JP2013217842A - 液中放射性物質処理方法 - Google Patents

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【課題】簡易、低廉かつ効率的に処理でき、放射性廃液の処理の際には廃液の大幅な減容化が可能な液中放射性物質の処理手段の提供。
【解決手段】放射性物質を含有する液体にラン藻類由来成分を添加する手順と、該混合液に金属塩を添加する手順とを少なくとも含む液中放射性物質処理方法を提供する。まず、放射性物質を含有する液体にラン藻類由来成分を添加し、攪拌・混合する。これにより、主にラン藻類由来成分中の多糖類ポリマーが液中放射性物質を吸着する。次に、この混合液に金属塩を添加し、攪拌・混合する。これにより、プラスイオンを有する金属塩と、マイナスイオンを有するラン藻類由来成分中の多糖類ポリマーが結合し、フロック化し、沈降する。この沈降物を回収することにより、液中放射性物質の濃縮・回収が可能であり、また、例えば、この沈降物を乾燥処理することにより、放射性廃液の大幅な減容化が可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射性物質を含有する液体の処理方法に関連する。より詳細には、放射性物質を含有する液体にラン藻類由来成分を添加する手順と、該混合液に金属塩を添加する手順とを含む液中放射性物質処理方法などに関連する。
放射性物質は、放射能を有する物質であり、原子核崩壊により放射線を放出する。
放射性物質のうち、ウランやプルトニウムは、核分裂反応により多大なエネルギーを発生するため、原子力発電などに利用されている。また、原子炉内などでは、核分裂の連鎖反応により、多種類の放射性物質が新たに生成される。
放射線は、高い透過能力・電離作用を有する、検出感度が高いなどの性質も備える。そのため、各種放射性物質が、目的・用途などに応じて、医療施設、各種研究施設、工業・農業分野などでも広く利用されている。
一方、放射線は、生物に多大な影響を及ぼすことが知られている。そのため、放射性物質の利用・取扱い・保管・運搬・廃棄などについては、各種法令で厳密に規定されている。
各目的・用途などに放射性物質を利用・再利用するために、原料・一次使用物などから放射性物質を濃縮・回収する必要がある場合がある。また、各放射線関連施設などで発生する放射性廃棄物は、基準値以上の放射性物質が管理区域外に漏れ出さないように、管理区域内で厳密に管理・処理・保管することが要求される。
液中に存在する放射性物質の濃縮・回収は、遠心分離法、ガス拡散法、水酸化鉄などを用いた共沈法などにより行われている。また、放射性廃液は、放射能が基準値以下に減衰するまで、貯留槽に保管したり、減容処理後固形化して保管容器内で保管したりしている。その他、活性炭・ゼオライトなどに吸着させて保管する場合もある。これらの保管物は、全て、放射能が基準値以下に減衰するまで、管理区域内で保管することが要求されている。
放射性物質を含有する液体の処理方法として、例えば、特許文献1には、放射性物質含有廃液にタンニン酸及び塩化第二鉄を添加する方法が記載されている。
スイゼンジノリ(学名「Aphanothece sacrum」)は、日本国九州地方に自生する淡水産ラン藻類の光合成微生物で、単細胞の個体が寒天質の基質の中で群体を形成する。
スイゼンジノリの細胞外マトリックスには、この種に特有な、分子量約1,600万の多糖類が含有することが知られている。この多糖類は、この糖で独自に見出された硫酸化ムラミン酸をはじめ、グルクロン酸、ガラクツロン酸、ガラクトサミンなど11種類以上の構成単糖を含む。また、硫酸基を含有する構成単糖を多く有する。
なお、特許文献2には、スイゼンジノリ由来の糖誘導体が、特許文献3には、スイゼンジノリから抽出される高分子を用いた金属回収方法が、それぞれ開示されている。
