JP2013208532A - 二酸化炭素化学吸収システム - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸気再圧縮(VR)法を適用した二酸化炭素化学吸収システムにおいて、構成要素である減圧蒸発器及び圧縮部を安定的に運転する。
【解決手段】蒸気再圧縮部に、再生塔底部配管19を介して再生塔2から抜き出したリーン液を減圧蒸発させる減圧蒸発器20と、減圧蒸発器20で発生した蒸気を加圧する圧縮部22と、圧縮部22で加圧された蒸気を再生塔2に投入する再圧縮蒸気配管(VR蒸気配管23)とを設けた二酸化炭素化学吸収システムにおいて、再生塔2から減圧蒸発器20にリーン液を輸送する蒸発用リーン液配管26には、流量調節弁CV1を設け、減圧蒸発器20には、その内部の圧力を測定する圧力計P1を設け、圧力計P1の計測値が一定になるように流量調節弁CV1の開度又は圧縮部22の入力を制御する。
【選択図】図1
【解決手段】蒸気再圧縮部に、再生塔底部配管19を介して再生塔2から抜き出したリーン液を減圧蒸発させる減圧蒸発器20と、減圧蒸発器20で発生した蒸気を加圧する圧縮部22と、圧縮部22で加圧された蒸気を再生塔2に投入する再圧縮蒸気配管(VR蒸気配管23)とを設けた二酸化炭素化学吸収システムにおいて、再生塔2から減圧蒸発器20にリーン液を輸送する蒸発用リーン液配管26には、流量調節弁CV1を設け、減圧蒸発器20には、その内部の圧力を測定する圧力計P1を設け、圧力計P1の計測値が一定になるように流量調節弁CV1の開度又は圧縮部22の入力を制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃焼排ガスからCO2を回収する化学吸収システムに関し、特に、システムのエネルギーロスを低減する技術に関する。
地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出を低減するため、化石燃料を燃焼するプラントの排ガスからCO2を除去する技術の開発が進められている。そのような技術の一つとして、アルカリ性吸収液によりガス中のCO2を回収する化学吸収システムがある。
CO2化学吸収システムの基本システムは、例えば、特許文献1に示されているように、以下のとおりである。
CO2を含む排ガスは、吸収塔に送られ、吸収塔内で吸収液と接触することにより、CO2が吸収液に吸収される。CO2を吸収した吸収液(リッチ液)は、再生塔に送られ、CO2を放出して再生される。この再生された吸収液(リーン液)は、再度、CO2吸収に用いられる。放出されたCO2は、圧縮され、地下貯留設備などへ送られる。吸収液再生のCO2放出反応は吸熱反応であるため、再生塔に送られるリッチ液および再生塔の内部は、100〜120℃に加熱する必要がある。リッチ液は、再生塔から送られるリーン液によって熱交換機を通して加熱される。また、再生塔の内部は、リボイラにおいて加熱用蒸気により吸収液を加熱し、発生した蒸気を再生塔の内部に供給して加熱される。
吸収液の再生に必要なエネルギー(再生エネルギー)を低減することが、CO2化学吸収システム実用化の課題の一つである。再生エネルギーを低減すれば、燃焼プラントから取り出すエネルギーをより多く有効に活用できる。そのための方法として、特許文献2には、蒸気再圧縮法の適用が示されている。
また、特許文献3には、気化弁、気化器、圧縮器等を設けた経路を有するアミン再生部を備えたCO2捕獲設備が開示されている。
特許文献1〜3のいずれにおいても、蒸気再圧縮法を適用する場合の必須の構成である減圧蒸発器(気化器)の圧力を制御する技術は記載されていない。
本発明の目的は、蒸気再圧縮法を適用した二酸化炭素化学吸収システムにおいて、構成要素である減圧蒸発器及び圧縮部を安定的に運転することにある。
本発明は、蒸気再圧縮部に、再生塔底部配管を介して再生塔から抜き出したリーン液を減圧蒸発させる減圧蒸発器と、減圧蒸発器で発生した蒸気を加圧する圧縮部と、圧縮部で加圧された蒸気を再生塔に投入する再圧縮蒸気配管とを設けた二酸化炭素化学吸収システムにおいて、再生塔から減圧蒸発器にリーン液を輸送する蒸発用リーン液配管には、流量調節弁を設け、減圧蒸発器には、その内部の圧力を測定する圧力計を設け、圧力計の計測値が一定になるように流量調節弁の開度又は圧縮部の入力を制御する。
