JP2013196033A - 運転支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自車両の左側と右側の両方に死角が存在し、左側と右側とで必要とされる注意度に差が生じる場合がある。このような状況でも、注意が必要な方向については十分な演算精度を確保しつつも、他方については演算負荷を低減する。
【解決手段】運転支援装置1において、注意度演算部32が、死角を構成する場所での左右方向の注意度を演算する。そして演算精度設定部34が、左右方向の注意度に基づいて、演算精度を調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、運転支援装置に関する。
従来の運転支援装置として、交差点などへの進入時に、死角から飛び出してくる物体を考慮して運転支援を行うものが知られている。例えば、特許文献1の運転支援装置は、自車両の進路を予測し、自車両の進行方向における運転者からの死角を認識し、当該死角から飛び出してくる可能性がある物体を予測し、当該物体が移動可能な範囲を検出し、当該範囲と自車両の予測進路とが重なる場合に衝突可能性があると判定し、当該衝突を避けるように運転支援を行う。
特開2006−260217号公報
しかしながら、従来の運転支援装置は、安全性を確保するための演算負荷が大きくなっていた。一方、移動体との接触を回避するためには速やかに運転支援を開始する必要があるため、演算時間を所定レベルの時間内に収める必要がある。演算負荷が大きくなる場合、演算時間が当該所定レベルの時間内に収まらないという問題がある。従って、安全性を確保しつつも演算負荷を軽くすることによって、より適切な運転支援を行い、安全性をより一層向上することが求められていた。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、適切な運転支援を行い、安全性をより一層向上できる運転支援装置を提供することを目的とする。
運転支援装置は、自車両の進行方向における、運転者からの死角を認識する死角認識部と、死角を構成する場所での左右方向の注意度を演算する注意度演算部と、自車両の前方を認識するための演算精度を設定する演算精度設定部と、を備え、演算精度設定部は、注意度演算部が演算した左右方向の注意度に基づいて、演算精度を調整することを特徴とする。
この運転支援装置では、注意度演算部が、死角を構成する場所での左右方向の注意度を演算することができる。自車両の左側と右側の両方に死角が存在する場合、注意を払う必要性が、一方の死角に比して他方の死角の方が高くなる場合がある。このように、左側と右側とで必要とされる注意度に差が生じる場合、必要とされる演算精度についても右側と左側とで差が生じる場合がある。このような差に関わらず、左右方向の両側において高い演算精度に設定する場合、演算負荷が大きくなるが、この運転支援装置では、演算精度設定部が、左右方向の注意度に基づいて、演算精度を調整することができる。従って、注意が必要な方向については十分な演算精度を確保しつつも、他方については演算負荷を低減することが可能となる。このように演算負荷を低減することにより、適切な運転支援を行い、安全性をより一層向上できる。
運転支援装置は、死角から飛び出して来る可能性のある移動体に関する情報として、移動体の想定速度を少なくとも含む移動体情報を設定する移動体情報設定部と、移動体情報設定部で設定される移動体情報に基づいて、進行方向へ進んだ場合に自車両が移動体と接触する可能性がある、自車両の速度領域を演算する速度領域演算部と、速度領域に基づいて自車両の目標速度を演算する目標速度演算部と、を更に備えてよい。
この運転支援装置では、移動体情報設定部が、死角から飛び出して来る可能性のある移動体を予測し、当該移動体に関する移動体情報を設定している。また、速度領域演算部は、死角から飛び出すと予測された移動体の想定速度に基づいて、自車両がどのような速度で走行すると、当該移動体と接触する可能性があるかを演算できる。そして、速度領域演算部は、自車両の速度領域として、自車両が移動体に接触する可能性がある速度領域を演算することができる。目標速度演算部は、演算された速度領域に基づいて、目標速度を演算している。このように、運転支援装置は、想定される移動体と、自車両の進路予測結果とを比較するものではなく、移動体と接触する可能性がある速度領域を演算し、当該演算に基づいて目標速度を演算するものである。このように、運転支援装置は、どのような速度で走行すればよいかの具体的な目標速度に基づいて制御を行うことができるため、高い安全性を確保した運転支援を行なうことができる。また、運転支援装置による運転支援は、自車両の進路予測の精度には影響を受けないため、適切な運転支援を行うことができる。このように、実際に自車両の前方を認識することによる運転支援に加え、移動体の飛び出しの可能性に基づく運転支援を行うことで、安全性をより一層向上できる。ここで、このような運転支援を追加するには、目標速度を演算するための演算負荷が必要となるが、この運転支援装置は、演算精度設定部が、左右方向の注意度に基づいて、演算精度を調整することで、自車両の前方を認識することによる運転支援に係る演算負荷を低減できる。これにより、演算負荷を過剰に大きくすることなく、実際に自車両の前方を認識することによる運転支援と、移動体の飛び出しの可能性に基づく運転支援を両立させることが可能となる。
運転支援装置において、演算精度設定部は、左右方向のうち、注意度が高い側の演算精度を、注意度側が低い側の演算精度に比して高くしてもよい。これにより、注意度が高い側の安全性を確保しつつ、注意度が低い側の演算負荷を低くすることができる。
運転支援装置において、演算精度設定部は、左右方向のうち、注意度が高い側のグリッドマップ間隔を、注意度が低い側のグリッドマップ間隔に比して狭くしてもよい。これにより、容易な演算によって、認識のための演算精度の調整を行うことができる。
運転支援装置において、注意度演算部は、注意度として、死角を構成する場所での左右方向の見通し度を演算してよい。見通し度は、死角の位置に応じて容易に演算することができるため、注意度を演算するための負荷を低減できる。
運転支援装置において、注意度演算部は、注意度として、死角を構成する場所での左右方向の安全度を演算してよい。注意度として、左右方向の安全度を演算することで、安全性を確保することができる。
本発明によれば、適切な運転支援を行い、安全性をより一層向上できる。
実施形態に係る運転支援装置のブロック構成図である。 自車両が、交差点に進入する直前の様子の一例を示した図である。 運転支援装置での処理内容を示すフローチャートである。 速度領域演算部が、条件Aを演算するためのモデル図である。 速度領域演算部が、条件Bを演算するためのモデル図である。 速度領域演算部が、条件Cを演算するためのモデル図である。 速度領域演算部が、条件Dを演算するためのモデル図である。 危険ゾーンを示すグラフである。 側方間隔を説明するための図である。 死角進入地点での速度と、車両横位置の関係を示したマップの一例である。 移動体情報設定部が移動体情報を設定する際に考慮する要素の一例を示す図である。 演算した危険方向と運転者の注視方向に基づく制御パターンの一例を示す図である。 前方監視処理の内容を示すフローチャートである。 左右方向の注意度の演算方法の例を示す図である。 グリッドマップの一例を示す図である。
以下、図面を参照して運転支援装置の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る運転支援装置のブロック構成図である。図2は、自車両SMが、交差点に進入する直前の様子の一例を示した図である。図2に示す交差点では、自車両SMが走行する車線がLD1で示され、当該車線LD1と交差する車線がLD2で示されている。図2では、自車両SMが走行する車線LD1が優先車線であるものとする。少なくとも車線LD1の両脇には壁や柵や建物などの構造物が設けられているものとする。このような交差点では、図1に示すように、自車両SMの右側に死角DE1が形成され、自車両SMの左側に死角DE2が形成される。自車両SM内の運転者DPの視界は、右側のコーナーP1と左側のコーナーP2で遮られる。従って、右側の死角DE1は、右側のコーナーP1を通過する視線SL1より右側の領域に形成される。左側の死角DE2は、左側のコーナーP2を通過する視線SL2より左側の領域に形成される。運転支援装置1は、仮に死角DE1,2から移動体が飛び出してきたとしても、確実に衝突を避けることができるように、自車両SMの運転支援を行う。なお、本実施形態では、死角DE1,2から飛び出す可能性がある移動体として、他車両RM,LMを想定して説明する。
図1に示すように、運転支援装置1は、ECU(Electronic Control Unit)2と、車両外部情報取得部3と、車両内部情報取得部4と、ナビゲーションシステム6と、情報記憶部7と、表示部8と、音声発生部9と、走行支援部11と、を備えている。
車両外部情報取得部3は、自車両SM周辺の外部に関する情報を取得する機能を有している。具体的に、車両外部情報取得部3は、自車両SM周辺で死角を形成する構造物や、車や歩行者や自転車などの移動する物体や、交差点付近の白線や停止線など、各種情報を取得する機能を有している。車両外部情報取得部3は、例えば、自車両SM周辺の画像を取得するカメラや、ミリ波レーダ、レーザレーダなどによって構成されている。車両外部情報取得部3は、例えば、レーダによって車両周辺に存在するエッジを検出することで、車線両脇の構造物や車両などの物体を検出することができる。また、車両外部情報取得部3は、例えば、カメラで撮像した画像によって、自車両SM周辺の白線や歩行者や自転車を検出することができる。車両外部情報取得部3は、取得した車両外部情報をECU2へ出力する。
車両内部情報取得部4は、自車両SMの内部に関する情報を取得する機能を有している。具体的に、車両内部情報取得部4は、運転者DPの自車両SM内における位置や、頭の向きや視線の方向などを検出することができる。車両内部情報取得部4は、例えば、運転席周辺に設けられ、運転者DPを撮影するカメラなどによって構成されている。車両内部情報取得部4は、取得した車両内部情報をECU2へ出力する。
ナビゲーションシステム6は、運転者DPを案内するために、地図情報や道路情報や交通情報などの各種情報を備えている。ナビゲーションシステム6は、必要なタイミングにて所定の情報をECU2へ出力する。情報記憶部7は、各種情報を記憶する機能を有しており、例えば、運転者DPの過去の運転情報を記憶することができる。情報記憶部7は、必要なタイミングにて所定の情報をECU2へ出力する。
