JP2013242130A - 全熱交換素子用仕切部材およびその素材を用いた全熱交換素子および熱交換形換気装置 - Google Patents

全熱交換素子用仕切部材およびその素材を用いた全熱交換素子および熱交換形換気装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、家庭用や業務用として使用される熱交換形換気装置に用いられる全熱交換素子用仕切部材において、全熱交換素子用仕切部材の強度を維持しつつ、全熱交換素子用仕切部材の透湿性を高めることを目的とするものである。
【解決手段】湿度の高い空気を含む高湿空気流(排気流7)と、湿度の低い空気を含む低湿空気流(給気流8)間に配置される全熱交換素子用仕切部材2であって、複数の細孔11を有する多孔質基材10と、この多孔質基材10の細孔11内に設けられた透湿性薬剤14とを備え、前記多孔質基材10の細孔11は、前記高湿空気流側の開口径(排気風路側の開口径12)を、前記低湿空気流側の開口径(給気風路側の開口径13)よりも大きくしたことを特徴とする全熱交換素子用仕切部材とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、伝熱性と透湿性を有する全熱交換素子用仕切部材、およびその全熱交換素子用仕切部材を仕切板に用いた全熱交換素子、およびその全熱交換素子を用いた熱交換形換気装置に関するものである。
従来、冷房や暖房の効果を損なわずに換気できる装置として、換気の際に給気と排気の間で熱交換を行う熱交換形換気装置が知られている。
熱交換形換気装置には、熱交換を行うための熱交換素子が含まれており、素材には給気と排気が交じり合わないようにするガスバリア性(主として二酸化炭素バリア性)と伝熱性が求められる。特に、温度と同時に湿度の交換も行う全熱交換素子に関しては、高い透湿性も合わせて有する必要がある。
これを実現するために、この種の全熱交換素子に用いる全熱交換素子用仕切部材は、以下のような構成となっていた。
すなわち、絶対湿度の高い空気を含む高湿空気流と、絶対湿度の低い空気を含む低湿空気流間に配置される全熱交換素子用仕切部材であって、複数の細孔を有する多孔質基材と、この多孔質基材の細孔内に設けられた透湿性薬剤とを備える構成となっていた。
例えば、これに類似する先行文献として下記特許文献1参照。
特開平6−194093号公報
上記従来例における課題は、全熱交換素子用仕切部材の透湿性を高めようとすると、全熱交換素子用仕切部材の強度を維持できないことであった。
すなわち、上記従来例の全熱交換素子用仕切部材において、透湿性を高めるためには、多孔質基材の細孔に設けた透湿性薬剤に、より多くの空気を接触させることが必要である。
そのためには、多孔質基材の細孔の径を大きくする必要がある。しかし、細孔の径を大きくすると、多孔質基材に占める細孔による空隙の割合が多くなるため、多孔質基材の強度を維持できないという課題があった。
そこで本発明は、全熱交換素子用仕切部材の強度を維持しつつ、全熱交換素子用仕切部材の透湿性を高めることを目的とする。
そして、この目的を達成するために、本発明は、絶対湿度の高い空気を含む高湿空気流と、絶対湿度の低い空気を含む低湿空気流間に配置される全熱交換素子用仕切部材であって、複数の細孔を有する多孔質基材と、この多孔質基材の細孔内に設けられた透湿性薬剤とを備え、前記多孔質基材の細孔は、前記高湿空気流側の開口径を、前記低湿空気流側の開口径よりも大きくしたことを特徴とするものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
以上のように本発明は、絶対湿度の高い空気を含む高湿空気流と、絶対湿度の低い空気を含む低湿空気流間に配置される全熱交換素子用仕切部材であって、複数の細孔を有する多孔質基材と、この多孔質基材の細孔内に設けられた透湿性薬剤とを備え、前記多孔質基材の細孔は、前記高湿空気流側の開口径を、前記低湿空気流側の開口径よりも大きくしたことを特徴とするものであり、全熱交換素子用仕切部材の強度を維持しつつ、全熱交換素子用仕切部材の透湿性を高めることができるものである。
すなわち、本発明によれば、絶対湿度の高い空気を含む高湿空気流側の多孔質基材の面の細孔の開口径を大きくしたので、絶対湿度の高い高湿空気流を多孔質基材の細孔内に設けた透湿性薬剤に、より多く接触させて空気中の水分を透湿性薬剤に吸収させることができるとともに、絶対湿度の低い空気を含む低湿空気流側の多孔質基材の面の細孔の開口径を小さくしたので、多孔質基材の両面の細孔の開口径を大きくする場合と比較して、多孔質基材に占める細孔による空隙の割合を減らすことができ、その結果として、空隙による多孔質基材の強度の低下を抑制することができる。このため、全熱交換素子用仕切部材の強度を維持しつつ、全熱交換素子用仕切部材の透湿性を高めることができるのである。
(a)本発明の実施の形態1の全熱交換素子用仕切部材を用いた全熱交換素子の斜視図(b)同全熱交換素子用仕切部材を用いた全熱交換素子の分解斜視図 (a)同全熱交換素子用仕切部材の斜視図(b)同全熱交換素子用仕切部材のA−A断面図(c)透湿性薬剤の低湿空気流側の表面に凹凸を設けた同全熱交換素子用仕切部材のA−A断面図
