JP2013227197A - 光学ガラス、レンズプリフォーム及び光学素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光学ガラスは、質量%で、P2O5成分を5.0%以上40.0%以下、Nb2O5成分を10.0%以上60.0%以下含有し、20以下のアッベ数(νd)を有し、ガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTが100℃以上である。レンズプリフォーム及び光学素子は、この光学ガラスからなる。
【選択図】なし
Description
Li2O成分 0〜5.0%
Na2O成分 0〜15.0%
K2O成分 0〜15.0%
である(1)から(6)のいずれか記載の光学ガラス。
BaO成分 0〜20.0%
Bi2O3成分 0〜15.0%
である(1)から(12)のいずれか記載の光学ガラス。
MgO成分 0〜5.0%
CaO成分 0〜10.0%
SrO成分 0〜10.0%
である(1)から(19)のいずれか記載の光学ガラス。
Y2O3成分 0〜10.0%
La2O3成分 0〜10.0%
Gd2O3成分 0〜10.0%
である(1)から(21)のいずれか記載の光学ガラス。
SiO2成分 0〜10.0%
GeO2成分 0〜10.0%
TeO2成分 0〜15.0%
ZrO2成分 0〜10.0%
ZnO成分 0〜10.0%
Al2O3成分 0〜10.0%
Ta2O5成分 0〜10.0%
Sb2O3成分 0〜1.0%
である(1)から(23)のいずれか記載の光学ガラス。
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中で特に断りがない場合、各成分の含有量は、全て酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
P2O5成分は、ガラス形成成分であり、ガラスのアッベ数を低くするのに有効な必須成分である。特に、P2O5成分を5.0%以上含有することで、ガラスの可視光透過率を高め、且つ耐失透性を高めることができる。従って、P2O5成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは15.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは23.0%を下限とする。
一方で、P2O5成分の含有量を40.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられる。従って、P2O5成分の含有量は、好ましくは40.0%、より好ましくは35.0%、さらに好ましくは30.0%を上限とする。
P2O5成分は、原料としてAl(PO3)3、Ca(PO3)2、Ba(PO3)2、BPO4、H3PO4等を用いることができる。
一方で、Nb2O5成分の含有量を60.0%以下にすることで、ガラスの熔融性が高められ、熔解温度が低くなることでガラスへの着色を低減できる。また、これによりガラスの耐失透性を高められる。従って、Nb2O5成分の含有量は、好ましくは60.0%、より好ましくは50.0%、さらに好ましくは47.5%、さらに好ましくは45.0%を上限とする。
Nb2O5成分は、原料としてNb2O5等を用いることができる。
一方で、TiO2成分の含有量を30.0%以下にすることで、ガラスの可視光透過率を高められ、且つ、ガラスの熱的安定性を高められる。従って、TiO2成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは23.0%を上限とする。
TiO2成分は、原料としてTiO2等を用いることができる。
特に、この比率を0.10以上にすることで、ガラスのアッベ数をより低くできる。従って、質量比TiO2/Nb2O5は、好ましくは0.10、より好ましくは0.18、さらに好ましくは0.25、さらに好ましくは0.33を下限とする。
一方で、この比率を2.00以下にすることで、ガラスの着色を低減することで可視光透過率を高められる。従って、質量比TiO2/Nb2O5は、好ましくは2.00、より好ましくは1.50、さらに好ましくは1.00、さらに好ましくは0.60を上限とする。
特に、WO3成分の含有量を35.0%以下にすることで、ガラス転移点を低くでき、且つ、ガラスの可視光透過率や熱的安定性を高められる。従って、WO3成分の含有量は、好ましくは35.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは15.0%を上限とし、さらに好ましくは10.0%未満とし、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは7.0%、さらに好ましくは6.0%、さらに好ましくは5.1%を上限とする。
WO3成分は、原料としてWO3等を用いることができる。
一方で、この比率は0であってもよいが、0より大きくすることで、所望の低いアッベ数を得易くできる。従って、質量比WO3/P2O5は、好ましくは0超、より好ましくは0.05超、さらに好ましくは0.10超とする。
特に、この合計量を60.0%以上にすることで、ガラスのアッベ数を低くできる。従って、質量和(P2O5+Nb2O5+WO3)は、好ましくは60.0%、より好ましくは65.0%、さらに好ましくは66.5%を下限とする。
一方で、この合計量を80.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高められる。従って、質量和(P2O5+Nb2O5+WO3)は、好ましくは80.0%、より好ましくは78.0%、さらに好ましくは76.0%を上限とする。
一方で、Li2O成分の含有量を5.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑え、且つLi2O成分の含有による失透を低減できる。従って、Li2O成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%、さらに好ましくは0.7%、さらに好ましくは0.4%を上限とし、さらに好ましくは0.3%未満とし、さらに好ましくは含有しない。Li2O成分は、原料として例えばLi2CO3、LiNO3、LiF等を用いてガラス内に含有できる。
一方で、Na2O成分の含有量を15.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑え、且つNa2O成分の過剰な含有による失透を低減できる。また、これによりガラスの熱的安定性を高められる。従って、Na2O成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.8%、さらに好ましくは4.4%、さらに好ましくは3.6%を上限とし、さらに好ましくは2.9%未満とする。
