JP2013213464A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】バルブタイミングの調整精度の確保。
【解決手段】制御弁60は、スリーブ66内のうち規定半径r内の内側領域にてスプール68の外周面680に開口する排出口705と、大気開放のドレンポート666と、スリーブ66にて径方向内側に突出し、排出口705を挟んでポート666と反対側で外周面680に嵌合する第一環状部91と、スリーブ66にて径方向内側に突出し、排出口705側とポート666側を連通する連通通路922を、スリーブ66内のポート666側では、規定半径r外の外側領域に開口させる第二環状部92と、スリーブ66にて径方向内側に突出し、作動油を貯留する貯留空間95を、スリーブ66内の第二環状部92との間に確保すると共に、空間95を通じて通路922と連通するポート666を、スリーブ66内の通路922側では、内側領域に開口させる第三環状部93とを有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを、供給源から供給される作動液により調整するバルブタイミング調整装置に関する。
従来、クランク軸と連動して回転するハウジング、並びにカム軸と連動して回転するベーンロータを備えたバルブタイミング調整装置が、知られている。こうした装置の一種として特許文献1には、ハウジング内においてベーンロータにより回転方向に区画された複数の作動室に対して作動液を入出させることで、ハウジングに対するベーンロータの回転位相(以下、単に「回転位相」ともいう)を進角方向又は遅角方向へ変化させるものが、開示されている。この特許文献1の開示装置では、スリーブ内に同軸上に収容されるスプールの軸方向移動に応じて、各作動室に対する作動液の入出を制御する制御弁が、用いられている。
具体的に特許文献1の開示装置の制御弁では、導入ポート、排出ポート及びドレンポートがスリーブに設けられ、また排出通路及び排出口がスプールに設けられている。ここで、回転位相を変化させる位相変化モードにおいて、導入ポートは、作動液を導入する作動室としての導入室に接続される一方、排出ポートは、作動液が排出される作動室としての排出室に接続される。それと共に、外部の大気に開放されたドレンポートと連通する排出口は、位相変化モードにおいて排出通路を通じて排出ポートと接続される。このような構成の制御弁では、作動液の導入される導入室に対して排出室からは、排出ポート、排出通路、排出口及びドレンポートを順次経由して、作動液が大気開放の外部へ排出される。その結果、ベーンロータは、導入室へ導入された作動液から圧力を受けることで、ハウジングに対して相対回転する方向に回転位相を変化させる。
特許第4640510号公報
さて、特許文献1の開示装置では、互いに連動して回転するベーンロータ及びカム軸に制御弁が一体回転可能に内蔵されているので、排出口からドレンポートへ向かう作動液には、遠心力が作用する。ここでドレンポートは、径方向内側へと突出する環状ワッシャの中心孔により形成されている。故にスリーブ内では、排出口から排出された作動液が遠心力を受けることで、環状ワッシャの中心孔よりも径方向外側の領域に当該作動液が貯留され得る。
しかし、特許文献1の開示装置では、スプールのうち排出口が開口する外周面の外径よりも、ワッシャのうちドレンポートを形成する中心孔の内径が大きく設定されている。これにより、ドレンポートよりも径方向内側の排出口周囲では、当該排出口から排出された作動液が貯留されずに大気開放のドレンポートへと排出されることで、ドレンポートからの空気の侵入が生じ易くなる。故に、供給源からの作動液の供給圧が低いとき等には、位相変化モードにおいてカム軸からベーンロータへ変動トルクが作用することで、負圧が排出室に発生して排出口に伝播すると、当該排出口に空気が吸い込まれて排出室に到達する。こうして排出室に到達した空気は、作動液に気泡状態で混入することになるので、排出室での見かけ上の弾性係数が低下して、作動液の圧力によらない回転位相変動を招いてしまう。こうした回転位相の変動は、バルブタイミングの調整精度を悪化させるので、望ましくない。
本発明は、以上説明した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、バルブタイミング調整装置においてバルブタイミングの調整精度を確保することにある。
本発明は、内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを、供給源から供給される作動液により調整するバルブタイミング調整装置であって、クランク軸と連動して回転するハウジング(11)と、カム軸(2)と連動して回転し、ハウジング内において複数の作動室(22,23,24,26,27,28)を回転方向に区画し、各作動室に対する作動液の入出により、位相変化モードにおいてハウジングに対する回転位相が進角方向又は遅角方向へ変化するベーンロータ(14)と、ベーンロータ及びカム軸のうち少なくとも一方に一体回転可能に内蔵され、スリーブ(66)内に同軸上に収容されるスプール(68)の軸方向移動に応じて、各作動室に対する作動液の入出を制御する制御弁(60)とを、備え、制御弁は、スリーブに設けられ、作動液を導入する作動室としての導入室に位相変化モードにおいて接続される導入ポート(661,662)と、スリーブに設けられ、作動液が排出される作動室としての排出室に位相変化モードにおいて接続される排出ポート(662,661)と、スプールに設けられ、排出ポートに位相変化モードにおいて接続される排出通路(702)と、スプールに設けられて排出通路と連通し、スリーブ内のうち規定半径内の内側領域(Ai)においてスプールの外周面(680)に開口する排出口(705)と、スリーブに設けられて外部の大気に開放されるドレンポート(666,2666)と、スリーブに設けられて径方向内側に環状に突出し、排出口を軸方向に挟んでドレンポートとは反対側においてスプールの外周面に嵌合する第一環状部(91)と、スリーブに設けられて径方向内側に環状に突出し、軸方向の排出口側とドレンポート側とを連通する連通通路(922,3992)を、スリーブ内の当該ドレンポート側では、規定半径外の外側領域(Ao)に開口させる第二環状部(92,3092)と、スリーブに設けられて径方向内側に環状に突出し、作動液を貯留する貯留空間(95)を、スリーブ内のうち軸方向の第二環状部との間に確保すると共に、貯留空間を通じて連通通路と連通するドレンポートを、スリーブ内の当該連通通路側では、内側領域に開口させる第三環状部(93,2093)と、を有することを特徴とする。
