以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
まず図1を参照して、パチンコ遊技機1の正面側の構成を説明する。図1に示すパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前面枠2を開閉可能に取り付け、前面枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3a(図2参照)を前面枠2の開口部に臨ませた構成を有している。
前面枠2の前側上部には、透明ガラスを支持したガラス扉枠(開閉扉)6が配置され、また前面枠2の前側下部には、このガラス扉枠6の下側に隣接して前面操作パネル7が配置されている。遊技盤3は前面枠2の前側から嵌め込まれ、固定具(図示せず)により着脱自在に固定される。ガラス扉枠6および前面操作パネル7はヒンジ(図示せず)により前面枠2に開閉自在に枢支されている。
前面操作パネル7には上受け皿ユニット8が設けられ、上受け皿ユニット8には、遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、球貸し操作部とが設けられている。この球貸し操作部には、遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入したプリペイドカードやプリペイドコインなどの返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。また、上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能な押しボタンからなり、所定の入力受付期間中に押下することにより、演出に変化をもたらす枠演出ボタン13が設けられている。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(遊技球発射手段:図3参照)を作動させる発射操作ハンドル15が設けられている。また前面枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響による音演出効果(効果音)を奏するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉枠6の各所には、光の装飾による光演出効果を奏する複数の装飾ランプ45が設けられている。
次に図2を参照して、遊技盤3について説明する。遊技盤3は、略正方形状の木製合板を主体とし、盤面区画部材として、略円形状に屈曲形成された金属製の球誘導レール5が遊技盤面に固定されている。遊技盤3には、発射手段によって発射された遊技球を遊技領域3aへと案内する球誘導レール5が前面に環状に装着される。球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が、遊技領域3aとなっている。
遊技領域3aには、遊技球の落下方向変換部材として、センター飾り48や風車44や複数の遊技くぎ(図示せず)などが設けられ、また適所に複数の発光装置(たとえば、ランプ表示装置やLED装置など:図示せず)が設けられている。
遊技領域3aの略中央部には、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示および停止表示が可能である画像表示装置としての液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下で種々の演出を画像により表示する。
液晶表示装置36の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口)と下始動口35(第2の特別図柄始動口)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。普通変動入賞装置41には、左右一対の可動翼片(可動部材)47が下始動口35を開放または拡大可能に設けられ、いわゆる「チューリップ型」の電動役物を構成している。なお、可動翼片47の非作動時には、下始動口35への入賞が困難または不可能となるように閉じた状態(始動口閉状態)が保持されている。
下始動口35の下方には、開放扉42bにより下大入賞口40(第1の大入賞口)を開放または拡大可能に構成した特別変動入賞装置42(第1の特別変動入賞装置)が設けられており、その内部には遊技球を検出する下大入賞口センサ42a(図3参照)が形成されている。また特別変動入賞装置42より右上側には、スライド式の蓋部材(開放扉52b)により右大入賞口50(第2の大入賞口)を開放または拡大可能に構成した特別変動入賞装置52(第2の特別変動入賞装置)が設けられており、その内部には遊技球を検出する右大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。なお、センター飾り48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成され、特別変動入賞装置52側に遊技球が案内されるようになっている。
右大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。上記遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイド板として機能する装飾部材55の頂面55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している突起板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は右大入賞口50の方向に修正される。このとき、スライド式の開放扉52bにより右大入賞口50が蓋をされている状態(右大入賞口閉鎖状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41の方向に導かれる。他方、開放扉52bが後退していて右大入賞口50が開いている状態(右大入賞口開放状態)であれば、遊技球が右大入賞口50内に導かれることになる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、通常遊技状態において遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合、上始動口34側には遊技球が誘導されないような構成となっている。したがって、右大入賞口閉鎖状態であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞は困難または不可能とされるようになっている。
特別変動入賞装置42の両側には一般入賞口43が複数個設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。
また、特別変動入賞装置52の上方には、ゲートからなる普通図柄始動口37が設けられ、その内部には通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(3参照)が形成されている。
上記の上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、下大入賞口40、右大入賞口50、または一般入賞口43は、遊技領域3a内に配置された入賞手段として機能し、また、それぞれに設けられた上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、下大入賞口センサ42a、右大入賞口センサ52a、または一般入賞口センサ43aは、これら入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出スイッチ(入賞検出手段)である。これらの入賞検出スイッチは、フォトスイッチや近接スイッチなどの無接点スイッチや、マイクロスイッチなどの有接点スイッチで構成することができる。
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、これら入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(たとえば、上始動口34および下始動口35は3個、大入賞口40は13個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなくゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合はそのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に遊技球が「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞にかかる遊技球を「入賞球」とも称する。
また、遊技領域3aの右上縁付近には、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34と下始動口35に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)および特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)が設けられ、また複数個のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39が設けられている。
パチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に入賞したことを条件に、主制御部20(図3参照)において乱数抽選による大当り抽選が行なわれる。この抽選結果に基づき、7セグにより表現される特別図柄(大当り抽選結果を報知するための識別図柄)を特別図柄表示装置38aまたは特別図柄表示装置38bに変動表示させて特別図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に表示する。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは、独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側、他方、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出表示されるようになっている。なお本明細書中では、特別図柄表示装置38a側の特別図柄を「特別図柄1(第1特別図柄)」、特別図柄表示装置38b側の特別図柄を「特別図柄2(第2特別図柄)」と称する。また、特別図柄表示装置38a側の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1(第1特別図柄変動表示ゲーム)」、特別図柄表示装置38b側の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2(第2特別図柄変動表示ゲーム)」と称する。ただし、特に必要のない限り、「特別図柄1(場合により「特図1」と略す)」と「特別図柄2(場合により「特図2」と略す)」とを単に「特別図柄」と総称し、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と総称する。
上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴い、装飾図柄を液晶表示装置36に変動表示させる装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が現出される。そして、特別図柄表示装置38aまたは特別図柄表示装置38bに抽選結果が表示されると、液晶表示装置36にも装飾図柄によりその結果が表示されるようになっている。すなわち、この装飾図柄変動表示ゲームでは、特別図柄変動表示ゲームでの抽選結果を反映させた演出表示、つまり大当り抽選結果を反映させた演出が現出される。
したがって、たとえば特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合、装飾図柄変動表示ゲームの結果も「大当り」を反映させた演出が現出される。また、特別図柄表示装置38には、大当りを示す特別図柄が所定の表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態))で停止表示され、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、当り有効ライン上で装飾図柄が上記大当り抽選結果を反映させた所定の表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、特別変動入賞装置42が備える下大入賞口ソレノイド42c(図3参照)が作動して開放扉42bが開閉動作を行い、これにより下大入賞口40が所定パターンで開閉制御されるか、または特別変動入賞装置52が備える右大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが開放動作を行い、これにより右大入賞口50が所定パターンで開閉制御されて、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、大入賞口の開放時間が所定時間(あらかじめ定められた最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口に所定個数(最大入賞数(役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に入賞する遊技球数の最大値:たとえば、9個)の遊技球が入賞するまで開放され、いずれかを満たしたことを条件に大入賞口が所定時間閉鎖される、といったラウンド遊技があらかじめ定められた規定回数(たとえば、最大15ラウンド)繰り返される。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、大入賞口が開放されるラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。また、ラウンド遊技中は、各ラウンド対応するラウンド演出が行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了する。
このように、特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは、図柄遊技時間(変動表示の開始タイミングから停止表示のタイミング)とがほぼ同じとなり、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えることもできる。本明細書中では、説明の便宜上、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
また、遊技球が普通図柄始動口37を通過したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による補助当りに関する抽選(補助当り抽選)が行なわれる。この抽選結果に応じてLEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39に変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39の表示部を特定の点灯状態(たとえば、全てのLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
そして上記「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、上記可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47が所定時間(たとえば、0.2秒)開放して下始動口35が開放されるか、または所定個数(たとえば、4個)の遊技球が入賞するまで開放され、その後、所定時間(たとえば、0.5秒)可動翼片47が閉まって下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、1回)繰り返されるようになっている。なお、普電開放遊技中に遊技球が下始動口35に入賞した場合にも、同様に上記特別図柄変動表示ゲームが行なわれ、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが行なわれる。
ここで、特別図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技などの最中に、さらに上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、始動条件が成立した場合には、この検出信号に基づいて当り抽選に利用する遊技情報を取得し、これを各変動表示ゲームを行わせるための始動権利に関するデータ(保留データ)として、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶可能となっている。この保留記憶に係る入賞球は、いわゆる「作動保留球」とも称される。この作動保留球数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所に設けた保留表示器、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。通常は、この保留記憶の発生順に、各保留記憶に対する変動表示ゲームが実行される。本実施形態では、上記最大保留記憶個数と同数の4個を上限の所定個数として扱い、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する保留記憶をそれぞれ4個まで記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。
<2.遊技状態>
本実施形態のパチンコ遊技機1では、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。先ず、本発明の理解を容易なものとするために、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動(以下、「確変」と称する)機能」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当りの抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、399分の1)から高確率(たとえば、39.9分の1)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「高確率状態」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。したがって、遊技者が期待する遊技状態は、この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態であるといえる。なお、特別図柄確変機能の作動開始条件およびその作動終了条件の詳細については、後述する。
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率(たとえば、256分の1)から高確率(たとえば、256分の255)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄確変機能の作動開始条件は、後述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮(以下、「時短」と称する)機能」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の二種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均時間(特別図柄が変動を開始してから確定表示される迄の時間。つまり、特別図柄の変動時間)を短縮した「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が10秒から3秒に短縮)、通常遊技状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動表示時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、特別図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均時間(普通図柄が変動を開始してから確定表示されるまでの時間。つまり、普通図柄の変動時間)を短縮した「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、10秒から1秒に短縮)、通常遊技状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄時短機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。
開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47を開動作させる期間およびその開放回数を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、いわゆる「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.2秒から1.7秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長され、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、開放延長機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。したがって、開放延長状態中は、普通図柄確変機能および普通図柄時短機能も作用するため、可動翼片47の作動率が著しく向上した遊技状態が発生する。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態に変化をもたらすことができる。ここで本実施形態では、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の作動開始条件は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件としていることから、各機能が同じ契機にて動作することになる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態を「潜伏確変状態(潜確または潜確状態)」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常遊技状態」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常遊技状態」である場合には少なくとも大当り抽選確率が‘低確率状態’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては少なくとも大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。
(高ベース遊技状態)
本実施形態では上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっているため、3つの機能が同じ契機にて動作することになる。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくともいずれか1つが作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が高くなることから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高まる「高ベース遊技状態(始動条件向上状態)」となる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、上記のように普通図柄に関する機能が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか1つが作動する場合の遊技状態とは異なる。
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄確変機能と特別図柄時短機能)を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には大当り抽選確率が通常遊技状態より高まる「高確率状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常遊技状態よりも早い「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
また本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞頻度が高くなることから、電チューサポート状態でない場合と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。上記電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常遊技状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート状態無し(以下、「電サポ無し状態」と称する)’となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート状態有り(以下、「電サポ有り状態」と称する)’となる。
なお本実施形態では、上述の通常遊技状態、潜確状態、時短状態、および確変状態に関連した多様な演出モード(演出状態)を実現するために、一の遊技状態をさらに分類して管理している。具体的には、上記「確変状態」には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数に応じて遊技状態が変化しうる「確変状態A(確変A)」、「確変状態B(確変B)」、および「確変状態C(確変C)」と称する複数種類の確変状態が含まれる(各遊技状態に関する詳細は後述する)。これにより、上記遊技状態に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況に着目した場合には同じ「確変状態」としながらも、演出に関しては、「確変状態A」や「確変状態B」や「確変状態C」といった複数種類の遊技状態に対応した演出モード下による演出を現出可能にしている(演出に関する詳細は後述する)。なお、上記確変状態B中においては、特別図柄の変動時間が他の確変状態中よりも短縮されるように制御される。このため「確変状態B」中は、他の遊技状態と比べて図柄変動表示ゲームの消化時間が最も早まる「高速変動遊技状態」とされる。なお、確変状態B中の特別図柄の短縮に関しては、特殊な特別図柄時短機能が作用しているわけではなく、他の制御処理によるものである(詳細は後述する)。
<3.当りについて>
次に、本実施形態に係るパチンコ遊技機における当りの種類について説明する。
(3−1.当りの種類)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、上記の特別図柄変動表示ゲームにて抽選される当りの種類、つまり大当り抽選対象となる当り種別として、「15R低ベース非確変大当り」、「15R低ベース確変α大当り」、「15R低ベース確変β大当り」、「15R高ベース確変大当り」、「2R低ベース確変大当り」、および「小当り」などの複数種類の当りが設けられている。
これら当りのうち、「15R低ベース非確変大当り」、「15R低ベース確変α大当り」、「15R低ベース確変β大当り」、「15R高ベース確変大当り」、「2R低ベース確変大当り」は条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りであり、「小当り」は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものをいう。
また上記‘大当り’種別に属する当りのうち、「15R低ベース確変α大当り」、「15R低ベース確変β大当り」、「15R高ベース確変大当り」、「2R低ベース確変大当り」は、大当りの遊技終了後の遊技状態を、高確率状態を伴う遊技状態(本実施形態では、確変状態または潜確状態)に移行させる「確変大当り」に属する大当りであり、「15R低ベース非確変大当り」は、大当りの遊技終了後の遊技状態を、低確率状態を伴う遊技状態(本実施形態では、時短状態)に移行させる「非確変大当り」に属する大当りとなっている(当り遊技終了後に移行しうる遊技状態についての詳細は後述する)。なお上記小当りは‘非大当り’種別に属する当りではあるが、特に必要がない限り上記の大当りと区別することなく、大当り種別の一つとして同列に扱うことにする。
(3−2.当り遊技)
次に、各当りによる当り遊技について説明する。
(15R低ベース非確変大当り)
15R低ベース非確変大当りによる当り遊技(以下、「15R低ベース非確変大当り遊技」と称する)では、ラウンド遊技が15ラウンド分行われ、各ラウンド数に応じて異なる大入賞口が開放制御される。具体的には、規定ラウンド数である15R(ラウンド)のうち、前半部の6R目までは下大入賞口40が開放制御され、その最大開放時間は長開放時間の‘29.8秒’に設定される。一方、後半部の7R目以降は右大入賞口50が開放制御され、その最大開放時間は短開放時間の‘0.1秒’に設定される。ここで「長開放時間」は、その時間内に上記最大入賞数に達しうる時間幅として定めたものであり、「短開放時間」は、大入賞口への入賞を困難とする時間幅として定めたものである。したがって、この大当り遊技においては、基本的には下大入賞口40の入賞しか発生せず(正確には、右大入賞口50の入賞も発生する可能性があるが、後半部のラウンドでは大入賞口の最大開放時間が短開放時間に設定される関係上、その可能性は極めて低くなり、実質的に、賞球が殆ど得られない)、これによる賞球(利益)を獲得できるにとどまる。
上記最大開放時間が経過すると、大入賞口が閉鎖される。そして所定時間が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。また大入賞口に入賞した遊技球数が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合にも当該大入賞口が閉鎖される。この場合も大入賞口が閉鎖して、所定時間が経過後に、次のラウンド遊技に移行される。
(15R低ベース確変α大当りによる当り遊技)
15R低ベース確変α大当りによる当り遊技(以下、「15R低ベース確変α大当り遊技」と称する)では、上述した15R低ベース非確変大当り遊技と同じ動作態様にて大入賞口の開放パターンが制御される。
(15R低ベース確変β大当りによる当り遊技)
15R低ベース確変β大当りによる当り遊技(以下、「15R低ベース確変β大当り遊技」と称する)も、上述した15R低ベース非確変大当り遊技と同じ動作態様にて大入賞口の開放パターンが制御される。
(15R高ベース確変大当りの場合)
15R高ベース確変大当りによる当り遊技(以下、「15R高ベース確変大当り遊技」と称する)では、前半部の6R目までは、上述した15R低ベース非確変大当り遊技と同じ動作態様にて大入賞口の開放パターンが制御される。しかし、後半部の7R目以降は以下の点が異なる。
15R高ベース確変大当り遊技では、合計15ラウンドのうち、前半部の6R目までは下大入賞口40が開放される一方、後半部の7R目以降は右大入賞口50が開放され、双方の大入賞口の最大開放時間は、全ラウンド遊技を通じて長開放時間の‘29.8秒’に設定される。したがって、15R高ベース確変大当り遊技では、下大入賞口40と右大入賞口50に多数の遊技球が入賞しうるため、上記した15R低ベース非確変大当り遊技や15R低ベース確変α大当り遊技や15R低ベース確変β大当り遊技などよりも、相対的に高い利益(概ね2倍程度の賞球数)を獲得することができるようになっている。
(2R低ベース確変大当りの場合)
2R低ベース確変大当りによる当り遊技(以下、「2R突確大当り遊技」と称する)では、ラウンド遊技が2ラウンド分行われ、各ラウンド遊技において下大入賞口40が開放制御され、その最大開放時間は短開放時間の0.1秒に設定される。本実施形態の2R突確大当り遊技では、下大入賞口40が短開放時間しか開放されずに、そのラウンド遊技数も2R分と少ないことから、通常遊技状態よりも有利な当り遊技状態としながらも実質的には賞球が殆ど得られない。結果、2R突確大当り遊技中に獲得しうる利益は、全大当り遊技中で最も低くなる。
(小当りの場合)
小当りによる当り遊技(以下、「小当り遊技」と称する)では、下大入賞口40の開放が2回行われ、1回あたりの開放時間は0.1秒となっている。この小当り遊技では、外見から捉えた下大入賞口40の開閉動作が、上記の2R突確大当り遊技と同一または酷似する動作態様で制御されるようになっている。この「小当り」は条件装置の作動契機とはならない当り種別であるため、「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。しかし、2R突確大当り遊技と実質的に同一の動作態様で下大入賞口40を開閉制御することにより疑似的なラウンド遊技を実現させて、あたかも2R低ベース確変大当りに当選したかの如く装うことを可能にしている。また詳細は後述するが、小当り遊技中の当り中演出と2R突確大当り遊技中の当り中演出とは、同一または酷似する演出が現出される。つまり、この小当りによる当り中演出を含む当り遊技中の挙動は、2R低ベース確変大当りによるものと同一となり、これらの違いを遊技者が識別困難または識別不可能となる。これにより、小当り遊技が発生した場合、2R低ベース確変大当りへの当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
(3−3.当り遊技終了後の遊技状態)
次に、上記の各当り遊技後に移行しうる遊技状態について説明する。
(15R低ベース非確変大当り遊技終了後の遊技状態)
15R低ベース非確変大当り遊技後は、その大当り当選時の遊技状態にかかわらず「時短状態」に移行される。
上記「時短状態」となった場合、特別図柄変動表示ゲームが所定回数(たとえば、70回:特別図柄変動表示ゲーム1および2の合計実行回数)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りに当選するまで当該時短状態が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該時短状態が終了して、次ゲームから「通常遊技状態」に移行されるようになっている。
(15R低ベース確変α大当り遊技終了後の遊技状態)
15R低ベース確変α大当り遊技後は、その大当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態C」に移行される。
上記「確変状態C」となった場合、特別図柄変動表示ゲームが所定回数(たとえば、70回:特別図柄変動表示ゲーム1および2の合計実行回数)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りに当選するまで当該確変状態Cが継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該確変状態Cが終了して、次ゲームから「確変状態B」に移行されるようになっている。この確変状態Bとなった場合、上記確変状態C中を含めた特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば、10000回:確変回数)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りに当選するまで当該確変状態Bが継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該確変状態Bが終了して、次ゲームから「通常遊技状態」に移行されるようになっている。
(15R低ベース確変β大当り遊技終了後の遊技状態)
15R低ベース確変β大当り遊技後は、その大当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態A」に移行される。
上記「確変状態A」となった場合、特別図柄変動表示ゲーム(特別図柄の変動回数)が所定回数(たとえば、70回:特別図柄変動表示ゲーム1および2(特別図柄1および2の変動回数)の合計実行回数)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りに当選するまで当該確変状態Aが継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該確変状態Aが終了して、次ゲームから「確変状態B」に移行されるようになっている。この確変状態Bとなった場合は上述の確変状態Aから移行した場合と同じように、上記確変状態A中を含めた特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば、10000回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りに当選するまで当該確変状態Bが継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該確変状態Bが終了して、次ゲームから「通常遊技状態」に移行されるようになっている。
(15R高ベース確変大当り遊技終了後の遊技状態)
15R高ベース確変大当り遊技後は、その大当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態A」に移行される。「確変状態A」となってからの遊技状態遷移は、上述した15R低ベース確変β大当りと同じである。
(2R突確大当り遊技終了後の遊技状態)
2R突確大当り遊技後は、その大当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、大当り当選時の遊技状態が「通常遊技状態」であった場合には「潜確状態」に、「潜確状態」であった場合には「潜確状態」に、「時短状態」であった場合には「確変状態C」に、「確変状態(確変状態A、確変状態B、または確変状態C)」であった場合には「確変状態B」に移行されるようになっている。
上記「潜確状態」となった場合、特別図柄変動表示ゲーム(特別図柄の変動回数)が所定回数(たとえば、10000回:特別図柄変動表示ゲーム1および2(特別図柄1および2の変動回数)の合計実行回数)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りに当選するまで当該潜確状態が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該潜確状態が終了して、次ゲームから「通常遊技状態」に移行されるようになっている。上記「時短状態」や「確変状態B」となった場合は、既に説明した通りである。
なお本実施形態では、「確変状態A」、「確変状態B」、「確変状態C」、または「潜確状態」に移行された場合、特別図柄変動表示ゲームが所定回数終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りに当選するまで高確率状態である「確変状態」が継続するものとして説明したがこれに限らず、たとえば、特別図柄変動表示ゲームの実行回数に関係なく、次回の大当りに当選するまで「確変状態」を継続させても良い。また、上記「確変状態A」または「確変状態C」は、次回の大当りに当選することなく特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば、70回)終了した場合、他の遊技状態(確変状態B)に移行されると説明したがこれに限らず、特別図柄変動表示ゲームの実行回数に関係なく、上記「確変状態A」または「確変状態C」を継続させても良い。
また本実施形態では、バトル演出が展開される複数種類の大当り遊技(15R低ベース確変α大当り遊技、15R低ベース確変β大当り遊技、および15R高ベース確変大当り遊技(後半部は除く))に関して、それぞれの大当り遊技中の遊技動作態様(大入賞口開放パターン)が同一となるように制御されるものであると説明したが、ここでの「同一」とは必ずしも完全一致を意味するものではない。一の大当り遊技と他の大当り遊技とが略同一あるいは酷似する動作態様、つまり遊技者がその動作を観察しても、双方の違いを識別することが困難な動作態様、好ましくは、肉眼ではその違いを捉えることができない程度の動作態様を呈するように構成しても良い。この場合、たとえば、一の大当り遊技と他の大当り遊技とで、ラウンド遊技中の大入賞口の最大開放時間およびその大入賞口閉鎖後の所定時間の少なくともいずれか一方を異ならせる。たとえば、一の大当り遊技中のラウンド遊技中の大入賞口の最大開放時間と、他の大当り遊技中のラウンド遊技中の大入賞口の最大開放時間とが微妙に異なる時間(たとえば、数ms程度の差異)にして、一の大当り遊技と他の大当り遊技との動作態様に微妙な差異を付けても良い。また、特定のラウンド数目のラウンド遊技中の大入賞口の最大開放時間およびその大入賞口閉鎖後の所定時間の少なくともいずれか一方を異ならせても良い。たとえば、一の大当り遊技中の6R目(たとえば、前半部終了のラウンド数目)のラウンド遊技中の大入賞口の最大開放時間と、他の大当り遊技中の全ラウンド遊技中または特定のラウンド数目の大入賞口の最大開放時間の方とが微妙に異なる時間(たとえば、数ms程度の差異)にして、一の大当り遊技と他の大当り遊技との動作態様に微妙な差異を付けても良い。
(小当り遊技終了後の遊技状態)
小当り遊技後は、その小当り当選時の遊技状態がそのまま継続されるようになっている。つまり、小当り当選に起因する遊技状態の移行制御は行われず、このため、小当り当選時の遊技状態とその小当り遊技後の遊技状態とは、いずれも同じ遊技状態となる。この点、遊技状態の移行制御が行われる「大当り」とは性質を異にする。
なお、いずれかの当りに当選した場合、特別図柄表示装置38a、38bにおける特別図柄に関しては、抽選結果をそのまま反映させた特別図柄が表示される。つまり特別図柄表示装置には、当り種別を明らかにする表示態様で特別図柄が表示される。他方、液晶表示装置36には、装飾図柄を用いて特別図柄変動表示ゲームの結果が反映表示される。つまり装飾図柄変動表示ゲームについては、必ずしも最初から当り種別が明らかとなる表示態様で装飾図柄を停止表示しない。たとえば、今回の特別図柄変動表示ゲームが15R高ベース確変大当り当選となった場合であっても、このときの装飾図柄変動表示ゲームにおいては、15R低ベース非確変大当りの当選を示唆する表示態様で装飾図柄を停止表示し、その後の大当り遊技の演出中で、15R高ベース確変大当りに当選したことを確定的に報知する、といった演出制御を行うことができる。通常、遊技者は液晶表示装置36の画像表示演出を見ながら遊技に興じているので、装飾図柄変動表示ゲームの結果が相対的に低い利益しか得られない当り(たとえば、15R低ベース非確変大当りなど)を示唆するものであっても、相対的に高い利益を得られる当り種別への当選期待感を残すためである。
<4.演出について>
(4−1.演出モード)
次に、各遊技状態下における演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、現在の遊技状態に関連した演出をなす演出モードとして、通常遊技状態であることを報知する演出をなす「通常演出モード」と、確変状態Aであることを報知する演出をなす「確変演出モード」と、確変状態Bであることを報知する演出をなす「高速変動演出モード」とが設けられている。さらに本実施形態のパチンコ遊技機1には、大当り当選確率状態を秘匿状態とする「特別演出モード」、具体的には、現在の遊技状態を秘匿して現在の遊技状態の推測要素を与える演出モード(たとえば、現在の遊技状態を秘匿して、遊技者に高確率状態である期待感を与える演出をなす演出モード)として、「チャンス演出モード」と「秘匿演出モード」とが設けられている。
