JP2013202531A - ハニカムフィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れるハニカムフィルターの前駆体を提供する。
【解決手段】本発明のハニカムフィルター51は、一方向に延伸した複数のセルがセル壁2によって区画されているセラミックス製のハニカム焼結体を備えたハニカムフィルターであって、上記ハニカム焼結体の外周部にセル壁2によって形成された凹部12vおよび/または段部12wにより形成される窪み部12bと、上記窪み部にセル充填材が充填されてなる充填材硬化部19とでハニカムフィルター基体が構成され、上記ハニカムフィルター基体の外周部には、上記外周部を被覆する外周部被覆層17が形成されており、上記外周部被覆層17と充填材硬化部19との間および充填材硬化部19と上記セル壁との間に、それぞれクラック伝播を抑制する境界部が存在している。
【選択図】図10

Description

本発明は、内燃エンジン、特に、ディーゼルエンジンの排気ガスに含有される微粒子を除去する多孔質のセラミック製ハニカムフィルターに関する。詳細には、耐衝撃性に優れるハニカムフィルターに関する。
内燃機関の排気通路に備えられ、排ガス中に含まれる粒子状物質(PM(Particulate Matter)、以下、本明細書においてPMと称することがある。)を捕集するための排ガス浄化フィルターとして、多孔性のセラミック材料を用いた排ガス浄化フィルターが広く用いられている。
特に、ディーゼル車両の排ガス中に含まれる粒子状物質については、窒素酸化物(NOx)とともに、その排出規制が日米欧において段階的に強化されている。かかる規制に適合させるため、粒子状物質を捕集するためのディーゼルパーティキュレートフィルター(DPF(Diesel Particulate Filter))の開発が盛んに進められてきている。現在、D
PFとしては、主に、ハニカム構造を有するウォールフロータイプのものが用いられている。
従来技術として、例えば、ハニカム構造体の外周部方向に突出した状態で存在する壁部を外周壁が包み込み、かつ、外周壁は、ハニカム構造体のセル体の内で最外部に位置するセル体の外周部側の隔壁と密接して設けられたハニカム構造体が開示されている(特許文献1)。特許文献1では、ハニカム骨格体の外周壁の厚さが2.0mm以下となるように、外周壁を研削加工により除去する。
例えば、特許文献1によれば、キャニング時における面圧分布のばらつきを小さくし、キャニング時の破損が防止できると共に、耐衝撃性にも優れるハニカム構造体が得られる。
国際公開第2004/078674号パンフレット(2004年9月16日公開)
しかしながら、上記特許文献1のハニカム構造体は以下の問題点を有している。
図11に特許文献1に係るハニカム構造体を示す。図11は、特許文献1に係るハニカム構造体151を示す平面図である。同図に示すように、ハニカム構造体151では、セル壁102によりセル103が区画されており、セル壁102の外周部には、硬質セル充填材115が満たされると共に、硬質セル充填材115によって外周壁が形成されている。ハニカム構造体151では、セル壁102の周囲に1層の硬質セル充填材115が設けられているだけであり、硬質セル充填材115から伝播する物理的負荷(衝撃)は、外周に対して略平行なセル壁102に緩和されることなく伝播する。その結果、クラック18が生じ、クラック18がセル壁102まで伝播してしまい易いという欠点がある。また、セル壁102の末端部分は、その形状から応力が集中しやすいため、上記セル壁末端部分を基点として外周部にクラックが生じ易いという欠点もある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、耐衝撃性に優れるハニカムフィルターを提供することにある。
本発明のハニカムフィルターは、上記課題を解決するために、一方向に延伸した複数のセルがセル壁によって区画されているセラミックス製のハニカム焼結体を備えたハニカムフィルターであって、上記ハニカム焼結体の外周部にセル壁によって形成された凹部および/または段部により形成される窪み部と、上記窪み部にセル充填材が充填されてなる充填材硬化部とでハニカムフィルター基体が構成され、上記ハニカムフィルター基体の外周部には、当該外周部を被覆する外周部被覆層が形成されており、上記外周部被覆層と上記充填材硬化部との間および充填材硬化部と上記セル壁との間に、それぞれクラック伝播を抑制する境界部が存在していることを特徴としている。
上記発明によれば、外周部被覆層にてクラックが発生したとしても、外周部被覆層と充填材硬化部との間の境界部および充填材硬化部と上記セル壁との間の二重の境界部によってクラックの伝播が抑制される。また、上記セル壁の末端部が境界部上に位置しているため応力が分散し、セル壁末端部を基点とした外周部被覆層のクラックが生じにくい。このため、耐衝撃性に優れるハニカムフィルターを提供できる。
また、本発明のハニカムフィルターでは、上記セル壁と、充填材硬化部とが互いに異なる組成であることが好ましく、上記セル壁と、充填材硬化部と、外周部被覆層とがそれぞれ異なる組成であることがさらに好ましい。
ハニカム焼結体(すなわち、セル壁)と固化したセル充填材(充填材硬化部)と、好ましくはさらに外周部被覆層とが異なる組成を有することにより、ハニカムフィルターにおいて、外周部被覆層にクラックが入った場合であっても、セル壁と充填材硬化部との境界部、好ましくは上記境界部と、充填材硬化部と外周部被覆層との境界部(界面)において組成の異なりを理由とした物性の異なりによって衝撃がより緩和され易く、衝撃に起因するクラックが生じ難い。