本発明によると、回転位相を変化させる位相変化モードでは、複数の作動室のうち作動液の導入される導入室に対して排出室からは、排出ポート、排出通路、排出口、連通通路、貯留空間及びドレンポートを順次経由して、作動液が大気開放の外部へと排出される。このときベーンロータは、ハウジングに対する相対回転方向へ回転位相を変化させることになるので、バルブタイミングの調整精度を確保するには、当該バルブタイミングを決める回転位相を作動液の圧力に応じて精確に変化させることが、重要となる。
こうした本発明において、排出口が開口するスプールの外周面と、スリーブに設けられて径方向内側へ突出する第一環状部とは、当該外周面の排出口を軸方向に挟んでドレンポートとは反対側箇所にて互いに嵌合する。故に作動液は、排出口から排出されてドレンポートとは反対側へ向かう流動を、第一環状部により規制され得る。
さらに本発明では、スリーブに設けられて径方向内側へ突出する第二環状部は、自身の形成する連通通路により、軸方向の排出口側とドレンポート側とを連通させる。ここで、排出口と連通通路とは、それぞれ規定半径内の内側領域と同規定半径外の外側領域とに分かれて開口するので、排出口から排出されて遠心力を受ける作動液は、上述の流動規制作用も相俟って、排出口よりも径方向外側の連通通路から第二環状部のドレンポート側へと導かれ得る。
それと共に本発明では、スリーブに設けられて径方向内側へ突出する第三環状部は、軸方向の第二環状部との間に確保される貯留空間を通じて、自身の形成するドレンポートを連通通路に連通させる。ここでドレンポートと連通通路とは、それぞれの相手側では、即ち貯留空間側では内側領域と外側領域とに分かれて開口するので、ドレンポートよりも径方向外側では、連通通路からドレンポート側の貯留空間に排出されて遠心力を受ける作動液が、貯留され得る。
以上の原理により作動液が貯留空間に貯留されることで、当該貯留空間に連通する連通通路よりも径方向内側となる排出口の周囲は、作動液によって満たされることになる。故に位相変化モードでは、変動トルクの作用によって排出室に発生した負圧が排出口に伝播しても、当該排出口には、ドレンポート内の空気よりも貯留空間内の作動液が優先的に吸い込まれ得る。これによれば、排出室内の作動液に空気が気泡状態にて混入したがために、作動液の圧力によらない回転位相変動が惹起されるような事態を、抑制できるので、バルブタイミングの調整精度を確保することが可能となるのである。
また、本発明の特徴として、スプールは、スリーブ内を水平方向に沿って軸方向移動し、位相変化モードにおいて、規定半径の特定箇所に制御弁の回転により作用する遠心力は、当該特定箇所に作用する重力よりも大きい。
このような特徴によると、位相変化モードにおいてスリーブ内をスプールが水平方向に沿って軸方向移動する制御弁の回転により、貯留空間のうち規定半径の特定箇所には、重力よりも大きな遠心力が作用する。これにより規定半径外の外側領域では、連通通路から貯留空間に排出されて遠心力を受ける作動液は、重力作用に拘らずスリーブの内周面に張り付いた状態で、当該空間に貯留され得る。それと共に、重力を受ける作動液は、貯留空間のうちドレンポートより径方向外側の下方部にも、貯留され得る。これらによれば、排出口の周囲が作動液で確実に満たされて空気が排出室に到達し難くなるので、回転位相の変動抑制によるバルブタイミングの調整精度の確保効果について、信頼性が向上する。
さらに、本発明の特徴として、遠心力及び重力の各々により貯留空間に貯留される作動液の貯留量の総和は、位相変化モードにおいて排出室に許容される容積変化量以上に設定される。
このような特徴によると、位相変化モードにおいて遠心力及び重力の作用により貯留空間に貯留状態となっている作動液は、排出室の容積が瞬間的に変化して負圧が発生すると、連通通路を通じて排出口に吸い込まれて排出室に到達する。このとき、遠心力及び重力の各々による貯留量の総和は、排出室に許容される容積変化量以上であるので、排出室に到達する作動液が不足して空気が吸い込まれてしまう事態を、抑制できる。したがって、回転位相の変動抑制によるバルブタイミングの調整精度の確保効果について、信頼性が向上する。
第一実施形態によるバルブタイミング調整装置の基本構成を示す図であって、図2のI−I線断面図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のバルブタイミング調整装置に作用する変動トルクについて説明するため特性図である。 図1のバルブタイミング調整装置の制御弁を拡大して示す断面図である。 図4とは異なる作動状態を示す断面図である。 図4の制御弁の特徴部分を拡大して示す断面図である。 図6のVII−VII線断面図である。 図6の特徴部分について説明するための模式図である。 第二実施形態による制御弁の特徴部分を拡大して示す断面図である。 第三実施形態による制御弁の特徴部分を拡大して示す断面図である。 図6の第一実施形態において図9の第二実施形態を組み合わせた変形例を示す断面図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置1を車両の内燃機関に適用した例を、示している。装置1は、カム軸2が開閉する「動弁」としての吸気弁のバルブタイミングを、「作動液」としての作動油により調整する。
(基本構成)
まず、装置1の基本構成につき、説明する。図1,2に示すように装置1は、内燃機関においてクランク軸(図示しない)からカム軸2へ機関トルクを伝達する伝達経路に設置の回転機構系10と、当該回転機構系10に対する作動油の入出を制御する制御系40とを、組み合わせてなる。
(回転機構系)
