4の強磁性層(71)と、前記第4の磁化固定層と前記第4の強磁性層との間に挟まれて前記第4の磁化固定層の磁化方向と前記第4の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第4の非磁性中間層(72)とを備える第4の磁気抵抗素子(70)とを備え、
前記第1の磁化固定層が前記第1の強磁性層に対して前記基板側に配置され、かつ前記第2の強磁性層が前記第2の磁化固定層に対して前記基板側に配置され、
前記第3の磁化固定層が前記第3の強磁性層に対して前記基板側に配置され、かつ前記第4の強磁性層が前記第4の磁化固定層に対して前記基板側に配置されて、
前記第1、第2、第3、第4の磁気抵抗素子の抵抗値の合成抵抗値に基づいて前記外部磁場の印加角度が測定される磁気センサの製造方法であって、
第1、第2の磁性体層の間に非磁性体層が狭持されている第1の磁気抵抗素子膜(10A)を前記基板上に対して積層する第1の工程と、
前記第1の磁気抵抗素子膜をパターニングして前記第1、第3の磁気抵抗素子(10、60)を形成する第2の工程と、
第3、第4の磁性体層の間に非磁性体層が狭持されている第2の磁気抵抗素子膜(20A)を前記基板上に対して積層する第3の工程と、
前記第2の磁気抵抗素子膜をパターニングして前記第2、第4の磁気抵抗素子(20、70)を形成する第4の工程と、を備えることを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、第2の工程において第1の磁気抵抗素子膜をパターニングして第1、第3の磁気抵抗素子を形成することにより、第1、第3の磁気抵抗素子を同時に形成することができる。これにより、第1、第3の磁気抵抗素子の性能のバラツキを抑えることができる。第4の工程において第2の磁気抵抗素子膜をパターニングして前記第2、第4の磁気抵抗素子を形成することにより、第2、第4の磁気抵抗素子を同時に形成することができる。これにより、第2、第4の磁気抵抗素子の性能のバラツキを抑えることができる。したがって、外部磁場の印加角度の検出精度をより一層向上させることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態における磁気センサの電気回路構成を示す図である。 第1実施形態における磁気センサの概略断面構成を示す図である。 第1実施形態における磁気センサの配線構造を示す図である。 第1実施形態における磁気センサの製造工程を示す図である。 第1実施形態における磁気センサの製造工程を示す図である。 第1実施形態における磁気センサの製造工程を示す図である。 第1実施形態の磁気センサの作動を説明するための図である。 第1実施形態の磁気センサの作動を説明するための図である。 本発明の第2実施形態における磁気センサの概略断面構成を示す図である。 第2実施形態における磁気センサの配線構造を示す図である。 本発明の第3実施形態における磁気センサの概略断面構成を示す図である。 本発明の第4実施形態における磁気センサの概略断面構成を示す図である。 本発明の第5実施形態における磁気センサの電気回路構成を示す図である。 第5実施形態における磁気センサの配線構造を示す図である。 第5実施形態における磁気センサの製造工程を示す図である。 第5実施形態における磁気センサの製造工程を示す図である。 第5実施形態における磁気センサの製造工程を示す図である。 本発明の第6実施形態における磁気センサの電気回路構成を示す図である。 本発明の第7実施形態における磁気センサの電気回路構成を示す図である。 第7実施形態におけるピン層の磁化方向と外部磁界との関係を示す図である。 本発明の第8実施形態における磁気センサの構造を示す図である。 TMR素子の抵抗値と外部磁界の印加角度との関係、およびTMR素子の構造を示す図である。 図22の外部磁界の印加角度を説明するための図である。 TMR素子に対してZ方向に外部磁界が印加された状態を示す図である。 Y−Z座標において外部磁界の印加角度とTMR素子の抵抗値との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1、図2に本発明の磁気センサ1の第1実施形態の回路構成を示す。本実施形態の磁気センサ1は、図1に示すように、TMR素子10およびTMR素子20から構成されている。TMR素子10、20は、電源Vccとグランドとの間に直列に接続されている。TMR素子10は、TMR素子20に対して電源Vcc側に配置されている。TMR素子10、20は、図2に示すように、共通の基板30上に搭載されている。
TMR素子10は、フリー層11、トンネル層12、およびピン層13から構成されている。フリー層11は、外部磁界に磁化方向が追随して変化する第1の強磁性層である。ピン層13は、フリー層11に対して基板30側に配置されている第1の磁化固定層である。ピン層13は、磁化方向が固定されている。ピン層13の磁化方向は、基板30の面方向に平行な方向に設定されている。基板30の面方向とは、基板30が平らに広がる方向のことである。トンネル層12は、フリー層11およびピン層13の間に配置されている第1の非磁性中間層である。
