JP2013199393A - シリコンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生成したシリコンを容易に回収することができ、高い生産効率でシリコンを製造することができるシリコンの製造方法、シリコンおよびシリコン太陽電池を提供すること。
【解決手段】粒子径5nm〜1000μmの二酸化ケイ素粉末と粒子径5nm〜500μmの活性金属粉末との混合物を、二酸化ケイ素と活性金属との反応開始温度以上の温度に加熱することによってシリコンを生成させ、シリコンが生成する際に生じた反応熱によって当該シリコンを溶融させ、溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを分離させるシリコンの製造方法、当該製造方法によって得られたシリコンならびに当該製造方法によって得られたシリコンが用いられたシリコン太陽電池。
【選択図】なし
【解決手段】粒子径5nm〜1000μmの二酸化ケイ素粉末と粒子径5nm〜500μmの活性金属粉末との混合物を、二酸化ケイ素と活性金属との反応開始温度以上の温度に加熱することによってシリコンを生成させ、シリコンが生成する際に生じた反応熱によって当該シリコンを溶融させ、溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを分離させるシリコンの製造方法、当該製造方法によって得られたシリコンならびに当該製造方法によって得られたシリコンが用いられたシリコン太陽電池。
【選択図】なし
Description
本発明は、シリコンの製造方法に関する。さらに詳しくは、例えば、太陽電池の光起電力の電力素子などに有用なシリコンの製造方法、当該製造方法で得られたシリコンおよび当該シリコンが用いられたシリコン太陽電池に関する。
本発明のシリコンの製造方法は、シリコンを生成させる際に、外部からエネルギーを供給し続けなくても反応を進行させることができることから、シリコンを低コストで効率よく製造することができるので、経済的に価値の高い製造方法である。
太陽電池に用いられるシリコンは、不純物としての金属の含有量が0.1質量ppm(以下、ppmという)以下であり、ホウ素の含有量が0.3ppm以下であることが求められている。従来、このような高純度のシリコンは、シーメンス法によって製造されている。しかしながら、シーメンス法には、生産性が低いという欠点がある。
一方、シーメンス法に代わるシリコンの製造方法として、還元剤として金属マグネシウム粒子または金属マグネシウム蒸気を用いてケイ素化合物を還元する方法が提案されている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。しかしながら、前記方法には、生成物であるシリコンが不純物である金属マグネシウムの酸化物との混合粉末として得られるため、純度が高いシリコンを回収することができないという欠点がある。
したがって、近年、高い生産効率でシリコンを製造することができるシリコンの製造方法の開発が望まれている。
ウィニッキ(J.R.WYNNYCKYJ)ら、「マグネシウム蒸気によるシリカの還元機構(The mechanism of reduction of silica by magnesium vapor.)」、ハイ・テンパラチャー・サイエンス(High Temperature Science)、1976年発行、第8巻、pp.203−217
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、高い生産効率でシリコンを製造することができるシリコンの製造方法、当該シリコンの製造方法によって得られたシリコンおよび当該シリコンが用いられたシリコン太陽電池を提供することを課題とする。
本発明は、
(1)粒子径5nm〜1000μmの二酸化ケイ素粉末と粒子径5nm〜500μmの活性金属粉末との混合物を、二酸化ケイ素と活性金属との反応開始温度以上の温度に加熱することによってシリコンを生成させ、シリコンが生成する際に生じた反応熱によって当該シリコンを溶融させ、溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを分離させることを特徴とするシリコンの製造方法、
(2)二酸化ケイ素粉末と活性金属水素化物粉末とを混合し、活性金属水素化物粉末を熱分解させることにより、二酸化ケイ素粉末および活性金属粉末の混合物を製造する前記(1)に記載のシリコンの製造方法、
(3)活性金属がリチウム、マグネシウム、カルシウムおよびアルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属である前記(1)または(2)に記載のシリコンの製造方法、
(4)溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを液体状態で分離させる前記(1)〜(3)のいずれかに記載のシリコンの製造方法、
(5)溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを冷却することにより、凝固させて分離させる前記(1)〜(3)のいずれかに記載のシリコンの製造方法、
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のシリコンの製造方法によって得られたシリコン、ならびに
(7)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のシリコンの製造方法によって得られたシリコンが用いられてなるシリコン太陽電池
に関する。
(1)粒子径5nm〜1000μmの二酸化ケイ素粉末と粒子径5nm〜500μmの活性金属粉末との混合物を、二酸化ケイ素と活性金属との反応開始温度以上の温度に加熱することによってシリコンを生成させ、シリコンが生成する際に生じた反応熱によって当該シリコンを溶融させ、溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを分離させることを特徴とするシリコンの製造方法、