まず、回転機構系10の基本構成を説明する。回転機構系10においてハウジング11は、シューケーシング12の軸方向両端部にリアプレート13及びフロントプレート15を締結してなる。シューケーシング12は、ハウジング本体120及び複数のシュー121,122,123を有している。各シュー121,122,123は、円筒状のハウジング本体120において回転方向に所定間隔ずつあけた箇所から、それぞれ径方向内側へ突出している。回転方向において隣り合うシュー121,122,123の間には、それぞれ収容室20が形成されている。リアプレート13は、タイミングチェーン(図示しない)を介してクランク軸と連繋するスプロケット134を、有している。かかるスプロケット134とクランク軸との連繋により内燃機関の回転中は、ハウジング11がクランク軸から機関トルクを伝達されることで、当該クランク軸と連動して一定方向(図2の時計方向)に回転する。
ベーンロータ14は、ハウジング11内に同軸上に収容されており、軸方向両端部をそれぞれリアプレート13とフロントプレート15とに摺接させる。ベーンロータ14は、回転軸140及び複数のベーン141,142,143を有している。本実施形態では三部材よりなる円筒状の回転軸140は、内燃機関において軸受6により軸支されるカム軸2に対して、同軸上に連結されている。かかるカム軸2との連結によりベーンロータ14は、当該カム軸2と連動してハウジング11と同一方向(図2の時計方向)に回転しつつ、ハウジング11に対して相対回転可能となっている。
各ベーン141,142,143は、回転軸140において回転方向に所定間隔ずつあけた箇所から、それぞれ径方向外側へ突出している。図2に示すように各ベーン141,142,143は、それぞれ対応する収容室20に収容されることで、複数の進角作動室22,23,24及び複数の遅角作動室26,27,28をハウジング11内に区画している。具体的には、シュー121及びベーン141の間には進角作動室22が形成され、シュー122及びベーン142の間には進角作動室23が形成され、シュー123及びベーン143の間には進角作動室24が形成されている。一方、シュー122及びベーン141の間には遅角作動室26が形成され、シュー123及びベーン142の間には遅角作動室27が形成され、シュー121及びベーン143の間には遅角作動室28が形成されている。
以上の構成によりベーンロータ14は、進角作動室22,23,24及び遅角作動室26,27,28の各々から受ける圧力に応じて、ハウジング11に対する相対回転方向へ回転位相を変化させる。
具体的には、進角作動室22,23,24への作動油の導入及び遅角作動室26,27,28からの作動油の排出により、進角作動室22,23,24の圧力が増大し且つ遅角作動室26,27,28の圧力が低下する。その結果、ハウジング11に対してベーンロータ14が相対回転する進角方向へ回転位相が変化し、それに対応してバルブタイミングが進角する。一方、遅角作動室26,27,28への作動油の導入及び進角作動室22,23,24からの作動油の排出により、遅角作動室26,27,28の圧力が増大し且つ進角作動室22,23,24の圧力が低下する。その結果、ハウジング11に対してベーンロータ14が相対回転する遅角方向へ回転位相が変化し、それに対応してバルブタイミングが進角する。
(制御系)
次に、制御系40の基本構成を説明する。図1,2に示すように、制御系40において進角主通路41は、回転軸140の内周部に沿って形成されている。複数の進角分岐通路42は回転軸140に貫通形成され、それぞれ対応する進角作動室22,23,24及び共通の進角主通路41と連通している。遅角主通路45は、回転軸140の内周部に開口する溝により形成されている。図2に示すように、複数の遅角分岐通路46は回転軸140に貫通形成され、それぞれ対応する遅角作動室26,27,28及び共通の遅角主通路45と連通している。
回転軸140に貫通形成される供給通路50は、図1に示す如くカム軸2及び軸受6に跨る搬送通路3を介して、「供給源」としてのポンプ4と連通している。ここでポンプ4は、内燃機関の回転に伴ってクランク軸により駆動されるメカポンプであり、ドレンパン5から吸入して吐出する作動油の圧力を、当該回転の速度(エンジン回転数)に従って上昇させる。ポンプ4から吐出の作動油が供給される供給通路50の中途部には、リード式の逆止弁(リード弁)520が配置されている。逆止弁500は、供給通路50において作動油がポンプ4側へ逆流するのを防止する。
ドレン通路54は、回転機構系10及びカム軸2の外部に設けられている。ドレン通路54は、かかる外部のドレン回収要素としてドレンパン5と共に大気に開放されることで、作動油を排出可能となっている。
図1,2に示すように制御弁60は、駆動源62により発生する駆動力と、コイルスプリング64の弾性変形により当該駆動力と反対に発生する復原力とを利用して、スリーブ66内のスプール68を軸方向に往復移動させるスプール弁である。制御弁60は、進角ポート661、遅角ポート662、供給ポート664及びドレンポート666を、スリーブ66に有している。ここで、進角ポート661は進角主通路41と連通し、遅角ポート662は遅角主通路45と連通し、供給ポート664は供給通路50と連通し、ドレンポート666はドレン通路54と連通している。制御弁60は、スプール68の軸方向移動に応じて、これらポート661,662,664,666間の接続及び遮断を切り替える。
制御回路70は、例えばマイクロコンピュータ等を主体に構成される電子回路であり、駆動源62及び内燃機関の各種電装品(図示しない)と電気接続されている。制御回路70は、内部メモリに記憶のコンピュータプログラムに従って、駆動源62の作動と共に内燃機関の運転を制御する。
(ベーンロータのへの変動トルク作用)
次に、装置1においてカム軸2からベーンロータ14に作用する変動トルクの詳細を、説明する。内燃機関の回転中は、カム軸2により開閉駆動される吸気弁からのスプリング反力等に起因して生じる変動トルクが、カム軸2を通じて回転機構系10のベーンロータ14に作用する。図3に例示するように変動トルクは、ハウジング11に対する進角方向に作用する負トルクと、ハウジング11に対する遅角方向に作用する正トルクとの間で交番変動する。ここで、特に本実施形態の変動トルクについては、カム軸2及び軸受6間のフリクション等に起因して、正トルクのピークトルクT+が負トルクのピークトルクT−よりも大きくなっており、それらの平均トルクTaveが正トルク側に偏っている。
