JP2013240057A - ヘッドアップディスプレイ装置の調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】虚像の表示状態の調整が効率的に行えるヘッドアップディスプレイ装置の調整方法を提供する。
【解決手段】HUD装置は、画像出力器12から出力された画像を拡大鏡14によって拡大し、車両のウインドシールド60に投影することにより、拡大された画像の虚像を車両の車内から視認可能に表示させる。このHUD装置の調整方法においては、まず、画像出力器12から静止画として出力される検査用画像32をウインドシールド60に投影し、検査用画像32の虚像22を表示させる。次に、検査用画像32の虚像22の位置ずれを補正するように、画像出力器12の画面上における検査用画像32の表示位置を変更する。これにより、検査用画像32と拡大鏡14との相対位置が調整される。
【選択図】図5
【解決手段】HUD装置は、画像出力器12から出力された画像を拡大鏡14によって拡大し、車両のウインドシールド60に投影することにより、拡大された画像の虚像を車両の車内から視認可能に表示させる。このHUD装置の調整方法においては、まず、画像出力器12から静止画として出力される検査用画像32をウインドシールド60に投影し、検査用画像32の虚像22を表示させる。次に、検査用画像32の虚像22の位置ずれを補正するように、画像出力器12の画面上における検査用画像32の表示位置を変更する。これにより、検査用画像32と拡大鏡14との相対位置が調整される。
【選択図】図5
Description
本発明は、車両などの移動体に備えられるヘッドアップディスプレイ装置の調整方法に関する。
画像を出力する画像出力器と、前記画像を車両のウインドシールドに投影する光学系とを有し、ウインドシールドへの投影により、車両の車内に画像の虚像を表示させるヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置と記す)が知られている。
特許文献1には、光を透過かつ反射するリフレクタと、このリフレクタに向って画像を出力する画像出力器と、を有し、リフレクタにて反射した画像の虚像を車内に表示させるHUD装置が開示されている。
このHUD装置は、画像出力器の位置を変更する変更機構を有しており、当該装置をインパネに組付ける際の組付け誤差や、インストルメントパネル(以下、インパネと記す)の製造誤差などにより、虚像がインパネの表面に対して傾いて表示されるという問題に対し、インパネに対する当該装置の位置を調整するのではなく、変更機構により画像出力器の位置を変更させて、虚像の傾きを調整している。
ところで、HUD装置が設置されているインパネの内側空間には、車両情報を表示するコンビネーションメータや、車室内の空調を制御する空調装置などがひしめき合って設置されている。このため、HUD装置を設置するスペースを確保するのが非常に困難である。
HUD装置の小型化を実現する方法の一つに、例えば拡大機能を有する光学系の拡大率を大きくするという方法がある。光学系の拡大率を大きくすることにより、光学系と画像出力器との光路長を短くすることができ、画像出力器の体格を更に小さくすることができる。このことにより、HUD装置の小型化が実現できる。
しかしながら、光学系の拡大率を大きくし、光学系と画像出力器との相対距離を短くすると、画像出力器の画像と、光学系の光軸との相対位置関係のずれに対して虚像が大きく歪むこととなる。この傾向は、光学系の拡大率を大きくすればするほど顕著となる。したがって、画像出力器にて出力される画像と、光学系の光軸との相対位置関係の精度を高めることが、非常に重要となる。
上記画像出力器および光学系は、HUD装置のハウジング内の正規の位置に設置されることとなっているが、ハウジングの寸法誤差や部品の組付け時に発生する組付け誤差により、光学系に対する画像の位置が正規の場合からずれてしまう。光学系の拡大率を大きくする前の状態では、ハウジングの寸法誤差や組付け誤差に起因する虚像の歪みは、表示品質に影響を及ぼすほどではなかった。
しかしながら、HUD装置を小型化する目的で、光学系の拡大率を大きくすると、上記寸法誤差や組付け誤差に起因する虚像の歪みは、当該拡大率を大きくする前の状態と比較して大きくなり、表示品質に多大な影響を及ぼす。このため、HUD装置を製造する上で、画像出力器の画像と光学系の光軸との相対位置を変更して虚像の表示状態を調整する工程が必須となる。
特許文献1のHUD装置には、上述したように画像出力器の位置を変更する変更機構が設けられており、虚像の表示状態を調整することが可能となっている。しかしながら、このHUD装置は変更機構を有しているものの、虚像の表示状態を調整する際、リフレクタに表示された虚像とインパネの表面とを見比べながら作業者は調整作業を行わなければない。このため、作業者の熟練度などに大きく影響するため、場合によっては調整作業に膨大な時間がかかるおそれがある。この調整作業の工程をHUD装置の製造過程の一部に組み込むと、HUD装置の製造効率が低下してしまう。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであって、虚像の表示状態の調整が効率的に行えるヘッドアップディスプレイ装置の調整方法を提供することである。
本発明の請求項1に記載の発明は、画像を出力する画像出力器と、画像を拡大し、車両のウインドシールドに投影する光学系とを有し、拡大された画像のウインドシールドへの投影により、画像の虚像を車両の車内から視認可能に表示させるヘッドアップディスプレイ装置の調整方法において、画像出力器から静止画として出力される検査用画像をウインドシールドに投影し、検査用画像の虚像を表示させる工程と、検査用画像の虚像の位置ずれを補正するように、画像出力器の画面上における検査用画像の表示位置を変更することにより、検査用画像と光学系との相対位置を調整する相対位置調整工程と、を備えることを特徴としている。
請求項1に記載の発明では、相対位置調整工程にて、位置ずれを補正するように、検査用画像と光学系との相対位置を調整している。この相対位置調整工程での調整により、検査用画像と光学系との位置関係が正規の位置関係に近づくため、歪みが抑えられた虚像を容易に得ることができる。