上記「チャンス演出モード」は、確変状態Cを秘匿状態とし、時短状態との識別を困難または不可能にする演出をなす演出モードとして用いられる。本実施形態では、時短状態と確変状態Cとで内部的な機能、つまり特別図柄確変機能の作動状況に違いはあるものの、外観上に現れる機械的な遊技動作状態が同じ状態となることに着目し(双方ともに‘電サポ有り状態’)、遊技者側に演出上からもどのような遊技状態であるかを察知されないようにすることで、高確率状態の期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
上記「秘匿演出モード」には、高確率状態下における「本物の秘匿演出モード(第1秘匿演出モード)」と低確率状態下におけるガセの秘匿演出モード(第2秘匿演出モード)」とが含まれる。たとえば、通常遊技状態中に小当りに当選して当該通常遊技状態が維持される場合、秘匿演出モードのうち、「ガセの秘匿演出モード」に移行制御される。一方、通常遊技状態中または潜確状態中に2R低ベース確変大当りに当選して潜確状態に移行される場合、「本物の秘匿演出モード」に移行制御される。つまり「秘匿演出モード」は、潜確状態を秘匿状態として、通常遊技状態との識別を困難または不可能にする演出をなす演出モードとして用いられる。つまり、これら「ガセの秘匿演出モード」と「本物の秘匿演出モード」下では、同一または略同一の演出が現出される。本実施形態では、通常遊技状態と潜確状態とで特別図柄確変機能の作動状況に違いはあるものの、外観上に現れる機械的な遊技動作状態が同じ状態となることに着目し(双方ともに‘電サポ無し状態’)、遊技者側に演出上からもどのような遊技状態であるかを察知されないようにすることで、高確率状態の期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
特に、上記ガセの秘匿演出モードは、遊技状態が通常遊技状態であるときの演出モードであるので、たとえば、図柄変動表示ゲームが所定回数終了したことを、または所定の抽選(演出モード移行抽選)により当選したことを条件に、ガセの秘匿演出モードを終了させ、通常演出モードに移行させるように構成することができる。なお、本物の秘匿演出モードであっても、ガセの秘匿演出モード下と同様の上記条件を満たした場合に、通常演出モードに移行させても良い。なお、演出モード移行抽選により通常演出モードに移行させる場合、ガセの秘匿演出モードと本物の秘匿演出モードとで同一の確率で通常演出モードに移行させるように構成しても良いし、ガセの秘匿演出モードである場合よりも本物の秘匿演出モードの方が相対的に低い確率で通常演出モードに移行させるように構成しても良い。また、ガセの秘匿演出モードに移行した場合と本物の秘匿演出モードに移行した場合とで、通常演出モードに移行させるタイミングが異なるように構成しても良い。たとえば、ガセの秘匿演出モードである場合には特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば、20回)終了すると強制的に通常演出モードに戻るが、本物の秘匿演出モードである場合には当該所定回数を超えた場合であっても秘匿演出モードを継続させる。この場合、上記所定回数(20回)を超えて秘匿演出モードが継続すれば、潜確状態が確定することになり、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が当該所定回数に近づいて行くにしたがい、潜確状態が確定するか否かという緊張感を遊技者に与えることができる。また秘匿演出モードが終了するまでゲームを続行する遊技者が増え、遊技機の稼働率向上にも貢献することができる。
本実施形態では、上記のような複数種類の演出モードを設け、その演出モード間を行き来可能に構成している。具体的には、演出制御部24(CPU241:図3参照)により、遊技状態が通常遊技状態であれば「通常演出モード」に、確変状態Aであれば「確変演出モード」に、確変状態Bであれば「高速変動演出モード」に、時短状態または確変状態Cであれば「チャンス演出モード」に、潜確状態であれば「秘匿演出モード」に移行制御される。
次に、演出について説明する。上述した演出モード下においては装飾図柄変動表示ゲーム中、様々な予告演出が発生する。斯様な演出態様には、遊技者の大当り当選期待感を煽る演出(煽り演出)として、「リーチ演出」や「疑似連」に代表される予告演出の他、「背景予告演出(背景表示が変化する演出態様)」や「ボタン予告演出(枠演出ボタン13を操作することにより演出に変化をもたらす遊技者参加型の演出態様)」なども含まれる。
リーチ演出とは、リーチ状態を伴う演出態様をいう。リーチ状態とは、装飾図柄変動表示ゲームの結果が導出される前段階において、当該装飾図柄変動表示ゲーム中で導出表示された装飾図柄が大当り発生を示す表示態様の一部を構成している状態で、いまだ導出表示されていない装飾図柄については変動表示が行われている表示態様、換言すれば、大当り発生を示す表示態様が導出されやすいことを遊技者に連想させうる表示態様をいい、たとえば、装飾図柄の一部(たとえば、左図柄と右図柄)が所定の当り有効ライン上で聴牌状態を導出表示しており、いまだ導出表示されていない装飾図柄(たとえば、中図柄)が、所定時間継続して停止、揺動、または拡大縮小あるいは変形しながら最終結果が表示される前段階で大当り発生の可能性が継続している状態やその様子をいう。したがって、たとえ、リーチ状態が形成されても、装飾図柄変動表示ゲームの結果が必ずしも当りとなるとは限らず、導出表示された結果が大当り発生を示す表示態様でない場合には今回のゲーム結果は「ハズレ」となり、装飾図柄変動表示ゲームが終了する。このリーチ演出には、大当り当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれ、たとえば特定のリーチ状態が出現すると、通常のリーチ状態(ノーマルリーチ(Nリーチ))に比べて、大当り発生の信頼度(大当り当選期待度)が高まるものがある。このような特定のリーチ状態をスーパーリーチ(SPリーチ)という。なお、大当り当選期待度が同じあるいは類似するリーチ状態を伴うリーチ演出であっても、一の演出モード下でなされるリーチ演出と他の演出モード下でなされるリーチ演出とで、その呼称が異なる場合がある。また、リーチ演出には、上述のNリーチやSPリーチを含む複数種類のリーチ演出が含まれる。以下では、説明の便宜上、リーチ状態に着目して、リーチ演出を単にNリーチやSPリーチなどと称する場合がある。
上記疑似連とは、装飾図柄の疑似連続変動表示状態(以下、「疑似変動」と略す)を伴う演出態様をいう。疑似変動とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を特定の表示態様で仮停止状態(見た目上、停止表示したかの如く装う変動停止動作)させ、その仮停止状態中の装飾図柄を再び再変動表示させる、といった表示動作を1または複数回繰り返す変動表示態様をいう。この疑似変動を行う場合、通常の装飾図柄に替えて特殊な装飾図柄を1または複数種類含ませて上記特定の表示態様で仮停止させる場合もある。この疑似連は、主に、リーチ演出を期待させる予告演出として利用され、本実施形態では、疑似変動が最大4回(疑似4連)まで繰り返されるようになっている。
この疑似変動の回数が相対的に多いほど大当り当選期待度が高まり、たとえば、SPリーチへの発展に期待が持てるようになっている。
(4−2.当り遊技中の演出について)
次に図4を参照して、各当り遊技中の演出(以下、「当り中演出」と称する)について説明する。
(T−1.当り中演出テーブル:図4)
図4に、当り中演出テーブルを示す。この当り中演出テーブルには、演出内容が異なる複数種類の当り中演出テーブルが含まれ、それぞれ、オープニング演出、各ラウンドに対応したラウンド演出、およびエンディング演出など、当り遊技の進行に伴い現出すべき演出内容(当り中演出シナリオ)が定められている。この当り中演出テーブルは、次に述べる「当り中演出テーブル選択テーブル」に基づき、決定されるようになっている。
(T−2.当り中演出テーブル選択テーブル:図5)
図5に、当り中演出テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の当り中演出テーブル選択テーブルには、図示のように、当選種別(ハズレを除く)に応じて、複数種類の当り中演出テーブルからいずれか一つの当り中演出テーブルが抽選により決定されるようになっている。なお、たとえば、当り中演出1テーブル(WINTBL−P1)〜当り中演出テーブル6(WINTBL−P6)は、ラウンド遊技数‘15ラウンド(15R)’を伴う大当りの場合に選択され、当り中演出7テーブル(WINTBL−P7)は、2R低ベース確変大当りか、または小当りの場合に選択される。図中のアラビア数字は振分値を示し、たとえば、15R低ベース非確変大当りの場合、当り中3演出テーブル(WINTBL−P3)は40/100(振分値/抽選領域の大きさ)、当り中演出5テーブル(WINTBL−P5)は60/100で選択されるようになっている。他の当り中演出テーブルも同様である。
上記当り中演出は、主に、大当り開始時のオープニング演出(以下、「OP演出」と略す)、ラウンド遊技中はラウンド演出、最終ラウンド遊技終了後のエンディング演出(以下、「ED演出」と略す)から構成される。本実施形態の当り中演出は、OP演出〜ED演出を通じて物語性を有した、いわゆる「ストーリー形式」の演出が展開されるようになっている。ここでは、主人公と敵キャラクタとが戦いを繰り広げていき、その戦闘結果に応じて、今回の大当りの種類を推測する楽しみを遊技者に与える「バトル(戦闘)演出」を採用している。
次に、各当り演出中テーブルにおいて展開される演出内容について説明しておく。先ず、ラウンド遊技数‘15R’を伴う大当りの場合に選択可能性がある「当り中演出1テーブル(WINTBL−P1)〜当り中演出6テーブル(WINTBL−P6)」について説明する。本実施形態の当り中演出1テーブル〜当り中演出6テーブルが選択された場合、バトル演出として、自艦(主人公)と敵艦(敵キャラクタ)とが海戦を繰り広げる艦隊戦を模したバトル演出が現出されるようになっている。
本実施形態の大当りによる当り遊技のうち、15R高ベース確変大当り遊技の前半部(6R目まで)のラウンド遊技と、低ベース系の大当りによる大当り遊技(15R低ベース非確変大当り遊技、15R低ベース確変α大当り遊技、15R低ベース確変β大当り遊技)が実質的に同一の遊技動作態様となっている。このため、前半部のラウンド遊技中においては、外観上に現れる機械的な遊技動作(下大入賞口40の開閉動作パターン)を見ても、どの大当りに起因した大当り遊技であるかを見分けることが困難または不可能になっている。本実施形態では上述の各大当り遊技の前半部が同一とする大当り遊技動作態様に着目し、前半部のラウンド遊技におけるバトル演出の展開を大当りの種類に応じて変化させるとともに、そのバトル演出の展開やその結果により、今回当選した大当り種別が如何なる大当りであったのかを推測する楽しみを遊技者に与えることができるようになっている。
(当り中演出1テーブル:WINTBL−P1)
図4を参照して、まず当り中演出1テーブル(WINTBL−P1)において展開されるバトル演出について説明する。当り中演出1テーブルは、15R高ベース確変大当り当選を条件に選択可能性がある当り中演出テーブルである。この当り中演出1テーブルが選択された場合、まず「OP演出」では、大当り遊技開始時の演出として、バトル演出が開始された旨を報知する「戦闘開始演出」が現出される。
(当り中演出1テーブルの1R目〜2R目のラウンド演出)
1R目のラウンド演出では、自艦と敵艦とが攻撃態勢に入りながら対峙する様子を表現した「対峙演出」が現出される。なお、「対峙演出」および「OP演出」の少なくともいずれか一方においては、下大入賞口40への入賞を促すための指示情報(たとえば、「右打ちせよ」の文字表示や下大入賞口40が開放される旨の表示:第1の当り中発射位置誘導演出)も併せて報知される。これにより遊技者は、下大入賞口40側が開放される旨を知ることができる。
続いて、2R目のラウンド演出では、自艦が装備する複数種類の艦載砲(主人公が敵キャラクタを攻撃する際に使用するアイテム(攻撃アイテム):たとえば、小口径砲(弱攻撃)、中口径砲(中攻撃)、大口径砲(強攻撃))のうちから一つの艦載砲(武器)を選択させるといった「攻撃法選択演出」が現出される。この「攻撃法選択演出」は、遊技者参加型のゲーム演出(遊技者参加型演出)となっており、たとえば、複数種類の艦載砲(選択可能な攻撃アイテム)がルーレット方式で表示され、遊技者が所定の表示時間内に枠演出ボタン13を操作するか、または自動的に、いずれか一つの艦載砲が決定されるようになっている。なお、上記「攻撃法選択演出」において、艦載砲の種類の選択を所定の抽選により決定されるように構成し、選択された艦載砲の種類に応じて、相対的に高い利益を伴う大当りへの当選期待度が高まるような演出態様を採用しても良い。たとえば、「小口径砲(期待度低)<中口径砲<大口径砲(期待度高)」という関係で、確変状態を伴う大当りへの当選期待度が高まるようにしても良いし、15R高ベース確変大当りへの当選期待度が高まるようにしても良い。この場合、大当りの種類に応じて、艦載砲の選択率を異なるようにし、たとえば、15R低ベース非確変大当りや15R高ベース確変α大当りであった場合よりも15R高ベース確変大当りであった場合の方が、攻撃力の高い艦載砲(たとえば、大口径砲)の選択率を相対的に高めるようにする。また、遊技者が所定の表示時間内に枠演出ボタン13を操作しない場合、強制的に上記小口径砲が選択されるようにしても良い。
(当り中演出1テーブルの3R目〜6R目のラウンド演出)
3R目のラウンド演出では、自艦が敵艦に対し先制攻撃する様子を表現した「自艦先制攻撃演出(主人公先制攻撃演出)」が現出される。続く、4R目のラウンド演出では、自艦の攻撃が敵艦に命中する様子を表現した「敵艦被弾演出(主人公攻撃命中演出)」が現出され、5R目のラウンド演出では、敵艦が大破し爆沈していく様子を表現した「敵艦撃沈演出」が現出される。そして6R目のラウンド演出では、今回のバトル演出の結果として、今回の戦闘結果が「勝利」である旨を報知する「勝利演出」が現出される。この勝利演出は「バトル結果報知演出」としての役割を担い、本実施形態では、「勝利」の文字画像が液晶表示装置36の画面上に表示される。なお、上記「勝利演出」は、今回の当り種別を当りの種類そのものを報知する役割も担い、ここでは実質的に、大当りが15R高ベース確変大当りであった旨が報知されることになる。
(当り中演出1テーブルの7R目のラウンド演出〜ED演出)
7R目〜15R目のラウンド演出では、上述した「勝利演出」の流れ(ストーリー展開)を受けて、各ラウンド演出を通じて、戦闘に勝利した自艦が旭日旗を掲げながら母港に帰港して国民に祝福を受ける様子を表現した「凱旋演出(祝福演出)」が現出される。この「凱旋演出」は、大当り種別のうちで最高利益が付与される大当りに当選したことを祝福する内容となっており、祝福演出の一態様として用いられる。
上記「勝利演出」が現出される大当り、つまり15R高ベース確変大当りの場合、7R目以降のラウンド遊技において、右大入賞口50が長開放時間で開放されることになる。そこで、上記「凱旋演出」および「勝利演出」の少なくともいずれか一方において、右大入賞口50への入賞を促すための指示情報(たとえば、「右打ちせよ」の文字表示や右大入賞口50が開放される旨の表示(第2の当り中発射位置誘導演出)も併せて報知される。これにより遊技者は、7R目以降は、右大入賞口50側が開放される旨を知ることができる。
15R目が終了すると、大当り遊技終了時(規定ラウンド数のラウンド遊技終了後)の演出として、「ED演出」が現出される。この「ED演出」は、大当り遊技後の移行先となる演出モードを示唆する「モード移行演出」としての役割を担う。ここでの「ED演出」は、確変状態が継続する旨を報知する「戦闘継続演出(確変継続報知演出)となっており、その内容は、遊技状態に着目すれば、大当り遊技後の遊技状態が確変状態に移行される旨を、演出モードに着目すれば、確変状態に関連する演出モード(確変演出モード)に移行される旨を報知する、といったものである。なお、上記7R目〜15R目の演出(凱旋演出)とED演出(戦闘継続演出)とを含めた一連の演出を、上記モード移行演出として捉えても良い。
なお、上記当り中演出1テーブルの場合、‘先制攻撃演出’を経て‘敵艦被弾演出’が発生された時点で「勝利演出」が現出されることが確定する、つまり、バトル演出結果が報知されるラウンドより前のラウンドにおいて当該結果が遊技者側に悟られる、といった演出遷移態様になっている。しかしこれに限らず、より緊張感の溢れるバトル演出を展開させるべく、特定のラウンド目(たとえば、大入賞口の開閉動作パターンが切り替わる直前のラウンド(本実施形態では、前半部終了となる6R目))のラウンド演出中に初めて、バトル演出結果が判明する演出遷移態様としても良い(後述の各当り中演出テーブルについても同様)。
(当り中演出2テーブル:WINTBL−P2)
次に、当り中演出2テーブル(WINTBL−P2)において展開されるバトル演出について説明する。当り中演出2テーブルは、15R低ベース確変β大当り当選を条件に選択可能性がある当り中演出テーブルである。なお、この当り中演出2テーブルが選択された場合のOP演出〜2R目までの演出態様は、当り中演出1テーブルで説明したものと同じであるので、重複記載を避けるために詳細な説明は省略し、ここでは3R目〜ED演出について説明する。
(当り中演出2テーブルの3R目〜6R目のラウンド演出)
3R目のラウンド演出では上記「自艦先制攻撃演出」が現出され、4R目のラウンド演出では、敵艦が攻撃を回避するための回避運動を行っている様子を表現した「敵艦回避運動演出(敵回避演出)」が現出される。この回避運動演出が現出された場合、上記「勝利演出」が現出されないことが確定し、遊技者は以降のバトル演出の展開(後述する「敗北演出」ではなく「引き分け演出」出現すること)に期待を寄せることになる。続く5R目のラウンド演出では、敵艦が戦域から退却していく様子を表現した「敵艦退却演出(敵逃亡演出)」が現出される。そして6R目のラウンド演出では、今回のバトル演出の結果として、今回の戦闘結果が「引き分け」である旨を報知する「引き分け演出」が現出される。この引き分け演出も上記「バトル結果報知演出」としての役割を担い、本実施形態では、「引き分け」の文字画像が液晶表示装置36の画面上に表示される。なお、上記「引き分け演出」は、今回の当り種別または当りの種類そのものを報知する役割も担い、ここでは実質的に、15R低ベース確変β大当りであった旨が報知されることになる。
(当り中演出2テーブルの7R目のラウンド演出〜ED演出)
7R目〜15R目のラウンド演出では、上述した「引き分け演出」の流れを受けて、各ラウンド演出を通じて、撤退しながら回避運動を行う敵艦を自艦が追撃する様子を表現した「敵艦追撃演出(敵追撃演出)」が現出される。この「敵艦追撃演出」は、上記「凱旋演出」と同じような働きをする演出であり、大当り種別のうち、相対的に高い利益が付与される大当りに当選したことを祝福する内容となっており、祝福演出の一態様として用いている。
上記「引き分け演出」が現出される大当りの場合、つまり15R低ベース確変β大当りの場合、7R目以降のラウンド遊技では、右大入賞口50が長開放時間で開放されずに短開放時間にて開放されることになる。このため、7R目以降は、右大入賞口50に入賞させることが困難であり、無駄球の発生による遊技者の利益を損なう恐れがある。この場合、上記「引き分け演出」と「敵艦追撃演出」とにおいては、上記指示情報(第1の当り中発射位置誘導演出)の報知を停止しても良い。
15R目が終了すると「ED演出」が現出される。ここでの「ED演出」では、大当り遊技終了時の演出として、当り中演出1テーブルの場合と同じ「戦闘継続演出(確変継続報知演出)」が現出される。なお、上記7R目〜15R目の演出(敵艦追撃演出)とED演出(戦闘継続演出)とを含めた一連の演出を、上記モード移行演出として捉えても良い。
(当り中演出3テーブル:WINTBL−P3)
次に、当り中演出3テーブル(WINTBL−P3)において展開されるバトル演出について説明する。当り中演出3テーブルは、15R低ベース非確変大当りか、または15R低ベース確変α大当り当選を条件に選択可能性のある当り中演出テーブルである。なお、この当り中演出テーブル3が選択された場合のOP演出〜2R目までの演出態様は、上記当り中演出1テーブルの場合と同じであるので、重複記載を避けるために詳細な説明は省略し、ここでは3R目〜ED演出について説明する。
(当り中演出3テーブルの3R目〜6R目のラウンド演出)
3R目のラウンド演出では上記「自艦先制攻撃演出」が現出され、4R目のラウンド演出では、上記「敵艦回避運動演出」が現出される。続く5R目のラウンド演出では、敵艦に攻撃を回避されてしまい、敵艦の反撃により自艦が被弾してしまった様子を表現した「敵艦反撃演出(主人公攻撃失敗演出)」が現出される。そして6R目のラウンド演出では、今回のバトル演出の結果として、今回の戦闘結果が「敗北」である旨を報知する「敗北演出」が現出される。この敗北演出も「バトル結果報知演出」としての役割を担い、本実施形態では、「敗北」の文字画像が液晶表示装置36の画面上に表示される。
この上記「敗北演出」は、今回の当り種別または当りの種類そのものを報知する役割も担い、ここでは、15R低ベース非確変大当りか、または15R低ベース確変α大当りであった旨が報知されることになる。つまり「敗北演出」は、確変大当りだけでなく、非確変大当りの可能性もある点で、実質的に当りの種類そのものが判明する「勝利演出」や「引き分け演出」とは異なる。本実施形態のバトル演出では、上述の「敗北演出」を現出させることにより、今回の大当りが確変大当りであったのか、あるいは非確変大当りであったのかを秘匿状態にすることを可能にし、バトル演出の展開に緊張感を持たせることにより、当り中演出の面白みを向上させることができるようになっている。
(当り中演出3テーブルの7R目のラウンド演出〜ED演出)
7R目〜15R目のラウンド演出では、上述した「敗北演出」の流れを受けて、各ラウンド遊技を通じて、被弾した自艦が母港の船ドックにて修理を行う様子を表現した「入渠演出(惜敗演出)」が現出される。この「入渠演出」は、大当り種別のうちで相対的に低い利益が付与される大当りに当選したことを報知する内容となっており、惜敗演出(主として、バトル演出の結果が残念な結果に終わったことを報知するための演出)の一態様として用いられる。
上記「敗北演出」が現出される大当り、つまり15R低ベース非確変大当りまたは15R低ベース確変α大当りの場合、7R目以降のラウンド遊技中、右大入賞口50が長開放時間で開放されずに短開放時間にて開放されることになる。このため、上記「敗北演出」と「入渠演出」とにおいては、上記指示情報(第1の当り中発射位置誘導演出)の報知を停止しても良い。
15R目が終了すると「ED演出」が現出される。ここでの「ED演出」は、確変状態が継続するか否かを明らかにせずに秘匿する「再出撃演出(確変継続秘匿演出)」が現出される。この「再出撃演出」は、上記モード移行演出としての役割を担い、その内容は、遊技状態に着目すれば、大当り遊技後の遊技状態が時短状態あるいは確変状態Cに移行する旨を、演出モードに着目すれば、時短状態に関連する演出モード(チャンス演出モード)に移行する旨を報知する、といったものである。なお、上記7R目〜15R目の演出(入渠演出)とED演出(再出撃演出)とを含めた一連の演出を、上記モード移行演出として捉えても良い。
(当り中演出4テーブル:WINTBL−P4)
次に、当り中演出4テーブル(WINTBL−P4)において展開されるバトル演出について説明する。当り中演出4テーブルは、上記した当り中演出3テーブルと同じく、15R低ベース確変β大当り当選を条件に選択可能性がある当り中演出テーブルである。なお、この当り中演出4テーブルが選択された場合のOP演出〜2R目までの演出態様は、当り中演出1テーブルと同じであるので、重複記載を避けるために詳細な説明は省略し、ここでは3R目〜ED演出について説明する。
(当り中演出4テーブルの3R目〜6R目のラウンド演出)
3R目のラウンド演出では、敵艦が自艦に対し先制攻撃する様子を表現した「敵艦先制攻撃演出(敵先制攻撃演出)」が現出される。4R目のラウンド演出では、敵艦の攻撃が自艦に命中する様子を表現した「自艦被弾演出(敵攻撃命中演出))」が現出される。この自艦被弾演出が現出された場合、上記「勝利演出」が現出されないことが確定し、遊技者は以降のバトル演出の展開(「敗北演出」ではなく「引き分け演出」が出現すること)に期待を寄せることになる。続く、5R目のラウンド演出では、自艦が被弾しつつも、敵艦の攻撃を回避するための回避運動を行っている様子を表現した「自艦回避運動演出(主人公防御演出)」が現出される。そして6R目のラウンド演出では、今回のバトル演出の結果として、上記「引き分け演出」が現出される。
(当り中演出4テーブルの7R目のラウンド演出〜ED演出)
7R目〜15R目のラウンド演出では、上述した「引き分け演出」の流れを受けて、各ラウンド演出を通じて、自艦が回避運動を行いながら敵艦に対して反撃準備を行う様子を表現した「反撃準備演出」が現出される。この「反撃準備演出」は、上記「敵艦追撃演出」と同じような働きをする演出である。なお、上記「引き分け演出」と「反撃準備演出」とにおいては、当り中演出3テーブルが選択された場合と同様に、上記指示情報(第1の当り中発射位置誘導演出)の報知を停止しても良い。
15R目が終了すると「ED演出」が現出される。ここでの「ED演出」では、大当り遊技終了時の演出として、当り中演出1テーブルの場合と同じく「戦闘継続演出(確変継続報知演出)」が現出される。なお、上記7R目〜15R目の演出(反撃準備演出)とED演出(戦闘継続演出)とを含めた一連の演出を、上記モード移行演出として捉えても良い。
(当り中演出5テーブル:WINTBL−P5)
次に、当り中演出5テーブル(WINTBL−P5)において展開されるバトル演出について説明する。当り中演出5テーブルは、当り中演出3テーブルと同じく、15R低ベース非確変大当りか、または15R低ベース確変α大当り当選を条件に選択可能性がある当り中演出テーブルである。なお、この当り中演出テーブル5が選択された場合、OP演出〜2R目までの演出態様は上記当り中演出1テーブルの場合と同じであり、また7R目のラウンド演出〜ED演出の演出態様については上記当り中演出3テーブルの場合と同じであるため、これらラウンド演出については重複記載を避けるために詳細な説明は省略し、ここでは、3R目〜6R目のラウンド演出について説明する。
(当り中演出5テーブルの3R目〜6R目のラウンド演出)
3R目のラウンド演出では上記「敵艦先制攻撃演出」が現出され、4R目のラウンド演出では、上記「自艦被弾演出」が現出される。続く5R目のラウンド演出では、自艦が敵艦の攻撃の回避に失敗し、その結果、大破炎上する様子を表現した「自艦大破演出(主人公防御失敗演出)」が現出される。そして6R目のラウンド演出では、今回のバトル演出の結果として、今回の戦闘結果が「敗北」である旨を報知する「敗北演出」が現出される。
(当り中演出6テーブル:WINTBL−P6)
次に、当り中演出6テーブル(WINTBL−P6)において展開されるバトル演出について説明する。当り中演出6テーブルは、15R高ベース確変大当り当選を条件に選択可能性がある当り中演出テーブルである。なお、この当り中演出テーブル6が選択された場合のOP演出〜2R目までの演出態様と、7R目〜ED演出までの演出態様とが上記当り中演出1テーブルの場合と同じであるので、重複記載を避けるために詳細な説明は省略し、ここでは、3R目〜6R目のラウンド演出について説明する。
(当り中演出6テーブルの3R目〜6R目のラウンド演出)
3R目のラウンド演出では上記「敵艦先制攻撃演出」が現出され、4R目のラウンド演出では、自艦が敵艦の攻撃を回避するための回避運動を行っている様子を表現した「自艦回避運動演出(主人公回避演出)」が現出される。続く、5R目のラウンド演出では、自艦が反撃に転じ、攻撃が敵艦に命中する様子を表現した「自艦反撃演出(主人公反撃演出)」が現出される。そして6R目のラウンド演出では、今回のバトル演出の結果として、上記「勝利演出」が現出される。
次に、2R低ベース確変大当り遊技中または小当り遊技中の当り中演出(当り中演出7テーブル(WINTBL−P7)における演出態様)について説明する。
(当り中演出7テーブル:WINTBL−P7)
2R低ベース確変大当りまたは小当りに当選した場合には、当り中演出7テーブル(WINTBL−P7)が選択される。当り中演出7テーブルにより展開される当り中演出は、当り中演出1テーブル〜当り中演出6テーブルのような海戦を繰り広げるといった「バトル演出」とは異なる専用の演出態様となっている。ここでは、OP演出〜ED演出を通じて、乗組員が索敵電探により敵の艦影を発見した様子を表現した「敵影発見演出」が現出される。この敵影発見演出は、上記「モード移行演出」としての役割を担い、その内容は、遊技状態に着目すれば、大当り遊技後の遊技状態が潜確状態となる可能性がある旨を報知する、演出モードに着目すれば、秘匿演出モードに移行する旨を報知、といったものである。換言すれば、2R低ベース確変大当り当選可能性がある旨を報知する(当選期待感を与える)「潜確移行期待演出」となっている。したがって、2R低ベース確変大当りまたは小当りに当選した場合、これらの当り遊技中の動作態様が双方ともに同一または酷似する動作態様で制御されるとともに、当り中演出も同一の演出態様を現出させ、さらに当り遊技終了後の演出モードを秘匿演出モードに移行させることで、当り終了後の遊技状態を秘匿状態とし、遊技者に対して潜確状態の期待感を与えることができるようになっている。
なお、パチンコ遊技機1による各種の演出は、遊技機に配設された演出手段により現出される。上記演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることができる刺激伝達手段であれば、いずれも本発明における演出手段として採用することができる。装飾ランプ45やLED装置、スピーカ16、液晶表示装置36などの光発生手段、音響発生装置、演出表示装置、ないし操作者の体に振動を伝える加振装置、あるいは視覚的演出効果がある可動体役物などは、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。また、遊技者が操作可能な演出手段(手操作手段)に対して振動を与える加振手段を設けたり、通常時は操作可能状態に置き、特定期間中になるとその操作不能状態に置く操作固定化手段を設けたりしても良い。
<5.制御装置:図3>
図3は、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の遊技動作制御を行う制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係るパチンコ遊技機1の制御装置は、遊技に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御部(主制御手段)20と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出制御(演出現出制御)を統括的に司る演出制御部(演出制御手段)24と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板(電源制御手段)31と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(5−1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、ROM202(主制御ROM)と、RAM203(主制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータ(本実施形態ではZ80システム相当品を採用している)を構成している。ROM202には、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要となる所定のデータが格納されている。またRAM203は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、遊技進行の際に必要なデータが処理状態に応じて格納されて利用される。また図示はしていないが、主制御部20には、上記各種の抽選に利用される乱数値を生成する乱数発生回路、周期的割り込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC(Counter Timer Circuit:)、およびCPUに割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路などを含んで構成されている。
ここでCPU201は、Z80(ザイログ社製またはこれの相当品)のCPUである。Z80は、データバスが8ビット、アドレスバスが16ビットのCPUであるが、広いメモリ空間を必要とせず、その上、高速処理や複雑な数値演算処理も必要としないパチンコ機の制御には最適である。Z80CPUは、主レジスタ(A、F、B、C、D、E、H、L)、補助レジスタ(A’、F’、B’、C’、D’、E’、H’、L’)、専用レジスタ(I、R、IX、IY、SP、PC)に分類されるレジスタを有している。
主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、下大入賞口40への入賞を検出する下大入賞口センサ42aと、右大入賞口40への入賞を検出する右大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aとが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
また主制御部20には、可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、下大入賞口40の開放扉42bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド42cと、右大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cと、が接続され、主制御部20はこれらを制御するための励磁信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また、主制御部20には、普通図柄表示装置39が接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、遊技進行に関する情報(大当り当選情報や賞球数情報や図柄変動表示ゲームが実行された旨の情報など)を、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信可能となっている。ホールコンピュータHCは、パチンコホールの遊技機を統括的に管理する管理コンピュータであり、遊技機外部に配設されている。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続されている。払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。他方、払出制御基板29は、主制御部20に対し、払い出し動作状態に関する情報(払出状態信号)を送信可能となっている。主制御部20側では、この払出状態信号に基づき、遊技球払出装置19が正常に機能しているか、あるいは賞球の払い出しに不具合が発生していないか(たとえば、玉詰まりや賞球の払い出し不足)などが管理される。
また主制御部20は、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する変動表示ゲームの始動権利としての作動保留球を、それぞれ最大4個まで搭載RAM203に記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留記憶可能な構成となっている。
(5−2.演出制御部24)
演出制御部24には、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、ROM242(演出制御ROM)と、RAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音源IC、CTC、および割り込みコントローラ回路などが設けられている。演出制御ROM242には、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要となる所定のデータが格納されている。またRAM243は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、演出制御コマンドや演出抽選に利用される演出抽選用乱数値や演出状態情報など、遊技に関する演出を現出させるために必要なデータが格納され利用される。この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出態様(演出パターン)の抽選、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45やLEDの発光制御などである。
また演出制御部24は、光と音についての演出処理を行うため、装飾ランプ45やLEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部と、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部とを備えている。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部には、液晶表示装置36の表示制御を行うために必要な制御データを生成してVDP(Video Display Processor)に出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの動作手順を記述したプログラムや画像表示制御に必要な所定のデータを格納した液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMとを搭載している。また表示制御部には、液晶制御CPUに接続されて画像展開処理を行うVDPと、VDPが画像展開する必要な画像データを格納した画像データROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAMなども設けられている。
装飾図柄変動表示ゲームに関する情報に関しては、まず主制御部20側が、始動口に遊技球が入賞したことを契機に、具体的には、上始動口34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件が成立したことを条件に、「大当り(小当りを含む)」または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する当落抽選と、「大当り」であったならばその当り種別を、また「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する図柄抽選(図柄抽選)とを含む大当り抽選を行い、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターン(たとえば、抽選結果、変動時間、疑似連の有無やその回数、リーチ演出の有無やリーチ演出有りとする場合はその種類に関する情報など)や、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。このとき、処理状態を指定する演出制御コマンドとして、少なくとも上記当落抽選結果および特別図柄の変動パターン情報を含む「変動パターン指定コマンド」と、少なくとも特別停止図柄情報を含む「装飾図柄指定コマンド」とを演出制御部24に送信する構成となっている。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる上記変動パターン指定コマンドや装飾図柄指定コマンドに含まれる情報に基づき、装飾図柄変動表示ゲーム中に現出すべき演出を複数種類の演出のうちから抽選により決定すると共に、特別図柄の変動パターンのタイムスケジュールに従い装飾図柄の変動表示を開始させる。演出制御部24側では、今回決定した演出シナリオの内容に対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aを制御する。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像表示演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45およびLED等の点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号が送信されて来ると、演出制御部24のCPU241は、これに対応して割り込みを発生させ、この割り込み処理によってコマンドを受信する。ストローブ信号はCPU201により、CPU241が確実にコマンドを受信することが可能な所定期間アクティブ状態に制御される。
また主制御部20は、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する変動表示ゲームの始動記憶である作動保留球を、それぞれ最大4個まで搭載RAM203に記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留可能な構成となっている。特に、特別図柄変動表示ゲームについては、始動口(上始動口34または下始動口センサ35)に遊技球が入賞して作動保留球が発生した場合、当該作動保留球が変動表示動作の実行に供されるときに行われる大当り抽選よりも先立って、当該作動保留球に係る大当り抽選結果がどのような結果になるかの判定が行われる。この事前に実行される始動口入賞時の先読み的な大当り抽選に係る判定を「先読み判定」と称する。
さらに先読み判定結果に基づき、その作動保留球が変動表示動作の実行に供される際のベースとなる特別図柄の変動パターン(変動開始時の変動パターン)も事前決定される。この事前決定される特別図柄の変動パターンを「先読み変動パターン」と称する。先読み変動パターンにおいても、上記変動開始時の変動パターンと同じく、先読み判定で得られた結果から、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報を含ませることができる。なお上記「変動表示動作の実行に供される際のベースとなる特別図柄の変動パターン」とは、たとえばリーチ演出として、SPリーチ1〜3の3種類のSPリーチを設けた場合を例にとって説明すれば、一の作動保留球に係る先読み変動パターンにより指定される内容は、SPリーチの種類そのもの(たとえば、SPリーチ1を伴う変動パターンなど)が指定されるのではなく、その作動保留球が変動表示動作の実行に供される際の特別図柄の変動パターンの骨子である「SPリーチ」である旨が指定されるようになっている。