(制御弁)
次に、装置1における制御弁60の構造の詳細を、説明する。尚、以下の説明では、水平面上における車両内の装置1の鉛直方向及び水平方向を単に、「鉛直方向」及び「水平方向」というものとする。
図1に示すように、金属製の二つのボディ660,669を組み合わせて構成されるスリーブ66は、互いに連動して回転する連動回転要素2,14の双方に同軸上に内蔵されている。かかる内蔵形態によりスリーブ66は、軸方向を水平方向(同図の左右方向)に略一致させた状態で、連動回転要素2,14と一体回転可能に配置されている。
スリーブ66において有底円筒状の本体ボディ660は、カム軸2に螺着固定される雄螺子状の固定部667を、底部側の軸方向端部に有している。また、本体ボディ660は、カム軸2との間に回転軸140を挟持する円環鍔状のフランジ部668を、開口部側の軸方向端部に有している。図4,5に示すように本体ボディ660には、フランジ部668側から固定部667側に向かって順に、進角ポート661、供給ポート664及び遅角ポート662が設けられている。本実施形態において進角ポート661、供給ポート664及び遅角ポート662は、本体ボディ660の周壁部をそれぞれ個別に径方向に貫通している。
スリーブ66において有底円筒状のカバーボディ669は、本体ボディ660よりも短い全長を軸方向に有し、本体ボディ660とは開口部同士を軸方向に向き合わせて配置されている。カバーボディ669は、本体ボディ660のフランジ部668側の軸方向端部に外嵌されることで、当該端部に同軸上に装着されている。カバーボディ669には、外部の大気に開放されるドレンポート666が、設けられている。本実施形態においてドレンポート666は、カバーボディ669の底部を軸方向に貫通する円筒孔状に、形成されている。
金属製の円筒状スプール68は、スリーブ66内に同軸上に収容されて本体ボディ660の周壁部により摺動支持されることで、水平方向に沿った軸方向移動が可能となっている。スプール68において本体ボディ660の底部との間に間隔をあける軸方向端部は、当該底部との間にコイルスプリング64を同軸上に挟持することで、コイルスプリング64の復原力を受ける。また一方、スプール68においてカバーボディ669の底部との間に間隔をあける軸方向端部は、駆動源62の円柱状駆動軸63(図1も参照)と同軸上に当接している。ここで駆動源62は、本実施形態ではリニアソレノイドであり、金属製の駆動軸63によってスプール68を軸方向駆動する駆動力を、制御回路70からソレノイドコイル(図示しない)への通電に従い発生する。
スプール68には、その径方向中心部を軸方向に沿って延伸するように、排出通路702が設けられている。円筒孔状の排出通路702は、スプール68のうちコイルスプリング64側の軸方向端面にも、駆動軸63側の軸方向端面にも開口しないで、閉塞されている。
さらにスプール68には、排出通路702と連通する開口窓703,704が、軸方向に間隔をあけて設けられている。本実施形態において各開口窓703,704は、スプール68を径方向に貫通する矩形孔状に、形成されている。ここで開口窓703は、図4に示す進角位置Paへのスプール68の移動状態で遅角ポート662と接続される一方、図5に示す遅角位置Prへのスプール68の移動状態で当該接続を遮断される。これに対して、開口窓703よりも駆動軸63側の開口窓704は、図5に示す遅角位置Prへの移動状態で進角ポート661と接続される一方、図4に示す進角位置Paへの移動状態で当該接続を遮断される。
またさらにスプール68には、排出通路702と連通する排出口705が、開口窓704よりも軸方向の駆動軸63側に設けられている。本実施形態において排出口705は、排出通路702を径方向に挟んだ両側にて、スプール68を同径方向に貫通している。かかる貫通形態により排出口705は、スプール68の外周面680に開口していると共に、スプール68の任意の移動状態でドレンポート666と連通可能となっている。
以上の構成下、内燃機関の回転中に進角モードを実行するために、制御回路70が駆動源62への通電を制御するときには、図4に示す進角位置Paにスプール68が移動する。かかる進角位置Paへの移動状態では、通路41,42を介して進角作動室22,23,24と接続される進角ポート661が、供給ポート664にも接続される。このとき供給ポート664は、供給通路50を介して搬送通路3と接続されているので、ポンプ4から当該通路3へ供給される作動油は、ポート664,661間を通じて進角作動室22,23,24に導入される。それと共に進角位置Paへの移動状態では、通路45,46を介して遅角作動室26,27,28と接続される遅角ポート662が、開口窓703を介して排出通路702にも接続される。このとき排出通路702は、排出口705を介してドレンポート666と連通しているので、遅角作動室26,27,28の作動油は、ポート662,666間を排出要素702,705で接続してなる排出経路を通じて、ドレン回収要素54,5に排出される。
したがって、このような進角位置Paでは、進角作動室22,23,24への作動油の導入且つ遅角作動室26,27,28からの作動油の排出により、回転位相が進角方向に変化してバルブタイミングが進角することとなる。以上、「回転位相変化モード」に相当する進角モードでは、進角作動室22,23,24が「導入室」に相当し、進角ポート661が「導入ポート」に相当し、遅角作動室26,27,28が排出室22〜24/26〜28に相当し、遅角ポート662が「排出ポート」に相当する。
また一方、内燃機関の回転中に「回転位相変化モード」としての遅角モードを実行するために、制御回路70が駆動源62への通電を制御するときには、図5に示す遅角位置Prにスプール68が移動する。かかる遅角位置Prへの移動状態では、通路45,46を介して遅角作動室26,27,28と接続される遅角ポート662が、供給ポート664にも接続される。このとき供給ポート664は、供給通路50を介して搬送通路3と接続されているので、ポンプ4から当該通路3へ供給される作動油は、ポート664,662を通じて遅角作動室26,27,28に導入される。それと共に遅角位置Prへの移動状態では、通路41,42を介して進角作動室22,23,24と接続される進角ポート661が、開口窓704を介して排出通路702にも接続される。このとき排出通路702は、排出口705を介してドレンポート666と連通しているので、進角作動室22,23,24の作動油は、ポート661,666間を排出要素702,705で接続してなる排出経路を通じて、ドレン回収要素54,5に排出される。
