JP2013202204A - 穿刺針抜け検知装置およびデータ処理装置 - Google Patents

穿刺針抜け検知装置およびデータ処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】特殊な操作を必要とせず、低コストで実現可能な、穿刺針の抜けを検知する穿刺針抜け検知装置を提供する。
【解決手段】透析患者の穿刺針4bが穿刺された側の前腕部の下部に相当する位置に、感圧シートセンサからなるシート状検知部2を敷設する。透析患者はシート状検知部2の上に前腕部をおいた状態で透析を開始する。データ処理装置3は、透析中、定周期でシート状検知部2の検知情報を取得し、シート状検知部2の感圧領域内における前腕部が載置されたことにより圧力が高くなっている有効圧力領域の位置や形状の変化などに基づき、前腕部の位置や移動量を推測し、これに基づき針抜けの可能性の有無を判定する。針抜け可能性があると判定されるとき、警報表示や警報音を発生させることにより、針抜けの可能性があることを通知する。
【選択図】図1

Description

本発明は、人工透析といった、体外の回路を介して血液を循環させるようにした血液透析回路などの穿刺針抜けを検知する、穿刺針抜け検知装置およびデータ処理装置に関する。
人工透析においては、ダイアライザを経た血液を患者に戻す側の穿刺針が抜けて血液が漏れてしまうことがあるため、このような漏血の発生を検出することが必要となっている。
動脈回路側の穿刺針の抜けの検知は、気泡センサを動脈回路に装着する装置や方法が一般的であるが、静脈回路側の穿刺針の抜けの検知には、一般的な装置や方法がなく、これまでにいくつかの装置や方法が提案されている。
例えば特許文献1には、銅張積層板に回路を形成した回路部品であって、通常は開回路状態であり、穿刺針が抜けて血液で回路表面が濡れると回路が閉回路状態となる回路部品を穿刺針の近傍に配置し、回路部品の通電状態により穿刺針の抜けを検出する技術が記載されている。
また特許文献2には、穿刺針に、皮膚に光を照射する送光部と皮膚からの反射光を受光する受光部とを設け、穿刺針が抜けた場合に、送光部から皮膚に光が照射されず受光強度が低下することを利用して穿刺針の抜けを検出する技術が記載されている。
特開2006−55588号公報 特開2008−000218号公報
しかしながら、以上の従来技術では、次に示すような課題がある。
1.特許文献1に記載されている検出装置では、漏血検出用の回路部品を留置針の近傍の皮膚に装着する必要があり、患者に負担がかかる。
2.特許文献2に記載されている検出装置では、皮膚に光を照射する送光部と、皮膚からの反射光を受光する受光部とを含む特殊な穿刺針が必要となり、コストが高くなってしまう。
そこで本発明の目的は、上記問題点に鑑み、患者の負担を軽減し、且つ、低コストで実現可能な穿刺針抜け検知装置およびデータ処理装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1にかかる穿刺針抜け検知装置は、流路の一端と接続された穿刺針が穿刺される人体の部位および当該部位と連動する人体の部位の少なくとも一方である被検知部位と当該被検知部位が載置される載置部材との間に設けられ、前記被検知部位に加わる圧力分布を検知する圧力分布検知部と、前記圧力分布検知部により検知された圧力分布に基づき前記穿刺針の状態を推測し、推測した状態に基づき前記穿刺針の針抜けの可能性の有無を判定する判定部と、を備えることを特徴としている。
なお、ここでいう「穿刺針が穿刺される人体の部位と連動する人体の部位」とは、例えば、穿刺針が穿刺される前腕部と手との関係など、穿刺針が穿刺された人体の部位(例えば前腕部)の移動あるいは回転とともに変位する人体の部位(例えば手)のことをいう。
請求項2にかかる穿刺針抜け検知装置は、前記穿刺針は、患者の血液を体外循環させる血液循環回路に適用される穿刺針であることを特徴としている。
請求項3にかかる穿刺針抜け検知装置は、指定された時点で前記圧力分布検知部により検知された圧力分布を保持する圧力分布保持部を備え、前記判定部は、前記圧力分布保持部で保持する前記指定された時点での圧力分布と現時点における圧力分布とに基づき、前記指定された時点からの前記被検知部位の変位量を推測し、推測した変位量に基づき前記針抜けの可能性を推測する第1解析部を備え、当該第1解析部の解析結果に基づき前記判定を行うことを特徴としている。
請求項4にかかる穿刺針抜け検知装置は、前記判定部は、前記圧力分布の時系列変化を検出し、検出した前記圧力分布の時系列変化に基づき前記被検知部位の時系列の変位状況を推測し、推測した時系列の変位状況に基づき前記針抜けの可能性を推測する第2解析部を備え、当該第2解析部の解析結果に基づき前記判定を行うことを特徴としている。
請求項5にかかる穿刺針抜け検知装置は、前記判定部は、前記圧力分布に基づき前記被検知部位の現在位置を推測し、推測した前記被検知部位の現在位置と予め設定した前記被検知部位の正常領域との位置関係に基づいて前記針抜けの可能性を推測する第3解析部を備え、当該第3解析部の解析結果に基づき前記判定を行うことを特徴としている。
請求項6にかかる穿刺針抜け検知装置は、前記圧力分布検知部は、前記被検知部位の、前記載置部材と接触する領域を覆うように前記被検知部位に装着される帯状検知部を備え、前記判定部は、前記帯状検知部で検知される圧力分布に基づき前記被検知部位の回転方向の変位を検出し、当該回転方向の変位に基づき前記判定を行うことを特徴としている。なお、ここでいう「装着」とは、被検知部位の、載置部材と接触する領域を覆うように、すなわち被検知部位に巻き付けるように設けることをいう。
請求項7にかかる穿刺針抜け検知装置は、前記圧力分布検知部は、前記載置部材の、前記被検知部位と接触する領域に敷設されるシート状検知部を備え、前記判定部は、前記シート状検知部で検知される圧力分布に基づき前記被検知部位の水平方向の変位を推測し、当該水平方向の変位に基づき前記判定を行うことを特徴としている。
請求項8にかかる穿刺針抜け検知装置は、前記圧力分布検知部は、前記載置部材の、前記被検知部位と接触する領域に敷設されるシート状検知部および、前記被検知部位の、前記載置部材と接触する領域を覆うように前記被検知部位に装着される帯状検知部を備え、前記判定部は、前記シート状検知部により検知された圧力分布に基づき前記被検知部位の水平方向の変位を推測し、前記帯状検知部により検知された圧力分布に基づき前記被検知部位の回転方向の変位を推測し、前記水平方向の変位と前記回転方向の変位とで特定される前記被検知部位の変位状況も考慮して前記判定を行うことを特徴としている。
請求項9にかかる穿刺針抜け検知装置は、前記判定部で前記針抜けの可能性があると判定されるとき、警報を発する警報発生部を備えることを特徴としている。
また、本発明の請求項10にかかるデータ処理装置は、流路の一端と接続された穿刺針が穿刺される人体の部位および当該部位と連動する人体の部位の少なくとも一方である被検知部位と当該被検知部位が載置される載置部材との間に設けられ、前記被検知部位に加わる圧力分布を検知する圧力分布検知部の検知情報を入力する入力処理部と、当該入力処理部で入力した前記圧力分布からなる検知情報に基づき前記穿刺針の状態を推測し、推測した状態に基づき前記穿刺針の針抜けの可能性の有無を判定する判定部と、を備えることを特徴としている。
本発明の請求項1にかかる穿刺針抜け検知装置によれば、穿刺針が穿刺される前腕部または手などを被検知部位とし、この被検知部位に加わる圧力分布に基づき、針抜けの可能性を推測するため、簡易な構成で容易に検知することができる。
請求項2にかかる穿刺針抜け検知装置によれば、透析を行う場合には比較的長時間、穿刺針を前腕部に穿刺したままの状態でいる必要があり、無意識のうちに前腕部を動かす可能性があり穿刺針の針抜けにつながる可能性があるが、患者の血液を体外循環させる血液循環回路に適用される穿刺針の針抜けの可能性の有無を検知することにより、針抜けが生じる前の段階で対応することができるため効果的である。
請求項3にかかる穿刺針抜け検知装置によれば、指定された時点からの被検知部位の変位量の大きさに基づき、針抜けの可能性を推測することができる。そのため、例えば、流路としてのチューブが伸びきる程度移動したのか、などから、針抜けの可能性を推測することができる。
請求項4にかかる穿刺針抜け検知装置によれば、圧力分布の時系列変化から推測した被検知部位の時系列の変化状況に基づき針抜けの可能性を推測することができる。そのため、変化状況から今後の被検知部位の状態を予測することによって、この先針抜けが生じるか否かを予測することができ、より早い段階で、針抜けの可能性を検知することができる。
請求項5にかかる穿刺針抜け検知装置によれば、被検知部位の現在位置と予め設定した前記被検知部位の正常領域との位置関係に基づいて針抜けの可能性を推測するため、容易に推測することができる。
