JP2013237839A - 発光材料、発光素子、酸素センサ、発光装置、電子機器及び照明装置 - Google Patents

発光材料、発光素子、酸素センサ、発光装置、電子機器及び照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】発光効率の高い発光材料、又は発光効率の高い発光素子を提供する。
【解決手段】式IrLXで表され、最低三重項励起状態の最安定構造において、Xに分布するスピンの割合が5%以下である発光材料。式中、Irは、イリジウムを表し、Lは、少なくともsp混成炭素原子がIrに結合した構造を有する配位子を表し、Xは、2つの窒素原子、窒素原子と酸素原子、又は2つの酸素原子がIrに配位したモノアニオン性の二座配位子を表す。
【選択図】なし

Description

三重項励起状態を発光に変換できる発光材料に関する。また、該発光材料を用いた発光素子及び酸素センサに関する。また、該発光素子を用いた発光装置、電子機器及び照明装置に関する。
近年、発光性の有機化合物や無機化合物を発光材料として用いた発光素子の開発が盛んである。特に、EL(Electroluminescence)素子と呼ばれる発光素子の構成は、電極間に発光材料を含む発光層を設けただけの単純な構造であり、薄型軽量化できる・入力信号に高速に応答できる・直流低電圧駆動が可能であるなどの特性から、次世代のフラットパネルディスプレイ素子として注目されている。また、このような発光素子を用いたディスプレイは、コントラストや画質に優れ、視野角が広いという特徴も有している。さらに、これらの発光素子は面光源であるため、液晶ディスプレイのバックライトや照明等の光源としての応用も考えられている。
発光物質が発光性の有機化合物である場合、発光素子の発光機構は、キャリア注入型である。すなわち、電極間に発光層を挟んで電圧を印加することにより、電極から注入された電子およびホールが再結合して発光物質が励起状態となり、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。そして、励起状態の種類としては、一重項励起状態(S)と三重項励起状態(T)が可能である。また、発光素子におけるその統計的な生成比率は、S:T=1:3であると考えられている。
発光性の有機化合物は通常、基底状態が一重項状態である。したがって、一重項励起状態(S)からの発光は、同じ多重度間の電子遷移であるため蛍光と呼ばれる。一方、三重項励起状態(T)からの発光は、異なる多重度間の電子遷移であるため燐光と呼ばれる。ここで、蛍光を発する化合物(以下、蛍光性化合物と称す)は室温において、通常、燐光は観測されず蛍光のみが観測される。したがって、蛍光性化合物を用いた発光素子における内部量子効率(注入したキャリアに対して発生するフォトンの割合)の理論的限界は、S:T=1:3であることを根拠に25%とされている。
一方、燐光性化合物を用いれば、内部量子効率は75〜100%にまで理論上は可能となる。つまり、蛍光性化合物に比べて3〜4倍の発光効率が可能となる。このような理由から、高効率な発光素子を実現するために、燐光性化合物を用いた発光素子の開発が近年盛んに行われている。特に、燐光性化合物としては、その燐光量子収率の高さゆえに、イリジウム等を中心金属とする有機金属錯体が注目されており、例えば、特許文献1には、イリジウムを中心金属とする有機金属錯体が燐光材料として開示されている。
高効率な発光素子を用いるメリットとしては、当該発光素子を用いた電子機器の消費電力を低減できることなどが挙げられる。エネルギー問題がとりざたされる昨今、消費電力は消費者の購買動向を左右する大きなファクターとなりつつあることから、非常に重要な要素である。
国際公開第01/41512号パンフレット
本発明の一態様は、発光効率の高い発光材料を提供することを目的の一とする。また、本発明の一態様は、発光効率の高い発光素子を提供することを目的の一とする。
本発明の一態様は、式IrLXで表され、最低三重項励起状態の最安定構造において、Xに分布するスピンの割合が5%以下である発光材料である。(式中、Irは、イリジウムを表し、Lは、少なくともsp混成炭素原子がIrに結合した構造を有する配位子を表し、Xは、2つの窒素原子、窒素原子と酸素原子、又は2つの酸素原子がIrに配位したモノアニオン性の二座配位子を表す。)
上記発光材料において、Xは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座配位子であることが好ましい。
上記発光材料において、Lは、sp混成炭素原子及び窒素原子がIrに配位した二座配位子であることが好ましい。
また、上記発光材料において、Lは、アリール基が結合したピリダジン骨格、アリール基が結合したピリミジン骨格、又はアリール基が結合したピラジン骨格を有する二座配位子であることが好ましい。
上記発光材料は、燐光量子収率が60%以上であることが好ましく、燐光量子収率が70%以上であることが特に好ましい。
本発明の一態様は、上記発光材料を含む発光素子である。より具体的には、一対の電極間に発光層を有し、該発光層が上記発光材料を含む発光素子である。
また、本発明の一態様は、上記発光材料を含む酸素センサである。
また、本発明の一態様は、上記発光素子を含む発光装置である。また、該発光装置を表示部に備える電子機器や、該発光装置を発光部に備える照明装置も本発明の一態様である。
本発明の一態様の発光材料は、Ir原子とL配位子が寄与してTが形成され、三重項MLCT励起状態が最低励起状態となりやすいため、発光効率の高い発光材料を提供することができる。また、本発明の一態様は、発光効率の高い発光素子を提供することができる。
本発明の一態様の発光素子を示す図。 本発明の一態様の発光素子及び酸素センサを示す図。 本発明の一態様の発光装置を示す図。 本発明の一態様の発光装置を示す図。 本発明の一態様の電子機器を示す図。 本発明の一態様の照明装置を示す図。 構成例1の計算結果を示す図。 構成例2の計算結果を示す図。 構成例3の計算結果を示す図。 構成例4の計算結果を示す図。 構成例5の計算結果を示す図。 構成例6の計算結果を示す図。 比較例1の計算結果を示す図。 比較例2の計算結果を示す図。 比較例3の計算結果を示す図。 比較例4の計算結果を示す図。 比較例5の計算結果を示す図。 比較例6の計算結果を示す図。 実施例の発光素子を示す図。 発光素子1の輝度−外部量子効率特性を示す図。 発光素子2の輝度−外部量子効率特性を示す図。 発光素子3の輝度−外部量子効率特性を示す図。 発光素子4の輝度−外部量子効率特性を示す図。 発光素子5の輝度−外部量子効率特性を示す図。 発光素子6の輝度−外部量子効率特性を示す図。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光材料について説明する。
本発明の一態様の発光材料は、式IrLXで表され、最低三重項励起状態の最安定構造において、Xに分布するスピンの割合が5%以下である。式中、Irは、イリジウムを表し、Lは、少なくともsp混成炭素原子がIrに結合した構造を有する配位子を表し、Xは、2つの窒素原子、窒素原子と酸素原子、又は2つの酸素原子がIrに配位したモノアニオン性の二座配位子を表す。本発明の一態様の発光材料は、高い燐光発光効率を得ることができる。
本来、最低三重項励起状態(T)から基底状態(S)への遷移は禁制遷移であり、熱失活する速度に比べて発光の遷移速度が遅く、三重項励起状態からの発光(燐光)は観測されにくい。一方、最低一重項励起状態(S)から基底状態(S)への遷移は許容遷移であり、熱失活する速度に比べて発光の遷移速度が速いため、一重項励起状態からの発光(蛍光)は観測されやすい。したがって、燐光発光を効率良く得るためには、最低三重項励起状態(T)に対して、最低一重項励起状態(S)が混成する(mixing)ことが重要となる。これにより、禁制が解かれ、燐光発光の遷移速度が熱失活の速度よりも速くなるためである。このことは、式IrLXで表される発光材料が燐光を効率良く放射するためにも重要なことであると考えられる。
しかしながら、従来知られている式IrLX(Irはイリジウムを表し、L及びXは異なる配位子を表す)で表される発光材料においては、どのようなLとXの組み合わせであれば、上述のように最低三重項励起状態(T)に対して、最低一重項励起状態(S)が十分に混成し、極めて高効率な燐光発光が得られるのか、定かではなかった。
本発明の一態様の発光材料では、最低三重項励起状態(T)の最安定構造において、X配位子に分布するスピンの割合が少なく、スピンは、主としてIr原子からL配位子にかけて分布するように、LとXとを選択する。したがって、本発明の一態様の発光材料では、Ir原子とL配位子がTの形成に大きく寄与する。
ここで、L配位子ではsp混成炭素原子がIr原子に結合しているため、Ir原子とL配位子が寄与して形成されたTでは、三重項π−π励起状態のエネルギーと、一重項MLCT(Metal to Ligand Charge Transfer)励起状態のエネルギーの値が近く、それらが混成した三重項MLCT励起状態が最低励起状態となりやすい。したがって、三重項MLCT励起状態は、一重項励起状態の性質(速い遷移速度)を有し、発光の遷移速度が熱失活の速度よりも速くなるため、高い燐光発光効率を得ることができる。
一方、X配位子では、Ir原子に配位する原子が窒素原子や酸素原子のみである。もし、Ir原子及びX配位子が最低三重項励起状態(T)に多く寄与してしまうと、三重項π−π励起状態のエネルギーと、一重項MLCT励起状態のエネルギーの値が遠くなり、三重項MLCT励起状態が生じにくい。したがって、最低三重項励起状態は、一重項励起状態の性質(速い遷移速度)を有することができず、発光の遷移速度が熱失活による励起エネルギーの失活の速度よりも遅くなるため、燐光発光効率は低い。
このように、本発明の一態様は、上述したようなLとXという異なる配位子を用いる場合に、最低三重項励起状態が極力Xに分布しないようなLとXの組み合わせを選択することにより、高い燐光発光効率が得られるという新たな知見に基づいている。また本発明者らは、このような思想のもと、種々の実験を重ねた結果、Xに分布する最低三重項励起状態のスピンの割合が5%以下となる新たな化合物を複数種見出し、さらにはそれらが従来にない高い燐光発光効率を示すことをも実証した(実施例にて後述)。
なお、本発明の一態様の発光材料に用いるX配位子としては、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座配位子が好ましい。X配位子がベータジケトン構造を有する場合、上述した最低三重項励起状態のL配位子及びX配位子への分布が、ベータジケトンの置換基の種類によって大きく変化する。したがって、本発明の一態様の手法が非常に有効である。
本発明の一態様の発光材料に用いるL配位子としては、sp混成炭素原子及び窒素原子がIrに配位した二座配位子が好ましい。本発明の一態様の発光材料は、sp混成炭素原子のみの単座配位に比べ、窒素原子を加えた二座配位の方が、化合物として安定となる。
特に、L配位子としては、アリール基が結合したジアジン骨格、すなわち、アリール基が結合したピリダジン骨格、アリール基が結合したピリミジン骨格、又はアリール基が結合したピラジン骨格を有する二座配位子が好ましい。これらは発光素子に用いた場合、電子を捕獲しやすく、特に高い発光効率を達成できる。
また、ピリダジン骨格、ピリミジン骨格、又はピラジン骨格は、該アリール基以外にも置換基を有していても良い。
本実施の形態で説明した発光材料は、酸素センサに用いることができる。例えば、酸素センサのセンサ部に含まれる本発明の一態様の発光材料に対して光(紫外光)を照射することで、発光材料を光励起させる。これにより発光する燐光の強度を確認することで、酸素センサが置かれた環境(雰囲気中)の酸素濃度を把握することができる。
図2(B)に、本発明の一態様の酸素センサを示す。酸素センサは、センサ部101、励起光源103、光検出部105、及び集光部107を備える。
センサ部101は、本発明の一態様の発光材料からなる膜を有する。励起光源103としては、レーザ等を用いることができる。集光部107としては、レンズ等を用いることができる。集光部107は、必要で無ければ設けなくても良い。
本発明の一態様の酸素センサにおいて、センサ部101に含まれる発光材料は、励起光源103から照射される光109により励起し、発光する。このとき、センサ部101への光109の入射角θは、0度より大きく90度未満とする。本発明の一態様の発光材料が発する光111は、集光レンズ107を介して光検出部105にて検出される。光検出部105で、発光111の強度を確認することで、酸素センサが置かれた環境(雰囲気中)の酸素濃度を把握することができる。
本発明の一態様の発光材料は発光効率が非常に高いため、酸素濃度が低い場合の発光強度が非常に高い。一方で、酸素濃度が高くなると発光強度が急激に弱くなる。本発明の一態様の発光材料は、酸素濃度に依存する発光の強度比が大きいという特徴を有する。したがって、酸素濃度の高低に対して敏感で、また視認性に優れた酸素センサを提供することができる。
また、本実施の形態で説明した発光材料は、発光素子に用いることができる。例えば、発光素子の発光層(特にゲスト材料)に用いることができる(実施の形態2等参照)。
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子について図1及び図2(A)を用いて説明する。
本実施の形態で例示する発光素子は、一対の電極(第1の電極及び第2の電極)と、該一対の電極間に設けられたEL層と、を有する。該一対の電極は、一方が陽極、他方が陰極として機能する。該EL層は、少なくとも発光層を有し、該発光層は、本発明の一態様の発光材料を含む。
本発明の一態様の発光素子には、トップエミッション(上面射出)構造、ボトムエミッション(下面射出)構造、デュアルエミッション(両面射出)構造のいずれも適用することができる。
以下に、本発明の一態様の発光素子の具体的な構成例について示す。
図1(A)に示す発光素子は、第1の電極201及び第2の電極205の間にEL層203を有する。本実施の形態では、第1の電極201が陽極として機能し、第2の電極205が陰極として機能する。
第1の電極201と第2の電極205の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層203に第1の電極201側から正孔が注入され、第2の電極205側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層203において再結合し、EL層203に含まれる発光物質が発光する。
EL層203は、上述の通り、少なくとも発光層を有する。EL層203は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していても良い。
EL層203には公知の物質を用いることができ、低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいても良い。
EL層203の具体的な構成例を、図1(B)に示す。図1(B)に示すEL層203では、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、電子輸送層304及び電子注入層305が、第1の電極201側からこの順に積層されている。
図1(C)に示す発光素子は、第1の電極201及び第2の電極205の間にEL層203を有し、さらに、EL層203及び第2の電極205の間に、中間層207を有する。
