JP2013223673A - 超音波送信ビーム形成制御に用いられる方法、装置、およびソフトウェアプログラム - Google Patents

超音波送信ビーム形成制御に用いられる方法、装置、およびソフトウェアプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】先行技術における主な課題は、フォーカス領域およびビームプロファイルを制御する方法がないことである。
【解決手段】本発明は、点フォーカスやマルチゾーンフォーカスのような、複数の遅延プロファイルの重み付けされた組み合わせを用いてハイブリッド遅延プロファイルを生成する技術を教示する。ハイブリッド遅延は、所望のフォーカス領域の特徴とトランスデューサの送信パラメータの特徴との間の直接的な関係を展開させることによって、かつそのような関係を用いて具体的な画像適用例にしたがって任意の予め定義されたフォーカス領域に対し送信パラメータを決定することによって、所望のフォーカス領域内の音響エネルギーを最大化し、所望のフォーカス領域外の音響エネルギーを最小化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、送信ビーム形成に関する。特に、医用超音波システムに用いられる送信スペクトラムが、ハイブリッド遅延関数により制御される。
超音波画像システム
超音波画像システムは、人体内の内臓を観察する医師の助けとなる。典型的な超音波画像システムは、以下のコンポーネントからなる。トランスデューサ(別名プローブ)、データ取得部、データ処理部、データ表示部、および、マンマシンユーザインタフェースである。
ある特定の周波数およびエネルギーをもつ信号を利用して、プローブ内のアレイ素子を励起し、音響圧力波を生成する。生成された音響圧力波は、媒体を通して送信され、観察対象物に向かう。その波は物体の様々な物理特性により、さらに反射および/または吸収される。そしてその反射波はプローブに戻り、アレイ素子によって受信される。その後、反射波から組織情報が抽出され、処理されて超音波画像を形成する。
ビーム形成とは、アレイトランスデューサに用いられる概念であり、複数のトランスデューサ素子が同時に励起されることで、所望の送信超音波ビームを生成する。超音波エネルギーは媒体内の小さな領域に集中することが望ましく、そのような領域は望ましくは、観察対象物が位置する関心領域である。これは、複数の異なるトランスデューサ素子に対し励起のタイムインスタンスを遅延させることで達成でき、その結果、複数の異なるトランスデューサ素子からの超音波が関心領域に同時に到達し、この領域の超音波エネルギーを効率的に増加させる。
超音波画像の空間解像度を強化するため、大半のシステムは、被検体の様々な深度にビームを集中させることで、明瞭な画像を提供する。従来の超音波システムにおいて、送信ビーム形成は、音響ビームを小さなフォーカスフィールド(焦点)に集中させる。そして受信ビーム形成は、全ての素子からエコー信号を受信し、それらを集めて画像ラインを組み立てる。このラインは焦点を含んでいなければならない。続いて、超音波画像全体が、この「ライン単位の走査」方法によって生成できる。
超音波画像は、「リアルタイムの」断層撮影であり、現在、医療の分野で最も広く用いられ、用途の広いモダリティである。磁気共鳴(MR)やコンピュータ断層撮影(CT)といった他のモダリティと比較して、この技術は比較的安価であり、かつ持ち運びができる。特に、超音波画像は、医療環境における現在の適用例において、患者に与える周知のリスクはない。これらの利点により、超音波画像は主要な画像診断モダリティとして用いられるようになった。
超音波画像の主なデメリットは、MRやCTと比べて、空間解像度が比較的低いことである。この欠点は主に、診断領域の音響エネルギーが比較的低いことによって起こる。最適な画質を得るために、現在の超音波機器は、ほぼ全てが、音波を小さな領域に集中させるように、ビーム形成技術を適用している。よって、音響エネルギーを所望の観察位置に集中させることができ、受信エコー信号によって、他の隣接組織からのノイズに妨害されることなく所望の組織の情報が提供される。
超音波送信ビーム形成
送信ビーム形成の目的は、音響エネルギーを、所望の観察領域にできる限り多く集中させ、かつできる限り均等に分布させることである。このタスクを達成するため、ビーム形成器が個々の素子に対して、送信遅延と、想定されるアポディゼーション[2]とを生成する。送信タイミングを調整することにより、個々の素子から放射された音波が、所望のフォーカス領域に同時に到達する。よって、フォーカス領域からのエコーのパワーは、他の領域よりも比較的強くなる。送信タイミングを適切に調整することは、遅延プロファイルとして表される。アポディゼーションという用語は、重み付け、テーパリング、およびシェーディングの同義語に定義される。アポディゼーションによって指向性を改善することにより、送信ビームの分散を中心から離れるにしたがって徐々に減少させることができる。つまり、通常、最内部の素子の励起により多くのパワーを使う。
先行技術
従来の点フォーカスシステムにおいて、送信ビーム形成は、音響エネルギーを焦点近くの小さな領域に集中させる。典型的に、そのような領域のサイズは、数ミリメートル以内である。通常、この領域は診断領域よりもずっと小さい。その結果、焦点の画質は向上するが、焦点以外の領域の画質は比較的悪くなる。
そのような点フォーカスビーム形成技術により、素子の遅延プロファイルおよびアポディゼーションウインドウを変化させることで、焦点近くの音響エネルギーを制御できることは、十分に確立されている。結果として、焦点近くの画質が効率的に制御できる。
しかしながら、超音波画像の実際の適用例には、数ミリメートルよりもずっと大きな診断領域が含まれる。そのような適用例において、単一の点フォーカスビーム形成では、診断領域全体にわたって均等な画質を提供することはできない。診断領域全体においてほぼ最適な画質を得るためには[1]、単一の焦点を「フォーカス領域」に拡大する必要がある。送信ビーム形成は、音響エネルギーをフォーカス領域に集中させ、その音響エネルギーを領域内に均等に分布させなければならない。
