JP2013215652A - 貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法 - Google Patents

貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、光照射工程を含む光触媒粒子分散液の製造方法であって、さらには貴金属の担持が効率よく行われ、その結果可視光応答性が改良された光触媒粒子分散液の製造方法を提供することである。
【解決手段】光触媒体粒子の表面に貴金属が担持された貴金属担持光触媒体粒子が分散媒中に分散した貴金属担持光触媒体粒子分散液を製造する方法であって、前記前記光触媒体粒子が分散された分散媒中に重合開始剤あるいは光重合開始剤のいずれか存在させた状態で、前記原料分散液に、光を照射させることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒粒子分散液の製造方法であって、さらには貴金属が担持された光触媒粒子分散液の製造方法である。またこの製造方法によって製造された持光触媒粒子分散液を用いて得られる光触製品あるいは親水化剤に関する。
いわゆるチタン酸化物やタングステン酸化物を含む光触媒に光を照射すると、価電子帯の電子が伝導帯に励起され、価電子帯に生成した正孔により、当該光触媒を含む粒子表面上などには、強い酸化力が発生する。励起した電子は強い還元力を有することから、光触媒に接触した物質に酸化還元作用を及ぼす。この酸化還元作用によりOHラジカルをはじめとする活性酸素種が生成し、有機物等を分解することができる。例えば、タングステン酸化物は蛍光灯の照明下であってもチタン酸化物に比べ、より高い光触媒作用を示す光触媒である。また最近可視光応答性向上というアプローチで以下のように多数の出願がなされている。
近年、光触媒の開発は、可視光応答性向上がその主たる課題になっている。例えば特開2011−036770号(特許文献1)のように、分散液中の溶存酸素量を制御し光を照射させながら、貴金属担持光触媒体粒子分散液を製造する技術が開示されている。なお、特開2011−136325号(特許文献2)もほぼ同じ内容が開示されている。
また、特開2010−115635号(特許文献3)には、光触媒前駆体分散液に光照射する技術に関して、リン酸などを配合することや、白金、銅、金、Pdや鉄などの貴金属存在下に光照射して当該分散液を製造することが開示されている。この文献には、その光照射は、酸化チタン粒子分散液と酸化タングステン粒子との混合前に行なうことも記載されている。
一方で、光触媒である酸化チタン粒子に、銅などを担持させる方法の一つとして、特開2011−079713(特許文献4)号には、可視光応答性が向上した光触媒として、酸化チタンを生成するチタン化合物を反応溶液中で加水分解する加水分解工程と、前記加水分解後の溶液に銅イオンを含有する水溶液を混合し、前記酸化チタンの表面修飾を行う表面修飾工程とを含む銅イオン修飾酸化チタンの製造方法が記載されている。
また、可視光応答型の光触媒として有用と認識されている酸化タングステン粒子粉末であるが、国際公開WO2008/117655号パンフレット(特許文献5)には、酸化タングステン粉末の製造方法として、酸素雰囲気下のプラズマ処理で当該粉末を製造し、酸化雰囲気下で熱処理する工程により、粒径が小さく、ばらつきもすくなく、結果として可視光応答性が向上したとされる酸化タングステン粉末の製造方法の開示がされている。
特開2011−036770号公報 特開2011−136325号公報 特開2010−115635号公報 特開2011−079713号公報 国際公開WO2008/117655号パンフレット
本発明の目的は、より可視光応答性が向上した光触媒の製造方法を提示することにあって、より効率のよい、光触媒粒子前駆体分散液に光照射する技術に関してである。
上記課題および従来技術の問題点を解消すべく、鋭意検討を重ねた結果、発明者らは、光触媒粒子前駆体分散液や光触媒原料液に光照射して、貴金属担持光触媒体粒子分散液を製造する技術に関し、熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤の存在下により、その光照射を行うことにより、光触媒粒子表面への貴金属の担持状態が好ましく変化することや光照射時間を短縮できること、そしてその様にして得たき金属を担持した光触媒粒子は、可視光応答性が向上することを見出し、本発明の貴金属担持光触媒体粒子分散液を製造方法を完成した。
本発明者らは、重合開始剤の存在下に光照射しながら、光触媒粒子表面へ貴金属の担持を行うと、当該貴金属の担持の効率が高くなる。そして、その結果製造された貴金属が担持された光触媒粒子は、通常の光照射下貴金属担持工程により製造された光触媒粒子に比べ、可視光応答性が向上してくることを見出し、本発明を完成した。
つまりは、光触媒体粒子の表面に貴金属が担持された貴金属担持光触媒体粒子が分散媒中に分散した貴金属担持光触媒体粒子分散液を製造する方法であって、前記前記光触媒体粒子が分散された分散媒中に重合開始剤として、重合開始剤として熱重合開始剤および/または光重合開始剤を存在させた状態で、前記原料分散液に、光を照射させることにより、発生した電子、光触媒が励起された電子に、あわせて発生した重合開始剤からのラジカルが作用し、光触媒の励起状態が持続し(延命し)飛躍的に、貴金属担持効率が改善されることがわかり、本発明の完成に至ったのである。また、本発明の製造方法では、重合開始剤がない場合に比べ、光触媒の励起が行われやすく、光触媒粒子表面への貴金属の担持の効率がよくなり、恐らくは均一に担持が行われているものと考えている。
また本発明の貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法で製造された光触媒は、貴金属担持効率が改善されているので可視光応答性に優れた光触媒粒子である。
以下の例示事項は、本発明の好ましい形態である。
(1)
光触媒体粒子の表面に貴金属が担持された貴金属担持光触媒体粒子が分散媒中に分散した貴金属担持光触媒体粒子分散液を製造する方法であって、原料分散液として、前記光触媒体粒子分散液および光触媒に担持する貴金属原料液が分散され原料分散液を使用し、この原料分散液に重合開始剤として、熱重合開始剤および/または光重合開始剤を存在させた状態で、
前記原料分散液に、光を照射させることを特徴とする、貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法。
(2)
さらに原料分散液に連鎖移動剤を配合し、連鎖移動剤も存在下に光を照射する上記(1)記載の貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法。
(3)
上記光触媒体粒子が酸化タングステンおよび/または酸化チタンであり、上記担持させる貴金属が、銅および/または白金である、上記(1)または(2)記載の貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法。
(4)
上記担持させる貴金属が、銅および/または白金である、貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法において、当該貴金属担持光触媒体粒子が、光触媒体粒子、銅、白金の順番に担持されたもの、または、光触媒体粒子、白金、銅の順番に担持されたもののいずれかである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法。
(5)
前記光触媒体粒子分散液および光触媒に担持する貴金属原料液が分散され原料分散液のpHを2.8〜5.5の範囲に調整後、光を照射するものである、上記(1)〜(4)の記載の貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法。
(6)
前記、照射される光が、前記光触媒体粒子のバンドギャップ以上のエネルギーを有する光である、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法。
前記の、重合開始剤などを配合した、光触媒性を有する酸化物前駆体溶液の分散液に、光を照射することで、チタン酸化物やタングステン酸化物を含有する酸化物前駆体溶液への、白金や銅などの貴金属の担持が非常に効率よく行えた。その結果得られた光触媒は、従来の製造方法で製造された光触媒よりも可視光応答性が向上した。