本発明によれば、減圧蒸発器内部の圧力が一定になるように制御することができ、特に、起動の際の圧力変動を緩和することができる。
本発明は、蒸気再圧縮法を適用した二酸化炭素化学吸収システム(CO2化学吸収システム)において、流入する液流量制御弁の操作、又は、圧縮部の入力操作により減圧蒸発器の圧力を制御する。
まず、従来技術の問題点を検討する。
図4は、蒸気再圧縮(Vapor Recompression、以下、「VR」と略称する。)法を適用したCO2化学吸収システムの基本系統の一例を示したものである。
CO2化学吸収システムは、吸収塔1、再生塔2、リボイラ7、液熱交換器12、液冷却器13、ガス冷却器15、気液分離器16、減圧蒸発器20、圧縮部22(圧縮機又はブロア)等で構成されている。
CO2を含む排ガスは、排ガス導入配管3から吸収塔1内に導入され、吸収液と対向接触し、CO2を除去された処理済ガス4として廃棄される。吸収塔1は、吸収液のCO2吸収に適した40〜50℃に保持される。CO2を吸収したリッチ液は、リッチ液輸送配管5を介して再生塔2に導入され、再生される。再生塔2は、CO2放出に適した100〜120℃に保持されている。また、再生塔2は、高温度による吸収液の蒸散を抑制するため、0.15〜0.2MPaに加圧されている。
リッチ液を再生して得られたリーン液は、リーン液輸送配管6を介して吸収塔1に還流される。再生塔排出ガスは、排出ガス配管14を介してガス冷却器15に輸送され、冷却され、気液分離器16にて凝縮液17とCO2リッチガス18とに分離され、CO2リッチガス18のみがCO2処理施設に輸送される。凝縮液17は、再生塔2に還流する。
再生塔2を加熱するため、再生塔2のリーン液は、リボイラ入口配管8を介してリボイラ7に導入され、再生蒸気配管9から導入される再生蒸気によって加熱される。リボイラ7で発生した加熱蒸気は蒸気出口配管10から、リボイラ7のリーン液はリーン液戻り配管11からそれぞれ、再生塔2の底部に戻される。ここで、リーン液戻り配管11のリーン液は、加熱蒸気を発生する飽和温度であるため、再生塔2の温度より10〜15℃高い温度となっている。
なお、液熱交換器12においては、リッチ液輸送配管5のリッチ液とリーン液輸送配管6のリーン液との熱交換を行う。この際、リッチ液は加熱され、リーン液は冷却される。すなわち、リボイラ7にて投入された熱をリッチ液によって回収する。一方、リーン液は、液冷却器13にて更に冷却され、吸収塔1に投入される。
再生塔2の底部の再生塔底部配管19から抜き出されたリーン液は、減圧蒸発器20及び圧縮部22を備えたVR部(蒸気再圧縮部)に送られる。減圧蒸発器20には、減圧蒸気配管21及びリーン液輸送配管6が接続されている。そして、減圧蒸気配管21は、圧縮部22に接続されている。言い換えると、減圧蒸発器20の内部は、圧縮部22の吸い込みにより減圧されるようになっている。
再生塔底部配管19のリーン液は、減圧蒸発器20内で減圧され、フラッシュ蒸発を起こす。発生した減圧蒸気は、減圧蒸気配管21を介して圧縮部22送られ、圧縮され、温度が上昇する。この蒸気は、VR蒸気であり、再生塔2を加熱するためにVR蒸気配管23(再圧縮蒸気配管)を介して再生塔2に投入される。VR蒸気は、再生塔底部配管19から抜き出されたリーン液が保有する熱を蒸気として取り出し、圧縮部22の動力分の熱を加えたものであり、再生塔2の加熱に再利用することにより、再生蒸気配管9から導入される再生蒸気の量を削減できる。
VRは、従来、蒸発器、蒸留塔などの分野で、加熱源のエネルギー削減に用いられてきた。これらの分野では、生成物あるいは副産物の蒸気を圧縮機で加圧し、加熱源蒸気とする。