この目的を達成するための周知の方法の一つが、マルチゾーンフォーカス[5]である。マルチゾーンフォーカスは、各走査線を複数のフォーカスゾーンに細分化し、複数の異なる送信インスタンスに、各ゾーンの中心点に焦点を合わせながら、独立した送信パルスで各ゾーンを探索することで、様々なフォーカス領域を得る。たとえば、異なる二つの深度F1およびF2の送信フォーカスを選ぶと、1パルスがF1の焦点で送信され、F1とF2との間の約半分までの深度からのエコーが受信され、処理される。そして、第2のパルスがF2の焦点で送信され、F2よりも深い全ての深度からのエコーが取得される。概して、送信フォーカスゾーンの数が多いほど、フォーカス領域は長くなる。残念なことに、送信フォーカスゾーンの数が多いほど、各走査線で長い時間がかかる。まとめると、複数のフォーカスゾーンを用いる方法により、大きなフォーカス領域を得ることができるが、それはフレームレートの減少を伴う。
現在の超音波システムでは点フォーカス送信ビーム形成を制御することができるので、他の発明においても、均等な画質を保証するために全診断領域にわたって焦点を柔軟に選択することを提案している。[6]は、予備画像が取得された後に、焦点を手動で選択することを提案している。異なる焦点の画像または走査線を交互配置できる。しかしながら、この先行技術も、同じタイムインスタンスに一つの焦点しか撮像できないため、同様にフレームレートの問題に直面する。
結論として、点フォーカス送信ビーム形成技術により、所望の焦点で音響エネルギーをうまく制御できる。しかしながら、より大きな診断領域を撮像する際に、一つの焦点では領域全体にわたる均等な画質を生成するには不十分であり、別々の複数焦点では、フレームレートの減少という問題が生じる。
診断領域全体にわたる均等な画質を達成し、フレームレートを高く保つためには、単一の送信で、そのような領域にできる限り均等に音響エネルギーを分布させることができると望ましい。[3]が提案する「同時マルチゾーンフォーカス」の方法は、単一の送信パルスを送ることで、(焦点ではなく)大きなフォーカス領域を実現している。この方法の論理的根拠は、図5に示される。同時マルチゾーンフォーカスは、単一の送信パルスで複数の焦点を生成することで、所望のフォーカス領域を作成することを意図している。この目的を達成するため、トランスデューサアレイがいくつかのグループに細分化される。このグループ分けの一例は、複数の隣接するアレイ素子を一つのグループに分けることである。そして、特定のグループの遅延プロファイルが「点フォーカス」アルゴリズムに基づいて算出できる。超音波プローブ全体に対する全体的な遅延プロファイルは、個々のトランスデューサグループの遅延プロファイルを組み合わせることでさらに導き出すことができる。よって、送信ビーム形成器の遅延プロファイルの決定は、複数の焦点つまり焦点プロファイルを同時に生成することに変換できる。
広い範囲にわたって均一な幅のビームを生成する方法が、[4]に提案されている。この方法は、「開口重み付け」を用いる。開口重み関数は、トランスデューサの中央に位置する点により高い重みを付与し、周辺に向かうにしたがって、徐々に、より低い重みを付与する。これは中央の素子をより近い焦点に集中させ、周辺部の素子をトランスデューサからより遠い点に集中させる効果がある。よって、均一な幅のナロービームが、軸上の広い範囲にわたって生成できる。
しかしながら、これらの技術には2つの大きな欠点がある。まず、マルチゾーンフォーカスに起因するビームの伸長は、ユーザの要求やターゲット分析にしたがって制御されるわけではない。これにより、ビームプロファイルは、所望の深度よりも深いフォーカス深度となる可能性がある。次に、マルチゾーンフォーカスの形成により、サイドローブの強度が増加し、信号強度(つまりピーク圧力)が減少する。それにより、画質が劣化する。
結論として、診断領域全体にわたって均等な画質を達成するために、この領域にできる限り均等に音響エネルギーを最適に分布させる技術が望まれる。単一の送信で大きなフォーカス領域の生成を試みる先行技術があるが、そのようなフォーカス領域の特徴を制御する方法を提供する先行技術はない。そのような大きなフォーカス領域を商用超音波システムに適用するためには、フォーカス領域の制御が必須である。
[1]Hoskins, P. and A. Thrush、 Diagnostic ultrasound: physics and equipment、2003年ケンブリッジユニバーシティプレス
[2]Hanafy, A. M.、Apodization methods and apparatus for acoustic phased array aperture for diagnostic medical ultrasound transducer、2001年、米国特許第6258034号明細書 [3]Bolorforoshら、Medical ultrasound imaging system with composite delay profile、2001年、米国特許第6312386号明細書 [4]Umemuraら、Ultrasonograph、2010年、米国特許第7785260号明細書 [5]Wilbur A.、Reckwerdt et al. Method and apparatus for performing imaging、1995年、米国特許第5379642号明細書 [6]Cheol, A.、Kimら、Ultrasound imaging apparatus having a function of selecting transmit focal points and method thereof、2004年、欧州特許出願公開第1621897号明細書、欧州特許出願公開第1621897号明細書、欧州特許第1621897号明細書
先行技術における主な課題は、フォーカス領域およびビームプロファイルを制御する方法がないことである。
点フォーカス送信ビーム形成は上手く制御することができ、それはほとんどの商用超音波システムにおける従来のビーム形成技術である。しかしながら、この技術の限界は、より大きな診断領域にわたって均等な画質を生成できないことである。超音波画像の画質は、焦点の近くでは高いが、焦点から遠く離れた領域ではずっと低い。