主制御部20は、演出制御コマンドの一つとして、少なくとも上記先読み変動パターン情報を含む「保留加算コマンド」を演出制御部24に送信し、これを受けた演出制御部24は、その作動保留球を対象とした先読み判定の内容を知得し、その内容に基づき、液晶表示装置36または専用の保留表示装置(図示せず)を用いて、所定の条件下で、先読み判定結果に関連する情報を報知させる。この報知態様は「先読み予告演出」と称され、煽り演出の一つとして利用される。演出制御部24は、保留加算コマンドの受信を条件に、所定の抽選(先読み予告演出を発生させるか否かに関する抽選。以下「先読み予告抽選」と称する)により上記先読み予告演出の実行可否を決定し、先読み予告を実行可と決定した場合には、図柄変動表示ゲームの開始と同時に、またはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とした先読み予告演出を現出制御する。
<6.先読み予告演出態様:図6、図7>
次に図6および図7を参照しながら、本実施形態の先読み予告演出態様について説明する。
図6を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1では、液晶表示装置36の画面内の一部に(たとえば、装飾図柄の表示エリアの下方)に、特別図柄1側の保留表示領域76と特別図柄2側の保留表示領域77とが設けられ、作動保留球の有無に関しては、その旨を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される(図6(イ)参照)。この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示(各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として示される)され、各保留表示領域76、77には最大4個の保留表示が可能となっている(図6(ロ)参照)。図6に示す実施形態の場合、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留個数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1〜d1(特図図柄1側に対応)、a2〜d2(特図図柄2側に対応)により構成され、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として機能する構成となっている。なお本実施形態では、保留表示部a1〜d1と保留表示部a2〜d2に作動保留球が重複して存在する場合(特別図柄1および特別図柄2の双方に保留記憶がある場合)、保留表示部a2〜d2側の作動保留球の方を優先して消化するようになっている。つまり特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行されるようになっている。
これらの保留表示部a1〜d1、a2〜d2は、通常は、先読み判定する際に存在する作動保留球数と同数、たとえば3個だけ、その表示態様が作動状態(点灯状態)に切り替えられるように制御され、したがって作動保留球数を表示する手段として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1〜d1、a2〜d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(専用保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段として働く。
演出制御部24側では、主制御部20から送られてくる上記保留加算コマンドを受けた場合、上記保留表示態様に関する表示制御の一環として、先読み予告抽選および先読み予告抽選結果に基づく演出制御処理が行われるようになっている。この先読み予告抽選に当選した作動保留球が先読み予告演出の対象となった作動保留球である(たとえば、図6(イ)のハッチングを施した保留表示部b2が該当する)。上記先読み予告抽選による当選確率は、「ハズレ」の場合よりも「大当り」の場合の方が、また大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別の方が高い確率で当選するように定めてあり、先読み予告が発生するか否かにより、大当りへの当選期待度が示される。たとえば保留表示部a1〜d1、a2〜d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、白色、青色、黄色、緑色、赤色、虹色などの特殊な表示態様に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出がなされる。ここで保留アイコンの白色、青色、黄色、緑色、赤色、虹色の表示は、この色の順に、大当りとなる期待度が高いことを意味しており、特に虹色の保留アイコンの場合は、大当りとなることが確定(当確)することを遊技者に報知する。しかし、保留表示変化系の演出手段の表示態様としては、このような保留表示色を変化させることに限らず、特殊なキャラクタを模したアイコンなどに変化するようにしても良い。この「入賞時変化系」の先読み予告演出では、その作動保留球を対象とした特別図柄の変動表示動作の実行に供される際に大当り当選期待度が高い演出(たとえば、疑似連やSPリーチ)が現出される可能性が高まるといった、作動保留球を対象とした特別図柄変動表示ゲームの結果に関する情報を前もって遊技者に報知することが可能になる。
現存する作動保留球は一の図柄変動表示ゲームが完了することで順次消化され、これに伴い、保留表示部の作動保留球数の表示位置が繰り上げ移行(シフト)され、その表示個数が減じられるといった表示が行われるが、上記した通常と異なる保留表示態様は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。この点、上記の入賞時変化系(保留表示変化系)の先読み予告演出は、複数回の特別図柄変動表示ゲームに跨って予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。
また先読み予告演出には、上述の「入賞時変化系(保留表示変化系)」の先読み予告演出の他、「変動開始時変化系」の先読み予告演出がある。この「変動開始時変化系」の先読み予告は、図柄変動表示ゲームの開始を契機としてなされる先読み予告で、たとえば液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像を表示させ、これを1または複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行し連続表示させるものである。すなわち、一の図柄変動表示ゲーム中に作動保留球が発生して始動条件が成立した場合、その始動条件成立に係る図柄変動表示ゲームを実行する権利を一旦保留記憶すると同時に、先読み予告演出を行うか否かに関し先読み予告抽選を行い、この先読み予告抽選に当選した場合には、その時点で現存する全ての保留記憶について、それらの図柄変動表示ゲームの関連を密接に関連した表現にする。つまり、記憶順にみて最も古い作動保留球から当該作動保留球までの現存する全ての作動保留球を対象とした図柄変動表示ゲームにおいて、液晶表示装置36の画面に専用の画像表示による予告演出を現出させる。この点、「変動開始時変化系」の先読み予告も、現存する作動保留球に跨って予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。
なお先読み予告演出開始条件として、入賞時変化系の先読み予告演出と変動開始時変化系の先読み予告演出を実施するか否かの先読み予告抽選は、入賞時変化系の先読み予告演出については、保留表示を変化させるか否かに関する抽選が行われ、変動開始時変化系の先読み予告演出については、専用の画像表示による予告演出を画面内に出現させるか否かに関する抽選が行われる。したがって入賞時変化系の先読み予告演出が出現した場合であっても、必ずしも変動開始時変化系の先読み予告演出が出現するとは限らない。またその逆に変動開始時変化系の先読み予告演出が出現した場合であっても、必ずしも入賞時変化系の先読み予告演出が出現するとは限らない。
次に、図7を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1が織り成す先読み予告演出態様について説明する。
図中(1)は、図柄変動表示ゲーム中(図示の「↓」は装飾図柄が変動表示中であることを示している)に上始動口34に入賞して特別図柄1側の作動保留球数が3個になったとし、その3個目のうち、第2番目に変動開始動作が実行される作動保留球が先読み予告演出の対象(ここでは、入賞時変化系の先読み予告抽選と変動開始時変化系の先読み予告抽選とに重複当選)となったケースを示している。またここでは、先に保留されていた第1番目と後に保留された第3番目の作動保留球については、先読み予告抽選非当選の作動保留球であったとする。
演出制御部24は、同図(1)示すように、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を通常とは異なる先読み専用の保留表示(以下、「専用保留表示」と称する)に変化させる。このとき、先読み予告の対象ではない第1番目および第3番目の作動保留球に対応する保留表示は、通常の保留表示(以下、「通常保留表示」と称する)のまま維持される。図示では、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を、通常保留表示(白丸(○)印)から専用保留表示(ハッチング付き丸印)に表示態様が変化した場合を示している。これにより、遊技者に対して先読み予告演出が開始された旨が報知される。今回、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して、装飾図柄が「246」で停止表示されたとする(結果は「ハズレ」とする)。
遊技進行は同図(2)に移り、主制御部20は、上記第1番目であった特別図柄1側の作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化(1つ消化)し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、作動保留球が1つ消化された状態を示す保留表示態様とし、当該第1番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、変動開始時変化系の先読み予告として、液晶表示装置36の画面内に先読み予告演出用の背景画像(ここでは、稲妻を模した稲妻画像表示による稲妻演出)を表示させる。これにより、液晶表示装置36の画面は、同図(2)に示すような表示態様になる。
そして遊技進行は同図(3)に移り、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して装飾図柄が「351」で停止表示されたとする(結果は「ハズレ」とする)。
続いて遊技進行は同図(4)に移り、主制御部20は、上記第2番目であった作動保留球、つまり先読み予告演出の対象となった作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、当該第2番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、入賞時変化系の「専用保留表示」は上記シフト時に画面から消え、今回の図柄変動表示ゲームの開始を契機に終了される。また変動開始時変化系の先読み予告(ここでは稲妻演出)も今回の図柄変動表示ゲームにおける発生を最後に終了される。なお同図(4)は、図柄変動表示ゲーム開始直後の液晶表示装置36の画面表示を示したものである。このようにして、一連の先読み予告演出が終了したことになる。その後、今回の図柄変動表示ゲーム中に、大当り期待度が高まる煽り演出(疑似連やリーチ演出(SPリーチ))などが発生すれば、遊技者の大当りへの期待感はより一層高まることになる。
このように本実施形態のパチンコ遊技機1では、連続予告演出の一態様として、上記のような先読み予告演出を発生させて、演出の多様化を図っている。
<主制御部側の処理:図8〜図71>
次に、図8〜図71を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作に関する処理手順について説明する。主制御部20側の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図8)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図9)とを含んで構成される。
<7.主制御側メイン処理:図8>
図8は、主制御部20側のメイン処理を示すフローチャートである。
メイン処理が開始されるのは、停電状態からの復旧時のように初期化スイッチ(図示せず)が操作されることなく電源がON状態になる場合と、初期化スイッチがON操作されて電源がON状態になる場合とがある。いずれの場合でも、パチンコ遊技機1に電源が投入されると、電源基板31によって各制御基板に電圧が供給され、主制御部20(CPU201)が図8に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理において、CPU201は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS11)。たとえば、最初に自らを割込み禁止状態に設定すると共に、所定の割込みモード(割込みモード2)に設定し、またマイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値を初期設定する。
次に、図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号であるRAMクリア信号の状態(ON、OFF)を判定する(ステップS12)。ここでRAMクリア信号とは、RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、パチンコ店の店員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
ここでは、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、ステップS12の判定結果が‘YES’となり、RAMの全領域がゼロクリアされる(ステップS16)。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなる。
次に、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するための「RAMクリア表示コマンド」が初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS17)。そして、RAMクリア報知タイマに、RAMクリアされた旨を報知するための時間として、たとえば、30秒を格納する(ステップS18)。
次に、タイマ割込み動作を起動する割込み信号を出力するCTCを初期設定して(ステップS19)、CPUを割込み許可状態に設定する。
その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数更新処理を実行する(ステップS20〜S22)。この各種乱数更新処理では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している大当り抽選に係る乱数(当落抽選に利用される大当り判定用乱数や図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)、変動パターン指定コマンドの抽選に係る乱数(変動パターン用乱数)、および補助当り抽選に係る補助当り判定用乱数を含む)の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(たとえば、大当り判定用初期値乱数、図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数など)を更新する(たとえば、カウンタのカウント値を1加算する)。
ステップS12の判定処理に戻って説明を続けると、停電状態からの復旧時には、初期化スイッチ(RAMクリア信号)はOFF状態である(ステップS12:YES)。そこで、このような場合、ステップS12の判定処理に続き、バックアップフラグ値を判定する(ステップS13)。なお、バックアップフラグは、電源遮断時にON状態(バックアップフラグ=5AH)に設定され、電源復帰後の最初のタイマ割込み処理の処理でOFF状態(バックアップフラグ=00H)にリセットされるよう構成されている。
したがって、電源投入時や停電状態からの復旧時である場合には、通常では、バックアップフラグがON状態のはずである。ただし、何らかの理由で電源遮断までに所定の処理が完了しなかったような場合には、バックアップフラグはリセット(OFF)状態になる。したがって、バックアップフラグがOFF状態となる場合には(ステップS13:NO)、ステップS16の処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻す。
一方、バックアップフラグがON状態であれば(ステップS13:YES)、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行する。ここで、チェックサム演算とは、RAM203のワーク領域を対象とする8ビット加算演算である。そして、チェックサム値が算出されたら、この演算結果を、RAM203のSUM番地の記憶値と比較をする(ステップS14)。上記SUM番地には、電源遮断時に、同じチェックサム演算によるチェックサム値が記憶されている。そして、記憶された演算結果は、RAM203の他のデータと共に、バックアップ電源によって維持されている。したがって、本来は、ステップS14の判定によって両者が一致するはずである。
しかし、電源遮断時にチェックサム演算が実行できなかった場合や、実行できても、その後、メイン処理のチェックサム演算の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップS14の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には(ステップS14:NO)、ステップS16の処理に進みRAMクリア処理を実行し、遊技機の動作状態を初期状態に戻す。一方、チェックサム演算によるチェックサム値と、SUM番地の記憶値とが一致する場合には(ステップS14:YES)、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を実行する。
ステップS15の遊技復旧処理を終えると、ステップS19の処理に進み、CTCを初期設定してCPUを割込み許可状態に設定し、その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、上述した各種乱数更新処理を実行する(ステップS20〜S22)。
<8.主制御側タイマ割込処理:図9>
次に図9を参照して、上記主制御側メイン処理実行中に割り込んで4ms程度ごとに実行される主制御側のタイマ割込処理について説明する。図9は、CTCからの一定時間ごとの割り込みで起動される主制御側のタイマ割込処理を示すフローチャートである。
図9において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、割り込み禁止状態に設定して、レジスタの内容を所定のスタック領域に退避させて(レジスタ退避処理)、以下のステップS51〜S65の処理を実行していく。
上述のレジスタ退避処理を終えると、まず、パチンコ遊技機1に電源が正常に供給されているか否かを確認する電源異常チェック処理を行う(ステップS51)。
次に、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を行う(ステップS52)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(たとえば、後述の特別図柄役物動作タイマなど)のタイマ値はここで更新される。
次に、入力管理処理を行う(ステップS53)。この入力管理処理では、パチンコ遊技機1に設けられた各種センサによる検出情報をRAM203に格納する。各種センサによる検出情報とは、たとえば、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、下大入賞口センサ42a、右大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43aなどの入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報である。これにより、各入賞口において入賞を検出したか否かが割り込みごとに監視される。またここでは、下始動口35や大入賞口40、50に不正入賞があったか否かも監視される。なお、入力管理処理の詳細については、図10〜図13にて後述する。
次に、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を行う(ステップS54)。この定期乱数更新処理では、大当り抽選に係る乱数や補助当り判定用乱数を含む特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数の加算(割込み毎に+1加算)および初期値(スタート値)の変更処理を行う。
次に、遊技動作状態の異常の有無を監視するエラー管理処理を行う(ステップS55)。このエラー管理処理では、遊技動作状態の異常として、たとえば、各種基板間の断線による断線エラーを監視したり、ゴト行為による不正入賞を監視したりし、これらのエラーが発生した場合には、そのエラーに対応したエラー処理を行う。不正入賞に係るエラー処理では、上記入力管理処理(ステップS53)中の普通電動役物入賞無効処理(後述の図12のステップS204)、または特別電動役物入賞無効処理(後述の図13のステップS205)において設定される不正情報報知タイマの状態を把握して、不正入賞の有無を監視する。具体的には、不正情報報知タイマを確認し、このタイマ値がゼロでなければ、不正入賞に関する報知処理、たとえば演出制御部24へのエラー報知用コマンドの送信が行われる。このエラー報知用コマンドを受けて、演出制御部24では、たとえばスピーカ46によるエラー音(警報音)の発生や装飾ランプ45によるランプの点滅などのエラー報知がなされる。またエラーの種類に応じて、所定の遊技動作(たとえば、遊技球の払い出し動作や遊技球の発射動作など)の進行を停止させる遊技停止手段を設けても良い。また、エラーが発生した際は、枠用外部端子基板21を介して、ホールコンピュータHCにエラー情報を報知するように構成しても良い。
次に、賞球管理処理を行う(ステップS56)。この賞球管理処理では、上記入力管理処理で格納したデータを把握して、入賞した遊技球数(入賞球数)をカウントする入賞カウンタの確認を行い、入賞がある場合には、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板29に送信する。この払出制御コマンドを受信した払出制御基板29は、遊技球払出装置19に払い出し動作を実行させる。これにより、入賞口に対応した賞球数(入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの所定の賞球数×入賞カウンタの値分)が払い出される。なお、上記入賞カウンタは、入賞口ごとに対応する入賞カウンタ(本実施形態では、RAM203の所定領域に、上始動口34用の上始動口入賞カウンタ、下始動口35用の下始動口入賞カウンタ、普通図柄始動口37用の普通図柄始動口入賞カウンタ、下大入賞口40用の下大入賞口入賞カウンタ、右大入賞口50用の右大入賞口入賞カウンタ、一般入賞口43用の一般入賞口用の入賞カウンタなど)が設けられている。
次に、普通図柄管理処理を行う(ステップS57)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームにおける補助当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、普通図柄の変動パターンや普通図柄の停止表示態様を決定する。
次に、普通電動役物管理処理を行う(ステップS58)。この普通電動役物管理処理では、普通図柄管理処理(ステップS57)の補助当り抽選の抽選結果に基づき、普電開放遊技発生に必要な普通電動役物ソレノイド41aに対するソレノイド制御用の励磁信号の生成およびそのデータ(ソレノイド制御データ)の設定を行う。ここで設定されたデータに基づき、後述のソレノイド管理処理にて、励磁信号が普通電動役物ソレノイド41aに対して出力される。
次に、特別図柄管理処理を行う(ステップS59)。この特別図柄管理処理では、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて特別図柄の変動パターンや停止特別図柄を決定する。なお、特別図柄管理処理の詳細は図14にて後述する。
次に、特別電動役物管理処理を行う(ステップS60)。この特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果が「大当り」または「小当り」であった場合、その当りに対応する当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。この特別電動役物管理処理の詳細は図49にて後述する。
次に、右打ち報知情報管理処理を行う(ステップS61)。この右打ち報知情報管理処理では、現在の遊技状態が時短状態、確変状態C、確変状態A、または確変状態Bである場合つまり、「電サポ有り状態」の高ベース遊技状態が生起する遊技状態である場合、右打ち指示情報を報せる「特典遊技中発射位置誘導演出」を現出させるために必要な設定処理を行う。ここでの右打ち指示情報は、当り中発射位置誘導演出による右打ち指示情報と実質的には同じ内容となっており、たとえば遊技盤正面右側に遊技球を狙い打つ旨を指示する情報、換言すれば、普通図柄始動口37に入賞を促す指示情報である。この右打ち情報が報知されるケースとしては、電サポ有り状態下において遊技者が誤って遊技盤正面左側に遊技球を発射していると推定されるケース、具体的には、通常遊技状態下において有効となる発射動作、つまり風車44が存在する遊技領域側から上始動口34へと遊技球を流下させるような発射動作を行っていると推定されるケースで、電サポ有り状態下で上始動口34に入賞が発生した場合や、所定時間経過しても普通図柄始動口37へ入賞が発生しない場合などが考えられる。また本実施形態に係るパチンコ遊技機1とは異なるが、遊技領域の左右側に普通図柄始動口が配設されている(たとえば、普通図柄始動口37と同様の機能を有する普通図柄始動口が風車44の上方にも配設されている)遊技機においては、電サポ有り状態下で当該右側の普通図柄始動口に遊技球が入賞した場合も考えられる。
このような場合には、この右打ち報知情報管理処理において、演出制御コマンドの「右打ち指示コマンド」が演出制御部24に送信される構成となっている。この右打ち指示コマンドを受けて、演出制御部24では、上記発射位置誘導演出として、たとえば液晶表示装置36に「右打ち」を遊技者に促す画像を表示したり(たとえば、「右打ちせよ」の文字表示)、スピーカ16から右打ちを促す効果音(たとえば、「右打ちしてね」の音声)を発生させたりする。なお右打ち報知情報管理処理を設けない場合、演出制御部24側において、電サポ有り状態を伴う遊技状態に対応した演出モード下と判定された場合に、上記特典遊技中発射位置誘導演出を現出可能に構成しても良い。
次に、LED管理処理を行う(ステップS62)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39や特別図柄表示装置38に対して表示データを出力する。これにより、普通図柄や特別図柄の変動表示および停止表示が行われる。なお、特別図柄管理処理中の特別図柄表示データ更新処理(後述の図14のステップS309)で作成される特別図柄の表示データは、このLED管理処理で出力される。
次に、外部端子管理処理を行う(ステップS63)。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、パチンコ遊技機1の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。上記動作状態情報には、大当り遊技が発生した旨(条件装置が作動した旨)、小当り遊技が発生した旨、特別図柄変動表示ゲームが実行または終了した旨、始動口(上始動口34および下始動口35)に遊技球が入賞した旨などに関する情報が含まれる。
次に、ソレノイド管理処理を行う(ステップS64)。このソレノイド管理処理では、ステップS58の普通電動役物管理処理またはステップS60の特別電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づき、普通電動役物ソレノイド41c、下大入賞口ソレノイド42c、または右大入賞口ソレノイド52cに対して励磁信号の出力処理を行う。これにより、可動翼片47の一連の開閉動作が実行され普電開放遊技が発生し、また開放扉42bまたは開放扉52bの一連の開閉動作が実行され当り遊技が発生する。
そして、上記のステップS51〜ステップS64の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(レジスタ復帰処理)、割り込み許可状態に設定する(ステップS65)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割り込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割り込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
(9.入力管理処理:図10)
次に、図9中のステップS53の入力管理処理について説明する。図10は、入力管理処理の詳細を示すフローチャートである。なお本明細書中では、必要に応じて、CPU内蔵のレジスタ内に、RAMやROMなどのメインメモリを読み書きする際のアドレスデータ(そのアドレスに記述されているテーブルデータなどを含む)やプログラム上の演算処理により得られた結果情報などを、読み込んだり取り込んだりする処理を「取得」と称し、CPUがRAMのワーク領域にアクセスして、所定のデータを記憶させることを「格納」と称する場合がある。
この入力管理処理においてCPU201は、各入賞口スイッチについての入力ポートにアクセスし、入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号の入力ポートの状態を取得する(ステップS201)。ここでは、入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号が、第1レベル(Hレベル)のON信号(論理値1)または第2レベル(Lレベル)のOFF信号(論理値0)のいずれであるかを2回読み取る。2回読み取った値が異なる場合は、信頼度を高めるため再度読み取り動作を繰り返す。そして読み取ったレベル(論理値)のデータを、RAM203のレベルデータ領域に格納する(ステップS202)。ここでは、すべての入賞検出スイッチ(上始動口34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37aと、下大入賞口センサ42a、右大入賞口センサ52a、および一般入賞口センサ43a)に対するスイッチレベルデータが作成される。
次に、スイッチエッジデータを作成し、このスイッチエッジデータをRAM203のスイッチエッジデータ領域に格納する(ステップS203)。ここでは、すべての入賞検出スイッチに対するスイッチエッジデータが作成される。
ここで図11を参照して、スイッチエッジデータについて、その作成の仕方を説明する。図11は、入賞検出スイッチに係る入力ポートの読み込みを例示したタイミングチャートである。
図11において時刻t1〜t12は、それぞれ4ms(1割り込み)ごとの主制御側タイマ割込処理が行われる割込周期の各時点を示している。今、図11に示す例では、入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号が時刻t2とt3の間で立ち上がってON状態となり、時刻t4とt5の間で立ち下がってOFF状態となり、また時刻t5とt6の間で立ち上がってON状態となり、時刻t6とt7の間で立ち下がってOFF状態となる。この例において、時刻t1〜t8の各時点で読み取られてRAM203のスイッチレベルデータ領域に格納されるスイッチレベルデータの論理値は、時刻t1〜t2で論理0、時刻t3〜t4で論理1、時刻t5で論理0、時刻t6で論理1、時刻t7〜t8で論理0となる。
スイッチエッジデータは、このレベルデータの論理値が「0」から「1」に変化する時点を捉えて、ソフトウェア上でエッジが生起したと判定し、このエッジで論理値「1(スイッチエッジデータON状態)」を立て、それ以外のレベルデータに論理状態の変化がない場合を論理値「0(スイッチエッジデータOFF状態)」とすることによって得られるものである。そしてスイッチエッジデータとして得られる論理値が「1」である場合、ソフトウェア上で入賞検出スイッチがON状態、つまり当該入賞検出スイッチにより遊技球が検出された(入賞を検出した)ものとして認識される。図11の例の場合、スイッチレベルデータが時刻t2で論理0であったものが時刻t3で論理1に変化するので、時刻t3においてスイッチレベルデータが変化したことを意味する論理値「1」が立てられ、このデータがRAM203のスイッチエッジデータ領域に格納される。同様にして、スイッチレベルデータが時刻t5で論理0であったものが時刻t6で論理1に変化するので、時刻t6においてスイッチレベルデータが変化したことを意味する論理値「1」が立てられ、このデータがRAM203のスイッチエッジデータ領域に格納される。その他の時点では、レベルデータの変化が無いので、の論理値「0」とするスイッチエッジデータがRAM203のスイッチエッジデータ領域に格納される。図11の例では、時刻t3と時刻t6の時点が入賞検出スイッチ「ON」、つまりその入賞検出スイッチに対応する入賞口に「入賞あり」とされる。
ステップS203の処理を終えると、次に、普通電動役物入賞無効処理(ステップS204)と特別電動役物入賞無効処理(ステップS205)を順次行う。これらの入賞無効処理は、現在の遊技機の動作状態とスイッチエッジデータとに基づき、不正入賞の有無を監視する。上記ステップS204の普通電動役物入賞無効処理についての詳細は図12にて、ステップS205の特別電動役物入賞無効処理の詳細は図13において後述する。
続いて、ステップS206の処理では、上記スイッチエッジデータを取得し、スイッチエッジデータがON状態(論理1)であるか否かを判定する。ここでは各入賞口に対応して格納されたスイッチエッジデータが判定されて、各入賞口への入賞の有無が判定される。ON状態(論理値1)であれば(ステップS206:YES)、入賞有りとされた入賞口に対応する入賞カウンタに1加算し(ステップS207:YES)、この入力管理処理を抜ける。一方、OFF状態(論理値0)であれば(ステップS207:NO)、入賞はなかったものとして、何もしないでこの入力管理処理を抜ける。
(9−1.普通電動役物入賞無効処理:図12)
次に、図10中のステップS204の普通電動役物入賞無効処理について説明する。図12は、普通電動役物入賞無効処理の詳細を示すフローチャートである。この普通電動役物入賞無効処理では、下始動口35の不正入賞が監視される。
図12において、CPU201はまず、普電開放延長状態フラグの状態を判定する(ステップS221)。この普電開放延長状態フラグとは、開放延長機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には開放延長機能作動中の「電サポ有り状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(≠5AH)である場合には開放延長機能非作動の「電サポ無し状態」である旨を示す。
上記普電開放延長状態フラグがOFF状態(≠5AH)の場合(ステップS221:≠5AH)、普電作動中フラグの状態を判定する(ステップS222)。この普電作動中フラグとは、普電開放遊技中であるか否かを判定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普電開放遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(≠5AH)である場合には普電開放遊技中ではない旨を示す。なお図示はしていないが、普電作動中フラグの状態は、普通電動役物管理処理(ステップS58)において管理される。
上記普電作動中フラグがOFF状態(≠5AH)の場合(ステップS222:≠5AH)、普電入賞有効タイマが0であるか否かを判定する(ステップS223)。この「普電入賞有効タイマ」とは、下始動口35の閉鎖後の下始動口35内の残存球を排出するための余裕時間であり、図示はしていないが、普通電動役物管理処理(ステップS58)において設定されるタイマである。
上記普電入賞有効タイマが0である場合(ステップS223:YES)、下始動口35のスイッチエッジデータを取得し(ステップS224)、そのスイッチエッジデータに基づき、下始動口35において入賞を検出したか否かを判定する(ステップS225)。下始動口35において入賞を検出してない場合(ステップS225:NO)、何もしないで普通電動役物入賞無効処理を抜ける。
しかし、始動口35において入賞を検出した場合(ステップS225:YES)は、その入賞は「不正入賞」であるとみなし、始動口不正情報タイマに30000ms(30秒)を格納し(ステップS226)、普通電動役物入賞無効処理を抜ける。この始動口不正情報タイマが設定されると、図9中のエラー管理処理(ステップS55)において不正入賞に係るエラー処理、たとえば、始動口不正情報タイマ≠0の期間中、スピーカ46から警報音を発生させるなどのエラー報知がなされる。つまり、電サポ無し状態下において(ステップS221:≠5AH)、普電開放遊技による可動翼片47の一連の開閉動作が終了し(ステップS222:≠5AH)、かつ普電有効入賞タイマが経過しているにもかかわらず(ステップS223:YES)、下始動口35に遊技球が入賞した場合(ステップS225:YES)には、その入賞は不正入賞であるものとみなし、不正入賞に係るエラー処理の一環として、始動口不正情報タイマが設定されることになる(ステップS226)。これに対して、電サポ有り状態の場合(ステップS221:=5AH)、普電開放遊技による可動翼片47の一連の開閉動作が終了していない場合(ステップS222:=5AH)、普電有効入賞タイマが経過していない場合(ステップS223:NO)のいずれかに該当する場合において、下始動口35に遊技球が入賞した場合には、その入賞は不正入賞ではない、つまり正規入賞として扱われることになる。
なお、電サポ無し状態において不正入賞を監視する理由は、次の通りである。電サポ有り状態であれば、可動翼片47の作動率が飛躍的に高まり、下始動口35が頻繁に開放されるため、このような状況下で不正入賞を監視する必要性が乏しいからである。また、本実施形態では、下始動口35が大入賞口40、50とは異なり比較的少ない賞球を伴う入賞口であることから、不正入賞があってもエラー報知を実行させるに止めている。しかしこれに限らず、不正入賞とみなした場合は、下始動口35のスイッチエッジデータをクリア(論理0)する構成としても良い。このようにすれば、下始動口35が賞球を伴う入賞口の場合であっても、不正入賞に係る賞球の払い出しを無効化(賞球の払い出し無し)することができる。
(9−2.特別電動役物入賞無効処理:図13)
次に、図10中のステップS205の特別電動役物入賞無効処理について説明する。
弾球遊技機においては、大入賞口のような通常は閉鎖されている入賞口をセル板やピアノ線を用いて無理矢理こじ開け、過剰入賞を狙うような、いわゆる「セルゴト」や「針金ゴト」と称される不正行為が横行している。特に狙われるのが賞球の払い出しが多い大入賞口である。斯様なゴト行為を防止するためには、大当り遊技中の大入賞口への入賞はすべて正規入賞として処理し、それ以外の期間での大入賞口への入賞は不正入賞として処理する、といった不正行為防止技術も考えられる。しかし大当り遊技中の期間は、大入賞口が常に開放されているわけではなく、大入賞口を連続的に開閉するラウンド遊技が行われる。このため、上述した不正行為防止技術では、大入賞口が閉鎖されないようにして過剰入賞を狙うといった不正行為がなされても、これを検出することができないといった問題がある。上述の問題に鑑み、本実施形態では、この特別電動役物入賞無効処理により、大当り遊技中の不正行為を監視することができるようになっている。
図13は、特別電動役物入賞無効処理の詳細を示すフローチャートである。この特別電動役物入賞無効処理では、複数種類の大入賞口に対する不正入賞が監視される。図13のステップS231〜S235までの処理は下大入賞口40の不正入賞監視処理を、ステップS236〜S240までの処理は右大入賞口50の不正入賞監視処理となっている。
(下大入賞口40の不正入賞監視処理:ステップS231〜S235)
図13において、CPU201はまず、下大入賞口40の不正入賞監視処理として、下大入賞口40のスイッチエッジデータを取得し(ステップS231)、そのスイッチエッジデータに基づき、下大入賞口40において入賞を検出したか否かを判定する(ステップS232)。下大入賞口40において入賞を検出していない場合(ステップS232:NO)、何もしないでステップS236の判定処理に進む。
一方、下大入賞口40において入賞を検出した場合(ステップS232:YES)、次いで、特別電動役物1作動フラグの状態を判定する(ステップS233)。ここで、「特別電動役物1作動フラグ」とは、特別変動入賞装置42が作動中か否かを判定するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には、特別変動入賞装置42が作動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には、特別変動入賞装置42が未作動中である旨を示す。また後述の「特別電動役物2作動フラグ」とは、特別変動入賞装置52が作動中か否かを判定するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には、特別変動入賞装置52が作動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には、特別変動入賞装置52が未作動中である旨を示す。なお、上記の特別電動役物N作動フラグ(N=1または2)の設定状態に関する詳細は後述するが、ラウンド遊技間において当該フラグがON状態(=5AH)となる期間、つまり特別変動入賞装置が作動中とされる期間は、大入賞口が開放してからその大入賞口が閉鎖された後、残存球排出時間(第1の所定時間)が経過するまでの期間となっている。他方、ラウンド遊技間において当該フラグがOFF状態(=00H)となる期間、つまり特別変動入賞装置が未作動中とされる期間は、上述の残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでのインターバル時間(第2の所定時間)中の期間となっている。
ここで上記「残存球排出時間」とは、大入賞口の閉鎖後の大入賞口内の残存球を排出するための余裕時間、換言すれば、大入賞口が閉鎖される直前に入賞した遊技球が大入賞口内部に形成された入賞検出スイッチ(下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52a)を通過するための余裕時間(たとえば、1980ms)を指す。またラウンド遊技間にある上記インターバル時間(以下、「開放前インターバル時間」と称する)とは、残存球排出時間が経過して大入賞口内の残存球が排出されたものとみなされた後、次のラウンド遊技に係る大入賞口が開放されるまでのインターバル区間を定めた時間幅(たとえば、20ms)を指す。