特開平11−94993号公報 国際公開WO2008−62574号パンフレット 特開2011−1596号公報
液中に存在する放射性物質の濃縮・回収する場合、上記の方法は、溶液の組成・放射性核種の種類などにより異なった処理方法を採用するため、処理全体では、多くの手順を必要とする場合があり、設備・添加原料のコスト、処理コストが高くなる場合もある。また、放射性廃液の処理の際には、保管物の容量が大きく、管理区域内に保管スペースを広く設ける必要がある。
そこで、本発明は、簡易で汎用性も高く、低廉かつ効率的に処理でき、放射性廃液の処理の際には廃液の大幅な減容化が可能な液中放射性物質の処理手段を提供することなどを目的とする。
本発明では、放射性物質を含有する液体にラン藻類由来成分を添加する手順と、該混合液に金属塩を添加する手順とを少なくとも含む液中放射性物質処理方法を提供する。
まず、放射性物質を含有する液体にラン藻類由来成分を添加し、攪拌・混合する。これにより、主にラン藻類由来成分中の多糖類ポリマーが液中放射性物質を吸着する。
次に、この混合液に金属塩を添加し、攪拌・混合する。これにより、プラスイオンを有する金属塩と、マイナスイオンを有するラン藻類由来成分中の多糖類ポリマーが結合し、凝集・フロック化する。
次に、例えば、この溶液を静置などし、ラン藻類由来成分のフロックを沈降させ、上澄み液と沈降物とを分離することにより、液中放射性物質を沈降物中に捕捉・回収できる。
例えば、この沈降物を回収することにより、液中放射性物質の回収・濃縮が可能であり、また、例えば、この沈降物を乾燥処理することにより、放射性廃液の大幅な減容化が可能である。
この液中放射性物質処理方法は、ラン藻類特有の合成物である多糖類ポリマーの高い吸着・凝集性能を応用したものであり、比較的簡易な手順で放射性物質を非選択的に回収できる方法である。従って、この方法は、放射性物質の回収・濃縮をはじめ、放射性物質を扱う各種処理にも適用可能であり、汎用性が高い。
また、例えば、放射性廃液の処理の際には、液体中から放射性物質を捕捉するとともに、固形化でき、かつ大幅に減容化できるため、放射性廃棄物を保管・廃棄する際などにおけるスペース確保や運搬作業などの負担を大幅に軽減できる。
その他、この液中放射性物質処理方法は、大規模設備などを用いずに実行できるため、設備コストを比較的低廉に抑えることができる。また、ラン藻類由来成分はラン藻類の水耕地・池・水槽での培養などによる大量生産が可能であり、金属塩も自然界に多く存在するため、添加原料のコストも比較的抑えることができる。ラン藻類由来成分及び金属塩は、共に自然界由来の材料であるため、例えば、放射性物質の処理を行い、かつ放射線量が基準値以下になった際に、これらの物質が環境中に放出されても、環境負荷が低いという有利性もある。
本発明により、簡易、低廉かつ比較的効率的に、液中に存在する放射性物質を回収できる。放射性廃液の処理の際には大幅な減容化が可能である。
以下、図1を用いて、本発明の手順の例を説明する。なお、本発明に係る液中放射性物質処理方法は、放射性物質を含有する液体にラン藻類由来成分を添加する手順と、該混合液に金属塩を添加する手順とを少なくとも含むものをすべて包含する。即ち、本発明は、前記手順が少なくとも含まれていればよく、例えば、一部の手順が省略されていること、他の手順を含むこと、一部の手順を行う順序が異なること、一部の又は全手順が繰り返し行われることなどによって、狭く限定されない。
図1は、本発明に係る液中放射性物質処理方法のフローの例を示す図である。
この処理方法では、まず、出発試料である放射性物質含有液(符号S1)にラン藻類由来成分を添加する(符号S2)。
放射性物質含有液は、放射性物質を含有する液体である。本発明は、液中に存在する放射性物質の回収などを行うための手段であり、例えば、各放射線関連施設で利用する放射性物質含有液の調製・濃縮、各放射線関連施設で利用された又はその際に発生した放射性物質の回収・捕捉、それらの放射性物質を含有する液体の濃縮・調製、放射性廃液中の放射性物質の回収・捕捉、放射性廃液の濃縮・固形化・減容化、環境中や汚染区域などに存在する液中放射性物質の回収・捕捉・除去、環境中や汚染区域などに存在する放射性物質含有液の濃縮・固形化・減容化などに広く適用できる。