これに対し、CO2化学吸収システムにVRを適用する場合、生成物としての蒸気がないため、減圧蒸発により蒸気を発生させるための減圧蒸発器20の設置が必要となる。減圧蒸発器20における蒸気発生量は、再生塔底部配管19から抜き出されたリーン液の温度及び流量並びに減圧蒸発器20の圧力により決定される。減圧蒸発器20の圧力は、圧縮部22の入力、すなわち減圧蒸気を吸引する力により変化する。したがって、圧縮機のみで構成される他分野技術のVRとは異なり、CO2化学吸収システムにおいては減圧蒸発器20と圧縮部22とを協調させる制御が必要となる。この制御がない場合、減圧蒸発器20の圧力及びVR蒸気配管23におけるVR蒸気の流量が変動し、安定した運転ができないという問題が生じる。
上記の問題を解決するため、本発明においては、(1)「再生塔から減圧蒸発器にリーン液を輸送する配管に流量調節弁を備え、減圧蒸発器に減圧蒸発器内の圧力を測定する圧力計を備え、該圧力計の計測値が設定された圧力値と等しくなるように該流量調節弁の開度を制御すること」、あるいは、(2)「減圧蒸発器から再生塔にVR蒸気を輸送する配管に圧縮部を備え、減圧蒸発器に減圧蒸発器内の圧力を測定する圧力計を備え、該圧力計の計測値が設定された圧力値と等しくなるように該圧縮部の入力を制御すること」を特徴とする。
本発明は、上記の手段により、以下の効果を得ることができる。
上記(1)においては、減圧蒸発器の内部圧力を一定に保つために、減圧蒸発器に送るリーン液の流量を操作する。リーン液の送液量が増加すれば、減圧蒸発による蒸気発生量が増加し、減圧蒸発器内部の圧力が上昇する。圧力が過大になった場合は、減圧蒸発器に設置した圧力計により設定値を超えていることを検知し、リーン液の送液量を減少する。これにより、減圧蒸発による蒸気発生量を減少させ、減圧蒸発器内部の圧力を低下させる。この制御により、減圧蒸発器内部の圧力を一定に保つことができる。
上記(2)においては、減圧蒸発器の内部圧力を一定に保つために圧縮部の入力を操作する。圧縮部が減圧蒸発器から蒸気を吸引し、減圧蒸発器の内部の圧力を低下させる。減圧蒸発器の内部の圧力が過小になった場合、減圧蒸発器に設置した圧力計により設定値を下回っていることを検知し、圧縮部の入力を低下させ、蒸気の吸引量を減少させることにより、減圧蒸発器の内部の圧力を上昇させる。この制御により、減圧蒸発器内部の圧力を一定に保つことができる。
いずれの方法の場合も、定常運転では、減圧蒸発器の圧力を一定とし、蒸発する蒸気量を一定とし、VR部を安定した運転に制御することが可能となる。
以下、実施例について図面を用いて説明する。
図1は、実施例の再生塔及びVR部の構成並びに計測及び制御の信号を示したものである。
本図において、計測部は、F1〜F5が流量計、T1〜T3が温度計、P1〜P2が圧力計、Lvが液位計を含む。また、波線矢印は制御指令(制御信号)を示す。波線矢印の元はその制御に用いる計測値を得るための計測部を示し、波線矢印の先は制御のために調整する操作部を示している。制御に際しては、当該計測値を1つの制御部に集めて操作値を算出してもよいし、それぞれの計測部又は操作部において個別に操作値を算出してもよい。
なお、本図においても、図4と同様に、再生塔2には、CO2を吸収したリッチ液がリッチ液輸送配管29を介して導入され、再生される。再生塔2は、CO2放出に適した100〜120℃に保持されている。また、再生塔2は、高温度による吸収液の蒸散を抑制するため、0.15〜0.2MPaに加圧されている。
リッチ液を再生して得られたリーン液は、リーン液輸送配管6を介して吸収塔1に還流される。再生塔排出ガスは、排出ガス配管14を介してガス冷却器15に輸送され、冷却され、気液分離器31にて凝縮液17とCO2リッチガス18とに分離され、CO2リッチガス18のみがCO2処理施設に輸送される。凝縮液17は、再生塔2に還流する。本図においては、気液分離器31の下方にバルブ32を設けてあり、凝縮液17の還流量を調節することができるようになっている。
つぎに、実際の動作について説明する。
再生塔2には、リッチ液輸送配管29からCO2を吸収したリッチ液が投入される。このリッチ液は、CO2を放出し、CO2濃度の低いリーン液となって再生塔底部配管19から抜き出される。CO2放出反応を進めるため、再生塔2内は100〜120℃に加熱され、0.15〜0.2MPaに加圧されている点は、従来技術と同様である。