また請求項1に記載の発明では、相対位置調整工程にて、位置ずれを補正するように、検査用画像と光学系との相対位置を調整しているため、虚像の表示状態を容易に調整することができ、調整作業が非常に効率的となる。よって、請求項1の発明によれば、虚像の表示状態の調整が効率的に行えるヘッドアップディスプレイ装置の調整方法を提供することができる。
加えて請求項1の発明によれば、相対位置調整工程で行う検査用画像と光学系との相対位置の調整を、画面上での検査用画像の表示位置を変更することにより行っているので、画像出力器の位置を変更させる機構をHUD装置内に設けることなく容易に当該相対位置を調整することができる。また、変更機構を設ける必要がないため、HUD装置の更なる小型化に貢献できる。
なお、請求項1に記載の画像を拡大する光学系としては、拡大機能を有する、例えば、鏡面が凹状となっている拡大鏡や凸レンズが適用可能である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用された第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置(HUD装置)が車両に適用された状態を示す概略構成図である。
本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用された第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置(HUD装置)が車両に適用された状態を示す概略構成図である。
図1に示すように、HUD装置10は、フロントウインドシールド60の下縁から車室内側へ延出するインストルメントパネル(インパネ)70の内側空間に設置されている。HUD装置10は、画面30a上に各種情報(画像)32を表示する画像出力器12と、画像出力器12から出射される光をフロントウインドシールド60に向けて反射するとともに、画像32を拡大してフロントウインドシールド60に投影する光学系としての拡大鏡14とを有する。なお、図1に示す拡大鏡14の入射側(画像出力器12側)の実線16が光学系の入射側の光軸16を表し、拡大鏡14の出射側(フロントウインドシールド60側)の実線18が光学系の出射側の光軸18を示している。図1では、画面30aから出射された光が、光軸16、18を含む実線上を進み、乗員のアイレンジ80に到達する様子を示している。これにより、乗員には、画像32の虚像24が、車両の前景(フロントウインドシールド60を挟んで乗員とは反対側)に存在するように視認される。
これら画像出力器12および拡大鏡14は、HUD装置10の図示しないハウジングに収容され、画像出力器12の画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置が予め定められた位置となるように所定の固定手段にて固定されている。
なお、画像出力器12は、車両前方に光を出射するように車両に対して設置されており、拡大鏡14は、車両後方を向き、画像出力器12からの光をフロントウインドシールド60に向けて反射する位置に設置されている。
なお、本実施形態では、乗員が認識する虚像24の形状は、図1に示すように、鉛直方向に二つ、当該鉛直方向と直交し、かつ車両の左右方向と平行となる水平方向に四つのマスが隣接して形成される格子形状となっている。本実施形態では、虚像24の大きさは、HUD装置10が表示させようとする最大の大きさとなっている。
また、インパネ70には、当該インパネ70の上面部に開口を有し、拡大鏡14で反射された画像光18をフロントウインドシールド60に導くための筒状の導光部26が形成されている。この導光部26には、当該導光部26を隙間無く塞ぐようにカバー28が設置されている。このカバー28は、インパネ70の内側空間を防塵する。
次に、画像出力器12および拡大鏡14のそれぞれについて詳細に説明する。
図2は、本実施形態で使用する画像出力器12の概略構成図である。画像出力器12は、液晶表示装置であって、液晶パネル30、バックライト34、制御装置36などから構成されている。
液晶パネル30は、例えば、二次元方向に配された複数の液晶画素から画面30aが形成されてなるドットマトリクス型のTFT透過液晶パネルである。画面30aを構成する一つ一つの液晶画素の光の透過率が、制御装置36によって制御される。液晶画素の透過率は、当該画素に印加する電圧を制御することにより制御される。画面30aは、液晶画素を透過した光が拡大鏡14に入射するように拡大鏡14に向って設置されている。
図3は、液晶パネル30の画面30a上に画像32が表示された状態を示す平面図である。本実施形態では、画面30aから出射される光の出射方向に対して直交する二つの方向をX1方向およびY1方向としたとき、画面30aのX1方向およびY1方向の大きさは、画面30aに表示しようとする最も大きな画像32のX1方向およびY1方向の大きさよりも大きく設定している。このことにより、この画像32を、画面30a内にてX1方向およびY1方向に自由に移動させることができる。
図2に示すように、バックライト34は、液晶パネル30の拡大鏡14とは反対側に設置され、液晶パネル30に向う光を出射する。バックライト34は、例えば、発光ダイオード(LED)からなっており、制御装置36によって制御される。
制御装置36は、液晶パネル30の液晶画素の透過率およびバックライト34の点灯ならびに消灯を制御する。制御装置36は、液晶パネル30およびバックライト34の他に、車両の走行速度や矢印などで形成される進路表示の情報が入手できるように車両に搭載されているコンビネーションメータ(図示せず)を制御する制御装置やナビゲーション装置を制御する制御装置(図示せず)と、電気的に接続されている。
制御装置36は、入手した走行速度や進路表示情報に基づき、それらの情報に基づいた画像を画面30aに表示すべく、バックライト34を点灯させるとともに、個々の液晶画素の透過率を制御する。これにより、画面30aからは表示された画像32に応じた光が出射されることとなる。
図4は、拡大鏡の斜視図である。拡大鏡14は、図4に示すように、光を反射する反射面14aを有する。反射面14aは、画像出力器12とは反対側に向うほど凹むような曲面となっている。なお、反射面14aの中央部分の法線方向と直交する二つの方向をα方向およびβ方向とする。
ここで、フロントウインドシールド60の車室内側における光を反射する面は、車室外側に突出するような曲面となっており、この曲面の曲率は、全体に一様ではなく部分的に異なっている。具体的には、当該曲面は、車両の左右方向中央を基準に左右対称となっており、かつ、当該左右方向中央から両端に向うほど曲率が大きくなっている。