再び図13に戻り、上記特別電動役物1作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS233:≠5AH)、ステップS231で取得した下大入賞口40のスイッチエッジデータをクリアする(ステップS234)。ここでは、特別変動入賞装置42が未動中であるにもかかわらず、特別変動入賞装置42が備える下大入賞口40についての入賞が確認された場合、その入賞は不正入賞であるとみなし(不正入賞であると判定する)、不正入賞に係るエラー処理の一環として、下大入賞口40のスイッチエッジデータをクリア(論理0)する。これにより、後処理の図10のステップS206の判定が‘NO’となり、同図のステップS207において下大入賞口入賞カウンタの加算処理が行われないことになる。その結果、下大入賞口40についての不正入賞に係る賞球の払い出しを無効化(賞球の払い出し無し)することができるようになっている。
次いで、大入賞口不正情報タイマに30秒を格納し(ステップS235)、ステップS237の処理に進む。この大入賞口不正情報タイマが設定されると、上記普通電動役物入賞無効処理において不正入賞が確認された場合と同様に、図9中のエラー管理処理(ステップS55)において、不正入賞に係るエラー処理(エラー報知)がなされる。なお、不正入賞であるとみなした場合であっても、直ちに不正入賞に係るエラー処理を行わずに、不正入賞であるとみなした回数が所定回数(たとえば、2回以上)に達した場合、大入賞口不正情報タイマを設定するなどの不正入賞に係るエラー処理を行う構成としても良い。この場合、不正入賞であるとみなされた回数を計数するカウンタを設け、そのカウンタの値が所定回数に達した場合に不正入賞に係るエラー処理を行うようにすれば良い。
一方、下大入賞口40において入賞を検出した場合であっても、上記特別電動役物1作動フラグがON状態(=5AH)の場合には(ステップS233:=5AH)、正規入賞であるとみなし、上述のステップS234〜S235の処理は行わずに、ステップS237の処理に進む。
(右大入賞口50の不正入賞監視処理:ステップS236〜S240)
ステップS236の処理に進むと、右大入賞口50の不正入賞監視処理として、CPU201は、まず右大入賞口50のスイッチエッジデータを取得し(ステップS236)、そのスイッチエッジデータに基づき、右大入賞口50において入賞を検出したか否かを判定する(ステップS237)。右大入賞口50において入賞を検出していない場合(ステップS237:NO)、何もしないでこの特別電動役物入賞無効処理を抜けて、図10のステップS206の処理に進む。
一方、右大入賞口50において入賞を検出した場合(ステップS237:YES)、次いで、特別電動役物2(N=2)作動フラグの状態を判定する(ステップS238)。
上記特別電動役物2作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS238:≠5AH)、ステップS231で取得した右大入賞口50のスイッチエッジデータをクリアする(ステップS239)。ここでは、特別変動入賞装置52が未動中であるにもかかわらず、特別変動入賞装置52が備える右大入賞口50についての入賞が確認された場合、その入賞は不正入賞であるとみなし、不正入賞に係るエラー処理の一環として、右大入賞口50のスイッチエッジデータをクリア(論理0)する。これにより、後処理の図10のステップS206の判定が‘NO’となり、同図のステップS207において右大入賞口入賞カウンタの加算処理が行われないことになる。その結果、右大入賞口50についての不正入賞に係る賞球の払い出しを無効化(賞球の払い出し無し)することができるようになっている。
次いで、大入賞口不正情報タイマに30秒を格納し(ステップS240)、この特別電動役物入賞無効処理を抜けて、図10のステップS206の処理に進む。
一方、右大入賞口50において入賞を検出した場合であっても、上記特別電動役物2作動フラグがON状態(=5AH)の場合には(ステップS238:=5AH)、正規入賞であるとみなし、上述のステップS238〜S240の処理は行わずに、この特別電動役物入賞無効処理を抜けて、図10のステップS206の処理に進む。
以上に説明した特別電動役物入賞無効処理では、特別変動入賞装置が未作動中であるにもにもかかわらず、その特別変動入賞装置が備える大入賞口への入賞が確認された場合、その入賞を不正入賞であるとみなし、所定のエラー処理を行うようになっている。詳しくは、下大入賞口40に遊技球が入賞した場合においては、特別電動役物1作動フラグがON状態となっている場合にはその入賞を正規入賞として扱う一方、OFF状態となっている場合にはその入賞を不正入賞として扱い、また右大入賞口50に遊技球が入賞した場合においては、特別電動役物2作動フラグがON状態となっている場合にはその入賞を正規入賞として扱う一方、OFF状態となっている場合にはその入賞を不正入賞として扱うようになっている。特に大当り遊技中のラウンド遊技間において、残存球排出時間経過後の開放前インターバル時間中の区間は、特別電動役物1作動フラグと特別電動役物2作動フラグとをOFF状態に切り替え、大入賞口への入賞を無効扱いとする期間(以下「大入賞口入賞無効期間」と称する)が生起するようになっている。これにより、一の大入賞口が開放される大当り遊技中においては、他方の大入賞口への入賞は不正入賞として扱うことができるとともに、当該一の大入賞口が開放される大当り遊技中であっても、大入賞口入賞無効期間における当該一の大入賞口への入賞を不正入賞として扱うことができるようになっている。特にラウンド遊技間において、残存球排出時間経過後の開放前インターバル時間中に入賞があった場合には、不正行為による入賞の可能性が極めて高いものとして監視している。その結果、本実施形態では、たとえ大当り遊技中であっても不正入賞を厳格に監視することができるようになっている。
なお本実施形態では、下大入賞口40の不正入賞監視処理において、下大入賞口40の入賞を確認したことを条件に(ステップS231、ステップS232:YES)、ステップS233以降の処理を、また右大入賞口50の不正入賞監視処理において、右大入賞口50の入賞を確認したことを条件に(ステップS236、ステップS237:YES)、ステップS238以降の処理を実行する形態を説明したが次のように構成しても良い。
下大入賞口40の不正入賞監視処理においては、まずステップS233の処理を行い、特別電動役物1作動フラグの状態を判定する。特別電動役物1作動フラグがOFF状態(=00H)の場合、次いで、ステップS231〜ステップS232の処理を行い、下大入賞口40について入賞を検出したか否かを判定する。下大入賞口40への入賞を検出した場合、ステップS234〜S235の処理を行う。また右大入賞口50の不正入賞監視処理についても同じように、まずステップS238の処理を行い、特別電動役物2作動フラグの状態を判定する。特別電動役物2作動フラグがOFF状態(=00H)の場合、次いで、ステップS236〜ステップS237の処理を行い、右大入賞口50について入賞を検出したか否かを判定する。右大入賞口50への入賞を検出した場合、ステップS239〜S240の処理を行う。このように、まず特別電動役物N作動フラグの状態を確認し、当該フラグがOFF状態であるにもかかわらず(特別変動入賞装置が未作動中であるにもかかわらず)、対応する大入賞口について入賞を検出した場合に応じて、不正入賞に係るエラー処理(ステップS234〜S235、S239〜S240)を行うように構成しても同じ効果を奏することができる。
(10.特別図柄管理処理:図14)
次に、図9中の特別図柄管理処理(ステップS59)について説明する。図14は、ステップS59の特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図14において、CPU201は、まず特別図柄1側(上始動口34側)に関する特図1始動口チェック処理を行い(ステップS301)、次いで、特別図柄2側(下始動口35側)に関する特図2始動口チェック処理を行う(ステップS302)。
ステップS301〜S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この小当り中フラグとは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この条件装置作動フラグとは、大当り遊技中であるか否かを指定するフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
上記条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、特別図柄の挙動を示す処理状態(特別図柄動作ステータス:01H〜03H)に応じた処理を行う(ステップS305:特別図柄動作ステータス分岐)。小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合は、特別図柄が変動可能状態下に置かれ、これにより、特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれであるかに応じて、それぞれに対応する処理が行われるようになっている(ステップS305〜S308)。しかし、小当り遊技中である場合(ステップS303:=5AH)や、大当り遊技中である場合(ステップS304:=5AH)には、特別図柄が変動可能状態下には置かれないため、特別図柄に関する処理は何もしないでステップS309の処理に進む。ここで、「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して確定(停止)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。
具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を行う。
ステップS309に進むと、特別図柄表示データ管理処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば0.5秒)毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(特別図柄変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(特別図柄停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図9のLED管理処理(ステップS62)で出力される。これにより特別図柄管理処理を抜けて、図9のステップS60の特別電動役物管理処理に進む。
以下に、上記した特図1始動口チェック処理(ステップ301)と、特図2始動口チェック処理(ステップS302)と、特別図柄変動開始処理(ステップS306)と、特別図柄変動中処理(ステップS307)と、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)とについて順次説明していく。
(10−1.特図1始動口チェック処理:図15)
図15は、上記のステップS301の特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。ここでは、特別図柄変動表示ゲーム1に係る上始動口34に関する入賞処理が行われる。
図15において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特別図柄1の作動保留球数が4以上となる場合であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特別図柄1の作動保留球数(以下、「特図1作動保留球」と称する)が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)未満であるか否かを判定する。なお、ステップS311の判定で上始動口34の入賞を検出がなかった場合(ステップS311:NO)、何もしないでこの特図1始動口チェック処理を抜ける。
特図1作動保留球数が4以上である場合(ステップS312:YES)には、ステップS325に進む。一方、作動保留球数が4以上とはならない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、作動保留球数を1加算(+1)する(ステップS313)。
ステップS313の処理に次いで、特図1作動保留球に基づく、特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数1、および変動パターン用乱数2)の乱数カウンタの現在値を取得して、それぞれRAM203の保留記憶エリアに格納する(ステップS314)。このRAM203の保留記憶エリアには、取得された上述の各種乱数値を保留データとして、特別図柄1の変動表示動作に供されるまで、所定の記憶数を上限として始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶される。またRAM203の保留記憶エリアには、特別図柄1と特別図柄2とに対応した保留記憶エリア(特別図柄1に対応する第1の保留記憶エリアと特別図柄2に対応する第2の保留記憶エリア)が設けられ、それぞれ作動保留球数分の保留データを格納可能となっている。
次いで、保留加算コマンドを作成するための入賞コマンドデータ(詳細は後述する)として、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(下位バイト「01H」)を取得し(ステップS315)、特別図柄1側の先読み判定を禁止する「特図1先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。なお、上記特図1先読み禁止条件とは、特別図柄1に関する先読み予告、つまり特図1作動保留球を対象とした先読み予告を禁止する条件である。本実施形態では、遊技状態が時短状態か、または確変状態A〜Cのいずれかであることを禁止条件とし、これらいずれかの遊技状態である場合、特別図柄1に関する先読み予告を禁止(先読み予告抽選自体を禁止)する。このようにする理由は、次の通りである。
本実施形態では、遊技状態が時短状態であるか、または確変状態A〜Cのいずれかある場合には‘電サポ有り状態’下に置かれ、下始動口35への入賞率が著しく向上し、特図2作動保留球が頻繁に発生する。このため、特図1作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しいからである。また後述するが、本実施形態では、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球が優先的に消化される「優先変動機能」を備えている(特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行される)。このため、遊技状態が上述の電サポ有り状態下において、たとえば、現在、特図1作動保留球を対象とした先読み予告演出だけが発生し、このときの内容が確変大当りの当選を予告するものであった場合、遊技者がこれを認識すれば、遊技球の発射を故意に停止させて下始動口35に入賞させないようにし、非優先変動側である特別図柄変動表示ゲーム1を実行させることで、上記確変大当りを意図的に狙うことができてしまう。また現在、特図1作動保留球を対象とした先読み予告演出だけが発生中であり、このときの予告内容が小当りや非確変大当りの当選を予告するものであった場合、遊技者がこれを認識すれば、遊技球を発射し続けて特図2作動保留球を途切れないように下始動口35に入賞させるようにし、優先変動側である特別図柄変動表示ゲーム2を実行させることで、特別図柄2側の大当り抽選の恩恵(本実施形態では、特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が15R高ベース確変大当りの選択率が高い)を受けながらゲームを消化させていくことができてしまう。本実施形態では、このような技術介入を防止するため、電サポ有り状態下では特図1の先読み予告を禁止している。
特図1先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS316:YES)、ステップS325の処理に進む。しかし特図1先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS316:NO)、ステップS317の処理に進み、特図1用当り乱数判定テーブル(図17参照)を取得し(ステップS317)、RAM203に格納された大当り判定用乱数値を取得して(ステップS318)、次に述べる乱数判定処理を行う(ステップS319)。
(10−1−1.乱数判定処理(入賞時当り判定処理):図16)
図16は、上記のステップS319の乱数判定処理の詳細を示すフローチャートである。この乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、特別図柄変動表示ゲーム(ここでは、特別図柄変動表示ゲーム1)に係る「当落抽選」を行う。なお、この乱数判定処理は、「先読み判定」の一環として行われるものである。
図16において、CPU201は、まず取得した当り乱数判定テーブルを参照して、大当り判定用乱数値と判定値とを比較し、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するかを判定する(ステップS351)。
(T−3:特図1用当り乱数判定テーブル:図17)
図17に、上述の特図1用当り乱数判定テーブルを示す。本実施形態の特図1用当り乱数判定テーブルには、図示のように、所定の抽選領域において(抽選領域の大きさは、65536)、当り種別を決定するための複数の判定領域(判定値)が定められており、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するかと、現在の大当り抽選確率状態(高確率状態、低確率状態)とに応じて、一定確率を有して、大当りか小当りかハズレかの別が定まるようになっている。したがって、同じ判定値に属する場合であっても、現在の大当り抽選確率状態によっては、一方は当り、他方はハズレというように、当否が異なる場合がある(後述の図29の特図2用当り乱数判定テーブルも同様)。
(大当り当選について)
大当りに関しては、大当り判定用乱数値が判定値10001〜10165の範囲に属する場合、低確率状態、高確率状態ともに大当り判定フラグが「5AH」となり、大当り抽選確率状態にかかわらず「大当り当選」となる。他方、判定値10166〜11650の範囲に属する場合、高確率状態下では大当り判定フラグが「5AH」となり「大当り当選」となるが、低確率状態下では大当り判定フラグが「00H」となり「大当り非当選」となる。このため、本実施形態の大当り当選確率は、低確率状態では約1/397で、高確率状態では約1/39.7で、大当りに当選するようになっている。なお、大当り判定フラグが「00H」となる場合は、判定値に応じて、今回の当落結果が‘ハズレ’または‘小当り’となる。
(小当り当選について)
小当りに関しては、大当り判定用乱数値が判定値20001〜20112の範囲に属する場合には、低確率状態、高確率状態ともに小当り判定フラグが「5AH」となり「小当り当選」となる。なお、本実施形態の小当りの当選確率は、大当りの当選確率よりも低い、約1/585となっている。
(ハズレについて)
大当り判定フラグが「00H」、かつ小当り判定が「00H」となる場合は、大当りと小当りのいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落結果は‘ハズレ’となる。
上記のステップS351の処理で大当り判定用乱数値が属する判定値が決定されると、その判定値と現在の大当り抽選確率状態とに基づき、大当り判定フラグと小当り判定フラグとを取得する(ステップS352)。ここでは、大当り判定フラグの状態(5AHまたは00H)を、CPU内蔵の汎用レジスタ(たとえば、Aレジスタ)に取り込み、小当り判定フラグの状態(「5AH」または「00H」)を、他の汎用レジスタ(たとえば、Dレジスタ)に取り込む。この状態で上記の乱数判定処理を抜けて、図15のステップS320に進む。すなわち、AレジスタとDレジスタとに取り込んだ当落抽選結果をRAM203には格納せずに各々のレジスタに保持したままで、この乱数判定処理を抜けることになる。
再び図15の説明に戻り、上述の乱数判定処理(ステップS319)を終えると、次いで、特図1用図柄テーブル選択テーブル(図19参照)を取得し(ステップS320)、RAM203に格納された特別図柄判定用乱数値を取得して(ステップS321)、次に述べる特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS322)。
(10−1−2.特別停止図柄データ作成処理(入賞時特別停止図柄データ作成処理):図18)
図18は、上記のステップS322の特別停止図柄データ作成処理の詳細を示すフローチャートである。この特別停止図柄データ作成処理では、乱数判定処理の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値を利用し、特別図柄変動表示ゲーム(ここでは、特別図柄変動表示ゲーム1)に係る「図柄抽選」を行う。なお、この特別停止図柄データ作成処理も「先読み判定」の一環として行われるものである。
図18において、CPU201は、まず取得した特図1用図柄テーブル選択テーブルを参照して、ステップS319の乱数判定処理で得られた当落抽選結果に応じて、図柄テーブル(図20〜図22参照)を取得する(ステップS361)。
(T−4:特図1用図柄テーブル選択テーブル:図19)
図19に、上述の特図1用図柄テーブル選択テーブルを示す。図示のように、本実施形態の特図1用図柄テーブル選択テーブルには、当落抽選結果(当否種別:大当り、小当り、ハズレ)と図柄テーブル(特図1用)種別とが対応付けて定められている。この図柄テーブル種別には、大当りの場合に選択される「大当り図柄テーブル1」と、小当りの場合に選択される「小当り図柄テーブル」と、ハズレの場合に選択される「ハズレ図柄テーブル」とが含まれる。
(T−5.図柄テーブル(特図1用):図20〜図22)
図20に大当り図柄テーブル1(特図1用大当り図柄テーブル)を、図21に小当り図柄テーブルを、図22にハズレ図柄テーブルを示す。
図示のように、各図柄テーブルには、特別図柄判定用乱数値がいずれかの判定領域(判定値)に属するかに応じて、特別図柄判定データと特別停止図柄番号と変動パターン選択用オフセットとが定まるようになっている。また、各判定値に応じて当選種別が定まるようになっており、これにより、大当り種別、小当り種別、およびハズレ種別が一定の確率を有して決定されるようになっている。
上記の「特別図柄判定データ」とは、大当り種別を識別するデータであり、具体的には、特別図柄判定データが「01H」の場合は15R低ベース非確変大当り、「02H」の場合は15R低ベース確変α大当り、「03H」の場合は15R低ベース確変β大当り、「04H」の場合は15R高ベース確変大当り、「05H」の場合は2R低ベース確変大当りである旨を示す。なお、特別図柄判定データが「00H」の場合は、小当りまたはハズレを示す。
ここで図20の大当り図柄テーブル1の「判定値」の欄を参照すれば、判定値0〜19の範囲に属する場合には「15R低ベース非確変大当り」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):60/200)、判定値60〜79の範囲に属する場合には「15R低ベース確変α大当り」当選となり(図柄選択率:20/200)、判定値80〜119の範囲に属する場合には「15R低ベース確変β大当り」当選となり(図柄選択率:40/200)、判定値120〜179の範囲に属する場合には「15R高ベース確変大当り」当選となり(図柄選択率:60/200)、判定値180〜199の範囲に属する場合に「2R低ベース確変大当り」当選(図柄選択率:20/200)となっており、複数種類の大当りのうちからいずれか一つの大当りが、所定の選択率(抽選確率)で決定されるようになっている。なお、小当り図柄テーブルとハズレ図柄テーブルについても同様に、小当り種別(小当りA〜C)やハズレ種別(ハズレA、B)が所定の選択率で決定されるようになっている(図21、図22参照)。
また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄種別を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の停止図柄種を特定するのに利用される。本実施形態では、図20〜図22に示すように、各判定値に応じた特別停止図柄番号が選択されるようになっており、一の大当りと他の大当り、一の小当りと他の小当り、または一のハズレと他のハズレとで特別停止図柄番号が異なるようになっている。たとえば、15R低ベース非確変大当りの場合であっても、特別図柄表示装置に表示される停止特別図柄の表示態様(本実施形態では‘7セグ’の表示態様)が異なる場合がある。このように当り種別が同じであっても複数種類の特別停止図柄番号が選択されうるようにすることで、遊技者がどの種類の当りに当選したかの見分けがつき難いようになる。特に、本実施形態のように、大当り遊技の動作態様を同一とする大当りを複数種類設け、バトル演出の結果により確変状態を伴う大当りであるか否かを期待させる機種の場合、特別図柄表示装置の特別停止図柄から大当り種別を遊技者に悟られ難くすることは、バトル演出に更なる面白みを持たせる上で特に有効となる。
また上記の「変動パターン選択用オフセット(図中では、「オフセット」と表記)」とは、後述の保留加算コマンドや変動パターン指定コマンドを選択する際に利用されるデータである。
再び図18の説明に戻り、ステップS361の処理では、具体的には、上述の特図1用図柄テーブル選択テーブルを参照し、レジスタA、Dに保持された大当り判定フラグの状態と小当り判定フラグの状態が、大当り(大当り判定フラグ=5AH、小当り判定フラグ=00H)であるならば「大当り図柄テーブル1」を、小当り(大当り判定フラグ=00H、小当り判定フラグ=5AH)であるならば「小当り図柄テーブル」を、ハズレ(大当り判定フラグ=00H、小当り判定フラグ=00H)であるならば「ハズレ図柄テーブル」を取得する。
次いで、上述のステップS361で取得した図柄テーブルを参照して、ステップS321で取得した特別図柄判定用乱数値と当該図柄テーブルの判定値とを比較し、特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセットを取得する(ステップS362)。ここでは、特別図柄判定データをAレジスタ、特別停止図柄番号(ここでは、特別図柄1に係る特別停止図柄番号)をBレジスタ、変動パターン選択用オフセットをCレジスタにそれぞれ取り込む。この状態で、特別停止図柄データ作成処理を抜けて、図15のステップS323の始動口入賞時乱数判定処理に進む。すなわち、Aレジスタ、Bレジスタ、およびCレジスタに取り込んだデータをRAM203には格納せずに各レジスタに保持したまま、この特別停止図柄データ作成処理を抜けることになる。
これにより停止図柄データ作成処理(ステップS322)を終えると、次に述べる始動口入賞時乱数判定処理を行う(ステップS323)。
(10−1−3.始動口入賞時乱数判定処理:図23)
図23は、上記のステップS323の始動口入賞時乱数判定処理の詳細を示すフローチャートである。この始動口入賞時乱数判定処理では、ステップS322の停止図柄データ作成処理で得られたデータ(特別図柄判定データと変動パターン選択用オフセット)に基づき、保留加算コマンドの作成に利用される入賞コマンドデータ(2バイト目(EVENT):下位バイト)を取得する。なお、この始動口入賞時乱数判定処理も「先読み判定」の一環として行われるものである。
この始動口入賞時乱数判定処理は、大別すると、(A)先読み変動パターンを決定するための入賞コマンド振分テーブルを選択する「入賞コマンド振分テーブル決定処理(ステップS371〜S372)」と、(B)保留加算コマンドの作成に利用される入賞コマンドデータを決定する「入賞コマンドデータ決定処理(ステップS373〜S374)」とから構成される。
(A)入賞コマンド振分テーブル決定処理(ステップS371〜S372)
図23において、CPU201は、まず、入賞コマンド振分テーブル選択テーブル(図24参照)を取得する(ステップS371)。
次いで、取得した入賞コマンド振分テーブル選択テーブルを参照し、特別図柄判定データと変動パターン選択用オフセットと変動パターン振分指定番号(Tcode)とに応じた、入賞コマンド振分テーブル(図25、図26参照)を取得する(ステップS372)。
(T−6.入賞コマンド振分テーブル選択テーブル:図24)
ここで上述の入賞コマンド振分テーブル選択テーブルについて説明する。本実施形態の入賞コマンド振分テーブル選択テーブルでは、特別図柄判定データ(当選種別)と変動パターン選択用オフセットと変動パターン振分指定番号(Tcode)とに基づき、複数種類の入賞コマンド振分テーブル(テーブル種別:H1、H5〜H10、H12、およびH13(ハズレ用のハズレ入賞コマンド振分テーブル)、A1〜A14(当り用の当り入賞コマンド振分テーブル))のうちからいずれか一つの入賞コマンド振分テーブルが選択されるようになっている。たとえば、特別判定データが00H、変動パターン選択用オフセットが00H、および変動パターン振分指定番号(Tcode)が00Hの場合、ハズレ入賞コマンド振分テーブル‘H1’が選択される。なお、入賞コマンド振分テーブルについては後述する。
上述の「変動パターン振分指定番号(Tcode)」とは、現在の遊技状態を識別するデータである。図71に、変動パターン振分指定番号表を示す。この変動パターン振分指定番号表は、変動パターン振分指定番号(Tcode)を説明に供する説明図である。図71に示すように、変動パターン振分指定番号(Tcode)が「00H」の場合は「通常遊技状態(通常)」を示し、「01H」の場合は「潜確状態(潜確)」を示し、「02H」の場合は「時短状態(時短)」を示し、「03H」の場合は「確変状態C(確変C)」を示し、「04H」の場合は「確変状態A(確変A)」を示し、「05H」の場合は「確変状態B(確変B)」を示す。上記変動パターン振分指定番号(Tcode)は、遊技状態に変化があった場合に変更される。
(T−7.入賞コマンド振分テーブル:図25、図26)
次に、上記入賞コマンド振分テーブルについて説明する。図25に当り時(大当り時または小当り時)に選択される当り入賞コマンド振分テーブルを、図26にハズレ時に選択されるハズレ入賞コマンド振分テーブルを示す。
上記各入賞コマンド振分テーブルには、変動パターン用乱数値1を利用した抽選により、1または複数種類の入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側)のうちからいずれか一つの入賞コマンドデータが選択されるように、その選択率が定められている(単一の入賞コマンドデータが選択される場合は選択率100%となっている)。なお、図中の「先読み変動パターン」の欄には、各入賞コマンドデータにより指定される先読み変動パターンの内容を示している。また図中のアラビア数字は振分値を示し(図40、図41〜図43も同様)、たとえば、図25の入賞コマンド振分テーブルA1の欄を参照すれば、弱SPリーチを伴う変動パターン種別を指定する「弱SPリーチ」対応のコマンド「14H」は、1/239(振分値/抽選領域の大きさ)で選択され、強SPリーチを伴う変動パターン種別を指定「強SPリーチ」対応のコマンド「17H」は、30/239で選択されるようになっている。ここでの「変動パターン種別」とは、複数種類の変動パターンをその変動態様の特徴に着目して、同じ系統の変動パターンを纏めて分類(グループ化)した際の個々の区分である。なお、単一の変動パターンにおいても、変動パターン種別と称して分類している。
ここで、図24の入賞コマンド振分テーブル選択テーブルを参照すると、当り入賞コマンド振分テーブルA1〜A14においては、通常遊技状態または潜確状態の場合はA1〜A6が選択され、時短状態または確変状態Cの場合はA7〜A11が選択され、確変状態Aまたは確変状態Bの場合はA12〜A14が選択されるようになっている。したがって、先読み判定が「当り」の場合、通常遊技状態と潜確状態とで、また時短状態と確変状態Cとで、また確変状態Aと確変状態Bとで、共通する複数種類の変動パターン種別のうちからいずれか1つの変動パターン種別が指定されることになる。
またハズレ入賞コマンド振分テーブルH1、H5〜H10、H12、およびH13においては、通常遊技状態の場合はH1(ハズレAの場合)、H5(ハズレBの場合)が選択され、潜確状態はH1(ハズレAの場合)、H6(ハズレBの場合)が選択され、時短状態または確変状態Cの場合はH7、H9が選択され、確変状態Aの場合はH10、H12が選択され、確変状態Bの場合はH13が選択されるようになっている。したがって、先読み判定が「ハズレ」の場合、通常遊技状態と潜確状態とで、また時短状態と確変状態Cとで、共通する複数種類の変動パターン種別のうちからいずれか1つの変動パターン種別が指定されることになる。なお、通常遊技状態中のハズレBの場合と潜確状態中のハズレBの場合とについては、異なるハズレ入賞コマンド振分テーブルH5、H6となっているが、これらのテーブルを参照すれば、図示のように、共通する複数種類の変動パターン種別のうちからいずれか1つの変動パターン種別が指定されることに変わりはなく、特定の変動パターン種別の選択率が異なるだけである。具体的には、通常遊技状態中のハズレBの場合、大当り当選期待度が相対的に低いリーチ種別(Nリーチ、疑似2連+Nリーチ、弱SPリーチ、疑似2連+弱SPリーチ)の選択率が潜確状態中の場合よりも高く、大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別(疑似2連+通常中弱SPリーチ、疑似3連+通常中弱SPリーチ、通常中強SPリーチ、疑似2連+通常中強SPリーチ)の選択率(抽選確率)が潜確状態中の場合よりも低くなっている(ハズレ入賞コマンド振分テーブルH5およびH6参照)。このことは、通常遊技状態中に「ハズレB」に当選した場合と潜確状態中に「ハズレB」に当選した場合とでは、特別図柄の変動パターンの選択率に違いが生じることを意味し(後述の図39、図41参照)、これに伴い、本物の秘匿演出モード下とガセの秘匿演出モード下とにおける特定の演出の発生率に違いを持たせることができるようになっている。このようなハズレ時における特定の演出の発生率の違いは、遊技者が現在の遊技状態を推測する際の重要な手がかりとなり、秘匿演出モード下の面白みを増すことができる。
上記当り入賞コマンド振分テーブルには、図25に示すように、当り時の先読み変動パターンを指定する当り入賞コマンドデータとして、次のようなものが含まれる。
「通常遊技状態」中または「潜確状態」中において使用され、リーチ演出を伴う変動パターン種別を指定する当り入賞コマンドデータとして、弱SPリーチを伴う変動パターン種別(弱SPリーチ)、疑似連を伴うとともに弱SPリーチを伴う変動パターン種別(疑似2連+弱SPリーチ、疑似3連+弱SPリーチ)、強SPリーチを伴う変動パターン種別(強SPリーチ)、および疑似連を伴うとともに強SPリーチを伴う変動パターン種別(疑似2連+強SPリーチ、疑似3連+強SPリーチ、疑似4連+強SPリーチ)を指定するものが含まれ、その他、特定演出(小当り当選可能性または2R低ベース確変大当り当選可能性を報知する演出態様)を伴う変動パターン種別を指定する当り入賞コマンドデータとして、小当り当選時および2R低ベース確変大当り当選時専用の変動パターンを伴う変動パターン種別(小当り/2R低ベース確変大当り当選)を指定するものが含まれる。
また、「確変状態C」中または「時短状態」中において使用され、リーチ演出を伴う変動パターン種別を指定する当り入賞コマンドデータとして、弱リーチを伴う変動パターン種別や強リーチを伴う変動パターン種別を指定するものが含まれ、その他、特定演出を伴う変動パターン種別を指定する当り入賞コマンドデータとして、2R低ベース確変大当り当選時専用の変動パターンを伴う変動パターン種別(チャンス中2R当選)や、小当り当選時専用の変動パターンを伴う変動パターン種別(チャンス中小当り当選)を指定するものが含まれる。
さらにまた、「確変状態A」中または「確変状態B」中に共通して使用され、リーチ演出を伴う変動パターン種別を指定する当り入賞コマンドデータとして、確変中リーチを伴う変動パターン種別(確変中リーチ)を指定するものが含まれ、その他、特定演出を伴う変動パターン種別を指定する当り入賞コマンドデータとして、2R低ベース確変大当り当選時専用の変動パターンを伴う変動パターン種別(確変中2R当選)や小当り当選時専用の変動パターンを伴う変動パターン種別(確変中小当り当選)を指定するものが含まれる。
上記ハズレ入賞コマンド振分テーブルには、図26に示すように、ハズレ時の先読み変動パターンを指定するハズレ入賞コマンドデータとして、次のようなものが含まれる。
「通常遊技状態中」または「潜確状態」中において使用され、リーチ演出を伴う変動パターン種別を指定するハズレ入賞コマンドデータとして、ノーマルリーチを伴う変動パターン種別(ノーマルーリーチ)、疑似連を伴うとともにノーマルリーチを伴う変動パターン種別(疑似2連+ノーマルSPリーチ)、弱SPリーチを伴う変動パターン種別(弱SPリーチ)、疑似連を伴うとともに弱SPリーチを伴う変動パターン種別(疑似2連+弱SPリーチ、疑似3連+弱SPリーチ)、強SPリーチを伴う変動パターン種別(強SPリーチ)、疑似連を伴うとともに強SPリーチを伴う変動パターン種別(疑似2連+強SPリーチ、疑似3連+強SPリーチ、疑似4連+強SPリーチ)などを指定するハズレ入賞コマンドデータが含まれる。
また、「確変状態C」中または「時短状態」中において使用され、リーチ演出を伴う変動パターン種別を指定するハズレ入賞コマンドデータとして、弱リーチを伴う変動パターン種別(チャンス中弱リーチ)を指定するものが含まれる。
さらにまた、「確変状態A」中または「確変状態B」中に共通して使用され、リーチ演出を伴う変動パターン種別を指定するものとして、確変中リーチを伴う変動パターン種別(確変中リーチ)を指定するハズレ入賞コマンドデータが含まれる。
なお「ハズレ」の場合は「当り」の場合とは異なり、大当り当選の可能性がゼロであるため、リーチを伴わない変動パターン種別が含まれる。このリーチを伴わない変動パターン種別を「通常変動種別」と称する。通常変動種別には、通常遊技状態中または潜確状態中において使用される「通常変動1〜3」、確変状態C中または時短状態中において使用される「チャンス中通常変動1保留0」と「チャンス中通常変動2」、確変状態A中において使用される「確変中通常変動1保留0」と「確変中通常変動2」、および確変状態B中において使用される「確変B中通常変動1」などが含まれる。これらはそれぞれ異なる通常変動を伴う変動パターン種別としての位置づけとなっている。これらの通常変動種別のうち、通常変動1を伴う変動パターン種別、チャンス中通常変動1保留0を伴う変動パターン種別、チャンス中通常変動2を伴う変動パターン種別、確変中通常変動1保留0を伴う変動パターン種別、確変中通常変動2を伴う変動パターン種別、および確変B中通常変動1を伴う変動パターン種別がハズレ入賞コマンドデータにより指定される。なお、不定(通常変動/リーチ)とは、先読み判定時においては、リーチを伴う変動パターン種別であるか通常変動を伴う変動パターン種別であるかが指定されずにここでは不明であることを示す。
(B)入賞コマンドデータ決定処理(ステップS373〜S374)
ステップS372の処理を終えると、CPU201は、変動パターン用乱数値1を取得し(ステップS373)、取得した入賞コマンド振分テーブルを参照して、変動パターン用乱数値1を利用した抽選(入賞コマンドデータ抽選)により入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側)を取得する(ステップS374)。ここでは、入賞コマンドデータ(下位バイト)をCレジスタに取り込む。この状態で、始動口入賞時乱数判定処理を抜けて、図15の保留コマンド(下位バイト)の作成処理(ステップS324)に進む。すなわち、Cレジスタに取り込んだデータをRAM203には格納せずにレジスタに保持したまま、この始動口入賞時乱数判定処理を抜けることになる。
再び図15の説明に戻り、上述の始動口入賞時乱数判定処理(ステップS323)を終えると、次いで、保留加算コマンドを作成し(ステップS324〜S325)、これをRAM203に格納することなく、演出制御部24に送信する(ステップS326)。これにより、特図1始動口チェック処理を抜けて、図28のステップS302の特図2始動口チェック処理を行う。
なお、保留加算コマンドの作成に利用されるデータ、具体的には、「乱数判定処理(ステップS319、S339)」、「特別図柄データ作成処理(ステップS322、S342)」、および「始動口入賞時乱数判定処理(ステップS323、S343)」の‘先読み判定’処理で得られたデータをRAM203に格納しない理由は次の通りである。本実施形態では、保留加算コマンドは、専ら「先読み予告演出」に利用されるようになっている。したがって、保留加算コマンドや先読み判定で得られたデータをRAM203に格納せず、これに基づいて作成した保留加算コマンドを演出制御部24に送信するだけで処理を終わらせるといった構成としても特に問題はない。なお、詳細は後述するが、上記乱数判定処理(ステップS319、ステップS339)は、特別電役物作動判定用乱数判定処理(後述の図32のステップS409)において、また上記特別図柄データ作成処理(ステップS322、ステップS342)は、停止図柄作成処理(後述の図32のステップS410)において共通のモジュール構成として利用され、特別電役物作動判定用乱数判定処理と停止図柄作成処理とにおいて得られたデータは、特別図柄の変動パターンや大当り種別に応じた大当り遊技を実行するために後々必要なデータとなるため、RAM203に格納されるようになっている。
(C−1:保留加算コマンド:図27)
図27に保留加算コマンドの一覧を示す。保留加算コマンドは、演出制御コマンドの一つであり、図示のように、2バイトの制御データで構成される。具体的には、作動保留球数と特別図柄種別(特別図柄1および2)とに応じて作成される上位バイト(1バイト目(MODE):「BXH(B6H〜B9Hは、特別図柄1の作動保留球数1〜4個にそれぞれ対応し、BBH〜BEHは特別図柄2の作動保留球数1〜4個にそれぞれ対応する)」と、ステップS323の始動口入賞時乱数判定処理で作成される下位バイト(2バイト目(EVENT):「XXH(XXはコマンドごとに対応する数値)」)とから構成される。したがって、保留加算コマンドには、先読み判定に関する一連の処理(ステップS317〜S323)において得られた先読み判定結果情報が含まれている。
具体的には、保留加算コマンドには、少なくとも特別図柄に関する先読み変動パターン情報が含まれ、その他の情報として、当否種別(特定の大当りの当選情報も含むことができる)および/または先読み判定時の遊技状態情報も含むことができる(図示の「内容」の欄を参照)。上記保留加算コマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、その保留加算コマンドに含まれる情報に基づく先読み予告抽選を行い、その抽選結果が当選である場合、図柄変動表示ゲームの開始と同時に、またはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とする先読み予告演出を現出させる。また演出制御部24は、保留加算コマンドを受けた場合には、始動口に入賞があった旨を報知せる入賞演出(たとえば、遊技機の適所に設けられたLEDを点滅させて、始動口に入賞があった旨を報知する演出態様)を現出させるようになっている。
