JP2013240534A - 歯冠設計方法、歯冠設計用プログラム、歯冠設計装置、歯冠作製方法、および歯冠作製装置 - Google Patents

歯冠設計方法、歯冠設計用プログラム、歯冠設計装置、歯冠作製方法、および歯冠作製装置 Download PDF

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Abstract

【課題】歯牙欠損部に配置する歯冠の設計や作製を容易化することができる技術を提供する。
【解決手段】3次元画像の上顎歯列と下顎歯列との一方の歯列の姿勢を変化させ(S4)、一方の歯列を、他方の歯列に接触するまでZ軸方向に移動させ(S4)、両歯列が接触した位置における、一方の歯列の姿勢に関するデータを記憶手段に記憶させ、姿勢変化ステップ、移動ステップ、記憶ステップを、姿勢変化ステップで一方の歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行し、繰り返しステップ後、XY平面内の複数の位置において、記憶部に記憶されている複数の一方の歯列の姿勢に関する3次元データがそれぞれ示すZ軸方向の位置のうち最も他方の歯列の近くの位置となる3次元座標データを取得し、取得した複数の3次元座標データに基づき包絡曲面データを生成し(S4)と、生成された包絡曲面データに基づいて歯冠の3次元画像を変形させる。
【選択図】図6B

Description

本発明は、インプラント治療および一般の補綴治療等に用いる歯冠の設計方法、そのような歯冠に対する設計用プログラム、設計装置、作製方法、および作製装置に関する。
従来の歯冠修復法では、患者の歯列石膏模型を、図25に示すような平均値咬合器(または単に咬合器)と呼ばれる患者の平均的な顎関節などの解剖学的要素の大きさとを想定した器具に装着し、平均的な顎運動を想定して歯冠の形状が決定されている。
具体的には、口腔内印象に石膏を注入して作製した石膏上下歯列模型を、咬合器に装着する。歯列模型の歯牙欠損部には、歯科技工士が仮想的に歯冠をワックスで作製する。そして咬合器を蝶番回転運動および前方および側方運動させ、上下の歯牙石膏模型を噛み合わせて、ワックスの歯冠形状を修正する。こうして得られたワックスの歯冠原型を用い、ロストワックス鋳造法により修復歯冠を作製する。作製された歯冠は咬合器上で咬合調整されたのち歯科医師に提供される。歯科医師は患者の口腔内に修復歯冠を固定し患者に実際の咬合をさせるが、このさい再度歯冠を削る咬合調整を必要とされる場合が殆どである。
しかしながら、従来の歯冠修復法で一般に用いられる咬合器は、患者の顎の形態などの解剖学的要素を平均化したものであり、患者固有の顎運動を正確に再現することは困難である。このため、作製された修復歯冠は装着後の咬合調整が不可欠となり、このことが歯科修復物による治療において解決すべき大きな課題となっていた。
即ち、実際の咬合状態を見ながら歯冠を削って行う咬合調整は、非常に長時間にわたる場合もあり、患者および歯科医師に身体的、時間的、労力的な負担を強いるという問題がある。これらの問題は、咬合器が実際の患者の顎の大きさや運動を反映できていないことも一因である。
特に、インプラント治療で形成された歯牙では、天然歯根のように衝撃を緩和する歯根膜が存在しないため、インプラント上に装着する歯冠は、歯冠の咬合面に過剰な力、特に横方向の力がかからないように、患者固有の咬合状態を考慮することが必要である。
このような課題に対処するため、修復歯冠の設計方法としてFGP(Functionally Generated Path)法が開発された。これは患者固有の咬合運動を考慮した有効な方法であったが、Occlusal tableの製作など煩雑な工程が必要であり普及しなかった。
FGP(Functionally Generated Path)法の問題に対処する技術として、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1は、最近のインプラント治療では患者の顎骨の3次元像が必ず撮影される点に着目し、患者の顎骨の3次元形状データをコンピュータによって運動させて、インプラント修復歯の対合歯のFGVP(Functionally Generated Virtual Path)を求め、これによってインプラント歯冠修復物の形状設計を行なう。
特開2010−17467号公報
2002年月刊歯科技工別冊「目で見る咬合の基礎知識」、医 歯薬出版株式会社(2002年8月25日発行)
特許文献1の技術では、FGVPを求める際、上下顎関節及び上顎歯列または下顎歯列の並進運動や回転運動等による滑走運動における複雑な動きをシミュレーションする必要があり、歯冠設計装置の構築等に多大な労力を要する。
本発明は、インプラント治療および一般の補綴治療等における歯牙欠損部に配置する歯冠の設計や作製を容易化することができる技術を提供することを目的とする。
本発明では、インプラント治療および一般の補綴治療等における歯冠設計方法が提供される。
本発明の歯冠設計方法は、少なくとも記憶手段と演算手段を含むコンピュータにより歯牙欠損部に配置する歯冠を設計する方法であって、
記憶手段が、
患者の上顎歯列及び下顎歯列の3次元画像を取得する取得ステップと、
演算手段が、
上顎歯列または下顎歯列、3次元画像の歯牙欠損部に、歯冠の3次元画像を配置する歯冠像配置ステップと、
3次元画像の上顎歯列と下顎歯列とを、3次元X、Y,Z座標系における両者がZ軸方向において接触しない初期位置に位置させる歯列位置設定ステップと、
初期位置を基点として、3次元画像の上顎歯列と下顎歯列との一方の歯列の姿勢を変化させる姿勢変化ステップと、
姿勢を変化させた一方の歯列を、他方の歯列に接触するまでZ軸方向に移動させる移動ステップと、
両歯列が接触した位置における、一方の歯列の姿勢に関するデータを記憶手段に記憶させる姿勢データ記憶ステップと、
姿勢変化ステップ、移動ステップ、及び記憶ステップを、姿勢変化ステップで一方の歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行する繰り返しステップと、
繰り返しステップの実行後、XY平面内の複数の位置のそれぞれにおいて、記憶部に記憶されている複数の一方の歯列の姿勢に関する3次元データがそれぞれ示すZ軸方向の位置のうち最も他方の歯列の近くの位置となる3次元データにおける3次元座標データを取得し、取得した複数の3次元座標データに基づき包絡曲面データを生成する包絡曲面データ生成ステップと、
生成された包絡曲面データに基づいて歯冠の3次元画像を変形させる変形ステップと、を含む。
なお、上記取得ステップは、CTもしくは光計測した患者の上下顎関節を含む顎骨および上下歯列3次元画像を取得して行うことも可能である。
また、本発明では、歯冠設計用プログラムが提供される。
本発明の歯冠設計用プログラムは、コンピュータを、歯冠設計方法を実行する手段として機能させる。
また、本発明では、歯冠作製方法が提供される。
本発明の歯冠作製方法は、歯冠設計方法により得られた3次元歯冠像を用いてCAM装置で歯冠を作製するステップ、を含む。
