JP2013223673A - 超音波送信ビーム形成制御に用いられる方法、装置、およびソフトウェアプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、点フォーカスやマルチゾーンフォーカスのような、複数の遅延プロファイルの重み付けされた組み合わせを用いてハイブリッド遅延プロファイルを生成する技術を教示する。ハイブリッド遅延は、所望のフォーカス領域の特徴とトランスデューサの送信パラメータの特徴との間の直接的な関係を展開させることによって、かつそのような関係を用いて具体的な画像適用例にしたがって任意の予め定義されたフォーカス領域に対し送信パラメータを決定することによって、所望のフォーカス領域内の音響エネルギーを最大化し、所望のフォーカス領域外の音響エネルギーを最小化する。
【選択図】図1
Description
超音波画像システムは、人体内の内臓を観察する医師の助けとなる。典型的な超音波画像システムは、以下のコンポーネントからなる。トランスデューサ(別名プローブ)、データ取得部、データ処理部、データ表示部、および、マンマシンユーザインタフェースである。
送信ビーム形成の目的は、音響エネルギーを、所望の観察領域にできる限り多く集中させ、かつできる限り均等に分布させることである。このタスクを達成するため、ビーム形成器が個々の素子に対して、送信遅延と、想定されるアポディゼーション[2]とを生成する。送信タイミングを調整することにより、個々の素子から放射された音波が、所望のフォーカス領域に同時に到達する。よって、フォーカス領域からのエコーのパワーは、他の領域よりも比較的強くなる。送信タイミングを適切に調整することは、遅延プロファイルとして表される。アポディゼーションという用語は、重み付け、テーパリング、およびシェーディングの同義語に定義される。アポディゼーションによって指向性を改善することにより、送信ビームの分散を中心から離れるにしたがって徐々に減少させることができる。つまり、通常、最内部の素子の励起により多くのパワーを使う。
従来の点フォーカスシステムにおいて、送信ビーム形成は、音響エネルギーを焦点近くの小さな領域に集中させる。典型的に、そのような領域のサイズは、数ミリメートル以内である。通常、この領域は診断領域よりもずっと小さい。その結果、焦点の画質は向上するが、焦点以外の領域の画質は比較的悪くなる。
以下の説明をよりよく理解する助けとするため、いくつかの重要な概念を以下に定義する。
前のセクションでは仮定上のモデルを提案した。このモデルを検証し、モデルパラメータを特定するためにシミュレーション研究を行う。パラメータ特定の精度を向上させるため、一連のシミュレーション検査を行う。各検査中に、ある特定の焦点プロファイルが、送信ビームプロファイルを算出するシミュレーションソフトウェアへの入力として選択される。シミュレーションのさらなる詳細は以下の通りである。F値に基づいてフォーカスレンジが選択される。まず始めに、ソフトウェアが、フォーカスレンジ内の焦点距離の離散値に対する重み関数を測定する。そしてこの情報を用いて特定の重み関数を生成する。前に述べたように、これは軸方向距離の一次または二次関数でもよい。重みが決定されると、ソフトウェアは遅延プロファイルD1およびD2を生成する。ただし、D2はそれ自体が「マルチゾーンフォーカス」の場合のような合成遅延プロファイルでもよい。そして重み関数を用いて遅延プロファイルが組み合わされ、ハイブリッド遅延プロファイルを生成する。続いて、ソフトウェアは軸平面のビームプロファイルを算出する。
フォーカス領域制御のモデルは、2つのサブモデルからなる。一つ目は伸長ビームプロファイルモデルであり、二つめはハイブリッド遅延プロファイルモデルである。伸長ビームプロファイルの出力とナロービームとがビーム遅延モジュールへの入力として用いられる。
伸長ビームプロファイルモデルの目的は、所望のフォーカス領域と焦点プロファイルとの間の関係をモデル化することである。
i. Ld:所望のフォーカス領域の長さ
ii. Id:所望のフォーカス領域の近接端部からトランスデューサまでの距離
i. Lf:最初の焦点から最後の焦点までの長さ
ii. If:最初の焦点からトランスデューサまでの距離
ステップ1:次式から得られる線型モデルを用いて、Ifの値をLdおよびIdから推定する。
If = a1*Ld*Id + a2
ただし、a1およびa2は定数である。
ステップ2:次式から得られる区分的線型モデルに基づいて、Lfの値をLdおよびIfから推定する。
