JP2013208932A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動歯車と従動歯車のバックラッシュを除去するための予圧手段を有してなる電動パワーステアリング装置において、予圧手段により駆動歯車の軸受を所定の予圧方向へ安定的に移動させるとともに、予圧手段に組込まれる駆動歯車の作動性を向上すること。
【解決手段】ウォームギヤの軸受23Aを所定の予圧方向へ付勢する予圧手段30を有してなる電動パワーステアリング装置において、予圧手段30が、周方向の一部を切り離したC字状の環状体41からなる軸受ケース40を有し、軸受23Aが収容された軸受ケース40の環状体41が、ギヤハウジング11Bに設けたケース取付部81に縮径状態で取付けられてなるもの。
【選択図】図5

Description

本発明は電動パワーステアリング装置に関する。
電動パワーステアリング装置では、ステアリング軸にトーションバーを介して連結されるピニオン軸をギヤハウジングに枢支し、ピニオン軸に噛合うラック軸をギヤハウジングに直線動可能に支持し、電動モータの駆動軸に連結されるウォームギヤをギヤハウジングに枢支し、ピニオン軸の中間部に固定されてウォームギヤに噛合うウォームホイールをギヤハウジングに枢支している。電動モータは、運転者がステアリング軸に加えた操舵トルクに応じた操舵アシストトルクを、ウォームギヤとウォームホイールの噛合い、ピニオン軸とラック軸の噛合いを介してラック軸に付与するものである。
このような電動パワーステアリング装置では、組立時に、ウォームギヤ等の部品の寸法誤差に影響されることなくウォームギヤとウォームホイールの軸間距離を簡易に設定するとともに、組立後に、ウォームギヤとウォームホイールの噛合いが経時変化したときに、それらの軸間距離を簡易に調整し、それらのバックラッシュを除去することが必要とされる。
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置では、ウォームギヤとウォームホイールとの噛合い部に予圧を加えるように、ウォームギヤの先端軸部を支持する軸受を所定の予圧方向へ付勢する予圧手段を有している。予圧手段の付勢力により、ウォームギヤとウォームホイールの軸間距離を調整し、それらのバックラッシュを除去するものである。
特許文献1に記載の予圧手段は、軸受を収容して該軸受が所定の予圧方向へ移動するように案内するガイド面を備えたガイドケースをギヤハウジングの嵌合孔に嵌合するものである。一方、ギヤハウジングに設けた保持孔に、調整ねじを螺着するとともに、調整ねじによりバックアップされるコイルばねを挿入する。そして、このコイルばねにより押圧される押付体がガイドケースに設けた孔に挿通され、ガイドケース内の軸受を所定の予圧方向へ付勢するようになっている。尚、調整ねじはゆるめ止めのためのロックナットが螺着される。
特許3646205
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置には以下の問題点がある。
(1)ガイドケースをギヤハウジングに圧入している。このため、ガイドケースに設けたガイド面の寸法が圧入の程度によって変化し、軸受を所定の予圧方向へ安定的に移動させることができない。
(2)ガイドケースをプラスチックからなるものにし、ガイドケースが金属からなる軸受と金属間接触することに起因する異音発生を防止している。ところが、車両のエンジン又は電動パワーステアリング装置のモータ等の発熱の影響下でプラスチック製ガイドケースがギヤハウジングの取付孔内で膨張し、このガイドケースの膨張の逃げがないときには、ガイドケースに収容されている軸受の転動性を損ない、ひいてはウォームギヤの作動性を損なう。
本発明の課題は、駆動歯車と従動歯車のバックラッシュを除去するための予圧手段を有してなる電動パワーステアリング装置において、予圧手段により駆動歯車の軸受を所定の予圧方向へ安定的に移動させるとともに、予圧手段に組込まれる駆動歯車の作動性を向上することにある。