本発明の全熱交換素子用仕切部材は、絶対湿度の高い空気を含む高湿空気流と、絶対湿度の低い空気を含む低湿空気流間に配置される全熱交換素子用仕切部材であって、複数の細孔を有する多孔質基材と、この多孔質基材の細孔内に設けられた透湿性薬剤とを備え、前記多孔質基材の細孔は、前記高湿空気流側の開口径を、前記低湿空気流側の開口径よりも大きくした構成とすることにより、絶対湿度の高い空気を含む高湿空気流側の多孔質基材の面の細孔の開口径を大きくしたので、絶対湿度の高い空気を多孔質基材の細孔内の透湿性薬剤により多く接触させて空気中の水分を透湿性薬剤に吸収することができるとともに、絶対湿度の低い空気を含む低湿空気流側の多孔質基材の面の細孔の開口径を小さくしたので、多孔質基材の両面の細孔の開口径を大きくする場合と比較して、多孔質基材に占める細孔による空隙の割合を減らすことができ、この結果として、空隙による多孔質基材の強度の低下を抑制することができる。このため、全熱交換素子用仕切部材の強度を維持しつつ、全熱交換素子用仕切部材の透湿性を高めることができるという効果を奏する。
また、前記多孔質基材において、前記細孔の高湿空気流側の開口径は、0.5〜10μmの範囲とし、前記細孔の低湿空気流側の開口径は、0.05〜5μmの範囲とし、前記細孔の高湿空気流側の平均開口径は、前記細孔の低湿空気流側の平均開口径より、大である構成にしてもよい。これにより、絶対湿度の高い空気を含む高湿空気流側の多孔質基材の面の細孔の開口径を大きくしたので、絶対湿度の高い空気を多孔質基材の細孔内の透湿性薬剤により多く接触させて空気中の水分を透湿性薬剤に吸収することができるとともに、絶対湿度の低い空気を含む低湿空気流側の多孔質基材の面の細孔の開口径を小さくしたので、多孔質基材の両面の細孔の開口径を大きくする場合と比較して、多孔質基材に占める細孔による空隙の割合を減らすことができ、この結果として、空隙による多孔質基材の強度の低下を抑制することができる。このため、全熱交換素子用仕切部材の強度を維持しつつ、全熱交換素子用仕切部材の透湿性を高めることができるという効果を奏する。
また、前記透湿性薬剤は、重合により親水性高分子化合物となる少なくとも1種類の低分子有機化合物と少なくとも1種類の重合開始剤と少なくとも1種類の界面活性剤との溶液を前記多孔質基材へ含浸もしくは塗布した後、熱または/および光を加えることによって、前記多孔質基材の細孔内に設けられる構成にしてもよい。これにより、重合により親水性を備える低分子有機化合物と重合開始剤を界面活性剤と共に多孔質基材へ加えて熱または/および光を加えることによって、分子サイズの小ささと界面活性剤の効果により、多孔質基材の細孔の内部まで低分子有機化合物を充填した後、重合により高分子化合物化することが可能である。それにより、多孔質基材の細孔に添った形でより緻密に透湿性薬剤としての親水性高分子化合物を充填することができるため、多孔質基材の細孔に水の移動にとって抵抗となる微細な空間が生じることを抑制することができるため、より透湿性能を向上することができるという効果を奏する。
また、多孔質基材として分子内にウレタン結合を備えたポリウレタン多孔質基材を用いた構成にしてもよい。これにより、親水性のウレタン結合が多数含まれた多孔質基材が得られるため、多孔質基材自体の透湿性が高まり、より透湿性の高い全熱交換素子用仕切部材を得ることができるという効果を奏する。
また、前記多孔質基材の細孔内に設けられた透湿性薬剤は、低湿空気流側の表面に凹凸を有する構成にしてもよい。これにより、低湿空気流側の透湿性薬剤の表面積が増大し、透湿性薬剤と低湿空気流との接触面積が増え、放湿性を高めることができる。これにより、全熱交換素子用仕切部材の表裏の開口面積の差による吸湿量と放湿量の差を補填することができ、全熱交換素子用仕切部材の透湿性を高めることができる。
また、本発明の請求項1〜5のいずれか一つに記載の全熱交換素子用仕切部材を用いた全熱交換素子という構成にしてもよい。これにより、全熱交換素子用仕切部材の強度を維持しつつ、全熱交換素子用仕切部材の透湿性を高めることができるので、強度を維持しつつ透湿性の高い全熱交換素子を得ることができるという効果を奏する。
また、本発明の請求項6に記載の全熱交換素子を用いた熱交換形換気装置という構成にしてもよい。これにより、強度を維持しつつ透湿性の高い全熱交換素子を用いた熱交換形換気装置を得ることができるという効果を奏する。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、本発明の実施の形態1の全熱交換素子用仕切部材を用いた全熱交換素子の斜視図である。図1(b)は、本発明の実施の形態1の全熱交換素子用仕切部材を用いた全熱交換素子の分解斜視図である。
図1(a)および(b)に示すように、全熱交換素子1は、複数枚の全熱交換素子用仕切部材2を所定間隔離した状態で積層することで構成されている。全熱交換素子用仕切部材2は、薄膜形状であり、その外形は、四角形である。
また、全熱交換素子用仕切部材2どうしの間隔を保持するための間隔保持手段として間隔リブ3を両端部に設ける。また、複数の風路を形成する風路リブ4を全熱交換素子用仕切部材2の表面上に複数本設ける。図1(b)に示すように、この風路が一層ごとに排気風路5と給気風路6を構成するように複数枚の全熱交換素子用仕切部材2を積層する。積層する枚数は、一例として100枚である。
間隔リブ3および風路リブ4の材質には、樹脂や金属等を用いる。
図1(b)に示すように、全熱交換素子用仕切部材2の排気風路5内を流れる排気流7(高湿空気流の一例)と、給気風路6内を流れる給気流8(低湿空気流の一例)とは、直交している。
この全熱交換素子用仕切部材2を用いた全熱交換素子1を用いた熱交換形換気装置(図示せず)を冬季に室内空気の換気に利用する場合においては、排気流7としての室内空気は、給気流8としての室外空気より、通常、温度、絶対湿度とも高くなっている。