(2)二酸化ケイ素粉末と活性金属水素化物粉末とを混合し、活性金属水素化物粉末を熱分解させることにより、二酸化ケイ素粉末および活性金属粉末の混合物を製造する前記(1)に記載のシリコンの製造方法、
(3)活性金属がリチウム、マグネシウム、カルシウムおよびアルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属である前記(1)または(2)に記載のシリコンの製造方法、
(4)溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを液体状態で分離させる前記(1)〜(3)のいずれかに記載のシリコンの製造方法、
(5)溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを冷却することにより、凝固させて分離させる前記(1)〜(3)のいずれかに記載のシリコンの製造方法、
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のシリコンの製造方法によって得られたシリコン、ならびに
(7)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のシリコンの製造方法によって得られたシリコンが用いられてなるシリコン太陽電池
に関する。
本発明によれば、高い生産効率でシリコンを製造することができるシリコンの製造方法、当該シリコンの製造方法によって得られたシリコンおよび当該シリコンが用いられたシリコン太陽電池が提供される。
本発明のシリコンの製造方法は、前記したように、粒子径5nm〜1000μmの二酸化ケイ素粉末と粒子径5nm〜500μmの活性金属粉末との混合物を、二酸化ケイ素と活性金属との反応開始温度以上の温度に加熱することによってシリコンを生成させ、シリコンが生成する際に生じた反応熱によって当該シリコンを溶融させ、溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを分離させることを特徴とする。
本発明のシリコンの製造方法は、二酸化ケイ素粉末と活性金属粉末との混合物を、二酸化ケイ素と活性金属との反応開始温度以上の温度に加熱する点に1つの大きな特徴を有する。本発明のシリコンの製造方法では、当該操作が採られているので、生成したシリコンと活性金属の酸化物とを液体状態で二相に分離させることができることから、シリコンを活性金属の酸化物と分離して容易に回収することができる。また、本発明のシリコンの製造方法によれば、一旦、前記混合物を反応開始温度以上の温度に加熱した後には、両者の反応は発熱反応であるので、外部から前記混合物を加熱し続けなくても前記混合物を反応開始温度以上の温度に保つことができることから、二酸化ケイ素と活性金属とを継続して反応させてシリコンを生成させることができる。
まず、粒子径5nm〜1000μmの二酸化ケイ素粉末と粒子径5nm〜500μmの活性金属粉末との混合物を、二酸化ケイ素と活性金属との反応開始温度以上の温度に加熱することにより、シリコンを生成させる。
原料として用いられる二酸化ケイ素は、結晶性二酸化ケイ素であってもよく、非結晶性二酸化ケイ素であってもよい。二酸化ケイ素粉末の粒子径は、粉末が凝集することを回避する観点から、5nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上であり、二酸化ケイ素と活性金属との反応効率を高めるとともにシリコンと活性金属の酸化物とを容易に分離させることができるようにする観点から、1000μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは10μm以下である。二酸化ケイ素粉末の比表面積は、二酸化ケイ素と活性金属との反応効率を高める観点から、好ましくは0.01m2/g以上、より好ましくは0.03m2/g以上、さらに好ましくは0.1m2/g以上であり、二酸化ケイ素の嵩密度を大きくして反応密度を高める観点から、好ましくは200m2/g以下、より好ましくは20m2/g以下、さらに好ましくは5m2/g以下である。なお、本明細書において、二酸化ケイ素粉末の粒子径は、レーザー回折式粒度分布計〔日機装(株)製、商品名:マイクロトラックMT3300II〕および微量試料用乾式装置〔日機装(株)製、商品名:ワンショットドライ、分散圧:0.20MPa〕によって測定したときの値である。また、本明細書において、比表面積は、測定装置〔(株)島津製作所製、商品名:トライスター3000〕および窒素ガスを用い、BET多点法にしたがって測定したときの値である。
本明細書において、「活性金属」とは、二酸化ケイ素を還元させる性質を有する金属をいう。活性金属としては、例えば、リチウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、これらの合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの活性金属は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの活性金属のなかでは、二酸化ケイ素の還元効率が高いことから、リチウム、マグネシウム、カルシウムおよびアルミニウムが好ましく、カルシウムおよびマグネシウムがより好ましく、カルシウムがさらに好ましい。
活性金属粉末の粒子径は、粉塵爆発を防止して取り扱い時の安全性を確保する観点から、5nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上であり、二酸化ケイ素と活性金属との反応効率を高めるとともにシリコンと不純物とを良好に分離させる観点から、500μm以下、好ましくは250μm以下、より好ましくは100μm以下である。活性金属粉末の比表面積は、二酸化ケイ素と活性金属との反応効率を高める観点から、好ましくは0.01m2/g以上、より好ましくは0.03m2/g以上であり、粉塵爆発を防止して取り扱い時の安全性を確保する観点から、好ましくは10m2/g以下、より好ましくは5m2/g以下である。なお、活性金属粉末の粒子径は、JIS Z 8801の標準ふるいを用い、5分間振動させて分級させた後の篩目のサイズによる質量分率から測定したときの値である。なお、活性金属粉末と二酸化ケイ素粉末との混合物の嵩密度を向上させ、二酸化ケイ素と活性金属との反応効率を高める観点から、活性金属粉末および二酸化ケイ素粉末の一方の粒子径(以下、「粒子径A」という)が他方の粒子径(以下、「粒子径B」という)よりも小さいことが望ましい。この場合、粒子径B/粒子径Aの値は、二酸化ケイ素と活性金属との反応効率を高める観点から、好ましくは1.2〜50、より好ましくは1.4〜20である。