なお、作動保留球数が4以上の場合に新たな入賞があった場合(ステップS312:YES)にも保留加算コマンド(オーバーフロー入賞時の保留加算コマンド(以下、「OF保留加算コマンド」と略す)が作成され、演出制御部24に送信されるようになっている。このOF保留加算コマンドも、2バイトから構成され、上位バイト目(MODE)は「B5H(特別図柄1に対応)」または「BAH(特別図柄2に対応)」、下位バイト(EVENT)はオーバーフロー入賞を指定する「00H」となっている。下位バイトの作成は、ステップS323の始動口入賞時乱数判定処理中で作成しても良い。またステップS311とS312の処理の間、またはステップS331とS332の処理の間で、一旦、オーバーフロー入賞用のデータ(下位バイト「00H」)を取得し、オーバーフロー入賞であれば(作動保留球数≧4の場合)、そのままステップS325またはS345に進んで該当するOF保留加算コマンドを作成し、オーバーフロー入賞でなければ(作動保留球数<4の場合)、ステップS313またはS333以下の処理ルートにより該当する保留加算コマンドを作成するように構成しても良い。
上記OF保留加算コマンドは、先読み判定に利用されずに、専ら上述した入賞演出に利用されるものであるが、次のような演出を現出可能に構成しても良い。たとえば、演出制御部24が上記OF保留加算コマンドを受信した場合において、現在の作動保留球(時系列的に古い作動保留球)の中に「大当り(小当りを含んでも良い)」となる作動保留球がある場合、当該現在の作動保留球の中に「大当り」となるものが存在する旨を報知する予告演出を現出させるように構成しても良い。また、今回の図柄変動表示ゲーム結果が「大当り(小当りを含んでいても良い)」となる場合、当該ゲーム結果が「大当り」となる旨を報知する予告演出を現出させるように構成しても良い。斯様な予告演出は、オーバーフロー入賞時に現出されるものではあるが、先読み判定結果に関連する情報を報知するという点で、先読み予告演出と同じ役割を果たす。
(10−2.特図2始動口チェック処理:図28)
次に図28を参照して、図14の特別図柄管理処理中の特図2始動口チェック処理(ステップS302)について説明する。図28は、特図2始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この特図2始動口チェック処理では、特図1始動口チェック処理(ステップS301)の場合と同じ処理の仕方で、特別図柄変動表示ゲーム2に係る下始動口35に関する入賞処理が行われる。特図2始動口チェック処理は、下始動口35に入賞した場合の作動保留球数が最大保留記憶数(ここでは4個)未満であることを条件に作動保留球数加算、各種乱数の取得、保留加算コマンドの作成などが行われる。以下、上記特図1始動口チェック処理(ステップS301)と同じ処理手順については、重複記載を避けるため適宜省略して説明する。
図28において、CPU201は、まず下始動口35において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS331)。
下始動口35の入賞を検出した場合(ステップS331:YES)、特別図柄2の作動保留球数が4以上となる場合であるか否か判定する(ステップS332)。特別図柄2の作動保留球数(以下、「特図2作動保留球」と称する)は、特別図柄1の最大保留記憶数と同じく上限4個まで記憶されるようになっている。なお、ステップS331の判定で下始動口35の入賞を検出がなかった場合(ステップS331:NO)、何もしないでこの特図2始動口チェック処理を抜ける。
特図2作動保留球数が4以上である場合(ステップS332:YES)、ステップS345に進む。一方、作動保留球数が4以上とはならない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、作動保留球数を1加算(+1)する(ステップS333)
ステップS333の処理に次いで、特図2作動保留球に基づく、特別図柄変動表示ゲーム2に利用される各種乱数(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数1、および変動パターン用乱数2)の乱数カウンタの現在値を取得して、それぞれRAM203の保留記憶エリアに格納する(ステップS334)。この保留データは、特別図柄2の変動表示動作に供されるまで、最大保留記憶数を上限として始動条件の成立順に保留記憶される。
次いで、入賞コマンドデータとして、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(下位バイト「01H」)を取得し(ステップS335)、特別図柄2側の先読み判定を禁止する「特図2先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS336)。なお、上記特図2先読み禁止条件とは、特別図柄2に関する先読み予告、つまり特図2作動保留球を対象とした先読み予告を禁止する条件である。本実施形態では、通常遊技状態または潜確状態であることをその条件とし、これらいずれかの遊技状態である場合、特別図柄2に関する先読み予告を禁止(先読み予告抽選自体)する。このようにする理由は、次の通りである。遊技状態が通常遊技状態または潜確状態のいずれかであるならば電サポ無し状態下に置かれ、下始動口35への入賞率が著しく低下する。特に、本実施形態では、電サポ無し状態中において「右打ち」をした場合、遊技くぎの配列や装飾部材などの落下方向変換部材に起因して、上始動口34の入賞率が相対的に著しく低下するといった遊技者の利益を損なう遊技性となっている。このため、遊技者が電サポ無し状態下で右打ちすることはなく、特図2作動保留球は発生することは皆無であり、特図2作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しいからである。
特図2先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS336:YES)、ステップS345の処理に進む。しかし特図2先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS336:NO)、ステップS337の処理に進み、特図2用当り乱数判定テーブル(図29参照)を取得し(ステップS337)、RAM203に格納された大当り判定用乱数値を取得して(ステップS338)、乱数判定処理を行う(ステップS339)。この乱数判定処理では、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「当落抽選」が行われる。
(T−8.特図2用当り乱数判定テーブル:図29)
図29に、上述の特図2用当り乱数判定テーブルを示す。本実施形態の特図2用当り乱数判定テーブルは、上記した図17の特図1用当り乱数判定テーブルと以下の点が異なる。特図1用当り乱数判定テーブルでは、大当り判定用乱数値が判定値20001〜20112の範囲に属する場合、低確率状態と高確率状態ともに小当り判定フラグが「5AH」となり小当りに当選となる(図17参照)。しかし、この特図2用当り乱数判定テーブルでは、小当り当選となる判定値自体が存在していない。すなわち、特別図柄変動表示ゲーム1では、大当り、小当り、およびハズレが当落抽選対象とされるが、特別図柄変動表示ゲーム2では、大当りとハズレだけが当落抽選対象とされる。勿論、特図2用当り乱数判定テーブルについても、小当りを当落抽選対象として定めても良い。
次いで、特図2用図柄テーブル選択テーブル(図30参照)を取得し(ステップS340)、RAM203に格納された特別図柄判定用乱数値を取得して(ステップS341)、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS342)。この特別停止図柄データ作成処理では、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「図柄抽選」が行われる。
(T−9.特図2用図柄テーブル選択テーブル:図30)
図30に、上述の特図2用当り乱数判定テーブルを示す。本実施形態の特図2用図柄テーブル選択テーブルには、図示のように、当落抽選結果と特図2用の図柄テーブル種別とが対応付けて定められている。この図柄テーブル種別には、大当りの場合に選択される「大当り図柄テーブル2」と、ハズレの場合に選択される「ハズレ図柄テーブル」とが含まれる。なお、特別図柄変動表示ゲーム2(特別図柄2側)では、小当りが当落抽選対象から除かれているため、小当りの場合に選択される「小当り図柄テーブル」は、含まれていない。
(T−10.図柄テーブル(特図2用):図31)
図31に大当り図柄テーブル2(特図2用大当り図柄テーブル)を示す。ハズレ図柄テーブルについては、既に説明した図22と同様の図柄テーブルなので、重複記載を避けるため詳細な説明を省略する。本実施形態の大当り図柄テーブル2は、上記した図20の大当り図柄テーブル1と以下の点が異なる。大当り図柄テーブル2では、特定の大当りの図柄選択率(図柄抽選確率)が異なる。具体的には、15R低ベース非確変大当り当選は同一の図柄選択率(60/200)となっているが、大当り図柄テーブル1と比較して、15R低ベース確変α大当り(図柄選択率:10/200)と15R低ベース確変β大当り(図柄選択率:20/200)と2R低ベース確変大当り当選(図柄選択率:5/200)とについては相対的に低い図柄選択率を有し、15R高ベース確変大当りについては、相対的に高い図柄選択率(105/200)を有している。特に、電サポ有り状態下では、下始動口35側の入賞確率が飛躍的に向上して特別図柄変動表示ゲーム2の実行機会も増えるため、電サポ有り状態中は、高ベース遊技状態であるだけでなく、図柄抽選の観点からも遊技者にとって有利な遊技状態となる。
次いで、特図1始動口チェック処理中と同様の始動口入賞時乱数判定処理を行い(ステップS343)、入賞コマンドデータと作動保留球数に基づき、保留加算コマンドを作成し(ステップS344〜S345)、作成した保留加算コマンドを演出制御部24に送信して(ステップS346)、特図2始動口チェック処理を抜ける。
以上に説明した、特図1始動口チェック処理と特図2始動口チェック処理とを行った後は、図14の特別図柄管理処理中のステップS303〜S304の処理に進み、小当り中フラグと条件装置作動フラグの状態を判定して、「小当り遊技中」「大当り遊技中」でなければ(ステップS303:≠5AH、かつS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス分岐(ステップS305)により、特別図柄変動開始処理(ステップS306)、特別図柄変動中処理(ステップS307)、または特別図柄確認時間中処理(ステップS308)とに処理が分岐される。
(10−3.特別図柄変動開始処理:図32)
図32は、特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」の場合に行われる「特別図柄変動開始処理(ステップS305)」の詳細を示すフローチャートである。
図32において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロの場合(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定する(ステップS402)。ステップS401とS402の処理により、どちらの特別図柄を優先的に変動表示に供するか(消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。本実施形態では、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球が優先的に消化される「優先変動機能」を備えている。つまり特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行されるようになっている。より詳しくは、特別図柄1または特別図柄2が停止表示されたことを条件に、上記第1の保留記憶エリア(第1の保留記憶手段(特別図柄1側の作動保留球に係る保留記憶エリア))に特別図柄1に関する保留データ(第1の保留記憶(特別図柄1側の作動保留球に係る保留記憶))が記憶されており上記第2の保留記憶エリア(第2の保留記憶手段(特別図柄2側の作動保留球に係る保留記憶エリア))に特別図柄2に関する第2の保留データ(第2の保留記憶(特別図柄2側の作動保留球に係る保留記憶))が記憶されていない場合には、当該第1の保留データのうちの最も先に記憶された保留データに基づく第1の特別図柄の変動表示を開始させる一方、当該第2の保留記憶エリアに当該第2の保留データが記憶されている場合には、その第1の保留記憶エリアに前記第1の保留データが記憶されているか否かにかかわらず、当該第2の保留データのうち最も先に記憶された保留データに基づく当該第2の特別図柄の変動表示を開始させるようになっている。
特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方に作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中でかつ保留記憶なしの状態となった場合であり、この状態に突入したことを演出制御部24側に報せる必要がある。このため、演出制御コマンドとして、デモ画面を表示させるための「デモ表示コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS418)。ただし、作動保留球数がゼロの場合に条件なしにデモ表示コマンドを送信すると、特図作動保留球数がゼロである間は4msの周期でデモ表示コマンドの送信を繰り返すことになり、不必要な送信が発生する。そこでデモ表示コマンドが未送信であるか否かを判定し、デモ表示コマンドが未送信の場合は、デモ表示コマンドを演出制御部24に送信し、既にデモ表示コマンドが送信済みである場合は、デモ表示コマンドを演出制御部24に送信することなく、この特別図柄管理処理を抜けるようになっている。なお演出制御部24は、このデモ表示コマンドを受けてから所定時間経過しても図柄変動表示ゲームに係る演出制御コマンド(たとえば、保留加算コマンド)を受けない場合は、変動表示動作が一定時間行われない状態(客待ち待機状態)が発生したとみなし、遊技待機状態中を報知する「デモ画面表示」を行うこととしている。
特図1作動保留球数または特図2作動保留球数がゼロでない場合は(ステップS401:NOまたはS402:NO)、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした図柄変動開始時の処理(ステップS403〜S417)を行う。なお、以下に説明するステップS403〜S417の処理については、上記のステップS401の判定で‘NO’であった場合は特図2作動保留球を、上記のステップS402の判定で‘NO’であった場合は特図1作動保留球を対象とした処理となり、基本的には、双方の作動保留球に係る処理内容は同じであるため、重複記載を避けるため、特に必要の無い限り、特別図柄1、2という区別はせずに説明する。
ステップS403に進むと、今回の変動表示に供される作動保留球数を1減算し(ステップS403)、「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。この保留減算コマンドには、減算後の作動保留球数情報が含まれる。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、変動開始を行うこととなる特別図柄種別を指定する情報であり、たとえば、特別図柄1が変動開始状態であれば「00H」を、特別図柄2が変動開始状態であれば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406〜S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数1、および変動パターン用乱数2)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ作動保留球数=n−1に対応する保留記憶エリアに格納する。つまり、保留1記憶エリアの保留データを判定用乱数記憶エリアにシフトするとともに、保留2記憶エリア以降の保留データを1つずつ下位側の番号(保留2記憶エリア→保留1記憶エリア、保留3記憶エリア→保留2記憶エリア、保留4記憶エリア→保留3記憶エリア)にそれぞれシフトして上書きし、保留4記憶エリアに空き領域を設ける。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、作動保留球が生じたときに取得された保留データがいずれの作動保留球に対応するものであるのかが特定され、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
そして、時短状態下における特別図柄の変動規定回数(時短回数)として定められている70回転について、残りの時短回数があるか否かを判定して、残り時短回数がある場合は、その残り時短回数情報を含む「残り時短回数コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS408)。この「残り時短回数コマンド」は、演出制御部24側において、残りの時短回数情報を報知する際に利用される。
次いで、特別電役物作動判定用乱数判定処理を行う(ステップS409)。特別電役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「当落抽選」を行う。なお、特別電役物作動判定用乱数判定処理は、「当落抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「乱数判定処理(図15のステップS319、図28のステップS339、その詳細を示す図16参照)」と同じような働きをする処理であり、ここでは‘変動開始時の判定’処理の一環として行われる。この特別電役物作動判定用乱数判定処理の詳細は図33にて後述する。
上記の特別電役物作動判定用乱数判定処理を終えると、特別停止図柄作成処理を行う(ステップS410)。特別停止図柄作成処理では、特別電役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値を利用し、特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行う。なお、特別停止図柄作成処理は、「図柄抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「特別停止図柄データ作成処理(図15のステップS322、図28のステップS339、その詳細を示す図18参照)」と同じような働きをする処理であり、ここでは‘変動開始時の判定’処理の一環として行われる。この特別図柄停止図柄作成処理の詳細は図34にて後述する。
上記の特別停止図柄作成処理を終えると、遊技状態移行準備処理を行う(ステップS411)。遊技状態移行準備処理では、遊技状態を移行させるための設定として、大当り遊技後に移行することとなる遊技状態を指定するために必要な設定を行う。ここで設定されたデータに基づき、大当り遊技後の遊技状態が確定される。この遊技状態移行準備処理の詳細は図35にて後述する。
上記遊技状態移行準備処理を終えると、特別図柄変動パターン作成処理を行う(ステップS412)。特別図柄変動パターン作成処理では、特別電役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果、特別停止図柄作成処理の図柄抽選結果、変動パターン用乱数1、および変動パターン用乱数2を利用し、今回の変動表示動作に供されることとなる特別図柄の変動パターンを決定するとともに、その変動パターンに対応する変動パターン指定コマンドを作成する。なお、特別図柄変動パターン作成処理は、特別図柄の変動パターンを決定するといった点において‘先読み判定’処理の一つである始動口入賞時乱数判定処理および保留加算コマンドに関する作成処理(図15のステップS323〜S325、図28のステップS343〜S345、図23参照)と同じような働きをする処理であり、ここでは‘変動開始時の判定’処理の一環として行われる。この特別図柄変動パターン作成処理の詳細は図38にて後述する。
次いで、変動表示中である旨を指定する特別図柄N変動中フラグ(N=1、2)に5AH(ON状態)を格納する(ステップS413)。この特別図柄変動中フラグとは、特別図柄表示装置38a、38bの作動状態、具体的には、特別図柄の表示状態の判定に利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄が変動停止中である旨を示す。なお、特別図柄1変動中フラグ(N=1)は特別図柄1側に対応し、特別図柄2変動中フラグ(N=2)は特別図柄2側に対応する。
次いで、上記ステップS410の特別停止図柄作成処理の図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し(ステップS414)、演出制御部24に送信する(ステップS415)。この装飾図柄指定コマンドには、特別図柄種別(処理対象となった特別図柄の情報)と当選種別情報(大当りの種類、小当り、ハズレの別)とが含まれ、演出制御部24側において、図柄変動表示ゲーム中に現出すべき演出や、装飾図柄の抽選(たとえば、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せや、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せ)などを決定する際に利用される。
そしてステップS416の処理に進み、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)。
上述の特別図柄変動開始処理を抜けると、図14の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、特別図柄管理処理を抜けて、図9の特別電動役物管理処理(ステップS60)に進む。
(10−3−1.特別電役物作動判定用乱数判定処理(変動開始時当り判定処理):図33)
次に、上記の特別電役物作動判定用乱数判定処理(ステップS409)について説明する。図33は、図32の特別電役物作動判定用乱数判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図33において、CPU201は、まず特別図柄作動確認データに基づき、特図1用当り乱数判定テーブル(図17参照)か、または特図2用当り乱数判定テーブル(図29参照)を取得する(ステップS421)。
次いで、変動開始時の乱数判定処理を行う(ステップS422)。この変動開始時の乱数判定処理は、特図1始動口チェック処理の乱数判定処理(図15のステップS319、その詳細を示す図16参照)または特図2始動口チェック処理の乱数判定処理(図28のステップS339、その詳細を示す図16参照)と同じ処理内容となっている。すなわち、入賞時の乱数判定処理と変動開始時の乱数判定処理とは同じモジュール構成であり、その結果、処理手順も同じ仕方となっている。このように、入賞時の乱数判定処理と変動開始時の乱数判定処理とを同じモジュール構成とし、共通のプログラムを利用することができるようにすることで、それぞれ別個独立したプログラムで記述するよりも、プログラム容量の削減に寄与することができる。
特に本実施形態のような、先読み予告演出を発生させて遊技性を高めるといった「先読み機能付き遊技機」においては、先読み判定に係る処理が増えることに起因して、プログラム容量を増加せざるを得ない状況が発生しうる。しかしながら、パチンコ店に設置するような風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律による7号営業を対象とした遊技機においては、同法律おける遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則により、遊技動作全般の制御を司る主基板(本実施形態では、主制御部20が該当する)に装着されるROMのプログラム容量が制限されているため(同規則別表第3 不正な改造その他の変更を防止するための遊技機の構造に係る技術上の規格(第6条関係))、プログラム容量の削減は重要な意義を有している。本実施形態では、このような課題を解決できる遊技機を提供することができる。
上記の乱数判定処理では、大当り判定フラグの状態(5AHまたは00H)と小当り判定フラグの状態(5AHまたは00H)とをレジスタ(A、Dレジスタ)に取り込んだ状態で処理を抜け、続いて、各レジスタに保持された大当り判定フラグと小当り判定フラグとを、RAM203の当り判定フラグ領域に格納する(ステップS423)。これにより、特別電役物作動判定用乱数判定処理を抜けて、図32の特別停止図柄作成処理(ステップS410)に進む。
(10−3−2.特別停止図柄作成処理(変動開始時特別停止図柄データ作成処理):図34)
次に、上記の特別停止図柄作成処理(ステップS410)について説明する。図34は、図32の特別停止図柄作成処理の詳細を示すフローチャートである
図34において、CPU201は、まず特別図柄作動確認データに基づき、特図1用図柄テーブル選択テーブル(図19参照)か、または特図2用図柄テーブル選択テーブル(図30参照)を取得する(ステップS425)。
次いで、RAM203に格納された特別図柄判定用乱数値を取得し(ステップS426)、ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果、つまり、大当り判定フラグと小当り判定フラグとを取得する(ステップS427)。
次いで、変動開始時の特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS428)。この変動開始時の特別停止図柄データ作成処理は、特図1始動口チェック処理の特別停止図柄データ作成処理(図15のステップS322、その詳細を示す図18参照)または特図2始動口チェック処理の特別停止図柄データ作成処理(図28のステップS342、その詳細を示す図18参照)と同じ処理内容となっている。すなわち、入賞時の特別停止図柄データ作成処理と変動開始時の特別停止図柄データ作成処理とは同じモジュール構成であり、その結果、処理手順も同じ仕方となっている。すなわち、上述の特別電役物作動判定用乱数判定処理の乱数判定処理と同様に、入賞時と変動開始時との特別停止図柄データ作成処理を同じモジュール構成として共通のプログラムを利用することにより、双方を別個独立したプログラムで記述するよりもプログラム容量の削減に寄与することができる。本実施形態では、乱数判定処理に加え、特別停止図柄データ作成処理をも入賞時と変動開始時とを同じモジュール構成とし、さらなるプログラム容量の削減に寄与することができるようになっている。
上記の特別停止図柄データ作成処理では、対応する図柄テーブル(図20〜図22、図31参照)に基づき取得した特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセットをレジスタ(Aレジスタ、Bレジスタ、およびCレジスタ)に取り込んだ状態で処理を抜け、続いて、各レジスタに保持された特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセットをRAM203に格納する(ステップS429)。これにより、特別停止図柄作成処理を抜けて、図32の遊技状態移行準備処理(ステップS411)に進む。
(7−1−3−3.遊技状態移行準備処理:図35)
次に、上記の遊技状態移行準備処理(ステップS411)について説明する。図35は、図32の遊技状態移行準備処理の詳細を示すフローチャートである
図35において、CPU201は、まず大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS431)。大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合、何もしないで遊技状態移行準備処理を抜ける(ステップS431:≠5AH)。
大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS431:=5AH)、遊技状態移行テーブル選択テーブルを取得する(ステップS432)。
次いで、取得した遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、遊技状態判定番号(YJ)と大当り種別(特別図柄判定データ)とに応じた遊技状態移行テーブルを取得する(ステップS432)。
(T−11.遊技状態移行テーブル選択テーブル:図36)
図36に、上述の遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の遊技状態移行テーブル選択テーブルには、図示のように、遊技状態判定番号(YJ)と特別図柄判定データとに関連付けられた遊技状態移行テーブル(テーブル種別:「JTTBL−1」〜「JTTBL−5」)が定められている。具体的には、遊技状態判定番号(YJ)と特別図柄判定データとに基づき、複数種類の遊技状態移行テーブルのうちからいずれか一つの遊技状態移行テーブルが選択されるようになっている。
ここで「遊技状態判定番号(YJ)」とは、通常遊技状態、確変状態、時短状態、または潜確状態といった電サポ状態の有無と大当り抽選確率状態とで区別される内部遊技状態を識別するデータである。図71の変動パターン振分指定番号表を参照して説明すれば、遊技状態判定番号(YJ)が「00H」の場合は大当り抽選確率が低確(低確率状態)および電サポ無し状態である「通常遊技状態」を、「01H」の場合は大当り抽選確率が高確(高確率状態)および電サポ無し状態である「潜確状態」を、「02H」の場合は大当り抽選確率が低確および電サポ有り状態である「時短状態」を、「03H」の場合は大当り抽選確率が高確および電サポ有り状態である「確変状態」をそれぞれ示す。したがって、遊技状態判定番号(YJ)は上記のような内部遊技状態を識別する点で、変動パターン振分指定番号(Tcode)のように遊技状態そのものを識別するデータとは異なる。
(T−12.遊技状態移行テーブル:図37)
図37に、上述の遊技状態移行テーブルを示す。本実施形態の遊技状態移行テーブルには、図示のように、大当り遊技後の遊技状態を指定するために必要となるデータ群が定められている。具体的には、RAM203に設けられた、普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特別図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短回数カウンタバッファ、特別図柄確変回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、および特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するための各種データが定められている。先ず、各バッファとこれらに格納される各種フラグの役割について説明する。
(普電役物開放延長移行状態バッファ)
「普電役物開放延長移行状態バッファ」は、普電役物開放延長状態フラグの設定を行うために利用される。「普電役物開放延長状態フラグ」とは、開放延長機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には開放延長機能作動中の「電サポ有り状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には開放延長機能非作動の「電サポ無し状態」である旨を示す。
(普通図柄時短移行状態バッファ)
「普通図柄時短移行状態バッファ」は、普通図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄時短状態フラグ」とは、普通図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄時短機能作動中の「普通図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄短機能非作動の「普通図柄非時短状態」である旨を示す。
(普通図柄確変移行状態バッファ)
「普通図柄確変移行状態バッファ」は、普通図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄確変状態フラグ」とは、補助当り抽選確率状態、つまり普通図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄確変機能作動中の「補助当り確変状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄確変機能非作動の「補助当り低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短状態移行状態バッファ)
「特別図柄時短状態移行状態バッファ」は、特別図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄時短状態フラグ」とは、特別図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄時短機能作動中の「特別図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄時短機能非作動の「特別図柄非時短状態」である旨を示す。
(特別図柄確変移行状態バッファ)
「特別図柄確変移行状態バッファ」は、特別図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄確変状態フラグ」とは、大当り抽選確率状態、つまり特別図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄確変機能作動中の「高確率状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄確変機能非作動の「低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短回数カウンタバッファ)
「特別図柄時短回数カウンタバッファ」は、特別図柄時短回数カウンタに時短回数の設定を行うために利用される。本実施形態では、時短状態下における特別図柄の変動規定回数として、70回が設定される。
(特別図柄確変回数カウンタバッファ)
「特別図柄確変回数カウンタバッファ」は、特別図柄確変回数カウンタに確変回数の設定を行うために利用される。本実施形態では、確変状態下における特別図柄の変動規定回数として、10000回が設定される。
(変動パターン振分指定番号バッファ)
「変動パターン振分指定番号バッファ」は、変動パターン振分指定番号(Tcode)の設定を行うために利用される。
(特別図柄変動回数カウンタバッファ)
「特別図柄変動回数カウンタバッファ」は、特別図柄変動回数カウンタに、遊技状態移行契機となる特別図柄の変動回数(以下、「遊技状態移行規定回数」と称する)の設定を行うために利用される。本実施形態では、一の遊技状態から他の遊技状態への移行契機となる特別図柄の変動規定回数として、70回が設定される。なお本実施形態では、既に説明したように、確変状態Cまたは確変状態Aが大当りに当選することなく継続した場合、上記遊技状態移行規定回数の70回を終了したことを条件に、確変状態Bに移行されるようになっている。
上記の各バッファに各遊技状態移行テーブルが指定する各種データが格納されると、大当り遊技終了後の遊技状態が指定されることになる。図示のように、「JTTBL−1」は時短状態、「JTTBL−2」は潜確状態、「JTTBL−3」は確変状態C、「JTTBL−4」は確変A、「JTTBL−5」は確変Bに移行させるための遊技状態移行テーブルとなっている(特に、図中の「移行先遊技状態種別」の欄参照)。
再び図35の説明に戻り、ステップS432の処理を終えると、状態バッファ設定処理を行う(ステップS433)。この状態バッファ設定処理では、取得した遊技状態移行テーブルを参照して、上述の普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特別図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短回数カウンタバッファ、特別図柄確変回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、および特別図柄変動回数カウンタバッファの各バッファに、当該遊技状態移行テーブルから導出される該当値を格納する。これらバッファに格納された値は、後述する図63の大当り終了処理中のステップS594でRAM203の所定領域(各々のバッファに対応したフラグ格納領域やカウンタ格納領域)に格納される。これにより、遊技状態移行準備処理を抜けて、図32の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)に進む。
(10−3−4.特別図柄変動パターン作成処理:図38)
次に、上記の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)について説明する。図38は、図32の特別図柄変動パターン作成処理の詳細を示すフローチャートである。
この特別図柄変動パターン作成処理では、今回の変動表示動作に供されることとなる特別図柄の変動パターンの決定処理として、(A)特別図柄の変動パターンのベースとなる基本的な内容(基本パターン)を決定する際に利用される変動パターン振分テーブル第1階層を選択するための「変動パターン振分テーブル第1階層決定処理(ステップS441〜S442)」と、(B)変動パターン振分テーブル第1階層に基づき、基本パターンを決定するとともに、特別図柄の変動パターンの具体的内容(詳細パターン)を決定する際に利用される変動パターン振分テーブル第2階層を選択するための「基本パターン決定処理(ステップS443〜S444)」と、(C)変動パターン振分テーブル第2階層に基づき、特別図柄の変動パターンの具体的内容(詳細パターン)と特別図柄の変動時間とを決定するための「詳細パターン決定処理(ステップS445〜S447)」と、(D)変動パターン指定コマンドを作成するための「変動パターン指定コマンド作成処理(ステップS448)」とが含まれる。なお「基本パターン」とは、複数種類の変動パターンをその変動態様の特徴に着目して、同じ系統の変動パターンを纏めて分類した「変動パターン種別」である。これに対し「詳細パターン」とは、その変動パターン種別に含まれる「個々の変動パターン」を指す。たとえば、弱SPリーチを伴う変動パターン種別には、変動パターンが弱SPリーチ1を伴う変動パターン、弱SPリーチ2を伴う変動パターン、および弱SPリーチ3を伴う変動パターンが含まれる場合、これら3種類の変動パターンが詳細パターンに相当する。以下、これらの処理について詳細に説明していく。
(A)変動パターン振分テーブル第1階層決定処理(ステップS441〜S442)
図38において、CPU201は、まず変動パターン振分テーブル選択テーブル(図39参照)を取得し(ステップS441)、次いで、その変動パターン振分テーブル選択テーブルを参照して、特別図柄判定データと変動パターン選択用オフセットと変動パターン振分指定番号(Tcode)と作動保留球数と、に応じた変動パターン振分テーブル第1階層(図40参照)を取得する(ステップS442)。
(T−13.変動パターン振分テーブル選択テーブル:図39)
図39に、上述の変動パターン振分テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の変動パターン振分テーブル選択テーブルには、図示のように、特別図柄判定データ(当選種別)と変動パターン選択用オフセットと変動パターン振分指定番号(Tcode)と作動保留球数とに関連付けられた変動パターン振分テーブル第1階層(テーブル種別:テーブルA1〜A14(当り用)、H1〜H13(ハズレ用))が定められている。具体的には、特別図柄判定データ(当選種別)と変動パターン選択用オフセットと変動パターン振分指定番号(Tcode)と作動保留球数とに基づき、複数種類の変動パターン振分テーブル第1階層のうちからいずれか1つの変動パターン振分テーブル第1階層が選択されるようになっている。
(B)基本パターン決定処理:ステップS443〜S444)
ステップS441で上記変動パターン振分テーブル第1階層を選択して取得した後、次いで、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納されている変動パターン用乱数値1を取得する(ステップS443)。そして、取得した変動パターン振分テーブル第1階層を参照して、変動パターン用乱数値1を利用した抽選により、変動開始コマンドデータ1、変動加算時間(加算時間)データ、および変動パターン振分テーブル第2階層を取得する(ステップS444)。
上記変動パターン振分テーブル第1階層について説明する。この変動パターン振分テーブル第1階層は、特別図柄の変動パターンのベースとなる基本パターンを決定するためのテーブルである。変動パターン振分テーブル第1階層には、当り(大当りまたは小当り)時に選択される当り変動パターン振分テーブル第1階層と、ハズレ時に選択されるハズレ変動パターン振分テーブル第1階層とが含まれる。
(T−14.当り変動パターン振分テーブル第1階層:図40)
図40に、当り変動パターン振分テーブル第1階層を示す。本実施形態の当り変動パターン振分テーブル第1階層には、図示のように、変動開始コマンドデータ1(図中「コマンド」と表記)と、加算時間データと、当り変動パターン振分テーブル第2階層(テーブル種別:AA1〜AA15(後述の図42参照))とを関連付けて定めた区分(行方向の区分)が複数種類定められており、変動パターン用乱数値1を利用した抽選により、当該複数種類の区分のうちからいずれか一つの区分が選択されるように、その選択率が定められている。具体的には、たとえば、当り変動パターン振分テーブル第1階層A1においては、「変動開始コマンドデータ1=A5H、加算時間無し(0秒)、当り変動パターン振分テーブル第2階層AA1」が定まる区分が1/239、「変動開始コマンドデータ1=A6H、加算時間無し(0秒)、および当り変動パターン振分テーブル第2階層AA2」が定まる区分が5/239、・・・、「変動開始コマンドデータ1=A7H、加算時間20秒、および当り変動パターン振分テーブル第2階層AA6」が定まる区分が70/239、「変動開始コマンドデータ=A8H、加算時間無し30秒、および当り変動パターン振分テーブル第2階層‘AA7’」が定まる区分が63/239でそれぞれ選択されるようになっている。なお、図中の「第1階層判定内容」の欄には、当り変動パターン振分テーブル第1階層により指定される基本パターンの内容を示してある。
ここで「変動開始コマンドデータ1」とは、変動パターン指定コマンドの上位バイト側(MODE)を定めるために利用されるデータである。なお、変動開始コマンドデータ1には、基本パターンの内容を異にするが、データを共通にするものが含まれている。本実施形態では、最終的な特別図柄の変動パターンは、上述の変動開始コマンドデータ1と後述の変動パターン振分テーブル第2階層により定まる変動開始コマンドデータ2との組合せで指定されるようになっている。