また、本発明のハニカムフィルターでは、上記ハニカム焼結体は、上記セル壁が単体として形成されている単体であることが好ましい。
単体型のハニカム焼結体はセル壁が単体として形成されており、ハニカム焼結体の量産効率に優れるものである。
また、本発明のハニカムフィルターでは、上記ハニカム焼結体は、セル壁が形成された複数のハニカムセグメント焼結体が結合材を介して結合された結合型であることが好ましい。
結合型のハニカム焼結体は、セル壁が形成された複数のハニカムセグメント焼結体が結合材を介して結合されているため、ハニカムセグメントの使用数を変更することにより、サイズの異なるハニカム焼結体が得られ、多様な需要に対応可能である。
また、本発明のハニカムフィルターでは、上記複数のセルにおいて互いに隣接するセルは、延伸方向の両端側のうち異なる端側の開孔が封止されていることが好ましい。
当該ハニカムフィルターは、PMを含む排気ガス等がハニカムフィルター導入された場合、排気ガス等は、セルに沿って直進し難く、セル壁の細孔を通過して、隣接するセルへ
容易に移動する。このセル壁の細孔を通過する過程で、排気ガス等に含まれるPMをセル壁で効率良く捕集できる。
また、本発明のハニカムフィルターでは、セルの延伸方向に亘って、セル充填材が凹部および/または段部により形成される窪み部のほぼ全長に充填材が充填されており、さらに上記窪み部の全長に充填されていることが好ましい。
これにより、外部からの衝撃を受け易いハニカムフィルター外周部の広範囲に充填がなされるため、より寸法精度が良いと共に、補強されたハニカムフィルターを提供することができる。
また、本発明のハニカムフィルターでは、真円度が1.0mm以下であることが好ましい。
当該ハニカムフィルターは、真円度が上記値であることにより、断面方向において歪みが小さいものである。
また、本発明のハニカムフィルターでは、真円度が0.5mm以下であることが好ましい。
当該ハニカムフィルターは、真円度が上記値であることにより、断面方向においてさらに歪みが小さいものである。
本発明のハニカムフィルターは、上記外周部に、合成樹脂層またはセラミック層が形成されている。
本発明のハニカムフィルターは、以上のように、一方向に延伸した複数のセルがセル壁によって区画されているセラミックス製のハニカム焼結体を備えたハニカムフィルターであって、上記ハニカム焼結体は、その外周部に、セル壁によって形成された凹部および/または段部が備えられており、上記凹部および/または段部により形成される窪み部を備え、上記窪み部に充填されてなる充填材硬化部でハニカムフィルター基体が構成され、上記ハニカムフィルター基体の外周部を被覆する外周部被覆層が形成されており、上記外周部被覆層と充填材硬化部との間および充填材硬化部と上記セル壁との間に、それぞれクラック伝播を抑制する境界部が存在しているものである。
上記発明によれば、外周部被覆層にてクラックが発生したとしても、外周部被覆層と充填材硬化部との間および充填材硬化部と上記セル壁との間の二重の境界部によってクラックの伝播が抑制される。このため、耐衝撃性に優れるハニカムフィルターを提供できるという効果を奏する。
本発明に係るハニカム焼結体を示す斜視図である。 図1のハニカム焼結体のB−B’面における断面を示す矢視断面図である。 本発明に係るハニカムセグメント骨格体を示す斜視図である。 本発明に係るハニカムセグメント骨格体の結合過程を示す斜視図である。 本発明に係る結合型のハニカム焼結体を示す斜視図である。 本発明に係る結合型のハニカム焼結体の断面を示す断面図である。 本発明に係るハニカムフィルター基体を示す斜視図である。 図7のハニカムフィルター基体の軸Aに平行な軸に沿って切った面における断面を示す矢視断面図である。 本発明に係るハニカムフィルター基体を示す平面図である。 本発明に係る外周部被覆層を形成したハニカムフィルターを示す平面図である。 従来技術に係る外周部被覆層を形成したハニカムフィルターを示す平面図である。
本発明の一実施形態について図1〜図10に基づいて説明すれば、以下の通りであるが、本発明は、当該実施の形態に限定されるものではない。本発明は、ハニカムフィルターに係るものであるが、説明の都合上、図1〜図10のハニカムフィルターの製造方法に従ってこれを説明する。
図1は、セラミックス製のハニカム焼結体1を示す斜視図である。ハニカム焼結体1は、ハニカムフィルターにおいて、PMを捕集するフィルターの役割を果たすと共に、ハニカムフィルターを支える骨格となるものである。ハニカム焼結体1は、セル壁2によって複数のセル3が区画された構造となっている。
ハニカム焼結体1では、一方向である方向Aに延伸した複数のセル3がセル壁2によって区画されている。方向Aに沿ったセル壁2の長さは、ハニカムフィルターの設置場所、処理するPM濃度などに応じて適宜変更すればよい。また、セル壁2は、延伸方向である方向Aに対して直交する断面が格子状となっているが複数のセル3が方向Aに沿って形成されていればよく、当該断面形状に限定されるものではない。セル壁2によって区画されたセル3は、処理対象となる排ガスの流路となる。
また、ハニカム焼結体1では、方向Aに対して直交する断面に沿って略正方形であり、大きさが同じである複数のセル3がセル壁2によって区画形成されているが、方向Aに対するセル3の断面形状は当該形状に限定されない。例えば、セル3の断面形状は、例えば、円、楕円、三角形、正方形、長方形、六角形などであってもよい。セル壁2厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.2mm以上、0.4mm以下である。単位面積中のセル3の数は、特に限定されるものではないが、例えば、200cpsi以上、300cpsi以下である。
