JP2013224241A - ピッチ系炭素質材料の不融化処理方法およびピッチ系炭素化物の製造方法 - Google Patents

ピッチ系炭素質材料の不融化処理方法およびピッチ系炭素化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】石炭系ピッチあるいは石油系ピッチからなるピッチ系炭素質材料を不融化するにあたって、ピッチ系炭素質材料の軟化点が低い場合でもピッチ系炭素質材料を短時間で不融化処理することのできるピッチ系炭素質材料の不融化処理方法とピッチ系炭素化物の製造方法を提供する。
【解決手段】ピッチ系炭素質材料を粒子状、粉体状または繊維状に賦形して得られた賦形体を密閉容器2の中に配置して密閉容器2の内部を真空になるまで真空排気ポンプ3により室温で排気した後、硝酸蒸気供給装置4から密閉容器2に硝酸蒸気を導入し、導入された硝酸蒸気によりピッチ系炭素質材料を不融化処理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、石炭系ピッチまたは石油系ピッチからなるピッチ系炭素質材料を不融化処理する方法とピッチ系炭素化物を製造する方法に関する。
石炭または石油の蒸留残油であるピッチを出発原料とするピッチ系炭素繊維は、ピッチを繊維状に紡糸した後、炭素化または黒鉛化して製造されるのが一般的である。この場合、紡糸工程で得られたピッチ繊維(繊維状のピッチ)を1500℃程度まで加熱して、ピッチ繊維をそのまま炭素化または黒鉛化すると繊維同士が融着するため、これを避ける目的で、炭素化工程または黒鉛化工程の前にピッチ繊維を不融化処理する必要がある。
ピッチ繊維を不融化処理する方法としては、ピッチ繊維を約200〜400℃の反応温度まで加熱し、空気中でピッチ繊維を気相酸化させて不融化する方法が知られている。しかし、この方法を用いると、ピッチ繊維の不融化処理に数時間を要するという問題がある。また、上記の方法では、ピッチ繊維内に酸化性ガスを拡散させる必要があるため、嵩比重が0.01〜0.04g/cm3程度のピッチ繊維束しか不融化処理を行うことができず、そのため、ピッチ繊維を不融化処理する気相不融化処理装置が大型化するという問題もある。
ピッチ繊維等のピッチ系炭素質材料を効率的に不融化処理するためには、不融化反応速度を上げること、より多くの炭素質材料を不融化処理装置に投入できることなどが挙げられる。そして、炭素質材料の投入量を増やすためには、繊維状や粉体状に賦形されたピッチ系炭素質材料の嵩比重を圧密などの方法によって上げることが考えられる。
不融化反応速度を上げる方法としては、窒素酸化物を含む空気中でピッチ繊維を不融化処理する方法(特許文献1参照)や、空気中に硝酸蒸気を混合させてピッチ繊維を気相で不融化処理する方法(特許文献2参照)が提案されている。しかし、ピッチ繊維内への酸化性ガスの拡散は上記の方法によっても制限されるため、より多くのピッチ繊維を不融化処理装置に投入して効率的に不融化処理することができないという問題がある。
また、ピッチ系炭素質材料が粉体の場合には、嵩密度が0.3g/cm3と高くなるため、酸化性ガスの拡散が遅くなる。そのため、粉体を広く敷き詰めて処理するか、攪拌機能を備えた回転式の不融化処理装置で処理する必要があり、この場合においても、酸化性ガスに接触させるための処理には、大型の不融化処理装置を要する。
そこで、ピッチ系炭素質材料を酸化剤と効率的に接触させるため、特許文献3〜6には、硝酸などの酸化液中にピッチ系炭素質材料を浸漬して液相で不融化処理する方法が記載されている。しかしながら、通常は液相で不融化処理した後に、1000℃を超える温度域でピッチ系炭素質材料の炭化処理を行うため、公害防止、装置の腐食防止の観点から、ピッチ系炭素質材料に付着した硝酸などの酸化液を洗浄装置によって除去する必要がある。このため、酸化液の除去に多くのエネルギーやコストを要するという問題がある。
特開昭60−259629号公報 特開平1−201522号公報 特開昭60−231825号公報 特表昭61−502772号公報 特開平2−242919号公報 特開平2−6619号公報