上記「加算時間」とは、疑似連が行われる区間を定めた時間幅であり、1または複数回の疑似変動はこの時間幅で行なわれる。たとえば、コマンド「A6H」に対応する‘疑似2連+弱SPリーチ’では、疑似変動2回を伴う‘疑似2連演出’を10秒間行った後、本変動として、リーチ状態が形成され、このときのリーチ演出種別が‘弱SPリーチ’を伴う変動パターンであることを意味している。つまり、疑似連を伴う変動パターンにおいては、疑似変動に要する時間幅が上記変動パターン振分テーブル第1階層で定まり、本変動に要する時間幅(ここでは、弱SPリーチを現出するために要する時間幅)が後述の変動パターン振分テーブル第2階層で定まるようになっている。
ここで、図39の変動パターン振分テーブル選択テーブルを参照すると、当り入賞コマンド振分テーブルA1〜A14においては、通常遊技状態または潜確状態の場合はA1〜A6が選択され、時短状態または確変状態Cの場合はA7〜A11が選択され、確変状態Aまたは確変状態Bの場合はA12〜A14が選択されるようになっている。したがって、先読み判定が「当り」の場合、通常遊技状態と潜確状態とで、また時短状態と確変状態Cとで、また確変状態Aと確変状態Bとで、共通する複数種類の変動パターン種別のうちからいずれか1つの変動パターン種別が指定されることになる。
なお上記当り変動パターン振分テーブル第1階層と、既に説明した図25の当り入賞コマンド振分テーブルとを比較参照すれば、当り変動パターン振分テーブル第1階層A1〜A14における基本パターンの内容(図中「第1階層判定内容」欄参照)とその変動パターンが選択される選択率は、当り入賞コマンド振分テーブルA1〜A14のものと一致した形態となっている。つまり、一の作動保留球の先読み変動パターンの内容と当該作動保留球が変動表示動作の実行に供される際の特別図柄の基本パターンの内容とが一致するようになっている(図24の入賞コマンド振分テーブル選択テーブル、図39の変動パターン振分テーブル選択テーブル、図40の「第1階層判定内容」欄、および図25の「先読み変動パターン指定内容」欄を参照)。
このようにする理由は、次の通りである。演出制御部24側では、入賞時には、先読み変動パターン情報が含まれる「保留加算コマンド」に基づき先読み予告演出を決定し、変動開始時には、特別図柄の変動パターン情報が含まれる「変動パターン指定コマンド」に基づき、図柄変動表示ゲーム中の予告演出を決定している。したがって、先読み変動パターンと基本パターンとが一致しないようにしてしまうと、たとえば、一の作動保留球を対象とする何らかの先読み予告演出が現出された場合、当該先読み予告演出の内容と当該作動保留球を対象とした図柄変動表示ゲーム中に現出される演出の内容とで辻褄が合わなかったり、矛盾が生じたりするという不具合が生じうる。
この問題点について具体例を挙げて説明すれば、たとえば、先読み予告演出の一つとして、大当り当選期待度が相対的に高い「高期待度先読み予告演出(たとえば、保留表示変化系の先読み予告演出において、大当り当選期待度が相対的に高まる「金色」の保留表示に変化させる保留系変化の先読み予告演出)」を現出可能に構成している場合、当該先読み予告演出では大当りの当選期待度が高い旨が報知されているにもかかわらず、その作動保留球を対象とした図柄変動表示ゲーム中に現出される演出が、何ら煽り演出(たとえば、リーチ演出)も現出されずに、何事も無く(通常変動のように)当該図柄変動表示ゲームが終了されてしまう可能性がある。また、先読み予告演出の一つとして、大当り当選を確定的に報知するプレミアム的な「当確先読み予告演出(たとえば、保留表示変化系の先読み予告演出において、大当り当選を条件に、艶やかな「虹色」の保留表示に変化させる「一発告知系(当確報知系)」の先読み予告演出)」を現出可能に構成している場合、当該先読み予告演出では「大当りの当選確定」が報知されているにもかかわらず、その作動保留球を対象とした図柄変動表示ゲームの結果が「ハズレ」となってしまう場合もありうる。これらのケースが頻発した場合、遊技機に対する不信感を招来し、遊技者の遊技意欲を低下させてしまう恐れがある。したがって本実施形態では、入賞時に定まる先読み変動パターンと変動開始時に定まる基本パターンとに有機的関連性を持たせ、演出制御部24側がこれらの演出を決定する際に、双方の内容を背理させないようにしている。
(T−15.ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層:図41)
図41に、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層を示す。本実施形態のハズレ変動パターン振分テーブル第1階層には、図示のように、変動開始コマンドデータ1(図中「コマンド」と表記)と、加算時間データと、ハズレ変動パターン振分テーブル第2階層(テーブル種別:HH1〜HH19(後述の図43参照))とを関連付けて定めた区分(行方向の区分)が複数種類定められており、変動パターン用乱数値1を利用した抽選により、当該複数種類の区分のうちからいずれか一つの区分が選択されるように、その選択率が定められている。なおテーブルの基本的構成は、図示のように、上述した当り変動パターン振分テーブル第1階層と同じである。
ここで、図39の変動パターン振分テーブル選択テーブルを参照すると、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H1〜H19においては、通常遊技状態の場合はH1〜H4(ハズレAの場合)、H5(ハズレBの場合)が選択され、潜確状態はH1〜H4(ハズレAの場合)、H6(ハズレBの場合)が選択され、時短状態または確変状態Cの場合はH7〜H9が選択され、確変状態Aの場合はH10〜H12が選択され、確変状態Bの場合はH13が選択されるようになっている。したがって、「ハズレ」の場合、通常遊技状態と潜確状態とで、また時短状態と確変状態Cとで、共通する複数種類の変動パターン種別のうちからいずれか1つの変動パターン種別が指定されることになる。なお、通常遊技状態中のハズレBの場合と潜確状態中のハズレBの場合とについては、異なるハズレ入賞コマンド振分テーブルH5、H6となっているが、これらのテーブルを参照すれば、図示のように、共通する複数種類の変動パターン種別のうちからいずれか1つの変動パターン種別が指定されることに変わりはなく、特定の変動パターン種別の選択率が異なるだけである。具体的には、先読み判定時と同じ選択の仕方となっており、通常遊技状態中のハズレBの場合、大当り当選期待度が相対的に低いリーチ種別(Nリーチ、疑似2連+Nリーチ、弱SPリーチ、疑似2連+弱SPリーチ)の選択率が潜確状態中の場合よりも高く、大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別(疑似2連+通常中弱SPリーチ、疑似3連+通常中弱SPリーチ、通常中強SPリーチ、疑似2連+通常中強SPリーチ)の選択率(抽選確率)が潜確状態中の場合よりも低くなっている(ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H5およびH6参照)。
ここで、上記ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層と、既に説明した図26のハズレ入賞コマンド振分テーブルとを比較参照すれば、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H1、H5〜H10、H12、およびH13における基本パターン(図中「基本パターン」欄参照)とそのパターンが選択される選択率は、当り入賞コマンド振分テーブルH1、H5〜H10、H12、およびH13のものと一致した形態となっている。つまり、一の作動保留球の先読み変動パターンと当該作動保留球が変動表示動作の実行に供される際の特別図柄の基本パターンとが一致するようになっている(図24の入賞コマンド振分テーブル選択テーブル、図39の変動パターン振分テーブル選択テーブル、図41の「第1階層判定内容」欄、および図26の「先読み変動パターン指定内容」欄を参照)。このように一致させる理由は、上述した通りであり、ハズレ時においても、入賞時に定まる先読み変動パターンと変動開始時に定まる基本パターンとに有機的関連性を持たせ、演出制御部24側がこれらの演出を決定する際に、双方の内容を極力背理させないようにしている。なお、上記ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層には、ハズレ入賞コマンド振分テーブルに対応しないハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H2〜H4、およびH11が含まれるが、これらはハズレ用入賞コマンド振分テーブル選択テーブルにおいて作動保留球数に応じて選択されるものであり、当該テーブルH2〜H4は同テーブルH1と、テーブルH11は同テーブルH10およびH12と選択されうる基本パターンの内容は同一であり、その選択率が異なるだけである。
(C)詳細パターン決定処理(ステップS445〜S448)
ステップS444で変動開始コマンドデータ1、加算時間、および変動パターン振分テーブル第2階層を取得した後、次いで、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納されている変動パターン用乱数値2を取得する(ステップS445)。
次いで、ステップS444で取得した変動パターン振分テーブル第2階層を参照して、変動パターン用乱数値2を利用した抽選により、変動開始コマンドデータ2と時間テーブルとを取得する(ステップS446)。ステップS441〜S446までの処理により、変動開始コマンドデータ1、加算時間、変動開始コマンドデータ2、および時間テーブル(図44参照)が取得される。
次いで、上記時間テーブルを参照し、特別図柄の変動時間(疑似連を伴う場合は、加算時間を含む)をRAM203のタイマ管理領域である「特別図柄役物動作タイマ」に格納する(ステップS447)。これにより、特別図柄の変動時間が決定される。この特別図柄役物動作タイマは、特別図柄の変動時間の他、パチンコ遊技機1の遊技動作制御に係る複数種類の動作時間が1つのタイマにより管理され、各動作時間が重複設定されないように遊技動作処理手順が組まれている。これにより、各タイマに対応したタイマ管理領域を設けるよりも、プログラム領域やワーク領域を削減することができる。
(D)変動パターン指定コマンド作成処理(ステップS448)
次いで、ステップS444で取得した変動開始コマンドデータ1と、ステップS447で取得した変動開始コマンドデータ2とに基づき、変動パターン指定コマンドを作成し(ステップS448)、これをRAM203に格納することなく、演出制御部24に送信する(ステップS449)。これにより特別図柄変動パターン作成処理を抜けて、図32のステップS413の処理に進む。
上述した変動パターン振分テーブル第2階層について説明する。この変動パターン振分テーブル第2階層は、特別図柄の詳細パターンを決定するためのテーブルである。変動パターン振分テーブル第2階層には、当り(大当りまたは小当り)時に選択される当り変動パターン振分テーブル第2階層(図42)と、ハズレ時に選択されるハズレ変動パターン振分テーブル第2階層とが含まれる(図43)。
(T−16.当り変動パターン振分テーブル第2階層:図42)
図42に、上記の当り変動パターン振分テーブル第2階層を示す。本実施形態の当り変動パターン振分テーブル第2階層には、図示のように、変動開始コマンドデータ2(下位バイト)と特別図柄の変動時間を定めるための時間テーブル(テーブル種別:TIMTBL−A1〜TIMTBL−A20)とを関連付けて定めた区分(行方向の区分)が複数種類定められており、変動パターン用乱数値2を利用した抽選により、当該複数種類の区分のうちからいずれか一つの区分が選択されるように、その選択率が定められている。具体的には、たとえば、当り変動パターン振分テーブル第1階層AA1においては、「変動開始コマンドデータ2‘01H’と時間テーブル‘TIMTBL−A1’」が定まる区分が100/251で、「変動開始コマンドデータ2‘02H’と時間テーブル‘TIMTBL−A2’」が定まる区分が100/239で、「変動開始コマンドデータ2‘03H’と時間テーブル‘TIMTBL−A3’」が定まる区分が51/239で選択されるようになっている。なお、図中の「第2階層判定内容」の欄には、変動パターン振分テーブル第2階層により指定される詳細パターンの内容を示してある。
ここで上記「変動開始コマンドデータ2」とは、変動パターン指定コマンドの下位バイト側(EVENT)を定めるために利用されるデータである。変動開始コマンドデータ2には、基本パターンの具体的内容である詳細パターンを指定する複数種類のコマンドデータが含まれる。
また図44を参照して上記「時間テーブル」には、当り変動パターン振分テーブル第2階層で決定される「TIMTBL−A1〜TIMTBL−A20」と、後述のハズレ変動パターン振分テーブル第2階層で決定される時間テーブル「TIMTBL−H1〜TIMTBL−H23」が含まれ、それぞれのテーブルには、特別図柄の変動時間(ms)が定められている。したがって、時間テーブルが決定されると、特別図柄の変動時間(本変動の変動時間)が定まることになる。
(T−17.ハズレ変動パターン振分テーブル第2階層:図43)
図43に、ハズレ変動パターン振分テーブル第2階層を示す。本実施形態のハズレ変動パターン振分テーブル第2階層には、図示のように、変動開始コマンドデータ2(下位バイト)と特別図柄の変動時間を定めるための時間テーブル(テーブル種別:TIMTBL−H1〜TIMTBL−H23)とを関連付けて定めた区分(行方向の区分)が複数種類定められており、変動パターン用乱数値2を利用した抽選により、当該複数種類の区分のうちからいずれか一つの区分が選択されるように、その選択率が定められている。なお、テーブルの基本的構成は、上述した当り変動パターン振分テーブル第2階層と同じであるので、重複記載を避けるため詳細な説明は省略する。
(特別図柄の変動パターンの決定手順)
この変動パターン振分テーブル第2階層を利用した特別図柄の最終的な変動パターンを決定する処理手順と、変動パターン指定コマンドとを決定する処理手順とに関し、具体例を挙げて説明すれば以下のようになる。
たとえば、S442の処理で当り変動パターン振分テーブル第1階層A1が選択され、ステップS444の処理において当り変動パターン振分テーブル第1階層A1において選択された区分が「変動開始コマンドデータ1=A6H、加算時間10秒、当り変動パターン振分テーブル第2階層AA2」(基本パターン:疑似2連+弱SPリーチ)の区分であったケースを考えてみる。
この場合、ステップS446の処理においては当り変動パターン振分テーブル第2階層AA2が参照されて、変動パターン用乱数値2を利用した抽選により「変動開始コマンドデータ2=01H、時間テーブルTIMTBL−A1」(通常中弱SPリーチ1を伴う変動パターン)〜「「変動開始コマンドデータ2=01H、時間テーブルTIMTBL−A3」(通常中弱SPリーチ3を伴う変動パターン)のいずれかの区分が選択されうる。
上述の変動パターン用乱数2を利用した抽選により、たとえば「変動開始コマンドデータ2=01H、TIMTBL−A1」の区分が選択されたとすれば、詳細パターンとして「通常中弱SPリーチ1」が決定されることになる。したがって、一連の処理で決定された変動パターンの内容は、基本パターンが「疑似2連+弱SPリーチ」、かつ詳細パターンが「通常中弱SPリーチ1」とする特別図柄の変動パターン、すなわち、今回の変動表示動作に供される作動保留球の最終的な特別図柄の変動パターン(最終変動パターン)は、「疑似2連+通常中弱SPリーチ1」が指定されたことになる。
また、時間テーブル「TIMTBL−A1」が選択されているので、「疑似2連+通常中弱SPリーチ1」の変動時間は、この「TIMTBL−A1」により指定される「51.3秒(図44の「TIMTBL−A1」の欄参照)」である。しかし、疑似連を伴う変動パターンにおいては、疑似変動に要する時間幅が変動パターン振分テーブル第1階層で定まり、本変動に要する時間幅が変動パターン振分テーブル第2階層で定まるようになっている。したがって、「疑似2連+通常中弱SPリーチ1」とする変動パターンの実際の変動時間は、図40の当り変動パターン振分テーブル第1階層A1において定まる「10秒(図40の基本パターンの欄「疑似2連+弱SPリーチ」に対応する加算時間の欄参照)」と、上述の時間テーブル「TIMTBL−A1」により定まる「51.3秒」とを合算した「61.3秒」となる。この変動時間が、特別図柄役物動作タイマに格納され(ステップS447)、今回の特別図柄の変動時間が決定されたことになる。
また、このときの「変動開始コマンドデータ1」が「A6H(上位バイト)」であり、かつ「変動開始コマンドデータ2」が「01H(下位バイト)」であることから、ステップS448の処理では、「A6H」と「01H」とからなる変動パターン指定コマンドが作成され(ステップS448)、これが演出制御部24に送信される(ステップS449)。なお、演出制御部24には、変動パターン指定コマンドに続き、装飾図柄指定コマンドも送信される(図32のステップS415)。これらのコマンドを受けた演出制御部24側では、当該コマンドに含まれる特別図柄の変動パターン情報と当選種別(当り種別やハズレ種別)情報とに基づき、今回の図柄変動表示ゲーム中の現出する演出が決定され、その演出に基づく演出制御処理が行われる。このようにして、図柄変動表示ゲーム中の演出が現出されるようになっている。
(C−2:変動パターン指定コマンド一覧:図45、図46)
上述のステップS444とS446の処理で得られる「変動開始コマンドデータ1」と「変動開始コマンドデータ2」とから作成される変動パターン指定コマンドについて、図45に当り変動パターン指定コマンドの一覧を、図46にハズレ変動パターン指定コマンドの一覧を示す。図45および図46には、各変動パターン指定コマンドに対応した変動パターンの名称とその内容を示してある。変動パターン指定コマンドは、演出制御コマンドの一つであり、図示のように、2バイトで構成される。
本実施形態のリーチ演出を伴う変動パターンには、「通常遊技状態」中または「潜確状態」中において使用される変動パターンとして、ハズレ時のみに使用され、ノーマルリーチを伴う変動パターン種別に属する「ノーマルリーチ1〜3(疑似連を伴うものを含む)」(ハズレ変動パターンH0−NP1〜H0−NP6)と、弱SPリーチを伴う変動パターン種別に属する「通常中弱SPリーチ1〜3(疑似連を伴うものを含む)」(当り変動パターンA1−SP1〜A1−SP9、ハズレ変動パターンHO−SP1〜変動パターンH0−SP9)と、強SPリーチを伴う変動パターン種別に属する「通常中強SPリーチ1〜3(疑似連を伴うものを含む)」(当り変動パターンA1−SP10〜A1−SP21、ハズレ変動パターンHO−SP10〜変動パターンH0−SP21)とが含まれる。
また、「確変状態C」中または「時短状態」中において使用される変動パターンとして、弱リーチを伴う変動パターン種別に属する「チャンス中弱リーチ1〜3」(当り変動パターンA1−CR1〜A1−CR3、ハズレ変動パターンHO−CR1〜変動パターンH0−CR3)と、強リーチを伴う変動パターン種別に属する「チャンス中強リーチ1〜3」(当り変動パターンA1−CR4〜A1−CR6)とが含まれる。
またさらに、「確変状態A」中または「確変状態B」中に使用される変動パターンとして、確変中リーチを伴う変動パターン種別に属する「確変中リーチ1〜3」(当り変動パターンA2−DR1〜A2−DR3)が含まれる。
リーチ演出には、大当り当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。本実施形態のリーチ演出の種別には、通常遊技状態中であれば「ノーマルリーチ、弱SPリーチ、強SPリーチ」、時短状態または確変状態Cであれば「チャンス中リーチ、弱リーチ、強リーチ」、確変状態中A中または確変状態B中であれば「確変中リーチ」などが含まれる。大当り当選期待度は、基本的には「ノーマルリーチ<弱SPリーチ<強SPリーチ」の関係で、あるいは「チャンス中リーチ<弱リーチ<強リーチ」の関係で大当り当選期待度が高まり(同種のリーチ演出間では、たとえば、たとえば、「弱SPリーチ1<弱SPリーチ2<弱SPリーチ3」というように番号が大きいほど大当り当選期待度が高まるようになっている)、その他、疑似連の回数(疑似連回数が相対的に多いほど大当り当選期待度が高まる)や、他の予告演出(ボタン予告演出や背景変化演出や先読み予告演出)が伴うことに応じて、大当り当選期待度が変化するようになっている。なお、時短状態または確変状態Cの場合に選択されうる専用のリーチ演出の「高リーチ(高ベース当選期待度高)」とは、15R高ベース確変大当りの当選期待度が「弱リーチ(高ベース当選期待度低)」よりも相対的に高まるリーチ演出態様として定められている(当り変動パターン振分テーブル第1階層A7〜A9の欄(特に選択率)を参照)。
(確変状態B(高速変動遊技状態)について)
ここで、図46にハズレ変動パターン指定コマンドの一覧を参照すれば、通常変動を伴う変動パターンには、通常遊技状態中または潜確状態中において使用される変動パターンとして、通常変動1を伴う変動パターン種別に属する「通常変動12s(変動時間12秒)」(変動パターンH0−NN1)、通常変動2を伴う変動パターン種別に属する「通常変動6s(変動時間6秒)」(変動パターンH0−NN2)、および通常変動3を伴う変動パターン種別に属する「通常変動3s(変動時間6秒)」(変動パターンH0−NN3)が含まれる。また、確変状態C中または時短状態中において使用される変動パターンとして、チャンス中通常変動1保留0を伴う変動パターン種別に属する「通常変動8s(変動時間8秒)」(変動パターンH1−NN1)、およびチャンス中通常変動2を伴う変動パターン種別に属する「通常変動2.5s(変動時間2.5秒)」(変動パターンH0−NN2)が含まれる。また、確変状態A中に使用される変動パターンとして、確変中通常変動1保留0を伴う変動パターン種別に属する「通常変動6s(変動時間6秒)」(変動パターンH2−NN1)および確変中通常変動2を伴う変動パターン種別に属する「通常変動2s(変動時間2秒)」(変動パターンH1−NN2)が含まれる。さらにまた、確変状態B中に使用される変動パターンとして、確変B中通常変動1伴う変動パターン種別に属する「通常変動1s(変動時間1秒)」(変動パターンH3−NN1)が含まれる。
これら通常変動を伴う変動パターンのうち、ハズレ変動パターンH3−NN1の「通常変動1s」に着目する。このハズレ変動パターンH3−NN1は、通常変動を伴う変動パターンのうちで最も少ない変動時間であり、特別図柄の変動時間幅を「1秒」とする高速変動パターンである(図44の時間テーブル「TIMTBL−H23」の欄参照)。そして、本実施形態の確変状態B中に使用されるハズレ変動パターンには、この「通常変動1s」だけが設定されている。
詳しくは、図41のハズレ変動パターン振分テーブル第1階層を参照すれば、確変状態Bに「ハズレ」となった場合、ハズレ種別(ハズレA、ハズレB)と作動保留球数とにかかわらず、「通常変動1s」だけが選択されるようになっている(図41のハズレ変動パターン振分テーブル第1階層の変動パターン振分指定番号(Tcode)「05H」の欄、図43のハズレ変動パターン振分テーブル第2階層「HH19」の欄、および図46のハズレ変動パターンコマンド一覧参照)。
したがって確変状態Bに「ハズレ」となった場合、特別図柄の変動時間幅を「1秒」とする高速変動パターンの「通常変動1s」だけが選択されるため、他の遊技状態と比べて図柄変動表示ゲームの消化時間が最も早い「高速変動状態」下に置かれることになる。また、確変状態B中に「ハズレ」となった場合、リーチを伴う変動パターン(リーチ演出有り)が選択されず、他の遊技状態中とは異なり、リーチ演出が現出されない。つまり、リーチ演出が発生した時点で大当り確定となることが報知されることになる。
本実施形態では、確変状態Aまたは確変状態Cに滞在していた場合、大当りすることなく特別図柄変動表示ゲームが所定回数(70回)終了すると確変状態Bに移行される。ここで確変状態Aまたは確変状態C中にあっては、ハズレ種別(ハズレA、ハズレB)と作動保留球数とに応じて、リーチを伴う変動パターンや、「通常変動1s」よりも相対的に変動時間が長い複数種類の通常変動を伴う変動パターンが選択される可能性がある、といった「非高速変動状態(低速変動遊技状態)」下に置かれる。しかし「確変状態B」に移行した場合には、リーチを伴う変動パターンが選択されず、ハズレ続ける限り高速変動パターンである「通常変動1s」が選択される、といった「高速変動状態(高速変動遊技状態)」下に置かれるようになっている。このように、特別図柄変動表示ゲームの実行回数に応じて、非高速変動状態とする一の確変状態から高速変動状態とする他の確変状態に移行させることにより次のような特有の効果を奏する遊技機を提供することができる。
確変状態では、大当り抽選確率を通常よりも高確率状態とする特別図柄確変機能が作動するだけでなく、特別図柄および普通図柄の変動時間を短くする時短機能や可動翼片47の作動率を向上させる開放延長機能を作動させることで、大当たり遊技への移行が通常遊技状態よりも容易となるように工夫された魅力的な遊技状態となる。しかし、確変状態に移行されても、その確変状態が次回の大当りに当選するまで継続されるといった固定的である場合、当該確変状態下に応じた特別図柄の変動パターンやこれに伴う演出も固定的となり、確変状態における遊技性の自由度が制限され遊技の面白みに欠ける。このような事情に鑑み、本実施形態では、特別図柄変動表示ゲームの実行回数に応じて、非高速変動状態である一の確変状態(確変状態Aまたは確変状態C)から高速変動状態である他の確変状態(確変状態B)へと遊技状態が遷移する構成となっている。この非高速変動状態では、ゲームの平均消化速度を高速変動状態下よりも長くなるが、その替わりに演出時間を長めにとることによって「演出を楽しむ」といった遊技性に重きを置いた遊技状態となっている。一方、高速変動状態では、ゲームが高速消化されていくことにより「ゲームの平均消化速度を上昇させて大当り当選の到来時期を早める」といった遊技性に重きを置いた遊技状態となっている。このように、特別図柄変動表示ゲームの実行回数に応じて、遊技状態が変化することにより、演出面とゲーム消化速度の面の双方を効果的に高めることができ、確変状態中の遊技性により一層の面白みを与えることができる。
(10−4.特別図柄変動中処理:図47)
図48は、特別図柄動作ステータスが「変動中(02H)」の場合に行われる特別図柄変動中処理(ステップS307)の詳細を示すフローチャートである。
図48において、CPU201は、まず図38のステップS447で設定した特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定する(ステップS451)。特別図柄役物動作タイマがゼロでない場合は(ステップS451:NO)、未だ特別図柄の変動時間が経過していない、つまり特別図柄が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS451:YES)、演出制御コマンドとして、特別図柄の変動が終了したことを示す「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS452)。この変動停止コマンドにより、演出制御部24側では特別図柄の変動時間が終了したことが把握され、装飾図柄変動表示ゲームが終了される。
そして特別図柄の変動停止時の設定処理として、特別図柄確定タイマに特別図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)を格納し、特別図柄役物動作タイマに確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄変動中フラグに00H(OFF状態)を格納し(ステップS453)、この特別図柄変動中処理を抜ける。ここで「特別図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部端子基板21に特別図柄が確定表示した旨を示す特別図柄確定信号を出力する時間である。また「確定表示時間」とは、特別図柄の停止表示を保持する時間であり、この確定表示時間が経過すると、次の動作に移行可能となる(図48Aの特別図柄確認時間中処理のステップS461:YESの処理ルート参照)。
以上により、この特別図柄変動中処理を抜けると、図14のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図9のステップS60の特別電動役物管理処理に進む。
(10−5.特別図柄確認時間中処理:図48Aおよび図48B)
図48Aおよび図48Bは、図14の特別図柄管理処理において、特別図柄動作ステータスが「確認中(03H)」であると判定された場合に行われる特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。
図48Aおよび図48Bにおいて、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり特別図柄の確定表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS461)。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS461:NO)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS461:YES)、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS462)、現在の遊技状態に応じた遊技状態判定番号(YJ)をRAM203の遊技状態判定領域に格納する(ステップS463)。
次いで、大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS464)。
(大当り判定フラグがON状態の場合)
上記ステップS464の判定で、大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS464:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS465)。ここでは、大当りを示す特別図柄が停止した場合の大当り遊技の開始前処理として、大当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、条件装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、さらに、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、および特別図柄変動回数カウンタの各々に00H(OFF状態)を格納し、変動パターン振分指定番号(Tcode)に00H(通常指定)を格納し、「遊技状態報知LED(図示せず)」の点灯・消灯を指定する遊技状態報知LED出力番号に00Hを格納して、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。ここで上記の「遊技状態報知LED」とは、遊技機の適所に設けられ、現在の遊技状態がどのような遊技状態であるかを報知する状態報知手段である。本実施形態の遊技状態報知LEDは、現在の遊技状態が時短状態であるか否かを報知するために利用される。CPU201は、遊技状態報知LED出力番号に応じて、状態報知手段の報知態様を変化させる。ここでは、上記遊技状態報知LED出力番号が「00H」の場合には現在の遊技状態が時短状態ではない旨が(遊技状態報知LED:消灯状態(非時短状態報知))、「01H」の場合には現在の遊技状態が時短状態である旨が指定される(遊技状態報知LED:点灯状態(時短状態報知)。なお本実施形態の遊技状態報知LEDは、時短状態であるか否かを報知するための手段として用いているがこれに限らず、通常遊技状態、確変状態、および時短状態のうちの少なくともいずれか一つを識別可能に報知させる構成であっても良い。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合)
上記ステップS464の判定で、大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS464:≠5AH)、次いで、小当り判定フラグを取得し、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS466)。小当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS466:≠5AH)、ステップS468の処理に進む。小当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS466:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS467)。ここでは、小当りを示す特別図柄が停止した場合の小当り遊技の開始前処理として、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS468の処理に進む。
ステップS468の処理に進むと、特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否か、つまり残り時短回数がゼロであるか否かを判定する(ステップS468)。特別図柄時短回数カウンタがゼロ(時短状態ではない)である場合(ステップS468:YES)、ステップS473の処理に進む。
特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS468:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄時短回数カウンタを1減算し(ステップS469)、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS470)。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合には(ステップS470:NO)、時短状態に突入してからの特別図柄の変動回数が未だ規定回数の70回に達しておらず、未だ継続中であるとして、何もしないでステップS473の処理に進む。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロの場合には(ステップS470:YES)、時短状態に突入してからの特別図柄の変動回数が規定回数の70回に達したとして、時短状態終了時の設定処理を行う(ステップS471)。ここでは、時短状態を終了させ、通常遊技状態への移行設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、および特別図柄時短状態フラグの各々に00H(OFF状態)を格納し、変動パターン振分指定番号(Tcode)に00H(通常指定)を格納し、遊技状態報知LEDに00H(非時短状態指定)を格納する。
上記時短状態終了時の設定処理を終えると、演出制御コマンドとして、時短状態が終了して通常遊技状態に移行される旨を示す「通常指定状態コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS472)。この通常指定状態コマンドは遊技状態指定コマンドの一種であり、このコマンドにより演出制御部24側は、次回から遊技状態が通常遊技状態に移行される旨を把握し、演出モードをチャンス演出モードから通常演出モードに移行させる。
次いでステップS473の処理に進むと、特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否か、つまり残り確変回数がゼロであるか否かを判定する(ステップS473)。特別図柄確変回数カウンタがゼロ(確変状態ではない)である場合(ステップS473:YES)、ステップS478の処理に進む。
特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS473:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄確変回数カウンタを1減算し(ステップS474)、減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS475)。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合には(ステップS475:NO)、確変状態に突入してからの特別図柄の変動回数が未だ規定回数の10000回に達しておらず、未だ継続中であるとして、何もしないでステップS478の処理に進む。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロの場合には(ステップS475:YES)、確変状態に突入してからの特別図柄の変動回数が規定回数の10000回に達したとして、確変終了時の設定処理を行う(ステップS476)。ここでは、確変状態を終了させ、通常遊技状態への移行設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、および特別図柄確変状態フラグの各々に00H(OFF状態)を格納し、変動パターン振分指定番号(Tcode)に00H(通常指定)を格納し、遊技状態報知LED(非時短状態指定)に00Hを格納する。
上記確変終了時の設定処理を終えると、演出制御コマンドとして、確変状態が終了して通常遊技状態に移行される旨を示す(この確変終了時の設定処理が行われる場合、必ず確変状態Bとなっている)「通常指定状態コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS477)。この通常指定状態コマンドにより、演出制御部24側は、次回から遊技状態が通常遊技状態に移行される旨を把握し、演出モードを高速変動演出モードから通常演出モードに移行させる。
次いでステップS478の処理に進むと、特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否か、つまり遊技状態移行規定回数がゼロであるか否かを判定する(ステップS478)。特別図柄変動回数カウンタがゼロである場合(ステップS478:YES)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS478:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄変動回数カウンタを1減算し(ステップS479)、減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS480)。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合には(ステップS480:NO)、確変状態Aまたは確変状態Cに突入してからの特別図柄の変動回数が遊技状態移行規定回数の70回に達しておらず、未だ継続中であるとして、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロの場合には(ステップS480:YES)、確変状態Aまたは確変状態Cに突入してからの特別図柄の変動回数が遊技状態移行規定回数の70回に達したとして、確変状態Bへの移行設定処理を行う(ステップS481)。ここでは、確変状態Aまたは確変状態Cを終了させ、確変状態Bへの移行設定処理として、変動パターン振分指定番号(Tcode)に05H(確変B指定)を格納する。そして、演出制御コマンドとして、確変状態Aまたは確変状態Cが終了して確変状態Bに移行される旨を示す「確変B指定状態コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS482)。この確変B指定状態コマンドは遊技状態指定コマンドの一種であり、このコマンドにより演出制御部24側は、次回から遊技状態が確変状態Bに移行される旨を把握し、演出モードを確変演出モードまたはチャンス演出モードから高速変動演出モードに移行させる。
以上により、この特別図柄確認時間中処理を抜けると、図14のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図9のステップ60の特別電動役物管理処理に進む。
(11.特別電動役物管理処理:図49)
次に、図9中の特別電動役物管理処理(ステップS60)について説明する。図49は、ステップS60の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図49において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS501:=5AH)、小当り遊技に係る特別変動入賞装置42の一連の動作を制御するための小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS502:≠5AH)、つまり小当り遊技中でも大当り遊技中でもない場合には、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS502:=5AH)、特別変動入賞装置42の挙動を示す処理状態(特別電動役物動作ステータス:00H〜04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐)。具体的には、大当り遊技に係る特別変動入賞装置42の一連の動作を制御するために、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」の場合には「大当り開始処理」(ステップS505)を、「作動開始処理中(01H)」の場合には「特別電動役物作動開始処理」(ステップS506)を、「作動中(02H)」の場合には「特別電動役物作動中処理」(ステップS507)を、「継続判定中(03H)」の場合には「特別電動役物作動継続判定処理」(ステップS508)を、「終了処理中(04H)」の場合には「大当り終了処理」(ステップS509)をそれぞれ行われるようになっている。ここで、「開始処理中(00H)」とは、大当りして特別変動入賞装置42の動作が大当り遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動開始処理中(01H)」とは、特別変動入賞装置42の動作がラウンド遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動中(02H)」とは、特別変動入賞装置42の動作がラウンド遊技を実行中である旨を示し、「継続判定中(03H)」とは、ラウンド遊技を継続させるか否かの判定処理中である旨を示し、「大当り終了処理中(04H)」とは、大当り遊技の終了処理中である旨を示している。
以下に、大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)と、小当り遊技制御処理(ステップS504)とについて詳細に説明する。説明の便宜上、先ず、大当り遊技制御処理から説明する。
<大当り遊技制御処理>
大当りとなった場合、大当り遊技制御処理として、最初にステップS505の「大当り開始処理」が行われる。
(11−1.大当り開始処理:図50)
図50は、図49の特別電動役物管理処理において、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」の場合に行われる「大当り開始処理(ステップS505)」の詳細を示すフローチャートである。