請求項1に係る発明は、電動モータにより駆動される駆動歯車をギヤハウジングに枢支するとともに、駆動歯車に噛合う従動歯車を操舵軸に固定し、駆動歯車と従動歯車との噛合い部に予圧を加えるように、駆動歯車の軸受を所定の予圧方向へ付勢する予圧手段を有してなる電動パワーステアリング装置において、予圧手段が、周方向の一部を切り離したC字状の環状体からなる軸受ケースを有し、軸受ケースが環状体の縮径状態で駆動歯車の軸受を抱持する軸受収容孔を形成し、軸受の外周に接して該軸受を所定の予圧方向へ移動するように案内するガイド面を軸受収容孔の内周に備えるとともに、軸受を付勢するためのばねが挿通されるばね挿通孔を有してなり、軸受が収容された軸受ケースの環状体が、ギヤハウジングに設けたケース取付部に縮径状態で取付けられてなるようにしたものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記軸受ケースに備えるガイド面が、相対して平行をなす2つの平面状ガイド面であるようにしたものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において更に、前記ギヤハウジングに軸受ケースのための位置決め部を設け、軸受ケースに設けた被位置決め部を上記位置決め部に係合させ、ギヤハウジングのケース取付部に対する軸受ケースの取付位置を位置決めしてなるようにしたものである。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において更に、前記軸受ケースの被位置決め部が環状体の半径方向外方に突出させた筒突部からなり、この筒突部の軸方向に前記ばね挿通孔を貫通形成したものである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに係る発明において更に、前記軸受ケースがプラスチックからなり、ギヤハウジングが金属からなるようにしたものである。
(請求項1、5)
(a)軸受ケースは、C字状の環状体が縮径外力によって縮径されて形成する軸受収容孔に軸受を抱持する縮径状態でギヤハウジングのケース取付部に挿入される。軸受ケースは、ギヤハウジングへの挿入後に縮径外力が解放されると、弾性的に若干拡開してギヤハウジングのケース取付部の内周に保持される取付完了状態となり、環状体の上記縮径状態を若干緩和される。これにより、軸受は軸受ケースのガイド面との過大接圧力を緩和され、軸受を所定の予圧方向へ安定的に移動させることができる。
(b)車両のエンジン又は電動パワーステアリング装置のモータ等の発熱の影響下でプラスチック製軸受ケースが、金属製ギヤケースのケース取付部内で膨張すると、この膨張がギヤハウジングのケース取付部内における軸受ケースのC字状環状体の若干の拡縮変形により吸収される。これにより、軸受ケースに収容されている軸受の転動性を損なうことがなく、ひいては駆動歯車の作動性を向上することができる。
(請求項2)
(c)軸受ケースは、ギヤハウジングへ取付けられた縮径状態で、2つの平面状ガイド面を互いに平行にし、それらのガイド面により軸受を所定の予圧方向へ移動するように案内する。
(請求項3)
(d)前記ギヤハウジングに軸受ケースのための位置決め部を設け、軸受ケースに設けた被位置決め部を上記位置決め部に係合させ、ギヤハウジングのケース取付部に対する軸受ケースの取付位置を位置決めする。これにより、ギヤハウジングのケース取付部に取付けられた軸受ケースによる軸受の案内方向が所定の予圧方向に設定される。従って、ギヤハウジングに対する予圧手段の組立方向を簡易に設定しながら、駆動歯車の軸受を所定の予圧方向へ付勢できる。
(請求項4)
(e)前記軸受ケースの被位置決め部が環状体の半径方向外方に突出させた筒突部からなり、この筒突部の軸方向に前記ばね挿通孔を貫通形成した。従って、軸受ケースの筒突部(被位置決め部)をギヤハウジングのケース取付部に設けた位置決め部に係合させることにより、軸受ケースのガイド面が軸受をガイドすべき所定の方向に規定されるものになる。これにより、駆動歯車の軸受を所定の予圧方向へ付勢できる。
図1は電動パワーステアリング装置を示す縦断面図である。 図2は図1のII-II線に沿う断面図である。 図3はウォームギヤの支持構造を破断して示す斜視図である。 図4はウォームギヤの継手構造を示し、(A)は小組状態を示す斜視図、(B)は構成部品を示す斜視図である。 図5は図2のV-V線に沿う断面図である。 図6は電動パワーステアリング装置を分解して示す斜視図である。 図7はギヤハウジングと予圧手段を分解して示す斜視図である。 図8は軸受ケースを示す斜視図である。