Na2O成分は、原料としてNa2CO3、NaNO3、NaF、Na2SiF6等を用いることができる。
一方で、K2O成分の含有量を15.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑え、且つK2O成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、K2O成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは6.0%を上限とする。
K2O成分は、原料としてK2CO3、KNO3、KF、KHF2、K2SiF6等を用いることができる。
一方で、この比率の下限は、ガラスの耐失透性の低下を抑える観点から、好ましくは0超、より好ましくは0.10超、さらに好ましくは0.15超としてもよい。
一方で、この比率の上限は、好ましくは50.00、より好ましくは40.00、さらに好ましくは30.00としてもよい。
特に、この合計量を20.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下やアッベ数の上昇を抑えられる。また、ガラスの耐失透性も高められる。従って、質量和(Li2O+Na2O+K2O)は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%、さらに好ましくは7.35%を上限とする。特に、上述のP2O5成分、Nb2O5成分及びWO3成分の合計含有量を増やしつつ、Li2O成分、Na2O成分及びK2O成分の合計含有量を低減することで、よりアッベ数の小さいガラスを得ることができる。
一方で、この合計量は0%超にしてもよい。これにより、ガラス転移点(Tg)を下げ、且つガラスの耐水性を高められる。従って、質量和(Li2O+Na2O+K2O)は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは3.0%、さらに好ましくは5.0%を下限とする。
特に、この比率を8.00以上にすることで、ガラスのアッベ数をより低くできる。従って、質量比(P2O5+Nb2O5+WO3)/(Li2O+Na2O+K2O)は、好ましくは8.00、より好ましくは8.20、さらに好ましくは9.00、さらに好ましくは9.50を下限とする。
一方で、この比率を15.00以下にすることで、ガラスの耐失透性を高められる。従って、質量比(P2O5+Nb2O5+WO3)/(Li2O+Na2O+K2O)は、好ましくは15.00、より好ましくは14.00、さらに好ましくは13.50を上限とする。
一方で、BaO成分の含有量を20.0%以下にすることで、屈折率の低下やアッベ数の上昇を抑え、且つ、耐失透性や化学的耐久性の低下を抑えられる。また、これによりガラスの熱的安定性を高められる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とし、さらに好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは0.7%未満とする。
BaO成分は、原料としてBaCO3、Ba(NO3)2、BaF2等を用いることができる。
一方で、Bi2O3成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高められ、且つ、ガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。従って、Bi2O3成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは1.0%、さらに好ましくは0.3%を上限とする。
Bi2O3成分は、原料としてBi2O3等を用いることができる。
特に、この合計量を30.0%以上にすることで、ガラスの屈折率を高められ、且つアッベ数を低くできる。従って、質量和(TiO2+Nb2O5+WO3+Bi2O3)は、好ましくは30.0%、より好ましくは40.0%、さらに好ましくは51.0%、さらに好ましくは63.0%を下限とする。
一方で、この合計量を80.0%以下にすることで、ガラスの可視光透過率を高めて着色を低減できる。従って、質量和(TiO2+Nb2O5+WO3+Bi2O3)は、好ましくは80.0%、より好ましくは75.0%、さらに好ましくは70.0%、さらに好ましくは69.0%を上限とする。
一方で、この比率の上限は、ガラスの可視光透過率を高めて着色を低減する観点から、好ましくは0.50、より好ましくは0.40、さらに好ましくは0.35としてもよい。
一方で、この合計量の下限は、ガラスの耐失透性の低下を抑える観点から、好ましくは30.0%、より好ましくは50.0%、さらに好ましくは60.0%を下限としてもよい。
一方で、この比率の下限は、ガラスの耐失透性の低下を抑える観点から、好ましくは0.50、より好ましくは1.00、さらに好ましくは1.50、さらに好ましくは2.00を下限としてもよい。
一方で、B2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下やアッベ数の上昇を抑えられる。また、これによりガラスの熱的安定性を高められる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%、さらに好ましくは0.4%を上限とし、さらに好ましくは0.3%未満とし、さらに好ましくは含有しない。
B2O3成分は、原料としてH3BO3、Na2B4O7、Na2B4O7・10H2O、BPO4等を用いることができる。
一方で、MgO成分の含有量を5.0%以下にすることで、屈折率の低下やアッベ数の上昇を抑えられる。従って、MgO成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とする。
また、CaO成分及びSrO成分の各々の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下やアッベ数の上昇を抑えられ、これらの成分の過剰な含有による耐失透性や化学的耐久性の低下も抑えられ、且つガラスの熱的安定性も高められる。従って、CaO成分及びSrO成分の各々の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
MgO成分、CaO成分及びSrO成分は、原料としてMgCO3、MgF2、CaCO3、CaF2、Sr(NO3)2、SrF2等を用いることができる。