前記混合物における二酸化ケイ素粉末と活性金属粉末とのモル比〔二酸化ケイ素/活性金属〕は、活性金属の種類、反応雰囲気の圧力などによって異なるため、一概には決定することができないことから、活性金属の種類、反応雰囲気の圧力などに応じて適宜設定することが好ましい。前記モル比〔二酸化ケイ素/活性金属〕の値は、二酸化ケイ素と活性金属との反応を十分に行なう観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上であり、生成したシリコンを反応熱によって十分に溶融させる観点から、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.8である。
混合物の加熱は、二酸化ケイ素と活性金属と反応しない雰囲気下に、例えば、電気炉などの反応炉を用いて行なうことができる。前記混合物を加熱する際の雰囲気としては、例えば、水素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのなかでは、取り扱いが容易であることから、アルゴンガスが好ましい。
混合物の加熱温度は、二酸化ケイ素と活性金属との反応開始温度以上の温度である。混合物の加熱温度の上限値は、混合物の加熱に要するエネルギー量を低減させる観点から、1400℃以下であることが好ましい。かかる混合物の加熱温度は、活性金属の種類、反応雰囲気の圧力などによって反応開始温度が異なるため、一概には決定することができないことから、活性金属の種類、反応雰囲気の圧力などに応じて適宜決定することが望ましい。混合物の加熱温度は、例えば、活性金属としてカルシウムを用いる場合には、通常、十分な反応開始速度を確保する観点から、好ましくは900℃以上、より好ましくは950℃以上、さらに好ましくは1000℃以上であり、混合物の加熱に要するエネルギー量を低減させる観点から、好ましくは1400℃以下、より好ましくは1300℃以下、さらに好ましくは1200℃以下である。
混合物の加熱の際の昇温速度は、混合物の加熱に要するエネルギー量を低減させる観点から、好ましくは0.25℃/min以上、より好ましくは0.5℃/min以上、さらに好ましくは1℃/min以上であり、熱衝撃による反応炉などの損傷を防止する観点から、好ましくは500℃/min以下、より好ましくは400℃/min以下、さらに好ましくは300℃/min以下である。
粉塵爆発を防止して取り扱い時の安全性を確保するとともに、二酸化ケイ素と活性金属との反応効率を高め、かつシリコンと不純物とを容易に分離させることができるようにする観点から、二酸化ケイ素粉末と活性金属水素化物粉末とを混合し、活性金属水素化物粉末を熱分解させることにより、二酸化ケイ素粉末および活性金属粉末の混合物を製造することが好ましい。活性金属水素化物粉末の粒子径は、粉塵爆発を防止して取り扱い時の安全性を確保する観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは100nm以上であり、二酸化ケイ素と活性金属との反応効率を高める観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。活性金属水素化物粉末の比表面積は、二酸化ケイ素と活性金属との反応効率を高める観点から、好ましくは0.01m2/g以上、より好ましくは0.03m2/g以上であり、粉塵爆発を防止して取り扱い時の安全性を確保する観点から、10m2/g以下、より好ましくは5m2/g以下である。なお、活性金属水素化物の粒子径は、レーザー回折式粒度分布計〔日機装(株)製、商品名:マイクロトラックMT3300II〕および微量試料用乾式装置〔日機装(株)製、商品名:ワンショットドライ、分散圧:0.20MPa〕を用い、レーザー回折散乱式粒度分布測定によって求められた累積50%粒子径である。
活性金属水素化物粉末を熱分解させる際の加熱温度は、活性金属水素化物粉末を熱分解させることができるが、二酸化ケイ素と活性金属とが反応しない温度である。かかる加熱温度は、活性金属の種類、反応雰囲気の圧力などによって異なるため、一概には決定することができないことから、活性金属の種類、反応雰囲気の圧力などに応じて適宜決定することが望ましい。かかる加熱温度は、例えば、活性金属水素化物として水素化カルシウムを用いる場合には、通常、活性金属水素化物粉末を効率よく分解させる観点から、好ましく250℃以上、より好ましくは300℃以上、さらに好ましくは400℃以上であり、生成する活性金属粉末の粗大化を抑制する観点から、好ましくは900℃以下、より好ましくは800℃以下、さらに好ましくは750℃以下である。
活性金属水素化物粉末を熱分解させる際には、二酸化ケイ素と活性金属水素化物と反応しない雰囲気中で行なう。前記雰囲気は、前述した混合物の加熱の際に用いられるガスと同様である。
つぎに、シリコンが生成する際に生じた反応熱によって当該シリコンを溶融させる。二酸化ケイ素粉末および活性金属粉末の混合物を一度、反応開始温度以上の温度に加熱すると、その後は二酸化ケイ素と活性金属との反応熱が生じる。このとき、反応熱によって到達する温度は、通常、生成したシリコンの融点および活性金属の酸化物の融点よりも高くなる。したがって、シリコンが溶融するとともに、液体状態のシリコンと液体状態の活性金属の酸化物とが二相に分離するため、生成したシリコンを容易に取り出すことができる。また、シリコンの溶融時には、原料として用いられる二酸化ケイ素および活性金属それぞれに混入している不純物が液体状態の活性金属の酸化物の層に移行するので、高純度のシリコンを得ることができる。