したがって、このような遅角位置Prでは、遅角作動室26,27,28への作動油の導入且つ進角作動室22,23,24からの作動油の排出により、回転位相が遅角方向に変化してバルブタイミングが遅角することとなる。以上、「回転位相変化モード」に相当する遅角モードでは、遅角作動室26,27,28が「導入室」に相当し、遅角ポート662が「導入ポート」に相当し、進角作動室22,23,24が排出室22〜24/26〜28に相当し、進角ポート661が「排出ポート」に相当する。
(貯留構造)
次に、第一実施形態の特徴部分として、図1に示すように制御弁60が備える貯留構造90の詳細を、説明する。尚、以下の説明では、スリーブ66及びスプール68の共通の軸方向及び径方向を単に、「軸方向」及び「径方向」というものとする。
図4,5に示すように貯留構造90は、スリーブ66に設けられる三つの環状部91,92,93及び凹部94を、有している。ここで、環状部91,92,93が設けられるスリーブ66内には、図6,7に二点鎖線で示す仮想円筒面に沿った特定の半径rが規定されることで、当該規定半径r内の内側領域Aiと当該規定半径r外の外側領域Aoとが想定されている。
図4,5に示すように第一環状部91は、本体ボディ660において進角ポート661よりも軸方向のドレンポート666側となる箇所に、設けられている。第一環状部91は、本体ボディ660の周壁部から突出する内フランジ形の円環状に、形成されている。第一環状部91は、図6に示すように規定半径rよりも径方向内側まで突出することで、排出口705が開口する内側領域Aiに第一中心孔910を形成している。第一中心孔910は、スプール68の外周面680に同軸上に摺動嵌合している。ここで、図4,5に示すように本実施形態では、排出口705を軸方向に挟んでドレンポート666とは反対側となる嵌合位置を、スプール68の任意の移動状態で実現するように、第一中心孔910と外周面680とが嵌合している。
第二環状部92は、第一環状部91よりも軸方向のドレンポート666側に位置するカバーボディ669に、設けられている。第二環状部92は、カバーボディ669の周壁部から突出する内フランジ形の円環状に、第一環状部91と略平行に形成されている。第二環状部92は、図6に示すように規定半径rよりも径方向内側まで突出することで、内側領域Aiに第二中心孔920を形成している。第二中心孔920は、スプール68よりも小径な駆動軸63の外周面630に同軸上に摺動嵌合している。ここで、図4,5に示すように本実施形態では、第二中心孔920と外周面630との嵌合界面には、第二環状部92を軸方向に挟んでドレンポート666側と排出口705側との連通を規制するように、ゴム製Oリング等のシール部材921が介装されている。
第二環状部92は、軸方向のドレンポート666側と排出口705側とをスプール68の任意の移動状態で連通するように、連通通路922を形成している。連通通路922は、第二環状部92の周方向に等間隔をあけた複数箇所(図6では二箇所)を、軸方向に貫通している。図6に示すように本実施形態の各連通通路922は、軸方向に実質同一の外径と、軸方向の排出口705側よりもドレンポート666側にて段階的に拡大する内径とを、有している。かかる内径により、各連通通路922のドレンポート666側の開口部922aは、規定半径rを表す仮想円筒面に沿って外側領域Aoに開口している一方、各連通通路922の排出口705側の開口部922bは、規定半径rの両側領域Ai,Aoに跨って開口している。ここで、排出口705側の開口部922bが内側領域Aiにも跨っていることによれば、フランジ部668側の軸方向端部にて本体ボディ660の内周面660aが内側領域Aiに位置する場合でも、当該本体ボディ660内と各連通通路922との連通が可能となる。
図4,5に示すように第三環状部93は、カバーボディ669において第二環状部92よりも軸方向のドレンポート666側となる箇所に、設けられている。第三環状部93は、カバーボディ669の周壁部から突出する内フランジ形の円環状に、第二環状部92と略平行に形成されている。第三環状部93は、図6に示すように規定半径rよりも径方向内側まで突出することで、内側領域Aiに第三中心孔930を形成している。第三中心孔930は、駆動軸63の外周面630の周囲を間隔をあけて同軸上に囲むことで、当該外周面630との間にドレンポート666を確保している(図4,5,7も参照)。こうして第三中心孔930により確保されるドレンポート666において連通通路922側の開口部666aは、規定半径rを表す仮想円筒面からは径方向内側に可及的に離間した中心部Ai1にて、内側領域Aiに開口している。
図4,5に示すように凹部94は、カバーボディ669において軸方向の第二環状部92及び第三環状部93間となる箇所に、設けられている。図6に示す外側領域Aoにおいて凹部94は、各連通通路922のドレンポート666側の開口部922aよりも、径方向外側に凹んでいる。本実施形態の凹部94は、第二環状部92及び第三環状部93間の全域に亘る軸方向長さを有し、それら環状部92,93が沿う周方向の全域に亘って円環溝状に延伸している。
以上の如き構成の貯留構造90は、図4〜8に示すように、凹部94によって径方向外側から囲まれる円環状の貯留空間95を、軸方向の第二環状部92及び第三環状部93の間に確保している。これにより、スプール68の任意の移動状態で排出口705と連通する連通通路922は、貯留空間95を通じてドレンポート666と連通することになるので、排出口705側からドレンポート666側へ向かう作動油が当該空間95に貯留されることになる。