また、本発明では、歯冠設計装置が提供される。
本発明の歯冠設計装置は、少なくとも記憶手段と演算手段を含み、歯牙欠損部に配置する歯冠を設計する装置であって、
記憶手段が、
患者の上顎歯列及び下顎歯列の3次元画像を取得し、
演算手段が、
3次元画像の上顎歯列または下顎歯列の歯牙欠損部に、歯冠の3次元画像を配置する歯冠像配置手段と、
3次元画像の上顎歯列と下顎歯列とを、3次元X、Y,Z座標系における両者がZ軸方向において接触しない初期位置に位置させる歯列位置設定手段と、
初期位置を基点として、3次元画像の上顎歯列と下顎歯列との一方の歯列の姿勢を変化させる姿勢変化手段と、
姿勢を変化させた一方の歯列を、他方の歯列に接触するまでZ軸方向に移動させる移動手段と、
両歯列が接触した位置における、一方の歯列の姿勢に関する3次元データを記憶手段に記憶させる姿勢データ記憶手段と、
姿勢変化手段、移動手段、及び記憶手段による処理を、姿勢変化手段で一方の歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行させる繰り返し手段と、
繰り返し手段による処理の実行後、XY平面内の複数の位置のそれぞれにおいて、記憶手段に記憶されている複数の一方の歯列の姿勢に関する3次元データがそれぞれ示すZ軸方向の位置のうち最も他方の歯列の近くの位置となる3次元データにおける3次元座標データを取得し、取得した複数の3次元座標データに基づき包絡曲面データを生成する包絡曲面データ生成手段と、
生成された包絡曲面データに基づいて歯冠の3次元画像を変形させる変形手段と、を含む。
上記記憶手段はCTもしくは光計測した患者の上下顎関節を含む顎骨および上下歯列3次元形状画像を取得してもよい。
また、本発明では、歯冠作製装置が提供される。
本発明の歯冠作製装置は、歯冠設計装置と、当該歯冠設計装置により得られた3次元歯冠像を用いて歯冠を作製するCAM装置とを、含む。
本発明によれば、患者固有のデータを元にFGVPを求め、このFGVPに基づいて歯冠設計を行うので、患者固有の咀嚼咬合運動に応じたインプラント治療用の歯冠の作製が可能となる。これにより、インプラント上に装着した歯冠の咬合調整が殆ど不要となり、インプラント治療に要する時間を短縮でき、治療時における患者の苦痛と経済的負担を大幅に軽減できる。
特に、本発明によれば、姿勢変化ステップ、移動ステップ、及び記憶ステップを、姿勢変化ステップで一方の歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行する。繰り返しの実行後、XY平面内の複数の位置のそれぞれにおいて、記憶部に記憶されている複数の一方の歯列の姿勢に関する3次元データがそれぞれ示すZ軸方向の位置のうち最も他方の歯列の近くの位置となる3次元データにおける3次元座標データを取得し、取得した複数の3次元座標データに基づき包絡曲面データを生成する。
このように、本発明によれば、FGVPを求める際、3次元画像の上顎歯列または下顎歯列の並進運動や回転運動等による滑走運動における複雑な動きをシミュレーションする必要がなく、歯冠の設計を容易化することができる。
上顎の歯列模型である。 下顎の歯列模型である。 CT撮影用テンプレートである。 歯列模型のCT撮影の状態である。 患者のCT撮影の状態である。 患者の3D−CT像である。 3次元合成像(側面)である。 石膏模型の3D−模型像である。 3次元合成像(前面)である。 本発明にかかる歯冠設計方法および歯冠製造方法に用いたコンピュータシステムのブロック図である。 本発明にかかる歯冠設計工程のフローチャートである。 3次元合成像の下顎部の拡大写真である。 標準歯冠を支持するアバットメントである。 アバットメント上に配置された標準歯冠である。 アバットメント上に標準歯冠を配置した状態の断面である。 標準歯冠の一例である。 標準歯冠の一例である。 標準歯冠の一例である。 従来のFGP法を用いた咬合面の動きの記録の一例である。 FVGP法の基本原理を示す図である。 評価点の設定の一例を示す図である。 中心咬合位探索の説明図である。(a)は中心咬合位探索1回目を示す図である。(b)は中心咬合位探索2回目を示す図である。 中心咬合位探索の結果を示す図である。(a)は上下歯列模型の咬合面を示す。(b)上下模型歯列模型を中心咬合位で咬合させた状態を示す図である。 (a)は下顎の歯列で生成したFGVP曲面を示す図である。(b)は、FGVP曲面と上顎との関係を示す図である。 標準歯冠に設定された制御点を示す図である。 FGVPによる歯冠の変形を示す図である。(a)は変形前の歯冠像、(b)は変形後の歯冠像、(c)は変形後の歯冠の任意断面を示す図である。 FGVPによる歯冠の変形を示す図である。(a)は変形前の歯冠像、(b)は変形後の歯冠像、(c)は変形前の歯冠像と変形後の歯冠像を重ねた図である。 FGVP法に用いる3D−CT像の範囲の一例である。 下顎に固定されたインプラントおよびアバットメントのシミュレーション像である。 下顎に配置されたサージカルガイドのシミュレーション像である。 下顎部にサージカルガイドを配置した状態である。 ハプティックスデバイスの概略図である。 コンピュータ上で設計したサージカルガイドの形状データである。 CAM装置の外観である。 チタン製ドリルガイド付きのサージカルガイドの全体写真である。 サージカルガイドを下顎の上(右奥歯の位置)に装着した状態である。 患者の下顎にサージカルガイドを被せた状態である。 患者の下顎にインプラントおよびアバットメントを固定した状態である。 下顎に固定されたインプラント上に、アバットメントを介して歯冠が固定された状態の概略図である。 作製した歯冠を患者の口腔内に固定した状態である。 平均値咬合器の全体図である。
本発明の実施の形態に歯冠作製方法を用いたインプラント治療方法について説明する。かかる治療方法は、以下の工程1〜11を含む。
工程1〜4では、患者の顎骨の3D−CT像(3次元口腔領域像)の一部を3D−模型像(3次元歯列模型像)で置き換えて、3次元合成像を取得する。
(工程1)
患者の口腔の印象を樹脂で写し取った型を形成する。次に、型に石膏を注入して、図1A、1Bに示すような患者の歯列の石膏模型を作製する。図1Aは上顎の歯列、図1Bは下顎の歯列である。かかる石膏模型の作製方法には、従来から歯科治療に用いられていた方法を使用できる。
(工程2)
図2に示すように、患者の顎骨のX線CT(Computed Tomography)撮影に用いるCT撮影用テンプレート10を準備する。テンプレート10は、歯列バイト部1とマーカー部2とからなる。
歯列バイト部1は、それぞれの患者の歯列に対応した形状となっている。また、歯列バイト部1は、顎骨や歯列模型の撮影に用いられるCT値では撮影されない材料から形成される。このような材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のような高分子材料(即時重合レジン)、シリコーン、ウレタン、チオコールのようなゴム系材料がある。