液中に存在する放射性物質として、例えば、ウラン、プルトニウム、セシウム、ストロンチウム、バリウム、セリウム、ラジウム、イットリウム、亜鉛、マンガンなどが挙げられる。
放射性物質含有液中に、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどの金属イオンが比較的高濃度に含有している場合は、前処理として、金属イオン除去処理を行ってもよい。金属イオン除去処理には、公知の方法、例えば、試料をイオン交換樹脂カラムに通すなどの方法を採用できる。
添加するラン藻類由来成分は、その成分中にラン藻類由来の多糖類を有効成分として含有していればよく、その形態などは特に限定されない。ラン藻類由来成分として、例えば、ラン藻類から抽出された多糖類などの成分又はその多糖類などを調製したものを用いることができる。
ラン藻類としては、淡水産のものが好適であり、クロオコッカス科(学名「Chroococcaceae」)の微生物、例えば、Chroococcus limneticus(学名)、Chroococcus disperses(学名)、Merismopedia elegans(学名)、スイゼンジノリ(学名「Aphanothece sacrum」)、Aphanothece clathrata(学名)などがより好適であり、スイゼンジノリ(学名「Aphanothece sacrum」)又はその近縁種が最も好適である。例えば、これらのラン藻類を水耕地・池・水槽などで培養、栽培又は野養殖し、ラン藻類由来成分の原材料として用いてもよい。
ラン藻類から多糖類などの成分を抽出する方法としては、公知のものを採用でき、特に限定されない。例えば、ラン藻類を直接又は乾燥粉砕物を調製後、溶媒に一定時間浸漬し、水溶性・脂溶性色素などを除去する。溶媒には、例えば、エタノールなどの有機溶媒を用いることができる。次に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの水溶液に移し、一定時間加熱処理して加水分解する。以上の手順などにより、ラン藻類から多糖類などの有効成分を抽出できる。
ラン藻類からの抽出成分を金属イオン除去処理したものをラン藻類由来成分として用いてもよい。前処理として金属イオン処理を施すことにより、多糖類の放射性物質への吸着・捕捉性能を向上させることができる。金属イオン除去処理には、公知の方法、例えば、試料をイオン交換樹脂カラムに通すなどの方法を採用できる。
ラン藻類由来成分がラン藻類からの抽出成分を金属イオン除去処理したものであるかどうかの識別は、例えば、ラン藻類由来成分の溶液の電気伝導率又は電気抵抗率を測定することにより行うことができる。金属イオン除去処理後のラン藻類由来成分溶液の電気伝導率は、例えば、1L当たりラン藻類乾燥重量6mgの濃度に調整した場合において、10〜100mS/mが好適であり、10〜60mS/mがより好適であり、10〜40mS/mが最も好適である。また、金属イオン除去処理後のラン藻類由来成分溶液の電気抵抗率は、例えば、1L当たりラン藻類乾燥重量6mgの濃度に調整した場合において、15〜75Ω・mが好適であり、25〜75Ω・mがより好適であり、30〜75Ω・mが最も好適である。
ラン藻類から抽出した成分を中和し、その溶液をラン藻類由来成分の水溶液として用いてもよい。その他、例えば、脱水処理後、低温乾燥し、粉末化したもの、その粉末を固形化したもの、その粉末を溶液に溶解したものなどをラン藻由来成分として用いてもよい。
ラン藻類由来成分の添加量は、例えば、懸濁水1L当たり、0.05〜200mgが好適であり、0.1〜100mgがより好適であり、0.5〜50mgが最も好適である。
