以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1に、軌跡解析装置の一実施形態を示す。図1に示した軌跡解析装置10は、端末装置UE1,UE2を含む複数の端末装置を所持する人物などの移動体について、慣性航法によって得られる軌跡Tr1,Tr2,…について後述する解析処理を行うことで、軌跡Tr1,Tr2,…の相対的位置を特定する。
図1に示した端末装置UE1,UE2を含む複数の端末装置は、例えば、スマートフォンなどの携帯端末であり、後述するようにして、各移動体の軌跡Tr1,Tr2,…の生成に必要な情報を軌跡解析装置10に渡す。なお、各移動体の軌跡Tr1,Tr2,…は、例えば、一人の人物が互いに異なる時間帯に移動した経路に対応していてもよい。
なお、以下の説明において、端末装置UE1,UE2を含む複数の端末装置を総称する際は、単に、端末装置UEと称する。また、複数の端末装置UEのそれぞれに対応する軌跡を総称する際は、単に、軌跡Trと称する。
軌跡解析装置10は、生成部11と、収集部12と、推定部13と、抽出部14と、特定部15とを含んでいる。また、図1に示した符号Rは、所定の場所に配置されている信号源である。
生成部11は、各端末装置UEから、当該端末装置UEを所持する移動体の移動開始時の位置からの変位および移動開始時の向きからの偏角を時系列的に示す移動情報を受け取り、受け取った移動情報に基づいて、各端末装置UEの軌跡Trを生成する。
収集部12は、上述した信号源Rから各端末装置UEに到来した信号の強度を時系列的に示す強度情報を、各端末装置UEから受け取り、端末装置UEそれぞれに対応して収集する。
推定部13は、各端末装置UEに対応して収集された強度情報の時間変化に基づいて、信号源Rに対応する所定の参照地点を各端末装置UEが通過した時刻を、端末装置UEそれぞれに対応する参照時刻として推定する。
ここで、建物内における移動体の軌跡を解析する場合に好適な信号源Rの配置例と、当該配置例において、信号源Rを基準とした位置で指定される参照地点の例について、図2および図3を参照して説明する。
図2は、信号源Rの配置例を示している。図2において、符号C1は、事務所のように複数の人物が滞在する比較的大きな部屋を示している。また、符号C2,C3,C4,C5は、打ち合わせコーナーなどの小部屋を示し、符号C6,C7は、例えば、トイレやエレベータなど特定の機能を持つ部屋を示している。図2に示した部屋C1〜C7は、いずれも廊下Hwに面しており、廊下Hwを通ることによって互いに行き来が可能になっている。
また、図2において、符号Tr1、Tr2は、図1に示した端末装置UE1、UE2の軌跡Tr1,Tr2を取得する際に、各端末装置UEを所持する人物が移動した経路の例である。なお、図2に示した移動経路Tr1,Tr2は、いずれも、部屋C1の外部から部屋C1の内部に進入する過程を含んでおり、外部から部屋C1に入るまでの経路や、出入り口ENを通過している点などが共通している。
図2の例では、例えば、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントなどの信号源Rが、部屋C1の内部に設置されている。このように、部屋C1の内部に設置された信号源Rからの信号は、部屋C1の壁によって遮られる。このため、部屋C1の内部に滞在する人物が所持している端末装置UEが受信する信号強度に比べて、部屋C1の外部にいる人物が所持している端末装置UEが受信する信号強度は微弱である。
図3は、移動中の端末装置UEが受信する信号の強度変化の例を示している。図3の横軸は、時間tを示しており、縦軸は、信号強度Pを示している。
また、図3に示した符号Pt1は、端末装置UEが図2に示した移動経路Tr1に沿って移動する過程で、端末装置UEが受信した信号の強度変化を表すグラフの例を示している。
移動経路Tr1に対応する信号の強度変化のグラフPt1は、移動開始から時刻Te1の前まで、受信信号が微弱な状態が継続した後、時刻Te1の前後で急激に受信強度が増大し、その後、受信強度が大きい状態が持続したことを示している。
上述したように、部屋C1の外部では、信号源Rからの信号は微弱であるから、グラフPt1の時刻Te1までの期間のように、受信信号の強度が微弱である期間は、端末装置UEが部屋C1の外部を移動している期間であることが推定できる。一方、部屋C1の内部では、信号源Rからの信号は比較的大きいことから、時刻Te1以降の期間のように、受信信号強度が大きい状態が持続している期間は、端末装置UEが部屋C1の内部を移動している期間であると推定することができる。
したがって、図3に示したグラフPt1のように、信号源Rからの受信信号の強度が増大した場合には、強度変化の立ち上がりの時刻Te1において、端末装置UEが出入り口ENを通過して部屋C1の内部に入ったことが推定できる。同様に、信号源Rからの受信信号の強度が減少した場合には、強度変化の立ち下がりの時刻において、端末装置UEが出入り口ENを通過して部屋C1の外部に出たことが推定できる。
つまり、図1に示した推定部13は、信号源Rから端末装置UEが受信する信号の強度変化に基づいて、端末装置UEを所持する人物が出入り口ENを通過した時刻を推定することができる。なお、部屋C1の出入り口ENは、信号源Rを基準として位置を指定可能な参照地点の一例である。
ここで、部屋C1の出入り口ENは、部屋C1に出入りする人物が必ず通過する地点であるため、建物内を移動する過程で部屋C1に立ち寄る人物の移動経路は、出入り口EN付近に集中して分布する。したがって、部屋C1の出入り口ENのように、移動経路が集束する地点を参照地点とすることは、建物内での人物などの移動体の軌跡を解析する目的を果たす上で有用である。
推定部13は、収集部12によって収集された強度情報に基づいて、例えば、信号源Rから端末装置UEが受信する信号の強度が所定の閾値Pthを跨いで変化した時刻を検出してもよい。そして、推定部13は、閾値Pthに基づいて検出した時刻を、端末装置UEが出入り口ENを通過した時刻の推定結果としてもよい。
推定部13が信号強度との比較に用いる閾値Pthの値は、例えば、部屋C1内部において端末装置UEが信号源Rから受信する信号強度の最低値Pmよりも、所定の値だけ小さい値に設定することが望ましい。また、部屋C1内部における信号強度の最低値Pmは、例えば、部屋C1内部において端末装置UEが信号源Rから受信する信号強度の時間変化に基づいて、予め決定しておくことができる。なお、部屋C1内部における信号強度は、時間的な揺らぎが大きい。このため、最低値Pmを決定する際には、所定のサンプル数にわたる移動平均を算出することにより、揺らぎの影響を軽減することが望ましい。
上述したようにして、推定部13は、例えば、図2に示した移動経路Tr1,Tr2に沿って端末装置UE1、UE2がそれぞれ移動する過程で、端末装置UE1、UE2が出入り口ENを通過した時刻を示す参照時刻をそれぞれ推定する。
このようにして推定された参照時刻に基づいて、図1に示した抽出部14は、各端末装置UEに対応して生成された軌跡Trから、当該端末装置UEに対応する参照時刻を含む所定の期間に端末装置UEが移動した範囲を参照範囲として抽出する。なお、参照時刻を含む所定の期間は、例えば、参照時刻の前後の数秒〜十数秒間に設定してもよい。
抽出部14は、例えば、参照時刻を含む所定の期間の開始時刻における端末装置UEの位置を示す軌跡Tr上の点から、上述した所定の期間の終了時刻における端末装置UEの位置を示す軌跡Tr上の点までの範囲を参照範囲として抽出する。
図4は、軌跡Tr1,Tr2から抽出された参照範囲の例を示している。図4において、座標軸X1,Y1は、端末装置UE1の移動開始時点での位置を基準とする座標系を示している。また、図4において、座標軸X2,Y2は、端末装置UE2の移動開始時点での位置を基準とする座標系を示している。
図4(A)は、端末装置UE1からの移動情報に基づいて生成された軌跡Tr1を示している。図4(A)において、符号EP1は、軌跡Tr1を取得する過程で収集された強度情報に基づいて、上述した推定部13が推定した参照時刻における端末装置UE1の軌跡Tr1上の位置を示している。ここで、上述した参照時刻は、図2に示した部屋C1の出入り口ENを端末装置UE1が通過した時刻を示している。また、符号Q1_Sは、軌跡Tr1について抽出部14が抽出した参照範囲の始点を示し、符号Q1_Eは、軌跡Tr1について抽出部14が抽出した参照範囲の終点を示している。
また、図4(B)は、端末装置UE2からの移動情報に基づいて生成された軌跡Tr2を示している。図4(B)において、符号EP2は、軌跡Tr2を取得する過程で収集された強度情報に基づいて、上述した推定部13が推定した参照時刻における端末装置UE2の軌跡Tr2上の位置を示している。ここで、上述した参照時刻は、図2に示した部屋C1の出入り口ENを端末装置UE2が通過した時刻を示している。また、符号Q2_Sは、軌跡Tr2について抽出部14が抽出した参照範囲の始点を示し、符号Q2_Eは、軌跡Tr2について抽出部14が抽出した参照範囲の終点を示している。
上述したように、図1に示した推定部13は、端末装置UE1,UE2について、それぞれが図2に示した部屋C1の出入り口ENを通過したことが推定される時刻を、参照時刻として特定している。したがって、図4(A),(B)にそれぞれ符号EP1,EP2で示した軌跡Tr1,Tr2上の位置は、いずれも、図2に示した出入り口ENの位置に対応している。つまり、軌跡Tr1と軌跡Tr2とは、上述した出入り口ENを含む少なくとも一部の区間において、互いに重ね合わせることができる。
ここで、2つの図形の少なくとも一部がどのように重ね合わせられるかは、図形の位相幾何学的な特徴を照合するトポロジーマッチングによって特定することができる。軌跡のような曲線についてトポロジーマッチングを行う手法としては、例えば、軌跡を複数の直線区間に分割し、個々の直線区間の長さの配列順を位相幾何学的な特徴として照合を行う方法が、本出願人によって先に提案されている(特願2010−290956)。しかし、特願2010−290956の技法を複数の軌跡間の相対的な位置の特定に利用しようとした場合に、重ね合わせの自由度が大きいために、照合対象となる配置の組み合わせが膨大な数になってしまう。これにより、トポロジーマッチング処理のための計算量が膨大になり、解析処理に時間がかかる点が課題であった。