請求項6にかかる穿刺針抜け検知装置によれば、被検知部位に帯状検知部を装着し、これにより圧力分布を検知するため、被検知部位の回転方向の変位を検出することができる。そのため、被検知部位の回転方向の変位に伴う穿刺針の針抜けの可能性を検知することができる。
請求項7にかかる穿刺針抜け検知装置によれば、載置部材の、被検知部位と接触する領域にシート状検知部を敷設し、このシート状検知部により圧力分布を検知するため、被検知部位の水平方向の変位を検出することができる。そのため、被検知部位の水平方向の変位に伴う穿刺針の針抜けの可能性を検知することができる。
請求項8にかかる穿刺針抜け検知装置によれば、載置部材の、被検知部位と接触する領域に敷設されるシート状検知部と、被検知部位の、載置部材と接触する領域を覆うように被検知部位に装着される帯状検知部とを設け、判定部では、シート状検知部により検知された圧力分布に基づき被検知部位の水平方向の変位を推測し、一方、帯状検知部により検知された圧力分布に基づき被検知部位の回転方向の変位を推測し、水平方向の変位と前記回転方向の変位とで特定される前記被検知部位の変位状況も考慮して前記判定を行うため、実際の被検知部位の状況により則して、針抜けの判定を行うことができる。
請求項9にかかる穿刺針抜け検知装置によれば、針抜けの可能性があるときには警報が発せられるため、針抜けの可能性があることを、穿刺針が穿刺されている人間や介助者などに対して、確実に認識させることができる。
また、請求項10にかかるデータ処理装置によれば、穿刺針が穿刺される前腕部または手などを被検知部位とし、この被検知部位に加わる圧力分布からなる検知情報を入力し、入力した検知情報、すなわち圧力分布に基づき前記穿刺針の状態を推測し、推測した状態に基づき穿刺針の針抜けの可能性の有無を判定するため、針抜けの可能性の有無を容易に検知することができる。
本発明の第1の実施形態における穿刺針抜け検知装置の一例を示す概略構成図である。 図1の検知部(シート状検知部)の構成を説明するための説明図である。 検知部によりえられる圧力分布の一例である。 図1のデータ処理装置の一例を示すブロック図である。 図4の検知情報解析部の一例を示すブロック図である。 図5の位置解析部での解析方法を説明するための図である。 図5の移動状況解析部での解析方法を説明するための図である。 図5の非検出解析部での解析方法を説明するための図である。 データ処理装置での針抜け検知処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図9の解析処理(ステップS5)の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態における穿刺針抜け検知装置の一例を示す概略構成図である。 第2の実施形態における検知情報解析部の一例を示すブロック図である。 前腕部の回転量の検出方法を説明するための図である。 第2の実施形態における解析処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第3の実施形態における穿刺針抜け検知装置の一例を示す概略構成図である。 第3の実施形態におけるデータ処理装置の一例を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本発明における穿刺針抜け検知装置の一例を示す構成図である。
本発明における穿刺針抜け検知装置1は、検知部2と、検知部2の検出信号をもとに針抜け検知処理を行うデータ処理装置3と、を備える。
検知部2は、例えば感圧シートセンサで構成されるシート状の検知部(以後、シート状検知部2ともいう。)であって、シート状検知部2は、針抜け検知対象の患者の穿刺針が穿刺されている部位の下に敷設され、穿刺針が穿刺されている部位近傍の圧力変化を検知する。
なお、図1は、本発明における穿刺針抜け検知装置1を用いて、血液透析を行う際の穿刺針の針抜け検知に適用したものである。
図1中、4は血液を浄化するダイアライザなどを含む透析機、4aは浄化前の血液および浄化後の血液をそれぞれ通す一対の血液循環回路、4bは透析患者に穿刺して血液を取り出す一対の穿刺針である。
透析患者はベッド5に横になり、一方の腕(図1の場合は左腕)に、動脈側血液循環回路および静脈側血液循環回路の穿刺針をそれぞれ穿刺し、透析機4、血液循環回路4a、穿刺針4bからなる循環路を形成することにより、透析機4で浄化した血液を体内に戻すようになっている。
図1の場合、シート状検知部2は、例えばベッド5のシーツの下に配置され、且つ、透析中の透析患者の穿刺針を穿刺した腕の肘から手首の間部分、すなわち前腕部がシート状検知部2の上に位置するように敷設されている。なお、このシート状検知部2は、シーツの下でなくともよく、例えば、シーツの上に敷設しこのシート状検知部2の上に直接透析患者の前腕部をのせるようにしてもよい。この場合には、透析患者の前腕部の動きに伴ってシート状検知部2が一緒に移動しないように、シート状検知部2を、シーツやベッド5などに固定することが好ましい。
図2は、シート状検知部2の一例を示したものである。このシート状検知部2はシート状の部材であって、形状の歪みによって電気抵抗が変化する。この形状の歪みは、シート状検知部2に加わった力と相関があることは明らかである。このため、シート状検知部2の電気抵抗を示す電気信号から、感圧シートに加わった圧力を検知することができる。このシート状検知部2としては、例えばWO2008/032661の公報に記載されているものなどを適用することができる。
シート状検知部2は、例えば、図2に示すように、x方向に延びる複数の電極2aとy方向に延びる複数の電極2bとを備え、これら電極2a、2bは、メッシュ状に配列されている。
複数の電極2aはそれぞれx座標(x1、x2、x3、…)に対応し、複数の電極2bはそれぞれy座標(y1、y2、y3、…)に対応する。
電極2a、2bの交点から出力される電圧信号の大きさをマッピングすると、シート状検知部2上における圧力の分布を検知することができる。
図3は、このようにして得られる圧力分布例を示したものであり、透析開始時の静態時における圧力分布を示したものである。図3は、シート状検知部2の圧力検出が可能な領域を感圧領域e1としたとき、この感圧領域e1における圧力分布を示している。図3において、色の濃い方が、圧力が高いことを表す。
図3に示すように、静態時における圧力分布は、ある程度の圧力が検知された領域が、シート状検知部2上に載置された前腕部の形状に応じて一方向に長い形状に分布している。図3の圧力分布から、圧力が高い(色の濃い方)側が手首側であり、圧力が低い(色が薄い方)側が肘側であることがわかる。また、感圧領域e1内における、ある程度の圧力が検知された領域の位置から、シート状検知部2の中央部付近に、前腕部が位置することがわかる。
図4は、データ処理装置3の一例を示す機能ブロック図である。
このデータ処理装置3は、図4に示すように、圧力信号処理部11と、操作スイッチ部12と、解析部13と、を含んで構成される。
圧力信号処理部11は、シート状検知部2から出力された電圧信号を、電圧信号が検知された位置を表す座標と対応付ける。そして、座標および電圧の大きさを検知情報として解析部13に出力する。
操作スイッチ部12は透析患者の前腕部の初期情報の登録、解析部13での針抜け検知処理の開始および停止を指示するためのスイッチである。透析を開始する前の状態であり、且つ透析中、透析患者がリラックスできる位置に前腕部の位置決めを行ったときに、介助者あるいは透析患者本人が操作スイッチ部12を操作することにより、初期情報の登録を指示する。また、操作スイッチ部12により針抜け検知処理の開始または停止が指示されたとき、解析部13では針抜け検知処理を開始または停止する。
解析部13は、図4に示すように、初期情報保持部21と、検知情報記録用メモリ22と、検知情報解析部23と、針抜け判定部24と、警報発生部25と、を備える。
初期情報保持部21は、操作スイッチ部12が操作され初期情報の登録が指示されたときのシート状検知部2からの検知情報を、初期情報として保持するためのメモリである。
検知情報記録用メモリ22は、逐次入力される検知情報や検知情報解析部23での解析結果といった針抜け検知処理の処理過程で得られる各種情報などを一時的に記録するための作業用のメモリである。
検知情報解析部23は、操作スイッチ部12により初期情報の登録指示が行われたとき、この時点におけるシート状検知部2における検知情報を圧力信号処理部11から入力し、入力した検知情報を初期情報として初期情報保持部21に格納する。
また、検知情報解析部23は、操作スイッチ部12により針抜け検知処理の開始が指示されたとき針抜け検知処理を開始する。すなわち、圧力信号処理部11からの検知情報を定周期で読み込み、読み込んだ検知情報を解析し針抜けの可能性の有無を判定する。また、操作スイッチ部12により針検知処理の停止が指示されたとき針抜け検知処理を停止する。この針抜けの可能性の有無の判定方法は後述する。