中間層207の具体的な構成例を、図1(D)に示す。中間層207は、電荷発生領域308を少なくとも有する。中間層207は、電荷発生領域308以外の層として、電子リレー層307や、電子注入バッファー層306をさらに有していても良い。
第1の電極201と第2の電極205の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、電荷発生領域308において、正孔と電子が発生し、正孔は第2の電極205へ移動し、電子は電子リレー層307へ移動する。電子リレー層307は電子輸送性が高く、電荷発生領域308で生じた電子を電子注入バッファー層306に速やかに受け渡す。電子注入バッファー層306はEL層203に電子を注入する障壁を緩和し、EL層203への電子注入効率を高める。従って、電荷発生領域308で発生した電子は、電子リレー層307と電子注入バッファー層306を経て、EL層203のLUMO準位に注入される。
また、電子リレー層307は、電荷発生領域308を構成する物質と電子注入バッファー層306を構成する物質が界面で反応し、互いの機能が損なわれてしまう等の相互作用を防ぐことができる。
図1(E)(F)に示す発光素子のように、第1の電極201及び第2の電極205の間に複数のEL層が積層されていても良い。この場合、積層されたEL層の間には、中間層207を設けることが好ましい。例えば、図1(E)に示す発光素子は、第1のEL層203aと第2のEL層203bとの間に、中間層207を有する。また、図1(F)に示す発光素子は、EL層をn層(nは2以上の自然数)有し、m番目のEL層203(m)(mは1以上(n−1)以下の自然数)と、(m+1)番目のEL層203(m+1)との間に、中間層207を有する。
EL層203(m)とEL層203(m+1)の間に設けられた中間層207における電子と正孔の挙動について説明する。第1の電極201と第2の電極205の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、中間層207において正孔と電子が発生し、正孔は第2の電極205側に設けられたEL層203(m+1)へ移動し、電子は第1の電極201側に設けられたEL層203(m)へ移動する。EL層203(m+1)に注入された正孔は、第2の電極205側から注入された電子と再結合し、当該EL層203(m+1)に含まれる発光物質が発光する。また、EL層203(m)に注入された電子は、第1の電極201側から注入された正孔と再結合し、当該EL層203(m)に含まれる発光物質が発光する。よって、中間層207において発生した正孔と電子は、それぞれ異なるEL層において発光に至る。
なお、EL層同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成される場合は、EL層同士を接して設けることができる。例えば、EL層の一方の面に電荷発生領域が形成されている場合、その面に接してEL層を設けることができる。
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つ以上のEL層を有する発光素子の場合でも同様である。
図1(A)乃至(F)は、互いに組み合わせて用いることができる。例えば、図1(F)の第2の電極205とEL層203(n)の間に中間層207を設けることもできる。
以下に、それぞれの層に用いることができる材料を例示する。なお、各層は、単層に限られず、二層以上積層しても良い。
〈陽極〉
陽極として機能する電極(本実施の形態では第1の電極201)は、導電性を有する金属、合金、導電性化合物等を1種又は複数種用いて形成することができる。特に、仕事関数の大きい(4.0eV以上)材料を用いることが好ましい。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有したインジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、グラフェン、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
なお、陽極が電荷発生領域と接する場合は、仕事関数の大きさを考慮せずに、様々な導電性材料を用いることができ、例えば、アルミニウム、銀、アルミニウムを含む合金等も用いることができる。
〈陰極〉
陰極として機能する電極(本実施の形態では第2の電極205)は、導電性を有する金属、合金、導電性化合物などを1種又は複数種用いて形成することができる。特に、仕事関数が小さい(3.8eV以下)材料を用いることが好ましい。例えば、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素(例えば、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム等)、これら元素を含む合金(例えば、Mg−Ag、Al−Li)、ユーロピウム、イッテルビウム等の希土類金属、これら希土類金属を含む合金、アルミニウム、銀等を用いることができる。
なお、陰極が電荷発生領域と接する場合は、仕事関数の大きさを考慮せずに、様々な導電性材料を用いることができる。例えば、ITO、珪素又は酸化珪素を含有したインジウムスズ酸化物等も用いることができる。
発光素子は、陽極又は陰極の一方が可視光を透過する導電膜であり、他方が可視光を反射する導電膜である構成としても良いし、陽極及び陰極の両方が可視光を透過する導電膜である構成としても良い。
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、ITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができる。また、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、又はこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成することで用いることができる。また、グラフェン等を用いても良い。
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、又は、銀と銅の合金等の銀を含む合金を用いて形成することができる。銀と銅の合金は、耐熱性が高いため好ましい。また、上記金属材料や合金に、ランタン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていても良い。
電極は、それぞれ、真空蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すれば良い。また、銀ペースト等を用いる場合には、塗布法やインクジェット法を用いれば良い。
〈正孔注入層301〉
正孔注入層301は、正孔注入性の高い物質を含む層である。
正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物等を用いることができる。
また、フタロシアニン(略称:HPc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物を用いることができる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)等の高分子化合物、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
また、正孔注入層301を、電荷発生領域としても良い。陽極と接する正孔注入層301が電荷発生領域であると、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を該陽極に用いることができる。電荷発生領域を構成する材料については後述する。
〈正孔輸送層302〉
正孔輸送層302は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。
正孔輸送性の高い物質としては、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば良く、特に、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。
例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等の芳香族アミン化合物を用いることができる。
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
また、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物を用いることができる。
〈発光層303〉
発光層303は、本発明の一態様の発光材料を含む層である。本発明の一態様の発光材料については、実施の形態1等を参酌することができる。
発光層303は、本発明の一態様の発光材料以外の材料を含んでいても良い。例えば、本発明の一態様の発光材料(ゲスト材料)を、他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としても良い。
ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、ゲスト材料よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層303の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
ホスト材料としては、上述の正孔輸送性の高い物質(例えば、芳香族アミン化合物やカルバゾール誘導体)や、後述の電子輸送性の高い物質(例えば、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体や、オキサゾール系配位子又はチアゾール系配位子を有する金属錯体)等を用いることができる。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:Zn(BTZ))等の金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等の複素環化合物や、CzPA、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)等のカルバゾール誘導体、DNA、t−BuDNA、DPAnth、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン等の芳香族炭化水素化合物又は縮合芳香族化合物、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、NPB、TPD、DFLDPBi、BSPB等の芳香族アミン化合物などを用いることができる。
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
また、発光層を複数設け、それぞれの層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、発光層を2つ有する発光素子において、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。また、発光層を3つ以上有する発光素子の場合でも同様である。
〈電子輸送層304〉
電子輸送層304は、電子輸送性の高い物質を含む層である。
電子輸送性の高い物質としては、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば良く、特に、10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質であることが好ましい。
例えば、Alq、Almq、BeBq、BAlq、Zn(BOX)、Zn(BTZ)等の金属錯体を用いることができる。
また、PBD、OXD−7、TAZ、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、BPhen、BCP、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)等の複素芳香族化合物を用いることができる。
また、ポリ(2,5−ピリジン−ジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)等の高分子化合物を用いることができる。
〈電子注入層305〉
電子注入層305は、電子注入性の高い物質を含む層である。
電子注入性の高い物質としては、例えば、リチウム、セシウム、カルシウム、リチウム酸化物、炭酸リチウム、炭酸セシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、フッ化エルビウム等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属又はこれらの化合物(酸化物、炭酸塩、ハロゲン化物など)を用いることができる。
また、電子注入層305は、前述の電子輸送性の高い物質とドナー性物質とを含む構成としても良い。例えば、Alq中にマグネシウム(Mg)を含有させることで電子注入層305を形成しても良い。電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含む場合、電子輸送性の高い物質に対するドナー性物質の添加量の質量比は0.001以上0.1以下の比率が好ましい。
ドナー性の物質としては、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、酸化マグネシウム等のような、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、又はこれらの化合物(酸化物)、ルイス塩基の他、テトラチアフルバレン(略称:TTF)、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることができる。
〈電荷発生領域〉
正孔注入層を構成する電荷発生領域や、電荷発生領域308は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質(電子受容体)を含む領域である。アクセプター性物質は、正孔輸送性の高い物質に対して質量比で0.1以上4.0以下の比率で添加されていることが好ましい。
また、電荷発生領域は、同一膜中に正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含有する場合だけでなく、正孔輸送性の高い物質を含む層とアクセプター性物質を含む層とが積層されていても良い。但し、電荷発生領域を陰極側に設ける場合には、正孔輸送性の高い物質を含む層が陰極と接する構造となり、電荷発生領域を陽極側に設ける積層構造の場合には、アクセプター性物質を含む層が陽極と接する構造となる。
正孔輸送性の高い物質としては、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であれば良く、特に、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する有機化合物であることが好ましい。
具体的には、NPB、BPAFLP等の芳香族アミン化合物、CBP、CzPA、PCzPA等のカルバゾール誘導体、t−BuDNA、DNA、DPAnth等の芳香族炭化水素化合物、PVK、PVTPA等の高分子化合物など、正孔輸送層302に用いることができる物質として例示した正孔輸送性の高い物質を用いることができる。
アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物、遷移金属酸化物、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。特に、酸化モリブデンは、大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため、好ましい。
〈電子注入バッファー層306〉
電子注入バッファー層306は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入バッファー層306は、電荷発生領域308からEL層203への電子の注入を容易にする。電子注入性の高い物質としては、前述の材料を用いることができる。また、電子注入バッファー層306は、前述の電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含む構成としても良い。
〈電子リレー層307〉
電子リレー層307では、電荷発生領域308においてアクセプター性物質が引き抜いた電子を速やかに受け取る。
電子リレー層307は、電子輸送性の高い物質を含む。該電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
該フタロシアニン系材料としては、具体的にはCuPc、SnPc(Phthalocyanine tin(II) complex)、ZnPc(Phthalocyanine zinc complex)、CoPc(Cobalt(II)phthalocyanine, β−form)、FePc(Phthalocyanine Iron)、PhO−VOPc(Vanadyl 2,9,16,23−tetraphenoxy−29H,31H−phthalocyanine)等が挙げられる。
該金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。
また、該金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、フタロシアニン系材料が好ましい。特に、VOPc(Vanadyl phthalocyanine)、SnOPc(Phthalocyanine tin(IV) oxide complex)、TiOPc(Phthalocyanine titanium oxide complex)は、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすく、アクセプター性が高いため、好ましい。
該フタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましく、具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶であるため、発光素子を形成する上で扱いやすい、かつ、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易であるという利点を有する。
また、その他の電子輸送性の高い物質として、例えば、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンゾイミダゾール(略称:PTCBI)、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:PTCDI−C8H)、N,N’−ジヘキシル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:Hex PTC)等のペリレン誘導体や、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT(CN))、2,3−ジフェニルピリド[2,3−b]ピラジン(略称:2PYPR)、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン(略称:F2PYPR)等の含窒素縮合芳香族化合物などを用いても良い。含窒素縮合芳香族化合物は安定であるため、電子リレー層307を形成する為に用いる材料として好ましい。
また、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(略称:NTCDA)、パーフルオロペンタセン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン(略称:F16CuPc)、N,N’−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:NTCDI−C8F)、3’,4’−ジブチル−5,5’’−ビス(ジシアノメチレン)−5,5’’−ジヒドロ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(略称:DCMT)、メタノフラーレン(例えば、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル)等を用いることができる。
電子リレー層307は、上述のドナー性物質をさらに含んでいても良い。電子リレー層307にドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
該電子輸送性の高い物質や該ドナー性物質のLUMO準位は、電荷発生領域308に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層304に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位(又は電子リレー層307もしくは電子注入バッファー層306と接するEL層203のLUMO準位)の間となるようにする。LUMO準位は、−5.0eV以上−3.0eV以下とするのが好ましい。なお、電子リレー層307にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質として、電荷発生領域308に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。
また、本発明の一態様の発光素子に適用できる発光層の別の例として、本発明の一態様の発光材料と、他の2種類以上の有機化合物と、を含む発光層について図2(A)を用いて説明する。
図2(A)に示す発光層313には、燐光性化合物321、第1の有機化合物322、及び第2の有機化合物323が含まれている。なお、燐光性化合物321として、本発明の一態様の発光材料を用いる。燐光性化合物321は、発光層313におけるゲスト材料である。また、第1の有機化合物322及び第2の有機化合物323のうち、発光層313に含まれる割合の多い方を発光層313におけるホスト材料とする。
なお、第1の有機化合物322及び第2の有機化合物323のそれぞれの三重項励起エネルギーの準位(T準位)は、燐光性化合物321のT準位よりも高いことが好ましい。第1の有機化合物322(又は第2の有機化合物323)のT準位が燐光性化合物321のT準位よりも低いと、発光に寄与する燐光性化合物321の三重項励起エネルギーを第1の有機化合物322(又は第2の有機化合物323)が消光(クエンチ)してしまい、発光効率の低下を招くためである。
ここで、ホスト材料からゲスト材料へのエネルギー移動効率を高めるため、分子間の移動機構として知られているフェルスター機構(双極子−双極子相互作用)及びデクスター機構(電子交換相互作用)を考慮した上で、ホスト材料の発光スペクトル(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は蛍光スペクトル、三重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は燐光スペクトル)とゲスト材料の吸収スペクトル(より詳細には、最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯におけるスペクトル)との重なりが大きくなることが好ましい。しかしながら通常、ホスト材料の蛍光スペクトルを、ゲスト材料の最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯における吸収スペクトルと重ねることは困難である。なぜならば、そのようにしてしまうと、ホスト材料の燐光スペクトルは蛍光スペクトルよりも長波長(低エネルギー)側に位置するため、ホスト材料のT準位が燐光性化合物のT準位を下回ってしまい、上述したクエンチの問題が生じてしまうからである。一方、クエンチの問題を回避するため、ホスト材料のT準位が燐光性化合物のT準位を上回るように設計すると、今度はホスト材料の蛍光スペクトルが短波長(高エネルギー)側にシフトするため、その蛍光スペクトルはゲスト材料の最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯における吸収スペクトルと重ならなくなる。したがって、ホスト材料の蛍光スペクトルをゲスト材料の最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯における吸収スペクトルと重ね、ホスト材料の一重項励起状態からのエネルギー移動を最大限に高めることは、通常困難である。
そこで、第1の有機化合物及び第2の有機化合物は、励起錯体(エキサイプレックス)を形成する組み合わせであることが好ましい。この場合、発光層313におけるキャリア(電子及びホール)の再結合の際に第1の有機化合物322と第2の有機化合物323は、励起錯体を形成する。励起錯体の発光スペクトルとしては、第1の有機化合物の蛍光スペクトルや第2の有機化合物の蛍光スペクトルに比べて、より長波長側に位置するスペクトルを得ることができる。そして、励起錯体の発光スペクトルとゲスト材料の吸収スペクトルとの重なりが大きくなるように、第1の有機化合物と第2の有機化合物を選択すれば、一重項励起状態からのエネルギー移動を最大限に高めることができる。なお、三重項励起状態に関しても、ホスト材料ではなく励起錯体からのエネルギー移動が生じると考えられる。
燐光性化合物321としては、本発明の一態様の発光材料を用いる。また、第1の有機化合物322及び第2の有機化合物323としては、励起錯体を生じる組み合わせであれば良いが、電子を受け取りやすい化合物(電子トラップ性化合物)と、ホールを受け取りやすい化合物(正孔トラップ性化合物)とを組み合わせることが好ましい。
電子を受け取りやすい化合物としては、例えば、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、2−[4−(3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq−III)、7−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq−II)、及び、6−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq−II)等が挙げられる。
ホールを受け取りやすい化合物としては、例えば、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、PCzPCN1、4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’−TNATA)、2,7−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:DPA2SF)、N,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンゼン−1,3−ジアミン(略称:PCA2B)、(9,9−ジメチル−2−ジフェニルアミノ−9H−フルオレン−7−イル)−ジフェニルアミン(略称:DPNF)、N,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−ベンゼン−1,3,5−トリアミン(略称:PCA3B)、2−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:PCASF)、2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:DPASF)、N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミン(略称:YGA2F)、TPD、DPAB、(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−[9,9−ジメチル−2−{フェニル−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)}−アミノ−9H−フルオレン−7−イル]−フェニルアミン(略称:DFLADFL)、PCzPCA1、3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1)、3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、DNTPD、3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)、PCzPCA2等が挙げられる。
第1の有機化合物322及び第2の有機化合物323は、上述の物質に限定されることなく、励起錯体を形成できる組み合わせであり、励起錯体の発光スペクトルが、燐光性化合物321の吸収スペクトルと重なり、励起錯体の発光スペクトルのピークが、燐光性化合物321の吸収スペクトルのピークよりも長波長であればよい。
なお、電子を受け取りやすい化合物とホールを受け取りやすい化合物で第1の有機化合物322と第2の有機化合物323を構成する場合、その混合比によってキャリアバランスを制御することができる。具体的には、第1の有機化合物:第2の有機化合物=1:9〜9:1の範囲が好ましい。
発光層313を適用した発光素子は、励起錯体の発光スペクトルと燐光性化合物の吸収スペクトルとの重なりを利用したエネルギー移動により、エネルギー移動効率を高めることができるため、外部量子効率の高い発光素子を実現することができる。
なお、本発明に含まれる別の構成として、燐光性化合物321(ゲスト材料)の他の2種類の有機化合物として、正孔トラップ性のホスト分子、及び電子トラップ性のホスト分子を用いて発光層313を形成し、2種類のホスト分子中に存在するゲスト分子に正孔と電子を導いて、ゲスト分子を励起状態とする現象(すなわち、Guest Coupled with Complementary Hosts:GCCH)が得られるように発光層313を形成する構成も可能である。
正孔トラップ性のホスト分子、及び電子トラップ性のホスト分子としては、それぞれ、上述した正孔を受け取りやすい化合物、及び電子を受け取りやすい化合物を用いることができる。
なお、上述したEL層203及び中間層207を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
本実施の形態で示した発光素子を用いて、パッシブマトリクス方式の発光装置や、トランジスタによって発光素子の駆動が制御されたアクティブマトリクス方式の発光装置を作製することができる。また、該発光装置を電子機器又は照明装置等に適用することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について図3を用いて説明する。図3(A)は、本発明の一態様の発光装置を示す平面図であり、図3(B)は、図3(A)を一点鎖線A−Bで切断した断面図である。