また本発明の製造方法で製造された光触媒粒子は、配合した重合開始剤成分が当該粒子表面に残存しており、当該光触媒粒子を含む分散液と基体に塗工などして製造された光触媒体は、光触媒機能発現時に、残存している重合開始剤成分などが光照射によりラジカルを発生し、光触媒機能を向上させることができる。
本発明によれば、光触媒調整段階で、重合開始剤存在下に光を照射することにより、光触媒が励起されやすくなり光触媒表面への貴金属の担持(例えば、白金や銅)が効率よく、より均一に行われる。
その結果、本発明で製造された光触媒粒子は、蛍光灯やLED照明などに含まれる可視光下であっても、より高い光触媒活性を発現する。また分散安定性に優れた貴金属担持光触媒体粒子分散液を製造することができる。またより光照射条件をよりマイルドにでき、そのため、工業的に光触媒を製造する場合にも低コスト化や製造設備がより安価に設計できる。また、本発明によれば、基材上に均一なより膜質の光触媒体層を形成することができ、この光触媒体層は高い光触媒活性を示すものとなる。また、本発明によれば、より優れた安定した親水性を維持することができる親水化剤を提供することができる。
(光触媒体粒子)
本発明で使用する光触媒体粒子とは、粒子状の光触媒体をいう。光触媒体としては、金属元素と酸素、窒素、硫黄および弗素などとの化合物が挙げられる。当該光触媒粒子表面に担持させる貴金属元素としては、例えば、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pd、Bi、La、Ceなどが挙げられる。その化合物としては、これら貴金属元素の1種類または2種類以上の酸化物、窒化物、硫化物、酸窒化物、酸硫化物、窒弗化物、酸弗化物、酸窒弗化物などが挙げられる。なかでも、酸化タングステンは、可視光線(波長約400nm〜約800nm)を照射したとき、高い光触媒活性を示すことから、本発明に好適である。
その中でも、上記担持させる貴金属元素が、銅および/または白金である、貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法において、当該貴金属担持光触媒体粒子が、光触媒体粒子、銅、白金の順番に担持されたもの、または、光触媒体粒子、白金、銅の順番に担持されたもののいずれかである場合は好ましい形態となる。銅、白金は、入手しやすく、成分が溶解した触媒前駆体などが水溶液として得られるので好ましい。
この光触媒体粒子の大きさは通常、平均分散粒子径が40nm〜250nmである。粒子径は小さいほど分散媒中での分散安定性は向上し、光触媒体粒子の沈降を抑制することが出来るので好ましく、例えば150nm以下が好ましい。
かかる光触媒体粒子のうちで、酸化タングステン粒子は、例えばタングステン酸塩の水溶液に酸を加えることにより、沈殿物としてタングステン酸を得、得られたタングステン酸を焼成する方法により得ることができる。また、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウムを加熱することにより熱分解する方法により得ることもできる。
(分散媒)
分散媒としては通常、水を主成分とする水性媒体、具体的には水の含有量が分散媒全質量に対して50質量%以上のものが用いられる。分散媒の使用量は、光触媒体粒子に対して、通常3質量倍〜200質量倍である。分散媒の使用量が3質量倍未満では光触媒体粒子が沈降し易くなり、200質量倍を超えると容積効率の点で不利である。光照射時に配合する重合開始剤や連鎖移動剤もこの分散媒の性質で、適宜油溶性のあるもの、水溶性のものなど選定することができる。
(原料分散液)
本発明では、分散媒中に前記光触媒体粒子が分散され、前記貴金属の前駆体が溶解した原料分散液を用いる。
原料分散液は、分散媒中に光触媒体粒子を分散させて調製すればよい。光触媒体粒子を分散媒に分散させる際には湿式媒体撹拌ミルなどの公知の装置で分散処理を施すことが好ましい。
原料分散液を調製する際の、光触媒体粒子、貴金属の前駆体及び分散媒の混合順序は、特に制限されず、例えば、分散媒に光触媒体粒子を添加し、前述した分散処理をした後に、貴金属の前駆体を添加してもよいし、分散媒に光触媒体粒子および貴金属の前駆体を添加した後に前述した分散処理を行なってもよい。必要に応じて撹拌しながら行ってもよいし、加熱しながら行ってもよい。
(貴金属の前駆体)
本発明で使用する貴金属の前駆体(いわゆる貴金属成分の溶解された液)としては、分散媒中に溶解し得るものが使用される。かかる前駆体が溶解すると、これを構成する貴金属元素は通常、プラスの電荷を帯びた貴金属イオンとなって、分散媒中に存在する。そして、この貴金属イオンが、光の照射による光触媒体粒子の光触媒作用により0価の貴金属に還元されて、光触媒体粒子の表面に担持される。
貴金属としては、例えばCu、Pt、Au、Pd、Ag、Ru、IrおよびRhが挙げられる。その前駆体としては、これら貴金属の水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、有機酸塩、炭酸塩、リン酸塩などが挙げられる。これらの中でも高い光触媒活性を得る点から、貴金属は、Cu、Pt、Au、Pdが好ましい。
Cuの前駆体としては、例えば、硝酸銅(Cu(NO))、硫酸銅(CuSO)、塩化銅(CuCl、CuCl)、臭化銅(CuBr、CuBr)、沃化銅(CuI)、沃素酸銅(CuI)、塩化アンモニウム銅(Cu(NH)Cl)、オキシ塩化銅(CuCl(OH))、酢酸銅(CHCOOCu、(CHCOO)Cu)、蟻酸銅((HCOO)Cu)、炭酸銅(CuCO)、蓚酸銅(CuC)、クエン酸銅(Cu)、リン酸銅(CuPO)などが挙げられる。
Ptの前駆体としては、例えば、塩化白金(PtCl、PtCl)、臭化白金(PtBr、PtBr)、沃化白金(PtI、PtI)、塩化白金カリウム(K(PtCl))、ヘキサクロロ白金酸(HPtCl)、亜硫酸白金(HPt(SO)OH)、塩化テトラアンミン白金(Pt(NH)Cl)、炭酸水素テトラアンミン白金(C14Pt)、テトラアンミン白金リン酸水素(Pt(NH)HPO)、水酸化テトラアンミン白金(Pt(NH)(OH))、硝酸テトラアンミン白金(Pt(NO)(NH3)4)、テトラアンミン白金テトラクロロ白金((Pt(NH3)4)(PtCl4))、ジニトロジアミン白金(Pt(NO)(NH)などが挙げられる。
Auの前駆体としては、例えば、塩化金(AuCl)、臭化金(AuBr)、沃化金(AuI)、水酸化金(Au(OH))、テトラクロロ金酸(HAuCl)、テトラクロロ金酸カリウム(KAuCl)、テトラブロモ金酸カリウム(KAuBr)などが挙げられる。
Pdの前駆体としては、例えば、酢酸パラジウム((CH3COO)Pd)、塩化パラジウム(PdCl)、臭化パラジウム(PdBr)、沃化パラジウム(PdI)、水酸化パラジウム(Pd(OH))、硝酸パラジウム(Pd(NO))、硫酸パラジウム(PdSO)、テトラクロロパラジウム酸カリウム(K(PdCl))、テトラブロモパラジウム酸カリウム(K(PdBr))、テトラアンミンパラジウム塩化物(Pd(NHCl)、テトラアンミンパラジウム臭化物(Pd(NHBr)、テトラアンミンパラジウム硝酸塩(Pd(NH(NO3))、テトラアンミンパラジウムテトラクロロパラジウム酸((Pd(NH)(PdCl))、テトラクロロパラジウム酸アンモニウム((NHPdCl)等が挙げられる。
貴金属の前駆体は、それぞれ単独で、または2種類以上を組み合わせて使用される。その使用量は、貴金属原子に換算して、光触媒体粒子の使用量100質量部に対して、光触媒作用の向上効果が十分に得られる点で通常0.01質量部以上、コストに見合った効果が得られる点で通常1質量部以下であり、好ましくは0.05質量部〜0.6質量部である。
本発明では、原料分散液に所定のエネルギーを有する光を照射した後に、公知の範囲である犠牲剤を原料分散液に添加してもよい。
犠牲剤としては、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール等のアルコール、アセトン等のケトン、蓚酸等のカルボン酸などが用いられる。犠牲剤が固体の場合、この犠牲剤を適当な溶媒に溶解して用いてもよいし、固体のまま用いてもよい。尚、犠牲剤は、原料分散液に一定時間光照射を行った後に添加し、さらに光照射を行う。