針抜け判定部24は、検知情報解析部23での解析結果に基づき、警報を発生させる必要があるか否かを判定し、警報を発生させる必要があると判定されるとき、警報発生部25に対して警報の発生を指示する警報指示信号を出力する。針抜け判定部24での警報を発生させる必要があるか否かの判定方法は後述する。
警報発生部25は、表示部25aと、アラーム発生部25bとを備える。
表示部25aは、検知情報解析部23から警報指示信号を入力したとき、表示部24aに針抜けの可能性があることを表示する。また、必要に応じて、シート状検知部2の感圧領域e1上における圧力分布を表示するようにしてもよい。
アラーム発生部25bは、検知情報解析部23から警報指示信号を入力したとき、アラーム音を発生させ、透析患者あるいは介助者など周囲の人間に、針抜けの可能性があることを音声により通知する。
次に、検知情報解析部23での針抜けの可能性の有無の判定方法を説明する。
検知情報解析部23は、圧力信号処理部11から定周期で検知情報を読み込み、読み込んだ検知情報に対して複数項目について解析を行う。
具体的には、検知情報解析部23は、図5に示すように、位置解析部31と、移動量解析部32と、初期位置からの移動量解析部33と、移動状況解析部34と、非検出解析部35と、を備える。
位置解析部31は、シート状検知部2上における前腕部の現在位置が、予め設定した正常領域内に存在するか否かを判定する。すなわち、図6に示すように、シート状検知部2の感圧領域e1に対し、予め正常領域e2と危険領域e3とを設定しておく。
正常領域e2は、例えば、透析中における、シート状検知部2上での通常とり得る前腕部の移動範囲に応じて設定される。また、危険領域e3は、正常領域e2の外側に設けられ、例えば透析機4から穿刺針4bが離れすぎて、血液循環回路4aを構成するチューブにより引っ張られて穿刺針4bが抜ける可能性がある位置、あるいは、穿刺針4bが透析機4に近寄りすぎて、血液循環回路4aを構成するチューブが弛み変形することなどにより穿刺針4bに対して力が加わることにより穿刺針4bが抜ける可能性がある位置、などに設定される。
位置解析部31では、感圧領域e1内における圧力分布に基づき、前腕部の現在位置を推測する。すなわち、圧力値がしきい値以上のものを有効とし、有効な圧力値が分布してなる領域からなる有効圧力領域Epと危険領域e3とが重なるか否かを判定し、これらが重なるとき、穿刺針4bの針抜けの可能性があると判定する。なお、前記圧力のしきい値は、前腕部により生じた圧力とみなすことの可能な値に設定される。
例えば、図6に示すように有効圧力領域Epの半分以上、あるいは予め設定したしきい値以上が危険領域e3と重なるときに穿刺針4bが抜ける可能性があると判定する。図6の場合、4つのパターンいずれも、有効圧力領域Epと危険領域e3とが重なっており、略半分以上重なっているため、針抜けの可能性があると判定される。
移動量解析部32は、透析患者の前腕部が、前回周期における位置から予め設定した距離以上移動したかを判定する。
すなわち、定周期で読み込んだ検知情報に対し、例えば前述の有効圧力領域Epの重心位置を演算する。そして、前回周期における有効圧力領域Epの重心位置と今回周期における有効圧力領域Epの重心位置とのずれ量を求める。
この重心位置のずれ量が予め設定した移動量のしきい値をこえるとき、つまり単位時間あたりにおける前腕部の移動量がある程度大きいときに、穿刺針4bが抜ける可能性があると判定する。前記移動量のしきい値は例えば実験を行うことなどによって設定される。
つまり、単位時間あたりの移動量がある程度大きい場合には、前腕部をゆっくり移動させた場合よりも、血液循環回路4aを構成するチューブが変形することに伴って穿刺針4bに力が加わる可能性が高く、また加わる力も大きい可能性がある。そのため、穿刺針4bが抜けやすくなったり、チューブが伸びきって穿刺針4bが引っ張られて抜けたりする可能性がある。したがって、単位時間あたりの前腕部の移動量がある程度大きいときには、針抜けの可能性があると判定する。
初期位置からの移動量解析部33では、透析患者の前腕部が、初期位置から予め設定した距離以上移動したかを判定する。
すなわち、定周期で読み込んだ検知情報に対し、前記位置解析部31での処理と同様の手順で有効圧力領域Epの重心位置を演算する。同様に、初期情報保持部21で保持する初期情報について有効圧力領域Epにおける重心位置を演算する。そして、初期情報における有効圧力領域Epの重心位置と、今回周期における有効圧力領域Epの重心位置とのずれ量を求める。この重心位置のずれ量が、予め設定した初期位置からの移動量のしきい値をこえるとき、針抜けの可能性があると判定する。つまり、前腕部が少しずつ動いている状態であっても前腕部が初期位置からある程度ずれたときには、穿刺針4bが抜ける可能性があると判定する。前記初期位置からの移動量のしきい値は、例えば実験を行うことなどによって設定される。
ここで、透析中にリラックスできる体勢は透析患者ごと異なるため、透析開始時点におけるシート状検知部2上での前腕部の位置は透析患者ごとに異なる。そのため、透析患者によっては、シート状検知部2の危険領域e3寄りの位置が初期位置となる場合がある。また、血液循環回路4aを構成するチューブなどは邪魔にならないようベッド5などに固定している場合がある。そのため、危険領域e3寄りの位置を基準としてチューブを固定した場合、前腕部をこの危険領域e3寄りの位置からシート状検知部2の中央に向かって移動させると、前腕部が他端側の危険領域e3に達しなくても、チューブが伸びきって穿刺針4bが抜ける可能性がある。
前腕部の初期位置を基準として有効圧力領域Epの重心位置のずれ量を検出しこれに基づき針抜けの可能性を判定することによって、透析患者ごとに初期位置からの実質的な移動量に基づき針抜けを検出することができる。
移動状況解析部34は、図7に示すように、透析患者の前腕部が、同一方向に向かって継続して移動しているかを判定する。
すなわち、定周期で読み込んだ検知情報に対し、上記と同様の手順で、有効圧力領域Epの重心位置を演算する。そして、前回周期における有効圧力領域Epの重心位置と、今回周期における有効圧力領域Epの重心位置とがずれているかを判定し、ずれている場合にはその移動方向を検出する。
そして、前回周期において有効圧力領域Epの重心位置のずれを検出し、且つ今回周期においても有効圧力領域Epの重心位置のずれを検出し、さらに、前回周期における重心位置の移動方向と今回周期における重心位置の移動方向とが一致するみなすことができるとき前腕部が同一方向に向かって継続して移動していると判定する。そして、前腕部が同一方向に向かって継続して移動し且つ今回周期における有効圧力領域Epが一部でも危険領域e3と重なるとき、穿刺針4bが抜ける可能性があると判定する。
つまり、前腕部が比較的ゆっくり動いている場合であっても、同じ方向に継続して移動させている場合には、前腕部はやがて危険領域e3に達する可能性がある。いま現在、前腕部が正常領域e2の、危険領域e3との境界付近にあったとしても前腕部が停止している場合には針抜けが生じる可能性がそれほど大きくはない。しかしながら、前腕部が正常領域e2から危険領域e3に向かって移動している場合には、いま現在は正常領域e2にあったとしても次の瞬間には危険領域e3に達しそして穿刺針4bが実際に抜けてしまう可能性がある。
したがって、たとえばうとうとして無意識に前腕部が正常領域e2から危険領域e3に向かって継続して移動している場合などには、危険領域e3に達していない場合であっても、穿刺針が抜ける可能性があると判定するため効果的である。
なお、ここでは、今回周期における有効圧力領域Epの一部が危険領域e3と重なるときに、穿刺針4bが抜ける可能性があると判定しているが、有効圧力領域Epが危険領域e3と重ならなくても、同一方向に向かって所定時間以上継続して移動している段階で針抜けの可能性があると判定するようにしてもよい。
非検出解析部35は、図8に示すように、透析患者の前腕部が、正常領域e2から消えた状態が継続しているかを判定する。
すなわち、定周期で読み込んだ検知情報から得た圧力分布において、前腕部に相当する、前述の有効な圧力値からなる有効圧力領域Epが感圧領域e1内において得られない状態、あるいは、有効圧力領域Epが危険領域e3内では見られるが、正常領域e2内では見られない状態が、予め設定した一定時間以上継続したとき、つまり、前腕部が正常領域e2内に存在しないと判定されるとき、針抜けが生じる可能性があると判定する。
そして、針抜け判定部24は、これら検知情報解析部23の位置解析部31、移動量解析部32、初期位置からの移動量解析部33、移動状況解析部34、非検出解析部35での解析の結果、いずれか1つの解析部において、針抜けの可能性があると判定されるとき、警報を発生させる必要があると判断し、警報発生部25に警報指示信号を出力する。