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであって、石炭系ピッチあるいは石油系ピッチからなるピッチ系炭素質材料を不融化するにあたって、ピッチ系炭素質材料の軟化点が低い場合でもピッチ系炭素質材料を短時間で不融化処理することのできるピッチ系炭素質材料の不融化処理方法とピッチ系炭素化物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、ピッチ系炭素質材料を効率的に不融化処理する方法を検討するにあたり、不融化処理装置のサイズ、不融化処理装置の構成、不融化反応速度の観点から検討した。
まず、不融化処理装置のサイズを小さくするには、嵩密度の高いピッチ系炭素質材料を処理できる手法が必要である。この観点では、気相酸化法は不適で、液相酸化法で用いる酸化剤のモル濃度を高く設定できるため適している。
次に不融化処理装置の構成について考えると、液相酸化法では、不融化処理後の洗浄装置、洗浄液に同伴してロスする炭素質材料の回収、大量に発生する廃水の処理施設が必要となる。反応速度を上げるには、気相酸化法には窒素酸化物や硝酸蒸気を混合した空気で不融化反応速度を上げることが可能であり、液相酸化法は酸化剤のモル濃度を高く設定でき、しかも反応熱を液相が奪うため暴走せず、高速反応が可能である。
以上から明らかになる検討方針は、気相酸化として酸化剤の炭素質材料内への高速拡散を目指すか、液相酸化として廃水処理方法の簡素化を目指すかのいずれかである。
本発明者は、気相酸化を選択した場合には、圧力の増減操作によって強制的に酸化剤の炭素質材料内への拡散を托すことが可能であることを着眼し、さらに室温付近での低温で不融化処理する場合に、気相酸化剤の種類を適切に選択することで、炭素質材料内に浸透した気相酸化剤が一旦炭素質材料表面で凝結し、以って高速な不融化反応を進行させることができることに思い至った。これを酸化剤として硝酸等を使用し、炭素質材料として炭素繊維を圧密したものや加圧成型した粉体試料などを使った実験によって不融化反応の進行を確認することで本発明に至った。
すなわち、請求項1の発明は、石炭系および/または石油系のピッチからなるピッチ系炭素質材料を不融化処理する方法であって、前記ピッチ系炭素質材料を粒子状、粉体状または繊維状に賦形して得られた賦形体を密閉容器の中に配置して該密閉容器の内部を真空になるまで室温で排気した後、前記密閉容器に硝酸蒸気を導入し、該硝酸蒸気と前記賦形体とを反応させて、前記ピッチ系炭素質材料を不融化処理することを特徴とする。
請求項2の発明は、石炭系および/または石油系のピッチからなるピッチ系炭素質材料を不融化処理する方法であって、前記ピッチ系炭素質材料を粒子状、粉体状または繊維状に賦形して得られた賦形体と硝酸溶液とを互いに触れ合わないように密閉容器の中に配置した後、前記硝酸溶液が蒸発するまで前記密閉容器の内部を室温で減圧し、前記密閉容器の内部に発生した硝酸蒸気と前記賦形体とを反応させて、前記ピッチ系炭素質材料を不融化処理することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載のピッチ系炭素質材料の不融化処理方法において、前記密閉容器の内面に硝酸が結露するまで前記密閉容器に硝酸蒸気を導入することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のピッチ系炭素質材料の不融化処理方法において、前記賦形体の嵩密度を0.5g/cm3以下にした後、前記賦形体を前記密閉容器の中に配置することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法により不融化されたピッチ系炭素質材料を炭素化して、粒子状または粉体状または繊維状のピッチ系炭素化物を得ることを特徴とする。
請求項1〜4の発明によれば、空気が存在しない状態でピッチ系炭素質材料を酸化剤としての硝酸と接触させることができ、これにより、ピッチ系炭素質材料の軟化点が低い場合でもピッチ系炭素質材料を短時間で不融化処理することができる。
請求項5の発明によれば、ピッチ系炭素質材料が軟化点の低い光学的等方性ピッチの場合でもピッチ系炭素化物を効率的に製造することができる。