ここで、排出口705からドレンポート666へ作動油が排出されることになる各モード時に、制御弁60の回転により貯留空間95内の作動油には、図8に示す如く遠心力Fcが作用する。また、スプール68が水平方向に沿って軸方向移動するスリーブ66内のうち、貯留空間95内の作動油には、図8に示す如き重力Fgが作用する。これら遠心力Fc及び重力Fgの作用する貯留構造90では、規定半径rを表した仮想円筒面(図8の二点鎖線)上に位置する特定箇所にて遠心力Fcが重力Fgよりも大きくなるように、当該規定半径rが予設定されている。かかる予設定において特に本実施形態では、各モード時に想定されるカム軸2の最低回転速度Nにて制御弁60が回転するときの遠心力Fcを考慮して、下記の数式1を満たす規定半径rが採用される。
Figure 2013213464
規定半径rの特定箇所にて遠心力Fcが重力Fgよりも大きくなることで、図6,7に示すように貯留空間95内では、外側領域Ao(図7では、右上がりの破線ハッチング部分)と、内側領域Aiのうちドレンポート666の径方向外側となる下方部Ai2(図7では、左上がりの破線ハッチング部分)とに、作動油が貯留されることになる。そこで、外側領域Ao及び下方部Ai2に貯留される作動油貯留量の総和Σについて本実施形態では、作動室22,23,24,26,27,28のうち各モード時に作動油の排出側となる作動室(以下、排出室22〜24/26〜28という)に許容される容積変化量以上に、予設定されている。かかる予設定において特に本実施形態では、各モード時における全排出室22〜24/26〜28に関して、それら各排出室22〜24/26〜28への空気の吸い込みによっても回転位相の変動量を抑制可能な容積変化量の総和を、許容される容積変化量として考慮する。
(作用効果)
以上説明した第一実施形態の作用効果を、以下に説明する。
第一実施形態の各モードにおいて排出室22〜24/26〜28からは、進角ポート661又は遅角ポート662、排出通路702、排出口705、連通通路922、貯留空間95及びドレンポート666を順次経由して、作動油が大気開放の外部へと排出される。このときベーンロータ14は、ハウジング11に対する相対回転方向へ回転位相を変化させることになるので、バルブタイミングの調整精度を確保するには、当該バルブタイミングを決める回転位相を作動油の圧力に応じて精確に変化させることが、重要となる。
こうした第一実施形態において、排出口705が開口するスプール68の外周面680と、スリーブ66に設けられて径方向内側へ突出する第一環状部91とは、当該外周面680の排出口705を軸方向に挟んでドレンポート666とは反対側箇所にて互いに嵌合する。故に作動油は、排出口705から排出されてドレンポート666とは反対側へ向かう流動を、第一環状部91により規制され得る。
さらに第一実施形態では、スリーブ66に設けられて径方向内側へ突出する第二環状部92は、自身の形成する連通通路922により、軸方向の排出口705側とドレンポート666側とを連通させる。ここで、排出口705と連通通路922とは、それぞれ規定半径r内の内側領域Aiと同規定半径r外の外側領域Aoとに分かれて開口する。故に、排出口705から排出されて遠心力Fcを受ける作動油は、上述の流動規制作用も相俟って、排出口705よりも径方向外側の連通通路922から第二環状部92のドレンポート666側へと導かれ得る。
それと共に第一実施形態では、スリーブ66に設けられて径方向内側へ突出する第三環状部93は、軸方向の第二環状部92との間に確保される貯留空間95を通じて、自身の形成するドレンポート666を連通通路922に連通させる。ここで、ドレンポート666と連通通路922とは、それぞれの相手側では、即ち貯留空間95側では内側領域Aiと外側領域Aoとに分かれて開口する。故に、ドレンポート666よりも径方向外側では、連通通路922からドレンポート666側の貯留空間95に排出されて遠心力Fcを受ける作動油が、貯留され得る。しかも、スリーブ66に設けられる第二環状部92及び第三環状部93間では、スプール68及び駆動軸63の軸方向移動に拘らず、貯留空間95の容積、ひいては作動油の貯留量が安定し得る。
以上の原理により作動油が貯留空間95に貯留されることで、当該空間95に連通する連通通路922よりも径方向内側となる排出口705の周囲は、作動油によって満たされることになる。故に各モードでは、作動油排出側の排出室22〜24/26〜28に変動トルクの作用によって発生した負圧が排出口705に伝播しても、当該排出口705には、ドレンポート666内の空気よりも貯留空間95内の作動油が優先的に吸い込まれ得る。これによれば、排出室22〜24/26〜28内の作動油に空気が気泡状態にて混入したがために、作動油の圧力によらない回転位相変動が惹起されるような事態を、抑制できるので、バルブタイミングの調整精度を確保することが可能となるのである。
さらに第一実施形態では、各モードにおいてスリーブ66内をスプール68が水平方向に沿って軸方向移動する制御弁60の回転により、貯留空間95のうち規定半径rの特定箇所には、重力Fgよりも大きな遠心力Fcが作用する。これにより規定半径r外の外側領域Aoでは、連通通路922から貯留空間95に排出されて遠心力Fcを受ける作動油は、重力Fgの作用に拘らずスリーブ66の凹部94の内周面に張り付いた状態で、当該空間95に貯留され得る。それと共に、重力Fgを受ける作動油は、貯留空間95のうちドレンポート666より径方向外側となる内側領域Aiの下方部Ai2にも、貯留され得る。これらによれば、排出口705の周囲が作動油で確実に満たされて空気が排出室22〜24/26〜28に到達し難くなるので、回転位相の変動抑制によるバルブタイミングの調整精度の確保効果について、信頼性が向上する。
また、第一実施形態の各モードでは、遠心力Fc及び重力Fgの作用により貯留空間95に貯留状態となっている作動油は、排出室22〜24/26〜28の容積が瞬間的に変化して負圧が発生すると、連通通路922を通じて排出口705に吸い込まれて排出室22〜24/26〜28に到達する。このとき、遠心力Fc及び重力Fgの各々による貯留量の総和Σは、排出室22〜24/26〜28に許容される容積変化量以上であるので、排出室22〜24/26〜28に到達する作動油が不足して空気が吸い込まれてしまう事態を、抑制できる。したがって、回転位相の変動抑制によるバルブタイミングの調整精度の確保効果について、信頼性が向上する。