TMR素子20は、フリー層21、トンネル層22、およびピン層23から構成されている。フリー層21は、外部磁界に磁化方向が追随して変化する第2の強磁性層である。フリー層21は、ピン層23に対して基板30側に配置されている。すなわち、TMR素子10、20は、フリー層およびピン層が上下逆転した関係になっている。トンネル層22は、フリー層21およびピン層23の間に配置されている第2の非磁性中間層である。ピン層23は、その磁化方向がピン層13の磁化方向と同一方向に設定されている第2の磁化固定層である。
次に、本実施形態の磁気センサ1の配線構造について図3を用いて説明する。
本実施形態の磁気センサ1は、TMR素子10、20および基板30以外に、下地層31、下部配線層32a、32b、保護膜33a、33b、33c、および上部配線層34a、34b、34cから構成されている。
基板30は、シリコンウエハからなる基板である。下地層31は、Si02、或いは、SiNなどからなる絶縁膜であって、基板30上に配置されている。下部配線層32a、32bは、例えば導電性の金属材料からなるもので、下地層31上に配置されている。下部配線層32a、32bは、基板30の面方向にて間隔を開けて配置されている。TMR素子10は、下部配線層32a上に搭載されている。TMR素子10のピン層13は、下部配線層32aに接続されている。ピン層13は、フリー層11に対して下部配線層32a側に配置されている。TMR素子20は、下部配線層32b上に搭載されている。TMR素子20のフリー層21は、下部配線層32bに接続されている。フリー層21は、ピン層23に対して下部配線層32b側に配置されている。
保護膜33a、33b、33cは、それぞれ、Si02、或いはSiN等からなる絶縁膜である。保護膜33aは、下部配線層32a、32bの間に配置されている。保護膜33bは、その面方向にてTMR素子10の周囲に形成されている。保護膜33cは、その面方向にてTMR素子20の周囲に形成されている。
ここで、保護膜33a、33bは、上側に開口するコンタクトホール35aを形成する。保護膜33bは、上側に開口するコンタクトホール35bを形成する。保護膜33a、33cは、上側に開口するコンタクトホール35cを形成する。保護膜33cは、上側に開口するコンタクトホール35dを形成する。
上部配線層34a、34b、34cは、それぞれ、例えば導電性の金属材料からなるものである。上部配線層34aは、下部配線層32a、32bおよび保護膜33aの上側において配置されている。上部配線層34aは、下部配線層32a、32bの間を接続する。上部配線層34bは、保護膜33bおよびTMR素子10の上側に配置されている。上部配線層34bは、TMR素子10のフリー層11と電源Vcc(図3中省略)との間を接続する。上部配線層34cは、保護膜33cおよびTMR素子20の上側に配置されている。上部配線層34cは、TMR素子20のピン層21とグランド(図3中省略)との間を接続する。
次に、本実施形態の磁気センサ1の製造方法について図4〜図6を用いて説明する。
まず、第1の工程において、基板30上にて、下地層31を成膜する(図4(a)参照)。下地層31の成膜は、熱酸化、CVD、或いはスッパタリングなどが用いられる。
次の第2の工程において、スッパタリング等により、下部配線層32Aを成膜し、下部配線層32Aの上にTMR膜10Aを成膜する(図4(b)参照)。TMR膜10Aは、フリー層11Aおよびピン層13Aの間にトンネル層12Aが配置されている構造になっている。
次の第3の工程において、下部配線層32AおよびTMR膜10Aに対して、パターニングを実施して下地層31の上に下部配線層32を形成する(図4(c)参照)。このパターニングには、フォトリソグラフィおよびエッチング(例えば、ミリング)が用いられる。
次の第4の工程において、TMR膜10Aに対して、パターニングを実施して下部配線層32の上にTMR素子10を形成する(図4(d)参照)。このパターニングには、フォトリソグラフィおよびエッチング(例えば、ミリング)が用いられる。
次の第5の工程において、下地層31、下部配線層32、およびTMR素子10を覆うように保護膜33Aを成膜する(図5(a)参照)。保護膜33Aの成膜は、熱酸化、CVD、或いはスッパタリングなどが用いられる。
次の第6の工程において、保護膜33Aに対してパターニングを実施して余分な部分を除く(図5(b)参照)。パターニングには、フォトリソグラフィおよびエッチング(例えば、ミリング)が用いられる。
次の第7の工程において、保護膜33Aおよび下地層31を覆う下部配線層32Bを成膜し、下部配線層32Bの上にTMR膜20Aを成膜する(図5(c)参照)。
ここで、下部配線層32BおよびTMR膜20Aの成膜には、スッパタリングなどが用いられる。TMR膜20Aは、フリー層21Aおよびピン層23Aの間にトンネル層22Aが配置されている構造になっている。
次の第8の工程において、下部配線層32BおよびTMR膜20Aに対してパターニングを実施して下部配線層32bおよびTMR素子20を形成する(図6(a)参照)。パターニングには、フォトリソグラフィおよびエッチング(例えば、ミリング)が用いられる。
次の第9の工程において、下部配線層32bおよびTMR膜20を覆うように保護膜33Aを形成する(図6(b)参照)。保護膜33Aの形成には、スッパタリングなどが用いられる。
次の第10の工程において、保護膜33Aに対してパターニングを実施して保護膜33a、33b、33cを形成する。すなわち、コンタクトホール35a、35b、35c、35dを形成する。これに加えて、スッパタリングなどにより、上部配線層34a、34b、34cをそれぞれ形成する(図6(c)参照)。
