JP2013240591A - 白金ナノ粒子水溶液並びにそれを用いた空気清浄機、加湿器、加湿器付き空気清浄機及び多孔質フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】白金ナノ粒子の高い抗菌性・消臭性を利用した低価格な空気清浄機等を実現する。
【解決手段】1リットルの水により溶解して成る白金ナノ粒子を含む白金ナノ粒子水溶液の原液を、更に400倍、800倍、又は1500倍の内の何れかの倍率の容量の水で希釈化された白金ナノ粒子水溶液を作成する。この希釈化された白金ナノ粒子水溶液に多孔質フィルタ3を予め含浸等しておき、その上で白金ナノ粒子水溶液を吸い取った多孔質フィルタ3を乾燥させる。シート状の多孔質フィルタ3は、その内部に、上下・左右にジグザグに折れ曲がった数μmの空気の通路となる多数の貫通孔を有している。吸入ファン2より放出される空気AAの流れは、フィルタ3の正面に当たって、その中の各貫通孔の通路を通り抜ける。その通路内には、高い抗菌性・消臭性を有する多数の白金ナノ粒子が存在している。
【選択図】図2
【解決手段】1リットルの水により溶解して成る白金ナノ粒子を含む白金ナノ粒子水溶液の原液を、更に400倍、800倍、又は1500倍の内の何れかの倍率の容量の水で希釈化された白金ナノ粒子水溶液を作成する。この希釈化された白金ナノ粒子水溶液に多孔質フィルタ3を予め含浸等しておき、その上で白金ナノ粒子水溶液を吸い取った多孔質フィルタ3を乾燥させる。シート状の多孔質フィルタ3は、その内部に、上下・左右にジグザグに折れ曲がった数μmの空気の通路となる多数の貫通孔を有している。吸入ファン2より放出される空気AAの流れは、フィルタ3の正面に当たって、その中の各貫通孔の通路を通り抜ける。その通路内には、高い抗菌性・消臭性を有する多数の白金ナノ粒子が存在している。
【選択図】図2
Description
この発明は、極めて高い抗菌・抗ウィルス及び消臭の性能を奏する低コスト化可能な、白金ナノ粒子を含む水溶液(以下「白金ナノ粒子水溶液」という。)、並びに、当該白金ナノ粒子水溶液を利用して成る空気清浄機、加湿器、及び加湿器付き空気清浄機に関する。
又、この発明は、白金ナノ粒子水溶液を利用した種々の製品(用途商品:例えば院内空気清浄機)に於いて適用される多孔質フィルタに関する。
市場に於いて販売されている従来の空気清浄機のフィルタには、いわゆるHEPAフィルタと言われる「高性能エアフィルタ」が採用されている。
又、超音波式の加湿器においては、例えば水道水の水分を含んだ容器に対して超音波が引加されることにより水から蒸気が発生される。
HEPAフィルタは、一枚の素材をジグザグに折り曲げて成るフィルタであり、そのために、蛇腹の様なギザギザ状の表面を有している。そして、HEPAフィルタは、この表面形状によって、当該HEPAフィルタを通過する空気中に含まれる微細なホコリ等の粒子又は細菌等の有害な菌を捕集する。
しかしながら、HEPAフィルタのギザギザな表面部分に捕集された細菌等は、当該HEPAフィルタ内で、時間の経過と共に、繁殖又は増殖する。その結果、HEPAフィルタ内に、細菌等の有害な菌又は悪臭の粒子が充満することになる。
その為に、業務用のHEPAフィルタを交換するときには、HEPAフィルタ内には多数の細菌等の有害な菌が充満して生存しているので、完全防備体制を備えた専門の技術者が、担当者として、HEPAフィルタを交換している。特に、院内感染の元になる細菌等の人体に有害な菌の発生に注意を払っている病院に於いては、HEPAフィルタを用いた空気清浄機を取り扱う際に、多大な注意を払い且つ十分な管理体制を敷いている。
そこで、この様な多大なる注意・管理を払う必要性が無く、且つ、高い抗菌性及び消臭性を有する低コストの空気清浄機の実現性が要望されている。
又、従来の超音波式の加湿器のフィルタは、発生させた超音波を水に伝えて蒸発させた水分を室内に流出して室内の湿度を高めることは出来るが、放出される気体中の悪臭の源となる粒子及び細菌等の人体に有害な菌に対する消臭性及び抗菌性を奏することが出来ないという難点がある。そのため、院内感染の防止に努めている病院に於いては、従来の加湿器は、院内感染防止対策用の機器として採用され得ない。又、容器内の水内に、悪臭を放つ粒子又は有害な細菌等が繁殖・増殖するという問題点も改善されないままである。
<本発明の主目的>
本発明は、上記の様な現状認識を踏まえて成されたものである。
本発明は、上記の様な現状認識を踏まえて成されたものである。
その主目的の第1は、室内の空気中の悪臭等の臭いの源(粒子)を繁殖及び増殖させてしまうことなく、確実にハウスダスト・花粉等の嫌な臭いの源(粒子)を捕集して消臭すると共に、空気中に含まれる人体に有害な菌(例えば、バクテリア)に対する確実な抗菌性能をも奏する空気清浄機を、HEPAフィルタを用いることなく、低コストで実現化することにある。
加えて、本発明の主目的の第2は、高い消臭性及び高い抗菌性の性能を有する白金ナノ粒子を、病院の病室・通路又はオフィスビルの室内或いは家屋の室内に放出して、病室等に存在する悪臭の源となる粒子及び細菌等の有害な菌を殺傷し得る性能を、加湿作用と共に併せ有する加湿器を、低コストで実現化することにある。
更に、その主目的の第3は、上記空気清浄機と上記加湿器とを併有する加湿器付き空気清浄機を、低コストで実現化することにある。
即ち、使用中に細菌等がその内部のHEPAフィルタ中に充満して増殖してしまう従来の空気清浄機又は加湿器に代わって、1)フィルタの交換時において、細菌等の有害な菌に対する厳格なる注意を払う必要性が無く、且つ、感染防止対策としての管理体制を整える必要性の無い、空気清浄機、又は、2)加湿効果と共に除菌効果をも奏する加湿器、又は、3)当該加湿器付きの空気清浄機を低コストで提供する点が、本願発明の目的である。そして、本発明は、その様な用途発明品(空気清浄機)の実現化に於いて、研究・開発された「多孔質フィルタ」の適用を提供する。