いくつかの先行技術が、同じフレームレートを維持するために、単一の送信で診断領域全体に音響エネルギーを分布させることで、そのような焦点をより大きな焦点領域に拡大しようと試みている。この手法により、診断領域全体にわたって画質を向上させることができる。しかしながら、そのような先行技術は音響エネルギーの分布を制御する方法を提供していない。
安全ガイダンスにしたがって媒体に送信できる音響エネルギーは限られているので、音響エネルギーはフォーカス領域内で最大化できることが望ましい。さらに、「フォーカス深度」およびビーム幅といったフォーカス領域の望ましい特徴は、適用例によって異なる。よって、対象となる適用例に基づいてフォーカス領域を制御できる技術が必要である。
本発明は、複数の異なるビームプロファイルを組み合わせ、適切な素子の送信パラメータを設定することで、特定のフォーカス領域構成を達成する技術を説明している。この技術は、あらゆる超音波画像の適用例に利用できる。目的は、所望のフォーカス領域内の音響エネルギーを最大化し、フォーカス領域外の音響エネルギーを最小化することである。フォーカス領域の長さおよび幅は、トランスデューサ遅延プロファイルによって決まる。重み関数を用いて異なる遅延プロファイルを組み合わせる方法を以下に開示する。
重み関数は、対象となる適用例に基づいて調整できる。この手法はさらに、ビームの伸長に起因するサイドローブの強度を軽減するという利点をもつ。この手法はまた、フォーカス領域に十分なピーク圧力を維持することを保証する。ピーク圧力が不十分であると超音波画像の信号強度が低下するため、医療画像においてこれは大きな価値がある。
理論
以下の説明をよりよく理解する助けとするため、いくつかの重要な概念を以下に定義する。
フォーカス領域:音響エネルギーを集中させるべき領域として定義される。つまり、超音波画像の解像度はフォーカス領域において最大になる。
焦点距離:トランスデューサの中心軸に沿って位置する焦点レンズの湾曲の中心として定義される。焦点距離は、トランスデューサの中心から最大圧力点までの軸方向距離として算出できる。
フォーカスレンジ:トランスデューサがフォーカスできる軸上の範囲として定義される。
フォーカス深度:軸方向に沿う半最大圧力の2点間で計測されたフォーカス領域の長さである。
ビーム幅:フォーカス面の横方向に沿う半最大圧力の2点間で計測されたフォーカス領域の幅として定義される。
ビームプロファイル:音響ピーク圧力の空間的分布として定義される。ピーク音響圧力は、時間ドメインにおける最大音響圧力として算出される。
遅延プロファイル:送信チャネルの始動シーケンスとして定義され、所望のフォーカス特性を達成する目的で個々のトランスデューサ素子に関連する波形を送信するために適用される。
ハイブリッド遅延プロファイル(全体の遅延プロファイル):異なる遅延プロファイルの重み付けされた組み合わせとして定義される。個々の遅延プロファイルは、要件に基づいて全く異なる技術を用いて生成されてもよい。
本発明の目的は、重み関数を変えることによってフォーカス領域の長さおよび幅を変えることができるような、焦点距離の範囲全体にわたるハイブリッド遅延を開発することである。想定される焦点の範囲は、対象適用例に基づいて選択される。フォーカスレンジの最大値(FMAX)および最小値(FMIN)は、トランスデューサの有効F値によって決まる。F値は、焦点距離(zf)と有効口径(D)との比として算出できる。F値が小さいと、超音波ビームが密に集中していることを示すが、F値の最小値は、トランスデューサで用いることができる素子の最大数(N)や利用可能なチャネルの数のような係数によって制限される。したがって、FMAXおよびFMINの値は、使用されるトランスデューサによって決まるであろう。
所望のフォーカス領域は、フォーカスの深度(L)および焦点の位置により規定される。従来利用されている医用画像トランスデューサは、高さの寸法が比較的小さい。よって、軸および横方向の寸法を用いれば、焦点位置を規定するのに十分であろう。
次のステップは、重み関数を用いて組み合わされる複数の遅延プロファイルを生成することである。一例として、ナロービーム遅延プロファイル(D)と、マルチゾーンフォーカスを用いて生成されてもよい伸長ビームの遅延パターン(D)とを組み合わせる方法を説明する。フォーカス領域を伸長する目的で、重み関数は伸長ビームにより高い重みを付与し、同様にフォーカス領域の長さを削減する目的で、点フォーカス遅延プロファイルに対してより高い重みを付与する。重み関数は、軸方向距離(z)の二次関数として近似できる。長深度のビームでは、この関係は、ほぼ線形であろう。この例では遅延プロファイルが二つだけ使われているが、この手法は、適用例に基づいて同様の方法で重み付けされた三つ以上の遅延プロファイルに容易に拡張できる。
シミュレーション構成
前のセクションでは仮定上のモデルを提案した。このモデルを検証し、モデルパラメータを特定するためにシミュレーション研究を行う。パラメータ特定の精度を向上させるため、一連のシミュレーション検査を行う。各検査中に、ある特定の焦点プロファイルが、送信ビームプロファイルを算出するシミュレーションソフトウェアへの入力として選択される。シミュレーションのさらなる詳細は以下の通りである。F値に基づいてフォーカスレンジが選択される。まず始めに、ソフトウェアが、フォーカスレンジ内の焦点距離の離散値に対する重み関数を測定する。そしてこの情報を用いて特定の重み関数を生成する。前に述べたように、これは軸方向距離の一次または二次関数でもよい。重みが決定されると、ソフトウェアは遅延プロファイルDおよびDを生成する。ただし、Dはそれ自体が「マルチゾーンフォーカス」の場合のような合成遅延プロファイルでもよい。そして重み関数を用いて遅延プロファイルが組み合わされ、ハイブリッド遅延プロファイルを生成する。続いて、ソフトウェアは軸平面のビームプロファイルを算出する。
モデルの作成
フォーカス領域制御のモデルは、2つのサブモデルからなる。一つ目は伸長ビームプロファイルモデルであり、二つめはハイブリッド遅延プロファイルモデルである。伸長ビームプロファイルの出力とナロービームとがビーム遅延モジュールへの入力として用いられる。