排気流7と給気流8を全熱交換素子用仕切部材2で仕切り、この排気流7と給気流8との間で温度と湿度を交換する。すなわち、温度、絶対湿度とも高い室内空気、すなわち、排気流7から、温度、絶対湿度とも低い室外空気、すなわち、給気流8に、水分と熱が移動する。これにより、暖房により暖められた室内空気の排気流7の熱により室外空気の給気流8を暖めて室内に供給することができるので、暖房負荷を軽減して省エネ効果を得ることができる。また、人の身体からの水分放散や調理による水分の放散等によって室外空気より絶対湿度が高い室内空気の排気流7の水分を室外空気の給気流8に取り込んで室内に供給することができるので、室内空気の乾燥を抑制することができる。
なお、全熱交換素子用仕切部材2の外形は、四角形に限られることなく、六角形等でもよく、全熱交換素子用仕切部材2を用いる熱交換形換気装置の形状等により決定される。
また、全熱交換素子用仕切部材2を積層する枚数は、100枚に限られることなく、全熱交換素子1を搭載する熱交換形換気装置の大きさや風量、必要となる交換効率等により決定される。
また、排気風路5内を流れる排気流7と、給気風路6内を流れる給気流8とは、直交型に限られることなく、対向型あるいは並行型や斜交型とすることもできる。
図2(a)は、本発明の実施の形態1の全熱交換素子用仕切部材の斜視図である。図2(b)は、本発明の実施の形態1の全熱交換素子用仕切部材のA−A断面図である。
図2(b)に示すように、全熱交換素子用仕切部材2は、多数の細孔11を有する薄膜形状の多孔質基材10と、この多孔質基材10の細孔11内に設けた透湿性薬剤14を備える。
図2(c)に示すように、全熱交換素子用仕切部材2は、多数の細孔11を有する薄膜形状の多孔質基材10と、この多孔質基材10の細孔11内に設けた透湿性薬剤14を備え、多孔質基材10の細孔11内に設けられた透湿性薬剤14は、低湿空気流側の表面に凹凸部15を有する。
全熱交換素子用仕切部材2は、多孔質基材10の細孔11に透湿性薬剤14を充填したものである。多孔質基材10の細孔11は、多孔質基材10の一方の面から他方の面に貫通している。このように、多孔質基材10の細孔を透湿性薬剤14で塞ぐことで、全熱交換素子用仕切部材2で仕切られた2つの気流(排気流7と、給気流8)が全熱交換素子用仕切部材2の内部を通過しないため、全熱交換素子用仕切部材2にガスバリア性を持たせることができる。
また、透湿性薬剤14の透湿性により、2気流間において、全熱交換素子用仕切部材2を通して、絶対湿度の高い気流から絶対湿度の低い気流に、湿度すなわち湿気が移動する。また、全熱交換素子用仕切部材2を通して、温度の高い気流から温度の低い気流に、温度すなわち熱が移動する。
本実施形態の多孔質基材10は、例えば空隙率が5〜95%、より好ましくは50〜95%のものである。空隙率が5%を下回ると、空隙の割合が小さくなりすぎて、全熱交換素子用仕切部材2とした場合に充填する透湿性薬剤14が少なくなるため透湿性能が不足してしまう虞がある。また、空隙率が95%を上回ると、空隙の割合が大きくなりすぎて全熱交換素子用仕切部材2とした場合に強度が不足してしまう虞がある。
多孔質基材10の細孔の開口径は例えば0.01〜100μm、より好ましくは0.5〜5μmであって、厚さは例えば0.1〜200μm、より好ましくは1〜60μmのものである。細孔の開口径が0.01μmを下回ると、透湿性薬剤14が多孔質基材10の細孔内に充填しにくくなり、多孔質基材10内部に微細な空間が生じて水の移動抵抗となるため、全熱交換素子用仕切部材2として透湿性能が低下する虞がある。細孔の開口径が100μmを上回ると、多孔質基材10内部に充填した透湿性薬剤14が、水の吸脱着によってその体積を変化させた場合に、多孔質基材10から抜け落ちてしまいガスバリア性が低下する可能性がある。さらに多孔質基材10の厚みが0.1μmを下回ると多孔質基材10の強度が低くなりすぎて全熱交換素子用仕切部材2とした場合に強度が不足してしまう虞がある。多孔質基材10の厚みが200μmを上回ると、水が多孔質基材10内部を通過する移動距離が長くなり、水の移動抵抗が増加するため、全熱交換素子用仕切部材2とした場合に透湿性能が不足してしまう虞がある。
本実施の形態の特徴は、多孔質基材10の一方の面の細孔11の開口径は、他方の面の細孔11の開口径より大きく、2気流のうちの絶対湿度の高い空気を含む高湿空気流(排気流7)を、多孔質基材10の細孔11の開口径の大きい面側に流し、2気流のうちの絶対湿度の低い空気を含む低湿空気流(給気流8)を、多孔質基材10の細孔11の開口径の小さい面側に流す点にある。
すなわち、絶対湿度の高い空気を含む高湿空気流(排気流7)側の多孔質基材10の面の細孔11の開口径(排気風路側の開口径12)を大きくしたので、絶対湿度の高い高湿空気流を多孔質基材10の細孔11内に設けた透湿性薬剤14により多く接触させて空気中の水分を透湿性薬剤14に吸収させることができるとともに、絶対湿度の低い空気を含む低湿空気流(給気流8)側の多孔質基材10の面の細孔11の開口径(給気風路側の開口径13)を小さくしたので、多孔質基材10の両面の細孔11の開口径を大きくする場合と比較して、多孔質基材10に占める細孔11による空隙の割合を減らすことができ、結果として、空隙による多孔質基材10の強度の低下を抑制することができる。そのため、全熱交換素子用仕切部材2の強度を維持しつつ、全熱交換素子用仕切部材2の透湿性を高めることができるという効果を奏する。