なお、ここでは、位置解析部31での現在位置に基づく針抜け判定、移動量解析部32での移動量に基づく針抜け判定、初期位置からの移動量解析部33での初期位置からの移動量に基づく針抜け判定、移動状況解析部34での移動状況に基づく針抜け判定、非検出解析部35での非検出状態に基づく針抜け判定を行う場合について説明したが、これら全ての項目について針抜け判定を行わなくともよく、いずれか1つまたは複数の項目についてのみ行う構成としてもよい。
また、位置解析部31および初期位置からの移動量解析部33での針抜け判定は、初期位置が登録されていれば、初期位置からの移動量解析部33において針抜け判定を行い、初期位置が登録されていなければ、位置解析部31において針抜け判定を行う構成としてもよい。
また、移動量解析部32、初期位置からの移動量解析部33、移動状況解析部34では、有効圧力領域Epの重心位置を検出し、この重心位置のずれ量を、前腕部の移動量として針抜けの可能性を判定する場合について説明したが説明したが、これに限るものではない。例えば、前回周期における有効圧力領域Epと今回周期における有効圧力領域Epとが重なる領域の面積が、各解析部におけるしきい値相当以上となったときに、針抜けの可能性があると判定する構成としてもよい。逆に、前回周期における有効圧力領域Epと今回周期における有効圧力領域Epとが重ならない領域の面積に基づき判定する構成としてもよい。
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
図9は、データ処理装置3で実行される演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、透析患者は、図1に示すように、穿刺針4bを前腕部に穿刺した状態でベッドに横になり、シート状検知部2上のリラックスできる位置に、穿刺針4b側の前腕部を位置決めする。
また、介助者あるいは透析患者は、透析機4やデータ処理装置3の位置調整などを行った後、透析機4において透析開始操作を行う。これにより透析機4が作動開始し、透析機4による透析が開始される。
一方、介助者あるいは透析患者が、データ処理装置3の操作スイッチ部12を操作し初期情報の登録指示を行うと(ステップS1)、データ処理装置3ではシート状検知部2の検知情報を読み込み、この検知情報を初期情報として初期情報保持部21で保持する(ステップS2)。
続いて、介助者あるいは透析患者が操作スイッチ部12を操作し、針抜け検知処理の開始を指示すると、データ処理装置3では、シート状検知部2からの検知情報を定周期で読み込み(ステップS4)、解析処理(ステップS5)を行う。
なお、操作スイッチ部12によって、初期情報の登録操作が行われないまま、針抜け検知処理の開始操作が行われた場合には、そのままステップS4に移行する。
そして、解析処理(ステップS5)では、図10のフローチャートに示すように、まず、初期情報が登録されているか否かを判定し(ステップS11)、初期情報が登録されていれば、初期位置からの移動量に基づく解析を行う。すなわち、有効圧力領域Epの重心位置を演算し、前回周期における有効圧力領域Epの重心位置とのずれ量を演算し、これに基づき針抜けの可能性を判定する(ステップS12)。
一方、初期情報が登録されていなければ、ステップS11からステップS13に移行し、シート状検知部2上、すなわち図6に示すように感圧領域e1内における前腕部の位置を演算し、前腕部に相当する有効圧力領域Epが危険領域e3と重なるか否かを判定する。図6の場合、4つのパターンのいずれの場合も有効圧力領域Epの面積の半分以上が危険領域e3と重なっているため、針抜けの可能性があると判定される。
一方、図7(a)に示すように、感圧領域e1の中央部近傍に有効圧力領域Epが存在する場合には、有効圧力領域Epが危険領域e3と重ならないため、針抜けの危険性はないと判定される。
ステップS12またはステップS13での解析が終了したならば、ステップS14に移行して、移動量に基づく解析を行い、前回周期および今回周期で演算した有効圧力領域Epの重心位置のずれ量がしきい値をこえていれば、針抜けの可能性があると判定する。
続いて、ステップS15に移行して移動状況に基づく解析を行い、図7に示すように、前腕部が、一方向に継続して移動しているかを判定し、さらに、ステップS16に移行して非検出状態が継続しているかに基づく解析を行い、図8に示すように、感圧領域e1内に有効圧力領域Epが検出されない状況が一定時間以上継続しているかを判定する。
そして、図9に戻って、警報を発生させる必要があるか否かを判定する(ステップS6)。そして、前記ステップS12からS16の解析処理のいずれかにおいて、針抜けの可能性があると判定されたときには、警報を発生させる必要があると判定し、警報発生部25を作動させて警報を発生させる。すなわち、警報表示およびアラーム音を発生させ、これにより、針抜けの可能性があることを介助者や透析患者本人に通知する(ステップS7)。
一方、警報を発生させる必要がないと判定されるときには(ステップS6)、そのままステップS8に移行し、操作スイッチ部12において、針抜け検知処理の停止操作が行われていなければ、ステップS4に戻って次の周期で検知情報を読み込む。以後上記と同様の処理を行い、停止操作が行われた場合には処理を終了する。
このように、前腕部の位置をシート状検知部2により検知するようにしたから、透析患者は、何ら前腕部に装着する必要はなく、単にシート状検知部2の上に直接あるいはシーツを介して前腕部をのせるだけでよい。したがって、透析患者に負担を与えることなく、針抜けの可能性があることを検知することができる。
また、穿刺針抜け検知装置1の操作も、単に、操作スイッチ部12の操作を行うだけでよいため、介助者あるいは透析患者にも負担をかけることはない。
また、前腕部の位置が感圧領域e1内の危険領域e3にあるか否かにより針抜けの可能性を判定しているため、簡易な構成で判定できる一方、初期情報が登録された場合には、この初期情報から特定される前腕部の初期位置からの移動量をもとに、針抜けの可能性を判定しているため、リラックス状態におけるシート状検知部2上での前腕部の初期位置が透析患者ごとに異なる場合であっても、誤判断を回避し、適切に針抜けの可能性を判定することができる。
さらに、単に移動量を検出するだけでなく、単位時間あたりの移動量が大きい場合、あるいは、一方向に継続して移動している場合には、針抜けの可能性があると判定する構成としたため、例えば実際に危険領域e3に達するよりも前の段階で、針抜けの可能性を検知することができる。
また、正常領域e2内において、一定時間以上、前腕部に相当する有効圧力領域Epが得られない場合にも針抜けの可能性があると判定する構成としたため、シート状検知部2外に前腕部が位置する状態となった場合であっても、針抜けの可能性を的確に判定することができる。
なお、この第1の実施の形態においては、シート状検知部2をシーツまたはベッドに固定する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、透析患者がリラックスできる前腕部の位置が確定した時点で、シート状検知部2を移動させ、その中央部近傍に前腕部が位置するようにシート状検知部2の位置を調整する構成としてもよい。
このような構成にすることによって、全ての透析患者に対し、常に、シート状検知部2のほぼ中央位置を初期位置とすることができる。そのため、初期位置の登録をしなくとも、透析患者ごとに、適切に、針抜けの可能性を判定することができる。
また、上記第1の実施の形態において、移動量の大きさに関係なく前腕部が移動したか否かのみを検出する構成とし、所定回数以上移動したときに、針抜けの可能性があると判定するようにしてもよい。つまり、移動量が少なくても、前腕部を左右に小刻みに移動させたりあるいは少しずつ移動させたりした場合には、移動に伴い血液循環回路4aを構成するチューブが変形し、穿刺針4bに力が加わったり、加わらなくなったりを繰り返したり、あるいは少しずつ穿刺針4bに加わる力が大きくなったりする。これはすなわち穿刺針4bの針抜けにつながる。したがって、前腕部が所定回数以上移動したときには、移動量や移動方向などに関係なく、針抜けの可能性があると判定するようにしてもよい。
また、前腕部を動かした場合、前腕部および上腕部を含めた腕全体を移動させる場合の他に、肘を支点として肘から先のみを移動させる場合が考えられる。
ここで、通常得られる有効圧力領域Epは、例えば図3に示すように、前腕部の形状に似た一方向に長い形状となる。そして、肘を支点として手首側を移動させた場合、肘に力がかかるため、一方向に長い有効圧力領域Epは、肘側に相当する一端が比較的圧力が高くなり、手首側に相当する他端は比較的圧力が低くなる。また、肘を支点として移動させた場合、有効圧力領域Epの肘側の一端に比較して、手首側の一端の方が、移動量が大きい。したがって、有効圧力領域Epの両端の圧力の大きさおよび両端の移動量の差から、肘を支点として移動させているか否かを判断することができる。
