図1〜3には、第1の実施形態を用いたアクチュエータデカプラ全体を参照番号10で示す。図1〜3に示すように、例示的アクチュエータデカプラ10は、例示的スリーブ部材12、例示的ハウジング部材14、例示的カムディスク16、例示的カムディスクカバー18、及び例示的結合ピン20を含む。例示的アクチュエータデカプラ10は、以下に更に説明するように、動力源(図示せず)及び荷重受容体(図示せず)を選択的に結合するように構成される。このようにして、アクチュエータデカプラ10は結合状態で、駆動部品30A(即ち電源及び関連する構成部品)を被動部品30B(図6及び22を参照)に係合させて、これらの部分が互いに回転方向、又は角方向及び長手方向又は軸方向の少なくとも一方に固定されるように作用し、アクチュエータデカプラ10は非結合状態で、被動部品30Bを駆動部品30Aから分離して、被動部品30Bが駆動部品30A及びアクチュエータデカプラ10に対して少なくとも回転方向と長手方向の両方に自由に平行移動するように作用する。幾つかの実施形態では、アクチュエータデカプラ10は、非結合状態で被動部品30Bが駆動部品30A及びアクチュエータデカプラ10に対して回転方向(即ち角方向)及び長手方向(即ち軸方向)の少なくとも一方に自由に平行移動するように構成される。それによって、以下に更に記載するように、アクチュエータデカプラ10は、これが搭載されている作動システムのジャミングに応動して、システム(ひいては荷重受容体)の被動部品30Bをアクチュエータデカプラ10及び駆動部品30Aから分離することができ、それによってジャミング又はその他の動作不良にもかかわらず荷重受容体が少なくとも部分的に適正に機能することができる。
例示的アクチュエータデカプラ10は、部分的にスリーブ部材12を使用して、駆動機構(駆動部品30A)及び例示的アクチュエータデカプラ10自体を選択的に被動部品30Bに、ひいては荷重受容体に結合する。そのため、スリーブ部材12の構成は特定の駆動部品又は機構30A、特定の荷重付与、及び特定の被動部品30B及び荷重受容体に依存し得る。例えば、結合状態でアクチュエータデカプラ10、被動部品30B、及び最終的には荷重受容体に加えられるエネルギ又は力を提供し、付与する駆動部品又は機構30Aは、当技術分野で周知のどのような駆動機構でもよい。例えば、アクチュエータデカプラ10を、動力源としてのモータ又はその他の電気システム、油圧システム、機械システム、人力システムの1つ以上、及びこれらの組み合わせと共に使用してもよい。駆動部品又は機構30Aは更に、動力源の出力を操作する構成部品を含んでもよい。例えば、駆動機構は、出力の大きさを操作する構成部品(例えばギヤ機構)、出力の方向と種類(例えば回転方向から直線方向へ)、出力のタイミング(例えばスイッチ又はクラッチ)等を変更する構成部品を含んでもよい。更に駆動部品30Aは同様に、出力をスリーブ部材12に伝達する機構を含んでもよい。例えば、駆動部品30Aは、駆動部品30Aの駆動力をスリーブ部材12に付与するためのギヤ、ベルト、プーリ、チェーン等の1つ以上を含んでもよい。その結果、スリーブ部材12の駆動部又は複数の駆動部22は、スリーブ部材12を駆動部品又は機構30Aに結合して、駆動部品又は機構30Aの出力が少なくとも部分的にスリーブ部材12に伝達されるような公知のどのような態様で構成されてもよい。このような構成は、当技術分野で一般に、商業的に使用されている従来の方法で実現されてもよく、通常通りに決定されてもよい。
前述のように、駆動部品30Aの出力、ひいてはスリーブ12に加えられる出力の方向と種類を変更してもよい。したがって、異なる種類の作動システムで使用されるようにアクチュエータデカプラ10を構成してもよい。例えば、スリーブ12を実質的に直線的に「押し」且つ「引く」ために、縦駆動部品30Aにより軸X−Xに沿って直線力がスリーブ12に加えられる直線作動システムでアクチュエータデカプラ10が使用されてもよい。これらの長手方向の、又は軸方向の力、及びその結果生じる運動は最終的には、力受容体を移動するために、アクチュエータデカプラ10を介して長手方向又は軸方向の力を加えるように作用してもよい。同様に、スリーブ12を時計回り方向及び/又は逆時計周り方向に回転させるために、縦軸X−Xを中心とするトルクがスリーブ12に加えられる回転作動システムでアクチュエータデカプラ10が使用されてもよい。これらの回転方向の、又は角方向の力、ひいては運動は、最終的には、力受容体を移動するためにアクチュエータデカプラ10を介して回転方向又は角方向の力(即ちトルク)を加えるように作用し得る。更に別の実施例のように、力の組み合わせが作動によって加えられ、且つ/又は長じる作動システムでアクチュエータデカプラ10を使用してもよい。例えば、回転力(即ちトルク)をスリーブ12に加えて、このような回転が例えば動力ねじ等によって最終的には荷重受容体に(及び反作用によりアクチュエータデカプラ10に)作用する長手方向の力を生じるようにしてもよい。別の実施例として、回転力(即ちトルク)と長手方向の力の少なくとも一方をスリーブ12に加えてもよく、このような力(及びその結果生じる運動)が、最終的には荷重受容体に(及び反作用によってアクチュエータデカプラ10に)作用する回転方向と長手方向の力の少なくとも一方を生じるようにしてもよい。更に、駆動部品によってアクチュエータデカプラに、且つ/又は荷重受容体(及びスリーブ12の被動部又は複数の被動部26)に回転方向と長手方向の力以外の力を加えてもよい。したがって、このようないずれかの力を受けるように、アクチュエータデカプラ10のスリーブ12の被動部22及び駆動部26を構成してもよい。
図4〜6に最も明解に示すように、図示したアクチュエータデカプラ10の例示的スリーブ部材12は、縦軸X−Xを画成する細長い円筒形の形状を画成する。例示的スリーブ部材12は縦軸X−Xを中心に回転するように構成され、したがって、回転中のブレや振動を低減するため縦軸X−Xを中心に実質的に対称に形成されている。その結果、スリーブ部材12の駆動部22は、縦軸X−Xを中心とするモーメント又はトルクを受けてこの軸を中心に回転するように構成されている。スリーブ部材12の駆動部22は外表面内に形成された第1の回転止め又は平坦部24を含む。第1の回転止め又は平坦部24は、ギヤ、プーリ、スリーブ部材又はその他の回転機構を駆動部22に回転方向に固定するために使用することができる。例えば、第1の回転止め又は平坦部24を、止めねじ又はキー及びキー溝と、動力源から直接又は間接的に回転されるギヤ、プーリ、スリーブ部材又はその他の回転機構と共に連係して使用してもよい。このような構成では、止めねじ又はキー及びキー溝、回転機構及び動力源を、駆動部品又は機構30Aであるとみなすことができる。このようにして、縦軸X−Xを中心にスリーブ部材12を回転させるために、駆動部品30Aにより第1の部分22を介してトルクをスリーブ部材12に付与することができる。このような回転中、駆動部22が駆動機構との係合を維持する等により、例えば長手方向又は軸方向の、及び横方向又は径方向の移動が制約されるようにスリーブ部材12を支持してもよい。更に、スリーブ部材12は、スリーブ部材12の周囲のベアリングによって支持する等により、上記の回転運動を可能にし、又は補助するようにスリーブ部材12を支持してもよい。しかし、上記したように、アクチュエータデカプラ10が搭載される特定の作動システムに応じて、スリーブ部材12の被動部22を別の構成にしてもよく、このような構成を当技術分野の慣例通りに決定されてもよい。例えば、スリーブ部材12は駆動部品30Aによって、トルク及びそれによる回転運動の代わりに、又はそれに加えて、スリーブ部材12の長手方向の移動を生じる長手方向の力を受けることがある。したがって、このような構成では、このような長手方向の力を受け、その結果生じる長手方向の移動を可能にするように、スリーブ部材12の駆動部22を構成してもよい。
スリーブ部材12の駆動部又は複数の駆動部22の構成は、前述のように特定の駆動部品又は機構30A(逆の場合も同様)に依存し、又は少なくとも関連し得るので、スリーブ部材12の被動部又は複数の被動部26の構成は、アクチュエータデカプラ10が搭載される作動システムの特定の被動部品又は複数の被動部品30B(逆の場合も同様)に依存し、又は少なくとも関連し得る。例えば、被動部品30Bは、スリーブ部材12の力を荷重受容体に伝達する機構でよい。例えば、被動部品30Bは、(駆動部品30Aを介して)スリーブ部材12の出力を受け、これを少なくとも部分的に荷重受容体に付与するためのシャフト、リンク機構、ギヤ、ベルト、滑車、チェーンの1つ以上、又はその他のいずれかの知られている機構又は構成を含んでもよい。その結果、スリーブ部材12の駆動部又は複数の駆動部22は、スリーブ部材12を被動部品又は機構30Bに結合して、スリーブ部材12の出力が(駆動部分30Aを介して)少なくとも部分的に被動部品又は機構30Bに、また、最終的には荷重受容体に伝達されるような、周知のいずれかの態様で構成されてもよい。このような構成は、当技術分野で一般に、商業的に使用されている従来の方法でも実施可能であり、慣例通りに決定されてもよい。
図示した例示的スリーブ部材12は、駆動部22を介してモーメント又はトルクを受け、縦軸X−Xを中心に回転するように構成されるので、被動部又は複数の被動部26は、図4〜6に示すように、このようなトルクを被動部品又は機構30Bに伝達するように構成される。スリーブ部材12の例示的被動部品26は、開口28の軸がスリーブ部材12の縦軸X−Xと位置合わせされるように、縦軸X−Xを中心にスリーブ部材12の端部から長手方向に延設された内部開口28を含む。スリーブ部材12の被動部26の長手方向に延びる開口28は、図6に示すように、同様の形状の被動部品30Bを受容するために実質的に平滑な壁と円形の輪郭とを画成する。スリーブ部材12は(スリーブ部材12の回転を介して)トルク又はモーメントを受け、これを被動部品30Bに伝達するように構成されるため、長手方向に延びる開口28は、被動部品30Bに対して(逆の場合も同様)、被動部品30Bを長手方向に延びる開口28内に受容及び支持できるように、且つ被動部品30Bの縦軸X1−X1がスリーブ部材12の縦軸X−Xと位置合わせされるように、構成される。図示した実施形態では、長手方向に延びる開口28及び被動部品30Bも、図6に示すように、アクチュエータデカプラ10と非結合状態にある場合は、被動部品30Bが長手方向に延びる開口28の縦軸X−X、X1−X1を中心に比較的自由に回転し、且つこれらの縦軸に沿って平行移動するように相互に対して構成される。したがって、被動部26及び被動部品30Bの長手方向に延びる開口28の相対的直径、長手方向の長さ、表面仕上げ、及びその他の関連する特性は、アクチュエータデカプラ10の非結合状態で、2つの構成部品間の回転と長手方向の平行移動とが実現されるように互いに依存し、又は少なくとも関連する。このような構成は、当技術分野で周知の従来の方法で実施可能であり、慣例通りに決定されてもよい。
スリーブ部材12の被動部26を更に、スリーブ部材12を被動部品30Bに選択的に結合できるように構成してもよい。図示した実施形態では、図4〜7に示すように、被動部26は、長手方向に延びる開口28の周囲のスリーブ部材12の一部の厚さ全体を貫通する少なくとも1つの横方向又は径方向の開口32を含んでもよい。図4及び5に最も明解に示すように、図示したスリーブ部材12の少なくとも1つの例示的開口32は、スリーブ部材12の全体を貫通して延設されているため、スリーブ部材12の外側から長手方向に延びる開口28の内側まで2つの穴を備える。スリーブ部材12の被動部26の少なくとも1つの開口32は好ましくは、被動部品30Bが長手方向に延びる開口28で受容されると、被動部品30Bの対応する横方向又は径方向に延びる少なくとも1つの開口34と適合するように構成される。したがって、スリーブ部材12の被動部26の少なくとも1つの開口32の位置、向き、サイズ、形状及び数量は、被動部品30Bの少なくとも1つの開口34の対応する特性に依存し、又は関連する(逆の場合も同様)。
図示した実施形態では、図6及び7に最も明解に示すように、スリーブ部材12の被動部26の少なくとも1つの横方向に延びる開口32は、スリーブ部材12の厚さ全体を貫通して延設される(即ち、横方向に延びる少なくとも1つの開口32は、スリーブ部材12の縦軸X−Xと交差する。同様に、図示した実施形態では、被動部品30Bの少なくとも1つの横方向又は径方向に延びる開口34は、被動部品30Bの厚さ全体を貫通して延設される(即ち、横方向に延びる少なくとも1つの開口34は、被動部品30Bの縦軸X1−X1と交差する)。更に、図5〜7に示すように、被動部26の少なくとも1つの開口32、及び被動部品30Bの少なくとも1つの開口34は円形であり、直線的(直径が一定)であり、スリーブ部材12の縦軸X−X及び被動部品30Bの縦軸X1−X1とそれぞれ実質的に垂直に延びるそれぞれの軸Y−Y、Y1−Y1を画成する。しかし、被動部26の少なくとも1つの開口32、及び被動部品30Bの少なくとも1つの開口34の特定の形状、向き、位置、数量等は変更可能であり、また、図7に示すように、開口32、34内に位置する少なくとも1つの結合ピン20によって、スリーブ部材12と被動部品30Bとが互いに少なくとも回転方向及び長手方向に結合可能であるような構成でもよいことに留意されたい。