Lf = b1* Ld + b2, if Ld < LTH
Lf = b’1* Ld + b’2, if Ld >= LTH
ただし、LTHは予め定義された長さの閾値である。超音波画像は大抵の場合、必要なフォーカス領域の深度がLTHよりも低いため、所望のフォーカス領域の深度がLTH未満である状況のみを考慮して、係数値を算出する公式を開発した。
b1 = c1* If + c2
b2 = c3* If + c4
ただし、c1、c2、c3、c4は定数である。
ハイブリッド遅延の実験に基づいたモデルが、フォーカスレンジの様々な重み付け係数に対して決定される。フォーカスレンジFMAXおよびFMINの限界は、素子の数Nと所望のF値によって決定される。これはビームプロファイルから様々な特徴を抽出することによって実行される。たとえば、所望のフォーカス領域の深度は、軸方向に沿う送信ビームの半値全幅(FWHM)として算出される。
L = c2w(z)2+ c1w(z) + L0
ただし、c1およびc2は定数であり、L0は従来のフォーカシングから得られた推定フォーカス深度である。
L0 = 3λ(Zf/D)2
Dh:ハイブリッド遅延プロファイル
D1:伸長遅延プロファイル
D2:従来の遅延プロファイル
W(z):重み関数
L:制御されたフォーカス領域の長さ
L0:従来のフォーカス領域の長さ
Zf:焦点距離
FMAX:トランスデューサから最も遠い焦点
FMIN:トランスデューサから最も近い点
ユーザ入力モジュールは、対象分析に基づいて所望のフォーカス領域を選択するユーザに対する規定を有する。ユーザ入力はユーザインタフェースによって得られてもよく、または、システムに予めプログラムされてもよい。音響エネルギーはフォーカス領域に集中させられるため、フォーカス領域の画質は周辺部よりも比較的高くなる。よって、フォーカス領域の選択により、音響エネルギーが確実に診断領域に集中するようにしなければならず、音響エネルギーの分布は特に軸方向に沿ってできる限り均等でなければならない。フォーカス領域の選択方法は、次の三つの手法を含んでもよい。手動選択、組織分析に基づくフォーカス領域の自動計算、または画像区分に基づくフォーカス領域の選択。
重み生成器の目的は、所望のフォーカス領域に基づいて重みを算出することである。重み生成器は、ユーザインタフェースから焦点および所望のフォーカス深度を入力として取得し、最適な重みを生成する。重み生成器の一例が、図14に示される。重み生成器は、校正曲線生成器(1401)、重み関数生成器(1402)、および重み値算出器(1403)を備える。
ただし、FMAXおよびFMINは、素子の数Nと所望のF値によって決定される。特定のフォーカス深度に対し、重み関数生成器(1402)は、三つの焦点(F1、F2、およびF3)に対応する少なくとも三つの重み値(w1、w2、およびw3)を得る。係数の値a、b、およびcは、w1、w2、およびw3に関する最小平均平方誤差を最小化することで得られる。または、重みおよび焦点が特定のフォーカス深度に対して予め決定されていなければ、対応する値を補間により見つけてもよい。
長深度遅延プロファイル生成器(103)は、複数の遅延プロファイルを生成し、音波が算出された焦点に集中するよう導く。長深度遅延プロファイルの一例は、複数の焦点に対する個々の遅延プロファイルからなる複合プロファイルであろう。この方法は図7に示される。この技術は、点フォーカスに比べてずっと柔軟性がある。長深度遅延プロファイル生成器は、焦点プロファイル生成器(200)、焦点生成器(201)、遅延プロファイル生成器(203)、および遅延プロファイルコンバイナ(204)からなる。
If = a1*Ld*Id + a2
ただし、a1およびa2は定数である。
Lf = b1* Ld + b2
ただし、b1およびb2は、次の、実験に基づくモデルに基づいて最初の焦点の深度(If)を用いて決定される。
b1 = c1* If + c2
b2 = c3* If + c4
ただし、c1、c2、c3、c4は定数である。
ナロービーム遅延生成器(102)は、焦点距離および素子の数に基づいて、ナロービームに対する遅延を算出する。ナロービーム遅延生成器の一例は、点フォーカスアルゴリズムを用いて遅延を算出する点フォーカス生成器である。多重反射を無視すると、一定音速と直線伝搬とを前提として、素子から焦点までの移動時間とトランスデューサの中心から焦点までの移動時間との差分によって、個々の素子の遅延が決定される。点フォーカスを利用して生成されたナロービームの一例が、図6に示される。