犠牲剤の量は分散媒に対して、通常0.001質量倍〜0.3質量倍、好ましくは0.005質量倍〜0.1質量倍である。あくまでもこの犠牲剤は、貴金属の担持状態の改良を目的としている。使用量が0.001質量倍未満では光触媒体粒子への貴金属の担持が不十分となり、0.3質量倍を超えると犠牲剤の量が過剰量となりコストに見合う効果が得られない。犠牲剤の中のアルコールの中には本発明の構成である、連鎖移動効果を奏するもののある。本発明と同様の効果を奏するのであれば、本発明の構成下でこの犠牲剤を併用することもできる。
(光の照射)
本発明では、かかる原料分散液に光を照射する。原料分散液への光の照射は、撹拌しながら行ってもよい。透明なガラスやプラスチック製の管内を通過させながら管の内外から照射してもよく、これを繰り返してもよい。
光源としては、光触媒体粒子のバンドギャップ以上のエネルギーを有する光を照射できるものであれば特に制限はなく、具体例としては、殺菌灯、水銀灯、発光ダイオード、蛍光灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、太陽光などを用いることができる。
照射する光の波長は、光触媒体粒子によって適宜調整すればよく、通常、180nm〜500nmである。光照射を行う時間は、十分な量の貴金属を担持できることから、犠牲剤の添加前後において、通常20分以上、好ましくは1時間以上、通常24時間以下、好ましくは6時間以下である。24時間を越える場合、それまでに貴金属の前駆体の殆どは貴金属となって光触媒体粒子に担持されてしまい、光照射にかかるコストに見合う効果が得られない。また、犠牲剤の添加前に光照射を行わない場合、光触媒体粒子への貴金属の担持が不均一となり、高い光触媒活性が得られない。
(pH調整)
本発明では、原料分散液のpHを2.8〜5.5、好ましくは3.0〜5.0に維持しながら光照射を行う。pHが2.8未満であると、光触媒体粒子が凝集して分散安定性が悪くなり、pHが5.5を越えると、例えば光触媒体粒子が酸化タングステンの場合、徐々に溶解していき、光触媒活性が損なわれることがある。
通常、光照射により貴金属が光触媒体粒子の表面に担持される際には原料分散液のpHが酸性に除々に変化するので、pHを本発明で規定する範囲内に維持するため、通常塩基を添加すればよい。これにより分散安定性に優れる貴金属担持光触媒体粒子分散液が得られる。
塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化ランタン等の水溶液が挙げられるが、これらの中でもアンモニア水および水酸化ナトリウムを用いるのが好ましい。
(溶存酸素量)
本発明では、原料分散液への光照射前もしくは光照射中に、原料分散液中の溶存酸素量を1.0mg/L以下、好ましくは0.7mg/L以下に調整する。溶存酸素量の調整は、例えば、原料分散液に酸素を含まないガスを吹き込むことにより行うことができ、前記ガスとしては、例えば、窒素、および希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン等)などがあげられる。溶存酸素量が1.0mg/Lを越える場合、貴金属の前駆体の担持のほかに、溶存酸素の還元反応が起こり、貴金属の担持が不均一となり、高い光触媒活性が得られない。
本発明で使用する光触媒体粒子とは、粒子状の光触媒体をいう。光触媒体としては、金属元素と酸素、窒素、硫黄および弗素などとの化合物が挙げられる。金属元素としては、例えば、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pd、Bi、La、Ceなどが挙げられる。その化合物としては、これら金属元素の1種類または2種類以上の酸化物、窒化物、硫化物、酸窒化物、酸硫化物、窒弗化物、酸弗化物、酸窒弗化物などのいわゆる複合酸化物が挙げられる。なかでも、酸化タングステンは、可視光線(波長約400nm〜約800nm)を照射したとき、高い光触媒活性を示すことから、本発明に好適である。また従前の酸化チタンなどの光触媒粒子であっても、本発明の製造法によれば、より好ましい状態で貴金属担持が可能になるので、用途、性能によっては十分な効果を発揮することができ、本発明の明確な適応範囲となる。
この光触媒体粒子の大きさは通常、平均粒子径が40nm〜250nmである。粒子径は小さいほど分散媒中での分散安定性は向上し、光触媒体粒子の沈降を抑制することが出来るので好ましく、例えば150nm以下が好ましい。また分散状態は市販のコールターカウンターなどで容易に測定可能である。
かかる光触媒体粒子のうちで、酸化タングステン粒子は、例えばタングステン酸塩の水溶液に酸を加えることにより、沈殿物としてタングステン酸を得、得られたタングステン酸を焼成する方法により得ることができる。また、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウムを加熱することにより熱分解する方法により得ることもできる。本発明の製造方法にあっては、酸化タングステンまたは酸化チタンを使用することが好ましい。また、これら光触媒体粒子は、必要に応じ、分散させる前に粉砕する。
酸化タングステン光触媒粒子の粉砕条件は例えば以下である。酸化タングステンの中でも貴金属として銅を担持した光触媒粒子に関して説明する。このような工程を経て製造された銅担持光触媒粒子であっても、さらに、本発明の製法により効率よく白金や他の貴金属を担持することができる。また、本発明にあっては、上記担持させる貴金属が、銅および/または白金である、貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法において、当該貴金属担持光触媒体粒子が、光触媒体粒子、銅、白金の順番に担持されたもの、または、光触媒体粒子、白金、銅の順番に担持されたもののいずれかである場合は好ましい形態となる。
[銅担持酸化タングステン系光触媒の分散液の製造方法の一例]
本発明の銅イオン担持酸化タングステン系光触媒の分散液の製造方法は、銅担持酸化タングステン系粒子に対し、溶媒中で機械的粉砕処理を施し(溶媒中での粉砕処理工程)、その後、酸化性ガスと接触させることもできる。
(1)溶媒中での粉砕処理工程:
当該工程における粉砕処理には、湿式の機械的処理装置が使用される。具体的には、ボールミル、高速回転粉砕機、媒体攪拌ミル等の粉砕装置を用いることができる。なかでも、湿式ビーズミルがハンドリングしやすく、効率良く粉砕できるため好ましい。これによって、微粒子化しやすくなり溶媒中における分散性が向上する。
粉砕時間は1時間以上であることが好ましい。1時間以上処理することで、均一に粉砕することができる。
溶媒としては、水及び有機溶媒(例えば、アセトン、アルコール、エーテル、ケトン等)が挙げられる。なかでも、水又はアルコール類を用いることが環境面から好ましい。ただし、水を溶媒とすると、粉砕条件によっては、水分子の挿入によって酸化タングステンの結晶構造が変化し、高い光触媒活性が得られなくなる可能性がある。
従って、そのような懸念のないアルコール類を用いることが特に好ましい。
例えば、アルコールとしては、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。エーテルとしては、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられる。ケトンとしては、メチルエチル
ケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
機械的粉砕処理によって得られる銅イオン担持酸化タングステンのBET法での表面積は、特に制限されないが、粉末状態にしたときの比表面積値として20m/g以上であるのが好ましく、35m/g以上であるのがより好ましい。比表面積値が20m/g以上であることで、有機溶媒中での分散状態が良好となり、固液分離の著しい進行を防ぐことができる。
また、コールターカウンター法による粒径分布解析によって得られる散乱強度基準の分布から求められる50%粒径(D50)は250nm以下、かつ90%粒径(D90)は400nm以下にすることが好ましく、D50は200nm以下、かつD90は300nm以下にすることがより好ましい。
なお、機械的粉砕処理による酸化タングステン中のタングステン還元種の生成が進行すると、粉末の色が黄色から緑色へと変化する。