図7に示すように、スリーブ部材12の被動部26は、スリーブ部材12、縦軸X−X、及び長手方向に延びる開口28を通って、スリーブ部材12の被動部26の外表面に対向する2つの穴が形成されるようにする横方向又は径方向に延びる単一の開口32を含んでもよい。同様に、スリーブ部材12の長手方向に延びる開口28内に位置するように構成された被動部品の一部は、被動部品30B及び縦軸X1−X1を通って、被動部26の外表面に対向する2つの穴が形成される、横方向又は径方向に延びる単一の開口34を含んでもよい。図7に示すように、このような構成では、開口32、34の軸Y−Y、Y1−Y1は位置合わせが可能であり、結合ピン20を各開口内に、最終的にはスリーブ部材12の被動部26の開口32と被動部品30Bの開口34とに係合するように挿入することができる。それによって、各結合ピン20は、(各結合ピン20と、スリーブ部材12の被動部26と被動部品30Bの開口32、34との間の許容差により許容される回転方向又は長手方向のいずれかの僅かな移動を無視して)スリーブ部材12と被動部品30Bとを互いに選択的に回転方向及び長手方向にロックする。更に、前述のように、長手方向に延びる開口28を形成するスリーブ部材12の内表面と、長手方向に延びる開口28内に位置する被動部品30Bの一部の外表面との相互作用は、縦軸X−X、X1−X1の位置合わせが維持されるように、スリーブ部材12と被動部品30Bとを互いに横方向にロックする。したがって、図7に示すスリーブ部材12、被動部品30B、及びピン20の図示した構成又は状態では、スリーブ12は被動部品30Bに選択的に結合される。
図示した実施例では、各結合ピン20は、スリーブ12及び被動部品30Bの開口32、34の特性に実質的に対応して(逆の場合も同様)、各ピンが横方向又は径方向に延びる軸Y2−Y2を画成するようなサイズ、形状、向き、その他の構成とする。したがって、各結合ピン20の軸Y2−Y2は、少なくとも結合状態ではスリーブ12と被動部品30Bとの開口32、34の横方向に延びる軸Y−Y、Y1−Y1に位置合わせされる(図7を参照)。
幾つかの代替実施形態(図示せず)では、アクチュエータデカプラ10は、回転方向と長手方向の一方の力だけを被動部品30Bに伝えるように構成される。或いは、図示した実施形態のような幾つかの実施形態では、アクチュエータデカプラ10は結合状態で被動部品30Bに回転方向と長手方向の両方に固定又はロックされるため(図7)、アクチュエータデカプラ10は、回転方向と長手方向の両方の力を被動部品30Bに伝達できるように構成される。使用時には、アクチュエータデカプラ10が回転方向と長手方向の両方の力(及び/又はその他のいずれかの力)を被動部品30Bに伝達するように構成されたとしても、アクチュエータデカプラ10が搭載される作動システムは、このような力の1つだけを被動部品30Bに伝達してもよい。しかし、このような実施形態では、駆動部品30Aがスリーブ12にトルクを加える場合のように、作動システムは伝達された力の方向を変更することによって、異なる方向又は種類の反作用力を加え、且つ被動部品30Bが動力ねじの構成部品であり、又はこれに結合されている場合は、スリーブ12と少なくとも結合ピン20が被動部品30Bから長手方向の反作用力(即ち、長手方向及び回転方向の反動力対伝達された回転力)を受ける。図7に示す図示のスリーブ部材12及び被動部品30Bの選択的な結合又はロック状態、又は構成とは異なり、図8はアクチュエータデカプラ10の選択的な分離又はロック解除状態、又は構成を示している。図8に示すように、各結合ピン20は、結合ピン20が被動部品30Bの開口34との係合状態から引き出されるように横方向に平行移動可能である。このような構成では、被動部品30Bは縦軸X1−X1を中心とする回転方向と、縦軸X1−X1に沿った長手方向の両方に自由に平行移動する。代替実施形態(図示せず)では、被動部品30Bは回転方向だけ、長手方向だけ、又は回転方向、長手方向、及びその他の方向を組み合わせた方向に自由に平行移動が可能である。
上記したように、図8に示すように、例示的に示したアクチュエータデカプラ10の非結合状態では、被動部品30Bはスリーブ部材12の長手方向に延びる開口28により支持され、縦軸X1−X1を中心に自由に回転する。更に、図6〜8に示すように、スリーブ部材12の長手方向に延びる開口28、スリーブ部材12のピン開口32、及び被動部品30Bのピン開口を、非結合状態で被動部品30Bが縦軸X1−X1に沿っていずれかの長手方向に平行移動可能なように構成してもよい。図8に示すように、被動部品30Bが、軸Y−YとY1−Y1が位置合わせされるようにスリーブ部材12の長手方向に延びる開口28内に位置する場合は、スリーブ部材12の被動部26及び被動部品30Bのピン開口32、34は、被動部品30Bの両端と長手方向に延びる開口28との間に間隔、即ちギャップが設けられるような位置にあってもよい。被動部品30Bの両端と、スリーブ部材12の長手方向に延びる開口28との間の間隔の所定の長さL1は特定の用途に依存する(即ち、アクチュエータデカプラが搭載される特定の作動システムに基づいてどの程度の長手方向の移動が必要であるかに依存する)。このような配置では、アクチュエータデカプラ10が各ピン20を被動部品30Bとの結合状態(図7)から非結合状態(図8)に平行移動させ、又は駆動すると、被動部品30B(又はスリーブ部材12)は、被動部品30Bがスリーブ部材12の被動部26の長手方向に延びる開口28内のより深い位置に位置するような方向に距離L1だけ平行移動できる。それによって、構成部品をこのように配置すると、長手方向に平行移動中に、被動部品30Bが長手方向に延びる開口28内で「ボトムアウト」することが防止される。更に、スリーブ部材12の内部の長手方向に延びる開口28の全体の長さにより、被動部品30Bは、長手方向に延びる開口28内に留まりつつ被動部品30Bがより浅い位置にあり、それによって支持される位置まで平行移動できる。言い換えると、アクチュエータデカプラ10が被動部品30Bをスリーブ部材12(ひいては、駆動部品30A)から分離すると、例えば長手方向に延びる開口28内に被動部品30B(又はスリーブ部材12)が所定の程度だけ長手方向に平行移動するように、スリーブ部材12と被動部品30Bとを構成することができる。しかし、代替実施形態(図示せず)では、非結合状態では長手方向の移動ができないようにアクチュエータデカプラ10を構成してもよい。
図8に示すように、分離状態では、各結合ピン20は被動部品30B及びスリーブ部材12の長手方向に延びる開口28から引き出されてもよいが、結合ピン20の一部はスリーブ部材12の厚さの範囲内に留まってもよい。各結合ピン20が長手方向に延びる開口28から完全に引き出されると、被動部品30Bは各結合ピン20と相互作用せずに長手方向に延びる開口28内を自由に回転方向と長手方向に平行移動することができるため有利である。したがって、各結合ピン20と被動部品30Bとは引掻き、変形、摺擦、又はその他の損傷から互いに防止され、各結合ピン20は、被動部品30Bの開口34との引掛り、又はその他の相互作用から防止され、それによって被動部品30Bの運動をいずれかの方法で抑止する。更に、各結合ピン20はスリーブ部材12の開口32内に留まることにより、開口34が各結合ピン20及びスリーブ部材12の開口32と位置合わせされていれば、被動部品30Bの結合ピン開口34内に容易に挿入又は挿入し直してスリーブ部材12(ひいてはアクチュエータデカプラ10)と被動部品30Bとを結合することができる。言い換えると、非結合状態から結合状態に移動するには、アクチュエータデカプラ10の各結合ピン20は、被動部品30Bのピン開口34と位置合わせされ、次いでこの開口内に係合するだけでよい(即ち、各結合ピン20はスリーブ部材12の開口32と位置合わせされる必要はない)。
長手方向に延びる開口28の表面と、スリーブ部材12の被動部26の一部38の外表面との間に延びるスリーブ部材12の、横方向又は径方向に延びる結合ピン開口32の周囲での厚さは、アクチュエータデカプラ10が搭載される作動システムの特定の用途に依存し得る。例えば、被動部品30B(及び最終的には荷重受容体)を駆動又は平行移動するため、荷重はスリーブ部材12から(駆動部品30Aを介して)被動部品30Bに伝達されなければならない。同様に幾つかの用途では、荷重受容体は被動部品30Bに、ひいてはスリーブ部材12に比較的大きい荷重をかけることがある。図示の実施形態では、これらの力は、各結合ピン20とスリーブ部材12の横方向の開口32の内表面との相互作用により、スリーブ部材12から被動部品30Bへと(又はその逆の方向に)平行移動される。したがって、横方向開口32の厚さ及び結合ピン20の個数を含む、スリーブ部材12(並びに被動部品30B)と各結合ピン20の相対的寸法は少なくとも部分的に、アクチュエータデカプラ10が搭載される作動システムの荷重特性に依存し得る。図示の実施形態では、図4〜8に示すように、開口32の周囲にカラー又は隆起部38を設けることによって、各結合ピン20と相互作用する開口32の内表面の面積をより大きくするために、開口32の周囲のスリーブ部材12の被動部26の厚さは、スリーブ部材12の隣接部分の厚さに比べて大きくなる。更に、各結合ピンと、カラー38によって形成される結合ピン20と相互作用する横方向又は径方向の開口32のスリーブ部材12の各部分とに作用する力又は荷重が、2つの結合ピン20ではなく1つの結合ピン20が設けられた場合に存在する筈の力又は荷重の半分に軽減されるように、2つの結合ピン20が設けられる。
各結合ピン20とスリーブ部材12とにかかる力に更に対処するために、図4に最も明解に示すように、スリーブ部材12の外表面が湾曲するのではなく平坦、又は「方形化」するように、開口32の周囲のスリーブ部材12の部分(即ち、カラー38)を構成してもよい。このような構成では、アクチュエータデカプラ10の結合状態又は結合条件で各結合ピン20が結合ピン開口32内に挿入されると、各結合ピン20に係合するスリーブ部材12の外側でスリーブ部材12の横方向又は径方向の開口32の内表面の表面積は、ピンの全ての側面で一定である。言い換えると、結合ピン開口32の開口は平坦で、開口により画成される平面は開口32の横方向又は径方向の軸Y−Y(したがって各結合ピン20の横軸Y2−Y2)に対して垂直になるような向きにあるため、各結合ピン20の外表面と、横方向の結合ピン開口32の各開口の内表面との間の継手の外縁部は、各結合ピン20の同じ横方向位置の周囲に延在する。結合ピン開口32の開口を形成するスリーブ部材12の部分が円筒形なので、縦軸X−Xを中心に湾曲形状、又は曲線形状を画成する構成と比較して、開口32の長手方向に又は軸方向の面は、横方向又は径方向の面よりも縦軸X−Xから更に延びるであろう。したがって、各結合ピン32及びスリーブ部材12の横方向の結合ピン開口32は、不均一に摩耗し、より故障し易いであろう(例えば、結合ピン20の変形又は破損、結合ピン開口32の周囲のスリーブ部材12の変形又は破損、又は、結合ピン20が結合ピン開口32に係合して「嵌り込む」状況)。更に、各結合ピン20の底部が平坦で、各結合ピン20の軸Y2−Y2に対して垂直の向きにあるように各結合ピン20が構成されると、各結合ピン20が結合ピン開口32から引き出されると、各結合ピン20は結合ピン開口32から次第に離脱し、それによって開口32の一部及びピンはより大きな荷重を受け、各結合ピン20の引き出しによりその結果、摩耗、変形、又はその他の妨害を生じるであろう。これに対して、図示の構成では、結合ピン開口32周囲のスリーブ部材12の一部38が平坦で、これらの開口により画成される平面が横方向のピン開口32及び各結合ピン20の横方向又は径方向の軸Y−Y、Y2−Y2に対して垂直であるような向きにあるため、且つ各結合ピン20の底面が平坦で、各結合ピン20の軸Y2−Y2に対して垂直であるような向きにあるため、結合ピン20の結合ピン開口32との係合から離脱するように平行移動すると同時に、各結合ピン20の全ての表面領域又は面が結合ピン開口32から離脱する。更に、このような構成は、各結合ピン20が、横方向の結合ピン開口32の開口を通ってスリーブ部材12の横方向の結合ピン開口32と係合するように最初に平行移動する一助となる。