表示部8、音声発生部9、及び走行支援部11は、ECU2からの制御信号に従って、運転者DPの運転を支援する機能を有している。表示部8は、例えばモニタやヘッドアップディスプレイなどによって構成されており、運転支援のための情報を表示する機能を有している。音声発生部9は、スピーカーやブザーなどによって構成されており、運転支援のための音声やブザー音を発する機能を有している。走行支援部11は、制動装置や駆動装置や操舵装置によって構成されており、目標速度まで減速する機能や目標横位置まで移動させる機能を有している。
ECU2は、運転支援装置1全体の制御を行う電子制御ユニットであり、例えばCPUを主体として構成され、ROM、RAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などを備えている。ECU2は、死角認識部21、移動体情報設定部22、速度領域演算部23、目標速度演算部24、目標横位置演算部25、交通情報取得部26、経験情報取得部27、物体情報取得部28、注視方向検出部29、運転支援制御部31、注意度演算部32、左右配分量演算部33、演算精度設定部34、前方監視部36を備えている。
死角認識部21は、自車両SMの進行方向における、運転者DPからの死角を認識する機能を有している。死角認識部21は、車両外部情報取得部3及び車両内部情報取得部4で取得した各種情報から、自車両SMの位置、運転者DP、車線LD1,LD2の交差点(及び死角を形成する構造物)の位置などを取得し、それぞれの位置関係から死角を認識することができる。図2の例では、車線LD1における自車両SMの位置と、自車両SM内における運転者DPの位置が分かるため、死角認識部21は、運転者DPとコーナーP1,P2との位置関係に基づいて、死角DE1,DE2を認識することができる。
移動体情報設定部22は、死角から飛び出して来る可能性のある移動体に関する移動体情報を設定する機能を有する。移動体情報は、例えば、移動体の想定速度と、想定位置と、想定サイズに関する情報を含んでいる。図2の例では、移動体情報設定部22は、右側の死角DE1から飛び出す可能性がある他車両RMと、左側の死角DE2から飛び出す可能性がある他車両LMと、を移動体として予測している。これらの他車両RM,LMは実際に検出されたものではなく、飛び出してくると仮定されたものである。移動体情報設定部22は、これらの他車両RM,LMの想定速度と、想定位置と、想定サイズとを設定する。これらの移動体情報の設定方法は特に限定されないが、詳細な例については後述する。
速度領域演算部23は、移動体情報設定部22で設定される移動体情報に基づいて、進行方向へ進んだ場合に自車両が移動体と接触する可能性がある、自車両の速度領域を演算する機能を有している。この速度領域は、自車両の速度と、死角を構成する場所における基準位置に対する自車両の距離との関係によって定められる。具体的には、図8に示すように、速度領域演算部23は、自車両SMの速度Vを縦軸とし、自車両SMの死角進入地点までの距離Lを横軸とした座標に対して、飛び出してきた他車両との衝突の可能性が高い速度領域として、危険ゾーンDZを演算によって求める。自車両SMが危険ゾーンDZに入るような速度及び位置(死角進入地点までの距離)で運転している場合、突然死角から他車両が飛び出してきたときに、交差点にて当該他車両と自車両SMが衝突する可能性が高くなる。この危険ゾーンDZの演算方法については後述する。なお、危険ゾーンDZのグラフにおいてL=0となる死角進入地点は、死角に対して任意に設定される基準位置である。すなわち、死角進入地点は、死角と自車両SMとの距離を特定するために、死角を構成する場所(交差点)に設定された基準位置である。この基準位置は、演算のために設定されたものであるため、交差点に対してどのように設定してもよい。本実施形態において基準位置として設定されている死角進入地点は、死角から移動体が飛び出して来たときに自車両SMと接触する可能性が生じるとみなされる位置と、移動体が飛び出して来ても自車両SMと接触しないとみなされる位置との境界位置である。図2の例では、車線LD2の自車両SM側の縁部、すなわちコーナーP1とコーナーP2とを結んだ直線部分が、死角進入地点SDLとして設定されている。このような基準位置は、交差点での道路の形状や、死角を構成する構造物の配置、形状などに合わせて、どのように設定してもよい。
目標速度演算部24は、速度領域演算部23が演算した速度領域、すなわち危険ゾーンDZに基づいて、自車両SMの目標速度を演算する機能を有している。具体的には、目標速度演算部24は、危険ゾーンDZを避けるように、目標速度を設定する。目標速度演算部24は、自車両SMが死角進入地点SDLを通過するときに、危険ゾーンDZに入らないような速度を演算し、当該速度を目標速度として設定する。目標速度の設定方法については後述する。
目標横位置演算部25は、速度領域演算部23が演算した速度領域、すなわち危険ゾーンDZに基づいて、自車両SMの目標横位置を演算する機能を有している。目標横位置演算部25は、自車両SMが死角進入地点SDLを通過するときに、安全性を高めることができる横位置を演算し、当該横位置を目標横位置として設定する。目標横位置の設定方法については後述する。
交通情報取得部26は、死角を構成する道路、すなわち自車両SMが進入しようとする交差点に関する交通情報を取得する機能を有している。交通情報取得部26は、ナビゲーションシステム6や情報記憶部7から交通情報を取得することができる。交通情報は、例えば、相手側道路の平均交通量や、過去の事故件数・頻度、歩行者の交通量などを含んでいる。
経験情報取得部27は、運転者DPの過去の経験情報を取得する機能を有している。経験情報取得部27は、情報記憶部7から情報を取得する。経験情報は、例えば、運転者DPが対象の交差点を過去に通過したことがある回数、頻度、過去に通過してから経過した時間などを含んでいる。
物体情報取得部28は、自車両SMの周辺に存在する物体の挙動に関する物体情報を取得する機能を有している。物体として、相手側車線の移動体に影響を及ぼすものであれば特に限定されず、例えば、先行車両、対向車両、歩行者、オートバイ、自転車などが挙げられる。物体情報は、前述のような物体の位置や、大きさや、移動方向や、移動速度などの情報を含んでいる。物体情報取得部28は、車両外部情報取得部3から物体情報を取得することができる。
注視方向検出部29は、運転者DPの注視方向を検出する機能を有している。注視方向検出部29は、車両内部情報取得部4から情報を取得し、運転者DPの顔の向きや視線の向きから注視方向を検出することができる。
運転支援制御部31は、各種演算結果に基づいて、表示部8、音声発生部9、走行支援部11に制御信号を送信することによって、運転支援を制御する機能を有している。運転支援制御部31は、自車両SMが目標速度や目標横位置にて交差点に進入するように、運転支援を行う機能を有している。詳細な支援方法は後述する。また、運転支援制御部31は、死角が複数方向に存在する場合、速度領域演算部23で演算された速度領域(危険ゾーンDZ)の形状に基づいて、危険度が高い危険方向を判定する機能を有している。また、運転支援制御部31は、運転者DPが危険方向を向くように、表示部8や音声発生部9を用いて運転者DPに注意喚起をする機能を有している。
注意度演算部32は、死角を構成する場所での左右方向の注意度を演算する機能を有している。注意度とは、自車両が死角を構成する場所に進入する際に、左側と右側のどちらを注意するべきかの度合いを示している。注意度演算部32は、注意度として、死角を構成する場所での左右方向の見通し度を演算してもよい。また、注意度演算部32は、注意度として、死角を構成する場所での左右方向の安全度を演算してもよい。注意度演算方法の詳細については後述する。
左右配分量演算部33は、注意度演算部32によって演算された注意度に基づいて、自車両SMの前方の認識をするための演算(すなわち、死角点を認識するための演算や飛び出してくる移動体を認識するための演算)における、演算負荷の左右配分量を演算する機能を有している。左右配分量演算部33は、左右方向のうち、注意度が高い側の演算負荷を、注意度が低い側の演算負荷に比して高く配分する。例えば、注意度演算部32が、左側の方が注意度が高いと判断した場合、左右配分量演算部33は、左側の演算負荷を多く配分する。注意度演算部32が、右側の方か注意度が高いと判断した場合、左右配分量演算部33は、右側の演算負荷を多く配分する。
演算精度設定部34は、自車両SMの前方を認識するための演算精度を設定する機能を有している。演算精度設定部34は、左右配分量演算部33によって演算された演算負荷の左右配分量に基づいて、すなわち注意度演算部32によって演算された左右方向の注意度に基づいて、演算精度を調整する機能を有している。演算精度設定部34は、左右配分量に従って左右方向の演算精度を設定することにより、左右方向のうち、注意度が高い側の演算精度を、注意度側が低い側の演算精度に比して高く設定する。認識のための演算精度の調整は、グリッドマップ間隔の調整(図15参照)や、認識に利用するグリッドマップ内の情報量(精度、LSB、メモリサイズなど)を調整することによって行われる。
前方監視部36は、自車両SMの前方を監視する機能を有している。すなわち、前方監視部36は、自車両SMの前方に存在する死角点や物体を認識することにより、死角からの移動体の飛び出しを検知することで、前方の監視を行う機能を有している。前方監視部36は、演算精度設定部34によって設定された左側演算精度及び右側演算精度に基づいて、前方の監視を行う。
次に、図2〜図15を参照して、運転支援装置1の具体的な制御処理について説明する。本実施形態においては、自車両SMが図2に示すような交差点へ進入する状況における処理内容について説明する。図3は、運転支援装置1での処理内容を示すフローチャートである。この処理は、自車両の運転中に一定周期間隔で繰り返し実行される。
図3に示すように、ECU2の死角認識部21は、車両外部情報取得部3や車両内部情報取得部4からの情報に基づいて、死角を認識する(ステップS100)。死角認識部21は、車線LD1における自車両SMの位置と、自車両SM内における運転者DPの位置を把握し、進行方向で死角を構成する構造物の位置を把握する。死角認識部21は、運転者DPとコーナーP1,P2との位置関係に基づいて、死角DE1,DE2を認識することができる。なお、図2では、自車両SMの車幅方向の大きさはB、前後方向の大きさはAで示される(この自車両SMのサイズは、予め記憶しておいてよい)。自車両SMの横位置は、中心線を基準にした場合、車線LD1内での左側の側方間隔がWと示され、右側の側方間隔がWと示される。また、自車両SMの前端と死角進入地点SDLとの距離がLと示される。自車両SM内の運転者DPの位置は、自車両SMの中心線からの幅方向の距離がBと示され、前端からの前後方向の距離がAと示される。運転者DPの位置が特定されることで、右側のコーナーP1を通過する視線SL1が特定されて死角DE1が特定されると共に、左側のコーナーP2を通過する視線SL2が特定されて死角DE2が特定される。なお、自車両SMの位置(L、W、W)によって死角DE1,2の範囲は変更されるが、死角認識部21は、運転者DPとコーナーP1,P2との位置関係から、直ちに演算によって死角DE1,2の範囲を特定することができる。