P(x,t) = J0(αx) e(j(βZ - wt))
ただし、k2= α2 + β2
J0:ゼロ次のベッセル関数
k:波数
w:角速度
ハイブリッド遅延プロファイル生成器(104)は、遅延プロファイルを組み合わせて重み付けされた遅延プロファイルを生成する。一例として、点フォーカスプロファイルと長深度遅延プロファイルから生成された遅延プロファイルが、重み関数生成器から取得された重み関数を用いて組み合わされる。重み関数の値は、ゼロから1の範囲で異なる。重み関数の値が1のとき、ハイブリッド遅延プロファイルは長深度フォーカスプロファイルを同一である。同様に、重み関数の値がゼロのとき、ハイブリッドプロファイルは点フォーカスプロファイルと同一である。
Dh = w(z) D1 + (1 - w(z))D2
w(z) = a z2+ bz + c, FMIN ≦ z ≦ FMAX
ただし、FMAXおよびFMINは、素子の数Nと所望のF値によって決定される。
送信波形生成器(105)は、トランスデューサ素子を励起する送信信号を生成する。これらの信号は単極性もしくは双極性であるか、またはパルス圧縮のため複合構造を有する。
Claims (33)
- 医用超音波システムに用いられる送信ビームプロファイルをユーザ入力に基づいて制御する方法であって、
a.所望のビームプロファイルとフォーカス領域とを選択するステップと、
b.ユーザ入力によるビーム幅に基づいて遅延パラメータを生成するステップと、
c.ユーザ入力による「フォーカス深度」に基づいて遅延パラメータを生成するステップと、
d.前記遅延パラメータに基づいて複数のビーム遅延プロファイルを生成するステップと、
e.所望の焦点とフォーカス深度とに基づいて重み関数を算出するステップと、
f.前記複数の遅延プロファイルからハイブリッド遅延プロファイルを構築するステップと、
g.統合送信遅延プロファイルに基づいて、送信波形を生成し、かつ、トランスデューサ素子を励起するステップとを含む
方法。 - 前記フォーカス領域は、マンマシンインタフェースによって手動で選択される
請求項1記載の方法。 - 前記フォーカス領域は、診断領域と組織特性とに基づいて自動的に選択される
請求項1記載の方法。 - 前記フォーカス領域は、医用画像の自動または半自動区分から選択される
請求項1記載の方法。 - 前記フォーカス領域は、走査方向に沿って計測された前記領域の長さと、前記走査方向における前記領域の位置によって示される
請求項1記載の方法。 - 前記フォーカス領域は、横方向に沿って計測された前記領域の幅と、前記走査方向における前記領域の位置によって示される
請求項1記載の方法。 - ビーム遅延プロファイルは、伸長超音波ビームを生成するためのものである
請求項1記載の方法。 - 前記伸長超音波ビームは、
a.前記フォーカス領域を選択するステップと、
b.前記所望のフォーカス領域の長さと位置とに基づいて、少なくとも一つの焦点を含む送信焦点プロファイルを算出するステップと、
c.前記送信焦点プロファイルに基づいて、焦点ごとに送信遅延プロファイルを生成するステップと、
d.統合送信遅延プロファイルを作成するために前記全焦点の送信遅延プロファイルを総計するステップとを含む
請求項7記載の方法。 - 前記送信焦点プロファイルは、走査方向に沿って位置する焦点を含む
請求項8記載の方法。 - 前記所望のフォーカス領域に基づいて前記送信焦点プロファイルを算出するステップは、さらに、
a.最初の焦点の位置を算出するステップと、
b.前記最初の焦点から最後の焦点までの長さを算出するステップとを含む
請求項8記載の方法。 - 前記最初の焦点の位置は、(a)前記所望のフォーカス領域の近接端部からトランスデューサまでの距離と、(b)前記所望のフォーカス領域の走査方向の長さとの関数を用いて算出される
請求項10記載の方法。 - 前記関数は、(a)前記最初の焦点の位置と、(b)前記所望のフォーカス領域の近接端部からトランスデューサまでの距離と、前記所望のフォーカス領域の走査方向の長さとの積との直線関係である
請求項11記載の方法。 - 前記最初の焦点から最後の焦点までの長さは、前記所望のフォーカス領域の走査方向の長さの関数を用いて算出される
請求項10記載の方法。 - 前記関数は、(a)前記最初の焦点から最後の焦点までの長さと、(b)前記所望のフォーカス領域の走査方向の長さとの間の直線関係であり、そのような直線関係はスロープ値およびオフセット値によって示される