また、図2(c)に示すように、多孔質基材10の細孔11内に設けられた透湿性薬剤14の給気流8側の表面に凹凸部15を有することにより、低湿空気流側の透湿性薬剤14の表面積が増大し、透湿性薬剤14と低湿空気流との接触面積が増え、放湿性を高めることができる。これにより、全熱交換素子用仕切部材2の表裏の開口面積の差による吸湿量と放湿量の差を補填することができ、全熱交換素子用仕切部材2の透湿性を高めることができる。
凹凸部15の形成方法としてイオンエッチングやプラズマ照射によるエッジング方法などが挙げられるが、これに限らず他の公知の方法を用いることができる。また、この凹凸部15の高低差は、多孔質基材の給気風路側の開口径13の距離に対して1〜50%の寸法であればよく、10〜30%であればより好適である。多孔質基材の給気風路側の開口径13の距離に対して1%より少ない場合には充分な表面積が得られず、透湿性を高める効果が充分に得られず、50%よりも大きい場合には全熱交換素子用仕切部材2として強度が不足してしまう。
多孔質基材10の細孔の開口径については、多孔質基材10において、細孔11の高湿空気流(排気流7)側の開口径(排気風路側の開口径12)は、0.5〜10μmの範囲とし、細孔11の低湿空気流(給気流8)側の開口径(給気風路側の開口径13)は、0.05〜5μmの範囲とし、細孔11の高湿空気流(排気流7)側の平均開口径は、細孔11の低湿空気流(給気流8)側の平均開口径より、大としている。
本実施形態の多孔質基材10の材質は特に制限は無く、無機材料ではガラス、アルミナまたはシリカ等のセラミックス等が挙げられる。また、有機材料では、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース、セルロースアセテート、ニトロセルロース、麻、ポリエステル、ポリケトン、ポリアミド、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン‐六フッ化プロピレン共重合体等が挙げられる。形状はフィルム状のものや、不織布、織布、紙等前記条件を満たすものであれば特に制限は無く、単一材料からなるものでも複合材料からなるものでも良い。特に親水性の多孔質基材10であるガラス、アルミナ、シリカ、ポリウレタン、セルロース、セルロースアセテート、ニトロセルロース、麻、ポリアミド等が好ましい。
本実施形態の特徴である一方の面の細孔11の開口径が他方の面の細孔11の開口径より大きい多孔質基材10、いわゆる非対称多孔質膜の製造方法について説明する。なお、非対称多孔質膜の製造方法は、特に以下の方法に限定されるものではなく、非対称多孔質膜を製造できる方法であればよい。
例えば、ポリウレタン等のポリマーを溶媒に溶解させ、ポリマーを含む溶液を形成する。次に、この溶液に、非溶媒としての少量の水を加える。次に、この混合溶液をコーターによってベルトの上へキャストする。
キャストフィルムの厚さは、約1〜約200μmの間である。次に、キャストフィルムのベルトに接する面と反対のフィルムの表面を乾燥または加熱する。フィルムの表面を乾燥または加熱することにより、フィルムの表面に近い層に含まれる水が蒸発する。
一方、フィルムの表面から遠い層、すなわち、キャストしたベルトに接する面に近い層に含まれる水は、フィルムの表面に近い層と比較して蒸発しにくいため、フィルムの表面から遠い層には水が残存する。次に、フィルムを水に浸漬し、溶媒濃度を低下させポリマーを析出させることで非対称多孔質構造を形成する。次に膜を洗浄した後に、ロールに巻き取る。
その他の非対称多孔質膜の製造方法としては、公知の製造方法により生成された開口径の異なる多孔質膜を少なくとも2枚以上貼り合せて作成する方法等がある。
本実施形態の透湿性薬剤14とは、水分子に対して親和性の高い高分子化合物とする。例えば、酸性基や塩基性基等の電子の偏りを持つ極性基等の親水性官能基を持つ高分子化合物が挙げられる。例えばこのような高分子化合物を溶液として、多孔質基材10の表面に塗布し、乾燥等によって定着させることで、全熱交換素子用仕切部材2を得ることができる。
なお、透湿性薬剤14は、高分子化合物に限られることなく、水分子に対して親和性の高い低分子化合物や、無機化合物等を用いることもできる。例えば、低分子化合物としてグリセロール等、無機化合物として、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、特に塩化リチウムや塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。
また、低分子有機化合物の溶液を多孔質基材10に塗布または含浸させてから重合させることによって親水性高分子化合物を多孔質基材10内部に充填させてもよい。低分子有機化合物を用いることによって親水性高分子を充填した場合に比べ、化合物がより多孔質基材10の細孔11の内部まで入り込み、細孔11に水の移動にとって抵抗となる微細な空間が生じることを抑制することができるため、より透湿性能を向上させることができる。本実施形態において重合により親水性高分子化合物となる少なくとも1種類の低分子有機化合物とは、分子内に重合反応に関与する官能基を持つ低分子有機化合物であって、分子内に親水性官能基を持つかあるいは重合することによって重合部位に親水性官能基が生じるものであり、以下にその例を示す。