また、肘を支点として手首側を移動させた場合、肘側の圧力が高くなるため、重心位置のずれ量を前腕部の移動量とした場合、穿刺針4b部分の実際の移動量に比較して、重心のずれ量は小さめに演算される可能性がある。
したがって、肘を支点として手首側を移動させていると推測される場合には、各解析部における針抜けの可能性があると判定するためのしきい値を、針抜けの可能性があると判定されやすくなる方向に変更して、針抜けの可能性の有無を判定するようにしてもよく、あるいは、肘を支点とした有効圧力領域Epの角度変化を検出し、この角度変化を、前腕部の角度変化として針抜けの可能性を判定するようにしてもよい。
この角度変化は、例えば次の手順で検出すればよい。つまり、肘を支点として手首側を移動させる場合、前腕部からシート状検知部2に対して加わる力は略一定とみなすことができる。すなわち、感圧領域e1内で、有効圧力領域Epの各地点の圧力は一定のまま有効圧力領域Epの位置がずれる状態となる。したがって、有効圧力領域Epの輪郭上の点と有効圧力領域Epの肘側の端部とを結ぶ直線の角度変化を前腕部の角度変化として用いればよい。
あるいは、有効圧力領域Epにおいて、長手方向については肘側の方が圧力が高いが、端手方向については有効圧力領域Epの中央近傍を通る長手方向に伸びる直線に沿って圧力が高くなり短手方向の端部側ほど圧力が低くなると予測される。したがって、有効圧力領域Epの短手方向において圧力が最も高くなる地点を結ぶ長手方向に伸びる直線を検出し、この直線の角度変化を前腕部の角度変化として用いてもよい。
また、以上は、肘を支点として手首側を左右に移動させる場合について説明したが、肘を支点として手首側を上下に移動させることも考えられる。
この場合には、得られる有効圧力領域Epは、肘側の一端の圧力が高くなり手首側の一端の圧力が低くなるとともに、肘側の一端を支点として、長手方向の長さが伸びたり縮んだりすると予測される。したがって、有効圧力領域Epの圧力分布および有効圧力領域Epの形状変化から、肘を支点として手首側を上下に移動させていると判断されるときには、上下の移動量がしきい値よりも大きいとき、あるいは手首側を上下に小刻みに移動させている場合など上下への移動回数がしきい値より大きいときに、針抜けの可能性があると判定するようにしてもよい。
この肘を支点とした上下の移動量は、例えば、有効圧力領域Epの長手方向の長さの変化量を演算し、これを、肘を支点とした上下の移動量として用いればよい。また、上下の移動回数は、有効圧力領域Epの長手方向の長さが変化した回数、または伸びる方向への変化および縮む方向への変化が交互に生じるときの回数を計測し、これを上下の移動回数として用いればよい。
また、透析機4に近づく方向に前腕部が移動した場合、あるいは離れる方向に移動した場合など、透析機4に対する前腕部の移動方向によって、血液循環回路4aを構成するチューブが弛む場合と引っ張られる場合とがあるため、移動に伴って穿刺針4bの針抜けに与える影響が異なる。したがって、前腕部が透析機4に近づく方向に移動した場合と離れる方向に移動した場合とで、針抜けの可能性があると判定するためのしきい値を異なる値に設定してもよい。
すなわち、前腕部を透析機4に近づく方向に移動した場合、つまりチューブが弛む方向に移動した場合よりも、前腕部を透析機4から離れる方向に移動した場合、つまりチューブが引っ張られる方向に移動した場合の方が、針抜けが生じると判定するためのしきい値を、針抜けが生じると判定されやすくなるように設定する。これによって、より的確に、針抜けの可能性を判定することができる。
なお、チューブがベッド5などに固定されている場合には、固定位置と穿刺針4bとの相対位置を考慮し、チューブが引っ張られる方向への移動かチューブが弛む方向への移動かに基づき、しきい値を設定すればよい。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態において、検知部2の形状が異なる。
すなわち、この第2の実施形態における検知部は、図11に示すように、肘から手首にかけて巻き付ける帯状の検知部6(以後、帯状検知部6ともいう。)からなる。この帯状検知部6は、上記第1の実施形態と同様に、感圧シートセンサで構成される。
なお、ここでは、肘から手首にかけてすなわち前腕部全体に帯状検知部6を巻き付けるようにしているが、必ずしも肘から手首にかけて全体に巻き付ける必要はなく、例えば、肘と、肘から手首の中間部分近傍との間のみに巻き付けるようにしてもよい。また、帯状検知部6を、手の部分に巻き付けるようにしてもよく、より具体的には透析中にベッド5と接する部分に巻き付けるようにしてもよい。また、前腕部や手部分の周囲全体に巻き付ける必要はなく、透析中にベッドと接する領域を含んで設ければよく、要は、透析中の前腕部や手の動きを、帯状検知部6の検知情報に基づく圧力分布の変化から得ることができれば、帯状検知部6をどの位置に設けてもよくまたどの範囲を覆うように設けてもよい。
この帯状検知部6の検出信号は、上記第1の実施形態と同様にデータ処理装置3に入力される。
また、第2の実施形態におけるデータ処理装置3は、上記第1の実施形態における検知情報解析部23に替えて検知情報解析部26を備える。この検知情報解析部26は、針抜けの可能性の有無の判定方法が異なること以外は、検知情報解析部23と同様の機能を有し、またデータ処理装置3は、検知情報解析部26での処理および針抜け判定部24での判定方法が異なること以外は、上記第1の実施形態と同様の機能を有する。
第2の実施形態における検知情報解析部26は、図12に示すように、回転量解析部41と、回転回数解析部42と、初期位置からの回転量解析部43と、回転状況解析部44、非検出解析部45と、を備える。
回転量解析部41は、透析患者の前腕部が、前回周期における状態から予め設定したしきい値以上回転したかを判定する。
すなわち、定周期で読み込んだ検知情報に対し、前回周期における有効圧力領域Epと、今回周期における有効圧力領域Epとから前腕部の回転量を推定する。例えば、帯状検知部6を肘から手首にかけて覆うように装着した場合、図13に示すように、有効圧力領域Epは、前腕部に沿った一方向に延びる形状であり、有効圧力領域Epの中央部近傍を通る長手方向に延びる直線(以後、高圧直線Lpともいう。)に沿って、圧力が高くなる地点が形成される。
また、前腕部を回転させると、前腕部全体が一体となって回転し、また、前腕部は長手方向に垂直な面で切断した場合楕円形の断面となる。そのため、穿刺針4bが上を向いている状態から透析患者に向く方向に回転させた場合の圧力分布は、図13に示すように、有効圧力領域Epが短手方向の幅が狭くなりつつ移動し、且つ有効圧力領域Epの高圧直線Lpは平行移動するパターンとなると予測される。
一方、前腕部を回転させずに水平方向に移動させた場合には、帯状検知部6とベッド5との接触部分はほぼ変わらないから、有効圧力領域Epは、形状は一定のまま移動することになる。
以上から、有効圧力領域Epにおいて、有効圧力領域Epの短手方向の幅が変化しつつ高圧直線Lpが平行移動する場合には、前腕部が回転したと予測することができる。
したがって、定周期で読み込んだ検知情報に対し、例えば、有効圧力領域Epについて短手方向で圧力が最も高い地点を結ぶ長手方向に延びる直線を高圧直線Lpとして求める。また、短手方向の幅を求める。
そして、前回周期における高圧直線Lpと今回周期における高圧直線Lpとが平行移動しており、且つ高圧直線Lpの平行移動に伴い短手方向の幅が変化するとき、前腕部が回転したと判定する。
そして、その平行移動した高圧直線Lpの移動量を、前腕部の回転量相当の値として求め、この回転量相当の移動量が予め設定したしきい値をこえるとき、前腕部が比較的大きく回転したと判定する。つまり、前腕部が比較的大きく回転したため、この回転により針抜けの可能性があると判定する。
なお、この回転量相当の移動量のしきい値は予め実験などにより求めればよい。
なお、短手方向の幅の変化ではなく、有効圧力領域Epの面積の変化を求めてもよい。すなわち、通常、前腕部を回転させたときに帯状検知部6に加わる圧力は略一定とみなすことができる。そのため、前腕部の回転に伴い、帯状検知部6とベッド5との接触面積が変化することから有効圧力領域Epの面積も変化する。したがって、高圧直線Lpが平行移動し且つ高圧直線Lpの平行移動に伴い有効圧力領域Epの面積が変化するとき、前腕部が回転したと判定するようにしてもよい。
回転回数解析部42は、透析患者の前腕部が、所定回数以上、回転方向に移動したかを判定する。
すなわち、回転量解析部41で検出した、前腕部の回転量相当の移動量が、前腕部が回転したとみなすことの可能なしきい値をこえる回数を計測し、この回数が、しきい値をこえるとき、針抜けの可能性があると判定する。
