JP2013204096A - ピン型ヒートシンク及びその製造方法 - Google Patents

ピン型ヒートシンク及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鍛造によって製造することができ、熱伝導性を大きく損なうことなく、変形が生じにくい比較的高強度のピン型ヒートシンク及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】基板10と、基板10の表面から立設させた多数のピン2とを有すると共に、鍛造により一体的に成形してなるピン型ヒートシンク1である。化学成分組成が、Si:0.2%(質量%、以下同じ)以上1.0%以下、Mg:0.4%以上1.0%以下、Fe:0.35%以下を含有し、残部が不可避的不純物と98%以上のアルミニウムからなる。耐力が120MPa以上であり、室温における導電率が50IACS%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、鍛造により一体成形してなるアルミニウム合金製ピン型ヒートシンク及びその製造方法に関する。
現在広く使用されるようになってきたハイブリッド自動車や、次世代の環境対策自動車として注目される電気自動車には、駆動用モータを制御するための電子部品としてインバーターユニットが用いられている。インバーターユニットには、スイッチング機能を果たすIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が備えられている。IGBTは、使用時に発熱するが、高温になれば本来の機能を発揮し得ないため、冷却を十分に行う必要がある。一方、高速スイッチング機能等のIGBTに求められる特性が年々高まり、これに伴って発熱量も増大してきており、IGBTを冷却するシステムの機能向上がますます重要視されている。
IGBTの冷却には、ヒートシンクを用いるのが効果的である。ヒートシンクは、熱伝導性のよい材料を用いて作製され、単位面積当たりの表面積を大きくすることにより、接触配置された発熱体からの熱を放熱する機能を有する。表面積を大きくする形態としては、フィンタイプ、コルゲートタイプなどの様々な形態がある。
また、車載用のIGBTを冷却するためのヒートシンクには、放熱性能のみならず、小型かつ軽量であることが求められている。このような要求に対応するために注目されているものとしては、材料としてアルミニウム材を採用し、ピン型のフィンを基板上に多数配置した形態のヒートシンクがある。このピン型ヒートシンクは、フィン部分を冷却液が流通する流路内に配置することによって、冷却液を媒体として効率よく放熱する水冷式の冷却システムを構成する。
ピン型ヒートシンクは、基板上にピンを半田付けやろう付けなどで接合した構造のものも考えられるが、生産効率や接合強度の問題から、一体的に成形できる鋳造あるいは鍛造により製造することが好ましい(特許文献1、2参照)。
特開2003−47258号公報 実用新案登録第3170440号公報
ピン型ヒートシンクの鋳造方法としては、複雑な形状のものを製造可能なダイカストが有効である。しかしながら、ピン型ヒートシンクとしての熱伝導性を向上させるために含有アルミニウムの純度が高いアルミニウム材を材質として選択した場合には、溶融状態での湯流れが悪くなり、ダイカスト時に所望形状のピンが得られない、あるいは気泡を巻き込んでしまうという不具合が生じる。そのため、鋳造によりピン型ヒートシンクを作製する場合には、純度が高いアルミニウム材を採用することが困難である。
一方、製造方法として鍛造を用いた場合には、短時間で一体的に高精度の寸法のものを成形することができる。また、鍛造の場合には、ダイカストが困難なアルミニウムの純度が高い1000系アルミニウム材を材料として採用しても、製造可能である。