図1に示した特定部15は、複数の軌跡の相対的な位置を特定する際に、トポロジーマッチングの対象となる範囲を、上述した抽出部14によって各端末装置UEの軌跡Trから抽出された参照範囲に制限することにより、上述した課題を解決する。
例えば、特定部15は、抽出部14によって軌跡Tr1、Tr2について抽出された参照範囲を図5に示すような複数の直線区間に分割し、これらの直線区間の長さを照合した結果に基づいて、軌跡Tr1、Tr2の相対的な位置を特定してもよい。
図5は、トポロジーマッチングを説明する図である。なお、図5に示した要素のうち、図4に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図5(A)は、軌跡Tr1と軌跡Tr2とを同一の座標系で示している。図5(A)において、符号Q1_1,Q1_2,Q1_3,Q1_4は、軌跡Tr1から抽出された参照範囲に含まれる軌跡Tr1の屈曲点を示している。同様に、符号Q2_1,Q2_2,Q2_3,Q2_4は、軌跡Tr2から抽出された参照範囲に含まれる軌跡Tr2の屈曲点を示している。
図1に示した特定部15は、図5(A)に軌跡Tr1,Tr2についてそれぞれ示した各屈曲点間の距離を位相幾何学的特徴として照合する。ここでは、この照合結果として、例えば、 屈曲点Q1_1,Q1_2の距離と屈曲点Q2_1,Q2_2の距離とがほぼ一致し、更に、屈曲点Q1_2,Q1_3の距離と屈曲点Q2_2,Q2_3の距離とがほぼ一致した場合について説明する。
この場合に、特定部15は、軌跡Tr1の屈曲点Q1_1〜屈曲点Q1_3までの区間と軌跡Tr2の屈曲点Q2_1〜屈曲点Q2_3までの区間とは、互いに重ね合わせられると判断する。
このとき、特定部15は、例えば、軌跡Tr2の屈曲点Q2_1,Q2_2,Q2_3の座標を、軌跡Tr1の屈曲点Q1_1,Q1_2,Q1_3に重ね合わせるような座標変換を行うことにより、2つの軌跡Tr1,Tr2を重ね合わせる。
図5(B)は、上述した座標変換によって重ね合わせられた2つの軌跡Tr1,Tr2を示している。
同様の手順を繰り返すことにより、2以上の移動経路に対応する複数の軌跡Trについて、相対的な位置を特定することも可能である。
このようにして、図1に示した特定部15は、各端末装置UEについて得られた軌跡Trの参照範囲について、上述したようなトポロジーマッチング処理を行うことにより、各軌跡間の相対的な位置を特定することができる。
図2に示したように、室内における移動経路に比べて、室外の廊下を通る移動経路は直線的な部分が多い。また、室内の通路の多くが格子状に設定されているために、室内における移動経路に含まれる直線部分の中に長さが近似している部分が多い。これに対して、廊下部分が格子状に設計されることは少ないので、廊下を通る移動経路に含まれる個々の直線部分の長さは互いに異なっている場合が多い。したがって、上述したような直線区間の距離に着目したトポロジーマッチングは、建物内における人物などの軌跡を解析する上で非常に有用である。
ここで、特定部15がトポロジーマッチングによる照合対象とする配置の組み合わせは、上述した推定部13による推定結果に基づいて抽出された参照範囲のみである。つまり、2つの軌跡の全体を照合対象とする場合に比べて、特定部15がトポロジーマッチングを行う範囲は既に絞り込まれている。したがって、図1に示した推定部13と抽出部14と特定部15とを有する軌跡解析装置10によれば、複数の軌跡Trの全体にわたってトポロジーマッチングを行う場合の課題を解決することができる。すなわち、本件開示の軌跡解析装置10によれば、少ない計算量で、複数の軌跡間の相対位置を特定することができる。なお、上述した直線区間の距離に着目したトポロジーマッチングを実施する上で、好適な抽出部14および特定部15の実施形態については後述する。
なお、本件開示の軌跡解析装置10に含まれる推定部13は、建物内の別々の場所に配置された複数の信号源Rから端末装置UEが受信した信号の強度変化に基づいて、それぞれの信号源Rに対応する参照時刻を推定することができる。また、このようにして、各信号源Rについて推定された参照時刻に基づいて、抽出部14は、個々の軌跡から、各信号源Rに対応する参照範囲を抽出することができる。
例えば、2つの軌跡の双方が、2以上の信号源Rに対応する参照地点を共通して通過している場合は、これらの参照値点に対応する参照範囲についてそれぞれトポロジーマッチング処理を行うことにより、より高い精度で相対的な位置を特定可能である。
また、図1に示した推定部13は、信号源Rから端末装置UEが受信した信号強度の時間変化の特徴に基づいて、信号源Rに対応する参照地点を端末装置UEが通過した時刻を推定すればよく、参照地点は、信号源Rが配置された室内への出入り口に限られない。例えば、図2に示した廊下Hwの分岐点CPの天井などに信号源R’が配置されている場合に、推定部13は、この信号源R’からの信号強度が極大となるタイミングを、廊下Hwの分岐点CPを通過した時刻として推定してもよい。
次に、近年普及が進んでいるスマートフォンなどの携帯端末を端末装置UEとして利用する場合に好適な実施形態について、図6から図8を参照して説明する。
図6は、軌跡解析装置10の別実施形態を示している。なお、図6に示した構成要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図6に示した端末装置UE1、UE2は、例えば、スマートフォンなどの携帯端末であり、加速度センサ1と、角速度センサ2と、移動情報算出部3と、通信処理部4と、信号強度計測部5とを含んでいる。図6の例では図示を省略しているが、端末装置UE2及び他の端末装置も、端末装置UE1と同様に、加速度センサ1と、角速度センサ2と、移動情報算出部3と、通信処理部4と、信号強度計測部5とを含んでいる。
図6に示した無線LANアクセスポイントAPは、信号源Rの一例である。また、図6に示した通信処理部4は、上述した無線LANアクセスポイントAPを含む無線LANアクセスポイントおよび第3世代携帯電話網の無線基地局(BS:Base Station)などを介してネットワークNWに接続する機能を有している。
図6に示した移動情報算出部3は、加速度センサ1及び角速度センサ2でそれぞれ得られる計測値に基づいて、端末装置UEの移動開始時の位置を基準とする位置を示す座標及び移動開始時の向きからの偏角を所定のサンプリング間隔で算出する。また、移動情報算出部3は、算出した座標及び偏角を含む移動情報を、算出に用いた計測値を取得した時刻とともに、通信処理部4を介して軌跡解析装置10に送出する。移動情報算出部3が移動情報を送出する間隔は、上述したサンプリング間隔と同じでもよいし、また、複数の算出結果をまとめて送出してもよい。
信号強度計測部5は、通信処理部4が、無線LANアクセスポイントAPを含む各信号源から受信する信号の強度を所定のサンプリング間隔で計測する。また、信号強度計測部5は、各信号源を識別するためのBSSID(Basic Service Set IDentifier)と、各信号源についての計測で得られた信号強度と、計測を実行した時刻とを、通信処理部4を介して軌跡解析装置10に送出する。信号強度計測部5が信号強度を計測するサンプリング間隔は、上述した移動情報算出部3が移動情報を算出するサンプリング間隔と同じでもよいし、短くてもよい。また、信号強度計測部5は、複数の計測結果について移動平均を行った結果を信号強度の計測結果として送出してもよい。また、信号強度計測部5が強度情報を送出する間隔は、信号強度の計測を行うサンプリング間隔と同じでもよいし、複数の計測結果をまとめて送出してもよい。
図6に示した軌跡解析装置10は、通信処理部16を介してネットワークNWに接続されている。また、図6に示した生成部11は、移動情報抽出部111と、軌跡データベース112と、軌跡算出部113とを含んでおり、また、収集部12は、強度情報抽出部121と、強度情報保持部122とを含んでいる。
移動情報抽出部111は、通信処理部16が各端末装置UEから受け取る情報の中から、各端末装置UEの移動情報算出部3によって送出された移動情報を抽出する。移動情報抽出部111は、抽出した移動情報を、各端末装置UEの軌跡に関連する情報の一部として、軌跡データベース112に格納する。
図7は、移動情報の例を示している。図7において、符号Mv1,Mv2は、それぞれ端末装置UE1,UE2から収集した移動情報の例を示している。なお、図7においては、図示を省略しているが、軌跡データベース112は、他の端末装置UEから収集した移動情報も同様にして保持している。
図7に示した移動情報Mv1は、端末装置UE1において、移動情報の算出に用いられた計測値の取得順を示すサンプル番号jに対応して、サンプル番号jの計測値に基づいて算出された位置を示すX座標X(j)およびY座標Y(j)と、偏角θ(j)とを含んでいる。なお、図7の例では、移動情報Mv1は、サンプル番号j、j+1、j+2に対応して、サンプリング間隔に相当する1秒ずつ異なる時刻を含んでいる。
図6に示した軌跡算出部113は、上述したような移動情報に基づいて、各サンプル番号に対応する座標で示される位置を滑らかな曲線で結ぶ軌跡を算出する。また、軌跡算出部113は、各端末装置UEについて算出した軌跡を表す情報を、軌跡データベース112に格納する。
なお、各端末装置UEに移動情報算出部3を設ける代わりに、軌跡解析装置10の生成部11に移動情報算出部3と同様の機能を有する処理部を設け、各端末装置UEから収集した加速度センサ1及び角速度センサ2の計測値から移動情報を算出させてもよい。
また、図6に示した強度情報抽出部121は、通信処理部16が各端末装置UEから受け取る情報の中から、各端末装置UEの信号強度計測部5によって送出された強度情報を抽出する。強度情報抽出部121は、抽出した強度情報を、端末装置UEごとに、強度情報保持部122に格納する。
図8は、強度情報の例を示している。図8において、符号Sd1,Sd2は、それぞれ端末装置UE1,UE2から収集した強度情報の例を示している。なお、図8においては、図示を省略しているが、強度情報保持部122は、他の端末装置UEから収集した強度情報も同様にして保持している。