スリーブ部材12、横方向又は径方向の結合ピン開口32、及び結合ピン20の構成又は特性は更に、当技術分野で周知のように、構成部品の材料特性等のその他の変数に依存し得る。したがって、スリーブ部材12、横方向又は径方向の結合ピン開口32、及び結合ピン20の構成又は特性は、当技術分野で通常商業的に使用されている従来の方法で決定されてもよいし、通常通りに決定されてもよい。しかし、アクチュエータデカプラ10が含む結合ピン20の数が減少すると、アクチュエータデカプラ10の信頼性は増すが、各結合ピン20、及び各結合ピン開口32の周囲のスリーブ部材12の被動部26の一部38等のアクチュエータデカプラ10の関連する構造体に加えられる荷重は増大する。したがって、航空の用途等の高レベルの信頼性を要する用途では、アクチュエータデカプラ10が比較的少数の結合ピン20を含み、このような結合ピン20及びアクチュエータデカプラ10の関連する構造を、それらに加えられる比較的大きい力又は荷重に耐えられるように構成することが有利である。更に、このようなアクチュエータデカプラ10は、各々の横方向結合ピン開口32を被動部品30Bの横方向結合ピン開口34から平行移動させて、被動備品30Bをアクチュエータデカプラ10及び駆動部品30Aから分離するために、上記の大きい力又は荷重に打ち勝つように構成されなければならない。この目的のために、図示したアクチュエータデカプラ10は、2つのピン20を含み、開口32の周囲のスリーブ部材12の被動部26の一部が拡大され、更にアクチュエータデカプラ10は、以下に更に記載するように、各々の横方向結合ピン20を被動部品30Bの横方向結合ピン開口32との係合から離脱するように平行移動させるために結合ピン20に加えられる比較的大きい力又は荷重に打ち勝つようなその他の構成とされる。
図示の実施形態では、アクチュエータデカプラ10は、前述のように、縦軸X−Xを中心に回転するのに特に適しており、したがって、動力ねじと共に使用するのに特に適している。例えば、図6に示すように、被動部品30Bの外部は、相補形の構成部品の内ねじと相互作用する(又はその逆の)外ねじを含んでもよい。したがって、幾つかの実施形態では、被動部品30Bは動力ねじの第1の構成部品であってよい。動力ねじを含み、被動部品30Bが動力ねじの第1の構成部品である作動システムでは、スリーブ部材12を介して各結合ピン20によって加えられるトルク及びその結果としての被動部品30Bの回転運動を、線的な力及び運動に変換することができる。その結果、アクチュエータデカプラ10が図7に示す結合状態にあり、スリーブ部材12の被動部22にトルクが加えられると、スリーブ部材12は縦軸X−Xを中心に回転し、スリーブ部材12の被動部26の横方向の結合ピン開口32の内表面は各結合ピン20にトルクを加える。このような状態では、各結合ピン20は、被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34の内表面に力(トルク)を伝達し、縦軸X1−X1を中心に被動部品30Bを回転させる。被動部品30Bが動力ねじの構成部品として構成されている場合は、被動部品30Bの回転エネルギ(即ち、トルク)は直線エネルギに変換され、最終的には荷重受容体に加えられる。このような配置では、荷重受容体は例えば航空機の操縦翼面であってよい。当技術分野で周知のように、被動部品30Bが動力ねじ又はその他の回転方向−軸方向運動変換、又はエネルギ変換機構の一部であるか、又は少なくともその下流側にある場合は、概ね縦軸X1−X1の方向に作用する軸方向力が被動部品30Bに加えられる。更に、荷重受容体に加えられる外力は、概ね縦軸X1−X1の方向に被動部品30Bに作用する追加の軸方向力を生じる。例えば、荷重受容体が航空機の操縦翼面である場合は、操縦翼面に作用する空気圧は、回転方向−軸方向運動変換、又はエネルギ変換機構(例えば、動力ねじ)を経て、最終的には被動部品30Bに伝達される。
アクチュエータデカプラ10が、前述のように、例えば回転方向又は角方向、及び長手方向又は軸方向の両方の力を生成する作動システムの一部として被動部品30Bに結合される状況では、結合ピン20はこのような力を受ける。具体的には、このような構成では、各結合ピン20は、スリーブ部材12のトルクにより各結合ピン20の外表面に作用するスリーブ部材12の横方向の結合ピン開口32の内表面の力によって生じる剪断応力を受け、且つ、スリーブ部材12の横方向の結合ピン開口32の表面によって加えられる力とは反対の、各結合ピン20の対向する外表面に作用する被動部品30Bのピン開口34の内表面の反作用力を受ける。同様に、各結合ピン20は、被動部品30Bの直線力により各結合ピン20の外表面に作用する、被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34の内表面の力によって生じる剪断応力を受け、且つ、被動部品30Bのピン開口34の表面によって加えられる力とは反対の、各結合ピン20の対向する外表面に作用するスリーブ部材12の結合ピン開口32の内表面の反作用力を受ける。このような長手方向の、又は軸方向の力は一般にスリーブ部材12及び被動部品30Bの縦軸X−X、X1−X1に沿って作用するので、縦軸を中心とするこのような回転力(即ち、トルク)、スリーブ部材12の横方向の結合ピン開口32の力は、各結合ピン20の隣接表面に作用し、被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34の力は各結合ピン20の対向する隣接表面に作用する。その結果、各結合ピン20の周囲の比較的大きい表面領域に力が加わる。当技術分野で知られているように、スリーブ部材12及び被動品30Bによって各結合ピン20の外表面に作用するこのような力は、各結合ピン20とスリーブ部材12と被動部品30Bとの間のいずれかの摩擦力を増大させる。このような摩擦力に打ち勝ち、各結合ピン20を被動部品30Bの横方向の結合ピン開口32との係合状態(図7に示す結合状態又は結合位置)から、各結合ピン20が被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34、及びスリーブ部材12の長手方向に延びる開口28から引き出されるような構成(図8に示す分離状態又は分離位置)に平行移動させ、それによって被動部品30Bがアクチュエータデカプラ10及び被動部品30Bとは独立して回転方向と長手方向の両方に平行移動させるために、図示した例示的アクチュエータデカプラ10は、単一の(即ち、1つだけの)予荷重エネルギ機構又は弾性部材40を含む。しかし、代替実施形態(図示せず)では、アクチュエータデカプラは、1つ以上の予荷重エネルギ機構40(即ち、予荷重が可能な1つ以上のエネルギ機構40)を含む。
図1〜3に示すように、図示した例示的アクチュエータデカプラ10は、例示的ハウジング部材14を含む。例示的ハウジング部材14は、各結合ピン20を被動部品30Bとの係合から離脱するように駆動して、被動部品30Bをアクチュエータデカプラ10及び駆動部品30Aから分離する予荷重エネルギ機構40の構成部品又は一部である。図9及び10を参照すると、例示的ハウジング部材14は、スリーブ部材12自体と一致して縦軸X−Xを中心にスリーブ部材12と一緒に回転するように、スリーブ部材12、又はその一部に結合、接続又はその他の方法で取り付けられる。例えば、例示的ハウジング部材14(及び/又はスリーブ部材12)は、ハウジング部材14がスリーブ部材12に対して回転方向又は角方向にロックされるように、スリーブ部材12の外表面に係合するように構成される。したがって、ハウジング部材14及び/又はスリーブ部材12は、一体的に構成されてもよいし、又はこれらが互いに結合、取り付け、接続、又はその他の方法で回転方向にロックされる、周知のどのような方法で構成されてもよい。図10に最も明解に示すように、スリーブ部材12及びハウジング部材14はキー継手を介して互いに回転方向にロックされる。より具体的には、横方向又は径方向の結合ピン開口32の近傍のスリーブ部材12のカラー部分38は、外表面の内側に形成された第2の回転止め又は平坦部42を含み、ハウジング部材14は、第2の回転止め42の近傍のハウジング部材14の内部にキー溝48を含み、キー44は第2の回転止め42及びキー溝48内に位置している。スリーブ部材12の第2の回転止め42、ハウジング部材14のキー溝48、及びキー44は概ね長手方向に縦軸X−Xの方向に延び、実質的に平坦な表面を含む。図10及び11に示すスリーブ部材12とハウジング部材14が固く固定的に結合された構成では、キー44の底面及び長手方向側の側面は、スリーブ部材12の第2の回転止め42の対応する表面と相互作用し、キー44の上面及び長手方向側の側面はハウジング部材14のキー溝48と相互作用する。このようにして、駆動部品30Aにより第1の部分22を介してスリーブ部材12にトルクを加え、キー44を介してスリーブ部材12及びハウジング部材14を縦軸X−Xを中心に回転させることができる。
アクチュエータデカプラ10は更に、ハウジング部材14がスリーブ部材12に沿って長手方向に平行移動すること(例えば、縦軸X−Xに沿った平行移動)を確実に防止するように構成されてもよい。例えば、ハウジング部材14がスリーブ部材12に対して長手方向にロックされるように、スリーブ部材12及び/又はハウジング部材14が構成されてもよい。これらが互いに結合し、互いの長手方向又は軸方向にロックされるように、ハウジング部材13及び/又はスリーブ部材12が構成されてもよい。図10に最も明解に示すように、図示の実施形態では、ワッシャ46がスリーブ部材12に結合され、スリーブ部材12及び第2の回転止め42の周囲に延在している。図4〜6に最も明解に示すように、スリーブ部材12は、ワッシャ46を部分的に挿入できる溝又は凹み47を含んでもよい(図10を参照)。このような配置では、ワッシャ46はスリーブ部材12に長手方向に固定される。溝47及びワッシャ46の長手方向の配置は、ワッシャ46と第2の回転止め42の長手方向側の側面との間にキー44が固定されることによって、キー44が被動部22の方向に長手方向に移動することを制限するように構成される。更に、ワッシャ46が第2の回転止め42の周囲だけではなく、スリーブ部材12の周囲に延在しているので、ワッシャ46はハウジング部材14に当接し、それによって駆動部品30Aの方向へのハウジング部材14の長手方向の移動を制約する。以下に更に説明するように、カムディスク16は、ハウジング部材14のワッシャ46と対向する側でハウジング部材14に結合可能である。ハウジング部材14及びカムディスク16は、カムディスク16の被動部26に面する側がスリーブ部材12の横方向の結合ピン開口32の周囲でカラー又は隆起部38に当接するように構成可能である。このようにして、ハウジング部材14(及びカムディスク16)は、スリーブ部材12に沿った(即ち、縦軸X−Xに沿った)ハウジング部材14(及びカムディスク16)の長手方向の移動が制約されるか、又は実質的に防止されるように、ワッシャ46とカラー38との間に位置する。言い換えると、スリーブ部材12及びハウジング部材14を、ハウジング部材14がスリーブ部材12に長手方向に固定されるように構成できる。それによって、図示の実施形態では、ハウジング部材14は第2の回転止め42、キー44及びキー溝44を介してスリーブ部材12に回転方向に固定され、溝47、ワッシャ46、カラー38及びカムディスク16を介して長手方向に固定される。
図9に示すように、ハウジング部材14は、各結合ピン20を被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34から引き出すことによって、スリーブ部材12を、ひいてはアクチュエータデカプラ10を被動部品30Bから分離するために使用されるエネルギ機構40を少なくとも部分的に支持するように構成可能である。エネルギ機構40は、エネルギを提供し、エネルギを貯蔵し、エネルギを解放し、予荷重され、及びこれらの組み合わせのために周知の何らかのエネルギ機構等、周知のどのようなエネルギ機構であってもよい。例えば、エネルギ機構40は、アクチュエータデカプラ10によって少なくとも部分的に解放可能なエネルギを貯蔵するために、ハウジング部材14に結合され、弾性変形又はその他の予荷重をかけることができるどのようなエネルギ機構であってもよい。更に、エネルギ機構40を構成する部材又は要素の数量を変更してもよい。エネルギ機構40を構成する機構で貯蔵及び提供可能なエネルギ量によって、このような機構40の数量が決まることがある。例えば、エネルギ機構40が各結合ピン20を結合ピン開口34から引き出すために必要な予荷重を提供するにあたり、アクチュエータデカプラ10の特定の用途によって、各結合ピン20を被動部品30にピン開口34から引き出すために必要なエネルギ量が、ひいては必要なエネルギ要素の量が決まることがある。しかし、エネルギ機構40を構成するエネルギ要素が少ないほど、エネルギ機構40の、ひいてはアクチュエータデカプラ10の信頼性が高まることに留意されたい。この目的のために、被動部品30Bが動力ねじの構成部品であり、アクチュエータデカプラ10が航空機の操縦翼面の作動システムに搭載される場合は、図示したエネルギ機構40は、各結合ピン20を被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34内の係合から外れるように平行移動させるのに十分な貯蔵エネルギ量を提供可能な単一の弾性コイルばね(即ち、単一のエネルギ要素)上に構成される。