本実施の形態の発光装置は、支持基板401、封止基板405及び封止材407に囲まれた空間415内に、発光素子403(第1の電極421、EL層423及び第2の電極425)を備える。発光素子403は、ボトムエミッション構造であり、具体的には、支持基板401上に可視光を透過する第1の電極421を有し、第1の電極421上にEL層423を有し、EL層423上に可視光を反射する第2の電極425を有する。
発光素子403は、本発明の一態様が適用されている、具体的には、EL層423に含まれる発光層が本発明の一態様の発光材料を含む。したがって、発光素子403は発光効率が高い。
第1の端子409aは、補助配線417及び第1の電極421と電気的に接続する。第1の電極421上には、補助配線417と重なる領域に、絶縁層419が設けられている。第1の端子409aと第2の電極425は、絶縁層419によって電気的に絶縁されている。第2の端子409bは、第2の電極425と電気的に接続する。なお、本実施の形態では、補助配線417上に第1の電極421が形成されている構成を示すが、第1の電極421上に補助配線417を形成しても良い。
また、有機EL素子は、屈折率が大気より高い領域で発光するため、光を大気中に取り出すときに有機EL素子内、又は有機EL素子と大気との境界面で全反射が生じる条件があり、有機EL素子の光取り出し効率は100%より小さいという問題がある。
したがって、例えば、支持基板401と大気との界面に光取り出し構造411aを有することが好ましい。支持基板401の屈折率は大気の屈折率よりも大きい。よって、大気と支持基板401の界面に光取り出し構造411aを設けることで、全反射の影響で大気に取り出せない光を低減し、発光装置の光の取り出し効率を向上させることができる。
また、発光素子403と支持基板401との界面に光取り出し構造411bを有することが好ましい。
しかし、第1の電極421が凹凸を有すると、第1の電極421上に形成されるEL層423においてリーク電流が生じる恐れがある。したがって、本実施の形態では、EL層423の屈折率以上の屈折率を有する平坦化層413を、光取り出し構造411bと接して設ける。これによって、第1の電極421を平坦な膜とすることができ、EL層423における第1の電極421の凹凸に起因するリーク電流の発生を抑制することができる。また、平坦化層413と支持基板401との界面に、光取り出し構造411bを有するため、全反射の影響で大気に取り出せない光を低減し、発光装置の光の取り出し効率を向上させることができる。
なお、図3(B)において、支持基板401、光取り出し構造411a及び光取り出し構造411bを異なる要素として示したが、本発明はこれに限られない。これらのうち二つ又は全てが一体に形成されていても良い。また、光取り出し構造411bを設けることで第1の電極421に凹凸が生じない(例えば、光取り出し構造411bが凹凸を有していない等)場合等は、平坦化層413を設けなくても良い。
なお、図3(A)に示す発光装置の形状は八角形であるが、本発明はこれに限られない。発光装置は、角部を有する形状であれば、その他の多角形や、曲線部を有する形状としても良い。特に、発光装置の形状としては、三角形、四角形、正六角形などが好ましい。なぜなら、限られた面積に複数の発光装置を隙間無く設けることができるためである。また、限られた基板面積を有効に利用して発光装置を形成できるためである。また、発光装置が備える発光素子は一つに限られず、複数の発光素子を有していても良い。
光取り出し構造411a及び光取り出し構造411bが有する凹凸の形状について、規則性の有無は問わない。凹凸の形状に周期性があると、凹凸の大きさによっては、凹凸が回折格子のような働きをすることで、干渉効果が強くなり、特定の波長の光が大気に取り出されやすくなることがある。したがって、凹凸の形状は周期性をもたないことが好ましい。
凹凸の底面形状は、特に限定されず、例えば、三角形、四角形等の多角形や、円形等とすることができる。凹凸の底面形状が規則性を有する場合は、隣り合う部分において隙間が生じないように設けられていることが好ましい。例えば、好ましい底面形状として、正六角形が挙げられる。
凹凸の形状は、特に限定されず、例えば、半球状や、円錐、角錐(三角錐、四角錐等)、傘状などの頂点を有する形状とすることができる。
凹凸の大きさ、高さは、特に、1μm以上であると、光の干渉による影響を抑制することができるため、好ましい。
光取り出し構造411a及び光取り出し構造411bは、支持基板401に直接作製することができる。その方法としては、例えば、エッチング法、砥粒加工法(サンドブラスト法)、マイクロブラスト加工法、液滴吐出法、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法等の塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法、インプリント法、ナノインプリント法等を適宜用いることができる。
光取り出し構造411a及び光取り出し構造411bの材料としては、例えば、樹脂を用いることができる。また、光取り出し構造411a及び光取り出し構造411bとして、半球レンズ、マイクロレンズアレイや、凹凸構造が施されたフィルム、光拡散フィルム等を用いることもできる。例えば、支持基板401上に上記レンズやフィルムを、支持基板401又は該レンズもしくはフィルムと同程度の屈折率を有する接着剤等を用いて接着することで、光取り出し構造411a及び光取り出し構造411bを形成することができる。
平坦化層413は、光取り出し構造411bと接する面よりも、第1の電極421と接する面のほうが平坦である。したがって、第1の電極421を平坦な膜とすることができる。その結果、第1の電極421の凹凸に起因するEL層423のリーク電流を抑制することができる。平坦化層413の材料としては、高屈折率のガラス、液体、樹脂等を用いることができる。平坦化層413は、透光性を有する。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について図4を用いて説明する。図4(A)は、本発明の一態様の発光装置を示す平面図であり、図4(B)は、図4(A)を一点鎖線C−Dで切断した断面図である。
本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、支持基板501上に、発光部551、駆動回路部552(ゲート側駆動回路部)、駆動回路部553(ソース側駆動回路部)及び封止材507を有する。発光部551及び駆動回路部552、553は、支持基板501、封止基板505及び封止材507で形成された空間515に封止されている。
図4(B)に示す発光部551は、スイッチング用のトランジスタ541aと、電流制御用のトランジスタ541bと、トランジスタ541bの配線(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続された第2の電極525とを含む複数の発光ユニットにより形成されている。
発光素子503は、トップエミッション構造であり、可視光を透過する第1の電極521と、EL層523と、可視光を反射する第2の電極525とで構成されている。また、第2の電極525の端部を覆って隔壁519が形成されている。
発光素子503は、本発明の一態様が適用されている、具体的には、EL層523に含まれる発光層が本発明の一態様の発光材料を含む。したがって、発光素子503は発光効率が高い。
支持基板501上には、駆動回路部552、553に外部からの信号(ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き出し配線517が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC509(Flexible Printed Circuit)を設ける例を示している。なお、FPC509にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていてもよい。本明細書における発光装置は、発光装置本体だけでなく、発光装置本体にFPC又はPWBが取り付けられた状態のものも範疇に含むものとする。
駆動回路部552、553は、トランジスタを複数有する。図4(B)では、駆動回路部552が、nチャネル型のトランジスタ542及びpチャネル型のトランジスタ543を組み合わせたCMOS回路を有する例を示している。駆動回路部の回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路で形成することができる。また、本実施の形態では、発光部が形成された基板上に駆動回路が形成されたドライバー一体型を示すが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、発光部が形成された基板とは別の基板に駆動回路を形成することもできる。
工程数の増加を防ぐため、引き出し配線517は、発光部や駆動回路部に用いる電極や配線と同一の材料、同一の工程で作製することが好ましい。
本実施の形態では、引き出し配線517を、発光部551及び駆動回路部552に含まれるトランジスタのソース電極及びドレイン電極と同一の材料、同一の工程で作製した例を示す。
図4(B)において、封止材507は、引き出し配線517上の第1の絶縁層511と接している。封止材507は金属との密着性が低い場合がある。したがって、封止材507は、引き出し配線517上に設けられた無機絶縁膜と接することが好ましい。このような構成とすることで、封止性及び密着性が高く、信頼性の高い発光装置を実現することができる。無機絶縁膜としては、金属や半導体の酸化物膜、金属や半導体の窒化物膜、金属や半導体の酸窒化物膜が挙げられ、具体的には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化チタン膜等が挙げられる。
また、第1の絶縁層511は、トランジスタを構成する半導体への不純物の拡散を抑制する効果を奏する。また、第2の絶縁層513は、トランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化機能を有する絶縁膜を選択することが好適である。
本発明の一態様の発光装置に用いるトランジスタの構造は特に限定されない。トップゲート型のトランジスタを用いても良いし、逆スタガ型などのボトムゲート型のトランジスタを用いても良い。また、チャネルエッチ型やチャネル保護型としても良い。また、トランジスタに用いる材料についても特に限定されない。
半導体層は、シリコンや酸化物半導体を用いて形成することができる。シリコンとしては、単結晶シリコンや多結晶シリコンなどがあり、酸化物半導体としては、In−Ga−Zn−O系金属酸化物などを、適宜用いることができる。半導体層として、In−Ga−Zn−O系金属酸化物である酸化物半導体を用い、オフ電流の低いトランジスタとすることで、発光素子のオフ時のリーク電流が抑制できるため、好ましい。
封止基板505には、発光素子503(の発光領域)と重なる位置に、着色層であるカラーフィルタ533が設けられている。カラーフィルタ533は、発光素子503からの発光色を調色する目的で設けられる。例えば、白色発光の発光素子を用いてフルカラーの表示装置とする場合には、異なる色のカラーフィルタを設けた複数の発光ユニットを用いる。その場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色を用いても良いし、これに黄色(Y)を加えた4色とすることもできる。
また、隣接するカラーフィルタ533の間(発光素子503の発光領域と重ならない位置)にはブラックマトリクス531が設けられている。ブラックマトリクス531は隣接する発光ユニットの発光素子503からの光を遮光し、隣接する発光ユニット間における混色を抑制する。ここで、カラーフィルタ533の端部を、ブラックマトリクス531と重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。ブラックマトリクス531は、発光素子503からの発光を遮光する材料を用いることができ、金属や、樹脂などの材料を用いて形成することができる。なお、ブラックマトリクス531は、駆動回路部552などの発光部551以外の領域に設けても良い。
また、カラーフィルタ533及びブラックマトリクス531を覆うオーバーコート層535が形成されている。オーバーコート層535は、発光素子503からの発光を透過する材料から構成され、例えば無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。なお、オーバーコート層535は不要ならば設けなくても良い。
なお、本実施の形態では、カラーフィルタ方式を用いた発光装置を例に説明したが、本発明の構成はこれに限られない。例えば、塗り分け方式や、色変換方式を適用しても良い。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様を適用した発光装置を用いた電子機器及び照明装置の一例について、図5及び図6を用いて説明する。
本実施の形態の電子機器及び照明装置に用いる発光装置は、本発明の一態様の発光材料を含む発光素子が適用されているため、発光効率が高い。
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器及び照明装置の具体例を図5及び図6に示す。
図5(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7102が組み込まれている。表示部7102では、映像を表示することが可能である。本発明の一態様を適用した発光装置は、表示部7102に用いることができる。また、ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。リモコン操作機7111が備える操作キーにより、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7102に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7111に、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図5(B)は、コンピュータの一例を示している。コンピュータ7200は、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、本発明の一態様の発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
図5(C)は、携帯型ゲーム機の一例を示している。携帯型ゲーム機7300は、筐体7301a及び筐体7301bの2つの筐体で構成されており、連結部7302により、開閉可能に連結されている。筐体7301aには表示部7303aが組み込まれ、筐体7301bには表示部7303bが組み込まれている。また、図5(C)に示す携帯型ゲーム機は、スピーカ部7304、記録媒体挿入部7305、操作キー7306、接続端子7307、センサ7308(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、LEDランプ、マイクロフォン等を備えている。もちろん、携帯型ゲーム機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7303a、筐体7301bの両方、又は一方に本発明の一態様の発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図5(C)に示す携帯型ゲーム機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型ゲーム機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図5(C)に示す携帯型ゲーム機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