図50において、CPU201は、まず、大当り開始時の設定処理を行う(ステップS511)。ここでは、大当り開始時、つまり大当り遊技開始前の設定処理として、役物連続作動装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)、連続回数カウンタに01Hを格納する。ここで「役物連続作動装置作動フラグ」とは、役物連続作動装置の制御に利用するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には役物連続作動装置作動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には役物連続作動装置非作動である旨を示す。また「連続回数カウンタ」とは、ラウンド遊技の連続実行回数、つまり現在のラウンド数を記憶するためのカウンタである。ここでの連続回数カウンタは「01H」であるので、現在のラウンド数は1R目を示す。
ステップS511の大当り開始処時の設定処理を終えると、大当り開始設定テーブルを取得し(ステップS512)、特別図柄判定データ別設定処理を行う(ステップS513)。この特別図柄判定データ別設定処理では、役物連続作動装置作動開始時設定テーブルを参照して、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて、最大ラウンド数(規定ラウンド数)、ラウンド表示LED番号をそれぞれRAM203の対応領域に格納し、また特別図柄役物動作タイマに開始インターバル時間を格納する。
(T−18.役物連続作動装置作動開始時設定テーブル:図51)
図51に、役物連続作動装置作動開始時設定テーブルを示す。本実施形態の役物連続作動装置作動開始時設定テーブルには、図示のように、当選種別として大当り種別、つまり特別図柄判定データと、最大ラウンド数、開始インターバル時間、およびラウンド表示LEDとが関連付けて定められている。具体的には、特別図柄判定データに対応した、「最大ラウンド数、開始インターバル時間、およびラウンド表示LED」が選択されるようになっている。ここで「開始インターバル時間」とは、図47のステップS453の確定表示時間が経過して大当りが確定した後、特別変動入賞装置42が作動するまでのインターバル区間であって、OP(オープニング)演出が行われる区間を定めた時間幅(1回目のラウンド遊技が行われる前の初回演出時間)を指す。本実施形態では、バトル演出を採用している関係上、OP演出の時間幅である開始インターバル時間の違いにより大当り種別を遊技者に悟られてしまうことを回避するため、最大ラウンドが15Rの大当りの場合にはすべて同じ時間幅の開始インターバル時間(たとえば、10000ms)が設定されるようになっている。また「ラウンド表示LED(図示せず)」とは、遊技機の適所に設けられ、大当りによる最大ラウンド数(規定ラウンド数)を報知する報知手段である。CPU201は、ラウンド表示LED番号に応じて、当該報知手段の報知態様を変化させ、今回の大当りが最大15ラウンド(15R)を伴う大当りであるのか、最大2ラウンド(2R)をラウンド数であるのかを報知させる。ここでは、ラウンド表示LED番号が「01H」の場合は、今回の大当り種別が‘15R’を伴う大当りである旨が、「02H」の場合は‘2R’を伴う大当りである旨が指定される。
上記ステップS513の特別図柄判定データ別設定処理を終えると、当り中演出の開始を指示する「大当り開始コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS514)。この大当り開始コマンドは、今回の大当り種別情報と大当り当選時の遊技状態情報とを含み、演出制御部24側において、当り中演出テーブル(WINTBL−P1〜WINTBL−P7のうちいずれか)を決定する際に利用される(図5の当り中演出テーブル選択テーブルに基づき、いずれか1つの当り中演出テーブルが抽選により決定される)。これにより、大当り遊技中に展開される一連の演出態様が決定され、OP演出の開始とともに、大入賞口が開放される大当り状態が発生する。
以上により、この大当り開始処理を抜けると、図9のステップS61の右打ち報知情報管理処理に進む。
(11−2.特別電動役物作動開始処理:図52)
図52は、図49の特別電動役物管理処理において、特別電動役物動作ステータスが「作動開始処理中(01H)」の場合に行われる特別電動役物作動開始処理(ステップS506)の詳細を示すフローチャートである。
図52において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS521)。ここでの特別図柄役物動作タイマに設定されている時間は、ラウンド遊技開始前のインターバル時間となっている。なお、ここでのインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では図50のステップS513で設定された「開始インターバル時間」が監視されるが、2R目以降でこのステップS521を通過するときは、「開放前インターバル時間(後述の図60のステップS575で設定されるインターバル時間)」が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS521:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(初回のラウンドの場合は、開始インターバル時間)が経過したならば(ステップS521:YES)、大入賞口開放開始動作に伴い、演出制御コマンドとして、「大入賞口開放コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS522)。この大入賞口開放コマンドは、ラウンド遊技開始情報(ラウンド演出の開始指示情報)や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24側において、ラウンド数に対応するラウンド演出を開始させる際に利用される。
次いで、大入賞口開放動作時間設定テーブルを取得し(ステップS523)、大入賞口開放動作時間設定処理を行う(ステップS524)。この大入賞口開放動作時間設定処理では、大入賞口開放動作時間設定テーブルを参照して、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに応じた大入賞口開放動作時間を特別図柄役物動作タイマに格納する。
(T−19.大入賞口開放動作時間設定テーブル:図53)
図53に、大入賞口開放動作時間設定テーブルを示す。本実施形態の大入賞口開放動作時間設定テーブルには、図示のように、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに関連付けられた大入賞口開放動作時間が定められている。具体的には、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに対応した大入賞口開放動作時間が選択されるようになっている。ここで「大入賞口開放動作時間」とは、大入賞口の最大開放時間である。本実施形態では、バトル演出を採用している関係上、大入賞口の最大開放時間の違いにより大当り種別を遊技者に悟られてしまうことを回避するため、最大ラウンドが15Rの大当りの場合には、前半部の6R目までは、すべて同じ時間幅の長開放時間の‘29.8秒’が設定され、後半部の7R目以降は、15R高ベース確変大当りを除き、短開放時間の‘0.1秒’が設定されるようになっている。
なお本実施形態では、15R低ベース非確変大当り、15R低ベース確変α大当り、および15R低ベース確変β大当りにおいて、後半部の7R目以降が同じ時間幅に設定されるとしたがこれに限られない。バトル演出の結果により大当り種別が秘匿状態とされるのは、「敗北演出(バトル演出結果「敗北」)」が現出される場合であり、このときの大当り種別は、15R低ベース非確変大当りか、または15R低ベース確変α大当りのいずれかとなっている(図4および図5参照)。したがって、これらの大当りにおいては、最大開放時間の違いにより大当り種別を遊技者に悟られてしまうことを回避するため、後半部の7R目以降をそれぞれ同じ時間幅に設定することが必要である。しかし、15R低ベース確変β大当りの場合においては「引き分け演出(バトル演出結果「引き分け」)」が現出されて大当り種別が判明することになるので、後半部の7R目以降は、15R低ベース非確変大当りや15R低ベース確変α大当りにおける最大開放時間とは異なる時間を設定しても問題は無い。
ステップS524の大入賞口開放動作時間設定処理を終えると、次いで、大入賞口入賞数カウンタに00Hを格納する(ゼロクリアする)。「大入賞口入賞数カウンタ」とは、大入賞口(下大入賞口40および右大入賞口50)の入賞球数を確認するために利用される。
次いで、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替え(ステップS526)(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS527)。この大入賞口開閉動作設定処理では、特別変動入賞装置42の開閉扉42bの動作パターンを定めるソレノイド制御用の励磁信号の出力設定データの作成を行う。以下に、この大入賞口開閉動作設定処理について説明する。
(11−2−1.大入賞口開閉動作設定処理:図54)
図54は、上記ステップS527の大入賞口開閉動作設定処理の詳細を示すフローチャートである。なお、この大入賞口開閉動作設定処理は、後述の図58の特別電動役物作動中処理(ステップS552)においても同じ処理が行われる。
図54において、CPU201は、まず大入賞口開閉動作設定テーブル選択テーブルを取得し(ステップS531)、大入賞口開閉動作設定テーブル選択テーブルを参照して、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに応じた大入賞口開閉動作設定テーブルを取得する(ステップS532)。
(T−20.大入賞口開閉動作設定テーブル選択テーブル:図55)
図55に、大入賞口開放動作設定テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の大入賞口開放動作設定テーブル選択テーブルには、図示のように、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに関連付けられた大入賞口開閉動作設定テーブルが定められている。具体的には、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに対応した大入賞口開閉動作設定テーブル(OPENTBL−D1〜OPENTBL−D4のうちいずれか1つ)が選択されるようになっている。なお上述の大入賞口開閉動作設定テーブルについては、説明の便宜上、後述の図56のソレノイド設定処理にて説明する。
次いで、特別図柄役物動作タイマを取得する(ステップS533)。なお、この特別電動役物作動開始処理においてステップS533を通過する場合、特別図柄役物動作タイマには、上記ステップS524で決定された大入賞口開放動作時間の初期値が設定されている。つまり、ここでの特別図柄役物動作タイマには、「29800ms」か「100ms」のいずれかが設定されていることになる(ステップS521:YES〜ステップS524の処理ルート、図55参照)。
次いで、ソレノイド設定処理を行う(ステップS534)、このソレノイド設定処理では、大入賞口開閉動作設定テーブルに基づき、大入賞口の開閉動作を指定する。以下に、このソレノイド設定処理について説明する。
(11−2−2.ソレノイド設定処理:図56)
図56は、上記のステップS534のソレノイド設定処理の詳細を示すフローチャートである。ここで、ソレノイド設定処理の理解を容易なものとするために、上記大入賞口開閉動作設定テーブルについて説明しておく。
(T−21.大入賞口開閉動作設定テーブル:図57)
図57に、大入賞口開閉動作設定テーブルを示す。本実施形態の大入賞口開閉動作設定テーブルには、図示のように、大当り遊技に係る大入賞口の開放パターンを指定するために必要なデータ群が定められている。具体的には、特別電動役物N作動フラグ(N=1、2)をON状態(=5AH)に指定する指示データと、大入賞口開放用フラグN(N=1、2)とに格納するためのデータが定められている。
上記「大入賞口開放用フラグN」とは、大入賞口の開閉動作を指定するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合にはソレノイド制御用の励磁信号出力(大入賞口開放)を指定し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には当該励磁信号出力停止(大入賞口閉鎖)を指定する。なお、大入賞口開放用フラグ1(N=1)は下大入賞口ソレノイド42c(下大入賞口40)側に対応し、大入賞口開放用フラグ2(N=2)は右大入賞口ソレノイド52c(右大入賞口50)側に対応する。また、図示の「タイマ値」とは、後述のステップS533で取得される特別図柄役物動作タイマのタイマ値を示し、図示のタイマ値に対応する「設定値」とは、大入賞口開放用フラグNの設定値を示している。たとえば、「OPENTBL−D2」を代表例にとって説明すれば、特別図柄役物動作タイマが「29800ms」の場合、このときの設定値は「5AH」であるので、大入賞口開放用フラグ1に「5AH」が格納される。そして、特別図柄役物動作タイマが「0ms」となるまでは大入賞口開放用フラグ1に「5AH」が格納され、特別図柄役物動作タイマが「0ms」となった場合には、大入賞口開放用フラグ1に「00H」が格納されるように指定されている。なお、他のOPENTBLが参照される場合も設定の仕方は同じである。
ここで設定された値は、ソレノイド制御データとして、図9のソレノイド管理処理(ステップS64)で利用される。ソレノイド管理処理では、上記のソレノイド制御データとして、たとえば、大入賞口開放用フラグ1に「5AH」が格納されている場合には、下大入賞口ソレノイド42cに励磁信号を出力し、これにより開放扉42bを作動させて下大入賞口40を開放させる。他方、大入賞口開放用フラグ1に「00H」が格納されている場合には、上記励磁信号の出力を停止し、これにより開放扉42bを元の位置に戻して下大入賞口40を閉鎖させる。このようにして、大入賞口40、50の開閉動作を制御している。
なお、図55の大入賞口開閉動作設定テーブル選択テーブルを参照すれば、OPENTBL−D1が選択される場合は、タイマ値が「100ms」のときに「5AH」が、「0ms」のときには「00H」が大入賞口開放用フラグ1に格納されるよう指定されていることから、下大入賞口40が短開放時間で開放(0.1秒間開放)されるようになっている。またOPENTBL−D2が選択される場合は、タイマ値が「29800ms」のときに「5AH」が、「0ms」のときには「00H」が大入賞口開放用フラグ1に格納されるように指定されていることから、下大入賞口40が長開放時間で開放(29.8秒間開放)させるようになっている。またOPENTBL−D3が選択される場合は、タイマ値が「100ms」のときに「5AH」が、「0ms」のときには「00H」が大入賞口開放用フラグ2に格納されるように指定されていることから、右大入賞口50が短開放時間で開放させるようになっている。またOPENTBL−D4が選択される場合は、タイマ値が「29800ms」のときに「5AH」が、「0ms」のときには「00H」が大入賞口開放用フラグ2に格納されるように指定されていることから、右大入賞口50が長開放時間で開放させるようになっている。
図56の説明に戻り、CPU201は、まずステップS532で取得した大入賞口開閉動作設定テーブルを参照して、上記指示データにより指定される特別電動役物N作動フラグに5AHを格納する(ステップS541)。
次いで、大入賞口開閉動作設定テーブルを参照して、当該テーブルが示すタイマ値とステップS533で取得した特別図柄役物動作タイマとを比較し(ステップS542)、特別図柄役物動作タイマと当該テーブルが示すタイマ値とが一致した場合、大入賞口開放用フラグN(N=1、2)に当該テーブルが示す設定値を格納する(ステップS543)。これによりソレノイド処理を抜けると、特別電動役物作動開始処理を抜け、図9のステップS61の右打ち報知情報管理処理に進む。
(11−3.特別電動役物作動中処理:図58)
図58は、図49の特別電動役物管理処理において、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」の場合に行われる特別電動役物作動中処理(ステップS507)の詳細を示すフローチャートである。
図58において、CPU201は、まず大入賞口最大入賞数確認処理を行う(ステップS551)。この大入賞口最大入賞数確認処理では、主に、大入賞口への入賞球が最大入賞数に達したか否かを確認するための処理である。この大入賞口最大入賞数確認処理の詳細は図59にて後述する。
上記の大入賞口最大入賞数確認処理を終えると、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS552)。この大入賞口開閉動作設定処理は、上記ステップS527の大入賞口開閉動作設定処理と処理の仕方は同じであるので、重複記載を避けるため詳細な説明は省略する。
上記の大入賞口開閉動作設定処理を終えると、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり大入賞口開放時間が経過したか否かを判定する(ステップS553)。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS553:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動中処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(大入賞口開放時間終了)になったならば(ステップS553:YES)、今回のラウンド遊技における大入賞口が閉鎖されたとして、「ラウンド終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS554)。このラウンド終了コマンドは、演出制御部24側において、ラウンド数に応じたラウンド終了演出を現出する際に利用される。
次いで、ラウンド遊技が終了した際の開放動作終了時の各種設定処理を行う(ステップS555)。この開放動作終了時の各種設定処理では、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(たとえば、1980ms)を格納する。
なお本実施形態では、各ラウンド遊技後に設定される残存球排出時間がすべて同じ時間幅(1980ms)となっているがこれに限られない。上記残存球排出時間は、大入賞口の閉鎖後の大入賞口内の残存球を排出するための余裕時間として定めたものであることから、大入賞口の内部構造を考慮して、大入賞口内から遊技球が外部に排出されるまでに要する最大時間を見込んで設定されている。このため、複数種類の特別変動入賞装置を備える場合には、各々の特別変動入賞装置が備える大入賞口の開閉機構構造や、各々の大入賞口の内部構造(たとえば、遊技球が外部に排出されるまでの排出経路の長さ)など考慮し、一の大入賞口(たとえば、下大入賞口40)の開閉動作を伴うラウンド遊技後に設定される残存球排出時間と、他の大入賞口(たとえば、右大入賞口50)の開閉動作を伴うラウンド遊技後に設定される残存球排出時間とを異なる時間幅としても良い。また、ラウンド遊技が複数種類の動作態様に制御される場合にあっては、それぞれの動作態様に着目した残存球排出時間が設定されるように構成しても良い。たとえば、最大開放時間が短開放時間とするラウンド遊技後に設定される残存球排出時間と最大開放時間が長開放時間に設定されるラウンド遊技後に設定される残存球排出時間とを異なる時間幅としても良い。この場合、短開放時間とするラウンド遊技中は大入賞口への入賞の発生率が相対的に低い点に着目し、短開放時間とするラウンド遊技後に設定される残存球排出時間を相対的に短い時間幅としても良い。
以上により、この特別電動役物作動中処理を抜けると、図9のステップS61の右打ち報知情報管理処理に進む。
(11−3−1.大入賞口最大入賞数確認処理:図59)
図59は、上記ステップS551の大入賞口最大入賞数確認処理の詳細を示すフローチャートである。
図59において、CPU201は、まず特別電動役物1作動フラグの状態と特別電動役物2作動フラグの状態とを順次判定する(ステップS561、S562)。上記特別電動役物1作動フラグと特別電動役物2作動フラグのいずれもがOFF状態(=00H)の場合(ステップS561:≠5AH、かつステップS562:≠5AH)、つまり、特別変動入賞装置42が作動中でもなく、特別変動入賞装置52が作動中でもない場合、何もしないでこの大入賞口最大入賞数確認処理を抜ける。なお、ここでの「特別変動入賞装置42が作動中でもなく、特別変動入賞装置52が作動中でもない場合」とは、開放前インターバル時間中の場合である。
上記特別電動役物1作動フラグおよび特別電動役物2作動フラグのいずれかがON状態(=5AH)の場合(ステップS561:=5AH、またはステップS561:≠5AH、かつステップS562:=5AH)、大入賞口において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS563)。
大入賞口において入賞を検出した場合(ステップS563:YES)、入賞を検出した大入賞口に対応する大入賞口入賞カウンタを1加算する(ステップS564)。ここでは、下大入賞口40において入賞を検出した場合には下大入賞口入賞カウンタに1加算し、右大入賞口50において入賞を検出した場合には右大入賞口入賞カウンタに1加算する。
上記加算後の大入賞口入賞カウンタが最大入賞数(たとえば、9個)に達したか否かを判定する(ステップS565)。最大入賞数に達した場合には(ステップS565:YES)、特別図柄役物動作タイマをクリアし(ステップS566)、大入賞口最大入賞数確認処理を抜け、最大入賞数に達していない場合には(ステップS565:NO)、何もしないで大入賞口最大入賞数確認処理を抜ける。
以上により、この大入賞口最大入賞数確認処理を抜けると、図58のステップS552の大入賞口開閉動作設定処理に進む。
(11−4.特別電動役物作動継続判定処理:図60)
図60は、図49の特別電動役物管理処理において、特別電動役物動作ステータスが「継続判定中(03H)」の場合に行われる特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)の詳細を示すフローチャートである。
図60において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり大入賞口閉鎖後の残存球排出時間が経過したか否かを判定する(ステップS571)。
上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS571:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動継続判定処理を抜ける
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(残存球排出時間経過)になったならば(ステップS521:YES)、連続回数カウンタを取得して現在のラウンド数が最大ラウンド数に達したか否かを判定する(ステップS572)。最大ラウンド数に達していない場合には(ステップS572:NO)、ラウンド遊技を継続させるための処理としてステップS573〜S576の処理(ラウンド継続処理)を行い、最大ラウンド数に達した場合には(ステップS572:YES)、ラウンド遊技継続を終了させるための処理としてステップS577〜S580の処理(ラウンド継続終了処理)を行う。
(ラウンド継続処理ルート:ステップS573〜S576)
現在のラウンド数が最大ラウンド数に達していなければ(ステップS572:NO)、連続回数カウンタに1加算(01Hを加算)する(ステップS573)。
次いで、特別電動役物終了インターバル設定テーブルを取得し(ステップS574)、この特別電動役物終了インターバル設定テーブルを参照して、特別図柄判定データと加算後の連続回数カウンタとに応じた開放前インターバル時間を特別図柄役物動作タイマに格納する(ステップS575)。
(T−22.特別電動役物終了インターバル設定テーブル:図61)
図61に、特別電動役物終了インターバル設定テーブルを示す。本実施形態の特別電動役物終了インターバル設定テーブルには、図示のように、特別図柄判定データと連続回数カウンタとに関連付けられた開放前インターバル時間が定められている。具体的には、特別図柄判定データと現在の連続回数カウンタ(ステップS573の加算処理後の連続回数カウンタの値)とに対応した開放前インターバル時間が選択されるようになっている。
なお、開放前インターバル時間に特に制限はないが、ラウンド遊技間のインターバル時間として設ける以上、その時間を極端に長い時間(たとえば、数秒程度)にしてしまうと、ラウンド遊技間の待ち時間が増加し、遊技者が煩わしく感じる可能性がある。また15R分のラウンド遊技間では、合計数十秒〜1分近くも要することになり好ましくない。本実施形態の開放前インターバル時間は、20msという短時間に設定されるが、これは、遊技球が実際に入賞口に入球して入賞検出スイッチのON信号が出力された場合、その出力時間(信号継続期間)は、入賞球の転動時間に長短があるものの最長で20ms程度であることを考慮したものである。セルゴトによる過剰入賞の際の連続入賞や不正行為者が不正器具を用いてスイッチを誤作動させるような人為的な動作では、下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aからのON信号が頻繁に出力されることが予想される。したがって、開放前インターバル時間を適正なON信号の信号継続期間である20ms程度に定めても、ラウンド遊技間の不正入賞を監視するに問題はないと考えられる。好ましくは、それよりも長時間である場合の方が不正行為を検出し易くなると考えられる。以上を踏まえ、開放前インターバル時間は、約20ms〜数百ms程度の範囲で定めることが好ましい。ただし、大入賞口の形態(内部構造など)に応じて、残存球排出時間を比較的短時間としても良い場合がある。この場合は、「残存球排出時間≦開放前インターバル時間」としても良い。たとえば、ラウンド遊技間のインターバル時間が2000msである場合、残存球排出時間を1000msとし開放前インターバル時間を1000msとしたり、残存球排出時間を500msとし開放前インターバル時間を1500msとしたりしても良い。
なお本実施形態では、各ラウンド遊技後に設定される開放前インターバル時間がすべて同じ時間幅(20ms)となっているがこれに限られない。ラウンド遊技の動作態様に着目し、最大開放時間(上記大入賞口開放動作時間)が長開放時間に設定されるラウンド遊技と、最大開放時間が短開放時間に設定されるラウンド遊技とで、異なる時間幅の開放前インターバル時間が設定されるように構成しても良い。また、大当り種別(特別図柄判定データ)に応じて、一の大当り遊技中のラウンド遊技と他の大当り遊技中のラウンド遊技とで異なる時間幅の開放前インターバル時間が設定されるように構成しても良い
また複数種類の特別変動入賞装置を備える場合には、各々の特別変動入賞装置が備える大入賞口の開閉機構構造や各々の大入賞口の内部構造などに着目して次のように構成しても良い。なお、以下では説明の便宜上、一の大入賞口の開閉動作を伴うラウンド遊技後に設定される開放前インターバル時間幅を「Xt(ms)」、他の大入賞口の開閉動作を伴うラウンド遊技後に設定される開放前インターバル時間幅を「Yt(ms)」と称する。
(1)「Xt≠Yt(Xt>Yt、またはXt<Yt)の関係式を満たすようにしても良い。各々の特別変動入賞装置が備える大入賞口の開閉機構構造や各々の大入賞口の内部構造などを考慮した開放前インターバル時間としても良い。
(2)一の大入賞口よりも他の大入賞口の方が不正行為を受け易いと想定される位置に設けられている場合、「Xt<Yt」の関係式を満たすようにしても良い。不正行為を受け易い位置とは、たとえば、過去の事案からゴト行為がなされる可能性が高いと考えられる設置位置である。具体的には、遊技領域5a内にセル板やピアノ線を挿入し易い部分、たとえばガラス扉枠の6の左右側面中央部近傍(特に、下部側)からの距離が近い方の大入賞口が挙げられる。不正行為を受け易い位置側の大入賞口に関しては、開放前インターバル時間を相対的に長い時間幅とすることにより、不正入賞の監視をより強化なものとすることができる。なおここでは、不正行為を受け易いと想定される大入賞口側にだけ、開放前インターバル時間が設定されるように構成しても良い。具体的には、「Xt=0、Yt≠0」としても良い。
(3)一の大入賞口よりも他の大入賞口の方が不正行為を受け易いと想定される形態(形状または構造)を有する開閉部材により開閉される場合、「Xt<Yt」の関係式を満たすようにしても良い。この場合も、不正行為を受け易い位置側の大入賞口に関しては、開放前インターバル時間を相対的に長い時間幅とすることにより、不正入賞の監視をより強化なものとすることができる。なおここでは、不正行為を受け易いと想定される大入賞口側にだけ、開放前インターバル時間が設定されるように構成しても良い。具体的には、「Xt=0、Yt≠0」としても良い。
(4)一の大入賞口に係る入賞球1個当りの賞球数よりも他の大入賞口に係る入賞球1個当りの賞球数が相対的に多い場合、「Xt<Yt」の関係式を満たすようにしても良い。賞球数が相対的に多い大入賞口側に対して不正行為がなされた場合の損害が大きいことに鑑み、当該大入賞側の開放前インターバル時間を相対的に長い時間幅に設定する。これにより、不正入賞の監視をより強化なものとすることができる。なおここでは、入賞球1個当りの賞球数が相対的に多い上述の他の大入賞口側にだけ、開放前インターバル時間が設定されるように構成しても良い。具体的には、「Xt=0、Yt≠0」としても良い。
(5)一の大入賞口の開閉動作を伴うラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間をR1t、その後の残存球排出時間Z1tとし、他の大入賞口の開閉動作を伴うラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間をR2t、その後の残存球排出時間Z2tとし、「Xt≠Yt(Xt>Yt、またはXt<Yt)」とする場合、次の関係式を満たすようにしても良い。
「R1t+Z1t+Xt=R2t+Z2t+Yt」または「Z1t+Xt=Z2t+Yt」
再び図60の説明に戻り、次いで、ラウンド継続時の各種設定処理を行う(ステップS526)。ここでは、今回のラウンド遊技が終了して、次のラウンド遊技を行うために要する各種設定処理として、特別電動役物1作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物2作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)。
(ラウンド継続終了処理ルート:ステップS577〜S580)
現在のラウンド数が最大ラウンド数に達したならば(ステップS572:YES)、役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブルを取得し(ステップS577)、この役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブルを参照して、特別図柄判定データと加算後の連続回数カウンタとに応じた終了インターバル時間を特別図柄役物動作タイマに格納する(ステップS578)。
(T−23.役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブル:図62)
図62に、役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブルを示す。本実施形態の役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブルには、図示のように、特別図柄判定データに関連付けられた「終了インターバル時間」が定められている。ここで「終了インターバル時間」とは、最終ラウンドのラウンド遊技が終了して残存球排出時間が経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、ED(エンディング)演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。なお、最終ラウンドのラウンド遊技が終了して残存球排出時間が経過した後は、開放前インターバル時間(20ms)は設定されず、この終了インターバル時間が設定されるが、後述のステップS526により、当該終了インターバル時間の期間内は大入賞口入賞無効期間とされるようになっている。
次いで、ラウンド終了時の各種設定処理を行う(ステップS526)。ここでは、大当り遊技を終了させるために要する各種設定処理として、特別電動役物1作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物2作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに04Hを格納)。そして、演出制御コマンドとして、ED演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS580)。この大当り終了コマンドは、今回の大当り種別情報と大当り当選時の遊技状態情報とを含み、演出制御部24側において大当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。大当り遊技後の遊技状態は、今回の大当り種別と大当り当選時の遊技状態とに基づき決定されるため、遊技状態と演出モードとの整合性を取るために、大当り遊技後に移行される演出モードも今回の大当り種別と大当り当選時の遊技状態とに基づき決定されるようになっている。たとえば、今回の大当りが2R低ベース確変大当りであり、その大当り当選時の遊技状態が確変状態(確変状態Aまたは確変状態Bもしくは確変状態C)であれば、演出モードは「高速変動演出モード」に移行される(遊技状態が確変状態Bに移行されることになるため)。
以上により、この特別電動役物作動継続判定処理を抜けると、図9のステップS61の右打ち報知情報管理処理に進む。
(11−5.大当り終了処理:図63)
図63は、図49の特別電動役物管理処理において、特別電動役物動作ステータスが「大当り終了処理中(04H)」の場合に行われる大当り終了処理(ステップS509)の詳細を示すフローチャートである。
図63において、CPU201は、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり上記のステップS578で設定された「終了インターバル時間」が経過したか否かを判定する(ステップS591)。特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでは(ステップS591:NO)、何もしないでこの大当り終了処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば(ステップS591:YES)、大当り終了時の各種設定の一環として、図35の遊技状態移行準備処理のステップS433で設定した各移行状態バッファの値を各状態フラグに格納する(ステップS592)。具体的には、移行状態バッファの各々の値を、遊技状態を指定するための、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、変動パターン振分指定番号、および特別図柄変動回数カウンタにそれぞれ格納する。これにより、大当り遊技後の遊技状態が所定の遊技状態(本実施形態では、確変状態A、確変状態B、または確変状態C、もしくは時短状態)に移行されることになる。
続いて、大当り終了時の各種設定処理を行う(ステップS593)。ここでは、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータとして、条件装置作動フラグ、役物連続作動装置作動フラグ、連続回数カウンタ、最大ラウンド数、普通電役物開放延長状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特図確変移行状態バッファ、特図時短回数カウンタバッファ、特図確変回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、特図変動回数カウンタバッファ、ラウンド表示LED番号、および遊技状態判定番号(YJ)を各々クリアし、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに00Hを格納)。
そして、遊技状態報知情報を更新する遊技状態報知情報更新処理を行い(ステップS594)、大当り終了処理を抜ける。ここでの処理は、特別図柄時短状態フラグがON状態(=5AH)かOFF状態(≠5AH)かを確認し、ON状態の場合、遊技状態報知LEDを点灯させるデータ、具体的には、遊技状態報知LED出力番号に01Hを格納するこれにより、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。
以上により、この大当り終了処理を抜けると、図9のステップS61の右打ち報知情報管理処理に進む。
<動作例1>
ここで図64〜図66を参照しながら、大当り遊技制御処理の動作について、15Rを伴う大当りと2R低ベース確変大当りとにおける大当り遊技制御処理の動作について説明する。
まず図64および図65を参照して、15R系の大当りに係る大当り遊技制御処理の動作について説明する。ここでは、15R系の大当りとして、15R高ベース確変大当りを代表例にとって説明する。なお、図64では、大当り開始直前〜2R目の前半までの動作を代表例として、図65では、14R目の後半〜大当り遊技終了までの動作を代表例として示している。
まず図64を参照して、大当り(ここでは、15R高ベース確変大当り)を示す特別図柄が時刻T1で停止して確定表示時間t1を経過すると(時刻T2)大当り遊技開始となる。そこで、CPU201は、大当り判定フラグをOFF状態(=00H)にするとともに、条件装置作動フラグをON状態(=5AH)にして、役物連続作動装置作動の作動条件を成立させる(ステップS465)。これにより役物連続作動装置作動フラグがON状態(=5AH)となり、ラウンド遊技実行条件が整ったことになる。そして、最大ラウンド数(15R)や開始インターバル時間t2(10000ms)などを設定する(図50、図53参照)。
時刻T2から開始インターバル時間t2を経過すると(時刻T3)、CPU201は、大入賞口開放動作時間tR(29800ms)を設定するとともに、特別電動役物1作動フラグと大入賞口開放用フラグ1とをON状態(=5AH)にし、これにより下大入賞口40を開放させて、1R目のラウンド遊技を開始させる(図52参照)。なお、特別電動役物2作動フラグおよび大入賞口開放用フラグ2は、後半部の7R目のラウンド遊技が開始されるまで、OFF状態(=00H)となっている(図52〜図57参照)。
ここで、大入賞口開放動作時間tRの期間内(時刻T3〜T4)に下大入賞口40に係る入賞球数が最大入賞数に達していなかったとする(以下、後述の図65〜図66においても最大入賞数に達していなかった例を説明する)。この場合は、図示のように、大入賞口開放動作時間tRが経過した後(時刻T4)、大入賞口開放用フラグ1をOFF状態(=00H)にして下大入賞口40を閉鎖させ1R目のラウンド遊技を終了させるとともに、残存球排出時間t3を設定する(図58参照)。ただし、大入賞口開放動作時間tRの期間内に下大入賞口40に係る入賞球数が最大入賞数に達した場合は、大入賞口開放動作時間tRの経過を待たずに下大入賞口40が閉鎖される。
そして下大入賞口40が閉鎖してから上記残存球排出時間t3が経過すると(時刻T5)、CPU201は、特別電動役物1作動フラグをOFF状態(=00H)にし、ラウンド遊技間の開放前インターバル時間t4(20ms)を設定する(図60参照)。
上記開放前インターバル時間t4が経過すると(時刻T6)、大入賞口開放動作時間tR(29800ms)を設定するとともに、特別電動役物1作動フラグと大入賞口開放用フラグ1とをON状態(=5AH)にし、これにより下大入賞口40を開放して、2R目のラウンド遊技を開始させる(図52〜図57、図60参照)。以降、同様にして6R目までは下大入賞口40に係るラウンド遊技が実行され、7R目から最終ラウンドの15R目までは、右大入賞口50に係るラウンド遊技が実行されることになる。
次に図65を参照して、14R目の後半〜大当り遊技終了までの動作を説明する。
14R目における大入賞口開放動作時間tRが経過して右大入賞口50が閉鎖され(時刻T7)、残存球排出時間t3と開放前インターバル時間t4とが経過すると(時刻T9)、最終ラウンドの15R目のラウンド遊技を開始させるために、CPU201は、大入賞口開放動作時間tRを設定するとともに、特別電動役物2作動フラグと大入賞口開放用フラグ2とをON状態(=5AH)にし、右大入賞口50を開放させて、15R目のラウンド遊技を開始させる(図52〜図57、図60参照)。なお、特別電動役物1作動フラグおよび大入賞口開放用フラグ1は、前半部の6R目のラウンド遊技が終了して残存球排出時間経過後から、OFF状態(=00H)となっている(図52〜図57参照)。
そして上記の大入賞口開放動作時間tRが経過すると(時刻T10)、CPU201は、大入賞口開放用フラグ2をOFF状態(=00H)にして右大入賞口50を閉鎖させ15R目のラウンド遊技を終了させるとともに、残存球排出時間t3を設定する(図58参照)。
上記右大入賞口50が閉鎖してから残存球排出時間t3が経過すると(時刻T11)、CPU201は、特別電動役物2作動フラグをOFF状態(=00H)にし、終了インターバル時間t6を設定する(図60参照)。この終了インターバル時間t6が経過すると(時刻T12)、大当り遊技中に用いた条件装置作動フラグや役物連続作動装置作動フラグなどをOFF状態(00H)にする。これにより今回の大当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。その後、作動保留球が存在すれば、新たな特別図柄の変動が開始される(図14のステップS304:≠5AHの処理ルート)。
(大入賞口入賞無効期間tSについて)
上記特別電動役物N作動フラグ(N=1、2)設定状態を参照すれば、大入賞口入賞無効期間は、大当り遊技開始前後の期間(特別図柄の変動表示が許容される期間)は勿論のこと、(1)大当り遊技が発生してから1R目のラウンド遊技が開始されるまで区間である開始インターバル時間t2の期間(時刻T2〜時刻T3)と、(2)ラウンド遊技間開始待ちの区間である開放前インターバル時間t4の期間(時刻T5〜時刻T6、時刻T8〜時刻T9)と、(3)最終ラウンドのラウンド遊技が終了して残存球排出時間が経過した後の終了インターバル時間t6の期間(時刻T11〜時刻T12)となっている。これらの期間に、下大入賞口40および右大入賞口50に入賞しても、その入賞は不正入賞として扱われる(図11、図13参照)。
(2R低ベース確変大当り)
次に、2R低ベース確変大当りに係る大当り遊技制御処理の動作について説明する。この2R低ベース確変大当りに係る大当り遊技制御処理が上述した15R高ベース確変大当りに係る大当り遊技制御処理と大きく異なる点は、短開放時間とするラウンド遊技を2ラウンド行う点である。それ以外の点については実質的に同じ制御であるので、重複記載を避けるため適宜省略して説明する。また同じ機能を果たす要素については、同じ符号を付してある。