つまり、前腕部が大きく回転しない場合であっても、前腕部を外側および内側に交互に小刻みに回転させる場合、あるいは、少しずつ外側または内側に回転させる場合には、この移動に伴って血液循環回路4aを構成するチューブにより穿刺針4bに力が加わりやすくなり、特にねじれ方向の力が加わるため、回転方向の微小な動きが度重なり生じると、穿刺針4bが抜けやすくなると予測される。また、前腕部を移動させる際には前腕部に力が入ることから、これによっても穿刺針4bに力が加わることが予想される。
したがって、回転方向への移動回数がしきい値をこえるとき、針抜けの可能性があると判定する。
なお、前腕部を外側および内側に交互に小刻みに回転させた場合のみを回数計測の対象として針抜けの可能性を判定するようにしてもよい。この場合には、有効圧力領域Epにおいて高圧直線Lpが帯状検知部6の感圧領域e1において左右交互に移動するため、高圧直線Lpが左右交互に移動するときにその移動回数を計測すればよい。
初期位置からの回転量解析部43では、透析患者の前腕部が、初期位置から予め設定したしきい値以上回転したかを判定する。
すなわち、初期情報保持部21で保持する初期情報に対し、回転量解析部41での処理と同様の手順で、有効圧力領域Epにおける高圧直線Lpを求める。求めた高圧直線Lpと、今回周期における有効圧力領域Epについて高圧直線Lpを求め、帯状検知部6の感圧領域e1における高圧直線Lpのずれ量を、初期位置からの回転量相当値として演算し、この初期位置からの回転量相当値が予め設定したしきい値をこえるとき、針抜けの可能性があると判定する。このしきい値は予め実験などにより求めておけばよい。また、透析患者ごと、あるいはその日によって、リラックスできる体勢での前腕部の傾きは異なり、ある人は内向き加減、ある人は外向き加減というように差があり、この差によって、回転に伴う血液循環回路4aを構成するチューブの弛む量に差が生じすなわち穿刺針4bに加わる力に差が生じる可能性がある。したがって、初期情報の登録操作を行ったときの前腕部の傾きに応じてしきい値を設定するようにしてもよい。
回転状況解析部44は、透析患者の前腕部が、同一方向に向かって継続して回転しているかを判定する。
すなわち、定周期で読み込んだ検知情報に対し、有効圧力領域Epの高圧直線Lpを求める。そして、直近の過去所定周期分の高圧直線Lpについて、高圧直線Lpが全てずれておりかつ同一方向に移動しているかを判定する。これを満足するとき、前腕部は同一方向に向かって継続して回転していると判定する。
そして、前腕部が同一方向に向かって継続して回転しており、且つ、今回周期における高圧直線Lpと所定周期前における高圧直線Lpとのずれ量を前腕部の回転量相当値として演算し、この回転量相当値がしきい値以上であるとき、針抜けが生じる可能性があると判定する。
つまり、前腕部を比較的ゆっくり回転させている場合であっても、同じ方向に回転させている場合には、前腕部の累積の回転量は大きくなり、その結果、針抜けが生じる可能性がある。したがって、同一方向に向かって継続して回転している場合には、累積の回転量はそれほど大きくない場合であっても、針抜けの可能性があると判定する。
非検出解析部45は、透析患者の前腕部に相当する有効圧力領域Epが、帯状検知部6の感圧領域e1内で検出されない状態が継続しているかを判定する。
すなわち、定周期で読み込んだ検知情報において、帯状検知部6の感圧領域e1内に有効圧力領域Epがみられない状態が予め設定した一定時間以上継続したとき、つまり、前腕部がベッド5上にないと予測されるとき、針抜けの可能性があると判定する。
なお、ここでは、回転量解析部41での単位時間あたりの回転量に基づく針抜け判定、回転回数解析部42での回転回数に基づく針抜け判定、初期位置からの回転量解析部43での、初期位置からの回転量に基づく針抜け判定、回転状況解析部44での同一方向に向かって継続して回転しているかに基づく針抜け判定、非検出解析部45での非検出状態に基づく針抜け判定を行う場合について説明したが、これら全ての項目について針抜け判定を行わなくともよく、いずれか1つまたは複数の項目についてのみ行う構成としてもよい。
また、各解析部41〜44では、有効圧力領域Epの高圧直線Lpを演算し、この高圧直線Lpのずれ量を、前腕部の回転量相当値として針抜けの可能性を判定する場合について説明したがこれに限るものではない。
例えば、前回周期における有効圧力領域Epの輪郭と今回周期における有効圧力領域Epの輪郭とのずれ量を前腕部の回転量相当値としてもよく、要は、前腕部の回転量相当値を得ることができればどのような方法であってもよい。
そして、針抜け判定部24は、回転量解析部41、回転回数解析部42、初期位置からの回転量解析部43、回転状況解析部44、非検出解析部45での解析の結果、いずれか1つの解析部において、穿刺針が抜ける可能性があると判定されるとき、警報発生部25に対して警報指示信号を出力する。
次に、第2の実施形態の動作を説明する。
第2の実施形態におけるデータ処理装置3での処理手順は、図9に示す上記第1の実施形態における処理において、ステップS5での解析処理およびステップS6での警報を発生させる必要があるか否かを判定する際の処理手順が異なること以外は上記第1の実施形態と同様であるので同一部の詳細な説明は省略する。
上記第1の実施形態と同様に、介助者あるいは透析患者が操作スイッチ部12において、初期情報の登録操作を行うと、この時点における帯状検知部6の検知情報が初期情報として初期情報保持部21に格納される。針抜け検知処理に対する処理の開始操作が行われると、データ処理装置3では、定周期で検知情報を読み込み、解析処理(ステップS5)を行う。
第2の実施形態における解析処理では、図14に示すように、初期情報が登録されていれば(ステップS21)、初期位置からの回転量に基づく解析処理を行ってから(ステップS22)、ステップS23に移行し、初期状態が登録されていなければ、そのまま回転量に基づく解析処理を行う(ステップS23)。
そして、回転回数に基づく解析(ステップS24)、回転状況に基づく解析(ステップS25)、非検出状態であるかに基づく解析(ステップS26)を行い、これら各解析での解析結果に基づき、警報を発生させる必要があるか否かを判定し、ステップS22からステップS26のいずれかの解析処理において、針抜けの可能性があると判定されるとき警報を発する必要があると判定する(図9ステップS6)。
そして、警報を発する必要があれば、表示および音声により警報を発生させ(ステップS7)、以上の処理を、操作スイッチ部12において停止操作が行われるまで繰り返し行う。
このように、第2の実施形態においては、検知部としての帯状検知部6を透析患者の前腕部に装着する構成としたため、透析患者の前腕部の回転方向の移動に伴う針抜けを容易に検出することができる。
特に、前腕部の回転方向に移動が生じた場合、血液循環回路4aを構成するチューブがねじれることになり、水平方向に移動する場合に比較して、チューブの変形に伴い穿刺針4bに与える影響は大きい。帯状検知部6は透析患者の前腕部に装着する必要があるため、透析患者に対して多少の負担を与えることになるものの、特に、穿刺針4bの針抜けに与える影響の大きい前腕部の回転に伴う針抜けの可能性を検知することができるため有効である。また、帯状検知部6は、穿刺針4b部分に装着する必要はないため、透析患者に与える負担を低減することができる。
また、帯状検知部6を、透析患者の前腕部に装着しているため、透析患者は、ベッド5上のどの位置に前腕部を位置させてもよい。したがって、透析患者は帯状検知部6を装着する必要はあるものの、ベッド5上の好きな位置で透析を行うことができる。また、前腕部をベッド5上に置く必要はなく、任意の物の上においた状態で透析を行うこともできる。
したがって、例えば、透析中に食事を取る場合などには、慣れないうちは、穿刺針4b側の腕を意図せず動かしてしまう可能性があるが、そのような場合には警報が発せられるため、透析患者に速やかに気づかせることができる。
また、この第2の実施形態においても、穿刺針抜け検知装置1の操作は、単に、操作スイッチ部12の操作を行うだけでよいため、介助者あるいは透析患者に負担をかけることはない。
また、初期情報が登録された場合には、この初期情報に基づく前腕部の初期位置からの回転量をもとに、針抜けの可能性を判定している。そのため、透析患者によって、リラックス状態における前腕部の傾き状態が異なる場合であっても、誤判断することを回避し、適切に針抜けの可能性を判定することができる。
さらに、単に回転量を検出するだけでなく、単位時間あたりの回転量が大きい場合、あるいは、一方向に継続して回転している場合には、針抜けの可能性があると判定する構成としたため、針抜けの可能性をより早い段階で検知することができる。