図5(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、本発明の一態様の発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
図5(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
図5(E)は、2つ折り可能なタブレット型端末(開いた状態)の一例を示している。タブレット型端末7500は、筐体7501a、筐体7501b、表示部7502a、表示部7502bを有する。筐体7501aと筐体7501bは、軸部7503により接続されており、該軸部7503を軸として開閉動作を行うことができる。また、筐体7501aは、電源7504、操作キー7505、スピーカ7506等を備えている。なお、タブレット型端末7500は、本発明の一態様の発光装置を表示部7502a、表示部7502bの両方、又は一方に用いることにより作製される。
表示部7502aや表示部7502bは、少なくとも一部をタッチパネルの領域とすることができ、表示された操作キーにふれることでデータ入力をすることができる。例えば、表示部7502aの全面にキーボードボタンを表示させてタッチパネルとし、表示部7502bを表示画面として用いることができる。
図6(A)は卓上照明器具であり、照明部7601、傘7602、可変アーム7603、支柱7604、台7605、電源7606を含む。なお、卓上照明器具は、本発明の一態様の発光装置を照明部7601に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具又は壁掛け型の照明器具なども含まれる。
図6(B)は、本発明の一態様の発光装置を、室内の照明器具7701に用いた例である。本発明の一態様の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置に用いることができる。その他、ロール型の照明器具7702として用いることもできる。なお、図6(B)に示すように、室内の照明器具7701を備えた部屋で、図6(A)で説明した卓上照明器具7703を併用してもよい。
本実施例では、本発明の一態様の発光材料及び比較の発光材料の、最低三重項励起状態(T)の最安定構造におけるスピン密度分布を計算により求めた結果について図7乃至図18を用いて説明する。
<構成例及び比較例>
本実施例で示す本発明の一態様の発光材料は、以下の構成例1乃至6の6種類である。また、本実施例で示す比較の発光材料は、以下の比較例1乃至6の6種類である。それぞれの発光材料は、式IrLXで表すことができる。なお、式中、Irは、イリジウムを表し、Lは、少なくともsp混成炭素原子がIrに結合した構造を有する配位子を表し、Xは、2つの窒素原子、窒素原子と酸素原子、又は2つの酸素原子がIrに配位したモノアニオン性の二座配位子を表す。
構成例1は、(アセチルアセトナト)ビス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)(acac)])である。つまり、L配位子として、4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジン(略称:nbppm)を、X配位子として、アセチルアセトン(略称:acac)を用いた。
構成例2は、(アセチルアセトナト)ビス(2,4−ジフェニル−1,3,5−トリアジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dptzn)(acac)])である。つまり、L配位子として、2,4−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:dptzn)を、X配位子として、acac(略称)を用いた。
構成例3は、ビス{2−[6−(9H−カルバゾール−9−イル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}(2,4−ペンタンジオナト−κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(czppm)(acac)])である。つまり、L配位子として、9−(6−フェニルピリミジン−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:czppm)を、X配位子として、acac(略称)を用いた。
構成例4は、ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)(dpm)])である。つまり、L配位子として、4,6−ジフェニルピリミジン(略称:dppm)を、X配位子として、ジピバロイルメタン(略称:dpm)を用いた。
構成例5は、(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)(acac)])である。つまり、L配位子として、4−tert−ブチル−6−フェニルピリミジン(略称:tBuppm)を、X配位子として、acac(略称)を用いた。
構成例6は、[2−(アセチル−κO)−シクロペンタノナト−κO]ビス[2−(6−メチル−4−ピリミジニル−κN3)フェニル−κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)(acpen)])である。つまり、L配位子として、4−メチル−6−フェニルピリミジン(略称:mppm)を、X配位子として、2−アセチルシクロペンタノン(略称:acpen)を用いた。
比較例1は、ビス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト](1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)(F6acac)])である。つまり、L配位子として、nbppm(略称)を、X配位子として、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン(略称:F6acac)を用いた。
比較例2は、ビス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト](1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)(DPacac)])である。つまり、L配位子として、nbppm(略称)を、X配位子として、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン(略称:DPacac)を用いた。
比較例3は、ビス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト](8−キノリノラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)Q])である。つまり、L配位子として、nbppm(略称)を、X配位子として、8−キノリノール(略称:Q)を用いた。
比較例4は、ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)(F6acac)])である。つまり、L配位子として、dppm(略称)を、X配位子として、F6acac(略称)を用いた。
比較例5は、ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)(DPacac)])である。つまり、L配位子として、dppm(略称)を、X配位子として、DPacac(略称)を用いた。
比較例6は、ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)(8−キノリノラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)Q])である。つまり、L配位子として、dppm(略称)を、X配位子として、Q(略称)を用いた。
構成例1乃至6及び比較例1乃至6として用いた発光材料の構造式を以下に示す。
<計算方法>
発光材料の最低三重項励起状態(T)における最安定構造を、密度汎関数法(DFT)を用いて計算した。なお、本実施例で用いる発光材料には立体異性体等が存在するが、本実施例では基底状態(S)においてエネルギー的に最も安定な立体異性体を用いて計算を行った。さらに、最安定構造において、スピン密度分布の解析を行った。DFTの全エネルギーはポテンシャルエネルギー、電子間静電エネルギー、電子の運動エネルギー、及び、複雑な電子間の相互作用を全て含む交換相関エネルギーの和で表される。DFTでは、交換相関相互作用を電子密度で表現された一電子ポテンシャルの汎関数(関数の関数の意)で近似しているため、計算は高精度である。ここでは、混合汎関数であるB3PW91を用いて、交換と相関エネルギーに係る各パラメータの重みを規定した。また、基底関数として、H、C、N、O、F原子には6−311G(それぞれの原子価軌道に三つの短縮関数を用いたtriple split valence基底系の基底関数)を、Ir原子にはLanL2DZを用いた。上述の基底関数により、例えば、水素原子であれば、1s〜3sの軌道が考慮され、また、炭素原子であれば、1s〜4s、2p〜4pの軌道が考慮されることになる。さらに、計算精度向上のため、分極基底系として、水素原子にはp関数を、水素原子以外にはd関数を加えた。
なお、量子化学計算プログラムとしては、Gaussian 09を使用した。計算は、ハイパフォーマンスコンピュータ(SGI社製、Altix ICE8400EX)を用いて行った。
<計算結果>
計算によって求めた最低三重項励起状態(T)の最安定構造における発光材料のスピン密度分布を、GaussView5.0により可視化して図7乃至図18に示す。図7乃至図18は、同密度値を0.0004としたときのスピン密度分布を表すものである。図中の球は、発光材料を構成する原子を表しており、原子の周辺に存在する雲状物は、スピン密度を表している。この場合のスピンは励起状態の電子であるため、スピンが分布している領域(雲状物が存在する領域)において、発光材料のTが形成されていると考えられる。
(構成例1)
図7及び表1より、Tのスピンは、主としてIr原子からL配位子であるnbppmにかけて分布していることがわかる。これにより、Ir原子とL配位子がTの形成に大きく寄与していると考えられる。また、X配位子であるacacに分布するスピンの割合は2.9%であった。
(構成例2)
図8及び表2より、Tのスピンは、主としてIr原子からL配位子であるdptznにかけて分布していることがわかる。これにより、Ir原子とL配位子がTの形成に大きく寄与していると考えられる。また、X配位子であるacacに分布するスピンの割合は3.2%であった。
(構成例3)
図9及び表3より、Tのスピンは、主としてIr原子からL配位子であるczppmにかけて分布していることがわかる。これにより、Ir原子とL配位子がTの形成に大きく寄与していると考えられる。また、X配位子であるacacに分布するスピンの割合は3.0%であった。
(構成例4)
図10及び表4より、Tのスピンは、主としてIr原子からL配位子であるdppmにかけて分布していることがわかる。これにより、Ir原子とL配位子がTの形成に大きく寄与していると考えられる。また、X配位子であるacacに分布するスピンの割合は3.5%であった。
(構成例5)
図11及び表5より、Tのスピンは、主としてIr原子からL配位子であるtBuppmにかけて分布していることがわかる。これにより、Ir原子とL配位子がTの形成に大きく寄与していると考えられる。また、X配位子であるacacに分布するスピンの割合は3.0%であった。
(構成例6)
図12及び表6より、Tのスピンは、主としてIr原子からL配位子であるmppmにかけて分布していることがわかる。これにより、Ir原子とL配位子がTの形成に大きく寄与していると考えられる。また、X配位子であるacpenに分布するスピンの割合は3.6%であった。
(比較例1)
図13及び表7より、Tのスピンは、Ir原子からL配位子であるnbppmにかけて分布するだけでなく、X配位子であるF6acacにかけても分布していることがわかる。これにより、上述の構成例1乃至構成例6に比べて、比較例1では、X配位子がTの形成により大きく寄与していると考えられる。また、X配位子であるF6acacに分布するスピンの割合は68.5%であった。
(比較例2)
図14及び表8より、Tのスピンは、Ir原子からL配位子であるnbppmにかけて分布するだけでなく、X配位子であるDPacacにかけても分布していることがわかる。これにより、上述の構成例1乃至構成例6に比べて、比較例2では、X配位子がTの形成により大きく寄与していると考えられる。また、X配位子であるDPacacに分布するスピンの割合は77.3%であった。
(比較例3)
図15及び表9より、Tのスピンは、主としてIr原子からX配位子であるQにかけて分布していることがわかる。これにより、Ir原子とX配位子がTの形成に大きく寄与していると考えられる。また、X配位子であるQに分布するスピンの割合は97.5%であった。
(比較例4)
図16及び表10より、Tのスピンは、Ir原子からL配位子であるdppmにかけて分布するだけでなく、X配位子であるF6acacにかけても分布していることがわかる。これにより、上述の構成例1乃至構成例6に比べて、比較例4では、X配位子がTの形成により大きく寄与していると考えられる。また、X配位子であるF6acacに分布するスピンの割合は69.0%であった。
(比較例5)
図17及び表11より、Tのスピンは、Ir原子からL配位子であるdppmにかけて分布するだけでなく、X配位子であるDPacacにかけても分布していることがわかる。これにより、上述の構成例1乃至構成例6に比べて、比較例5では、X配位子がTの形成により大きく寄与していると考えられる。また、X配位子であるDPacacに分布するスピンの割合は76.9%であった。
(比較例6)
図18及び表12より、Tのスピンは、主としてIr原子からX配位子であるQにかけて分布していることがわかる。これにより、Ir原子とX配位子がTの形成に大きく寄与していると考えられる。また、X配位子であるQに分布するスピンの割合は97.2%であった。
次に、表13に、それぞれの発光材料の、上記計算結果におけるX配位子に分布するスピンの割合(x)をまとめて示す。さらに、構成例1、3、4、及び6については、トルエン溶液中での燐光量子収率(φPL)を示し、構成例1乃至6については、発光材料を発光層(特にゲスト材料)に用いた素子の最大外部量子効率(φEL)の一例を示す。なお、これらの素子については、実施例2乃至実施例7で詳述する。
以上に示した通り、式IrLXで表される発光材料の三重項励起状態には、L配位子及びX配位子が大きく関与していることがわかった。つまり、L配位子及びX配位子が発光の基本的性質を支配していることが示唆された。
構成例1乃至6では、いずれにおいても、Tのスピンが、主としてIr原子からL配位子にかけて分布していた。また、X配位子に分布するスピンの割合はいずれも5%以下であった。これにより、Ir原子とL配位子がTの形成に大きく寄与していると考えられる。