ハニカム焼結体1には略四角柱状の空間である複数のセル3が形成されている。B−B’面におけるハニカム焼結体1の矢視断面を図2に示す。同図は、四角柱状のセル3が形成されたハニカム焼結体1を側面から示している。ここで、ハニカム焼結体1における方向Aの両端とは、ハニカム焼結体1の方向Aに沿ったハニカム焼結体1の両端を示し、ハニカム焼結体1の一端は、端面4に沿って形成されており、ハニカム焼結体1の他端は、端面5に沿って形成されている。また、端面4および端面5は方向Aに対して垂直である。なお、ハニカム焼結体1の両端は、端面4および端面5からずれて形成されていてもよい。
図2に示すように、複数のセル3は、方向Aの両端が開孔している。複数のセル3は方向Aに沿って延伸しているため、PMを含むガスがセル3に侵入可能となっている。
以下、ハニカムフィルターの製造方法の各製造工程に従って、本発明に係るハニカムフィルターについて説明する。ハニカムフィルターの製造工程には、1.ハニカム焼結体形成工程(単体型形成工程、結合型形成工程)、2.封孔工程、3.充填工程、4.熱処理工程、5.加工工程、および、6.外周部被覆層形成工程が含まれる。以下、各工程について説明する。
(1.ハニカム焼結体形成工程)
ハニカム焼結体形成工程は、ハニカム骨格体の材料となるセラミック坏土を押出し成形して、焼結する工程であるが、単体型のハニカム骨格体または結合型のハニカム骨格体を得る場合によって、工程の内容が異なる。まず、単体型のハニカム骨格体を得る単体型形成工程について説明する。
(1−1.単体型形成工程)
単体型形成工程は、1つのハニカムフィルター基体を構成する1つのハニカム骨格体を押出し成形した後、上記ハニカム骨格体を焼成して単体型のハニカム焼結体を得る工程である。本工程では、単体型のハニカム骨格体を押出し成形するため、得られる単体型のハニカム焼結体はセル壁が1つのハニカムフィルター基体全体について一体として形成されており、簡便にハニカム焼結体が得られる。本工程は、ハニカム焼結体を量産する場合に好適である。
単体型形成工程では、まず、セラミック坏土(セラミック組成物)を押出し装置によって押出し、ハニカム骨格体を所望の形状にて成形する。押出し装置としては、公知のものを用いればよい。ハニカム骨格体の材料であるセラミック坏土としては、特に限定されるものではなく、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、コーディライト、ムライトなどを使用できる。これらは単独で使用してもよいし、複数種類を併用してもよい。また、セラミック坏土の濃度を調整するために、水などの希釈剤が使用される。
セラミック坏土を押出す形状は特に限定されないが、円柱状;楕円柱状;直方体状、六角柱状などの多角柱状などが例示される。図1のハニカム焼結体1のように、セラミック坏土は軸方向(方向Aまたは押出し方向)に直交する横断面においてセル壁がなす形状が格子状である柱状に押出される。その後、押出したセラミック坏土を長手方向または軸方向に沿った所定寸法で切断して、柱状のハニカム骨格体を成形する。
次に、乾燥機等を用いてハニカム骨格体を乾燥及び脱脂することにより、ハニカム骨格体の水分量および樹脂成分を減少させる。その後、ハニカム骨格体を焼成炉で焼成し、ハニカム焼結体が得られる。焼成の温度、時間および雰囲気は、セラミック坏土の種類およびハニカム骨格体の大きさに応じて適宜変更すればよい。
(1−2.結合型形成工程)
結合型形成工程は、ハニカム骨格体の構成部材である複数のハニカムセグメント骨格体を押出し成形した後、上記ハニカムセグメント骨格体を焼成して複数のハニカムセグメント焼結体を形成し、結合材を介して隣接する複数のハニカムセグメント焼結体を結合して、結合型のハニカム焼結体を得る工程である。結合型のハニカム焼結体は、セル壁が形成された複数のハニカムセグメント焼結体が結合材を介して結合されているため、例えば、サイズの大きなハニカム焼結体が要求される場合、単体型のように一個の大きなハニカム骨格体を成形する必要がない。また、ハニカムセグメントの使用数を変更することにより、サイズの異なるハニカム焼結体が得られ、多様な需要に対応可能である。
図3は、ハニカムセグメント骨格体6を示す斜視図である。ハニカムセグメント骨格体6は、ハニカム骨格体の構成単位となるものであり、1.方向Aに延伸し、かつ、当該延伸方向である方向Aに対して直交する横断面においてセル壁がなす形状が格子状であるセル壁2が形成されており、2.セル壁2によって、方向Aの両端のうち少なくとも一端側が開孔した複数のセル3が区画されている点においてハニカム骨格体と共通する。
ハニカムセグメント骨格体6は、焼成後、複数が結合して結合型のハニカム焼結体を形
成するため、結合がし易いように結合面が平らとなるように、ハニカムセグメント骨格体6は方向Aに延伸した角柱状(直方体状)となっている。
結合型形成工程では、まず、セラミック坏土(セラミック組成物)を押出し装置によって押出し、ハニカムセグメント骨格体を所望の形状にて成形する。押出し装置としては、公知のものを用いればよい。ハニカムセグメント骨格体6の材料であるセラミック坏土としては、特に限定されるものではなく、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、コーディライト、ムライトなどを使用できる。これらは単独で使用してもよいし、複数種類を併用してもよい。セル充填材の濃度を調整するために、水などの希釈剤が使用される。