また、帯状検知部6の感圧領域e1内において、一定時間以上前腕部に相当する有効圧力領域Epが得られない場合にも針抜けの可能性があると判定する構成としたため、帯状検知部6がベッド5に接していない場合であっても、針抜けの可能性を的確に判定することができる。
なお、穿刺針4bが透析機4に向く側に前腕部を回転させる場合と、穿刺針4bが透析機4とは逆を向く側に前腕部を回転させる場合とでは、前腕部が回転することに伴い穿刺針4bの針抜けに与える影響が異なる。
したがって、前腕部が回転する方向によって、針抜けが生じると判定するためのしきい値を変更するようにしてもよい。すなわち、穿刺針4bが透析機4に向く側に前腕部を回転させる場合には、血液循環回路4aを構成するチューブが弛む傾向となり、穿刺針4bが透析機4とは逆に向く側に前腕部を回転させる場合には、チューブが伸びる傾向となるため、透析機4とは逆に向く側に前腕部を回転させる場合の方が、針抜けの可能性があると判定するためのしきい値を、針抜けの可能性があると判定されやすくなるように設定すればよい。
なお、チューブをベッド5などに固定している場合などには、前腕部とチューブの固定位置との位置関係に基づき設定すればよく、すなわち、針抜けの可能性があると判定するためのしきい値を、前腕部を、チューブが引っ張られる方向に回転させた場合の方が、チューブが弛む方向に回転させた場合よりも、針抜けの可能性があると判定されやすくすればよい。
また、上記第2の実施形態において、手の、ベッド5と接する部分を覆うように、帯状検知部6を設けた場合、例えば指を動かした場合にも、圧力分布において圧力変化が生じる。また、このように指を動かした場合、繰り返し動かすと指を動かすことにより前腕部に力が加わり、穿刺針4bが抜けやすくなる可能性がある。したがって、この指の動きを圧力分布から検出し、所定回数以上指が動かされた場合に、針抜けの可能性があると判定するようにしてもよい。
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
この第3の実施形態は、図15に示すように、検知部として第1の実施形態で用いたシート状検知部2と、第2の実施形態で用いた帯状検知部6とを備えたものである。
図16は、第3の実施形態におけるデータ処理装置3の構成を示したものである。第3の実施形態におけるデータ処理装置3は、上記第1および第2の実施形態におけるデータ処理装置3において、解析部13の構成が異なっており、具体的には、図16に示すように、初期情報保持部21、検知情報記録用メモリ22、針抜け判定部24、警報発生部25を備えるとともに、さらに、シート状検知部2の検知情報を解析するための上記第1の実施形態に記載の検知情報解析部23と、帯状検知部6の検知情報を解析するための上記第2の実施形態に記載の検知情報解析部26を備える。
この第3の実施形態における針抜け判定部24は、検知情報解析部23および検知情報解析部26での解析結果に基づき、警報を発生するか否かを判定する。
この針抜け判定部24は、検知情報解析部23および検知情報解析部26での解析結果を入力し、これらに基づき、警報を発生させる必要があるか否かを判定し、発生させる必要があると判定されるとき、警報発生部25に対して警報の発生を指示する。
針抜け判定部24では、例えば、検知情報解析部23においていずれか1つの解析部で針抜けの可能性があると判定されるとき、あるいは検知情報解析部26においていずれか1つの解析部で針抜けの可能性があると判定されるときに、警報を発生させる必要があると判定する。
あるいは、検知情報解析部23での各項目についての解析情報と、検知情報解析部26での各項目についての解析情報とに基づき、警報を発生させるか否かを判定するようにしてもよい。
すなわち、例えば穿刺針4b部分が上を向いている状態で前腕部が透析機4から離れる方向に多少移動しても針抜けにそれほど影響を与えることはないが、穿刺針4bが透析機4とは逆側に向くように前腕部を回転させながら透析機4から離れる方向に移動させた場合には、前腕部の移動量や回転量が少ない場合であっても、血液循環回路4aを構成するチューブが引っ張られ、針抜けにつながる可能性が高くなる。
逆に、穿刺針4b部分が上を向いている状態で前腕部を透析機4側に比較的大きく動かした場合、弛んだチューブの量によっては針抜けに与える影響が大きくなるが、前腕部を穿刺針4b部分が透析機4とは逆を向く方向に回転させながら透析機4側に移動させた場合には、前腕部の移動量が大きい場合であっても、前腕部を回転させただけ弛むチューブの量が少なくてすむため、針抜けに与える影響は小さくなる。
また、穿刺針4b部分が透析機4と逆側を向いている状態で前腕部を透析機4側に多少移動してもチューブが弛むことにより針抜けに与える影響はそれほど大きくはないが、穿刺針4bが上を向くように前腕部を回転させながら透析機4側に移動させた場合には、前腕部の移動量や回転量が少ない場合であっても、弛んでいるチューブの量によっては、針抜けにつながる可能性が高くなる。
逆に、穿刺針4b部分が透析機4と逆側を向いている状態で前腕部を透析機4から離れる方向に比較的大きく動かした場合、チューブに引っ張られることによって、針抜けが生じる可能性が高いが、穿刺針4b部分が上を向くように前腕部を回転させながら透析機4から離れる方向に移動させた場合には、移動量が大きい場合であっても、前腕部が回転する分、チューブが弛むため、針抜けに与える影響は少なくなる。
したがって、検知情報解析部23での各項目についての判定結果と、検知情報解析部26での各項目についての判定結果だけでなく、さらに、検知情報解析部23および26での解析情報を組み合わせた判定結果をもとに、警報の要否を判定するようにしてもよい。
このように、シート状検知部2および帯状検知部6を設け、これら双方の検知情報をも考慮して針抜けの可能性を判定することによって、針抜けの可能性をより的確に判定することができる。
なお、上記各実施形態においては、操作スイッチ部12において、針抜け検知処理の開始操作を行ったときに、データ処理装置3では針抜け検知処理を開始する構成とした場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、透析機4において、透析を開始するスイッチの操作情報をデータ処理装置3で取得する構成とし、透析の開始が指示されたときに、針抜け検知処理を開始する構成としてもよい。同様に、透析機4において、透析終了を通知するアラームの作動信号をデータ処理装置3で取得する構成とし、透析終了を通知するアラームが作動するタイミングで、針抜け検知処理を終了する構成としてもよい。
また、操作スイッチ部12において、停止操作が行われた場合には、針抜け検知処理を停止するが、透析機4が動作中である場合には、その後、操作スイッチ部12において針抜け検知処理の開始操作が行われなくても、停止操作が行われた後、一定時間経過後に自動的に針抜け検知処理を再開する構成としてもよい。
このような構成とすることによって、例えば透析患者が、体勢を変える場合などに穿刺針4bが穿刺された側の前腕部が移動することによりアラーム音が発生することを嫌って、針抜け検知処理を停止させたとしても、一定時間経過後には自動的に針抜け検知処理が再開される。また、針抜け検知処理を停止したまま、針抜け検知処理の開始操作を忘れてしまった場合などにも一定時間経過後には自動的に針抜け検知処理が再開される。
ここで、透析中は、特に針抜けには十分注意する必要がある。したがって、停止操作が行われたとしても自動的に針抜け検知処理を再開させることは有効であり、透析患者の要望に応じてアラーム音の発生を停止させつつ、且つ、確実に針抜け検知処理を再開させることができ効果的である。
また、操作スイッチ部12において初期情報の登録操作が行われた場合には、初期情報の登録を行った後、透析機4において透析の開始スイッチが操作されなくても、針抜け検知処理を開始するようにしてもよい。このような構成とすることによって、針抜け検知処理の開始操作を介助者あるいは透析患者が行う必要がないため、より使い勝手を向上させることができる。
また、初期情報の登録操作は、透析開始時に行う場合に限るものではない。透析中に初期情報の登録操作を行うことも可能である。この場合には、登録操作が行われた時点で、初期情報保持部21で保持する検知情報(つまり初期情報)を更新し、以後はこの新たに記憶された初期情報に基づき、針抜けの可能性を判定すればよい。このような構成とすることによって、長時間の透析中にリラックスできる体勢が変化した場合であっても、的確に針抜けの可能性を判定することができる。
また、操作スイッチ部12は、シート状検知部2または帯状検知部6側に設けてもよい。
また、上記実施形態においては、警報発生部25をデータ処理装置3に設けた場合について説明したが、これに限るものではなく、透析機4に組み込み、透析機4が備えているアラームを兼用するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態においては、データ処理装置3をシート状検知部2あるいは帯状検知部6の近傍に配置し、介助者あるいは透析患者が操作スイッチ部12を操作することにより、針抜け検知処理を実行する構成とした場合について説明したがこれに限るものではない。