ラン藻類由来成分は、その抽出成分中に、好適には重量平均分子量200万〜4,000万の多糖類を、より好適には重量平均分子量800万〜3,000万の多糖類を、さらに好適には重量平均分子量1,000万〜2,000万の多糖類を、有効成分として含有する。なお、重量平均分子量の測定は、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィーにより、公知の方法で行うことができる。
本発明の有効成分として含有する多糖類は、好適には5〜30種類の、より好適には8〜30種類の、さらに好適には11〜30種類の構成単糖を含む。この多糖類は、少しずつ構造の異なる多様な糖鎖分子を分子構造中に包含し、また、多くの硫酸基、カルボン酸基、アミノ基などを含有し、両性電解質である。そのため、緩衝幅が比較的大きく、例えば、放射性含有液中に各種有機物・無機物などが混入し、pHなどが変化した場合でも、放射性物質への吸着・捕捉性能を、比較的安定に保持できる。
この多糖類の構成単糖として、例えば、中性糖であるグルコース、ガラクトース、マンノース、ラムノース、フコース、キシロース、アラビノースなど、酸性糖であるウロン酸類(グルクロン酸、ガラクツロン酸)、硫酸化ムラミン酸など、並びにアミノ糖であるガラクトサミンなどが挙げられる。
このうち、ウロン酸類は、カルボキシル基を有しており、プラスイオンを捕捉して錯体を形成する性質を有する。従って、放射性物質含有液とラン藻類由来成分との混合液にプラスイオンである金属塩を添加し、混合・攪拌した際、ウロン酸類によって金属塩の周囲に多糖類が集合し、ラン藻類由来成分のフロック化及び高度の凝集が進行すると推測する。
上記の点から、この多糖類は、構成単糖として少なくともウロン酸類を含有することが好ましい。多糖類における全構成単糖中のウロン酸類の割合は特に限定されないが、例えば、2〜20%が好適であり、4〜15%がより好適であり、5〜12%が最も好適である。
なお、構成単糖の定性・定量分析は、例えば、高速液体クロマトグラフィー、質量分析計による分析などにより、公知の方法で行うことができる。
この多糖類は、硫酸基を含有する構成単糖を、好適には1〜20%、より好適には3〜15%、さらに好適には5〜10%有する。硫酸基は、カルボキシル基と同様、プラスイオンを捕捉して錯体を形成する性質を有する。従って、多糖類中の硫酸基は、ウロン酸類と同様、金属塩を添加した際のフロック化・凝集に重要な機能を果たしていると推測する。
なお、硫酸基の定量分析は、例えば、質量分析計による分析などにより、公知の方法で行うことができる。また、多糖類中における硫黄含量は、例えば、ICP発光分光法などによる公知の方法で行うことができる。
放射性物質含有液にラン藻類由来成分を添加した後、この溶液を攪拌・混合する(符号S3)。条件・時間は特に限定されないが、例えば、室温条件下で、1分〜5時間、より好適には30分〜4時間、最も好適には1〜3時間、攪拌・混合を行う。
次に、この混合液に金属塩を添加し(符号S4)、攪拌・混合する(符号S5)。
添加する金属塩は、特に限定されないが、比較的簡易かつ低廉に入手できる点から、鉄塩、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄などの第二鉄塩を好適に用いることができる。これらの物質は、例えば、第二鉄塩を少なくとも含有する固形剤、若しくは水溶液などの形態で、上記混合液に添加してもよい。
金属塩の添加量は、例えば、鉄塩などの場合、懸濁水1L当たり、0.1〜1,000mgが好適であり、1〜100mgがより好適であり、40〜80mgが最も好適である。なお、放射性物質含有液とラン藻類由来成分との混合液中に既に金属塩が含有している場合には、その含有量に基づき、金属塩の添加量を減じたり、金属塩の添加を省略したりしてもよい。