塩基性の官能基を備えた不飽和モノマーとして、例えば、第四級アンモニウム塩類およびその誘導体である[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドは第四級アンモニウム塩基およびアミド結合を備えている。この[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドに重合開始剤および/または光等でエネルギーを与えることによって、[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドにある二重結合間で重合反応が進行し、ポリ[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドとなる。第四級アンモニウム塩類およびその誘導体の他の例としては、(3‐アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、[2‐(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルビニルアンモニウムブロミド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。さらに例えば、アリルアミン、アクリルアミド、メタクリルアミド等の第一級アミンや、その塩および誘導体が挙げられる。また例えば、アクリル酸2‐(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2‐(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2‐(ジメチルアミノ)プロピル、アクリル酸3‐(ジメチルアミノ)プロピル、N‐[3‐(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド等の第二級アミン、第三級アミンやその塩および誘導体が挙げられる。
酸性の官能基を備えた不飽和モノマーとして、例えばスルホン酸基を備えた不飽和モノマーであって、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、Allyloxy‐2‐hydroxy‐1‐propanesulfonic acid等やその塩および誘導体が挙げられる。また、例えばホスホン酸基を備えた不飽和モノマーであって、アリルホスホン酸、ビニルホスホン酸等やその塩および誘導体が挙げられる。さらに例えば2‐Acrylamido‐2‐methyl‐1‐propanesulfonic acid、[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3‐スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、1‐(3‐スルホプロピル)‐2‐ビニルピリジニウムヒドロキシド分子内塩等のスルホン酸とアクリルアミドやメタクリルアミド等とからなる有機低分子およびその誘導体が挙げられる。その他に、例えばカルボキシル基等の弱酸基を備えた不飽和モノマーであって、アクリル酸、メタクリル酸、メサコン酸等やその塩および誘導体が挙げられる。
また、ヒドロキシ基を含む不飽和モノマーが挙げられ、例えば、アリルアルコールやN‐(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N‐(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、メタクリル酸2‐ヒドロキシメチル、メタクリル酸2‐ヒドロキシエチル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル、1,2‐プロパンジオール1‐メタクリラート、1,2‐プロパンジオール1‐アクリラート、2,2′‐ジアリルビスフェノールA、エチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
さらに、エーテル結合やカルボニル基、メトキシ基、エステル結合、アミド結合11、ウレタン結合、イソシアネート基等の酸素原子を含む官能基を備えた不飽和モノマーが挙げられ、例えばアクリル酸メチルやN‐イソプロピルアクリルアミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2,2,2‐トリフルオロエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、2,2,3,3‐テトラフルオロプロピルメタクリラート、メタクリル酸アリル、tert‐ブチルメタクリラート、ジウレタンジメタクリラート、アリルブチルエーテル、アリルエーテル、Allyltrifluoroacetate、N‐アリルカルバミン酸tert‐ブチル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、N‐メチル‐N‐ビニルアセトアミド、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、3‐Isopropenyl‐α,α‐dimethylbenzyl isocyanate等が挙げられる。
その他、シアノ基を含む不飽和モノマーや、窒素原子や酸素原子を環内に含む環状構造を備えた不飽和モノマーでもよく、例えば、アクリロニトリル、シアン化アリル、エチレンイミン、4‐アクリロイルモルホリン、ドデセニルコハク酸無水物、2‐Octen‐1‐ylsuccinic anhydride、N‐ビニルカプロラクタム、2‐イソプロペニル‐2‐オキサゾリン、N‐ビニルフタルイミド、2‐ビニルピリジン、4‐ビニルピリジン、1‐ビニル‐2‐ピロリジノン等が挙げられる。