一方、マーカー部2は、石膏や硫酸バリウム等のX線造影剤で形成された板状体からなる。マーカー部2の表面には、例えば、直径が4〜5mmの円状の凸部(又は凹部)が部分的に設けられている。後述する位置合わせの工程で、かかる凸部が重なるように位置合わせすることにより、位置合わせの精度が向上する。
図3は、患者の歯列の石膏模型20にテンプレート10を噛ました状態であり、かかる状態で外形データを取得し、3D−模型像(3次元歯列模型像)を得る。歯列模型の形状は、接触式3次元デジタイザ(例えば、ドイツGOM社製、商品名:ATOS)やレーザ光測定装置、接触式の測定装置等を用いて取得することができる。また、歯列模型の形状は、CT撮影像から形成しても構わない。口腔内に光計測プローブを挿入し歯列3次元形状を直接計測する装置が市販されているのでそれを用いてもかまわない。この場合、石膏模型を作製せず歯列3次元形状が取得できる。
(工程3)
図4Aに示すように、CT撮影用テンプレート10を患者30に装着する。上述のように、歯列バイト部はそれぞれの患者の歯列に対応した形状となっているため、歯列バイト部を患者が噛むことによりテンプレートが装着される。図4Bは、かかる状態で撮影された、患者の顎骨の3D−CT像(3次元口腔領域像)である。
(工程4)
図5A(側面図)に示すように、テンプレートのマーカー部2を基準として、患者の顎骨の3D−CT像に石膏模型の3D−模型像を重ねて、患者の歯列を石膏模型に置き換えた3D−CT像(3次元合成像)を得る。具体的には、患者の顎骨の3D−CT像(図4B)のマーカー部2と、石膏模型の3D−模型像(図3)のマーカー部2が重なる状態で、3D−CT像の一部を3D−模型像(3次元歯列模型像)で置き換える。マーカー部2の凸部(又は凹部)が重なるようにすることで、重ね合わせの精度が向上する。
図5Bは、歯列部の形状を石膏模型から接触式3次元デジタイザで高精度計測して得られた3D−模型像であり、図5Cは、患者の歯列を、図5Bの石膏模型の3D−模型像で置き換えた3D−CT像(3次元合成像)である。図5A〜図5Cからわかるように、歯列模型の3D−模型像は、患者の歯列の3D−CT像に比較して画像が明瞭であるため、このような置き換えにより、歯列部分への歯冠の形成が高精度で行うことができる。
工程5〜7では、上述の工程1〜4により得られた3D−CT像(3次元合成像)を基に、患者に適合する歯冠をコンピュータ(後述する)上で設計する。図6Aは、歯冠設計工程5〜7を実行するためのコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。
コンピュータシステム100は、入力部101、出力部102、記憶部103、表示分104、及び演算部105を有する。
入力部101は、3D−CT像等を入力するためのインタフェースである。
出力部102は、演算部105の演算結果をコンピュータシステム100の外部に出力するためのインタフェースである。本実施形態では、出力部102の出力にCAM装置200が接続されており、演算部105で求められた歯冠設計データが出力部200を介してCAM装置200に出力される。
記憶部103は、歯冠設計プログラム、標準歯列の形状データ等、歯冠設計を行うために必要なデータ等を予め記憶している。歯冠設計プログラムは、コンピュータシステム100を、歯冠設計装置として機能させる。また、記憶部103は、入力部101を介して入力された3D−CT像等を記憶する。また、記憶部103は、演算部105が演算処理を行う際の一時データを一時的に記憶する。
演算部105は、歯冠設計を行うためのプログラムを実行する。演算部105は、入力部101を介して入力された3D−CT像、標準歯列の形状データ等を用いて歯冠設計のための演算を行う。また、演算部105は、演算結果等を示す画像データを表示部105に出力する。
表示部104は、演算部105からの画像データに基づく画像を表示する。
CAM装置200は、演算部105から出力部200を介して入力された歯冠設計データに基づいて、歯冠の加工を行う。コンピュータシステム100とCAM装置200とで歯冠作製装置を構成する。
図6Bは、コンピュータシステム100によって実行される歯冠設計工程5〜7のフローチャートである。
(工程5)
工程4で得られた3D−CT像(3次元合成像)を取得した後(S1)、図7Aに示すように、かかる3D−CT像を用いて、インプラント治療が必要な歯牙の欠損した部分(欠損歯牙)に対してコンピュータ上で歯冠の排列のシミュレーションを行う(S2)。例えば、排列のためのソフトウェアとしては”BioNa”(商品名)がある。
具体的には、予めコンピュータの記憶部103に格納してある標準歯冠の3D像のデータベースを用いて、患者の歯牙の欠損部に、データベースから選択した標準歯冠を排列する。標準歯冠の排列は、3D−CT像の上下歯牙を噛み合わせた状態で、歯牙欠損部の、対合歯と噛み合う位置(咬頭が窩と接触する位置)に標準歯冠を配置して行う。歯牙欠損部の前後に残存歯牙がある場合は、これらとも接するように配置される。標準歯冠の排列工程において、標準歯冠の画像を例えば縦方向や横方向に、線形又は非線形に拡大/縮小しても良い。このように、標準歯冠を患者の3D−CT像に排列させたものが、3次元歯冠像となる。なお、標準歯冠の3D像のデータは、外部記憶媒体に記憶され、ネットワーク等を介して、あるいは外部記憶媒体を直接入力部101に接続することにより、入力されるようにしてもよい。
図7B〜図7Dは、標準歯冠を患者の3D−CT像に排列させた図である。図7Bには標準歯冠を支持するアバットメント、図7Cにはアバットメント上に配置された標準歯冠、図7Dには、アバットメント上に標準歯冠を配置した状態の断面をそれぞれ示す。
図8A〜図8Cは標準歯冠の一例であり、上下歯列の全ての歯冠形状データが揃っている。歯冠形状は、患者の年齢や性別等により異なるため、年齢、性別、人種等毎に複数の標準歯冠形状がデータベース化されていることが好ましい。
なお、残存歯牙が少ない場合は、上下顎骨の解剖学的な歯牙排列を考慮して、標準歯冠を配置する。例えば、下顎第1小臼歯から最後の臼歯の頬側咬頭頂の位置が「スピーの湾曲」と呼ばれる湾曲に沿うような排列にしても良い。また、左右の同名臼歯については、「ウィルソン湾曲」を考慮しても良い。
例えば、図7Aの3D−CT像では、患者の右側の最奥歯1つと、左側の最奥歯から4つが、画像合成された標準歯冠である。標準歯冠の位置等は、残存した歯牙や、上顎の歯牙の位置から決定される。
ここで、咬合器を用いないで修復歯冠の咬合面形態を決定する方法として、従来から、FGP(Functionally Generated Path)法が用いられる。FGP法では、補綴歯の対合歯の機能的な滑走運動時における咬合面の動きを、図9に示すように、患者の口腔内に配置したワックスまたは即時重合レジンに記録する。そして、このワックスまたはレジンを模型にして、機能的に調和した補綴物の咬合面を作る。この方法によれば、患者本人の顎骨の運動により形成される運動パスを用いて咬合面を形成するため、それぞれの患者に適合した咬合面を高精度で作製できる。