反射面14aの曲面は、画像出力器12からの画像32をα方向およびβ方向に拡大するとともに、上述したフロントウインドシールド60の形状に基づいて生じる虚像24の歪みを補正する光学的作用が得られるような曲率となっている。
以上説明したように、拡大鏡14は、フロントウインドシールド60の前方で結像される虚像24が歪まないように曲率を設定している。しかしながら、これは、画像出力器12から出射される光が拡大鏡14に対して予め定められた入射角度で入射した場合に限ったものである。画像出力器12の画像32と拡大鏡14の入射側の光軸16(図1を参照)との相対位置関係がずれると、当該光の入射角度が変わってしまい、虚像24の位置が正規の位置からずれ、当該虚像24の端の部分が歪んでしまう。
上記相対位置のずれは、HUD装置10のハウジングに画像出力器12および拡大鏡14を組付けるときの組付け誤差によって発生する。また、ハウジングの寸法誤差によっても上記相対位置のずれは発生する。この組付け誤差またはハウジングの寸法誤差が、虚像24に歪みが発生の原因となる。
次に、画像出力器12の画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置のずれることによる、虚像24の表示状態(位置ずれ、および歪み)への影響について説明する。
(画像出力器12が車両前方に向って正規の位置から右斜め下に、拡大鏡14が車両前方に向って正規の位置から左斜め上に設置された場合)
図5は、画像出力器12が車両前方に向って正規の位置から右斜め下にずれて設置され、拡大鏡14が車両前方に向って正規の位置から左斜め上にずれて設置された場合の虚像24が受ける影響を説明する説明図である。
図5は、画像出力器12が車両前方に向って正規の位置から右斜め下にずれて設置され、拡大鏡14が車両前方に向って正規の位置から左斜め上にずれて設置された場合の虚像24が受ける影響を説明する説明図である。
図5では、正規の位置からずれて設置された画像出力器12に表示される画像32および拡大鏡14を実線で示し、正規の位置に設置された画像出力器12に表示される画像32および拡大鏡14を破線で示している。破線で示す画像出力器12、破線で示す拡大鏡14、フロントウインドシールド60およびアイレンジ80を結ぶ破線で示す線は図1の実線に対応する線であり、画像出力器12の画像32の中心から出射された光の経路を示している。また、実線で示す画像出力器12、実線で示す拡大鏡14、フロントウインドシールド60およびアイレンジ80を結ぶ実線で示す線は、画像出力器12の画像32の中心から出射された光の経路を示している。
画像出力器12および拡大鏡14が正規の位置に設置された場合の破線で示す虚像24を正規虚像24と称し、正規の位置からずれて設置された場合の実線で示す虚像22を調整前虚像22と称する。なお、虚像22および虚像24の中心点Oは、それぞれ実線で示す画像32の中心、および破線で示す画像32の中心に対応している。
画像出力器12および拡大鏡14が正規の位置からずれて設置されると、正規の位置に設置された場合と比べ、拡大鏡14に入射する画像出力器12からの入射光の入射角度が変わってしまう。このため、図5に示すように、拡大鏡14にて反射された反射光のフロントウインドシールド60への投影位置が正規の位置に設置された場合に比べ変化してしまう。本実施形態では、図5に示すように、調整前虚像22は、車両前方に向って(乗員から見て)、正規虚像24から右斜め上にずれて表示されることとなる。本実施形態では、光を反射する箇所が、拡大鏡14およびフロントウインドシールド60の合計二箇所あるため、調整前虚像22が乗員から見て正規の位置から右斜め上にずれて表示される。
さらに、図6に示すように乗員から見える調整前虚像22は、右端が上方に歪むような形状となる。これは、乗員から見て拡大鏡14への画像出力器12からの入射光の入射位置が右側にずれるからである。
(画像出力器12が車両前方に向って正規の位置から左斜め上に、拡大鏡14が車両前方に向って正規の位置から右斜め下に設置された場合)
図7は、画像出力器12が車両前方に向って正規の位置から左斜め上にずれて設置され、拡大鏡14が車両前方に向って正規の位置から右斜め下にずれて設置された場合の虚像24が受ける影響を説明する説明図である。
図7は、画像出力器12が車両前方に向って正規の位置から左斜め上にずれて設置され、拡大鏡14が車両前方に向って正規の位置から右斜め下にずれて設置された場合の虚像24が受ける影響を説明する説明図である。
図7では、図5と同様に正規の位置からずれて設置された画像出力器12の画像32および拡大鏡14を実線で示し、正規の位置に設置された画像出力器12に表示される画像32および拡大鏡14を破線で示している。破線で示す画像出力器12、破線で示す拡大鏡14、フロントウインドシールド60およびアイレンジ80を結ぶ破線で示す線は図1の実線に対応する線であり、画像出力器12の画像32の中心から出射された光の経路を示している。また、実線で示す画像出力器12、実線で示す拡大鏡14、フロントウインドシールド60およびアイレンジ80を結ぶ実線で示す線は、画像出力器12の画像32の中心から出射された光の経路を示している。
本実施形態では、図7に示すように、調整前虚像22は、車両前方に向って(乗員から見て)、正規虚像24から左斜め下にずれて表示されることとなる。本実施形態では、光を反射する箇所が、拡大鏡14およびフロントウインドシールド60の合計二箇所あるため、調整前虚像22が乗員から見て正規の位置から左斜め下にずれて表示される。
さらに、図8に示すように乗員から見える調整前虚像22は、左端が上方に歪むような形状となる。これは、乗員から見て拡大鏡14への画像出力器12からの入射光の入射位置が左側にずれるからである。
なお、上記虚像22の歪みは、拡大鏡14の拡大率が大きくなると、すなわち拡大鏡14の曲率が大きくなると、虚像22の中心点O(調整前基準点22a)から遠い位置にある部位が大きく歪むこととなる。すなわち、拡大鏡14の拡大率を大きくすると、画像出力器12と拡大鏡14との相対位置のずれに対する歪みへの影響が拡大率の小さい拡大鏡14に比べ大きくなる。したがって、ハウジングの寸法誤差や組付け誤差による少量のずれであっても、虚像の歪みは乗員にとって無視できないほど大きく歪んでしまう。