ここで、酸化タングステンを銅イオンで担持する方法(銅イオン担持工程)としては、例えば酸化タングステン粉末を、銅二価塩(塩化銅、酢酸銅、硫酸銅、硝酸銅など)、好ましくは塩化銅(II)を極性溶媒に加え混合して、乾燥処理し、酸化タングステン表面に銅イオンを担持させる方法を用いることができる。また、当該工程では、有機溶媒中での粉砕処理工程を経た後の分散液を酸化性ガスと接触させる。これにより、光触媒の活性劣化の原因となるタングステンの還元種が酸化され、高い光触媒活性を発現させることができる。
接触工程における酸化性ガスとしては、酸素ガス又はオゾンを使用するが、これらいずれかと共に、NOx、塩素等を併用してもよい。酸化性ガスによる接触手段としては、分散液中に当該ガスを供給するバブリング手段が好ましい。この場合の供給速度は、分散液100mL当たり0.01〜1ml/minであることが好ましく、0.05〜0.2ml/minであることがより好ましい。
可視光応答性が向上する触媒活性の向上する機構は良くわからないが、本発明の重合開始剤または連鎖移動剤存在下の光照射して光触媒粒子上に貴金属を担持する工程を、上記、機械的粉砕処理工程を経て銅が担持された光触媒に、重合開始剤や連鎖移動剤を配合し光照射しながら再分散すると、より触媒活性が向上する場合がある。
また、銅または白金などの担持量は、酸化タングステン100質量部に対し金属(Cu)また(白金)換算で0.01〜0.06質量部であることが好ましく、0.02〜0.06質量部であることがより好ましく0.02〜0.04質量部であることが最も好ましい。担持量が0.01質量部以上であることで、光触媒とした際の光触媒能を良好なものとすることができる。0.06質量部以下であることで、銅の凝集が起こりにくく、光触媒とした際の光触媒能が低下するのを防ぐことができる。
またこの銅などの貴金属担持工程を、重合開始剤または連鎖移動剤存在下で、光照射しながら行うことでより効率よく、貴金属の光触媒粒子表面への担持が完了する。また本発明の工程では、銅を必要以上に担持させた場合でも、凝集などの問題は起こりにくくなっている。
本発明で使用する光触媒性を有するタングステン酸化物やチタン酸化物前駆体溶液の分散液に配合する重合開始剤であるが、熱重合開始剤や光重合開始剤のいずれでも使用することができる。また光を照射する前に、光触媒性を有するタングステン酸化物やチタン酸化物前駆体溶液の分散液に配合ことが好ましい。上記熱重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス−〔2−(2−イミダゾリン)−2−イル〕プロパン〕二塩酸塩等のアゾ系化合物等の水溶性ラジカル重合開始剤が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。これら熱重合開始剤の中でも、水溶性のラジカル重合開始剤の使用が好ましい。当該光触媒粒子を製造するための原料だる触媒成分が塩となり溶解した前駆体などの原料は水溶液の分散状態であることが取り扱いやすく、また配合する貴金属成分も溶液状態の塩であると、光触媒粒子表面への担持も効率よく、均一に行え、光触媒粒子の粒子径も微細なナノ状態まで制御できるという目的で水溶液の状態が好ましいからである。
使用量も特に制限がなく、所望される可視光応答性や分散性を考慮し適宜設定すればよい。通常、上記熱重合開始剤の使用量は、光触媒成分1重量%に対して、0.0001〜0.05gの範囲内が好適である。特に限定されるものではない。
また、光重合開始剤としては、以下のような化合物を用いることができる。この中で水溶性の光重合開始剤の使用は好ましい。理由は上記と同様である。2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1,1′−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2′−アゾビス(2−N−シクロへキシルアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ系光重合開始剤。
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)とベンゾフェノンとの共融混合物、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369)と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)との3:7の混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:1の混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:1の液状混合物、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの共融混合物、4−メチルベンゾフェノンとベンゾフェノンとの液状混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドとオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]とメチルベンゾフェノン誘導体との液状混合物。
1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、α−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、アクリル化アミンシナジスト、ベンゾイン(iso−及びn−)ブチルエステル、アクリルスルホニウム(モノ、ジ)ヘキサフルオロリン酸塩、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド、2−ブトキシエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインヒドロキシアルキルエーテル、ジアセチル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ジフェニルジスルフィド及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体。
上記光重合開始剤の使用量としては、光触媒粒子1重量%に対して、0.0001g以であることが好ましく、また、1g以下が好ましい。これにより、光照射時に貴金属担持状態が好ましく改善され、製造された光触媒粒子の可視光応答性が向上する。
光触媒粒子前駆体分散液に光照射する技術に関し、ラジカル重合開始剤存在下により、その光照射を行う上記製法を行う場合に使用する光であるが、紫外線および/または可視光線が用いられ、この中でも励起性能がよく、工業的にも入手が容易である紫外線光源が好ましく用いられる。光照射の強度は、単量体の種類、光重合開始剤の種類や濃度、目的とする重合体の粘度、および重合時間を考慮して決定されるが、一般に1〜100,000W/m2であることが好ましく、より好ましくは10〜10,000W/m2であり、更に好ましくは50〜1,000W/m2である。光照射の強度は、重合中一定であっても、または重合途中で変化させてもよい。光源としては、単量体を光重合させ得る紫外線および/または可視光線を放出し得るものであれば特に限定されず、例えば、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等を使用することができる。また所望により重合開始剤や連鎖移動剤の効果が奏するのであれば、可視光範囲の光源を採用することも可能である。
紫外線および/または可視光線を光触媒前駆体と貴金属化合物の配合された分散液等に照射することにより、光重合開始剤であればラジカルが発生し、担持が効率よく行われる。このように光照射下に担持を行う場合には、近紫外線や紫外線を0.1〜100W/m2の強度で照射することが好ましく、これにより、担持に不適切な励起を制御することができる。また熱重合開始剤は通常熱でラジカルが発生するが、光触媒粒子自体が光照射により励起するのでそれにあわせ熱重合開始剤が作用し重合開始剤からラジカルが発生し、光触媒粒子への貴金属の担持が効率よく行われると考えている。