伸長ビームプロファイルモデルの作成
伸長ビームプロファイルモデルの目的は、所望のフォーカス領域と焦点プロファイルとの間の関係をモデル化することである。
所望の領域は、二つのパラメータを用いて要約できる。
i. L:所望のフォーカス領域の長さ
ii. I:所望のフォーカス領域の近接端部からトランスデューサまでの距離
焦点プロファイルもまた、二つのパラメータを用いて要約できる。
i. L:最初の焦点から最後の焦点までの長さ
ii. I:最初の焦点からトランスデューサまでの距離
最初の焦点の軸上位置(I)は、二つの係数、つまり焦点領域の上端の軸上位置(I)および所望のフォーカスの長さ(L)に関係している。Lと、IとLとの積との関係は、線形であると仮定される。この仮定は、ビームシミュレーションを用いてテストされ、その結果が図9に示される。
次に、フォーカスされたプロファイルの長さと所望のフォーカス領域の長さ(L)との間の関係を調べた。フォーカス領域の長さはフォーカスプロファイルの長さ(L)に関係している。フォーカス領域の長さは、最初の焦点の位置(I)にも関係している。Lの様々な値に対するIの値のシミュレーション結果が、図10に示され、これに基づいて区分的線形モデルが提案される。
伸長ビームモデルの生成手順は、二つのステップに要約できる。
ステップ1:次式から得られる線型モデルを用いて、Iの値をLおよびIから推定する。
If = a1*Ld*Id + a2
ただし、aおよびaは定数である。
ステップ2:次式から得られる区分的線型モデルに基づいて、Lの値をLおよびIから推定する。
Lf = b1* Ld + b2, if Ld < LTH
Lf = b’1* Ld + b’2, if Ld >= LTH
ただし、LTHは予め定義された長さの閾値である。超音波画像は大抵の場合、必要なフォーカス領域の深度がLTHよりも低いため、所望のフォーカス領域の深度がLTH未満である状況のみを考慮して、係数値を算出する公式を開発した。
b1およびb2の係数についてさらに調べると、b1/b2とIとの間の関係はほぼ線形であることが分かる。これは図11に示される。この関係は数学的に以下のように表すことができる。
b1 = c1* If + c2
b2 = c3* If + c4
ただし、c、c、c、cは定数である。
ハイブリッド遅延プロファイルモデルの生成
ハイブリッド遅延の実験に基づいたモデルが、フォーカスレンジの様々な重み付け係数に対して決定される。フォーカスレンジFMAXおよびFMINの限界は、素子の数Nと所望のF値によって決定される。これはビームプロファイルから様々な特徴を抽出することによって実行される。たとえば、所望のフォーカス領域の深度は、軸方向に沿う送信ビームの半値全幅(FWHM)として算出される。
ハイブリッド遅延プロファイルを用いて生成されたビームプロファイルが、次式から得られる。
Dh = w(z) D1 + (1 - w(z))D2
このモデルは図5に示される。長深度のビームDの目的は、フォーカス度を増加させることであり、ナロービームの目的は、小さな焦点にエネルギーを集中させることであるため、二つのプロファイルを組み合わせると、フォーカスの深度が減少し、ビーム幅が増加すると見なすのが妥当であろう。ナロービーム幅遅延プロファイル(D)は、焦点距離とトランスデューサ内の能動素子の数によって決まる。伸長ビームは、焦点の数、焦点の間隔、焦点距離、および能動素子の数のような係数によって決まる遅延プロファイル(D)から得られる。
ハイブリッドビームのフォーカス深度は、重み関数を用いて制御できる。重み関数は、所望のフォーカス深度によってゼロから1まで変化させることができる。重み関数は、伸長遅延プロファイルの重みを増加させることで、フォーカス深度を増加させる。ビームプロファイルから算出されたフォーカス深度と重み関数との間の関係は、図12に示される結果が示すように、二次多項式を用いて近似できる。重み関数がゼロの時、フォーカス深度はナロービームに対して得られたフォーカス深度(L)と同じであろう。よって、以下のフォーカス深度モデル(L)が得られる。
L = c2w(z)2+ c1w(z) + L0
ただし、cおよびcは定数であり、Lは従来のフォーカシングから得られた推定フォーカス深度である。
L0 = 3λ(Zf/D)2
ハイブリッド遅延プロファイルモデルに用いられる様々なパラメータを、以下にまとめる。
:ハイブリッド遅延プロファイル
:伸長遅延プロファイル
:従来の遅延プロファイル
W(z):重み関数
L:制御されたフォーカス領域の長さ
:従来のフォーカス領域の長さ
:焦点距離
MAX:トランスデューサから最も遠い焦点
MIN:トランスデューサから最も近い点
およびcの値は、特定の焦点についてフォーカス深度と重みを関連づける校正曲線を用いて得ることができる。三つの異なる焦点について得られた校正曲線の例(1200、1201、および1202)が、図12に示される。
本発明の方法は、シミュレーションに基づいてテストされた。シミュレーションの目的は、96チャネルの線形アレイトランスデューサを用いることで所望のフォーカス領域を生成することであった。所望のフォーカス領域は、フォーカスの深度および幅によって規定された。対応する測定結果は、半値全幅(FWHM)に基づいて、シミュレーションされたビームプロファイルから算出された。結果は、シミュレーションされたビームプロファイル内のフォーカス領域が所望のフォーカス領域に適合することを示した。焦点距離40ミリメートルにおいて、フォーカス深度10ミリメートル、およびビーム幅0.3ミリメートルである所望のフォーカス寸法に対して得られた、シミュレーションされたプロファイルが図13に示される。
本発明の送信ビーム形成制御方法 遅延プロファイル生成器の例 二つの異なる遅延プロファイルに対して生成された焦点プロファイル 重み関数の例 ハイブリッドビームプロファイル生成の説明図 ナロー深度ビームの説明図 長深度ビームに用いられるマルチゾーンフォーカスの説明図 ハイブリッド遅延およびビームプロファイル生成の説明図 焦点プロファイルに用いられる最初の焦点の深度の決定 所望のフォーカス領域の深度(L)対焦点プロファイルの深度(L 焦点プロファイルの長さの計算に用いられる係数の決定 二つの異なる遅延プロファイルに対して生成された焦点プロファイル ハイブリッド遅延プロファイルを用いたビームプロファイル生成の結果 重み生成器の例 グラフィックユーザインタフェース(GUI)の例