セラミック坏土を押出す形状は、ハニカムセグメント骨格体同士の結合を考慮して角柱状となっており、排気ガスを処理するためにセルが長く延伸していることが好ましいため、直方体状であることがより好ましい。図3に示すように、セラミック坏土は断面が格子状である柱状に押出される。ハニカムセグメント骨格体6の側面に該当する位置に側壁としてセラミック坏土が押出し成形されていてもよい。これにより、以後の工程でハニカムセグメント焼結体の側壁に結合材を付着でき、結合材を介してハニカムセグメント焼結体同士を配置することが容易となる。この押出したセラミック坏土を長手方向または軸方向に沿った所定寸法で切断して、柱状のハニカムセグメント骨格体を成形する。
次に、乾燥機等を用いてハニカムセグメント骨格体を乾燥及び脱脂することにより、ハニカムセグメント骨格体の水分量及び樹脂成分を減少させる。その後、ハニカムセグメント骨格体を焼成炉で焼成し、ハニカムセグメント焼結体が得られる。焼成の温度、時間及び雰囲気はセラミック坏土の種類およびセラミックセグメント骨格体の大きさに応じて適宜変更すればよい。
さらに、複数のハニカムセグメント焼結体を結合材で結合する。結合材は、ハニカムセグメント焼結体同士の間に配置され、加熱されることにより、ハニカムセグメント焼結体同士を結合させる。結合材としては、例えば、無機系バインダー、有機系バインダーなどを挙げることができる。結合材としてはセラミック系接着材が好ましく、主としてセラミック粒子と無機バインダーからなり、必要に応じて、これらにセラミック繊維、有機バインダーなどが加えられる。結合材が粘着性を有する場合、加熱前にハニカムセグメント焼結体同士を隣接した状態で固定できるため好ましい。また、使用の簡便さから粘着性を有するシール状結合材を用いることもできる。
図4は、ハニカムセグメント焼結体7の結合過程を示す斜視図である。図4に示すように、複数のハニカムセグメント焼結体7の側壁に結合材8を塗布し、ハニカムセグメント焼結体7同士を結合する。
図4では、複数のハニカムセグメント焼結体7の一端は、端面4に沿って配置されているが、本発明では複数のハニカムセグメント焼結体7は同じ長さである必要はなく、一部のハニカムセグメント焼結体7は、他のハニカムセグメント焼結体7よりも長くてもかまわない。例えば、隣接して配置された複数のハニカムセグメント焼結体7のうち、一部のハニカムセグメント焼結体7の長さが他のものよりも6mm以上長く、端面4および端面5から3mm以上突出するように一部のハニカムセグメント焼結体7を配置してもよい。
加熱する準備が整った後、結合材を介して隣接する複数のハニカムセグメント焼結体7を加熱することによって結合材8が硬化し、結合型のハニカム焼結体が得られる。なお、加熱の温度および時間は、結合材8の種類および厚さなどに応じて適宜変更すればよい。
(2.封孔工程)
封孔工程は、好ましい形態としてハニカムフィルターの製造方法に含まれる工程であり、必ずしも行う必要はない。当該封孔工程は、複数のセルにおける延伸方向の両端のうち一端側を封孔材料で封孔する工程であって、互いに隣接するセルに対して、異なる端側を封孔する工程である。封孔工程を行う段階は特に限定されず、充填工程の前(単体型形成工程または結合型形成工程の後、充填工程の前)に行ってもよいし、充填工程の後、熱処理工程の前、熱処理工程の後、加工工程の前、または、加工工程の後に行ってもよい。前記結合型の場合は、セグメント骨格体同士を接着後に行ってもよい。
封孔工程では、端面において封孔箇所が交互となるよう、複数のセルの開孔の一方を封孔するので、開孔箇所および封孔箇所により市松模様(チェッカーフラグ模様)が形成されることとなる。
図8を用いて後述するが、市松模様となるように開孔箇所および封孔箇所が形成されていることにより、最終的に製造するハニカムフィルターは、PMをセル壁2で好適に捕集することができる。したがって、封入工程において、封孔箇所が交互となるよう形成することは好ましい形態である。封孔箇所をどのように決定するかは適宜変更可能であるが、市松模様となるように形成することが好ましい。
図5は、結合型のハニカム焼結体9を示す斜視図であり、図5中には加工想定曲面10が表されている。加工想定曲面10は、ハニカム焼結体9に曲面外周部を形成するための加工面であり、方向Aに沿って、加工想定曲面10よりも外側のセル壁2を以降の加工工程にて除去することにより、ハニカム焼結体9に曲面外周部が形成される。したがって、ハニカム焼結体9のうち、少なくとも加工想定曲面10内に位置するセル3に対して封孔を行えばよい。なお、単体型のハニカム焼結体に曲面外周部を形成する場合も、結合型のハニカム焼結体9の場合と同様に、加工想定曲面10よりも外側のセル壁2を加工工程にて除去する。
封孔工程を行う方法の一例を以下に示す。まず、端面4および端面5と、加工想定曲面10とが交差する加工想定曲線で囲まれた領域におけるセル3の画像を撮像素子などによって撮像する。撮像後、端面4と加工想定曲面10とが交差する加工想定曲線で囲まれた領域を覆うようにマスク(図示しない)を配置する。マスクは孔を開けることができ、封孔材料を上記孔から注入するに際し、破断が生じないものであればよい。
また、封孔材料としては、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、コーディライト、ムライトなどのセラミック坏土;またはセメント材料を使用することができる。これらは単独で使用してもよいし、複数種類を併用してもよい。また、封孔材料の濃度を調整するために、水などの希釈剤が使用される。