死角認識部21は、S100で認識した死角DE1,2に基づいて、現在の自車両SMの位置から死角DE1,2までの距離(または死角進入地点SDLまでの距離)が、所定の閾値TL以下であるか否かを判定する(ステップS105)。S105において、死角認識部21によって距離が閾値TLより大きいと判定されると、図3に示す処理は終了し、再びS100から処理を繰り返す。S100で死角を認識することができなかった場合も同様である。一方、死角認識部21によって距離が閾値TL以下であると判定されると、ステップS110の処理へ移行する。
移動体情報設定部22は、死角DE1,2から飛び出して来る可能性のある移動体を予測し、当該移動体に関する移動体情報を設定する(ステップS110)。図2では、移動体情報設定部22は、他車両RMが右側の死角DE1から飛び出す可能性があると予測し、他車両LMが左側の死角DE2から飛び出す可能性があると予測している。移動体情報設定部22は、移動体情報として、これらの他車両RM,LMの想定速度と、想定位置と、想定サイズとを設定する。ここでは、移動体情報設定部22は、他車両RMの想定速度V、他車両RMの車幅方向の想定サイズB、前後方向の想定サイズAを設定している。移動体情報設定部22は、他車両RMの想定横位置Wを設定している。なお、ここでの想定横位置は、他車両RMの中心線を基準にしたときの、進行方向左側の側方間隔である。移動体情報設定部22は、他車両RMの進行方向における想定位置として、最も早く死角DE1から飛び出る位置に設定する。すなわち、他車両RMの右前の角部P3が視線SL1上に来る位置が想定位置として設定される。移動体情報設定部22は、他車両LMの想定速度V、他車両LMの車幅方向の想定サイズB、前後方向の想定サイズAを設定している。移動体情報設定部22は、他車両LMの想定横位置Wを設定している。なお、ここでの想定横位置は、他車両LMの中心線を基準にしたときの、進行方向右側の側方間隔である。移動体情報設定部22は、他車両LMの進行方向における想定位置として、最も早く死角DE2から飛び出る位置に設定する。すなわち、他車両LMの左前の角部P4が視線SL2上に来る位置が想定位置として設定される。
想定速度の設定方法は特に限定されず、例えば、相手側の車線LD2の車線幅などを考慮して、当該道路での法定速度が想定速度として設定されてもよく、過去の統計に基づいた平均的な進入車両速度が想定速度として設定されてもよく、自車両SMと同じ速度が想定速度として設定されてもよい。想定位置(想定横位置)の設定方法も特に限定されず、例えば、走行レーンの中心位置が想定位置として設定されてもよく、過去の統計に基づいた平均的な進入車両位置が想定位置として設定されてもよく、自車両SMと同じ位置が想定位置として設定されてもよい。また、他車両の想定サイズの設定方法も特に限定されず、例えば、予め一般的な車両サイズとして準備していたデータが想定サイズとして設定されてもよく、一般乗用車の平均サイズが想定サイズとして設定されてもよく、自車両SMと同じサイズが想定サイズとして設定されてもよい。
また、移動体情報設定部22は、死角DE1,2を構成する道路の形状(すなわち交差点の形状)に基づいて、移動体情報を設定してもよい。例えば、図11(a)に示すようなT字路の場合、他車両は、右折か左折しか行わないため、直進する場合に比して、速度を大幅に下げることが予測される。また、十字路の場合は左右からの他車両の飛び出しを予測する必要があるが、T字路の場合は一方の車線LD3からの飛び出しのみ予測すればよい。従って、移動体情報設定部22は、進入する交差点がT字路であった場合、他車両の想定速度や想定位置を、十字路の場合から変更して設定することができる。運転支援装置1は、道路の形状を考慮することで、一層精度の高い運転支援を行うことができる。なお、移動体情報設定部22は、道路の形状に関する情報を、車両外部情報取得部3で直接検知することで取得してもよく、ナビゲーションシステム6から取得してもよい。
また、移動体情報設定部22は、他車両側の車線幅と、自車両側の車線幅との比に基づいて、移動体情報を設定してもよい。例えば、自車両側の優先道路が大きな道路で、相手側が小さい道路であった場合、相手側の車両は、減速せずに交差点に進入することを躊躇する。一方、自車両側と相手側の道路の大きさが同じであった場合、あるいは相手側の道路の方が大きい場合、相手側の車両は減速せずに交差点に進入する傾向にある。従って、移動体情報設定部22は、図11(b)に示すようなマップに基づいて、他車両側の車線幅と、自車両側の車線幅との比を考慮して他車両の想定速度を設定する。このように各車線幅の比を考慮することで、運転支援装置1は、運転者の感覚、及び実際の移動体の飛び出し速度に一層適合した運転支援を行うことができる。
また、移動体情報設定部22は、死角DE1,2の周辺環境に基づいて、移動体情報を設定してもよい。すなわち、移動体情報設定部12は、交差点の形状のみならず、死角DE1,2の周辺環境に基づいて、他車両の移動情報を設定する。例えば、交差点にカーブミラーがあった場合は、他車両の速度は低下すると判断できる。また、相手側の他車両の車線の停止線が交差点に近く、自車両から見える場合、他車両の減速ポイントが遅いと判断できる。この場合、他車両が交差点近くにならなくては減速を行わず、結果的に交差点進入速度が高くなると判断できる。一方、相手側の他車両の車線の停止線が交差点から遠く、自車両から見えない位置にある場合、他車両の減速ポイントが早いと判断できる。この場合、他車両が早い段階で減速を行うことで、結果的に交差点進入速度が低くなると判断できる。また、例えば、優先車線である自車両側の車線LD1の両脇に路側帯などの白線が延びており、相手側の車線LD2の部分でも途切れることなく延びている場合、相手側の他車両は、減速する傾向にある。移動体情報設定部22は、以上のように、他車両の挙動に影響を与えるような周辺環境に基づいて、移動体情報を設定してもよい。このように死角の周辺環境を考慮することにより、運転支援装置1は、運転者の感覚に一層適合した運転支援を行うことができる。
また、移動体情報設定部22は、交通情報取得部26で取得した交通情報に基づいて、移動体情報を設定してもよい。例えば、相手側道路の平均交通量や、過去の事故件数・頻度などが高い交差点では、特に注意が必要なため、移動体情報を厳しく設定する必要が生じる。また、歩行者の交通量などが高い交差点では、相手側の他車両の速度は遅くなる傾向にある。移動体情報設定部22は、以上のような交通情報の影響を考慮して、移動体情報を設定してもよい。このように死角周辺の情報だけでは知り得ない交通情報を考慮することで、本当に危険度が高い死角道路を通過する際に、運転支援装置1は、安全性をより一層向上できる有効な運転支援を行うことが可能となる。
また、移動体情報設定部22は、経験情報取得部27で取得した経験情報に基づいて、移動体情報を設定してもよい。例えば、運転者DPが対象の交差点を過去に通過したことがある回数・頻度が低い場合、運転者DPに注意させるために移動体情報を厳しく設定する。また、過去に通過してから経過した時間が長い場合も、移動体情報を厳しく設定する。移動体情報設定部22は、以上のような経験情報の影響を考慮して、移動体情報を設定してもよい。このように運転者の過去の経験情報を利用することで、運転支援装置1は、運転者の経験に適合した運転支援を行うことができる。
また、物体情報取得部28で取得した物体情報に基づいて、移動体情報を設定してもよい。例えば、先行車両、対向車両、歩行者、オートバイ、自転車などの物体が、自車両SMよりも所定時間早く死角進入地点に進入する(または進入が予測できる)場合、相手側の他車両は減速する。移動体情報設定部22は、周辺の物体の挙動を考慮して、移動体情報を設定してもよい。自車両周辺の物体の挙動は、飛び出して来る移動体の速度等にも影響を与えるが、このような情報を考慮することで、運転支援装置1は、より実態に適合した運転支援を行うことができる。
次に、速度領域演算部23は、S110で設定された移動体情報に基づいて、危険ゾーンを演算する(ステップS120)。速度領域演算部23は、移動体が死角から飛び出してきたとしても、当該移動体と衝突することなく交差点を通過することができる条件を演算することによって、危険ゾーンを演算する。具体的に、速度領域演算部23は、「条件A:右側の死角DE1から飛び出してくる他車両RMに対し、自車両SMが先に通過できる条件」、「条件B:右側の死角DE1から飛び出してくる他車両RMに対し、他車両RMが先に通過できる条件」、「条件C:左側の死角DE2から飛び出してくる他車両LMに対し、自車両SMが先に通過できる条件」、「条件D:左側の死角DE2から飛び出してくる他車両LMに対し、他車両LMが先に通過できる条件」を演算する。ここでは、図8の座標の縦軸である自車両SMの速度Vと、横軸である自車両SMの死角進入地点までの距離Lが変数である。なお、以下の説明において、自車両SMは一定の速度Vで直進走行し、他車両RMは一定の想定速度Vで直進走行するものとし、途中で速度や横位置は変化しないものとする。また、以下の説明で「前」「後」「右」「左」とは、各車両の進行方向を基準にしている。
〈条件A〉
図4は、条件Aを演算するためのモデル図である。図4(a)には、他車両RMの右前角部と自車両SMの右後角部とが重なるポイントPAが示されている。そのときの自車両SMの位置がSMAで示され、他車両RMの位置がRMAで示される。図4(a)より、自車両SMが位置SMAまで移動する距離は、(L+W+B/2+A)となる。一方、他車両RMが位置RMAまで移動する距離はLで示される。
ここで、距離Lが未知数であるが、運転者DPとコーナーP1の位置関係から描かれる直角三角形と、運転者DPと角部P3の位置関係から描かれる直角三角形とが、相似の関係である。従って、図4(b)に示す寸法関係から、式(1A)の関係が成り立つ。式(1A)を展開して式(2A)とすることで、距離Lが式(3A)で表される。他車両RMが位置RMAに到達する時間をt_Aとすると、時間t_Aは、距離Lを用いて式(4A)のように示される。ここで、条件Aでは、他車両RMが位置RMAに到達する時点(時間t_A経過した時点)で、自車両SMの移動距離が、位置SMAまでの移動距離以上であればよい。すなわち、自車両SMの速度Vが、時間t_A経過後に位置SMAへ到達する速度以上であればよい。以上より、条件Aを満たす速度をVとした場合、速度Vは、式(5A)のように表される。
+(B/2 − B):W−B
= L+A+W+B/2:L+A …(1A)