本発明の方法は、送信ビーム形成器を一部変更することでフォーカス領域を最適化する方法の創作を目的としている。本発明のブロック図を図1に示す。以下の実施形態は、単に、様々な発明ステップの原理を例示するものである。ここに説明する具体例の様々な変形は、当業者に明らかであることが理解される。したがって、本明細書に記載の具体的かつ例示的な内容によってではなく、特許請求項の範囲によってのみ限定されることを意図している。
医用超音波機器は、次のコンポーネントのいくつかまたは全てを備えてもよい。信号送信器/受信器、データ取得器、データ処理器、および表示器。高周波超音波パルスが、送信機によって走査済み組織に送信される。超音波パルスの反射および散乱が、受信器によって受信される。そして超音波装置のデータ処理モジュールが走査済み組織の下層構造を抽出し、その構造を超音波画像として表示する。本発明は、医用超音波装置の信号送信機コンポーネントにおいて実現される方法を教示している。そのような医用画像装置の他のコンポーネントが、本発明を用いる適用例に適していることが理解される。
本明細書において説明する方法について、時折、線形アレイプローブを用いて実施形態のステップおよび効果を説明する。しかしながら、それらは単に例示を目的としており、線形アレイプローブが医用画像において最も広く用いられているプローブの一つであることが理解される。1.5次元および2次元プローブでのそのような実施態様も、やはり本発明の範囲内である。
本発明の主な実施形態が、図1に示される。
図1に示される主な実施形態によると、本発明は、以下の主なブロックを備える。ユーザインタフェース、重み関数生成器(101)、ナロービーム遅延プロファイル生成器(102)、長深度ビーム遅延プロファイル生成器(103)、ハイブリッド遅延プロファイル生成器(104)、および送信制御器(105)。
ユーザインタフェースは、「フォーカス深度」、ビーム幅、および焦点といった所望のビーム特性をユーザが入力する領域を有する。所望のフォーカス領域は、(1)所望のフォーカス領域の長さと、(2)所望のフォーカス領域の中心点からトランスデューサまでの距離という二つのパラメータを用いて説明される。これらのパラメータは、重み関数生成器(101)、ナロービーム遅延プロファイル生成器(102)、および長深度ビーム遅延プロファイル生成器(103)への入力として用いられる。
ナロービーム遅延生成器(102)は、焦点距離および素子の数に基づいて、ナロービームについて遅延を算出する。
長深度ビーム遅延プロファイル生成器(103)は、所望のフォーカス深度に基づいて、複数の焦点についての遅延プロファイルを生成する。長深度ビーム遅延プロファイル生成器(103)は所定の焦点プロファイルの各焦点に対して遅延プロファイルを算出し、その遅延プロファイルを組み合わせて統合遅延プロファイルを生成する。長深度ビーム遅延プロファイル生成器は図2に示される。
重み生成器(101)は、予め定義された重み関数に基づいて最適な重みを推定するプロセスを表す。重み関数の性質は、「フォーカス深度」および焦点によって決定される。重み関数(400)は、軸方向距離zの単調減少関数として定義される。軸方向距離と重みとの間の関係は、フォーカスレンジの大部分にわたって線形である。しかしながらこの関係は、二次関係によって、よりうまく近似される場合もある。重み関数の一例が、図3に示される。
ハイブリッド遅延プロファイル生成器(104)は、複数の異なる遅延プロファイルの重み付けされた組み合わせであるハイブリッド遅延プロファイルを生成するプロセスを表す。遅延プロファイルの重み付けされた組み合わせにより、フォーカス領域の長さを制御する方法が得られる。
送信制御器(105)は、ハイブリッド遅延プロファイル生成器(104)によって生成されたハイブリッド遅延プロファイルに基づいて、送信シーケンスを開始する。アポディゼーションの関数を、異なる素子に対する送信パルスの電圧を調整するために含んでもよい。
次の段落に、図1に示される主な実施形態に基づく具体的な実施形態をいくつか示す。
ユーザ入力
ユーザ入力モジュールは、対象分析に基づいて所望のフォーカス領域を選択するユーザに対する規定を有する。ユーザ入力はユーザインタフェースによって得られてもよく、または、システムに予めプログラムされてもよい。音響エネルギーはフォーカス領域に集中させられるため、フォーカス領域の画質は周辺部よりも比較的高くなる。よって、フォーカス領域の選択により、音響エネルギーが確実に診断領域に集中するようにしなければならず、音響エネルギーの分布は特に軸方向に沿ってできる限り均等でなければならない。フォーカス領域の選択方法は、次の三つの手法を含んでもよい。手動選択、組織分析に基づくフォーカス領域の自動計算、または画像区分に基づくフォーカス領域の選択。
手動選択の手法によって、ユーザは、たとえばタッチパネル、コンピュータキーパッド、コンピュータマウスまたはトラックボール等のマンマシンインタフェースを介してフォーカス領域を選択できるようになる。このシステムに用いられるグラフィックユーザインタフェース(GUI)の例が、図15に示される。GUIにより、ユーザは、フォーカス深度および焦点に関して定義される所望のフォーカス領域(1501)をマークすることが可能になる。
自動計算の手法は、診断領域および組織特性に基づく。たとえば、診断領域が頸動脈であれば、フォーカス領域はその頸動脈の位置および大きさによって決定されなければならず、音響エネルギーは頸動脈にできる限り集中され、かつエネルギーの分布は頸動脈全体に均等でなければならない。
代替の手法として、組織全体の予備画像が撮像されてもよい。画像処理技術をそのような画像に適用し、診断領域を自動的または半自動的に抽出してもよい(たとえば画像から頸動脈を識別する区分技術)。そして抽出された診断領域に基づいてフォーカス領域が選択される。