前記不純物としては、例えば、ホウ素、リン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタン、リチウム、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
つぎに、溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを分離させる。シリコンと活性金属の酸化物との分離は、溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを液体状態で分離させてもよく、溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを冷却することにより、凝固させて分離させてもよい。
溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを液体状態で分離させる場合には、溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを冷却せずに、液体状態の活性金属の酸化物から液体状態のシリコンを分離することにより、シリコンを容易に取り出すことができる。この場合、反応炉内の温度を反応開始温度以上の温度に保ったままでシリコンを単離することができるとともに、二酸化ケイ素粉末および活性金属粉末を反応炉内に投入し、前記と同様の操作を行なうことによって連続的にシリコンを製造することができる。
溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを冷却することにより、凝固させて分離させる場合には、例えば、反応炉内で液体状態のシリコンおよび液体状態の不純物を自然冷却させること、シリコンおよび不純物を反応容器などの容器中で外部から水冷することなどによってシリコンおよび不純物を凝固させた後、シリコンを容易に取り出すことができる。
前記のようにして製造されたシリコン中の金属不純物の含有率は、通常、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下、さらに一層好ましくは0.5ppm以下、特に好ましくは0.1ppm以下であることから、本発明のシリコンの製造方法によって得られたシリコンは、太陽電池用シリコンなどの高純度が要求される用途に好適である。
以上説明したように、本発明のシリコンの製造方法によれば、シリコンを容易に回収することができ、しかも一旦、前記混合物を反応開始温度以上の温度に加熱した後には、外部から前記混合物を反応温度に加熱し続けなくても、高い生産効率で、かつ低コストでシリコンを製造することができる。本発明のシリコンの製造方法によって得られるシリコンは、高純度を有することから、太陽電池の光起電力の電力素子などに有用である。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において用いられた二酸化ケイ素粉末の粒子径は、レーザー回折式粒度分布計〔日機装(株)製、商品名:マイクロトラックMT3300II〕および微量試料用乾式装置〔日機装(株)製、商品名:ワンショットドライ、分散圧:0.20MPa〕によって測定したときの値である。また、以下において用いられたカルシウム粉末、マグネシウム粉末などの活性金属粉末の粒子径は、JIS Z 8801の標準ふるいを用い、5分間振動させて分級させた後の篩目のサイズによる質量分率から測定したときの値である。さらに、以下において用いられた水素化カルシウム粉末、水素化マグネシウム粉末などの活性金属水素化物粉末の粒子径は、レーザー回折式粒度分布計〔日機装(株)製、商品名:マイクロトラックMT3300II〕および微量試料用乾式装置〔日機装(株)製、商品名:ワンショットドライ、分散圧:0.20MPa〕を用い、レーザー回折散乱式粒度分布測定によって求められた累積50%粒子径である。
実施例1
グローブボックス〔(株)美和製作所製、品番:MDB−2BL−T1000〕中において、アルゴンガス雰囲気下に二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕1.20gと、還元剤としてのカルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.012m2/g、粒子径340μm〕0.80gとを、メノウ乳鉢に入れた。つぎに、二酸化ケイ素粉末を構成する粒子を粉砕しないように、メノウ乳鉢内の二酸化ケイ素粉末およびカルシウム粉末を乳棒で3分間混合した。
グローブボックス〔(株)美和製作所製、品番:MDB−2BL−T1000〕中において、アルゴンガス雰囲気下に二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕1.20gと、還元剤としてのカルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.012m2/g、粒子径340μm〕0.80gとを、メノウ乳鉢に入れた。つぎに、二酸化ケイ素粉末を構成する粒子を粉砕しないように、メノウ乳鉢内の二酸化ケイ素粉末およびカルシウム粉末を乳棒で3分間混合した。
得られた混合物を、ステンレス鋼(SUS304)製るつぼ(外径:28mm、高さ:40mm)に入れ、横向きに寝かせたステンレス鋼(SUS304)製気密反応容器(外径:60mm、長さ:700mm)内に当該るつぼを静置した。反応容器内の雰囲気を、90mL/minでアルゴンガスを流すことにより、アルゴンガス雰囲気に保った。反応容器を横型チューブ炉〔光洋サーモシステム(株)製、品番:KTF1200〕に入れた後、5℃/minの昇温速度で反応容器を加熱した。反応容器内の温度が1100℃に到達した後、加熱を止め、反応容器内の混合物を30分間保温することにより、二酸化ケイ素の還元反応を行なった。反応終了後、反応容器を電気炉に入れたたまま、5℃/minの降温速度で炉冷を行ない、固体試料を得た。