また、拡大鏡14の拡大率を大きくすればするほど、拡大率を大きくする前の虚像と同じ大きさの虚像を表示させる場合、画像出力器12と拡大鏡14との距離を短くすることができる。加えて、画像出力器12が映し出す画像32の大きさを小さくすることができる。すなわち、画像出力器12の体格を小さくすることができる。以上のことにより、拡大鏡14の拡大率を大きくすれば、HUD装置10を小型化することができる。
しかしながら、上述したように拡大鏡14の拡大率を大きくすることにより、画像出力器12および拡大鏡14の組付け誤差による調整前虚像22の歪みへの影響が大きくなるため、表示品質が安定し難くなる。このため、HUD装置10を製造する上で、画像出力器12の画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置を変更して虚像の表示状態を調整する工程が必須となる。
図9は、HUD装置10を作動させたときにフロントウインドシールド60の前方に表示される調整前虚像22の表示状態を調整する虚像調整装置40の概略構成図である。
図9に示す虚像調整装置40は、撮像装置42、検査チャート44、および制御装置48などから構成されている。
虚像調整装置40は、HUD装置10を車両に搭載した状態、または、HUD装置10を搭載すべき車両を模した調整台にHUD装置10を設置した状態で、調整前虚像22の調整を行う。本実施形態では、HUD装置10を車両に搭載させた状態で調整前虚像22を調整する場合を例にとって説明する。
撮像手段としての撮像装置42は、図1に示すアイレンジ80の位置に設置され、フロントウインドシールド60に表示される虚像22を撮影する。本実施形態では、撮像装置42として、CCD(Charge Coupled Device;電化結合素子)カメラを使用する。また、撮像装置42としては、CCDカメラに限らず、CMOS(Complementary Mental-Oxide Semiconductor;相補型金属酸化物半導体)カメラなどを用いても良い。
ここで、本実施形態では、画像出力器12の画面30aに表示する画像32は、図3に示すような格子形状の検査用の画像であり、HUD装置10が表示しようとする最も大きな画像である。この検査用の画像32は静止画である。以下、この画像32のことを検査用画像32と記す。また、この格子形状の画像32は、その検査用画像32の中心点Oが画面30aの中心と一致する位置に表示される。中心点Oは、調整前虚像22の調整前基準点22aに対応する点である。撮像装置42は、制御装置48に電気的に接続されており、撮影画像の信号を制御装置48に送る。
図9に図示する調整前基準点22aは、画像出力器12から出力される検査用画像32の虚像の特定位置に予め定められる基準点であり、検査用画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置関係が不正規の場合の基準点である。
検査チャート44は、画像出力器12と拡大鏡14との相対位置を調整するための指標であり、車両の前方であって、正規虚像24(図1を参照)が結像される位置付近に設置されている。検査チャート44は、表面が平面となっている板状のプレート部材46を有しており、そのプレート部材46の表面には、正規虚像24の中心に位置する基準となる正規基準点24aが表示されている。
図9に図示する正規基準点24aは、画像出力器12から出力される検査用画像32の虚像の特定位置に予め定められる基準点であり、検査用画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置関係が正規の場合の基準点である。
このように、車両の前方に検査チャート44が設置されているため、HUD装置10を動作させると、撮像装置42は、フロントウインドシールド60に表示される正規基準点24aと調整前虚像22とをともに撮影する。このため、撮像装置42からは、正規基準点24aおよび調整前基準点22aを含んだ調整前虚像22が撮影された撮影画像の信号が送られる。
制御装置48は、撮像装置42から送られた撮影画像に基づき、調整前虚像22と正規虚像24との位置ずれを検出し、その検出した位置ずれが低減して、調整前虚像22の位置のずれや歪みを調整する。本実施形態では、制御装置48は、検出した位置ずれが低減するように、HUD装置10の制御装置36に、画像出力器12の検査用画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置を変更させる。具体的には、制御装置36が画像出力器12の画面30a上での検査用画像32の表示位置を変更することにより、画像出力器12の検査用画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置を変更している(図2および3を参照)。
以下、画像出力器12の検査用画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置の変更および虚像22の調整手順を説明する。図10は、虚像調整装置40の機能を示した機能ブロック図である。図10に示すように、制御装置48は、位置ずれ検出部50、および相対位置調整部54を有する。
位置ずれ検出部50は、正規虚像24からの調整前虚像22の位置ずれを検出する。本実施形態では、正規虚像24における正規基準点24aと、調整前虚像22における調整前基準点22aとを比較することにより行われる。
位置ずれ検出部50は、撮像装置42から送られる撮影画像を画像処理することにより、撮影画像に映っている調整前基準点22aとして、撮影基準点22bを抽出する。そして、当該検出部50は、撮影画像上での正規基準点24aおよび、上記撮影基準点22bを検出し、図9に示すように、正規基準点24aが撮影基準点22bに対して、水平方向(X2方向)および鉛直方向(Y2方向)にどの程度ずれているかを検出する。
図9に示す例では、正規基準点24aは、撮影基準点22bから水平方向(X2方向)においては、検査チャート44に向って左側にΔxだけずれており、鉛直方向(Y2方向)においは、検査チャート44に向って下側にΔyだけずれている。位置ずれ検出部50は、撮影基準点22bの位置を(X2b,Y2b)=(0,0)に設定し、正規基準点24aの位置を検出する。本実施形態では、正規基準点24aは、(X2a,Y2a)=(−Δx,−Δy)に位置することとなる。そして、位置ずれ検出部50は、正規基準点24aの撮影基準点22bに対する位置ずれの検出結果を相対位置調整部54に送る。