再生塔2内の温度を保つため、CO2を放出したリーン液は、リボイラ入口配管8からリボイラ7に送られ、再生蒸気配管9から導入される再生蒸気によって加熱される。加熱されたリーン液から発生した蒸気は、蒸気出口配管10を介して再生塔2に投入され、再生塔2の内部を加熱する。リボイラ7から排出された戻り液は、リーン液戻り配管11から再生塔2の底部に戻され、再生塔底部配管19からリーン液として抜き出される。
以上の構成は、従来技術と同様である。
本実施例において、再生塔底部配管19は、蒸発用リーン液配管26とバイパス配管27とに分かれる。蒸発用リーン液配管26の下流には、減圧蒸発器20が設置してある。減圧蒸発器20の上部には、減圧蒸気を送る減圧蒸気配管21が接続してあり、その下流には圧縮部22が設置してある。減圧蒸発器20の内部は、圧縮部22の吸引によって再生塔2よりも減圧され、減圧蒸発器20の内部に貯留されているリーン液から蒸気が発生する。圧縮部22は、減圧蒸気配管21から送られる減圧蒸気を加圧し、同時に温度を上昇させる。加圧されたVR蒸気は、VR蒸気配管23を介して再生塔2に投入され、加熱源となる。
また、VR蒸気の一部は、リサイクル蒸気配管28を介してリサイクル蒸気として減圧蒸気配管21に戻される。減圧蒸気21は、飽和蒸気であるため、わずかな減温、加圧で容易に凝縮する。リサイクル蒸気によって蒸気の温度を飽和温度よりも上昇させることにより、圧縮部22内部での凝縮を防止することができる。
減圧蒸発器20の下部には、滞留しているリーン液を抜き出す戻り配管101が接続され、この戻り配管101には液を送るポンプPmp2が設置されている。戻り配管101は、バイパス配管27に接続してある。すなわち、戻り配管101とバイパス配管27とは合流部を有し、合流部よりも下流側の配管は、リーン液輸送配管6となっている。減圧蒸発器20の高さ等、高低関係によっては、液の頭圧のみで送液可能であり、この場合にはポンプPmp2の代わりに弁(液流量調節弁)を用いてもよい。ポンプPmp2により減圧蒸発器20から抜き出されたリーン液は、バイパス配管27のリーン液と合流する。リーン液輸送配管6には、ポンプPmp1(リーン液輸送ポンプ)が設置してあり、合流後のリーン液は、リーン液輸送配管6を介して吸収塔に送液される。
上記の構成のVR部を制御するため、配管等には、以下の計測部と操作部とが設置してある。
計測部である液の流量計としては、蒸発用リーン液配管26のリーン液流量を計測する流量計F1(第一の流量計)、バイパス配管27のリーン液流量を計測する流量計F2(第二の流量計)、及び戻り配管101のリーン液とバイパス配管27のリーン液とが合流した後のリーン液流量を計測する流量計F3(第三の流量計)が設置してある。減圧蒸発器20には、内部圧力を計測するための圧力計P1、及び減圧蒸発器20の内部の蒸気温度を計測する温度計T1(第一の温度計)が設置してある。
また、減圧蒸発器20には、その内部の液面の高さを計測する液位計Lvが設置してある。圧縮部22の入口部には、蒸気の温度を計測する温度計T2(第二の温度計)、圧縮部22の出口部には、VR蒸気の温度を計測する温度計T3(第三の温度計)が設置してある。VR蒸気配管23には、VR蒸気の流量を計測する流量計F4(第四の流量計)及びVR蒸気の圧力を計測する圧力計P2(配管圧力計)が設置してある。
操作部としては、蒸発用リーン液配管26における流量を調整する流量調節弁CV1、バイパス配管27における流量を調整する流量調節弁CV2(バイパス流量調節弁)、VR蒸気配管23における流量を操作する流量調節弁CV3(再圧縮蒸気流量調節弁)、及びリサイクル蒸気配管28における流量を調整する流量調節弁CV4(リサイクル蒸気流量調節弁)が設置してある。
上記の計測部及び操作部を用いて、以下の方法によりVR部を制御する。