一方で、Y2O3成分、La2O3成分及びGd2O3成分の各々の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスのアッベ数の上昇を抑え、且つ耐失透性を高めることができる。従って、Y2O3成分、La2O3成分及びGd2O3成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Y2O3成分、La2O3成分及びGd2O3成分は、原料としてY2O3、YF3、La2O3、La(NO3)3・XH2O(Xは任意の整数)、Gd2O3、GdF3等を用いることができる。
一方で、SiO2成分の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
SiO2成分は、原料としてSiO2、K2SiF6、Na2SiF6等を用いることができる。
しかしながら、GeO2は原料価格が高いため、その量が多いと材料コストが高くなる。従って、GeO2成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とし、さらに好ましくは含有しない。
GeO2成分は、原料としてGeO2等を用いることができる。
一方で、TeO2成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高められ、且つ、ガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。従って、TeO2成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とし、さらに好ましくは含有しない。
TeO2成分は、原料としてTeO2等を用いることができる。
一方で、ZrO2成分を10.0%以下にすることで、ZrO2成分の過剰な含有によるガラスの屈折率の低下を抑えられる。従って、ZrO2成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
ZrO2成分は、原料としてZrO2、ZrF4等を用いることができる。
一方で、ZnO成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下やアッベ数の上昇を抑えられる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とし、さらに好ましくは含有しない。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF2等を用いることができる。
一方で、Al2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの失透傾向を弱め、且つアッベ数の低下を抑えられる。従って、Al2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とし、さらに好ましくは含有しない。
Al2O3成分は、原料としてAl2O3、Al(OH)3、AlF3等を用いることができる。
一方で、Ta2O5成分を10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減でき、且つガラスを失透し難くできる。従って、Ta2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Ta2O5成分は、原料としてTa2O5等を用いることができる。
一方で、Sb2O3量が多すぎると、Sb2O3成分が溶解設備(特にPt等の貴金属)と合金化することで金型に不純物が付着するため、ガラス成形体の表面に凹凸や曇りが形成され易くなる。従って、Sb2O3成分の含有量は、好ましくは1.0%、より好ましくは0.7%、さらに好ましくは0.5%を上限とする。
Sb2O3成分は、原料としてSb2O3、Sb2O5、Na2H2Sb2O7・5H2O等を用いることができる。
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
P2O5成分 5.0〜40.0mol%及び
Nb2O5成分 5.0〜50.0mol%、
並びに
TiO2成分 0〜50.0mol%
WO3成分 0〜25.0mol%
Li2O成分 0〜50.0mol%
Na2O成分 0〜40.0mol%
K2O成分 0〜25.0mol%
BaO成分 0〜20.0mol%
B2O3成分 0〜20.0mol%
MgO成分 0〜20.0mol%
CaO成分 0〜25.0mol%
SrO成分 0〜15.0mol%
Y2O3成分 0〜7.0mol%
La2O3成分 0〜5.0mol%
Gd2O3成分 0〜5.0mol%
SiO2成分 0〜25.0mol%
GeO2成分 0〜15.0mol%
Bi2O3成分 0〜5.0mol%
TeO2成分 0〜15.0mol%
ZrO2成分 0〜15.0mol%
ZnO成分 0〜20.0mol%
Al2O3成分 0〜15.0mol%
Ta2O5成分 0〜3.0mol%
Sb2O3成分 0〜1.0mol%
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を石英坩堝又はアルミナ坩堝に投入して粗溶融した後、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて1000〜1300℃の温度範囲で2〜10時間溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1250℃以下の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、金型に鋳込んで徐冷することにより作製される。
本発明の光学ガラスは、高い屈折率を有しながらも、より高い分散(低いアッベ数)を有する。
本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは20、より好ましくは19、さらに好ましくは18を上限とし、さらに好ましくは17.2未満とする。このアッベ数の下限は、好ましくは10、より好ましくは12、さらに好ましくは15であってもよい。このような低いアッベ数を有することで、例えば高いアッベ数を有する光学素子と組み合わせた場合に、高い結像特性等を図ることができる。
また、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、好ましくは1.70、より好ましくは1.80、さらに好ましくは1.90を下限とする。この屈折率の上限は、好ましくは2.30、より好ましくは2.20、さらに好ましくは2.15であってもよい。このような高い屈折率を有することで、さらに素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。
従って、このような高屈折率高分散の光学ガラスを、例えば光学素子の用途に用いることで、高い結像特性等を図りながらも、光学設計の自由度を広げることができる。