相対位置調整部54は、位置ずれ検出部50から送られた正規基準点24aの撮影基準点22bからの位置ずれが低減されるような指令、具体的には制御装置36に画面30a上の検査用画像32の表示位置を変更する指令をHUD装置10の制御装置36に送る。
上述したように、撮影基準点22bの位置ずれが低減されるように制御装置36が検査用画像32の表示位置を変更することにより、画像出力器12からの調整前基準点22a
(撮影基準点22b)に対応する光の拡大鏡14への入射角度が予め定められた角度となるため、調整前基準点22aが正規基準点24aの位置に移動する。このことにより、調整前虚像22の位置ずれおよび歪みが調整される。
(撮影基準点22b)に対応する光の拡大鏡14への入射角度が予め定められた角度となるため、調整前基準点22aが正規基準点24aの位置に移動する。このことにより、調整前虚像22の位置ずれおよび歪みが調整される。
次に、調整前虚像22の調整手順について説明する。図11は、本実施形態による虚像22の調整手順を示すフローチャートである。
このフローチャートは、画像出力器12および拡大鏡14などが組み付けられたHUD装置10を搭載させた車両に、虚像調整装置40の制御装置48をHUD装置10の制御装置36に電気的に接続させた状態から始まる。
ステップS10では、撮像装置42を乗員のアイレンジ80の範囲内に設置するとともに、検査チャート44を上記正規虚像24が結像される位置付近に設置する。
なお、検査チャート44の設置は、作業者が行っても良いし、予め所定の場所に固定されている検査チャート44に対して車両を移動することにより行っても良い。また、検査チャート44に移動装置を設け、その移動装置を虚像調整装置40が制御することにより適切な位置に検査チャート44を設置しても良い。
ステップS20では、虚像調整装置40がHUD装置10の制御装置36に画像出力器12の画面30aの中心と検査用画像32の中心点Oとが一致するように、図3に示すような格子状の検査用画像32を表示させる。制御装置36は、検査用画像32の中心点Oを、原点((X1,Y1)=(0,0))として設定する。
ステップS20に続く、ステップS30では、撮像装置42がフロントウインドシールド60に表示される調整前虚像22および正規基準点24aを撮影し、位置ずれ検出部50に撮影画像の信号を送る。
その後、ステップS40では、位置ずれ検出部50が上記撮影画像に対して画像処理を施し、調整前虚像22の調整前基準点22aとして、撮影基準点22bを抽出する。そして、当該検出部50が、撮影画像上での正規基準点24aおよび撮影基準点22bを検出し、撮影基準点22bを原点((X2b,Y2b)=(0,0))として設定するとともに、原点に対する正規基準点24a(X2a,Y2a)の位置ずれを検出する。本実施形態では、正規基準点24aは、(X2a,Y2a)=(−Δx,−Δy)となる(図9を参照)。
撮像装置42の設置位置を乗員のアイレンジ80内としているので、実際の使用状況に近い状態での調整が可能となり、調整前虚像22の表示状態の調整精度が向上する。
また、検査チャート44のプレート部材46が正規虚像24が結像される位置付近に設置されているので、撮像装置42にてプレート部材46に描かれている正規基準点24aと調整前虚像22の両方を撮像する際、撮像装置42は正規基準点24aおよび調整前虚像22の両方に焦点を合わせやすくなる。これにより、正規基準点24aおよび撮影基準点22bの検出が精度良く行える。
続く、ステップS50では、検出した位置ずれ(X2a,Y2a)のそれぞれが、X2a=0およびY2a=0となっているか否かを判定する。いずれか一方の座標が、0(ゼロ)以外の数値を示すならば、その座標情報を相対位置調整部54に送るとともに、ステップS60に進む。一方、両方の座標が、0(ゼロ)を示すならば、画像出力器12および拡大鏡14の設置位置がHUD装置10のハウジングに対して正規の位置に設置され、調整前虚像22に歪みが発生していないとして、調整作業を終了する。
ステップS60では、相対位置調整部54が、撮影基準点22bと正規基準点24aとの位置ずれを低減するように、検査用画像32の表示位置を変更させる指示をHUD装置10の制御装置36に送る。このステップS60では、当該調整部54が、撮影基準点22bからの正規基準点24aの位置ずれ(X2a,Y2a)=(−Δx,−Δy)に基づき、撮影基準点22bに対応する検査用画像32上の中心点Oの画面30a上での表示位置を求める。そして、当該調整部54は、当該調整部54が求めた位置に当該中心点Oが表示されるよう検査用画像32の表示位置を変更させる指示を制御装置36に送る。制御装置36は、当該調整部54からの指示に基づき、検査用画像32の画面30a上での表示位置を変更する。
本実施形態では、相対位置調整部54が、(X2a,Y2a)=(−Δx,−Δy)という正規基準点24aの撮影基準点22bに対する位置ずれに基づいて、撮影基準点22bに対応する検査用画像32の中心点Oが(X1,Y1)=(−C1Δx,C2Δy)の位置に表示されるように、画面30a上での検査用画像32の表示位置を変更させる指示を制御装置36に送る。なお、C1およびC2は定数であり、拡大鏡14の拡大率や、拡大鏡14の反射面14aの形状によって予め定められる。
例えば、画像出力器12が車両前方に向って正規の位置から右斜め下に、拡大鏡14が車両前方に向って正規の位置から左斜め上に設置された場合には、図12に示すように、相対位置調整部54は、検査用画像32の表示位置を車両前方に向って左斜め上に移動させる。そして、画像出力器12が車両前方に向って正規の位置から左斜め上に、拡大鏡14が車両前方に向って正規の位置から右斜め下に設置された場合には、図13に示すように、相対位置調整部54は、検査用画像32の表示位置を車両前方に向って右斜め下に移動させる。
ステップS60にて、相対位置調整部54からの指示に基づき制御装置36が検査用画像32の表示位置を変更した後、再び、ステップS30にて、表示位置変更後の調整前虚像22および検査チャート44の正規基準点24aを撮影し、ステップS40にて、正規基準点24aの撮影基準点22bに対する位置ずれを検出する。そして、ステップS50にて正規基準点24aの位置ずれが発生していないか否かを再度判断する。ステップS30からステップS60での作業は、正規基準点24aの位置ずれが発生していないと判断されるまで、繰り返し続けられる。