電動パワーステアリング装置10は、図1、図2に示す如く、不図示のブラケットにより車体に固定されるギヤハウジング11A、11Bを有する。そして、ステアリングホイール(不図示)が結合される入力軸12にトーションバー13を介して出力軸14(操舵軸)を連結している。ギヤハウジング11B内には、トーションバー13のねじれに応じた入力軸12と出力軸14の相対回転変位量によって運転者がステアリングホイールに加えた操舵トルクを検出するトルクセンサ15が内蔵されている。入力軸12と出力軸14は、軸受12A、14A、14Bを介してギヤハウジング11A、11Bに枢支される。
ギヤハウジング11Aには、出力軸14のピニオンに噛合うラックを備えたラック軸16が左右直線動可能に支持されている。尚、ギヤハウジング11A内でラック軸16の一端を挟んで出力軸14のピニオンと相対する部分には、キャップ17により背面支持されるばね18によりラック軸16のラックを出力軸14のピニオンに押圧するラックガイド19が内蔵されている。
電動モータ20がギヤハウジング11Bに固定される。電動モータ20に接続されて駆動されるウォームギヤ21(駆動歯車)の両端の軸部22、23が、図2、図3に示す如く、出力軸14の軸と交差、本実施例では直交するように、軸受22A、23Aを介してギヤハウジング11Bに枢支される。電動モータ20の駆動軸20Aにはカップリング24が圧入され、図4に示す如く、ウォームギヤ21の軸部22にはカップリング25が圧入され、カップリング24とカップリング25がエチレンプロピレンゴム等からなるゴム継手26により連結される。ゴム継手26はゴム弾性を有し、環状中空芯26Aの外周に放射状をなす突起部26Bを備える。カップリング24の羽根部24A(不図示)とカップリング25の羽根部25Aがゴム継手26の周方向で相隣る各突起部26Bの対向間隙に順に嵌合され、電動モータ20の回転力がゴム継手26を介してウォームギヤ21に伝達される。
このとき、図3に示す如く、ウォームギヤ21の軸部22のための軸受22Aの外輪はギヤハウジング11Bに螺着されるベアリングナット27によりギヤハウジング11Bの段差孔に固定され、軸受22Aの内輪はウォームギヤ21の軸部22に設けたフランジ22Fと軸部22に圧入されたカップリング25により挟持される。これにより、ウォームギヤ21は軸方向へのガタなくギヤハウジング11Bに支持される。また、ウォームギヤ21はゴム継手26の弾性により、軸受22Aの幅方向中央近傍位置を中心として若干揺動できる。ウォームギヤ21のこの揺動はゴム継手26の弾性変形により吸収される。また、ゴム継手26の中空芯26Aの中空部に装填されたばね、本実施例では圧縮コイルばね28が、カップリング24の端面とウォームギヤ21の軸部22の端面との間に圧縮状態で装填され、ウォームギヤ21の軸方向に生じ得る振動を吸収する。
電動モータ20により駆動されるウォームギヤ21に噛合うウォームホイール29(従動歯車)が出力軸14の中間部に固定されている。電動モータ20はトルクセンサ15が検出した操舵トルクに応じて駆動され、この電動モータ20のトルクがウォームギヤ21とウォームホイール29の噛合い部を介して出力軸14に伝達され、ひいてはラック軸16に操舵アシスト力になって付与され、運転者がステアリングホイールに加えた操舵トルクをアシストする。
しかるに、電動パワーステアリング装置10にあっては、ウォームギヤ21とウォームホイール29の噛合い部のバックラッシュを除去するため、ウォームギヤ21とウォームホイール29の噛合い部に予圧を加える予圧手段30を有する。予圧手段30は、ウォームギヤ21の軸部23に設けた軸受23Aを所定の予圧方向へ付勢する。
予圧手段30は、図5〜図7に示す如く、軸受ケース40とシートラバー50とばね60とを有する。
軸受ケース40は、図8に示す如く、環状体41(後述するC字状の環状体)からなるものとされ、環状体41の外周の周方向の1ヵ所から半径方向外方に短円筒状の筒突部42が突出されている。軸受ケース40は、ウォームギヤ21の軸部23のための軸受23Aを収容する軸受収容孔43を環状体41の内周に備える。また、軸受ケース40は、軸受23Aを付勢するためのばね、本実施例ではコイルばね60が挿通される丸孔状のばね挿通孔44を上記軸受収容孔43の周方向の1ヵ所に交差させるように、筒突部42に備える。軸受収容孔43は環状体41の軸方向に貫通形成され、ばね挿通孔44は環状体41の半径方向に合致する筒突部42の軸方向に貫通形成される。