しかし、FGP法では、咬合テーブルの製作など煩雑な工程が必要である。
この問題に対応するため、本発明者は,コンピュータによるデジタル処理でFGP を仮想的に構築する新たなFGVP (Functionally Generated Virtual Path) 法を開発した。このFGVP法では、患者固有の咬合運動をシミュレーションし,そのデータを用いてインプラント上部歯冠咬合面形態を自動的に変形する。本実施形態のFGVP法では、図10Aに示すように、対合歯列の位置と傾きを変化させた状態で、Z軸方向において近づけて接触させることによりFGVP曲面を生成し、それによって上部歯冠咬合面形態を自動的に変形する。
このソフトウェアは,修復対象歯列に対しその対合歯列の位置と傾きを6軸(平行移動と回転)で多数変化させてZ軸方向から近づけて接触させる。この動作において生じた接触状態を選択および統合し,中心咬合位とFGP曲面を得る。このCADデータを用いてCAMによって製作されたインプラント上部歯冠においては、患者の口腔内での調整を非常に少なくすることが可能になる。またこの方法は、通常の支台歯形成した歯冠の製作にも応用することができ、高い汎用性を得ることができる。以下、詳しく説明する。
(工程6A)
上下の歯列の中心咬合位を求める(S3)。中心咬合位とは、一般に、上顎と下顎の歯列が最も多くの部位で接触し、安定して噛み合う状態での下顎位のことである。なお、本実施形態では、FGVPを求める際、修復歯列位置を固定し、これに対合する歯列の位置を変更する。そのため、本実施形態では、中心咬合位とは、上顎と下顎の歯列が最も多くの部位で接触し、安定して噛み合う状態での修復歯列の位置のことである。修復歯列は、上顎歯列と下顎歯列のいずれであってもよい。
まず、図10Bに示すように、上顎臼歯4〜7(T4〜T7)の咬合面に評価点領域を自動でまたはマウスを利用して設定する(評価点設定ステップ)。評価点は、例えば250μm間隔で800〜1000点程度設ける。本実施形態では評価点領域を上顎臼歯4〜7に設けているが、これは一例であり、修復すべき歯冠に応じて設定すればよい。
まず、3次元画像の下顎歯列(修復歯列)と上顎歯列(対合歯列)とを、3次元X、Y,Z座標系における両者がZ軸方向において接触しない初期位置に位置させる(歯列位置設定ステップ)。
次に、初期位置を基点として、3次元画像の上顎歯列の姿勢を変化させる(姿勢変化ステップ)。
次に、上顎歯列を初期位置からZ軸方向に下顎歯列に接触するまで移動させる(移動ステップ)。
上顎歯列が下顎歯列と接触したら、接触した状態における上顎歯列の咬合面と下顎歯列の咬合面との間のZ軸方向の距離を前記複数の評価点位置において求め、さらにその総和を計算する(総和算出ステップ)。
次に、求めた総和を記憶部103に記憶させる(総和記憶ステップ)。
これらの処理(姿勢変化ステップ、前記移動ステップ、総和算出ステップ及び記憶ステップ)を、姿勢変化ステップで上顎歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行する(繰り返しステップ)。例えば、図10C(a)に示すように、初期位置(E)を中心として、X方向及びY方向に±5mm幅で5mmピッチでA〜Iまでの9通り平行移動させ、さらにそれぞれに対し、X軸,Y軸,Z軸の各軸の周りに角度±10°幅で10°ピッチの軸毎に3通り回転させ、計3の5乗で243通り、上顎歯列の姿勢を変化させ、上記計算を繰り返し行う。
繰り返し計算を行った後、記憶部103に記憶されている複数のZ軸方向の距離の総和のうち、評価点間距離の総和が最小となる位置を求める。具体的には、243通りの評価点間距離の総和のうち、評価点間距離の総和が最小となる位置を求める(第1回目の探索)。
このように求めた結果、図10C(a)のAの位置において評価点間距離の総和が最小とするとABEDの領域に中心咬合位が存在すると考えられる。そこで、次に、図10C(b)に示すように、AEの中点E′を中心に、間隔とピッチをそれぞれ上記間隔及びピッチの60%に減少させて、第1回目の探索と同様の探索を行うことにより、評価点間距離の総和が最小となる位置を求める(第2回目の探索)。具体的には、X方向及びY方向に±3mm幅で3mmピッチでA′〜I′までの9通り平行移動させ、さらにそれぞれに対し、X軸、Y軸、Z軸の各軸の周りに角度±6°幅で6°ピッチの軸毎に3通り回転させ、計3の5乗で243通り、対合歯列の姿勢を変化させ、上記計算を繰り返し行う。そして、この243通りのうち、評価点間距離の総和が最小となる位置を求める。
以後、第1、第2の探索と同様の処理を、軸方向の間隔及びピッチと軸周りの間隔及びピッチを、前回の探索における軸方向の間隔及びピッチと軸周りの間隔及びピッチに対してそれぞれ60%に減少させて実行する。例えば、第1回目の探索、第2回目の探索を含めて、合計9回、つまり第9回目の探索を行う。そして、9回の探索の結果求められた、評価点間距離の総和が最小となる位置を中心咬合位とする(中心咬合位決定ステップ)。9回の探索を行うと、演算回数は3の5乗×9=2187回となるが、中心咬合位を、X、Y方向±5mm×0.6の9乗=±0.05mm、角度±10°×0.6の9乗=±0.1°の精度で求めることができる。演算処理時間は約1分(PC:CPU Core II Duo(登録商標)、clock 2.53GHz、 Memory 4GB、OS Windows 7(登録商標)64bit)であった。なお、探索の際の軸方向の間隔及びピッチと軸周りの間隔及びピッチ、並びに探索の回数は一例であり、他の数値を用いてもよい。
また、上記探索により求められた中心咬合位を起点として、さらに上記探索を数度繰り返して行ってもよい。これにより、より正確に中心咬合位を求めることができる。図10Dは、上記のようにして求めた中心咬合位で上下の歯列模型を咬合させた状態等を示す図である。図10D(a)は、中心咬合位において上下の歯列模型を咬合させた状態を示す図である。図10D(b)は、中心咬合位において上下の歯列模型を咬合させた結果、咬合面に生じた接触点を示す図である。
(工程6B)
次に、FGVP曲面を生成する(S4)。具体的には、3次元画像の上顎歯列と下顎歯列とを、3次元X、Y,Z座標系における両者がZ軸方向において接触しない初期位置に位置させる(歯列位置設定ステップ)。本実施形態では、前記初期位置として、中心咬合位を求めるステップ(S3)で求められた中心咬合位に対して、Z軸方向において、上顎歯列と下顎歯列とが接触しない程度に離間した位置に設定される。
次に、初期位置を基点として、3次元画像の上顎歯列の姿勢を変化させる(姿勢変化ステップ)。
次に、姿勢を変化させた上顎歯列を、下顎歯列に接触するまでZ軸方向に移動させる(移動ステップ)。
次に、両歯列が接触した位置における、上顎歯列の姿勢に関するデータを記憶部103に記憶させる(姿勢データ記憶ステップ)。上顎歯列の姿勢に関するデータとは、上顎歯列の咬合面等の表面形状を3次元座標系において表すためのデータ(3D形状データ)である。データの形式は、指定した部分の座標を求められるものであれば何でもよい。