まず、減圧蒸発器20の圧力計P1の計測値に基づき、流量調節弁CV1を操作して減圧蒸発器20に流入するリーン液流量を制御する。流量調節弁CV1の開度が大きくなると、減圧蒸発器20に流入するリーン液流量が増加し、蒸気発生量も増加する。蒸気発生量の増加により減圧蒸発器20内部の圧力が増加し、圧力計P1の計測値が計画された設定値を超えたときは、流量調節弁CV1の開度を小さくする。これにより、リーン液の流入量が減少し、蒸気発生量も減少するため、圧力が低下する。圧力計P1の計測値が計画された設定値を下回ったときは、流量調節弁CV1の開度を再び大きくし、蒸気発生量を増加させる。このように圧力計P1の計測値により流量調節弁CV1の開度を調整すれば、減圧蒸発器20の内部圧力を一定に制御することができ、定常運転を実現できる。
減圧蒸発器20の内部の液面高さは、液位計Lvにより計測され、これが設定値を超えた場合はポンプPmp2を起動し、あるいは入力を増加し、減圧蒸発器20のリーン液の抜き出し液位を下げる。液位計Lvの計測値が設定値を下回った場合は、ポンプPmp2を停止し、あるいは入力を減少し、液の抜き出しを抑制して液位を上げる。すなわち、液位計Lvの計測値に基づいてポンプPmp2の入力又は液流量調節弁の開度を調整(制御)する。
このように、液位計Lvの計測値によりポンプPmp2の液抜き出し量を調整すれば、減圧蒸発器20内部の空間面積を一定に保ち、圧力の安定に効果がある。
バイパス配管27の液流量を調整する流量調節弁CV2は、以下のように操作する。
吸収塔へ送るリーン液の流量は、流量計F3で計測されているが、この流量は吸収塔でCO2を吸収するために必要な流量として設定される。これを設定流量とする。流量計F3の計測値が設定流量となるようにポンプPmp1は制御されるようになっている。
一方、蒸発用リーン液配管26の流量は、流量計F1で計測されているが、この流量は流量調節弁CV1の開度により決まる。流量調節弁CV1開度は、圧力計P1の計測値で決定されている。そこで、バイパス配管27の液流量は、流量計F3の計測値から流量計F1の計測値を減じた値となるように制御回路24(制御部)で設定し、この設定値と流量計F2の計測値が等しくなるように流量調節弁CV2の開度を調整する。このようにバイパス配管27の流量を制御すれば、流量計F1及びF3で計測される流量に差が生じる非定常運転の際、特に起動及び停止の際に減圧蒸発器20に流入する液流量の過不足を調整できる。
圧縮部22の出口圧力は、圧力計P2(配管圧力計)で計測し、計画された設定値と圧力計P2の計測値が等しくなるように、流量調節弁CV3の開度を調節することによりVR蒸気流量を調整する。これにより、圧縮部22の出口圧力を一定に保ち、圧縮部22の入口及び出口における蒸気の圧力比も一定とし、圧縮部22の運転を安定させることができる。
リサイクル蒸気配管28の流量を調整する流量調節弁CV4は、圧縮部22の入口蒸気温度を制御する。温度計T2で計測された温度が計画された設定値と等しくなるように流量調節弁CV4の開度を操作し、リサイクル蒸気の量を調整する。入口蒸気温度を計測する温度計T2の設定値は、圧縮部22内で蒸気が凝縮しないように、すなわち最高圧力での飽和温度を超えるエンタルピーを持つように、予め計算により決定することもできる。あるいは、減圧蒸気21の温度計T1の計測値に加温を想定した温度の増分を加えて設定値とする方法も取りうる。あるいは、温度計T1及びT3の計測値から、加温に必要なリサイクル蒸気流量を決定し、流量調節弁CV4を流量計F1〜F5の計測値に基づいて操作する方法も取りうる。
本実施例の構成および制御方法によれば、VR部の運転を安定させる効果が得られる。
本実施例は、実施例1の構成にリボイラを加熱するための再生蒸気の量を制御する構成を加えた例を示したものである。
図2は、実施例の再生塔及びVR部の構成並びに計測及び制御の信号を示したものである。
再生塔2からリーン液を抜き出す再生塔底部配管19、VR蒸気配管23等の構成及びVR部の制御方法は、実施例1と同様である。
本実施例においては、リボイラ7の加熱源である再生蒸気配管9から導入される再生蒸気の流量を制御する。