図示したハウジング部材は、図9に最も明解に示すように、スリーブ部材12の周囲に長手方向に延びる内部を含み、その周囲にエネルギ機構又は弾性部材40が設けられている。図示した例示的弾性捩りばね等のエネルギ機構40は、エネルギ機構40の第1の部分又は端部がハウジング部材14に固定可能であり、第2の部分又は端部が変形してエネルギ機構40に予荷重を加えることができるように構成可能である。図9及び10に示すように、図示したエネルギ機構又は捩りばね40は、エネルギ機構40の第1及び第2の端部、又は部分の両方でボルト、ピン、ねじ又はその他の知られている固締機構と適合するように構成され、ハウジング部材14は、固締機構と適合するように構成され、縦軸X−Xを中心とする異なる径方向又は横方向、及び/又は回転方向又は角方向位置に一連のエネルギ機構を含んでいる。このような構成では、ハウジング部材14は、エネルギ機構の異なるサイズ(ひいては異なるエネルギポテンシャル)、及び向きのエネルギ機構40を受容するように構成され、それによって、アクチュエータデカプラ10が搭載される特定の作動システムの荷重要件に基づいてカスタマイズすることができる。エネルギ機構40の第1の端部をハウジング部材14に固締すると、エネルギ機構40は、(ばねの変形による何らかの回転方向及び長手方向への移動を除いて)スリーブ部材12に対して回転方向及び長手方向にロックされる。以下に更に説明するように、捩りばね、捩り棒等のエネルギ機構40の第2の端部又は一部は、捩じれて(例えば部分的に解かれたり、巻かれたりして)変形し、捩じれた量に比例する予荷重トルクの形態の機械エネルギを貯蔵することができる。捩りばね、捩り棒等のエネルギ機構40内の捩じれによる曲げ応力は、予荷重トルク又はモーメント力を生じ得ることに留意されたい。以下に更に説明するように、エネルギ機構40の第1の部分は、スリーブ部材12に少なくとも回転方向及び長手方向に固定的に結合されるハウジング部材14に固定的に結合されるので、第2の端部又は一部に結合された機構の抵抗が、第1の端部又は一部に加えられる抵抗(即ち駆動部品30A及び被動部品30Bにより(結合状態で)スリーブ部材12によって加えられる抵抗)よりも小さく、エネルギ機構40の反作用的に予荷重がかけられるトルクが、第2の端部又は一部に結合された機構により与えられる抵抗に打ち勝つのに十分である場合は、エネルギ機構40の第2の端部が捩じれた後、第2の端部はその変形前の位置に少なくとも部分的に回転的に戻る。
図11〜13に示し、簡単に上記したように、カムディスク16は、ハウジング部材14とカムディスク16との長手方向の平行移動がカラー38及びワッシャ46によって実質的に防止されるように、スリーブ部材12の周囲に、且つハウジング部材14の近傍のハウジング部材14とスリーブ部材12のカラー38との間に配置されてもよい。カムディスク16は、円盤形で、スリーブ部材12を実質的に対称に囲むように構成される。このような構成では、カムディスク16は、スリーブ部材12の縦軸X−Xと一緒に、且つこれを中心に回転するのに特に適するものでよい。スリーブ部材12(ひいては縦軸X−X)を中心にした回転方向又は角方向への回転を補助するため、カムディスク16は、カムディスク16の内表面とスリーブ部材12の外表面との間にベアリング機構62を含んでもよい。このような構成では、図11及び13の実施例に示すように、カムディスク16とスリーブ部材12との摩擦は、カムディスクの内表面とスリーブ部材12の外表面とが直に接触する構成に比べて、低減される。それによって、以下に更に記載するように、カムディスク16を回転させて、被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34から外れるように各ピン20を平行移動し、駆動部品30Aをアクチュエータデカプラ10及び被動部品30Bから分離する際に受ける抵抗は最小限に保たれる。
エネルギ機構40の第2の端部又は一部は、図12及び13に示すようにカムディスク16に結合される。図示した実施形態では、カムディスク16は、固締機構及びエネルギ機構40の第2の端部又は一部と適合するように、縦軸X−Xの周囲の異なる径方向又は横方向、及び/又は角方向又は回転方向に一連のエネルギ機構の開口64を含む。このような構成では、ハウジング部材14は、エネルギ機構の異なるサイズ(ひいては異なるエネルギポテンシャル)、及び向き(例えば第1の端部の位置又は向きと比較してエネルギ機構40の第2の端部又は一部の位置)のエネルギ機構40を受容するように構成され、それによって、アクチュエータデカプラ10が搭載される特定の作動システムの荷重要件に基づいてカスタマイズすることができる。
図11〜13に示すハウジング部材14、エネルギ機構40、及びカムディスク16の構成によって、カムディスク16はスリーブ部材12及び縦軸X−Xを中心に回転可能になり、したがってハウジング部材14に対して回転し、第1の端部又は一部に対してエネルギ機構40の第2の端部又は一部を捩り、又はその他の変形を加えてエネルギ機構40に予荷重を与えることができる。アクチュエータデカプラ10に予荷重を与えること(即ち、エネルギ機構40を変形させること)を助けるために、カムディスク16は、カムディスク16をスリーブ部材12及び縦軸X−Xを中心に回転させてエネルギ機構40を変形させる係合可能機構66を含んでもよい。図示した実施形態では、図11及び12に最も明解に示すように、カムディスク16は、カムディスク16の外表面から縦軸X−Xに向かって延在する開口66を含む。カムディスク16の外表面の内側の開口66は、例えばカムディスク16を回転させてエネルギ機構40を捩り、又はその他の変形を加えて予荷重力を付与し、又はアクチュエータデカプラ10を偏倚させることを補助するように、レバーアームに係合してもよい。
アクチュエータデカプラ10は好ましくは、以下に更に説明するように、アクチュエータが予荷重を選択的に保持又は解放してアクチュエータデカプラ10と駆動部品30Aとを被動部品30Bからそれぞれ結合又は分離することができるように、エネルギ機構40の予荷重状態を選択的に保持又はロックするように構成される。エネルギ機構40の予荷重エネルギのこのような選択的な保持及び解放を実現するアクチュエータデカプラ10の機構又は構成は、補助アクチュエータと相互作用可能な、当該技術分野で周知のどのような形態をとってもよい。例えば、補助アクチュエータは、アクチュエータデカプラ10が駆動部品30A内に搭載される作動システム内の荷重受容体での、又はアクチュエータデカプラ10のそれ以外の上流側でのジャミングを検知し、このようなジャミングに応動して、エネルギ機構40の予荷重エネルギを解放して各結合ピン20を被動部品30Bの結合ピン開口34との係合から離脱するように平行移動させ、アクチュエータデカプラ10及び駆動部品30Aを被動部品30B、及びアクチュエータデカプラ10の上流側に位置する作動システムのその他の部品から離脱させることが可能である。このような構成では、被動部品30Bは、スリーブ部材12の縦軸X−Xを中心にした回転方向又は角方向の平行移動、及び縦軸X−Xに沿った長手方向又は軸方向の平行移動の両方が可能であってもよい。当該技術分野で周知のように、被動部品30Bが分離され、駆動部品30Aから独立して(例えば、角方向と軸方向の少なくとも一方に)自由に平行移動し、荷重受容体とアクチュエータデカプラ10との間にジャミングが存在する場合でも、荷重受容体は少なくとも部分的に機能することができる。例えば、被動部品30Bが動力ねじの構成部品であり、荷重受容体が航空機の操縦翼面であり、動力ねじに結合されている場合は、動力ねじ機構内でのジャミング又はその他の動作不良があれば、作動システムを捜索して操縦翼面の運動がジャミングを起こした作動システムによって防止しようとするであろう。更に、ジャミングを起こした作動システムは、操縦翼面に結合された別の作動システムが操縦翼面を作動させることを防止するであろう。しかし、ジャミングを起こした作動システムにアクチュエータデカプラ10が搭載されていれば、補助アクチュエータはジャミングを検知し、それに応動してアクチュエータデカプラ10を起動して、ジャミングを起こした動力ねじ機構を被動部品30Bから離脱させ、それによって動力ねじが長手方向及び/又は回転方向に平行移動可能になる。動力ねじのこのような長手方向又は軸方向、及び回転方向又は角方向の平行移動はジャミングを解放し、操縦翼面に結合されたその他のジャミングのない作動システムが操縦翼面を少なくとも部分的に作動(例えば、移動)させることができよう。更に、駆動部品30Aをジャミングを起こした動力ねじから分離することで、被動部品30Aは、ジャミングを増進し、又は拡大し、且つ/又は作動のその他の構成部品を損傷する傾向があるジャミングを起こしたシステムに追加の破壊的荷重を加えることを防止するであろう。
図示した実施形態では、エネルギ機構40の予荷重に選択的な保持と解放は、図11、12及び14〜16に最も明解に示すように、カムディスク16の外表面の近傍に位置するハウジング部材14の外側部分に設けられたロック部材、又はレバーアーム50の突起部と相互作用するカムディスク16の外表面のスロット68を使用して行われる。それによって、ハウジング部材14のロック部材50、及びカムディスク16のスロット68は、カムディスク16がスリーブ部材12及び縦軸X−Xの周囲を回転することを防止し、ひいてはエネルギ機構40のいずれかの予荷重トルクが解放されることを防止する。したがって、エネルギ機構40は、カムディスク16がロック部材50を介してハウジング部材14(ひいてはスリーブ部材12)に選択的に回転方向に固定される前に予荷重(即ち、変形)されなければならない。
図14〜16に最も明解に示すように、実施例のロック部材50は、ハウジング部材14の一部とロック部材50とを貫通して延びるヒンジピン52を介してハウジング部材14に枢着されてもよい。その結果、ヒンジピン52は、ロック部材50がそれを中心に枢動又は回転する軸をなす。図示したロック部材50は更に、ピン52(即ち、回転軸)に係合するロック部材50の一部から延出するように交際された第1のアーム54をも含む。レバーアームは、カムディスク16の外表面の周囲に設けられたスロット68と適合するように構成された第1のアーム54から延びる突起部を含んでもよい。その結果、ロック部材50は、ピン52を中心に回転して、図14及び15に示すように、突起部56がカムディスク16のスロット68に係合する第1の向きと、図15に示すように、突起部56がカムディスク16のスロット68から離間する第2の向きになるように構成される。第1の向きでは、ロック部材50の第1のアーム54がスロット68を介してカムディスク16に係合するので、カムディスク16は、ハウジング部材14、ひいてはスリーブ部材12に対して回転することが防止される。ロック部材50の第1のアーム54の突起部56とカムディスク16のスロット68との係合は、図示した実施形態の図15の断面図に最も明解に示されている。このようにして、図14及び15に示すように、エネルギ機構40に予荷重がかかるように、アクチュエータデカプラ10のカムディスク16をスリーブ部材12の周囲で回転させることができ、且つ、ピン52を中心にロック部材50を回転させて、第1のアーム54の突起部56をカムディスク16のスロット68と係合させ、カムディスク16をロック、固定、保持、又はその他の方法で、カムディスク16がスリーブ部材12の周囲を回転することを防止する。エネルギ機構の予荷重を解放し、カムディスク16がスリーブ部材12の周囲を回転できるようにするために、図16に示すように、ピン52を中心にロック部材50を回転させて、第1のアーム54の突起部56をスロット68から離脱させ、エネルギ機構40の予荷重トルクがカムディスク16に作用し、カムディスク16をスリーブ部材12及び縦軸X−Xを中心に回転させる。
図14及び16に更に示すように、カムディスク16は、カムディスク16の外表面の周囲に多数のスロット68を含むことによって、カムディスク16の外表面に沿って、ロック部材50が係合するための多くの位置を提供し、それによってカムディスク16が異なる回転方向又は角方向でハウジング部材14に結合可能になっていてもよい。このような構成では、カムディスク16は、異なるサイズ(ひいては異なるエネルギポテンシャル)、及びエネルギ機構40の異なる向き(ひいては異なる予荷重量)のエネルギ機構40と一緒に機能するように構成され、それによってアクチュエータデカプラ10が搭載される特定の作動システムの荷重要件に基づいたカスタマイズが可能になる。例えば、より多くのカムディスク16がスリーブ部材12の周囲を回転すると、エネルギ機構40はより多く撓み、予荷重がより大きくなる。カムディスク16が回転する角度量、ひいては得られる予荷重量は、カムディスク16の周囲の異なるスロット68にロック部材50を係合させることによってカスタマイズすることができる。