予圧手段30は、軸受ケース40を含油ポリアセタール樹脂等のプラスチックからなる無給油ブッシュとし、ギヤハウジング11Bを金属からなるものにしている。
ここで、軸受ケース40は、図8に示す如く、周方向の1ヵ所を切り離したC字状の環状体41からなる。軸受23Aが軸受収容孔43に収容された軸受ケース40の環状体41は、ギヤハウジング11Bに設けた孔状ケース取付部81に縮径状態で取付けられる。即ち、軸受ケース40は、ケース取付部81に取付けられた環状体41の縮径状態で、ウォームギヤ21の軸部23のための軸受23Aを抱持する軸受収容孔43を形成し、軸受23Aの外周に接して該軸受23Aを所定の予圧方向へ移動するように案内するガイド面101を軸受収容孔43の内周に備える。軸受ケース40に備えるガイド面101は、環状体41の上述の縮径状態で相対して平行をなす2つの平面状ガイド面101、101からなる。軸受ケース40の軸受収容孔43に収容された軸受23Aの内輪は、ウォームギヤ21の軸部23の小径端に設けた段差端面23Bに当接する。
尚、軸受ケース40の環状体41は、C字状に切り離されて周方向で相対する一方の突片41Aを該環状体41の軸方向の一端面の側に設け、他方の突片41Bを該環状体41の軸方向の他端面の側に設けてある。環状体41の上述の縮径状態で、突片41Aと突片41Bは周方向の一定範囲にて相並び得るように設定されている。
予圧手段30は、図5に示す如く、軸受ケース40の筒突部42に備えたばね挿通孔44の開口端面(筒突部42の端面42A)に筒状のシートラバー50を当接し、このシートラバー50の内径部にばね60を装填可能にしている。即ち、軸受23Aを収容した軸受ケース40の環状体41がギヤハウジング11Bに設けたケース取付部81に取付けられ、軸受ケース40の筒突部42がギヤハウジング11Bに設けたラバー装填孔82に装填され、ばね60を収容したシートラバー50がこのラバー装填孔82に装填されるときに、該シートラバー50が軸受ケース40のばね挿通孔44の開口端面(筒突部42の端面42A)に当接される。そして更に、ギヤハウジング11Bのラバー装填孔82の開口まわりの蓋取付面71に固定される蓋70の内面がシートラバー50の外側端面に密着せしめられる。蓋70は、ボルト72によりギヤハウジング11Bの蓋取付面71に固定される。
ここで、シートラバー50は、図5、図7に示す如く、ギヤハウジング11Bのラバー装填孔82に装填される筒状体51からなり、筒状体51の基端部に外方に張り出るフランジ51Fを備え、筒状体51の先端部に外周に段差部51Sを設けた細径部51Aを備える。シートラバー50のフランジ51Fは、ギヤハウジング11Bのラバー挿填孔82の開口に設けた環状くぼみ部82Aに嵌め込まれ、該ラバー装填孔82の開口まわりの蓋取付面71に固定される蓋70の内面により挟圧される。シートラバー50の細径部51Aは、軸受ケース40の筒突部42に備えたばね挿通孔44に挿通され、細径部51Aの外周の段差部51Sが軸受ケース40のばね挿通孔44の開口端面(筒突部42の端面42A)に当接される。
予圧手段30は、ギヤハウジング11Bに軸受ケース40のための位置決め部91を設け、軸受ケース40に設けた被位置決め部92を上記位置決め部91に係合させ、ギヤハウジング11Bのケース取付部81に対する軸受ケース40の取付位置を位置決めしている。ギヤハウジング11Bの位置決め部91は該ギヤハウジング11Bに設けたラバー装填孔82からなるものとされる。軸受ケース40の被位置決め部92は環状体41の半径方向外方に突出させた筒突部42からなるものとされる。軸受ケース40の筒突部42が前述の如くにギヤハウジング11Bのラバー装填孔82に装填され、ギヤハウジング11Bのケース取付部81に対する軸受ケース40の取付位置が位置決めされる。