これらの処理(姿勢変化ステップ、移動ステップ、及び記憶ステップ)を、前記姿勢変化ステップで上顎歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行する(繰り返しステップ)。この処理は、中心咬合位を求める処理(S3)で行われたものと同様の処理であり、例えば、上顎歯列を、初期位置からX軸,Y軸方向のそれぞれに±3mmの範囲で0.1mmピッチで平行移動させ、かつX軸,Y軸,Z軸それぞれの周りに±1.25°の範囲で0.25°ピッチで回転させる。
繰り返しの実行後、XY平面内の複数の位置のそれぞれにおいて、記憶部103に記憶されている上顎歯列の姿勢に関する複数の3次元データがそれぞれ示すZ軸方向の位置のデータのうち最も下顎歯列の近くの位置となる3次元データにおける3次元座標データを取得し、取得した複数の3次元座標データに基づき包絡曲面データを生成する(包絡曲面データ生成ステップ)。具体的には、上顎歯列を上述のようにX軸,Y軸,Z軸方向に所定ピッチで移動させ、およびX軸,Y軸,Z軸周りに所定ピッチで回転させた結果生じるほぼ500万通りに及ぶすべての位置姿勢(組合せ)の3D形状データに基づいて、各X、Y座標に関して、Z軸方向で下顎歯列に最も近い位置に存在するデータのZ座標を求める。このように、緻密にFGVPを求めることにより、高精度に歯冠を設計し、高精度な歯冠を作成することができる。そして、このようにして求めた各Z座標を含む面(包絡曲面)をFGVP曲面とする。図11A(a)は、このようにして求めたFGVP曲面を示し、図11A(b)は、このFGVP曲面と、上顎歯列の3次元画像とを組み合わせた状態の一例を示す図である。
(工程7)
次に、欠損部に配置された標準歯冠の3次元画像の形状を、工程7で生成されたFGVP曲面データに基づいて変形させる(S5)。標準歯冠データには、図11Bに示すように、歯冠の形状を変形するための制御点(変形基準点)が予め設定してある。制御点は、自由に設定できるが、FGVP曲面と接触させたい部分に付加するのが好ましい。制御点の部分は上下の歯列が接触するように上下に変位し、制御点の周囲は、制御点部分の変化量に比例し、制御点から遠くなるほど、変化量が小さくなる。なお、FGVP曲面と変形後の標準歯冠との隙間の大きさを調整可能としてもよい。この場合、例えば数値パラメータ等を用いて隙間の大きさを調整することができる。隙間の大きさを調整することにより、咬合の強さを適切に調整することができる。
図11C(a)は、標準歯冠の形状を変形させる前の歯冠形状及び断面を示し、図11C(b)は、標準歯冠の形状を変形させた後の歯冠形状及び断面を示す。図11C(c)は、標準歯冠の形状を変形させた後の歯冠の種々の断面を示す。本工程では、FGVP曲面と制御点との位置関係が所定の関係を満たすように、標準歯冠の形状が自動的に変形される。例えば、図11C(a)に示すように制御点位置において標準歯冠表面とFGVP曲面とが接触(交差)する場合は、図11C(b)に示すように、両者が接触しないように変形される。逆に、制御点位置において標準歯冠表面とFGVP曲面との隙間が大きすぎる場合は、間隔が狭くなるように変形される。なお、両者間の最短距離は、0(両者が接する)から50μm程度が好ましい。両者の間に小さな隙間を設けることにより、患者が咬合運動する際にインプラントに横方向の力が加わらず、インプラントの破損等を防止できるからである。なお、自動変形後、歯科医師が骨やインプラントの状態、噛み合わせの状況を把握した上で指示し、好ましい噛み合わせをシミュレーションしてもよい。変形は対合する歯が重なる部分を引き算することにより変形させることもできるが、歯の解剖学的形態を大きく損なわないように制御点では大きく、そこから遠くなるほど小さく連続的に変形させることもできる。
図11D(a)は、標準歯冠の形状を変形させる前の歯冠形状の斜視図であり、図11D(b)は、標準歯冠の形状を変形させた後の歯冠形状の斜視図であり、図11D(c)は、標準歯冠のうち変形させた部分が分かるように色分けして示した斜視図である。
なお、上記各工程のシミュレーションにおいては、3D−CT像として、その画像データサイズが大きくなり過ぎないように、例えば図12に示すような、歯列近傍領域の3D−CT像を用いてもよい。
なお、従来のCAD/CAM装置でFGPワックス法を用いた例としては”DECSY”(商品名)があるが、この装置は患者の口腔内で実際に採得したワックスを用いてFGPを採得しており、歯冠変形においても上記制御点を設定することはできない。そのため、作製された歯冠の咬合面が平坦なものとなり、解剖学的な歯冠形状とは程遠いものとなっていた。
(歯冠の形成)
以上の設計工程で得られた歯冠形状に対して、インプラント上のアバットメントに装着するための凹みをCADしなければならない。具体的には、以下の工程で歯冠データからアバットメント等が挿入される部分のデータを引き算する。最終的な歯冠形状データは例えば出力部を介してCAM装置に送られ、CAM装置で、歯冠形状データに従った歯冠が形成される。歯冠は、例えばセラミックスやレジンからなり、切削法やラピッドプロトタイピング法を用いて作製される。
次に、工程8、9では、インプラントの位置決めに用いられるサージカルガイドの設計を行う。インプラントは、上述の工程で設計した歯冠を患者に固定するために用いられる。なお、サージカルガイドの設計工程(工程8、9)は、歯冠設計工程(工程5〜7)とは別に、これらに先立って行っても良い。
工程8:図13〜図15に示すように、コンピュータ上で、インプラント手術支援用のサージカルガイドを設計する。
具体的には、まず、ディスプレイ等に映された患者の3D−CT像の、下顎の形状や神経や動脈、静脈が通る下顎管の位置を見ながら、下顎管を避けるようにインプラントを固定する位置を決定する。図13は、下顎管を避けるように下顎(半透明に表示)に固定されたインプラントと、インプラント上にアバットメントを用いて固定された歯冠の配置のシミュレーション像である。
次に、図14に示すような、インプラントを下顎に固定するために下顎に孔を形成するのに用いる、サージカルガイドを設計する。図15は、骨像に、サージカルガイドを重ねて表示したものである。サージカルガイドの設計には、例えば、Free Formソフトウエア(商品名)とハプティックスデバイス(例えば、米国 SensAble Technologies社製、商品名:PHANToM)(図16)を用いる。
工程9:コンピュータ上で設計したサージカルガイドの形状データ(例えば図17に表示)を、出力部を介してCAM装置(図18)に出力し、CAM装置で実際にサージカルガイドを形成する。
図19は、チタン製ドリルガイド(CTプランニングチューブ)付きのサージカルガイドの全体写真である。また、図20は、サージカルガイドを実際に下顎の上(右奥歯の位置)に装着して骨模型のドリリングを行っている状態の写真である。サージカルガイドは例えばアクリルからなり、インプラントが形成される方向に沿って孔が設けられている。孔の壁面には、チタン等のドリルガイドが設けられることが好ましい。