以上挙げた低分子有機化合物の中で特に好ましくは、分子内にウレタン結合、アミド結合11、ウレア結合のうち少なくとも一つの結合と親水性官能基とを含むものであり、具体的には、2‐Acrylamido‐2‐methyl‐1‐propanesulfonic acid、[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3‐スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、N‐[3‐(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、(3‐アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド9、N‐(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N‐(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N‐イソプロピルアクリルアミド、ジウレタンジメタクリラート、N‐アリルカルバミン酸tert‐ブチルが挙げられる。
なお、ここで前記の低分子有機化合物のほかに、架橋剤として分子内に2個以上の重合性二重結合を有する有機化合物や、ポリマー中の官能基と反応する基を分子内に2個以上有する有機化合物を用いても良い。架橋剤を用いることで、重合後の親水性高分子化合物の吸湿性を調節することができ、またより水溶性の低いポリマーを得ることができる。特に後述するラジカル重合を用いる場合、分子内に2個以上の重合性二重結合を有する有機化合物を用いるのが好ましい。例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ジビニルベンゼン、ビスフェノールジメタクリレート、ビスフェノールジアクリレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン等が挙げられる。
これらの低分子有機化合物と、後述するような重合開始剤を用いることによって、親水性高分子化合物を得ることができる。本実施形態で細孔内部にてモノマーを重合させる方法として、例えばラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、開環重合を用いることができる。特にラジカル重合が好ましく、レドックス開始重合、熱開始重合、電子線や紫外線等を用いた光開始重合等が挙げられる。
熱開始重合、レドックス開始重合のラジカル重合開始剤として、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。また前記過酸化物と、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ホルムアミジンスルフィン酸、アスコルビン酸等の還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤が挙げられる。または2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ系ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらラジカル重合開始剤は、単独でも、二種類以上を併用してもよい。
光重合のラジカル重合開始剤として、例えば、ベンゾイン、ベンジル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キノン、チオキサントン、チオアクリドンおよびこれらの誘導体等が挙げられる。
また、低分子有機化合物の溶液を多孔質基材10に加える際に、溶液に界面活性剤をあわせて加えてもよい。界面活性剤は、多孔質基材10と低分子有機化合物の溶液との親和性を高めるものであり、例えば、カチオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両面界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
具体的には、カチオン性界面活性剤としてオクタデシルアミン酢酸塩等のアルキルアミン塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩類が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としてステアリン酸ナトリウム石けん等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸カリウム等のアルキルリン酸塩が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタンモノラウレート等のソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
両面界面活性剤として、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタインが挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤として、ペルフルオロアルキルカルボン酸、ペルフルオロアルキルスルホン酸等が挙げられる。