本図において、VR蒸気の温度を計測する温度計T3、VR蒸気の流量を計測する流量計F4及びVR蒸気の圧力を計測する圧力計P2の計測値の信号は、制御回路25(制御部)に送られる。制御回路25は、VR蒸気の温度、流量及び圧力より、VR蒸気が再生塔2へ供給する入熱量を計算する。VR蒸気の入熱量より、リボイラ7における入熱の必要量、すなわち再生蒸気の必要量を計算する。この再生蒸気の必要量(計算値)を設定値とし、実際の再生蒸気の流量をこの設定値に調整するように流量調節弁CV5(再生蒸気流量調節弁)の開度を操作する。
本実施例の制御方法をとれば、再生塔2に対する入熱量を一定に保ち、CO2の放出による吸収液再生の性能を安定させることが可能となる。
本実施例においては、配管の構成、計測部及び操作部の配置は、実施例1と同様である。また、減圧蒸発器20の圧力(P1計測値)および流入液量(F1計測値)を制御する方法以外は、実施例1と同様の制御方法である。
本実施例において実施例1と異なる点は、図3に示すように、減圧蒸発器20内部の圧力の制御については圧力計P1の計測値に基づいて圧縮部22の入力を調整する点、及び、蒸発用リーン液配管26の流量の制御については流量計F1の計測値に基づいて流量調節弁CV1の開度を操作して調整する点である。
圧力計P1の計測値が、計画された設定値を超えた場合は、圧縮部22の入力を大きくし、減圧蒸発器20からの蒸気吸引量を増加して、減圧蒸発器20内部の圧力を減少させる。圧力計P1の計測値が、計画された設定値を下回った場合は、圧縮部22の入力を小さくし、減圧蒸発器20からの蒸気吸引量を減少して、減圧蒸発器20内部の圧力を増加させる。この制御方法により、減圧蒸発器20の内部圧力を一定に保つことができる。
一方、流量計F1の計測値が、計画された設定値と等しくなるように流量調節弁CV1の開度を調整する。
本実施例においても、実施例2に示す再生蒸気の流量の制御方法を適用することはもちろん可能であり、有効である。
本実施例の制御方法は、実施例1と比べて、流量計F1における流量及び流量計F2における流量が計画に基づいて制御できるため、送液の安定性の面で有利である。ただし、減圧蒸発器20の容積が大きく、圧縮部22の吸引による圧力制御に遅れがある場合には、実施例1の方法に比べ応答性が悪くなる。実施例1と実施例2とは、装置の規模及び各機器の操作性によって適する方法を選択すればよい。
1:吸収塔、2:再生塔、3:排ガス導入配管、4:処理済ガス、5、29:リッチ液輸送配管、6:リーン液輸送配管、7:リボイラ、8:リボイラ入口配管、9:再生蒸気配管、10:蒸気出口配管、11:リーン液戻り配管、12:液熱交換器、13:液冷却器、14:再生塔排出ガス、15:ガス冷却器、16、31:気液分離器、17:凝縮液、18:CO2リッチガス、19:再生塔底部配管、20:減圧蒸発器、21:減圧蒸気配管、22:圧縮部、23:VR蒸気配管、24:制御回路、25:制御回路、26:蒸発用リーン液配管、27:バイパス配管、28:リサイクル蒸気配管、32:バルブ、101:戻り配管。
Claims (6)
- 吸収液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔と、二酸化炭素を吸収した吸収液であるリッチ液を加熱し二酸化炭素を放出させリーン液とする再生塔と、前記吸収塔から前記リッチ液を前記再生塔へ送るリッチ液輸送配管と、前記再生塔から前記吸収塔へ前記リーン液を送るリーン液輸送配管と、再生蒸気配管を有し該再生蒸気配管で導入される再生蒸気を用いて前記再生塔から抜き出した前記リーン液を加熱するリボイラと、蒸気再圧縮部と、制御部とを備え、前記蒸気再圧縮部には、再生塔底部配管を介して前記再生塔から抜き出した前記リーン液を減圧蒸発させる減圧蒸発器と、該減圧蒸発器で発生した蒸気を加圧する圧縮部と、該圧縮部で加圧された前記蒸気を前記再生塔に投入する再圧縮蒸気配管とを設けた二酸化炭素化学吸収システムであって、前記再生塔から前記減圧蒸発器に前記リーン液を輸送する蒸発用リーン液配管には、流量調節弁を設け、前記減圧蒸発器には、その内部の圧力を測定する圧力計を設け、前記制御部は、前記圧力計の計測値が一定になるように前記流量調節弁の開度又は前記圧縮部の入力を制御することを特徴とする二酸化炭素化学吸収システム。