以上により、TMR素子10、20が共通の基板30上に形成することができる。その後、TMR素子10、20のピン層をそれぞれ着磁してそれぞれ同一方向に磁化方向Eaを設定する。
次に、本実施形態の磁気センサ1の作動について図7、図8を参照して説明する。図7にTMR素子10に対する外部磁界の印加角度と磁気センサ1の出力の関係を示す。
まず、基板30の面方向に平行である方向をX方向とし、基板30の面方向に平行で、かつX方向に直交する方向をY方向とし、かつ基板30に対する直交する方向をZ方向とした場合に、Y−Z座標において、Z方向と外部磁界Hとの間の角度を印加角度[deg]としたとき、+Z方向に外部磁界が印加されて印加角度が零になるときに、TMR素子10の抵抗値は低下(つまり、マイナス方向に変化)する一方、TMR素子20の抵抗値は増加(つまり、プラス方向に変化)する(図8、図7参照)。
これに加えて、−Z方向に外部磁界が印加されて印加角度が180、−180になるときに、TMR素子10の抵抗値は増加(つまり、プラス方向に変化)する一方、TMR素子20の抵抗値は減少(つまり、マイナス方向に変化)することになる。
以上により、TMR素子10、20は、フリー層およびピン層が上下逆転した関係になっている。このため、TMR素子10の抵抗値のうちZ方向の外部磁場の印加角度の測定誤差と、TMR素子20の抵抗値のうちZ方向の外部磁場の印加角度の測定誤差とが互いに逆特性になる。したがって、TMR素子10、20が電源Vccとグランドとの間に直列に接続されていることにより、TMR素子10、20のそれぞれの抵抗値が、互いに、Z方向の外部磁場の印加角度の測定誤差を打ち消すことができる。よって、本来のセンシング対象であるX−Y座標の外部磁界の感度を減少させることなく、X−Y座標の外部磁界の印加角度の検出精度を向上させることができる。
なお、図1中にてTMR素子10の右側に示す上に凸の波形は、−Z方向に外部磁界が印加されてTMR素子10の抵抗値がプラス方向に変化する旨を示し、TMR素子20の右側に示す下に凸の波形は、+Z方向に外部磁界が印加されてTMR素子20の抵抗値は方向にマイナス方向に変化する旨を示している。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、TMR素子10、20を基板30の面方向に間隔を開けて配置した例について説明したが、これに代えて、TMR素子10、20を基板30に対して直交方向に配置した例について説明する。
図9に本第2実施形態の磁気センサ1の構造を示す。図9において、図2と同一の符号は同一のものを示す。本実施形態の磁気センサ1では、TMR素子10がTMR素子20に対して基板30側に配置されている。TMR素子10は、フリー層11、トンネル層12、およびピン層13から構成されている。TMR素子20は、フリー層11、トンネル層22、およびピン層23から構成されている。
次に、本実施形態の磁気センサ1の具体的な配線構造について図10を用いて説明する。図10において、図3と同一符号は同一のものを示す。
本実施形態の磁気センサ1は、TMR素子10、20、基板30、下地層31、下部配線層32a、保護膜33e、33f、33g、および上部配線層34a、34bから構成されている。
TMR素子10、20は、下部配線層32a上に配置されている。すなわち、TMR素子10のピン層13が下部配線層32aに接続されることになる。上部配線層34bは、下部配線層32aに接続されている。上部配線層34aは、TMR素子20のピン層23に接続されている。保護膜33eは、下地層31と上部配線層34bとの間に配置されている。保護膜33fは、上部配線層34a、34bとの間に配置されている。保護膜33gは、下地層31と上部配線層34aとの間に配置されている。
以上説明した本実施形態によれば、TMR素子10は、フリー層11、トンネル層12、およびピン層13から構成されている。TMR素子20は、フリー層11、トンネル層22、およびピン層23から構成されている。すなわち、TMR素子10、20の間でフリー層13を共通化することができる。よって、上記第1実施形態に比べて、レイヤー数を1つ減らすことができる。したがって、磁気センサ1を小型化することができる。
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、TMR素子10、20の間でフリー層13を共通化する例について説明したが、これに代えて、TMR素子10、20の間に絶縁層を配置した例について説明する。
図11に本実施形態の磁気センサ1の構造を示す。図11において、図9と同一の符号は同一のものを示す。本実施形態の磁気センサ1では、TMR素子10、20の間に絶縁層50が挟まれている。本実施形態では、TMR素子10のフリー層11とTMR素子20のフリー層21とが配線部材(図示省略)によって接続されている。このため、TMR素子10、20が電源Vccとグランドとの間に直列接続されることになる。
(第4実施形態)
上記第3実施形態では、TMR素子10、20の間に絶縁層を配置した例について説明したが、これに代えて、TMR素子10、20の間に電極層を配置した例について説明する。
図12に本実施形態の磁気センサ1の構造を示す。図12において、図9と同一の符号は同一のものを示す。本実施形態の磁気センサ1では、TMR素子10、20の間に絶縁層50ではなく、電極層51が挟まれている。電極層51は、TMR素子10のフリー層11とTMR素子20のフリー層21とを接続する。このため、上記第3実施形態と同様に、TMR素子10、20が電源Vccとグランドとの間に直列接続されることになる。