これら前記の薬品を溶媒へ溶解もしくは分散させ、多孔質基材10へ含浸もしくは塗布する溶液とするが、溶媒は水であっても有機溶媒であっても低分子有機化合物自体であってもよく、低分子有機化合物の溶解度の高いものを選択するとより好ましい。
全熱交換素子用仕切部材の作成方法は例えば、前記の低分子有機化合物として、[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドと前記の架橋剤として、N,N’−メチレンビスアクリルアミドと前記の重合開始剤として、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩と、前記の界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを水に溶解し、水溶液を作成する。そして、多孔質基材10として例えば、ポリウレタン製の多孔質基材10を前記水溶液内部に浸潤し、余分な水溶液を取り除いた後、加熱して作成することが挙げられる。
低分子有機化合物の溶液全体に対する質量分率は、好ましくは10wt%〜99.99wt%であり、より好ましくは30wt%〜99.99wt%である。10wt%を下回ると、重合時に十分なモノマー濃度を得られない可能性がある。99.99wt%を上回ると、他の成分、界面活性剤や重合開始剤の濃度が不足し、多孔質基材10の内部に十分に充填できない可能性がある。
架橋剤を用いる場合、その溶液全体に対する質量分率は、好ましくは、0.01wt%〜20wt%である。0.01wt%を下回ると架橋剤としての効果が十分に得られない可能性があり、20wt%を上回ると、親水性高分子化合物の網目構造がより細かくなるため水が移動しにくくなり、透湿性能が低下する可能性がある。
重合開始剤および界面活性剤の溶液全体に対する質量分率は、好ましくはそれぞれ、0.001wt%〜10wt%である。この範囲を外れると、重合が不十分となる可能性がある他、多孔質基材10の内部を十分に充填できない可能性がある。
加熱温度および加熱時間または光強度および光照射時間は、重合開始剤ごとに任意のものを用いることが出来るが、例えば前記2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を用いた場合、60℃で18時間等が好適である。
例えば前記のように、低分子有機化合物である[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドを界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムとともにポリウレタン製の多孔質基材10へ加えることによって、[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドの分子サイズの小ささとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの界面活性効果により、ポリウレタン製の多孔質基材10内部まで低分子有機化合物を充填することができる。
重合開始剤として、例えば前記のようにラジカル重合開始剤の2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を用いた場合、[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドはその分子内の二重結合が開裂し、他の分子の二重結合部位と結合していく。そのため、高分子化合物化した後は、炭化水素の主鎖に、アミド結合で親水性の第四級アンモニウム塩基を備える側鎖が多数結合している親水性高分子化合物であるポリ[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドを得ることができる。前述したように内部まで低分子有機化合物を浸透させ、その後、高分子化することで、多孔質基材10の孔内部において親水性高分子化合物の間に空隙が生じる可能性を抑制できるため、より透湿性の高い全熱交換素子用仕切部材を得ることができる。
さらに、例えば前記のように[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドを用いた場合、[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドは親水性の分子であるが、重合後は分子量が増大し疎水性が強まるためポリ[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドは非水溶性となる。そのため結露に対して溶解しにくく、結露による劣化が抑制された全熱交換素子用仕切部材を得ることができる。
またポリウレタン製の多孔質基材10を用いることで、親水性のウレタン結合が多数含まれているため、多孔質基材10自体の透湿性が高く、より透湿性の高い全熱交換素子用仕切部材を得ることができる。
さらに前述のようにラジカル重合開始剤を用いることで、重合開始初期から分子量の大きな高分子化合物が生成されるため、分子サイズの大きな分子が生じやすくなり、親水性高分子化合物の多孔質基材10からの脱落を抑制できる。また、前記[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドを用いた場合で例示したように、低分子有機化合物同士を炭素同士の共有結合によって重合することが可能であり、生成された共有結合は加水分解されないため、生成された親水性高分子化合物が加水分解されにくい。これらのことから、基材に耐水性のものを用いた場合、高い耐水性能とガスバリア性を備えた全熱交換素子用仕切部材を得ることができる。