(L+B/2 − B)(L+A
= (W−B)(L+A+W+B/2) …(2A)

= {(W−B)(L+A+W+B/2)
−(B/2 − B)(L+A)} / (L+A) …(3A)

_A = L/V …(4A)

≧ (A+L+W+B/2)/t_A …(5A)
速度領域演算部23は、図8に示す座標において、条件Aを満たす領域を特定する。具体的に、速度領域演算部23は、上記式(3A)、(4A)、(5A)を用いて、min(V)を示すグラフAを描く。速度領域演算部23は、min(V)以上の速度領域を、条件Aを満たす領域として特定する。
〈条件B〉
図5は、条件Bを演算するためのモデル図である。図5(a)には、他車両RMの左後角部と自車両SMの左前角部とが重なるポイントPBが示されている。そのときの自車両SMの位置がSMBで示され、他車両RMの位置がRMBで示される。図5(a)より、自車両SMが位置SMBまで移動する距離は、(L+W−B/2)となる。一方、他車両RMが位置RMBまで移動する距離はLで示される。
ここで、距離Lが未知数であるが、運転者DPとコーナーP1の位置関係から描かれる直角三角形と、運転者DPと角部P3の位置関係から描かれる直角三角形とが、相似の関係である。従って、図5(b)に示す寸法関係から、式(1B)の関係が成り立つ。式(1B)を展開して式(2B)とすることで、距離Lが式(3B)で表される。他車両RMが位置RMBに到達する時間をt_Bとすると、時間t_Bは、距離Lを用いて式(4B)のように示される。ここで、条件Bでは、他車両RMが位置RMBに到達する時点(時間t_B経過した時点)で、自車両SMの移動距離が、位置SMBまでの移動距離以下であればよい。すなわち、自車両SMの速度Vが、時間t_B経過後に位置SMBへ到達する速度以下であればよい。以上より、条件Bを満たす速度をVとした場合、速度Vは、式(5B)のように表される。
+(A+B/2 +B):W−B
= L+A+W+B/2:L+A …(1B)

{L−(A+B/2 +B)}(L+A
= (W−B)(L+A+W+B/2) …(2B)

= {(W−B)(L+A+W+B/2)
+(A+B/2 +B)(L+A)} / (L+A) …(3B)

_B = L/V …(4B)