本発明の第1主題に係る白金ナノ粒子水溶液は、1リットルの水により溶解された、粒径がナノサイズの白金ナノ粒子を含む白金ナノ粒子水溶液の原液を、400倍の水により希釈化して成ることを特徴とする。
本発明の第2主題に係る多孔質フィルタは、吸入された空気の流れを受ける正面と、前記正面に対向した背面と、ジグザグに折れ曲がりながら前記正面から前記背面にまで連なった空気の通路を成すマイクロサイズの複数の貫通孔とを備えることを特徴とする。
本発明の第1主題によれば、白金ナノ粒子が有する高い抗菌・消臭性能を同様なレベルで発揮し得る白金ナノ粒子水溶液のコストを格段に低減することが出来る。
そして、本発明の第1主題に於いては、この様な高い抗菌・消臭性能をなおも持続する、実用化のレベルまでに低コスト化された白金ナノ粒子水溶液を応用することによって、既成の空気清浄機等の製品と比較して高い抗菌性能及び高い消臭性能を発揮し得る低コストの空気清浄機、加湿器、及び加湿器付き空気清浄機の実用化を図ることが出来る。
本発明の第2主題によれば、高い抗菌・消臭性能をなおも持続する、実用化のレベルまでに低コスト化された白金ナノ粒子水溶液及び多孔質フィルタを適用することによって、既成の空気清浄機等の製品と比較して高い抗菌性能及び高い消臭性能を発揮し得る低コストの空気清浄機の実用化を図ることが出来、その際に「多孔質フィルタ」が威力を発揮する。
以下、本発明の様々な具体化を、添付図面を基に、その効果・利点と共に、詳述する。
(実施の形態1)
<白金ナノ粒子水溶液の原液を用いた、低価な白金ナノ粒子水溶液(「白金水溶液」とも言う。)の開発>
<白金ナノ粒子水溶液の原液を用いた、低価な白金ナノ粒子水溶液(「白金水溶液」とも言う。)の開発>
粒径がナノサイズの白金の粒子(以下「白金ナノ粒子」という。)は、極めて高い殺傷能力の抗菌性・抗ウィルス性及び消臭性と言う性能を奏する貴金属の粒子である。この白金ナノ粒子の持つ抗菌性・抗ウィルス性等の性能を発揮し得る、白金ナノ粒子が水中に溶け込んだ低価格な白金ナノ粒子水溶液の実現化が希求されるところである。
1リットルの水(例えば精製水又は純水等。)により溶解された、上記の極めて高い抗菌・消臭性能を長時間の経過と共に持続して発揮し得る白金ナノ粒子を含んだ水溶液(白金ナノ粒子水溶液)は、取引市場より入手可能な商品である。この様な1リットルの容量の水で溶解された白金ナノ粒子水溶液がほぼ完璧な「抗菌性能」及び「消臭性能」を奏する点は、信頼し得る試験測定機関に於ける厳密な測定結果により、既に実証済みの公知事実である。以下では、上記の1リットルの精製水等で白金ナノ粒子の粉が溶解された「白金ナノ粒子水溶液」を、「白金ナノ粒子水溶液の原液」という。
上記の市場より購入出来る「白金ナノ粒子水溶液の原液」は、大腸菌等のバクテリア(細菌)に対する抗菌性を発揮すると共に、ノロウィルス又は鳥インフルエンザのウィルス又はサーズウィルス又はエイズのウィルス等の各種ウィルスに対する抗ウィルス性をも発揮することが、試験結果により実証されている。加えて、本白金ナノ粒子水溶液の原液は、アンモニア等に対する極めて高い消臭性をも発揮し得ることも、既述の通り、試験により実証されている。
しかしながら、この「白金ナノ粒子水溶液の原液」をそのまま利用して、その種々の用途発明たる「用途商品」(空気清浄機又は加湿器等。)を実現するには、白金は稀有な貴金属であり、そのため高価であるので、当該白金ナノ粒子水溶液の原液のコストが高くなるという難点がある。
即ち、後述する実施の形態2に於いて記載する空気洗浄機のフィルタに使用する白金ナノ粒子水溶液として、上記の白金ナノ粒子水溶液の原液を使用することは、当該フィルタを交換時期に交換する度に白金ナノ粒子水溶液の原液を使用することとなり、実用化の観点から検討した場合には、コストの点で、実用性に適合しない。
そこで、本願の発明者は、図1に模式的に示す様に、1リットルの水(精製水又は純粋等)で白金ナノ粒子を溶解して成る白金ナノ粒子水溶液の原液OPLに、更に上記の水HLを加えることで、原液OPLを希釈化して水溶液中に溶解している白金の濃度値を更に小さくすることで、x(x>1)リットルの水で白金ナノ粒子を溶解して成る希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLを作成した。そして、原液OPLに対してx倍に希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLの抗菌性・消臭性が、xの値を如何なる値に設定すれば、時間の経過に拘らず原液OPLの希釈化後もなお保たれているか否かを試験してみた。
xの値が400、即ち、原液OPLに対して400倍の水により希釈化されて成る白金ナノ粒子水溶液PSLの抗菌性試験の結果を、下記の表1及び表2に示す。
当該抗菌性試験は、「一般財団法人ボーケン品質評価機構」に対して、本願発明者が上記の白金ナノ粒子水溶液PSLを提出して抗菌試験を委託したことにより行われた試験である。そして、その試験方法は、JIS1902:2008定量試験(菌液吸収法)を準用したものであり、生菌数の測定方法は混釈平板培養法に依っている。尚、以下に示す各抗菌試験に於ける試験方法及び生菌数の測定方法も、上記と同一である。表1及び表2に示される抗菌試験に於ける試験菌株は、院内感染の起炎菌として知られるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)である。