ロック部材50が突起部56を含み、カムディスク16がスロット68を含むようなロック部材50及びカムディスク16の上記の構成は、ロック部材50がスロット68を含み、カムディスク16が突起部56を含む構成よりも有利である。例えば、突起部56を機械加工又はその他の方法で形成すると、スロット68を機械加工又はその他の方法で形成するよりも多くのコストがかかる傾向がある。その結果、ロック部材50上には1つの突起部56のみを形成し、カムディスク16に複数のスロット68を形成することがコスト及び時間の点で効率的である。更に、エネルギ機構40の予荷重トルクは突起部56に剪断応力を加え、したがって突起部56は経年と共に疲労、劣化、その他の損傷を生じることがある。図示したロック部材50の交換は、カムディスク16の交換よりも安価で簡単である。したがって、カムディスク16ではなくロック部材50上に突起部56を設けることは、コスト及び時間の点で更に効率的である。
ロック部材50は更に、図15に示すように、補助アクチュエータ71と相互作用して、第1のレバーアーム54とカムディスク16との係合をそれぞれ保持し、解除するための第2のアーム58と第3のアーム60とを含んでもよい。例示的ロック部材50は、補助アクチュエータ71を第2のアーム58と第3のアーム60との間に配置できるように、「V」形に構成された第2のアーム58と第3のアーム60とを含む。このような構成では、補助アクチュエータ71は、第1のアーム54の突起部56がカムディスク16のスロット68から離脱するような方向に、ロック部材50の第2のアーム60が回転することを防止することによって、ロック部材50をカムディスク16との結合状態を保つように作用する。図15に示すように、補助アクチュエータ71が第2のアーム58と第3のアーム60との間の位置に保持される場合、ロック部材50がカムディスク16に係合していると、ロック部材50が、第3のアーム60と補助アクチュエータ71との相互作用によりピン52を中心に回転することが防止される。それによって、ロック部材50及び補助アクチュエータ71の構成は、カムディスク16が思いがけず、又は過失により分離されて、思いがけず解放されたエネルギ機構40により得られるトルクによってカムディスク16が回転可能になることを防止する。このようにして、アクチュエータデカプラ10は、補助アクチュエータ71を使用して、アクチュエータデカプラが搭載される作動システムのジャミングを監視し、ジャミングが検知されるとエネルギ機構40の予荷重エネルギのみを解放することができる。例えば、衝撃又は振動等によるレバーアーム50の不慮の運動による予荷重エネルギの解放は、第3のアーム60と補助アクチュエータ71とによって防止される。
アクチュエータデカプラ10が搭載される作動システムのジャミングを補助アクチュエータ71が検知すると、補助アクチュエータ71はこれに応動して起動され、長手方向に平行移動してピン52を中心にロック部材50を回転させることで、図16に示すように第1のアーム54はカムディスク16のスロット68から離れるように平行移動し、第1のアーム54の突起部56は、カムディスク16のスロット68から離脱される。より具体的には、補助アクチュエータ71が第2のアーム58と第3のアーム60との間に位置し、ロック部材50がカムディスク16のスロット68に係合する結合状態(図15)から、補助アクチュエータ71は長手方向に平行移動して第2のアーム58と相互作用し、ピン52を中心にロック部材50を回転させて第1のアーム54の突起部56をカムディスク16のスロット68から離脱するように平行移動させ、カムディスク16を回転方向に解放することができる(図16)。このようにして、補助アクチュエータ71は、アクチュエータデカプラ10を作動させてエネルギ機構40の予荷重エネルギ(即ち、トルク)を解放し、カムディスク16がスリーブ部材12の周囲を回転できるようにし、最終的には、以下に更に記載するように、各結合ピン20を被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34から平行移動できるようにする。
図1、3、9及び11〜13に示すように、アクチュエータデカプラ10は、カムディスク16とハウジング部材14とを選択的に結合、分離して、エネルギ機構40の予荷重トルクを介してカムディスク16の回転を選択的にロックする複数の機構を含んでもよい。図示した実施形態では、アクチュエータデカプラ10は、カムディスク16の外表面の周囲のスロット68に係合するための、直径方向で対向する2つのロック部材50を含む。このような構成では、図15の断面図に示す補助アクチュエータ71等の、ロック部材50を作動するための補助アクチュエータ71は、前述のように、アクチュエータデカプラ10の周囲を、ロック部材50の第2のアーム58及び第3のアーム60を貫通して延びる環状部材を含んでもよい。補助アクチュエータ71の環状部材は、環状部材を長手方向又は軸方向に平行移動させることができ、ロック部材50の第2のアーム58に係合して、カムディスク16及びハウジング部材14を分離する(ひいては、最終的に、アクチュエータデカプラ10及び駆動部品30Aを被動部品30Bから分離する)機構に結合されてもよい。例えば、アクチュエータデカプラ10は、環状部材を長手方向に平行移動して第2のアーム58を介してロック部材50を作動させるように油圧システムに結合された複数のレバーアーム50と相互作用するための環状部材を含んでもよい。このようにして、アクチュエータデカプラ10は縦軸X−Xを中心に、補助アクチュエータ71の環状部材内を回転することができる。しかし、前述のように、カムディスク16をハウジング部材14及び/又はスリーブ部材12から分離して、エネルギ機構40の予荷重トルクがカムディスク16を回転させ、最終的には各結合ピン20を被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34から平行移動させるために使用し得る、周知のあらゆる二次作動機構又はシステムを使用してもよい。
カムディスク16は更に、図11、13、17、21、及び22に示すように、それを貫通してカムスロット72を画成する1つ以上のカム挿入物70を含んでもよい。カムディスク26及び各カム挿入物70は、各カム挿入物70がカムディスク16に選択的に固定されるように構成されてもよい。例えば、カムディスク16及び各カム挿入物70は、カム挿入物70がカムディスク16にボルト止め、ピン止め、又はその他の方法で移動可能に固定できるように構成されてもよい。このような配置では、例えば、特定の結合ピン20、スリーブ部材12、駆動部品30A、アクチュエータが搭載される作動システム、及びこれらの組み合わせに合わせて、異なるカム挿入物70を有するようにカムディスク16をカスタマイズすることができる。図11及び17に示す図示した実施形態では、アクチュエータデカプラ10は2つの結合ピン20を含み(図3、7及び8を参照)、したがって、移動可能な2つのカム挿入物70を含む。図17に最も明解に示すように、カムピン74は各カムスロット72内に、且つ各ピン20のヘッドの開口76を貫通して挿入されてもよい。このようにして、各結合ピン20は、スリーブ部材12の開口32内で、カムピン74を介してカムスロット72に結合される。
各カムピン74及びカムスロット72は、カムピン74の第1の端部が対応するカムスロット72内にスライド可能且つ/又は回転可能に受容されるように構成されてもよい。したがって、各カムピン74及びカムスロット72の相対的寸法は、相互に依存し、又は少なくとも関連し得る。更に、各カムピン74及びカムスロット72は、各カムピン74が対応するカムスロット74内に担持され、各カムピン74が、カムスロット72の輪郭に従って対応するカムスロット72に沿って移動可能であるように、構成可能である。図11に最も明解に示すように、各カムスロット72は、カムディスク16及び縦軸X−Xの周囲に角方向又は回転方向、及び横方向又は径方向に延び、各カムスロット72の輪郭の第1の面又は部分が、スリーブ部材12及び縦軸X−Xの近傍の横方向又は径方向に位置し、カムスロット72の角方向又は回転方向に離間したカムスロット72の対向する第2の面又は部分が、第1の面と比較してスリーブ部材12及び縦軸X−Xに横方向又は径方向の遠位にある(即ち、第1の面又は部分が、第2の面又は部分と比較して横方向又は径方向に縦軸X−Xに近い)ような特定の輪郭を画成する。
幾つかの実施形態では、図13、20及び21に示すように、各カムピン74の一端は、カムディスク16内の対応するカムスロット72内に担持され、結合ピン20の開口76を通過し、各カムピン74の第2の端部はカムディスク16に結合されたカムディスクカバー18内の対応するカムスロット76内に担持される。このような実施形態では、カムディスクカバー18及びカムディスク16は、各ピン20がディスクカバー18とカムディスク16との間に位置し、対応する各カムピン74は、カムディスク16のカムスロット72からカムディスクカバー18の対応するカムスロット76まで広がっている。カムディスクカバー18は、カムスロット72を画成するか、又は図示したカムディスク16の場合と同様のカムスロット挿入物を含んでもよい。各カムピン74の両方の端部を支持することによって、カムディスク16及びカムディスクカバー18は、各カムピン74が揺れたり、曲がったり、又はその他の不均一又は不円滑な平行移動をせずに、各結合ピン74は対応するカムスロット72、76に沿って円滑に平行移動するために特に有効である。それによって、カムディスク16及びカムディスクカバー18は、実質的に位置合わせされたカムスロット72、76、又は実質的に位置合わせされた一対のカムスロット72、76を含む、長手方向に離間した2つのカム部材又はカムディスク部材を形成し、カムの輪郭を画成し得る。
カムディスク16及びカムディスクカバー18は、任意の数の一対のカムスロット72、76(及び関連する構造体)を含み得る。例えば、カムディスク16及びカムディスクカバー18は、一対のカムスロット72、76(ひいては対応する1つの結合ピン20)(図示せず)を含んでもよい。別の例として、図17及び18の実施例に示すように、カムディスク16及びカムディスクカバー18は、スリーブ部材12の縦軸X−Xを中心に互いに直径方向に対向する2対のカムスロット72、76(及び関連する構造体)を含んでもよい。このような実施形態では、アクチュエータデカプラ10は、縦軸X−Xを中心に実質的に対称であり、そのため縦軸X−Xを中心に回転するように有利に構成されている。別の実施形態(図示せず)では、アクチュエータデカプラ10のカムディスク16及びカムディスクカバー18は、2対よりも多くのカムスロット72、76を含んでもよい。例えば、カムディスク16及びカムディスクカバー18は、縦軸X−Xを中心に対称に配置された、実質的に位置合わせされた偶数対のカムスロット72、76(及び関連する構造体)を含んでもよい。別の実施形態(図示せず)では、アクチュエータデカプラ10のカムディスク16及びカムディスクカバー18は、奇数対のカムスロット72、76(及び関連する構造体)を含んでもよい。更に別の実施形態では、カムディスク16とカムディスクカバー18の一方のみを備え、そのため各ピン20を単一のカムスロット72又は76内に収容してもよい。
図示したカムディスク16及びカムディスクカバー18の例示的カムスロット72、76を図19に示す。簡潔にするため、カムディスク16及びカムディスクカバー18を円で示し、アクチュエータデカプラ10のその他の多くの構成部品及び態様は含めていない。図19に図示するように、カムディスク16及びカムディスクカバー18は、捩りばね40のトルクによってスリーブ部材12の縦軸X−Xを中心に実質的に逆時計回り方方向Rに回転するように構成されてもよい。このような構成では、ねじりばね40は、スリーブ部材12の周囲でカムディスク16を時計回りの回転方向に回転させる等、捩りばね40を実質的に時計回りの回転方向に捩じることによって、予荷重がかけられているであろう。しかし、カムディスク16及びカムディスクカバー18は、代替として実質的に時計回りの回転方向Rに回転するように構成し、そのため捩りばね40は、捩りばね40を実質的に逆時計回りの回転方向に捩じることによって、予荷重をかけてもよいことに留意されたい。