なお、虚像調整装置40にて検査用画像32の表示位置が調整された後、画像出力器12の制御装置36は、調整後の検査用画像32の位置を基準にして、各種情報に応じた検査用画像32を画面30a上に表示させる。
以上説明したように、相対位置調整部54が、位置ずれ検出部50から得た正規基準点24aと撮影基準点22bとの位置ずれに基づいて、画像出力器12の検査用画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置を画像出力器12の制御装置36に変更させて、調整前虚像22の表示状態を調整しているため、作業者の手を煩わせることなく、自動的に歪みの無い虚像22を容易に得ることができる。また、この虚像調整装置40を使用することによれば、調整作業が非常に効率的に行える。したがって、この調整作業をHUD装置10の製造過程の一部に組み込んだとしても、HUD装置10の製造効率が大きく低下してしまうことを抑制できる。
また、本実施形態では、位置ずれを検出する基準点22a、b、および24aとして、虚像22、24の中心点Oを採用している。検査用画像32の中心点から放射される光は、拡大鏡14の光学的特性が比較的安定した中央部を通ることとなる。虚像22、24のそれぞれの調整前基準点22a、正規基準点24aを、検査用画像の32の中心点とすることにより、基準点22a、24a自体が歪み難くなる。このため、位置ずれ検出部50での撮影基準点22bを抽出する際の抽出精度および、撮影基準点22bおよび正規基準点24aの検出精度が向上する。基準点22b、24aの検出精度が向上するため、虚像22の表示状態の調整精度が向上する。
加えて、本実施形態のHUD装置10の画像出力器12の画面30aは、表示した検査用画像32を画面30aの表面に沿った方向に移動させて表示させることが可能なほどの大きさに設定している。このため、画面30a上で検査用画像32の表示位置を変更するだけで、検査用画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置の変更を、例えば、画像出力器12に画像出力器12自体の位置を移動する移動装置のようなものを用いずとも容易に行うことができる。このことによれば、HUD装置10の小型化できる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。第2実施形態は、第1実施形態に記載されている虚像調整装置40の変形例である。第2実施形態は、虚像調整装置40の構成の一部および虚像22の調整作業の一部が、第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略する部分については、第1実施形態と実質的に同じである。
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。第2実施形態は、第1実施形態に記載されている虚像調整装置40の変形例である。第2実施形態は、虚像調整装置40の構成の一部および虚像22の調整作業の一部が、第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略する部分については、第1実施形態と実質的に同じである。
具体的には、虚像調整装置40が、図14に示すように、検査チャート44の代わりに、正規虚像24の正規基準点24aの位置情報を記憶する記憶装置47が虚像調整装置40に設けられる。記憶装置47は、制御装置48と電気的に接続されている。
このような第2実施形態による虚像調整装置40による調整フローでは、図15に示すように、第1実施形態のステップS30およびステップS40に代わるステップS130およびステップS140により、撮像装置42が調整前虚像22のみを撮像し、位置ずれ検出部50が調整前基準点22aに対する正規基準点24aの位置ずれを検出する。
ステップS130では、撮像装置42がフロントウインドシールド60に表示される調整前虚像22のみを撮影し、位置ずれ検出部50に撮影画像を送る。なお、本実施形態では、検査チャート44を使用しない実施形態であるため、ステップS110では、撮像装置42をアイレンジ80内に設置するのみである。
ステップS140では、位置ずれ検出部50が記憶装置47に記憶されている正規虚像24の正規基準点24aの位置情報を読み出す。そして、位置ずれ検出部50は、撮像装置42から送られた撮像画像に対して画像処理を施し、撮影基準点22bを抽出する。さらに、位置ずれ検出部50は、上記正規基準点24aの位置情報から正規基準点24aを特定するともに、撮影基準点22bを検出し、撮像画像上の実像基準点22aを原点((X2b,Y2b)=(0,0))として設定する。そして、位置ずれ検出部50が原点に対する正規基準点24a(X2a,Y2a)の位置ずれを検出する。
以上説明した第2実施形態によれば、車両の前方に検査チャート44を設置せずとも、撮影基準点22bと正規基準点24aとの位置ずれを検出することができる。このことによれば、調整作業を行う場所の制約が無くなる。例えば、本実施形態によれば、検査チャート44の設置場所を確保できないような場所で調整作業を行うことができる。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。第3実施形態は、第1実施形態に記載されているHUD装置10の変形例である。第3実施形態は、画像出力器112の構成が第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略する部分については、第1実施形態と実質的に同じである。
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。第3実施形態は、第1実施形態に記載されているHUD装置10の変形例である。第3実施形態は、画像出力器112の構成が第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略する部分については、第1実施形態と実質的に同じである。
具体的には、図16に示すように、HUD装置10の画像出力器112は、画像出力器112の位置を画面30aの表面に沿った方向、すなわちX1方向およびY1方向に移動させることが可能な移動装置90を有している。移動装置90は、例えば電動モータ90a、その電動モータ90aの回転力をX1方向およびY1方向の運動に変換し、その運動を画像出力器112に伝達する伝達機構90b、および電動モータ90aを駆動制御する制御部90cから構成されている。制御部90cは、制御装置36と電気的に接続されており、制御装置36によって制御される。また、制御部90cは、虚像調整装置40の制御装置48と直接電気的に接続させるように構成しても良い。