しかしながら、1000系アルミニウム材を用いて作製したピン型ヒートシンクは、比較的強度が小さい。そのため、例えば、鍛造後に機械加工を実施する際等に、ピンや基板が変形する場合があり、最終製品としての価値が低下するという問題があった。
本発明は、かかる背景のもとになされたものであって、鍛造によって製造することができ、熱伝導性を大きく損なうことなく、変形が生じにくい比較的高強度のピン型ヒートシンク及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、基板と該基板の表面から立設させた多数のピンとを有すると共に、鍛造により一体的に成形してなるピン型ヒートシンクであって、
化学成分組成が、Si:0.2%(質量%、以下同じ)以上1.0%以下、Mg:0.4%以上1.0%以下、Fe:0.35%以下を含有し、残部が不可避的不純物と98%以上のアルミニウムからなり、
耐力が120MPa以上であり、
室温における導電率が50IACS%以上であることを特徴とするピン型ヒートシンク(請求項1)。
本発明の他の態様は、上記ピン型ヒートシンクを製造する方法であって、
上記化学成分組成を有する素材を450〜550℃に加熱して熱間鍛造して上記ピン型ヒートシンクを形成し、
上記熱間鍛造後に、少なくとも300℃〜50℃の間の冷却速度が0.2〜20℃/秒となるように上記ピン型ヒートシンクを室温まで冷却し、
その後、該ピン型ヒートシンクを170℃〜210℃の温度に1〜10時間保持する人工時効処理を行うことを特徴とするピン型ヒートシンクの製造方法にある(請求項2)。
上記ピン型ヒートシンクは、上記特定の化学成分組成を有するアルミニウム材からなる。そのため、鍛造によって製造可能であると共に、上記特定の耐力と上記特定の導電率を容易に確保することができる。それ故、上記ピン型ヒートシンクは、熱伝導性に優れ、変形が生じにくい比較的高強度のものとなる。
また、上記ピン型ヒートシンクの製造方法においては、熱間鍛造後に上記特定の条件で室温まで冷却し、その後、上記特定の条件の人工時効処理を行う。これにより、上記の優れたピン型ヒートシンクを容易に製造することができる。
実施例1における、ピン型ヒートシンクを示す平面図。 実施例1における、ピン型ヒートシンクを示す正面図(図1A矢視図)。 実施例1における、ピン型ヒートシンクを示す側面図(図1B矢視図)。
上記ピン型ヒートシンクの化学成分組成の限定理由について説明する。
まず、Si含有量は、0.2%以上1.0%以下である。
Siは、Mgと共にMg−Si系析出物を生成させ強度向上に寄与する。そのため、Si含有量を0.2%以上とする。一方、Si含有量が多すぎると導電率の低下を招いてしまう。そのため、Si含有量は1.0%以下とする。
Mg含有量は、0.4%以上1.0%以下である。
Mgは、SIと共にMg−Si系析出物を生成させ強度向上に寄与する。そのため、Mg含有量を0.4%以上とする。一方、Mg含有量が多すぎると導電率の低下を招いてしまう。そのため、Mg含有量は1.0%以下とする。
Fe含有量は、0.35%以下である。
Feは、多く含有しすぎると導電性の低下につながる。そのため、Feを含有したとしても、0.35%以下とする。なお、Feは0%でもよいが、不可避的な不純物として含有されやすく、一般的には0%とすることは困難である。
Cu、Mn、Zn、Cr等は不可避的不純物として0.1%以下の範囲での含有が許容される。また、Ti及びBは、組織の微細化などの目的で添加することが可能であり、これらも不可避的不純物として、Tiは0.05%以下、Bは0.01%以下の範囲での含有が許容される。
上記添加元素及び不可避的不純物を除くAlの含有量は98%以上とする。これにより、導電性の確保が容易となる。
上記特定の化学成分組成の採用により、上記ピン型ヒートシンクの室温における導電率を、50IACS%以上とすることが可能となる。導電率は、熱伝導性と相関があり、50IACS%未満の場合には、ピン型ヒートシンクとしての放熱特性が劣ってくる。導電率の測定方法は、25℃において渦電流法(日本フェルスター製シグマテスト2.069使用)により行うことができる。なお、導電率の単位におけるIACSは、International Annealed Copper Standardの略語であり、純銅焼鈍材の導電率を100%としたときの導電率のことを示す。