ここで、L配位子ではsp混成炭素原子がIr原子に結合しているため、Ir原子とL配位子が寄与して形成されたTでは、三重項π−π励起状態のエネルギーと、一重項MLCT励起状態のエネルギーの値が近く、それらが混成した三重項MLCT励起状態が最低励起状態となりやすい。したがって、三重項MLCT励起状態は、一重項励起状態の性質(速い遷移速度)を有し、発光の遷移速度が熱失活の速度よりも速いため、高い燐光発光効率を得ることができると考えられる。
実際に、上記構成例1、3、5、及び6に用いた発光材料は、燐光量子収率(φPL)がそれぞれ70%以上と、高い値を示した。また、構成例1乃至6に用いた発光材料を発光層(特にゲスト材料)に用いた素子の最大外部量子効率(φEL)はいずれも20%を超える高い値を示した。従来、燐光材料を用いた発光素子の外部量子効率は20%程度が限界であると言われていたが、構成例1乃至6に用いた発光材料を発光素子に適用することで、その限界を超える従前にない高効率が得られることがわかった。
一方、比較例1、2、4、及び5では、Tのスピンが、Ir原子からL配位子にかけて分布するだけでなく、X配位子にかけても分布していた。これにより、上述の構成例1乃至6に比べて、比較例1、2、4、及び5では、X配位子がTの形成により大きく寄与していると考えられる。
また、比較例3及び6では、Tのスピンが、主としてIr原子からX配位子にかけて分布していた。これにより、Ir原子とX配位子がTの形成に大きく寄与していると考えられる。
X配位子では、Ir原子に配位する原子が窒素原子や酸素原子のみである。もし、Ir原子及びX配位子が最低三重項励起状態(T)の多くに寄与してしまうと、三重項π−π励起状態のエネルギーと、一重項MLCT励起状態のエネルギーの値が遠くなり、三重項MLCT励起状態が生じにくい。したがって、最低三重項励起状態は一重項励起状態の性質(速い遷移速度)を有することができず、発光の遷移速度が熱失活による励起エネルギーの失活の速度よりも遅くなるため、燐光発光効率は低いと考えられる。
実際に、比較例1及び4に用いたF6acac及び比較例2及び5に用いたDPacacは、特許文献1において、「LIrX錯体のX配位子として用いた場合、非常に弱い発光を与えるか、又は発光を全く示さない。」と記載されている配位子である。また、比較例3及び6に用いたQに基づき発光する錯体の一例は、特許文献1において、「発光強度は非常に弱」いと記載されている。
以上のことから、発光材料が高い発光効率を得るためには、sp混成炭素原子がIr原子に配位する配位子を有するだけでなく、該配位子がTの形成に大きく寄与する必要があることが示唆された。
本実施例の結果から、本発明の一態様である、式IrLXで表され、最低三重項励起状態の最安定構造において、Xに分布するスピンの割合が5%以下である発光材料は、IrとLが寄与してTが形成され、三重項MLCT励起状態が最低励起状態となりやすいため、高い燐光発光効率を得られることが示された。また、該発光材料を用いることで、発光効率が高い発光素子を実現できることが示された。なお、式中、Lは、Irは、イリジウムを表し、少なくともsp混成炭素原子がIrに結合した構造を有する配位子を表し、Xは、2つの窒素原子、窒素原子と酸素原子、又は2つの酸素原子がIrに配位したモノアニオン性の二座配位子を表す。また、本実施例で例示した素子の構成等については以下の実施例で詳述する。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図19を用いて説明する。本実施例で用いた材料の構造式を以下に示す。なお、先の実施例で用いた材料の構造式は省略する。
以下に、本実施例の発光素子1の作製方法を示す。
(発光素子1)
ガラス基板1100上に、珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)膜をスパッタリング法にて成膜することで、陽極として機能する第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
ガラス基板1100上に発光素子を形成するための前処理としては、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、ガラス基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成されたガラス基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、4,4’,4’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、40nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、質量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層1111上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
次に、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、及び(アセチルアセトナト)ビス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(endo−,exo−混合物)(略称:[Ir(nbppm)(acac)])を共蒸着し、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。ここで、2mDBTPDBq−II、PCBA1BP及び[Ir(nbppm)(acac)]の質量比は、0.8:0.2:0.01(=2mDBTPDBq−II:PCBA1BP:[Ir(nbppm)(acac)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は40nmとした。
次に、発光層1113上に、2mDBTPDBq−IIを膜厚10nmとなるように成膜し、さらに、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚20nmとなるように成膜することで、電子輸送層1114を形成した。
そして、電子輸送層1114上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子1を作製した。
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
以上により得られた発光素子1の素子構造を表14に示す。
発光素子1を大気に曝さないように、窒素雰囲気のグローブボックス内において封止した。その後、発光素子1の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子1の輝度−外部量子効率特性を図20に示す。図20において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子1における輝度1200cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、外部量子効率(%)を表15に示す。
発光素子1は、1200cd/mの輝度の時のCIE色度座標が(x,y)=(0.43,0.56)であり、緑色の発光を示した。
以上のように、発光素子1は、高い外部量子効率で発光した。また、発光素子1は低い電圧で駆動できることが示された。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図19を用いて説明する。本実施例で用いた材料の構造式を以下に示す。なお、先の実施例で用いた材料の構造式は省略する。
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
(発光素子2)
発光素子2では、発光層1113以外は、発光素子1と同様の材料、方法及び条件を適用して作製した。
発光素子2の発光層1113は、2mDBTPDBq−II、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、及び(アセチルアセトナト)ビス(2,4−ジフェニル−1,3,5−トリアジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dptzn)(acac)])を共蒸着することで形成した。ここで、2mDBTPDBq−II、NPB及び[Ir(dptzn)(acac)]の質量比は、0.8:0.2:0.01(=2mDBTPDBq−II:NPB:[Ir(dptzn)(acac)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は40nmとした。
以上により得られた発光素子2の素子構造を表16に示す。
発光素子2を大気に曝さないように、窒素雰囲気のグローブボックス内において封止した。その後、発光素子2の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子2の輝度−外部量子効率特性を図21に示す。図21において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子2における輝度900cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、外部量子効率(%)を表17に示す。
発光素子2は、900cd/mの輝度の時のCIE色度座標が(x,y)=(0.55,0.44)であり、橙色の発光を示した。
以上のように、発光素子2は、高い外部量子効率で発光した。また、発光素子2は、低い電圧で駆動できることが示された。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図19を用いて説明する。本実施例で用いた材料は先の実施例で用いた材料であるため、構造式は省略する。
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
(発光素子3)
発光素子3では、発光層1113以外は、発光素子1と同様の材料、方法及び条件を適用して作製した。
発光素子3の発光層1113は、2mDBTPDBq−II、PCBA1BP、及びビス{2−[6−(9H−カルバゾール−9−イル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}(2,4−ペンタンジオナト−κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(czppm)(acac)])を共蒸着することで形成した。ここで、2mDBTPDBq−II、PCBA1BP及び[Ir(czppm)(acac)]の質量比は、0.8:0.2:0.05(=2mDBTPDBq−II:PCBA1BP:[Ir(czppm)(acac)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は40nmとした。
以上により得られた発光素子3の素子構造を表18に示す。
発光素子3を大気に曝さないように、窒素雰囲気のグローブボックス内において封止した。その後、発光素子3の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子3の輝度−外部量子効率特性を図22に示す。図22において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子3における輝度1000cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、外部量子効率(%)を表19に示す。
発光素子3は、1000cd/mの輝度の時のCIE色度座標が(x,y)=(0.48,0.51)であり、黄色の発光を示した。
以上のように、発光素子3は、高い外部量子効率で発光した。また、発光素子3は、低い電圧で駆動できることが示された。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図19を用いて説明する。本実施例で用いた材料は先の実施例で用いた材料であるため、構造式は省略する。
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
(発光素子4)
発光素子4では、正孔注入層1111及び発光層1113以外は、発光素子1と同様の材料、方法及び条件を適用して作製した。
発光素子4の正孔注入層1111は、第1の電極1101上に、BPAFLPと酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで形成した。その膜厚は、40nmとし、BPAFLPと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=BPAFLP:酸化モリブデン)となるように調節した。
発光素子4の発光層1113は、2mDBTPDBq−II、PCBA1BP、及びビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)(dpm)])を共蒸着することで形成した。ここで、2mDBTPDBq−II、PCBA1BP及び[Ir(dppm)(dpm)]の質量比は、0.8:0.2:0.025(=2mDBTPDBq−II:PCBA1BP:[Ir(dppm)(dpm)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は40nmとした。
以上により得られた発光素子4の素子構造を表20に示す。
発光素子4を大気に曝さないように、窒素雰囲気のグローブボックス内において封止した。その後、発光素子4の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子4の輝度−外部量子効率特性を図23に示す。図23において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子4における輝度1100cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、外部量子効率(%)を表21に示す。
発光素子4は、1100cd/mの輝度の時のCIE色度座標が(x,y)=(0.55,0.45)であり、橙色の発光を示した。
以上のように、発光素子4は、高い外部量子効率で発光した。また、発光素子4は、低い電圧で駆動できることが示された。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図19を用いて説明する。本実施例で用いた材料は先の実施例で用いた材料であるため、構造式は省略する。
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
(発光素子5)
発光素子5では、発光層1113以外は、発光素子1と同様の材料、方法及び条件を適用して作製した。
発光素子5の発光層1113は、2mDBTPDBq−II、PCBA1BP、及び(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)(acac)])を共蒸着することで形成した。ここで、2mDBTPDBq−II、PCBA1BP及び[Ir(tBuppm)(acac)]の質量比は、0.8:0.2:0.05(=2mDBTPDBq−II:PCBA1BP:[Ir(tBuppm)(acac)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は40nmとした。
以上により得られた発光素子5の素子構造を表22に示す。