表1に示される通り、試験の比較対象の標準綿布には、MRSAの菌が、その接種直後から18時間経過時においては、増殖値2.6の数字が明らかにしている通り、増殖している。これに対して、表2は、原液OPLに対して400倍に希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLから採取された0.4gの液量の白金ナノ粒子水溶液が試験対象の綿布に浸み込まされた後に、MRSAの菌液0.2mlが上記綿布に接種された場合の測定結果である。
表2の結果に示されている通り、MRSAの接種直後から18時間経過後の綿布に生息しているMRSAの菌数の常用対数値は、1.3以下であり、表1の場合と比較して各段に生菌数が減少していることが裏付けられている。JIS規格で定められた判定基準によれば、表2に表示されている「静菌活性値」が、試験対象の液体試料に「抗菌性」の性質が有るか否かを判定する際のメルクマールであり、その「静菌活性値」が2.0以上あれば、「抗菌性有り」との合格の判定が下される。表2の試験に於いては、「静菌活性値」は、合格判定の閾値である2.0を遥かに上回る、5.7以上の値である。
従って、本願発明者が図1のx倍の値として採択した400倍の希釈度の白金ナノ粒子水溶液PSLであっても、当該白金ナノ粒子水溶液PSLは、MRSAの菌に対して十分に抗菌性を有していることが、当該試験結果より実証されている。
このことは、原液OPLに対して400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLは、院内感染の起因菌として知られるMRSAを病院内に於いて消滅させてしまうための、実現化可能な低コストの抗菌剤として応用可能であることを、意味している。
又、本願発明者は、「一般財団法人ボーケン品質評価機構」に対して、上記の400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLが「黄色ぶどう球菌」に対しても「抗菌性」という性能(抗菌性能)を有するか否かの試験を委託した。その試験結果が、以下の表3及び表4に示す結果である。尚、既知の通り、「黄色ぶどう球菌」は、表皮感染症又は食中毒、或いは、肺炎、髄膜炎、敗血症等の致死的となる様な感染症の起因菌である。
当該抗菌性試験に於いても、表1及び表2の抗菌性試験の場合と同様に、上記の白金ナノ粒子水溶液PSLから0.4gの白金ナノ粒子水溶液が採取され、0.2mlの容量の「黄色ぶどう球菌」の菌液が試験対象の綿布に接種されている。
表3の結果と比較しつつ表4の試験結果を参照すれば、一目瞭然の結果として、400倍の水で希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLが、「黄色ぶどう球菌」に対してもなお、「抗菌性」を有することが理解される。表4に於いて、表2の場合と同様に、「静菌活性値」は5.9以上であり、400倍の水で希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLの「抗菌性」は、十分に合格であると判定される。
更に、本願発明者は、「一般財団法人ボーケン品質評価機構」に対して、上記の400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLが「肺炎桿菌(クレブシエラ・ニューモニエ)」に対しても「抗菌性」を有するか否かの試験を委託した。その試験結果が、以下の表5及び表6に示す結果である。尚、既知の通り、「肺炎桿菌」は、呼吸器感染症、尿路感染症などを引き起こす弱毒菌である。
当該抗菌性試験に於いても、表1及び表2の抗菌性試験の場合と同様に、上記の白金ナノ粒子水溶液PSLから0.4gの白金ナノ粒子水溶液が採取され、0.2mlの容量の「肺炎桿菌」の菌液が試験対象の綿布に接種されている。
表5の結果と比較しつつ表6の試験結果を参照すれば、18時間経過後の生菌数の常用対数値は1.3以下と格段に減少しており、且つ、「静菌活性値」に関しては、6.4以上と、合格判定を成すには十分な高い値が検出されている。よって、上記の400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLは、「肺炎桿菌」に対しても、十分な「抗菌性」を有していることが理解される。
尚、上記の400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLは、アンモニア、酢酸、又は、イソ吉草酸等の悪臭の源となる粒子に対する相対的に高い消臭性能をも発揮し得る
上記の各試験結果によれば、水(精製水、純粋等。)による白金ナノ粒子水溶液の希釈度が400倍の場合には、「静菌活性値」は合格判定の閾値2.0よりも十分高い値であり、400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液は依然として高い「抗菌性能」を有している。又、400倍の水(精製水、純粋等)により希釈化された白金ナノ粒子水溶液は、十分に高い「消臭性能」をも呈する。
そうであるならば、1リットルの水で白金ナノ粒子が溶解された白金ナノ粒子水溶液の原液に対して400倍に希釈化された白金ナノ粒子水溶液は、相対的に高い「抗菌性」を備えていると、言える。或いは、400倍以内の範囲内の希釈度(例えば、200倍、300倍。)で希釈された白金ナノ粒子水溶液は、相対的に高い「抗菌性」を備えていると、思料される。又、400倍以内の範囲内の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液は、「消臭性能」をも併せ有するとも、思料される。