請求項13記載の方法。 - 前記直線関係の傾きは、予め定義された減少関数を用いて前記最初の焦点の位置から算出される
請求項14記載の方法。 - 前記予め定義された減少関数は線形である
請求項15記載の方法。 - 前記オフセット値は、予め定義された減少関数を用いて前記最初の焦点の位置から算出される
請求項14記載の方法。 - 前記予め定義された減少関数は、線形である
請求項17記載の方法。 - 前記送信遅延プロファイルは、点フォーカス法を用いて前記送信焦点プロファイルに基づいて算出される
請求項8記載の方法。 - 前記送信遅延プロファイルは、楕円フォーカス法を用いて前記送信焦点プロファイルに基づいて算出され、さらに、
a.前記送信焦点プロファイルを焦点のペアに分割するステップと、
b.前記焦点ペアの各々とトランスデューサ要素の選択されたグループとに基づいて楕円を構築するステップと、
c.前記算出された楕円に基づいて前記遅延プロファイルを展開させるステップとを含む
請求項8記載の方法。 - ビーム遅延プロファイルは、ナロー超音波ビームを生成するためのものである
請求項1記載の方法。 - 前記ナロービームは、点フォーカス法を用いて生成される
請求項21記載の方法。 - 前記重み関数は、トランスデューサから軸方向に徐々に増加する関数である
請求項1記載の方法。 - 前記関数は、多項式関数である
請求項23記載の方法。 - 前記多項式関数は、一次関数または二次関数である
請求項24記載の方法。 - 前記多項式関数の係数は、複数の焦点距離に対するフォーカス深度と対応重み値との間の予め定められた関係からなる校正グラフを用いて決定される
請求項24記載の方法。 - 前記フォーカス深度と対応重み値との関係は、三つの焦点距離に対して予め定められる
請求項26記載の方法。 - 前記多項式関数は、
a.前記所望のフォーカス深度を選択するステップと、
b.前記校正グラフを用いて、複数の焦点距離における前記フォーカス深度に対して、対応重み値を決定するステップと、
c.前記対応重み値と前記選択されたフォーカス深度とを用いて多項式係数を算出するステップとを用いて算出される
請求項26記載の方法。 - 前記所望のフォーカス深度が前記校正グラフになければ、前記重み値は、補間を用いて算出される請求項28記載の方法。
- 前記係数は、最小二乗平均法または二乗平均平方根誤差法を用いて、前記重み値と、前記フォーカス深度とから算出される
請求項28記載の方法。 - 前記ハイブリッド遅延プロファイルは、
a.前記所望の焦点距離を選択するステップと、
b.前記焦点距離と前記重み関数とを用いて重みを算出するステップと、
c.前記算出された重みを用いて、前記複数の遅延プロファイルを重み付けされた合計として組み合わせるステップとを用いて生成される
請求項1記載の方法。 - 医用超音波システムに用いられる送信ビームプロファイルをユーザ入力に基づいて制御する装置であって、
a.所望のビームプロファイルとフォーカス領域とを選択する手段と、
b.ユーザ入力によるビーム幅に基づいて遅延パラメータを生成する手段と、
c.ユーザ入力による「フォーカス深度」に基づいて遅延パラメータを生成する手段と、
d.前記遅延パラメータに基づいて複数のビーム遅延プロファイルを生成する手段と、
e.所望の焦点とフォーカス深度とに基づいて重み関数を算出する手段と、
f.前記複数の遅延プロファイルからハイブリッド遅延プロファイルを構築する手段と、
g.統合送信遅延プロファイルに基づいて、送信波形を生成し、かつ、トランスデューサ素子を励起する手段とを含む
装置。 - 医用超音波システムに用いられる送信ビームプロファイルをユーザ入力に基づいて制御するソフトウェアプログラムであって、
a.所望のビームプロファイルとフォーカス領域とを選択するステップと、
b.ユーザ入力によるビーム幅に基づいて遅延パラメータを生成するステップと、
c.ユーザ入力による「フォーカス深度」に基づいて遅延パラメータを生成するステップと、
d.前記遅延パラメータに基づいて複数のビーム遅延プロファイルを生成するステップと、
e.所望の焦点とフォーカス深度とに基づいて重み関数を算出するステップと、
f.前記複数の遅延プロファイルからハイブリッド遅延プロファイルを構築するステップと、
g.統合送信遅延プロファイルに基づいて、送信波形を生成し、かつ、トランスデューサ素子を励起するステップとを含む
ソフトウェアプログラム。
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