相対位置調整部54から、制御装置36経由、または直接送られる、ステップS60(第1実施形態)、またはステップS160(第2実施形態)にて求められた検査用画像32の表示位置を変更させる指示に基づき、制御部90cは、電動モータ90aを駆動制御して、画像出力器112自体の位置を変更する。このことによっても、画面30a上の検査用画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置を変更することができる。
本実施形態では、図12に示すような画像出力器112が車両前方に向って正規の位置から右斜め下に、拡大鏡14が車両前方に向って正規の位置から左斜め上に設置された場合、移動装置90は、画像出力器112を車両前方に向って左斜め上に移動させる。
本実施形態のHUD装置10では、画像出力器112自体の位置を移動させることにより、検査用画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置を変更しているため、表示する検査用画像32の大きさよりも画面30aの大きさを大きくする必要が無い。このため、画面30aの大きさを極力小さくすることができる。
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。第4実施形態は、第1実施形態に記載されているHUD装置10の変形例である。第4実施形態は、画像出力器212の構成が第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略する部分については、第1実施形態と実質的に同じである。
以下、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。第4実施形態は、第1実施形態に記載されているHUD装置10の変形例である。第4実施形態は、画像出力器212の構成が第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略する部分については、第1実施形態と実質的に同じである。
具体的には、図17に示すように、HUD装置10の画像出力器212は、液晶パネル30の位置を画面30aの表面に沿った方向、すなわちX1方向およびY1方向に移動させることが可能な移動装置92を有している。移動装置92は、例えば電動モータ92a、その電動モータ92aの回転力をX1方向およびY1方向の運動に変換し、その運動を液晶パネル30に伝達する伝達機構92b、および電動モータ92aを駆動制御する制御部92cから構成されている。制御部92cは、制御装置36と電気的に接続されており、制御装置36によって制御される。また、制御部92cは、虚像調整装置40の制御装置48と直接電気的に接続させるように構成しても良い。
相対位置調整部54から、制御装置36経由、または直接送られる、ステップS60(第1実施形態)、またはステップS160(第2実施形態)にて求められた検査用画像32の表示位置を変更させる指示に基づき、制御部92cは、電動モータ92aを駆動制御することにより、液晶パネル30の位置を変更する。このことによっても、画面30a上の検査用画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置を変更することができる。
本実施形態では、図12に示すような画像出力器212が車両前方に向って正規の位置から右斜め下に、拡大鏡14が車両前方に向って正規の位置から左斜め上に設置された場合、移動装置92は、画像出力器112の液晶パネル30を車両前方に向って左斜め上に移動させる。
本実施形態のHUD装置10では、液晶パネル30の位置を変更させることにより、検査用画像32と拡大鏡14の光軸16との相対位置を変更しているため、移動装置92は、上記第3実施形態のような画像出力器112自体を移動させる移動装置90ほど大がかりな装置とはならない。よって、本実施形態によれば、第3実施形態の画像出力器112と比べ、画像出力器212を小型化することができる。
(第5実施形態)
以下、本発明の第5実施形態を図面に基づいて説明する。第5実施形態は、第1実施形態に記載されているHUD装置10の変形例である。第5実施形態は、画像出力器312の構成および拡大鏡14の構成が、第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略する部分については、第1実施形態と実質的に同じである。
以下、本発明の第5実施形態を図面に基づいて説明する。第5実施形態は、第1実施形態に記載されているHUD装置10の変形例である。第5実施形態は、画像出力器312の構成および拡大鏡14の構成が、第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略する部分については、第1実施形態と実質的に同じである。
具体的には、図18に示すように、拡大鏡214は、画像出力器312が表示した検査用画像32のフロントウインドシールド60への投影位置を変更する投影位置変更部94を備えている。投影位置変更部94は、拡大鏡214に設けられた回転軸96周りに拡大鏡214を回転させ、検査用画像32のフロントウインドシールド60への投影位置を変更する。
拡大鏡214が回転軸96周りに回転すると、画像出力器312からの画像光16の反射面214aでの反射角が変わる。これにより、フロントウインドシールド60への検査用画像32の投影位置が変わる。
図18に示すように、拡大鏡214の下辺が乗員に近づくように、拡大鏡214が回転軸96周りに回転すると、フロントウインドシールド60での検査用画像32の投影位置が上方に移動する。拡大鏡14の下辺が乗員から遠のくように、拡大鏡214が回転軸96周りに回転すると、検査用画像32の投影位置が下方に移動する。
投影位置変更部94は、例えば回転軸を回転させる回転力を発生する電動モータ94a、および電動モータ94aを駆動制御する制御部94bから構成されている。制御部94bは、インパネ70に設けられた乗員が操作可能なスイッチ98と電気的に接続されている。