図8に示した強度情報Sd1は、端末装置UE1に到来する信号の発信源を示すBSSIDごとに、信号強度の計測値の取得順を示すサンプル番号jに対応して、取得された信号強度の計測値を含んでいる。例えば、強度情報Sd1は、図6に示した無線LANアクセスポイントAPを示すBSSID1について、サンプル番号jに対応する信号強度を示す計測値D1(j)を含んでいる。同様に、端末装置UE1が、図6に示した無線LANアクセスポイントAP以外の信号源からの信号を受信している場合に、強度情報Sd1は、別の信号源を示すBSSIDについて、各サンプル番号jに対応する信号強度を示す計測値も含んでいる。なお、図8の例では、強度情報Sd1は、サンプル番号j、j+1、j+2に対応して、サンプリング間隔に相当する1秒ずつ異なる時刻を含んでいる。
図6に示した推定部13は、検出部131と、閾値テーブル132とを含んでいる。閾値テーブル132は、図6に示した無線LANアクセスポイントAPを含む信号源Rそれぞれに対応して、各信号源Rに対応する参照地点を判別するための閾値を保持している。閾値テーブル132は、例えば、各信号源Rを識別するBSSIDに対応して、図3に示した閾値Pthに対応する信号強度を示す数値を保持する。
複数の信号源Rについての信号強度の時間変化を示す情報が強度情報保持部122に保持されている場合に、検出部131は、個々のBSSIDに対応する信号強度を示す計測値を参照する際に、閾値テーブル132から当該BSSIDに対応する閾値Pthを取得する。検出部131は、取得した閾値Pthと、強度情報保持部122に各サンプル番号に対応して保持された計測値とを比較することにより、各BSSIDで示される信号源Rから端末装置UEが受信した信号の強度が、上述した閾値Pthを跨いで変化する時刻を探索する。また、検出部131は、上述した探索の過程で検出した時刻を参照時刻として含み、上述したBSSIDに対応付けた情報を作成し、作成した情報を、軌跡に関連する情報の一部として軌跡データベース112に追加してもよい。このような検出部131を含む推定部13は、各端末装置UEが各信号源Rに対応する参照地点を通過したことが推定される参照時刻についての推定結果を、軌跡データベース112を介して、抽出部14に渡すことができる。
図9は、参照時刻の推定結果の例を示している。なお、図9に示した要素のうち、図1及び図6に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図9の例は、端末装置UE1の軌跡Tr1が取得される過程において、BSSID1で示される信号源Rに対応する参照地点を、端末装置UE1が時刻Te1_1に通過したことが推定されることを示している。同様に、図9の例は、端末装置UE2の軌跡Tr2が取得される過程において、同じくBSSID1で示される信号源Rに対応する参照地点を端末装置UE2が通過したことが推定される参照時刻が時刻Te2_1であることを示している。
なお、図2に示したように、部屋C1に配置された信号源Rの他に、廊下Hwの分岐点CPに信号源R’が配置されている場合に、検出部131は、軌跡Tr1に対応する強度情報から、更に、信号源R’に対応する参照時刻を検出する。この場合に、検出部131は、信号源R’を示すBSSIDと参照時刻との組を示す情報を、図9の表に追加すればよい。軌跡Tr2に対応する強度情報から信号源R’に対応する参照時刻が検出された場合についても同様である。
このようにして、図6に示した推定部13は、複数の信号源Rから各端末装置UEが受信した信号の強度の時間変化について、個々の信号源Rに対応する参照地点を通過した時刻を示す参照時刻をそれぞれ推定することができる。
図6に示した抽出部14は、軌跡データベース112を参照することにより、各端末装置UEの軌跡を表す情報と、各端末装置UEについて推定部13で得られた参照時刻を示す情報と取得する。抽出部14は、取得した情報に基づいて、各軌跡について個々の信号源に対応する参照範囲を抽出する。また、抽出部14は、抽出した参照範囲を示す情報を、軌跡に関連する情報として、後述するようにして、軌跡データベース112に追加してもよい。
抽出部14によって得られた参照範囲を示す情報が、軌跡データベース112に追加されている場合に、特定部15は、軌跡データベース112を参照することにより、参照範囲を示す情報と軌跡を表す情報とを取得することができる。特定部15は、軌跡データベース112から取得した情報に基づいて、上述したトポロジーマッチング処理を行う。また、特定部15は、例えば、トポロジーマッチング処理結果を用いて座標変換を行った場合に、座標変換後の軌跡を表す情報を軌跡データベース112に追加することにより、各軌跡についての相対的な位置関係を特定した結果を出力してもよい。
上述したように、図6に示した軌跡解析装置10によれば、広く普及した携帯端末の機能と既存の無線LANアクセスポイントの機能を利用して移動情報及び強度情報を収集することができる。
また、図6に示した検出部131を有する推定部13によれば、信号源に対応する参照地点を端末装置UEが通過した時刻を、強度情報に含まれる信号強度の計測値と信号源に対応する閾値との比較に基づく簡易な処理で推定することが可能である。
次に、直線区間の長さに着目したトポロジーマッチング処理の実施に好適な抽出部14及び特定部15の実施形態について説明する。
図10は、軌跡解析装置10の別実施形態を示している。なお、図10に示した構成要素のうち、図6に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図10に示した抽出部14は、分割部141と、判別部142とを含んでいる。また、図10に示した特定部15は、算出部151と、判定部152と、座標変換部153と、読出部154とを含んでいる。分割部141と、判別部142と、読出部154と、座標変換部153とは、それぞれの処理に必要な情報を軌跡データベース112から取得し、また、それぞれの処理結果を軌跡データベース112に格納する。
分割部141は、軌跡データベース112に保持された各端末装置UEの軌跡Trを複数の直線区間に分割する。分割部141は、例えば、軌跡Trを表す情報及び対応する移動情報に基づいて、図11及び図12に示すようにして、軌跡Trが屈曲している点を検出し、検出した点を分割点として軌跡Trを分割する。
図11は、軌跡を分割して得られる直線区間の例を示している。図11において、符号P1_S、P1_Eは、軌跡Tr1の端点を示している。また、符号P1_1,P1_2,P1_3,P1_4,P1_5,P1_6,P1_6,P1_7は、軌跡Tr1から後述するようにして検出した分割点を示している。
図11(A)は、図10に示した分割部141が軌跡Tr1から検出した各分割点の軌跡Tr1上での配置を示している。また、図11(B)は、軌跡Tr1について得られた直線区間の例を示している。分割部141は、例えば、移動情報に含まれる偏角θ(t)の所定時間当りの変化量dθの時間変化に基づき、図12に示すような手法を用いて、これらの分割点を検出する。
図12は、分割点の検出を説明する図である。なお、図12に示した要素のうち、図11に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図12(A)は、移動情報に含まれる偏角θ(t)の所定時間当りの変化量dθの時間変化の例を示している。
図10に示した分割部141は、変化量算出部143と、分割点検出部144とを含んでいる。
変化量算出部143は、例えば、軌跡データベース112に含まれる移動情報の時刻tにおける偏角θ(t)と、所定時間τ後の時刻t+τにおける偏角θ(t+τ)と間の変化量dθを各サンプル番号に対応する偏角について求める。上述した所定時間τは、人物などの移動体が廊下の角を曲がる移動を行うために要する時間を考慮して、例えば、2秒程度に設定することが望ましい。このように設定された所定時間τを適用して、上述したような変化量dθを求めることにより、端末装置UEを所持している人物が、移動する方向を変えたときに大きな値となるような変化量dθを得ることができる。その一方、瞬間的な姿勢の変化は、変化量dθの値の変化として現れることはない。したがって、上述したような変化量dθの時間変化に着目することにより、移動中の人物の姿勢の揺らぎに左右されることなく、移動方向の変化を高い確度で検出することが可能である。
分割点検出部144は、このようにして求めた変化量dθの時間変化に基づいて、対応する軌跡Trにおいて、移動方向が所定の角度よりも大きく変化している箇所を分割点として検出する。
分割点検出部144は、まず、図12(A)に示すように、変化量dθの絶対値が45度を超えており、かつ、変化量dθが極大又は極小となった時刻tpを、軌跡Trが屈曲した点を示す時刻として検出する。
このようにして検出された時刻tpは、例えば、端末装置UEを所持する人物が角を曲がり始める時刻に相当し、この時刻tpの所定時間τ後の時刻tp+τは、例えば、上述した人物が角を曲がり終わった時刻に相当する。つまり、上述したようにして検出した時刻tpから時間τの軌跡は、軌跡Trを複数の直線区間で分割する際の分割点として最適な点を含んでいる。
図12(B)は、分割点検出部144が、上述した時刻tpに基づいて特定した軌跡の範囲から分割点を特定する手法の例を示している。図12(B)において、符号Q(tp)は、時刻tpに対応する軌跡Tr1上の点を示し、符号Q(tp+τ)は、時刻tp+τに対応する軌跡Tr1上の点を示している。
分割点検出部144は、例えば、図12(B)に示した点Q(tp)と点Q(tp+τ)とを結ぶ直線と、これらの点Q(tp)から点Q(tp+τ)までの軌跡Tr1上の各点との距離をそれぞれ算出し、距離が最大の点を分割点P1_2として特定する。このとき、分割点検出部144は、軌跡Tr1を表す情報に基づいて、分割点P1_2の位置を示す座標とともに、この分割点P1_2を通過する時刻T1_2を特定してもよい。
同様にして、分割点検出部144は、図11(A)に示した各分割点について、それぞれの座標および通過時刻を特定することができる。このようにして、分割点検出部144が各分割点を特定していくことにより、上述した軌跡Tr1の端点P1_Sと、各分割点と、軌跡Tr1の別の端点P1_Eとに基づいて、複数の直線区間を生成することができる。
図11(B)は、このようにして軌跡Tr1について得られた直線区間の例を示している。なお、図11(B)において、符号S1_1,S1_2,S1_3,S1_4,S1_5,S1_6,S1_7,S1_8は、それぞれ直線区間を示している。