その後、得られた還元反応後の固体試料を観察した。実施例1において、還元反応によって得られた固体試料を観察した結果を図1に示す。図中、スケールバーは10mmである。図1に示された結果から、視認することができる大きさのシリコン粒子が得られていることがわかる。また、かかる結果から、反応開始温度以上の温度に加熱した後には、外部から二酸化ケイ素粉末およびカルシウム粉末の混合物を加熱し続けなくても前記混合物を反応開始温度以上の温度に保つことができ、二酸化ケイ素の還元反応が進行することがわかる。
つぎに、還元反応によって得られた前記固体試料を、1M塩酸水溶液中に24時間浸漬させた後、2Mフッ化水素酸水溶液中に48時間浸漬させて試料を得た。得られた試料中のシリコン粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表1に示す。
また、還元反応によって得られた固体試料、1M塩酸水溶液中に24時間浸漬させて得られた試料および2Mフッ化水素酸水溶液中に48時間浸漬させて得られた試料それぞれのX線回折を調べた。X線回折は、X線回折装置〔(株)リガク製、商品名:Ultima IV〕を用い、CuKα線にて波長(λ)1.5418Å、電圧40kV、電流40mAにて測定した。得られたX線回折図を図2に示す。図中、(A)は還元反応によって得られた固体試料、(B)は1M塩酸水溶液中に24時間浸漬させることによって得られた試料、(C)は2Mフッ化水素酸水溶液中に48時間浸漬させることによって得られた試料を示す。また、図中、黒丸はシリコンに起因するピーク、クロスは酸化カルシウムに起因するピーク、矩形はケイ化カルシウムに起因するピーク、黒三角は二酸化ケイ素に起因するピークを示す。
図2に示された結果から、還元反応によって得られた前記固体試料を、1M塩酸水溶液中に24時間浸漬させた後、2Mフッ化水素酸水溶液中に48時間浸漬させることにより、前記固体試料から酸化カルシウム、ケイ化カルシウム、未反応の二酸化ケイ素などの不純物を除去することができ、高純度のシリコンが得られることがわかる。
比較例1
実施例1において、二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕および還元剤としてのカルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.012m2/g、粒子径340μm〕を用いる代わりに、二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕および還元剤としてのカルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.003m2/g、粒子径1300μm〕を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、試料を得た。得られた試料中のシリコン粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表1に示す。
実施例1において、二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕および還元剤としてのカルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.012m2/g、粒子径340μm〕を用いる代わりに、二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕および還元剤としてのカルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.003m2/g、粒子径1300μm〕を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、試料を得た。得られた試料中のシリコン粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表1に示す。
また、還元反応後の固体試料を観察した。比較例1において、還元反応によって得られた固体試料を観察した結果を図3に示す。図中、スケールバーは、10mmである。図3に示された結果から、シリコン粒子が肉眼では、確認できないことがわかる。
以上の結果から、比較例1で用いられたカルシウム粉末と比べ、小さい粒子径を有し、かつ大きい比表面積を有するカルシウム粉末を用いた場合には、高純度のシリコンが得られることがわかる。
実施例2
実施例1において、カルシウム粉末0.80gを用い、かつ二酸化ケイ素の還元反応時の反応温度を1100℃とする代わりに、カルシウム粉末0.81gを用い、かつ二酸化ケイ素の還元反応時の反応温度を900℃としたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、試料を得た。得られた試料中のシリコン粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表1に示す。
実施例1において、カルシウム粉末0.80gを用い、かつ二酸化ケイ素の還元反応時の反応温度を1100℃とする代わりに、カルシウム粉末0.81gを用い、かつ二酸化ケイ素の還元反応時の反応温度を900℃としたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、試料を得た。得られた試料中のシリコン粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、カルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.012m2/g、粒子径340μm〕を用いる代わりに、カルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.035m2/g、粒子径210μm〕を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、試料を得た。得られた試料中のシリコン粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表1に示す。