図66を参照して、大当り(2R低ベース確変大当り)を示す特別図柄が時刻T21で停止して確定表示時間t1を経過すると(時刻T22)大当り遊技開始となる。
時刻T22から開始インターバル時間t2(1000ms)を経過すると(時刻T23)、CPU201は、大入賞口開放動作時間tR(100ms)を設定するとともに、特別電動役物1作動フラグと大入賞口開放用フラグ1とをON状態(=5AH)にし、これにより下大入賞口40を開放させて、1R目のラウンド遊技を開始させる。なお、特別電動役物2作動フラグおよび大入賞口開放用フラグ2は、今回の大当り遊技が終了されるまでOFF状態(=00H)となっている。
本例では、大入賞口開放動作時間tRの期間内(時刻T23〜T24)に下大入賞口40に係る入賞球数が最大入賞数に達していなかったケースを考えているので、大入賞口開放動作時間tRが経過した後(時刻T24)、大入賞口開放用フラグ1をOFF状態(=00H)にして下大入賞口40を閉鎖させ1R目のラウンド遊技を終了させるとともに、残存球排出時間t3を設定する。
そして下大入賞口40が閉鎖してから上記残存球排出時間t3が経過すると(時刻T25)、CPU201は、特別電動役物1作動フラグをOFF状態(=00H)にし、ラウンド遊技間の開放前インターバル時間t4(20ms)を設定する。
上記開放前インターバル時間t4が経過すると(時刻T26)、1R目と同様の大入賞口の開放パターンで2R目のラウンド遊技を開始させる。その後、2R目における大入賞口開放動作時間tRが経過して下大入賞口40が閉鎖され(時刻T27)、残存球排出時間t3が経過すると(時刻T28)、CPU201は、大入賞口開放用フラグ1をOFF状態(=00H)にして下大入賞口40を閉鎖させ2R目のラウンド遊技を終了させるとともに、残存球排出時間t3を設定する。
上記の残存球排出時間t3が経過すると(時刻T28)、CPU201は、特別電動役物1作動フラグをOFF状態(=00H)にし、終了インターバル時間t6を設定する。この終了インターバル時間t6が経過すると(時刻T29)、大当り遊技中に用いた条件装置作動フラグや役物連続作動装置作動フラグなどをOFF状態(00H)にする。これにより今回の大当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。その後、作動保留球が存在すれば、新たな特別図柄の変動が開始される。
(大入賞口入賞無効期間tSについて)
上記特別電動役物N作動フラグ(N=1、2)設定状態を参照すれば、2R低ベース確変大当りの場合も、上述した15R高ベース確変大当りと場合と同様に、大入賞口入賞無効期間は、大当り遊技開始前後の期間(特別図柄の変動表示が許容される期間)は勿論のこと、(1)開始インターバル時間t2の期間(時刻T22〜時刻T23)と、(2)開放前インターバル時間t4の期間(時刻T25〜時刻T26)と、(3)終了インターバル時間t6の期間(時刻T28〜時刻T29)となっている。
<小当り遊技制御処理>
(11−6.小当り処理:図67)
次に、図67を参照して、小当り遊技制御処理について説明する。図67は、図49の特別電動役物管理処理において、小当り中フラグがON状態(=5AH)の場合に行われる小当り処理(ステップS504)の詳細を示すフローチャートである。
図67において、CPU201は、まず特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」であるか否かを判定する(ステップS601)。
特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」でない場合には(ステップS601:≠02H)、ステップS603の判定処理に進み、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」である場合には(ステップS601:=02H)、大入賞口最大入賞数確認処理を行った後(ステップS602)、ステップS603の判定処理に進む。このステップS602の大入賞口最大入賞数確認処理は、図58の特別電動役物作動中処理におけるステップS551の大入賞口最大入賞数確認処理と同じ処理の仕方であるので、重複記載を避けるため詳細な説明は省略する。
ステップS603の処理に進むと、特別図柄役物動作タイマがゼロか否かを判定する(ステップS603)。特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS603:NO)、ステップS606の判定処理に進む。特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS603:YES)、小当り中コマンド送信処理を行う(ステップS604)。この小当り中コマンド送信処理では、特別電動役物動作ステータスに応じた演出制御コマンドを演出制御部24に送信する。具体的には、特別電動役物動作ステータスが開始処理中(00H)の場合には、小当り遊技中のOP演出開始を指示する「小当り開始コマンド」を、継続判定中(03H)の場合には、小当り中のED演出開始を指示する「小当り終了コマンド」を、これら以外であれば、何も送信せずに処理を抜ける。
ステップS604の小当り中コマンド送信処理を終えると、特別電動役物動作ステータス別処理に入る(ステップS605)。ここでは、特別電動役物動作ステータスに応じた処理が行われる。この特別電動役物動作ステータス別処理についての詳細は、図69にて後述する。
ステップS605の特別電動役物動作ステータス別処理を終えると、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」であるか否かを判定する(ステップS606)。
特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」でない場合には(ステップS606:≠02H)、何もしないでこの小当り処理を抜ける。
特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」である場合には(ステップS606:=02H)、小当り開閉動作設定テーブルを取得するとともに(ステップS607)、特別図柄役物動作タイマを取得し(ステップS609)、続いて、ソレノイド設定処理を行う(ステップS609)。このソレノイド設定処理は、図52の特別電動役物作動開始処理における大入賞口開閉動作設定処理中のステップS534のソレノイド設定処理と同じ処理の仕方が、後述の小当り開閉動作設定テーブルに基づき大入賞口(下大入賞口40)の開閉動作が制御される点が異なる。なお、他の処理の仕方は同じであるため、ソレノイド設定処理内容についての説明は、重複記載を避けるために省略する。
(T−24.小当り開閉動作設定テーブル:図68)
図69に、小当り開閉動作設定テーブルを示す。本実施形態の小当り開閉動作設定テーブルは、図示のように、小当り遊技に係る大入賞口の開放パターンを指定するために必要なデータ群が定められており、テーブルの基本的構成は、図57の大入賞口開閉動作設定テーブルと同じである。
小当り遊技時に利用されるOPENTBL−D5では、特別電動役物1作動フラグをON状態(=5AH)に指定する指示データと、大入賞口開放用フラグ1とに格納するためのデータが定められており、またタイマ値が「2200ms」のときに「5AH」が、「2100ms」のときには「00H」が、「100ms」のときに「5AH」が、「0ms」のときには「00H」が、大入賞口開放用フラグ1に格納されるよう指定されていることから、下大入賞口40の開閉動作は、0.1間開放した後、2秒間閉鎖し、再び0.1秒間開放した後、閉鎖する、といった内容となる。また後述するが、小当り中のOP演出時間には1秒間が、ED演出時間には5秒間が設けられている。これにより、小当り遊技中の下大入賞口40の開放パターンは、2R低ベース確変大当り遊技中の下大入賞口40の開放パターンと実質的に同一の動作態様で開閉制御されるようになっている(図66、後述の図70参照)。
上記ステップS609のソレノイド処理を終えると、小当り処理を抜けて、図9のステップS61の右打ち報知情報管理処理に進む。
(11−6−1.特別電動役物動作ステータス別処理:図69)
図69は、特別電動役物動作ステータス別処理(ステップS605)の詳細を示すフローチャートである。
図69において、CPU201は、まず特別電動役物動作ステータス分岐処理(ステップS611)において、特別電動役物動作ステータスが開始処理中(00H)〜終了処理中(06H)のいずれであるかに応じて処理を分岐させる。特別電動役物動作ステータスが開始処理中(00H)の場合は小当り開始処理(ステップS612)を、作動開始処理中(01H)の場合は小当り特別電動役物作動開始処理(ステップS613)を、作動中(03H)の場合は小当り特別電動役物作動中処理(ステップS614)を、継続判定中(04H)の場合は小当り継続判定処理(ステップS615)を、終了処理中(04H)の場合は小当り終了処理(S616)を行う。
(11−6−2.小当り開始処理:ステップS612)
小当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」となっている。したがって、特別電動役物動作ステータス別処理において、CPU201は、まず、ステップS612の小当り処理を開始する。この小当り開始処理では、特別図柄役物動作タイマに「作動前インターバル時間」を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)。上記「作動前インターバル時間」とは、図47のステップS453の確定表示時間が経過して大当りが確定した後、実際に特別変動入賞装置42の動作が開始するまでのインターバル区間であって、OP(オープニング)演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。ここでは、2R低ベース確変大当りの開始インターバル時間の同じ時間幅である「1000ms」が特別図柄役物動作タイマに格納される(図51の役物連続作動装置作動開始時設定テーブル「2R低ベース確変」の欄参照)。
(11−6−3.小当り特別電動役物作動開始処理:ステップS613)
上記作動前インターバル時間が経過して(ステップS603:YES)、特別電動役物動作ステータス別処理に入った場合、特別電動役物動作ステータスが「作動開始処理中(01H)」であることから、CPU201は、ステップS613の小当り特別電動役物作動開始処理を行う。この小当り特別電動役物作動開始処理では、大入賞口入賞数カウンタに00Hを格納し(ゼロクリアする)、特別図柄役物動作タイマに大入賞口作動時間(2200ms)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)。なお、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり大入賞口作動時間(2200ms)が経過、あるいは最大入賞数に達して特別図柄役物動作タイマがクリアされるまでは(ステップS602、ステップS603:NO)、ステップS606〜S609の処理が行われ、下大入賞口40が図68の小当り開閉動作設定テーブル(OPENTBL−D5)に基づき、所定のパターンで開放制御される。
(11−6−4.小当り特別電動役物作動中処理:ステップS614)
上記大入賞口作動時間が経過して(ステップS603:YES)、特別電動役物動作ステータス別処理に入った場合、特別電動役物動作ステータスが「作動開始処理中(02H)」であることから、CPU201は、ステップS614の小当り特別電動役物作動中処理を行う。この小当り特別電動役物作動中処理では、大入賞口開放用フラグ1に00H(OFF状態)を格納し、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(1980ms)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)。
(11−6−5.小当り継続判定処理:ステップS615)
上記残存球排出時間が経過して(ステップS603:YES)、特別電動役物動作ステータス別処理に入った場合、特別電動役物動作ステータスが「継続判定中(03H)」であることから、CPU201は、ステップS615の小当り継続判定処理を行う。この小当り継続判定処理では、特別電動役物1作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別図柄役物動作タイマに「小当り終了インターバル時間(5000ms)」を格納し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに04Hを格納)。ここで上記「小当り終了インターバル時間」とは、下大入賞口40が閉鎖して残存球排出時間が経過した後、小当り遊技が終了するまでインターバル区間であって、ED演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。ここでは、2R低ベース確変大当りの終了インターバル時間の同じ時間幅である「5000ms」が特別図柄役物動作タイマに格納される(図62の役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブル「2R低ベース確変」の欄参照)。
(11−6−6.小当り終了処理:ステップS615)
上記小当り終了インターバル時間が経過して(ステップS603:YES)、特別電動役物動作ステータス別処理に入った場合、特別電動役物動作ステータスが「終了処理中(04H)」であることから、CPU201は、ステップS616の小当り終了処理を行う。この小当り終了処理では、小当り終了時の各種設定処理として、小当り中フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに00Hを格納)。これにより、小当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。
<動作例2>
ここで図70を参照しながら、小当り遊技制御処理の動作について説明する。
小当当りを示す特別図柄が時刻T31で停止して確定表示時間t1を経過すると(時刻T32)小当当り遊技開始となる。そこで、CPU201は、小当り判定フラグをOFF状態(=00H)にするとともに小当りフラグをON状態(=5AH)にして、作動前インターバル時間t8(1000ms:2R低ベース確変大当り時の開始インターバル時間と同じ時間幅)を設定する(ステップS467、S612)。小当り遊技は、条件装置が作動する大当りではないので、条件装置作動フラグや役物連続作動装置作動はOFF状態(=00H)のままである。かくして、小当り遊技実行条件が整ったことになる。
上記作動前インターバル時間t8を経過すると(時刻T33)、CPU201は、大入賞口開放動作時間tR(2200ms:2R低ベース確変大当りの時刻T23〜時刻T27と同じ時間幅)を設定するとともに、特別電動役物1作動フラグと大入賞口開放用フラグ1とをON状態(=5AH)にし、これにより下大入賞口40を開放させさる(図67のステップS605〜S609、図69のS613参照)。なお、特別電動役物2作動フラグおよび大入賞口開放用フラグ2は、今回の小当り遊技が終了されるまでOFF状態(=00H)となっている。小当り遊技中の下大入賞口40は、図示のように、大入賞口開放用フラグ1の状態が同じ遷移状態となる。これにより、疑似的な2R低ベース確変大当り遊技を実現している。
本例では、上記大入賞口開放動作時間tRの期間内(時刻T33〜T36)に下大入賞口40に係る入賞球数が最大入賞数に達していなかったケースを考えているので、大入賞口開放動作時間tRが経過した後(時刻T36)、大入賞口開放用フラグ1をOFF状態(=00H)にして下大入賞口40の開閉動作を終了させるとともに、残存球排出時間t3(1980ms)を設定する(図67のステップS605〜S609、図69のS614参照)。
そして下大入賞口40が閉鎖してから上記残存球排出時間t3が経過すると(時刻T37)、CPU201は、特別電動役物1作動フラグをOFF状態(=00H)にし、小当り終了インターバル時間t9(5000ms:2R低ベース確変大当り時の終了インターバル時間と同じ時間幅)を設定する(図69のステップS615)。
この小当り終了インターバル時間t9が経過すると(時刻T38)、小当当り遊技中に用いた小当り中フラグをOFF状態(00H)にする(図69のステップS616)。これにより今回の大当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。その後、作動保留球が存在すれば、新たな特別図柄の変動が開始される(ステップS304:≠5AHの処理ルート)。
(小当り遊技中の大入賞口入賞無効期間tSについて)
上記特別電動役物1作動フラグの設定状態を参照すれば、小当りの場合は、ラウンド遊技が行われない関係上、大当りの場合とは異なり、開放前インターバル時間が存在しない形態となっている。このため、小当り遊技の大入賞口入賞無効期間は、(1)作動前インターバル時間t8の期間(時刻T32〜時刻T33)と、(2)小当り終了インターバル時間t9の期間(時刻T37〜時刻T38)となっている。しかしこれに限らず、2R低ベース確変大当りの場合と同じタイミングで特別電動役物1作動フラグをOFF状態(=00H)に設定可能な構成としても良い。具体的には、時刻T33〜時刻T35の20ms前の時刻(時刻T34から残存球排出時間t3に相当する時間(1980ms)が経過したとき)が到来したときに、特別電動役物1作動フラグを一旦OFF状態(=00H)にし、時刻T35が到来したときに、特別電動役物1作動フラグを再びON状態(=5AH)にする。
<10.演出制御部側の処理:図72〜図78>
次に、図72〜図78を参照して、演出制御部24側における処理手順について説明する。
(12.演出制御側メイン処理:図72)
図72は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24(CPU241)は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図72に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理では、まず電源投入時の初めての処理としてステップS71が行われ、これ以外の場合には正常動作時の処理としてステップS72〜S75の処理が行われる。
図72において、まずCPU241は、電源投入時の初めての処理として、遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS71)。
続いて正常動作時の処理として、演出用乱数更新処理を行う(ステップS72)。この演出用乱数更新処理では、主として、演出パターンを抽選するために利用される演出抽選用乱数値を定期的に更新している。
次に、コマンド受信割り込み、タイマ割り込み、外部INT等を許可する割り込み許可状態に設定し(ステップS73)、その後、割り込み禁止状態に設定する(ステップS74)。続いてウォッチドッグタイマをクリアして(ステップS75)、電断が発生しない限り、ステップS72〜ステップS75の処理を無限ループ状に繰り返す。
(13.コマンド受信割込処理:図73)
次に図73を参照して、主制御部20からの演出制御コマンドを受信した場合に実行されるコマンド受信割込処理について説明する。図73は、演出制御側のコマンド受信割込処理を示すフローチャートである。演出制御部24側において主制御部20側から送られてくる各種演出制御コマンドを受けた場合、INT割り込みが発生し、この受信割込処理にて、演出制御コマンドを受信したときに、これをコマンド受信バッファに格納する。このコマンド受信割り込み処理は、主制御部20から演出制御コマンドを受信した場合、後述する演出制御側タイマ割込処理(図74)よりも優先的に実行される。
図73において、まずCPU241は、主制御部20からの演出制御コマンドを受信した場合、レジスタの内容を所定のスタック領域に退避させた後(ステップS81)、受信した演出制御コマンドをRAM243のコマンド受信バッファに格納し(ステップS82)、退避していたレジスタの内容を復帰させて(ステップS83)、コマンド受信割り込み処理を抜ける。
(14.演出制御側タイマ割込処理:図74)
次に、図74を参照して、上記演出制御側メイン処理実行中に割り込んで2ms程度ごとに実行される演出制御側タイマ割込処理について説明する。図74は、一定時間(2ms)ごとの割り込みで起動される演出制御側のタイマ割込処理を示すフローチャートである。
図74において、演出制御部24(CPU241)は、タイマ割込みが生じると、割り込み禁止状態に設定して、レジスタを所定のスタック領域に退避させる(ステップS91)。次いでプログラム異常を監視しているウォッチドッグタイマをクリアして、タイマのカウントを再スタートさせる(ステップS92)。プログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、演出用CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。
次いで、定期更新処理を行う(ステップS93)。この定期更新処理では、演出パターンを選択するために利用される演出抽選用乱数の初期値や、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を割り込みごとに更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生に関するタイムスケジュールを管理するタイマである。たとえば、特別図柄表示装置38a,38bに特別図柄が変動表示されている変動期間内(特別図柄の変動期間内)と実質的に同一期間内である液晶表示装置36の画面に装飾図柄が変動表示されている変動期間内(装飾図柄変動期間内)において、その時間軸上で、どのような演出パターンの演出内容を、どれだけの時間幅をもって、演出手段である装飾ランプ45やスピーカ46や液晶表示装置36などにより現出させるかについての時間的なスケジュールが、このタイマにより管理される。
次いで、枠演出ボタン13からの入力を監視するボタン入力管理処理を行う(ステップS94)。このボタン入力管理処理では、枠演出ボタン13からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その情報(操作検出情報)をRAM243の所定領域に格納する。この情報は、ボタン予告演出に際に利用される。
次いで、コマンド解析処理を行う(ステップS95)。このコマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを割り込みごとに監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。上記演出制御コマンドの中には、保留加算コマンド、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、演出停止コマンド、遊技状態指定コマンド、大当り開始コマンド、大入賞口開放コマンド、ラウンド終了コマンド、大当り終了コマンドなどが含まれる。たとえば変動パターンコマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合、コマンド解析処理において、変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報に基づき、図示しない演出パターンテーブルを参照して、複数種類の演出パターンのその変動パターン情報に対応する演出内容(演出パターン)を抽選により決定する。なお、変動パターン指定コマンドや装飾図柄指定コマンドに基づいて決定される演出パターンには、停止装飾図柄の組合せや種々の遊技演出(「疑似連」、「リーチ演出」、「背景変化演出」、「ボタン予告演出」など)が含まれる。これにより、今回の図柄変動表示ゲーム中に種々の演出パターンが次々に、あるいは同時に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
次いで、演出シナリオを更新させて演出を進行させる演出進行処理を行う(ステップS96)。この演出進行処理では、ステップS95のコマンド解析処理で設定された演出データに基づいて、演出の進行に係るタイムスケジュールを管理する。そして、そのタイムスケジュールに基づき、液晶表示装置36の画像を表示制御する画像制御データの作成(液晶制御CPUに対する液晶制御コマンド)や装飾ランプ45やLEDやスピーカ46を作動させる制御データ(発光制御信号や音声制御信号)を作成し、その作成した制御信号の出力設定を行う。
次いで、演出出力管理処理(映像、音、および光に関する出力処理)を行う(ステップS97)。この演出出力管理処理では、上記出力設定された制御信号あるいは制御コマンドがある場合には、必要なタイミングで液晶制御CPUに対して液晶制御コマンドを出力して画像表示制御を行い、その画像表示による演出に合わせて、音声制御信号を音響発生装置46aに出力したり、発光制御信号を光表示装置45aに出力したりして、液晶表示装置36での画像による演出表示とスピーカ46からの音演出と装飾ランプ45やLEDなどの点滅もしくは点灯による光演出が展開される。これにより、遊技進行の時間軸上で、種々の演出パターンが次々に、あるいは同時に展開されていくことにより、広義の意味での演出シナリオ(以下、特に必要のない限り、今回の装飾図柄変動表示ゲーム中で展開される各種の予告演出(たとえば、疑似連、リーチ演出、ボタン予告演出、背景変化演出など)を総称して演出シナリオを称する)が実現される。このように、演出制御部24は、演出手段に対して演出を現出制御する演出制御手段としての役割を果たす。この演出制御手段には、各種演出を現出制御する演出制御手段として、リーチ演出を現出制御する手段、先読み予告演出を現出制御する手段、疑似連を現出制御する手段、ボタン予告演出を現出制御する手段など、演出制御処理に関連する種々の演出制御手段を含まれる。
そして、退避したレジスタの内容を復帰させて(ステップS98)、割り込み許可状態に設定して、演出制御側タイマ割込処理を抜ける。
(14−1.コマンド解析処理の内容:図75〜図78)
次に、図74のコマンド解析処理(ステップS95)の内容について具体的に説明する。ここでは、「保留加算コマンド」、「変動パターン指定コマンド」、「装飾図柄指定コマンド」、「大当り開始コマンド」を受信した場合について説明し、他の演出制御コマンドを受信した場合の説明は省略する。
(14−1−1.保留加算コマンドの受信処理:図75)
図75は、図15の特図1始動口チェック処理のステップS326で、または図28の特図2始動口チェック処理のステップS346で送信される保留加算コマンドを受信した場合の処理を示すフローチャートである。
図75において、演出制御部24(CPU241)は、保留加算コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析し(ステップS711)、先読み判定結果情報を取得する。たとえば、上位バイト(MODE)がB8H(特図1保留3個入賞指定)で下位バイト(EVENT)が02Hの場合、通常中通常変動1でハズレ、上位バイトがB8H(保留3個入賞指定)で下位バイトが17Hの場合、強SPリーチを伴う当り変動などが把握される。また下位バイトが01Hの場合は「先読み禁止」であることが把握される(図15のステップS315、図28のステップS335参照)。
次いで、先読み禁止か否か、つまり先読み禁止下にあることを示す下位バイト01Hであったか否かを判定する(ステップ712)。先読み禁止である場合(ステップS712:YES)、何もしないでステップS717に進む。
先読み禁止でない場合(ステップS712:NO)、ステップS713に進んで、「連続予告カウンタ」がゼロか否かを判定する(ステップS713)。
ここで「連続予告カウンタ」は、重複した先読み予告演出が発生することを回避するためのカウンタであり、具体的には、次に述べるステップS714で1回目の先読み予告抽選が行われ、これに当選して、先読み予告の対象となった作動保留球が変動表示動作の実行に供されるまでに、新たに先読み予告抽選(2回目以降)を繰り返すことのないようにするためのカウンタである。したがって、この連続予告カウンタは、先読み予告抽選に当選した場合(ステップS715:YES)、その当選時点で存在する保留記憶個数と同数の図柄変動回数を管理すべく、その当選時点において現存する作動保留球数(保留記憶個数)の値、たとえば2個の作動保留球がある場合は「2」が格納され(ステップS716)、その後に図柄変動表示ゲームが行われる際に上記セット値が後述の図77のステップS761で1減算されて行く。
この連続予告カウンタがゼロでない場合(ステップS713:NO)、つまり連続予告演出中である場合は、何もしないでステップS717に進む。
この連続予告カウンタの値がゼロである場合(ステップS713:YES)、つまり先読み予告(連続予告)演出中でない場合は、上述のステップS714に進み、入賞時変化系(保留表示変化系)の先読み予告演出(連続予告演出)を実施するか否かについての先読み予告抽選(以下単に「保留表示変化系の先読み予告抽選」という)と、変動開始時変化系(画像表示変化系)の先読み予告演出(連続予告演出)を実施するか否かについての先読み予告抽選(以下単に「画像表示変化系の先読み予告抽選」という)とに関する先読み予告抽選を行う(ステップS714)。そして、これらの先読み予告抽選に当選したか否かについて判定する(ステップS715)。なお上記ステップS714の処理は、保留加算コマンドにより送られて来る先読み判定結果を演出開始条件として、連続予告演出(先読み予告演出)の実行可否を判定する連続予告実行判定手段であって、連続予告演出の実行可否を抽選により判定する実行抽選手段として働く。
いずれの先読み予告抽選にも当選しなかった場合(ステップS715:NO)、何もしないでステップS717の処理に進む。
上記保留表示変化系の先読み予告抽選と画像表示変化系の先読み予告抽選のいずれか一方の先読み予告抽選に当選した場合(ステップS715:YES)、その時点における保留球数(保留記憶個数)と同数が連続予告カウンタに格納し(ステップS716)、これら保留表示変化系の先読み予告抽選結果と画像表示変化系の先読み予告抽選結果とに基づき、先読み抽選結果を指定する先読み予告当選フラグをRAM243の所定領域(先読み予告当選フラグ)に格納する(ステップS717)。先読み予告当選フラグは、保留表示変化系の先読み予告抽選結果(当否結果)や画像表示変化系の先読み予告抽選結果を判定するために利用される。また先読み予告当選フラグには、保留表示変化系の先読み予告抽選結果を格納するためのフラグと、画像表示変化系の先読み予告抽選結果を格納するためのフラグとが設けられている。「保留表示変化系の先読み予告抽選」に当選している場合には、後述のステップS717の保留加算表示処理の働きにより、保留表示変化系の先読み予告演出として、先読み予告の対象となった保留記憶に係る保留表示態様が、たとえば黄色、緑色、赤色または虹色のいずれかの色の保留表示色(通常は青色)に変化し、当該作動保留球が特別図柄変動表示動作に供されるまでの間、当該色の保留が連続的に出現することになる。たとえば、図7に示した第2番目の作動保留球(ハッチングを施した保留)が図柄変動表示動作に供されるまでの間、通常とは異なる色をした先読み予告用の専用保留表示が連続的に出現することになる。
また、「画像表示変化系の先読み予告抽選」に当選している場合には、当該当選となった作動保留球よりも古い作動保留球に係る装飾図柄指定コマンドを受信することで、変動開始時の先読み予告演出処理がなされ、図7に示したような、先読み予告用の画像表示(稲妻画像)による先読み予告演出(稲妻演出)が液晶表示装置36の画面内に出現し、これが保留1〜保留2が順次保留消化される度に、稲妻画像による予告演出(稲妻演出)が連続的に出現することになる。なお、保留表示変化系の先読み予告抽選と画像表示変化系の先読み予告抽選とに同時当選する場合は、これらのいずれか一方が当選する場合よりも大当りの当選期待度が高まるようにその抽選確率が定められている。
ステップS717に進むと、保留加算表示処理を行う(ステップS718)。この保留加算表示処理では、先読み予告抽選結果に基づく保留表示変化系の先読み予告演出データを、保留情報管理エリア(RAM243)に格納し、保留表示変化系の先読み予告抽選に当選している場合には、保留表示変化系の先読み予告演出データを格納後、保留表示変化系の先読み予告抽選結果に対応する当選フラグをクリアする。上記保留情報管理エリアは、特別図柄1、2の作動保留球数Nに対応する第1(N=1)〜第4(N=4)の保留情報管理エリアが設けられており、それぞれ保留表示に関する演出シナリオデータの格納領域を含んで構成されている。演出制御CPU241は、この保留情報管理エリア内にどのような予告演出シナリオが格納されている否かを参照して、何番目の保留球に対してどのような先読み予告演出を行うかを特定できるようになっている。ステップS714の保留変化表示系の先読み予告抽選に当選している場合、先読み変動パターン情報に応じて専用保留表示用の演出データ(たとえば、保留表示を「黄色」「緑色」「赤色」または「虹色」のいずれかの保留表示態様とするための演出データ)を今回入賞した作動保留球に対応する保留情報管理エリアに格納する(たとえば、今回入賞した保留球に基づく保留加算コマンドが持つ作動保留球数の情報が特別図柄1で作動保留球数2個を示すものであるならば、その演出データを特別図柄1の第2保留情報管理エリアに格納する)。他方、先読み予告抽選に当選していない場合は、通常保留表示用の演出データ(たとえば、通常の保留表示色である青色にするための保留表示用演出データ)を格納する。なお上記保留色は、先読み変動パターンに関連付けられており、大当り当選期待度の高い順に、保留表示を「黄色」「緑色」「赤色」「虹色(当確)」となっている。
この保留加算表示処理および後述のステップS753〜S756の先読み予告演出処理は、上記連続予告実行判定手段により連続予告演出を実行可と判定された場合、所定の演出手段に対して連続予告演出を発生させる連続予告演出制御手段を構成する。
(14−1−2.変動パターン指定コマンドの受信処理:図76)
図76は、図38の特別図柄変動パターン作成処理のステップS412で送信される変動パターン指定コマンドを受信した場合の処理を示すフローチャートである。
図76において、演出制御部24(CPU241)は、変動パターン指定コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析し(ステップS731)、その内容である特別図柄の変動パターン情報をRAM243の所定領域に格納する(ステップS732)。最終的な演出パターンは、ここで格納された変動パターン情報と装飾図柄指定コマンドに含まれる情報(今回の変動表示動作に供される特別図柄種別と当選種別(特別図柄判定データ)情報)とに基づき、後述の装飾図柄指定コマンド受信処理(図77)で決定されるようになっている。
(14−1−3.装飾図柄指定コマンドの受信処理:図77)
図77は、図32の特別図柄変動開始処理のステップS414で送信される装飾図柄指定コマンドを受信した場合の処理を示すフローチャートである。装飾図柄指定コマンドは、変動パターン指定コマンドに続いて送られてくる演出制御コマンドである。
図77において、演出制御部24(CPU241)は、装飾図柄指定コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析して、その内容を取得し(ステップS751)、次いで、装飾図柄停止図柄抽選処理を行う(ステップS752)。この停止装飾図柄抽選処理では、ステップS732で得られた変動パターン情報と、上述のステップS751で得られた今回の変動表示動作に供される特別図柄種別情報および当選種別情報とに基づき、最終的に停止させる左図柄・中図柄・右図柄(装飾図柄停止図柄の組合せ)をそれぞれ抽選により決定する。たとえば、リーチ状態を伴うハズレ変動パターンで、そのときの大当り種別が確変大当りである場合、まず左図柄を抽選して、その左図柄とリーチ状態が形成可能な装飾図柄を右図柄として決定し、決定された左図柄と右図柄とに基づき、確変大当りを示す装飾図柄列で最終的に停止されるように中図柄を決定する。これにより、今回の装飾図柄変動表示ゲームが完了したときの装飾図柄の組合せが定まる。そして、決定された装飾図柄データをRAM243の所定領域に格納する。
次いで、連続予告カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS753)。連続予告カウンタがゼロである場合(ステップS753:YES)、つまり先読み予告を行わない場合、何もしないでステップS758に進む。
連続予告カウンタがゼロでない場合、つまり先読み予告を行う場合は(ステップS753:NO)、画像表示変化系の先読み予告抽選に当選したか否かを判定する(ステップS754)。
画像表示変化系の先読み予告抽選に当選していない場合(ステップS754:NO)、連続予告カウンタを1減算し(ステップS、ステップS758に進む。ステップS714先読み予告抽選が行われた後、はじめてステップS754の判定処理が行われときの判定結果が‘NO’であった場合、このときは保留表示変化系の先読み予告抽選にのみ当選した場合であるので、画像表示変化系の予告演出は出現せずに(稲妻演出不発生)、保留色変化の先読み予告演出だけが出現することになる。
一方、画像表示変化系の先読み予告抽選に当選している場合(ステップS754:YES)、先読み画像表示演出抽選処理を行う(ステップS755)。この先読み画像表示演出抽選処理では、特別図柄の変動パターン情報に基づき、複数の変動開始時変化系の先読み予告演出の中から抽選により一の先読み予告演出を選択して決定する。たとえば、落雷のレベル表現した、強落雷の稲妻演出、中落雷の稲妻演出、弱落雷の稲妻演出などの複数種類の稲妻演出の中からいずれかを抽選により決定する。これらの稲妻演出は、変動パターンに関連付けられた選択率を有しており、大当り当選期待度が高いほど「強落雷>中落雷>弱落雷」の関係で選択されるようになっている。なお、先読み変動パターンと変動開始時に定まる特別図柄の変動パターンの基本パターンとは、既に説明したように、実質的に同一のパターンが選択されるようになっている。すなわち、保留表示色による大当り当選期待度と稲妻演出による大当り当選期待度とは、密接な関連性がある。より詳しくは、保留表示変化系の先読み予告演出や画像表示変化系の先読み予告演出が単独で出現した場合よりも保留色変化系の先読み予告演出と画像表示変化系の先読み予告演出とが重複して出現した場合の方が、より明確に大当り当選期待度が示唆されるようになっている。たとえば、保留色が「赤色」で稲妻演出が「強稲妻」である場合には、大当り当選期待度が飛躍的に高まるが、保留色が「赤色」であっても稲妻演出が「弱稲妻」である場合には、それよりも低くなる。このように本実施形態では、いずれか一方の先読み予告演出が出現した場合よりも双方の先読み予告演出が出現した場合の方が、より明確な大当り当選期待度が示唆されるようになっている。
次いで、画像表示変化系の先読み予告演出の実行回数として、連続カウンタの値を格納し(ステップS756)、画像表示変化系の先読み予告抽選結果に対応する当選フラグをクリアする(ステップS757)。これにより、一の保留加算コマンドが受信された後、画像表示変化系の先読み予告抽選に当選した場合にステップS755〜S757の処理が行われるが、次回以降の他の保留加算コマンドが受信されたときには連続予告カウンタがゼロになっていない限り、ステップS755〜S757の処理は行われないようになっている(図75のステップS713:NOの処理ルート、図77のS754:NOの処理ルートを辿る)。これにより画像表示変化系の先読み予告演出として稲妻演出の一つが選択されると、変動開始時に液晶表示装置36の画面内に稲妻画像が出現することになる(図7参照)。
次いで、ステップS758に進むと、予告演出シナリオ抽選処理を行う(ステップS758)。この予告演出シナリオ抽選では、通常の演出シナリオ(先読み予告以外の予告演出)に沿った予告演出の中から、変動パターンに応じた一の予告演出シナリオを抽選により決定し、その演出シナリオデータをRAM243の所定領域(演出データ設定領域)に格納する。具体的には、現在の演出モード、変動パターン情報、および当選種別などが関連付けられた複数種類の演出シナリオが定められた演出シナリオ選択テーブル(図示せず)を参照し、演出抽選用乱数値を利用して、複数種類の演出シナリオのうちから抽選により決定する。なお、ここでの演出シナリオには、先読み予告演出以外の各種の予告演出が含まれる。
次いで、図柄遊技開始時保留表示シフト処理を行う(ステップS759)。この図柄遊技開始時保留表示シフト処理では、装飾図柄変動演出を開始するに伴い、保留情報管理エリア内に格納されている演出シナリオデータが参照され、他の保留球に対応する保留表示態様(保留表示演出)を古い記憶位置側に1つシフトさせる形態で保留表示を行わせると共に、今回消化される保留記憶に対応する保留表示を終了させるための演出処理を行う
なお、空き領域となっている保留情報管理エリアには保留表示に関する演出シナリオがセットされていないため、この場合は、当該保留情報管理エリアに該当する作動保留球を対象とした保留表示演出は行われずに該当表示箇所は消灯状態として表現される。これにより、記憶順の最も古い保留記憶に係る保留データが1個消化されると、これに続く保留記憶が現存している場合は、その現存する保留記憶の保留記憶位置および保留表示位置が全体として古い記憶位置側に1つシフトされて現在の保留表示が行われることになる。
次いで、装飾図柄変動表示ゲーム開始に要する各種の設定処理を行い(ステップS760)、装飾図柄指定コマンド受信処理を抜ける。以後、装飾図柄変動表示ゲームが開始されることになる。
(14−1−4.大当り開始コマンドの受信処理:図78)
図78は、図50の大当り開始処理のステップS514で送信される大当り開始コマンドを受信した場合の処理を示すフローチャートである。この大当り開始コマンドは、大当り遊技開始時に送られてくる演出制御コマンドである。
図78において、演出制御部24(CPU241)は、大当り開始コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析して、その内容である今回の大当り種別情報を取得し(ステップS781)、次いで、図5の当り中演出テーブル選択テーブルを参照し、演出用乱数を利用した抽選を行い、大当り種別に応じた当り中演出テーブルを選択する(ステップS782)。
次いで、当り中演出テーブルを参照して、当り中演出の演出シナリオデータを格納し(ステップS783)、大当り開始コマンド受信処理を抜ける。これにより、大当り遊技開始に伴い、OP演出が発生し、以後、大入賞口開放コマンドを受信した場合には、ラウンド数に対応するラウンド演出を、大当り終了コマンドを受信した場合には、ED演出を順次行っていく。なお、小当りに当選した場合に送信される「小当り開始コマンド(図67のステップS604参照)」を受信した場合にも、この大当り開始コマンド受信処理と同じ処理が行われ、図5の当り中演出テーブル選択テーブルから当り中演出7テーブル(WINTBL−P7)が選択され、これに基づく当り中演出シナリオデータが格納される。
以上、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態に係る遊技機について説明したが、本発明は例示した実施形態に限定されず、本発明を逸脱しない範囲において各種構成要素の改変が可能である。