従って、電動パワーステアリング装置10においてウォームギヤ21を組込む場合には、軸受ケース40の環状体41に抱持された軸受23Aを軸部23に挿着したウォームギヤ21が、ギヤハウジング11Bにおける電動モータ20の取付側から挿入される。軸受ケース40の環状体41が縮径されながらギヤハウジング11Bのケース取付部81に挿入されるとともに、軸受ケース40の筒突部42がギヤハウジング11Bにおけるケース取付部81の側からラバー装填孔82に対して斜交方向から挿入される。軸受ケース40の環状体41、筒突部42がギヤハウジング11Bのケース取付部81、ラバー装填孔82のそれぞれに挿入された後、環状体41がケース取付部81内でその縮径状態を若干緩和されて取付完了となる。軸受ケース40の環状体41が取付完了となったとき、軸受ケース40の2つのガイド面101、101は相対して平行をなす。
更に、シートラバー50とばね60がギヤハウジング11Bのラバー装填孔82に外方から装填される。シートラバー50が軸受ケース40のばね挿通孔44の開口端面(筒突部42の端面42A)に当接され、このシートラバー50の内径部にばね60が装填される。そして、蓋70がギヤハウジング11Bのラバー装填孔82の開口まわりの蓋取付面71に固定される。蓋70の内面がシートラバー50とばね60の外側端面に上から圧接し、シートラバー50の端面に密着するものになる。
次に、ギヤハウジング11Bに螺着される前述のベアリングナット27により、ウォームギヤ21の軸部22に挿着されている軸受22Aがギヤハウジング11Bの段差孔に固定される。ウォームギヤ21は軸受22Aの軸方向中央近傍位置を中心として若干揺動できる。
こうして、予圧手段30のばね60がウォームギヤ21の軸受23Aを所定の予圧方向へ付勢し、ウォームギヤ21はばね60のばね力により軸受22Aの軸方向中央近傍位置を中心として揺動し、ウォームギヤ21とウォームホイール29の噛合い部に予圧を加えることができ、噛合い部のバックラッシュをなくすものになる。しかも、予圧手段30は軸受ケース40のガイド面101の存在により、ウォームギヤ21の軸受23Aを正しく所定の予圧方向へ移動させるから、ウォームギヤ21はウォームホイール29の軸長方向に関して適正な噛合位置を保持することができるとともに、噛合反力の変動によるウォームギヤ21のラジアル方向への移動をスムースに行なわせることができる。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)軸受ケース40は、C字状の環状体41が縮径外力によって縮径されて形成する軸受収容孔43に軸受23Aを抱持する縮径状態でギヤハウジング11Bのケース取付部81に挿入される。軸受ケース40は、ギヤハウジング11Bへの挿入後に縮径外力が解放されると、弾性的に若干拡開してギヤハウジング11Bのケース取付部81の内周に保持される取付完了状態となり、環状体41の上記縮径状態を若干緩和される。これにより、軸受23Aは軸受ケース40のガイド面101との過大接圧力を緩和され、軸受23Aを所定の予圧方向へ安定的に移動させることができる。
(b)車両のエンジン又は電動パワーステアリング装置10のモータ20等の発熱の影響下でプラスチック製軸受ケース40が、金属製ギヤケースのケース取付部81内で膨張すると、この膨張がギヤハウジング11Bのケース取付部81内における軸受ケース40のC字状環状体41の若干の拡縮変形により吸収される。これにより、軸受ケース40に収容されている軸受23Aの転動性を損なうことがなく、ひいてはウォームギヤ21の作動性を向上することができる。
(c)軸受ケース40は、ギヤハウジング11Bへ取付けられた縮径状態で、2つの平面状ガイド面101を互いに平行にし、それらのガイド面101により軸受23Aを所定の予圧方向へ移動するように案内する。
(d)前記ギヤハウジング11Bに軸受ケース40のための位置決め部91を設け、軸受ケース40に設けた被位置決め部92を上記位置決め部91に係合させ、ギヤハウジング11Bのケース取付部81に対する軸受ケース40の取付位置を位置決めする。これにより、ギヤハウジング11Bのケース取付部81に取付けられた軸受ケース40による軸受23Aの案内方向が所定の予圧方向に設定される。従って、ギヤハウジング11Bに対する予圧手段30の組立方向を簡易に設定しながら、ウォームギヤ21の軸受23Aを所定の予圧方向へ付勢できる。