本発明を実施するときに用いられる不融化処理装置の一例を示す図である。 図1に示す不融化処理装置を用いてピッチ系炭素質材料を不融化処理する場合の第1の不融化処理方法を説明するためのフローチャートである。 図1に示す不融化処理装置を用いてピッチ系炭素質材料を不融化処理する場合の第2の不融化処理方法を説明するためのフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明を実施するときに用いられる不融化処理装置の一例を図1に示す。図1中符号1は粒子状、粉体状または繊維状に賦形されたピッチ系炭素質材料(賦形体)を不融化処理する不融化処理装置を示し、この不融化処理装置1は密閉容器2、真空排気ポンプ3および硝酸蒸気供給装置4を備えている。
密閉容器2は例えば有底筒状に形成された容器本体21と、この容器本体21の上部開口を気密に塞ぐ容器蓋22とからなり、容器本体21はガラス等の透明材料で形成されている。
真空排気ポンプ3は密閉容器2の内部を排気するものであって、密閉容器2の容器蓋22に形成された排気口に排気管5を介して接続されている。
硝酸蒸気供給装置4は密閉容器2の内部に硝酸蒸気を供給するものであって、密閉容器2の容器蓋22に形成された硝酸蒸気導入口に硝酸蒸気導入管6を介して接続されている。
なお、ピッチ系炭素質材料を粉体状に賦形する方法としては、石炭または石油の蒸留残油であるピッチ固体を砕いて粉体状に賦形する方法を用いることができ、この場合、平均粒子径が20μm以下となるように必要に応じて粒度調整することが望ましい。
また、ピッチ系炭素質材料を繊維状に賦形する方法としては、軟化点を調整した原料ピッチをエレクトロスピニング法等により溶融紡糸する方法を用いることができる。
次に、上述した不融化処理装置1を用いてピッチ系炭素質材料を不融化処理する場合の第1の不融化処理方法を図2に示すフローチャートに従って説明する。
粒子状や粉体状あるいは繊維状に賦形されたピッチ系炭素質材料(賦形体)を不融化処理する場合は、まず、図2に示すステップS21でピッチ系炭素質材料の嵩密度を0.05g/cm3以上0.5g/cm3以下に調整する。
工業材料として用いられる炭素繊維の多くは、繊維径が20μm以下である。通常、紡糸後の炭素繊維は嵩密度が0.01g/cm3程度、粉体では0.3g/cm3前後である。このままの嵩密度でもピッチ系炭素質材料を不融化することは可能であるが、本実施形態では、ステップS21でピッチ系炭素質材料の嵩密度を0.05g/cm3以上0.5g/cm3以下に調整した後、ピッチ系炭素質材料を密閉容器2の容器本体21内に投入する(ステップS22)。
ここで、ピッチ系炭素質材料の嵩密度を0.05g/cm3以上とした理由は、嵩密度が0.05g/cm3未満の場合には、従来技術と比較して経済的効果が小さいためである。また、ピッチ系炭素質材料の嵩密度を0.5g/cm3以下とした理由は、嵩密度が0.5g/cm3を超えると酸化剤(硝酸)の入る余地が少なくなり、不融化処理にむらが生じやすくなるためである。
ピッチ系炭素質材料の嵩密度を0.5g/cm3以下にする方法としては、粒子状や粉体状あるいは繊維状に賦形されたピッチ系炭素質材料をローラーなどで圧密する方法を用いることができる。
ステップS22でピッチ系炭素質材料を密閉容器2の容器本体21内に投入したならば、密閉容器2の容器蓋22により容器本体21の上部開口を気密に塞ぎ、密閉容器2の内部を真空になるまで真空排気ポンプ3により排気する(ステップS23)。そして、真空排気ポンプ3による排気が終了した後に、硝酸蒸気供給装置4から密閉容器2内に硝酸蒸気を導入する(ステップS24)。
密閉容器2に投入されるピッチ系炭素質材料の温度が低すぎると、不融化反応の開始が遅くなり、反応時間が安定しなくなる。逆に、ピッチ系炭素質材料の温度が高すぎる場合は、硝酸蒸気供給装置4から密閉容器2に供給された硝酸蒸気量が減少し、処理回数が増加するため不利となる。また、ピッチ系炭素質材料の温度が、ピッチの軟化点−10℃よりも高い場合は、反応による発熱で賦形体(粒子状や粉体状あるいは繊維状に賦形されたピッチ系炭素質材料)が融着する。従って、ピッチ繊維等のピッチ系炭素質材料を密閉容器2の容器本体21内に投入するときには、温度が5℃〜50℃、好ましくは10℃〜40℃のピッチ系炭素質材料を投入することが望ましい。
密閉容器2の内部を真空排気ポンプ3により真空排気するときには、硝酸蒸気供給装置4からの硝酸蒸気をピッチ系炭素質材料に浸透させるために、密閉容器2の内部が20kPa以下、好ましくは5kPa以下になるまで密閉容器2の内部を排気することが望ましい。