またさらに第一実施形態では、スリーブ66に設けられて貯留空間95を形成する凹部94は、連通通路922のドレンポート666側の開口部922aよりも径方向外側へ外側領域Aoにおいて凹むことで、当該開口部922aから排出される作動油の貯留量を増大させ得る。これによれば、各モードにて貯留空間95に貯留の作動油が連通通路922を通じて排出口705に吸い込まれるときに、排出室22〜24/26〜28に到達する作動油が不足して空気が吸い込まれてしまう事態を、抑制できる。したがって、回転位相の変動抑制によるバルブタイミングの調整精度の確保効果について、信頼性が向上する。
加えて第一実施形態では、第二環状部92がドレンポート666を内側領域Aiの中心部Ai1に形成することで、当該ドレンポート666よりも径方向外側における作動油の貯留量を増大させ得る。これによっても、各モードにて貯留空間95に貯留の作動油が連通通路922を通じて排出口705に吸い込まれるとき、排出室22〜24/26〜28に到達する作動油が不足して空気が吸い込まれてしまう事態を、抑制できる。したがって、回転位相の変動抑制によるバルブタイミングの調整精度の確保効果について、信頼性が向上する。
また加えて、第一実施形態の駆動源62において、同軸上に当接するスプール68を軸方向駆動する駆動軸63の外周面630は、第三環状部93との間にはドレンポート666を確保する一方、第二環状部92とは嵌合する。故に、第二環状部92及び第三環状部93間の貯留空間95に貯留される作動油は、第二環状部92の形成する連通通路922よりも径方向内側を通じて、第三環状部93の形成するドレンポート666とは反対側へ漏出するのを、規制され得る。これによっても、各モードにて貯留空間95に貯留の作動油が連通通路922を通じて排出口705に吸い込まれるとき、排出室22〜24/26〜28に到達する作動油が不足して空気が吸い込まれてしまう事態を、抑制できる。したがって、回転位相の変動抑制によるバルブタイミングの調整精度の確保効果について、信頼性が向上する。
さらに加えて第一実施形態では、第一環状部91をポート661,662,664と共に形成する本体ボディ660の軸方向端部に、第二環状部92及び第三環状部93をポート666と共に形成するカバーボディ669を装着することで、スリーブ66が構成される。これによれば、従来の制御弁におけるスリーブ(先述の特許文献1参照)と同様な構造の本体ボディ660を採用しながらも、当該本体ボディ660にカバーボディ669を組み合わせることで揃う第一〜第三環状部91〜93によって、上述の如き作動油の貯留機能を発揮することが可能となる。
(第二実施形態)
図9に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例である。第二実施形態の貯留構造2090において第三環状部2093の第三中心孔2930は、駆動軸63の外周面630に同軸上に摺動嵌合している。ここで、第三中心孔2930と外周面630との嵌合界面にも、シール部材921が介装されている。これに応じて第三環状部2093には、外部と貯留空間95との間を軸方向に連通する連通孔2931が、内側領域Aiに設けられている。かかる連通孔2931は、本実施形態では、第三環状部2093の周方向に等間隔をあけた複数箇所(図9では二箇所)を軸方向に円筒孔状に貫通することで、それぞれの内側にドレンポート2666を確保している。こうした各連通孔2931によって確保されるドレンポート2666の連通通路922側の開口部2666aは、規定半径rを表す仮想円筒面(図9の二点鎖線)からは径方向内側に離間する箇所にて、内側領域Aiに開口している。
このような第二実施形態によっても、ドレンポート2666よりも径方向外側では、各連通通路922からドレンポート2666側の貯留空間95に排出されて遠心力Fcを受ける作動油を、貯留し得る。したがって、第一実施形態に準ずる効果を発揮することが、可能である。
(第三実施形態)
図10に示すように、本発明の第三実施形態は第一実施形態の変形例である。第三実施形態の貯留構造3090において第二環状部3092の各連通通路3922は、軸方向に実質同一の外径と共に、軸方向に実質同一の内径を有している。かかる内径により各連通通路3922では、ドレンポート666側の開口部3922aも排出口705側の開口部3922bも、規定半径rを表す仮想円筒面(図10の二点鎖線)に沿って外側領域Aoに開口している。ここで第三実施形態では、フランジ部668側の軸方向端部において本体ボディ3660の内周面3660aが規定半径rよりも径方向外側に位置するので、当該本体ボディ3660内と各連通通路3922との連通が可能となっている。
このような第三実施形態によっても、ドレンポート666よりも径方向外側では、各連通通路3922からドレンポート666側の貯留空間95に排出されて遠心力Fcを受ける作動油を、貯留し得る。したがって、第一実施形態に準ずる効果を発揮することが、可能である。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
具体的に第一実施形態及び第三実施形態では、図11に変形例(同図は第一実施形態の変形例)を示すように、第三中心孔930によって形成するドレンポート666と共に、連通孔2931によって形成する第二実施形態のドレンポート2666も設けてもよい。また、第一〜第三実施形態では、凹部94を設けない構成を採用してもよい。
さらに、第一〜第三実施形態の貯留空間95における作動油の貯留量については、排出室22〜24/26〜28に許容される容積変化量以上に設定する以外にも、例えばそれら排出室22〜24/26〜28の最大容積以上等に設定してもよい。またさらに、第一〜第三実施形態の第二環状部92,3092については、駆動軸63の外周面630に嵌合させないで、当該外周面630との間に隙間をあけさせてもよい。
加えて、第一〜第三実施形態の各環状部91,92,3092,93,2093については、第一環状部91を本体ボディ660に設け、且つ第二環状部92,3092及び第三環状部93,2093をカバーボディ669に設ける構成以外にも、例えば第二環状部92,3092を本体ボディ660に設ける構成等に、変更してもよい。また加えて、第一〜第三実施形態の制御弁60については、連動回転要素2,14のうちいずれか一方に一体回転可能に内蔵させてもよい。