ここで、下記の表7は、本発明者が開発・実用化した、白金ナノ粒子水溶液の原液OPLに対して400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLと、各社の製品との、抗菌性能の比較結果を示す試験結果である。試験に用いられた菌株は、黄色ブドウ球菌であり、抗菌性試験の方法は、表1及び表2に於いて既述された試験方法と同一である。又、標準綿布に於ける生菌数の常用対数値は、試験菌株が接種された直後では4.4であり、18時間経過後においては7.2であって、増殖値は2.8である。尚、当該比較試験も、「一般財団法人ボーケン品質評価機構」に委託して行われた。
表7において、試料(1)は、A社により開発された、空気中の水分から生成される微粒子イオンであり、空気清浄機に於ける一つの除菌方法(空気中に微細なイオンを放出し、浮遊ウィルスを分解・除去する方法。)に用いるイオンに応用されている。又、試料(2)は、B社が開発したイオンであり、上記の試料(1)と同じく、空気清浄機に於ける上記除菌方法に用いるイオンに応用されている。又、試料(3)は、C社の消臭器用の製品である。又、試料(4)は、本願の発明者により開発された上記の希釈化された白金ナノ粒子水溶液中に浸された後に自然乾燥された生地である。
表7に示す通り、試料(1)、(2)及び(3)の各々の「静菌活性値」の値は、0.3、0.3,0.2と、軒並み低い値であるのに対して、試料(4)の「静菌活性値」は5.0であって、他の試料(1)、(2)及び(3)の値と比較して、突出した高い値となっている。
この比較試験結果から明白な通り、原液OPLに対して400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLは、極めて高い抗菌性能を備えていることが理解される。しかも、白金ナノ粒子水溶液PSLは、単に400倍の容量の水で以って、1リットルの水でナノサイズの粒子である白金を溶解して成る原液OPLを希釈化して成る水溶液なので、原液OPLと同程度の抗菌性能を維持したままで、そのコストを削減化出来る点は、実用化の観点から見れば、極めて大きい効果・有用性である。
尚、上記の各表2,4,6,7で示された「殺菌活性値」及び「静菌活性値」は、以下の式で以って算出される。即ち、「殺菌活性値」=Ma−Mc、「静菌活性値」=(Mb−Ma)−(Mc−Mo)である。ここで、Maは、標準綿布への試験菌株の接種直後に於ける生菌数の常用対数値であり、Mbは、標準綿布への試験菌株の接種直後から18時間が経過した後の生菌数の常用対数値である。これに対して、Moは、試験試料への試験菌株の接種直後に於ける生菌数の常用対数値であり、Mcは、試験試料への試験菌株の接種直後から18時間が経過した後の生菌数の常用対数値である。この点は、後述する表10に於いても同様である。
更に、本願発明者は、一層の白金ナノ粒子水溶液の低コスト化を図るべく、xの値が400の2倍である800倍に、即ち、原液OPLに対して800倍の水により希釈化されて成る白金ナノ粒子水溶液PSLを作成して、その消息性試験を行った。当該消息性試験も、「一般財団法人ボーケン品質評価機構」に委託して行われた。その試験結果を、以下の表8に示す。
本消息性能試験に於ける試験方法及び条件は、(社)繊維評価技術協議会の消息加工繊維製品認証基準を準用したものである。本消息性能試験に於けるガス初期濃度に関しては、アンモニアが1000ppm(10ml)、酢酸が50ppm(10ml)、及び、イソ吉草酸が約38ppm(10ml)である。そして、測定時間は、試験開始時から2時間経過後である。尚、消臭効果減少率が75%以上の結果が、合格結果である。
表8を参酌すると、アンモニア、酢酸及びイソ吉草酸の各々の減少率は、それぞれ、87%、98%、及び、99%以上との結果が報告されている。斯かる結果より、原液OPLに対して800倍の水により希釈化されて成る白金ナノ粒子水溶液PSLは、原液OPLに引けを取らない十分なる「消息性能」をなおも維持していることが、確認された。
更に、本願発明者は、より一層の白金ナノ粒子水溶液の低コスト化を図るべく、xの値が1500倍に、即ち、原液OPLに対して1500倍の水により希釈化されて成る白金ナノ粒子水溶液PSLを作成して、その抗菌性能試験を行った。当該抗菌性能試験も、「一般財団法人ボーケン品質評価機構」に委託して行われた。その試験結果を、以下の表9及び表10に示す。
当該抗菌性能試験は、原液OPLに対して1500倍に希釈化して成る白金ナノ粒子水溶液PSLが、「黄色ブドウ球菌」に対して「抗菌性」を奏するか否かの試験であり、表1及び表2の抗菌性試験の場合と同様に、上記の白金ナノ粒子水溶液PSLから0.4gの白金ナノ粒子水溶液が採取され、0.2mlの容量の「黄色ブドウ球菌」の菌液が試験対象の綿布に接種されている。表8の結果と比較しつつ表9の試験結果を参照すれば、18時間経過後の生菌数の常用対数値は1.3以下であって、表2の場合と同様に格段に減少しており、且つ、「静菌活性値」は、5.9以上の結果値であり、この値は、「抗菌性有り」の合格判定を成すには十分に高い値である。よって、上記の希釈度1500倍にまで希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLは、「黄色ブドウ球菌」に対しても、十分な「抗菌性能」を依然として有していることが理解される。
更に、本願発明者は、原液OPLに対して1500倍の水により希釈化されて成る白金ナノ粒子水溶液PSLの消息性試験をも行った。当該消息性試験も、「一般財団法人ボーケン品質評価機構」に委託して行われた。その試験結果を、以下の表11に示す。
本消息性能試験に於ける試験方法及び条件は、(社)繊維評価技術協議会の消息加工繊維製品認証基準を準用したものである。本消息性能試験に於けるガス初期濃度に関しては、アンモニアが1000ppm(10ml)、酢酸が50ppm(10ml)、及び、イソ吉草酸が約38ppm(10ml)である。そして、測定時間は、試験開始時から2時間経過後である。800倍の希釈度の場合と同様に、消臭効果減少率が75%以上の結果が、合格結果である。