実施例1において、カルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.012m2/g、粒子径340μm〕を用いる代わりに、カルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.035m2/g、粒子径210μm〕を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、試料を得た。得られた試料中のシリコン粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表1に示す。
表1に示された結果から、粒子径が1300μm(比表面積が0.003m2/g)であるカルシウム粉末(比較例1)と比べて、小さい粒子径(大きい比表面積)を有するカルシウム粉体を用いた場合、生成したシリコン粒子の最大径が大きくなる傾向にあることがわかる。したがって、これらの結果から、二酸化ケイ素粉末とカルシウム粉末との接触面積を大きくすることにより、シリコンが溶融する温度にまで反応炉内の温度が上昇し、生成したシリコンが大きく成長するとともに溶融したシリコンと酸化カルシウムとが液体状態で二相に分離することから、生成したシリコンを容易に分離させることができることが示唆される。
実施例4
グローブボックス〔(株)美和製作所製、品番:MDB−2BL−T1000〕中において、アルゴンガス雰囲気下に二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕1.20gと、還元剤としての水素化カルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積2.65m2/g、粒子径46μm〕0.84gとをメノウ乳鉢に入れた。つぎに、二酸化ケイ素粉末を構成する粒子を粉砕しないように、メノウ乳鉢内の二酸化ケイ素粉末および水素化カルシウム粉末を乳棒で3分間混合した。
グローブボックス〔(株)美和製作所製、品番:MDB−2BL−T1000〕中において、アルゴンガス雰囲気下に二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕1.20gと、還元剤としての水素化カルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積2.65m2/g、粒子径46μm〕0.84gとをメノウ乳鉢に入れた。つぎに、二酸化ケイ素粉末を構成する粒子を粉砕しないように、メノウ乳鉢内の二酸化ケイ素粉末および水素化カルシウム粉末を乳棒で3分間混合した。
得られた混合物を、ステンレス鋼(SUS304)製るつぼ(外径:28mm、高さ:40mm)に入れ、横向きに寝かせたステンレス鋼(SUS304)製気密反応容器(外径:60mm、長さ:700mm)内に当該るつぼを静置した。反応容器内の雰囲気を、90mL/minでアルゴンガスを流すことにより、アルゴンガス雰囲気に保った。反応容器を横型チューブ炉〔光洋サーモシステム(株)製、品番:KTF1200〕に入れた後、5℃/minの昇温速度で反応容器を加熱した。反応容器内の温度が600℃に到達した後、水素化カルシウムを600℃で60分間加熱し続けて熱分解させ、カルシウム粉末を生成させた。
つぎに、5℃/minの昇温速度で反応容器をさらに加熱した。反応容器内の温度が1100℃に到達した後、加熱を止め、反応容器内の二酸化ケイ素とカルシウムとを30分間保温することにより、二酸化ケイ素の還元反応を行なった。反応終了後、反応容器を電気炉に入れたたまま、5℃/minの降温速度で炉冷を行ない、固体試料を得た。
その後、得られた還元反応後の固体試料を観察した。実施例4において、還元反応によって得られた固体試料を観察した結果を図4に示す。図中、スケールバーは、10mmである。図4に示された結果から、視認することができる大きさのシリコン粒子が得られていることがわかる。また、実施例4で得られたシリコン粒子の大きさは、実施例1で得られたシリコン粒子の大きさよりも大きいことがわかる。また、かかる結果から、反応開始温度以上の温度に加熱した後には、外部から二酸化ケイ素粉末とカルシウム粉末との混合物を反応温度に加熱し続けなくても前記混合物を反応開始温度以上の温度に保つことができ、二酸化ケイ素の還元反応が進行していることがわかる。
つぎに、還元反応によって得られた前記固体試料を、1M塩酸水溶液中に24時間浸漬させた後、2Mフッ化水素酸水溶液中に48時間浸漬させ、試料を得た。得られた試料中のシリコン粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表2に示す。
また、還元反応によって得られた固体試料、1M塩酸水溶液中に24時間浸漬させることによって得られた試料および2Mフッ化水素酸水溶液中に48時間浸漬させることによって得られた試料それぞれのX線回折を調べた。X線回折は、X線回折装置〔(株)リガク製、商品名:Ultima IV〕を用い、CuKα線にて波長(λ)1.5418Å、電圧40kV、電流40mAにて測定した。得られたX線回折図を図5に示す。図中、(A)は還元反応によって得られた固体試料、(B)は1M塩酸水溶液中に24時間浸漬させることによって得られた試料、(C)は2Mフッ化水素酸水溶液中に48時間浸漬させることによって得られた試料を示す。また、図中、黒丸はシリコンに起因するピーク、クロスは酸化カルシウムに起因するピーク、白三角はケイ酸カルシウムに起因するピーク、黒三角は二酸化ケイ素に起因するピークを示す。
図5に示された結果から、還元反応によって得られた前記固体試料を、1M塩酸水溶液中に24時間浸漬させた後、2Mフッ化水素酸水溶液中に48時間浸漬させることにより、前記固体試料から酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、未反応の二酸化ケイ素などを除去することができ、高純度のシリコンが得られることがわかる。
実施例5