上述した変化量算出部143及び分割点検出部144を有する分割部141は、同様にして、各軌跡Trを複数の直線区間に分割する。各軌跡Trを複数の直線区間に分割する過程で、分割点検出部144は、各軌跡Trについて得られた各分割点を示す情報を、軌跡データベース112に保持させてもよい。
図13は、分割点を示す情報の例を示している。なお、図13に示した要素のうち、図11に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図13の例は、各軌跡Trを識別する軌跡IDに対応して、複数の分割点を示す情報を、軌跡Trにおける配列順に従って配列した例である。例えば、図13に示した分割点1は、図11に示した分割点P1_1を示す分割点IDと、通過時刻T1_1と、分割点P1_1の座標(X1_1,Y1_1)を含んでいる。同様に、分割点2は、図11に示した分割点P2_1を示す分割点IDと、通過時刻と、分割点P2_1の座標を含んでいる。同様にして、図11に示した各分割点を識別する分割点IDと、当該分割点を通過する時刻を示す通過時刻と、当該分割点の座標とを含む情報が、各分割点を示す情報として、軌跡データベース112に保持される。
図10に示した判別部142は、軌跡データベース112に保持された情報に基づいて、各軌跡Trから得られた複数の直線区間から、端末装置UEの参照時刻における当該軌跡Tr上の位置を含む直線区間を判別する。
例えば、判別部142は、軌跡データベース112を参照することで、各軌跡Trに対応する参照時刻を取得する。また、判別部142は、軌跡データベース112に保持された分割点を示す情報を参照し、各軌跡Trから検出された各分割点の通過時刻と、対応する参照時刻とを比較することにより、参照時刻における端末装置UEの位置を含む直線区間を探索する。探索の過程で、判別部142は、複数の直線区間の中から、一方の分割点に対応する通過時刻が参照時刻よりも早く、他方の分割点に対応する通過時刻が参照時刻よりも遅い直線区間を検出すればよい。そして、判別部142は、検出した直線区間を、端末装置UEの参照時刻における軌跡Tr上の位置を含む参照区間として判別すればよい。
特定部15でのトポロジーマッチング処理の対象とする参照範囲は、このようにして判別された参照区間に基づいて特定することができる。例えば、判別部142は、上述したようにして判別した参照区間を含む所定数nの直線区間を参照範囲として特定することにより、参照範囲の抽出を行ってもよい。なお、参照範囲として抽出する直線区間の数を示す所定数nは、3以上の自然数であることが望ましい。例えば、所定数n=5とし、判別部142で判別した参照区間と当該参照区間の前側の2つの直線区間及び後側の2つの直線区間を含む5つの直線区間を参照範囲として抽出する例が好適である。このように参照範囲を特定した場合には、トポロジーマッチングの対象となる組み合わせの自由度を維持しつつ、組み合わせの総数を適度に制限することができる。
また、抽出部14は、更に、図10に示した距離算出部145を含んでもよい。距離算出部145は、分割点検出部144で得られた各分割点間の距離を算出することにより、軌跡Trを分割して得られる各直線区間の長さを求める。また、距離算出部145は、各軌跡Trに対応する複数の直線区間について求めた長さを示す情報を要素として含む配列データを、軌跡データベース112に保持させてもよい。
また、判別部142は、判別結果に基づいて、上述した配列データに含まれる各直線区間の長さを示す要素に、対応する直線区間が参照範囲に含まれるか否かを示すフラグを設定することで、各軌跡Trから抽出した参照範囲を示してもよい。
このような判別部142及び距離算出部145を含む抽出部14によれば、各軌跡Trに対応する参照範囲に含まれる直線区間それぞれの長さを示す情報を、抽出部14による抽出結果として、特定部15のトポロジーマッチング処理に供することができる。
ここで、本出願人が、本件開示の軌跡解析装置10の性能を評価するための実験に用いた軌跡について説明する。本出願人は、端末装置UEを所持した人物が次に説明する移動経路に沿って移動する際に、それぞれの移動経路に対応する軌跡を取得し、これらの軌跡の相対的な位置関係を特定する実験を行った。
図14及び図15は、実験に用いた移動経路の例を示している。なお、図14及び図15に示した要素のうち、図2に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図14において、符号Tr3,Tr4は、それぞれ上述した移動経路Tr1,Tr2とは別の移動経路の例を示している。図14に示した移動経路Tr3は、部屋C1の外部から出入り口ENを通って部屋C1に入る移動経路の別例である。一方、移動経路Tr4は、部屋C1の内部から、出入り口ENを通って部屋C1の外部に出る移動経路の一例である。
図15において、符号Tr5,Tr6,Tr7は、更に別の移動経路の例を示している。図15に示した移動経路Tr5,Tr6,Tr7は、いずれも、移動開始から移動終了まで、部屋C1の内部を移動する移動経路の例である。
以下の説明では、図14及び図15に示した各移動経路Tr1〜Tr7に対応して得られた軌跡を、それぞれ軌跡Tr1〜Tr7と称する。これらの軌跡Tr1〜Tr7について、図11及び図12を用いて説明した手法を用いることにより、軌跡Tr1〜Tr7を複数の直線区間に分割するための分割点を検出することができる。
図16、図17及び図18は、上述した分割部141によって、各移動経路Tr1〜Tr7に対応して検出した分割点の例を示している。
図16(A)は、軌跡Tr1から検出した分割点を示している。なお、図16(A)に示した要素のうち、図11に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図16(A)において、符号EP1は、上述した推定部13が軌跡Tr1について推定した参照時刻に対応する軌跡Tr1上の点を示している。
また、図16(B)は、軌跡Tr2から検出した分割点を示している。図16(B)において、符号P2_1,P2_2,P2_3,P2_4,P2_5,P2_6,P2_7は、上述した分割部141によって検出された分割点を示している。また、符号EP2は、上述した推定部13が軌跡Tr2について推定した参照時刻に対応する軌跡Tr2上の点を示している。
図17(A)は、軌跡Tr3から検出した分割点を示している。図17(A)において、符号P3_1,P3_2,P3_3,P3_4,P3_5,P3_6,P3_7,P3_8,P3_9,P3_10は、上述した分割部141によって検出された分割点を示している。また、符号EP3は、上述した推定部13が軌跡Tr3について推定した参照時刻に対応する軌跡Tr3上の点を示している。
また、図17(B)は、軌跡Tr4から検出した分割点を示している。図17(B)において、符号P4_1,P4_2,P4_3,P4_4,P4_5,P4_6,P4_7,P4_8は、上述した分割部141によって検出された分割点を示している。また、符号EP4は、上述した推定部13が軌跡Tr4について推定した参照時刻に対応する軌跡Tr4上の点を示している。
図18(A)は、軌跡Tr5から検出した分割点を示している。図18(A)において、符号P5_1,P5_2,P5_3,P5_4,P5_5,P5_6,P5_7,P5_8は、上述した分割部141によって検出された分割点を示している。
また、図18(B)は、軌跡Tr6から検出した分割点を示している。図18(B)において、符号P6_1,P6_2,P6_3,P6_4,P6_5,P6_6,P6_7,P6_8,P6_9,P6_10,P6_11,P6_12は、上述した分割部141によって検出された分割点を示している。
そして、図18(C)は、軌跡Tr7から検出した分割点を示している。図18(C)において、符号P7_1,P7_2,P7_3,P7_4,P7_5は、上述した分割部141によって検出された分割点を示している。
このようにして検出された分割点で、各軌跡Tr1〜Tr7をそれぞれ分割して得られる複数の直線区間について、それぞれの長さを計算した例を図19に示す。
図19は、軌跡を分割して得られる各直線区間の長さを示す配列データの例を示している。図19において、符号Tr1〜Tr7は、それぞれ移動経路Tr1〜Tr7を示している。図19の例では、各軌跡Tr1〜Tr7を分割して得られた複数の直線区間の長さを、軌跡の始点に近い順に並べて示している。
また、図19において、軌跡Tr1〜Tr4に対応する複数の直線区間の中で、図14に示した出入り口ENに対応して抽出された参照範囲を点線で囲んで示した。なお、図19の例は、上述した抽出部14において、参照範囲に含まれる直線区間の数nを5個とした場合を示している。
図19の例において、軌跡Tr1に対応して示した参照範囲は、軌跡Tr1を分割して得られた8個の直線区間のうち、第1〜第5の直線区間である。これらの直線区間は、軌跡Tr1の始点と、図16(A)に示した分割点P1_1,P1_2,P1_3,P1_4,P1_5とで示される直線区間に相当する。
同様に、図19の例において、軌跡Tr2に対応して示した参照範囲は、軌跡Tr2を分割して得られた8個の直線区間のうち、第1〜第5の直線区間である。これらの直線区間は、軌跡Tr2の始点と、図16(B)に示した分割点P2_1,P2_2,P2_3,P2_4,P2_5とで示される直線区間に相当する。
また、図19の例において、軌跡Tr3に対応して示した参照範囲は、軌跡Tr3を分割して得られた9個の直線区間のうち、第2〜第6の直線区間である。これらの直線区間は、図17(A)に示した分割点P3_2,P3_3,P3_4,P3_5,P3_6,P3_7で示される直線区間に相当する。
そして、図19の例において、軌跡Tr4に対応して示した参照範囲は、軌跡Tr4を分割して得られた9個の直線区間のうち、第5〜第9の直線区間である。これらの直線区間は、図17(B)に示した分割点P4_3,P4_4,P4_5,P4_6,P4_7,P4_8で示される直線区間に相当する。
一方、図15に示したように、移動経路Tr5〜Tr7は、部屋C1の出入り口を通過していない。このため、上述した推定部13は、これらの軌跡Tr5〜Tr7に対応する参照時刻を推定することができないので、図19においては、軌跡Tr5〜Tr7に対応する参照範囲を示していない。