表11を参酌すると、アンモニア、酢酸及びイソ吉草酸の各々の減少率は、それぞれ、88%、99%以上、及び、99%以上との結果が報告されている。斯かる結果より、原液OPLに対して1500倍の容量の水により希釈化されて成る白金ナノ粒子水溶液PSLもまた、原液OPLに引けを取らない十分なる「消息性能」をなおも維持していることが、確認された。
上記の各試験結果によれば、水(精製水、純粋、減菌済みイオン交換水等)による白金ナノ粒子水溶液の希釈度が400倍或いは1500倍の場合には、「静菌活性値」は合格判定の閾値2.0よりも十分高い値であり、400倍或いは1500倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液は依然として高い「抗菌性能」を有している。又、800倍或いは1500倍の水(精製水、純粋、減菌済みイオン交換水等)により希釈化された白金ナノ粒子水溶液は、十分に高い「消息性能」を呈している。そうであるならば、1リットルの水で白金ナノ粒子が溶解された白金ナノ粒子水溶液の原液に対して400倍、又は800倍、又は1500倍に希釈化された白金ナノ粒子水溶液は、共に相対的に高い「抗菌性」及び「消息性能」を備えていると、言える。或いは、400倍及び1500倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液が何れも高い「抗菌性能」を有していることが確認されたことから、1500倍までの範囲内の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液は、相対的に高い「抗菌性」を備えていると、思料される。又、同様な推測から、1500倍までの範囲内の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液は、相対的に高い「消息性能」をも併せ有するとも、思料される。
以上より、本願発明者は、抗菌性・消臭性・抗ウィルス性を備えた「白金ナノ粒子の水溶液の原液」から、その原液の各種の性能をなおも保持したままで実用性のレベルから見て各段に低コスト化可能な希釈化された白金ナノ粒子水溶液を開発・実現化することが出来たのである。この点の意義の大きさは、以下の実施の形態2で記載する各種の用途発明への展開が可能となった点において、見出される。
(実施の形態2)
<多孔質フィルタ及び白金ナノ粒子水溶液の用途発明1:空気清浄機>
<多孔質フィルタ及び白金ナノ粒子水溶液の用途発明1:空気清浄機>
図2は、原液OPLに対して400倍又は800倍又は1500倍の何れかの希釈度で、又は、1500倍までの範囲内の希釈度で、水(精製水等)により希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLを空気清浄機のフィルタに応用した場合の空気清浄機1に於ける中核部分を模式的に示す図である。その核となる構成要素は、吸入された空気が通り抜けるフィルタ3の構成にある。
図2に於いて、吸入ファン2は、空気清浄機1の外部の空気、即ち、室内の空気AIを当該空気清浄機1内に吸入する。吸入された空気AAは、止め部3SA,3SBによる両端部の支持によって、それ自体が弛まずに張られた、従来のHEPAフィルタに対して相対的に薄いシート状又は布状の多孔質フィルムから成るフィルタ3を通り抜ける。このフィルタ3を成すシート状の多孔質フィルタの厚みは、例えば0.5mmである。フィルタ3を通り抜けた空気ABは、フィルタ3によって消臭され且つ抗菌作用を受けて清浄化された空気となって、吹出口4から、空気清浄機1の外部(室内空間)へ送出される。室内空気AI又は吸入された空気AA中に含まれる動物の臭いの分子、杉或いはヒノキ等の花粉、ダニ等の粉塵、チリ・埃等のハウスダスト等は、後述する特異な空気の通路の構造を備える多孔質フィルタによって捉えられて外部へ排出されることは無く、その結果、フィルタ3内を通り抜ける空気AAの嫌な臭いは、消臭される。
空気清浄機1の中核部であるフィルタ3を成すシート状の多孔質フィルタの両端は、止め部3SA,3SBによって支持されている。この取付け及び支持の前段階に於いて、予め、シート状の多孔質フィルタは、実施の形態1に係る白金ナノ粒子水溶液PSL(原液OPLに対して400倍又は800倍又は1500倍の何れかの希釈度で、又は、1500倍までの範囲内の希釈度で以って、水により希釈化された白金ナノ粒子水溶液。図1参照。)中に含浸される。或いは、シート状の多孔質フィルタの全面は、当該白金ナノ粒子水溶液PSLが入っているスプレーによって白金ナノ粒子水溶液PSLを均一に吹き付けられる。この処理により、相対的に薄いシート状のフィルタ3は、全体的に、白金ナノ粒子水溶液PSLを含むことになる。そして、シート状のフィルタ3の全体に浸み込んだ白金ナノ粒子水溶液PSLは自然に又は強制的に乾燥される。この乾燥処理を通じて、極めて高い抗菌性能・消臭性能を備えたナノサイズの白金粒子は、シート状のフィルタ3の内部全体に亘って分散されて存在する。
しかも、薄いシート状のフィルタ3は、従来の空気清浄機で用いられるHEPAフィルタとは異なり、多孔質のフィルタである。このシート状のフィルタ3の特異な内部構成は、図2中に丸印で囲んで成る極所部分3Pの拡大縦断面図である図3に、一例として示されている。即ち、フィルタ3は、フィルタ3の内部を連続的に左右方向又は上下方向(図3の例示では、便宜上、上下方向のジグザグ構造のみが示されている。)にジグザグ状に折れ曲がりながらフィルタ3を貫通する複雑な形状の空気通気路として、多数の貫通孔3PHを有している。詳述すれば、シート状の多孔質フィルタ3は、(1)吸入ファン2に対向して吸入された空気の流れを受ける正面3FSと、(2)正面3FSに対向した背面3BSと、(3)連続的に左右又は上下の方向にジグザグ状に折れ曲がりながら複雑な空気の通路ないしは経路を成す、正面3FSから背面3BSにまで連なった複数(多数)の貫通孔3PHとを備える。この貫通孔3PHのサイズは、数μmである。そして、各貫通孔3PH内には、当該フィルタ3全体に亘ってその内部に浸み込んだ白金ナノ粒子水溶液PSLが自然乾燥等により乾燥されることによって、サイズが数nmの多数の白金ナノ粒子が散在している。