(第5実施形態)
本実施形態では、2対のTMR素子を用いてハーフブリッジ回路を構成する例について説明する。
図13、図14に本実施形態の磁気センサ1の構造を示す。図13において、図1と同一の符号は同一のものを示す。
本実施形態の磁気センサ1は、図13に示すように、TMR素子10、20以外に、TMR素子60、70を備える。TMR素子10、20、60、70は、電源Vccとグランドとの間に直列接続されてハーフブリッジ回路80を構成する。TMR素子10、20は、TMR素子60、70に対して電源Vcc側に配置されている。TMR素子10は、TMR素子20に対して電源Vcc側に配置されている。TMR素子60は、TMR素子70に対して電源Vcc側に配置されている。TMR素子10、20、60、70は、図14に示すように、共通の基板30上に搭載されている。
TMR素子60は、フリー層61、トンネル層62、およびピン層63から構成されている。フリー層61は、外部磁界に磁化方向が追随して変化する第3の強磁性層である。ピン層63は、フリー層61に対して基板30側に配置されている第3の磁化固定層である。ピン層63の磁化方向は、ピン層13の磁化方向と反対方向に固定されている。トンネル層62は、フリー層61およびピン層63の間に配置されている第3の非磁性中間層である。
TMR素子70は、フリー層71、トンネル層72、およびピン層73から構成されている。フリー層71は、外部磁界に磁化方向が追随して変化する第4の強磁性層である。フリー層71は、ピン層73に対して基板30側に配置されている。すなわち、TMR素子60、70は、フリー層およびピン層が上下逆転した関係になっている。トンネル層72は、フリー層71およびピン層73の間に配置されている第4の非磁性中間層である。ピン層73は、その磁化方向がピン層73の磁化方向と同一方向に設定されている第4の磁化固定層である。
次に、本実施形態の磁気センサ1の配線構造について図14(a)、(b)を用いて説明する。図14(a)は磁気センサ1の断面図であり、図14(b)は磁気センサ1を基板30に対する直交方向から視た図である。
本実施形態の磁気センサ1は、図14(a)および図14(b)に示すように、TMR素子10、20、60、70および基板30以外に、下地層31、下部配線層32a、32b、32c、32d(図中下部配線層32c、32dの図示省略)、保護膜33および上部配線層34a、34b、34c、34d、34eから構成されている。図14において、図3と同一符号は同一のものを示す。
下地層31は、絶縁膜であって、基板30上に配置されている。下部配線層32a、32b、32c、32dは、それぞれ、導電性部材からなるもので、下地層31上に分散して配置されている。TMR素子10は、下部配線層32a上に搭載されている。TMR素子20は、下部配線層32b上に搭載されている。
TMR素子60は、下部配線層32c上に搭載されている。TMR素子70は、下部配線層32d上に搭載されている。保護膜33は、TMR素子10、20、60、70、下地層31、および下部配線層32a、32b、32c、32dを覆うように形成されている。
保護膜33には、コンタクトホール35e、35f、35g、35hが設けられている。コンタクトホール35e、35f、35g、35hは、それぞれ対応するTMR素子から図示上側に開口するように形成されている穴部である。コンタクトホール35eは、TMR素子10に対応し、コンタクトホール35fは、TMR素子20に対応し、コンタクトホール35gは、TMR素子60に対応し、コンタクトホール35hは、TMR素子70に対応している。
保護膜33には、コンタクトホール35i、35j、35k、35mが設けられている。コンタクトホール35i、35j、35k、35mは、それぞれ対応する下部配線層から図示上側に開口するように形成されている穴部である。コンタクトホール35iは、下部配線層32aに対応し、コンタクトホール35jは、下部配線層32bに対応し、コンタクトホール35kは、下部配線層32cに対応し、コンタクトホール35mは、下部配線層32dに対応している。
上部配線層34aは、コンタクトホール35eを通してTMR素子10のフリー層11と電源Vccとの間を接続する。上部配線層34bは、コンタクトホール35i、35jを通して下部配線層32a、32bの間を接続する。上部配線層34cは、コンタクトホール35f、35gを通してTMR素子20のフリー層21とTMR素子60のフリー層61との間を接続する。上部配線層34dは、コンタクトホール35m、35kを通して下部配線層32c、32dの間を接続する。上部配線層34eは、コンタクトホール35hを通してTMR素子70のフリー層71とグランドとの間を接続する。
次に、本実施形態の磁気センサ1の製造方法について図15〜図16を用いて説明する。図15(a)、(c)、(e)、(g)は、図15(b)、(d)、(f)、(h)のうち対応する図の断面図である。図16(a)、(c)、(e)、(g)は、図16(b)、(d)、(f)、(h)のうち対応する図の断面図である。図17(a)、(c)は、図16(b)、(d)のうち対応する図の断面図である。