このブロックの出力は、所望のフォーカス領域の長さ(des_lengthつまりL)、および走査方向における所望のフォーカス領域の中心点の位置である(des_initialつまりI)。
重み生成器
重み生成器の目的は、所望のフォーカス領域に基づいて重みを算出することである。重み生成器は、ユーザインタフェースから焦点および所望のフォーカス深度を入力として取得し、最適な重みを生成する。重み生成器の一例が、図14に示される。重み生成器は、校正曲線生成器(1401)、重み関数生成器(1402)、および重み値算出器(1403)を備える。
校正曲線生成器(1401)により、特定の焦点について、重みとフォーカス深度とを関連づけるシミュレーションされたカーブの適合が得られる。三つの異なる焦点に対して得られた校正曲線の例(1200、1201、および1202)が、図12に示される。
重み関数生成器(1402)は、校正曲線を用いて次の重み関数を得る。
w(z) = a z2 + bz + c, FMIN ≦ z ≦ FMAX
ただし、FMAXおよびFMINは、素子の数Nと所望のF値によって決定される。特定のフォーカス深度に対し、重み関数生成器(1402)は、三つの焦点(F、F、およびF)に対応する少なくとも三つの重み値(w、w、およびw)を得る。係数の値a、b、およびcは、w、w、およびwに関する最小平均平方誤差を最小化することで得られる。または、重みおよび焦点が特定のフォーカス深度に対して予め決定されていなければ、対応する値を補間により見つけてもよい。
重み関数は、軸方向距離zの一次または二次関数でもよい。そのような重み関数の一つが図4に示される。重み関数の次数は、焦点毎に異なってもよい。
重み値算出器(1403)は、重み関数を用いて特定の焦点に対する重みを算出する。
長深度遅延プロファイル生成器
長深度遅延プロファイル生成器(103)は、複数の遅延プロファイルを生成し、音波が算出された焦点に集中するよう導く。長深度遅延プロファイルの一例は、複数の焦点に対する個々の遅延プロファイルからなる複合プロファイルであろう。この方法は図7に示される。この技術は、点フォーカスに比べてずっと柔軟性がある。長深度遅延プロファイル生成器は、焦点プロファイル生成器(200)、焦点生成器(201)、遅延プロファイル生成器(203)、および遅延プロファイルコンバイナ(204)からなる。
焦点プロファイル生成器(200)は、所望のフォーカス領域の位置(I)および長さ(L)に基づいて、所望のフォーカス領域の軸位(I)および長さ(L)を算出する。最初の焦点からトランスデューサまでの距離は、次の式によって得られる実験に基づく線形モデルを用いて算出される。
If = a1*Ld*Id + a2
ただし、aおよびaは定数である。
焦点プロファイルの長さは、以下の式によって得られる、実験に基づく線形モデルを用いて、所望の焦点プロファイルの長さに基づいて算出される。
Lf = b1* Ld + b2
ただし、bおよびbは、次の、実験に基づくモデルに基づいて最初の焦点の深度(I)を用いて決定される。
b1 = c1* If + c2
b2 = c3* If + c4
ただし、c、c、c、cは定数である。
焦点生成器(201)は、焦点プロファイルを入力として取得し、焦点の数および焦点の位置を含む焦点の構成を出力する。焦点の数は、一本の走査線を撮像するために励起される有効トランスデューサ素子の数に基づいて決定されてもよい。たとえば、焦点の数は素子数の半分になるように選択されてもよい。焦点の位置は、算出された焦点プロファイル内でなければならない。たとえば、焦点は走査方向に沿って均等に、最初の焦点の場所に位置してもよく、その長さは焦点プロファイル生成器(200)によって算出された焦点プロファイルの長さでもよい。予め定義された距離で分離された有限数の焦点からなる焦点プロファイルの一例が図2に示される。
または、焦点距離に基づいて焦点の数および間隔を変えることもできる。たとえば、焦点間の間隔は、トランスデューサの表面に近い点に対して増加させ、遠い点に対して減少させてもよい。同様に、トランスデューサに近い焦点に対して点の数を増加させてもよい。これは、焦点は軸方向に沿って移動するため、ビーム長が大幅に増加するという事実に基づく。
遅延プロファイル生成器(202)は、算出された焦点に対する遅延プロファイルを作成する。対応する遅延プロファイルは、トランスデューサ要素の励起タイミングとして定義される。遅延プロファイル算出の一例は、点フォーカスアルゴリズムであり、それは単一の焦点の形状に基づいて遅延プロファイルを生成する。多重反射を無視すると、一定音速と直線伝搬とを前提として、素子から焦点までの移動時間とトランスデューサの中心から焦点までの移動時間との差分によって、個々の素子の遅延が決定される。
遅延プロファイル算出の他の例は、楕円フォーカスである。詳しく述べると、楕円形の音響レンズは、二つの焦点の配列と素子グループの幅とによって構築される(図9参照)。これら二つの焦点も楕円の焦点であり、焦点プロファイル内の二つの隣接する点であるか、または二つの別々の焦点である。各素子に対する遅延プロファイルは、楕円の形状仕様に基づいて算出してもよい。たとえば、媒体内の音速(c)、素子Nからトランスデューサ中心までの距離(x)、素子グループの幅(w)、最初の焦点からトランスデューサ表面までの距離(F)、および第2焦点からトランスデューサ表面までの距離(F)が分かっていれば、素子Nに対する遅延値(d)は以下の通り算出できる。
ただし、


遅延プロファイルコンバイナ(203)は、遅延プロファイルを組み合わせ、全てのトランスデューサ素子に対する統合遅延を生成する。遅延プロファイル生成器の出力は、全ての個々の焦点に対応する素子の遅延プロファイルか、または焦点のペアである。これは、全ての素子が各焦点または各焦点ペアに用いられることを前提としている。結果として、各トランスデューサ素子は複数の遅延値に対応する。本発明において、所望のビームプロファイルがトランスデューサ素子の一発射インスタンス内に達成され、よって、個々の遅延プロファイルが組み合わされて統合遅延プロファイルを作成することが望ましい。統合遅延プロファイルにおいて、一つのトランスデューサ素子は一つの遅延値のみを有する。組み合わせの一例は、以下のステップを含む。