この様な構造を有するシート状の多孔質フィルタ3は、当該フィルタ3内を通り抜けようとする空気AAに対して、次の様な消臭・抗菌作用を呈する。即ち、吸入ファン6の吸入作用によって、ある加速度を与えられてフィルタ3側へ向けて押し出された空気AAの流れは、フィルタ3の各貫通孔3PH内に流れ込んでいく。各貫通孔3PH内に流れ込んだ空気AAの流れは、当該貫通孔3PHが有する複雑に折れ曲がった連続的なジグザグ構造を通り抜けていく。その空気の流れの通り抜けの過程において、空気AA中に含まれる上記の花粉、粉塵及びハウスダスト等の嫌な臭いの源の粒子は、次から次へとジグザグ構造の通路壁に付着していき、その複雑に連続的に折れ曲がったジグザグ構造の故に、当該通路壁に取り込まれた上記の嫌な臭いの源の粒子は、ジグザグ構造の通路より分離して当該貫通孔3PHの出口側に向けて飛び出していくことが出来なくなる。しかも、各貫通孔3PHの通路内には、既述の多数の白金ナノ粒子が存在している。このため、ジグザグ構造の通路内を空気AAが流れていくことにより、当該空気AA中に含まれている人間にとって有害な菌(例えばバクテリア(細菌))は、実施の形態1において記載した試験結果から実証されている通り、白金ナノ粒子の持つ抗菌性能の作用により、殺菌されてしまう。その結果、シート状の多孔質フィルタ3の各貫通孔3PHの背面3BS側の出口から流れ出てくる空気ABは、上記の嫌な臭いの源の粒子を殆ど含まず、且つ、白金ナノ粒子が有する極めて高い値の抗菌性能により有害菌が悉く殺されているので、十分に消臭され且つ殺菌された清浄な空気となっている。この清浄な空気ABは、吹出口4より室内へ吹き出される。
本空気清浄機1に於いては、同機1内に吸入された空気AAの流れは、多孔質フィルタ3の各貫通孔3PHが有する連続的ジグザグ構造の通路を必ず通り抜けないと、多孔質フィルタ3の背面3BSから吹出て排出されることがない。そのため、空気中の悪臭の源の粒子又は細菌等の有害な菌がフィルタにより捉えられることなく、当該フィルタを、吸入された室内空間の空気が通り抜けて出てくるという事態は発生しない。従って、悪臭の粒子及び/又は細菌等の有害な菌を含む空気が、多孔質フィルタ3の内部を通り抜けることで、悪臭の源の粒子及び細菌等の有害な菌が消臭・抗菌される結果、細菌等を含まない清浄化された空気が、本空気清浄機1より、室内の空間に放出される。
この作用・効果に鑑みれば、本空気清浄機1は、例えば、院内又は屋内での細菌等の有害菌の感染の発生を防止し得る空気清浄機としての用途(院内又は屋内での感染対策用品。)を備えることになる。
しかも、本空気清浄機1においては、従来の空気清浄機の様なHEPAフィルタをフィルタとして用いていないので、高い抗菌性能を備えた多孔質フィルタ3の交換の際に、細菌等の人体に有害な菌の感染防止対策を別途に採る必要性が無い。感染防止のための完全防備を備えた専門の技術者・作業者が、空気清浄機用のフィルタの交換を行う必要性がなくなるのである。
この様な高い消臭性能及び抗菌性能を同時に併せ備える本実施の形態に係る空気清浄機1は、実施の形態1に於いて記載した希釈化された低コストの白金ナノ粒子水溶液PSLの応用によって、低コスト・高パフォーマンスの細菌感染対策用空気清浄機として実現される。
又、既述の通り、フィルタ3が極めて薄いシート状の物であるので、吸入ファン2によってフィルタ3へ向けて送り出す空気の流れAAの加速度を従来品と比較して高める必要性は無いので、その分、吸入ファン3が送り出す風量を比較的に減らすことが出来、その結果、消費電力を減少させて、地球の環境に優しい省エネ効果も同時に得られる。
<用途発明1の変形例>
中高層ビルにおいては、その屋上に配置された空調機に新鮮な空気を送って換気するために、地下室に設けられたファンで空気を吸い込んでダストを通じて空気を送っている。しかし、比較的長期の使用により、塵等の埃がダスト内に吸引・残存して空気の汚れをもたらす。或いは、人間の身体にとって有害な細菌がダスト内に吸引されて増殖する場合には、そのために、ファンに吸引される空気の汚染が深刻な問題となる。
中高層ビルにおいては、その屋上に配置された空調機に新鮮な空気を送って換気するために、地下室に設けられたファンで空気を吸い込んでダストを通じて空気を送っている。しかし、比較的長期の使用により、塵等の埃がダスト内に吸引・残存して空気の汚れをもたらす。或いは、人間の身体にとって有害な細菌がダスト内に吸引されて増殖する場合には、そのために、ファンに吸引される空気の汚染が深刻な問題となる。
そこで、ファンの後段部側に、図3に示した構造を備えた多孔質フィルタを備えた図2に例示した空気清浄機を配備する。この応用により、上記の問題点は、一挙に解決される。
<用途発明2:超音波式加湿器>
図4は、原液OPLに対して400倍、800倍、又は1500倍の内の何れかの倍率の希釈度で水(精製水等)により希釈化された白金水溶液PSLを超音波式の加湿器5に応用した場合の、加湿器5に於ける中核部分を模式的に示す図である。その核となる構成要素は、超音波により蒸発される水溶液が、上記の希釈化された白金水溶液PSLである点にある。