≦ (L+W−B/2)/t_B …(5B)
速度領域演算部23は、図8に示す座標において、条件Bを満たす領域を特定する。具体的に、速度領域演算部23は、上記式(3B)、(4B)、(5B)を用いて、max(V)を示すグラフBを描く。速度領域演算部23は、max(V)以下の速度領域を、条件Bを満たす領域として特定する。
〈条件C〉
図6は、条件Cを演算するためのモデル図である。図6(a)には、他車両LMの左前角部と自車両SMの左後角部とが重なるポイントPCが示されている。そのときの自車両SMの位置がSMCで示され、他車両LMの位置がLMCで示される。図6(a)より、自車両SMが位置SMCまで移動する距離は、(L+W+B/2+A)となる。一方、他車両LMが位置LMCまで移動する距離はLで示される。
ここで、距離Lが未知数であるが、運転者DPとコーナーP2の位置関係から描かれる直角三角形と、運転者DPと角部P4の位置関係から描かれる直角三角形とが、相似の関係である。従って、図6(b)に示す寸法関係から、式(1C)の関係が成り立つ。式(1C)を展開して式(2C)とすることで、距離Lが式(3C)で表される。他車両LMが位置LMCに到達する時間をt_Cとすると、時間t_Cは、距離Lを用いて式(4C)のように示される。ここで、条件Cでは、他車両LMが位置LMCに到達する時点(時間t_C経過した時点)で、自車両SMの移動距離が、位置SMCまでの移動距離以上であればよい。すなわち、自車両SMの速度Vが、時間t_C経過後に位置SMCへ到達する速度以上であればよい。以上より、条件Cを満たす速度をVとした場合、速度Vは、式(5C)のように表される。
+B/2 + B:W−B
= L+A+W+B/2:L+A …(1C)

(L+B/2 + B)(L+A
= (W+B)(L+A+W+B/2) …(2C)

= {(W+B)(L+A+W+B/2)
−(B/2 +B)(L+A)} / (L+A) …(3C)

_C = L/V …(4C)

≧ (A+L+W+B/2)/t_C …(5C)
速度領域演算部23は、図8に示す座標において、条件Cを満たす領域を特定する。具体的に、速度領域演算部23は、上記式(3C)、(4C)、(5C)を用いて、min(V)を示すグラフCを描く。速度領域演算部23は、min(V)以上の速度領域を、条件Cを満たす領域として特定する。
〈条件D〉
図7は、条件Dを演算するためのモデル図である。図7(a)には、他車両LMの右後角部と自車両SMの右前角部とが重なるポイントPDが示されている。そのときの自車両SMの位置がSMDで示され、他車両LMの位置がLMDで示される。図7(a)より、自車両SMが位置SMDまで移動する距離は、(L+W−B/2)となる。一方、他車両LMが位置LMDまで移動する距離はLで示される。
ここで、距離Lが未知数であるが、運転者DPとコーナーP2の位置関係から描かれる直角三角形と、運転者DPと角部P4の位置関係から描かれる直角三角形とが、相似の関係である。従って、図7(b)に示す寸法関係から、式(1D)の関係が成り立つ。式(1D)を展開して式(2D)とすることで、距離Lが式(3D)で表される。他車両LMが位置LMDに到達する時間をt_Dとすると、時間t_Dは、距離Lを用いて式(4D)のように示される。ここで、条件Dでは、他車両LMが位置LMDに到達する時点(時間t_D経過した時点)で、自車両SMの移動距離が、位置SMDまでの移動距離以下であればよい。すなわち、自車両SMの速度Vが、時間t_D経過後に位置SMDへ到達する速度以下であればよい。以上より、条件Dを満たす速度をVとした場合、速度Vは、式(5D)のように表される。
−(A+B/2 −B):W+B
= L+A+W+B/2:L+A …(1D)

{L−(A+B/2 −B)}(L+A
= (W+B)(L+A+W+B/2) …(2D)

= {(W+B)(L+A+W+B/2)
+(A+B/2 −B)(L+A)} / (L+A) …(3D)

_D = L/V …(4D)