上記、貴金属が担持された光触媒粒子分散液の製造方法においてはまた、上記重合開始剤とともに連鎖移動剤を併用することが好ましい。適当量の連鎖移動剤を使用することにより、光照射により生成したラジカルが、延命し、光触媒の励起効果を高め、貴金属の担持がより好ましい状態になる。その結果、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオ酢酸、メルカプトエタノールや多価メルカプタン等の含硫黄化合物;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム等の亜燐酸系化合物;次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸系化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類が好適である。これらの中でも、水溶性である化合物次亜燐酸系化合物や硫黄含有化合物が好ましく、具体的には、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸およびチオグリコール酸のいずれかも好ましい。また発生したラジカルの延命、作用点の確保という意味では多価メルカプタンが好ましい。
本発明で好ましく用いることができる多価メルカプタンとしては、例えば、エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールジチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールジチオグリコレート、1,4−ブタンジオールジチオプロピオネートなどエチレングリコールや1,4−ブタンジオールのようなジオールとカルボキシル基含有メルカプタン類のジエステル;トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネートなどトリメチロールプロパンのようなトリオールとカルボキシル基含有メルカプタン類のトリエステル;ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートなどペンタエリスリトールのような水酸基を4個有する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類のポリエステル;ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオプロピオネートなどジペンタエリスリトールのような水酸基を6個有する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類のポリエステル化合物;その他水酸基を3個以上有する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類のポリエステル化合物;トリチオグリセリンなどのメルカプト基を3個以上有する化合物;2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジンなどのトリアジン多価チオ−ル類;多価エポキシ化合物の複数のエポキシ基に硫化水素を付加させて複数のメルカプト基を導入してなる化合物;多価カルボン酸の複数のカルボキシル基とメルカプトエタノ−ルをエステル化してなるエステル化合物;などを挙げることができ、これらの1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記連鎖移動剤の使用量としては、特に限定されない。使用される光触媒粒子前駆体量濃度や光重合開始剤との組み合わせ等により適宜設定すればよい。本発明の光照射担持に使用される光触媒前駆体1重量%に対して、0.0001g以上が好ましく、また、0.2g以下が好ましい。また、更に好ましくは、0.001g以上であり、また、0.15g以下であり、特に好ましくは、0.005g以上であり、また、0.10g以下である。
なお、本発明の趣旨は、光触媒前駆体分散液と貴金属化合物の配合物に、光照射し励起させ、光触媒粒子に貴金属担持が行われる。光触媒粒子であれば光の照射に伴い、ラジカルが発生する。所以に熱重合開始剤であっても、発生したラジカルを十分の増幅することができるのである。また光重合開始剤であれば、自身も光照射に伴い、分解しラジカルを発生するので、光触媒粒子から発生するラジカルと共に触媒表面の活性化に寄与する。これが本発明の趣旨である。
(貴金属担持光触媒体粒子)
上記のように、重合開始剤(好ましくは光重合開始剤)や連鎖移動剤が配合された状態で好ましくは原料分散液のpHを調整しながら、さらに好ましくは溶存酸素量を所定値以下にして、原料分散液に光照射を行い、犠牲剤添加後、さらに光を照射することにより、貴金属前駆体が貴金属となって光触媒体粒子の表面に担持されて、目的の貴金属担持光触媒体粒子を得ることができる。この貴金属担持光触媒体粒子は用いた分散媒中に、沈降することなく分散されている。本明細書では、場合により光触媒粒子前駆体という表現でこの原料液を呼ぶ場合もある。
(貴金属担持光触媒体粒子分散液)
この貴金属担持光触媒体粒子が分散された貴金属担持光触媒体粒子分散液は、貴金属担持光触媒体粒子の分散安定性に優れているため取り扱いやすく、しかも高い光触媒活性を発現する。本明細書では、貴金属原料液を、貴金属前駆体や貴金属含有前駆体液などの表現をする場合もある。
(ラジカル生成量)
本発明の貴金属担持光触媒体粒子分散液は、可視光照射、例えば、照度20000ルクスの白色発光ダイオードを光源とする可視光照射を20分間行うことにより、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり7.5×1017個以上、好ましくは7.8×1017個以上のOHラジカルを生成する。
さらに好ましくは、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり1.0×1018個以上のOHラジカルを生成する形態は本発明の好ましい形態の一つであるといえる。より好ましくは、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり2.0×1018個以上のOHラジカルを生成する形態である。さらに好ましくは、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり3.0×1018個以上のOHラジカルを生成する形態である。さらには、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり5.0×1018個以上のOHラジカルを生成する形態である。本発明における重合開始剤存在下に光を照射して製造される光触媒粒子は、貴金属担持段階で発生したラジカルを増強するので、
OHラジカルの生成量が7.5×1017個未満の場合、可視光照射下で高い光触媒活性が得られないことがある。また、白色発光ダイオードを光源とすることで、可視光線(波長約400nm〜約800nm)のみを貴金属担持光触媒体粒子分散液に照射することができる。本発明では光触媒製造時にも重合開始剤、好ましくは光重合開始剤を配合した状態で、この光照射(可視光照射や、UV照射)が行われるので、OHラジカルの生成量が、重合開始剤が存在しない系に比べ格段に増加する。また好ましくは連鎖移動剤の存在により発生したラジカルの延命が図れるので、さらに貴金属の担持効率が格段に改善されるのである。また必要に応じ本発明の製造方法で製造された光触媒粒子には、重合開始剤が残存するので、光触媒粒子としてその効果の発現が改良される。つまりは可視光応答性が向上するのであると考えられる。
そこで、本発明の製造方法で製造された光触媒粒子の効果を確認するためにはラジカル発生量を測定することが好ましい。
なお、光触媒粒子の可視光応答性の物性として、可視光照射時のラジカル発生量を算定するとよい。例えばそのラジカル生成量は、ラジカル捕捉剤であるDMPO(5,5-dimethyl-1-pyrroline-N-oxide)の存在下で貴金属担持光触媒体粒子分散液に可視光線を照射した後、ESRスペクトルを測定し、次いで、得られたスペクトルについてシグナルの面積値を求め、この面積値から算出する事ができる。この評価法の一例を以下に示すが、勿論他の方法であってもよい。
ラジカル数の算出に際して、可視光線の照射は室温大気下で、白色発光ダイオードを光源とし、照度20000ルクスにて20分間行われる。