また、上記ピン型ヒートシンクの耐力が120MPa未満の場合には、機械加工その他の応力をかける作業においてピンあるいは基板に変形が生じやすくなる。そのため、耐力は、120MPa以上を確保する。上記耐力は、ピン型ヒートシンクの基板中央部から、厚さ2mm×幅20mm×長さ100mmの板状試験片を切り出し、これを引張試験用試験片に加工して引張試験を行うことにより求める。引張試験用試験片は、中央平行部が長さ30mm、幅10mmの平行部であり、両端つかみ部が長さ30mm、幅20mmとする。引張試験は、平行部における伸び計の設定長さ(ゲージレングス)を25mmとして、JIS Z2241に準拠して行う。
上記ピン型ヒートシンクの具体的な寸法等としては、例えば、次のようにすることができる。
すなわち、上記ピンの軸方向に直交する断面の断面積が0.5mm2以上4mm2以下であり、上記ピンの上記基板表面からの高さが3mm以上11mm以下であり、上記ピンの上記基板上での配置密度が100mm2当たり5本以上であり、上記ピン同士の最近接距離は0.5mm以上であり、上記ピンの上記基板上での総表面積は4000mm2以上25000mm2以下である構成とすることができる。
上記ピン型ヒートシンクの放熱特性を構造的に向上させるためには、単位面積当たりの表面積を大きくするためにできる限り細いピンを数多く配置し、ピンの総表面積を大きくすればするほどよいこととなる。その構成を実現し、かつ製造容易性を確保するために、まず、上記ピンの軸方向に直交する断面の断面積は、0.5mm2以上4mm2以下とすることが好ましい。上記断面積が4mm2超えの場合には総表面積を十分に確保することが困難となる可能性があり、一方、0.5mm2未満では鍛造により製造することが難しくなる可能性がある。
また、上記ピンの軸方向に直交する断面の形状は、円、楕円、又は多角形形状とすることができ、特に制限されない。
また、上記ピンの上記基板表面からの高さは、3mm以上11mm以下とすることができる。上記ピンの高さが3mm未満の場合には総表面積を十分に確保することが困難となる可能性あり、一方、11mm超えの場合には鍛造により製造することが困難となる可能性がある。
また、上記ピンの上記基板上での配置密度は、100mm2当たり5本以上とすることができる。上記ピンの配置密度が100mm2当たり5本未満の場合には総表面積を十分に確保することが困難となる可能性がある。ピン配置密度の上限は、他の条件や鍛造性の点から制限される。
また、上記ピンの配列形態は、例えば、四角形格子の頂点部分にピンが並ぶ配列など、種々の配列が可能である。四角形格子の格子角部の角度は、90°(直角)以外、種々の角度とすることができる。また格子の長さも全て同じ長さにすること以外に、異なる長さの組合せも可能である。また、四角形格子自体も全て同じ形状にすること以外に、異なる形状の組合せも可能である。また、例えば格子角度90°の四角形格子の頂点部分にピンを配置する場合には、その格子を冷却液の流れ方向に対して45度傾けた斜め方向に向けることが好ましい。この場合に、ピンの寸法と配置密度の関係を適度に調整することにより、冷却液流れをストレートに流れにくくし、ピンと冷却液との熱交換性能を向上する効果が期待できる。
また、上記ピン同士の最近接距離は0.5mm以上とすることができる。上記ピン同士の最近接距離が0.5mm未満の場合には、鍛造が困難となる可能性があり、また、冷却液がピン間を流通する際の圧力損失が大きくなりすぎる可能性がある。ピン同士の最近接距離の上限は、他の条件から自ずと制限される。