図10に最も明解に示すように、カムディスク16及びカムディスクカバー18の輪郭は、カムスロット72、76の第1の端部80が、縦軸X−X(カムディスク16及びカムディスクカバー18の回転軸)から第1の間隔D1を隔てて横方向又は径方向に位置するように構成されてもよい。更に、カムスロット72、76は、カムスロット72、76の第2の端部82が、縦軸X−Xから第2の間隔D2を隔てて径方向に位置し、回転方向Rとは反対方向に所定の角形成度、又は回転度θ1だけ角方向に離隔されるように角方向及び径方向に延在してもよい。カムスロット72、76の第2の面82の第2の横方向又は径方向の間隔D2は、カムスロット72、76の第1の面80の横方向又は径方向の間隔D1よりも大きいので、カムスロット72、76内に担持されるカムピン74はカムスロット72、76に沿って移動し、カムピン74は、スリーブ部材12及び縦軸X−Xから離れるように横方向又は径方向に平行移動される。例えば、図19に示すように、アクチュエータデカプラ10が作動システムの被動部品30Bに選択的に結合されると、カムピン74は、一対のカムスロット72、76の第1の端部80の近傍に位置してもよく、アクチュエータデカプラ10が作動して捩りばね40の予荷重トルクを解放して、カムディスク16及びカムディスクカバー18を、ひいてはカムスロット72、76をスリーブ部材12及び縦軸X−Xに沿って逆時計回りの回転方向Rに回転させる。カムスロット72、76がスリーブ部材12及び縦軸X−Xを中心に回転すると、結合ピンとスリーブ部材12の少なくとも横方向の結合ピン開口32との相互作用によって、各カムピン74が縦軸X−Xを中心に回転することが防止される。そのため、カムスロット72、76が回転方向Rに回転すると、カムピン74は、図19の矢印で示すように、カムスロット72、76に沿って第1の端部80から第2の端部82への方向に移送される。前述のように、カムスロット72、76の第2の端部82は、第1の端部80よりも横方向又は径方向に縦軸X−Xから遠くに位置するので、各結合ピン74及びこれに結合された結合ピン20は、スリーブ部材12及び縦軸X−Xから横方向又は径方向に離れるように平行移動する。カムスロット72、76のサイズ、カムピン74のサイズ、カムスロット72、76の第1及び第2の径方向間隔D1、D2、及びカムディスク16及びカムディスクカバー18が回転する角度は全て、各カムピン74が、ひいてはこれに結合された結合ピン20が平行移動する、横方向又は径方向の全間隔に影響する。
図19に示すように、カムスロット72、76の輪郭は、第1の端部80の近傍のカムスロット72、76の受動部分84の径方向の勾配、傾斜、又は平行移動の度合いが、第2の端部82の近傍のカムスロット72、76の能動部分86の上記度合いと比較して低いように構成されてもよい。このような配置では、カムスロット72、76の受動部分では、カムスロット72、76が、カムピン74の周囲のスロット72、76の移動に抵抗しようとするカムピン74の表面の相互作用により生じる力を受ける度合いは、能動部分86で力を受ける度合いよりも少ない。したがって、カムスロット72、76の受動部分84の抵抗的、又は破壊的性質が少ないことは、捩じるばね40に加えられるトルクを介してカムディスク16及びカムディスクカバー18の回転運動を、ひいてはカムピン74及びこれに結合された結合ピン20の横方向又は径方向の平行移動を開始するのに有利である。カムディスク16及びカムディスクカバー18が一旦運動エネルギ及び/又はモーメントを得ると、少なくとも捩りばね40により与えられるトルクと、カムディスク16及びカムディスクカバー18の運動エネルギ及び/又は運動量との組み合わせを利用した、カムピン74に周囲のカムスロット72、76の能動部分86の運動を行うことができる。このようにカムスロット72、76の受動部分84と能動部分86を配置すると、カムスロット72、76の別の配置又は構成と比較して、カムピン74、ひいてはこれに結合された結合ピン20を平行移動させるために必要なトルク力が小さくて済む。
カムディスク16及びカムディスクカバー18のカムスロット72、76の代替実施例を図20に示し、参照番号172、176で概略的にそれぞれを示している。カムスロット172、176は、図19を参照して前述したカムスロット72、76と同様であり、したがって、数字「1」を手前に追加した同じ参照番号で同じ要素を示している。例示的カムスロット172、176は、第1の端部180と、第1の端部180の近傍の受動部分184とを含む。第1の端部180及び受動部分184は、横方向又は径方向でスリーブ部材12及び縦軸X−Xの最も近傍に位置するカムスロット172、176の部分を画成する。その結果、アクチュエータデカプラ10のカムピン74は、最初は、アクチュエータデカプラ10の選択的結合状態で受動部分184内の第1の端部180に位置してもよい。
カムスロット172、176の例示的受動部分184は、受動部分184とスリーブ部材12及び縦軸X−Xとの横方向又は径方向の間隔が、受動部分184の角形成度又は回転度θ2にわたって一定(即ち、受動部184の側縁部間に形成される角度全体にわたって一定)であるように構成される。言い換えると、受動部分184は、縦軸X−Xを中心に形成される単一の半径の弓形の形状として構成される。受動部分184は、横方向又は径方向の勾配又は平行移動を含まないので、カムディスク16及びカムディスクカバー18は、スリーブ部材12及び縦軸X−Xを中心とするカムディスク16及びカムディスクカバー18の回転方向Rの回転とは逆に作用するカムピン74による比較的少量の力を受ける。そのため、カムピン74が受動部分184の角形成度又は回転度θ2にわたって受動部分184内を移動する間に、カムディスク16及びカムディスクカバー18を回転させるためにアクチュエータの分離状態で捩りばね40によってカムディスク16及びカムディスクカバー18に加えられるトルクは、比較的小さくてよい。しかし、受動部分184はカムピン74を介してカムスロット172、176に対して比較的低レベルの抵抗しか生じないので、カムピン74が受動部分184を通って隣接する能動部分186A〜Cへと進むように、カムディスク16及びカムディスクカバー18は、スリーブ部材12及び縦軸X−Xを中心に回転方向Rに受動部分184の角形成度又は回転度θ2に等しい回転度だけ迅速且つ容易に回転し得る。
カムディスク16及びカムディスクカバー18がスリーブ部材12及び縦軸X−Xを中心に回転方向Rに回転して、カムスロット172、176の受動部分184がカムピン174を越えて平行移動すると、カムディスク16及びカムディスクカムディスクカバー18は、運動エネルギ及び/又は運動量を得る。カムディスク16及びカムディスクカムディスクカバー18が一旦受動部分184の角形成θ2を通って回転すると、図19に示すように能動部分186A〜Cは、横方向又は径方向の勾配又は寸法を有するので、カムディスク16及びカムディスクカバー18が更に回転すると、能動部分186A〜Cはカムピン75に当接する。図19は、異なる3つの能動部分186A〜C、即ち第1の能動部分186A、第2の能動部分186B、及び第3の能動部分186Cを示す。受動部分184と対になってカムスロット172、176を形成する時点で、第1、第2、及び第3の能動部分186A〜Cのうちの1つだけを使用することができる。言い換えると、図19は、図示のように組み合わせて使用することを意味するのではなく、1つのカムスロット172につき能動部分186A〜Cの1つだけを使用する第1の能動部分186A、第2の能動部分186B、及び第3の能動部分186Cを示している。
カムスディスク16及びカムディスクカバー18は受動部分184を通って回転するので、カムスロット172、176が最初に能動部分186A〜C内のカムピン17と横方向又は径方向に相互作用する際に、これらのカムスディスク16及びカムディスクカバー18は運動エネルギ及び/又は運動量を含む。このような構成では、カムスロット172、176の能動部分186A〜Cは、カムピン74にショック又は衝撃力(即ち、能動部分186A〜Cがカムピン74に与える衝撃による横方向又は径方向の急激な加速度)を加える。カムピン74にショック又は衝撃力が加わることは有利であるが、その理由は、このような力又は加速度は通常は、カムピン74がこのような力を分散させる前に、カムピン74に加えられる力によって、比例して長い期間にわたって加えられるそれより小さい力よりも効果が大きいからである。このように、受動部分184によってカムスロット172、176が速度/加速度を達成できるように構成され、カムスロット172、176の能動部分186A〜Cが、静止摩擦等のカムピン74に加えられる抵抗力に打ち勝って、各カムピン74、及びこれに結合された各結合ピン20を横方向又は径方向に平行移動させるショック又は衝撃力をカムピン74に横方向又は径方向に加えるように、カムスロット172、176を構成できる。
能動部分186A〜Cの特定の構成は、アクチュエータデカプラ10が搭載される特定の作動システム、及びアクチュエータデカプラ10に依存し得る。例えば、カムスロット172、176の能動部分186A〜Cの構成は、被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34内に係合する各結合ピン20の個数、捩りばね40に加えられるトルクの量、受動部分184の間にカムディスク16及びカムディスクカバー18が得る運動エネルギ及運動量、及びカムピン74及びこれに結合された結合ピン20を横方向又は径方向に平行移動するために特定のカムピン74の抵抗力に打ち勝つのに必要な横方向又は径方向のショック又は衝撃力の量に依存するか、又は少なくとも関連し得る。
図20は、カムスロット172、176の3つの例示的能動部分186A〜Cを示す。第1の能動部分186Aは、比較的急な横方向又は径方向の勾配、比較的大きい横方向又は径方向の平行移動又は広がりを含み、比較的小さい角間隔だけ延びている。図20に示すように、第1の能動部分186Aの横方向又は径方向の勾配は、第1の能動部分186Aが受動部分184から第2の端部182Aに角方向に延びると共に増大する。したがって、第1の能動部分186Aは、捩りばね40の比較的大きい回転トルク、第1の能動部分186Aが、カムピン74を横方向又は径方向に第2の端部182Aまで平行移動させるために、比較的大きいショック又は衝撃力、或いはこれらを組み合わせたものを要するかもしれない。しかし、第1の能動部分186Aは、比較的小さいカムディスク172、176の、ひいてはカムディスク16及びカムディスクカバー18の角回転量又は角回転度しか必要としない。更に、第1の能動部分186Aの横方向又は径方向の平行移動又は広がりが比較的大きいことで、結合ピン20を被動部品30Bの結合ピン開口34内に比較的深く配置できる。
図20から分かるように、例示的な第1の能動部分186Aとは異なり、例示的な第2の能動部分186Bは、比較的浅い横方向又は径方向の勾配、比較的短い横方向又は径方向の平行移動又は広がりを含み、比較的大きい角間隔だけ延びている。したがって、第2の能動部分186Bは、捩りばね40の比較的小さい回転トルク、第1の能動部分186Bがカムピン74を横方向又は径方向に第2の端部182Bまで平行移動させるために比較的小さいショック又は衝撃力又はこれらの組み合わせを要することがある。しかし、第2の能動部分186Bは、比較的大きいカムディスク172、176の、ひいてはカムディスク16及びカムディスクカバー18の角回転量又は角回転度を必要とする。
図20から更に分かるように、例示的な第1の能動部分186A、及び例示的な第2の能動部分186Bとは異なり、例示的な第3の能動部分186Cは、比較的浅い横方向又は径方向の勾配、比較的短い横方向又は径方向の、平行移動又は広がりを含み、比較的大きい角間隔だけ延びている。したがって、第3の能動部分186Cは、捩りばね40の比較的小さい回転トルク、第2の能動部分186Bがカムピン74を横方向又は径方向に第2の端部182Bまで平行移動させるために比較的小さいショック又は衝撃力又はこれらの組み合わせを要することがある。しかし、第2の能動部分186Bは、比較的大きいカムディスク172、176の、ひいてはカムディスク16及びカムディスクカバー18の角回転量又は角回転度を必要とする。
第3の能動部分186Cは更に、図20に示すように、第3の能動部分186Cの最も遠い横方向又は径方向の平行移動又は広がりが、第3の能動部分186Cの第2の端部182Cの近傍に位置するように構成される。言い換えると、第3の能動部分186Cの第2の端部182Cの横方向又は径方向の位置は、第2の端部182Cの近傍の第3の能動部分186Cの部分よりも縦軸X−Xの近くに横方向又は径方向に位置している。このような構成では、図20から分かるように、カムディスク16及びカムディスクカバー18が回転方向Rに回転すると、第3の能動部分186Cは先ず、カムピン74及びこれに結合された結合ピン20を、強制的に縦軸X−Xから離すように横方向又は径方向に平行移動させ、次いで、カムピン74がカムスロット172、176の第2の端部182Cに当接して、カムディスク16及びカムディスクカバー18の最大の角形成量又は角形成度を使い尽くすまで、縦軸X−Xの方向に向かって横方向又は径方向に部分的に戻るように平行移動させる。