ESRスペクトルの測定は、貴金属担持光触媒体粒子分散液に可視光線を20分間照射した後、5分以内に、「EMX‐Plus」(BRUKER製)を用いて、照度500ルクス未満の蛍光灯の光が室内光として当たった状態で行われる。
尚、ESRスペクトルの測定条件は、温度:室温、圧力:大気圧、Microwave Frequncy:9.86GHz、Microwave Power:3.99mW、Center Field:3515G、Sweep Width:100G、Conv. Time:20.00mSec、Time Const.:40.96ms、Resolution:6000、Mod.Amplitude:2G、Number of Scans:1、測定領域:2.5cm、磁場公正:テスラメーター使用である。
ラジカル数の算出に際して、DMPOのOHラジカル付加体であるDMPO‐OHのESRスペクトルとラジカル数が既知の物質のESRスペクトルとを対比して行う。
具体的には、以下の(1)〜(7)の手順で行う。
前記DMPO‐OHの数を算出するため、まずESRスペクトルから求められる面積とラジカル種の数の関係式を以下の手順で求める。ラジカル数が既知の物質として、4-hydroxy-TEMPOを用いる。
(1)4-hydroxy-TEMPO(4-Hydroxy-2,2,6,6-tetramethyl-piperidine-1-oxyl)(純度98%)0.17621gを100mLの水に溶解する。得られた液を水溶液Aとする。水溶液Aの濃度は10mMである。
(2)水溶液Aを1mL取り、そこに水を加えて100mLにする。得られた液を水溶液Bとする。水溶液Bの濃度は0.1mMである。
(3)水溶液Bを1mL取り、そこに水を加えて100mLにする。得られた液を水溶液Cとする。水溶液Cの濃度は0.001mMである。
(4)水溶液Bを1mL取り、そこに水を加えて50mLにする。得られた液を水溶液Dとする。水溶液Dの濃度は0.002mMである。
(5)水溶液Bを3mL取り、そこに水を加えて100mLにする。得られた液を水溶液Eとする。水溶液Eの濃度は0.003mMである。
(6)水溶液C、D、Eの各液をフラットセルに充填し、ESRスペクトルの測定を行う。得られる3本のピーク(面積比1:1:1)の低磁場側の1本の面積を求め、これを3倍したものを4-hydroxy-TEMPOの各濃度における面積とする。尚、ピークの面積は、ESRスペクトル(微分形)を積分形に変換して求める。
(7)4-hydroxy-TEMPOは1分子当たりラジカルを1つ有することから、水溶液C〜Eに含まれる4-hydroxy-TEMPOのラジカル数を算出し、これと前記ESRスペクトルから求めた面積を用いて1次線形近似式を得ることができる。
次に、DMPO‐OHのESRスペクトルと、既知濃度の4-hydroxy-TEMPOを用いて算出した前記1次線形近似式から、白色発光ダイオード照射後のOHラジカルの数y1を算出する。さらに、光照射前の貴金属担持光触媒体粒子分散液に含まれるOHラジカル数y2も同様に算出し、これらの差(y1−y2)が白色発光ダイオードの照射により生成したOHラジカルの数である。勿論これ以外の公知のラジカル発生量測定手法で本発明の光触媒粒子の性能を評価することもできる。
また本発明の製造方法では、光照射しながら貴金属を担持する工程で好ましいとされる原料分散液中の溶存酸素量を1.0mg/L以下に制御することなど不要となる。
なお本発明の延長上ではあるが、今後は、光触媒粒子にいかに効率よく貴金属を担持するか。どういう順番で貴金属を担持をするか。どういう厚みで担持するか。などの開発が行われると想定する。光照射により担持する技術をいかに工業的にうまく展開させていくかが今後のポイントになるであろう。以下に本発明の別形態の一つの形態としてその一例を示しておく。
酸化チタンや、酸化タングステン粒子表面に、二重結合を有するチタンカップリング剤を部分的にコートする。二重結合のあるチタンカップリング剤としては、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリアシルフェニルチタネートネオペンチル(ジアリル)オキシートリ(ジオクチル)ホスフェイトチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシートリネオドデカノイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート:などである。
光触媒粒子表面に二重結合を有するチタン系のカップリング剤で薄膜を導入した結果、光照射で励起された電子やラジカルが、何も処理されていない酸化チタンや酸化タングステン触媒粒子よりも、安定化し、励起状態が維持できる可能性がある。
ただ酸化タングステンや酸化チタンの光触媒粒子で、当該光触媒粒子表面に二重結合を有するチタン系のカップリング剤で薄膜を導入した光触媒の反応場表面を薄く覆うことになるので、反応場として減少する可能性はある。
しかし、酸化タングステンや酸化チタンの光触媒粒子で、当該光触媒粒子表面に二重結合を有するチタン系のカップリング剤で薄膜を導入した光触媒にさらに、光照射条件下で、銅や白金などの貴金属を助触媒として配合する場合には、銅や白金などの貴金属の担持状態も改善され、可視光励起効率が、酸化チタンや酸化タングステンの光触媒と助触媒として配合する金属化合物前駆体混合液に光照射し担持させた光触媒に比べ改良が見受けられた。
酸化タングステンや酸化チタンの光触媒粒子で、当該光触媒粒子表面に二重結合を有するチタン系のカップリング剤で薄膜を導入した光触媒は本発明における好ましい原料の一つである。
以下、 本発明にかかる分散液の製造方法の実施例を説明する。
(実施例1):光重合開始剤存在下で光照射し酸化タングステンに白金を担持。
分散媒としてイオン交換水4kgに、酸化タングステン粒子(日本無機化学工業(株)製)1kgを加えて混合して混合物を得た。この混合物を湿式媒体撹拌ミル(コトブキ技研工業(株)製の「ウルトラアペックスミル
UAM−1」)を用いて下記の条件で分散処理して酸化タングステン粒子分散液を得た。
粉砕メディア:直径0.05mmのジルコニア製ビーズ1.85kg
撹拌速度 :周速12.6m/秒
流速 :0.25L/分
合計処理時間:約50分
得られた酸化タングステン粒子分散液における酸化タングステン粒子の平均分散粒子径は118nmであった。また、この酸化タングステン粒子分散液の一部を真空乾燥して固形分を得たところ、得られた固形分のBET比表面積は、40m/gであった。なお、分散処理前の混合物についても同様に真空乾燥して固形分を得、分散処理前の混合物の固形分と分散処理後の固形分について、X線回折スペクトルをそれぞれ測定して比較したところ、同じピーク形状であり、分散処理による結晶型の変化は見られなかった。この時点で、得られた酸化タングステン粒子分散液を20℃で24時間保持したところ、保管中に固液分離は見られなかった。
この酸化タングステン粒子分散液にヘキサクロロ白金酸(HPtCl)の水溶液をヘキサクロロ白金酸が白金原子換算で酸化タングステン粒子の使用量100質量部に対して0.12質量部になるように加え、原料分散液としてヘキサクロロ白金酸含有酸化タングステン粒子分散液を得た。この原料分散液100質量部中に含まれる固形分(酸化タングステン粒子の量)は、17.6質量部(固形分濃度17.6質量%)であった。その後この原料分散液のpHは2.0であった。
次いで、pH電極と、このpH電極に接続され、0.1質量%のアンモニア水を供給してpHを一定に調節する制御機構を有するpHコントローラ(pH=3.0に設定)と、窒素吹込み菅を備え、水中殺菌灯(三共電気(株)製の「GLD15MQ」)を設置したガラス管(内径37mm,高さ360mm)からなる光照射装置で、原料分散液1200gを、毎分1Lの速度で流通させながら、この原料分散液のpHを3.0にした。窒素の吹き込み量は毎分2Lの速度で行った。原料分散液中の溶存酸素量が0.5mg/Lになった後、引き続き窒素を吹き込み、さらに、窒素吹き込みを継続し、光重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩を、原料光触媒前駆体液1200gに対して0.1%である1.2gを、この原料分散液に投入した。原料分散液を流通させながら光照射(紫外線照射)を2時間行い、白金担持酸化タングステン粒子分散液を得た。光照射前および光照射中に消費した0.1重量%アンモニア水の合計量は103gであった。光照射中、pHは3.0で一定であった。また光重合開始剤配合により特段の問題は発生しなかった。