また、上記ピンの上記基板上での総表面積は4000mm2以上25000mm2以下とすることが好ましい。上記の各寸法を好適に組み合わせることによって、この範囲の総表面積を確保することにより、上記ピン型ヒートシンクの放熱特性を良好なものとすることができる。総表面積が4000mm2未満の場合には、IGBTを十分に冷却できる放熱性を確保することが困難となる可能性があり、一方、25000mm2を超える場合には小型化に対応することが困難となる場合が生じうる。
次に、上記ピン型ヒートシンクを製造する方法としては、上述したごとく、上記化学成分組成を有する素材を450〜550℃に加熱して熱間鍛造して上記ピン型ヒートシンクを形成し、上記熱間鍛造後に、少なくとも300℃〜50℃の間の冷却速度が0.2〜20℃/秒となるように上記ピン型ヒートシンクを室温まで冷却し、その後、該ピン型ヒートシンクを170℃〜210℃の温度に1〜10時間保持する人工時効処理を行う方法を採用することができる。
上記熱間鍛造用素材は、鋳造により得られる鋳塊、あるいはその鋳塊を熱間加工した熱間加工材が好適に採用される。鋳造は常法でよく、小型のブックモールドでも、大型の半連続鋳造(DC鋳造)であってもよい。鋳造のままで使用する場合、鋳肌近傍にサブサーフェスバンドなどの不均一層があるため、鋳肌から10mm程度面削するか、この部分を避けて切り出すのが好ましい。熱間加工は熱間圧延あるいは熱間押出による方法がある。熱間圧延は常法でよいが、面削後の鋳塊を、450〜550℃で3〜12時間の均質化処理後、冷却せずそのままの温度で、あるいは冷却して450℃以上の温度で、あるいは室温まで冷却して450〜550℃の温度に加熱して、熱間鍛造用素材板厚まで熱間圧延を行うのが好ましい。熱間圧延終了温度は特に限定する必要はない。熱間押出の場合も常法でよいが、例えば、上記熱間圧延と同じ条件で均質化処理した後、400℃以上の温度で熱間押出を行い、熱間鍛造用素材の断面寸法の押出材を得ればよい。
上記熱間鍛造は、上記素材を450℃〜550℃に加熱して実施する。熱間鍛造温度が450℃未満の場合には、素材強度が高すぎて熱間鍛造性が悪くなる可能性がある。また、熱間鍛造温度が550℃を超える場合には、黒鉛潤滑効果が低下し、熱間鍛造性が悪化する可能性がある。
熱間鍛造により成形したピン型ヒートシンクは、熱間鍛造直後から、放冷あるいはファンによる強制空冷によって室温まで冷却する。熱間鍛造を終えた後、金型からピン型ヒートシンクを取り出した時点で、ピン型ヒートシンクはある程度冷えた状態となる。例えば、ピン型ヒートシンクは、鍛造用の金型から取り出した直後に350℃以下になる場合も多い。そのため、冷却の条件としては、少なくとも300℃から50℃に到達するまでの冷却速度で定義することとする。
この冷却工程を放冷(炉外放冷)により行う場合には、冷却速度は0.2〜0.6℃/秒程度となる。また、ファンによる強制冷却(ファン空冷)の場合には、冷却速度は1〜2℃/秒程度となる。ミスト水による強制冷却(ミスト水冷)の場合は、冷却速度は5〜20℃/秒程度となる。いずれの方法をとっても良いが、最終的な強度をより高めたい場合には、熱間鍛造後の冷却を早める強制空冷を選択した方が有利である。冷却速度20℃/秒超えの強制冷却は、シャワー水による強制冷却(水冷)や水槽に投入することによる強制空冷(水冷)等により行うことができるが、この場合は、冷却初期において材料表層と中心層との冷却差が大きくなり、材料に歪みが生じるため好ましくない。
上記熱間鍛造及びその後の冷却を終えたピン型ヒートシンクに対しては、人工時効処理を施すことが好ましい。この人工時効処理を実施することにより、その処理前に比べて耐力を大きく向上させることができる。人工時効処理は、170℃〜210℃の温度に1〜10時間保持する条件で行うことが好ましい。上記温度範囲を外れた場合には、耐力向上の効果が少なくなるおそれがある。
上記人工時効処理の後には、バリ取り加工、スケール除去のためのショットブラスト処理、ピン周辺の基板表面の切削加工、ねじ穴加工等の後処理が行われる。後処理の内容は要求に応じて変更される。また、最終的にNiメッキ処理を施す場合もある。