図4は、原液OPLに対して400倍、800倍、又は1500倍の内の何れかの倍率の希釈度で水(精製水等)により希釈化された白金水溶液PSLを超音波式の加湿器5に応用した場合の、加湿器5に於ける中核部分を模式的に示す図である。その核となる構成要素は、超音波により蒸発される水溶液が、上記の希釈化された白金水溶液PSLである点にある。
図4に於いて、容器6内には、原液OPLに対して400倍の希釈度で水により希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSL(図1参照。)が、蓄えられている。本用途例に於いても、原液OPLが容器6内に蓄えられていたのでは、コスト的に見合わないので、希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLが、代わって、容器6内に蓄えられる。この白金ナノ粒子水溶液PSLの消臭性能及び抗菌性能は、原液OPLのそれらの性能と同程度であることは、実施の形態1に於いて既述した通りである。そのため、容器内の水が、悪臭を放ったり、有害な菌により汚染されたりすることは無い。
そして、この容器6は、所定範囲内の振動数を有する超音波を発生させる超音波発生器7に繋がれている。
一般的な超音波式の加湿器の原理と同じ原理で、超音波発生器7は、白金ナノ粒子水溶液PSLを蒸発し得る振動レベルを有する、所定の振動数範囲内の超音波を発生して、その超音波を白金ナノ粒子水溶液PSLで充満された容器6に伝導する。加湿器5は、その超音波の振動の印加により、容器6内に蓄えられた白金ナノ粒子水溶液PSLを蒸発させることで、白金ナノ粒子水溶液PSL中の白金ナノ粒子を含んだ水分の流れABAを吹出口8より室内に送出する。従って、実施の形態1で既述した様に、高い抗菌性能及び消臭性能を有する白金ナノ粒子の流れが、水分を含んだ気体の流れABAに紛れ込んで、加湿対象の部屋内の空間に放出される。放出された白金ナノ粒子の流れは、屋内の空間中に分散され、それぞれの白金ナノ粒子は、加湿対象の部屋内の空間に存在する細菌等の有害菌を、その抗菌性によって、消滅させることが出来る。
その結果、(1)水分の流れABAは、当該部屋内の湿度を高めると共に、水分の流れABAに紛れ込んで放出された多くの白金ナノ粒子は、その部屋内の空間に放散される。その結果、(2)放出された多くの白金ナノ粒子は、実施の形態1で記載した様に、それ自体が消臭性能を有するので、部屋内に存在する上記の嫌な臭いを放つ源(花粉等の粒子)自体を消失させてしまう作用を成す。更に、(3)放出された多くの白金ナノ粒子は、部屋の壁等の物に付着して生息している、或いは、部屋の空間内を漂っている、人体に有害な菌(バクテリア等)を殺傷する作用をも成す。
これらの作用により、白金ナノ粒子水溶液PSLを利用した加湿器5は、加湿効果に加えて、当該部屋の各部とその室内空気の両方を同時に除菌する効果を発揮する。
<用途発明3:加湿器付き空気清浄機>
図5は、原液OPLに対して400倍、800倍、又は1500倍の内の何れかの倍率の希釈度で水(精製水等。)により希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLを、加湿器付き空気清浄機10に応用した場合の同装置10に於ける構成部分を模式的に示すブロック図である。図5に於ける加湿器付き空気清浄機10は、本実施の形態に於いて既述した空気清浄機1と超音波式加湿器5とを組み合わせて成る除菌装置である。
先ず、空気清浄機1は、室内空間の空気AIを吸入して既述した多孔質フィルタ3の作用により消臭済み・抗菌済みの清浄な空気の流れABを病室又は家屋等の室内の空間に吹き出す。
又、超音波式の加湿器5は、超音波発生器7が加える振動作用により蒸発された白金ナノ粒子水溶液PSL中の多数の白金ナノ粒子の流れABAと、水蒸気の流れとを、共に、病室又は家屋等の室内の空間中に吹き出す。
そのため、除菌された清浄な気体が室内の空間に流れると共に、室内の空間の湿度が高められ、且つ、部屋全体とその空間内の非清浄な空気とが除菌・消臭される。
以上の通り、本装置10によれば、上記原液OPLと比較して安価で高性能な希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLを利用することで、既述した空気清浄機1が奏する作用・効果と、既述した加湿器5が奏する作用・効果とが、同時に得られる。従って、本装置10に於ける費用対効果は実用可能なレベルとなる。特に、本装置10を、病院の病室内の院内感染対策用品として利用する場合に於ける、既述した作用・効果の発揮は、極めて有益である。勿論、本装置10は、オフィス内又は家屋内の室内の細菌等の有害菌の殺傷用商品としての高い利用価値をも有する。
(付記)
既述した各用途発明1〜3の各々に於いて用いられる白金ナノ粒子水溶液PSLは、白金ナノ粒子水溶液の原液を、400倍、800倍、又は1500倍の内の何れかの倍率までの範囲内の値の水により希釈化して成る白金ナノ粒子水溶液であっても良い。
既述した各用途発明1〜3の各々に於いて用いられる白金ナノ粒子水溶液PSLは、白金ナノ粒子水溶液の原液を、400倍、800倍、又は1500倍の内の何れかの倍率までの範囲内の値の水により希釈化して成る白金ナノ粒子水溶液であっても良い。
本発明の実施の形態に於いては、白金ナノ粒子が水中に溶解されてなる白金ナノ粒子水溶液の原液を水で希釈化して成る白金ナノ粒子水溶液を、空気清浄機の上記特異な形状を有する多孔質フィルタに適用する清浄装置の一例を記載した。
しかしながら、白金に代わって、金、銀、或いはパラジウム等の金属のナノ粒子の原液を水により更に溶解して成る水溶液を利用して、既述の多孔質フィルタを有する空気清浄機という用途発明品を実現することも可能である。
勿論、この点に関しては、その他の既述した用途発明2,3についても妥当する。