まず、第1の工程において、基板30上にて、下地層31を成膜する(図15(a)、(b)参照)。下地層31の成膜は、熱酸化、CVD、或いはスッパタリングなどが用いられる。
次の第2の工程において、スッパタリング等により、下部配線層32Aを成膜し、下部配線層32Aの上にTMR膜10Aを成膜する(図15(c)、(d)参照)。TMR膜10Aは、フリー層(第1の磁性体層)11Aおよびピン層(第2の磁性体層)13Aの間にトンネル層(非磁性体層)12Aが配置されている構造になっている。
次の第3の工程において、下部配線層32AおよびTMR膜10Aに対して、パターニングを実施して下地層31の上に下部配線層32a、32cを形成する(図15(e)、(f)参照)。このパターニングには、フォトリソグラフィおよびエッチング(例えば、ミリング)が用いられる。このとき、下部配線層32a、32cのそれぞれの上側には、TMR膜10Aが搭載されている。
次の第4の工程において、TMR膜10Aに対して、パターニングを実施して下部配線層32a上にTMR素子10を形成し、かつ下部配線層32c上にTMR素子60を形成する(図15(h)、(i)参照)。このパターニングには、フォトリソグラフィおよびエッチング(例えば、ミリング)が用いられる。
次の第5の工程において、下地層31、下部配線層32a、32c、およびTMR素子10、60を覆うように保護膜33Aを成膜する(図16(a)、(b)参照)。保護膜33Aの成膜は、熱酸化、CVD、或いはスッパタリングなどが用いられる。
次の第6の工程において、保護膜33Aに対してパターニングを実施して余分な部分を除去する(図16(c)、(d)参照)。このパターニングによってTMR素子10、60をそれぞれ覆うように保護膜33Aが形成される。当該パターニングには、フォトリソグラフィおよびエッチング(例えば、ミリング)が用いられる。
次の第7の工程において、保護膜33Aおよび下地層31を覆う下部配線層32Bを成膜し、下部配線層32Bの上にTMR膜20Aを成膜する(図16(e)、(f)参照)。下部配線層32BおよびTMR膜20Aの成膜には、スッパタリングなどが用いられる。TMR膜20Aは、フリー層(第3の磁性体層)21Aおよびピン層(第4の磁性体層)23Aの間にトンネル層(非磁性体層)22Aが配置されている構造になっている。
次の第8の工程において、下部配線層32BおよびTMR膜20Aに対してパターニングを実施して下部配線層32b、32d、およびTMR20、70を形成する(図16(g)、(h)参照)。パターニングには、フォトリソグラフィおよびエッチング(例えば、ミリング)が用いられる。
次の第9の工程において、下地層31、下部配線層32b、32d、およびTMR膜20、70を覆うように保護膜33を形成する(図17(a)、(b)参照)。保護膜33の形成には、スッパタリングなどが用いられる。
次の第10の工程において、保護膜33に対してコンタクトホール35e、35f、35g、35h、35i、35j、35k、35mを形成する。これに加えて、スッパタリングなどにより、上部配線層34a、34b、34c、34d、34eをそれぞれ形成する(図17(c)、(d)参照)。
以上により、TMR素子10、20、60、70が共通の基板30上に形成することができる。その後、TMR素子10、20のピン層をそれぞれ着磁してそれぞれ同一方向に磁化方向Eaを設定する。その後、TMR素子60、70のピン層をそれぞれ着磁してそれぞれ磁化方向Eaと逆方向に磁化方向Ebを設定する。以上により、本実施形態の磁気センサ1が完成することになる。
次に、本実施形態の磁気センサ1の作動について説明する。
まず、TMR素子60は、TMR素子10と同様に、そのピン層63が、フリー層61に対して基板30側に配置されている。TMR素子70は、TMR素子20と同様に、そのフリー層71が、ピン層73に対して基板30側に配置されている。
すなわち、TMR素子60、70は、上述したように、フリー層およびピン層が上下逆転した関係になっている。
このため、上記第1実施形態で説明したY−Z座標において、Z方向と外部磁界Hとの間の角度を印加角度[deg]としたとき、+Z方向に外部磁界が印加されて印加角度が零になるときに、TMR素子60の抵抗値はマイナス方向に変化し、TMR素子70の抵抗値はプラス方向に変化する。一方、−Z方向に外部磁界が印加されて印加角度が180、−180になるときに、TMR素子60の抵抗値はプラス方向に変化し、TMR素子70の抵抗値はマイナス方向に変化する。
したがって、TMR素子60、70が電源Vccとグランドとの間に直列に接続されていることにより、TMR素子60、70のそれぞれの抵抗値が、互いに、Z方向の外部磁場の印加角度の測定誤差を打ち消すことになる。
これに加えて、本実施形態では、上記第1実施形態と同様、TMR素子10、20が電源Vccとグランドとの間に直列に接続されていることにより、TMR素子10、20のそれぞれの抵抗値が、互いに、Z方向の外部磁場の印加角度の測定誤差を打ち消すことになる。
このように構成される本実施形態の磁気センサ1では、TMR素子10、20とTMR素子60、70との間の共通接続端子80aから、X−Y座標における外部磁場の印加角度θを示す角度電圧Vaを出力することができる。角度電圧Vaと外部磁場の印加角度θとの関係がCOS関数(すなわち、V=COSθ)となる。
以上により、上記第1実施形態と同様、本来のセンシング対象であるX−Y座標の外部磁界の感度を減少させることなく、X−Y座標の外部磁界の印加角度の検出精度を向上させることができる。