(e)前記軸受ケース40の被位置決め部92が環状体41の半径方向外方に突出させた筒突部42からなり、この筒突部42の軸方向に前記ばね挿通孔44を貫通形成した。従って、軸受ケース40の筒突部42(被位置決め部92)をギヤハウジング11Bのケース取付部81に設けた位置決め部91に係合されることにより、軸受ケース40のガイド面101が軸受23Aをガイドすべき所定の方向に規定されるものになる。これにより、ウォームギヤ21の軸受23Aを所定の予圧方向へ付勢できる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、駆動歯車(ウォームギヤ)の軸受は転がり軸受に限らず、滑り軸受でも良い。
また、駆動歯車をウォームギヤ、従動歯車をウォームホイールとするものに限らず、駆動歯車をハイポイドピニオンとし、従動歯車をハイポイドホイールとするものでも良い。また、駆動歯車と従動歯車にベベルギヤを用いても良い。
本発明は、電動モータにより駆動される駆動歯車をギヤハウジングに枢支するとともに、駆動歯車に噛合う従動歯車を操舵軸に固定し、駆動歯車と従動歯車との噛合い部に予圧を加えるように、駆動歯車の軸受を所定の予圧方向へ付勢する予圧手段を有してなる電動パワーステアリング装置において、予圧手段が、周方向の一部を切り離したC字状の環状体からなる軸受ケースを有し、軸受ケースが環状体の縮径状態で駆動歯車の軸受を抱持する軸受収容孔を形成し、軸受の外周に接して該軸受を所定の予圧方向へ移動するように案内するガイド面を軸受収容孔の内周に備えるとともに、軸受を付勢するためのばねが挿通されるばね挿通孔を有してなり、軸受が収容された軸受ケースの環状体が、ギヤハウジングに設けたケース取付部に縮径状態で取付けた。これにより、駆動歯車と従動歯車のバックラッシュを除去するための予圧手段を有してなる電動パワーステアリング装置において、予圧手段により駆動歯車の軸受を所定の予圧方向へ安定的に移動させるとともに、予圧手段に組込まれる駆動歯車の作動性を向上することができる。
10 電動パワーステアリング装置
11A、11B ギヤハウジング
12 入力軸
14 出力軸(操舵軸)
20 電動モータ
21 ウォームギヤ(駆動歯車)
23A 軸受
29 ウォームホイール(従動歯車)
30 予圧手段
40 軸受ケース
41 環状体
42 筒突部
43 軸受収容孔
44 ばね挿通孔
60 ばね
81 ケース取付部
91 位置決め部
92 被位置決め部
101 ガイド面

Claims (5)

  1. 電動モータにより駆動される駆動歯車をギヤハウジングに枢支するとともに、駆動歯車に噛合う従動歯車を操舵軸に固定し、駆動歯車と従動歯車との噛合い部に予圧を加えるように、駆動歯車の軸受を所定の予圧方向へ付勢する予圧手段を有してなる電動パワーステアリング装置において、
    予圧手段が、
    周方向の一部を切り離したC字状の環状体からなる軸受ケースを有し、
    軸受ケースが環状体の縮径状態で駆動歯車の軸受を抱持する軸受収容孔を形成し、軸受の外周に接して該軸受を所定の予圧方向へ移動するように案内するガイド面を軸受収容孔の内周に備えるとともに、軸受を付勢するためのばねが挿通されるばね挿通孔を有してなり、
    軸受が収容された軸受ケースの環状体が、ギヤハウジングに設けたケース取付部に縮径状態で取付けられてなることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記軸受ケースに備えるガイド面が、相対して平行をなす2つの平面状ガイド面である請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記ギヤハウジングに軸受ケースのための位置決め部を設け、軸受ケースに設けた被位置決め部を上記位置決め部に係合させ、ギヤハウジングのケース取付部に対する軸受ケースの取付位置を位置決めしてなる請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記軸受ケースの被位置決め部が環状体の半径方向外方に突出させた筒突部からなり、この筒突部の軸方向に前記ばね挿通孔を貫通形成した請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記軸受ケースがプラスチックからなり、ギヤハウジングが金属からなる請求項1〜4のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
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