金属塩添加後におけるその溶液の攪拌・混合の条件・時間は特に限定されないが、例えば、室温条件下で、1分〜1時間、より好適には15分〜45分、最も好適には20分〜40分、攪拌・混合を行う。
金属塩添加・攪拌・混合後、その溶液のpH調整(符号S6)を行ってもよい。例えば、ラン藻類由来成分のイオン除去処理を行った場合には、溶液のpHが低下する。それに対し、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などの公知のアルカリ性溶液を添加してpHを調製し(符号S6)、攪拌・混合して(符号S7)、その溶液のpHを5〜9に調整する。これにより、プラスイオンを有する金属塩と、マイナスイオンを有するラン藻類由来成分中の多糖類ポリマーとの結合反応が進行しやすくなり、凝集・フロック化を促進できる。
凝集・フロック化を確認した後、この溶液を静置する(符号S8)。静置時間は特に限定されないが、例えば、室温条件下で、1分〜1時間、より好適には15分〜45分、最も好適には20分〜40分、静置する。これにより、ラン藻類由来成分のフロックが沈降し、上澄み液と沈降物とが分離する(符号S9)とともに、液中放射性物質が沈降物中に捕捉・回収される。
例えば、放射性廃液の処理を行う際などには、分離・回収した沈降物については、乾燥処理を行ってもよい(符号S10)。乾燥処理を行うことにより、放射性廃液の固形化でき、かつ大幅に減容化できる。乾燥処理手段については、公知の方法を広く採用できる。固形化された沈降物は、例えば、密閉容器などに入れ、放射性廃棄物などとして、管理区域内などに保管するようにしてもよい。
以上の手順により、液中に存在する放射性物質を沈降物中に捕捉・回収できる。また、例えば、分離した際の上澄み液に、ラン藻類由来成分を添加し、液中放射性物質処理方法のフローを再度行ってもよい。この液中放射性物質処理方法のフローを2回以上繰り返すことにより、放射性物質の回収・除去効率を高めることができる。
実施例1では、ラン藻類由来成分及び酸化鉄溶液を用いて、セシウム吸着試験を行った。
ラン藻類由来成分の調製を以下の手順で行った。
野養殖したスイゼンジノリをエタノールに一定時間浸し、水溶性色素、脂溶性色素などを除去した。次に、水酸化ナトリウム水溶液に移し、加熱処理を行い、ラン藻類から多糖類を主とする成分を抽出した。この抽出液をイオン交換樹脂カラム(「アンバーライト」、オルガノ社製)に10分間以上通し、金属イオン除去処理した後、その溶液をラン藻類由来成分として用いた。金属イオン除去処理前及び処理後における電気伝導率及び電気抵抗率を電気伝導率計HORIBA ES-51(株式会社堀場製作所製)で測定した結果、1L当たりラン藻類乾燥重量6mgの濃度に調整した場合において、イオン除去処理前の溶液の電気伝導率110mS/m、電気抵抗率10Ω・m、イオン除去処理後の溶液の電気伝導率27mS/m、電気抵抗率38Ω・mであった。
セシウム水溶液1L(濃度1ppm)を調製し、その水溶液にラン藻類由来成分100mL(最終添加量0.6mg(乾燥重量))添加し、室温条件下で1〜3時間攪拌した。
その溶液に、酸化鉄水溶液40mL(酸化鉄の最終濃度64mg/L)を添加し、室温条件下で30分間攪拌した。30分間攪拌後、30分間静置して凝集沈降物を沈殿させるとともに、その上澄み液について、ICP質量分析を行った。ICP質量分析については、財団法人日本食品分析センターに依頼した。
また、その上澄み液について、前記と同様の手順で、再度、ラン藻類由来成分(最終添加量0.6mg(乾燥重量))添加して攪拌し、酸化鉄水溶液(酸化鉄の最終濃度64mg/L)を添加して攪拌し、30分間静置して凝集沈降物を沈殿させるとともに、再処理した上澄み液について、ICP質量分析を行った。
結果を表1に示す。
Figure 2013217842