なお、本発明の光学ガラスでは、例えばNb2O5成分の含有量が少ないこと等によって、ガラス転移点が低くなり、且つ結晶化開始温度が高められるため、上述のΔTの数値を大きくできることが、熱的安定性を高められる一因であると考えられる。
なお、本発明の光学ガラスでは、例えばNb2O5成分の含有量が少ないこと等によって原料の熔解性が高められるため、低い熔解温度でも原料を熔解できることが、可視光透過率を高められる一因であると考えられる。
作製された光学ガラスから、例えばリヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
一方で、比較例のガラスは失透しており、ガラス相の熱的安定性は低いものであった。
そのため、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも高い熱的安定性を有していることが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもλ5(透過率5%時の波長)が450nm以下、より詳細には405nm以下であり、所望の範囲内であった。
Claims (30)
- 質量%で、P2O5成分を5.0%以上40.0%以下、Nb2O5成分を10.0%以上60.0%以下含有し、20以下のアッベ数(νd)を有し、ガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTが100℃以上である光学ガラス。
- 質量%で、TiO2成分の含有量が0%超30.0%以下である請求項1記載の光学ガラス。
- 質量比TiO2/Nb2O5が0.10以上2.00以下である請求項1又は2記載の光学ガラス。
- 質量%で、WO3成分の含有量が35.0%以下である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量比WO3/P2O5が0.60以下である請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス。
- P2O5成分、Nb2O5成分及びWO3成分の含有量の和が60.0%以上80.0%以下である請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量%で、
Li2O成分 0〜5.0%
Na2O成分 0〜15.0%
K2O成分 0〜15.0%
である請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス。 - 質量%で、K2O成分を0%超含有する請求項7記載の光学ガラス。
- 質量比Na2O/K2Oが3.00以下である請求項1から8のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量比P2O5/Na2Oが3.00以上である請求項1から9のいずれか記載の光学ガラス。
- Li2O成分、Na2O成分及びK2O成分の含有量の和が20.0%以下である請求項1から10のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量比(P2O5+Nb2O5+WO3)/(Li2O+Na2O+K2O)が8.00以上15.00以下である請求項1から11のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量%で、
BaO成分 0〜20.0%
Bi2O3成分 0〜15.0%
である請求項1から12のいずれか記載の光学ガラス。 - TiO2成分、Nb2O5成分、WO3成分及びBi2O3成分の含有量の和が30.0%以上である請求項1から13のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量比(TiO2+Bi2O3)/(TiO2+Nb2O5+WO3+Bi2O3)が0.100以上である請求項1から14のいずれか記載の光学ガラス。
- TiO2成分、Nb2O5成分、WO3成分、Na2O成分及びBaO成分の含有量の和が80.0%以下である請求項1から15のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量比(TiO2+Nb2O5+WO3+Na2O+BaO)/(P2O5+K2O)が4.00以下である請求項1から16のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量%で、B2O3成分の含有量が10.0%以下である請求項1から17のいずれか記載の光学ガラス。
- B2O3成分、BaO成分、Li2O成分、Na2O成分及びK2O成分の含有量の和が20.0%以下である請求項1から18のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量%で
MgO成分 0〜5.0%
CaO成分 0〜10.0%
SrO成分 0〜10.0%
である請求項1から19のいずれか記載の光学ガラス。 - MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分の含有量の和が20.0%以下である請求項1から20のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量%で
Y2O3成分 0〜10.0%
La2O3成分 0〜10.0%
Gd2O3成分 0〜10.0%
である請求項1から21のいずれか記載の光学ガラス。 - Y2O3成分、La2O3成分及びGd2O3成分の含有量の和が15.0%以下である請求項1から22のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量%で
SiO2成分 0〜10.0%
GeO2成分 0〜10.0%
TeO2成分 0〜15.0%
ZrO2成分 0〜10.0%
ZnO成分 0〜10.0%
Al2O3成分 0〜10.0%
Ta2O5成分 0〜10.0%
Sb2O3成分 0〜1.0%
である請求項1から23のいずれか記載の光学ガラス。 - 1.70以上2.20以下の屈折率(nd)を有する請求項1から24のいずれか記載の光学ガラス。
- 分光透過率が70%を示す波長(λ70)が500nm以下である、請求項1から25のいずれか記載の光学ガラス。
- 請求項1から26のいずれか記載の光学ガラスを母材とする光学素子。
- 請求項1から26のいずれか記載の光学ガラスからなるレンズプリフォーム。
- 請求項1から26のいずれか記載の光学ガラスからなるモールドプレス成形用のレンズプリフォーム。
- 請求項28又は29記載のレンズプリフォームを成形してなる光学素子。
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