図1〜3のアクチュエータデカプラ10、及び図4〜18に示すアクチュエータデカプラ10の構成部品の使用時の状態を、図21及び22の断面図に示す。具体的には、図21は、アクチュエータデカプラ10が駆動部品30A及び被動部品30B(ひいては前述のように荷重受容体)を結合して、駆動部品30Aと被動部品30Bとが結合ピン20を介して互いに長手方向に固定される結合状態を示し、図22は、アクチュエータデカプラ10が駆動部品30A及び被動部品30B(ひいては前述のように荷重受容体)を分離して、被動部品30Bが、駆動部品30A及びアクチュエータデカプラ10とは独立して回転方向及び長手方向に平行移動可能な分離状態を示す。
図21の断面図に示すように、アクチュエータデカプラ10が作動システムに搭載され、選択的な結合状態に構成されると、スリーブ部材12の駆動部品30Aは被動部品30B(図示せず)に結合可能であり、被動部品30Bは、スリーブ部材12の被動部26の長手方向に延在する開口28内に配置可能であり、且つ各結合ピン20は被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34、及びスリーブ部材12の横方向の結合ピン開口32に係合可能である。被動部品30B及びスリーブ部材12は、スリーブ部材12及び被動部品30Bの縦軸X−X、X1−X1が実質的に位置合わせされるように構成されてもよい。各結合ピン20は、カムディスク16及びカムディスクカバー178のカムスロット72、76を介して横方向に平行移動可能であるため、(駆動部品30Aがスリーブ部材に回転方向又は長手方向に固定されていれば)各結合ピン20は被動部品30B(ひいてはこれに結合された荷重受容体)をアクチュエータデカプラ10及び駆動部品30Aに選択的に回転方向及び長手方向にロック又は固定し得る。
各結合ピン20は、カムディスク16とカムディスクカバー18(即ち、長手方向に離間したカム部材又はカムディスク部材)との間に配置され、対応するカムピン74に結合される。カムピン74の各端は、カムディスク16及びカムディスクカバー18の対応する一対のカムスロット72、76内に担持される。カムディスク16及びカムディスクカバー18は、ベアリング機構を介してスリーブ部材12に回転可能に結合可能である。カムディスク16及びカムディスクカバー18のカムスロット対72、76の各カムスロット72、76は実質的に、実質的に位置合わせできる同じ輪郭のものでよい。カムスロット対72、76の各カムスロット72、76の輪郭は、各スロット72、76が第1の方向に角方向又は径方向に延びると、各カムスロット72、76がスリーブ部材12及び被動部品30Bの縦軸X−X、X1−X1から離れるように、横方向に延びるように構成される。アクチュエータデカプラ110及び被動部品30Bの結合状態では、各カムピン74は、横方向に縦軸X−X、X1−X1に最も近い対応するカムスロット対72、76の部分内に位置し、それによって各結合ピン20を被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34内に横方向に位置決めする。
カムピン74に対するカムスロット72、76の回転位置(即ち、スリーブ部材12及び被動部品30B内の結合ピン20の横方向位置)は、ロック部材50を介してロック又は保持され、カムディスク16及びカムディスクカバー18を第1の方向に偏倚させるトルクを保持する。具体的には、ロック部材50は、スリーブ部材12に回転方向及び長手方向にロックされるハウジング部材14に結合される。このような構成では、ロック部材50の第1のアームの突起部は、カムディスク16のスロット68に選択的に係合可能である。このようにして、ロック部材50は、カムスロット72,76の角方向又は回転方向位置をロックし、ひいては結合ピン20の横方向の位置をロックすることにより、エネルギ機構40のバイアストルクがカムディスク16及びカムディスクカバー18を回転させることを防止する。
ロック部材50は更に、図21に示すように、補助アクチュエータ71を第2のアーム58と第3のアーム60との間に配置できるように構成された第2のアーム58と第3のアーム60とを含んでもよい。以下に更に説明するように、第2のアーム58は、エネルギ機構40の予荷重を解放し、被動部品30Bをアクチュエータデカプラ10及び駆動部品30Aから分離するように、補助アクチュエータ71によって係合及び平行移動可能である。第3のアーム60及び補助アクチュエータ71の構成は、第1のアーム54が長手方向に平行移動して、第1のアーム54の突起部56がカムディスク16のスロット68から離脱することを防止することによって、ロック部材50をカムディスク16との結合状態に保つ。それによって、ロック部材50及び補助アクチュエータ71の構成は、カムディスク16が思いがけず、又は過失によりカムディスク16から分離して、カムディスク16がエネルギ機構40によって与えられるトルクにより回転可能になることを防止する。このようにして、アクチュエータデカプラ10は、アクチュエータデカプラ10が搭載される作動システムのジャミングを監視するために補助アクチュエータ71を使用して、ジャミングが検知された場合だけエネルギ機構40の予荷重エネルギを解放することができる。
図22は、アクチュエータデカプラ10の結合状態ではなく、分離状態にあるアクチュエータデカプラ10を示す。分離状態は、アクチュエータデカプラ10が搭載される作動システム内のジャミングに応動している可能性がある。例えば、被動部品30Bが、最終的には荷重受容体を制御する動力ねじの構成部品である場合は、補助アクチュエータ71を、動力ねじ内のジャミングを検知し、ロック部材50の第2のアーム58と相互作用して(図15及び21を参照)、図22に示すように、枢支点52を中心にロック部材50を回転させ、第1のアーム54の突起部56をカムディスク18のスロット68から離脱させるように構成してもよい。このような実施形態では、捩りばね40の予荷重トルクがカムディスク16に作用することが妨げられることはない。
このように、図22に示すように、捩りばね40は、カムディスク16に作用して、スリーブ部材12を中心にカムディスク16及びカムディスクカバー18を回転させることができ、その結果、カムディスク16のカムスロット72、及びカムディスクカバー18の対応するカムスロット76を縦軸X−Xを中心に回転させることができる。図22に更に示すように、カムスロット対72、76が回転すると、径方向にスリーブ部材12及び縦軸X−Xにより近い位置にあるカムスロット72、76の第1の角方向側面又は部分から、スリーブ部材12及び縦軸X−Xから横方向に更に遠い位置にあるカムスロット72、76の第2の角方向側面へとカムピン74が押し込まれる。結合ピン20はスリーブ部材12の少なくとも横方向の結合ピン開口32内に保持されるので、結合ピン20はスリーブ部材12及び縦軸X−Xを中心に回転することが防止されるが、結合ピン20が図7及び8に示すように被動部品30Bのピン開口34内に位置している場合の、結合ピン20の外側と、開口32の内表面及び被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34の内表面との摩擦以外は、結合ピン20は、実質的に自由に、横方向の結合ピン開口32内を横方向又は径方向に平行移動する。それによって、各結合ピン20は、これに結合された対応するカムピン74がスリーブ部材12及び縦軸X−Xを中心に回転することを防止する。その結果生じる効果は、図22に示すように、カムディスク16及びカムディスクカバー18がそれぞれスリーブ部材12及び縦軸X−Xを中心に回転するので、カムピン74が、カムピン74をスリーブ部材12及び縦軸X−Xを中心に平行移動させようとする力、及びカムピン74を中心にカムスロット72、76を強制的に平行移動させるあらゆる力に抵抗することである。
前述のように、カムスロット72、76は、捩りばね40を介してカムディスク16及びカムディスクカバー18の角方向の横方向間隔が増大する輪郭を含むので、カムピン74は、スリーブ部材12の結合ピン開口32の軸Y−Y、及び/又は被動部品30Bの結合ピン開口34の軸Y1−Y1により画成されるカムスロット72、76に横方向に押し込まれるか、又は移送されるか、又は横方向にだけ「乗り上げる」。言い換えると、カムスロット72、76は、スリーブ部材12及びX−Xを中心に回転するので、カムピン74は、スリーブ部材12の横方向の結合ピン開口32及び/又は被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34によって要求される方向に横方向だけに平行移動する。このようにして、カムピン74は、結合ピン20を結合ピン20の横軸Y2−Y2に沿って横方向に引張り、結合ピン20をスリーブ部材12及び被動部品30Bの横方向の結合ピン開口32、34の横軸Y−Y、Y1−Y1に沿って所定の程度まで平行移動させることで、図8及び22に対する図7及び21の結合ピン20の位置間の比較として示すように、結合ピン20が駆動部品30Aの横方向の結合ピン開口34との係合から離脱するように平行移動する。
前述のように、結合ピン20は、結合ピン20の外表面と、スリーブ部材12及び被動部品30Bの横方向の結合ピン開口32、34の内表面との摩擦を増大させる荷重又は力を受け易い。更に、これも前述のように、カムピン74はカムスロット72、76内を移動中に摩擦抵抗を受け、カムディスク16はスリーブ部材12の周囲を回転する際に抵抗を受ける。これらの力、及び被動部品30Bの分離中にアクチュエータデカプラ10の構成部品にかかるその他の力は、アクチュエータデカプラ10による被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34からの結合ピン20横方向の平行移動に対する抵抗を与えるように作用する。したがって、捩りばね40の予荷重トルクの量は、このような抵抗に打ち勝ってアクチュエータデカプラ10を、ひいては駆動部品30Aを被動部品30Bから分離するのに十分な量でなければならない。十分なトルクは、例えば捩りばね自体の特性、捩りばねに与えられる予荷重トルクの量、カムスロット72、76の輪郭形状、及びこれらの組み合わせによって得られる。
図8及び22に示すように、一旦結合ピン20が平行移動して被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34との係合から離脱すると、被動部品30Bは、アクチュエータデカプラ10に対して回転方向と長手方向の両方に自由に平行移動する。更に、アクチュエータデカプラ10が駆動部品30Aに回転方向及び長手方向に固定されると、一旦結合ピン20が平行移動して被動部品30Bの横方向の結合ピン開口34との係合から離脱すると、被動部品30Bは、駆動部品30Aに対して回転方向と長手方向の両方に自由に平行移動する。このような長手方向、及び場合によっては回転方向の平行移動は、被動部品30Bが長手方向の力を最終的には操縦翼面等の荷重制御面に提供する動力ねじの構成部品である、作動システム等の、被動部品30Bが動力ねじの構成部品である作動システムでは特に有利であり得る。より具体的には、このような構成では、操縦翼面が操縦翼面を平行移動させる累積荷重を供給する多重作動システムを含み、且つアクチュエータデカプラ10が搭載される作動システムの例えば動力ねじにジャミングが発生した場合は、操縦翼面の移動が妨げられる(即ち、操縦翼面はジャミングが生じた作動システムによって「凍結」される)。このようなジャミングに応動して、アクチュエータデカプラ10は、被動部品30Bをアクチュエータデカプラ10及び駆動部品30Aから離脱して、動力ねじが自由に回転又は長手方向に平行移動できるようにする。アクチュエータデカプラ10によって与えられる動力ねじのこのような自由回転及び/又は長手方向の平行移動は、操縦翼面からジャミングを除去するように作用し、ジャミングを起こしていないその他の作動システムが操縦翼面を平行移動させ、ひいては動力ねじをアクチュエータデカプラ10及び駆動部品30Aに対して長手方向及び/又は回転方向に平行移動させることを可能にする。
図23は、参照番号210で全体を示すアクチュエータデカプラの代替実施例を示す。例示的アクチュエータデカプラ210は、全体が参照番号210で示されている。例示的アクチュエータデカプラ10は、前述の、図1〜19及び22〜22に示した例示的アクチュエータデカプラ10と同様であり、したがって、数字「2」を手前に追加した同じ参照番号で同じ要素を示している。例示的アクチュエータデカプラ210は、スリーブ部材212、エネルギ機構240、結合ピン220、及びロック部材250を含む。
図23に示すように、例示的アクチュエータデカプラ210は、縦軸X2−X2を画成し、駆動部222で駆動部品230Aに結合して、被動部品230Aがスリーブ部材212にトルクを加えて、スリーブ部材212を縦軸X2−X2を中心に回転するように構成されたスリーブ部材212を含む。駆動部品230Aは、スリーブ部材212及びアクチュエータデカプラ210が被動部品230Bに回転方向及び長手方向に固定されるようにスリーブ部材212に結合されてもよい。