表1は、ラン藻類由来成分及び酸化鉄溶液を用いてセシウムの捕捉・回収を行った場合における上澄み液中のセシウム濃度及びその測定値から算出された凝集沈降物中におけるセシウム吸着率を示す。なお、表1中、セシウム濃度は、ICP質量分析結果から、ラン藻類由来成分及び酸化鉄の添加量を考慮して算出した数値である。
表1に示す通り、本発明に係る処理フローにより、沈殿物中にセシウムを捕捉・回収することができた。また、処理回数を2回にすることにより、セシウムの回収・除去効率を高めることができた。
上記の2回の処理で発生した凝集沈降物を集積した結果、容積120mL以下に集約できた。この集約した凝集沈殿物を乾燥処理した結果、さらに、容積0.4mL以下にまで集約できた。
以上の通り、本実施例では、上記方法により、セシウムを凝集沈降物中に回収・捕捉するとともに、凝集沈降物を集約・乾燥処理してセシウム含有物を固形化することにより、処理水1Lを固形化物1mL以下にまで、即ち容積単位で1/2,500以下にまで減容化することに成功した。
なお、ストロンチウムについても、同様の方法により吸着試験を行った結果、ほぼ同等の結果が得られた。
本発明は、例えば、各放射線関連施設で利用する放射性物質含有液の調製・濃縮、各放射線関連施設で利用された又はその際に発生した放射性物質の回収・捕捉、それらの放射性物質を含有する液体の濃縮・調製、放射性廃液中の放射性物質の回収・捕捉、放射性廃液の濃縮・固形化・減容化、環境中や汚染区域などに存在する液中放射性物質の回収・捕捉・除去、環境中や汚染区域などに存在する放射性物質含有液の濃縮・固形化・減容化などに広く適用できる。
例えば、原子力施設、医療施設、各種研究施設などでは放射性廃液が多く生成される。原子力施設で生成された各種放射性廃液は、上記の通り、減容処理後固形化して保管容器内で保管される場合が多い。医療施設、各種研究施設などで生成される放射性廃液は、放射能が基準値以下に減衰するまで貯留槽などで保管した後、希釈しながら放流される場合が多い。その他、短期的な処理方法として、活性炭・ゼオライト・麦飯石などに着させて保管する場合もある。
しかし、現在行われている固形化・減容化では、保管物の容量が大きく、埋設処分施設などの保管スペースを広く設ける必要がある。また、放射性廃液を減衰させた後希釈して放流する方法では、放射性物質が放流され、また、その絶対量を低減できないので、水域環境への汚染が懸念される。その他、活性炭・ゼオライトなどは、乾燥固定質量が極めて大きいため、保管物の容量が大きくなり、二次処理において新たな問題が生じる。ゼオライト・麦飯石は、有限資源であり、資源枯渇の問題もある。
それに対し、本発明に係る方法は、大型設備の必要性及び長期間の保管の必要性がなく、効率的に放射性物質を回収・捕捉できる。また、乾燥処理により固形化できるとともに、容積単位で1/2,500以下まで減容化できる。さらに、用いる材料がいずれも自然由来のものであり、放流の際にも、水域環境への影響が極めて少なく、環境負荷も小さい。
本発明に係る液中放射性物質処理方法のフローの例を示す図。

Claims (6)

  1. 放射性物質を含有する液体にラン藻類由来成分を添加する手順と、該混合液に金属塩を添加する手順とを少なくとも含む液中放射性物質処理方法。
  2. 前記ラン藻類由来成分が、ラン藻類からの抽出成分を金属イオン除去処理したものである請求項1記載の液中放射性物質処理方法。
  3. 前記ラン藻類由来成分中に、重量平均分子量200万〜2,000万の多糖類を有効成分として含有する請求項1又は請求項2記載の液中放射性物質処理方法。
  4. 前記多糖類が5〜20類の構成単糖を含む請求項3記載の液中放射性物質処理方法。
  5. 前記多糖類が、構成単糖としてウロン酸類を含有する請求項4記載の液中放射性物質処理方法。
  6. 前記多糖類が、硫酸基を含有する構成単糖を1〜20%有する請求項3〜5のいずれか一項記載の液中放射性物質処理方法。
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