次に、撮像データは、撮像素子から穿孔装置に送信され、撮像された画像データに基づき、マスクに孔を開ける穿孔装置によって、マスクにセル3と同一またはそれ以下の大きさの孔を開ける。穿孔装置は、撮像された画像データに基づきマスクに孔を開けるものである。
マスクに開けられた孔への封孔材料の注入は、注入装置によって行う。注入装置は、封孔材料をセル3へ注入する注入管を複数備えていることが好ましい。または、封孔材料にマスクを押し当てるディップ法により行ってもよい。セル3への封孔材料の注入は、端面4に対する方向、すなわち、方向Aの反対方向に向かって行う。封孔材料の注入量は、封孔材料が硬化した際にセル3が封孔される量であればよく、特に限定されるものではない。
セル3の端面4側に封孔処理を施した後、セル3の端面5側に封孔処理を施す。封孔工程では、互いに隣接するセル3に対して、異なる端側の開孔を封孔するため、封孔対象となるセル3のうち、端面4側が封孔されていないセル3に対して封孔処理を施す。端面5側のセル3の撮像はすでになされているため、端面4側の封孔処理と同様に、端面5側のセル3に対してもマスクの配置、マスクの穿孔、孔への封孔材料の注入を行い、端面5側のセル3を封孔する。
封孔材料の注入が終了した後、封孔材料によってセル3が封孔された状態が保持されれば、ハニカム焼結体9を加熱する必要はない。一方、ハニカム焼結体9を乾燥しない場合に注入した封孔材料が変形するなど不具合が生じるのであれば、適宜、ハニカム焼結体9を乾燥する。
(3.充填工程)
充填工程は、方向Aに直交する断面において、上記ハニカム焼結体に曲面外周部を形成するための加工想定曲面と交差するセルへセル充填材を充填する工程である。図6は、結合型のハニカム焼結体9の方向Aに直交する断面を示す断面図である。説明の便宜のため、ハニカム焼結体9の方向Aに対する断面のうち、左上部に該当する1/4のみを示している。
図6の加工想定曲線11は、図5の加工想定曲面10と端面4とが交差する位置である。セル3は方向Aに沿って延伸しているため、加工想定曲面10と交差する充填用セル(セル)13へセル充填材を注入するためには、加工想定曲線11と交差する充填用セル13へセル充填材を充填すればよい。充填用セル13には、延伸方向に亘ってセル充填材が満たされることが好ましく、充填用セル13の全長またはほぼ全長にセル充填材が隙間無く満たされることがさらに好ましい。上記「ハニカム焼結体の全長またはほぼ全長に亘って、上記窪み部に充填されている」とは、「ハニカム焼結体の大部分に亘って、上記窪み部に充填されている」ことを意味し、具体的に表現すれば、「ハニカム焼結体の全長の90%以上、100%以下に亘って、上記窪み部に充填されている」ということができる。
充填工程を行う方法の一例を以下に示す。本例では、加工想定曲線11は円であるが、円である必要はなく、楕円であってもよい。
セル充填材としては、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、コーディライト、ムライトなどのセラミック坏土;またはセメント材料を使用することができる。これらは単独で使用してもよいし、複数種類を併用してもよい。また、充填をより容易とするため、セル充填材は泥状であることが好ましく、セル充填材の濃度を調整するために、水などの希釈剤が使用して泥状のセル充填材を調製すればよい。
充填工程では、ハニカム焼結体の材料(セラミック坏土)と異なる種類のセル充填材を使用することができる。「異なる種類のセル充填材を使用する」とは、例えば、ハニカム焼結体の材料が窒化珪素である場合、セル充填材として炭化珪素を使用すること、またはハニカム焼結体が窒化珪素である場合、セル充填材として窒化珪素粉末と無機バインダーおよび/または有機バインダーと界面活性剤と水と必要によってはセラミック繊維の混合
物を使用することを意味する。
また、充填工程では、ハニカム焼結体の材料と異なる配合割合のセル充填材を使用することができる。この場合、ハニカム焼結体の材料およびセル充填材の材料は、同じ配合の材料を含んでいる混合材料であり、ハニカム焼結体の材料とセル充填材とにおける複数の材料の配合割合が互いに異なっている。
上記のような種類または配合割合が異なるセル充填材を使用した場合、硬化したセル充填材は、ハニカム焼結体、すなわち、セル壁と異なる組成を有することとなる。これにより、最終的に製造されたハニカムフィルターにおいて、上記外周部被覆層と上記充填材硬化部との間および充填材硬化部と上記セル壁との間のそれぞれ境界部で上記外周部被覆層から、充填材硬化部、さらにセル壁へ伝播する衝撃は異なる組成を伝播することとなる。よって、両境界部において衝撃が緩和され易く、衝撃に起因するクラックが生じ難い。なお、境界部は界面ということもできる。
なお、ハニカム焼結体9には、2.封孔工程にてセル3の封孔がなされており、セル3の一端は封孔材料14で塞がれている。
(4.熱処理工程)
熱処理工程は、充填したセル充填材を加熱処理により硬化させる工程であり、充填したセル充填材を熱処理してセル充填材を焼成または硬化させ硬質セル充填材に変化させる工程である(セル充填材が熱処理により硬化したものを「硬質セル充填材」と称する。)。セル充填材を熱処理するためには、充填用セルがセル充填材によって充填されたハニカム焼結体を、例えば、電気炉やマイクロ波炉により200℃で4時間以上加熱すればよい。前記の他、加熱温度および硬化時間は、セル充填材の種類および量を考慮して適宜変更すればよい。この熱処理工程を経て、充填用セル13にセル充填材が充填硬化されたハニカム焼結体が得られる。
(5.加工工程)