次に、図19において軌跡Tr1〜Tr4対応して示した参照範囲に含まれる各直線区間の長さに基づいて、特定部15がトポロジーマッチングにより、軌跡Tr1〜Tr4について相対的な位置を特定する処理について説明する。
図10に示した読出部154は、軌跡データベース112に照合対象の2つの軌跡Trに対応してそれぞれ保持された配列データから、上述したフラグに基づいて、参照範囲に含まれる各直線区間の長さを読み出す。また、読出部154は、読み出した情報を算出部151に渡す。
読出部154は、例えば、照合対象の軌跡の一方に対応する配列データから、参照範囲に含まれている各直線区間の長さを示すn個の要素を、配列A(n){a(1),a(2),…,a(n)}として読み出す。また、読出部154は、照合対象の軌跡の他方に対応する配列データから、参照範囲に含まれている各直線区間の長さを示すn個の要素を、配列B(n){b(1),b(2),…,b(n)}として読み出す。例えば、参照範囲に含まれる直線区間の数nが5個である場合に、読出部154は、2つの軌跡Trに対応して、それぞれ5個の要素を含む配列A(5),B(5)を読み出し、読み出した2つの配列を算出部151に渡す。
算出部151は、読出部154から受け取った2つの配列A(5),B(5)の中の、数値1〜数値3の範囲を持つ変数j、kで示される要素を用いて、下に示す式(1)及び式(2)で表される評価値ef、erを算出する。
なお、式(1)に示した評価値efは、配列A(5)から選択した要素a(j),a(j+1),a(j+2)と、配列B(5)から選択した要素b(k),b(k+1),b(k+2)をそれぞれの配列における順序に従って比べた場合について、長さの違いを示している。一方、式(2)に示した評価値erは、配列A(5)から選択した各要素が示す長さに対して、配列B(5)から選択した3つの要素が示す長さを逆順に比較した場合について、長さの違いを示している。つまり、算出部151が式(2)を用いて算出する評価値erは、照合対象の2つの軌跡において長さが一致する直線区間の配列が互いに逆転している場合を考慮した評価値である。
上述したように、算出部151は、上述した2つの配列A(5),B(5)から様々な組み合わせで選択された要素について評価値efおよび評価値erを算出する。このようにして、それぞれの組み合わせについて得られた評価値efおよび評価値erは、参照範囲から選択された要素で示される各直線区間の長さの配列順序を位相幾何学的特徴として捉えたトポロジーマッチングの評価値である。なお、それぞれの組み合わせについて得られた評価値efおよび評価値erは、参照範囲から選択された要素で示される各直線区間の長さの違いが小さいほど小さい値となり、逆に、各直線区間の長さの違いが大きいほど大きい値となる。つまり、算出部151によって得られる評価値efおよび評価値erは、参照範囲から選択された要素で示される照合範囲について、位相幾何学的特徴の違いの大きさを評価した結果を示している。
図10に示した判定部152は、算出部151によって得られた評価値が所定の閾値以下である場合に、照合対象の2つの軌跡は、それぞれについて抽出された参照範囲の少なくとも一部において互いに重なり合うと判定する。
判定部152は、例えば、照合対象の2つの軌跡について、算出部151が照合範囲を変えながら算出した複数の評価値の中から最小値を検出する。そして、判定部152は、検出した最小値が上述した所定の閾値以下である場合に、この最小の評価値が得られた際に照合されていた直線区間の配列が、互いに重なり合うと判定する。なお、上述した閾値の値は、例えば、互いに重なり合う部分を持つ移動経路に沿って端末装置UEを移動させることで軌跡を取得し、これらの軌跡について、上述した評価値を算出する実験結果に基づいて決定してもよい。
図20は、評価値の算出例を示している。なお、図20に示した構成要素のうち、図16又は図17に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図20の例は、図16及び図17に示した4つの軌跡Tr1〜Tr4から2つの軌跡を選択する場合分けそれぞれに対応して、上述したトポロジーマッチングを行う過程で得られた評価値を示している。図20において、各場合分けに対応して示した評価値は、照合対象の軌跡に対応する参照範囲について、上述した算出部151が、注目する直線区間の組み合わせを変えながら算出した複数の評価値efおよび評価値erの中の最小値を示している。
図20に示したように、各場合分けに対応して得られた評価値は、0.213174から0.464080までの範囲に分布している。一方、例えば、軌跡Tr1の参照範囲に含まれる第2〜第4の直線区間の長さと軌跡Tr2の参照範囲に含まれる第3〜第5の直線区間の長さを、上述した式(1)に代入した計算結果として、本出願人は、評価値ef=1.463385を得ている。ここで、図19を参照すれば、軌跡Tr1の第2〜第4の直線区間の長さの配列順序と、軌跡Tr2の第3〜第5の直線区間の長さの配列順序との間に共通性が少ないことが分かる。
このような実験結果に基づいて、図10に示した判定部152において、評価値と比較する閾値の値を0.6程度に設定してもよい。判定部152に、このように設定された閾値を用いた判定を行わせれば、図20に示した全ての軌跡の組み合わせについて、それぞれ一部が重なり合うと判定させることができる。その一方、照合対象の2つの軌跡に直線区間の長さの配列順序に共通性がない場合に、判定部152は、これらの軌跡は互いに重なり合う部分がないと判断することができる。
判定部152は、照合対象の2つの軌跡が互いに重なり合う部分を持つ旨の判定結果とともに、最小の評価値が得られた照合範囲を示す情報を、2つの軌跡が互いに重なり合う範囲を示す情報として座標変換部153に渡してもよい。なお、以下の説明では、2つの軌跡が互いに重なり合う範囲を、重複範囲と称する。
図10に示した座標変換部153は、判定部152から受け取った情報に基づいて、軌跡データベース112から、上述した重複範囲に含まれる各直線区間に対応する分割点の座標を、照合対象の2つの軌跡Trそれぞれについて取得する。
次いで、座標変換部153は、各軌跡Trに対応して取得した各分割点の重複範囲における配列順序に基づいて、互いに重ね合わせられる分割点を判断し、これらの分割点間の距離が最小となるように座標変換を行う。
図21は、座標変換を説明する図である。なお、図21に示した要素のうち、図16に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図21(A)は、座標変換前の軌跡Tr1と軌跡Tr2との相対的な位置を示している。図21(A)において、軌跡Tr1に対応する分割点P1_1,P1_2,P1_3,P1_4と、軌跡Tr2に対応する分割点P2_1,P2_2,P2_3,P2_4とは、重複範囲において配列順序が一致する分割点である。
この場合に、座標変換部153は、分割点P1_1,P2_1間の距離と、分割点P1_2,P2_2間の距離と、分割点P1_3,P2_3間の距離と、分割点P1_4,P2_4間の距離の総和を最小にするような座標変換を行えばよい。
図21(B)は、上述した各距離を最小化するように算出した座標変換行列を用いて、軌跡Tr2に対応する分割点P2_1,P2_2,P2_3,P2_4の座標を変換した結果を示している。
座標変換部153は、照合対象の2つの軌跡ごとに上述した処理を行うことにより、重複範囲に含まれる各直線区間に対応する分割点の座標に基づいて、2つの軌跡を重複範囲において重ね合わせる座標変換行列を求めることができる。
座標変換部153は、このようにして求めた座標変換行列を用いて、照合対象の2つの軌跡の一方を座標変換することにより、これらの軌跡の相対的な位置を特定することができる。
図22〜図24は、上述した軌跡Tr1〜Tr4について、相対的な位置を特定した例を示している。
図22(A)は、軌跡Tr1に軌跡Tr2を重ね合わせるように座標変換を行った例を示している。また、図22(B)は、軌跡Tr1に軌跡Tr3を重ね合わせるように座標変換を行った例を示している。
また、図23(A)は、軌跡Tr1に軌跡Tr4を重ね合わせるように座標変換を行った例を示している。また、図23(B)は、軌跡Tr2に軌跡Tr3を重ね合わせるように座標変換を行った例を示している。
そして、図24(A)は、軌跡Tr2に軌跡Tr4を重ね合わせるように座標変換を行った例を示している。また、図24(B)は、軌跡Tr3に軌跡Tr4を重ね合わせるように座標変換を行った例を示している。
図22〜図24と図14とを比較すれば、軌跡Tr1〜Tr4の中のいずれの2つを組み合わせた場合についても、対応する移動経路において、出入り口ENを通過する部分及び廊下を移動している部分が重ね合わせられていることが分かる。そして、このような重ね合わせを行うことにより、対応する移動経路相互の相対的な位置を、高い精度で軌跡相互の相対的な位置において再現することができている。
このように、図10に示した抽出部14及び特定部15を有する軌跡解析装置10によれば、参照範囲として抽出された各直線区間の長さの配列順序に基づくトポロジーマッチングにより、軌跡相互の相対的な位置を高い精度で特定することができる。
また、上述したように、各直線区間の長さの配列順序に基づくトポロジーマッチングは、特定部15に含まれる算出部151が、式(1)、(2)に基づく簡易な計算処理を行うことによって実現することができる。更に、推定部13による推定結果に基づいて、参照範囲を制限することにより、軌跡全体について照合する場合に比べて、算出部151が実行する計算量を大幅に削減することが可能であることは上述したとおりである。
また、算出部151は、上述したように、推定部13による推定結果に基づいて抽出した参照範囲の中で、照合範囲を変えながら上述した評価値を算出する。したがって、算出された評価値の最小値を検出することにより、参照範囲の中で最も位相幾何学的な特徴が類似している箇所を、重複範囲として特定することができる。
これにより、推定部13による参照時刻の推定精度が低い場合にも、高い精度で軌跡相互の相対的な位置を特定することが可能である。