(実施例1)
上記ピン型ヒートシンク及びその製造方法にかかる実施例につき、図1〜図3を用いて説明する。
本例では、表1に示す化学成分組成からなるアルミニウム材を用いて、ピン型ヒートシンク1を作製した。ピン型ヒートシンク1は、図1〜図3に示すごとく、基板10と、基板10の表面から立設させた多数のピン2とを有し、鍛造により一体的に成形してなるものである。
Figure 2013204096
このピン型ヒートシンク1を製造するに当たっては、表1に示す化学成分からなるDC鋳塊(厚さ500mm×幅1000mm×長さ5000mm)から、厚さ10.5mm×幅135mm×長さ155mmのアルミニウム合金材からなる鍛造用ブロックを切り出して素材とした。
次に、この鍛造用ブロックを500℃に加熱すると共に、鍛造金型を150℃に加熱し、フリクションプレスにより熱間鍛造した。
熱間鍛造直後のピン型ヒートシンクは、以下の寸法を有している。
・基板10のサイズ:厚みt=8mm、幅W=140mm、長さL=160mm
・ピン2の軸方向に直交する断面の断面積:3.14mm2(半径=1mm)
・ピン2の軸方向に直交する断面の形状:円形
・ピン2の基板10表面からの高さ:8mm
・ピン2の基板10上での配置密度:10.4本/cm2
・ピン2同士の最近接距離:1mm
・ピン2の基板10上での総表面積:77750mm2
・ピン2同士の最近接距離方向を結んでできる四角形格子の格子角部の角度:直角
・基板10の長手方向に対する上記四角形格子の傾斜角度:45度
上記の熱間鍛造直後のピン型ヒートシンク1の温度は、金型から取り出した時点で330℃であった。このピン型ヒートシンク1を大気中に配置して放冷(炉外放冷)することにより室温まで冷却した。本例では、300℃〜50℃までの冷却期間中の冷却速度が0.45℃/秒の冷却速度となる条件で冷却した。
ピン型ヒートシンク1を室温まで冷却した後、200℃で4時間の加熱処理(人工時効処理)を行った。
その後、バリ取りを行い、さらにスケール除去のためにショットブラストを行った。
その後、基板10におけるピン2を配置した面とは反対側の面を約5mm面削し、さらにピン2のある面のピンフィン領域以外の面を軽く面削仕上げすることで、最終厚さ3mm、幅140mm、長さ160mmの基板10上に、8mm高さのピン2が図1のように配置された形状とした。
得られたピン型ヒートシンク1の導電率の測定と引張試験を行った。導電率の測定は、前述したごとく、25℃において渦電流法(日本フェルスター製シグマテスト2.069使用)により行った。また、引張試験は、前述した引張試験用試験片を用いてJIS Z2241に準拠して行った。
その結果、引張強さは215MPa、耐力は190MPa、伸び22%、室温(25℃)における導電率が53.5IACS%であり、いずれも良好であった。また、切削加工後の変形は確認されなかった。
このように、本例のピン型ヒートシンク1は、鍛造によって容易に製造することができ、かつ、熱伝導性を大きく損なうことなく、変形が生じにくい比較的高強度の非常に優れたものといえる。
(実施例2)
本例では、表2に示すごとく、化学成分組成の異なる11種類の試験材を準備し、これらを実施例1と同様の製造方法によって製造し、その特性を評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2013204096
Figure 2013204096
表2、表3から知られるように、上述した特定の化学成分組成の範囲内にある試験材1〜5は、いずれも、耐力及び導電率に問題はなく、切削加工後の変形も生じていなかった。
これに対し、試験材6は、Si含有量が低すぎることに起因して耐力値が低くなり、切削加工後に基板部分等に変形が観察された。
試験材7は、Si含有量が高くなり、Al含有量が98%を下回った関係から導電率が低い結果となった。