発光素子5を大気に曝さないように、窒素雰囲気のグローブボックス内において封止した。その後、発光素子5の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子5の輝度−外部量子効率特性を図24に示す。図24において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子5における輝度1000cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、外部量子効率(%)を表23に示す。
発光素子5は、1000cd/mの輝度の時のCIE色度座標が(x,y)=(0.44,0.56)であり、橙色の発光を示した。
以上のように、発光素子5は、高い外部量子効率で発光した。また、発光素子5は、低い電圧で駆動できることが示された。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図19を用いて説明する。本実施例で用いた材料は先の実施例で用いた材料であるため、構造式は省略する。
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
(発光素子6)
発光素子6では、発光層1113以外は、発光素子1と同様の材料、方法及び条件を適用して作製した。
発光素子6の発光層1113は、2mDBTPDBq−II、PCBA1BP、及び[2−(アセチル−κO)−シクロペンタノナト−κO]ビス[2−(3−メチル−4−ピリミジニル−κN3)フェニル−κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)(acpen)])を共蒸着することで形成した。ここで、2mDBTPDBq−II、PCBA1BP及び[Ir(mppm)(acpen)]の質量比は、0.8:0.2:0.025(=2mDBTPDBq−II:PCBA1BP:[Ir(mppm)(acpen)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は40nmとした。
以上により得られた発光素子6の素子構造を表24に示す。
発光素子6を大気に曝さないように、窒素雰囲気のグローブボックス内において封止した。その後、発光素子6の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子6の輝度−外部量子効率特性を図25に示す。図25において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子6における輝度1000cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、外部量子効率(%)を表25に示す。
発光素子6は、1000cd/mの輝度の時のCIE色度座標が(x,y)=(0.43,0.56)であり、黄緑色の発光を示した。
以上のように、発光素子6は、高い外部量子効率で発光した。また、発光素子6は、低い電圧で駆動できることが示された。
(参考例1)
上記実施例で用いた(アセチルアセトナト)ビス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(endo−,exo−混合物)(略称:[Ir(nbppm)(acac)])の合成例を示す。[Ir(nbppm)(acac)]の構造式を以下に示す。
≪ステップ1;4−クロロ−6−フェニルピリミジンの合成≫
4,6−ジクロロピリミジン3.35g、フェニルボロン酸3.02g、トリシクロヘキシルホスフィン(略称:CyP)1.7mL、炭酸セシウム14.7g、トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(略称:Pd(dba))0.31g、ジオキサン30mLを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 120W)を60分間照射することで加熱し、反応させた。この反応溶液の溶媒を留去し、得られた残渣を、ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒(体積比1/1)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、4−クロロ−6−フェニルピリミジンを得た(淡い黄色粉末、収率34%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製 Discover)を用いた。ステップ1の合成スキームを(a−1)に示す。
≪ステップ2;4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジン(endo−,exo−混合物)(略称:Hnbppm)の合成≫
exo−2−ブロモノルボルナン2.99g、マグネシウム0.50g、テトラヒドロフラン(THF)10mLを反応容器に入れ、この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 100W)を10分間照射することで加熱し、グリニャール試薬を調整した。ステップ1で得た4−クロロ−6−フェニルピリミジン5.02gとTHF30mLを混合し、−15℃で撹拌しながら、得られたグリニャール試薬を添加し、さらに[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド(略称:Ni(dppe)Cl)30mgを添加して、室温まで昇温した。この反応溶液に塩化アンモニウム水溶液を加えて、有機層を酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥した後の溶液を濾過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒(体積比5/1)を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、目的のピリミジン誘導体Hnbppmを得た(黄色油状物、収率43%)。ステップ2の合成スキームを(a−2)に示す。
≪ステップ3;ジ−μ−クロロ−ビス{ビス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)}(endo−,exo−混合物)(略称:[Ir(nbppm)Cl])の合成≫
2−エトキシエタノール15mL、水5mL、ステップ2で得たHnbppm0.83g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)0.49gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を30分間照射し、反応させた。反応溶液を濾過し、得られた濾物をエタノールで洗浄し、複核錯体[Ir(nbppm)Cl]を得た(褐色粉末、収率74%)。ステップ3の合成スキームを(a−3)に示す。
≪ステップ4;[Ir(nbppm)(acac)](endo−,exo−混合物)の合成≫
2−エトキシエタノール20mL、ステップ3で得た複核錯体[Ir(nbppm)Cl] 0.89g、アセチルアセトン0.19mL、炭酸ナトリウム0.65gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を30分間照射し、反応させた。反応溶液を濾過し、得られた濾物を水、次いでエタノール、次いでヘキサンにて洗浄した。濾物をジクロロメタンに溶解し、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を濾過補助剤として濾過した。濾液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ジクロロメタンと酢酸エチルの混合溶媒(体積比50/1)を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、橙色粉末を得た(収率54%)。ステップ4の合成スキームを(a−4)に示す。
得られた橙色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。なお、得られた橙色粉末はendo体とexo体のシグナルが混在し、H−NMRにおいて分離出来なかったため、ケミカルシフト値はこれら混合物のものを記述する。この結果から、本合成例において、[Ir(nbppm)(acac)]が得られたことがわかった。
H−NMR.δ(CDCl):1.24−1.51,1.61−2.06,2.07,2.48,2.69,3.03,3.56,5.24,6.34,6.74−6.86,7.64,8.99.
(参考例2)
上記実施例で用いた(アセチルアセトナト)ビス(2,4−ジフェニル−1,3,5−トリアジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dptzn)(acac)])の合成例を示す。[Ir(dptzn)(acac)]の構造式を以下に示す。
≪ステップ1;2,3−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:Hdptzn)の合成≫
ベンズアミジン塩酸塩9.63g、Gold試薬(別名:(ジメチルアミノメチレンアミノメチレン)ジメチルアンモニウムクロリド,Aldrich製)10.19gをフラスコに入れ、内部を窒素置換した。この反応容器を120℃で3時間加熱し、反応させた。この反応溶液に水を加え、濾過した。得られた濾物をメタノールで洗浄し、トリアジン誘導体Hdptznを得た(白色粉末、収率30%)。ステップ1の合成スキームを(b−1)に示す。
≪ステップ2;ジ−μ−クロロ−ビス[ビス(2,4−ジフェニル−1,3,5−トリアジナト)イリジウム(III)](略称:[Ir(dptzn)Cl])の合成≫
2−エトキシエタノール15mL、水5mL、ステップ1で得たHdptzn2.51g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)1.18gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を30分間照射し、反応させた。反応溶液を濾過し、得られた濾物をエタノールで洗浄し、複核錯体[Ir(dptzn)Cl]を得た(褐色粉末、収率44%)。ステップ2の合成スキームを(b−2)に示す。
≪ステップ3;[Ir(dptzn)(acac)]の合成≫
2−エトキシエタノール20mL、ステップ2で得た複核錯体[Ir(dptzn)Cl] 1.21g、アセチルアセトン0.27mL、炭酸ナトリウム0.92gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を30分間照射し、反応させた。反応溶液にジクロロメタンを加えて濾過し、濾液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ヘキサンとジクロロメタンの混合溶媒(体積比1/25)を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、橙色粉末を得た(収率10%)。ステップ3の合成スキームを(b−3)に示す。
得られた橙色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。この結果から、本合成例において、[Ir(dptzn)(acac)]が得られたことがわかった。
H−NMR.δ(CDCl):1.85(s,6H),5.31(s,1H),6.56(dd、2H),6.88−6.99(m,4H),7.58−7.68(m,6H),8.23(dd,2H),8.72(dd,4H),9.13(s,2H).
(参考例3)
上記実施例で用いたビス{2−[6−(9H−カルバゾール−9−イル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}(2,4−ペンタンジオナト−κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(czppm)(acac)])の合成例を示す。[Ir(czppm)(acac)]の構造式を以下に示す。
≪ステップ1;4−カルバゾール−9−イル−6−フェニルピリミジン(略称:Hczppm)の合成≫
水素化ナトリウム(60% in mineral oil)0.053gと脱水N,N−ジメチルホルムアミド(dryDMF)30mLを、三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した。ここにカルバゾール1.76gとdryDMF30mLを加え、室温で1時間攪拌した。その後、4−クロロ−6−フェニルピリミジン1.76gとdryDMF30mLを加え、室温で4時間攪拌した。反応後、この溶液を水に加え、固体を析出させ、吸引濾過した。得られた固体を、ジクロロメタンを展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、ピリミジン誘導体Hczppmを得た(白色粉末、収率62%)。ステップ1の合成スキームを(c−1)に示す。
≪ステップ2;ジ−μ−クロロ−テトラキス{2−[6−(9H−カルバゾール−9−イル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}ジイリジウム(III)](略称:[Ir(czppm)Cl])の合成≫
2−エトキシエタノール15mL、水5mL、ステップ1で得たHczppm1.24g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)(Sigma−Aldrich社製)0.57gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を1時間照射し、反応させた。溶媒を留去した後、得られた残渣をエタノールで吸引濾過した後、洗浄し、複核錯体[Ir(czppm)Cl]を得た(褐色粉末、収率93%)。ステップ2の合成スキームを(c−2)に示す。
≪ステップ3;[Ir(czppm)(acac)]の合成≫
2−エトキシエタノール30mL、ステップ2で得た[Ir(czppm)Cl] 1.54g、アセチルアセトン0.27g、炭酸ナトリウム0.94gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 120W)を60分間照射することで加熱した。ここで更にアセチルアセトン0.10gをフラスコに入れ、再度マイクロ波(2.45GHz 120W)を60分間照射することで加熱した。溶媒を留去し、得られた残渣をエタノールで吸引濾過した。得られた固体を水、エタノールで洗浄し、ジクロロメタンを展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。その後、ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒にて再結晶することにより、赤橙色粉末を得た(収率18%)。ステップ3の合成スキームを(c−3)に示す。
得られた赤橙色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。この結果から、本合成例において、[Ir(czppm)(acac)]が得られたことがわかった。
H−NMR.δ(CDCl):1.92(s,6H),5.37(s,1H),6.61(d,2H),6.88−6.94(m,4H),7.45(t,4H),7.58(t,4H),7.72(d,2H),8.16−8.17(m,6H),8.31(d,4H),9.19(s,2H).