実施例4において、水素化カルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積2.65m2/g、粒子径46μm〕0.84gを用いる代わりに、水素化カルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積4.21m2/g、粒子径31μm〕0.83gを用いたことを除き、実施例4と同様の操作を行ない、試料を得た。得られた試料中のシリコン粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表2に示す。
実施例4において、水素化カルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積2.65m2/g、粒子径46μm〕0.84gを用いる代わりに、水素化カルシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積4.21m2/g、粒子径31μm〕0.83gを用いたことを除き、実施例4と同様の操作を行ない、試料を得た。得られた試料中のシリコン粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表2に示す。
表2に示された結果から、水素化カルシウム粉末の粒子径が小さい(比表面積が大きい)ほど、生成したシリコン粒子の最大径が大きくなる傾向にあることがわかる。また、水素化カルシウム粉末を用いた場合(実施例4および5)、カルシウム粉末を用いた場合(表1の実施例1〜3)と比べて、生成したシリコン粒子の最大径が顕著に大きいことがわかる。したがって、これらの結果から、小さい粒子径の粒子からなる水素化カルシウム粉末を用いることによってより小さい粒子径の粒子からなるカルシウム粉末を得ることができるので、シリコンが溶融する温度にまで反応炉内の温度が上昇し、生成したシリコンがより一層大きく成長するとともに溶融したシリコンと酸化カルシウムとが液体状態で二相に分離することから、生成したシリコンをより一層容易に分離させることができることが示唆される。
実施例6
グローブボックス〔(株)美和製作所製、品番:MDB−2BL−T1000〕中において、アルゴンガス雰囲気下に二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕1.20gと、還元剤としての水素化マグネシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積1.92m2/g、粒子径53μm〕0.52gとを、メノウ乳鉢に入れた。つぎに、二酸化ケイ素粉末粒子を粉砕しないようにしながら、メノウ乳鉢内の二酸化ケイ素粉末および水素化マグネシウム粉末を乳棒で3分間混合した。
グローブボックス〔(株)美和製作所製、品番:MDB−2BL−T1000〕中において、アルゴンガス雰囲気下に二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕1.20gと、還元剤としての水素化マグネシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積1.92m2/g、粒子径53μm〕0.52gとを、メノウ乳鉢に入れた。つぎに、二酸化ケイ素粉末粒子を粉砕しないようにしながら、メノウ乳鉢内の二酸化ケイ素粉末および水素化マグネシウム粉末を乳棒で3分間混合した。
得られた混合物を、ステンレス鋼(SUS304)製るつぼ(外径28mmおよび高さ40mm)に入れ、横向きに寝かせたステンレス鋼(SUS304)製気密反応容器(外径60mmおよび長さ700mm)内に当該るつぼを静置した。反応容器内の雰囲気を、50mL/minでアルゴンガスを流すことにより、アルゴン雰囲気に保った。反応容器を横型チューブ炉〔光洋サーモシステム(株)製、品番:KTF1200〕に入れた後、5℃/minの昇温速度で反応容器を加熱した。反応容器内の温度が350℃に到達した後、水素化マグネシウム350℃で60分間加熱し続けて熱分解させ、マグネシウム粉末を生成させた。
その後、5℃/minの昇温速度で反応容器をさらに加熱した。反応容器内の温度が1000℃に到達した後、加熱を止め、反応容器内の二酸化ケイ素とマグネシウムとを30分間保温することにより、二酸化ケイ素の還元反応を行なった。反応終了後、反応容器を電気炉に入れたたまま、5℃/minの降温速度で炉冷を行ない、固体試料を得た。
つぎに、還元反応によって得られた前記固体試料を、1M塩酸水溶液中に24時間浸漬させた後、2Mフッ化水素酸水溶液中に48時間浸漬させ、シリコンを得た。得られたシリコンの粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表3に示す。
比較例2
実施例6において、二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕1.20gおよび水素化マグネシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積1.92m2/g、粒子径53μm〕0.52gを用いる代わりに、二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕1.21gおよびマグネシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.005m2/g、粒子径1200μm〕0.49gを用いたことを除き、実施例6と同様の操作を行ない、試料を得た。得られた試料中のシリコン粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表3に示す。
実施例6において、二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕1.20gおよび水素化マグネシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積1.92m2/g、粒子径53μm〕0.52gを用いる代わりに、二酸化ケイ素粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.31m2/g、粒子径64μm〕1.21gおよびマグネシウム粉末〔(株)高純度化学研究所製、比表面積0.005m2/g、粒子径1200μm〕0.49gを用いたことを除き、実施例6と同様の操作を行ない、試料を得た。得られた試料中のシリコン粒子のなかから選択された最も大きい粒子の粒子径をマイクロメータ〔新潟精機(株)製、商品名:MCD130−25〕を用いて測定し、5回測定した値の相加平均を調べた。その結果を表3に示す。