試験材8は、Mg含有量が低すぎることに起因して耐力値が低くなり、切削加工後の変形が観察された。
試験材9は、Mg含有量が高くなり、Al含有量が98%を下回った関係から導電率が低い結果となった。
試験材10は、Fe含有量が高くなりすぎたことに起因して導電率が低い結果となった。
試験材11は、個々の添加元素は適量であるが、その合計含有量が比較的多く、Al含有量が98%を下回った関係から導電率が低い結果となった。
(実施例3)
本例では、実施例1と同じ表1に示す化学成分組成のアルミニウム材からなる素材を用い、表4に示すごとく製造条件を変えて12種類の試験材(試験材12〜23)を作製した。
素材は、DC鋳造で作製した鋳塊(厚さ500mm×幅1000mm×長さ5000mm)を熱間圧延した板材から切り出したものを用いた。より具体的には、上記鋳塊を500℃×5時間加熱の条件で均質化処理した後、冷却せずに500℃の温度で熱間圧延を開始し、多パスの往復圧延により板厚10.5mmの熱間圧延板とした。熱間圧延の終了温度は320℃であった。この熱間圧延板を室温まで冷却した後、厚さ10.5mm×幅135mm×長さ155mmの板を切出して素材とした。
熱間鍛造の条件は、表4に示す条件以外の条件は実施例1と同様とした。得られたピン型ヒートシンクについて、それぞれ特性を評価した。その結果を表5に示す。
なお、熱間鍛造温度が550℃超えの条件は、アルミニウム材の溶融が始まるので実施しなかった。また、熱間鍛造後の冷却においては、冷却速度が20℃/秒超えの強制冷却(シャワーあるいは水没)は、材料が歪むため実施しなかった。また、人工時効時間10時間超えは、強度上昇が望めず、生産コストがかかるだけなので実施しなかった。
Figure 2013204096
Figure 2013204096
表4、表5に示すごとく、製造条件として、熱間鍛造時の素材の加熱温度:450〜550℃、熱間鍛造後の300℃〜50℃の間の冷却速度:0.2〜20℃/秒、人工時効処理条件:170℃〜210℃の温度に1〜10時間保持、という要件をすべて具備した試験材12〜18は、いずれも、耐力及び導電率に問題はなく、切削加工後の変形も生じていなかった。
これに対し、試験材19は、熱間鍛造時の素材温度(熱間鍛造開始温度)が低すぎることに起因して耐力値が低くなり、切削加工後の変形が観察された。
試験材20は、熱間鍛造後の冷却速度が遅すぎることに起因して耐力値が低くなり、切削加工後の変形が観察された。
試験材21は、人工時効処理時の加熱温度が低すぎることに起因して耐力値が低くなり、切削加工後の変形が観察された。
試験材22は、人工時効処理時の処理時間が短すぎることに起因して耐力値が低くなり、切削加工後の変形が観察された。
1 ピン型ヒートシンク
10 基板
2 ピン

Claims (2)

  1. 基板と該基板の表面から立設させた多数のピンとを有すると共に、鍛造により一体的に成形してなるピン型ヒートシンクであって、
    化学成分組成が、Si:0.2%(質量%、以下同じ)以上1.0%以下、Mg:0.4%以上1.0%以下、Fe:0.35%以下を含有し、残部が不可避的不純物と98%以上のアルミニウムからなり、
    耐力が120MPa以上であり、
    室温における導電率が50IACS%以上であることを特徴とするピン型ヒートシンク。
  2. 請求項1に記載のピン型ヒートシンクを製造する方法であって、
    上記化学成分組成を有する素材を450〜550℃に加熱して熱間鍛造して上記ピン型ヒートシンクを形成し、
    上記熱間鍛造後に、少なくとも300℃〜50℃の間の冷却速度が0.2〜20℃/秒となるように上記ピン型ヒートシンクを室温まで冷却し、
    その後、該ピン型ヒートシンクを170℃〜210℃の温度に1〜10時間保持する人工時効処理を行うことを特徴とするピン型ヒートシンクの製造方法。
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