加工工程は、加工想定曲面10に沿って機械加工を施し、ハニカム焼結体の外周余肉部を除去する工程であり、本発明に係るハニカムフィルターの形状が現れる工程である。ハニカム焼結体の外周余肉部とは、ハニカム焼結体において、加工想定曲面よりも外側に位置する部分を指す。図6では、加工想定曲面10よりも外側に位置する外周部セル壁(セル壁)12および硬質セル充填材15が、ハニカム焼結体の外周余肉部に該当する。ハニカム焼結体の外周余肉部の除去は、例えば、ダイヤモンドを備えた研削具や切断カッターなどによる切断加工および/または研削加工が可能な除去装置によって機械加工を行えばよく、特に限定されるものではない。
本加工工程の前の充填工程にて加工想定曲面10と交差する充填用セル13にセル充填材を充填している。したがって、加工想定曲面10(または加工想定曲線11)の位置にある外周部セル壁12により区画された充填用セル13は硬質セル充填材15によって塞がれており、本加工工程によりハニカム焼結体の外周部セル壁12の加工想定曲面10より外側にある硬質セル充填材の一部は、硬質セル充填材15の加工想定曲面10より外側にある硬質セル充填材の一部と共に除去される。セル3に硬質セル充填材15が充填されていない場合、セル壁2の一部を除去しようとするとセル壁2の不要な箇所にクラックが生じ易く、セル壁2を所望の形状に加工することが困難であることが想定される。
一方、本製造方法例によれば、充填用セル13に硬質セル充填材15を充填するため、外周部セル壁12が硬質セル充填材15により補強される。このため、加工想定曲面10より外側の外周部セル壁12を除去する際、除去装置による加工応力、加工負荷または加工衝撃は、外周部セル壁12および硬質セル充填材に伝播し分散され、外周部セル壁12のみに伝わらない。したがって、外周部セル壁12に所望しないクラックが生じ難く、加工想定曲面10に沿って、高い加工精度にてハニカム焼結体9の外周部を除去できる。このため、歪みが小さく、耐衝撃性に優れるハニカムフィルターが得られる。
また、充填工程ではセル充填材について熱処理による硬化性とセルの孔内部の隅々まで
充填材が行き渡るための充満性を備えた粘度調整を行えばよいので、特許文献1のように、充填性と保形性の両方を兼ね備えるような異なる粘度のセル充填材料を調製する必要はない。なお、加工工程後、曲面外周部は充填材硬化部により補強された状態である。なお、「加工工程後の硬質セル充填材」を「充填材硬化部」と称する。
このように本製造方法例では、高い加工精度で曲面外周部16を形成できるため、曲面外周部16が円周面となるように、ハニカム焼結体の外周部を除去することができる。曲面外周部16が円周面であれば、より歪みが小さく、耐衝撃性に優れるハニカムフィルターが得られる。曲面外周部16が形成されたハニカムフィルターの真円度は好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下であり、小さいほど好ましい。真円度が上記値であることにより、断面方向において歪みの小さなハニカムフィルターを得ることができる。真円度は小さいほど好ましく、0mmであることが理想である(真円度の下限は0mm以上)。なお、真円度は、方向Aに直交するハニカムフィルターの断面において、最長の直径と最短の直径の差で表される。
また、曲面外周16は、円周面以外の円滑に連続する曲面であってもよく、例えば、楕円柱の側面などであってもよい。
図7は、得られたハニカムフィルター基体50を示す斜視図である。図7のハニカムフィルター基体50は、結合型のハニカム焼結体から得られた例を示すものである。ハニカムフィルター基体50には、加工想定曲面10の外側のハニカム焼結体の外周余肉部を除去することによって、曲面外周部16が形成されている。セル充填材およびその周囲の外周部セル壁12が、ハニカムフィルター基体50を保護する役割を果たしている。
ハニカムフィルター基体50は、図5に示す結合型のハニカム焼結体9を材料としており、封孔処理が施されている。このため、ハニカムフィルター基体50は、1.方向Aに延伸し、かつ、当該方向Aに対して直交する断面が格子状であるセル壁2が形成されており、2.好ましい形態として、セル壁2によって、方向Aの両端側である端面4側および端面5側のうち少なくとも一端側が開孔した複数のセル3が区画されているセラミック製のハニカム焼結体を備えており、方向Aの両端のうち異なる端側の開孔が封止されている。なお、セル3は、方向Aの両端のうち少なくとも一端側が開孔していればよく、PMの捕集効果は低下するが、両端側が開孔していてもよい。当然ながら、単体型のハニカム焼結体を材料としてハニカムフィルター基体を作製してもよい。
図8は、図7のハニカムフィルター基体50の軸Aに平行な軸に沿って切った断面を示す縦断面である。図8は、PMを含んだ排気ガスGがハニカムフィルター基体50内でどのように移動するかを示している。同図に示すように、まず、端面4側のセル3から排気ガスGが導入される。排気ガスGが導入されたセル3の端面5側は封孔されているため、排気ガスGは直進し難く、セル壁2の細孔を通過して、隣接するセル3へ移動する。このセル壁2の細孔を通過する過程で、排気ガスGに含まれるPMをセル壁2で効率良く捕集できる。
図9は、図7の端面4に向かって示した被覆層を形成する前のハニカムフィルター基体50を示す平面図である。図9に示すように、ハニカムフィルター基体50においては、加工前の角柱状のハニカム焼結体が加工工程で加工想定曲面10より外側にある外周余肉部が除去されているので、加工後の曲面外周部をなす柱状のハニカム焼結体(1または9)の外周部には、セル壁により形成された凹部12vおよび/または段部12wが形成され、凹部12vと段部12wによりそれぞれ方向Aに延伸する窪み部12bが形成されている。そして、ハニカム焼結体(1または9)の外周部におけるこの窪み部12b以外を構成するセル壁の一部外周部12aは、加工想定曲面10と同じまたはこれに相似な曲面