例えば、図16(A)に示したように、推定部13によって推定された参照時刻に対応する軌跡Tr1上の点EP1は、2つの分割点P1_2と分割点P1_3との間にある。そして、この点EP1の位置は、図14に示した移動経路Tr1においては、出入り口ENの手前の廊下部分に含まれている。一方、図17(A)に示したように、推定部13によって推定された参照時刻に対応する軌跡Tr3上の点EP3は、2つの分割点P3_4と分割点P3_5との間にある。そして、この点EP3の位置は、図14に示した移動経路Tr3においては、出入り口ENを通過した後に部屋C1の内部を移動している部分に含まれている。
このように、推定部13による参照時刻の推定誤差は比較的大きい。しかしながら、参照時刻に対応する軌跡上の点を含む適度な幅を持つ参照範囲を設定することにより、真の参照地点に対応する軌跡上の点を高い確度で参照範囲に含め、トポロジーマッチングに供することができる。
また、このような推定誤差を許容可能である点は、本件開示の軌跡解析装置10が有する利点の一つでもある。なぜなら、図6に示した推定部13によれば、無線LANアクセスポイントAPなどの既存の信号源を、参照時刻の推定に用いる信号源Rとして利用することが可能だからである。
更に、本件開示の軌跡解析装置10によれば、推定部13による推定結果に基づいて、トポロジーマッチングにおいて照合対象となる参照範囲を制限することにより、複数の軌跡を誤った配置で重ね合わせてしまうことを高い確度で避けることができる。
トポロジーマッチングのみに基づいて軌跡相互の配置を決定しようとすると、照合対象の2つの軌跡を分割した直線区間の集合の中で、長さの配列が偶然に一致する部分を誤って重ね合わせてしまう場合がある。このように、誤った配置で複数の軌跡を対応付けてしまう可能性がある点が、トポロジーマッチングを用いて軌跡相互の配置を決定する場合の課題の一つであった。
図25は、トポロジーマッチングの課題を説明する図である。なお、図25に示した要素のうち、図16〜図18に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図25(A)は、軌跡Tr1を分割して得られる直線区間の集合と軌跡Tr2を分割して得られる直線区間の集合の中で、長さの配列が偶然に一致する部分を誤って対応付けてしまった例を示している。
同様に、図25(B)は、軌跡Tr1を分割して得られる直線区間の集合と軌跡Tr5を分割して得られる直線区間の集合の中で、長さの配列が偶然に一致する部分を誤って対応付けてしまった例を示している。
これに対して、本件開示の軌跡解析装置10によれば、図25(A)、(B)に示したように、長さの配列が偶然に一致する部分を誤って重ね合わせてしまうケースを、非常に高い確度で排除することができる。なぜなら、推定部13による推定結果に基づいて抽出した参照範囲は、軌跡の一部であるので、軌跡全体に対応する直線区間を照合した場合に比べて、長さの配列が偶然に一致する可能性が小さいからである。
なお、図25(A)に示したケースにおいて、軌跡Tr2と対応付けられた軌跡Tr1の箇所は、軌跡Tr1の参照範囲に含まれていない。したがって、本件開示の軌跡解析装置10が、軌跡Tr1と軌跡Tr2とについて、このような対応付けを行うことはない。また、図25(B)に示したケースにおいて、軌跡Tr1と対応付けられた軌跡Tr5については、参照範囲が設定されていない。このため、軌跡Tr5は、本件開示の軌跡解析装置10の特定部15におけるトポロジーマッチング処理の対象から排除されている。したがって、本件開示の軌跡解析装置10が、軌跡Tr1と軌跡Tr5とについてこのような対応付けを行うことはない。
このように、本件開示の軌跡解析装置10によれば、トポロジーマッチングを用いて軌跡相互の配置を決定する場合の課題を解決し、誤った配置で複数の軌跡を対応付けてしまうケースを低減することができる。
以上に説明したように、本件開示の軌跡解析装置10によれば、慣性航法技術を用いて取得した複数の軌跡相互の相対的な位置を高い精度で特定可能である。しかも、本件開示の軌跡解析装置10によれば、誤った配置で複数の軌跡を対応付けてしまうケースを非常に少なくすることができる。
したがって、本件開示の軌跡解析装置10によって多数の軌跡を対応付けることにより、軌跡の分布によって、建物内の廊下の配置などを忠実に再現することが可能となるので、例えば、建物内の通路地図を生成する作業などの自動化を図ることが可能になる。
以上に説明した本件開示の軌跡解析装置10は、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いて実現することができる。
図26は、画像処理装置10のハードウェア構成の一例を示している。なお、図26に示した構成要素のうち、図1又は図6に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
コンピュータ装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、表示装置24と、入力装置25と、光学ドライブ装置26と、ネットワークインタフェース28とを含んでいる。図26に例示したプロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、表示装置24と、入力装置25と、光学ドライブ装置26と、LANインタフェース28とは、バスを介して互いに接続されている。また、コンピュータ装置20は、ネットワークインタフェース28を介して、ネットワークNWに接続されている。
また、図26において、軌跡解析装置10は、プロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、ネットワークインタフェース28とを含んでいる。
上述した光学ドライブ装置26は、光ディスクなどのリムーバブルディスク27を装着可能であり、装着したリムーバブルディスク27に記録された情報の読出および記録を行う。
図26に例示した入力装置25は、例えば、キーボードやマウスなどである。軌跡解析装置10の利用者は、入力装置25を操作することにより、軌跡解析装置10に対して、例えば、各端末装置UEから移動情報及び強度情報を収集する処理や、収集した情報に基づいて軌跡を解析する処理を開始させる指示などを入力してもよい。
図26に例示したメモリ22は、コンピュータ装置20のオペレーティングシステムとともに、プロセッサ21が上述した軌跡を解析する処理を実行するためのアプリケーションプログラムを格納している。なお、上述した軌跡を解析する処理を実行するためのアプリケーションプログラムは、例えば、光ディスクなどのリムーバブルディスク27に記録して頒布することができる。そして、このリムーバブルディスク27を光学ドライブ装置26に装着して読み込み処理を行うことにより、軌跡を解析する処理を実行するためのアプリケーションプログラムを、メモリ22およびハードディスク装置23に格納させてもよい。また、ネットワークインタフェース28を介して、インターネットなどのネットワークを介して、軌跡を解析する処理を実行するためのアプリケーションプログラムをメモリ22およびハードディスク装置23に読み込ませてもよい。
そして、プロセッサ21は、メモリ22に格納されたアプリケーションプログラムを実行することにより、図1に例示した生成部11、収集部12、推定部13、抽出部14及び特定部15の機能を果たしてもよい。また、プロセッサ21は、上述したアプリケーションプログラムを実行する過程でネットワークインタフェース28を介して取得した情報をメモリ22又はハードディスク装置23に格納することで、強度情報保持部122を実現してもよい。
また、同様に、プロセッサ21は、上述したアプリケーションプログラムを実行する過程で取得した情報及び生成した情報をメモリ22あるいはハードディスク装置23に格納することにより、軌跡データベース112を実現してもよい。
なお、プロセッサ21は、上述したアプリケーションプログラムの実行に先立って、図2に示した信号源Rを含む各信号源が設置された室内における信号強度を測定する処理を行うことが望ましい。そして、測定で得られた信号強度に基づいて決定した閾値を、各信号源Rを示すBSSIDに対応してハードディスク装置23などに格納することにより、図6に示した閾値テーブル132を実現してもよい。
つまり、本件開示の画像処理装置10は、例えば、上述したコンピュータ装置20に含まれるプロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、ネットワークインタフェース28との協働によって実現することができる。
図27は、軌跡解析処理のフローチャートの一例を示している。図27に示したステップ301〜ステップ306の各処理は、軌跡解析処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。また、これらのステップ301〜ステップ306の各処理は、プロセッサ21によって実行される。
まず、プロセッサ21は、各端末装置UEから移動情報及び強度情報を収集する(ステップ301)。次いで、プロセッサ21は、各端末装置UEから収集した移動情報に基づいて、端末装置UEそれぞれの軌跡Trを生成する(ステップ302)。なお、ステップ301,302の処理の過程で、プロセッサ21は、各端末装置UEから収集した移動情報及び生成した軌跡Trを表す情報を、例えば、ハードディスク装置23に設けた軌跡データベース112に保持してもよい。また、プロセッサ21は、ステップ301で収集した強度情報を、同じくハードディスク装置23に設けた強度情報保持部122に保持させてもよい。
次に、プロセッサ21は、各端末装置UEから収集した強度情報に基づいて、図28に示すようにして、参照時刻を推定する(ステップ303)。
図28は、参照時刻を推定する処理のフローチャートの一例を示している。図28に示したステップ311〜ステップ317の各処理は、参照時刻を推定する処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。参照時刻を推定する処理のためのアプリケーションプログラムは、軌跡解析処理のためのアプリケーションプログラムに含まれている。また、これらのステップ311〜ステップ317の各処理は、プロセッサ21によって実行される。
まず、プロセッサ21は、ハードディスク装置23に設けた強度情報保持部122に各信号源に対応して保持された強度情報から、注目する信号源から端末装置UEが受信した信号の強度を示す情報を読み込む(ステップ311)。