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正及び/又は変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
この発明は、高い消臭性・高い抗菌性等の性能を有する、ナノサイズの白金ナノ粒子を含む低価格の水溶液を、空気清浄機又は超音波式の加湿器等の除菌機器へ応用することに対して、好適である。特に、病院内に設置されて院内感染の防止用としての空気清浄機、加湿器或いは加湿器付き空気清浄機に対して、本願に係る発明が適用される場合は、好ましい適用例の一つである。
更に、この発明は、極めて高い抗菌性・消臭性の性能を有する原液を水で希釈化してなる白金ナノ粒子水溶液を適用した用途商品(用途発明品)に於いて用いられる「多孔質フィルタ」に対して好適な発明である。
OPL 白金ナノ粒子水溶液の原液
HL 精製水等の水
PSL x倍に希釈化された白金ナノ粒子水溶液
1 空気清浄機
2 吸入ファン
3 多孔質フィルタ
3PH ジグザグ形状の貫通孔
5 加湿器
6 白金ナノ粒子水溶液を含む容器
7 超音波発生器
10 加湿器付き空気清浄機
HL 精製水等の水
PSL x倍に希釈化された白金ナノ粒子水溶液
1 空気清浄機
2 吸入ファン
3 多孔質フィルタ
3PH ジグザグ形状の貫通孔
5 加湿器
6 白金ナノ粒子水溶液を含む容器
7 超音波発生器
10 加湿器付き空気清浄機
Claims (8)
- 1リットルの水により溶解された、粒径がナノサイズの白金ナノ粒子を含む白金ナノ粒子水溶液の原液を、400倍、800倍、又は1500倍の内の何れかの倍率の水により希釈化して成る
ことを特徴とする白金ナノ粒子水溶液。 - 1リットルの水により溶解された、粒径がナノサイズの白金ナノ粒子を含む白金ナノ粒子水溶液の原液を、400倍、800倍、又は1500倍の内の何れかの倍率までの範囲内の値の水により希釈化して成る
ことを特徴とする白金ナノ粒子水溶液。 - 請求項1又は2に記載の前記白金ナノ粒子水溶液の用途である空気清浄機であって、
室内の空気を前記空気清浄機内に吸入するファンと、
前記ファンに対向して吸入された空気の流れを受ける正面と、前記正面に対向した背面と、ジグザグに折れ曲がりながら前記正面から前記背面にまで連なった空気の通路を成すマイクロサイズの複数の貫通孔とを備えるシート状の多孔質フィルタと、
前記多孔質フィルタの前記背面に対向して前記多孔質フィルタを通り抜けた空気を前記室内に排出する排出口と
を備えており、
前記多孔質フィルタは請求項1又は2に記載の前記白金ナノ粒子水溶液を含んでおり、且つ、前記多孔質フィルタ内に含まれた前記白金ナノ粒子水溶液は乾燥されている
ことを特徴とする空気清浄機。 - 請求項1又は2に記載の前記白金ナノ粒子水溶液の用途である加湿器であって、
前記白金ナノ粒子水溶液を蓄える容器と、
前記容器に繋がっており、前記容器中の前記白金ナノ粒子水溶液に対して超音波を加えることで前記白金ナノ粒子水溶液を蒸発させて前記白金ナノ粒子水溶液中の白金ナノ粒子を室内に放出させる超音波発生器と
を備えることを特徴とする加湿器。 - 請求項1又は2に記載の前記白金ナノ粒子水溶液の用途である加湿器付き空気清浄機であって、
請求項3に記載の前記空気清浄機と、
請求項4に記載の前記加湿器と
を備えることを特徴とする加湿器付き空気清浄機。 - 吸入された空気の流れを受ける正面と、
前記正面に対向した背面と、
ジグザグに折れ曲がりながら前記正面から前記背面にまで連なった空気の通路を成すマイクロサイズの複数の貫通孔と
を備えることを特徴とするシート状の多孔質フィルタ。 - 請求項6に記載の多孔質フィルタであって、
前記多孔質フィルタは、1リットルの水により溶解された、粒径がナノサイズの白金ナノ粒子を含む白金ナノ粒子水溶液の原液を所定の倍率までの範囲内の容量の水により希釈化して成る白金ナノ粒子水溶液を含んでおり、且つ、前記多孔質フィルタ内に含まれた前記白金ナノ粒子水溶液は乾燥されている
ことを特徴とする多孔質フィルタ。 - 請求項7に記載の多孔質フィルタであって、
前記所定の倍率とは、400倍、800倍、又は1500倍の内の何れかの値である
ことを特徴とする多孔質フィルタ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013094799A JP2013240591A (ja) | 2012-04-27 | 2013-04-27 | 白金ナノ粒子水溶液並びにそれを用いた空気清浄機、加湿器、加湿器付き空気清浄機及び多孔質フィルタ |
Applications Claiming Priority (3)
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JP2012103815 | 2012-04-27 | ||
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105774478A (zh) * | 2015-01-14 | 2016-07-20 | 现代自动车株式会社 | 用于车辆的生态加湿器 |
-
2013
- 2013-04-27 JP JP2013094799A patent/JP2013240591A/ja active Pending
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US9676254B2 (en) | 2015-01-14 | 2017-06-13 | Hyundai Motor Company | Eco-humidifier for vehicle |
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