をなして露出状態で形成され、一部外周部12aはハニカムフィルター基体50の曲面外周部16の一部をなしている。
さらに、凹部12vと段部12wにより形成され方向Aに延伸する窪み部12bには、前記充填工程で充填されたセル充填材が前記熱処理工程で硬化された硬質セル充填材が、その後、前記加工工程で加工想定曲面10より外側にある硬質セル充填材の一部が除去されて、残った部分により、前記窪み部12bに充填された充填材硬化部19が形成される。ここで、充填材硬化部の外周部19aは加工想定曲面10と同じまたはこれに相似な曲面をなし、ハニカムフィルター基体50の曲面外周部16の一部をなしている。また、結合材の周側端部外周部8aも曲面外周部16の一部をなしている。
一部外周部(外周部セル壁の断面)12aおよび充填材硬化部の外周部15aは曲面外周部16に面しており、一部外周部12aおよび充填材硬化部の外周部15aによって曲面外周部16が構成されている。
ハニカムフィルター基体50に対して外周部被覆層を形成する場合、曲面外周部16上に形成できるため、ハニカムフィルター基体50は、外周部被覆層を容易に形成できる点で優れている。
また、ハニカムフィルター基体50は、好ましくは方向Aに亘って、セル充填材が凹部および/または段部に充填されており、広範囲に充填がなされるため、より寸法精度が良いと共に、補強されたハニカムフィルター基体を提供することができる。さらに好ましくは、上記延伸方向に亘って、セル充填材が凹部および/または段部の全長に充填されており、この場合、より広範囲に充填ができ、寸法精度の向上および補強の効果をより高めることができる。
(6.外周部被覆層形成工程)
外周部被覆層形成工程は、加工工程後の曲面外周部に、合成樹脂層またはセラミック層の外周部被覆層を形成する工程である。曲面外周部に、合成樹脂層またはセラミック層の外周部被覆層を形成することにより、外部からの耐衝撃性が高いハニカムフィルターを製造することができる。
合成樹脂層またはセラミック層を形成する手法としては特に限定されず、合成樹脂層またはセラミック材料を曲面外周部に塗布し、ブレードにより成形する方法を挙げることができる。
合成樹脂層またはセラミック層の厚さは、特に限定されないが、概して0.3mm以上、1.0mmである。また、上記合成樹脂層には塗装も含まれる。塗装は、顔料および樹脂を含んだ塗料により形成された層である。
外周部被覆層形成工程では、上記ハニカム焼結体の材料およびセル充填材の材料と異なる種類のセラミック材料を使用して上記曲面外周部に外周部被覆層を形成することが好ましい。「異なる種類のセル充填材を使用する」とは、例えば、ハニカム焼結体の材料が窒化珪素であり、セル充填材が炭化珪素である場合、外周部被覆層(セラミック層)の材料として、アルミナを使用することを意味する。
また、充填工程では、セル充填材、ハニカム焼結体の材料およびセラミック材料が同種の複数の材料を含んでおり、上記セル充填材の材料およびハニカム焼結体の材料と異なる濃度のセラミック材料を使用して上記曲面外周部にセラミック層を形成することができる。この場合、ハニカム焼結体の材料、セル充填材の材料およびセラミック材料における複
数の材料の配合割合が互いに異なっている。
上記のような種類または配合割合が異なるセラミック材料を使用した場合、形成したセラミック層は、ハニカム焼結体(すなわち、焼結したハニカム骨格体、またはセル壁)および硬化した硬化セル充填材と異なる組成を有することとなる。これにより、最終的に製造するハニカムフィルターにおいて、外周部被覆層から硬化セル充填材、さらに硬化セル充填材からセル壁へ伝播する衝撃または外周部被覆層に発生したクラックは異なる組成を伝播することとなる。当該ハニカムフィルターでは、外周部被覆層と充填材硬化部との境界部、および、充填材硬化部とセル壁との二重の境界部において衝撃またはクラックの伝播が緩和され易く、衝撃に起因するクラックが生じ難い。
なお、上記曲面外周部に合成樹脂層を形成する場合、合成樹脂層の材料は、ハニカム焼結体の材料およびセル充填材の材料と異なる種類である。よって、ハニカム焼結体の材料およびセル充填材の材料が異なる種類であるか、異なる配合であれば、衝撃に起因するクラックが生じ難いハニカムフィルターが得られる。
図10に、外周部被覆層を形成したハニカムフィルター51を示す。図10は、端面4に向かって示したハニカムフィルター51を示す平面図である。ハニカムフィルター51では、外周部セル壁12、充填材硬化部19および外周部被覆層17が別個に形成されているため、それぞれの間には境界部が形成されている。外周部セル壁12のうち、曲面外周部16に接する外周部セル壁12bは、曲面外周部16から衝撃が伝わった場合、衝撃が伝播する方向に延伸しているため、クラックが生じ難い。一方、外周部セル壁12のうち、充填材硬化部19を介して曲面外周部16に対向する外周部セル壁12cは、充填材硬化部19が充填されていない場合、衝撃が伝播する方向に薄く、クラックが生じ易い。
しかし、ハニカムフィルター51では、充填材硬化部19を介して曲面外周部16から充填材硬化部19を介して外周部セル壁12cへ衝撃が伝播するため、衝撃が緩和される。さらに、外周部被覆層17と充填材硬化部19との間にクラック伝播を抑制する境界部が存在しており、外周部被覆層17から外周部セル壁12cへ衝撃が伝播するには、外周部被覆層17と充填材硬化部19との境界部、さらに、充填材硬化部19と外周部セル壁12cとの境界部を介する必要がある。このように、外周部被覆層17、充填材硬化部19および2重の境界部により、クラックが比較的生じ易い外周部セル壁12cが保護され、衝撃に起因するクラックが生じ難く、クラック18が生じたとしても、外周部被覆層17と充填材硬化部19との境界部においてクラック18の伝播が妨げられる。