例えば、データ処理装置3を構成する解析部13および警報発生部25を備えた監視装置を、別室、あるいは、別の建物などに設け、シート状検知部2あるいは帯状検知部6の検知情報を例えば病院内のネットワークを介して監視装置に送信し、この監視装置に設けた解析部13によって、針抜け検知処理を行う構成としてもよい。また、この場合、複数の透析患者の検知情報を監視装置に送信可能に構成し、この監視装置において、複数の透析患者に対して針抜け検知処理を行うようにしてもよい。
この場合には、例えば、操作スイッチ部12と、シート状検知部2あるいは帯状検知部6の検知情報や、操作スイッチ部12による操作情報を、別室あるいは別の建物などに配置された解析部13に送信し、また、データ処理装置3から警報情報を受信するための送受信部(入力処理部)と、少なくとも警報音を発生する警報発生部25とを有する制御装置を、シート状検知部2あるいは帯状検知部6のそばに設け、この制御装置の送受信部と、別室などに配置された監視装置との間で各種情報の授受を行う構成とすればよい。
このような構成とすることによって、例えば、自宅で透析を行う場合などには、自宅に操作スイッチ部12や警報発生部25を有する制御装置を設け、病院に解析部13および警報発生部25などを有する監視装置を設けることによって、病院側では、病院にいながら、自宅で透析を行っている人の針抜けを検知することができる。つまり、自宅にいる透析患者の透析中の状況を監視することができ、きめ細やかな対応を行うことができる。
また、上記実施形態においては、前腕部の移動や回転に基づき針抜けの可能性を判定する場合について説明したが、例えば、穿刺針4bが、例えば大腿部など、前腕部ではない場所に穿刺される場合には、穿刺針4bが穿刺された部分にシート状検知部2や帯状検知部6を設け、穿刺針4bが穿刺された部位の移動や回転状況を検知し、これに基づき針抜けの可能性を判定すればよい。
また、上記実施の形態においては、図1に示す透析患者の穿刺針4bの針抜けを検知する場合について説明したが、これに限るものではない。たとえば、透析に限らず、成分献血する場合の血液処理装置など、体外で血液を循環させる装置に適用することができる。
ここで、上記各実施形態において、血液循環回路4aを構成するチューブが流路に対応し、前腕部および手が被検知部位に対応し、ベッド5が載置部材に対応し、シート状検知部2、帯状検知部6が圧力分布検知部に対応し、検知情報解析部23、26と、針抜け判定部24、27とが判定部に対応している。
また、初期情報保持部が圧力分布保持部に対応し、初期位置からの移動量解析部33、初期位置からの回転量解析部43が第1解析部に対応し、移動状況解析部34、44、非検出解析部35、45が第2解析部に対応し、位置解析部31が第3解析部に対応している。
本発明によれば、例えば、患者の負担を軽減しつつ且つ低コストで容易に針抜けを検知することの可能な穿刺針抜け検出装置を提供することができる。
1 穿刺針抜け検知装置
2 シート状検知部
3 データ処理装置
4 透析機
4a 血液循環回路
4b 穿刺針
5 ベッド
6 帯状検知部
11 圧力信号処理部
12 操作スイッチ部
13 解析部
21 初期情報保持部
22 検知情報記録用メモリ
23 検知情報解析部(シート状検知部用)
24 針抜け判定部
25 警報発生部
25a 表示部
25b アラーム発生部
26 検知情報解析部(帯状検知部用)

Claims (10)

  1. 流路の一端と接続された穿刺針が穿刺される人体の部位および当該部位と連動する人体の部位の少なくとも一方である被検知部位と当該被検知部位が載置される載置部材との間に設けられ、前記被検知部位に加わる圧力分布を検知する圧力分布検知部と、
    前記圧力分布検知部により検知された圧力分布に基づき前記穿刺針の状態を推測し、推測した状態に基づき前記穿刺針の針抜けの可能性の有無を判定する判定部と、
    を備えることを特徴とする穿刺針抜け検知装置。
  2. 前記穿刺針は、患者の血液を体外循環させる血液循環回路に適用される穿刺針であることを特徴とする請求項1記載の穿刺針抜け検知装置。
  3. 指定された時点で前記圧力分布検知部により検知された圧力分布を保持する圧力分布保持部を備え、
    前記判定部は、前記圧力分布保持部で保持する前記指定された時点での圧力分布と現時点における圧力分布とに基づき、前記指定された時点からの前記被検知部位の変位量を推測し、推測した変位量に基づき前記針抜けの可能性を推測する第1解析部を備え、
    当該第1解析部の解析結果に基づき前記判定を行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の穿刺針抜け検知装置。
  4. 前記判定部は、
    前記圧力分布の時系列変化を検出し、
    検出した前記圧力分布の時系列変化に基づき前記被検知部位の時系列の変位状況を推測し、推測した時系列の変位状況に基づき前記針抜けの可能性を推測する第2解析部を備え、
    当該第2解析部の解析結果に基づき前記判定を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の穿刺針抜け検知装置。
  5. 前記判定部は、
    前記圧力分布に基づき前記被検知部位の現在位置を推測し、
    推測した前記被検知部位の現在位置と予め設定した前記被検知部位の正常領域との位置関係に基づいて前記針抜けの可能性を推測する第3解析部を備え、
    当該第3解析部の解析結果に基づき前記判定を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の穿刺針抜け検知装置。
  6. 前記圧力分布検知部は、前記被検知部位の、前記載置部材と接触する領域を覆うように前記被検知部位に装着される帯状検知部を備え、
    前記判定部は、前記帯状検知部で検知される圧力分布に基づき前記被検知部位の回転方向の変位を検出し、当該回転方向の変位に基づき前記判定を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の穿刺針抜け検知装置。
  7. 前記圧力分布検知部は、前記載置部材の、前記被検知部位と接触する領域に敷設されるシート状検知部を備え、
    前記判定部は、前記シート状検知部で検知される圧力分布に基づき前記被検知部位の水平方向の変位を推測し、当該水平方向の変位に基づき前記判定を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の穿刺針抜け検知装置。
  8. 前記圧力分布検知部は、前記載置部材の、前記被検知部位と接触する領域に敷設されるシート状検知部および、前記被検知部位の、前記載置部材と接触する領域を覆うように前記被検知部位に装着される帯状検知部を備え、
    前記判定部は、前記シート状検知部により検知された圧力分布に基づき前記被検知部位の水平方向の変位を推測し、前記帯状検知部により検知された圧力分布に基づき前記被検知部位の回転方向の変位を推測し、前記水平方向の変位と前記回転方向の変位とで特定される前記被検知部位の変位状況も考慮して前記判定を行うことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の穿刺針抜け検知装置。
  9. 前記判定部で前記針抜けの可能性があると判定されるとき、警報を発する警報発生部を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の穿刺針抜け検知装置。
  10. 流路の一端と接続された穿刺針が穿刺される人体の部位および当該部位と連動する人体の部位の少なくとも一方である被検知部位と当該被検知部位が載置される載置部材との間に設けられ、前記被検知部位に加わる圧力分布を検知する圧力分布検知部の検知情報を入力する入力処理部と、
    当該入力処理部で入力した前記圧力分布からなる検知情報に基づき前記穿刺針の状態を推測し、推測した状態に基づき前記穿刺針の針抜けの可能性の有無を判定する判定部と、
    を備えることを特徴とするデータ処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110191728A (zh) * 2017-01-12 2019-08-30 甘布罗伦迪亚股份公司 体外血液处理装置和用于检查软袋在体外血液处理装置中的连接的方法
JP2020010951A (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 ニプロ株式会社 抜針予防装置

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