また、硝酸蒸気供給装置4から密閉容器2内に導入される硝酸蒸気の導入量としては、密閉容器2の内面に硝酸が結露する程度を目安として、硝酸蒸気を密閉容器2内に導入する。このときピッチ系炭素質材料からは茶色の煙が立ち昇り、不融化反応の進行を密閉容器2の外部から確認することができる。
硝酸蒸気供給装置4から密閉容器2内に硝酸蒸気を導入したならば、10分間放置して、再び密閉容器2内を真空排気ポンプ3により排気した後、硝酸蒸気供給装置4から密閉容器2内に硝酸蒸気を導入する。この排気、硝酸蒸気導入、10分間放置を、不融化反応の進行が停止するまで行う。不融化反応が完了したか否かは、ピッチ系炭素質材料から立ち昇る煙を目視することで判断することができる。通常は、1回の真空排気、硝酸蒸気導入で完結する。
硝酸蒸気供給装置4から密閉容器2内に導入された硝酸蒸気によりピッチ系炭素質材料が不融化したならば、ピッチ系炭素質材料を密閉容器2から取り出し、常法により炭化または黒鉛化して、炭素繊維や黒鉛粉末等を製造する。
ピッチ系炭素質材料の炭化工程または黒鉛化工程では、特に制限はないが、その用途に応じて反応条件を種々の条件に選択できる。一般に、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス下で、5〜100℃/分の昇温速度で400〜3000℃、好ましくは700〜2500℃で熱処理を行う。
次に、不融化処理装置1を用いてピッチ系炭素質材料を不融化処理する場合の第2の不融化処理方法を図3に示すフローチャートに従って説明する。
粒子状や粉体状あるいは繊維状に賦形されたピッチ系炭素質材料(賦形体)を不融化処理する場合は、まず、図3に示すステップS31でピッチ系炭素質材料の嵩密度を0.05g/cm3以上0.5g/cm3以下に調整する。そして、嵩密度が0.05g/cm3以上0.5g/cm3以下に調整されたピッチ系炭素質材料を密閉容器2の容器本体底部に配置すると共に、硝酸溶液が入った容器をピッチ系炭素質材料と硝酸溶液とが直接触れ合わないように密閉容器2の容器本体底部に配置する(ステップS32)。
その後、密閉容器2の容器蓋22により容器本体21の上部開口を気密に塞ぎ、硝酸溶液が蒸発するまで密閉容器2の内部を真空排気ポンプ3により減圧する(ステップS33)。そうすると、密閉容器2の内部に蒸散蒸気が発生し、この蒸散蒸気がピッチ系炭素質材料の中に浸透することによってピッチ系炭素質材料の不融化処理が行われる。
以下、本発明の実施例と比較例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
フローテスターで測定した軟化点が270℃の石炭系光学的等方性ピッチを原料にして、溶融紡糸法により繊維径10μmのマット状ピッチ繊維を得た。このピッチ繊維を圧密してピッチ繊維の嵩密度を0.5g/cm3に調整した後、容量が10リットルのデシケーターに2gのピッチ繊維を入れた。その後、デシケーターの内部を真空ポンプで1kPaまで排気した後、デシケーターの内部に濃度が90体積%の硝酸蒸気をデシケーター内面に硝酸が結露するまで導入した。このときのデシケーター内圧力は22kPaであり、0.2時間後は30kPaであった。
デシケーター内のピッチ繊維から茶色の煙が立ち昇ってないことを目視で確認した後、ピッチ繊維をデシケーターから取り出し、取り出したピッチ繊維を1500℃で炭化処理した。その結果、炭化処理後の繊維の融着は見られなかった。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で嵩密度が0.5g/cm3のピッチ繊維を得た後、容量が10リットルのデシケーターに2gのピッチ繊維を入れ、さらに市販の工業用濃硝酸(濃度:67質量%)が約20g入ったビーカーをピッチ繊維と直接接しないようにデシケーター内に配置した。その後、デシケーター内を真空ポンプで1kPaまで減圧した後、真空配管を閉止して硝酸を蒸発させた。0.5時間後のデシケーター内圧力は、28kPaであった。
デシケーター内のピッチ繊維から茶色の煙が立ち昇ってないことを目視で確認した後、ピッチ繊維をデシケーターから取り出し、取り出したピッチ繊維を1500℃で炭化処理した。その結果、炭化処理後の繊維の融着は見られなかった。
(実施例3)