表3に示された結果から、還元剤である水素化マグネシウム粉末およびマグネシウム粉末の粒子径が小さい(比表面積が大きい)ほど、生成したシリコン粒子の最大径が大きくなる傾向にあることがわかる。したがって、これらの結果から、水素化カルシウムの代わりに水素化マグネシウムを用いた場合にも、水素化カルシウムを用いた場合と同様の傾向がみられることがわかる。
実施例7〜9
実施例1において、カルシウムを用いる代わりに、リチウム(実施例7)、マグネシウム(実施例8)またはアルミニウム(実施例9)を用いることを除き、実施例1と同様の操作を行ない、シリコンを得る。この場合にも、カルシウムを用いた場合と同様の結果が得られる。
実施例1において、カルシウムを用いる代わりに、リチウム(実施例7)、マグネシウム(実施例8)またはアルミニウム(実施例9)を用いることを除き、実施例1と同様の操作を行ない、シリコンを得る。この場合にも、カルシウムを用いた場合と同様の結果が得られる。
なお、実施例1において、カルシウムを用いる代わりに、カルシウム、リチウム、マグネシウムおよびアルミニウムの任意の合金を用いることを除き、実施例1と同様の操作を行ない、シリコンを得る。この場合にも、カルシウムを用いた場合と同様の結果が得られる。
実施例10および11
実施例4において、水素化カルシウムを用いる代わりに、水素化リチウム(実施例10)または水素化アルミニウム(実施例11)を用いることを除き、実施例4と同様の操作を行ない、シリコンを得る。この場合にも、水素化カルシウムを用いた場合と同様の結果が得られる。
実施例4において、水素化カルシウムを用いる代わりに、水素化リチウム(実施例10)または水素化アルミニウム(実施例11)を用いることを除き、実施例4と同様の操作を行ない、シリコンを得る。この場合にも、水素化カルシウムを用いた場合と同様の結果が得られる。
なお、水素化カルシウムを用いる代わりに、カルシウム、リチウム、マグネシウムおよびアルミニウムの任意の合金の水素化物を用いることを除き、実施例4と同様の操作を行ない、シリコンを得る。この場合にも、水素化カルシウムを用いた場合と同様の結果が得られる。
以上説明したように、二酸化ケイ素粉末と活性金属粉末との接触面積を大きくすることにより、高い生産性で効率よくシリコンを製造することができ、しかも生成したシリコンを容易に回収することができることが示唆される。また、二酸化ケイ素粉末と活性金属粉末との接触面積を大きくすることにより、一旦、反応開始温度以上の温度に加熱した後には、外部から前記混合物を反応温度に加熱し続けなくても前記混合物を反応開始温度以上の温度に保つことができ、低コストで、かつ高い生産効率で高純度のシリコンを製造することができることが示唆される。
したがって、本発明のシリコンの製造方法によれば、効率よく高純度を有するシリコンを低コストで製造することができる。また、本発明のシリコンの製造方法によって得られたシリコンは、高純度を有し、しかも低コストで製造することができるので、太陽電池の光起電力の電力素子などに使用されることが期待される。
Claims (7)
- 粒子径5nm〜1000μmの二酸化ケイ素粉末と粒子径5nm〜500μmの活性金属粉末との混合物を、二酸化ケイ素と活性金属との反応開始温度以上の温度に加熱することによってシリコンを生成させ、シリコンが生成する際に生じた反応熱によって当該シリコンを溶融させ、溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを分離させることを特徴とするシリコンの製造方法。
- 二酸化ケイ素粉末と活性金属水素化物粉末とを混合し、活性金属水素化物粉末を熱分解させることにより、二酸化ケイ素粉末および活性金属粉末の混合物を製造する請求項1に記載のシリコンの製造方法。
- 活性金属がリチウム、マグネシウム、カルシウムおよびアルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属である請求項1または2に記載のシリコンの製造方法。
- 溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを液体状態で分離させる請求項1〜3のいずれかに記載のシリコンの製造方法。
- 溶融したシリコンと活性金属の酸化物とを冷却することにより、凝固させて分離させる請求項1〜3のいずれかに記載のシリコンの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のシリコンの製造方法によって得られたシリコン。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のシリコンの製造方法によって得られたシリコンが用いられてなるシリコン太陽電池。
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US20090092899A1 (en) * | 2007-09-10 | 2009-04-09 | Tiax Llc | Nan0-sized silicon |
US20110085960A1 (en) * | 2009-10-13 | 2011-04-14 | Alexander Mukasyan | Method of manufacturing high-surface-area silicon |
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2012
- 2012-03-23 JP JP2012067508A patent/JP2013199393A/ja active Pending
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