(1)各遅延プロファイルについて有効素子のグループを特定する。この特定は、焦点プロファイル算出時の素子のグループ分けに基づく。たとえば、トランスデューサに近い焦点に対しては最も中心にある素子が使われ、さらに深度の深い焦点に対しては最も外側にある素子が使われる。このグループ分けは重み付けウインドウとして説明できる。重み付けウインドウの数は、個々の遅延プロファイルの数に等しい。
(2)有効素子の遅延値を、そのような有効素子にしたがって付与された遅延プロファイルから抽出し、それらを統合遅延プロファイルとして使用する。この組み合わせは、遅延プロファイルをグルーピングウインドウで乗算し、全ウインドウにわたって累積したものとして説明できる。
ナロービーム遅延生成器
ナロービーム遅延生成器(102)は、焦点距離および素子の数に基づいて、ナロービームに対する遅延を算出する。ナロービーム遅延生成器の一例は、点フォーカスアルゴリズムを用いて遅延を算出する点フォーカス生成器である。多重反射を無視すると、一定音速と直線伝搬とを前提として、素子から焦点までの移動時間とトランスデューサの中心から焦点までの移動時間との差分によって、個々の素子の遅延が決定される。点フォーカスを利用して生成されたナロービームの一例が、図6に示される。
ナロービーム生成器の他の例はベッセルビーム生成器であり、それは通常環状アレイと共に用いられる。ベッセルビームは、通常第1種ベッセル関数によって定義される、非回折ビームである。ベッセルビームに用いられる圧力波は、数学的に以下のように表される。
P(x,t) = J0(αx) e(j(βZ - wt))
ただし、k2= α2 + β2
用いられた符号の意味は以下の通りである。
:ゼロ次のベッセル関数
k:波数
w:角速度
ハイブリッド遅延プロファイル生成器
ハイブリッド遅延プロファイル生成器(104)は、遅延プロファイルを組み合わせて重み付けされた遅延プロファイルを生成する。一例として、点フォーカスプロファイルと長深度遅延プロファイルから生成された遅延プロファイルが、重み関数生成器から取得された重み関数を用いて組み合わされる。重み関数の値は、ゼロから1の範囲で異なる。重み関数の値が1のとき、ハイブリッド遅延プロファイルは長深度フォーカスプロファイルを同一である。同様に、重み関数の値がゼロのとき、ハイブリッドプロファイルは点フォーカスプロファイルと同一である。
ハイブリッド遅延は、数学的に以下のように表される。
Dh = w(z) D1 + (1 - w(z))D2
w(z) = a z2+ bz + c, FMIN ≦ z ≦ FMAX
ただし、FMAXおよびFMINは、素子の数Nと所望のF値によって決定される。
重み関数の係数の値は、特定のフォーカス深度についての重み関数と軸方向距離とを関連づける、予め定められた校正曲線から得られる。
ハイブリッド遅延プロファイル生成器は、全ての個々の焦点、または焦点のペアに対してより高い重みを付与する。これは、全ての素子が各焦点または各焦点ペアに用いられることを前提としている。結果として、各トランスデューサ素子は複数の遅延値に対応する。本発明において、所望のビームプロファイルがトランスデューサ素子の一発射インスタンス内に達成され、よって、個々の遅延プロファイルが組み合わされて統合遅延プロファイルを作成することが望ましい。統合遅延プロファイルにおいて、一つのトランスデューサ素子はただ一つの遅延値のみを有する。重み付けされたハイブリッド遅延プロファイルの説明図が図8に示される。
送信波形生成器
送信波形生成器(105)は、トランスデューサ素子を励起する送信信号を生成する。これらの信号は単極性もしくは双極性であるか、またはパルス圧縮のため複合構造を有する。

Claims (33)

  1. 医用超音波システムに用いられる送信ビームプロファイルをユーザ入力に基づいて制御する方法であって、
    a.所望のビームプロファイルとフォーカス領域とを選択するステップと、
    b.ユーザ入力によるビーム幅に基づいて遅延パラメータを生成するステップと、
    c.ユーザ入力による「フォーカス深度」に基づいて遅延パラメータを生成するステップと、
    d.前記遅延パラメータに基づいて複数のビーム遅延プロファイルを生成するステップと、
    e.所望の焦点とフォーカス深度とに基づいて重み関数を算出するステップと、
    f.前記複数の遅延プロファイルからハイブリッド遅延プロファイルを構築するステップと、
    g.統合送信遅延プロファイルに基づいて、送信波形を生成し、かつ、トランスデューサ素子を励起するステップとを含む
    方法。
  2. 前記フォーカス領域は、マンマシンインタフェースによって手動で選択される
    請求項1記載の方法。
  3. 前記フォーカス領域は、診断領域と組織特性とに基づいて自動的に選択される
    請求項1記載の方法。
  4. 前記フォーカス領域は、医用画像の自動または半自動区分から選択される
    請求項1記載の方法。
  5. 前記フォーカス領域は、走査方向に沿って計測された前記領域の長さと、前記走査方向における前記領域の位置によって示される
    請求項1記載の方法。
  6. 前記フォーカス領域は、横方向に沿って計測された前記領域の幅と、前記走査方向における前記領域の位置によって示される
    請求項1記載の方法。
  7. ビーム遅延プロファイルは、伸長超音波ビームを生成するためのものである
    請求項1記載の方法。
  8. 前記伸長超音波ビームは、
    a.前記フォーカス領域を選択するステップと、
    b.前記所望のフォーカス領域の長さと位置とに基づいて、少なくとも一つの焦点を含む送信焦点プロファイルを算出するステップと、
    c.前記送信焦点プロファイルに基づいて、焦点ごとに送信遅延プロファイルを生成するステップと、
    d.統合送信遅延プロファイルを作成するために前記全焦点の送信遅延プロファイルを総計するステップとを含む
    請求項7記載の方法。
  9. 前記送信焦点プロファイルは、走査方向に沿って位置する焦点を含む
    請求項8記載の方法。
  10. 前記所望のフォーカス領域に基づいて前記送信焦点プロファイルを算出するステップは、さらに、