最後に、工程10〜11では、患者の歯列欠損部に、インプラント等を用いて歯冠を固定する。
工程10:図21に示すように、患者の下顎にサージカルガイドを被せ、サージカルガイドの孔にドリルを挿入して下顎に孔を形成する。続いて、サージカルガイドを取り外した後に、形成した下顎の孔にインプラントを挿入して固定する。図22は、下顎にインプラントおよびアバットメントを固定した状態の口腔内の写真である。これにより、コンピュータ上のシミュレーションで決定した位置にインプラントを正確に固定することが可能となる。
工程11:図23は、下顎に固定されたインプラント上に、アバットメントを介して歯冠が固定された状態の概略図である。アバットメントは、規格品を用いることが好ましいが、場合によっては、オリジナル品の設計を行っても良い。オリジナル品を用いることにより、インプラントの固定方向(長手方向)から傾斜した角度で歯冠を固定することが可能となる。オリジナル形状のアバットメントを作製する場合も、CAM装置にアバットメントの形状データを転送し、作製することができる。また、アバットメントを用いずにインプラント上に直接歯冠を固定することも可能である。
図24は、埋入したインプラント上にFGVPテクニックを用いて作製した歯冠を患者の口腔内に固定した状態である。かかる歯冠は、患者の咬合運動を考慮して設計されているため、インプラント治療で患者の口腔内に固定するだけで、咬合調整は殆ど不要である。このためインプラント治療における患者の負担が非常に軽減できる。
例えば、従来のインプラント治療では、インプラントを固定し、その上に歯冠を固定し、更に、患者の噛み合わせに応じて咬合調整(歯冠の部分的な削除等)を行う必要があり、多数歯埋入のケースでは手術と仮歯冠装着が5〜6時間に及ぶことも普通にあり、特に高齢の患者にとっては身体的な負担が過大であった。
これに対して、本実施の形態にかかる方法では、歯冠を固定した後の咬合調整が殆ど不要であるため、仮歯冠装着の要する時間を大幅に短縮でき、患者の負担を軽減することが可能となる。
ここでは、患者のCT像を基に3D−CT像を作製する場合について説明したが、核磁気共鳴(MRI)画像を用いても同様に行うことができる。
また、本発明の実施の形態では、主に上顎部について説明したが、下顎部についても同様にして歯冠を設計することができる。
(まとめ)
本実施形態では、歯冠設計方法を提供する。
本実施形態の歯冠設計方法は、
少なくとも記憶手段と演算手段を含むコンピュータにより歯牙欠損部に配置する歯冠を設計する方法であって、
前記記憶手段が、
患者の上顎歯列及び下顎歯列の3次元画像を取得する取得ステップ(S1)と、
前記演算手段が、
前記3次元画像の上顎歯列または下顎歯列の歯牙欠損部に、歯冠の3次元画像を配置する歯冠像配置ステップ(S2)と、
前記3次元画像の上顎歯列と下顎歯列とを、3次元X、Y,Z座標系における両者がZ軸方向において接触しない初期位置に位置させる歯列位置設定ステップ(S4)と、
前記初期位置を基点として、前記3次元画像の上顎歯列と下顎歯列との一方の歯列の姿勢を変化させる姿勢変化ステップ(S4)と、
姿勢を変化させた前記一方の歯列を、他方の歯列に接触するまでZ軸方向に移動させる移動ステップ(S4)と、
両歯列が接触した位置における、前記一方の歯列の姿勢に関する3次元データを前記記憶手段に記憶させる姿勢データ記憶ステップ(S4)と、
前記姿勢変化ステップ、前記移動ステップ、及び前記記憶ステップを、前記姿勢変化ステップで前記一方の歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行する繰り返しステップ(S4)と、
前記繰り返しステップの実行後、XY平面内の複数の位置のそれぞれにおいて、前記記憶部に記憶されている複数の前記一方の歯列の姿勢に関する3次元データがそれぞれ示すZ軸方向の位置のうち最も前記他方の歯列の近くの位置となる3次元データにおける3次元座標データを取得し、取得した複数の3次元座標データに基づき包絡曲面データを生成する包絡曲面データ生成ステップ(S4)と、
生成された前記包絡曲面データに基づいて前記歯冠の3次元画像を変形させる変形ステップ(S5)と、を含む。
また、本実施形態の歯冠設計方法は、
さらに、中心咬合位を求めるステップ(S3)を含み、
前記中心咬合位を求めるステップ(S3)は、
前記3次元画像の上顎歯列と下顎歯列とを、3次元X、Y,Z座標系における両者がZ軸方向において接触しない初期位置に位置させる歯列位置設定ステップと、
前記初期位置を基点として、前記3次元画像の上顎歯列と下顎歯列との一方の歯列の姿勢を変化させる姿勢変化ステップと、
姿勢を変化させた前記一方の歯列を、他方の歯列に接触するまでZ軸方向に移動させる移動ステップと、
前記一方の歯列の咬合面に複数の評価点を設定する評価点設定ステップと、
接触した状態における前記一方の歯列の咬合面と他方の歯列の咬合面との間のZ軸方向の距離を前記複数の評価点位置において求め、さらにその総和を求める総和算出ステップと、
求められたZ軸方向の距離の総和を前記記憶手段に記憶させる総和記憶ステップと、
前記姿勢変化ステップ、前記移動ステップ、前記総和算出ステップ及び前記総和記憶ステップを、前記姿勢変化ステップで前記一方の歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行する繰り返しステップと、
前記繰り返しステップの実行後、前記記憶手段に記憶されている複数のZ軸方向の距離の総和に基づいて前記中心咬合位を決定する中心咬合位決定ステップと、を含み、
前記歯列位置設定ステップは、
前記中心咬合位探索ステップで求められた中心咬合位に対して、Z軸方向において、上顎歯列と下顎歯列とが接触しない離間した位置を前記初期位置として用いる。
また、本実施形態の歯冠設計方法は、
前記姿勢変化ステップは、
前記3次元画像の一方の歯列を、X軸、Y軸、Z軸の少なくとも一つの軸の方向に第1所定距離範囲内で第2所定距離ピッチで平行移動させ、及び/または、X軸、Y軸、Z軸の少なくとも一つの軸のまわりで第1所定角度範囲内で第2所定角度ピッチで回転させる。
また、本実施形態の歯冠設計方法は、
さらに、前記歯冠の3次元画像に、歯冠形状の変化を可能とする制御点を設定する制御点設定ステップを含み、
前記変形ステップは、
前記包絡曲面と前記設定された制御点との位置関係が所定の条件を満たすように、前記歯冠の3次元画像を変形させる。
また、本実施形態の歯冠設計方法は、
さらに、前記包絡曲面と変形後の歯冠との隙間の大きさを調整するステップを含む。
また、本実施形態の歯冠設計方法は、
前記記憶手段に予め記憶された、複数の上下歯列の標準歯冠形状のデータから選択された3次元歯冠像を、前記3次元画像の歯牙欠損部の所定の位置に配置するステップを含む。
また、本実施形態の歯冠設計方法は、
前記上顎歯列及び下顎歯列の3次元画像は、患者の口腔領域の3次元口腔領域像の一部が前記患者の歯列模型の3次元歯列模型像で置き換えられた像である。