図18に示すように、スイッチ98には、「UP」および「DOWN」を選択するボタンが設けられている。乗員が検査用画像32の投影位置を上方に移動させるべく、「UP」ボタンを操作すると、スイッチ98から制御部94bに「UP」ボタンの操作に対応した信号が送られる。当該信号を受け取った制御部94bは、電動モータ94aを駆動し、拡大鏡214の下辺が車室に近づくように拡大鏡214を回転させる。
乗員が検査用画像32の投影位置を下方に移動させるべく、「DOWN」ボタンを操作すると、スイッチ98から制御部94bに「DOWN」ボタンの操作に対応した信号が送られる。当該信号を受け取った制御部94bは、電動モータ94aを駆動し、拡大鏡214の下辺が車室から遠のくように拡大鏡214を回転させる。
制御部94bは、虚像調整装置40の制御装置48と電気的に接続されており、制御装置48からの指示に基づき、電動モータ94aを駆動制御することにより、回転軸96周りに拡大鏡214を回転させることができるようになっている。
図18に示すように、投影位置変更部94が拡大鏡214を回転軸96周りに回転させることにより、画面30aから出射する光の拡大鏡214に入射する位置が回転軸96と直交する方向(β方向)に移動することとなる。よって、拡大鏡214を回転軸96周りに回転させることにより、検査用画像32を画面330a上でY1方向に移動させた場合と同様の効果を発揮することができる。例えば、検査用画像32を上方に移動させる場合と同じ効果を得るには、拡大鏡214を下辺が車室に近づくように回転させる。検査用画像32を下方に移動させる場合と同じ効果を得るには、拡大鏡214を下辺が車室から遠のくように回転させる。
画像出力器312は、画面の大きさが第1実施形態の液晶パネル30と異なる液晶パネル330を有する。この液晶パネル330の画面330aは、第1実施形態の液晶パネル30と異なり、画面330aの回転軸96に沿ったX1方向のみが検査用画像32よりも大きく設定されている。この液晶パネル330では、検査用画像32をY1方向に移動させることができないようになっている。画像出力器312の制御部36は、第1実施形態と同様、虚像調整装置40の制御装置48と電気的に接続されており、制御装置48からの指示に基づき、検査用画像32をX1方向に変更させる。
相対位置調整部54から送られる、ステップS60(第1実施形態)、またはステップS160(第2実施形態)にて求められた検査用画像32と拡大鏡214の光軸16の相対位置を変更させる指示に基づき、投影位置変更部94の制御部94bは電動モータ94aを駆動制御して、拡大鏡214の回転角を変更し、画像出力器312の制御装置36は画面330a上での検査用画像32のX1方向の表示位置を変更する。
本実施形態では、図12に示すような画像出力器312が車両前方に向って正規の位置から右斜め下に、拡大鏡14が車両前方に向って正規の位置から左斜め上に設置された場合、制御部94bは、電動モータ94aを駆動制御して、拡大鏡214の下辺を車室から遠ざけるように拡大鏡214を回転させ、制御装置36は検査用画像32の表示位置を左に変更する。
本実施形態では、フロントウインドシールド60への検査用画像32の投影位置を調整するために設けられた投影位置変更部94を利用することにより、画像出力器312の画面330aにおける検査用画像32の移動方向を第1実施形態のものに比べ減らすことができる。このことによれば、液晶パネル330の画面330aの面積を小さくすることができ、画像出力器312のコスト上昇を抑えることができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明した。本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
以上、本発明の複数の実施形態について説明した。本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
例えば、第1実施形態において、画像出力器12と拡大鏡14との間、または拡大鏡14とフロントウインドシールド60との間に、別の平面鏡や拡大レンズなどを設置しても良い。
また、第1実施形態および第2実施形態では、ステップS50およびステップS150での判断処理において、X2aおよびY2aの値が0(ゼロ)となった場合に調整作業を終了しているが、必ずしも0(ゼロ)である必要はない。乗員による虚像の歪みの判断が不能となる程度の判定値であれば良い。
また、第3および第4実施形態のように画像出力器112、212に移動装置90、92を設けずに、拡大鏡14に移動装置90、92を設けても良い。また、画像出力器112、212および拡大鏡14の両方に移動装置90、92を設けても良い。
さらに、第5実施形態において、画像出力器312自体を画面30aのX1方向に移動させるようにしても良いし、画像出力器312の液晶パネル30を当該X1方向に移動させるようにしても良い。
10 ヘッドアップディスプレイ装置(HUD装置)、12 画像出力器、14 拡大鏡、16 光軸、18 光軸、22 虚像、22a 調整前基準点、22b 撮影基準点、24 虚像、24a 正規基準点、30 液晶パネル、30a 画面、32 画像、34 バックライト、36 制御装置、40 虚像調整装置、42 撮像装置、44 検査チャート、46 プレート部材、47 記憶装置、48 制御装置、50 位置ずれ検出部、54 相対位置調整部、60 フロントウインドシールド、70 インストルメントパネル(インパネ)、80 アイレンジ、90 移動装置、92 移動装置、94 投影位置変更部、96 回転軸、98 スイッチ
Claims (1)
- 画像を出力する画像出力器と、前記画像を拡大し、車両のウインドシールドに投影する光学系とを有し、前記拡大された前記画像の前記ウインドシールドへの投影により、前記画像の虚像を前記車両の車内から視認可能に表示させるヘッドアップディスプレイ装置の調整方法において、
前記画像出力器から静止画として出力される検査用画像を前記ウインドシールドに投影し、前記検査用画像の虚像を表示させる工程と、
前記検査用画像の虚像の位置ずれを補正するように、前記画像出力器の画面上における前記検査用画像の表示位置を変更することにより、前記検査用画像と前記光学系との相対位置を調整する相対位置調整工程と、を備えることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置の調整方法。
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