実施例1、2と同様の方法で嵩密度が0.5g/cm3のピッチ繊維を得た後、容量が10リットルのデシケーターに2gのピッチ繊維を入れ、さらに硝酸試薬(濃度:40質量%)が約20g入ったビーカーをピッチ繊維と直接接しないようにデシケーター内に配置した。その後、デシケーター内を真空ポンプで1kPaまで減圧した後、真空配管を閉止して硝酸を蒸発させた。0.5時間後のデシケーター内圧力は、13kPaであった。再び排気して1kPaまで減圧した後、真空配管を閉止して硝酸を蒸発させた。0.5時間後のデシケーター内圧力は、13kPaであった。
デシケーター内のピッチ繊維から茶色の煙が立ち昇ってないことを目視で確認した後、ピッチ繊維をデシケーターから取り出し、取り出したピッチ繊維を1500℃で炭化処理した。その結果、炭化処理後の繊維の融着は見られなかった。
(実施例4)
フローテスターで測定した軟化点が270℃の石油系光学的等方性ピッチを原料にして、溶融紡糸法により繊維径10μmのマット状ピッチ繊維を得た。このピッチ繊維を圧密してピッチ繊維の嵩密度を0.5g/cm3に調整した後、容量が10リットルのデシケーターに2gのピッチ繊維を入れ、さらに市販の工業用硝酸(濃度:62質量%)が約20g入ったビーカーをピッチ繊維と直接接しないようにデシケーター内に配置した。その後、デシケーター内を真空ポンプで1kPaまで減圧した後、真空配管を閉止して硝酸を蒸発させた。0.5時間後のデシケーター内圧力は、14kPaであった。
デシケーター内のピッチ繊維から茶色の煙が立ち昇ってないことを目視で確認した後、ピッチ繊維をデシケーターから取り出し、取り出したピッチ繊維を1500℃で炭化処理した。その結果、炭化処理後の繊維の融着は見られなかった。
(比較例1)
ピッチ繊維の嵩密度を0.7g/cm3に調整した以外は、実施例1と同じ方法でピッチ繊維の不融化処理を行った。なお、デシケーター内面に硝酸が結露するまでデシケーターの内部に硝酸蒸気を導入したときのデシケーター内圧力は22kPaであり、0.2時間後は30kPaであった。
不融化処理が終了したピッチ繊維をデシケーターから取り出し、取り出したピッチ繊維を1500℃で炭化処理したところ、繊維束は変形し、一部は融着していた。
なお、実施例1〜4および比較例1において、硝酸の凝縮は確認されなかった。不融化が発熱反応であるため、不融化反応の進行と共に蒸発してしまったと推定される。
1…不融化処理装置
2…密閉容器
21…容器本体
22…容器蓋
3…真空排気ポンプ
4…硝酸蒸気供給装置
5…排気管
6…硝酸蒸気導入管

Claims (5)

  1. 石炭系および/または石油系のピッチからなるピッチ系炭素質材料を不融化処理する方法であって、前記ピッチ系炭素質材料を粒子状、粉体状または繊維状に賦形して得られた賦形体を密閉容器の中に配置して該密閉容器の内部を真空になるまで室温で排気した後、前記密閉容器に硝酸蒸気を導入し、該硝酸蒸気と前記賦形体とを反応させて、前記ピッチ系炭素質材料を不融化処理することを特徴とするピッチ系炭素質材料の不融化処理方法。
  2. 石炭系および/または石油系のピッチからなるピッチ系炭素質材料を不融化処理する方法であって、前記ピッチ系炭素質材料を粒子状、粉体状または繊維状に賦形して得られた賦形体と硝酸溶液とを互いに触れ合わないように密閉容器の中に配置した後、前記硝酸溶液が蒸発するまで前記密閉容器の内部を室温で減圧し、前記密閉容器の内部に発生した硝酸蒸気と前記賦形体とを反応させて、前記ピッチ系炭素質材料を不融化処理することを特徴とするピッチ系炭素質材料の不融化処理方法。
  3. 前記密閉容器の内面に硝酸が結露するまで前記密閉容器に硝酸蒸気を導入することを特徴とする請求項1に記載のピッチ系炭素質材料の不融化処理方法。
  4. 前記賦形体の嵩密度を0.5g/cm3以下にした後、前記賦形体を前記密閉容器の中に配置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のピッチ系炭素質材料の不融化処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法により不融化されたピッチ系炭素質材料を炭素化して、粒子状または粉体状または繊維状のピッチ系炭素化物を得ることを特徴とするピッチ系炭素化物の製造方法。
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