次いで、プロセッサ21は、例えば、ハードディスク装置23に設けられた閾値テーブル132を参照することにより、注目する信号源に対応する閾値を取得する(ステップ312)。
次に、プロセッサ21は、ステップ311で読み込んだ強度情報において、信号強度が上述した閾値を跨いで変化する箇所を探索する(ステップ313)。このように、プロセッサ21が、ステップ313の探索処理を実行することにより、図6に示した検出部131の機能を実現することができる。
ステップ313の探索処理の過程で、強度情報の中に、上述した閾値を挟む値を持つ信号強度を検出した場合に、プロセッサ21は、ステップ313の探索は成功したと判断し、ステップ314の肯定判定ルートに従ってステップ315に進む。
ステップ315において、プロセッサ21は、ステップ313の処理で検出した2つの信号強度に対応して強度情報保持部122に保持された時刻に基づいて、信号強度が閾値と等しくなると推定される時刻を算出する。また、プロセッサ21は、算出した時刻を、ハードディスク装置23に設けた軌跡データベース112に、注目する信号源が配置された部屋の出入り口を通過した時刻を示す参照時刻として保持する。
一方、ステップ311で読み込んだ強度情報の中に、上述した閾値を挟む値を持つ信号強度が含まれていなかった場合に、プロセッサ21は、ステップ313の探索は失敗したと判断し、ステップ314の否定判定ルートに従ってステップ316に進む。
ステップ316において、プロセッサ21は、注目する信号源に対応する参照時刻はない旨を、ハードディスク装置23に設けた軌跡データベース112に保持させる。
上述したステップ314の肯定判定ルートと否定判定ルートは、ステップ317において合流する。ステップ317において、プロセッサ21は、未処理の信号源があるか否かを判定する。まだ、参照時刻の推定処理が完了していない信号源がある場合に、プロセッサ21は、ステップ317の肯定判定ルートに従ってステップ311に戻り、新たな信号源に対応する強度情報についての処理を開始する。
このようにして、ステップ311〜ステップ317を繰り返すことにより、全ての信号源に対応する強度情報についての処理が完了したときに、プロセッサ21は、ステップ317の否定判定ルートに従って、参照時刻を推定する処理を終了する。
プロセッサ21は、上述したステップ311〜ステップ317の処理を各端末装置UEに対応して強度情報保持部122に保持された強度情報について実行する。このように、プロセッサ21が、各端末装置UEについて、上述したステップ311〜ステップ317の処理を実行することにより、図6に示した推定部13の機能を実現することができる。
次に、図27に示したステップ304において、プロセッサ21は、ステップ303で参照時刻が得られた軌跡を順次に処理対象として、図29に示すようにして、各軌跡から参照範囲を抽出する。
図29は、参照範囲を抽出する処理のフローチャートの一例を示している。図29に示したステップ321〜ステップ325の各処理は、参照範囲を抽出する処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。参照範囲を抽出する処理のためのアプリケーションプログラムは、軌跡解析処理のためのアプリケーションプログラムに含まれている。また、これらのステップ321〜ステップ325の各処理は、プロセッサ21によって実行される。
プロセッサ21は、軌跡データベース112に保持された移動情報に基づいて、偏角θの所定時間当りの変化量dθの時間変化を示す情報を生成する(ステップ321)。プロセッサ21は、例えば、移動情報に含まれる各サンプル番号に対応する偏角θ(t)と、2秒後のサンプリングで得られた偏角θ(t+2)との差を、所定時間当りの変化量dθの時間変化を示す変化量dθ(t)として算出すればよい。このように、プロセッサ21が、ステップ321の処理を実行することにより、図10に示した変化量算出部143の機能を実現することができる。
次いで、プロセッサ21は、ステップ321で生成した情報と軌跡データベース112に保持された軌跡を表す情報とに基づいて、図12を用いて説明したようにして、軌跡を複数の直線区間に分割するための各分割点を検出する(ステップ322)。なお、ステップ322の処理の過程で、プロセッサ21は、検出した各分割点に対応する通過時刻を算出し、各分割点について算出した通過時刻と各分割点の位置を示す座標を含む情報を、軌跡データベース112に追加してもよい。このように、プロセッサ21が、ステップ322の処理を実行することにより、図10に示した分割点検出部144の機能を実現することができる。
次に、プロセッサ21は、上述したようにして検出した各分割点の座標に基づいて、軌跡をこれらの分割点で分割することで得られる各直線区間の長さをそれぞれ算出する(ステップ323)。また、プロセッサ21は、ステップ323の処理で算出した各直線区間の長さを要素として含む配列データを、処理対象の軌跡に対応して軌跡データベース112に保持する。このように、プロセッサ21が、ステップ323の処理を実行することにより、図10に示した距離算出部145の機能を実現することができる。
その後、プロセッサ21は、上述したステップ322で得られた各分割点に対応する時刻と、上述したステップ303で推定した参照時刻とを比較することにより、参照時刻を含む期間に対応する直線区間を判別する(ステップ324)。処理対象の軌跡について、複数の信号源に対応してそれぞれ参照時刻が推定されている場合に、プロセッサ21は、各参照時刻についてそれぞれステップ324の処理を実行することにより、各参照時刻を含む期間に対応する直線区間を判別する。このように、プロセッサ21が、ステップ324を実行することにより、図10に示した判別部142の機能を実現することができる。
次に、プロセッサ21は、ステップ324の処理で得られた判別結果に基づいて、処理対象の軌跡に対応する複数の直線区間の中から、n個の連続する直線区間を参照範囲として抽出する(ステップ325)。プロセッサ21は、例えば、上述した配列データに含まれる要素のうち、ステップ324で判別した直線区間の長さを示す要素を含むn個の要素について、これらの要素が参照範囲に含まれる旨のフラグを設定することで、参照範囲の抽出を行ってもよい。なお、ステップ324の処理で、複数の参照時刻に対応する直線区間が判別されている場合に、プロセッサ21は、それぞれの判別結果についてステップ324の処理を実行することにより、各参照時刻に対応する参照範囲をそれぞれ抽出する。
このように、プロセッサ21が、各端末装置UEに対応する軌跡を順次に処理対象として、ステップ321〜ステップ325の処理を実行することにより、図10に示した抽出部13の機能を実現することができる。
次いで、プロセッサ21は、図27に示したステップ305において、ステップ304で参照範囲が得られた軌跡について、図30に示すようにして、直線区間の長さの配列順序に着目したトポロジーマッチングを行う。なお、ステップ305の処理に先立って、プロセッサ21は、軌跡データベース112に保持されている複数の軌跡を、各信号源に対応する参照範囲の有無に基づいて分類しておいてもよい。以下では、図10に示した無線LANアクセスポイントAPに対応する参照範囲をそれぞれ含む複数の軌跡についてトポロジーマッチングを行う場合について説明する。
図30は、参照範囲のトポロジーマッチング処理のフローチャートの一例を示している。図30に示したステップ331〜ステップ339の各処理は、参照範囲のトポロジーマッチング処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。参照範囲のトポロジーマッチング処理のためのアプリケーションプログラムは、軌跡解析処理のためのアプリケーションプログラムに含まれている。また、これらのステップ331〜ステップ339の各処理は、プロセッサ21によって実行される。
ステップ331において、プロセッサ21は、上述した無線LANアクセスポイントAPに対応する参照範囲をそれぞれ含む複数の軌跡の中から、照合処理の対象として2つの軌跡を選択する。また、このとき、プロセッサ21は、後述する処理で用いる評価値の最小値eminに、初期値として、例えば、上述した閾値Theよりも大きい値を設定することが望ましい。
次いで、プロセッサ21は、選択した2つの軌跡に対応して、軌跡データベース112にそれぞれ保持された配列データから、参照範囲に含まれる各直線区間の長さを示す情報を読み出す(ステップ332)。プロセッサ21は、例えば、各配列データから、上述したステップ325の処理で説明したフラグが設定されたn個の要素を、それぞれ配列A(n),B(n)の要素として読み出せばよい。このように、プロセッサ21が、ステップ332の処理を実行することにより、図10に示した読出部154の機能を実現することができる。
次に、プロセッサ21は、上述した配列A(n),B(n)についての照合範囲をそれぞれ示す変数j、kを、1からn−2の範囲でそれぞれ変えて得られる各組み合わせについて、上述した式(1)、式(2)を用いて評価値ef,erを算出する(ステップ333)。例えば、参照範囲に含まれる直線区間の数が5個である場合に、プロセッサ21は、変数j、kをそれぞれ1〜3の範囲で変えて得られる組み合わせから一つを選択し、選択した組み合わせで示される照合範囲について評価値ef,erを算出する。
次に、プロセッサ21は、ステップ333で算出した評価値ef、erのうち小さい方と、上述した評価値の最小値eminとを比較する(ステップ334)。
評価値ef、erの少なくとも一方が、上述した評価値の最小値eminよりも小さい場合に、プロセッサ21は、ステップ334の肯定判定ルートに従ってステップ335の処理に進む。ステップ335において、プロセッサ21は、ステップ333の処理で選択された変数j,kの組み合わせで示される照合範囲を、照合対象の軌跡が互いに重なり合っている重複範囲の候補として保持するとともに、評価値の最小値eminを更新する。その後、プロセッサ21は、ステップ336の処理に進む。
一方、評価値ef、erの両方が、上述した評価値の最小値emin以上である場合に、プロセッサ21は、ステップ334の否定判定ルートに従ってステップ335の処理をスキップし、ステップ336の処理に進む。
ステップ336において、プロセッサ21は、変数j,kの組み合わせで示される全ての照合範囲について評価値の算出が完了したか否かを判定する。