得られた白金担持酸化タングステン粒子分散液を20℃で24時間保管したところ、保管後に固液分離は見られなかった。また、この白金担持酸化タングステン粒子分散液の白色発光ダイオード照射下でのOHラジカル生成量を測定すると、(詳細条件などは明細書本文にある)、白金担持酸化タングステン粒子1g当たり7×1018個であった。さらに、この白金担持酸化タングステン粒子分散液を用いて形成した光触媒体層の光触媒活性を評価したところ、一次反応速度定数は0.45h−1であった。
(実施例2)連鎖移動剤を併用した光照射担持の例:白金担持酸化タングステン
硫黄系の連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール0.0031gを純水に希釈して1%水溶液として0.31gを光重合開始剤と同時に供給する以外、または光照射時間を1時間に短縮する以外は実施例1と同様に行った。
得られた白金担持酸化タングステン粒子分散液を20℃で24時間保管したところ、保管後に固液分離は見られなかった。また、この白金担持酸化タングステン粒子分散液の白色発光ダイオード照射下でのOHラジカル生成量を測定すると、白金担持酸化タングステン粒子1g当たり6×1018個であった。さらに、この白金担持酸化タングステン粒子分散液を用いて形成した光触媒体層の光触媒活性を評価したところ、一次反応速度定数は0.40h−1であった。実施例1と実施例2より、連鎖移動剤の併用で光照射時間が約半分ほど少なくても同等のレベルまで光触媒活性が高まった光触媒粒子が製造されていることがわかった。
以上より、光触媒体粒子100質量部に対して、貴金属原子を0.01質量部〜1質量部含有し、照度20000ルクスの白色発光ダイオードを光源とする可視光照射を20分間行うことにより、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり1.0×1018個以上のOHラジカルを生成する形態は本発明の好ましい形態の一つであるといえる。より好ましくは、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり2.0×1018個以上のOHラジカルを生成する形態である。さらに好ましくは、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり3.0×1018個以上のOHラジカルを生成する形態である。さらには、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり5.0×1018個以上のOHラジカルを生成する形態が可視光応答性の点で好ましい物性である。
(実施例3):粒子径が大きくなるが市販の酸化タングステンに銅を重合開始剤存在下の光照射で担持させた。
実施例1において原料を酸化タングステン(アライドマテリアル社製F1−WO)500g、そして重合開始剤存在下で光照射する際に、配合する貴金属分散液として、光塩化銅水溶液4L(WOに対してCuとして0.1質量%相当)に変更した以外は同様に処理を行い、銅が担持された酸化タングステンを得た。貴金属担持光触媒体粒子1g当たり2.0×1018個以上のOHラジカルを生成した。また、この白金担持酸化タングステン粒子分散液を用いて形成した光触媒体層の光触媒活性を評価したところ、一次反応速度定数は0.2h−1であった。
(実施例4):細かい粒子径を調整した銅担持酸化タングステンに対して、重合開始剤と連鎖移動剤存在下に、白金を担持した光触媒粒子。
重合開始剤存在下に、光照射しながら白金を担持させる光触媒粒子として、以下のように、銅が担持された光触媒粒子を使用した以外は実施例2と同様に、重合開始剤と連鎖移動剤存在下に光照射を行い、結果として、酸化タングステン粒子表面に、銅、ついで、白金が担持された光触媒粒子を得た。
銅が担持された酸化タングステンの製法は以下である。
酸化タングステン粉末(アライドマテリアル社製F1−WO)500gを塩化銅水溶液4L(WOに対してCuとして0.1質量%相当)に添加した。次いで、攪拌しながら90℃1時間加熱処理を行った後、吸引ろ過にて洗浄回収し、120℃で1昼夜乾燥後、メノウ乳鉢にて粉砕し、Cuを0.04質量%担持したBET法で測定した比表面積が9m/gの酸化タングステン粉末を得た。
次いで、当該銅イオン担持酸化タングステン粉末100gを変性アルコール(標準組成:エタノール:85.5重量%、メタノール:4.9重量%、ノルマルプロピルアルコール:9.6重量%、水:0.2重量%:日本アルコール販売株式会社ソルミックスa7)900gに分散し、ビーズミル(淺田鉄工(株)のピコミル:pcr−lr、ジルコニアビーズ:0.5mm(予備粉砕用)、0.1mm(本粉砕用)、充填率:90%)にて(予備粉砕:周速12m/sec、流速:0.3l/min、60分間、本粉砕:周速12m/sec、流速:0.3l/min、90分間)粉砕し、銅イオンが担持された酸化タングステンのアルコール分散液を得た。この分散液における、銅イオンが担持された酸化タングステンのD50は130nmであり、D90は270nmであった。銅イオンが担持された酸化タングステンのアルコール分散液・100mlに、オゾン発生装置(エコデザイン株式会社
型式:ed−0g−r3lt)を通し、5体積%のオゾンを含む酸素をバブリングしながら(供給速度:0.1ml/min)、3時間、攪拌することで、銅イオンを担持した酸化タングステンのアルコール分散液を得た。
処理後の分散液を室温にて乾燥を行った後、メノウ乳鉢にて粉砕し、銅イオン担持酸化タングステン系光触媒粉末を得た。得られた粉末のBET比表面積は38m/gであった。この原料粉末1kgに対して、実施例1と同様に、分散媒としてイオン交換水4kgと混合した。この混合物を湿式媒体撹拌ミル(コトブキ技研工業(株)製の「ウルトラアペックスミル
UAM−1」)を用いて下記の条件で分散処理して酸化タングステン粒子分散液を得た。
粉砕メディア:直径0.05mmのジルコニア製ビーズ1.85kg
撹拌速度 :周速12.6m/秒
流速 :0.25L/分
合計処理時間:約30分
得られた酸化タングステン粒子分散液における酸化タングステン粒子の平均分散粒子径は130nmであった。なお実施例では粉末製造段階で事前に十分にミル処理されていたので、湿式媒体撹拌ミルは必要最低限の条件で行った。後は実施例1と同様にして、重合触媒存在下で光照射処理し、さらに銅イオンを担持した酸化タングステンに白金を担持した光触媒を得た。貴金属担持光触媒体粒子1g当たり8×1018個以上のOHラジカルを生成した。また、この白金担持酸化タングステン粒子分散液を用いて形成した光触媒体層の光触媒活性を評価したところ、一次反応速度定数は0.5h−1であった。粒子径の細かさとあいまって、本発明の処方である、連鎖移動剤などの配合効果により製造された光触媒粒子の可視光応答性が向上した。
(実施例5):重合開始剤存在下光照射での白金担持酸化チタンの製造例
実施例1において原料を、市販の酸化チタン(石原産業(株)製)に変更し、湿式媒体撹拌ミル(コトブキ技研工業(株)製の「ウルトラアペックスミル
UAM−1」)を用いて湿式分散し、平均粒子径180nmのものを得た。それ以外は実施例1と同様にして、白金が担持された酸化チタン光触媒を得た。
得られた白金担持酸化チタン粒子分散液を20℃で24時間保管したところ、保管後に固液分離は見られなかった。また、この白金担持酸化チタン粒子分散液の白色発光ダイオード照射下でのOHラジカル生成量を測定すると、(詳細条件などは明細書本文にあるので参照の事)、白金担持酸化チタン粒子1g当たり6×1017個であった。さらに、この白金担持酸化チタン粒子分散液を用いて形成した光触媒体層の光触媒活性を評価したところ、一次反応速度定数は0.1h−1であった。
得られた、白金担持酸化チタン粒子は、酸化タングステンより光触媒活性は低いが通常レベル以上であった。本発明の処理を、各種貴金属担持型酸化チタンに応用することでも、通常の方法で製造した貴金属担持型酸化チタンよりも光触媒活性が向上した貴金属担持型酸化チタン粒子を得ることができる。