上記取得ステップは、CTもしくは光計測した患者の上下顎関節を含む顎骨および上下歯列3次元形状画像を取得して行うことも可能である。
また、本実施形態の歯冠設計方法は、
前記コンピュータは、さらに、入力手段を含み、
前記取得ステップは、
マーカーを有する患者の口腔領域の3次元口腔領域像を、前記入力手段を介してコンピュータに入力するステップと、
マーカーを有する患者の歯列模型の3次元歯列模型像を、前記入力手段を介してコンピュータに入力するステップと、
前記3次元口腔領域像のマーカーと前記3次元歯列模型像のマーカーとを一致させた状態で、3次元口腔領域像の一部を前記3次元歯列模型像で置き換えて前記上顎歯列及び下顎歯列の3次元画像を作製するステップと、
前記上顎歯列及び下顎歯列の3次元画像を記憶するステップと、を含む。
本実施形態では、さらに、歯冠設計用プログラムを提供する。
歯冠設計用プログラムは、
コンピュータを、前記歯冠設計方法を実行する手段として機能させる。
本実施形態では、さらに、歯冠作製方法を提供する。
歯冠作製方法は、
前歯冠設計方法により得られた歯冠の3次元画像を用いてCAM装置で歯冠を作製するステップ、を含む。
本実施形態では、さらに、歯冠設計装置を提供する。
本実施形態の歯冠設計装置は、
少なくとも記憶手段と演算手段を含み、歯牙欠損部に配置する歯冠を設計する装置であって、
前記記憶手段が、
患者の上顎歯列及び下顎歯列の3次元画像を取得し、
前記演算手段が、
前記3次元画像の上顎歯列または下顎歯列の歯牙欠損部に、歯冠の3次元画像を配置する歯冠像配置手段と、
前記3次元画像の上顎歯列と下顎歯列とを、3次元X、Y,Z座標系における両者がZ軸方向において接触しない初期位置に位置させる歯列位置設定手段と、
前記初期位置を基点として、前記3次元画像の上顎歯列と下顎歯列との一方の歯列の姿勢を変化させる姿勢変化手段と、
姿勢を変化させた前記一方の歯列を、他方の歯列に接触するまでZ軸方向に移動させる移動手段と、
両歯列が接触した位置における、前記一方の歯列の姿勢に関する3次元データを前記記憶手段に記憶させる姿勢データ記憶手段と、
前記姿勢変化手段、前記移動手段、及び前記記憶手段による処理を、前記姿勢変化手段で前記一方の歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行させる繰り返し手段と、
前記繰り返し手段による処理の実行後、XY平面内の複数の位置のそれぞれにおいて、前記記憶手段に記憶されている複数の前記一方の歯列の姿勢に関する3次元データがそれぞれ示すZ軸方向の位置のうち最も前記他方の歯列の近くの位置となる3次元データにおける3次元座標データを取得し、取得した複数の3次元座標データに基づき包絡曲面データを生成する包絡曲面データ生成手段と、
生成された前記包絡曲面データに基づいて前記歯冠の3次元画像を変形させる変形手段と、を含む。
本実施形態では、さらに、歯冠作製装置を提供する。
本実施形態の歯冠作製装置は、
前記歯冠設計装置と、当該歯冠設計装置により得られた歯冠の3次元画像を用いて、歯冠を作製するCAM装置とを、含む。
本実施形態によれば、患者固有のデータを元に、FGVPを求め、このFGVPに基づいて歯冠設計を行うので、患者の顎運動、顎形状等に応じた歯冠の作製が可能となる。これにより、インプラント上に装着した歯冠の咬合調整が殆ど不要となり、インプラント治療に要する時間が短縮でき、患者の苦痛と経済的負担を大幅に軽減できる。
例えば、歯科診療所におけるインプラント手術は、従来、準備時間も含め1日(8時間)で1件しかできなかったが、本発明を採用することにより、2件から3件できるようになり、歯科診療所の稼働効率、経営効率の改善にもつながる。
特に、本実施形態によれば、姿勢変化ステップ、移動ステップ、及び記憶ステップを、姿勢変化ステップで一方の歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行し、繰り返しの実行後、XY平面内の複数の位置のそれぞれにおいて、前記記憶手段に記憶されている複数の前記一方の歯列の姿勢に関する3次元データがそれぞれ示すZ軸方向の位置のうち最も前記他方の歯列の近くの位置となる3次元データにおける3次元座標データを取得し、取得した複数の3次元座標データに基づき包絡曲面データを生成する。
これにより、3次元画像の上顎歯列または下顎歯列に滑走運動等の複雑な動きを行わせる必要がなく、歯冠の設計を容易化することができる。
なお、本実施形態では、一例として、上顎歯列の修復例を上げ、上顎の3次元画像を固定した状態で上下顎歯列の3次元画像を移動させることにより、中心咬合位探索および下顎歯列のFGVP曲面の生成を行う場合について説明したが、本発明は、下顎歯列の修復を対象とし、下顎歯列の3次元画像を固定した状態で上顎歯列の3次元画像を移動させることにより、中心咬合位探索および下顎歯列のFGVP曲面の生成を行うこともできる。
また、中心咬合位探索やFGVP曲面を生成する際、さらに、CT像から得た顎関節の動き範囲等を考慮してもよい。これにより、中心咬合位探索の範囲を絞り込んだり、より一層精度よくFGVP曲面を求めることができる。
またこの方法は通常の支台歯形成した歯冠の製作にも応用することができる。
本発明は、インプラント治療等に用に用いる歯冠設計方法、歯冠設計用プログラム、歯冠設計装置、歯冠作製方法、および歯冠作製装置として広く利用できる。
100 コンピュータシステム
101 入力部
102 出力部
103 記憶部
104 表示部
105 演算部
200 CAM装置

Claims (12)

  1. 少なくとも記憶手段と演算手段を含むコンピュータにより歯牙欠損部に配置する歯冠を設計する方法であって、
    前記記憶手段が、
    患者の上顎歯列及び下顎歯列の3次元画像を取得する取得ステップと、
    前記演算手段が、
    前記3次元画像の上顎歯列または下顎歯列の歯牙欠損部に、歯冠の3次元画像を配置する歯冠像配置ステップと、
    前記3次元画像の上顎歯列と下顎歯列とを、3次元X、Y,Z座標系における両者がZ軸方向において接触しない初期位置に位置させる歯列位置設定ステップと、
    前記初期位置を基点として、前記3次元画像の上顎歯列と下顎歯列との一方の歯列の姿勢を変化させる姿勢変化ステップと、
    姿勢を変化させた前記一方の歯列を、他方の歯列に接触するまでZ軸方向に移動させる移動ステップと、
    両歯列が接触した位置における、前記一方の歯列の姿勢に関する3次元データを前記記憶手段に記憶させる姿勢データ記憶ステップと、
    前記姿勢変化ステップ、前記移動ステップ、及び前記記憶ステップを、前記姿勢変化ステップで前記一方の歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行する繰り返しステップと、