まだ評価値の算出が行われていない照合範囲がある場合に、プロセッサ21は、ステップ336の否定判定ルートに従って、ステップ333の処理に戻り、変数j、kの新たな組み合わせで示される照合範囲についての処理を開始する。
このようにして、変数j、kの組み合わせについて上述したステップ333からステップ336の処理を繰り返す過程で、プロセッサ21が、ステップ333の処理を実行することにより、図10に示した算出部151の機能を実現することができる。
また、上述したようにして、全ての照合範囲についての評価値の算出が完了したときに、プロセッサ21は、ステップ336の肯定判定ルートに従ってステップ337の処理に進む。
ステップ337において、プロセッサ21は、上述した処理の過程で更新された評価値の最小値eminと、2つの軌跡が重なり合う範囲を持つか否かを判定するための閾値Theとを比較する。
評価値の最小値eminが上述した閾値Theよりも小さい場合に、プロセッサ21は、照合対象の2つの軌跡は重複範囲の候補として保持された部分において重なり合うと判断し、ステップ337の肯定判定ルートに従ってステップ338に進む。
ステップ338において、プロセッサ21は、図21を用いて説明したようにして、重複範囲に着目した座標変換を行う。プロセッサ21は、照合対象の軌跡の一方における重複範囲に、他方の軌跡における重複範囲を重ね合わせるような座標変換行列を求め、求めた座標変換行列を用いて、後者の軌跡についての座標変換を実行すればよい。その後、プロセッサ21は、ステップ339の処理に進む。
一方、評価値の最小値eminが上述した閾値The以上である場合に、プロセッサ21は、照合対象の2つの軌跡は重なり合う部分を持っていないと判断し、ステップ337の否定判定ルートに従って、直接、ステップ339に進む。
ステップ339において、プロセッサ21は、未選択の軌跡の組み合わせがあるか否かを判定する。また、照合処理が完了していない軌跡の組み合わせがある場合に、プロセッサ21は、ステップ339の肯定判定ルートに従ってステップ331の処理に戻り、新たに選択された2つの軌跡についての照合処理を開始する。
プロセッサ21は、上述した無線LANアクセスポイントAPに対応する参照範囲をそれぞれ含む複数の軌跡から2つの軌跡を選択する全ての組み合わせについて、ステップ331〜ステップ339の処理を繰り返し実行する。
このようにして、ステップ331〜ステップ339の処理を繰り返し実行する過程で、上述したステップ334、ステップ335及びステップ337の処理をプロセッサ21が実行することにより、図10に示した判定部152の機能を実現することができる。また、同様に、ステップ331〜ステップ339の処理を繰り返し実行する過程で、プロセッサ21が、上述したステップ337の肯定判定ルートにおいてステップ338の処理を実行することにより、図10に示した座標変換部153の機能を実現することができる。
また、上述したようにして、照合処理の対象に含まれる複数の軌跡から2つの軌跡を選択する全ての組み合わせについて、照合処理が完了したときに、プロセッサ21は、ステップ339の肯定判定ルートに従って照合処理を終了する。
最後に、プロセッサ21は、図27に示したステップ306の処理を実行する。ステップ306において、プロセッサ21は、上述したステップ337の処理で、互いに重なり合う重複範囲があると判断した軌跡の組み合わせについて、それぞれ座標変換後の軌跡を利用者に提示する処理を行う。プロセッサ21は、例えば、図22〜図24に示したように、それぞれの軌跡の組み合わせを対応付けて表す表示データを作成してもよい。そして、作成した表示データを、図25に示した表示装置24に表示させることで、本件開示の軌跡解析装置10によって、軌跡相互の相対的な位置を特定した結果を、直感的に把握しやすい図形情報として、利用者に提示することができる。
上述したように、図26に示したコンピュータ装置20のプロセッサ21が、軌跡解析処理のためのアプリケーションプログラムを実行することにより、本件開示の軌跡解析装置10を実現することができる。
このように、コンピュータ装置20を用いて実現された本件開示の軌跡解析装置10が、複数の軌跡相互の相対位置を高い精度で特定可能であることは、以上に述べたとおりである。
以上の説明に関して、更に、以下の各項を開示する。
(付記1)
複数の端末装置それぞれについて移動開始時の位置からの変位および移動開始時の向きからの偏角を時系列的に示す移動情報に基づいて、前記各端末装置の軌跡を生成する生成部と、
信号源から前記各端末装置に到来した信号の強度を時系列的に示す強度情報を収集する収集部と、
前記収集部によって前記端末装置ごとに収集された強度情報で示される信号の強度の時間変化に基づいて、所定の参照地点を前記各端末装置が通過した時刻を示す参照時刻を推定する推定部と、
前記各端末装置に対応して生成された軌跡から、当該端末装置に対応する参照時刻を含む所定の期間に前記端末装置が移動した範囲を参照範囲として抽出する抽出部(14)と、
前記各端末装置の軌跡から抽出された参照範囲の位相幾何学的な特徴を照合することにより、前記複数の軌跡相互の相対位置を特定する特定部と
を備えたことを特徴とする軌跡解析装置。
(付記2)
付記1に記載の軌跡解析装置において、
前記信号源は、出入り口のある室内に配置されており、
前記推定部は、
前記各端末装置について、前記信号の強度が所定の閾値を跨いで変化した時刻を検出する検出部を有し、
前記検出部で検出された時刻を、前記出入り口である参照地点を前記端末装置が通過した参照時刻として特定する
ことを特徴とする軌跡解析装置。
(付記3)
付記2に記載の軌跡解析装置において、
前記信号源は、前記室内を到達範囲とする無線信号を発信する特性を有し、
前記閾値は、前記室内における前記無線信号の強度の平均値よりも低い強度を示す値に設定される
ことを特徴とする軌跡解析装置。
(付記4)
付記1ないし付記3のいずれか1に記載の軌跡解析装置において、
前記抽出部は、
前記各端末装置の軌跡それぞれを複数の直線区間に分割する分割部と、
前記端末装置ごとに、前記複数の直線区間から、前記参照時刻における位置を含む直線区間を参照区間として判別する判別部とを有し、
前記端末装置ごとに、前記参照区間を含む所定数の直線区間を前記参照範囲として抽出する
ことを特徴とする軌跡解析装置。
(付記5)
付記4に記載の軌跡解析装置において、
前記特定部は、
2つの前記軌跡ごとに、前記参照範囲に含まれる各直線区間の長さを照合することにより、位相幾何学的な特徴の違いの大きさを示す評価値を算出する算出部と、
前記算出部で得られた評価値が所定の閾値より小さい場合に、前記2つの軌跡は前記参照範囲の少なくとも一部において互いに重なり合うと判定する判定部とを有する
ことを特徴とする軌跡解析装置。
(付記6)
付記4に記載の軌跡解析装置において、
前記分割部は、
前記移動情報に含まれる偏角の時間変化を示す情報に基づいて、前記偏角の所定時間あたりの変化量を時系列的に求める変化量算出部と、
前記変化量の時間的な変化に基づいて、前記軌跡において、移動方向が所定の角度よりも大きく変化している箇所を分割点として検出する分割点検出部とを有し、
前記変化点検出部によって検出された分割点で前記軌跡を分割することにより、前記複数の直線区間を生成する
ことを特徴とする軌跡解析装置。
(付記7)
複数の端末装置それぞれについて移動開始時の位置からの変位および移動開始時の向きからの偏角を時系列的に示す移動情報に基づいて、前記各端末装置の軌跡を生成し、
信号源から前記各端末装置に到来した信号の強度を時系列的に示す強度情報を収集し、
前記端末装置ごとに収集された強度情報で示される信号の強度の時間変化に基づいて、所定の参照地点を前記各端末装置が通過した時刻を示す参照時刻を推定し、
前記各端末装置に対応して生成された軌跡から、当該端末装置に対応する参照時刻を含む所定の期間に前記端末装置が移動した範囲を参照範囲として抽出し、
前記各端末装置の軌跡から抽出された参照範囲の位相幾何学的な特徴を照合することにより、前記複数の軌跡の相対位置を特定する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする軌跡解析プログラム。
(付記8)
付記7に記載の軌跡解析プログラムにおいて、
前記参照時刻を推定する処理は、
前記各端末装置について、出入り口のある室内に配置された前記信号源からの前記信号の強度が所定の閾値を跨いで変化した時刻を検出し、
前記検出した時刻を、前記出入り口である参照地点を前記端末装置が通過した参照時刻として特定する
処理を含むことを特徴とする軌跡解析プログラム。
(付記9)
付記8に記載の軌跡解析プログラムにおいて、
前記時刻を検出する処理は、
前記信号源によって発信される、前記室内を到達範囲とする無線信号の強度と比較する閾値として、前記室内における前記無線信号の強度の平均値よりも低い強度を示す値を設定する
処理を含むことを特徴とする軌跡解析プログラム。
(付記10)
付記7または付記8に記載の軌跡解析プログラムにおいて、
前記参照範囲を抽出する処理は、
前記各端末装置の軌跡それぞれを複数の直線区間に分割し、
前記端末装置ごとに、前記複数の直線区間から、前記参照時刻における位置を含む直線区間を参照区間として判別し、
前記端末装置ごとに、前記参照区間を含む所定数の直線区間を前記参照範囲として抽出する
処理を含むことを特徴とする軌跡解析プログラム。
(付記11)
付記10に記載の軌跡解析プログラムにおいて、
前記軌跡間の相対位置を特定する処理は、
2つの前記軌跡ごとに、前記参照範囲に含まれる各直線区間の長さを照合することにより、位相幾何学的な特徴の違いの大きさを示す評価値を算出し、
前記評価値が所定の閾値より小さい場合に、前記2つの軌跡は前記参照範囲の少なくとも一部において互いに重なり合うと判定する
処理を含むことを特徴とする軌跡解析プログラム。
(付記12)
付記10に記載の軌跡解析プログラムにおいて、
前記軌跡を分割する処理は、
前記移動情報に含まれる偏角の時間変化を示す情報に基づいて、前記偏角の所定時間あたりの変化量を時系列的に求め、
前記変化量の時間的な変化に基づいて、前記軌跡において、移動方向が所定の角度よりも大きく変化している箇所を分割点として検出し、
前記検出された分割点で前記軌跡を分割することにより、前記複数の直線区間を生成する
処理を含むことを特徴とする軌跡解析プログラム。