(第6実施形態)
上記第5実施形態では、2対のTMR素子を用いてハーフブリッジ回路80を構成する例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、2つのハーフブリッジ回路を用いてフルブリッジ回路を構成する例について説明する。
図18に本実施形態の磁気センサ1の構造を示す。図18において、図13と同一の符号は同一のものを示す。
本実施形態の磁気センサ1は、図18に示すように、ハーフブリッジ回路80、80A、および演算回路90を備える。ハーフブリッジ回路80、80Aは、電源Vccとグランドとの間に並列に接続されてフルブリッジ回路100を構成している。
図18のハーフブリッジ回路80は、図13のハーフブリッジ回路80と同一である。
図18のハーフブリッジ回路80Aは、ハーフブリッジ回路80と同様に、TMR素子10、20、60、70を備える。TMR素子10、20は、TMR素子60、70に対してグランド側に配置されている。TMR素子70は、TMR素子60に対してグランド側に配置されている。TMR素子20は、TMR素子10に対してグランド側に配置されている。
このように構成される本実施形態の磁気センサ1のハーフブリッジ回路80Aでは、TMR素子60、70とTMR素子10、20との間の共通接続端子80bから、X−Y座標における外部磁場の印加角度θを示す角度電圧Vbを出力することができる。角度電圧Vbと外部磁場の印加角度θとの関係が−COS関数(すなわち、Vb=−COSθ)となる。
本実施形態の演算回路70は、ハーフブリッジ回路80から出力される角度電圧Vaとハーフブリッジ回路80Aから出力される角度電圧Vbとの差分ΔVx(=Va−Vb)を角度電圧として出力する。ここで、差分ΔVx(=Va−Vb)と印加角度θとの関係はCOS関数(すなわち、ΔV=2COSθ)となる。
以上により、上記第1実施形態と同様、本来のセンシング対象であるX−Y座標の外部磁界の感度を減少させることなく、X−Y座標の外部磁界の印加角度の検出精度を向上させることができる。
(第7実施形態)
本第7実施形態では、2つのフルブリッジ回路を用いて外部磁界の印加角度の検出する例について説明する。
図19に本実施形態の磁気センサ1の構造を示す。図19において、図17と同一の符号は同一のものを示す。
本実施形態の磁気センサ1は、図19に示すように、フルブリッジ回路100、100A、および演算回路110を備える。フルブリッジ回路100、100Aは、電源Vccとグランドとの間に並列に接続されている。フルブリッジ回路100Aは、TMR素子毎にピン層の磁化方向が相違するだけで、フルブリッジ回路100と実質的に同様の構成になっている。具体的には、フルブリッジ回路100Aは、ハーフブリッジ回路80B、80Cを備える。ハーフブリッジ回路80Bがハーフブリッジ回路80に対応し、ハーフブリッジ回路80Cがハーフブリッジ回路80Aに対応する。ハーフブリッジ回路80B、80Cは、それぞれ、TMR素子10X、20X、60X、70Xを備える。TMR素子10XはTMR素子10に対応し、TMR素子20XはTMR素子20に対応し、TMR素子60XはTMR素子60に対応し、TMR素子70XはTMR素子70に対応する。
ここで、図20に示すように、X−Y座標において、TMR素子10、20のピン層の磁化方向Eaを+X方向とし、TMR素子60、70のピン層の磁化方向Ebを−X方向とするならば、TMR素子10X、20Xのピン層の磁化方向Ecが+Y方向になり、TMR素子60X、70Xのピン層の磁化方向Edが−Y方向になる。
すなわち、TMR素子10X、20Xのピン層の磁化方向Ecは、TMR素子10、20のピン層の磁化方向Eaに対して直交する関係になる。そして、TMR素子60X、70Xのピン層の磁化方向Edは、TMR素子60、70のピン層の磁化方向Ebに対して直交する関係になる。このため、ハーフブリッジ回路80Bの共通接続端子80cから出力される角度電圧Vcと、ハーフブリッジ回路80Cの共通接続端子80dから出力される角度電圧Vdとの差分ΔVy(=Vd−Vc)と印加角度θとの関係はSIN関数(すなわち、ΔVy=2SINθ)となる。
本実施形態では、演算回路90は、差分ΔVyを差分ΔVxで除算してその除算結果(=ΔVy/ΔVx)をtanθとする。つまり、tanθ=(ΔVy/ΔVx)とし、更にarctan(ΔVy/ΔVx)を演算して印加角度θを求める。これにより、X−Y座標においていずれの方向から外部磁界Hが印加されても、その印加角度θを求めることができる。
(第8実施形態)
本第8実施形態では、上記第1実施形態のTMR素子10、20を複数対、基板30上に搭載した磁気センサ1について説明する。
図21に本実施形態の磁気センサ1の基板30をその直交方向から視た図を示す。
基板30上には、6個のTMR素子10と6個のTMR素子20とが行列状に並べられている。6個のTMR素子10と6個のTMR素子20とのうち対を構成するTMR素子10、20が互いに隣り合うように配置されている。このことにより、TMR素子10、20が列方向(或いは行方向)に交互に配置されることになる。このため、TMR素子10、20を形成するプロセスが起因する特性のバラツキが生じても、TMR素子10、20の特性は互いに近いものになる。したがって、基板30上にて隣り合うTMR素子10、20を対(ペア)として、この対をなすTMR素子10、20を電源Vccとグランドとの間に直列接続することにより、TMR素子10、20のそれぞれの抵抗値が、互いに、Z方向の外部磁場の印加角度の測定誤差を精度良く打ち消すことができる。