そして、本発明は、「動弁」としての吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外にも、「動弁」としての排気弁のバルブタイミングを調整する装置や、それら吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置に適用できるのである。
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、4 ポンプ、11 ハウジング、14 ベーンロータ、22,23,24 進角作動室、26,27,28 遅角作動室、60 制御弁、62 駆動源、63 駆動軸、66 スリーブ、68 スプール、90,2090,3090 貯留構造、91 第一環状部、92,3092 第二環状部、93,2093 第三環状部、94 凹部、95 貯留空間、630,680 外周面、660,3660 本体ボディ、661 進角ポート、662 遅角ポート、666,2666 ドレンポート、666a,922a,922b,2666a,3922a,3922b 開口部、669 カバーボディ、702 排出通路、705 排出口、921 シール部材、922,3922 連通通路、2931 連通孔、Ai 内側領域、Ai1 中心部、Ao 外側領域、Fc 遠心力、Fg 重力、r 規定半径

Claims (7)

  1. 内燃機関において前記クランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを、供給源から供給される作動液により調整するバルブタイミング調整装置であって、
    前記クランク軸と連動して回転するハウジング(11)と、
    前記カム軸(2)と連動して回転し、前記ハウジング内において複数の作動室(22,23,24,26,27,28)を回転方向に区画し、各前記作動室に対する作動液の入出により、位相変化モードにおいて前記ハウジングに対する回転位相が進角方向又は遅角方向へ変化するベーンロータ(14)と、
    前記ベーンロータ及び前記カム軸のうち少なくとも一方に一体回転可能に内蔵され、スリーブ(66)内に同軸上に収容されるスプール(68)の軸方向移動に応じて、各前記作動室に対する前記作動液の入出を制御する制御弁(60)とを、備え、
    前記制御弁は、
    前記スリーブに設けられ、作動液を導入する前記作動室としての導入室に前記位相変化モードにおいて接続される導入ポート(661,662)と、
    前記スリーブに設けられ、作動液が排出される前記作動室としての排出室に前記位相変化モードにおいて接続される排出ポート(662,661)と、
    前記スプールに設けられ、前記排出ポートに前記位相変化モードにおいて接続される排出通路(702)と、
    前記スプールに設けられて前記排出通路と連通し、前記スリーブ内のうち規定半径内の内側領域(Ai)において前記スプールの外周面(680)に開口する排出口(705)と、
    前記スリーブに設けられて外部の大気に開放されるドレンポート(666,2666)と、
    前記スリーブに設けられて径方向内側に環状に突出し、前記排出口を軸方向に挟んで前記ドレンポートとは反対側において前記スプールの外周面に嵌合する第一環状部(91)と、
    前記スリーブに設けられて径方向内側に環状に突出し、軸方向の前記排出口側と前記ドレンポート側とを連通する連通通路(922,3922)を、前記スリーブ内の当該ドレンポート側では、前記規定半径外の外側領域(Ao)に開口させる第二環状部(92,3092)と、
    前記スリーブに設けられて径方向内側に環状に突出し、前記作動液を貯留する貯留空間(95)を、前記スリーブ内のうち軸方向の前記第二環状部との間に確保すると共に、前記貯留空間を通じて前記連通通路と連通する前記ドレンポートを、前記スリーブ内の当該連通通路側では、前記内側領域に開口させる第三環状部(93,2093)と、を有することを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 前記スプールは、前記スリーブ内を水平方向に沿って軸方向移動し、
    前記位相変化モードにおいて、前記規定半径の特定箇所に前記制御弁の回転により作用する遠心力は、当該特定箇所に作用する重力よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記遠心力及び前記重力の各々により前記貯留空間に貯留される前記作動液の貯留量の総和は、前記位相変化モードにおいて前記排出室に許容される容積変化量以上に、設定されることを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 前記制御弁は、
    前記スリーブに設けられ、前記外側領域において前記連通通路の前記ドレンポート側の開口部よりも径方向外側に凹んで前記貯留空間を形成する凹部(94)を、有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  5. 前記第三環状部(93)は、前記内側領域の中心部(Ai1)に前記ドレンポート(666)を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  6. 前記制御弁は、
    前記スプールと同軸上に当接する駆動軸(63)により、当該スプールを軸方向駆動する駆動源(62)を、有し、
    前記第二環状部(92,3092)は、前記駆動軸の外周面(630)に嵌合し、
    前記第三環状部(93)は、前記駆動軸の外周面との間に前記ドレンポート(666)を確保することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  7. 前記スリーブは、
    前記第一環状部を前記導入ポート及び排出ポートと共に形成する本体ボディ(660,3660)と、
    前記本体ボディに装着され、前記第二環状部及び前記第三環状部を前記ドレンポートと共に形成するカバーボディ(669)と、を組み合わせて構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
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