また、加工工程によって軸方向断面視で凹部および/又は段部を形成するセル壁の末端部は、他よりも鋭角な形状を有するため応力が集中しやすい場所である。そのため、図11に示すような従来技術で示された構成では、上記セル壁末端部が外周部被覆層に接する部分を起点として外周部被覆層にクラックを与え易くなっているが、本発明では外周部被覆層と充填材硬化部19の境界部が存在することによって、上記セル壁末端部の応力を逃がし易く外周部被覆層にクラックを生じにくい構造となっている。
本発明のハニカムフィルター基体は、高い加工精度での曲面外周部が形成されているため、合成樹脂層またはセラミック層の外周部被覆層によって被覆したとき、歪みが小さく耐衝撃性に優れる点はそのままに、外周部被覆層によりクラックが生じ難いハニカムフィルターを提供できる。
同図に示すように、ハニカムフィルター51では、曲面外周部16に外周部被覆層17が形成されている。外周部被覆層17が形成されたハニカムフィルター51の真円度は好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下であり、小さいほど好ましい。
下限については小さいほど好ましく、0mmであることが理想である。なお、真円度は、方向Aに直交するハニカムフィルターの断面において、最長の直径と最短の直径の差で表される。
比較のため、図11に特許文献1に係るハニカム構造体を示す。図11は、特許文献1に係るハニカム構造体151を示す平面図である。同図に示すように、ハニカム構造体151では、セル壁102によりセル103が区画されており、セル壁102の外周部には、硬質セル充填材115が満たされると共に、硬質セル充填材115によって外周部被覆層が形成されている。ハニカム構造体151では、セル壁102の周囲に1層の硬質セル充填材115が設けられているだけであり、硬質セル充填材115から伝播する衝撃は、外周に対して略平行なセル壁102に緩和されることなく伝播する。その結果、セル壁102にクラック18が生じ易いという欠点があり、クラック18がセル壁102まで伝播してしまう。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、排ガス浄化フィルターおよび排ガス浄化装置を製造する産業分野のみならず、乗用車、バス、トラック等の車両や、建設機械等の産業機械においても、利用することができる。
1 ハニカム焼結体(単体型のハニカム焼結体)
2 セル壁
3 セル
4 端面
5 端面
6 ハニカムセグメント骨格体
7 ハニカムセグメント焼結体
8 結合材
8a 結合材の周側端部外周部
9 ハニカム焼結体(結合型のハニカム焼結体)
10 加工想定曲面
11 加工想定曲線
12 外周部セル壁(セル壁)
12a 一部外周部(外周部セル壁の断面)
12b 窪み部
12v セル壁により形成される凹部
12w セル壁により形成される段部
13 充填用セル(セル)
14 封孔材料
15 硬質セル充填材
15a 充填材硬化部の外周部
16 曲面外周部
17 外周部被覆層(合成樹脂層、セラミック層)
18 クラック
19 充填材硬化部
19a 充填材硬化部の外周部
50 ハニカムフィルター基体
51 ハニカムフィルター
A 方向
G 排気ガス

Claims (8)

  1. 一方向に延伸した複数のセルがセル壁によって区画されているセラミックス製のハニカム焼結体を備えたハニカムフィルターであって、
    上記ハニカム焼結体の外周部にセル壁によって形成された凹部および/または段部により形成される窪み部と、上記窪み部にセル充填材が充填されてなる充填材硬化部とでハニカムフィルター基体が構成され、
    上記ハニカムフィルター基体の外周部には、上記外周部を被覆する外周部被覆層が形成されており、
    上記外周部被覆層と充填材硬化部との間および充填材硬化部と上記セル壁との間に、それぞれクラック伝播を抑制する境界部が存在していることを特徴とするハニカムフィルター。
  2. 上記セル壁と、充填材硬化部とが互いに異なる組成であることを特徴とする請求項1に記載のハニカムフィルター。
  3. 上記ハニカム焼結体は、上記セル壁が単体として形成されている単体型であることを特徴とする請求項1または2に記載のハニカムフィルター。
  4. 上記ハニカム焼結体は、セル壁が形成された複数のハニカムセグメント焼結体が結合材を介して結合された結合型であることを特徴とする請求項1または2に記載のハニカムフィルター。
  5. 上記複数のセルにおいて互いに隣接するセルは、延伸方向の両端側のうち異なる端側の開孔が封止されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のハニカムフィルター。
  6. セルの延伸方向に亘って、セル充填材が上記窪み部の全長またはほぼ全長に充填されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のハニカムフィルター。
  7. 真円度が1.0mm以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のハニカムフィルター。
  8. 真円度が0.5mm以下であることを特徴とする請求項7に記載のハニカムフィルター。
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