    前記繰り返しステップの実行後、XY平面内の複数の位置のそれぞれにおいて、前記記憶部に記憶されている複数の前記一方の歯列の姿勢に関する3次元データがそれぞれ示すZ軸方向の位置のうち最も前記他方の歯列の近くの位置となる3次元データにおける3次元座標データを取得し、取得した複数の3次元座標データに基づき包絡曲面データを生成する包絡曲面データ生成ステップと、
    生成された前記包絡曲面データに基づいて前記歯冠の3次元画像を変形させる変形ステップと、を含む
    歯冠設計方法。
  2. さらに、中心咬合位を求めるステップを含み、
    前記中心咬合位を求めるステップは、

    前記3次元画像の上顎歯列と下顎歯列とを、3次元X、Y,Z座標系における両者がZ軸方向において接触しない初期位置に位置させる歯列位置設定ステップと、
    前記初期位置を基点として、前記3次元画像の上顎歯列と下顎歯列との一方の歯列の姿勢を変化させるステップと、
    姿勢を変化させた前記一方の歯列を、他方の歯列に接触するまでZ軸方向に移動させる移動ステップと、
    前記一方の歯列の咬合面に複数の評価点を設定する評価点設定ステップと、
    接触した状態における前記一方の歯列の咬合面と他方の歯列の咬合面との間のZ軸方向の距離を前記複数の評価点位置において求め、さらにその総和を求める総和算出ステップと、
    求められたZ軸方向の距離の総和を前記記憶手段に記憶させる総和記憶ステップと、
    前記姿勢変化ステップ、前記移動ステップ、前記総和算出ステップ及び前記総和記憶ステップを、前記姿勢変化ステップで前記一方の歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行する繰り返しステップと、
    前記繰り返しステップの実行後、前記記憶手段に記憶されている複数のZ軸方向の距離の総和が最小になる姿勢を前記中心咬合位と決定する中心咬合位決定ステップと、を含み、
    前記歯列位置設定ステップは、
    前記中心咬合位探索ステップで求められた中心咬合位に対して、Z軸方向において、上顎歯列と下顎歯列とが接触しない離間した位置を前記初期位置として用いる
    請求項1に記載の歯冠設計方法。
  3. 前記姿勢変化ステップは、
    前記3次元画像の一方の歯列を、X軸、Y軸の少なくとも一つの軸の方向に第1所定距離範囲内で第2所定距離ピッチで平行移動させ、及び/または、X軸、Y軸、Z軸の少なくとも一つの軸のまわりで第1所定角度範囲内で第2所定角度ピッチで回転させる
    請求項1または請求項2に記載の歯冠設計方法。
  4. さらに、前記歯冠の3次元画像に、歯冠形状の変化を可能とする制御点を設定する制御点設定ステップを含み、
    前記変形ステップは、
    前記包絡曲面と前記設定された制御点との位置関係が所定の条件を満たすように、前記歯冠の3次元画像を変形させる
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の歯冠設計方法。
  5. さらに、前記包絡曲面と変形後の歯冠との隙間の大きさを調整するステップを含む、
    請求項4に記載の歯冠設計方法。
  6. 前記配置ステップは、
    前記記憶手段に予め記憶された、複数の上下歯列の標準歯冠形状のデータから選択された3次元歯冠像を、前記3次元画像の歯牙欠損部の所定の位置に配置するステップを含む
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の歯冠設計方法。
  7. 前記上顎歯列及び下顎歯列の3次元画像は、患者の口腔領域の3次元口腔領域像の一部が前記患者の歯列模型の3次元歯列模型像で置き換えられた像である
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の歯冠設計方法。
  8. 前記コンピュータは、さらに、入力手段を含み、
    前記取得ステップは、
    マーカーを有する患者の口腔領域の3次元口腔領域像を、前記入力手段を介してコンピュータに入力するステップと、
    マーカーを有する患者の歯列模型の3次元歯列模型像を、前記入力手段を介してコンピュータに入力するステップと、
    前記3次元口腔領域像のマーカーと前記3次元歯列模型像のマーカーとを一致させた状態で、3次元口腔領域像の一部を前記3次元歯列模型像で置き換えて前記上顎歯列及び下顎歯列の3次元画像を作製するステップと、
    前記上顎歯列及び下顎歯列の3次元画像を記憶するステップと、を含む
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の歯冠設計方法。
  9. コンピュータを、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の歯冠設計方法を実行する手段として機能させる
    歯冠設計用プログラム。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の歯冠設計方法により得られた歯冠の3次元画像を用いてCAM装置で歯冠を作製するステップ、を含む
    歯冠作製方法。
  11. 少なくとも記憶手段と演算手段を含み、歯牙欠損部に配置する歯冠を設計する装置であって、
    前記記憶手段が、
    患者の上顎歯列及び下顎歯列の3次元画像を取得し、
    前記演算手段が、
    前記3次元画像の上顎歯列または下顎歯列の歯牙欠損部に、歯冠の3次元画像を配置する歯冠像配置手段と、
    前記3次元画像の上顎歯列と下顎歯列とを、3次元X、Y,Z座標系における両者がZ軸方向において接触しない初期位置に位置させる歯列位置設定手段と、
    前記初期位置を基点として、前記3次元画像の上顎歯列と下顎歯列との一方の歯列の姿勢を変化させる姿勢変化手段と、
    姿勢を変化させた前記一方の歯列を、他方の歯列に接触するまでZ軸方向に移動させる移動手段と、
    両歯列が接触した位置における、前記一方の歯列の姿勢に関する3次元データを前記記憶手段に記憶させる姿勢データ記憶手段と、
    前記姿勢変化手段、前記移動手段、及び前記記憶手段による処理を、前記姿勢変化手段で前記一方の歯列の姿勢をそれまでとは異なる姿勢に変化させて、繰り返し実行させる繰り返し手段と、
    前記繰り返し手段による処理の実行後、XY平面内の複数の位置のそれぞれにおいて、前記記憶手段に記憶されている複数の前記一方の歯列の姿勢に関する3次元データがそれぞれ示すZ軸方向の位置のうち最も前記他方の歯列の近くの位置となる3次元データにおける3次元座標データを取得し、取得した複数の3次元座標データに基づき包絡曲面データを生成する包絡曲面データ生成手段と、
    生成された前記包絡曲面データに基づいて前記歯冠の3次元画像を変形させる変形手段と、を含む
    歯冠設計装置。
  12. 請求項11に記載の歯冠設計装置と、
    当該歯冠設計装置により得られた歯冠の3次元画像を用いて歯冠を作製するCAM装置とを、含む
    歯冠作製装置。
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