- 前記再生塔底部配管は、前記減圧蒸発器に接続した蒸発用リーン液配管と、前記リーン液輸送配管に接続したバイパス配管とに分岐した構成を有し、前記減圧蒸発器には液位計を設け、前記減圧蒸発器と前記バイパス配管との間には前記減圧蒸発器から前記リーン液を抜き出す戻り配管を設け、該戻り配管にはポンプ又は液流量調節弁を設け、前記制御部は、前記液位計の計測値に基づいて前記ポンプの入力又は前記液流量調節弁の開度を制御することを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素化学吸収システム。
- 前記再生塔底部配管は、前記減圧蒸発器に接続した蒸発用リーン液配管と、前記リーン液輸送配管に接続したバイパス配管とに分岐した構成を有し、前記減圧蒸発器と前記バイパス配管との間には前記減圧蒸発器から前記リーン液を抜き出す戻り配管を設け、該戻り配管と前記バイパス配管との合流部より下流側の配管である前記リーン液輸送配管にはリーン液輸送ポンプを設け、前記蒸発用リーン液配管には第一の流量計を設け、前記バイパス配管には第二の流量計とバイパス流量調節弁とを設け、前記リーン液輸送配管には第三の流量計を設け、前記制御部は、前記第三の流量計の計測値が一定になるように前記リーン液輸送ポンプの入力を制御し、又は、前記第三の流量計の計測値から前記第一の流量計の計測値を減じた値と、前記第二の流量計の計測値とが等しくなるように前記バイパス流量調節弁を制御することを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素化学吸収システム。
- 前記再圧縮蒸気配管は、分岐部を有し、該分岐部と前記圧縮部の上流側の減圧蒸気配管との間にはリサイクル蒸気配管を設け、前記減圧蒸発器には、その内部の蒸気温度を計測する第一の温度計と、前記圧縮部の入口部の蒸気温度を計測する第二の温度計とを設け、前記リサイクル蒸気配管にはリサイクル蒸気流量調節弁を設け、前記制御部は、前記第二の温度計で計測値、又は、前記第一の温度計及び前記第二の温度計の計測値の差が一定になるように、前記リサイクル蒸気流量調節弁の開度を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の二酸化炭素化学吸収システム。
- 前記再圧縮蒸気配管には前記蒸気の圧力を計測する配管圧力計を設け、該配管圧力計の下流側には再圧縮蒸気流量調節弁を設け、前記制御部は、前記配管圧力計の計測値が一定になるように前記再圧縮蒸気流量調節弁を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の二酸化炭素化学吸収システム。
- 前記再圧縮蒸気配管には、前記蒸気の圧力を計測する配管圧力計と、前記蒸気の温度を計測する第三の温度計と、前記蒸気の流量を計測する第四の流量計とを設け、前記再生蒸気配管には再生蒸気流量調節弁を設け、前記制御部は、該配管圧力計、該第三の温度計及び該第四の流量計の計測値に基づいて前記再生蒸気流量調節弁の開度を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の二酸化炭素化学吸収システム。
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2012
- 2012-03-30 JP JP2012079851A patent/JP2013208532A/ja active Pending
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EP3020463A1 (en) * | 2014-11-14 | 2016-05-18 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Carbon dioxide capture apparatus and method of capturing carbon dioxide |
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