(他の実施形態)
上記第5実施形態では、電源Vddとグランドとの間に4個のTMR素子を直列接続した例について説明したが、これに限らず、電源Vddとグランドとの間に4個以上のTMR素子を直列接続してもよい。
上記第1〜第8の実施形態では、本発明の磁気抵抗素子としてTMR素子を用いた例について説明したが、これに代えて、本発明の磁気抵抗素子として巨大磁気抵抗素子(GMR:Giant Magneto-Resistance)を用いてもよい。
なお、本発明を実施するにあたり、上記第1〜第8の実施形態および他の実施形態のうち、組み合わせ可能である2以上の実施例を組み合わせたものを発明として実施してもよい。
1 磁気センサ
10 TMR素子
11 フリー層
12 トンネル層
13 ピン層
20 TMR素子
21 フリー層
22 トンネル層
23 ピン層
60 TMR素子
61 フリー層
62 トンネル層
63 ピン層
70 TMR素子
71 フリー層
72 トンネル層
73 ピン層
80 ハーフブリッジ回路
80A ハーフブリッジ回路
80B ハーフブリッジ回路
80C ハーフブリッジ回路
100 フルブリッジ回路
100A フルブリッジ回路

Claims (8)

  1. 基板(30)の面方向に対して平行に磁化方向が固定されている第1の磁化固定層(13)と、外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第1の強磁性層(11)と、前記第1の磁化固定層と前記第1の強磁性層との間に挟まれて前記第1の磁化固定層の磁化方向と前記第1の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第1の非磁性中間層(12)とを備える第1の磁気抵抗素子(10)と、
    前記第1の磁化固定層の磁化方向と同一方向に磁化方向が固定されている第2の磁化固定層(23)と、前記外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第2の強磁性層(21)と、前記第2の磁化固定層と前記第2の強磁性層との間に挟まれて前記第2の磁化固定層の磁化方向と前記第2の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第2の非磁性中間層(22)とを備える第2の磁気抵抗素子(20)とを備え、
    前記第1、第2の磁気抵抗素子は、それぞれ共通の前記基板上に搭載されている磁気センサであって、
    前記第1、第2の磁気抵抗素子の抵抗値の合成抵抗値に基づいて前記外部磁場の印加角度が測定されるようになっており、
    前記第1の磁化固定層(13)が前記第1の強磁性層(11)に対して前記基板側に配置され、かつ前記第2の強磁性層(21)が前記第2の磁化固定層(23)に対して前記基板側に配置されていることを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記第1、第2の磁気抵抗素子は、電源とグランドとの間に直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 基板(30)の面方向に対して平行に磁化方向が固定されている第3の磁化固定層(63)と、前記外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第3の強磁性層(61)と、前記第3の磁化固定層と前記第3の強磁性層との間に挟まれて前記第3の磁化固定層の磁化方向と前記第3の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第3の非磁性中間層(62)とを備える第3の磁気抵抗素子(60)と、
    前記第3の磁化固定層の磁化方向と同一方向に磁化方向が固定されている第4の磁化固定層(73)と、前記外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第4の強磁性層(71)と、前記第4の磁化固定層と前記第4の強磁性層との間に挟まれて前記第4の磁化固定層の磁化方向と前記第4の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第4の非磁性中間層(72)とを備える第4の磁気抵抗素子(70)とを備え、
    前記第3、第4の磁化固定層の磁化方向は、前記第1、第2の磁化固定層の磁化方向と逆方向であり、
    前記第3、第4の磁気抵抗素子は、共通の前記基板上に搭載されており、
    前記第1、第2、第3、第4の磁気抵抗素子は、前記電源とグランドとの間に直列に接続されてハーフブリッジ回路を構成しており、
    前記第1、第2、第3、第4の抵抗値の合成抵抗値に基づいて前記外部磁場の印加角度が測定されるようになっており、
    前記第3の磁化固定層(63)が前記第3の強磁性層(61)に対して前記基板側に配置され、かつ前記第4の強磁性層(71)が前記第4の磁化固定層(73)に対して前記基板側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の磁気センサ。