また、多孔質基材10が薄い場合や光の透過性の高い素材を用いた場合、光重合開始剤を用いることで熱重合開始剤の場合に必要となる加熱乾燥炉が不要となるため、より少ないエネルギーで生産することが可能となり好適である。
さらに、親水性高分子化合物が立体的に凝集しやすいウレタン結合、アミド結合、ウレア結合の少なくとも一つの結合を備えることで、親水性有機化合物に含まれるウレタン結合、アミド結合、ウレア結合のうち少なくとも一つの結合と、他のウレタン結合、アミド結合、ウレア結合のうち少なくとも一つの結合とが水素結合によってひきつけあう。例えば、前記のようにポリ[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドを用いた場合、[3‐(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド由来のアミド結合が、炭化水素の主鎖にぶら下がる形で側鎖として多数存在する。アミド結合同士がその水素結合によってひきつけあうことで、その側鎖の先端に存在する第四級アンモニウム塩基もまた、近い立体配置となる。他の部位は疎水性の炭化水素鎖となることから第四級アンモニウム塩基同士も凝集しやすく、凝集しやすい親水性官能基同士が近い立体配置に来ることで、親水性官能基が凝集した部位ができ、水の通り道が生じる。その結果、より透湿性能の高い全熱交換素子用仕切部材を得ることができる。
また、熱交換形換気装置に、前記構成の全熱交換素子を用いた構成としてもよい。
この構成により、全熱交換効率が高い熱交換型換気装置を得ることができる。
なお、例えば多孔質基材10として、ポリテトラフルオロエチレンやエチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン‐六フッ化プロピレン共重合体等のフッ素系基材を用いた場合、界面活性剤として前記フッ素系の界面活性剤を用いると、より強く界面活性効果が得られるため好ましい。
なお、例えば低分子有機化合物として、2,2′‐ジアリルビスフェノールA等の非水溶性薬剤を用いた場合、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の個々の薬剤に親和性の高いものを用いると好ましい。さらに、溶媒として水を用いる場合は前記界面活性剤の量を増やしてよく懸濁して用いてもよく、またはメタノールやジエチルエーテル等の有機溶媒を用いて、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル等の難水溶性の薬剤を用いても良い。
以上のように本実施形態にかかる全熱交換素子用仕切部材は、全熱交換素子用仕切部材の強度を維持しつつ、全熱交換素子用仕切部材の透湿性を高めることを可能とするものであるので、全熱交換素子、熱交換形換気装置等に用いる全熱交換素子用仕切部材として有用である。
1 全熱交換素子
2 全熱交換素子用仕切部材
3 間隔リブ
4 風路リブ
5 排気風路
6 給気風路
7 排気流
8 給気流
10 多孔質基材
11 細孔
12 排気風路側の開口径
13 給気風路側の開口径
14 透湿性薬剤
15 凹凸部

Claims (7)

  1. 絶対湿度の高い空気を含む高湿空気流と、絶対湿度の低い空気を含む低湿空気流間に配置される全熱交換素子用仕切部材であって、複数の細孔を有する多孔質基材と、この多孔質基材の細孔内に設けられた透湿性薬剤とを備え、前記多孔質基材の細孔は、前記高湿空気流側の開口径を、前記低湿空気流側の開口径よりも大きくしたことを特徴とする全熱交換素子用仕切部材。
  2. 前記多孔質基材において、前記細孔の高湿空気流側の開口径は、0.5〜10μmの範囲とし、前記細孔の低湿空気流側の開口径は、0.05〜5μmの範囲とし、前記細孔の高湿空気流側の平均開口径は、前記細孔の低湿空気流側の平均開口径より、大であることを特徴とする請求項1記載の全熱交換素子用仕切部材。
  3. 前記透湿性薬剤は、重合により親水性高分子化合物となる少なくとも1種類の低分子有機化合物と少なくとも1種類の重合開始剤と少なくとも1種類の界面活性剤との溶液を前記多孔質基材へ含浸もしくは塗布した後、熱または/および光を加えることによって、前記多孔質基材の細孔内に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の全熱交換素子用仕切部材。
  4. 前記多孔質基材として分子内にウレタン結合を備えたポリウレタン多孔質基材を用いた構成を特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の全熱交換素子用仕切部材。
  5. 前記多孔質基材の細孔内に設けられた透湿性薬剤は、低湿空気流側の表面に凹凸を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の全熱交換素子用仕切部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つに記載の全熱交換素子用仕切部材を用いた全熱交換素子。
  7. 請求項6に記載の全熱交換素子を用いた熱交換形換気装置。
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