≦ (L+W−B/2)/t_D …(5D)
速度領域演算部23は、図8に示す座標において、条件Dを満たす領域を特定する。具体的に、速度領域演算部23は、上記式(3D)、(4D)、(5D)を用いて、max(V)を示すグラフDを描く。速度領域演算部23は、max(V)以下の速度領域を、条件Dを満たす領域として特定する。
以上の演算に基づき、速度領域演算部23は、図8に示すように、max(V,V)<V<min(V,V)の速度領域を危険ゾーンDZとして設定する。なお、実際の演算上ではグラフA〜Dは曲線になるが、理解を容易にするために概念図である図8ではグラフA〜Dを直線として示している。
ここで、危険ゾーンDZについて説明する。自車両SMが所定の距離Lの位置に到達した時点で、自車両SMの速度Vが危険ゾーンDZに入っていると仮定する。この状態で、次の瞬間に死角DE1,2より他車両RM,LMが飛び出してきたとき、自車両SMが当該速度Vにて一定速度、一定横位置にて走行すると、自車両SMが他車両RM,LMと接触する可能性がある。万が一他車両RM,LMが飛び出してきた場合に、自車両SMが急ブレーキや急操舵を行う必要が生じてしまう。すなわち、自車両SMの速度条件が危険ゾーンDZ内に入っている場合、万が一次の瞬間、死角DE1,2より他車両RM,LMが飛び出して来たときに衝突の可能性が生じる。従って、自車両SMは、危険ゾーンDZを避けて走行することが好ましい。
具体的に、図8に示すように、距離Lの時点で、自車両の速度がV,V,Vであった場合について説明する。速度Vはmin(V,V)よりも速い速度であるため、次の瞬間に他車両RM,LMが飛び出してきても、自車両SMはそれらの他車両より先に交差点を通過できる。速度Vは危険ゾーンDZに入っているため、次の瞬間に他車両RM,LMが飛び出してきた場合、(急ブレーキや急操舵をしなかったとき)自車両SMが他車両RM,LMと接触する可能性がある。速度Vはmax(V,V)より遅い速度であるため、次の瞬間に他車両RM,LMが飛び出してきても、自車両SMはそれらの他車両をやり過ごした後に交差点を通過できる。しかし、自車両が速度Vで走行を続け死角進入地点に近づいた場合(Lが0に近づいた場合)、速度Vは危険ゾーンDZに入る。
次に、目標横位置演算部25は、S120で演算された危険ゾーンDZに基づいて、自車両SMの目標横位置を演算する(ステップS130)。図9に示すように、道路は一定の幅を有しており、左側の側方間隔Wと右側の側方間隔Wは、自車両SMの横位置によって異なる。例えば、左側の側方間隔Wが小さい場合、左側の死角DE2が大きくなり、右側の側方間隔Wが小さい場合、右側の死角DE1が大きくなる。すなわち、自車両SMの横位置は、安全性に影響を及ぼす。S130では、目標横位置演算部25は、安全性を高めることができる目標側方間隔W1targetを演算する。目標側方間隔W1targetは、死角進入地点(L=0)での自車両SMの目標横位置である。
S130の処理を行う場合、速度領域演算部23は、予め複数パターンの側方間隔(W,W)についての危険ゾーンDZを演算しておき、マップとして保持しておく。なお、速度領域演算部23は、演算時における実際の自車両SMの位置とは異なる位置条件であっても、演算によって死角DE1,2を特定できるため、複数パターンの側方間隔(W,W)についての危険ゾーンDZを演算することができる。
マップの一例を図10に示す。このマップは、危険ゾーンDZのうち、死角進入地点(L=0)での速度を抽出し、側方間隔(W,W)の各パターンと対応付けたものである。図中のAは、L=0におけるmin(V)と、側方間隔(W,W)との関係を示している。図中のBは、L=0におけるmax(V)と、側方間隔(W,W)との関係を示している。図中のCは、L=0におけるmin(V)と、側方間隔(W,W)との関係を示している。図中のDは、L=0におけるmax(V)と、側方間隔(W,W)との関係を示している。横位置が左寄り(Wが小さい)になると、左側からの他車両LMが見難くなるため、min(V)が大きくなる。横位置が右寄り(Wが小さい)になると、右側からの他車両RMが見難くなるため、min(V)が大きくなる。当該マップでの危険ゾーンの下限値(危険ゾーンよりも遅い速度における最大値)は、mxa(V)とmax(V)のうち、いずれか小さいほうが既定する。図10では、どの側方間隔においても、max(V)が下限値を設定している。当該マップでの危険ゾーンの上限値(危険ゾーンよりも高い速度における最小値)は、min(V)とmin(V)のうち、いずれか大きいほうが既定する。図10では、側方間隔(W,W)=(4.5,1.5)を境として、左寄りの領域ではmin(V)が上限値を設定し、右寄りの領域ではmin(V)が上限値を設定している。
目標横位置演算部25は、図10のようなマップに基づいて、最適な目標横位置を設定する。例えば、目標横位置演算部25は、危険ゾーンの下限値がもっとも大きくなるときの側方間隔を目標側方間隔W1targetとして設定する。図10の例では、側方間隔(W,W)=(4.5,1.5)で、max(V)がもっとも大きくなる。または、目標横位置演算部25は、下限値と上限値の差がもっとも小さくなるときの側方間隔を目標側方間隔W1targetとして設定する。図10の例では、min(V)とmin(V)とが交差する位置である側方間隔(W,W)=(2.5,3.5)で、上限値と下限値の差がもっとも小さくなっている。
次に、目標速度演算部24は、S120で演算した危険ゾーンDZに基づいて、自車両SMの目標速度Vtargetを演算する(ステップS140)。目標速度演算部24は、距離Lによらず、危険ゾーンDZを避けることができるような速度を目標速度Vtargetとして設定する。ここでは、目標速度演算部24は、危険ゾーンの下限値(危険ゾーンよりも低い速度における最大値)、すなわちL=0におけるmax(V)とmax(V)の値のうち、いずれか小さい方を目標速度Vtargetとして設定する。図8では、L=0におけるmax(V)が下限値を設定しているため、目標速度Vtargetとして設定される。このとき、L=0での危険ゾーンDZの速度範囲よりも低ければよく、max(V)より低い値を目標速度Vtargetとして設定してもよい。なお、S130にて目標横位置を設定した場合、目標速度演算部24は、当該目標横位置に対応する危険ゾーンDZを用いて目標速度Vtargetを演算する。
次に、運転支援制御部31は、S130で演算した目標横位置及びS140で演算した目標速度と、実際の自車両SMの横位置及び速度に基づいて、運転支援の要否を判断する(ステップS150)。具体的に、運転支援制御部31は、現在の自車両SMの側方間隔W1nowが目標側方間隔W1targetと異なっている(差が所定の閾値より大きい)か否かを判定する。運転支援制御部31は、同じであると判定した場合、横位置調整のための運転支援は不要であると判断し、異なっていると判定した場合、横位置調整のための運転支援が必要であると判断する。また、運転支援制御部31は、現在の自車両SMの速度Vnowが目標速度Vtargetよりも大きいか否かを判定する。運転支援制御部31は、速度Vnowが目標速度Vtarget以下であると判定した場合、速度調整のための運転支援は不要であると判断し、速度Vnowが目標速度Vtargetより大きいと判定した場合、速度調整のための運転支援が必要であると判断する。S150において、いずれの運転支援も不要であると判断された場合、図3に示す制御処理は終了する。一方、少なくとも一方の処理が必要であると判断された場合、ステップS160へ移行する。例えば図8に示す速度Vnowは、死角進入地点に近づいたときに危険ゾーンDZに入るため、運転支援が必要となる。
運転支援制御部31は、S150での判定結果に基づいて、自車両SMを目標横位置へ移動させるための運転支援、及び自車両SMの速度を目標速度とするための運転支援を行う(ステップS160)。例えば、運転支援制御部31は、走行支援部11を制御することによって、強制的に目標速度Vtargetまで減速してもよい。なお、このとき、図8に示すように、速度Vnowから目標速度Vtargetまで至る過程においても、危険ゾーンDZを避けるような減速経路を設定することが好ましい。あるいは、運転支援制御部31は、表示部8や音声発生部9で運転者DPに対して目標速度Vtargetまで減速する旨の通知を行ってもよい。運転支援制御部31は、走行支援部11を制御することによって、強制的に目標側方間隔W1targetへ自車両SMを移動させてもよい。あるいは、運転支援制御部31は、表示部8や音声発生部9で運転者DPに対して目標側方間隔W1targetまで移動する旨の通知を行ってもよい。なお、速度及び横位置に関する運転支援として、強制的な運転支援と通知による運転支援のいずれか一方のみを行ってもよく、同時に行ってもよい。また、目標速度Vtargetとするための運転支援と目標側方間隔W1targetとするための運転支援を、いずれか一方のみ行ってもよく、両者をタイミングをずらして行ってもよく、両者を同時に行ってもよい。
本実施形態のように死角が複数方向に存在する場合、運転支援制御部31は、危険ゾーンDZに基づいて、危険度が高い危険方向を判定してもよい。例えば、図8に示すグラフのように、危険ゾーンDZの下限値は、右側の条件によるmin(V)によって決定されている。このことからも、左側からの飛び出し車両よりも右側からの飛び出し車両の方がリスクが高いことが分かる。また、交差点の形状や自車両SMの進入態様によっては、左側からの飛び出し車両の方がリスクが高くなる場合もある。そこで、運転支援制御部31が、危険度が高い危険方向を判定し、運転者DPが危険方向を向くような注意喚起を行ってよい(ここでは、後に説明するステップS210やS220での結果を用いて危険方向を判定してもよい)。例えば、運転支援制御部31は、右側の警報音を大きくしたり、表示部8での右側の表示を大きくしたり、色を警告色に変更してもよい。
また、運転支援制御部31は、運転者DPの注視方向を考慮してもよい。運転支援制御部31は、注視方向検出部29の検出結果を取得し、演算された危険方向と運転者の注視方向とが一致しているかを判定する。運転支援制御部31は、当該判定結果に基づいて、運転者が危険方向に向いているときは運転支援を弱くし、向いていないときは運転支援を強くすることができる。運転支援制御部31は、例えば、図12に示すような制御を行う。強い運転支援とは、例えば、ブレーキの強さを大きくすること、あるいは、運転支援の開始タイミングを早くすることである。
S160の処理が終了することにより、図3に示す制御処理が終了し、再びS100から処理が開始される。
上述のS140の処理の後、S150〜S160の処理と同時に、自車両SMの前方を監視する前方監視処理が実行される(ステップS200)。S150〜S160の処理は、S100〜S140の処理結果を利用することによって、死角からの移動体の飛び出しの可能性に基づいた運転支援を行うための処理である。これに対して、S200の処理は、実際の移動体の飛び出しを監視し、当該飛び出しがある場合に、当該移動体との接触を回避するための運転支援を行う処理である。これにより、推定に基づいて予め安全性を確保するための運転支援を実行すると同時に、実際に移動体が飛び出した場合には、当該実際の飛び出しに対応するための運転支援も実行できる。
前方監視処理の処理内容について、図13を参照して説明する。図13に示すように、注意度演算部32は、死角を構成する場所での左右方向の注意度を演算する(ステップS210)。また、左右配分量演算部33は、S210での注意度の演算結果に基づいて、演算負荷の左右配分量を演算する(ステップS220)。S210〜S220の処理は、注意度として見通し度を用いた場合の演算方法と、注意度として安全度を用いた場合の演算方法を採用することができる。
注意度として見通し度を用いた場合の演算方法について説明する。注意度演算部32は、注意度として、死角を構成する場所での左右方向の見通し度を演算する。見通し度が高い(つまり見易い)ほど、注意を払う必要が少なくなるため、注意度を低く設定できる。一方、見通し度が低い(つまり見にくい)ほど、注意を払う必要があるため、注意度を高く設定する。注意度演算部32は、自車両SMの直進方向と、左右の死角点とのなす角度によって見通し度(すなわち注意度)を表すことができる。角度が大きいほど見通し度が高くなり、注意度は低くなる。角度が小さいほど見通し度が低くなり、注意度は高くなる。例えば、図14(a)に示す例においては、注意度演算部32は、左側注意度を、左側の死角点P2と自車両SMの直進方向がなす角度θで表し、右側注意度を、左側の死角点P1と自車両SMの直進方向がなす角度θで表すことができる。左側角度θ及び右側角度θのうち、角度が小さい方の注意度が高くなる。左右配分量演算部33は、左側の演算負荷の配分量Rと、右側の演算負荷の配分量Rを演算する。注意度が高い側の方向に対する認識の精度を上げる必要があるので、演算の負荷の配分量が高くなる。具体的には、左右配分量(R;R)は、式(6)で表される。図14(a)では、左側角度θの方が小さいため、左側注意度の方が高くなり、左側配分量Rが大きくなる。見通し度は、死角の位置に応じて容易に演算することができるため、注意度を演算するための負荷を低減できる。