(参考例4)
上記実施例で用いたビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(別名:(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト−κO,O’)ビス[2−(6−フェニル−4−ピリミジニル−κN3)フェニル−κC]イリジウム(III))(略称:[Ir(dppm)(dpm)])の合成例を示す。[Ir(dppm)(dpm)]の構造式を以下に示す。
≪ステップ1;4,6−ジフェニルピリミジン(略称:Hdppm)の合成≫
4,6−ジクロロピリミジン5.02g、フェニルボロン酸8.29g、炭酸ナトリウム7.19g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(略称:Pd(PPhCl)0.29g、水20mL、アセトニトリル20mLを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 100W)を60分間照射することで加熱した。ここで更にフェニルボロン酸2.08g、炭酸ナトリウム1.79g、Pd(PPhCl0.070g、水5mL、アセトニトリル5mLをフラスコに入れ、再度マイクロ波(2.45GHz 100W)を60分間照射することで加熱した。その後この溶液に水を加え、ジクロロメタンにて有機層を抽出した。得られた抽出液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥させた。乾燥した後の溶液を濾過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ジクロロメタンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ピリミジン誘導体Hdppmを得た(黄白色粉末、収率38%)。なお、マイクロ波の照射は、マイクロ波合成装置(CEM社製 Discover)を用いた。ステップ1の合成スキームを(d−1)に示す。
≪ステップ2;ジ−μ−クロロ−ビス[ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)](略称:[Ir(dppm)Cl])の合成≫
2−エトキシエタノール15mL、水5mL、ステップ1で得たHdppm1.10g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)0.69gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、ナスフラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を1時間照射し、反応させた。溶媒を留去した後、得られた残渣をエタノールで濾過し、次いで洗浄し、複核錯体[Ir(dppm)Cl]を得た(赤褐色粉末、収率88%)。ステップ2の合成スキームを(d−2)に示す。
≪ステップ3;[Ir(dppm)(dpm)]の合成≫
2−エトキシエタノール30mL、ステップ2で得た[Ir(dppm)Cl]1.93g、ジピバロイルメタン0.77g、炭酸ナトリウム1.51gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を60分間照射することで加熱した。ここで更にジピバロイルメタン0.26gをフラスコに入れ、再度マイクロ波(2.45GHz 100W)を60分間照射することで加熱した。溶媒を留去し、得られた残渣をジクロロメタンに溶解して濾過し、不溶物を除去した。得られた濾液を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した後の溶液を濾過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、トルエンで洗浄した。その後ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒にて再結晶し、赤色固体を得た(収率28%、純度95%)。この固体を、ジクロロメタンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。その後、ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒にて再結晶することにより、赤色粉末を得た(収率6%)。ステップ3の合成スキームを(d−3)に示す。
得られた赤色粉末の核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析結果を下記に示す。このことから、本合成例において、[Ir(dppm)(dpm)]が得られたことがわかった。
H NMR.δ(CDCl):1.83(s,18H),5.29(s,1H),6.55(d,2H),6.80(t,2H),6.91(t,2H),7.55−7.63(m,6H),7.78(d,2H),8.16(d,2H),8.25(d,4H),9.04(d,2H).
(参考例5)
上記実施例で用いた(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)(acac)])の合成例を示す。[Ir(tBuppm)(acac)]の構造式を以下に示す。
≪ステップ1;4−tert−ブチル−6−フェニルピリミジン(略称:HtBuppm)の合成≫
4,4−ジメチル−1−フェニルペンタン−1,3−ジオン22.5gとホルムアミド50gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部を窒素置換した。この反応容器を加熱することで反応溶液を5時間還流させた。その後、この溶液を水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ、ジクロロメタンにて有機層を抽出した。得られた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥させた。乾燥した後の溶液を濾過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ヘキサン:酢酸エチル=10:1(体積比)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ピリミジン誘導体HtBuppmを得た(無色油状物、収率14%)。ステップ1の合成スキームを(e−1)に示す。
≪ステップ2;ジ−μ−クロロ−ビス[ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)](略称:[Ir(tBuppm)Cl])の合成]
2−エトキシエタノール15mLと水5mL、上記ステップ1で得たHtBuppm1.49g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)1.04gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を1時間照射し、反応させた。溶媒を留去した後、得られた残渣をエタノールで吸引濾過、洗浄し、複核錯体[Ir(tBuppm)Cl]を得た(黄緑色粉末、収率73%)。ステップ2の合成スキームを(e−2)に示す。
≪ステップ3;[Ir(tBuppm)(acac)]の合成≫
2−エトキシエタノール40mL、上記ステップ2で得た複核錯体[Ir(tBuppm)Cl] 1.61g、アセチルアセトン0.36g、炭酸ナトリウム1.27gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 120W)を60分間照射し、反応させた。溶媒を留去し、得られた残渣をエタノールで吸引濾過し、水、エタノールで洗浄した。この固体をジクロロメタンに溶解させ、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナ、セライトの順で積層した濾過補助剤を通して濾過した。溶媒を留去して得られた固体をジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒にて再結晶することにより、目的物を黄色粉末として得た(収率68%)。ステップ3の合成スキームを(e−3)に示す。
得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。この結果から、本合成例において、[Ir(tBuppm)(acac)]が得られたことがわかった。
H−NMR.δ(CDCl):1.50(s,18H),1.79(s,6H),5.26(s,1H),6.33(d,2H),6.77(t,2H),6.85(t,2H),7.70(d,2H),7.76(s,2H),9.02(s,2H)。
(参考例6)
上記実施例で用いた[2−(アセチル−κO)−シクロペンタノナト−κO]ビス[2−(3−メチル−4−ピリミジニル−κN3)フェニル−κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)(acpen)])の合成例を示す。[Ir(mppm)(acpen)]の構造式を以下に示す。
2−エトキシエタノール25mL、ジ−μ−クロロ−テトラキス[2−(3−メチル−4−ピリミジニル−κN3)フェニル−κC]ジイリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)Cl])0.95g、2−アセチルシクロペンタノン(略称:Hacpen)0.32g、炭酸ナトリウム0.89gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、反応溶液にアルゴンを通しバブリングした。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を30分間照射し、反応させた。反応溶液を濾過し、濾取物をメタノール、水、メタノールの順で洗浄した。得られた濾取物を、酢酸エチルとジクロロメタンの混合溶媒(体積比1/9)を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、橙色粉末を得た(収率23%)。合成スキームを(f−1)に示す。
得られた橙色粉末の核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析結果を下記に示す。このことから、本合成例において、[Ir(mppm)(acpen)]が得られたことがわかった。
H−NMR.δ(CDCl):1.73(m,2H),1.82(s,3H),2.15(m,2H),2.64(t,2H),2.81(s,6H),6.34(d,2H),6.75−6.88(m,4H),7.61(m,4H),8.97(d,2H).
201 第1の電極
203 EL層
203a 第1のEL層
203b 第2のEL層
205 第2の電極
207 中間層
301 正孔注入層
302 正孔輸送層
303 発光層
304 電子輸送層
305 電子注入層
306 電子注入バッファー層
307 電子リレー層
308 電荷発生領域
313 発光層
321 燐光性化合物
322 第1の有機化合物
323 第2の有機化合物
401 支持基板
403 発光素子
405 封止基板
407 封止材
409a 第1の端子
409b 第2の端子
411a 光取り出し構造
411b 光取り出し構造
413 平坦化層
415 空間
417 補助配線
419 絶縁層
421 第1の電極
423 EL層
425 第2の電極
501 支持基板
503 発光素子
505 封止基板
507 封止材
509 FPC
511 第1の絶縁層
513 第2の絶縁層
515 空間
517 配線
519 隔壁
521 第1の電極
523 EL層
525 第2の電極
531 ブラックマトリクス
533 カラーフィルタ
535 オーバーコート層
541a トランジスタ
541b トランジスタ
542 トランジスタ
543 トランジスタ
551 発光部
552 駆動回路部
553 駆動回路部
1100 ガラス基板
1101 第1の電極
1103 第2の電極
1111 正孔注入層
1112 正孔輸送層
1113 発光層
1114 電子輸送層
1115 電子注入層
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7102 表示部
7103 スタンド
7111 リモコン操作機
7200 コンピュータ
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7300 携帯型ゲーム機
7301a 筐体
7301b 筐体
7302 連結部
7303a 表示部
7303b 表示部
7304 スピーカ部
7305 記録媒体挿入部
7306 操作キー
7307 接続端子
7308 センサ
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7500 タブレット型端末
7501a 筐体
7501b 筐体
7502a 表示部
7502b 表示部
7503 軸部
7504 電源
7505 操作キー
7506 スピーカ
7601 照明部
7602 傘
7603 可変アーム
7604 支柱
7605 台
7606 電源
7701 照明器具
7702 照明器具
7703 卓上照明器具

Claims (12)

  1. 式IrLXで表され、
    最低三重項励起状態の最安定構造において、前記Xに分布するスピンの割合が5%以下である発光材料。
    (式中、Irは、イリジウムを表し、Lは、少なくともsp混成炭素原子が前記Irに結合した構造を有する配位子を表し、Xは、2つの窒素原子、窒素原子と酸素原子、又は2つの酸素原子が前記Irに配位したモノアニオン性の二座配位子を表す。)
  2. 前記Xは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座配位子である、請求項1に記載の発光材料。
  3. 前記Lは、前記sp混成炭素原子及び窒素原子が前記Irに配位した二座配位子である請求項1又は請求項2に記載の発光材料。
  4. 前記Lは、アリール基が結合したピリダジン骨格、アリール基が結合したピリミジン骨格、又はアリール基が結合したピラジン骨格を有する二座配位子である、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光材料。
  5. 燐光量子収率が60%以上である請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光材料。
  6. 燐光量子収率が70%以上である請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光材料。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の発光材料を含む発光素子。
  8. 一対の電極間に発光層を有し、
    前記発光層は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の発光材料を含む発光素子。
  9. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の発光材料を含む酸素センサ。
  10. 請求項7又は請求項8に記載の発光素子を用いた発光装置。
  11. 請求項10に記載の発光装置を表示部に備える電子機器。
  12. 請求項10に記載の発光装置を発光部に備える照明装置。
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