(実施例6):連鎖移動剤として多価メルカプタンを使用した担持例
実施例2で使用した連鎖移動剤の2−メルカプトエタノールを、ジペンタエリスリトール−β−メルカプトプロピオネート(以下、DPMPと略する)1.2重量部、溶剤として酢酸エチル/アセトン混合溶媒各50重量部の混合液に変更し、この約1重量%濃度の連鎖移動剤混合液を、貴金属を担持させる光重合粒子に対し10重量%の割合で使用する以外、後は実施例2や実施例1と同様に、光照射時間を1時間にし、光触媒粒子に貴金属の担持を行った。
得られた白金担持酸化タングステン粒子分散液を20℃で24時間保管したところ、保管後に固液分離は見られなかった。また、この白金担持酸化タングステン粒子分散液の白色発光ダイオード照射下でのOHラジカル生成量を測定すると、白金担持酸化タングステン粒子1g当たり9×1018個であった。さらに、この白金担持酸化タングステン粒子分散液を用いて形成した光触媒体層の光触媒活性を評価したところ、一次反応速度定数は0.55h-1であった。多価メルカプタン系の連鎖移動剤の併用で光照射時間が1時間で約半分ほど少なくても同等のレベル以上まで光触媒活性が高まった光触媒粒子が製造されていることがわかった。
以上より、連鎖移動剤存在下に光照射し貴金属を担持した光触媒にあっては、光触媒体粒子100質量部に対して、貴金属原子を0.01質量部〜1質量部含有し、照度20000ルクスの白色発光ダイオードを光源とする可視光照射を20分間行うことにより、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり1.0×1018個以上のOHラジカルを生成する形態は本発明の好ましい形態の一つであるといえる。より好ましくは、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり2.0×1018個以上のOHラジカルを生成する形態である。さらに好ましくは、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり3.0×1018個以上のOHラジカルを生成する形態である。さらには、貴金属担持光触媒体粒子1g当たり5.0×1018個以上のOHラジカルを生成する形態であった。
(実施例7):連工程で、白金担持酸化タングステン粒子に銅を担持させた
実施例1において、光照射下貴金属を担持させる工程において、光重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩を0.31g(原料光触媒前駆体液に対して1000ppm)、(原料光触媒前駆体液に対して10ppm)この原料分散液に投入した。原料分散液を流通させながら光照射(紫外線照射)を2時間行い、白金担持酸化タングステン粒子分散液を得た後、さらに、この白金担持酸化タングステン粒子分散液500gに対し、同様の光重合開始剤と、連鎖移動剤として光塩化銅水溶液4L(WO3に対してCuとして0.1質量%相当)液を混合し、同様の光重合開始剤および、連鎖移動剤として、多価メルカプタンである、ジペンタエリスリトール−β−メルカプトプロピオネートを使用し、さらに光照射を1時間行い別の貴金属の光照射担持をおこなった。そして白金担持酸化タングステン粒子に銅を担持させた光触媒粒子を得た。
得られた白金担持酸化タングステン粒子表面に銅を担持させた光触媒粒子の分散液を20℃で24時間保管したところ、保管後に固液分離は見られなかった。また、この白金担持酸化タングステン粒子表面に銅を担持させた光触媒粒子の白色発光ダイオード照射下でのOHラジカル生成量を測定すると、白金担持酸化タングステン粒子表面に銅を担持させた光触媒粒子1g当たり2×1019個であった。さらに、この白金担持酸化タングステン粒子分散液を用いて形成した光触媒体層の光触媒活性を評価したところ、一次反応速度定数は0.75h−1であった。多価メルカプタン系の連鎖移動剤の併用と銅と白金の併用効果で、光触媒活性が高まった光触媒粒子が製造されていることがわかった。
また、上記の原料を選択し、実施例7と同様にして、多価メルカプタン存在下に光照射を行い、酸化タングステン⇒銅⇒白金が担持されるように光触媒粒子を製造した。物性は同等であった。
(比較例1)
重合開始剤や連鎖移動剤を使用しない状態以外は実施例1と2と同じで、同様の実験を実施した。得られた白金担持酸化タングステン粒子分散液を20℃で24時間保管したところ、保管後に固液分離は見られなかった。また、この白金担持酸化タングステン粒子分散液の白色発光ダイオード照射下でのOHラジカル生成量を測定すると、白金担持酸化タングステン粒子1g当たり7×1017個であった。さらに、この白金担持酸化タングステン粒子分散液を用いて形成した光触媒体層の光触媒活性を評価したところ、一次反応速度定数は0.3h−1であった。
つまり重合開始剤を使用しないと、同じ3時間の光照射時間でありながら、得られた光触媒の可視光応答性(光活性)はやや悪いものとなった。ラジカル発生量でも、重合開始剤を併用しながら光照射したものは、白金担持酸化タングステン粒子1g当たり6×1018個となっており、重合開始剤を不存在下で光照射したこの比較例の白金担持酸化タングステン粒子1g当たり7×1017個でおおよそ1オーダーの改善が観測された。
以上より、本発明の重合開始剤の存在下さらに好ましくは連鎖移動剤存在下での光照射により、光触媒粒子への貴金属担持状態が改善され、その結果製造された光触媒粒子の可視光応答性などの可視光活性が向上するという有効性が判明した。通常、重合開始剤や連鎖移動剤はモノマーからポリマを製造するときに多用するものであるが、このように、光励起を伴う技術範囲に応用することにより、新たに、光触媒担持の効率化をあげることが確認できた。光触媒の光励起機構になんらかの好ましい影響を与え、貴金属の担持状態が重合開始剤や連鎖移動剤がないときに比べ変化しているものと考察している。
以下に表1として上記の実施例と比較例を評価した表を挿入する。本発明の効果が良く理解できる。

Claims (6)

  1. 光触媒体粒子の表面に貴金属が担持された貴金属担持光触媒体粒子が分散媒中に分散した貴金属担持光触媒体粒子分散液を製造する方法であって、原料分散液として、前記光触媒体粒子分散液および光触媒に担持する貴金属原料液が分散され原料分散液を使用し、この原料分散液に重合開始剤として、熱重合開始剤および/または光重合開始剤を存在させた状態で、
    前記原料分散液に、光を照射させることを特徴とする、貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法。
  2. さらに原料分散液に連鎖移動剤を配合し、連鎖移動剤も存在下に光を照射する請求項1記載の貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法。
  3. 上記光触媒体粒子が酸化タングステンおよび/または酸化チタンであり、上記担持させる貴金属が、銅および/または白金である、請求項1または2記載の貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法。
  4. 上記担持させる貴金属が、銅および/または白金である、貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法において、当該貴金属担持光触媒体粒子が、光触媒体粒子、銅、白金の順番に担持されたもの、または、光触媒体粒子、白金、銅の順番に担持されたもののいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載の貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法。
  5. 前記光触媒体粒子分散液および光触媒に担持する貴金属原料液が分散され原料分散液のpHを2.8〜5.5の範囲に調整後、光を照射するものである請求項1〜4のいずれかに記載の貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法。
  6. 前記、照射される光が、前記光触媒体粒子のバンドギャップ以上のエネルギーを有する光である請求項1〜5のいずれかに記載の貴金属担持光触媒体粒子分散液の製造方法。
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