スリーブ部材212は更に、駆動部品230Aのトルク及び/又は長手方向又は軸方向の力を被動部品又は機構230Bに伝達するように構成された被動部226を含むように構成されてもよい。被動部品220Bが、例えば被動部品230Bが動力ねじの構成部品である場合のように、駆動部品230Aのトルクを受けると回転するように構成された実施形態では、被動部品230Bは、スリーブ部材212の縦軸X2−X2に実質的に位置する長手方向の回転軸X3−X3を画成してもよい。
図23に示すように、例示的スリーブ部材212は、スリーブ部材212の被動部品230Bでスリーブ部材212の端部から延出する長手方向に延びる開口228を含む。スリーブ部材212は更に、ピン開口232がスリーブ部材212の外表面に直径方向に対向する2つのピン開口を形成するように、スリーブ部材212及び長手方向又は軸方向の軸X2−X2を完全に貫通して延びる横方向又は径方向の軸Y3−Y3を画成する横方向に延びる結合ピン開口232を含む。被動部品230Bは更に、ピン開口234が被動部品230Bの外表面に直径方向に対向する2つのピン開口を形成するように、被動部品230B及び長手方向又は軸方向の軸X3−X3を完全に貫通して延びる横方向又は径方向の軸Y4−Y4を画成する横方向に延びる結合ピン開口234を含む。このような構成では、被動部品230Bを、スリーブ部材212のピン開口232の開口が被動部品230Bのピン開口234の開口と位置合わせされるように(即ち、開口232と234とが位置合わせされる)、スリーブ部材212の被動部226の、長手方向に延びる開口228内に受容してもよい。代替として、結合ピン開口234は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに既知の態様で構成されてもよい。
スリーブ部材212及び被動部品230Bのこのような構成では、結合ピン220は、スリーブ部材212のピン開口232、及び被動部品230Bのピン開口234に係合するように平行移動されて、図23に示すように駆動部品230Aがスリーブ部材212に対して回転方向及び長手方向に固定又はロックされれば、被動部品230Bがスリーブ部材212(ひいてはアクチュエータデカプラ210)及び駆動部品230Aに対して回転方向及び長手方向に固定又はロックされるようにしてもよい。スリーブ部材212及び被動部品230Bの横方向の結合ピン開口232、234は、長さL2の長手方向に延びるギャップがスリーブ部材212の被動部226の長手方向に延びる開口228の端部と、被動部品230Bの端部との間に延びるように構成されてもよい。以下に更に説明するように、このような長手方向に延びるギャップにより、選択的な分離状態で、被動部品230Bがアクチュエータデカプラ210に対して長手方向に平行移動することが可能になる。図23に更に示すように、各結合ピン220は、スリーブ部材212のハウジング部材214に結合され、そこから延出するエネルギ機構240に結合されてもよい。
図23に示す実施形態では、エネルギ機構240は、スリーブ部材212のハウジング部材部分214から延出する片持部材240であり、片持部材240の自由端の近傍の部分から延出する結合ピン220を含む。片持部材240は、自由な、即ち欠陥のない位置で、結合ピン220が被動部品230Bのピン開口234の開口から離間されるように構成されてもよい。片持部材240は更に、自由端が縦軸X2−X2に向かって平行移動するように片持部材240が変形されると、結合ピン220がスリーブ部材212の横方向の結合ピン開口232及び被動部品230Bの横方向の結合ピン開口234内の位置に少なくとも部分的に位置合わせされ、且つ平行移動されて、図23に示すように、アクチュエータデカプラ210と被動部品230Bが互いに回転方向及び長手方向にロック又は固定されるようにこれらを選択的に結合するように構成されてもよい。更に、このような選択的に結合された状態で、駆動部品230Aはアクチュエータデカプラ210に対して回転方向及び長手方向にロック又は固定されると、被動部品230Bも駆動部品230Aに対して回転方向及び長手方向にロック又は固定される。
結合状態にある場合、片持部材240に結合された結合ピン220が横方向に平行移動されて、スリーブ部材212及び被動部品230Bの横方向のピン開口232、234内に係合するような片持部材212の変形により、片持部材240に予荷重力が生成される。片持部材240内の予荷重力は、片持部材240の変形方向と実質的に反対方向に向けられる。このように、アクチュエータデカプラ210の選択的な結合状態では、各片持部材240は、これに結合された結合ピン220がスリーブ部材212及び被動部品230Bの横方向ピン開口232、234との係合から外れるように横方向に平行移動される方向に結合ピン220を偏倚させる予荷重力を含む。
各片持部材240の予荷重力を、ひいては被動部品230Bのピン開口234内の各結合ピン220の位置付けを選択的に保持し、解放するため、例示的アクチュエータデカプラ210は、図23に示すように、各片持部材240に対応するロック部材250を含む。ロック部材250は、スリーブ部材212及び/又は被動部品230Bに平行移動可能又は移動可能に結合されてもよい。例えば、図示した実施形態では、各ロック部材250は、被動部品230Bの縦軸X3−X3に沿って被動部品230Bに長手方向に移動可能に結合される。
各ロック部材250は、片持部材240上に位置するベアリング部材290に係合し、それによって片持部材240に係合するように構成されたロック部材250から延びる第1のアーム254を含んでもよい。ロック部材250の第1のアーム254及びベアリング部材290は、片持部材240の変形した横方向位置、ひいてはこれに結合された結合ピン220の横方向位置が、図23に示すように、ベアリング部材290と第1のアーム254とによって保持されるように構成可能である。具体的には、図示した実施形態では、片持部材240の予荷重はベアリング部材290を経て、このような荷重に抵抗するように構成された第1のアーム254に平行移動される。したがって、各ロック部材250は、各片持部材240の予荷重エネルギを選択的に保持し、アクチュエータデカプラ210の選択的な結合状態で、スリーブ部材212のピン開口232、及び被動部品230Bのピン開口234内への片持部材240に結合された結合ピン220の係合状態を保つように構成される。図示した実施形態では、各ロック部材250は長手方向に平行移動するように構成されるので、ベアリング部材290は好ましくは、第1のアーム254が片持部材240に対して横方向に平行移動する際に、片持部材240と第1のアーム254との間の摩擦、その他の抵抗を低減し、又は実質的になくするように構成される。
被動部品230Bをアクチュエータデカプラ210から、場合によっては駆動部品230Aから選択的に分離するために、アクチュエータデカプラ210は補助アクチュエータ(図示せず)によって作動され、各片持部材240の予荷重を解放し、被動部品230Bの少なくともピン開口234内との係合から外れるように各結合ピン220を横方向に平行移動することができる。具体的には、補助アクチュエータは、アクチュエータデカプラ210が搭載される作動システム内のジャミングに応動して、各ロック部材250を、ひいては各ロック部材250第1のアーム254を、各々の第1のアーム254が各片持部材240から離脱するような長手方向の間隔だけ長手方向に平行移動させることができる。
各々の第1のアーム254が各片持部材240から離脱すると、各片持部材240はその予荷重を自由に解放し、それによって片持部材240の変形前の向きに戻る。前述のように、各片持部材240の自由な、又は撓まない位置では、これに結合された結合ピン220は被動部品230Bのピン開口234から離間している。したがって、各ロック部材250は、非ロック状態に平行移動して各片持部材240の予荷重エネルギを選択的に解放し、これに結合された結合ピン220を被動部品230Bの開口234(及び場合によってはスリーブ部材212のピン開口232)から選択的に離脱させることで、被動部品230Bがスリーブ部材212(ひいてはアクチュエータデカプラ210)及び駆動部品230Aに対して回転方向と長手方向の両方に自由に平行移動するように構成される。図示した実施形態では、分離状態では、被動部品230Bは、スリーブ部材212の被動部226の長手方向に延びる開口228内で平行移動することによりアクチュエータデカプラ210から離れるように長手方向に平行移動し、スリーブ部材212の被動部226の長手方向に延びる開口228内で間隔L2(被動部品230Bの端部と長手方向に延びる開口228の端部とのギャップの長手方向の間隔)だけ平行移動することによりアクチュエータデカプラ210に向かって長手方向に平行移動し、且つ長手方向に延びる開口228内で軸X3−X3を中心に回転することができる。
アクチュエータデカプラ210は、複数の結合ピン220、スリーブ部材212、及び被動部品230B内の複数の横方向の結合ピン開口232、複数のエネルギ機構、及び縦軸X2−X2を中心とする複数のロック機構250を含んでもよいことに留意されたい。このような構成では、スリーブ部材212を経て駆動部品230A及び/又は被動部品230Bを介して結合ピン220に加えられる荷重又は力は、結合ピン220により比例して分配される。そのため、アクチュエータデカプラ210により多くの結合ピン220(及び関連する構成部品)が含まれるほど、各結合ピン220に加えられる荷重又は力は少なくなる。しかし、アクチュエータデカプラ210により多くの結合ピン220(及び関連する構成部品)が含まれるほど、故障の機会も多くなるので、アクチュエータデカプラ210の信頼性は低くなる。
上記の記述は例示的であり、限定的であることを意図しないことを理解されたい。例えば、上記の実施形態(及び/又はそれらの態様)は、互いに組み合わせて使用可能である。加えて、様々な実施形態の範囲から離れることなく、これらの実施形態の教示に特定の状況や材料を適応させるように多くの修正を行ってもよい。本明細書に記載の材料の寸法及び種類は、様々な実施形態のパラメータを定義することを意図するが、それらは決して限定的なものではなく、例示的なものであるに過ぎない。上記の記述を検討すれば、当業者には多くの別の実施形態が明らかであろう。したがって、様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲、及びこれらの特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲を参照して決定すべきである。添付の特許請求の範囲では、「含む」及び「において」という用語は、「備える」及び「であって」というそれぞれの用語の同等の平易な英語として使用される。更に、下記の特許請求の範囲での、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」という用語は単に表示として用いられ、これらの対象に数字上の要件を課すものではない。更に、以下の特許請求の範囲の限定性は、そうした特許請求の範囲の限定性が「〜のための手段」という語句、及びその後に続く更に別の構造のない機能の言明を明白に用いるのでない限り且つ用いるまでは、ミーンズ・プラス・ファンクション形式で書かれるわけでもなく、米国特許法第112条第6項に基づいて解釈されることを意図するわけでもない。上記のこのような対象又は利点の全てが必ずしもいずれかの特定の実施形態により達成されるわけではないことを理解されたい。したがって、例えば当業者は、本明細書に記載のシステム及び技術は、本明細書で教示又は示唆されたその他の目的又は利点を必ずしも達成せずに、本明細書で教示された1つの利点又は利点群を達成又は最適化するように実施又は遂行されてもよいことを理解するであろう。
本発明を限定された数の実施形態に関連し記載したが、本発明は開示したかかる実施形態の限定されないことは容易に理解されよう。むしろ、本発明を、本明細書には記載されないが、本発明の趣旨と範囲に見合う任意の数の変更、置換、又は等価の配置を組み込むように修正することができる。加えて、本発明の様々な実施形態を記載したが、本開示の態様は記載した実施形態の幾つかを含むだけの場合もあることを理解されたい。したがって、本発明はこれまでの記述により限定されるものと見なされず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
本記述要件は、最良の形態を含めて本発明を開示するために、且つ当業者がいずれかのデバイス又はシステムを使用し、組み込まれたいずれかの方法を実行することを含めて本発明を実践することができるように実施例を使用している。本発明の特許請求の範囲は特許請求の範囲により定義され、当業者が想到する別の実施例も含み得る。このような別の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言から逸脱しない構造要素を有する場合、或いはそれらが特許請求の範囲の文言と非実質的な相違を有する構造要素を含んでいる場合は、特許請求の範囲の範囲内にあることを意図するものである。