  4. 前記第1、第2の磁気抵抗素子は、前記第3、第4の磁気抵抗素子に対して電源側に配置されており、
    前記第1、第2の磁気抵抗素子と前記第3、第4の磁気抵抗素子との間の共通接続端子(80a)から前記外部磁場の印加角度を示す角度電圧が出力されるようになっていることを特徴とする請求項3に記載の磁気センサ。
  5. 前記第1、第2、第3、第4の磁気抵抗素子は、共通の前記基板上に搭載されていることを特徴とする請求項4に記載の磁気センサ。
  6. 前記第1、第3の磁気抵抗素子は、同一工程で前記基板上に搭載されて、かつ前記第2、第4の磁気抵抗素子は、同一工程で前記基板上に搭載されたものであることを特徴とする請求項5に記載の磁気センサ。
  7. 2個の前記ハーフブリッジ回路が電源とグランドとの間に並列に配置されており、
    前記2個のハーフブリッジ回路の一方のハーフブリッジ回路から出力される角度電圧と、前記外部磁場の印加角度との関係がCOS関数になるように設定されており、
    前記2個のハーフブリッジ回路の一方のハーフブリッジ回路以外の他方のハーフブリッジ回路から出力される角度電圧と、前記外部磁場の印加角度との関係がSIN関数になるように設定されており、
    前記2個のハーフブリッジ回路からそれぞれ出力される角度電圧に基づいてarctan演算を実施して前記外部磁場の印加角度を求める演算回路(110)を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の磁気センサ。
  8. 基板(30)の面方向に対して平行に磁化方向が固定されている第1の磁化固定層(13)と、外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第1の強磁性層(11)と、前記第1の磁化固定層と前記第1の強磁性層との間に挟まれて前記第1の磁化固定層の磁化方向と前記第1の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第1の非磁性中間層(12)とを備える第1の磁気抵抗素子(20)と、
    前記第1の磁化固定層の磁化方向と同一方向に磁化方向が固定されている第2の磁化固定層(23)と、前記外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第2の強磁性層(21)と、前記第2の磁化固定層と前記第2の強磁性層との間に挟まれて前記第2の磁化固定層の磁化方向と前記第2の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第2の非磁性中間層(22)とを備える第2の磁気抵抗素子(20)と、
    前記第1、第2の磁化固定層の磁化方向に対する逆方向に磁化方向が固定されている第3の磁化固定層(63)と、前記外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第3の強磁性層(61)と、前記第3の磁化固定層と前記第3の強磁性層との間に挟まれて前記第3の磁化固定層の磁化方向と前記第3の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第3の非磁性中間層(62)とを備える第3の磁気抵抗素子(60)と、
    前記第3の磁化固定層の磁化方向と同一方向に磁化方向が固定されている第4の磁化固定層(73)と、前記外部磁場によって磁化方向が追従して変化する第4の強磁性層(71)と、前記第4の磁化固定層と前記第4の強磁性層との間に挟まれて前記第4の磁化固定層の磁化方向と前記第4の強磁性層の磁化方向との間の角度によって抵抗値が変化する第4の非磁性中間層(72)とを備える第4の磁気抵抗素子(70)とを備え、
    前記第1の磁化固定層が前記第1の強磁性層に対して前記基板側に配置され、かつ前記第2の強磁性層が前記第2の磁化固定層に対して前記基板側に配置され、
    前記第3の磁化固定層が前記第3の強磁性層に対して前記基板側に配置され、かつ前記第4の強磁性層が前記第4の磁化固定層に対して前記基板側に配置されて、
    前記第1、第2、第3、第4の磁気抵抗素子の抵抗値の合成抵抗値に基づいて前記外部磁場の印加角度が測定される磁気センサの製造方法であって、
    第1、第2の磁性体層の間に非磁性体層が狭持されている第1の磁気抵抗素子膜(10A)を前記基板上に対して積層する第1の工程と、
    前記第1の磁気抵抗素子膜をパターニングして前記第1、第3の磁気抵抗素子(10、60)を形成する第2の工程と、
    第3、第4の磁性体層の間に非磁性体層が狭持されている第2の磁気抵抗素子膜(20A)を前記基板上に対して積層する第3の工程と、
    前記第2の磁気抵抗素子膜をパターニングして前記第2、第4の磁気抵抗素子(20、70)を形成する第4の工程と、を備えることを特徴とする磁気センサの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015190882A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 Dmg森精機株式会社 位置検出装置
JP2016200522A (ja) * 2015-04-13 2016-12-01 三菱電機株式会社 電流検出装置およびこれを用いた磁界検出装置

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