    a.最初の焦点の位置を算出するステップと、
    b.前記最初の焦点から最後の焦点までの長さを算出するステップとを含む
    請求項8記載の方法。
  11. 前記最初の焦点の位置は、(a)前記所望のフォーカス領域の近接端部からトランスデューサまでの距離と、(b)前記所望のフォーカス領域の走査方向の長さとの関数を用いて算出される
    請求項10記載の方法。
  12. 前記関数は、(a)前記最初の焦点の位置と、(b)前記所望のフォーカス領域の近接端部からトランスデューサまでの距離と、前記所望のフォーカス領域の走査方向の長さとの積との直線関係である
    請求項11記載の方法。
  13. 前記最初の焦点から最後の焦点までの長さは、前記所望のフォーカス領域の走査方向の長さの関数を用いて算出される
    請求項10記載の方法。
  14. 前記関数は、(a)前記最初の焦点から最後の焦点までの長さと、(b)前記所望のフォーカス領域の走査方向の長さとの間の直線関係であり、そのような直線関係はスロープ値およびオフセット値によって示される
    請求項13記載の方法。
  15. 前記直線関係の傾きは、予め定義された減少関数を用いて前記最初の焦点の位置から算出される
    請求項14記載の方法。
  16. 前記予め定義された減少関数は線形である
    請求項15記載の方法。
  17. 前記オフセット値は、予め定義された減少関数を用いて前記最初の焦点の位置から算出される
    請求項14記載の方法。
  18. 前記予め定義された減少関数は、線形である
    請求項17記載の方法。
  19. 前記送信遅延プロファイルは、点フォーカス法を用いて前記送信焦点プロファイルに基づいて算出される
    請求項8記載の方法。
  20. 前記送信遅延プロファイルは、楕円フォーカス法を用いて前記送信焦点プロファイルに基づいて算出され、さらに、
    a.前記送信焦点プロファイルを焦点のペアに分割するステップと、
    b.前記焦点ペアの各々とトランスデューサ要素の選択されたグループとに基づいて楕円を構築するステップと、
    c.前記算出された楕円に基づいて前記遅延プロファイルを展開させるステップとを含む
    請求項8記載の方法。
  21. ビーム遅延プロファイルは、ナロー超音波ビームを生成するためのものである
    請求項1記載の方法。
  22. 前記ナロービームは、点フォーカス法を用いて生成される
    請求項21記載の方法。
  23. 前記重み関数は、トランスデューサから軸方向に徐々に増加する関数である
    請求項1記載の方法。
  24. 前記関数は、多項式関数である
    請求項23記載の方法。
  25. 前記多項式関数は、一次関数または二次関数である
    請求項24記載の方法。
  26. 前記多項式関数の係数は、複数の焦点距離に対するフォーカス深度と対応重み値との間の予め定められた関係からなる校正グラフを用いて決定される
    請求項24記載の方法。
  27. 前記フォーカス深度と対応重み値との関係は、三つの焦点距離に対して予め定められる
    請求項26記載の方法。
  28. 前記多項式関数は、
    a.前記所望のフォーカス深度を選択するステップと、
    b.前記校正グラフを用いて、複数の焦点距離における前記フォーカス深度に対して、対応重み値を決定するステップと、
    c.前記対応重み値と前記選択されたフォーカス深度とを用いて多項式係数を算出するステップとを用いて算出される
    請求項26記載の方法。
  29. 前記所望のフォーカス深度が前記校正グラフになければ、前記重み値は、補間を用いて算出される請求項28記載の方法。
  30. 前記係数は、最小二乗平均法または二乗平均平方根誤差法を用いて、前記重み値と、前記フォーカス深度とから算出される
    請求項28記載の方法。
  31. 前記ハイブリッド遅延プロファイルは、
    a.前記所望の焦点距離を選択するステップと、
    b.前記焦点距離と前記重み関数とを用いて重みを算出するステップと、
    c.前記算出された重みを用いて、前記複数の遅延プロファイルを重み付けされた合計として組み合わせるステップとを用いて生成される
    請求項1記載の方法。
  32. 医用超音波システムに用いられる送信ビームプロファイルをユーザ入力に基づいて制御する装置であって、
    a.所望のビームプロファイルとフォーカス領域とを選択する手段と、
    b.ユーザ入力によるビーム幅に基づいて遅延パラメータを生成する手段と、
    c.ユーザ入力による「フォーカス深度」に基づいて遅延パラメータを生成する手段と、
    d.前記遅延パラメータに基づいて複数のビーム遅延プロファイルを生成する手段と、
    e.所望の焦点とフォーカス深度とに基づいて重み関数を算出する手段と、
    f.前記複数の遅延プロファイルからハイブリッド遅延プロファイルを構築する手段と、
    g.統合送信遅延プロファイルに基づいて、送信波形を生成し、かつ、トランスデューサ素子を励起する手段とを含む
    装置。
  33. 医用超音波システムに用いられる送信ビームプロファイルをユーザ入力に基づいて制御するソフトウェアプログラムであって、
    a.所望のビームプロファイルとフォーカス領域とを選択するステップと、
    b.ユーザ入力によるビーム幅に基づいて遅延パラメータを生成するステップと、
    c.ユーザ入力による「フォーカス深度」に基づいて遅延パラメータを生成するステップと、
    d.前記遅延パラメータに基づいて複数のビーム遅延プロファイルを生成するステップと、
    e.所望の焦点とフォーカス深度とに基づいて重み関数を算出するステップと、
    f.前記複数の遅延プロファイルからハイブリッド遅延プロファイルを構築するステップと、
    g.統合送信遅延プロファイルに基づいて、送信波形を生成し、かつ、トランスデューサ素子を励起するステップとを含む
    ソフトウェアプログラム。
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