:R = θ/(θ+θ):θ/(θ+θ) …(6)
次に、注意度として安全度を用いた場合の演算方法について説明する。注意度演算部32は、注意度として、死角を構成する場所での左右方向の安全度を演算する。安全度が高い(つまり移動体との接触の可能性が低い)ほど、注意を払う必要が少なくなるため、注意度を低く設定できる。一方、安全度が低い(つまり、移動体との接触の可能性が高い)ほど、注意を払う必要があるため、注意度を高く設定する。安全度は、左右方向の死角からの移動体の飛び出しを想定した場合の危険ゾーンに基づいて設定される目標速度を用いて表すことができる。目標速度が低いほど、当該方向から飛び出してくる移動体との接触を回避するには、自車両の速度を低くしておく必要があるということなので、注意度を高く設定する。図14(b)に示す例においては、左側の安全度は、左側の死角からの移動体の飛び出しを想定した場合の危険ゾーンDZ_Lに基づいて設定される左側目標速度Vtarget_Lで表される。図14(c)に示す例においては、右側の安全度は、右側の死角からの移動体の飛び出しを想定した場合の危険ゾーンDZ_Rに基づいて設定される右側目標速度Vtarget_Rで表される。左側の危険ゾーンDZ_L及び右側の危険ゾーンDZ_Rは、S120の処理での演算結果を用いることができる。図8に示す例では、グラフC及びグラフDで構成されるエリアが左側危険ゾーンDZ_Lとなり、グラフA及びグラフBで構成されるエリアが右側危険ゾーンDZ_Rとなる。左側目標速度Vtarget_L及び右側目標速度Vtarget_Rのうち、目標速度が小さい方の注意度が高くなる。左右配分量演算部33は、左側の演算負荷の配分量Rと、右側の演算負荷の配分量Rを演算する。注意度が高い側の方向に対する認識の精度を上げる必要があるので、演算の負荷の配分量が高くなる。具体的には、左右配分量(R;R)は、式(7)で表される。注意度として、左右方向の安全度を演算することで、安全性を確保することができる。また、S120の演算結果を流用することで、演算負荷を低減ができる。

:R
target_R/(Vtarget_L+Vtarget_R):
target_L/(Vtarget_L+Vtarget_R) …(7)
なお、左右配分量(R;R)は、見通し度と安全度の何れか一方に基づいて演算されればよい。ただし、見通し度と安全度の両方が考慮されて演算されてもよい。
次に、演算精度設定部34は、S220で演算された左右配分量(R;R)に基づいて、グリッドマップ演算精度を設定する(ステップS240)。演算精度設定部34は、左右方向のうち、注意度が高い側(演算負荷の配分量が大きい側)の死角点や移動体に対する認識の演算精度が高くなるように、左側演算精度及び右側演算精度を設定する。
演算精度設定部34は、演算精度を高くする方のグリッドマップ間隔が狭くなるように設定する。すなわち、演算精度設定部34は、左側注意度が高い場合(見通し度が低い場合、安全度が低い場合)は、左側グリッドマップ間隔Wが狭くなるように設定する。演算精度設定部34は、右側注意度が高い場合(見通し度が低い場合、安全度が低い場合)は、右側グリッドマップ間隔Wが狭くなるように設定する。具体的には、演算精度設定部34は、左右配分量(R;R)に基づいて、式(8)を用いて左側グリッドマップ間隔Wを設定し、式(9)を用いて右側グリッドマップ間隔Wを設定する。なお、Wは所定の係数である。図15に示す例では、左側注意度が高いことにより、左側グリッドマップ間隔Wの方が右側グリッドマップ間隔Wに比して狭くなっている。

= {R/(R+R)} × W …(8)
= {R/(R+R)} × W …(9)
また、演算精度設定部34は、認識に利用するグリッドマップ内の情報量(精度、LSB、メモリサイズ)を左右で配分してもよい。すなわち、演算精度設定部34は、左側注意度が高い場合(見通し度が低い場合、安全度が低い場合)は、左側グリッドマップの情報量が多くなるように設定する。演算精度設定部34は、右側注意度が高い場合(見通し度が低い場合、安全度が低い場合)は、右側グリッドマップの情報量が多くなるように設定する。なお、演算精度設定部34は、グリッドマップ間隔の変更処理と、グリッドマップ情報量の変更処理のいずれか一方のみを行ってもよいが、両方行ってもよい。
なお、図15では、自車両SMの中心線に対して左側領域に左側グリッドマップ間隔W一定にてグリッドマップが設定され、右側領域に右側グリッドマップ間隔W一定にてグリッドマップが設定されている。車両前後方向に対しては、左側領域も右側領域もグリッドマップ間隔は等しくなっている。ただし、グリッドマップの設定方法は、図15に示すようなものに限らず、左側注意度と右側注意度に基づいて演算精度が調整されていればあらゆる態様にてグリッドマップを設定してよい。例えば、車両前後方向においても、注意度が高い方のグリッドマップ間隔を狭くしてよい。また、車幅方向においてグリッドマップ間隔W,W一定にてグリッドマップが設定されているが、自車両SMから距離が遠くなるにつれて間隔が広くなっていくようにしてもよい。また、自車両SMの中心線を境に、左側と右側とで演算精度が変化しているが、自車両SMの中心線付近の所定幅の領域は左右の注意度の違いによる演算精度の調整が行われず一定となっており、当該領域よりも左側及び右側の領域にて演算精度の調整が行われてもよい。
次に、前方監視部36は、S230で設定されたグリッドマップを用いて、自車両SMの前方を監視する(ステップS240)。前方監視部36は、前方に存在する死角点を認識すると共に、死角から移動体が飛び出したときは当該移動体を認識する。次に、運転支援制御部31は、前方監視部36によって移動体の飛び出しが検知されたか否かを判定することにより、運転支援の要否を判定する(ステップS250)。移動体の飛び出しが検知された場合、運転支援制御部31は、当該移動体との接触を回避するための運転支援を実行する(ステップS260)。運転支援制御部31は、例えば、急ブレーキや、経路変更や、運転者に対する警告などによる運転支援を行う。なお、S250による運転支援は、図3に示すS160の運転支援処理に介入する形で実行される。S260の後、図13の処理は終了し、図3に示す処理も終了する。一方、S250において、移動体の飛び出しが検知されなかった場合、運転支援制御部31は、自車両SMが死角進入地点SDLを通過したか(すなわち、L=0に達したか)を判定する(ステップS270)。S270において死角進入地点SDLを通過していないと判定された場合、再びS240から処理が繰り返される。一方、S270において死角進入地点SDLを通過したと判定された場合、図13の処理は終了し、図3に示す処理も終了する。
なお、見通し度は死角点の位置を把握すれば直ちに演算することができるため、S210の処理において注意度として、見通し度のみを演算する場合、S100の処理の後、直ちに前方監視処理を開始してもよい。また、S210〜S220を前方監視処理S200に含めていた。つまり、S140の処理が終わった後に、S200の処理とS150の処理とを分岐させて同時並行で行われる処理とし、S200の中でS210〜S220が実行されていた。これに代えて、例えば、S210〜220の一部または全部の処理を図12中のS140とS150の処理の間に含め、S220の処理が終わった後に、前方監視処理とS150の処理とを分岐させてもよい。
次に、本実施形態に係る運転支援装置1の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る運転支援装置1では、注意度演算部32が、死角を構成する場所での左右方向の注意度を演算することができる。自車両SMの左側と右側の両方に死角が存在する場合、注意を払う必要性が、一方の死角に比して他方の死角の方が高くなる場合がある。このように、左側と右側とで必要とされる注意度に差が生じる場合、必要とされる演算精度についても左側と右側とで差が生じる場合がある。このような差に関わらず、左右方向の両側において高い演算精度に設定する場合、演算負荷が大きくなる。しかし、本実施形態に係る運転支援装置1では、演算精度設定部34が、左右方向の注意度に基づいて、演算精度を調整することができる。従って、注意が必要な方向については十分な演算精度を確保しつつも、他方については演算負荷を低減することが可能となる。このように演算負荷を低減することにより、適切な運転支援を行い、安全性をより一層向上できる。
本実施形態に係る運転支援装置1では、移動体情報設定部22が、死角から飛び出して来る可能性のある移動体を予測し、当該移動体に関する移動体情報を設定している。また、速度領域演算部23は、死角から飛び出すと予測された移動体の想定速度に基づいて、自車両がどのような速度で走行すると、当該移動体と接触する可能性があるかを演算できる。そして、速度領域演算部23は、移動体との接触の可能性がある速度領域(危険ゾーンDZ)を演算することができる。目標速度演算部24は、演算された速度領域に基づいて、目標速度を演算している。このように、運転支援装置1は、想定される移動体と、自車両SMの進路予測結果とを比較するものではなく、移動体と接触する可能性がある速度領域を演算し、当該演算に基づいて目標速度を演算するものである。このように、運転支援装置1は、どのような速度で走行すればよいかの具体的な目標速度に基づいて制御を行うことができるため、高い安全性を確保した運転支援を行なうことができる。また、運転支援装置1による運転支援は、自車両の進路予測の精度には影響を受けないため、適切な運転支援を行うことができる。以上より、運転支援装置1は、適切な運転支援を行い、安全性をより一層向上することができる。
このように、本実施形態に係る運転支援装置1は、実際に自車両の前方を認識することによる運転支援(S200の前方監視処理に基づく運転支援)に加え、移動体の飛び出しの可能性に基づく運転支援(S160の運転支援処理)を行うことで、安全性をより一層向上できる。ここで、このような運転支援を追加するには、目標速度を演算するための演算負荷が必要となるが、この運転支援装置1は、演算精度設定部34が、左右方向の注意度に基づいて、演算精度を調整することで、自車両SMの前方を認識することによる運転支援に係る演算負荷を低減できる。これにより、演算負荷を過剰に大きくすることなく、実際に自車両の前方を認識することによる運転支援と、移動体の飛び出しの可能性に基づく運転支援を両立させることが可能となる。
また、運転支援装置は、死角から移動体が実際に飛び出して来たものを検知してから運転支援を行うものではなく、実際の飛び出しに関わらず予め移動体(及びその想定速度)を予測して運転支援を行うことができる。運転支援装置1は、死角が交差点を通過するとき、想定される危険を予め予測した上で目標速度を演算することで、実際に死角から移動体が飛び出して来た場合であっても、安全性をより一層向上するような運転支援を行うことができる。
運転支援装置1は、速度領域演算部23によって演算された速度領域に基づいて、自車両SMの目標横位置を演算する目標横位置演算部25を備えている。自車両SMの横位置によって死角の大きさは変わり、それによって移動体との接触の危険度も変動する。従って、運転支援装置1は、目標横位置演算部25による目標横位置の演算によって、自車両SMが安全性の高い横位置にて走行するように、適切な運転支援を行うことができる。
運転支援装置1において、移動体情報設定部22は、死角を構成する道路の形状に基づいて、移動体情報を設定してよい。道路の形状によって、死角から飛び出して来る可能性のある移動体の挙動は影響を受ける。運転支援装置1は、道路の形状を考慮することで、一層精度の高い運転支援を行うことができる。
運転支援装置1において、移動体情報設定部22は、移動体側の車線幅と、自車両側の車線幅との比に基づいて、移動体情報を設定してよい。このように各車線幅の比を考慮することで、運転支援装置1は、運転者の感覚、及び実際の移動体の飛び出し速度に一層適合した運転支援を行うことができる。
運転支援装置1において、移動体情報設定部22は、死角の周辺環境に基づいて、移動体情報を設定してよい。このように死角の周辺環境を考慮することにより、運転支援装置1は、運転者の感覚に一層適合した運転支援を行うことができる。
運転支援装置1は、死角を構成する道路に関する交通情報を取得する交通情報取得部26を備え、移動体情報設定部22は、交通情報取得部26で取得した交通情報に基づいて、移動体情報を設定してよい。このように死角周辺の情報だけでは知り得ない交通情報を考慮することで、本当に危険度が高い死角道路を通過する際に、運転支援装置1は、安全性をより一層向上できる有効な運転支援を行うことが可能となる。
運転支援装置1は、運転者の過去の経験情報を取得する経験情報取得部27を備え、移動体情報設定部22は、経験情報取得部27で取得した経験情報に基づいて、移動体情報を設定してよい。このように運転者の過去の経験情報を利用することで、運転支援装置1は、運転者の経験に適合した運転支援を行うことができる。
運転支援装置1は、自車両周辺に存在する物体の挙動に関する物体情報を取得する物体情報取得部28を備え、移動体情報設定部22は、物体情報取得部28で取得した物体情報に基づいて、移動体情報を設定してよい。自車両周辺の物体の挙動は、飛び出して来る移動体の速度等にも影響を与えるが、このような情報を考慮することで、運転支援装置1は、より実態に適合した運転支援を行うことができる。
運転支援装置1は、運転者に対して、死角への注意を喚起する運転支援制御部31を備え、運転支援制御部31は、死角が複数方向に存在する場合、速度領域演算部23で演算された速度領域の形状に基づいて、危険度が高い危険方向を判定し、運転者が危険方向を向くように、注意喚起を制御してよい。このように、運転支援装置1は、運転者が危険度の高い危険方向を向くように注意喚起することで、危険の未然防止効果を上げることができる。
運転支援装置1は、運転者の注視方向を検出する注視方向検出部29を備え、運転支援制御部31は、危険方向と注視方向に基づいて、注意喚起を制御してよい。このように運転者の注視方向を考慮して注意喚起を制御することで、運転者のわずらわしさを低減すると共に、実際に運転支援が必要な場面で、一層効果的な運転支援を実行できる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、移動体として他車両を例示したが、二輪車などのように、死角から飛び出してくる可能性があるものであればどのようなものでもよい。移動体の種類によって、設定する移動体情報を変更する。
また、上述の実施形態では、移動体情報設定部22が移動体情報を設定するために、様々な要素を考慮していたが、全てを考慮する必要はなく、各要素のなかの一部、または何れか一つを考慮することとしてもよい。
なお、上述の実施形態では、目標速度としてL=0での目標速度のみを設定したが、L=0へ至るまでの途中に、目標速度を複数設定してもよい。例えば、自車両SMの現在位置から死角進入地点(L=0)までの間で、一定間隔ごとに目標速度を設定し(死角進入地点に近づくに従って、目標速度が徐々に低くなって行く)、現在位置からL=0までの目標速度プロファイルを算出してもよい。
本実施形態では、危険ゾーンDZは、死角進入地点までの自車両の距離Lに関して特に範囲が設けられることなく設定されていたが、例えば「0≦L≦X1」のように一定範囲に限定して設定されてもよい。また、所定のLのみに対して危険ゾーンDZが設定されてもよく、例えばL=0の部分のみに危険ゾーンDZ(つまり、L=0での速度領域のみに基づいて目標速度が設定される)が設定されていてもよい。
なお、上述の実施形態では、演算精度を調整して実際に自車両SMの前方を認識することによる運転支援と、移動体の飛び出しの可能性による(危険ゾーンや目標速度などを利用した)運転支援の両方を行っているが、前者の運転支援のみを実行してもよい。
本発明は、運転支援装置に利用可能である。
1…運転支援装置、21…死角認識部、22…移動体情報設定部、23…速度領域演算部、24…目標速度演算部、25…目標横位置演算部、26…交通情報取得部、27…物体情報取得部、29…注視方向検出部、31…運転支援制御部、32…注意度演算部、左右配分量演算部、34…演算精度設定部、36…前方監視部、SM…自車両、RM,LM…他車両(移動体)、DP…運転者。

Claims (6)

  1. 自車両の進行方向における、運転者からの死角を認識する死角認識部と、
    前記死角を構成する場所での左右方向の注意度を演算する注意度演算部と、
    前記自車両の前方を認識するための演算精度を設定する演算精度設定部と、を備え、
    前記演算精度設定部は、前記注意度演算部が演算した左右方向の前記注意度に基づいて、前記演算精度を調整することを特徴とする運転支援装置。
  2. 前記死角から飛び出して来る可能性のある移動体に関する情報として、前記移動体の想定速度を少なくとも含む移動体情報を設定する移動体情報設定部と、
    前記移動体情報設定部で設定される前記移動体情報に基づいて、進行方向へ進んだ場合に前記自車両が前記移動体と接触する可能性がある、前記自車両の速度領域を演算する速度領域演算部と、
    前記速度領域に基づいて前記自車両の目標速度を演算する目標速度演算部と、を更に備えることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
  3. 前記演算精度設定部は、左右方向のうち、前記注意度が高い側の演算精度を、前記注意度側が低い側の演算精度に比して高くすることを特徴とする請求項1又は2記載の運転支援装置。
  4. 前記演算精度設定部は、左右方向のうち、前記注意度が高い側のグリッドマップ間隔を、前記注意度が低い側のグリッドマップ間隔に比して狭くすることを特徴とする請求項3記載の運転支援装置。
  5. 前記注意度演算部は、前記注意度として、前記死角を構成する場所での左右方向の見通し度を演算することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の運転支援装置。
  6. 前記注意度演算部は、前記注意度として、前記死角を構成する場所での左右方向の安全度を演算することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項記載の運転支援装置。
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